JP2005181216A - 過渡回折格子法による生体物質の拡散測定方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 過渡回折格子法による生体物質の拡散測定方法及び装置を提供しようとする。
【解決手段】 生体物質を含む溶液に、前記生体物質と結合可能な光感受性架橋剤を添加したサンプル13を調製し、同一波長における一対の励起用パルスレーザー14を、前記溶液内で交差するように入射させて過渡回折格子を生じさせるとともに、この溶液に別の角度から他の波長でプローブ用レーザー光15を入射させて、そのレーザー光の過渡回折光強度16を測定することにより、前記生体物質の拡散定数の変化を算出することからなる生体物質の拡散測定法である。
【選択図】 図5

Description

本発明は蛋白質を主とする生体物質の溶液中での拡散状態を測定し、その生体物質の構造特性を判定する方法及び装置に関するものである。
医学及び薬学分野において、生体反応、例えば、抗原抗体反応のように、ある蛋白質と他の蛋白質が会合等の特異的な相互作用を行うか否かということを理解する上で、それら生体物質の溶液中での拡散定数がどのような値であるかは、重要な因子となるが、その検出はかなりの困難を伴うものであった。
そのため、従来の蛋白質会合測定の一つの方法は、細胞破砕液をイオン交換カラムでいくつかに分画し、それぞれを相手の蛋白に固定化したカラムに流してから特定蛋白質との会合実験を行うものであったが、これは測定装置の構成が複雑であり、操作も面倒で時間がかかる。別の方法としては、表面プラズモンを利用した重量分析を伴う分光分析法があるが、センサーチップ(ガラス基板上に金等の蒸着膜を形成したもの)の表面に被検溶液を付着させる等の面倒な前処理や、これをプリズムにあてがう場合の慎重な操作を要するなどの問題がある (例えば、特許文献1参照)。
特開平7−159311号公報
更に、蛍光偏光度測定システムも、蛋白質や核酸などの生体物質間の相互作用を測定解析するために用いられるが、光学系の構成が極めて複雑で大型化するという問題がある。そこで、本発明者は先に、これらの従来法によらず、ターゲット蛋白質と被検査蛋白質との混合系の拡散定数の変化を過渡回折格子法を用いて容易に測定することにより、蛋白質会合の度合いを簡便且つ正確に測定する方法及び装置を発明した(特願2002−354808号)。
しかし、ある蛋白質自体、又はそれと別の蛋白質との会合系の拡散定数の変化を、過渡回折格子法を用いて測定するということは、一対の励起用パルスレーザーを蛋白質溶液中に所定角度で交差するように入射させて過渡的な回折格子を形成せしめ、この過渡回折格子を選択的に通過する別の測定用レーザーの回折光強度を測定する構成をとるため、いずれかの蛋白質がそれ自体で励起用パルスレーザーに感応するものであるか、励起用パルスレーザーに感応する色素と結合したものでなければならない。
例えば、ターゲット蛋白として感光分子であるロドプシンを用い、これにG−プロテインが結合する過程を検出する場合には、図1に示す通り、ロドプシンに光hνが当たると(A)、活性化ロドプシンとなり(B)、これはG−プロテインと結合する(C)。結合したG−プロテイン(GTP)はGDPに転換し(D)、その結果G−プロテインは分離する(E)。図2に実線で描いたグラフは、プローブレーザーによる回折光強度信号のピーク高さと持続状態から、上のような蛋白質間の会合があったことを明確に示している。この場合、ピークは約0.2秒以内に出現し、0.8秒位までに拡散が進行した。
これに対し、破線で描いたグラフは、同様のターゲット蛋白に対して別の蛋白が会合しなかった場合のものであり、0.1〜0.2秒という瞬時に拡散が略完了したことを示している。なお、実線のグラフでピークの前に、一瞬間急激な立ち下がりを生ずるのは、光励起に基づく熱によるものである。
このように、過渡回折格子法において蛋白質の会合を測定するためには、ターゲット蛋白質、又は被検蛋白質等の何れかが光吸収性を有しなければならないので、両方とも光を吸収しない場合には、一方の蛋白質等にPYP又は他の光レセプターを付して実施することができる。この場合に有効な添加用色素としては、例えば、2−nitrobenzaldehyde (以下「NBA」という)がある。この色素はほとんどの励起波長に光反応するので、レーザーの波長調整の面倒さもない。
