JP2005186526A - インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インク吐出口へのインク供給性を向上させ、高速描画でも所望サイズのドットを安定に記録媒体に形成できるインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクを吐出するための吐出口28が形成された吐出口基板16に第1吐出電極18を形成し、ヘッド基板12の、吐出口28と対向する位置に第2吐出電極19を形成する。第2吐出電極19に所定の電圧を印加すると、第2吐出電極からは、第1吐出電極18の下面から発生する反発電界と逆向きの電界が発生する。これにより、反発電界によるインク粒子への影響が低減され、インク粒子が速やかに吐出口28に移動し、所望濃度のインクが吐出口28に充填される。高速で連続的に液滴を吐出させても安定して所望サイズのドットを記録媒体に形成できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクを吐出して記録媒体に向けて飛翔させるインクジェットヘッド、及び、このインクジェットヘッドを用いて画像データに対応した画像を記録媒体上に記録するインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録装置は、インクを吐出口から吐出し、画像データに対応した画像を記録媒体上に記録するものである。インクジェット記録装置としては、インクの吐出制御手段の違いに応じて、静電式、サーマル式、ピエゾ式等のものが知られている。
これらインクジェット記録装置のうち、静電式インクジェット記録装置は、帯電した色材粒子(着色荷電粒子)を含むインクを用い、画像データに応じて、インクジェットヘッドの各々の吐出部に所定の電圧を印加することにより、吐出部に静電力を発生させ、この静電力を利用してインクの吐出を制御し、画像データに対応した画像を記録媒体上に記録している。この静電式インクジェット記録装置としては、例えば特許文献1に開示のインクジェット記録装置が知られている。
図5に、特許文献1に開示の静電式インクジェット記録装置のインクジェットヘッドの一例の構成概略図を示した。同図に示すインクジェットヘッド50は、特許文献1に開示のインクジェットヘッドの1つの吐出部のみを概念的に表したものであり、ヘッド基板51と、インクガイド52と、吐出口基板(絶縁性基板)53と、吐出電極(制御電極)54と、対向電極55と、DCバイアス電圧源58と、パルス電圧源59とを備えている。
特開平10−138493号公報
特許文献1に示すような従来の静電式インクジェットヘッドは、吐出電極54を吐出口基板53に設けているため、吐出電極54に駆動電圧を印加したときには、吐出電極54の上面からのみならず、吐出電極54の下面からも電界Edが発生する。すなわち、流路57を循環するインクQに、吐出電極54からヘッド基板表面51に向かう方向の電界Edが作用することになる。吐出電極54の下面からヘッド基板51に向かう方向に発生する電界Ed(以下、反発電界という)は、主流路98を循環するインクQに含まれるインク粒子が吐出口(貫通孔)56に向かうことを妨げるように作用するため、インクジェットヘッド50を駆動して吐出電極54に駆動電圧を印加したときに、吐出口56にインク粒子が濃縮することが妨げられてしまい、吐出口56にインク粒子が十分濃縮されるまでに一定の時間が必要となってしまう。このため、このようなインクジェットヘッドを用いて高速で描画を行なった場合には、ヘッド基板に設けられた吐出電極からの反発電界による吐出口へのインク粒子供給の阻害により、記録媒体に所望の大きさのドットを安定して形成することができないという問題がある。
本発明は、上記問題を解消するためになされたものであり、本発明の目的は、吐出電極からの反発電界によって吐出口にインク粒子が供給されなくなることを防止し、吐出口へのインクの供給性を向上させ、高速で連続的にインク液滴を吐出させても、所望のサイズのドットを安定して記録媒体に形成することができるインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、静電力を利用してインクをインク液滴として吐出し、記録媒体に向けて飛翔させるインクジェットヘッドであって、前記インク液滴が吐出される吐出口が開口された吐出口基板と、前記吐出口基板と所定の間隔を離して配置され、前記吐出口基板との間にインク流路を形成するヘッド基板と、前記吐出口基板に形成され、前記吐出口からインクの吐出を制御するための駆動電圧が印加される第1吐出電極と、前記ヘッド基板の、前記吐出口と対向する位置に形成され、所定の電圧が印加される第2吐出電極とを備えるインクジェットヘッドを提供する。
本発明のインクジェットヘッドにおいて、前記第2吐出電極に印加される電圧の電圧値が前記第1吐出電極に印加される駆動電圧の電圧値よりも高いことが好ましい。
また、前記第2吐出電極に印加される電圧の位相が、前記第1吐出電極に印加される駆動電圧の位相よりも進んでいることが好ましい。また、前記第2吐出電極に印加される電圧の印加時間が、前記第1吐出電極に印加される駆動電圧の印加時間と異なることが好ましい。
上記課題を解決するために、本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に従うインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置を提供する。
本発明のインクジェットヘッドは、ヘッド基板に設けられた第2吐出電極から、吐出電極として機能する第1吐出電極から発生する反発電界と反対向きの電界を発生させて、この反発電界によるインク粒子への影響を抑制又は防止することができるので、インク中のインク粒子(色材粒子)を速やかに吐出口に供給させることができる。これにより、高速で連続的にドットを描画しても、所望のサイズのドットを安定して描画することができる。また、ヘッド基板に第2吐出電極を設けることにより、吐出口に電界を形成する上で、吐出電極と吐出口との間の最適な位置関係を維持したまま、吐出口へのインク粒子供給性を向上させることができる。
本発明のインクジェット記録装置は、本発明のインクジェットヘッドを備えるので、所望のサイズのドットを記録媒体に高速に且つ安定して形成することができ、高画質な画像を高速に描画することが可能である。
以下、本発明のインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置について、添付の図面に示される好適な態様を基に、詳細に説明する。
図1に、本発明のインクジェットヘッドの一例の概略構成を示す模式的断面図を、図2(A)および図2(B)に、図1のA−A線およびB−B線矢視図を、それぞれ示す。
同図に示す静電式のインクジェットヘッド10は、ヘッド基板12と、インクガイド14と、吐出口28を有する吐出口基板16とを主に有する。また、インクジェットヘッド10のインク吐出側の面(図中、上面)に対面して、記録媒体Pを支持する対向電極24と、記録媒体Pの帯電ユニット26とが配置される。
インクジェットヘッド10は、図2に示すように、より高密度な画像記録を行うために、各吐出部(ノズル(吐出口28))が二次元的に配列されたマルチチャンネル構造を有するものであるが、図1においては、構成を明瞭に示すため、1つの吐出部のみを示す。
なお、本発明のインクジェットヘッド10において、吐出電極の個数や物理的な配置等は自由に選択することができる。例えば、図示例のようなマルチチャンネル構造のみならず、吐出部の列を1列のみ有するものであってもよい。また、記録媒体Pの全域に対応する吐出部の列を有するいわゆる(フル)ラインヘッドでもよく、あるいは、ノズル列の方向と直交する方向に走査されるいわゆるシリアルヘッド(シャトルタイプ)であってもよい。また、本発明のインクジェットヘッドは、モノクロおよびカラーのどちらの記録装置にも対応可能である。
