JP2005196332A - 保険条件特定処理方法及び装置 - Google Patents

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俊平 岡田
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Abstract

【課題】
リスクが顕在化した際のインパクトについて定量的な分析を行った上で適切な保険条件を特定する。
【解決手段】
【課題を解決するための手段】
仮想的に発生させた損害のデータと当該損害に対応する保険金のデータとを少なくとも用いて分析対象企業の将来の財務データを算出する処理を、予め設定された複数の保険条件の各々につき所定のシミュレーション回数実施し、保険条件及びシミュレーション毎に将来の財務データを生成する。また、保険条件及びシミュレーション毎に、複数の経営指標を算出する。さらに、分析対象となる複数の経営指標を所定の基準に従って標準化し、標準化された経営指標のデータを生成する。そして、保険条件及びシミュレーション毎に、標準化された複数の経営指標から1つの複合経営指標を算出する。複合経営指標を用いて代表指標値を算出し、当該代表指標値に基づき保険条件を特定する。
【選択図】 図37

Description

本発明は、企業の財務分析技術に関し、より詳しくは財務分析技術を用いた保険条件設定技術に関する。
例えば特開2002−109198号公報には、会社経営改善システムであって、貸借対照表と損益計算書の実績データをコンピュータに入力する工程と、年金管理に関する実績データを入力する工程と、不動産管理に関する実績データを入力する工程と、経営(利益)計画をデータとして入力する工程と、設備投資計画の入力工程と、前記実績データを基に経営(利益)計画を推進した場合の将来の貸借対照表と損益計算書を選択したシミュレーション毎にコンピュータにより算出する予測(シミュレーション)データ試算工程と、予測データの蓄積管理工程と、予測データの出力工程とからなる構成が開示されている。しかし、自然災害などによるリスクが財務諸表にどのようにインパクトを与えるかについては考慮されていない。
特開2002−109198号公報
企業は、将来顕在化する可能性があるリスクをヘッジするために保険契約を行うが、必ずしもそのリスクが顕在化した際のインパクトについて定量的な分析がなされているわけではない。しかし、このインパクトについて定量的な分析がなされていなければ、どのような保険契約を行えばよいのかについて定量的な判断ができない。
従って、本発明の目的は、定量化されたリスクと企業の財務との関連性を明らかにするための技術を提供することである。
また、本発明の他の目的は、定量化されたリスク及び当該リスクに対処するための各種対策と企業の財務との関連性を明らかにするための技術を提供することである。
さらに、本発明の他の目的は、リスクが顕在化した際のインパクトについて定量的な分析を行った上で適切な保険条件等の対策を特定するための技術を提供することである。
本発明に係る保険条件特定処理方法は、仮想的に発生させた損害のデータと当該損害に対応する保険金のデータとを少なくとも用いて分析対象企業の将来の財務データを算出する処理を、予め設定された複数の保険条件の各々につき所定のシミュレーション回数実施し、保険条件及びシミュレーション毎に分析対象企業の将来の財務データを財務データ格納部に格納する財務シミュレーションステップと、財務データ格納部を参照して、保険条件及びシミュレーション毎に、複数の経営指標を算出し、経営指標データ格納部に格納する経営指標算出ステップと、経営指標データ格納部を参照して、保険条件及びシミュレーション毎に、分析対象となる複数の経営指標を所定の基準に従って標準化し、標準化された経営指標のデータを標準化経営指標データ格納部に格納する標準化ステップと、標準化指標データ格納部を参照して、保険条件及びシミュレーション毎に、標準化された複数の経営指標から1つの複合経営指標を算出し、複合経営指標のデータを複合経営指標データ格納部に格納する複合化ステップと、複合経営指標データ格納部を参照して、各保険条件に対応する代表指標値を算出し、代表指標値データ格納部に格納するステップと、代表指標値データ格納部に格納された代表指標値に基づき保険条件を特定する保険条件特定ステップとを含む。
仮想的に発生させた損害のデータと当該損害に対応する保険金のデータとを少なくとも用いて分析対象企業の将来の財務データを算出しているため、リスクのインパクト及び保険の効果を、各保険条件について定量的に経営指標として表すことができる。また、分析対象である複数の経営指標から複合経営指標を算出して分析を行うことにより、リスクの定量的なインパクト及び保険の効果を多面的且つ総合的に評価できるようになり、より適切な保険条件を特定できるようになる。
また、上で述べた財務シミュレーションステップが、損害に対応する保険金のデータを用いることなく仮想的に発生させた損害のデータを用いて分析対象企業の将来の財務データを算出する処理を、所定のシミュレーション回数実施し、上記シミュレーション毎に未対策財務データとして財務データ格納部に格納するステップを含み、上で述べた経営指標算出ステップが、財務データ格納部を参照して、シミュレーション毎に未対策財務データに対応する複数の経営指標を算出し、経営指標データ格納部に格納するステップを含み、上で述べた標準化ステップが、複数の経営指標のうち特定の経営指標について、未対応財務データに対応する各シミュレーションの値を所定の順番で並べ、基準指標シーケンスを生成するステップと、特定の保険条件に対応する、特定の経営指標についての各シミュレーションの値について、上記基準指標シーケンスにおける順位を算出するステップとを含むようにしてもよい。
例えば自己資本純利益率は10%未満、自己資本比率は50%程度であるから、これらが分析対象の経営指標であるならば、単純な平均処理などでは適切な複合経営指標を算出できない。また、経営指標によっては単位が%ではないようなものもある。ここではこのような問題を解決すべく、同じように仮想的な損害が発生したとして保険契約がなされていなかった場合の同じ経営指標の系列をものさしとして、保険契約による効果を表すものである。
さらに、上で述べた標準化ステップが、所定のシミュレーション回数に対する上記順位の値の割合を算出するステップをさらに含むようにしてもよい。この場合には、標準化経営指標は、0から1(又は%表示であれば0から100)の間に全ての経営指標は収まるので、複合経営指標を算出しやすくなる。
また、経営指標算出ステップにおいて算出された複数の経営指標のうち、所定の条件を満たしている経営指標を、分析対象である経営指標として選択するステップをさらに含むようにしてもよい。例えば、悪い値を有する経営指標を分析対象とすることにより保険契約による改善度合いを強調した形で評価することができる。なお、予め指定された経営指標について分析するようにしても良い。
さらに、上で述べた所定の条件が、分析対象企業が属する業界における経営指標の値(例えば平均値)からの乖離に関する条件であるようにしてもよい。例えば業界平均値より大きく劣っている経営指標をベースに保険契約の効果を評価することにより、より効果的な保険条件を特定することができるようになる。
なお、上で述べた複合化ステップが、分析対象である経営指標に割り当てられるウエイト値に基づき、分析対象である複数の経営指標の加重平均を算出するステップを含むようにしてもよい。
また、上で述べた複合化ステップが、分析対象企業が属する業界における分析対象の経営指標の値からの乖離に基づき割り当てられるウエイト値に基づき、分析対象である複数の経営指標の加重平均を算出するステップを含むようにしてもよい。
さらに、上で述べた複合化ステップが、分析対象企業の信用格付に基づき分析対象である経営指標に割り当てられるウエイト値に基づき、分析対象である複数の経営指標の加重平均を算出するステップを含むようにしてもよい。但し、加重平均でなくとも良い。
また、上で述べた保険条件特定ステップが、代表指標データ格納部と各保険条件に対応する保険料を含むリスク対応コストのデータを格納するコストデータ格納部とを参照して、各保険条件についてリスク対応コストに対応する軸と代表指標値に対応する軸とで張られる空間上の点を特定し、空間上における所定の条件を満たす点を特定することにより保険条件を特定する特定ステップを含むようにしてもよい。このような空間を採用することにより、各保険条件のコストパフォーマンスを簡単に評価することができるようになる。
さらに、上で述べた特定ステップが、指定されたリスク対応コスト値において最も良い代表指標値を有する点に対応する保険条件を特定するステップを含むようにしてもよい。例えば予算が限定されているような場合に有効である。
また、保険条件毎に、仮想的に発生させた損害の損害額と当該損害に対応する保険金の金額と保険料の金額とからリスク対応コストを算出し、コストデータ格納部に格納するステップをさらに含むようにしてもよい。ここでは、保険料だけがコストではなく、保険でカバーできなかった分(免責金額以下の負担)などもリスク対応コストとなる。
また、上で述べた特定ステップが、損害未対策時の代表指標値と仮想的に発生させた損害の代表損害額とから特定される空間上の点と特定の点とを通過する直線の傾きが最大となるような当該特定の点を抽出し、当該特定の点に対応する保険条件を特定するステップを含むようにしてもよい。分析対象の複数の経営指標を考慮した際に、コストパフォーマンスが最高となる保険条件を特定するものである。
本発明に係る方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを作成することも可能であって、当該プログラムは、例えばフレキシブル・ディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶媒体又は記憶装置に格納される。また、ネットワークを介してデジタル信号として頒布される場合もある。なお、処理途中のデータについては、コンピュータのメモリなどの記憶装置に一時保管される。
本発明によれば、定量化されたリスクと企業の財務との関連性を明らかにすることができるようになる。
また、別の側面として、定量化されたリスク及び当該リスクに対処するための各種対策と企業の財務との関連性を明らかにすることができるようになる。
さらに別の側面として、リスクが顕在化した際のインパクトについて定量的な分析を行った上で適切な保険条件を特定することができるようになる。
[実施の形態1]
図1に本発明の第1の実施の形態に係る機能ブロック図を示す。本実施の形態に係る財務分析システム100は、本実施の形態において主要な処理を実施する財務リスク・シミュレータ10と、各種データを財務リスク・シミュレータ10に入力する入力部20と、財務リスク・シミュレータ10からの出力をユーザに対して出力する出力部30とを有する。
入力部20からは、損害発生確率(損害発生頻度や年間超過確率などを含む。なお第1の実施の形態では以下年間超過確率を例として説明する。)と損害の規模(例えば損害率、損害額、休業日数など)との関係を表すリスクカーブ・データ21と、分析対象企業の第1期(分析時の前期)の財務諸表データ22と、財務諸表に関連する例えば利益処分方針のデータや固定資産の再調達価額や固定費率などの財務諸表関連設定データ23と、各種保険の保険条件についての保険条件データ24と、シミュレーション回数や財務諸表を何年先まで計算するかを表す期数、いずれのリスクについての処理を行うかといった設定データなどの各種パラメータ25が入力される。なお、リスクには火災、地震、台風、損害賠償、株価下落などが存在しているが、これらのリスクが保険対応可能か否か又はこれらのリスクに対して保険を付保するか否かについては保険条件データ24が設定されるか否かによって判断するものとする。なお、各リスクが保険対応可能か否かを設定するためのテーブルや、各リスクに対して保険を付保するか否かを設定するためのテーブルを予め用意しておき、例えば保険条件データ格納部154に登録しておくようにしても良い。
なお、損害に対する対策としては、保険契約の手配、コミットメントラインによる融資の手配等の事後的な対策と、耐震補強工事やスプリンクラーの取り付け等の事前対策が考えられる。いずれとも、対策を講じるためには費用がかかるが、事後的対策は災害発生時点で企業の財務状態を補強する効果があり、また事前の対策は損害の規模や発生確率に影響を及ぼすことになる。ここでは、まず事後的対策としての保険契約を中心的な例として説明をしている。コミットメントラインによる融資の手配がされる場合は、保険条件データ24に代えてコミットメントラインの融資条件データが設定される、又は保険条件データ24にコミットメントラインの融資条件データが含まれることになる。なお、コミットメントラインについても、融資条件データに、対応するリスクについてのデータを含むようにしても良い。
また、入力部20から入力されるデータについては、ファイルの形式で入力される場合もあれば、例えば図示しない表示装置に入力欄や選択欄を表示して、キーボードやマウスなどの入力装置により必要なデータを入力するようにする場合もある。
また、財務リスク・シミュレータ10には、リスクカーブ・データを用いて乱数により確率論的に損害を発生させるための処理を実施する損害発生処理部11と、発生した損害に対する受取保険金を保険条件データ24に基づき計算する保険金算出処理部12と、算出された受取保険金、保険料、損害発生処理部11により発生された損害の規模のデータ、財務諸表関連設定データ23などを用いて、所定の会計規則に則って財務諸表の計算及び財務諸表の統計計算を実施する財務諸表計算処理部13と、経常利益増加率、総資本増加率、営業キャッシュフロー(CF:Cash Flow)増加率、ROA(総資本純利益率=純利益/総資本)、ROE(自己資本純利益率=純利益/自己資本)、売上高経常利益率(=経常利益/売上高)、自己資本比率(=自己資本/総資本)、流動比率(=流動資産/流動負債)、債務超過確率(自己資本がマイナスとなる確率)等の経営指標及び経営指標の統計量を算出する経営指標計算処理部14とが含まれ、例えば財務リスク・シミュレータ10を実現するためのコンピュータに設けられるメインメモリなどに確保されるワークメモリ領域15を管理する。
また、財務リスク・シミュレータ10は、入力部20から入力されたリスクカーブ・データ21を格納するためのリスクカーブ・データ格納部151と、入力部20から入力された財務諸表データ22や財務諸表計算処理部13により算出される財務諸表データを格納するための財務諸表データ格納部152と、入力部20から入力された財務諸表関連設定データ23を格納するための財務諸表関連設定データ格納部153と、入力部20から入力された保険条件データ24を格納するための保険条件データ格納部154と、入力部20から入力された各種パラメータ25を格納するための各種パラメータ格納部155と、経営指標計算処理部14により算出された経営指標のデータを格納するための経営指標データ格納部156と、損害発生処理部11及び保険金算出処理部12により算出される損害額及び保険金データを格納するための損害・保険金データ格納部157と、財務諸表計算処理部13及び経営指標計算処理部14が行う各種統計処理の処理結果を格納するための統計データ格納部158と、保険以外の防災対策の費用とその効果を格納するための防災効果データベース(DB)159とを管理する。なお、これらのデータ格納部については、1つのデータ格納部の所定の領域である場合もある。
出力部30は、表示装置又はプリンタ等の出力装置に対して、財務諸表計算処理部13により計算された財務諸表データ31と、経営指標計算処理部14により計算された経営指標データ32と、財務諸表計算処理部13及び経営指標計算処理部14により計算された各種統計処理結果データ33とを出力する。
次に、図2乃至図14を用いて本実施の形態に係る財務分析システム100の処理内容を説明する。まず、入力部20により、リスクカーブ・データ21と、第1期の財務諸表データ22と、財務諸表関連設定データ23と、保険条件データ24と、何期分の計算を実施するかの設定値及びシミュレーションの実施回数の設定値などの各種パラメータ25とを入力部20から財務リスク・シミュレータ10に入力し、リスクカーブ・データ格納部151、財務諸表データ格納部152、財務諸表関連設定データ格納部153、保険条件データ格納部154及び各種パラメータ格納部155に格納する(ステップS1)。なお、データの入力については、この時点で全てのデータを入力しなければならないわけではなく、例えば予め入力し且つ各データ格納部に格納しておいたデータについての選択を促し、今回の処理に用いるように本ステップにおいて指示させるようにしても良い。また、各種パラメータについては、例えば入力画面において数値などの設定データを入力するようにしても良いし、予め用意されたプルダウンメニューやコンボボックスにより今回の処理のためのパラメータを選択するようにしても良い。特に、リスクカーブ・データ21については、選択可能なリスクの一覧を提示して、いずれのリスクについて処理を行うかを選択させる場合もある。また、リスクカーブ・データ21を入力して、いずれのリスクについて取り扱うかを自動的に判別するようにしても良い。
