JP2005166326A - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 極板耳部、ストラップおよび極柱が純鉛あるいは非アンチモン系鉛合金からなり、前記極板耳部と前記極柱とを前記ストラップを介して一体に溶接・接合した構造の鉛蓄電池において、使用中に正極ストラップと正極板耳部との境界部で集中的に起こる腐食を抑制し、寿命性能の優れた鉛蓄電池を提供することにある。
【解決手段】 複数の正極板耳部を接続するためのストラップを備えた鉛蓄電池において、前記正極板耳部は純鉛あるいは非アンチモン系鉛合金からなると共に、前記ストラップは、少なくとも、前記正極板耳部側の下部層と前記正極板耳部とは反対側の上部層との2層を備え、前記上部層の単極電位が前記下部層の単極電位よりも卑であることを特徴とする鉛蓄電池の発明である。
【選択図】 図1

Description

本発明は鉛蓄電池に関する。
鉛蓄電池は、鉛または鉛合金からなる格子の枡目に活物質を充填した正・負極板をセパレータを介して積層あるいは巻回した極板群と希硫酸からなる電解液で構成されている。
図5は、前記極板群の一例を示す要部正面図で、12は負極板、21は正極板耳部、22は負極板耳部、31は正極ストラップ、32は負極ストラップ、41は正極極柱、42は負極極柱、5はセパレータ、6は極板群をそれぞれ示す。図6は図5の破線部分の上面図を示すもので、11は正極板を示す。他の構成部材は図5と同じ番号を付記する。
図5および図6に示すように、極板群6は、複数の正極板耳部21が正極ストラップ31と、また、負極板耳部22が負極ストラップ32と電気的に接続されると共に、前記正極ストラップ31が正極極柱41と、また、負極ストラップ32が負極極柱42と溶接・接合された構造を有している。
上記溶接・接合を行う方法としては、前記ストラップおよび極柱の形状を有する鋳型に溶融鉛を注入し、該鋳型に前記極板耳部を倒立して浸漬して、ストラップ、極柱および極板耳部を鋳造により一体に形成する、いわゆるキャスト・オン・ストラップ法(Cast on Strap、略してCOSという)と、あらかじめ鋳造により作製した極柱と極板耳部とをガスバーナー等で部分的に溶融し、次いで足し鉛を溶融しながら供給してストラップを形成する、いわゆるバーナー法とがある。後者は設備が簡単で、多品種少量生産の鉛蓄電池の製造に多く適用されている。
図7は、上記ガスバーナー法を示す要部正面図で、8は溶接補助具1(通常櫛形と称している。以降、櫛形と記載)、9は溶接補助具2(通常、当金(あてがね)と称している。以降、当金と記載)、91は前記当金9に設けた凹部、13は足し鉛、14はバーナーをそれぞれ示す。他の構成部材は図5と同じ番号を付記する。
図7示すように、極板群6の正極板耳部21を櫛型8に設けた切込み部(図7では図示せず)に嵌合し、当金9を当接して、前記当金9の凹部91に正極極柱41を載置して、バーナー14で前記正極板耳部21と正極極柱41を部分的に溶融し、次に足し鉛13を溶かしながら供給して、破線で示す正極ストラップ31を形成することにより、正極板耳部21と正極極柱41とを正極ストラップ31を介して一体に接合する。負極板についても同様の方法で接合される。
ところで、鉛蓄電池の格子に使用される材質は、アンチモン系鉛合金と非アンチモン系鉛合金に大別できる。前者は、格子の鋳造性が良い長所と自己放電の大きい短所を有している。一方、後者は、格子の鋳造性が劣る短所と自己放電が少ない長所を有している。近年、重要視されてきているメンテナンスフリーおよび無漏液特性を有する鉛蓄電池には、自己放電の少ない格子を使用する必要がある。その理由は、特に、負極板の自己放電が多いと、メンテナンスフリーおよび無漏液特性を維持する密閉サイクルが正常に機能しなくなるからである。そういった理由から、近年では、非アンチモン系合金からなる極板群を使用した鉛蓄電池が増加している。
格子を金属組織の観点から言えば、アンチモン系鉛合金は樹枝状組織を有しているのに対して非アンチモン系鉛合金は粒状組織を有している。鉛蓄電池では、充電中には正極で酸化反応、負極で還元反応が起こっているが、正極での酸化反応を別の観点から言えば、
いわゆる腐食反応である。前記腐食において、樹枝状組織を有するアンチモン系鉛合金では、均一な腐食が起こるのに対して、粒状組織を有する非アンチモン系鉛合金では、粒状組織の粒界に沿って腐食が進行することが知られている。