このようなインクジェットヘッド10は、顔料等の色材成分を含み、かつ、電荷を有する微粒子(以下、色材粒子とする)を、絶縁性の液体(キャリア液)に分散してなるインクQを静電力により吐出させるものであり、画像データに応じて第1吐出電極18に印加する駆動電圧をon/off(吐出on/off)することにより、画像データに応じてインク液滴を変調して吐出し、記録媒体P上に画像を記録する。
図1に示すように、ヘッド基板12と吐出口基板16とは、対面した状態で所定間隔離間して配置される。ヘッド基板12と吐出口基板16とによって、各吐出口28にインクを供給するインクの主流路30が形成され、主流路30と吐出口28(その吐出側の開口端まで)とによってインク流路が形成される。また、主流路30は、吐出口28(インクガイド14)にインクQを供給するためのインクリザーバ(インク室)として機能する。
なお、インクQは、画像記録時には、図示されていないインク循環機構によって、所定方向、図示例では主流路30内を図中右から左へ向かって所定の速度(例えば、200mm/sのインク流)で循環される。
吐出口基板16は、図1に示すように、絶縁基板32と、ガード電極20と、第1絶縁層34と、第1吐出電極18と、第2絶縁層35とを有する。絶縁基板32の上面(ヘッド基板12と対面する側と反対面)には、ガード電極20と絶縁層34とが順に積層され、絶縁基板32の下面には第1吐出電極18と第2絶縁層35とが形成されている。
また、吐出口基板16には、インク液滴Rを吐出するための吐出口28が絶縁基板32を貫通して形成されている。吐出口基板16の各吐出口28には、先端を上方に突出してインクガイド14が挿通している。このような構造を有する吐出口基板16は、例えば、次のようにして作製することができる。まず、絶縁性の材料から成る絶縁基板32の上面にガード電極20を形成し、ガード電極20の上面及び絶縁基板32の上面の一部を覆うように第1絶縁層34を形成する。次いで、絶縁基板32の下面側の吐出口28の周囲に第1吐出電極18を形成し、絶縁基板32の下面において、第1吐出電極18が形成されている領域以外の領域を覆うように第2絶縁層35を形成する。その後、レーザ加工機等によって吐出口28を形成する。こうして図1に示すような構造を有する吐出口基板16を作製することができる。
吐出口基板12の下面(ヘッド基板16と対向する側の面)には、第1吐出電極18が、吐出口の周囲を囲むようなリング状の円形電極として形成されている。第1吐出電極18は、その中心軸が、インクガイド14及び吐出口28と略同軸になるように位置付けられている。第1吐出電極18は、信号電圧源33に接続されており、信号電圧源33は、画像デ−タや印字データ等の吐出データ(吐出信号)に応じた所定電位の駆動電圧(例えば、パルス電圧)を発生させることができる。
ここでは、第1吐出電極18を、吐出口基板12の下面に形成して、主流路30に露出させて、インクQと接液させる構造としたことにより、インク液滴の吐出性を大幅に向上させている。しかし、本発明では、このような構造に限定されるものではなく、第1吐出電極18が主流路30に露出しないように、吐出口基板12の内部に、吐出口と略同軸になるような位置に第1吐出電極18を形成してもよい。この場合は、例えば、第2絶縁層で第1吐出電極18を覆うようにして吐出口基板12を作製すればよい。
また、第1吐出電極18は、リング状の円形電極に限定されず、種々の形状の電極を用いることができる。好ましくは、絶縁基板32に形成された各々の吐出口28の周囲を囲むように配置される囲繞電極が例示され、中でも、略円形電極であることが好ましく、円形電極であることがより好ましい。また、第1吐出電極18は、円形電極のインク流の上流側の一部分を切り欠いた円弧状の形状(C字形状)にしてもよい。
また、前述のように、図示例においては、吐出口28を2次元的に配列したマルチチャンネル構造を有するので、第1吐出電極18は、図2(B)に示すように、各吐出口28に対応して2次元的に配置されている。第1吐出電極18から信号電圧源33に接続される配線は、例えば、ヘッド基板12の下面に形成することができる。
図示例のインクジェットヘッド10のインクガイド14は、突状先端部分14aを有する所定厚みのセラミック製平板からなり、各吐出口28(吐出部)に対応してヘッド基板12の上に配置されている。また、インクガイド14は、吐出口28を通過し、その先端部分14aが吐出口基板16の記録媒体P側の表面(絶縁層34の図中上側の表面(以下、便宜的に、こちら側を上、他方を下とする))よりも上部に突出している。
図示例において、インクガイド14の先端部分14aの側は、対向電極24側へ向かうに従って次第に細く略三角形(ないしは台形)に成形されている。なお、インクガイド14の形状は、インクQ、特に、インクQ内の帯電微粒子成分を吐出口基板16の吐出口28を通って先端部分14aに濃縮させることができれば、特に、制限的ではなく、例えば、先端部分14aは、突状でなくても良いなど適宜変更してもよいし、従来公知の形状とすることができる。例えば、インクガイド14の中央部分に、図中上下方向に毛細管現象によってインクQを先端部分14aに集めるインク案内溝となる切り欠きを形成しても良い。
ここで、インクガイド14の最先端部は、金属が蒸着されていることが好ましく、最先端部に金属を蒸着することにより、インクガイド14の先端部分14aの誘電率が実質的に大きくなり、強電界を生じさせ易くなり、インクの吐出性を向上できる。
図1に示すように、ヘッド基板12の下面(吐出口基板16と対面する面と反対の面)には、外部からの電界ノイズを遮蔽するためのシールド板22が配置されている。このシールド板22は、接地された導電性平板であり、吐出部の電界形成への悪影響を排除し、安定な描画性能を維持することができる。
また、ヘッド基板12の上面(吐出口基板16と対向する側の面)の、吐出口28と対向する位置には、前述したように、インクガイド14が、ヘッド基板12の表面に対して略垂直に接続されて形成されている。
また、ヘッド基板12の上面、すなわち、インク流路の底面には、第2吐出電極19としての流路底面電極が形成されている。
第2吐出電極19は、ヘッド基板12の上面において吐出口基板16の吐出口28と対向するような位置に形成されている。また、第2吐出電極19は、ヘッド基板12に形成されたインクガイド14の、ヘッド基板12との接続部の周囲を囲むようなリング状の形状を有している。第2吐出電極19は、信号電圧源37と接続されており、信号電圧源37は、種々の波形パターンでパルス電圧を発生させることができる。第2吐出電極19には、第1吐出電極18に印加される駆動電圧に応じて、信号電圧源37により種々の波形パターンでパルス電圧が印加される。
第2吐出電極19は、信号電圧源37から所定のパルス電圧が印加されたときに、吐出口基板16に向かう方向に所定の強度の電界を発生する。この吐出口基板16に向かう方向に発生する電界により、主流路30には、第1吐出電極18からの反発電界が殆ど形成されなくなる。このため、主流路30に存在するインク粒子に、第1吐出電極18からの反発電界が作用することが低減又は防止され、主流路30に存在するインク粒子は吐出口28に速やかに供給される。
ここで、第2吐出電極19に印加させるパルス電圧のパルス波形として最適な波形について説明する。図3に、第2吐出電極19に印加させるパルス電圧として最適なパルス波形の例を示した。
図3(A)は、第1吐出電極18に印加される駆動電圧のパルス波形の一例であり、図3(B)〜図3(E)は、第2吐出電極19に印加されるパルス波形の一例である。図3(B)は、第1吐出電極18に印加するパルス電圧と同位相で、且つ、電圧値が大きいパルス波形である。このようなパルス波形で第2吐出電極19にパルス電圧を印加すると、第1吐出電極18の下面側から反発電界が発生することがなく、第2吐出電極19の上面から吐出口基板16に向かう方向へ電界が形成される。そのため、主流路30に存在するインク粒子が吐出口28に速やかに供給される。