リスクカーブ・データ21は、本実施の形態では財物の損害、損害賠償、金融変動(例えば、株価下落による資産の減少、為替変動による輸入コストの増大等)などによる損害額に関するリスクカーブ・データと、財物など時価や再調達価額等の価額が設定され得るものについて損害額の価額に対する割合を示す損害率に関するリスクカーブ・データと、事業の休業期間に関するリスクカーブとを別個に含む。なお、その他の種類のリスクカーブ・データを導入することも可能である。以下では、主に財物の損害についての損害率に関するリスクカーブ・データのケースを例に説明するが、損害率に関するリスクカーブ・データの場合には、年間超過確率(%)と損害率(%)とのセットにより設定され、これらのセットで示される各点をグラフにすると例えば図3に示すようになる。ここで年間超過確率とは、例えば損害率(以下、財物損害率ともいう)に関して言えば、1年間にある財物損害率を超過する確率を示しており、右下がりの曲線となる。財物損害率が低い事故等の発生は多くある(すなわち年間超過確率が高い)が、財物損害率が高い事故等の発生は少ない(すなわち年間超過確率が低い)ことが一般的であり、損害率に関する離散的なリスクカーブ・データを滑らかに繋げば通常下に凸の曲線となる。一方、休業期間に関するリスクカーブ・データの場合、年間超過確率(%)と休業期間(日)とにより設定され、グラフにすると例えば図4に示すようになる。損害率に関するリスクカーブと同様に、休業日数が少なくなれば年間超過確率は高くなり、逆に休業日数が多くなれば年間超過確率は低くなる。すなわち、休業日数が少ない事故等の発生は多くあるが、休業日数が多い事故等の発生は少ないということである。また、損害額に関するリスクカーブ・データの場合は、同様に、年間超過確率(%)と損害額とにより設定される。なお、図3及び図4では、連続的なカーブが示されているが、本実施の形態では離散的なデータ、すなわち幾つかの財物損害率、損害額、又は休業期間と、年間超過確率の値のセットで特定される複数の点(ポイント)のデータによりリスクカーブ・データが規定されているものとする。
1つのリスクについてのリスクカーブ・データの一例を図5に示す。図5の例では、年間超過確率と損害率との対で構成されるリスクカーブ・データがテーブル形式で示されている。損害率ではなく、損害額や休業日数の場合でも同様のデータ構造となる。
さらに、複数のリスクを取り扱う場合には、例えば図6に示すようなリスクカーブに関するデータ構造(例えば配列)を用意して、図5に示すような各データ構造(テーブル)を管理するようにする。すなわち、図6の例では、リスクの種類(地震、火災、台風、生産物責任、株主代表訴訟など)毎に、利用可能な損害率テーブル、休業日数テーブル、損害額テーブルを管理している。例えば、地震というリスクについて、損害率と年間超過確率のテーブルはテーブル1aであり、生産物責任というリスクについて、損害額と年間超過率のテーブルはテーブル4cとなっている。このテーブルにおいて指定されている各テーブルは、図5のような構造を有したテーブルである。また、リスクの種類だけではなく、例えば複数の事業所を保有する顧客の場合には、さらに事業所毎、また財物については財物の種類(建物、機械設備、車両運搬具など)毎に図6のようなデータ構造を用意するようにしてもよい。但し、どの顧客についても共通するリスクカーブ・データを使用する場合もあるので、その場合には、リスクカーブ・データ格納部151に予め格納されているリスクカーブ・データを用いるようにしてもよい。
また、第1期の財務諸表データ22を、例えば図7乃至図10に示す。図7はバランスシートを示している。ここでは、流動資産(現金及び預金、製品・原材料・仕掛品・貯蔵品等)と、固定資産((1)有形固定資産(建物・構築物(購入時簿価)、建物等の減価償却累計額、機械装置、機械装置の減価償却累計額、車両運搬具、車両運搬具の減価償却累計額、工具器具部品、工具器具部品の減価償却累計額)、(2)無形固定資産、(3)投資その他の資産)とが資産の部に含まれる。また、負債の部には、流動負債(未払法人税等)と、固定負債が含まれる。また、資本の部には、資本金、法定準備金、その他の剰余金((1)任意積立金、(2)当期未処分利益)とが含まれる。これらの第1期の数値が入力される。
図8は損益計算書を示す。ここでは、1.売上高、2.売上原価(当期総製造費用、材料費、労務費、製造経費(含む外注加工費))、売上総利益、3.販売費及び一般管理費、営業利益、4.営業外収益、5.営業外費用、経常利益、6.特別利益、7.特別損失、税引前当期純利益、法人税等、法人税等調整額、当期純利益、前期繰越利益、中間配当額、当期未処分利益とが含まれる。なお、図8には、関連性を明らかにするため、財務諸表関連設定データ23の一部も示されている。本実施の形態では、売上高の年増加率(%)と、売上原価の固定費率(%)、材料費の固定費率(%)、労務費の固定費率(%)、製造経費(含む外注加工費)の固定費率(%)については、財務諸表関連設定データ23として入力する。特に、材料費、労務費及び製造経費の固定費率については、製造原価報告書などに基づき設定する。また、これらの固定費率から売上原価全体に対する固定費率を計算する。さらに、販売費及び一般管理費の固定費率は分析対象企業の業界における平均的な数値等を設定する。
図9はキャッシュフロー計算書を示す。ここでは、営業活動によるキャッシュフロー、税引前当期純利益、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフロー、現金及び現金同等物に係る換算差額、現金及び現金同等物の増加、現金及び現金同等物期首残高、現金及び現金同等物期末残高が含まれる。
さらに、図10に示すような利益処分計算書のデータも入力される。図10の例では、1.当期未処分利益、2.任意積立金取崩額、3.利益金処分額(利益準備金積立、配当金、役員等賞与金)、及び4.次期繰越利益金が含まれる。ここでは、任意積立金取崩額又は任意積立金額、利益金処分額、利益準備金積立、配当金、役員等賞与が設定データとなる。当期未処分利益は損益計算書で計算され、次期繰越利益金は、当期未処分利益と任意積立金取崩額の合計値から利益金処分額を差し引いた額になる。
財務諸表関連設定データ23には、図7に関連して説明したデータのほかに、図11に示す固定資産(建物・構築物、機械装置、車両運搬具、工具器具部品)の時価又は再調達価額についての情報も含まれる。また、流動資産(製品、原材料、仕掛品等)の時価又は再調達価額の情報を含めても良い。さらに、現金及び預金を用いても補修などに不足が生じる場合には融資を受けることとするが、その場合の利子(%)、さらに毎年の減価償却額、償却方法などのデータも設定データに含まれる。
さらに、保険条件データ24として図12に示すようなデータが入力される。図12の例では、財物保険について、建物・構築物、機械装置、車両運搬具、工具器具部品、製品・原材料・仕掛品・貯蔵品等に対する付保の有無と、縮小填補又は支払限度額のいずれかである契約形態と、縮小填補割合(%)と、支払限度額(1事故当たり)と、免責金額と、保険料とが設定される。また図12の例では、利益保険について、売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益に対する付保の有無と、約定付保率又は約定填補期間のいずれかである契約形態と、約定付保率(%)と、約定填補期間と、免責期間と、保険料とが設定される。なお、保険条件データ24については複数の保険条件データを入力しておき、複数の計算結果を得るようにしても良い。例えば、保険なしという保険条件と、保険ありという保険条件を両方設定しても良い。また、一部融資で賄うことを前提として、融資で賄う分保険金が少なくなるような保険条件と、全額保険で賄うという保険条件の両方を設定するようにしても良い。
なお、図示しないが図12に、各保険の種類(財物保険、利益保険等)毎に保険金支払いの対象となるリスク(指定リスク)をデータとして含めてもよい。例えば、財物保険には図6に示したリスクのうちの地震と火災と台風が対象リスクとされる。その他、爆発、落雷等、保険によって支払われる対象であるリスクが含まれ、それぞれリスクを識別するデータの形式によって保険条件データ24として、図12に含まれた形で各保険と対応づけて保険条件データ格納部154に記録される。あるいは先に述べたように、どのリスクがどの保険に対応しているかについてのテーブルを予め用意しておき、保険条件データ格納部154に記録しておいてもよい。
図2の処理フローの説明に戻って、次に財務リスク・シミュレータ10の損害発生処理部11は、指定されたリスクに対応するリスクカーブ・データ(複数の離散的なポイントによって表されるデータ)をリスクカーブ・データ格納部151から読み出し、当該読み出したリスクカーブ・データに基づき事故等の損害を発生させる処理を実施する(ステップS3)。リスクカーブ・データから、損害額ではなく、損害率が算出される場合には、損害発生処理部11は、損害の発生した財物などの各種資産の時価又は再調達価額に損害率を乗じることにより損害額を算出し、損害・保険金データ格納部157に格納する。
なお、上でも述べたがリスクカーブ・データについては、顧客に共通のリスクカーブ・データを用いる場合もあれば、リスク毎、顧客毎、財物毎、事業所毎の個別のリスクカーブ・データを用いるようにしても良い。いずれの場合も、対応するリスクカーブ・データが予め入力部20より入力され、リスクカーブ・データ格納部151に格納される。そして、損害発生処理部11がリスクカーブ・データ格納部151から当該リスクカーブ・データを抽出する。なお、複数のリスクを取り扱う場合には、それぞれにつき損害を発生させる処理を実施する。
このステップS3の処理の詳細を図13に示す。まず損害発生処理部11は、一様乱数(0≦乱数≦1)を生成する(ステップS31)。シミュレーションの精度を上げたり、シミュレーションの繰り返し回数を少なくするため、例えばLatin Hyper Cube法などの階層サンプリング方法を用いる。そして生成された乱数の値を、年間超過確率と見なして(又は生成された乱数の値から所定の算式を用いて換算した年間超過確率と見なして)、リスクカーブ・データの中のポイントのうち、当該乱数の値を挟む2ポイントを各リスクカーブにつきリスクカーブ・データ格納部151から抽出する(ステップS33)。例えば、リスクカーブ・データ中に、・・0.55、0.57、0.59、0.61・・といった年間超過確率とそれらに対応する損害率、休業期間又は損害額の値が離散的に得られていたとき、乱数によって年間超過確率として0.58が得られたとする。その場合、当該0.58に対応するリスクカーブ・データ中の0.57と0.59とそれらに対応する損害率、休業期間又は損害額等の値のセットで特定される2ポイントを抽出する。リスクカーブは、図3及び図4で示したようにその形状から直線より指数関数(y=A*Bx:A及びBは定数)で近似するケースが多い。従って、損害発生処理部11は、リスクカーブ・データ毎に、抽出された2ポイントを用いて指数関数のA及びBを計算し、計算されたA及びBにより特定される指数関数の式を用いて内挿による補間計算を行い、乱数の値(上の例では0.58)に対応する損害率、休業期間又は損害額等を決定し、損害・保険金データ格納部157に格納する(ステップS35)。
なお、乱数の値に対応する損害率等を求めるための近似関数は指数関数に限定されるものではなく、その他対数関数、比例関数など、リスクの実態に即した関数が選択され得る。これらの関数については、リスクカーブ・データに対応して選択され、当該選択された関数についてのパラメータを算出するサブルーチン等(処理を行うサブモジュール)と、算出されたパラメータが設定された関数により乱数の値に対応する損害率等を算出するサブルーチン等(処理を行うサブモジュール)により、処理が行われる。なお、関数のデータはリスクカーブ・データと対応づけて予めリスクカーブ・データ格納部151に記録される場合もある。その場合には、損害発生処理部11がリスクカーブ・データ格納部151から当該リスクカーブ・データを抽出する際に、使用する関数のデータについても併せて抽出する。
また、上では関数の求めるべきパラメータが2つのケースで説明したが、関数のパラメータを3つ以上とすることもできる。この場合、損害発生処理部11は、関数のパラメータ数に応じて乱数によって得られた年間超過確率の値を挟む、リスクカーブ・データ中の3つ以上(パラメータ数に一致する数だけ)の点を抽出する。その際、偶数の点を抽出する場合は、例えば図5のようなテーブルにおいては上下で同じ数ずつ抽出し、奇数の場合は上下の一方が1つだけ多くなるように点を抽出する。上と下のいずれを1つ多く抽出するかは任意であり、予め設定してリスクカーブ・データ格納部151に記憶させておき、損害発生処理部11が処理する時点で参照するようにしてもよい。
再度図2の説明に戻って、保険金算出処理部12は、損害発生処理部11により発生され且つ損害・保険金データ格納部157に格納された損害(損害額、損害率、休業日数など)及び保険条件データ格納部154に格納された保険条件データ24などを用いて受取保険金を算出し、損害・保険金データ格納部157に格納する(ステップS5)。
本ステップの処理は、保険条件データが設定された指定リスクについて行われる。すなわち、保険で対応可能なリスクであって保険条件データが設定されたリスクである。一方、指定リスクについての損害は考慮するが、保険条件データを設定せず、保険を付保しないリスクについては本ステップは実行されない。保険金算出処理部12は、保険条件設定データ格納部154を参照して、保険対応可能となっている指定リスクを抽出する。
例えば本ステップが実施されると損害・保険金データ格納部157において図14に示すようなデータ構造(1期分)における1レコードが格納される。図14のテーブル例には、シミュレーション回数の列1401と、第1のリスクに対する損害金額を格納するための損害1の列1402と、第1のリスクに対する保険金の額を格納するための保険金1の列1403と、第2のリスクに対する損害金額を格納するための損害2の列1404と、第2のリスクに対する保険金の額を格納する保険金2の列1405と、....損害金額累計の列1406と、保険金累計の列1407とが設けられている。このように、各指定リスクに対応してステップS3で算出した損害額とステップS5で算出された保険金額のデータと全指定リスクについての損害累計と保険金累計のデータとを、各シミュレーションにつき登録するようになっている。なお、保険金算出処理部12は、図14のテーブルについて、各保険の種類やその他の対策別かつ目的別にテーブルを作成し、そして最終的に対策別かつ目的別のテーブルを企業単位に集約する。
そのため、別の対応可能な対策(例えばコミットメントライン、金利や為替などによるデリバティブ取引等)による効果についての計算などが、当初は別テーブルなどを用いて実施される。なお、各指定リスクに対していずれの対策が適用されるかは、保険条件データ格納部154に記録されており、そのデータを参照して、保険金算出処理部12が判断する。例えば、図示しないが、財物保険については火災と台風が保険によって対応する指定リスクとして設定され、またコミットメントラインによるものとしては地震が指定リスクとして設定されたテーブルが保険条件データ格納部154に記録される。そして、保険金算出処理部12は、対応策が設定されていないリスクについては、本ステップにおける処理を省略し、対応策が設定されているリスクについて、当該対応策による効果等の計算処理を実施するようにする。なお、本実施の形態において対応策による効果については、受取保険金と同様の扱いとする。
保険金算出処理部12によるステップS5の詳細な処理内容は以下のとおりである。
(1)財物保険の場合
・縮小填補方式の場合
受取保険金=財物損害額×縮小填補割合(%)
・支払限度額方式の場合
受取保険金=Min(支払限度額,Max(財物損害額−免責金額,0))
(2)利益保険の場合
・約定付保率方式の場合
受取保険金=年売上高×約定付保率(%)
×Max(休業期間(日)−免責期間(日),0)/365
・約定填補期間方式の場合
受取保険金=年売上高×利益率(%)
×Min(約定填補期間(日),Max(休業期間(日)−免責期間(日),0))/365
なお、約定付保率方式とは、売上高に対する保険金として支払うべき割合を予め設定しておき、休業に至った場合にその率を直近の売上高に乗じた額の休業日数分の保険金を支払う方式をいう。また、約定填補期間とは、営業利益、固定費など、保険金支払対象となる費目を予め設定しておき、休業に至った場合にその費目に相当する額を求めてその額の休業日数分(但し、約定填補期間が限度)の保険金を支払う方式をいう。
