JP2005168492A - 不死化マスト細胞株 - Google Patents

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俊行 高井
Masuo Tatewaki
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梢 伊藤
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由美 伊藤
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Abstract

【課題】 マスト細胞が本来有する機能・特性を保有する不死化マスト細胞株やその樹立やその樹立方法、かかる不死化マスト細胞株を用いた有用物質のスクリーニング方法を提供すること。
【解決手段】 SV40の温度感受性突然変異株tsA58のラージT抗原遺伝子を導入したトランスジェニックマウスの骨髄細胞を溶血処理した後、得られた細胞をIL−3の存在下培養することによりマスト細胞を分化・誘導し、継代培養を繰り返し、細胞表面にFcεRI分子及びc−kit分子を発現し、顆粒を細胞質内に豊富に貯留し、FcεRIの共架橋による活性化により脱顆粒能及びCa2+濃度上昇誘導能を有する細胞株を樹立する。
【選択図】なし

Description

本発明は、骨髄に由来する不死化マスト細胞株に関し、詳しくはSV40の温度感受性突然変異株tsA58のラージT抗原遺伝子を導入したトランスジェニックマウス(ts SV40 LT Tgマウス)の骨髄に由来するマスト細胞(mast cell)を継代培養することにより樹立することができる不死化マスト細胞株(SVMC)及びその製法や、その利用に関する。本発明の不死化マスト細胞株は、マスト細胞のインビトロにおける解析やマスト細胞による体内のアレルギー反応と局所的炎症反応の研究に応用できる。
従来、医薬品の安全性や有効性に関する試験研究には主として動物が用いられていたが、動物愛護の観点から動物を使用する代わりに、培養細胞等を用いてインビトロで医薬品の有効性や安全性を試験研究する技術の実用化レベルでの研究が行われている。例えば、生体組織から採取した初代培養細胞や無限増殖する不死化細胞(樹立細胞)系を用いる方法で予め試験した後に動物試験が行われている。しかし、初代細胞は初期段階ではよく増殖するが、継代培養とともに次第に増殖が停止し、やがては死滅する(この現象を細胞老化という)。さらに、初代細胞は、その特性が生体組織から採取する度に異なるという危惧に加え、継代とともに変化することが指摘されている。特に、増殖速度が非常に遅い場合や微小器官に由来する場合には、試験に供するに足る初代細胞を得ることは非常に困難であるとされている。
一方、初代培養の継代を重ねるなかで、細胞老化を免れて無限増殖する能力を獲得した不死化細胞では、安定して均一の特性を有することになるが、このような不死化細胞の多くは、その細胞が生体において本来有していた形態や機能の一部又はその全てを喪失する。そのため、このような不死化細胞株を用いた試験では、その細胞株の由来する組織での本来の特性を正確に反映することは難しいとされていた。そこで、初代細胞にras遺伝子やc−myc遺伝子などの発癌遺伝子、アデノウイルスのE1A遺伝子、SV40ウイルスのラージT抗原遺伝子、ヒトパピローマウイルスのHPV16遺伝子等を導入して細胞を形質転換し、初代細胞の有する活発な増殖能を継続的に保持し、さらに継代することによってその細胞固有の特性を喪失しない不死化細胞を樹立する試みがなされている。ところが、このような不死化細胞においても、対象とする臓器によっては、その初代細胞を調製し、これらの癌遺伝子やラージT抗原遺伝子を導入する時点で、すでに幾つかの機能を喪失するため、本来の機能を保持する厳密な意味での不死化細胞の取得は困難であった。特に、増殖速度が非常に遅い場合や微小器官に由来する場合の初代細胞を調製して株化することは極めて困難であった。
これに対し、近年確立された動物個体への遺伝子導入技術を用いて、個々の細胞に癌遺伝子やラージT抗原遺伝子を導入するかわりに、これらの遺伝子を安定的に染色体に組み込んだ遺伝子導入動物を作出し、個体の発生時点において既に癌遺伝子やラージT抗原遺伝子を細胞の中に保有する動物の臓器から初代細胞を調製して、これを継代することによって不死化細胞を樹立する方法が報告されている。特にts SV40 LT Tgマウスの臓器から得られる不死化細胞は、その増殖や分化形質の発現を温度を変えることによって操作することができるため、非常に有効であるとされている(例えば、非特許文献1〜8参照。)。
