JP2005190153A - フィードフォワード制御装置、フィードフォワード制御方法、サーボ機構、フィードフォワード制御プログラムおよび記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】目標指令に対するフィードフォワード補償信号の速応性を向上させるフィードフォワード制御装置を提供する。
【解決手段】制御系にフィードフォワード補償信号θFF0を与えるフィードフォワード制御装置130であって、制御系の制御目標値として時系列的に予め設定され制御系の外部から時々刻々入力される原目標指令θr0を所定時間遅延させることにより、現時刻における制御目標値である現目標指令θr2を生成する遅延要素141を備え、遅延要素141にて遅延されないことにより現目標指令θr2に対して先行する先行目標指令θr1に基づいてフィードフォワード補償信号θFF0を生成する。
【選択図】 図1
【解決手段】制御系にフィードフォワード補償信号θFF0を与えるフィードフォワード制御装置130であって、制御系の制御目標値として時系列的に予め設定され制御系の外部から時々刻々入力される原目標指令θr0を所定時間遅延させることにより、現時刻における制御目標値である現目標指令θr2を生成する遅延要素141を備え、遅延要素141にて遅延されないことにより現目標指令θr2に対して先行する先行目標指令θr1に基づいてフィードフォワード補償信号θFF0を生成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、フィードフォワード制御装置、フィードフォワード制御方法、サーボ機構、フィードフォワード制御プログラムおよび記録媒体に関する。
図8に示されるように、モータ11によって駆動される負荷12の位置および駆動速度を制御するサーボ機構1が知られている。図8に示されるサーボ機構1は、モータ11と、モータ11にて駆動されモータ11との連結に低剛性部分13を有する負荷12と、外部から設定入力される前記負荷12の目標位置(目標指令)θrと負荷12の実位置θLとの差に基づいてモータ11を駆動制御する制御装置2と、を備えている。
そして、制御装置2は、位置制御ループL1と、速度制御ループL2と、電流制御ループL3と、を備えている。
そして、制御装置2は、位置制御ループL1と、速度制御ループL2と、電流制御ループL3と、を備えている。
位置制御ループL1は、負荷12の位置を検出する位置検出器31と、負荷12の位置θLを目標位置θrと比較する位置比較器32と、位置信号を特性補償して速度信号s4を出力する位置特性補償要素33と、を備える。
速度制御ループL2は、モータ11の回転位置を検出するモータ回転位置検出器41と、モータ11の回転位置からモータ回転速度を算出するモータ回転速度算出要素42と、位置特性補償要素33からの速度信号s4をモータ回転速度と比較する速度比較器43と、速度信号を特性補償して電流値信号を出力する速度特性補償要素44と、を備えている。
電流制御ループL3は、モータ11に印加されている電流値を検出するモータトルク電流検出器51と、速度特性補償要素44からの電流値信号をモータトルク電流値と比較する電流比較器52と、電流値信号を特性補償する電流特性補償要素53と、特性補償された電流値信号に基づいてモータ11を駆動するモータ駆動アンプ54と、を備えている。
速度制御ループL2は、モータ11の回転位置を検出するモータ回転位置検出器41と、モータ11の回転位置からモータ回転速度を算出するモータ回転速度算出要素42と、位置特性補償要素33からの速度信号s4をモータ回転速度と比較する速度比較器43と、速度信号を特性補償して電流値信号を出力する速度特性補償要素44と、を備えている。
電流制御ループL3は、モータ11に印加されている電流値を検出するモータトルク電流検出器51と、速度特性補償要素44からの電流値信号をモータトルク電流値と比較する電流比較器52と、電流値信号を特性補償する電流特性補償要素53と、特性補償された電流値信号に基づいてモータ11を駆動するモータ駆動アンプ54と、を備えている。
ここで、一般に、位置制御ループL1、速度制御ループL2および電流制御ループL3の制御周期は互いに異なる。位置制御ループL1を上位とし電流制御ループL3を下位とすると、下位の制御ループの方が制御周期を短く設定される。例えば、位置制御ループL1の制御周期TCPに比べて速度制御ループL2の制御周期TCVは短く設定される。
このようなサーボ機構1において、さらに、フィードフォワード補償要素を備えた構成が知られている(例えば、特許文献1)。図9に、フィードフォワード補償要素7を備えたサーボ機構1を示す。なお、図9においては、速度制御ループ以下(速度制御ループL2および電流制御ループL3)を一つの要素(伝達関数G0)6として表す。
フィードフォワード補償要素7は、目標指令値θrの微分信号s1を生成する微分値算出要素71と、微分信号s1のレベル調整を行う定数要素(伝達関数KFF)75と、微分信号s1を異なる制御周期(速度制御ループの制御周期TCV)に結合する結合要素(伝達関数GT)76と、を備えて構成されている。
ここで、定数要素75の伝達関数KFFは、0<KFF<1を満たす値に設定される。
また、目標指令値θrは、位置制御ループL1の制御周期TCPで時々刻々入力されるところ、結合要素76は、位置制御ループL1の制御周期TCPと速度制御ループL2の制御周期TCV(<TCP)とを結合する。このような結合要素76としては、零次ホールド回路が例として挙げられる。
ここで、定数要素75の伝達関数KFFは、0<KFF<1を満たす値に設定される。
また、目標指令値θrは、位置制御ループL1の制御周期TCPで時々刻々入力されるところ、結合要素76は、位置制御ループL1の制御周期TCPと速度制御ループL2の制御周期TCV(<TCP)とを結合する。このような結合要素76としては、零次ホールド回路が例として挙げられる。
微分値算出要素71は、目標指令θrの遅延信号s2を生成する遅延要素(伝達関数z-1)72と、目標指令θrから遅延信号s2を減算してその差s3を求める比較器73と、比較器73からの信号s3を制御周期TCPに相当する時間で除算する除算要素74と、を備える。
このような構成において、微分値算出要素71で生成された微分信号s1が定数要素75で調整されたのち、結合要素76で次の入力までホールドされつつ出力される。そして、結合要素76から出力されるフィードフォワード補償信号θFF0は、位置特性補償要素33からの速度指令s4に対し加算器8により加算される。