但し、NBAは会合した二種以上の蛋白質、又は別の蛋白質との会合前の蛋白質に添加して、その遅い拡散を見るには有効であるが、ある一つの蛋白質自体の拡散(厳密にはその蛋白質とNBAとの混合系の拡散)を見る場合には、その蛋白質との結合状態に左右され、それほど有効な手段とはならない。しかしながら、一つの蛋白質自体の拡散定数を測定することも、その蛋白質の構造的特徴を知る上で極めて重要である。
本発明が解決しようとする課題は、生体物質、特に蛋白質の拡散測定を、色素を用いた過渡回折格子法により高感度に行う方法、及び装置を提供することである。
上記の課題を解決するため、請求項1に記載した発明は、生体物質を含む溶液に、前記生体物質と結合可能な光感受性架橋剤を添加し、同一波長における一対の励起用パルスレーザーを、前記溶液内で交差するように入射させて過渡回折格子を生じさせるとともに、この溶液に別の角度から他の波長でプローブ用レーザー光を入射させて、そのレーザー光の過渡回折光強度を測定することにより、前記生体物質の拡散定数の変化を算出することを特徴とするものである。
生体物質の拡散測定法。
請求項2に記載した発明は、生体物質と結合可能な光感受性架橋剤を含む溶液に、前記生体物質を添加し、同一波長における一対の励起用パルスレーザーを、前記溶液内で交差するように入射させて過渡回折格子を生じさせるとともに、この溶液に別の角度から他の波長でプローブ用レーザー光を入射させて、そのレーザー光の過渡回折光強度を測定することにより、前記生体物質の拡散定数の変化を算出することを特徴とするものである。
請求項3に記載した発明は、前記光感受性架橋剤として、サルフォ−N−ヒドロキシスルフォサクシニミジル−4−アジドベンゾエート、P−アジドベンゾイルヒドラジド、N−5−アジド−2−ニトロベンゾイルオキシサクシニミド、4−(P−アジドサリチルアミド)ブチルアミン、BASED、NHS−ASA、N−サクシニミジル〔4−アジドフェニル〕−1,3’−ジチオプロピオネート、SANPAH、SASD、サルフォ−NHS−LC−ASA、サルフォ−SADP、及びサルフォ−SANPAHのいずれかから選ばれた物質を用いることを特徴とするものである。なお、BASED、NHS−ASA、SANPAH、SASD、サルフォ−NHS−LC−ASA、サルフォ−SADP、及びサルフォ−SANPAHが如何なるものかについては、後述する。
請求項4,5及び6に記載した各発明においては、前記生体物質が蛋白質、他の物質と会合した蛋白質、及びDNAであることをそれぞれ特徴とするものである。
請求項7に記載した発明は、特定の生体物質、又はこの生体物質と結合可能な別の物質を含む原系溶液を収容する光透過性容器であって、この容器内に前記原系溶液内の物質との結合相手とされるいずれかの前記物質(を含む溶液)を導入するための溶液導入部を備えた測定セルと、前記測定セルに一対の励起用レーザーを交差する方向から投射する励起用光学系と、前記測定セル内での溶液中の物質拡散時において前記励起用レーザー光により励起・生成された過渡回折格子を通って回折する光を生ずるために、前記励起用レーザー光とは異なった波長のプローブ用レーザー光を投射するためのプローブ用レーザー光学系と、前記過渡回折格子を通って回折した光を検出するための光電検出器とを備えた生体物質の拡散測定装置を構成したことにより、前述の各測定方法を実施できるようにしたものである。
一般に蛋白質等の粒子拡散速度は、その構造的特徴によるが、蛋白質と蛋白質又はその他の物質とが会合した場合、それらの混合系の拡散速度は顕著に遅くなる。ここに二物質の会合状態とは、両者中の同一分子間に水素結合、電荷移動結合、疎水結合などのような比較的弱い結合力が働き、二分子あるいはそれ以上の分子が結合して比較的規則性のよい集合体を形成することをいう。図3は、ある蛋白質1と薬物2との結合を例にとり、単純に模式化して示したもので、会合前(A)の状態から、会合後(B)の状態(集合体)3において、蛋白質1と薬物2との構造は本質的に異ならないため、会合後は組成1’及び2’として指示したものである。二物質間で、このような会合が生じない場合(すなわち、状態Aに止まっている場合)、両者は媒質中において速やかに拡散する。