他方、マスト細胞は、生体内において皮下組織や気道、食道ならびに胃・腸管粘膜下など、外界との境界に広く分布し、病原体などの異物の認識・排除に重要な役割を果たしている細胞である。また、各種刺激に応じ、ヒスタミン、ロイコトリエン、セロトニン、ヘパリン、白血球招集因子、グルクロン酸分解酵素、ヘキソースアミン分解酵素などの化学伝達物質を放出し、生体にアレルギー反応を引き起こすことが知られている。一般にマスト細胞は骨髄細胞よりサイトカイン(IL−3)存在下で容易に誘導可能であるが、長期間の培養による維持は困難であり、***能や脱顆粒など多くの活性を消失する。よって、初代培養と変わらない性質を保持したまま半永久的に培養可能なマスト細胞株は、マスト細胞の機能解析の上で大変有用なツールになると思われる。従来、マスト細胞株として、ラット・マスト細胞株RBL−2H3(IL−3非存在下で維持可能であり、遺伝子導入の宿主やIgEレセプターを発現しているので脱顆粒の実験に利用される)、マウス・マスト細胞株PT18、マウス癌化マスト細胞株P−815(IL−3レセプターが常に活性化されており、RBL−2H3と同様にIL−3非存在下で維持可能で、遺伝子導入の宿主に利用される)、IL−3依存型マウス・マスト細胞株MCP−5、ヒト未分化マスト細胞株HMC −1から限界希釈法でクローニングしたマスト細胞Mcε27などが知られている。
Transgenic Research 4, 215-225, 1995 Genes to Cells, 2, 235-244, 1997 Exp. Cell Res., 197, 50-56, 1991 Exp. Cell Res., 209, 382-387, 1993 Exp. Cell Res., 218, 424-429, 1995 Blood, 86, 2590-2597, 1995 J. Cell. Physiol., 164, 55-64, 1995 Exp. Hematol., 27, 1087-1096, 1999
マスト細胞は骨髄細胞よりIL−3などのサイトカイン存在下で容易に誘導できる細胞である。しかしながら長期間の培養による維持は困難であり、***能や脱顆粒など多くの活性を消失する。本発明の課題は、マスト細胞が本来有する機能・特性を保持する不死化マスト細胞株やその樹立方法、かかる不死化マスト細胞株を用いた有用物質のスクリーニング方法を提供することにある。
本発明者らは、不死化マスト細胞株を樹立するため、Yanai et,al.により作製されたSV40 large T抗原トランスジェニックマウスを用いた。このトランスジェニックマウスには、SV40ウイルスがもつ細胞の不死化に関与するlarge T抗原をコードしている遺伝子がゲノムに組み込まれており、セルラインの樹立が可能であると考えた。そこで、8週齢のSV40 large T抗原トランスジェニックマウスの骨髄より骨髄細胞を回収し、マスト細胞の分化を誘導するサイトカインであるIL−3を5ng/ml含む培地にて5%CO2、33℃インキュベーターで4週間以上培養し、以降は5%CO2、37℃インキュベーターで通常の初代培養マスト細胞と同様に継代・維持し、不死化増殖能を有し、FcεRI共架橋によるセロトニン放出が良好であり、かつFcεRI+、c−kit+の細胞が単一集団であった3クローンを選択した。この3種のセルラインをexpandし、詳細な解析を行なったところ、初代培養のマスト細胞がもつ性質をほぼ保持し続けていることを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、骨髄に由来することを特徴とする不死化マスト細胞株(請求項1)や、細胞表面にFcεRI分子及びc−kit分子を発現し、顆粒を細胞質内に豊富に貯留し、FcεRIの共架橋による活性化により脱顆粒能及びCa2+濃度上昇誘導能を有することを特徴とする請求項1記載の不死化マスト細胞株(請求項2)や、33℃で増殖することができるが、37℃では増殖が部分的に抑制され、39℃では増殖が停止することを特徴とする請求項1又は2記載の不死化マスト細胞株(請求項3)や、NGF及びSCFの存在下で培養することにより、結合組織型成熟マスト細胞に分化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の不死化マスト細胞株(請求項4)や、齧歯類起源であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の不死化マスト細胞株(請求項5)や、齧歯類がマウスであることを特徴とする請求項5記載の不死化マスト細胞株(請求項6)に関する。
また本発明は、SVMCクローンa(FERM AP−20255)、SVMCクローンc(FERM AP−20256)、SVMCクローンE(FERM AP−20257)、又はこれらのクローンを分離する前のSVMC混在物(FERM AP−20254)であることを特徴とする請求項6記載の不死化マスト細胞株(請求項7)や、SV40の温度感受性突然変異株tsA58のラージT抗原遺伝子を導入したトランスジェニックマウスの骨髄細胞を溶血処理した後、得られた細胞をIL−3の存在下培養することによりマスト細胞を分化・誘導し、継代培養を繰り返し、細胞表面にFcεRI分子及びc−kit分子を発現し、顆粒を細胞質内に豊富に貯留し、FcεRIの共架橋による活性化により脱顆粒能及びCa2+濃度上昇誘導能を有する細胞株を樹立することを特徴とする不死化マスト細胞株の製造方法(請求項8)や、33℃で増殖することができるが、37℃では増殖が部分的に抑制され、39℃では増殖が停止し、NGF及びSCFの存在下で培養することにより、結合組織型成熟マスト細胞に分化する細胞株を樹立することを特徴とする請求項7記載の不死化マスト細胞株の製造方法(請求項9)に関する。