図4は、極板耳部とストラップとが溶接・接合された部分の断面を示す要部模式図で、図6のA−A断面(以降A−A面と記載)を示しており、21は正極板耳部、31は正極ストラップをそれぞれ示す。
図4に示すような構造を有するストラップを備えた鉛蓄電池が、充・放電を繰り返す条件あるいはフロート又はトリクル充電のような絶えず充電される条件で使用された時に、前記正極板耳部21と正極ストラップ31との境界部で腐食が集中的に起こりやすく、さらに上述したように非アンチモン系鉛合金では粒状組織が形成されているため、腐食は該粒界に沿って進行し、場合によってはストラップが折損し、寿命になる問題を抱えている。
本発明は、後述するようにストラップ部を少なくとも2層にする構造を特徴とするものであり、それに関連した特許文献1、2が提案されている。
特許文献1では、鉛−カルシウム系(Pb−Ca、以降Pb−Caと記載)合金と接続部(コネクタ)とをストラップを介して溶接・接合する方式において、前記ストラップにおいて、第1層にはアンチモン(Sb、以降Sbと記載)を含まないPbまたは鉛―錫(Pb−Sn、以降Pb−Snと記載)合金、上部の第2層にはCaとSbを含む2層からなる構成のストラップが提案されている。
また、特許文献2では、ストラップを2層にし、それぞれにSbを30ppm〜70ppm含有させる提案がなされている。
特許3052566号公報 特開平2−262238公報
本発明が解決しようとする課題は、正極板耳部と正極ストラップとの境界部で集中的におこる腐食を低減し、寿命性能の優れた鉛蓄電池を提供することにある。
前記課題を解決するための手段として、請求項1の発明によれば、複数の正極板耳部を接続するためのストラップを備えた鉛蓄電池において、前記正極板耳部は純鉛あるいは非アンチモン系鉛合金からなると共に、前記ストラップは、少なくとも、前記正極板耳部側の下部層と前記正極板耳部とは反対側の上部層との2層を備え、前記上部層の単極電位が前記下部層の単極電位よりも卑であることを特徴とする鉛蓄電池の発明である。
鉛蓄電池の使用中の正極ストラップと極板耳部との境界部での集中的な腐食の進行による劣化のメカニズムは完全には解明されていないが、本発明は、正極ストラップと正極板耳部との合金組成の違いにより両者間に単極電位差が生じて起こる局部電池的作用による腐食の促進を抑制すること、あるいは、正極ストラップの正極板耳部側の表面から結晶粒界に添って内部に向かって腐食が進行したりすることを防止すれば、正極板耳部と正極ストラップとの境界部での腐食を低減し得ることを見いだしたことによってなされたものである。
すなわち、複数の正極板耳部を接続するためのストラップを備えた鉛蓄電池において、前記正極板耳部は純鉛あるいは非アンチモン系鉛合金からなると共に、前記ストラップは、少なくとも、前記正極板耳部側の下部層と前記正極板耳部とは反対側の上部層との2層を備え、前記上部層の単極電位が前記下部層の単極電位よりも卑な構成することにより、下部層に比べ上部層の方が腐食を受けやすくなり、いわゆる上部層を犠牲層とし下部層の腐食を低減する防食のメカニズムによるものである。これにより、より信頼性の高いメンテナンスフリー鉛蓄電池が提供される。
なお、単極電位が自然電極電位とも称されること、金属種、合金種により電位が異なること、その測定には参照電極が用いられることは、金属電気化学の分野において周知である。
したがって、本願発明でのストラップの各層の単極電位は、対象になっている鉛蓄電池で標準的に使用されている濃度(20℃における比重あるいは質量%)の希硫酸中に前記ストラップの各層を浸漬し、参照電極に鉛/硫酸鉛(Pb/PbSO、以降、Pb/PbSOと記載)電極を用いて測定される。
以上、説明したように、本発明によれば正極ストラップと正極板耳部との境界部での腐食が抑制され、より信頼性の高いメンテナンスフリー鉛蓄電池が提供され、その工業的効果が極めて大である。
本発明を実施するための最良の形態は、正極板耳部は純鉛あるいは非アンチモン系鉛合金からなると共に、ストラップは、少なくとも、前記正極板耳部側の下部層と前記正極板耳部とは反対側の上部層との2層を備え、前記上部層の単極電位が前記下部層の単極電位よりも卑な構成にすることである。