そして、財務諸表計算処理部13は、財務諸表データ格納部152、損害・保険金データ格納部157、さらに財務諸表関連設定データ格納部153などを参照して、発生した損害(財物損害、休業日数など)及び受取保険金等の影響を考慮した財務諸表等の計算を実施し、処理結果を財務諸表データ格納部152に格納する(ステップS7)。まず損益計算書の計算を説明しておく。
(1)売上高
第n期売上高については設定された売上高増加率及び第n期の休業期間(日)を用いて以下のように計算する。
第n期売上高=第1期売上高×(1+売上高増加率)(n-1)
×(1−第n期休業期間/365)
(2)売上原価
第n期売上原価については設定された固定費率及び第n期の休業期間(日)を加味して計算された第n期売上高を用いて以下のとおり計算する。
第n期売上原価=第1期売上原価×{固定費率+
(1−固定費率)×第n期売上高/第1期売上高}
(3)売上総利益
売上総利益=売上高−売上原価
(4)販売費及び一般管理費
上で述べた第n期売上原価と同様に販売費及び一般管理費に予め設定された固定費率を用いて計算を行い、さらに、第n期に発生した損害による破損を受けなかった固定資産の減価償却費と第n期の支払い保険料とを加算した金額が、第n期の販売費及び一般管理費となる。減価償却対象となる固定資産勘定には、建物・構築物、機械装置、車両運搬具、工具器具備品等があるが、計算方法については同じである。
例えば、n期に発生した損害により建物等に破損が生じた場合、保険付保の有無に拘わらず建物等を再建し(原状復帰させ)、当該再建のための補修費は現金及び預金(バランスシートから減ずる)をもって行うものとする。なお、現金及び預金が不足する場合には、長期借入金(例えば金利1%)をもって充当(バランスシートの長期借入金を増加させる)する。以下、簿価100万円(取得原価166万円、期首減価償却累計額66万円)、毎年の減価償却費3万円、再調達価額400万円の建物を例に説明する。また、減価償却は定額法により税法の規定どおりに行われる(ここでは最終残価率10%、償却期間50年)ものとする。さらに、期首に保険事故(建物半損・損害率50%)が発生し、借入金及び建物の再建も期首に実施するものとする。また、借入金利など借入コストにかかるデータ、建物等の簿価データ、取得原価データ、減価償却などに関するデータ、さらに各種財務諸表作成上必要なその他の科目データは、予め財務諸表関連設定データ格納部153に記録されており、財務諸表計算処理部13が財務諸表関連設定データ格納部153から抽出して計算処理に用いる。
このような条件において建物減価償却費は以下のように計算される。
既存部分=毎年の減価償却費3万円×(1−損害率50%)=1.5万円
補修部分=補修に要する費用200万円×
(1−建物最終残価率10%)/償却期間50年
=3.6万円
(5)営業利益
営業利益=売上総利益−販売費及び一般管理費
(6)営業外収益
第n期の営業外収益は、第1期の営業外収益と同額とする。
(7)営業外費用
もし、補修費用を長期借入金で賄った場合には、当該借入金の支払利息は営業外費用となる。従って、長期借入金が発生した期以降においては、第1期の営業外費用に支払利息の金額を加算した金額が営業外費用となる。上の例では、以下のような計算となる。
支払利息=長期借入金100万円×金利1%=1万円
利息は期末に現金で支払うものとする。また、コミットメントラインを銀行などと結んだ場合、当該手数料については営業外費用として加算する。
(8)経常利益
経常利益=営業利益+営業外収益−営業外損益
(9)特別利益
損害が発生した場合であって当該損害に対する保険によって保険金が支払われた場合には受取保険金及び減価償却累計額戻入が特別利益として計算され、第1期の特別利益に加算される。具体的には、以下のように受取保険金及び減価償却累計額戻入が計算される。
建物減価償却累計額戻入=期首減価償却累計額66万円×損害率50%=33万円
受取保険金=再調達価額400万円×損害率50%×縮小填補割合80%=160万円
なお建物等に再調達価額ベース・縮小填補方式にて80%の保険を付保しているものと仮定する。
(10)特別損失
損害が発生した場合には建物等の損害分が特別損失として計算され、第1期の特別損失に加算される。具体的には、以下のように建物等損失額が計算される。
建物損失額=建物簿価100万円×損害率50%=50万円
(11)税引前当期純利益
税引前当期純利益=経常利益+特別利益−特別損失
(12)法人税等(法人税+法人税等調整額)
前提として、第1期における(法人税等+法人税等調整額)と税引前当期利益との比を税効果会計適用後の当該企業の法人税等負担率と仮定し、第2期以降の計算に適用するものとする。法人税等負担率は以下のとおり計算される。
法人税等負担率=(第1期法人税等+第1期法人税等調整額)
/第1期税引前当期利益
また、税引前当期利益が正の場合のみ法人税等を計算し、負または0の場合は法人税等も0に設定するものとする。
そうすると、第n期税引前当期利益10億円、法人税等負担率40%とすると、法人税及び法人税等調整額の合計は以下の式にて計算される。
第n期法人税等=第n期税引前当期利益10億円×法人税等負担率40%=4億円
(13)当期純利益
当期純利益=税引前当期純利益−(法人税等+法人税等調整額)
(14)前期繰越利益
前期繰越利益は、前期の利益処分計算書の次期繰越利益金である。
(15)中間配当額
中間配当額は、事前の設定に従う。
(16)当期未処分利益
当期未処分利益=当期純利益+前期繰越利益−中間配当額
次に、バランスシートの計算方法について説明する。
(1)流動資産
流動資産は、現金及び預金の変動のみに従って変動するものとする。
(1−1)現金及び預金
現金及び預金は、売上高、売上原価、建物等の補修、借入金、受取保険金、コミットメントライン、防災工事、法人税等、及び未払い法人税等により変動する。
売上高の精算は全て現金及び預金にて行われるものとする。すなわち売上高が100万円あれば、現金及び預金が100万円増加するものとする。
また、売上原価の精算も全て現金及び預金にて行われるものとする。すなわち売上原価が90万円であれば、現金及び預金が90万円減少するものとする。
建物等の減価償却対象固定資産の補修に要する費用は現金及び預金にて行われるものとする。従って、以下のように計算され、現金及び預金から建物等の補修に要する費用が差し引かれる。
建物等の補修に要する費用=建物再調達価額400万円
×損害率50%=200万円
建物等の補修に要する費用のための現金及び預金が不足している場合には、長期借入金にて充当する。従って、長期借入金の分だけ現金及び預金は増加するが、その内建物等の補修に当てられた分だけ現金及び預金は減少し、その分固定資産の額が増加する。
特別利益として計算された受取保険金は現金及び預金にて精算されるため、受取保険金の分だけ現金及び預金は増加する。
コミットメントラインのための手数料等の費用や防災工事に要する費用については、現金及び預金により精算するため、コミットメントライン等の費用分だけ現金及び預金は減ぜられる。
さらに、法人税等については、現金及び預金にて精算するので、上で計算された法人税等の分だけ現金及び預金は減ぜられる。
未払法人税は、例えば以下のように計算される。なお、第1期における未払法人税等と(法人税等+法人税等調整額)との比を当該企業の未払法人税率と仮定し、第2期以降の計算に適用するものとする。すなわち、以下のように計算される。
未払法人税率=第1期未払法人税等/(第1期法人税等+第1期法人税等調整額)
よって、未払法人税等は、例えば以下のようになる。
第n期未払法人税等=第n期法人税等4億円×未払法人税率50%=2億円
この未払法人税等の分だけ現金及び預金が増加する。
(1−2)製品・原材料・仕掛品・貯蔵品等
これらが事故などにより破損した場合には、その期中に同額のものを調達するという前提で取り扱うため、これらの項目についてはバランスシート上は変わらないため、第1期と同じになる。
(2)固定資産
固定資産は、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産により構成される。
(2−1)有形固定資産
有形固定資産は、建物・構築物、機械装置、車両運搬具、工具器具部品と、それらの減価償却累計額と、土地などの他の有形固定資産で構成される。このとき、有形固定資産>建物・構築物+機械装置+車両運搬具+工具器具部品−減価償却累計額合計である。建物等が破損した場合には、特別損失として計算した金額が建物分の損失分として、有形固定資産のいずれかの項目から減ぜられる。一方、建物等を補修した場合には、当該補修に要する費用の分だけ有形固定資産のいずれかの項目に加算される。また、減価償却累計額は、建物減価償却累計戻入として計算された分だけ減ぜられ、同じく建物等の当該年度の減価償却分(既存部分及び補修部分)だけ加算される。
(2−2)無形固定資産
第1期の無形固定資産と同じになるものとする。
(2−3)投資その他の資産については、税効果会計を適用することにより生ずる繰り延べ税金資産により変化する可能性がある。繰り延べ税金資産がなければ、第1期と同じになる。
(3)資産の部合計
流動資産と固定資産の合計である。
(4)流動負債
流動負債は未払法人税の分だけ第1期の金額から上下する。すなわち、上で計算された未払法人税の分だけ流動負債は増加する。
(5)固定負債
第n−1期の固定負債に、第n期において発生した損害などにより長期借入金が増加した場合には、当該長期借入金の分だけ固定負債が増加することになる。
(6)負債の部合計
流動負債と固定負債の合計である。
(7)資本金
第1期と同じとする。
(8)法定準備金
法定準備金は、資本準備金と利益準備金とに分類される。資本準備金は第1期と同じで、利益準備金については利益処分計算書により設定される利益準備金積立金額分増加する。
(9)その他の剰余金
(9−1)任意積立金
任意積立金は、法定準備金以外に企業の裁量で積み立てておくもので、本実施の形態では、利益処分計算書により設定された利益金処分額から、利益準備金積立、配当金、役員等賞与金の合計を差し引いた金額を任意積立金として積み立てるものとする。
(9−2)当期未処分利益
損益計算書にて計算された当期未処分利益と同じである。
次に、キャッシュフロー計算書について説明する。
(1)営業活動によるキャッシュフロー
税引前当期純利益を基にキャッシュの出入りを加減算することにより計算する。その際、考慮していない項目については、第1期のまま不変としている。具体的には、税引前当期純利益+当期固定資産に係る破損分+当期減価償却額−当期法人税等+当期未払法人税等−前期未払法人税−前期役員賞与金+第1期のまま不変の項目として計算する。
(2)投資活動によるキャッシュフロー
第1期の投資活動によるキャッシュフローに、当期発生した投資活動によるキャッシュの出入りを加味することにより計算する。具体的には、第1期の投資活動によるキャッシュフローから固定資産の破損による投資額のみを減算することにより計算する。
(3)財務活動によるキャッシュフロー
財務活動によるキャッシュフローは、第1期の財務活動によるキャッシュフローから当期の中間配当及び前期の配当を減算することにより計算する。
(4)現金及び現金同等物に係る換算差額
第1期の値をそのまま使用する。
(5)現金及び現金同等物の増加
第n期の現金及び現金同等物の増加額は、営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフロー、及び現金及び現金同等物にかかる換算差額の合計額として計算する。
(6)現金及び現金同等物期首残高
第n期の期首(第n−1期の期末)の現金及び預金の残高である。
(7)現金及び現金同等物期末残高
第n期の期末の現金及び預金の残高である。
(8)フリーキャッシュフロー
営業活動によるキャッシュフローから固定資産の破損による投資額を減算することにより計算する。
このような計算により、財務諸表計算処理部13は財務諸表の各財務データを計算し、財務諸表データ格納部152に格納する。
第2図の説明に戻って、1期分の財務諸表のデータを計算し終わると、財務諸表計算処理部13はステップS1で設定された期数分だけ財務諸表を計算したか判断する(ステップS9)。もし、計算し終わっていなければ、ステップS7で計算された財務諸表のデータを前期の財務諸表のデータに設定し(ステップS11)、ステップS3に戻る。そして同じように処理を繰り返す。一方、設定された期数分だけ処理を実施した場合には、経営指標計算処理部14は、各種経営指標の計算を行い、計算結果を経営指標データ格納部156に格納する(ステップS13)。経営指標については、以下のように計算し、経営指標データ格納部156にシミュレーション毎及び期毎に格納する。
(1)倒産確率(安全性)・・・自己資本がマイナスとなる確率として定義
(2)営業利益増加率(成長性)・・・第1期の営業利益を100とした場合における各期の営業利益
(3)経常利益増加率(成長性)・・・第1期の経常利益を100とした場合における各期の経常利益
(4)純利益増加率(成長性)・・・第1期の純利益(税引後利益)を100とした場合における各期の純利益(税引後利益)
(5)総資本増加率(成長性)・・・第1期の総資本を100とした場合における各期の総資本
(6)自己資本増加率(成長性)・・・第1期の自己資本を100とした場合における各期の自己資本
(7)営業キャッシュフロー増加率(成長性)・・・第1期の営業キャッシュフローを100とした場合における各期の営業キャッシュフロー
(8)フリーキャッシュフロー増加率(成長性)・・・第1期のフリーキャッシュフローを100とした場合における各期のフリーキャッシュフロー
(9)総資本経常利益率(収益性)・・・経常利益/総資本
(10)ROA(総資本純利益率)(収益性)・・・純利益(税引後利益)/総資本
(11)自己資本経常利益率(収益性)・・・経常利益/自己資本
(12)ROE(自己資本純利益率)(収益性)・・・純利益(税引後利益)/自己資本
(13)売上高営業利益率(収益性)・・・営業利益/売上高
(14)売上高経常利益率(収益性)・・・経常利益/売上高
(15)売上高純利益率(収益性)・・・純利益(税引後利益)/売上高
(16)自己資本比率(安全性)・・・自己資本/総資本
(17)流動比率(安全性)・・・流動資産/流動負債
(18)営業キャッシュフロー・マージン(収益性)・・・営業キャッシュフロー/売上高
(19)フリーキャッシュフロー・マージン(収益性)・・・フリーキャッシュフロー/売上高
(20)営業キャッシュフロー対流動負債比率(安全性)・・・営業キャッシュフロー/流動負債
上で述べた全ての経営指標について計算するのではなく、一部のみについて計算するようにしても良いし、また別の経営指標を追加で計算させるようにすることも可能である。計算する経営指標については、例えば経営指標データ格納部156に経営指標項目と計算式を予め記憶しておき、経営指標計算処理部14がそれを参照して指標の計算をするようにしてもよい。
次に、財務リスク・シミュレータ10は、ステップS1において設定された所定のシミュレーション回数繰り返し処理を実施したか判断する(ステップS15)。もし、所定のシミュレーション回数繰り返していない場合には、ステップS1における初期条件入力時の財務諸表を前期の財務諸表に設定し、ステップS3に戻る(ステップS17)。一方、所定のシミュレーション回数繰り返し処理を実施した場合には、財務諸表計算処理部13及び経営指標計算処理部14が財務指標のデータ及び経営指標のデータ等の統計処理を実施し、処理結果を統計データ格納部158に格納する(ステップS19)。例えば、平均値を計算したり、財務諸表のデータ又は経営指標のデータの処理結果の悪い方から所定の割合(例えば1%や0.1%等)の中で最も良い財務データ又は経営指標等を抽出することができるようになる。良い方から所定の割合の中で最も悪い財務データ又は経営指標とも言える。また、保険条件データ24として入力されている保険料データや長期借入金の利子など、またコミットメントラインを利用する場合には当該コミットメントラインの手数料及び利子を加算した、リスク対応の必要経費を集計し、統計データ格納部158に格納する場合もある。このようにすれば、保険契約やコミットメントラインによる融資といった損害対策の費用対効果を考察することも可能である。
このようにして財務諸表計算処理部13及び経営指標計算処理部14により計算された財務諸表データ31、経営指標データ32、統計処理結果データ33等を出力部30から表示装置や印刷装置等の出力装置に出力する(ステップS21)。
以上のような処理を実施することにより、本実施の形態では、事故等を単にその大きさだけではなく頻度についても評価するという確率論的なアプローチにて事故等の財務諸表等へのインパクトを分析することができるようになる。なお、ここでは確率論的手法としてモンテカルロ・シミュレーションを使用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