また、図3(C)は、第1吐出電極18に印加するパルス電圧よりも位相が早く、且つパルス幅が同じパルス波形である。このパルス波形では、第2吐出電極19に印加するパルス電圧を、第1吐出電極18に印加するパルス電圧よりも進めているために、第1吐出電極18の下面側から反発電界が発生する前に、第2吐出電極19の上面から吐出口基板16に向かう方向の電界が発生する。このため、吐出口28からインクが吐出される前に、第2吐出電極19の上面側から発生する電界により吐出口28にインク粒子が速やかに供給され、吐出口に十分に濃縮されたインクが供給される。
また、図3(D)では、第2吐出電極19に印加するパルス電圧のパルス幅を、第1吐出電極18に印加する電圧のパルス幅と同じにしたが、図3(D)に示すように、第2吐出電極19に印加するパルス電圧のパルス幅を、第1吐出電極18に印加する電圧のパルス幅よりも短くしてもよい。
また、図3(E)は、第2吐出電極19に印加する1パルス中に、第1吐出電極18の1パルスが含まれるようなパルス波形である。すなわち、第1吐出電極18に印加するパルス電圧よりも位相が早く、且つ、パルス幅の長いパルス電圧が第2吐出電極19に印加される。このようなパルス波形で第2吐出電極19にパルス電圧を印加すると、第1吐出電極18に駆動電圧が印加される前と後において、第2吐出電極19から吐出口基板16に向かう方向の電界がインク粒子に作用するため、インク粒子が吐出口28に速やかに供給される。
以上に示したいずれのパルス波形のパルス電圧を第2吐出電極19に印加しても、第1吐出電極18への駆動電圧の印加を開始したときには、第1吐出電極18からの反発電界と逆向きに第2吐出電極19からの電界が発生しているので、主流路30に存在するインク粒子を吐出口28に確実に且つ速やかに供給することができ、吐出口28へのインクの供給性を一層高めることができる。
第2吐出電極19に印加する電圧の波形は、図3(B)〜(E)に示した波形に限定されず、インクジェットヘッドの吐出性能に応じてパルス幅や電圧値、位相を適宜変更することが可能である。すなわち、本発明では、吐出電極を、吐出口基板16と流路底面とにそれぞれ第1吐出電極18及び第2吐出電極19として設置しており、それらの吐出電極には、基本的には、画像データに応じて同一の信号を印加する。しかしながら、これに限定されるものではなく、インクジェットヘッドの吐出性能に応じて、それら2つの吐出電極に印加する信号の電圧値、位相及びパルス幅の少なくとも一つを調整することが好ましい。
ここでは、第2吐出電極19の形状を円形としたが、第2吐出電極19の形状は特に限定されるものではなく、第1吐出電極18からの反発電界によるインク粒子への影響を低減することができれば、任意の形状にすることができる。好ましくは、絶縁基板32に形成された各々の吐出口28の周囲を囲むような囲繞電極が例示され、中でも、略円形電極であることが好ましく、円形電極であることがより好ましい。また、第2吐出電極19を、円形電極のインク流の上流側の一部分を切り欠いた円弧状の形状(C字形状)にしてもよい。
また、第2吐出電極19の形状は、第1吐出電極18の形状に応じて変更することもでき、例えば、第1吐出電極18を、インク流の上流側を切り欠いた円弧状の形状とした場合には、第2吐出電極19も同様にインク流の上流側を切り欠いた円弧状の形状にしてもよいし、円形電極としてもよい。
また、図1に示したインクジェットヘッド10では、第2吐出電極19を主流路30に露出させてインクQと接するように配置したが、ヘッド基板12の内部に形成して主流路30に露出しないように形成してもよい。或いは、第2吐出電極19を覆うように、例えば絶縁層を形成して、第2吐出電極19が主流路30に露出しないようにしてもよい。
本発明において、第1吐出電極18の内径と、第1吐出電極18の表面からインクガイド14の先端までの距離は、1:0.5〜1:2の範囲内にあることが好ましく、1:0.7〜1:1.7の範囲内にあることが、より一層好ましい。すなわち、図1に示すように、第1吐出電極18の内径をrとし、第1吐出電極18の表面からインクガイド14の先端までの距離をhとしたときに、h/rが、0.5〜2の範囲内になるように、より好ましくは、0.7〜1.7の範囲内になるように、第1吐出電極18の内径、及び、第1吐出電極18の表面からインクガイドの先端までの距離の少なくとも一方を調整することが好ましい。これは、第1吐出電極18により形成される電界が収束し、最も強い電界を形成する領域が前記範囲となるからであり、吐出位置であるインクガイド先端を、前記範囲を満たすような位置に配置することにより、第1吐出電極18への印加電圧を従来よりも低くしても、インクガイドの先端から確実に液滴を吐出させることが可能となる。すなわち、吐出電極への印加電圧の低電圧化を実現することが可能となる。
ここで、略円形電極等のように一定の内径でない囲繞電極の内径としては、平均内径など実質的に内径と見なせる有効内径を用いれば良い。また、吐出電極として、平行電極を用いた場合には、上記吐出電極の内径としては平行電極の間隔とすればよく、略平行電極を用いた場合には、平均間隔など実質的に間隔と見なせる有効間隔とすれば良い。
ガード電極20は、第1吐出電極18よりも記録媒体Pに近い位置に設けられ、第1吐出電極18から発生する電気力線が、その第1吐出電極18に対応する吐出口28と隣接している吐出口に配置されているインクガイド先端部に到達しないように位置付けられている。ここでは、ガード電極20は、吐出口基板16の上面に形成されており、かつ、その表面は絶縁層34によって覆われている。図2(A)に示すように、ガード電極20は、金属板などの各吐出電極に共通なシート状の電極であり、2次元的に配列されている各吐出口28に対応する開口部36が穿孔されている。
ガード電極20は、隣接する第1吐出電極18間における電気力線を遮蔽して、隣接する吐出電極間における電界干渉を抑制することができる。ガード電極20には、所定電圧が印加され(接地による0Vを含む)、図示例においては、ガード電極20は接地されて0Vとされている。
ここで、ガード電極20は、第1吐出電極18から発生する電気力線の内、吐出部である、対応する吐出口28に配置されたインクガイドの先端部(以下、便宜的に「自チャンネル」とする)に作用する電気力線を確保しつつ、他の第1吐出電極18からの電気力線および他の吐出口28に配置されたインクガイド14の先端部(同「他チャンネル」とする)への電気力線を遮蔽するように設ける必要がある。
ガード電極20が無い場合、第1吐出電極18の内周部から生じる電気力線は、第1吐出電極18の内側に収束して自チャンネルに作用し、必要な電界を生じさせる。一方、第1吐出電極18の外周部から生じる電気力線は、外側に発散して他チャンネルに影響を及ぼし、電界干渉を生じる。
以上の点を考慮すれば、ガード電極20の開口部36の径は、自チャンネルへの電気力線を遮蔽しないように、自チャンネルの第1吐出電極18の内径よりも大きくするのが好ましい。すなわち、ガード電極20の吐出口28側の端部(以下、各部材の吐出口側端部を「内縁部」、逆側端部を「外縁部」とする)は、自チャンネルの第1吐出電極18の内縁部よりも、吐出口28から離間(後退)しているのが好ましい。
また、他チャンネルへの電気力線を効率的に遮蔽するためには、ガード電極20の開口部36の径は、自チャンネルの第1吐出電極18の外径よりも小さくするのが好ましい。すなわち、ガード電極20の内縁部は、自チャンネルの第1吐出電極18の外縁部より、吐出口28に近接(前進)しているのが好ましい。
上記構成を有することにより、吐出口28からの吐出安定性を十分に確保した上で、隣接するチャンネル間における電界干渉に起因するインク着弾位置のバラツキ等を好適に抑制して、安定して高画質な画像記録を行うことが可能となる。
以上の例では、第1吐出電極18を円形電極として説明したが、第1吐出電極18が円形電極でない場合には、その形状に応じて、平均径など実質的に直径と見なせる有効径を考慮すればよい。あるいは、ガード電極20の開口部36を、第1吐出電極18の内周側形状または外周側形状と略相似形にし、第1吐出電極18の周方向の各位置において、その内縁部が、自チャンネルの第1吐出電極18の内縁部よりも吐出口28から離間(後退)し、同外縁部より吐出口28に近接(前進)するように、ガード電極20を設けてもよい(すなわち、ガード電極20の開口部36を形成してもよい)。