さらに本発明は、被検物質の存在下、請求項1〜6のいずれか記載の不死化マスト細胞株を培養し、該細胞株における成熟マーカータンパク質の発現の程度を測定・評価することを特徴とするマスト細胞における細胞増殖促進又は抑制物質のスクリーニング方法(請求項10)や、マーカータンパク質が、FcεRI分子及び/又はc−kit分子であることを特徴とする請求項9記載のマスト細胞における細胞増殖促進又は抑制物質のスクリーニング方法(請求項11)や、被検物質の存在下、請求項1〜6のいずれか記載の不死化マスト細胞株を培養し、該細胞の増殖の程度を測定・評価することを特徴とするマスト細胞における細胞増殖促進又は抑制物質のスクリーニング方法(請求項12)や、被検物質の存在下、請求項1〜6のいずれか記載の不死化マスト細胞株をFcεRIにより共架橋し、脱顆粒能及び/又はCa2+濃度上昇誘導能の程度を測定・評価することを特徴とするマスト細胞の活性化促進又は抑制物質のスクリーニング方法(請求項13)や、被検物質の存在下、請求項1〜6のいずれか記載の不死化マスト細胞株をNGF及びSCFの存在下で培養し、該細胞のサフラニン染色性の程度を観察・評価することを特徴とするマスト細胞の成熟促進又は抑制物質のスクリーニング方法(請求項14)に関する。
本発明によると、SV40 large T抗原トランスジェニックマウスより、初代培養細胞と同様な表面マーカー及び機能を保持した不死化マスト細胞株(SVMC)を樹立することができる。かかる不死化マスト細胞株は、未熟マスト細胞から成熟マスト細胞にも分化するという従来のマスト細胞株には無い特徴を備えており、マスト細胞の機能と分化研究の材料として有用である。
本発明の不死化マスト細胞株としては、骨髄に由来する不死化マスト細胞株であればどのようなものでもよく、33℃で増殖することができ、37℃では増殖が部分的に抑制され、39℃では増殖が停止する細胞株が好ましく、この温度感受性の点を除いては、マスト細胞が本来備えている性質を有するものがより好ましい。例えば、細胞表面にFcεRI分子及びc−kit分子を発現し、顆粒を細胞質内に豊富に貯留し、FcεRIの共架橋による活性化により脱顆粒能及びCa2+濃度上昇誘導能を有する細胞株や、NGF(Nerve Growth Factor)及びSCF(Stem Cell Factor)の存在下で培養することにより、結合組織型成熟マスト細胞に分化する細胞株や、これらの性質を合わせ有する細胞株を好適に例示することができる。また、かかる不死化マスト細胞株の具体例として、3種の不死化マスト細胞株(SVMC)クローンa,c,Eを挙げることができる。なお、SVMCクローンaは受領番号FERM AP−20255として、SVMCクローンcは受領番号FERM AP−20256として、SVMCクローンEは受領番号FERM AP−20257として、また、これら3種のSVMCクローン(clone)a,c,Eを分離する前のSVMC混在物(SVMC Bulk)は受領番号FERM AP−20254として、平成16年10月19日に独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305−5466 茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)にそれぞれ受領されている。また、本発明の不死化マスト細胞株の由来は特に限定されないが、マウス等の齧歯類などの動物から得られた不死化マスト細胞株は、マウスが豊富な病態モデルを有し、薬理作用の評価に広く用いられていることから好ましい。以下、本発明の不死化マスト細胞株の製造方法を、マウスを用いた方法を例にとって説明する。
SVMC bulkは、表す。
マウス由来の本発明の不死化マスト細胞株は、例えば、SV40 large T抗原トランスジェニックマウスの骨髄細胞を塩化アンモニウムを用いて溶血処理した後、得られた細胞を5ng/mLのマウスリコンビナントIL−3を含むRPMI培地(10%FCS)を用いて培養し、マスト細胞を誘導し、継代培養を一ヶ月以上繰り返し、細胞表面にFcεRI分子及びc−kit分子を発現し、顆粒を細胞質内に豊富に貯留し、FcεRIの共架橋による活性化により脱顆粒能及びCa2+濃度上昇誘導能を有する細胞株を樹立することにより製造することができる。
また、SV40 large T抗原トランスジェニックマウスは、次のようにして作製することができる。SV40の複製起点(ori)を欠失させたtsA58ori(−)−2の全DNAを制限酸素BamHIで開環してpBR322に導入したプラスミドpSVtsA58(−)−2(OhnoT. et al., Cytotechnology 7, 165-172, 1991)を常法に従い大腸菌内で大量に増幅させ、この増幅したプラスミドを制限酵素BamHIで切断してベクター部位を除去し、tsA58のラージT抗原遺伝子を有するDNA断片を調製する。このラージT抗原遺伝子のプロモーターが内在するDNA断片を常法に従いマウスの全能性細胞に遺伝子導入することにより、SV40の温度感受性突然変異株tsA58のラージT抗原遺伝子を全ての細胞内に有する遺伝子導入マウス、すなわちトランスジェニックマウスを作出することができる。かかるトランスジェニックマウスは、その全ての体細胞においてtsA58のラージT抗原遺伝子が発現することになる。そして、上記全能性細胞としては、受精卵や初期胚のほか、多分化能を有するES細胞などを具体的に挙げることができる。また、全能性細胞へのDNAの導入方法としては、マイクロインジェクション法、電気パルス法、リポソーム法、リン酸カルシウム法等の公知の遺伝子導入法を用いることができる。