すると、目標指令θrの変化に対するフィードバック制御の遅れをフィードフォワード補償信号θFF0により補償することができ、目標指令θrに対する速応性が向上される。
すると、目標指令θrの変化に対するフィードバック制御の遅れをフィードフォワード補償信号θFF0により補償することができ、目標指令θrに対する速応性が向上される。
しかしながら、前述のフィードフォワード補償要素7によるフィードフォワード補償信号θFF0は、必ずしも目標指令θrの変化に速応しないという問題がある。図10に、目標指令θrに対するフィードフォワード補償信号θFF0の変化をシミュレーションした結果を示す。なお、シミュレーションに際しては、速度制御ループL2の制御周期TCVを位置制御ループL1の制御周期TCPの10分の1とし、また、結合要素76を零次ホールド回路とした。
図10(A)は、目標指令θrを一次関数状に変化させた場合(図10(A)中のW1)と、目標指令θrを二次関数状に変化させた場合(図10(A)中のW2)と、についてフィードフォワード補償信号θFF0と、その理想値と、を示す図である。また、図10(B)は、図10(A)の拡大図である。
フィードフォワード補償信号θFF0の理想値に示されるように、目標指令θrの変化に対して時間遅れなく追従すべきであるが、実際に出力されるフィードフォワード補償信号θFF0は、位置制御ループL1の制御周期TCPの分だけ遅れを生じる。
例えば、W1の領域で、目標指令θrが変化を始めた時刻t1に対して、フィードフォワード補償信号θFF0が応答を開始するのは、およそTCP遅れた時刻t2であることが示されている。
また、W2の領域では、フィードフォワード補償信号θFF0が応答を始めたのちも、目標指令θrの二次関数的な滑らかな変化に対応せず、制御周期TCPにわたって同じ値が保持されている。すると、速度制御ループL2の制御周期TCVで見れば、離散化誤差が生じることとなる。
フィードフォワード補償信号θFF0の理想値に示されるように、目標指令θrの変化に対して時間遅れなく追従すべきであるが、実際に出力されるフィードフォワード補償信号θFF0は、位置制御ループL1の制御周期TCPの分だけ遅れを生じる。
例えば、W1の領域で、目標指令θrが変化を始めた時刻t1に対して、フィードフォワード補償信号θFF0が応答を開始するのは、およそTCP遅れた時刻t2であることが示されている。
また、W2の領域では、フィードフォワード補償信号θFF0が応答を始めたのちも、目標指令θrの二次関数的な滑らかな変化に対応せず、制御周期TCPにわたって同じ値が保持されている。すると、速度制御ループL2の制御周期TCVで見れば、離散化誤差が生じることとなる。
このようなフィードフォワード補償信号θFF0の時間遅れや離散化誤差により、目標指令θrに対する速応性の改善効果が限定されているという問題が生じる。
本発明の目的は、従来の問題を解消して、目標指令に対するフィードフォワード補償信号の速応性を向上させるフィードフォワード制御装置、フィードフォワード制御方法、サーボ機構、フィードフォワード制御プログラムおよび記録媒体を提供することにある。
本発明は、制御系にフィードフォワード補償信号を与えるフィードフォワード制御装置であって、前記制御系の制御目標値として時系列的に予め設定され前記制御系の外部から時々刻々入力される原目標指令を所定時間遅延させることにより、現時刻における制御目標値である現目標指令を生成する遅延要素を備え、前記遅延要素にて遅延されていないかあるいは前記所定時間より短い時間の遅延処理で生成され前記現目標指令に対して先行する先行目標指令に基づいて前記フィードフォワード補償信号を生成することを主たる構成とする。
このような構成によれば、現目標指令に対して先行する先行目標指令に基づいてフィードフォワード補償信号が生成される。すると、現目標指令に対して遅れの無いフィードフォワード補償信号を得ることができる。
なお、前記制御系とは、制御装置の組み合せにより制御対象を目標指令に従って制御する制御システムを意味し、ここでは主として閉ループ制御系を意味する。
なお、前記制御系とは、制御装置の組み合せにより制御対象を目標指令に従って制御する制御システムを意味し、ここでは主として閉ループ制御系を意味する。
請求項1に記載のフィードフォワード制御装置は、制御周期T1の第1制御ループおよび前記第1制御ループよりも相対的に短い制御周期T2の第2制御ループを備える制御系にフィードフォワード補償信号を与えるフィードフォワード制御装置であって、前記制御系の制御目標値として時系列的に予め設定され前記制御系の外部から前記制御周期T1に相当する時間間隔で時々刻々入力される原目標指令を所定時間遅延させることにより、現時刻における制御目標値である現目標指令を生成する遅延要素と、前記遅延要素にて遅延されていないかあるいは前記所定時間より短い時間の遅延処理で生成され前記現目標指令に対して先行する先行目標指令を微分して先行目標微分信号を生成する先行目標微分要素と、前記現目標指令を微分して現目標微分信号を生成する現目標微分要素と、前記先行目標微分信号と前記現目標微分信号とに基づいて前記制御周期T2に相当する時間間隔の内挿値を生成する結合要素と、を備え、前記内挿値に基づいて前記フィードフォワード補償信号を生成することを特徴とする。
このような構成において、原目標指令が制御周期T1(相対的に長い方の制御周期)で外部から時々刻々入力される。原目標指令は、遅延要素で所定時間遅延される。そして、原目標指令が遅延された指令値が制御系の現時刻での制御目標値(現目標指令)となり、制御系に指令される。すると、現目標指令に従って第1制御ループと第2制御ループとにより制御対象の制御が行われる。
原目標指令が遅延されて現目標指令になる一方、原目標指令から遅延されないか、あるいは遅延時間が短い指令値は、現目標指令に対して先行した指令値(先行目標指令)となる。そして、フィードフォワード制御装置において、先行目標指令が先行目標微分要素によって微分され、先行目標微分信号が生成される。
また、現目標指令は制御系(第1制御ループ、第2制御ループ)に目標値として与えられる一方、フィードフォワード制御装置において現目標微分要素で微分され、現目標微分信号が生成される。