ここで、耐震補強やスプリンクラー設置等、事前の防災対策を講じた場合を想定したシミュレーションについて説明する。この場合、図2のS1において入力部20からリスクカーブ・データ21と併せて、保険条件データ24に代わる防災対策データとしての対策内容(耐震補強工事、スプリンクラー設置、災害対策組織の結成等)と、そのために要する費用、さらにこうした防災対策を講じることによる効果(損害の規模や損害の発生確率に及ぼす影響度)データが入力される。リスクカーブ・データ21と防災対策の効果データは、図1の財務リスク・シミュレータ10に設けられた損害発生処理部11によりリスクカーブ・データ21の修正に用いられる。防災対策の効果データによって修正された新たなリスクカーブ・データを用いて、損害発生処理部11にて仮想の損害が発生される。ここで発生する仮想損害の規模や発生確率は、当然に防災対策を施さない場合に発生させたものに比べて小さい値を示すことになる。このような処理を行うことによって、事前の防災対策に基づいた損害とそれによる財務データへの影響を分析することが可能となる。
なお、事前の防災対策の内容と、それによって生じる効果(損害の規模や発生確率への影響度)を関連付けて格納した防災効果データベース159を設け、損害発生処理部11が防災対策の内容の入力に従ってリスクカーブ・データ21を修正するようにしてもよい。その場合、防災効果データベース159には例えば「耐震補強工事費100万円当たり−地震損害の発生確率5%減、スプリンクラー設置工事費100万円当たり−火災の損害規模3%減」など、防災対策の内容・対策実施の程度とそれによる効果が対応付けて記録される。ここでのデータベースの例はあくまで一例であって、防災対策についてより詳細な項目にブレークダウンさせて、内容・対策実施の程度と効果を対応付けることができる。
[実施の形態2]
次に本発明の第2の実施の形態を図15乃至図34を用いて説明する。図15は、本発明の第2の実施の形態に係る機能ブロック図である。
本実施の形態に係る財務分析システム200は、本実施の形態における主要な処理を実施する財務リスク・シミュレータ210と、各種データを財務リスク・シミュレータ210に入力する入力部220と、財務リスク・シミュレータ210からの出力をユーザに対して出力する出力部230とを有する。
入力部220からは、分析対象企業の第1期(分析時の前期)の財務諸表データ221と、財務諸表に関連する例えば利益処分方針のデータや固定資産の再調達価額や固定費率などの財務諸表関連設定データ222と、各種保険の保険条件についての保険条件データ223と、仮想的な損害を発生する際に用いる各種パラメータである損害発生パラメータ224と、複数のリスクを組み合わせたシミュレーションを行う際に当該リスク間の相関を規定するための順位相関データ225と、シミュレーション回数や財務諸表を何年先まで計算するかを表す期数、いずれのリスクについての処理を行うかといった設定データなどの各種パラメータ226が入力される。なお、リスクには火災、地震、台風、損害賠償、株価下落などが存在しているが、これらのリスクが保険対応可能か否か又はこれらのリスクに対して保険を付保するか否かについては保険条件データ223が設定され、各保険の種類毎に保険対象のリスクとして保険条件データに指定リスクの記録がされるか否かによって判断するものとする。なお、各リスクが保険対応可能か否かを設定するためのテーブルや、各リスクに対して保険を付保するか否かを設定するためのテーブルを別途用意しておき、例えば後に説明する保険条件データ格納部に登録しておくようにしても良い。
また、入力部220から入力されるデータについては、ファイルの形式で入力される場合もあれば、例えば図示しない表示装置に入力欄や選択欄を表示して、キーボードやマウスなどの入力装置により必要なデータを入力するようにする場合もある。
また、財務リスク・シミュレータ210には、確率論的に損害を発生させ損害額、保険金及び保険料などを算出する損害及び保険金計算処理部211と、算出された損害額、保険金及び保険料並びに財務諸表データ221及び財務諸表関連設定データ222などを用いて、所定の会計規則に則って財務諸表の計算及び財務諸表の統計計算を実施する財務諸表計算処理部212と、経常利益増加率、総資本増加率、営業キャッシュフロー(CF:Cash Flow)増加率、ROA(総資本純利益率=純利益/総資本)、ROE(自己資本純利益率=純利益/自己資本)、売上高経常利益率(=経常利益/売上高)、自己資本比率(=自己資本/総資本)、流動比率(=流動資産/流動負債)、債務超過確率(自己資本がマイナスとなる確率)等の経営指標及び経営指標の統計量を算出する経営指標計算処理部213とが含まれ、例えば財務リスク・シミュレータ210を実現するためのコンピュータのメインメモリなどにワークメモリ領域214が確保される。
また、財務リスク・シミュレータ210は、入力部220から入力された財務諸表データ221や財務諸表計算処理部212により算出される財務諸表データを格納するための財務諸表データ格納部215と、入力部220から入力された財務諸表関連設定データ222を格納するための財務諸表関連設定データ格納部216と、入力部220から入力された各種パラメータ226を格納するための各種パラメータ格納部218と、経営指標計算処理部213により算出された経営指標のデータを格納するための経営指標データ格納部217と、財務諸表計算処理部212及び経営指標計算処理部213が行う各種統計処理の処理結果を格納するための統計データ格納部219とを管理する。なお、これらのデータ格納部については、1つのデータ格納部の所定の領域である場合もある。
出力部230は、表示装置又はプリンタ等の出力装置に対して、損害及び保険金計算処理部211により算出される各種保険料データ231、損害及び保険金データ232及びリスク寄与データ233と、財務諸表計算処理部212により計算された財務諸表データ234と、経営指標計算処理部213により計算された経営指標データ235と、財務諸表計算処理部212及び経営指標計算処理部213により計算された各種統計処理結果データ236とを出力する。
次に、図16を用いて損害及び保険金計算処理部211の機能ブロック図を説明する。損害及び保険金計算処理部211は、入力部220から入力された保険条件データ223を格納するための保険条件データ格納部2112と、入力部220から入力された損害発生パラメータ224を格納するための損害発生パラメータ格納部2111と、入力部220から入力された順位相関データ225を格納するための順位相関データ格納部2113と、仮想的に発生させる事故等の損害と保険金についてのデータを格納するための損害テーブル格納部2117と、損害発生パラメータ格納部2111に格納されたデータを用いて各シミュレーションにおける事故件数を発生させ、処理結果を損害テーブル格納部2117に格納する事故件数発生処理部2114と、損害発生パラメータ格納部2111及び損害テーブル格納部2117に格納されたデータを用いて事故別に損害を発生させ、処理結果を損害テーブル格納部2117に格納する事故別損害発生処理部2127と、保険条件データ格納部2112及び損害テーブル格納部2117に格納されたデータを用いて事故毎に保険金を算出し、処理結果を損害テーブル格納部2117に格納する保険金算出部2115と、リスクカーブ・データを格納するリスクカーブ・データ格納部2121と、損害テーブル格納部2117に格納されているデータを用いてリスクカーブ・データを生成し、リスクカーブ・データ格納部2121に格納するリスクカーブ生成部2119と、各リスクについて行ったシミュレーションの組み合わせを表すリスク組合せデータを格納するリスク組合せデータ格納部2118と、順位相関データ格納部2113に格納されたデータを用いてリスク組合せデータを生成し、リスク組合せデータ格納部2118に格納するリスク組合せ生成部2116と、各リスクについて仮想的に発生させた損害や当該損害に基づく保険金などの合算結果を格納する合算結果格納部2122と、リスクカーブ・データ格納部2121及びリスク組合せデータ格納部2118に格納されたデータを用いて、各リスクについて仮想的に発生させた損害や当該損害に基づく保険金などをリスク組合せデータに基づき合算し、処理結果を合算結果格納部2122に格納するリスク合算処理部2120と、算出された保険金から逆算された保険料のデータを格納する各種保険料データ格納部2124と、リスクカーブ・データ格納部2121に格納されたデータを用いて保険料を逆算し、各種保険料データ格納部2124に格納する保険料算出処理部2123と、各リスクの損害に対する寄与度を表すデータを格納するリスク寄与データ格納部2126と、リスクカーブ・データ格納部2121と合算結果格納部2122とリスク組合せデータ格納部2118とに格納されたデータを用いて各リスクのリスク寄与度を表すデータを生成し、リスク寄与データ格納部2126に格納するリスク寄与度算出部2125とを含む。
なお、各種保険料データ格納部2124及び合算結果格納部2122に格納されたデータについては、財務諸表計算処理部212に出力され処理される。また、各種保険料データ格納部2124に格納されたデータは各種保険料データ231として、合算結果格納部2122に格納されたデータは損害及び保険金データ232として、リスク寄与データ格納部2126に格納されたデータはリスク寄与データ233として出力部230に出力される。
以下図17乃至図34を用いて図15及び図16に示した各機能ブロックがどのような処理を行うのかについて詳しく述べる。最初に、第1期の財務諸表データ221と、財務諸表関連設定データ222と、保険条件データ223と、損害発生パラメータ224と、順位相関データ225と、何期分の計算を実施するかの設定値及びシミュレーションの実施回数の設定値などの各種パラメータ226とを入力部220から財務リスク・シミュレータ210に入力し、財務諸表データ格納部215、財務諸表関連設定データ格納部216、保険条件データ格納部2112、損害発生パラメータ格納部2111、順位相関データ格納部2113及び各種パラメータ格納部218に格納する等の初期データ設定処理を実施する(ステップS41)。なお、データの入力については、この時点で全てのデータを入力しなければならないわけではなく、例えば予め入力し且つ各データ格納部に格納しておいたデータについて選択を促し、今回の処理に用いるように本ステップにおいて指示させるようにしても良い。また、各種パラメータについては、例えば入力画面において数値などの設定データを入力するようにしても良いし、予め用意されたプルダウンメニューやコンボボックスにより今回の処理のためのパラメータを選択するようにしても良い。なお、本処理において考慮するリスクについては、保険条件データ223内に該当するリスクに対する保険条件データが含まれるかで自動的に判別しても良いし、別途考慮するリスクを選択させるようにしても良い。
第1期の財務諸表データ221及び財務諸表関連設定データ222については、本発明の第1の実施の形態と同じであるから、ここではこれ以上述べない。保険条件データ223と損害発生パラメータ224と順位相関データ225とについては、以下の説明にて一例を示す。
次に、損害及び保険金計算処理部211は、損害及び保険金算出処理を実施する(ステップS43)。この処理については、図18乃至図31を用いて説明する。
最初に、損害及び保険金計算処理部211は、今回の処理に係る損害発生パラメータ224、保険条件データ223及び順位相関データ225を、損害発生パラメータ格納部2111、保険条件データ格納部2112及び順位相関データ格納部2113からワークメモリ領域214に読み出す(ステップS61)。そして、今回考慮すべきリスクのうち未処理のリスクを選択し(ステップS63)、事故件数発生処理部2114は、ワークメモリ領域214に読み出した損害発生パラメータ224を用いて、各種パラメータ格納部218に格納されたシミュレーション回数分、事故件数を乱数により発生させ、損害テーブル格納部2117に登録する(ステップS65)。なお、本実施の形態では、例えば建物や車両などの財物毎に仮想的な損害を発生させる場合がある。その場合には、ステップS63で選択された未処理リスクに関係する財物毎に事故件数を発生させ、損害テーブル格納部2117に登録する。
図19に損害発生パラメータ224の一例を示す。図19のテーブル例では、頻度分布の行1901と、損害額分布の列1902とが設けられており、頻度分布のためのパラメータλにつきリスク(1)についての値と、リスク(2)についての値と、リスク(3)についての値とが登録され、損害額分布のためのパラメータμ及びσにつき、リスク(1)についての値と、リスク(2)についての値と、リスク(3)についての値が登録されている。なお、リスクの数については3に限定されない。また、本実施の形態において、事故件数については、パラメータλに従ったポアソン分布に基づき発生させる。損害額については、パラメータμ及びσに従った対数正規分布に基づき発生させる。
図20に損害テーブル格納部2117に格納される損害テーブルの一例を示す。図20は、例えばリスク(1)についての損害テーブルであって、リスク(2)及び(3)については別途同様の損害テーブルが用意される。図20に示した損害テーブル例では、シミュレーション番号の列1911と、事故件数の列1912と、損害額累計の列1913と、各事故の損害額の列1914とが含まれる。すなわち、各シミュレーション番号につき、事故件数、損害額累計、各事件の損害額のデータを登録するものである。ステップS65では、事故件数の列1912に事故件数が登録される。
次に、事故別損害発生処理部2127は、ワークメモリ領域214に読み出した損害発生パラメータ224を用い、損害テーブル格納部2117に格納されている損害テーブルを参照して、乱数により事故毎に損害を発生させ、当該損害による損害額を損害テーブル格納部2117に登録する(ステップS67)。なお、図19に示した損害発生パラメータ224に含まれるパラメータμ及びσに従った損害額分布(対数正規分布)に基づき乱数を発生させ、各事故に対して損害額を決定する。なお、1回のシミュレーションで複数回事故が発生している場合には、それぞれについて損害額を決定する。また、例えば建物や車両などの財物毎に事故件数を発生させた場合にも、各事故につき損害額を決定する。本ステップS67では、図20の損害テーブルにおいて損害額の列1914に、発生させた損害の損害額を事故毎に登録する。また、損害額の累計をシミュレーション毎に算出し、損害額累計の列1913に登録する。
そして、保険金算出部2115は、ワークメモリ領域214に読み出した保険条件データ223を用い、損害テーブル格納部2117内の損害テーブルに登録されている各事故について保険金を算出し、損害テーブル格納部2117の保険金テーブルに登録する(ステップS69)。保険条件データ223の一例を図21に示す。図21に示した保険条件データ223には、リスク(1)、リスク(2)及びリスク(3)について、免責金額、1事故当たりのリミット(支払い保険金上限)及び1証券当たりのリミットのデータが登録されている。従って、保険金算出部2115は、各リスクにつき図21に示すような条件に従って、損害テーブルに登録されている各事故の損害額及びシミュレーション毎の損害額累計と照らし合わせ、実際に支払われる保険金を決定し、保険金テーブルに登録する。
保険金テーブルの一例を図22に示す。図22の例では、シミュレーション番号の列1921と、損害額累計と保険金累計との差額である自己負担累計の列1922と、保険金累計の列1923と、各事故の保険金の列1924とが含まれる。保険金の列1924には、損害テーブルに含まれる各事故の損害額に応じて算出される保険金の金額が登録される。また、保険金算出部2115は、保険金の累計をシミュレーション毎に算出し、保険金累計の列1923に登録し、さらにシミュレーション毎に損害額累計と保険金累計との差を計算し、自己負担累計の列1922に登録する。なお、図22は、1つのリスクについてのテーブルであり、リスク毎に図22のようなテーブルが設けられる。
なお、損害テーブルと保険金テーブルについては、各リスクにつき連結された1つのテーブルとして取り扱うことができる。
次に、リスクカーブ生成部2119は、損害テーブル格納部2117に格納されている損害テーブル及び保険金テーブルをワークメモリ領域214に読み出し、シミュレーション毎の損害累計でソートすることにより、リスクカーブ・データを生成し、リスクカーブ・データ格納部2121に格納する(ステップS71)。説明を行いやすくするため、図23に示すように、シミュレーション番号の列と損害額累計の列と保険金累計の列とで構成されるテーブルで処理を説明する。損害テーブル格納部2117には、実質的に図23に示すようなデータが格納されているので、リスクカーブ生成部2119は損害額累計の値に基づき各シミュレーションをソートする。その結果は、例えば図24のようになる。図24の例では、損害額順位の列1931と、シミュレーション番号の列1932と、損害額累計の列1933と、保険金累計の列1934とが設けられており、各シミュレーションが損害額累計の値で順位付けられている。図24の例ではシミュレーション番号140の時に損害額累計が最大となっている。なお、少なくとも損害額順位の値と損害額累計の値の対にてリスクカーブ・データが構成されており、例えば損害額順位を年間超過確率等の発生頻度(又は確率)として取り扱う。