電解液中での上部層の単極電位を下部層の単極電位よりも卑にするには、例えば下部層を純Pbで構成し、上部層をPb−Sn合金とすることができる。このようにするには、まず足し鉛に純鉛を用いて正極板耳部と一体になった下部層を形成し、ついでPb−Sn合金を足し鉛に用いて上部層を形成する。また、Pb−Sn合金製の下部層に比べてSnの含有量の多いPb−Sn合金からなる上部層にすることもできる。この場合も、まず足し鉛にSn含有量の少ないPb−Sn合金で下部層を形成し、ついでSn含有量の多いPb−Sn合金を足し鉛で上部層を形成する。これ以外にも、実施例の欄に記載するキャスト・オン・ストラップ法も採用可能である。
上記の場合は、いずれも下部層と上部層とが明瞭に識別できるが、例えば、下から順にPb−1質量%(以降、質量は記載しない)Sn合金、Pb−1.5%Sn合金、Pb−2%Sn合金、Pb−2.5%Sn合金とし、最上部にPb−3%Sn合金の足し鉛を用いてストラップを形成したような場合、各層の境界を視覚的に明瞭に識別することは困難かもしれないが、本発明の要点は下部層と上部層との識別そのものにあるのではなく、ストラップの正極板耳部側(下部層)の単極電位に比べ、前記正極板耳部とは反対側部(上部層)の単極電位を卑に構成したことにあるので、例え下部層と上部層の視覚的識別が困難であっても、単極電位の測定でもって本発明実施の有無が識別可能である。
なお、電解液中での上部層の単極電位は正極板耳部の単極電位よりも卑にする必要がある。上部層よりも優先的に正極板耳部が腐食するのを防止するためである。また、下部層と上部層との間には単数または複数の中間層があってもよい。下部層と上部層の厚みは、ストラップの厚さや蓄電池の期待寿命等を勘案し、適宜設定すればよい。
「背景技術」の項に記載している特許文献1および2は、ストラップ部を2層にすることが記載されているが、単極電位についての記載がなく、特許文献1では、下部層がPb−Sn合金、上部層がCaおよびSbを含有するもので、Pb−Ca系合金からなる極板耳部とPb−Sb系合金からなるコネクタとを溶接した場合、極板耳部のCaとコネクタのSbとが交じり合い、CaとSbとの化合物が生成し、これが耐食性に劣るため、腐食が促進されるのに対して、前記極板耳部とコネクタとの間にPb又はPb−Sn合金層を形成し、CaとSbが混じらない構造にして腐食を抑制するもので、本願の発明の防食機構と異なる。
また、特許文献2は、制御弁式鉛蓄電池の負極のストラップ腐食を抑制することを目的とし、前記腐食の原因がSbの存在によるもので、そのSbの含有量を30ppm〜70ppmに制御することによりその腐食を抑制しようとするもので、ストラップ部を2層にした場合においても、各層の単極電位を変えることについては記載されていない。この点からも、本願発明の腐食抑制機構と異なるのは明らかである。
本発明を実施例に基づき詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1では、ストラップを厚み方向に2層に分け、下部層に純Pb、上部層にPb−Sn合金の構成にした場合について説明する。
まず、Pb−0.06%Ca−1.5%Sn−0.005%Al合金からなる正極格子に鉛酸化物を主体とする微粉末を希硫酸で練膏したペースト状正極原料を充填し、熟成・乾燥を経て、未化成正極板を作製した。前記正極板の寸法は、高さ130mm、幅140mm、厚さ4mmである。
一方、負極板は、正極格子と同じ組成の鉛合金の格子を用い、酸化物を主体とする微粉末に有機エキスパンダー、カーボンおよび炭酸バリウムを所定量添加した後、希硫酸で練膏したペースト状負極原料を前記格子に充填し、熟成・乾燥を経て、未化成負極板を作製した。前記負極板の寸法は、高さ130mm、幅140mm、厚さ2.5mmである。これら正・負極板を微細ガラス繊維セパレータを介して交互に積層して極板群6を形成した。