また、現目標指令は制御系(第1制御ループ、第2制御ループ)に目標値として与えられる一方、フィードフォワード制御装置において現目標微分要素で微分され、現目標微分信号が生成される。
このように生成された先行目標微分信号および現目標微分信号は、結合要素によって制御周期T2で補間されて、補間された信号が結合要素から制御周期T2で出力され、フィードフォワード補償信号として制御系に与えられる。すると、制御系は、現目標指令と、フィードフォワード補償信号と、により制御対象(モータや負荷)の制御を行う。
遅延要素により、原目標指令から遅延された指令である現目標指令が得られるとともに、遅延要素を介さなければ、現目標指令に対して先行する先行目標指令が得られる。そして、フィードフォワード制御装置により先行目標指令に基づいたフィードフォワード補償信号が生成され、現目標指令に対して遅れの無いフィードフォワード補償信号が得られる。その結果、この遅れの無いフィードフォワード補償信号によって制御性能が向上される。
フィードフォワード制御装置は、先行目標微分要素により先行目標指令に基づく先行目標微分信号を得る一方、現目標微分要素により現目標指令に基づく現目標微分信号を得る。ここで、先行目標微分信号は、現目標指令に対して進みを有する場合があり、現目標微分信号は、現目標指令に対して遅れを有する場合があるが、結合要素において先行目標微分信号と現目標微分信号との補間を行うことにより現目標指令に対して最適なフィードフォワード補償信号を得ることができる。
結合要素において、先行目標微分信号と現目標微分信号とを制御周期T2で補間することにより、離散化誤差を低減させることができる。
ここで、本発明では、前記原目標指令、および、前記原目標指令を前記遅延要素で遅延させた遅延値を順次記憶する記憶手段を備え、前記先行目標指令、前記現目標指令、および、すでに制御系に与えた過去の目標指令の少なくともいずれかを用いてフィードバック補償信号を生成してもよい。このとき、用いられる先行目標指令および過去の目標指令は一つに限らず、前記記憶装置に記憶されている複数が適宜用いられてもよい。
請求項2に記載のフィードフォワード制御装置は、請求項1に記載のフィードフォワード制御装置において、前記遅延要素は、前記制御周期T1に相当する時間だけ前記原目標指令θr0(k)を遅延させて前記現目標指令θr2(k+1)を生成し、前記先行目標微分要素は、前記現目標指令に対して前記制御周期T1に相当する時間だけ先行した先行目標指令θr1(k)に基づく微分によって前記先行目標微分信号P1(k)を生成し、前記現目標微分要素は、前記現目標指令θr2(k+1)に基づく微分によって前記現目標微分信号P2(k+1)を生成し、前記結合要素は、前記先行目標微分信号P1(k)および前記現目標微分信号P2(k+1)を用いた次の式(1)で表される線形補間によって前記制御周期T2に相当する時間間隔で内挿値F(m)を得ることを特徴とする。
ここで、式(1)は、F(m)=P1(k)+{ P2(k+1) − P1(k) }・m/Nで表される。ただし、m=1、2、3・・・、N=T1/T2とする。
請求項3に記載のフィードフォワード制御装置は、前記結合要素が、請求項2の前記式(1)に代えて、スプライン補間によって前記内挿値を得ることを特徴とする。
このような構成において、結合要素により線形補間あるいはスプライン補間によって先行目標微分信号と現目標微分信号との内挿値が求められる。すると、目標値(原目標指令、先行目標指令、現目標指令)は制御周期T1に相当する時間間隔で離散化されているが、フィードフォワード補償信号は、制御周期T2に相当する時間間隔に補間される。そして、線形補間あるいはスプライン補間によれば、零次ホールドする場合に比べて離散化誤差が低減される。
なお、結合要素は、線形補間やスプライン補間に限らず、種々の補間法によって、先行目標微分信号と現目標微分信号との内挿値を求めてもよいのはもちろんである。
請求項4に記載のフィードフォワード制御装置は、制御周期T1の第1制御ループおよび前記第1制御ループよりも相対的に短い制御周期T2の第2制御ループを備える制御系にフィードフォワード補償信号を与えるフィードフォワード制御装置であって、前記制御系の制御目標値として時系列的に予め設定され前記制御系の外部から前記制御周期T1に相当する時間間隔で時々刻々入力される原目標指令を所定時間遅延させることにより、現時刻における制御目標値である現目標指令を生成する遅延要素と、前記遅延要素にて遅延されていないかあるいは前記所定時間より短い時間の遅延処理で生成され前記現目標指令に対して先行する先行目標指令が少なくとも含まれた信号を微分した先行目標微分信号を生成する先行目標微分要素と、前記先行目標微分信号に基づいて前記制御周期T2に相当する時間間隔の内挿値を生成する結合要素と、を備え、前記結合要素は、零次ホールド回路を備えて構成されていることを特徴とする。
請求項5に記載のフィードフォワード制御装置は、前記結合要素が、請求項4に記載の零次ホールド回路に代えて、ローパスフィルタを備えて構成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、現目標指令に対して先行する先行目標指令に基づいた先行目標微分信号を得ることができるので、遅れの無いフィードフォワード補償信号を得ることができる。そして、零次ホールド回路あるいはローパスフィルタによって、時間間隔T1の先行目標微分信号を時間間隔T2の信号に補間することができる。
請求項6に記載のフィードフォワード制御方法は、制御周期T1の第1制御ループおよび前記第1制御ループよりも相対的に短い制御周期T2の第2制御ループを備える制御系にフィードフォワード補償信号を与えてフィードフォワード制御するフィードフォワード制御方法であって、前記制御系の制御目標値として時系列的に予め設定され前記制御系の外部から前記制御周期T1に相当する時間間隔で時々刻々入力される原目標指令を所定時間遅延させることにより、現時刻における制御目標値である現目標指令を生成する遅延工程と、前記遅延要素にて遅延されていないかあるいは前記所定時間より短い時間の遅延処理で生成され前記現目標指令に対して先行する先行目標指令が少なくとも含まれた信号を微分した先行目標微分信号を生成する先行目標微分工程と、前記現目標指令を含んだ信号を微分した現目標微分信号を生成する現目標微分工程と、前記先行目標微分信号と前記現目標微分信号とに基づいて前記制御周期T2に相当する時間間隔の内挿値を生成する結合工程と、を備え、前記内挿値に基づいて前記フィードフォワード補償信号を生成することを特徴とする。