図4は、ターゲット蛋白質11を分散させた蛋白質含有液(通常は水溶液)に被検蛋白質12を添加し、それによって生ずる粒子混合系の拡散状態と会合の有無を、拡散せず偏った分布状態(A)、会合がないため添加後0.1秒程度において拡散が進んだ状態(B)、及び会合が生じたため添加後0.1秒程度経過しても拡散が進んでいない状態(C)として示している。すなわち、会合の有無及び度合いは粒子混合系の拡散の速さ(拡散定数)と密接に関連し、発明者はいずれか一方の粒子の拡散定数を測定することにより、蛋白質などの粒子混合系における会合の有無及び度合いを検出しうることを見出した。これは、一つの蛋白質と色素(光感受性架橋剤)との結合状態についても言えるものである。
図5は、過渡回折格子法の原理を示す模式図である。図5において、透過型セル中のサンプル13は蛋白質含有液(水溶液)を収容し、被検蛋白質又は色素を添加した直後の状態にあり、ここでサンプル13を貫通する軸zを中心軸として、一対の同一波長λ(例えば450nm)による励起用パルスレーザー14を、このサンプル13内において角度θで交差するように入射させる。サンプル13で蛋白質の会合が生じ、拡散が進んでいない場合には、この励起により格子間隔d、但し2d=λ/sin(θ/2)による干渉縞が過渡的に形成される。この過渡的な干渉縞(過渡回折格子)の形成状態に対してプローブ用レーザー光15(例えば、波長633nm)を照射すると、パルス励起による過渡回折格子の消滅に到るまでの回折光信号16が検出され、その減衰曲線によって試料の緩和現象、特に拡散による緩和現象が検出され、励起種の拡散定数が求められる。
再び、図4を参照して、蛋白質等が拡散せず偏った分布状態(A)では強い過渡回折信号が検出され、蛋白質等の会合がないため拡散が進んだ状態(B)では過渡回折信号が検出されず、更に会合が有るため添加後0.1秒程度経過しても拡散が進んでいない状態(C)では強い過渡回折信号が検出され、しかもターゲット蛋白質の相11と、被検蛋白質の相12間に割り込む形での会合相11’、12’が大きいほど拡散が遅くなる、従って励起状態(過渡回折格子)の寿命が長くなるということが良く理解されるであろう。
以上の通り、過渡回折格子法により実施する本発明の生体物質拡散検出法では、準備溶液及び添加物質のいずれもが水溶液で用意され、それらは測定基板への付着操作等の面倒な操作を要することなく、溶液のままで測定可能であり、試料セルに被検蛋白質を添加後、1秒以内の短時間で測定することができる。また、試料に光吸収性は要求されるが、蛍光分析のように、分子からの発光ラベルが要求されることもない。
以下、本発明による過渡回折格子測定装置の構成例について説明する。図6は、基本的な装置構成例を示すもので、図中の参照数字、20は例えば波長450nmの励起用パルスレーザーの光源、21は別の異なった波長、たとえば633nmを発するプローブ用レーザー光の光源であり、これらから出たレーザーはハーフミラー22の両側から、1本の光ファイバーからなる光路手段24の始端に投射され、同一光路に重ねられる。光路手段24の終端には凸レンズ25が配置され、このレンズで集束(コリメート)された合成レーザー光は透過型グレーティング26に入射し、適当な開き角で回折出射する一対の励起用パルスレーザー27と、それより大きい開き角で回折出射する一対のプローブ用レーザー28とに分けられ、これらは終段凸レンズ29に入射し、直前の透過型回折格子26から出たレーザーの回折線を、前記一対の励起用パルスレーザー27については適当な角度θで交差するように集束させ、併せて外側一対のプローブ用レーザー28をより大きい角度で交差するように集束させる。
集束されたこれらのレーザー光線は、測定セル30に入射される。測定セル30は光透過性材料の容器からなり内部に蛋白質等の生体物質又は色素を分散させた溶液を収容するとともに、測定時において色素又は別の蛋白質等の生体物質を添加するためのものである。この場合、2本の励起用パルスレーザー27は測定セル30の内部で交差するようにされ、プローブ用レーザー項28についても、その少なくとも1本が試料セル30内に入射するようにされる。さらに、測定セル30の背後には、そのセル30から出たプローブ用レーザーの回折光を受光し、電気信号に変換するための光電検出器31が配置される。