上記マウスの全能性細胞(培養細胞)の核を、除核未受精卵に移植して初期化すること(核移植)で卵子にSV40の温度感受性突然変異株tsA58のラージT抗原遺伝子を導入することができる。また、前核期受精卵の雄性前核にSV40の温度感受性突然変異株tsA58のラージT抗原遺伝子をマイクロインジェクションして得られる卵子を仮親の卵管に移植して産仔を得た後、注入した遺伝子を持つ産仔を選出し、安定的にかかる遺伝子が組み込まれた個体を得ることで、個体発生時にすでにtsA58のラージT抗原遺伝子が各組織の細胞の染色体に組み込まれた遺伝子導入マウス、すなわちトランスジェニックマウスを効率よく作出することができる。
本発明の不死化マスト細胞株は、33℃において永久的増殖能を保持し、37℃においては増殖が部分的に抑制され、39℃においては増殖を停止するため、細胞固有の分化形質の発現を制御することができるという特色を有している。また、この不死化マスト細胞株は、20ヶ月以上継代培養行っても33℃で良好な増殖性を示し、マスト細胞としての機能を保持している。本発明の不死化マスト細胞株は、安定的に増殖し続けることができ、また、該マスト細胞のFcεRIの共架橋による活性化により脱顆粒能及びCa2+濃度上昇誘導能を有することから、マスト細胞の機能と分化の研究、より具体的には、高親和性IgEレセプター(FceRI)とIgEとの結合を阻害する研究、マスト細胞の刺激伝達後の顆粒の放出(脱顆粒)を阻害する研究、マスト細胞内での化学伝達物質の生合成を特異的に阻害する研究などに有用であり、また、以下に示すように、マスト細胞に対する有用物質のスクリーニングに用いることができることから、新薬開発の研究ベースとしても有用である。
本発明におけるスクリーニング方法としては、被検物質の存在下、上記本発明の不死化マスト細胞株を培養し、該細胞株におけるFcεRI分子、c−kit分子、トリプターゼ、主要塩基性タンパク質(Major Basic Protein)、MIST(Mast Cell-specific Immunoreceptor Signal Transductor)等のマーカータンパク質の発現の程度を測定・評価するマスト細胞における細胞増殖促進又は抑制物質のスクリーニング方法や、該細胞株の増殖の程度を測定・評価するマスト細胞における細胞増殖促進又は抑制物質のスクリーニング方法や、該細胞株をFcεRIにより共架橋し、脱顆粒能、Ca2+濃度上昇誘導能等の程度を測定・評価するマスト細胞の活性化促進又は抑制物質のスクリーニング方法や、該細胞株をNGF、SCF等の存在下で培養し、該細胞のサフラニン染色性の程度を観察・評価するマスト細胞の成熟促進又は抑制物質のスクリーニング方法等を挙げることができる。そして、上記スクリーニング方法により得られるマスト細胞における成熟促進物質や、マスト細胞における細胞増殖促進物質や、マスト細胞の活性化促進物質も本発明に含まれる。
上記マスト細胞における細胞増殖促進又は抑制物質のスクリーニングは、不死化マスト細胞株を種々の濃度の被検物質の存在下でそれぞれ培養し、一定時間培養後に発現したマーカータンパク質の量を検出・測定し、被検物質の非存在下で培養した対照のものと比較・評価することにより行われる。例えば、マスト細胞の表面に発現するマーカータンパク質であるFcεRI分子、c−kit分子等は、それぞれ特異抗体を用いて常法により免疫化学的に検出することにより測定することができる。また、これらに相当するmRNAの発現量を常法により検出することにより測定することもできる。他の態様のマスト細胞における細胞増殖促進又は抑制物質のスクリーニングは、不死化マスト細胞株を種々の濃度の被検物質の存在下でそれぞれ培養し、一定時間培養後に細胞数や細胞の形態を測定・解析し、被検物質の非存在下に培養した対照のものと比較・評価することにより行われる。また、上記マスト細胞の活性化促進又は抑制物質のスクリーニングは、種々の濃度の被検物質の存在下で、不死化マスト細胞株の表面に発現したFcεRIにIgEを結合させた後、抗IgE抗体で架橋させ、顆粒内に貯留した化学伝達物質の放出(脱顆粒)の程度を測定し、また、細胞内のCa2+濃度の上昇の程度を測定し、被検物質の非存在下の対照のものと比較・評価することにより行われる。そしてまた、マスト細胞の成熟促進又は抑制物質のスクリーニングは、不死化マスト細胞株を種々の濃度の被検物質とNGFやSCFの共存下で培養し、該細胞のサフラニン染色性の程度を観察し、被検物質の非存在下に培養した対照のものと比較・評価することにより行われる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