このような構成によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏することができる。
請求項7に記載のサーボ機構は、制御周期T1の第1制御ループおよび前記第1制御ループよりも相対的に短い制御周期T2の第2制御ループを備える制御系と、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のフィードフォワード制御装置と、を備える。
ここで、前記制御系は、前記第1制御ループとして、駆動手段で駆動される負荷の位置決め制御を行う位置フィードバックループを有し、前記第2制御ループとして、前記負荷の駆動速度制御を行う速度制御ループを有していてもよい。
このような構成によれば、遅れの無いフィードフォワード補償信号によって、速応性や安定性を向上させたサーボ機構を得ることができる。そして、駆動手段としてのモータやこのモータで駆動される負荷を最適に制御する駆動装置を得ることができる。
請求項8に記載のフィードフォワード制御プログラムは、制御周期T1の第1制御ループおよび前記第1制御ループよりも相対的に短い制御周期T2の第2制御ループを備える制御系にフィードフォワード補償信号を与えるフィードフォワード制御装置に組み込まれたコンピュータを、前記制御系の制御目標値として時系列的に予め設定され前記制御系の外部から前記制御周期T1に相当する時間間隔で時々刻々入力される原目標指令を所定時間遅延させることにより、現時刻における制御目標値である現目標指令を生成する遅延要素と、前記遅延要素にて遅延されていないかあるいは前記所定時間より短い時間の遅延処理で生成され前記現目標指令に対して先行する先行目標指令を微分した先行目標微分信号を生成する先行目標微分要素と、前記現目標指令を微分した現目標微分信号を生成する現目標微分要素と、前記先行目標微分信号と前記現目標微分信号とに基づいて前記制御周期T2に相当する時間間隔の内挿値を生成する結合要素と、して機能させ、前記内挿値に基づいて前記フィードフォワード補償信号を生成することを特徴とする。
請求項9に記載の記録媒体は、請求項8に記載のフィードフォワード制御プログラムを記録したことを特徴とする。
このような構成によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を奏することができる。さらに、CPU(中央処理装置)やメモリ(記憶装置)を有するコンピュータを組み込んでこのコンピュータに各機能を実現させるようにプログラムを構成すれば、各機能におけるパラメータを容易に変更することができる。そして、このプログラムを記録した記録媒体をコンピュータに直接差し込んでプログラムをコンピュータにインストールしてもよく、記録媒体の情報を読み取る読取装置をコンピュータに外付けし、この読取装置からコンピュータにプログラムをインストールしてもよい。なお、プログラムは、インターネット、LANケーブル、電話回線等の通信回線や無線によってコンピュータに供給されてインストールされてもよい。
以下、本発明の実施の形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明のサーボ機構に係る第1実施形態について図1を参照して説明する。
サーボ機構100は、基本的には背景技術で説明した構成に同様であり、速度制御ループ(第2制御ループ)以下を表す要素(伝達関数G0)110と、位置制御ループ(第1制御ループ)L1と、フィードフォワード補償要素(フィードフォワード制御装置)130と、を備えている。
速度制御ループの制御周期TCV(T2)は、位置制御ループL1の制御周期TCP(T1)に比べて短く設定されている。そして、位置制御ループL1が、位置検出器121、位置比較器122および位置特性補償要素123を備えている点は、背景技術(図9に対応)に同様である。
なお、位置制御ループL1と速度制御ループ以下の要素110とにより、フィードフォワード補償要素130でフィードフォワード補償される制御系が構成されている。
(第1実施形態)
本発明のサーボ機構に係る第1実施形態について図1を参照して説明する。
サーボ機構100は、基本的には背景技術で説明した構成に同様であり、速度制御ループ(第2制御ループ)以下を表す要素(伝達関数G0)110と、位置制御ループ(第1制御ループ)L1と、フィードフォワード補償要素(フィードフォワード制御装置)130と、を備えている。
速度制御ループの制御周期TCV(T2)は、位置制御ループL1の制御周期TCP(T1)に比べて短く設定されている。そして、位置制御ループL1が、位置検出器121、位置比較器122および位置特性補償要素123を備えている点は、背景技術(図9に対応)に同様である。
なお、位置制御ループL1と速度制御ループ以下の要素110とにより、フィードフォワード補償要素130でフィードフォワード補償される制御系が構成されている。
ここで、外部から設定入力される目標位置は、原目標指令θr0として制御周期TCPで時々刻々入力される。そして、フィードフォワード補償要素130の一部を介して、原目標指令θr0を所定時間(ここでは一周期TCP)遅延させた信号が現目標指令θr2として位置比較器122に入力され、位置制御ループL1に入力される。現目標指令θr2は、位置比較器122において位置検出器121からのフィードバック信号θLと比較されて、その差s5が演算される。この差s5は、位置特性補償要素123による特性補償を経て速度制御ループ以下(G0)110に入力される。
フィードフォワード補償要素130は、現目標指令θr2に対して先行する先行目標θr1の微分信号となる先行目標微分信号s6を生成する先行目標微分要素140と、現目標指令θr2の微分信号となる現目標微分信号s7を生成する現目標微分要素150と、先行目標微分信号s6と現目標微分信号s7とを制御周期TCVで線形補間する結合要素160と、結合要素160からの出力信号s8のレベル調整を行ってフィードフォワード補償信号θFF0を出力する定数要素170と、を備える。
先行目標微分要素140は、遅延要素141と、比較器142と、除算要素143と、を備えて構成されている。