以上の基本的な装置構成により、検出器31は前述した蛋白質の拡散性、又は別の蛋白質等との会合の有無及び程度を表す信号出力を発するものであることが明らかである。この構成では、試料セル30は単独容器型であるため、別の試料を測定する場合には、試料溶液の置換又は試料セル30自体を交換しなければならない。そこで、多種類の試料、特にカラムより順次溶出されるような複数成分の測定のために、付加的構成を有するようにしたのが、図7に示す装置構成である。
図7において、図6と同一の参照数字を付した部分は、図6の対応する部分と同一の機能を有するものであり、更なる説明は省略する。この構成において異なるのは、測定セル30’が流通型であり、その入口流路32の始端はカラム33の出口に接続される。流路32の中間にはマイクロシリンジ等の被検試料注入部34が接続され、カラム33から順次溶出される成分に対しては、被検試料注入部34からの被検物質がそれぞれ添加され、測定セル30’内で順次過渡回折格子測定が行われることになる。なお、測定セル30’の下端からはドレインチューブが垂下・突出し、回収容器35に対向している。光電検出器31の出力は、図示のオシロスコープ36又は記録計その他のデータ処理装置に接続され、成分ピークに対応する会合検出信号が表示される。
図8は、本発明による生体物質の過渡回折格子法による拡散測定において、好ましく用いられる光感受性架橋剤であるサルフォ−N−ヒドロキシスルフォサクシニミジル−4−アジドベンゾエート(略称「sulfo−HSAB」)の構造式である。発明者は、この架橋剤を生体分子に結合させて、その光反応過程を過渡回折格子法により観測し、多くの蛋白質の拡散が簡便に短時間で計測できることを見出した。sulfo−HSABにおいては、まずサクシニミジル環を含むB基が蛋白質と結合し、B基の末端基SONaは水と親和する。またベンゼン環を含むA基は光照射により活性化され、非特異的に蛋白質と反応する。
図9Aは上記のsulfo−HSABをアルブミン水溶液に添加して過渡回折光強度により拡散測定を行った場合の信号強度グラフであり、図9Bは本発明以前に用いられていた色素NBAを同じくアルブミン水溶液に添加して同一の測定を行い同一スケールで表した信号強度グラフである。本発明に従ってsulfo−HSABをアルブミン水溶液に添加した場合には、3ミリ秒程度経過した時点をピークとするアルブミンの拡散状態が明確に把握できるが、従前の色素NBAを用いた場合には、ゼロ時点のレーザー励起を示す瞬時信号以外にピークが発生せず、アルブミンの拡散状態を捕らえることはできない。
図10は、sulfo−HSABを別の蛋白質であるミオグロビンの水溶液に加えた場合の典型的な過渡回折光強度を示すグラフである。このグラフによれば、1〜2ミリ秒程度経過した時点をピークとする顕著な拡散現象の推移を読みとることができる。sulfo−HSABだけの水溶液から得られた過渡回折光強度より、sulfo−HSABそのものの拡散定数は約3.0×10−10−1と決定できた。ミオグロビンの拡散は、図示のようにミリ秒の最も遅い時間領域に現れるピークシグナルを、sulfo−HSABのみの拡散とsulfo−HSAB−ミオグロビン複合体の拡散との2成分で取り出し、差分的に導出した。その結果、ミオグロビンだけでなく、チトクローム、トリプシン等についても、文献値(1.0〜1.2)に近い値が得られた。
sulfo−HSAB添加による過渡回折光測定/拡散定数導出法は、DNAに対しても適用できることが確認された。例えば、CTに対しては6.8×10−12−1、STに対しては5.0×10−12−1という値を得た。また、蛋白質やDNAを先に調製されたsulfo−HSAB水溶液に添加することにより、上記拡散定数導出手順を合理的に実施できることも明らかである。従って、本発明の方法は広く生体物質の拡散測定に対して柔軟に適用することができる。