次に、あらかじめ鋳造により作製した正極極柱41を用いて、図7に示す方法で、正極ストラップ31を形成すると共に、前記正極極柱41と正極板耳部21とを前記ストラップ31を介して溶接・接合した。その際、ストラップ形成用の足し鉛に純PbとPb−50%Snを準備し、まず、正極板耳部21を部分的に溶融すると共に、正極板耳部21の配列方向に純Pbの足し鉛を溶融しながら供給して溶接を行った。さらに同方向に同量の足し鉛をもう一度供給した後、足し鉛をPb−50%Sn合金に代え、同様の方法でストラップ層をさらに形成し、本発明の実施例1に基づく極板群6を作製した。このようにして作製したストラップを図6に示すA−A面で切断し、電子線マイクロアナライザ(EPMA、以降EPMAと記載)で試料断面の元素分析を行った。その結果、正極ストラップ下部から上部に向かってストラップ厚みの約2/3が純Pb層、残りの約1/3の部分がPb−50%Sn層が形成されていることが明らかになった。図2はその断面を示す模式図で、311はストラップに形成された純Pbの下部層、312はPb−50%Snからなる上部層をそれぞれ示す。他の構成部材は図4と同じ番号を付記する。
負極板耳部、負極ストラップおよび負極極柱は従来と同じ方法で足し鉛に純Pbのみを用いて溶接・接合を行った。
一方、従来品は、実施例1と同じ構成の極板群を用い、正・負極ストラップを形成する足し鉛には純Pbのみを用い、正・負極共、図7に示す方法で溶接・接合を行った。このようにして形成されたストラップをA−A面で切断した断面をEPMAで元素分析を行い、図4に模式的に示されている状態が形成されていることを確認した。
これら、極板群を電槽に挿入し、該電槽と蓋とを接着し、公称電圧2V、定格容量Cが50Ahの制御弁式鉛蓄電池を組み立て、最終の電解液比重が20℃で1.280になるように所定比重の希硫酸を所定量注入した後、電槽内で化成を行い、化成終了後、蓋に設けた弁座に安全弁を装着して蓄電池を完成させた。
ここでの定格容量とは、規定条件下で放電したときに蓄電池から取り出せる、製造業者が定めた電気量をいい、通常Ahで示される。また、定格容量は通常、Cで表示され、Cで表記された場合のNは時間率を表し、その時間率での定格容量を意味する。すなわち、上記の場合、Cが50Ahであるので50Ah/5h(時間)=10Aで該蓄電池を放電したときに、放電持続時間が5h以上、すなわち10A×5h=50Ah以上が得られること意味する。
なお、上記20℃で比重1.28の希硫酸中での純Pb層の単極電位とPb−50%Sn層との単極電位を、Pb/PbSOを参照電極として測定したところ、Pbからなるストラップ下部層に対してPb−50%Snからなる上部層の方が40mV卑なことが確認された。
これら蓄電池を過充電試験に供した。試験条件を以下に示す。
試験温度:75℃
過充電電流:0.5A(0.01CA)(C:鉛蓄電池の定格容量、A:電流)
試験期間:8ヶ月
試験終了後、各正極ストラップをA−A面で切断して、その部分を樹脂で固め、研磨した後、金属顕微鏡で腐食状態を観察した。図1は本発明品、図3は従来品の状態を示す模式図で、151は正極ストラップ上部層表面に生成された腐食層、152は正極板耳部と正極ストラップとの境界部および正極ストラップ下部層表面に生成された腐食層、153は正極ストラップの粒界に沿って生成された腐食層をそれぞれ示す。他の構成部材は図2あるいは図4と同じ番号を付記する。
図3に示すように、従来品では、正極ストラップの上面にも腐食層151が生成されているがその層厚みは僅かで、正極ストラップと極板耳部との境界部に厚い腐食層152が生成していると共に前記境界部からストラップの粒界に沿って腐食層153も進行しており、さらに腐食が進行するとストラップが切断する危険性を有しているのが理解される。
一方、本発明品では、正極ストラップの下部層は純Pbで、正極板耳部から遠い上部層はPb−50%Snで構成されている。上述したように、Pb−50%Snの単極電位は純Pbの単極電位に比べて40mV卑であるので、上記過充電試験を行った場合、図1に示すように電位が卑であるPb−50%Snの層312に腐食151が集中しており、純Pb層からなる311での腐食層152の厚みは薄く、従来品のような粒界に沿った腐食層153は生成しておらず、この時点ではストラップの折損といった問題の心配もなく長寿命の鉛蓄電池が得られることが理解できる。
(実施例2)
実施例2は、実施例1と同様のストラップの厚み方向に下部層は純Pb、上部層はPb−50%Sn合金からなる2層構造を上述したCOS法により形成したものである。
図8はその作製方法を模式的に示す一部欠裁図で、12は負極板、21は正極耳部、311は溶融状態の純Pb、312はPb−50%Sn合金板、16はCOS用鋳型をそれぞれ示す。