遅延要素(伝達関数z-1)141は、位置制御ループL1の前段に配置され、原目標指令θr0が入力される。遅延要素141は、入力された原目標指令θr0を遅延させることにより、原目標指令θr0に対して遅延した現目標指令θr2を出力する。遅延要素141にて遅延される時間は、制御周期TCP(位置制御ループL1の制御周期)の一周期分である。そして、遅延要素141から出力される現目標指令θr2は分岐141aされて、一方は位置制御ループL1の位置比較器122に入力され、他方は比較器142に入力される。
遅延要素(伝達関数z-1)141は、位置制御ループL1の前段に配置され、原目標指令θr0が入力される。遅延要素141は、入力された原目標指令θr0を遅延させることにより、原目標指令θr0に対して遅延した現目標指令θr2を出力する。遅延要素141にて遅延される時間は、制御周期TCP(位置制御ループL1の制御周期)の一周期分である。そして、遅延要素141から出力される現目標指令θr2は分岐141aされて、一方は位置制御ループL1の位置比較器122に入力され、他方は比較器142に入力される。
また、原目標指令θr0は、遅延要素141の前段で分岐141bされて、一方は、遅延要素141に入力され、他方は比較器142に入力される。
ここで、図2に示されるように、遅延要素141によって原目標指令θr0が遅延されて現目標指令θr2が生成されるところ、現目標指令θr2から見ると、原目標指令θr0は先行した目標位置指令といえる。
そこで、原目標指令θr0のうち遅延要素141を介さずに直接に比較器142に入力される目標位置指令を先行目標指令θr1と称する。先行目標指令θr1の位相は、原目標指令θr0に等しいことはもちろんである。
ここで、図2に示されるように、遅延要素141によって原目標指令θr0が遅延されて現目標指令θr2が生成されるところ、現目標指令θr2から見ると、原目標指令θr0は先行した目標位置指令といえる。
そこで、原目標指令θr0のうち遅延要素141を介さずに直接に比較器142に入力される目標位置指令を先行目標指令θr1と称する。先行目標指令θr1の位相は、原目標指令θr0に等しいことはもちろんである。
比較器142は、先行目標指令θr1から現目標指令θr2を減算してその差s9を出力する。除算要素143は、比較器142からの信号s9を制御周期TCPに相当する時間で除算する。除算要素143によって信号s9の単位時間当たりの変化量が求められ、先行目標指令θr1の微分信号(先行目標微分信号)s6が求められる。
現目標微分要素150は、遅延要素151と、比較器152と、除算要素153と、を備える。
現目標指令θr2が分岐151bされて遅延要素151に入力されるところ、遅延要素(伝達関数z-1)151は、現目標指令θr2から一周期(制御周期TCP)に相当する時間だけ遅延された遅延信号s10を出力する。
比較器152は、現目標指令θr2から遅延信号s10を減算してその差s11を出力する。除算要素153は、比較器152からの信号s11を制御周期TCPに相当する時間で除算する。除算要素153によって信号s11の単位時間当たりの変化量が求められ、現目標指令θr2の微分信号(現目標微分信号)s7が求められる。
現目標指令θr2が分岐151bされて遅延要素151に入力されるところ、遅延要素(伝達関数z-1)151は、現目標指令θr2から一周期(制御周期TCP)に相当する時間だけ遅延された遅延信号s10を出力する。
比較器152は、現目標指令θr2から遅延信号s10を減算してその差s11を出力する。除算要素153は、比較器152からの信号s11を制御周期TCPに相当する時間で除算する。除算要素153によって信号s11の単位時間当たりの変化量が求められ、現目標指令θr2の微分信号(現目標微分信号)s7が求められる。
結合要素160は、先行目標微分要素140から出力される先行目標微分信号s6と現目標微分信号s7とを制御周期TCV(速度制御ループの制御周期)で線形補間し、結果を定数要素170に出力s8する。
ここで、時刻tkにおける先行目標微分信号s6をP1(tk)として表し、時刻tk+1における現目標微分信号s7をP2(tk+1)として表すと、図3に表される関係から、線形補間による内挿値F(m)は、次の式で表される。
ここで、時刻tkにおける先行目標微分信号s6をP1(tk)として表し、時刻tk+1における現目標微分信号s7をP2(tk+1)として表すと、図3に表される関係から、線形補間による内挿値F(m)は、次の式で表される。
F(m) = P1(tk) + { P2(tk+1) − P1(tk) }・m/N
ただし、m = 1, 2, 3,・・・、N = TCP / TCV
ただし、m = 1, 2, 3,・・・、N = TCP / TCV
なお、図3中で、先行目標微分信号s6(P1)と現目標微分信号s7(P2)とはレベルを変えて表されているが、信号レベルは説明の都合上ずらして描写してあるだけで、実際は同じレベルになるはずである。
定数要素(伝達関数KFF)170は、結合要素160からの出力s8をレベル調整してフィードフォワード補償信号θFF0として出力する。定数要素170の伝達関数KFFは、0<KFF<1の範囲で設定される。フィードフォワード補償信号θFF0は、位置特性補償要素123からの速度指令s12に対し加算器180により加算される。
このような構成を備える第1実施形態の動作について説明する。
原目標指令θr0が制御周期TCP(位置制御ループの制御周期)で外部から時々刻々入力される。原目標指令θr0は、遅延要素141の手前で分岐141bされて先行目標指令θr1となる。そして、先行目標微分要素140によって先行目標指令θr1が微分され、先行目標微分信号s6が生成される(先行目標微分工程)。
また、原目標指令θr0は、遅延要素141で一周期(制御周期TCP)分遅延された現目標指令θr2とされる(遅延工程)。遅延要素141で生成された現目標指令θr2は、位置制御ループL1の前段で分岐151aされ、現目標微分要素150によって微分されて現目標微分信号s7が生成される(現目標微分工程)。
原目標指令θr0が制御周期TCP(位置制御ループの制御周期)で外部から時々刻々入力される。原目標指令θr0は、遅延要素141の手前で分岐141bされて先行目標指令θr1となる。そして、先行目標微分要素140によって先行目標指令θr1が微分され、先行目標微分信号s6が生成される(先行目標微分工程)。
また、原目標指令θr0は、遅延要素141で一周期(制御周期TCP)分遅延された現目標指令θr2とされる(遅延工程)。遅延要素141で生成された現目標指令θr2は、位置制御ループL1の前段で分岐151aされ、現目標微分要素150によって微分されて現目標微分信号s7が生成される(現目標微分工程)。