また、以上の例では、ガード電極20は、シート状電極としているが、本発明はこれには限定されず、各吐出部間において、他チャンネルの電気力線を遮蔽できるように設けられていれば、どのようなものでも良い。例えば、ガード電極20は、各吐出部の間に網目状に設けられていても良いし、吐出部が電界干渉を生じない程十分離れている部分には設けられず、近接している吐出部の間にのみ設けられていても良い。
このような場合にも、自チャンネルの第1吐出電極18に対して、その内縁部が、第1吐出電極18の内縁部よりも吐出口28から離間し、第1吐出電極18の外縁部より吐出口28に近接するように、ガード電極20を形成すればよい。
前述のように、図1においては、インクジェットヘッド10のインク液滴Rの吐出面と対面するように、対向電極24が配置される。
対向電極24は、インクガイド14の先端部分14aに対向する位置に配置され、接地される電極基板24aと、電極基板24aの図中下側の表面、すなわちインクジェットヘッド10側の表面に配置される絶縁シート24bで構成される。
記録媒体Pは、対向電極24の図中下側の表面、すなわち絶縁シート24bの表面に、例えば静電吸着によって支持されており、対向電極24(絶縁シート24b)は、記録媒体Pのプラテンとして機能する。
対向電極24の絶縁シート24bに保持された記録媒体Pは、少なくとも記録時には、帯電ユニット26によって、第1吐出電極18に印加される駆動電圧(例えば、パルス電圧)と逆極性の所定の負の高電圧、例えば、−1.5kVに帯電される。
その結果、記録媒体Pは負帯電して負の高電圧にバイアスされ、吐出電圧18に対する実質的な対向電極として作用し、かつ、対向電極24の絶縁シート24bに静電吸着される。
帯電ユニット26は、記録媒体Pを負の高電圧に帯電させるためのスコロトロン帯電器26aと、スコロトロン帯電器26aに負の高電圧を供給するバイアス電圧源26bとを有している。なお、本発明に用いられる帯電ユニット26の帯電手段としては、スコロトロン帯電器26aに限定されず、コロトロン帯電器、固体チャージャ、放電針などの種々の放電手段を用いることができる。
また、図示例においては、対向電極24を電極基板24aと絶縁シート24bとで構成し、記録媒体Pを、帯電ユニット26によって負の高電圧に帯電させることにより、バイアス電圧を印加して対向電極として作用させ、かつ、絶縁シート24bの表面に静電吸着させているが、本発明はこれに限定されず、対向電極24を電極基板24aのみで構成し、対向電極24(電極基板24a自体)を負の高電圧のバイアス電圧源に接続して、負の高電圧に常時バイアスしておき、対向電極24の表面に記録媒体Pを静電吸着させるようにしても良い。
また、記録媒体Pの対向電極24への静電吸着と、記録媒体Pへの負の高電圧への帯電または対向電極24への負のバイアス高電圧の印加とを別々の負の高電圧源によって行っても良いし、対向電極24による記録媒体Pの支持は、記録媒体Pの静電吸着に限られず、他の支持方法や支持手段を用いても良い。
以下、インクジェットヘッド10におけるインク液滴Rの吐出作用を説明することにより、本発明について、より詳細に説明する。
図1に示すインクジェットヘッド10では、記録時に、図示しないポンプ等を含むインク循環機構により、第1吐出電極18に印加される電圧と同極性、例えば、正(+)に帯電した色材粒子を含むインクQを、主流路30の内部を矢印方向(図中右から左方向)に循環させる。
他方、記録に際して、記録媒体Pは、対向電極24に供給され、帯電ユニット26によって色材粒子の逆極性すなわち負の高電圧(一例として、−1500V)に帯電されて、バイアス電圧を帯電した状態で、対向電極24に静電吸着される。また、シールド板22は接地されている。
この状態で、記録媒体P(対向電極24)とインクジェットヘッド10とを、相対的に移動しつつ、供給された画像データに応じて信号電圧源33から第1吐出電極18及び第2吐出電極19に駆動電圧(パルス電圧)を印加し、この駆動電圧の印加on/offによって吐出をon/offすることにより、画像データに応じてインク液滴Rを変調して吐出し、記録媒体P上に画像を記録する。
ここで、第1吐出電極18及び第2吐出電極19に駆動電圧を印加していない状態(あるいは、印加電圧が低電圧レベルである状態)、すなわち、バイアス電圧のみが印加されている状態では、インクQには、バイアス電圧とインクQの色材粒子(荷電粒子)の荷電とのクーロン引力、色材粒子間のクーロン反発力、キャリア液の粘性、表面張力、誘電分極力等が作用し、これらが連成して、色材粒子やキャリア液が移動し、図1に概念的に示すように、吐出口28から若干盛り上がったメニスカス状となってバランスが取れている。
また、このクーロン引力等によって、色材粒子は、いわゆる電気泳動でバイアス電圧が帯電された記録媒体Pに向かって移動する。すなわち、吐出口28のメニスカスにおいては、インクQが濃縮された状態となっている。
この状態から、第1吐出電極18及び第2吐出電極19に駆動電圧が印加される。これにより、バイアス電圧に駆動電圧が重畳され、先の連成に、さらにこの駆動電圧の重畳によって連成された運動が起こり、静電力によって色材粒子およびキャリア液がバイアス電圧(対向電極)側、すなわち記録媒体P側に引っ張られ、前記メニスカスが成長して、その上部から略円錐状のインク液柱いわゆるテーラーコーンが形成される。また、先と同様に、色材粒子は電気泳動によってメニスカスに移動しており、メニスカスのインクQは濃縮され、色材粒子を多数有する、ほぼ均一な高濃度状態となっている。
駆動電圧の印加開始後、さらに有限な時間が経過すると、色材粒子の移動等により、電界強度の高いメニスカスの先端部分で、主に色材粒子とキャリア液の表面張力とのバランスが崩れ、メニスカスが急激に伸びて、曳糸と呼ばれる直径数μm〜数十μm程度の細長いインク液柱が形成される。
さらに有限な時間が経過すると曳糸が成長し、この曳糸の成長、レイリー/ウエーバー不安定性によって発生する振動、メニスカス内における色材粒子の分布不均一、メニスカスにかかる静電界の分布不均一等の相互作用によって曳糸が分断され、インク液滴Rとなって吐出/飛翔し、かつ、バイアス電圧にも引っ張られて、記録媒体Pに着弾する。なお、曳糸の成長および分断は、さらにはメニスカス(曳糸)への色材粒子の移動は、駆動電圧の印加中は連続して発生する。
また、駆動電圧の印加を終了(吐出off)した時点で、バイアス電圧のみが印加された先のメニスカスの状態に戻る。
ここで、本発明のインクジェットヘッド10においては、第1吐出電極18及び第2吐出電極19は、その一部が主流路30に露出しており、すなわち、主流路30において、インクQと接液している。
このように、主流路30および吐出口28(その開口端部まで)で形成されるインク流路においてインクQと接液する第1吐出電極18及び第2吐出電極19に駆動電圧を印加(吐出on)すると、第1吐出電極18及び第2吐出電極19に供給された電荷の一部がインクQに注入され、吐出口28と第1吐出電極18との間に位置するインクQの電導度が高くなる。また、吐出口28と第1吐出電極18との間に浮遊する帯電した色材粒子は、第1吐出電極18からの静電力によって吐出口28に向けて押し上げられる。その結果、本発明のインクジェットヘッド10においては、インクQは、第1吐出電極18及び第2吐出電極19に駆動電圧が印加された時(吐出on時)にのみ、著しく、インク液滴Rを吐出し易い状態となる(吐出性が向上する)。
上記構成の静電式のインクジェットは、インク液滴を吐出するために第1吐出電極18に印加する駆動電圧を従来に比して大幅に低くしても、安定してインク液滴の吐出を行うことができる。本発明者の検討によれば、一例として、従来の静電式のインクジェットヘッドにおいて、バイアス電圧−1500Vで、1000Vの駆動電圧が必要であった場合であっても、上記構成のインクジェットヘッドによれば、400V程度の駆動電圧で、安定したインク液滴Rの吐出が可能であった。従って、本実施形態に示すインクジェットヘッドによれば、安価な電源を用い、低電圧の駆動電圧のon/offでインク液滴の吐出on/offを安定して制御することができる。