(トランスジェニックマウスの作出)
SV40の温度感受性突然変異株tsA58のDNAを導入したトランスジェニックマウスは、下記の手順で作出した
(導入遺伝子の調製)
マイクロインジェクションにはSV40の温度感受性突然変異株tsA58のゲノムDNAを遺伝子工学的手法で改変したものを使用した。tsA58のゲノムDNAを制限酵素BamHIで開環し、pBR322のBamHI部位に導入し、SfiI配列をSacIIに変換してSV40の複製起点(ori)を欠失するori(−)としたDNAクローンpSVtsA58ori(−)−2(Ohno T. et al., Cytotechnology, 165-172, 1991)から常法に従い導入用DNAを調製した。すなわち、大腸菌内で大量に増幅させることにより得られたプラスミドDNAのpSVtsA58ori(−)−2を制限酵素BamHI(宝酒造社製)で消化した後、アガロース電気泳動法(1%ゲル;ベーリンガー社製)により分離し、ゲルを溶解した後、フェノール・クロロホルム処理及びエタノール沈殿処理を行いDNAを回収した。回収した精製DNAをTEバッファー(1mMのEDTAを含む10mMのTris−HCl;pH7.6)に溶解して170μg/mlの精製DNAを含む溶液を得た。このDNA溶液を注入用バッファー(0.1mMのEDTAを含む10mMのTris−HCl;pH7.6)で5μg/mlとなるように希釈して注入用DNA溶液を調製した。なお、調製したDNA溶液は注入操作まで−20℃で保存した。
(SV40 large T抗原トランスジェニックマウスの作出)
マウス前核期受精卵への上記調製した注入用DNA溶液のマイクロインジェクションは下記の要領で行った。性成熟した8週齢のウィスターマウスを明暗サイクル12時間(4:00〜16:00を明時間)、温度23±2℃、湿度55±5%で飼育し、膣スメアにより雌の性周期を観察して、ホルモン処理日を選択した。まず、雌マウスにより150IU/kgの妊馬血清性性腺刺激ホルモン(日本ゼンヤク社製;PMSゴナドトロピン(pregnanto mare serum gonadotropin:PMSG))を腹腔内投与し、その48時間後に75IU/kgのヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(三共臓器社製;プベローゲン(human chorionic gonadotropin:hCG))を投与して過剰***処理を行った後、雄との同居により交配を行った。hCG投与32時間後に卵管灌流により前核期受精卵を採取した。卵管灌流及び卵の培養にはmKRB液(Toyoda Y. and Chang M.C., J. Reprod. Fertil., 36, 9-22, 1974)を使用した。採取した受精卵を0.1%のヒアルロニダーゼ(シグマ社製;Hyaluronidase Typel-S)を含むmKRB液中で37℃、5分間の酵素処理を行い卵丘細胞を除去した後、mKRB液で3回洗浄して酵素を除去し、DNA注入操作までCO2−インキュベーター内(5%のCO2−95%のAir,37℃、飽和湿度)に保存した。この様にして準備したマウス受精卵の雄性前核に前記DNA溶液を注入した。注入した228個の卵を9匹の仮親に移植して出産させ80匹の産仔を得た。注入DNAのマウスへの導入は、離乳直後に断尾して得た尾より調製したDNAをPCR法により検定した[使用プライマー;tsA58−1A,5’−TCCTAATGTGCAGTCAGGTG−3’(1365〜1384部位に相当:配列番号1)、tsA58−1B,5’−ATGACGAGCTTTGGCACTTG−3’(1571〜1590部位に相当:配列番号2)]。その結果、遺伝子導入の認められた20匹(雄6匹、雌8匹、性別不明6匹)の産仔の中から性成熟期間を経過する12週齢まで生存した11ラインのトランスジェニックマウス(雄ライン:#07−2,#07−5,#09−6,#12−3,#19−5,雌ライン:#09−7,#11−6,#12−5,#12−7,#18−5,#19−8)を得た。これらのG0世代のトランスジェニックマウスとウィスターマウスを交配し、雄ファウンダーの2ライン(#07−2,#07−5)と雌ファウンダーの3ライン(#09−7,#11−6,#19−8)において次世代以降への遺伝子の伝達を確認した。
(マウス骨髄からの不死化マスト細胞株の分離・調製)
8週齢のSV40 large T抗原トランスジェニックマウスとC57BL/6マウスの2系統を用いた。また、これらマウスの骨髄細胞を0.144M塩化アンモニウムにて赤血球lysis処理した細胞を、マスト細胞の分化を誘導するサイトカインであるマウスリコンビナントIL−3を5ng/mL含む培地(表1)を用いて、5.0×105cells/mlの密度でT75フラスコを用い、5%CO2、33℃インキュベーターで4週間以上培養し、以降は5%CO2、37℃インキュベーターで通常の初代培養マスト細胞と同様に継代・維持した。