このように生成された先行目標微分信号s6および現目標微分信号s7は、結合要素160によって制御周期TCVで線形補間されて、補間された信号s8が結合要素160から制御周期TCVで出力される(結合工程)。
結合要素160からの出力s8は、定数要素170で調整されてフィードフォワード補償信号θFF0として出力される。フィードフォワード補償信号θFF0は、加算器180により位置特性補償要素123からの速度指令s12に加算される。
結合要素160からの出力s8は、定数要素170で調整されてフィードフォワード補償信号θFF0として出力される。フィードフォワード補償信号θFF0は、加算器180により位置特性補償要素123からの速度指令s12に加算される。
一方、遅延要素141で生成された現目標指令θr2は、位置制御ループL1に入力される。現目標指令θr2は、比較器122により位置検出器121からのフィードバック信号θLと比較されて、その偏差s5が位置特性補償要素123に入力される。位置特性補償要素123により特性補償されて生成された速度指令s12は、加算器180によりフィードフォワード補償信号θFF0と加算される。加算された信号s13が速度制御ループ以下110に印加され、例えば、モータの駆動制御や負荷の駆動制御が行われる。
このような構成を備える第1実施形態において、現目標指令θr2の変化に対するフィードフォワード補償信号θFF0のシミュレーション結果を図4に示す。図4は、現目標指令θr2が一次関数状に変化する場合(W1)と、現目標指令θr2が二次関数状に変化する場合(W2)と、についてフィードフォワード補償信号θFF0と、その理想値と、を示す図である。
図4では、現目標指令θr2の変化に対して、フィードフォワード補償信号θFF0が時間遅れなく速応しているのが示されている。また、フィードフォワード補償信号θFF0の応答精度は理想値に略一致している。
例えば、W1の領域において、現目標指令θr2が変化を始めた時刻t1において、略同時刻にフィードフォワード補償信号θFF0も追従して変化を始めている。また、W2の領域において、現目標指令θr2が二次関数状に滑らかに変化する場合でも、離散化誤差をほとんど生じることなく、刻々と追従していることが示されている。
そして、このように時間遅れや離散化誤差がわずかであるフィードフォワード補償信号θFF0によって、現目標指令θr2からモータや負荷の駆動値(θL)までの伝達特性はほぼ理想的に補償される。つまり、ゲイン低下や位相遅れが解消され、速応性や安定性を有する制御特性を得る。
図4では、現目標指令θr2の変化に対して、フィードフォワード補償信号θFF0が時間遅れなく速応しているのが示されている。また、フィードフォワード補償信号θFF0の応答精度は理想値に略一致している。
例えば、W1の領域において、現目標指令θr2が変化を始めた時刻t1において、略同時刻にフィードフォワード補償信号θFF0も追従して変化を始めている。また、W2の領域において、現目標指令θr2が二次関数状に滑らかに変化する場合でも、離散化誤差をほとんど生じることなく、刻々と追従していることが示されている。
そして、このように時間遅れや離散化誤差がわずかであるフィードフォワード補償信号θFF0によって、現目標指令θr2からモータや負荷の駆動値(θL)までの伝達特性はほぼ理想的に補償される。つまり、ゲイン低下や位相遅れが解消され、速応性や安定性を有する制御特性を得る。
このような第1実施形態によれば、次の効果を奏することができる。
(1)遅延要素141により、原目標指令θr0から遅延した指令が生成される。すると、この遅延された指令である現目標指令θr2が得られるとともに、遅延要素141を介さなければ、現目標指令θr2に対して先行する先行目標指令θr1が得られる。そして、現目標指令θr2によって位置制御ループL1以下に目標値を与えるとともに、フィードフォワード補償要素130により先行目標指令θr1に基づいたフィードフォワード補償信号θFF0を生成すれば、現目標指令θr2に対して遅れの無いフィードフォワード補償信号θFF0を得ることができる。その結果、この遅れの無いフィードフォワード補償信号θFF0によってサーボ機構100の制御性能を向上させることができる。
(1)遅延要素141により、原目標指令θr0から遅延した指令が生成される。すると、この遅延された指令である現目標指令θr2が得られるとともに、遅延要素141を介さなければ、現目標指令θr2に対して先行する先行目標指令θr1が得られる。そして、現目標指令θr2によって位置制御ループL1以下に目標値を与えるとともに、フィードフォワード補償要素130により先行目標指令θr1に基づいたフィードフォワード補償信号θFF0を生成すれば、現目標指令θr2に対して遅れの無いフィードフォワード補償信号θFF0を得ることができる。その結果、この遅れの無いフィードフォワード補償信号θFF0によってサーボ機構100の制御性能を向上させることができる。
(2)フィードフォワード補償要素130は、先行目標微分要素140により先行目標指令θr1に基づく先行目標微分信号s6を得る一方、現目標微分要素150により現目標指令θr2に基づく現目標微分信号s7を得る。ここで、先行目標微分信号s6は、現目標指令θr2に対して進みを有する場合があり、現目標微分信号s7は、現目標指令θr2に対して遅れを有する場合があるが、結合要素160において先行目標微分信号s6と現目標微分信号s7との線形補間を行うことにより現目標指令θr2に対して最適なフィードフォワード補償信号を得ることができる。
(3)結合要素160において、先行目標微分信号s6と現目標微分信号s7とを制御周期TCV(速度制御ループの制御周期)で線形補間することにより、離散化誤差を低減させることができる。
なお、このような構成において、遅延要素141を備えるところ、外部から入力される原目標指令θr0と現目標指令θr2との間には遅延時間が生じることになる。しかしながら、一般に、目標値は予め計画されているので、原目標指令θr0として遅延時間を加味しておけば、サーボ機構100の特性に無駄時間の影響はほとんどない。
(第2実施形態)
次に、本発明のサーボ機構に係る第2実施形態について図5を参照して説明する。
第2実施形態の基本的構成は第1実施形態に同様であるが、第2実施形態はフィードフォワード補償要素210が微分要素を一つのみ有する点に特徴を有する。