sulfo−HSABと同様な効果を有する光感受性架橋剤としては、例えば、P−アジドベンゾイルヒドラジド、N−5−アジド−2−ニトロベンゾイルオキシサクシニミド、4−(P−アジドサリチルアミド)ブチルアミン、BASED、NHS−ASA、N−サクシニミジル〔4−アジドフェニル〕−1,3’−ジチオプロピオネート、SANPAH、SASD、サルフォ−NHS−LC−ASA、サルフォ−SADP、及びサルフォ−SANPAHを用いることができる。
上記のうち、BASED、NHS−ASA、SANPAH、SASD、サルフォ−NHS−LC−ASA、サルフォ−SADP、及びサルフォ−SANPAHとは、他の化合物名を明記した架橋剤と同じく、アメリカ合衆国、イリノイ州、ロックフォードのピアースバイオテクノロジーInc.より製造販売されている光感受性架橋剤であり:BASEDとは光活性基を2個有する、蛋白質の非特異的架橋剤であって、ヒドロキシフェニルアジドを反応基とするものの品名であり;NHS−ASAとはNH基と反応し長波長領域で容易に光分解反応を起こして架橋作用を発揮する架橋剤であって、ヒドロキシフェニルアジドを反応基とするものの品名であり;SANPAHとは長鎖光活性化架橋剤であって、暗所で蛋白質を標識後、光分解反応により架橋するニトロフェニルアジドを反応基とするものの品名であり;SASDとは蛋白質から他の蛋白質へ放射標識を転移する、開裂可能な光活性化架橋剤であって、ヒドロキシフェニルアジド、サルフォ−NHSエステルを反応基とするものの品名であり;サルフォ−NHS−LC−ASAルNH基と反応し長波長領域で容易に光分解反応を起こして架橋作用を発揮する125I−標識用架橋剤であって、ヒドロキシフェニルアジド、サルフォ−NHSエステルを反応基とするものの品名であり;サルフォ−SADPとはNH基と反応し還元剤で開裂する光反応性架橋剤であって、フェニルアジド、サルフォ−NHSエステルを反応基とするものの品名であり;更に、サルフォ−SANPAHとはNH基と反応する長鎖光活性化架橋剤であって、ニトロフェニルアジド、サルフォ−NHSエステルを反応基とするものの品名である。
以上述べたように、効果的な色素を利用する本発明の拡散測定方法においては、多種類の蛋白やDNA等の生体物質を容易に測定しうるという効果を発揮する。すなわち、生体物質の違いによって光の吸収波長も反応性も異なるため、色素を用いない場合には蛋白の特性によってレーザーの波長を変える必要があるが、幅広い波長に反応する色素を添加すると、レーザーの波長を調整するという煩雑な操作さも不要となる。更に、色素の光吸収に合わせたレーザー光を用いることで、本来は光吸収や光反応性が異なったり、光反応しないような種々の生体物質の測定を、容易な波長調整において実施することが可能となる。
この結果、本発明によれば、蛋白質等の生体物質自体、又は他の生体物質との混合系の拡散定数の変化を測定することにより、その生体物質の構造的特徴や、混合系での蛋白質会合の度合いを簡便且つ正確に極短時間で測定することができる。
従って、本発明の方法及び装置は、薬品と結合する蛋白質の探索、生体中の信号伝達系の探索、花粉症などの免疫応答及びレセプターリガンドアッセイ等に利用可能であり、携帯性及び機動性にも優れた簡便且つ正確な蛋白質等の会合検出を可能にするものである。
ロドプシンが光励起を受けて活性化し、G−プロテインと会合する状態を示す模式図である。 蛋白質会合が有るときと、無いときの過渡回折光信号の強度変化を示すグラフである。 会合前もしくは会合しないで対向したターゲット蛋白質と被検蛋白質(薬物)の関係(A)、及び会合した状態(B)を模式的に示す図である。 粒子混合系におけるターゲット粒子と被検粒子の拡散前の状態(A)、拡散が進んでいる状態(B)、粒子間会合相があるため拡散が遅くなる状態(C)を模式的に示す図である。 粒子混合系を含むサンプルが励起パルスレーザーにより過渡回折格子を生じ、プローブレーザーが過渡回折光信号を発する状態を示す模式図である。 本発明の過渡回折格子法による拡散定数変化測定を行うための基本的装置構成を示す略図である。 図6に示した装置構成に分離カラムと試料注入部を加え、且つ検出器にオシロスコープを接続した構成を示す略図である。 