そして、損害及び保険金計算処理部211は、全てのリスクについて処理を実施したか判断する(ステップS73)。もし、未処理のリスクが存在する場合にはステップS63に戻る。一方、全てのリスクについてステップS65乃至S71の処理を行ったと判断された場合には、リスク組合せ生成部2116が、ワークメモリ領域214に格納された順位相関データ225を用いて、リスク組合せデータを乱数にて生成し、リスク組合せデータ格納部2118に登録する(ステップS75)。順位相関データ225の一例を図25に示す。順位相関データ225は、リスク間の相関を規定するものであって、図25の例では、リスク(1)とリスク(2)、リスク(1)とリスク(3)、リスク(2)とリスク(3)との相関のデータが登録されている。リスク組合せ生成部2116は、順位相関データ225に従って周知の方法にて相関のある乱数を発生させる。例えば乱数は1から1000までの値をとるものとする。そうすると、図26に示すようなリスク組合せデータが生成される。すなわち、図26のテーブルでは、組み合わせ番号の列1951と、リスク(1)についてのシミュレーションの損害額順位の列1952と、リスク(2)についてのシミュレーションの損害額順位の列1953と、リスク(3)についてのシミュレーションの損害額順位の列1954とが設けられており、シミュレーションの損害額順位の組み合わせが複数登録されている。各リスクの損害額順位の値の関係は、図25で示した順位相関データ225に従っている。
リスク合算処理部2120は、リスクカーブ・データ格納部2121に格納されたリスクカーブ・データを用い、リスク組合せデータ格納部2118に格納されたリスク組合せデータに基づき、全リスクの損害額の合算及び保険金額の合算を実施し、処理結果を合算結果格納部2122に格納する(ステップS77)。図27に示すように、リスク組合せデータに含まれるリスク(1)の損害額順位に従って、リスクカーブ・データ格納部2121においてリスク(1)の対応するリスクカーブ・データを読み出し、登録する。リスク(2)及びリスク(3)についても同様の処理を行えば、図28に示すようなデータが、合算結果格納部2122に格納されることになる。図28の例では、組み合わせ番号の列1961と、リスク(1)から選択する損害額順位の列1962と、選択したリスク(1)の損害額順位の損害額の列1963と、リスク(2)から選択する損害額順位の列1964と、選択したリスク(2)の損害額順位の損害額の列1965と、リスク(3)から選択する損害額順位の列1966と、選択したリスク(3)の損害額順位の損害額の列1967と、合算損害額の列1968とが含まれており、組み合わせ番号毎に、リスク組合せデータに含まれる損害額順位に従って得られる損害額が合計されて合算損害額の列1968に登録される。
なお、リスク合算処理部2120は、損害額の合算だけではなく、保険金の合算も行う。すなわち、図29に示すようなデータを合算結果格納部2122に格納する。図29の例では、組み合わせ番号の列1971と、リスク(1)から選択する損害額順位の列1972と、選択したリスク(1)の損害額順位の保険金の列1973と、リスク(2)から選択する損害額順位の列1974と、選択したリスク(2)の損害額順位の保険金の列1975と、リスク(3)から選択する損害額順位の列1976と、選択したリスク(3)の損害額順位の保険金の列1977と、合算の保険金の列1978とが含まれており、組み合わせ番号毎に、リスク組合せデータに含まれる損害額順位に従って得られる保険金が合計されて合算保険金の列1978に登録される。
このようにして、合算結果格納部2122に、生成したリスク組合せ毎に合算損害額、及び合算保険金が格納されるようになる。なお、本実施の形態において、リスクカーブ・データをシミュレーションにて生成する点、及びリスクカーブ・データの組み合わせを相関を有する乱数にて決定している点などが第1の実施の形態とは異なる。
図17の説明に戻って、保険料算出処理部2123は、リスクカーブ・データ格納部2121に格納されたデータを用いて保険料算出処理を実施する(ステップS45)。保険料については、全く別途定めた金額を用いてもよいが、本実施の形態では、リスクカーブ・データ格納部2121に格納されている保険金のデータを用いて保険料を逆算する。より具体的には、図30に示すような処理を実施する。すなわち、保険料算出処理部2123は、各リスクについてのシミュレーションにおける保険金の平均値(保険料期待値)及び保険金の99%ile値(保険金が大きい方から1%以内の最も小さい値)を算出し、各種保険料データ格納部2124内のテーブルに登録する(ステップS81)。図31に各種保険料データ格納部2124に格納されるテーブルの一例を示す。図31の例では、リスクの列2001と、保険金期待値の列2002と、保険金の99%ile値の列2003と、手法(1)(例えば予定損害率方式)による保険料と手法(2)(例えばキャピタルチャージ方式)による保険料の列2004とが含まれる。ステップS81では保険金期待値の列2002と保険金の99%ile値の列2003とにデータが登録される。そして、所定の方法に従って保険料を算出し、各種保険料データ格納部2124のテーブルに登録する(ステップS83)。所定の方法に含まれる第1の手法(手法(1))では、各リスクについての保険金期待値(保険金の平均値)を予定損害率(例えば60%)で除することにより保険料を算出する。また、第2の手法(手法(2))では、保険金の99%ileの値にキャピタルチャージ率(例えば6%)を掛けて保険金期待値を加算することにより保険料を算出する。これを全てのリスクについて実施する。なお、保険料の算出方法については、他の方法(例えば再保険市場レートを参考にしたマルチプル関数方式)を採用してもよい。また、どの手法による保険料を以下の処理で用いるかについてはユーザにより選択させても良いし、一手法に固定させてもよい。
そして、財務諸表計算処理部212は、合算結果格納部2122に格納されている損害額及び受取保険金(リスクカーブ・データの組み合わせ毎)及び各種保険料データ格納部2124に格納された支払い保険料(いずれかの手法による保険料)の影響を反映した財務諸表を算出し、財務諸表データ格納部215に格納する(ステップS47)。この処理については、第1の実施の形態における処理内容と同じであるからこれ以上述べない。
また、経営指標計算処理部213は、財務諸表データ格納部215と財務諸表関連設定データ格納部216に格納されたデータを用いて経営指標データを算出し、経営指標データ格納部217に格納する(ステップS49)。この処理についても、第1の実施の形態における処理内容と同じであるからこれ以上述べない。
そして、1期分の財務諸表のデータを計算し終わると、各種パラメータ226として設定された期数処理したか判断する(ステップS51)。もし、計算し終わっていなければ、ステップS47で計算された財務諸表のデータを前期の財務諸表のデータに設定し(ステップS53)、ステップS43に戻る。そして同じように処理を繰り返す。一方、設定された期数分だけ処理を実施した場合には、財務諸表計算処理部212及び経営指標計算処理部213が財務指標のデータ及び経営指標のデータ等の統計処理を実施し、処理結果を統計データ格納部219に格納する(ステップS55)。例えば、平均値を計算したり、例えば財務諸表のデータ又は経営指標のデータの処理結果の悪い方から所定の割合(例えば1%や0.1%等)の中で最も良い財務データ又は経営指標等を抽出する。良い方から所定の割合の中で最も悪い財務データ又は経営指標とも言える。この処理についても第1の実施の形態と同様である。
このようにして財務諸表計算処理部212及び経営指標計算処理部213により計算された財務諸表データ234、経営指標データ235及び統計処理結果データ236、損害及び保険金計算処理部211により算出された各種保険料データ231、損害及び保険金データ232等を出力部230から表示装置や印刷装置等の出力装置に出力する(ステップS57)。
以上のような処理を実施することにより、本実施の形態では、事故等を単にその大きさだけではなく頻度についても評価するという確率論的なアプローチにて事故等の財務諸表等へのインパクトを分析することができるようになる。また、本実施の形態ではリスクカーブも人為的に設定したものではなく、同じく確率論的に求められたものを使用することができる。また、リスクの組み合わせについてもその相互関係を考慮した形で、分析することができる。
なお、損害及び保険金計算部211のリスク寄与度算出部2125は、リスクの寄与度を算出する処理を実施する場合もある。この処理は必須ではないが、リスクの寄与度を算出した場合には、リスク寄与データ233として出力部230から表示装置や印刷装置などの出力装置に出力する。
リスク寄与度算出部2125の処理内容を図32乃至図34を用いて説明する。リスク寄与度算出部2125は、リスク組合せデータ格納部2118に格納されたリスク組合せデータに従って、各リスクについてのシミュレーションの組み合わせ毎に、(損害額合算結果−各リスク損害額)を算出し、リスク寄与データ格納部2126に格納する(ステップS91)。図33に処理結果の一例を示す。図33の例では、組み合わせ番号の列2011と、(損害額合算結果−リスク(1)の損害額)の列2012と、(損害額合算結果−リスク(2)の損害額)の列2013と、(損害額合算結果−リスク(3))の列2014とが設けられている。そして、単純な損害額合算結果の99%ile値と(損害額合算結果−各リスク損害額)の99%ile値との差を算出し、リスク寄与データ格納部2126に格納する(ステップS93)。このステップの処理結果は例えば図34に示すようなテーブルに格納される。図34の例では、リスクの列2021と、合算リスク量(損害額合算結果)の99%ile値の列2022と、(損害額合算結果−各リスク量(各リスクの損害額))の99%ile値の列2023と、リスク寄与度の列2024と、重要度順位の列2025とが設けられており、各リスクについてデータが登録されるようになっている。ステップS93では、合算リスク量の99%ile値の列2022と、(損害額合算結果−各リスク量)の99%ile値の列2023とにデータが格納される。
そして、損害額合算結果の99%ile値から(損害額合算結果−各リスク量)の99%ile値を差し引くことにより、各リスクの寄与度を算出し、さらにリスク寄与度により重要度を判定し、リスク寄与データ格納部2126に登録する(ステップS95)。このような計算を行うことにより、99%ileにおける各リスクの損害額の減少度が算出される。より多くの損害額を減少させるリスクは、重要度が高く、大きなリスク寄与度を有する。図34の例では、リスク(1)がない場合には最も多くの損害額が減少するため、リスク(1)が最も重要であることが分かる。
以上のような処理を実施することにより、分析対象企業の財務分析を実施することができるようになる。また、各リスクの損害に対するリスク寄与度をも算出することができる。寄与殿大きいリスクに対して対策を集中させることができ、効率的な対応を図ることができる。なお、99%ile値を用いた処理を説明したが、他の%であってもよい。
[実施の形態3]
次に本発明の第3の実施の形態を図35乃至図52を用いて説明する。図35は、本発明の第3の実施の形態に係る機能ブロック図である。
本実施の形態に係る財務分析システム300は、本実施の形態における主要な処理を実施する財務リスク・シミュレータ310と、各種データを財務リスク・シミュレータ310に入力する入力部320と、財務リスク・シミュレータ310からの出力をユーザに対して出力する出力部330とを有する。
入力部320からは、分析対象企業の第1期(分析時の前期)の財務諸表データ321と、財務諸表に関連する例えば利益処分方針のデータや固定資産の再調達価額や固定費率などの財務諸表関連設定データ322と、各保険条件についての保険条件データ323と、仮想的な損害を発生する際に用いる各種パラメータである損害発生パラメータ324と、シミュレーション回数、保険契約(保険条件)の絞込みのための条件、分析対象の経営指標を特定するための条件、経営指標の標準化のためのパラメータ、複合インデックス値算出のためのパラメータなどの各種パラメータ325が入力される。なお、リスクには火災、地震、台風、損害賠償、株価下落などが存在しているが、ここでは損害発生パラメータ324が設定されているリスクについてのみ取り扱うものとする。
また、入力部320から入力されるデータについては、ファイルの形式で入力される場合もあれば、例えば図示しない表示装置に入力欄や選択欄を表示して、キーボードやマウスなどの入力装置により必要なデータを入力するようにする場合もある。
また、財務リスク・シミュレータ310には、損害発生パラメータ324を格納する損害発生パラメータ格納部3111と、損害発生パラメータ格納部3111を参照して仮想的な損害を発生させる損害発生処理部3112と、損害発生処理部3112により仮想的に発生された損害の損害額のデータを格納する損害額データ格納部3113と、保険条件データ323を格納する保険条件データ格納部3116と、損害額データ格納部3113及び保険条件データ格納部3116を参照して保険金のデータを生成する保険金算出処理部3114と、保険金算出処理部3114により生成された保険金のデータを格納する保険金データ格納部3115と、保険金データ格納部3115及び各種パラメータ格納部3128を参照して保険料を算出する保険料算出部3117と、保険料算出部3117が算出した保険料のデータを格納する保険料データ格納部3118と、財務諸表関連設定データ322を格納する財務諸表関連設定データ格納部3119と、損害額データ格納部3113と保険料データ格納部3118と財務諸表関連設定データ格納部3119と財務諸表データ格納部3121とを参照して次期以降の財務諸表のデータを生成する財務諸表データ生成部3120と、財務諸表データ生成部3120により生成された次期以降の財務諸表のデータ及び財務諸表データ321を格納する財務諸表データ格納部3121と、財務諸表データ格納部3121を参照して複数の経営指標(経常利益増加率、総資本増加率、営業キャッシュフロー(CF:Cash Flow)増加率、ROA(総資本純利益率=純利益/総資本)、ROE(自己資本純利益率=純利益/自己資本)、売上高経常利益率(=経常利益/売上高)、自己資本比率(=自己資本/総資本)、流動比率(=流動資産/流動負債)、債務超過確率(自己資本がマイナスとなる確率)等)を算出する経営指標算出部3122と、経営指標算出部3122により算出された経営指標のデータを格納する経営指標データ格納部3123と、経営指標データ格納部3123を参照して経営指標の統計処理を実施する経営指標統計処理部3124と、経営指標統計処理部3124の処理結果を格納する経営指標統計データ格納部3125と、各種パラメータ325を格納する各種パラメータ格納部3128と、経営指標統計データ格納部3125及び各種パラメータ格納部3128を参照して分析すべき保険条件を絞り込むための処理を実施する保険条件絞込処理部3126と、各種パラメータ格納部3128及び経営指標データ格納部3123を参照して分析対象とする経営指標を選択する経営指標選択処理部3127と、経営指標データ格納部3123と各種パラメータ格納部3128とを参照して経営指標の標準化処理を実施する経営指標標準化処理部3129と、経営指標標準化処理部3129により標準化された経営指標のデータを格納する標準化指標データ格納部3130と、標準化指標データ格納部3130と各種パラメータ格納部3128とを参照して標準化された経営指標を複合化して複合インデックス値を算出する複合インデックス値算出処理部3131と、複合インデックス値算出処理部3131により算出された複合インデックス値を格納する複合インデックス値格納部3132と、複合インデックス値格納部3132を参照して複合インデックス値の統計処理を実施する複合インデックス統計処理部3133と、複合インデックス統計処理部3133の処理結果である代表指標値を格納する代表指標値格納部3134と、損害額データ格納部3113と保険金データ格納部3115と保険料データ格納部3118と代表指標値格納部3134と保険条件データ格納部3116とを参照して所定の条件を満たす保険条件を抽出する保険条件抽出部3135とを含む。
出力部330は、表示装置又はプリンタ等の出力装置に対して、保険条件抽出部3135により保険条件抽出の過程で用いられるグラフデータ331、保険条件抽出部3135により抽出された保険条件についての保険条件データ332、抽出された保険条件における保険料データ333、抽出の基となった財務諸表データ334及び経営指標データ335などを出力する。
図36に保険条件抽出部3135の機能ブロック図を示す。保険条件抽出部3135は、保険金データ格納部3115と保険料データ格納部3118と損害額データ格納部3113とを参照してリスク対応コストを算出するリスク対応コスト算出部3140と、リスク対応コスト算出部3140により算出されたリスク対応コストのデータを格納するリスク対応コスト格納部3141と、代表値格納部3134とリスク対応コスト格納部3141と保険条件データ格納部3116を参照して代表値についての軸とリスク対応コストについての軸により張られる空間における処理を実施する空間処理部3142とを含む。