図5において、フィードフォワード補償要素210は、先行目標微分要素140と、定数要素75と、結合要素76と、を備えている。
先行目標微分要素140は、第1実施形態において説明した先行目標微分要素に同様であり、遅延要素141と、比較器142と、除算要素143とを備え、先行目標微分信号s6を生成する。
定数要素75および結合要素76は、背景技術(図9)において説明した構成に同様であり、結合要素76は、零次ホールド回路あるいはローパスフィルタで構成される。
次に、本発明のサーボ機構に係る第2実施形態について図5を参照して説明する。
第2実施形態の基本的構成は第1実施形態に同様であるが、第2実施形態はフィードフォワード補償要素210が微分要素を一つのみ有する点に特徴を有する。
図5において、フィードフォワード補償要素210は、先行目標微分要素140と、定数要素75と、結合要素76と、を備えている。
先行目標微分要素140は、第1実施形態において説明した先行目標微分要素に同様であり、遅延要素141と、比較器142と、除算要素143とを備え、先行目標微分信号s6を生成する。
定数要素75および結合要素76は、背景技術(図9)において説明した構成に同様であり、結合要素76は、零次ホールド回路あるいはローパスフィルタで構成される。
このような構成において、先行目標微分要素140によって先行目標微分信号s6が生成される。この先行目標微分信号s6は、定数要素75によってレベル調整されて、さらに、結合要素76によって制御周期TCVに結合される。結合要素76からの出力がフィードフォワード補償信号θFF0として加算器180によって速度指令s12に加算される。
このような構成を備える第2実施形態において、現目標指令θr2の変化に対するフィードフォワード補償信号θFF0のシミュレーション結果を図6および図7に示す。図6および図7は、現目標指令θr2が一次関数状に変化する場合(W1)と、現目標指令θr2が二次関数状に変化する場合(W2)と、についてフィードフォワード補償信号θFF0と、その理想値と、を示す図である。
ここで、図6は、結合要素76を零次ホールド回路で構成した場合であり、図7は、結合要素76をローパスフィルタで構成した場合である。
図6および図7において、現目標指令θr2の変化に対して、フィードフォワード補償信号θFF0が時間遅れなく速応しているのが示されている。また、フィードフォワード補償信号θFF0の応答精度は理想値に略一致している。
そして、このように時間遅れがわずかであるフィードフォワード補償信号θFF0によって、現目標指令θr2からモータや負荷の駆動値(θL)までの伝達特性はほぼ理想的に補償される。つまり、ゲイン低下や位相遅れが解消され、速応性や安定性を有する制御特性を得る。
ここで、図6は、結合要素76を零次ホールド回路で構成した場合であり、図7は、結合要素76をローパスフィルタで構成した場合である。
図6および図7において、現目標指令θr2の変化に対して、フィードフォワード補償信号θFF0が時間遅れなく速応しているのが示されている。また、フィードフォワード補償信号θFF0の応答精度は理想値に略一致している。
そして、このように時間遅れがわずかであるフィードフォワード補償信号θFF0によって、現目標指令θr2からモータや負荷の駆動値(θL)までの伝達特性はほぼ理想的に補償される。つまり、ゲイン低下や位相遅れが解消され、速応性や安定性を有する制御特性を得る。
このような第2実施形態によれば、従来構成(背景技術の図9)において遅延要素の配置を変更するだけなので、簡便である。
なお、本発明のフィードフォワード制御装置およびサーボ機構は、上記実施形態にのみ限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、遅延要素は、一周期だけ遅延させるのみならず、数周期分遅延させてもよい。さらには、一周期、二周期、三周期、・・・、と遅延させて、遅延させた目標値を記憶しつつ、所定周期遅延させた目標指令を出力するとしてもよい。このような遅延要素として、例えばシフトレジスタを用いることができる。この場合、先行目標指令は、現目標指令よりも先行する限りにおいて、原目標指令から数周期遅延していてもよい。
なお、遅延要素で遅延させる時間は、制御周期の逓倍に基づく場合に限られず、フィードフォワード補償要素の処理時間に略等しい程度であってもよい。
例えば、遅延要素は、一周期だけ遅延させるのみならず、数周期分遅延させてもよい。さらには、一周期、二周期、三周期、・・・、と遅延させて、遅延させた目標値を記憶しつつ、所定周期遅延させた目標指令を出力するとしてもよい。このような遅延要素として、例えばシフトレジスタを用いることができる。この場合、先行目標指令は、現目標指令よりも先行する限りにおいて、原目標指令から数周期遅延していてもよい。
なお、遅延要素で遅延させる時間は、制御周期の逓倍に基づく場合に限られず、フィードフォワード補償要素の処理時間に略等しい程度であってもよい。
第1実施形態において、先行目標微分信号s6と現目標微分信号s7との内挿値を求めるにあたっては、単純均等割でなく重みを考慮してもよい。
以上において、フィードフォワード補償要素は、CPUや記憶素子等を備えたコンピュータによって構成され、このコンピュータに所定のプログラムを組み込んで遅延要素141、先行目標微分要素140、現目標微分要素150および結合要素160等として機能させてもよいことはもちろんである。
本発明は、フィードフォワード制御装置、サーボ機構に利用できる。
1…サーボ機構、2…制御装置、7…フィードフォワード補償要素、8…加算器、11…モータ、12…負荷、31…位置検出器、32…位置比較器、33…位置特性補償要素、41…モータ回転位置検出器、42…モータ回転速度算出要素、43…速度比較器、44…速度特性補償要素、51…モータトルク電流検出器、52…電流比較器、53…電流特性補償要素、54…モータ駆動アンプ、71…微分値算出要素、73…比較器、74…除算要素、75…定数要素、76…結合要素、100…サーボ機構、110…速度制御ループ以下、121…位置検出器、122…位置比較器、122…比較器、123…位置特性補償要素、130…フィードフォワード補償要素、140…先行目標微分要素、141a…分岐、141b…分岐、141…遅延要素、142…比較器、143…除算要素、150…現目標微分要素、151a…分岐、151…遅延回路、152…比較器、153…除算要素、160…結合要素、170…定数要素、180…加算器、210…フィードフォワード補償要素、L1…位置制御ループ、L2…速度制御ループ、L3…電流制御ループ。