本発明による生体物質の過渡回折格子法による拡散測定において、好ましく用いられる光感受性架橋剤であるサルフォ−N−ヒドロキシスルフォサクシニミジル−4−アジドベンゾエート(略称「sulfo−HSAB」)の構造式である。 上記sulfo−HSABをアルブミン水溶液に添加して過渡回折光強度により拡散測定を行った場合の信号強度グラフ(A)、及び本発明以前に用いられていた色素NBAを同じくアルブミン水溶液に添加して同一の測定を行い同一スケールで表した信号強度グラフ(B)である。 sulfo−HSABを別の蛋白質であるミオグロビンの水溶液に加えた場合の典型的な過渡回折光強度を示すグラフである。
符号の説明
1 ターゲット蛋白質
2 被検蛋白質(薬物等)
3 会合体
11 ターゲット蛋白質
12 被検蛋白質
13 サンプル
14、27 励起用パルスレーザー
15、28 プローブ用レーザー
20 励起用パルスレーザー光源
21 プローブ用レーザー光源
22 ハーフミラー
24 光ファイバー
25、29 凸レンズ
26 透過型グレーティング
30 測定セル
31 検出器
32 流路
33 カラム
34 試料注入部
35 回収容器
36 オシロスコープ

Claims (7)

  1. 生体物質を含む溶液に、前記生体物質と結合可能な光感受性架橋剤を添加し、同一波長における一対の励起用パルスレーザーを、前記溶液内で交差するように入射させて過渡回折格子を生じさせるとともに、この溶液に別の角度から他の波長でプローブ用レーザー光を入射させて、そのレーザー光の過渡回折光強度を測定することにより、前記生体物質の拡散定数の変化を算出することを特徴とする生体物質の拡散測定法。
  2. 生体物質と結合可能な光感受性架橋剤を含む溶液に、前記生体物質を添加し、同一波長における一対の励起用パルスレーザーを、前記溶液内で交差するように入射させて過渡回折格子を生じさせるとともに、この溶液に別の角度から他の波長でプローブ用レーザー光を入射させて、そのレーザー光の過渡回折光強度を測定することにより、前記生体物質の拡散定数の変化を算出することを特徴とする生体物質の拡散測定法。
  3. 前記光感受性架橋剤として、サルフォ−N−ヒドロキシスルフォサクシニミジル−4−アジドベンゾエート、P−アジドベンゾイルヒドラジド、N−5−アジド−2−ニトロベンゾイルオキシサクシニミド、4−(P−アジドサリチルアミド)ブチルアミン、BASED、NHS−ASA、N−サクシニミジル〔4−アジドフェニル〕−1,3’−ジチオプロピオネート、SANPAH、SASD、サルフォ−NHS−LC−ASA、サルフォ−SADP、及びサルフォ−SANPAHのいずれかから選ばれた物質を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 生体物質が蛋白質であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 生体物質が他の物質と会合した蛋白質であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  6. 生体物質がDNAであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  7. 特定の生体物質、又はこの生体物質と結合可能な別の物質を含む原系溶液を収容する光透過性容器であって、この容器内に前記原系溶液内の物質との結合相手とされるいずれかの前記物質(を含む溶液)を導入するための溶液導入部を備えた測定セルと、
    前記測定セルに一対の励起用レーザーを交差する方向から投射する励起用光学系と、
    前記測定セル内での溶液中の物質拡散時において前記励起用レーザー光により励起・生成された過渡回折格子を通って回折する光を生ずるために、前記励起用レーザー光とは異なった波長のプローブ用レーザー光を投射するためのプローブ用レーザー光学系と、
    前記過渡回折格子を通って回折した光を検出するための光電検出器とを備えたことを特徴とする生体物質の拡散測定装置。
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