また、吐出性が向上することにより、記録媒体P(対向電極24)にかかるバイアス電圧を低くし、および/または、吐出性の低いインク(例えば、低電導度のインク)を用いた際でも、駆動電圧を上げることなく、吐出on時における十分なインク液滴の吐出性を確保した上で、安定した吐出を行うことができる。すなわち、吐出on時における吐出性を確保した上で、吐出off時における吐出性を低くすることができる。従って、本発明によれば、吐出on時と吐出off時における吐出性の差を従来よりも大幅に拡大して、より安定したインク液滴の吐出を行うことができる。
しかも、本発明によれば、駆動電圧を低くできるので、隣接する第1吐出電極18間における電界干渉も低減できる。さらに、上記構成によれば、インクの色材粒子の被膜化等に起因する第1吐出電極18とガード電極20との間における短絡および放電も防止できる。
つぎに、本発明のインクジェットヘッドに用いられるインクについて説明する。
上述したインクジェットヘッド10が吐出するインクQ(インク組成物)は、色材粒子(色材を含み、かつ,帯電した微粒子)をキャリア液に分散してなるものである。
キャリア液は、高い電気抵抗率(109 Ω・cm以上、好ましくは1010Ω・cm以上)を有する誘電性の液体(非水溶媒)であるのが好ましい。キャリア液の電気抵抗が低いと、制御電極に印加される駆動電圧により、キャリア液自身が電荷注入を受けて帯電してしまい、色材粒子の濃縮がおこらない。また、電気抵抗の低いキャリア液は、隣接する制御電極間での電気的導通を生じさせる懸念もあるため、本発明には不向きである。
キャリア液として用いられる誘電性液体の比誘電率は、5以下が好ましく、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3.5以下である。このような比誘電率の範囲とすることによって、キャリア液中の色材粒子に有効に電界が作用し、泳動が起こりやすくなる。
なお、このようなキャリア液の固有電気抵抗の上限値は1016Ωcm程度であるのが望ましく、比誘電率の下限値は1.9程度であるのが望ましい。キャリア液の電気抵抗が上記範囲であるのが望ましい理由は、電気抵抗が低くなると、低電界下でのインクの吐出が悪くなるからであり、比誘電率が上記範囲であるのが望ましい理由は、誘電率が高くなると溶媒の分極により電界が緩和され、これにより形成されたドットの色が薄くなったり、滲みを生じたりするからである。
キャリア液として用いられる誘電性液体としては、好ましくは直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、または芳香族炭化水素、および、これらの炭化水素のハロゲン置換体がある。例えば、へキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM(アイソパー:エクソン社の商品名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾール:シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ:スピリッツ社の商品名)、シリコーンオイル(例えば、信越シリコーン社製KF−96L)等を単独あるいは混合して用いることができる。
このようなキャリア液に分散される色材粒子は、色材自身を色材粒子としてキャリア液中に分散させてもよいが、好ましくは、定着性を向上させるための分散樹脂粒子を含有させる。分散樹脂粒子を含有させる場合、顔料などは分散樹脂粒子の樹脂材料で被覆して樹脂被覆粒子とする方法などが一般的であり、染料などは分散樹脂粒子を着色して着色粒子とする方法などが一般的である。
色材としては、従来からインクジェットインク組成物、印刷用(油性)インキ組成物、あるいは静電写真用液体現像剤に用いられている顔料および染料であればどれでも使用可能である。
色材として用いる顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ぺリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、等の従来公知の顔料を特に限定なく用いることができる。
色材として用いる染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、アニリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ペンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染料が好ましく例示される。
さらに、分散樹脂粒子としては、例えば、ロジン類、ロジン変性フェノール樹脂、アルキッド樹脂、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニールアルコールのアセタール変性物、ポリカーボネート等を挙げられる。
これらのうち、粒子形成の容易さの観点から、重量平均分子量が2,000〜1000,000の範囲内であり、かつ多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が、1.0〜5.0の範囲内であるポリマーが好ましい。さらに、前記定着の容易さの観点から、軟化点、ガラス転移点または、融点のいずれか1つが40℃〜120℃の範囲内にあるポリマーが好ましい。
インクQにおいて、色材粒子の含有量(色材粒子あるいはさらに分散樹脂粒子の合計含有量)は、インク全体に対して0.5〜30重量%の範囲で含有されることが好ましく、より好ましくは1.5〜25重量%、さらに好ましくは3〜20重量%の範囲で含有されることが望ましい。色材粒子の含有量が少なくなると、印刷画像濃度が不足したり、インクQと記録媒体P表面との親和性が得られ難くなって強固な画像が得られなくなったりするなどの問題が生じ易くなり、一方、含有量が多くなると均−な分散液が得られにくくなったり、インクジェットヘッド等でのインクQの目詰まりが生じやすく、安定なインク吐出が得られにくいなどの問題が生じるからである。
また、キャリア液に分散された色材粒子の平均粒径は、0.1〜5μmが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5μmであり、更に好ましくは0.4〜1.0μmである。この粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製商品名)により求めたものである。
色材粒子をキャリア液に分散させた後(必要に応じて、分散剤を使用しても可)、荷電制御剤をキャリア液に添加することにより色材粒子を荷電して、荷電した色材粒子をキャリア液に分散してなるインクQとする。なお、色材粒子の分散時には、必要に応じて、分散媒を添加してもよい。
荷電制御剤は、一例として、電子写真液体現像剤に用いられている各種のものが利用可能である。また、「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社、1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁(1977年)等に記載の各種の荷電制御剤も利用可能である。
なお、色材粒子は、吐出電極に印加される駆動電圧と同極性であれば、正電荷および負電荷のいずれに荷電したものであってもよい。
また、色材粒子の荷電量は、好ましくは5〜200μC/g、より好ましくは10〜150μC/g、さらに好ましくは15〜100μC/gの範囲である。
また、荷電制御剤の添加によって誘電性溶媒の電気抵抗が変化することもあるため、下記に定義する分配率Pを、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上とする。
P=100×(σ1−σ2)/σ1
ここで、σ1は、インクQの電気伝導度、σ2は、インクQを遠心分離器にかけた上澄みの電気伝導度である。電気伝導度は、LCRメーター(安藤電気(株)社製AG−4311)および液体用電極(川口電機製作所(株)社製LP−05型)を使用し、印加電圧5V、周波数1kHzの条件で測定を行った値である。また遠心分離は、小型高速冷却遠心機(トミー精工(株)社製SRX−201)を使用し、回転速度14500rpm、温度23℃の条件で30分間行った。