図35及び図36に示した各処理部の処理内容及び各データ格納部が格納しているデータの内容については以下に図37乃至図52を用いて詳細に説明する。
以下、図37の処理フローに従って説明する。最初に、第1期の財務諸表データ321と、財務諸表関連設定データ322と、保険条件データ323と、損害発生パラメータ324と、各種パラメータ325とを入力部320から財務リスク・シミュレータ310に入力し、財務諸表データ格納部3121、財務諸表関連設定データ格納部3119、保険条件データ格納部3116、損害発生パラメータ格納部3111及び各種パラメータ格納部3128に格納する等の初期データ設定処理を実施する(ステップS101)。なお、データの入力については、この時点で全てのデータを入力しなければならないわけではなく、例えば予め入力し且つ各データ格納部に格納しておいたデータについて選択を促し、今回の処理に用いるように本ステップにおいて指示させるようにしても良い。また、各種パラメータについては、例えば入力画面において数値などの設定データを入力するようにしても良いし、予め用意されたプルダウンメニューやコンボボックスにより今回の処理のためのパラメータを選択するようにしても良い。
第1期の財務諸表データ321及び財務諸表関連設定データ322については、本発明の第1の実施の形態と同じであるから、ここではこれ以上述べない。但し、第1期の財務諸表データ321から算出される各種経営指標のデータについても含まれる場合もある。保険条件データ323は、リスク毎に「免責金額」「1事故あたり支払限度額」「1証券あたり支払限度額」のデータを含む。図38に示すように本実施の形態では火災リスクへの対応策としての保険については、免責金額が3パターン(0,10,50)、1事故あたり支払限度額が5パターン(0,250,500,750,1000)、1証券あたり支払限度額が3パターンの合計45(=3×5×3)パターン存在するものとする。また、賠責リスクへの対応策としての保険については、免責金額が4パターン(1,5,10,20)、1事故あたり支払限度額が4パターン(0,100,300,500)、1証券あたり支払限度額が3パターンの合計48(=4×4×3)パターン存在するものとする。すなわち合計2160(=45×48)パターンとなる。
損害発生パラメータ324は、例えば図39に示すように本実施の形態では、火災リスクと賠責リスクについてのパラメータを含む。ここでは火災リスク及び賠責リスクのそれぞれの年間事故発生件数(頻度)はポアソン分布(平均=λ(火災リスクの場合3.0、賠責リスクの場合5.0))、1事故毎の損害額は対数正規分布(対数平均=μ(火災リスクの場合4.00、賠責リスクの場合1.00),対数標準偏差=σ(火災リスクの場合1.00、賠責リスクの場合2.00)に従うものとして、そのためのパラメータが含まれる。
また、各種パラメータ325にはシミュレーション回数のデータも含まれるものとし、本実施の形態では例えば100回とする。また、1年後の財務諸表だけではなく、数年後の財務諸表までシミュレーションして適切な保険条件を特定する場合もある。従って、年数のデータについても各種パラメータ325に含まれる。但し、本実施の形態では1年後のみについて考察するものとする。
次に、損害発生処理部3112は、損害発生パラメータ格納部3111を参照して損害発生処理を実施し、損害額データを損害額データ格納部3113に格納する(ステップS103)。損害額データ格納部3113に格納されるデータの一例を図40に示す。図40の例では、シミュレーション番号の列、リスク番号の列、事故件数の列、事故毎の損害額の列が設けられたテーブルが示されている。このように、火災リスク(リスク番号1)及び賠責リスク(リスク番号2)についてそれぞれ100回のシミュレーションが行われる。各シミュレーションでは、乱数によって事故件数が決定され、さらに事故毎の損害額が事故件数分だけ乱数により決定される。乱数は損害発生パラメータ格納部3111で損害発生パラメータ格納部3111に格納されたデータで指定された分布に従う。複数年分財務諸表データを生成する必要がある場合には、年数分図40に示すようなデータを生成する。
そして、保険金算出処理部3114は、保険条件データ格納部3116及び損害額データ格納部3113を参照して、損害額データ格納部3113に格納されている各事故について保険金の金額を算出し、保険金データ格納部3115に格納する(ステップS105)。保険金データ格納部3115に格納されるデータは、各シミュレーションについて、事故及び保険条件毎の保険金が含まれる。すなわち、保険金データには、(シミュレーション回数(但し、事故が1回のシミュレーションで複数回発生する場合にはその分増加する)×リスク数×保険条件数)で求められる件数分の保険金の金額が含まれる。なお、シミュレーション毎の累積保険金や免責金額以下の自己負担累計などについても算出するようにしても良い。
次に、保険料算出部3117は、各種パラメータ格納部3128及び保険金データ格納部3115を参照して、各保険条件について保険料を算出し、保険料データ格納部3118に格納する(ステップS107)。保険料は、例えば以下のような式に従って算出する。
保険料=(保険金金額平均+保険金金額の99%ile値×キャピタルチャージ率)/予定損害率
ここでキャピタルチャージ率と予定損害率のデータについては例えば各種パラメータ325として入力されたデータを用いる。また、保険金金額平均については、保険条件毎に、各事故における保険金金額を加算して当該加算結果を事故件数で割ることにより算出される。保険金金額の99%ile値については、保険条件毎に、各シミュレーションにおける保険金の金額を小さい順に並べて小さい方からシミュレーション回数の99%(100回であれば99番目)に相当する保険金の金額を求めることにより得られる。
その後、財務諸表データ生成部3120は、損害額データ格納部3113と保険料データ格納部3118と財務諸表関連設定データ格納部3119と財務諸表データ格納部3121とを参照して、損害額、保険金及び保険料の影響を反映した財務諸表データ及び損害額のみを反映した将来の財務諸表データを生成し、財務諸表データ格納部3121に格納する(ステップS109)。この処理については、基本的には第1の実施の形態における処理内容と同じである。すなわち、発生した損害額(複数リスクの場合には同じシミュレーション番号の損害額の合計額)と、受取保険金と、支払保険料とを当期の財務諸表に反映すると共に、財務諸表に関連する例えば利益処分方針のデータや固定資産の再調達価額や固定費率などに従って次期の財務諸表データを生成する。次期の財務諸表データは、保険条件毎に、シミュレーション回数分生成される。なお、次期以降の財務諸表データを生成する必要がある場合には、上で述べたような処理を繰り返す。さらに、本実施の形態では、後の処理に用いるため、保険が付保されていない場合についても発生した損害の影響を考慮した形でシミュレーション回数分の財務諸表データを生成する。
そして、経営指標算出部3122は、財務諸表データ格納部3121を参照して、各種経営指標を算出し、経営指標データ格納部3123に格納する(ステップS111)。ここで算出する経営指標の種類は、後の処理において経営指標選択処理を実施しない場合には、予め定められた分析対象の経営指標のみとなる。一方、後の処理において経営指標選択処理を実施する場合には、予め定められた経営指標のセット全てとなる。経営指標は、保険条件及びシミュレーション毎に算出される。なお、保険が付保されていない場合についてもシミュレーション回数分の経営指標の値が算出される。なお、保険条件及び経営指標毎に、各シミュレーションにおける値を良い値の順番で並べておく。保険が付保されていない場合についても、各シミュレーションにおける値を良い値の順番で並べておく。さらに、第1期の財務諸表データに対応する経営指標についても算出して、経営指標データ格納部3123に格納する。既に財務諸表データ格納部3121に含まれている場合には、そのデータを経営指標データ格納部3123に格納する。
その後、経営指標統計処理部3124は、経営指標データ格納部3123を参照して、保険条件毎に、経営指標の統計量を算出し、経営指標統計データ格納部3125に格納する(ステップS113)。この統計量は、平均、分散、標準偏差、歪度、尖度、x%ile値などである。この統計量は以下に述べる保険条件絞込処理に用いるため、当該保険条件絞込処理における閾値に合致する統計量が算出される。
そして、保険条件絞込処理部3126は、各種パラメータ格納部3128及び経営指標統計データ格納部3125を参照して、保険条件の絞込み処理を実施する(ステップS115)。例えば顧客により予め指定された条件を満たすことができない保険条件については、以降の処理を実施する必要はないので、本ステップにおいて保険条件を絞り込む。例えば、各種パラメータ格納部3128には現預金残高の98%ile値が200億円以上といった条件が格納されており、これに基づき判断する。この条件を満たしていない保険条件については、本ステップ以降の処理を行わない。
また、経営指標選択処理部3127は、各種パラメータ格納部3128及び経営指標データ格納部3123を参照して、分析対象の経営指標を選択する(ステップS117)。分析対象の経営指標については、予めユーザにより指定しておくことも可能である。一方、第1期の財務諸表データから算出される経営指標の値からいずれの経営指標を用いればよいか判断するようにしても良い。このステップの詳細を図41に示す。経営指標選択処理部3127は、第1期の経営指標の値を経営指標データ格納部3123から読み出し、評価を行う(ステップS131)。この評価の方法は、いくつかのやり方が考えられる。
第1の例では、例えば各種パラメータ格納部3128に、各経営指標の業界平均値(又は、企業規模、地域、それらの組み合わせなどの企業属性別の平均値)のテーブルを格納しておき、当該テーブルのデータを、メインメモリ等の記憶装置に読み出す。なお、各種パラメータ格納部3128に様々な業種の業界平均値のテーブルが格納されている場合には、分析対象企業の業種に応じたテーブルを読み出す。そして、業界平均からの乖離率(%)として、分析対象企業の経営指標の値(A)/経営指標の業界平均値(B)の値を、経営指標毎に算出する。また、例えば各種パラメータ格納部3128に格納された図42のようなポイントテーブルを参照して、算出された乖離率からポイント値を各経営指標について特定する。図42の例では、自己資本比率について乖離率が150を超える場合には0ポイント、130を超え150以下の場合には10ポイント、100を超え130以下の場合には20ポイント、80を超え100以下の場合には40ポイント、60を超え80以下の場合には70ポイント、40を超え60以下の場合には90ポイント、40未満は150ポイントとなっている。このように値が大きければよい値となる経営指標については、乖離率が大きな値であるほど小さいポイント値が割り当てられるようになっている。一方、売掛金月商倍率について、乖離率が150を超える場合には150ポイント、130を超え150以下の場合には100ポイント、100を超え130以下の場合には70ポイント、80を超え100以下の場合には30ポイント、60を超え80以下の場合には20ポイント、40を超え60以下の場合には10ポイント、40未満は0ポイントとなっている。このように値が小さければよい値となる経営指標については、乖離率が大きな値であるほど大きなポイント値が割り当てられるようになっている。すなわち、図42のテーブルからは業界平均より悪い値の経営指標については大きなポイント値が割り当てられる。
第1の例では、各経営指標のポイント値が特定されると大きい値順にソートし、例えば上位3つといったようにポイント値が大きい順に所定個数の経営指標を選択する(ステップS135)。そして、特定されたポイント値が以下の処理で用いられるウエイト値となる。所定のポイント値以上の全ての経営指標を選択しても良い。
第2の例では、例えば各種パラメータ格納部3128に、図43に示すようなテーブルを格納しておく。図43の例では、ROE、自己資本比率、現預金残高売上高比率、売掛金月商倍率などの経営指標につき、業界平均値及び標準偏差値が登録されている。また、値が大きい方が好ましい経営指標については、指標性向を「プラス」とし、逆に値が大きい方が好ましくない経営指標については、指標性向を「マイナス」として登録されている。そして当該テーブルから分析対象企業の業界における平均値及び標準偏差値を読み出し、分析対象企業の経営指標の値が、業界平均から何標準偏差離れているのかを算出することにより乖離度を評価する。例えば、分析対象企業の所属業界がX業界であり、ROEが−1%であったとすると、業界平均からの乖離は−4(=3−(−1))%と算出される。さらに、−4%を標準偏差2%で除することにより、−2σ(標準偏差σが単位となる)が乖離度となる。なお、指標性向がマイナスである場合には、算出された値に−1を乗ずることにより乖離度を算出する。これにより、乖離度が大きいほど経営状態が良好であることを示すことになる。
第2の例では、このような乖離度を各経営指標について算出し、小さい順番に並べ、例えば上位3つといったように乖離度が小さい順に所定個数の経営指標を選択する(ステップS135)。又は乖離度の閾値を例えば各種パラメータ格納部3128に格納しておき、当該閾値以下である経営指標を選択する。そして、図44に示すようなテーブルを各種パラメータ格納部3128に格納しておき、選択された経営指標についてのポイント値をウエイト値として特定する(ステップS137)。図44の例では、乖離度に所定のレンジが設けられており、ROEなど経営指標毎に各レンジのポイント値が規定されている。上で述べた例では−2σであるので、80ポイントがウエイト値として特定される。
第1の例でも第2の例でも、第1期の経営指標の値を基に分析対象の経営指標及びウエイト値を決定するようになっているが、例えばシミュレーション結果(所定の代表値(例えば平均値や95%ile値など)に基づき分析対象の経営指標及びウエイト値を決定する場合もある。分析対象の経営指標のウエイト値については、例えば各種パラメータ格納部3128に格納しておく。
図37の処理フローの説明に戻って、経営指標標準化処理部3129は、経営指標データ格納部3123及び各種パラメータ格納部3128を参照して、分析対象の経営指標について標準化処理を実施し、標準化指標データを標準化指標データ格納部3130に格納する(ステップS119)。分析対象の経営指標は、通常その値のレンジや単位が全く異なる。従って単純にはこれらを複合化することは適当ではない。そこで本ステップにおいて標準化処理を実施する。
ステップS119の詳細な処理内容を図45乃至図48を用いて説明する。経営指標標準化処理部3129は、経営指標データ格納部3123から、保険が付保されていない場合における、各経営指標のシミュレーションの値を読み出し、経営指標毎に降順に(良い値順に)並べる(ステップS141)。例えば図46に示すようなデータがメモリ等の記憶装置に保持される。ここでは、現預金残高売上高比率と自己資本比率が分析対象の経営指標であるとする。シミュレーション回数は100回であるから、1番目から100番目まで各経営指標の各シミュレーションにおける値が順番に並べられている。なおステップS117において既にソートされている場合には本ステップはスキップされる。
そして、保険が付保されていない場合における、各経営指標のシミュレーションのシーケンス(図46)をベースとして、同じ経営指標について各保険条件におけるシミュレーション結果の順番を特定する(ステップS143)。すなわち、保険が付保されていない場合における、各経営指標のシミュレーションのシーケンスをものさしとして用いて、同じ経営指標について各保険条件における各シミュレーション結果の順番を特定する。図47(a)に示すように、保険ありの場合であって特定の保険条件が適用された場合における特定のシミュレーションでの現預金残高売上高比率が−2.35%であるとする。本ステップでは、この−2.35%は、保険が付保されていない場合におけるシミュレーションのシーケンスにおいては、75番目であるということを特定する。また、図47(b)に示すように、保険ありの場合であって特定の保険条件が適用された場合における特定のシミュレーションでの自己資本比率が50.62%であるとする。この50.62%は、保険が付保されていない場合におけるシミュレーションのシーケンスにおいては、60番目であるということが特定される。
経営指標標準化処理部3129は、特定された順番から、保険が付保されていない場合における%ile値を算出し、標準化指標データ格納部3130に格納する(ステップS145)。この%ile値は、順位/シミュレーション回数にて算出される。シミュレーション回数が100で、順位が75番目であれば、75となる。