不死化マスト細胞株の樹立は,1.0cell/well,0.5cell/well及び0.2cell/wellに希釈して96ウェルプレートに播いて行なった。1cell/well及び0.5cell/wellからは、120ウェルに播いたうち、それぞれ18ウェル、15ウェル、0.2cell/wellからは、240ウェルに播いたうち、18ウェルから細胞の増殖が見られた。最終的には、優れた増殖能を有し、FcεRI共架橋によるセロトニン放出が良好であり、かつFcεRI+、c−kit+の細胞が単一集団であった3クローンa(FERM AP−20255),c(FERM AP−20256),E(FERM AP−20257)を選択した。この3種の不死化マスト細胞株(SVMC)をexpandし、以下に示すように詳細な解析を行なったところ、C57BL/6マウスの初代培養のマスト細胞(C57BL/6 MC;B6 BMMC)がもつ性質をほぼ保持し続けていることがわかった。
(SVMCの形態観察)
SVMCの形態を観察するために、ライトギムザ(Wright-Giemsa)染色、トルイジンブルー(Toluidine blue)染色及びアルシャンブルー/サフラニン(Alcian blue/Safranin)染色を行った。SVMCとC57BL/6 MCをそれぞれサイトスピンでスライドグラスに接着させ、ライトギムザ法(ライト染色液・ギムザ染色液、ともにメルク社製)、トルイジンブルー法(トルイジンブルー染色液はクロマ社製)、及びアルシャンブルー/サフラニン法(アルシャンブルー染色液はピアス社製、サフラニン染色液はクロマ社製)にて染色し、可視化した。結果を図1(参考写真1)に示す。図1中、SVMC bulk(FERM AP−20254)は、3種のSVMCクローン(clone)a,c,Eを分離する前のSVMC混在物を表す。マスト細胞は、アレルギーや炎症に関わる種々の化学伝達物質を含んだ顆粒を細胞質内に豊富に貯留している。3種のSVMCをcytospinでスライドガラスに付着させ染色したところ、Wright-Giemsa染色では豊富な顆粒の貯留を認め(図1a)、Toluidine blue染色ではマスト細胞の特徴である異染性を認め(図1b)、Alcian blue/Safranin染色ではAlcian blue陽性の典型的な粘膜型マスト細胞の特徴を認めた(図1c)。
(SV40 large T抗原トランスジェニックマウス由来の確認)
PCR法でSV40 large T抗原遺伝子を増幅したところ、3種のSVMCクローンよりバンドが検出され、トランスジーンを持つことが確認された(図2a;参考写真2)。PCRにはフォワード5'−GGAGGAGTAGAATGTTGAG−3'(配列番号3)、リバース5'−GTGTTGATGCAATGTACTGC−3'(配列番号4)からなるプライマー配列を用い、94℃30秒、54℃30秒、72℃30秒を1サイクルとして30サイクルのPCR条件下で行った。初代培養であるC57BL/6 MCや、ネガティブコントロールであるラットマスト細胞株(RBL−2H3)及びマウスマスト細胞株(P815mastocytoma)には、SV40 large T抗原遺伝子を検出されなかった。
また、SVMCとC57BL/6 MCのラージT抗原蛋白質を、ウェスタンブロット法(実験医学別冊マニュアルUPシリーズ「分子生物学的アプローチによる癌研究プロトコール」108〜115頁、羊土社、1995年発行)により検出した。SVMCとC57BL/6 MCの細胞株をそれぞれPBSで洗浄後、1mLの可溶化溶液(1%のSDS、10mMのTris、1mMのEDTA、10%のglycerin)で可溶化し、100℃で10分間加熱した後、遠心(10000rpmで10分間)して不溶画分を除去した後、フラッドフォード法(PIERCE社製BCAプロテインアッセイ試薬Aを使用)で総蛋白質量を定量した。それぞれ10μgの蛋白質をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離後、ニトロセルロース膜に転写した。3%のスキムミルク溶液でブロッキングしたニトロセルロース膜に1次抗体として抗SV40ラージT抗原マウス抗体(Ab−2;Oncogene社製)を、2次抗体としてHRP標識抗マウスIgG抗体(Birmingham社製)を反応させ、ラージT抗原特異的な反応をアマシャム社製ECLウエスタンブロティング検出システム(RPN2106M1)を用いて検出した。この結果、3種のSVMCよりバンドが検出され、SV40 large T抗原の存在がタンパク質レベルで確認された(図2b;参考写真3)。初代培養であるC57BL/6 MCや、ネガティブコントロールであるRBL−2H3及びP815mastocytomaには、SV40 large T抗原タンパク質の発現は認められなかった。
(SVMCの表面マーカー)