以上のようなインクQを用いることによって、荷電粒子の泳動が起こりやすくなり、濃縮しやすくなる。
インクQの電気伝導度は、100〜3000pS/cmが好ましく、より好ましくは150〜2500pS/cm、さらに好ましくは200〜2000pS/cmである。以上のような電気伝導度の範囲とすることによって、吐出電極に印加する電圧が極端に高くならず、隣接する記録電極間での電気的導通を生じさせる懸念もない。
また、インクQの表面張力は、15〜50mN/mの範囲が好ましく、より好ましくは15.5〜45mN/mさらに好ましくは16〜40mN/mの範囲である。表面張力をこの範囲とすることによって、吐出電極に印加する電圧が極端に高くならず、ヘッド周りにインクが漏れ広がり汚染することがない。
さらに、インクQの粘度は0.5〜5mPa・secが好ましく、より好ましくは0.6〜3.0mPa・sec、さらに好ましくは0.7〜2.0mPa・secである。
このようなインクQは、一例として、色材粒子をキャリア液に分散して粒子化し、かつ、荷電調整剤を分散媒に添加して、色材粒子に荷電を生じさせることで、調製できる。具体的な方法としては、以下の方法が例示される。
(1)色材あるいはさらに分散樹脂粒子をあらかじめ混合(混練)した後、必要に応じて分散剤を用いてキャリア液に分散し、荷電調整剤を加える方法。
(2)色材、あるいはさらに分散樹脂粒子および分散剤を、キャリア液に同時に添加して、分散し、荷電調整剤を加える方法。
(3)色材および荷電調整剤、あるいはさらに分散樹脂粒子および分散剤を、同時にキャリア液に添加して、分散する方法。
なお、本発明においては、従来のインクジェット方式のように、インク全体に力を作用させて、インクを記録媒体に向けて飛翔させるのではなく、主に、キャリア液に分散させた固形成分である色材粒子に力を作用させて、飛翔させる。
その結果、普通紙を初めとして、非吸収性のフィルム(例えばPETフィルム等)などの種々の記録媒体Pに画像を記録することができ、また、記録媒体P上で、滲みや流動を生じることなく、種々の記録媒体に対して、高画質な画像を得ることができる。
図4に、本発明のインクジェットヘッドを利用する本発明のインクジェット記録装置の一実施例の概念図を示す。
同図に示すインクジェット記録装置60(以下、プリンタ60とする)は、記録媒体Pに片面4色印刷を行う装置で、記録媒体Pの搬送手段、画像記録手段、および溶媒回収手段を有するものであり、これらを筐体61に収容して構成される。
また、搬送手段は、フィードローラ対62、ガイド64、ローラ66(66a,66bおよび66c)、搬送ベルト68、搬送ベルト位置検知手段69、静電吸着手段70、除電手段72、剥離手段74、定着・搬送手段76およびガイド78を有する。画像記録形成手段は、ヘッドユニット80、インク循環系82、ヘッドドライバ84、および記録媒***置検出手段86を有する。さらに、溶媒回収手段は、排出ファン90および溶媒回収装置92を有する。
記録媒体Pの搬送手段において、フィードローラ対62は、筐体61の側面に設けられた搬入口61aに隣接して設けられた搬送ローラ対である。フィードローラ62は、図示しないストッカから供給された記録媒体Pを、搬送ベルト68(ローラ66aに支持される部分)に送り込む。ガイド64は、フィードローラ対62と搬送ベルト68を支持するローラ66aとの間に設けられ、記録媒体Pを搬送ベルト68に案内する。
なお、フィードローラ対62の近傍には、記録媒体Pに付着した塵埃や紙粉等異物を除去する異物除去手段を設けるのが好ましい。
異物除去手段としては、公知の吸引除去、吹き飛ばし除去、静電除去等の非接触法や、ブラシ、ローラ等による接触法によるものの1以上を組み合わせて使用すればよい。また、フィードローラ対62を微粘着ローラとし、さらにフィードローラ対62のクリーナを設けて、フィードローラ対62による記録媒体Pのフィード時に塵埃・紙粉等の異物の除去を行っても良い。
搬送ベルト68は、3つのローラ66に張架されるエンドレスベルトである。また、ローラ66a、66bおよび66cのうち少なくとも1つは、図示されない駆動源と連結されており、搬送ベルト68を回転させる。
搬送ベルト68は、ヘッドユニット80による画像記録時には、記録媒体Pの走査搬送手段に加え、記録媒体Pを保持するプラテンとして機能し、さらに、画像記録後、定着・搬送手段76まで搬送する。従って、搬送ベルト68は、寸法安定性に優れ、耐久性を有する材料で形成されるのが好ましく、例えば、金属、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、その他の樹脂およびそれらの複合体で形成される。
図示例においては、記録媒体Pは、静電吸着によって搬送ベルト68上に保持されるので、搬送ベルト68は、記録媒体Pを保持する側(表面)が絶縁性、ローラ66と接する側(裏面)が導電性を有する。また、図示例においては、ローラ66aは導電性ローラとされ、搬送ベルト68の裏面は、ローラ66aを介して接地されている。
すなわち、搬送ベルト68は、記録媒体Pを保持するとき、図1に示す電極基板24aと絶縁シート24bからなる対向電極24として機能するものである。
このような搬送ベルト68としては、金属ベルトの表面側にフッ素樹脂コートを行ったもの等、金属ベルトに上記のいずれかの樹脂材料でコーティングしたベルト、接着材等で樹脂シートと金属ベルトを張り合わせたベルト、上記の樹脂から成るベルトの裏面に金属蒸着したベルト等、各種の方法により作製された、金属層と絶縁物層とを有するベルトを用いればよい。
また、搬送ベルト68の記録媒体Pに接する表面は平滑であるのが好ましく、これにより、記録媒体Pの良好な吸着性が得られる。
搬送ベルト68は、公知の方法により蛇行が抑制されているのが好ましい。蛇行抑制の方法としては、例えば、ローラ66cをテンションローラとし、搬送ベルト位置検知手段69の出力、すなわち搬送ベルト68の幅方向の検知位置に応じて、ローラ66cの軸をローラ66aおよびローラ66bの軸に対して傾けることにより、搬送ベルトの幅方向の両端でテンションを変えて蛇行を抑制する方法等が例示される。また、ローラ66をテーパ形やクラウン形、あるいはその他の形状とすることで、蛇行を抑制してもよい。
ここで、搬送ベルト位置検知手段69は、上述のように、搬送ベルトの蛇行などを抑制すると共に、画像記録時の記録媒体Pの走査搬送方向の位置を所定位置に規制するために、搬送ベルト68の幅方向の位置を検知するもので、フォトセンサ等の公知の検知手段が用いられる。
静電吸着手段70は、記録媒体Pに、ヘッドユニット80(本発明のインクジェットヘッド)に対する所定のバイアス電圧を印加すると共に、静電力により搬送ベルト68に吸着させて保持するために、記録媒体Pを所定の電位に帯電させるものである。
図示例おいては、静電吸着手段70は、記録媒体Pを帯電させるスコロトロン帯電器70aと、スコロトロン帯電器70aに接続される負の高圧電源70bとを有する。記録媒体Pは、フィードローラ対62および搬送ベルト68によって搬送されつつ、負の高圧電源70bに接続されたスコロトロン帯電器70aにより、負のバイアス電圧を帯電され、かつ、搬送ベルト68の絶縁層に静電吸着される。
なお、記録媒体Pを帯電する際の搬送ベルト68の搬送速度は、安定に帯電できる範囲であれば良く、画像記録時の搬送速度と同じでも異なっていても良い。また、記録媒体Pを複数回周回させることによって、同一の記録媒体Pに静電吸着手段を複数回作用させ、均一帯電を行っても良い。
なお、図示例では、静電吸着手段70で記録媒体Pの静電吸着および帯電を行っているが、静電吸着手段と帯電手段とを別々に設けてもよい。