このように保険が付保されていない場合におけるシミュレーションのシーケンスをものさしにするという意味を図48を用いて説明する。図48に示したグラフは、横軸は現預金残高売上高比率を示しており、縦軸は累積確率を示している。曲線4801は、特定の保険条件が適用された場合における現預金残高売上高比率の累積確率を表すカーブである。一方、曲線4802は、保険が付保されていない場合における現預金残高売上高比率の累積確率を表すカーブである。点4803は、図47(a)に示したシミュレーション例の位置を示しており、現預金残高売上高比率−2.35%で、その際の累積確率はおよそ98%(98%ile)である。この現預金残高売上高比率−2.35%は、保険が付保されていない場合のカーブである曲線4802においては点4805が対応する。この点4805における累積確率は、点4804に表されるように75%(75%ile)である。このように、保険が付保されていない場合をベースにすれば、98%から75%というように保険適用の効果が現れるようになる。但し、本実施の形態では改善幅を議論するのが目的ではなく、以下の処理において複数の経営指標をまとめて評価するために、算出された経営指標の値が保険適用の効果を内包した形で適切な幅(ここでは100)に分散して出力されるようにする必要がある。従って、本実施の形態では、75%ileを標準化指標値として用いる。なお、図48からも分かるように、小さい値の方が改善していることを表すため標準化指標値は小さい方が良い値である。
次に、複合インデックス値算出部3131は、各種パラメータ格納部3128及び標準化指標データ格納部3130を参照して、保険条件及びシミュレーション毎に、複数の標準化指標の値から1つの複合インデックス値を算出し、複合インデックス値格納部3132に格納する(ステップS121)。本実施の形態では、各種パラメータ格納部3128に格納されている各経営指標のウエイト値で、対応する標準化指標値を加重平均することにより複合インデックス値を算出する。例えば、図42や図44のようなテーブルを参照して、自己資本比率のウエイト値が150で、現預金残高売上高比率のウエイト値が75である場合には、自己資本比率の標準化指標値×150/(150+75)+現預金残高売上高比率の標準化指標値×75/(150+75)で算出する。
なお、上で説明した複合化の手法は一例であって他の方法にて複合化してもよい。例えば、予め経営指標に対応して設定されたウエイト値をそのまま使用しても良い。また、例えば図49に示すようなテーブルを各種パラメータ格納部3128に格納しておき、分析対象企業の信用格付に基づいて現預金残高売上高比率などの経営指標のウエイト値を決定してもよい。図49の例では、信用格付AAAのウエイト値50からCCCのウエイト値100まで、信用格付が下がるごとに段階的にウエイト値が大きくなっている。現預金残高売上高比率と自己資本比率の場合、現預金残高が信用状態との関係で重要になる。すなわち、信用力のない企業ほど現預金残高を増やすことが重要となる。そのため、図49のようなテーブルに従って、分析対象企業の信用格付に応じ、現預金残高売上高比率のウエイト値を特定するようにしてもよい。特定したウエイト値を現預金残高売上高比率のウエイト値とし、100%からの剰余(%)を他の分析対象の経営指標(ここでは自己資本比率)のウエイト値とするようにしてもよい。
また、図50に示すようなテーブルを各種パラメータ格納部3128に格納しておくようにしてもよい。図50の例では、現預金残高売上高比率の絶対値と同指標のウエイト値を関連付けたものである。すなわち、現預金残高売上高比率の所定のレンジ毎に特定のウエイト値が割り当てられている。図50の例では、第1期の現預金残高売上高比率をベースにウエイト値を決定するものであるが、シミュレーション結果に基づきウエイト値を特定するようにしても良い。
さらに上では2つの経営指標の標準化指標値を複合化する例を示したが、複合化する経営指標は2つに限定されない。3以上の経営指標の標準化指標値を複合化するようにしてもよい。その場合は、例えば図42乃至図44に示したテーブルを参照して、3以上の各経営指標に対するウエイト値を求めて、そのウエイト値で加重平均する等の方法を用いることができる。
また、総資産純利益率、自己資本利益率(ROE)、固定資産回転率、総資産回転率などの経営状態を表すデータと、各経営指標についてのウエイト値を対応付けたテーブルを用意しておき、分析対象企業の経営状態を表すデータに応じて各経営指標のウエイト値を出力するようにしても良い。さらに、経営指標の値のレベル又は一定のレンジに対応して所定のウエイト値を格納しておき、第1期の経営指標(又はシミュレーション結果)の値に応じたウエイト値を抽出して用いるようにしても良い。
なお、ウエイト値は、複合化すべき経営指標の標準化指標値を加重平均するために用いる。但し、ウエイト値をそのまま按分割合として用いるようにしても良い。但し、ウエイト値を全て加算すると100%を超える場合が生じてしまうので、その場合には例えば最も大きなウエイト値から順番に採用して累積してゆき、100%を超えた時点の経営指標についてのウエイト値は合計が100%となるように足切り調整するようにしても良い。
このようにすれば保険条件毎に、各シミュレーションについて複合インデックス値が1つ算出されるようになる。また、この複合インデックス値は、標準化指標値の性質から0から100(%)までの範囲の値となる。
そこで、各保険条件を代表する値(以下、代表指標値と呼ぶ。)を決定するため、複合インデックス統計処理部3133は、複合インデックス値格納部3132を参照して、保険条件毎に、複合インデックス値の統計処理を実施して代表指標値を算出し、代表指標値格納部3134に格納する(ステップS123)。例えば、保険条件毎に、複合インデックス値を小さい順番(小さい値の方が良い値)に並べ、例えば95%ile値を特定する。95%ile値に限定するものではなく、他の%ile値を代表指標値とすることも可能である。
そして、保険条件抽出部3135は、損害額データ格納部3113と保険金データ格納部3115と保険料データ格納部3118と代表指標値格納部3134とを参照して、所定の基準を満たす保険条件を抽出し(ステップS127)、出力部330から出力する(ステップS129)。
このステップS127の詳細については図51及び図52を用いて説明する。リスク対応コスト算出部3140は、保険金データ格納部3115、保険料データ格納部3118及び損害額データ格納部3113を参照して、保険条件毎に、リスク対応コストを算出し、リスク対応コスト格納部3141に格納する(ステップS151)。ここでリスク対応コストは、(リスクへの対策コスト+自己保有する損害)の期待値であり、より具体的には(損害額−保険金金額+保険料)の平均値である。従って、保険条件毎に、各シミュレーションにおける(損害額−保険金金額+保険料)を算出し、当該値を全てのシミュレーションについて累積した後シミュレーション回数で除することにより算出される。
さらに、保険が付保されていない場合についてのデータとして、リスク対応コスト算出部3140は、損害額データ格納部3113を参照して損害額の平均値を算出し、リスク対応コスト格納部3141に格納する(ステップS153)。
そして、空間処理部3142は、リスク対応コスト格納部3141及び代表指標値格納部3134を参照して、代表指標値をY軸としリスク対応コストをX軸とする空間に、各保険条件に対応する点をプロットする(ステップS155)。リスク対応コストについてはリスク対応コスト格納部3141に格納されており、代表指標値については代表指標値格納部3134に格納されているので、対応する値をそれぞれ読み出し、上記空間にプロットする。なお、保険を付保しない場合についてもプロットする。保険を付保しない場合の点の座標は、(損害額の平均,95)としても良い。95は95%ileであることを示す。但し、分析対象の経営指標の標準化指標値を95として、保険が付保された場合のウエイト値で経営指標の標準化指標値を加重平均するような形で代表指標値を算出するようにしてもよい。
上記空間の概要を図52に示す。代表指標値は、上で述べたように小さい方が良い値なので、図52では小さい値の方が上方になるように目盛りが付されている。点5201は、保険が付保されていない場合の点を示している。このようにリスク対応コストが高くなると代表指標値が良くなる(小さくなる)が、ある程度までリスク対応コストが高くなると飽和的になる。
空間処理部3142は、所定の条件に従って空間上の点を特定する(ステップS157)。例えば、保険が付保されていない場合の点を通る直線を垂直から次第に傾けてゆき、最初に当該直線に接する点を抽出すれば、対コストについての効率が最も高い点(保険条件)が特定できる。この際保険が付保されていない場合の点と他の点とを通る直線の中では傾きが最大になる。但し、複数の点が抽出される場合には、リスク対応コストが小さい点を特定する。最もリスク対応コストが大きい点を特定するようにしても良い。図52の場合には、直線5203を通過する点5202が特定される。また、特定のリスク対応コストが指定されている場合には、当該リスク対応コストであって代表指標値が最も小さい点を特定する。すなわち、特定のリスク対応コストの中で最も効果のある保険条件を特定することになる。図52の例では、直線5204が特定のリスク対応コストを示している。そして、最も代表指標値が最も小さい点として点5205が特定される。
さらに、プロットした点において最も保険適用の効果がある、すなわち代表指標値が小さい保険条件を特定するようにしても良い。
空間処理部3142は、保険条件データ格納部3116を参照して、特定された点に対応する保険条件を保険条件データ332として出力する(ステップS159)。
なお、上の説明では空間処理部3142が、保険が付保されていない場合の点を通る直線を垂直から次第に傾けていくことで、最初に当該直線に接する点を抽出することとしたが、その代わりに保険が付保されていない場合の点と保険が付保された場合の各点を結ぶ直線y=ax+b(aとbはパラメータ)のaの値が最大になる点を、保険が付保された場合の各点の中から抽出してもよい。
また、上の例ではY軸の代表指標値の小さい値が上になるような空間を設定したが、逆に代表指標値の小さい値が下になるように空間を設定してもよい。その場合、空間処理部3142は、保険が付保されていない場合の点を通る直線を垂直から次第に傾けて傾きが最小(マイナス)となる付保された場合の点を抽出したり、aが最小となる点を抽出することになる。
本実施の形態では、特定された保険条件について理解を深めるため、図52のようなグラフを特定された点を明示した形でグラフデータ331として出力したり、特定された保険条件における保険料を保険料データ333として出力したり、さらに特定された保険条件が適用された場合の財務諸表データ(例えば95%ileのデータ)を財務諸表データ334として出力したり、特定された保険条件が適用された場合の経営指標データ(例えば分析対象の経営指標の95%ile値)などを経営指標データ335として出力するようにしてもよい。
このような処理を実施することにより、客観的な分析の結果として分析対象企業に適した保険条件を特定することができる。すなわち、上で述べたように想定されるリスクを考慮した上で、複数の経営指標を総合して評価して、適切な保険条件を特定することができるようになる。特に、経営指標の標準化により、複数の経営指標を並列の関係にて複合化することが可能になり、複合インデックス値を算出することにより、複数の経営指標を1つの指標に統合することができるようになる。複合インデックス値を用いなければ、図52に示したような空間は、2次元ではなく3次元以上となり、理論的に最適な点を求めることが困難になると共に人間も理解しにくくなる。複合インデックス値を採用することにより、理論的に最適な点を求めることが妥当な計算量で行うことができるようになり、且つ人間もその意味を容易に理解できるようなっている。
以上述べた実施の形態は一例であって、様々な変形が可能である。例えば第3の実施の形態において保険をリスク対策の例と示したが必ずしも保険だけがリスク対策ではない。従って、保険以外の対策(コミットメントラインや耐震・耐火工事など)についての効果を解析するようにしても良い。
また、図1、図15及び図16、図35及び図36で示した機能ブロック図は一例であって、必ずしもプログラムのモジュールとは対応しない。また、処理フローについても必ずしも全てのステップを上で述べた処理フローに従わなければならないわけではなく、上で述べた主旨から順番を入れ替えたり、スキップすることができる場合もある。
また、財物に対する保険及び休業期間に対する保険を説明したが、他の保険についても適用可能である。統計処理の方法については上で述べた方法に限定されず、他の方法を用いても良い。さらに、保険条件を変更して繰り返しシミュレーションを実施する場合もある。そしてそれらを比較可能な態様で出力する場合もある。
なお、上で述べた財務分析システムは、コンピュータにより実施される場合がある。その場合に当該コンピュータは図53に示すような構成を有する。すなわち、メモリ2501とCPU2503とハードディスク・ドライブ(HDD)2505と表示装置2509に接続される表示制御部2507とリムーバブル・ディスク2511用のドライブ装置2513と入力装置2515とネットワークに接続するための通信制御部2517とがバス2519で接続されている。オペレーティング・システム(OS)及び上で述べた処理を実施するアプリケーション・プログラムは、HDD2505に格納されており、CPU2503により実行される際にはHDD2505からメモリ2501に読み出される。必要に応じてCPU2503は、表示制御部2507、通信制御部2517、ドライブ装置2513を制御して、必要な動作を行わせる。また、処理途中のデータについては、メモリ2501に格納され、必要があればHDD2505に格納される。このようなコンピュータは、上で述べたCPU2503、メモリ2501などのハードウエアとOS及び必要なアプリケーション・プログラムとが有機的に協働することにより、上で述べたような各種機能を実現する。
なお、第1及び第2の実施の形態をまとめると以下のようになる。
すなわち、本発明の実施の形態における第1の態様に係る分析対象企業の財務分析方法は、損害の規模と当該損害の発生確率(例えば損害の発生頻度又は発生頻度に基づいて決定される値)との所定の対応関係(例えば実施の形態における年間超過確率と損害規模により表される所定のリスクカーブ)に従って乱数により仮想的な損害を発生させ、当該仮想的な損害の規模に関するデータを記憶装置に格納する損害発生ステップと、少なくとも仮想的な損害の規模に関するデータを用い、所定の規則に従って分析対象企業の財務データ(例えば財務諸表のデータ)を計算し、記憶装置に格納する財務データ計算ステップとを含む。このようにすることにより、確率論的な手法を用いて定量化されたリスクを前提として、当該リスクの影響を受けた例えば財務諸表のデータを計算することができるようになる。
また、本発明の実施の形態における第1の態様において、少なくとも仮想的な損害の規模に関するデータを用いて所定の損害対策(例えば保険契約、コミットメントライン、防災設備の設置等)に基づき受領する資金のデータ(例えば受取保険金や借入金のデータ)を計算し、記憶装置に格納する受領資金データ計算ステップをさらに含み、上で述べた財務データ計算ステップにおいて、少なくとも受領した資金のデータと損害対策に要する費用のデータと仮想的な損害の規模に関するデータとを用い、所定の規則に従って分析対象企業の財務データを計算するように構成することも可能である。
このようにすることにより、確率論的な手法を用いて定量化されたリスクを前提とし、当該リスクに対処するための保険契約、コミットメントライン、金利や為替などに関するデリバティブ取引等の各種損害対策に要する費用及び損害対策が発動されることにより受領する資金等のデータに基づき例えば財務諸表のデータを計算することができるようになる。すなわち、各種損害対策の財務諸表における効果を見ることができるようになる。
さらに、本発明の実施の形態における第1の態様において、上で述べた損害発生ステップと、上で述べた財務データ計算ステップとを所定回数実行し、所定回数分の財務データ又は財務データから計算される経営指標データを順位付けするステップと、順位付けられた財務データ又は財務データから計算される経営指標データのうち所定順位(例えば上位x%に含まれるものの中で最も悪いもの(以下、x%ileとも呼ぶ))にあるものを特定する特定ステップと、特定ステップにおいて特定された財務データ又は財務データから計算される経営指標データを出力するステップとをさらに含むような構成であってもよい。このような統計データを得ることにより、確率論的に所定のリスクに対してどの程度の影響を受けるかといった事項を理解しやすくなる。