図8に示すように、予めモールド16内に表面を清浄にしたPb−50%Sn合金板を配置しておき、そこに溶融した純Pbを注入すれば、純Pbの溶融熱で前記Pb−50%Sn合金板が溶融され、その溶融2層体部分に正極板耳部21を浸漬し、凝固させることによって、正極板耳部と一体になった正極ストラップを形成した。このストラップをA−A面で切断し、実施例1と同様にEPMAで元素分析を行った結果、図2に示す構造が得られていることが確認できた。
上記ストラップを有する極板群を用いて、実施例1と同じ制御弁式鉛蓄電池を作製して同じ条件で過充電試験に供した結果、実施例1と同様の腐食状態が得られ、本発明の効果が確認された。
(実施例3)
実施例1と同じ極板群を準備し、以下の方法でバーナー法による溶接・接合を行った。まず、正極板耳部を溶かすと共に、正極板耳部の配列方向にPb−2%Snの足し鉛を溶かしながら供給し溶接を行った。次に、足し鉛をPb−4%Snに代え、同方向に同量の足し鉛を供給した。この時、ガスバーナの炎を通常より多めに当て、Snを撹拌した。さらに足し鉛をPb−10%Snに代え、同方向に同量の足し鉛をもう一度供給することによりストラップを形成した。この時もガスバーナの炎を通常より多めに当てた。以上のようにして作製した正極ストラップのA−A面を実施例1と同様にEPMAで元素分析を行った結果、ストラップの厚み方向に下部から上部に向かってSnの濃度が徐々に高くなっていく濃度勾配を有していることが確認できた。図9は、その状態を模式的に示すもので、21は正極板耳部、31は正極ストラップ、313はストラップ下部から上部に向かうほどSnが高濃度となる濃度勾配を有する正極ストラップをそれぞれ示す(図9では、ストラップ部の色が濃くなるほどSn濃度が高くなっていることを模式的に示している)。
この方法で作製したストラップを有する極板群を用いて実施例1と同じ鉛蓄電池を作製し、同じ条件で過充電試験に供した。その結果、実施例1と同様、正極ストラップと正極板耳部との境界部での顕著な腐食は見られなかった。また、実施例1ではストラップ上部に多量の腐食層が生成していたが、この方法で作製した正極ストラップはSnの濃度勾配があり、しかもSn量が全体的に少ないので、腐食量そのものが実施例1に比べて少なかった。
本発明による実施例1の過充電試験後の腐食状態を示す要部模式図。 本発明による実施例1の正極板耳部とストラップの断面を示す要部模式図。 従来品の過充電試験後の腐食状態を示す要部模式図。 従来品の正極板耳部とストラップの断面を示す要部模式図。 極板群の一例を示す要部正面図。 図5の破線部分を示す要部上面図。 バーナー法による溶接・接合状態を示す要部正面図。 本発明による実施例2を示す要部模式図。 本発明による実施例3の正極板耳部とストラップの断面を示す要部模式図。
符号の説明
11 正極板
12 負極板
21 正極板耳部
22 負極板耳部
31 正極ストラップ
32 負極ストラップ
41 正極極柱
42 負極極柱
311 ストラップの下部層を構成している純Pb
312 ストラップの上部層を構成しているPb−50%Sn合金
313 下部から上部に向かってSnの濃度が勾配を有するストラップ
151 ストラップ上部に生成した腐食層
152 ストラップ下部に生成した腐食層
153 ストラップの粒界に沿って生成した腐食層
6 極板群

Claims (1)

  1. 複数の正極板耳部を接続するためのストラップを備えた鉛蓄電池において、
    前記正極板耳部は純鉛あるいは非アンチモン系鉛合金からなると共に、前記ストラップは、少なくとも、前記正極板耳部側の下部層と前記正極板耳部とは反対側の上部層との2層を備え、前記上部層の単極電位が前記下部層の単極電位よりも卑であることを特徴とする鉛蓄電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009064720A (ja) * 2007-09-07 2009-03-26 Gs Yuasa Corporation:Kk 鉛蓄電池
JP2015079646A (ja) * 2013-10-17 2015-04-23 株式会社Gsユアサ 制御弁式鉛蓄電池及びその負極集電体

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