静電吸着手段は、図示例のスコロトロン帯電器70aに限定されず、他にも、コロトロン帯電器、固体チャージャ、放電針等、種々の手段や方法が利用できる。また、後に詳述するように、ローラ66の少なくとも1つを導電性ローラとし、あるいは、記録媒体Pへの記録位置において搬送ベルト68の裏面側(記録媒体Pと逆側)に導電性プラテンを配置し、この導電性ローラ、または導電性プラテンを負の高圧電源に接続することにより、静電吸着手段70を構成してもよく、あるいは搬送ベルト68を絶縁性ベルトとし、導電性ローラを接地し、導電性プラテンを負の高圧電源に接続する構成としても良い。
静電吸着手段70によって帯電された記録媒体Pは、搬送ベルト68によって後述するヘッドユニット80の位置まで搬送される。
ヘッドユニット80は、前記本発明のインクジェットヘッドを用いて、画像データに応じてインク液滴を吐出して、記録媒体Pに画像を記録する。ここで、本発明のインクジェットヘッドは、記録媒体Pの帯電電位をバイアス電圧とし、第1吐出電極18に駆動電圧を印加することにより、バイアス電圧に駆動電圧を重畳し、インク液滴Rを吐出し、記録媒体Pに画像を記録するのは、前述のとおりである。この際、搬送ベルト68の加熱手段を設け、記録媒体Pの温度を高めることで、記録媒体P上におけるインク液滴Rの定着を促進することができ、滲みをより一層抑制して画質の向上を図ることができる。
なお、ヘッドユニット80等による画像記録に関しては、後に詳述する。
画像が記録された記録媒体Pは、除電手段72により除電され、剥離手段74により搬送ベルト68より剥離されて定着・搬送手段76へ搬送される。
図示例において、除電手段72は、コロトロン除電器72aと、交流電源72bと、一端が接地された直流高圧電源72cとを有する、いわゆるACコロトロン除電器である。なお、除電手段は、これ以外にも、例えばスコロトロン除電器、固体チャージャ、放電針等の種々の手段や方法などが利用でき、また、上述の静電吸着手段70のように、導電性ローラや導電性プラテンを用いる構成も好適に使用される。
剥離手段74としては、剥離用ブレード、逆回転ローラ、エアナイフ等公知の技術が利用可能である。
搬送ベルト68から剥離された記録媒体Pは、定着・搬送手段76に送られ、インクジェットによって形成された画像が定着される。定着・搬送手段76としてヒートローラ76aおよび搬送ローラ76bからなるローラ対を用い、記録媒体Pを挟持搬送しつつ、記録された画像を加熱定着する。
画像が定着された記録媒体Pは、ガイド78に案内されて図示しない排紙ストッカに排紙される。
加熱定着手段としては、上述のヒートロール定着以外に、赤外線またはハロゲンランプやキセノンフラッシュランプによる照射、あるいはヒータを利用した熱風定着等の一般的な加熱定着を挙げることができる。また、加熱定着・搬送手段76においては、加熱手段は、加熱のみを行うものとし、搬送手段と加熱定着手段とを別々に設けてもよい。
なお、加熱定着の場合、記録媒体Pとして、コート紙やラミネート紙を用いた場合には、急激な温度上昇により紙内部の水分が急激に蒸発し紙表面に凹凸が発生する、ブリスターと呼ばれる現象が生じる可能性がある。これを防止するために、複数の定着器を配置し、記録媒体Pが徐々に昇温するように、各定着器の電力供給および記録媒体Pまでの距離の一方または両方を変えるのが好ましい。
なお、プリンタ60においては、少なくともヘッドユニット80による画像記録から、定着・搬送手段76による定着を終了するまでは、記録媒体Pの画像記録面には何も接触しないように構成するのが好ましい。
また、定着・搬送手段76における定着の際の記録媒体Pの移動速度には、特に限定はなく、画像形成時の搬送ベルト68による搬送速度と同じであっても良いし、異なっていても良い。画像形成時の搬送速度と異なる場合には、定着・搬送手段76の直前に記録媒体Pの速度バッファを設けるのも好ましい。
以下、プリンタ60における画像記録について詳述する。
前述のように、プリンタ60の画像記録手段は、インクジェットを吐出するヘッドユニット80、ヘッドユニット80にインクQの供給および回収を行うインク循環系82、図示されないコンピュータ、RIP(Raster Image Processor)等の外部機器からの出力画像信号によりヘッドユニット80を駆動するヘッドドライバ84、記録媒体Pにおける画像記録位置を決定するために記録媒体Pを検出する記録媒***置検出手段86を有して構成される。
図4(B)は、ヘッドユニット80と、その周辺の記録媒体Pの搬送手段を模式的に示す斜視図である。
ヘッドユニット80は、フルカラー画像の記録を行うためのシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色のインク吐出に対応して、4つのインクジェットヘッド80aを有し、画像データを供給されたヘッドドライバ84からの信号に従って、インク循環系82によって供給されるインクQをインク液滴Rとして吐出して、搬送ベルト68によって所定速度で搬送されている記録媒体Pに画像を記録する。各色のインクジェットヘッド80aは、搬送ベルト68の搬送方向に配列されている。
なお、ヘッドユニット80の各色のインクジェットヘッド80aは、前記本発明のインクジェットヘッドである。
図示例において、各インクジェットヘッド80aは、吐出口28が記録媒体Pの幅方向全域に配列されたラインヘッドであり、好ましくは、図2に示されるように、互いに千鳥状となるように配置された複数のノズル列を有する、マルチチャンネルヘッドである。
従って、図示例においては、搬送ベルト68に記録媒体Pを保持させた状態で、ヘッドユニット80に対して記録媒体Pを搬送し、1回通過させる、すなわち1回の走査搬送を行うのみで、記録媒体Pの全面に画像が形成される。従って、吐出ヘッドをシリアルスキャンする場合に比べて、高速での画像記録(描画)が可能となる。
なお、本発明のインクジェットヘッドは、いわゆるシリアルヘッド(シャトルタイプ)にも利用可能であり、従って、プリンタ60も、この態様であってもよい。
この際においては、各インクジェットヘッドの吐出口28の列(単列でもマルチチャンネルでもよい)を搬送ベルト68の搬送方向と一致させてヘッドユニット80を構成し、ヘッドユニット80を記録媒体Pの搬送方向と直交する方向に走査する公知の走査手段を設ける。
画像記録は、通常のシャトルタイプのインクジェットプリンタと同様に行えばよく、吐出口28の列の長さに応じて、搬送ベルト68によって記録媒体Pを間欠的に搬送しつつ、この間欠搬送に同期して、停止時にヘッドユニット80を走査して、記録媒体Pの全面に画像を記録する。
このようにしてヘッドユニット80によって記録媒体Pの全面に形成された画像は、前述のように、記録媒体Pが定着・搬送手段76によって挟持搬送されることにより、定着・搬送手段76によって定着される。
ヘッドドライバ84は、外部装置から画像データを受け取り、種々の処理を行うシステム制御部(図示せず)から画像データを受け取り、その画像データに基づいてヘッドユニット80を駆動する。
このシステム制御部は、コンピュータやRIP、画像スキャナ、磁気ディスク装置、画橡データ伝送装置等の外部装置から受け取った画像データに、色分解、適当な画素数や階調数への分割演算等を行って、ヘッドドライバ84がヘッドユニット80(インクジェットヘッド)を駆動するための画像データとする部位である。また、システム制御部は、搬送ベルト68による記録媒体Pの搬送タイミングに合わせたヘッドユニット80によるインクの吐出タイミングの制御を行う。吐出タイミングの制御は、記録媒***置検出手段86からの出力や、搬送ベルト68または搬送ベルト68の駆動手段へ配置したエンコーダからの出力信号を利用して行われる。
なお、記録媒***置検出手段86は、ヘッドユニット80によるインク液滴の吐出位置に搬送されてくる記録媒体Pを検出するためのもので、フォトセンサ等の公知の検出手段を用いることができる。
ここで、ヘッドドライバ84は、ラインヘッド適用時など、制御する吐出部の数(チャンネル数)が多数有る場合には、描画を分割し、公知の抵抗マトリクス型駆動法や抵抗ダイオードマトリクス型駆動法を用いてもよい。これにより、ヘッドドライバ84の使用IC数を低減することができ、コストを低下させると共に制御回路サイズを抑制することができる。