また、所定の損害対策に関するデータに基づいて、損害の規模と損害の発生確率との所定の対応関係を変化させるような構成であってもよい。例えば、事前の防災対策により、損害の規模が小さくなり、損害の発生確率が低くなるような場合には、当該事前の防災対策に応じたデータを用いて、仮想的な損害を発生させることにより、財務データの適切なシミュレーションが可能となる。
また、上記損害発生ステップと、上記財務データ計算ステップとを所定回数実行し、財務データ計算ステップにおいて計算された所定回数分の財務データ又は財務データから計算される経営指標の統計量を計算し、記憶装置に格納するステップをさらに含むような構成であってもよい。損害の規模と当該損害の発生確率との所定の対応関係の下、平均的な財務データ又は経営指標や、例えば処理結果の悪い方から所定の割合(例えば1%等)の中で最も良い財務データ又は経営指標等(処理結果の良い方から例えば99%の中で最も悪い財務データで99%ileとも言う)を抽出することができるようになる。これにより、リスクの財務データに対するインパクトをより現実に近い形でシミュレートできるようになる。
また、上で述べた受領資金データ計算ステップにおいて、異なる損害対策(例えば保険ありの場合の保険条件、保険なし、コミットメントライン利用等)に基づき受領する複数の資金のデータを計算するような構成であってもよい。複数の損害対策を評価して、適切な損害対策を見出すことができるようになる。
また、上で述べた財務データ計算ステップが、発生された仮想的な損害に対応するための損害対策に要する費用を集計するステップを含むような構成であってもよい。コストの観点から損害対策を見直すことも可能になる。
また、上記損害対策に要する費用に、損害対策のための保険に関連する費用と、融資に関連する費用と、防災対策に関連する費用とのうち少なくともいずれかが含まれるような構成であってもよい。例えば、建物の火災保険の保険料や、コミットメントラインによる融資を受けるための手数料や利子、さらに耐震補強工事やスプリンクラー設置等の防災対策のための工事費などについても費用として考慮するものである。
さらに、上記損害発生ステップと、上記財務データ計算ステップとを連続する所定年数分実行し、上記財務データ計算ステップにおいて計算された連続する所定年数分の財務データ又は財務データから計算される経営指標の推移を表すデータを出力するステップをさらに含むような構成であってもよい。これにより、リスクの財務データに対するインパクトを複数年にわたって見ることが出来る。なお、上記損害発生ステップと、上記財務データ計算ステップに、上記受領資金データ計算ステップをも加えて、それらを連続する所定年数分実行し、上記財務データ計算ステップにおいて計算された連続する所定年数分の財務データ等を出力するステップを含めても良い。
本発明の実施の形態における第2の態様に係る分析対象企業の財務分析方法は、損害対策が発動される条件が仮想的に満たされた場合の仮想的な損害状態を確定し、当該仮想的な損害状態を表すデータを記憶装置に格納するステップと、損害対策に要する費用に関するデータ及び仮想的な損害状態を表すデータを用い、所定の規則に従って分析対象企業の財務データを連続する所定年数分予測計算し、記憶装置に格納するステップとを含む。
本発明の第1の実施の形態における機能ブロック図である。 本発明の第1の実施の形態における処理フローを示す図である。 本発明の第1の実施の形態における財物損害率と年間超過確率とで表されるリスクカーブの一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における休業期間と年間超過確率とで表されるリスクカーブの一例を示す図である。 リスクカーブ・データテーブルの一例を示す図である。 リスクカーブ・データテーブルの管理テーブルの一例を示す図である。 第1期のバランスシートの例を示す図である。 第1期の損益計算書の例を示す図である。 第1期のキャッシュフロー計算書の例を示す図である。 第1期の利益金処分計算書の例を示す図である。 固定資産の時価又は再調達価額の一例を示す図である。 保険条件データの一例を示す図である。 損害発生処理の処理フローを示す図である。 損害・保険金データ格納部に格納されるデータの一例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る機能ブロック図である。 損害及び保険金計算処理部の機能ブロック図である。 本発明の第2の実施の形態に係るメインの処理フローを示す図である。 損害及び保険金算出処理の処理フローを示す図である。 損害発生パラメータの一例を示す図である。 損害テーブルの一例を示す図である。 保険条件データの一例を示す図である。 保険金テーブルの一例を示す図である。 リスクカーブ・データ生成処理を説明するための図である。 リスクカーブ・データ(一部)の一例を示す図である。 順位相関データの一例を示す図である。 リスク組合せデータの一例を示す図である。 損害額の合算処理を説明するための図である。 損害額の合算結果の一例を示す図である。 保険金の合算結果の一例を示す図である。 保険料算出処理の処理フローを示す図である。 各種保険料データ格納部に格納されるデータの一例を示す図である。 リスク寄与度算出処理の処理フローを示す図である。 リスク寄与度算出処理における途中結果を示す図である。 リスク寄与度についてのデータ例を示す図である。 本発明の第3の実施の形態における機能ブロック図である。 本発明の第3の実施の形態における機能ブロック図(その2)である。 本発明の第3の実施の形態における処理フローを示す図である。 本発明の第3の実施の形態における保険条件の一例を示す図である。 本発明の第3の実施の形態における損害発生パラメータの一例を示す図である。 発生した損害額の一例を示す図である。 分析対象経営指標決定処理の処理フローを示す図である。 分析対象経営指標決定処理などに用いるテーブルの一例を示す図である。 分析対象経営指標決定処理などに用いるテーブルの一例を示す図である。 複合化処理のためのウエイト値を決定するためのテーブル例を示す図である。 標準化処理の処理フローの一例を示す図である。 保険なしの場合の経営指標の一例を示す図である。 (a)は現預金残高売上高比率についての処理結果を示す図であり、(b)は自己資本比率についての処理結果を示す図である。 経営指標の標準化処理の概要を示す図である。 ウエイト値決定のためのテーブルの一例を示す図である。 ウエイト値決定のためのテーブルの一例を示す図である。 保険条件抽出処理の処理フローを示す図である。 代表指標値とリスク対応コストとで張られる空間の一例を示す図である。 コンピュータの構成例を示す図である。
符号の説明
100 財務分析システム
10 財務リスク・シミュレータ
11 損害発生処理部
12 保険金算出処理部
13 財務諸表計算処理部
14 経営指標計算処理部
15 ワークメモリ領域
151 リスクカーブ・データ格納部
152 財務諸表データ格納部
153 財務諸表関連設定データ格納部
154 保険条件データ格納部
155 各種パラメータ格納部
156 経営指標データ格納部
157 損害・保険金データ格納部
158 統計データ格納部
159 防災効果データベース
20 入力部
21 リスクカーブ・データ
22 財務諸表データ
23 財務諸表関連設定データ
24 保険条件データ
25 各種パラメータ
30 出力部
31 財務諸表データ
32 経営指標データ
33 経営処理結果データ
200 財務分析システム
210 財務リスク・シミュレータ
211 損害及び保険金計算処理部
212 財務諸表計算処理部
213 経営指標計算処理部
214 ワークメモリ領域
215 財務諸表データ格納部
216 財務諸表関連設定データ格納部
217 経営指標データ格納部
218 各種パラメータ格納部
219 統計データ格納部
220 入力部
221 財務諸表データ
222 財務諸表関連設定データ
223 保険条件データ
224 損害発生パラメータ
225 順位相関データ
226 各種パラメータ
230 出力部
231 各種保険料データ
232 損害及び保険金データ
233 リスク寄与データ
234 財務諸表データ
235 経営指標データ
236 統計処理結果データ
300 財務分析システム
310 財務リスク・シミュレータ
320 入力部
321 財務諸表データ
322 財務諸表関連設定データ
323 保険条件データ
324 損害発生パラメータ
325 各種パラメータ
330 出力部
331 グラフデータ
332 保険条件データ
333 保険料データ
334 財務諸表データ
335 経営指標データ
3111 損害発生パラメータ格納部
3112 損害発生処理部
3113 損害額データ格納部
3114 保険金算出処理部
3115 保険金データ格納部
3116 保険条件データ格納部
3117 保険料算出部
3118 保険料データ格納部
3119 財務諸表関連設定データ格納部
3120 財務諸表データ生成部
3121 財務諸表データ格納部
3122 経営指標算出部
3123 経営指標データ格納部
3124 経営指標統計処理部
3125 経営指標統計データ格納部
3126 保険条件絞込処理部
3127 経営指標選択処理部
3128 各種パラメータ格納部
3129 経営指標標準化処理部
3130 標準化指標データ格納部
3131 複合インデックス値算出部
3132 複合インデックス値格納部
3133 複合インデックス統計処理部
3134 代表指標値格納部
3135 保険条件抽出部

Claims (14)

  1. 仮想的に発生させた損害のデータと当該損害に対応する保険金のデータとを少なくとも用いて分析対象企業の将来の財務データを算出する処理を、予め設定された複数の保険条件の各々につき所定のシミュレーション回数実施し、前記保険条件及びシミュレーション毎に前記分析対象企業の将来の財務データを財務データ格納部に格納する財務シミュレーションステップと、
    前記財務データ格納部を参照して、前記保険条件及びシミュレーション毎に、複数の経営指標を算出し、経営指標データ格納部に格納する経営指標算出ステップと、
    前記経営指標データ格納部を参照して、前記保険条件及びシミュレーション毎に、分析対象となる複数の経営指標を所定の基準に従って標準化し、標準化された経営指標のデータを標準化経営指標データ格納部に格納する標準化ステップと、
    前記標準化指標データ格納部を参照して、前記保険条件及びシミュレーション毎に、標準化された複数の経営指標から1つの複合経営指標を算出し、前記複合経営指標のデータを複合経営指標データ格納部に格納する複合化ステップと、
    前記複合経営指標データ格納部を参照して、各前記保険条件に対応する代表指標値を算出し、代表指標値データ格納部に格納するステップと、
    代表指標値データ格納部に格納された代表指標値に基づき保険条件を特定する保険条件特定ステップと、
    を含み、コンピュータにより実行される保険条件特定処理方法。
  2. 前記財務シミュレーションステップが、前記損害に対応する保険金のデータを用いることなく前記仮想的に発生させた損害のデータを用いて前記分析対象企業の将来の財務データを算出する処理を、前記所定のシミュレーション回数実施し、シミュレーション毎に未対策財務データとして前記財務データ格納部に格納するステップを含み、
    前記経営指標算出ステップが、前記財務データ格納部を参照して、前記シミュレーション毎に前記未対策財務データに対応する前記複数の経営指標を算出し、前記経営指標データ格納部に格納するステップを含み、
    前記標準化ステップが、
    前記複数の経営指標のうち特定の経営指標について、前記未対応財務データに対応する各前記シミュレーションの値を所定の順番で並べ、基準指標シーケンスを生成するステップと、
    特定の前記保険条件に対応する、前記特定の経営指標についての各前記シミュレーションの値について、前記基準指標シーケンスにおける順位を算出するステップと、
    を含む請求項1記載の保険条件特定処理方法。
  3. 前記標準化ステップが、
    前記所定のシミュレーション回数に対する前記順位の値の割合を算出するステップ
    をさらに含む請求項2記載の保険条件特定処理方法。
  4. 前記経営指標算出ステップにおいて算出された前記複数の経営指標のうち、所定の条件を満たしている経営指標を、前記分析対象である経営指標として選択するステップ
    をさらに含む請求項1乃至3のいずれか1つ記載の保険条件特定処理方法。
  5. 前記所定の条件が、前記分析対象企業が属する業界における前記経営指標の値からの乖離に関する条件であることを特徴とする請求項4記載の保険条件特定処理方法。
  6. 前記複合化ステップが、
    前記分析対象である経営指標に割り当てられるウエイト値に基づき、前記分析対象である複数の経営指標の加重平均を算出するステップ
    を含む請求項1乃至5のいずれか1つ記載の保険条件特定処理方法。
  7. 前記複合化ステップが、
    前記分析対象企業が属する業界における前記分析対象の経営指標の値からの乖離に基づき前記分析対象である経営指標に割り当てられるウエイト値に基づき、前記分析対象である複数の経営指標の加重平均を算出するステップ
    を含む請求項1乃至5のいずれか1つ記載の保険条件特定処理方法。
  8. 前記複合化ステップが、
    前記分析対象企業の信用格付に基づき前記分析対象である経営指標に割り当てられるウエイト値に基づき、前記分析対象である複数の経営指標の加重平均を算出するステップ
    を含む請求項1乃至5のいずれか1つ記載の保険条件特定処理方法。
  9. 前記保険条件特定ステップが、
    前記代表指標データ格納部と各前記保険条件に対応する保険料を含むリスク対応コストのデータを格納するコストデータ格納部とを参照して、各前記保険条件について前記リスク対応コストに対応する軸と前記代表指標値に対応する軸とで張られる空間上の点を特定し、前記空間上における所定の条件を満たす点を特定することにより保険条件を特定する特定ステップ、
    を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つ記載の保険条件特定処理方法。
  10. 前記特定ステップが、
    指定された前記リスク対応コスト値において最も良い前記代表指標値を有する点に対応する保険条件を特定するステップ
    を含む請求項9記載の保険条件特定処理方法。
  11. 前記保険条件毎に、前記仮想的に発生させた損害の損害額と当該損害に対応する保険金の金額と保険料の金額とからリスク対応コストを算出し、前記コストデータ格納部に格納するステップ
    をさらに含む請求項1乃至9のいずれか1つ記載の保険条件特定処理方法。
  12. 前記特定ステップが、
    損害未対策時の前記代表指標値と前記仮想的に発生させた損害の代表損害額とから特定される前記空間上の点と特定の点とを通過する直線の傾きが最大となるような当該特定の点を抽出し、当該特定の点に対応する保険条件を特定するステップ
    を含む請求項9記載の保険条件特定処理方法。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1つ記載の保険条件特定処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  14. 仮想的に発生させた損害のデータと当該損害に対応する保険金のデータとを少なくとも用いて分析対象企業の将来の財務データを算出する処理を、予め設定された複数の保険条件の各々につき所定のシミュレーション回数実施し、前記保険条件及びシミュレーション毎に前記分析対象企業の将来の財務データを財務データ格納部に格納する財務シミュレーション手段と、
    前記財務データ格納部を参照して、前記保険条件及びシミュレーション毎に、複数の経営指標を算出し、経営指標データ格納部に格納する経営指標算出手段と、
    前記経営指標データ格納部を参照して、前記保険条件及びシミュレーション毎に、分析対象となる複数の経営指標を所定の基準に従って標準化し、標準化された経営指標のデータを標準化経営指標データ格納部に格納する標準化手段と、
    前記標準化指標データ格納部を参照して、前記保険条件及びシミュレーション毎に、標準化された複数の経営指標から1つの複合経営指標を算出し、前記複合経営指標のデータを複合経営指標データ格納部に格納する複合化手段と、
    前記複合経営指標データ格納部を参照して、各前記保険条件に対応する代表指標値を算出し、代表指標値データ格納部に格納する手段と、
    前記代表指標データ格納部と各前記保険条件に対応する保険料を含むリスク対応コストのデータを格納するコストデータ格納部とを参照して、各前記保険条件について前記リスク対応コストに対応する軸と前記代表指標値に対応する軸とで張られる空間上の点を特定し、前記空間上における所定の条件を満たす点を特定することにより保険条件を特定する保険条件特定手段と、
    を有する保険条件特定処理装置。
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