Claims (9)
- 制御周期T1の第1制御ループおよび前記第1制御ループよりも相対的に短い制御周期T2の第2制御ループを備える制御系にフィードフォワード補償信号を与えるフィードフォワード制御装置であって、
前記制御系の制御目標値として時系列的に予め設定され前記制御系の外部から前記制御周期T1に相当する時間間隔で時々刻々入力される原目標指令を所定時間遅延させることにより、現時刻における制御目標値である現目標指令を生成する遅延要素と、
前記遅延要素にて遅延されていないかあるいは前記所定時間より短い時間の遅延処理で生成され前記現目標指令に対して先行する先行目標指令を微分して先行目標微分信号を生成する先行目標微分要素と、
前記現目標指令を微分して現目標微分信号を生成する現目標微分要素と、
前記先行目標微分信号と前記現目標微分信号とに基づいて前記制御周期T2に相当する時間間隔の内挿値を生成する結合要素と、を備え、
前記内挿値に基づいて前記フィードフォワード補償信号を生成する
ことを特徴とするフィードフォワード制御装置。 - 請求項1に記載のフィードフォワード制御装置において、
前記遅延要素は、前記制御周期T1に相当する時間だけ前記原目標指令θr0(k)を遅延させて前記現目標指令θr2(k+1)を生成し、
前記先行目標微分要素は、前記現目標指令に対して前記制御周期T1に相当する時間だけ先行した先行目標指令θr1(k)に基づく微分によって前記先行目標微分信号P1(k)を生成し、
前記現目標微分要素は、前記現目標指令θr2(k+1)に基づく微分によって前記現目標微分信号P2(k+1)を生成し、
前記結合要素は、前記先行目標微分信号P1(k)および前記現目標微分信号P2(k+1)を用いた次の式(1)で表される線形補間によって前記制御周期T2に相当する時間間隔で内挿値F(m)を得る
ことを特徴とするフィードフォワード制御装置。
式(1):F(m)=P1(k)+{P2(k+1) − P1(k)}・m/N
ただし、m=1、2、3・・・、N=T1/T2 - 前記結合要素は、請求項2の前記式(1)に代えて、スプライン補間によって前記内挿値を得ることを特徴とするフィードフォワード制御装置。
- 制御周期T1の第1制御ループおよび前記第1制御ループよりも相対的に短い制御周期T2の第2制御ループを備える制御系にフィードフォワード補償信号を与えるフィードフォワード制御装置であって、
前記制御系の制御目標値として時系列的に予め設定され前記制御系の外部から前記制御周期T1に相当する時間間隔で時々刻々入力される原目標指令を所定時間遅延させることにより、現時刻における制御目標値である現目標指令を生成する遅延要素と、
前記遅延要素にて遅延されていないかあるいは前記所定時間より短い時間の遅延処理で生成され前記現目標指令に対して先行する先行目標指令が少なくとも含まれた信号を微分した先行目標微分信号を生成する先行目標微分要素と、
前記先行目標微分信号に基づいて前記制御周期T2に相当する時間間隔の内挿値を生成する結合要素と、を備え、
前記結合要素は、零次ホールド回路を備えて構成されている
ことを特徴とするフィードフォワード制御装置。 - 前記結合要素は、請求項4に記載の零次ホールド回路に代えて、ローパスフィルタを備えて構成されている
ことを特徴とするフィードフォワード制御装置。 - 制御周期T1の第1制御ループおよび前記第1制御ループよりも相対的に短い制御周期T2の第2制御ループを備える制御系にフィードフォワード補償信号を与えてフィードフォワード制御するフィードフォワード制御方法であって、
前記制御系の制御目標値として時系列的に予め設定され前記制御系の外部から前記制御周期T1に相当する時間間隔で時々刻々入力される原目標指令を所定時間遅延させることにより、現時刻における制御目標値である現目標指令を生成する遅延工程と、
前記遅延要素にて遅延されていないかあるいは前記所定時間より短い時間の遅延処理で生成され前記現目標指令に対して先行する先行目標指令が少なくとも含まれた信号を微分した先行目標微分信号を生成する先行目標微分工程と、
前記現目標指令を含んだ信号を微分した現目標微分信号を生成する現目標微分工程と、
前記先行目標微分信号と前記現目標微分信号とに基づいて前記制御周期T2に相当する時間間隔の内挿値を生成する結合工程と、を備え、
前記内挿値に基づいて前記フィードフォワード補償信号を生成する
ことを特徴とするフィードフォワード制御方法。 - 制御周期T1の第1制御ループおよび前記第1制御ループよりも相対的に短い制御周期T2の第2制御ループを備える制御系と、
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のフィードフォワード制御装置と、を備えるサーボ機構。 - 制御周期T1の第1制御ループおよび前記第1制御ループよりも相対的に短い制御周期T2の第2制御ループを備える制御系にフィードフォワード補償信号を与えるフィードフォワード制御装置にコンピュータを組み込んで、このコンピュータを、
前記制御系の制御目標値として時系列的に予め設定され前記制御系の外部から前記制御周期T1に相当する時間間隔で時々刻々入力される原目標指令を所定時間遅延させることにより、現時刻における制御目標値である現目標指令を生成する遅延要素と、
前記遅延要素にて遅延されていないかあるいは前記所定時間より短い時間の遅延処理で生成され前記現目標指令に対して先行する先行目標指令を微分した先行目標微分信号を生成する先行目標微分要素と、
前記現目標指令を微分した現目標微分信号を生成する現目標微分要素と、
前記先行目標微分信号と前記現目標微分信号とに基づいて前記制御周期T2に相当する時間間隔の内挿値を生成する結合要素と、して機能させ、
前記内挿値に基づいて前記フィードフォワード補償信号を生成する
ことを特徴とするフィードフォワード制御プログラム。 - 請求項8に記載のフィードフォワード制御プログラムを記録した記録媒体。
Priority Applications (1)
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-
2003
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