インク循環系82は、ヘッドユニット80の各色のインクジェットヘッド80aの主流路30(図1参照)にインクQを流すためのもので、4色(C、M、Y、K)の各色のインクタンク、ポンプおよび補給用インクタンク(図示せず)等を有するインク循環装置82aと、インク循環装置82aのインクタンクからヘッドユニット80の各色のインクジェットヘッドの主流路30に各色のインクQを供給するインク供給系82bと、ヘッドユニット80の各色のインクジェットヘッドの主流路30からインクをインク循環装置82aに回収するインク回収系82cとを有する。
インク循環系82は、インク循環装置82aによって、インクタンクからインク供給系80bを介してヘッドユニット80に各色毎にインクQを供給し、かつ、インク供給系80cを介してヘッドユニット80から各色毎にインクQをインクタンクに回収して循環させることができればどのようなものでも良い。
インクタンクは、各色のインクQを貯留しており、インクQがポンプで汲み出されてヘッドユニット80へ送られる。ヘッドユニット80からインクが吐出されることにより、インク循環系82で循環しているインクの濃度が低下するので、インク循環系82では、インク濃度検出器によってインク濃度を検出し、それ応じて補給用インクタンクから適宜インクを補充して、インク濃度を所定の範囲に保つのが望ましい。
また、インクタンクには、インクの固形成分の沈殿・濃縮を抑制するための攪拌装置や、インクの温度変化を抑制するためのインク温度管理装置が備えられるのが好ましい。この理由は、温度管理をしないと、環境温度の変化等によりインク温度が変化して、インクの物性が変化することによりドット径が変化し、高画質な画像が安定して形成できなくなる可能性があるからである。攪拌装置としては回転羽、超音波振動子、循環ポンプ等が使用できる。
インクの温度制御装置としてはヘッドユニット80、インクタンク、配インク管系等に、ヒータやペルチェ素子等の発熱素子または冷却素子を配し、温度センサ、例えばサーモスタットにより制御する方法等、公知の方法が使用できる。温度制御装置をインクタンク内に配置する場合には、温度分布を一定にするように攪拌装置と共に配するのがよい。また、タンク内の濃度分布を一定に保つための攪拌装置は、インクの固形成分の沈澱・濃縮の抑制するための攪拌装置と共用しても良い。
前述のように、プリンタ60は、排出ファン90および溶媒回収装置92からなる溶媒回収手段を有する。溶媒回収手段は、ヘッドユニット80から記録媒体P上に吐出されたインク液滴から蒸発するキャリア液、特にインク液滴によって形成された画像を定着する際に記録媒体Pから蒸発するキャリア液を回収する。
排出ファン90は、プリンタ60の筐体61内部の空気を吸い込んで溶媒回収装置92へ送るためのものである。
溶媒回収装置92は、溶媒蒸気吸収材を備えており、排出ファン90によって吸い込まれた溶媒蒸気を含む気体の溶媒成分をこの溶媒蒸気吸収材に吸着し、溶媒が吸着回収された後の気体をプリンタ60の筐体11外に排出する。溶媒蒸気吸収材としては、各種の活性炭などが好適に使用される。
上記では、C、M、Y、Kの4色のインクを用いてカラー画像を記録する静電式のインクジェット記録装置について説明したが、本発明はこれには制限されず、モノクロ用の記録装置であってもよいし、他の色、例えば淡色や特色のインクを任意の数だけ用いて記録するものであってもよい。その場合は、インク色数に対応する数のヘッドユニット80およびインク循環系82が用いられる。
また、以上の例では、いずれも、インク中の色材粒子を正帯電させ、記録媒体あるいは記録媒体Pの背面の対向電極を負の高電圧にして、インク液滴Rを吐出するインクジェットについて説明したが、本発明はこれには限定されず、逆に、インク中の色材粒子を負に帯電させ、記録媒体または対向電極を正の高電圧にして、インクジェットによる画像記録を行っても良い。このように、着色荷電粒子の極性を上記の例と逆にする場合には、静電吸着手段、対向電極、インクジェットヘッドの駆動電極への印加電圧極性等を上記の例と逆にすれば良い。
また、本発明のインクジェットヘッドおよび記録装置は、帯電した色材成分を含むインクを吐出するものに限定されるものではなく、荷電粒子を含む液体を吐出させる液体吐出ヘッドであれば特に制限されず、例えば、上記静電式インクジェット記録装置の他に、帯電粒子を利用して液滴を吐出して対象物を塗布する塗布装置に適用することができる。
以上、本発明の静電式のインクジェットヘッド、及び、それを用いるインクジェット記録装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施態様に限定はされず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
本発明のインクジェットヘッドの一例の概略断面図である。 (A)は、図1に示すインクジェットヘッドのA−A線矢視図であり、(B)は図1に示すインクジェットヘッドのB−B線矢視図である。 (A)は、吐出電極に印加する駆動電圧のパルス波形の一例であり、(B)〜(E)は、それぞれ、第2吐出電極に印加するパルス電圧のパルス波形の好適例である。 (A)は本発明のインクジェット記録装置の概略構成図であり、(B)はヘッドユニットとその周辺の記録媒体の搬送手段を模式的に示す斜視図である。 従来のインクジェットヘッドの概略構成図である。
符号の説明
10 インクジェットヘッド
12 ヘッド基板
14 インクガイド
14a 先端部分
16 吐出口基板
18 第1吐出電極
19 第2吐出電極(流路底面電極)
20 ガード電極
22 シールド板
24 対向電極
24a 電極基板
24b 絶縁シート
26 帯電ユニット
26a スコロトロン帯電器
26b バイアス電圧源
28 吐出口
30 主流路
33、37 信号電圧源
34、35 絶縁層
36 開口部
60 インクジェットプリンタ
62 フィードローラ
64 ガイド
66 ローラ
68 搬送ベルト
69 搬送ベルト位置検知手段
70 静電吸着手段
72 除電手段
74 剥離手段
76 定着・搬送手段
78 ガイド
80 ヘッドユニット
82 インク循環系
84 ヘッドドライバ
86 記録媒***置検出手段
90 排出ファン
92 溶媒回収装置
P 記録媒体
Q インク
R インク液滴

Claims (5)

  1. 静電力を利用してインクをインク液滴として吐出し、記録媒体に向けて飛翔させるインクジェットヘッドであって、
    前記インク液滴が吐出される吐出口が開口された吐出口基板と、
    前記吐出口基板と所定の間隔を離して配置され、前記吐出口基板との間にインク流路を形成するヘッド基板と、
    前記吐出口基板に形成され、前記吐出口からインクの吐出を制御するための駆動電圧が印加される第1吐出電極と、
    前記ヘッド基板の、前記吐出口と対向する位置に形成され、所定の電圧が印加される第2吐出電極とを備えるインクジェットヘッド。
  2. 前記第2吐出電極に印加される電圧の電圧値が前記第1吐出電極に印加される駆動電圧の電圧値よりも高い請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記第2吐出電極に印加される電圧の位相が、前記第1吐出電極に印加される駆動電圧の位相よりも進んでいる請求項1または2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記第2吐出電極に印加される電圧の印加時間が、前記第1吐出電極に印加される駆動電圧の印加時間と異なる請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置。
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JP2008221506A (ja) * 2007-03-09 2008-09-25 Konica Minolta Holdings Inc インクジェット記録装置
KR101050187B1 (ko) * 2009-02-27 2011-07-19 한국기계연구원 나노 패터닝용 잉크젯 프린터 헤드

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