マスト細胞は、細胞表面にFcεRI及びc−kitを高発現していることが知られている。そこで、フローサイトメトリーにてSVMC上のFcεRIとc−kitの発現を調べた。細胞を1.0×106cells/mlに調整し、5ng/mlマウスIgE(BD Biosciences)を添加し、37℃、5%CO2インキュベーターで2時間培養し、細胞表面のFcεRIにIgEを結合させた。その後細胞をFACSバッファー[9.8g/l HANKS(NISSUI)、0.25g/l NaHCO3(和光純薬)、2.0g/l bovine serum albumin(SIGMA)、10mM HEPES(pH7.4)(和光純薬)、0.02% sodium azide(SIGMA)]で2回洗浄し、0.5μg/100μl抗マウスIgE抗体(BD Biosciences)ならびに0.2μg/100μlPE−抗マウスCD117(c−kit)抗体(BD Biosciences)にて氷中で10分間反応させた。FACSバッファーで2回洗浄の後、フローサイトメトリー BD−LSR(BD Biosciences)にてFcεRIならびにc−kitの発現を調べた。その結果、3種のSVMCクローンはいずれもFcεRI,c−kitを高発現していた(図3;参考写真4)。
(SVMCの増殖因子要求性)
免疫系細胞は生体外へ単離すると、特定の増殖因子を含む培地で培養する必要性があるものが多い。マスト細胞は、増殖・機能維持にIL−3を必要とされることが知られている。増殖因子は高価であるので、それらを極力減らすことができれば費用の節減に繋がる。SVMCは骨髄細胞から誘導当初より、5.0ng/mlのIL−3を含む培地で培養を行なってきたが、これを減らすもしくは除いた条件下で培養し、〔3H〕−チミジンの取り込みを指標にSVMCの増殖を調べてみた。IL−3を含まないRPMI培地で細胞を0.6×106cells/mlの濃度に調整した。96穴マイクロプレートにIL−3濃度を0、0.2、2.0、10.0及び20.0ng/mlに調整した培地を100μlずつ加え、細胞懸濁液を100μlずつ各ウェルに分注し、IL−3の最終濃度をそれぞれ0、0.1、1.0、5.0ならびに10.0ng/mlとし、37℃、5%CO2インキュベーターで16時間培養した。その後1MBq/ml[3H]−チミジン(Amersham)を20μlずつ各ウェルに分注し再度37℃、5%CO2インキュベーターで16時間培養し、[3H]−チミジンを細胞へ取り込ませた。その後細胞を濾紙へトランスファーし、十分乾燥の後MATRIX 9600 Direct Beta Counter(Packard instrument company)にて比活性を測定し、DNA合成量を指標に各IL−3濃度での細胞の増殖能を調べた。その結果、SVMCは通常の初代培養のマスト細胞(B6BMMC)より低い濃度のIL−3で維持できる可能性が示唆された(図4;参考写真5)。
(SVMCにおける脱顆粒能)
FcεRIはIgEを結合するα鎖と、刺激の伝達に関わるβ鎖及びγ鎖より構成され、抗原の侵入により、生体にはその抗体に対するIgE抗体が産生され、FcεRIのα鎖にIgEが結合する(感作状態)。再度同一の抗原の侵入により、IgEを結合した隣接するFcεRIが抗原により架橋されブリッジ構造をとる(共架橋)。そして共架橋が刺激となり、β鎖及びγ鎖がリン酸化され、細胞内に存在する刺激伝達因子が動員され、細胞内タンパク質をリン酸化することで刺激がリレー状に伝わり、その一部が細胞内Ca2+濃度を上昇させ、細胞内顆粒の放出を引き起こす。このように、マスト細胞はFcεRIの共架橋により活性化し、顆粒内に貯留した化学伝達物質を放出する(脱顆粒)ことが知られている。そこで3Hで標識したセロトニンの放出を指標にSVMCの脱顆粒能を調べた。その結果、3種のSVMCクローンはいずれも初代培養のマスト細胞(B6BMMC)よりも高い脱顆粒能を保持していた(図5;参考写真6)。
(SVMCにおける細胞内Ca2+動態)
マスト細胞のFcεRIの共架橋は、種々の細胞内シグナルを伝達分子を活性化し、細胞内のCa2+濃度の上昇を誘導することが知られている。そこでCa2+配位結合することで蛍光を発する色素Indo−1AM(SIGMA社製)をSVMC内に取り込ませ、FcεRIの共架橋の蛍光強度の変化を指標に細胞内のCa2+濃度の上昇を調べた。通常(Ca2+free)は500nm付近の蛍光を発するが、Ca2+結合状態では400nm付近の蛍光を発するので、その変化を指標に細胞内Ca2+濃度の上昇を測定した。その結果、3種のSVMCクローンはいずれも初代培養のマスト細胞(C57BL/6 MC)よりも高い細胞内Ca2+濃度の上昇を認めた(図6;参考写真7)。
(結合組織型成熟マスト細胞の誘導)
マスト細胞をNGF(Nerve Growth Factor)やSCF(Stem Cell Factor)などの成長因子の存在下で培養すると、サフラニン(Safranin)陽性の結合組織型成熟マスト細胞に分化することが知られている。そこで、IL−3、NGF及びSCF存在下で3週間培養し、結合組織型マスト細胞への分化誘導を試みた。5.0ng/ml組換えIL−3、50ng/ml組換え−NGF(R&D Systems, Inc.)及び100ng/ml組換えSCF(Peprotech EC. Ltd.)を加えたRPMI−1640培地を用い、2.0×105cells/mlの細胞濃度で培養した。コンフルエントになり次第、等量の新しい培地を加え、35mmディッシュ、100mmディッシュ、T75フラスコの順に移し、細胞を増殖させた。培養を開始して4、8、12、16および20日経過した時点で培養細胞の一部を回収し、アルシャンブルー/サフラニン染色を行い、サフラニン陽性の細胞の有無を検討した。その結果、初代培養のマスト細胞(C57BL/6 MC)は約1週間後に、3種のSVMCクローンのうち1つのクローン(クローンa)が約2週間後にサフラニン陽性の結合組織型成熟マスト細胞を認めた(図7;参考写真8)。
(まとめ)
以上の結果から、樹立した3種の不死化マスト細胞株SVMCは初代培養マスト細胞の性質をほぼ兼ね備えたものであることがわかった。これらマスト細胞株SVMCはこれまでに報告されているマスト細胞株よりも初代培養マスト細胞に近い性質を有し、また未熟型から成熟型のマスト細胞への分化を誘導できる。したがって、本発明のマスト細胞株SVMCは、マスト細胞の機能・分化の研究に大いに有用であると思われる。
本発明の不死化マスト細胞株SVMCのWright-Giemsa染色、Toluidine blue染色及びAlcian blue/Safranin染色の結果を示す図である。 本発明の不死化マスト細胞株SVMCのPCRとウェスタンブロッドの結果を示す図である。 フローサイトメトリーによる本発明の不死化マスト細胞株SVMC上のFcεRIとc−kitの発現結果を示す図である。 3H〕−チミジンの取り込みによる本発明の不死化マスト細胞株SVMCがIL−3要求性であることを示す図である。 3H標識セロトニン放出を指標とした本発明の不死化マスト細胞株SVMCの脱顆粒能を調べた結果を示す図である。 蛍光強度の変化を指標とした本発明の不死化マスト細胞株SVMCの細胞内Ca2+濃度の上昇を調べた結果を示す図である。 本発明の不死化マスト細胞株SVMCが結合組織型成熟マスト細胞へ誘導されることを示すサフラニン染色の結果を示す図である。

Claims (14)

  1. 骨髄に由来することを特徴とする不死化マスト細胞株。
  2. 細胞表面にFcεRI分子及びc−kit分子を発現し、顆粒を細胞質内に豊富に貯留し、FcεRIの共架橋による活性化により脱顆粒能及びCa2+濃度上昇誘導能を有することを特徴とする請求項1記載の不死化マスト細胞株。
  3. 33℃で増殖することができるが、37℃では増殖が部分的に抑制され、39℃では増殖が停止することを特徴とする請求項1又は2記載の不死化マスト細胞株。
  4. NGF及びSCFの存在下で培養することにより、結合組織型成熟マスト細胞に分化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の不死化マスト細胞株。
  5. 齧歯類起源であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の不死化マスト細胞株。
  6. 齧歯類がマウスであることを特徴とする請求項5記載の不死化マスト細胞株。
  7. SVMCクローンa(FERM AP−20255)、SVMCクローンc(FERM AP−20256)、SVMCクローンE(FERM AP−20257)、又はこれらのクローンを分離する前のSVMC混在物(FERM AP−20254)であることを特徴とする請求項6記載の不死化マスト細胞株。
  8. SV40の温度感受性突然変異株tsA58のラージT抗原遺伝子を導入したトランスジェニックマウスの骨髄細胞を溶血処理した後、得られた細胞をIL−3の存在下培養することによりマスト細胞を分化・誘導し、継代培養を繰り返し、細胞表面にFcεRI分子及びc−kit分子を発現し、顆粒を細胞質内に豊富に貯留し、FcεRIの共架橋による活性化により脱顆粒能及びCa2+濃度上昇誘導能を有する細胞株を樹立することを特徴とする不死化マスト細胞株の製造方法。
  9. 33℃で増殖することができるが、37℃では増殖が部分的に抑制され、39℃では増殖が停止し、NGF及びSCFの存在下で培養することにより、結合組織型成熟マスト細胞に分化する細胞株を樹立することを特徴とする請求項8記載の不死化マスト細胞株の製造方法。
  10. 被検物質の存在下、請求項1〜7のいずれか記載の不死化マスト細胞株を培養し、該細胞株における成熟マーカータンパク質の発現の程度を測定・評価することを特徴とするマスト細胞における細胞増殖促進又は抑制物質のスクリーニング方法。
  11. マーカータンパク質が、FcεRI分子及び/又はc−kit分子であることを特徴とする請求項10記載のマスト細胞における細胞増殖促進又は抑制物質のスクリーニング方法。
  12. 被検物質の存在下、請求項1〜7のいずれか記載の不死化マスト細胞株を培養し、該細胞の増殖の程度を測定・評価することを特徴とするマスト細胞における細胞増殖促進又は抑制物質のスクリーニング方法。
  13. 被検物質の存在下、請求項1〜7のいずれか記載の不死化マスト細胞株をFcεRIにより共架橋し、脱顆粒能及び/又はCa2+濃度上昇誘導能の程度を測定・評価することを特徴とするマスト細胞の活性化促進又は抑制物質のスクリーニング方法。
  14. 被検物質の存在下、請求項1〜7のいずれか記載の不死化マスト細胞株をNGF及びSCFの存在下で培養し、該細胞のサフラニン染色性の程度を観察・評価することを特徴とするマスト細胞の成熟促進又は抑制物質のスクリーニング方法。
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