しかしながら、第1又は第2のシフトレジスタによれば、各転送単位回路を構成するための回路素子数が多くなり、且つクロック信号の入力端子数も多くなるため、そのレイアウト面積も大きくなる。電気光学パネルは、高品質な画像表示を行うために画像表示領域が多画素となる傾向にあり、これに伴い画素ピッチも狭ピッチとなる。このため、電気光学パネルに、第1又は第2のシフトレジスタを用いて構成される駆動回路を組み込む場合、クロック系統への配線入力数が多くなり、電気光学パネルの画像表示領域において多画素を実現するのが困難となる恐れがある。
また、第1又は第2のシフトレジスタにおいて、各転送単位回路に対する2種のクロック信号の入力タイミングがずれると、レーシングによる誤動作を引き起こす恐れもある。即ち、2種のクロック信号は連続して入力されるため、各転送単位回路において、該入力タイミングがずれると、前段の転送パルスが当該転送単位回路を通過して、次段の転送単位回路にまで入力されてしまう、所謂レーシングを引き起こすこととなる。
また、第2のシフトレジスタによれば、各転送単位回路を片チャネル型トランジスタで構成するために貫通電流が発生し、動作時における消費電力が大きくなってしまう。
本発明は、上記問題点に鑑み成されたものであり、比較的少ない回路素子数で誤転送を防止し、且つ消費電力を削減することのできるシフトレジスタ及びその駆動方法、並びに該シフトレジスタを備える駆動回路、このような駆動回路を備えてなる電気光学装置、及び該電気光学装置を備えてなる電子機器を提供することを課題とする。
本発明のシフトレジスタは上記課題を解決するために、複数段の転送単位回路において転送パルスを順次生成するシフトレジスタであって、前記複数段のうち奇数段の前記転送単位回路は夫々、第1クロック信号のアクティブ期間に閉状態となって前段からの転送パルス又はスタートパルスを通過させる奇数段第1スイッチング素子と、該奇数段第1スイッチング素子を介して前記転送パルス又はスタートパルスが入力されると共に次段へ転送され且つ出力される転送パルスを生成する奇数段ラッチ用バッファと、第3クロック信号のアクティブ期間に閉状態となって前記奇数段ラッチ用バッファの出入力に帰還を掛ける奇数段第2スイッチング素子とを備え、前記複数段のうち偶数段の前記転送単位回路は夫々、前記第1クロック信号とはアクティブ期間が異なる第2クロック信号の該アクティブ期間に閉状態となって前段からの前記転送パルスを通過させる偶数段第1スイッチング素子と、該偶数段第1スイッチング素子を介して前記転送パルスが入力されると共に次段へ転送され且つ出力される転送パルスを生成する偶数段ラッチ用バッファと、前記第3クロック信号のアクティブ期間に閉状態となって前記偶数段ラッチ用バッファの出入力に帰還を掛ける偶数段第2スイッチング素子とを備え、前記第3クロック信号は、前記第1及び第2クロック信号の論理和信号であって且つ前記第1及び第2クロック信号に対して所定量だけ遅延されているクロック信号である。
本発明のシフトレジスタには、駆動時に第1クロック信号、第2クロック信号、及び第3クロック信号、並びにスタートパルスが外部より入力される。当該シフトレジスタの複数段において、奇数段第1スイッチング素子に順次第1クロック信号が入力され、偶数段第1スイッチング素子に順次第2クロック信号が入力される。第1クロック信号のアクティブ期間によって、奇数段第1スイッチング素子の動作期間が規定され、第2クロック信号のアクティブ期間によって、偶数段第1スイッチング素子の動作期間が規定される。奇数段の転送単位回路において夫々第1クロック信号の入力に応じて奇数段第1スイッチング素子によって転送動作が開始され、偶数段の転送単位回路において夫々第2クロック信号の入力に応じて偶数段第1スイッチング素子によって転送動作が開始される。そして、第1クロック信号及び第2クロック信号は、複数段の転送単位回路において順次転送動作が開始されるように、且つ、各転送単位回路における奇数段又は偶数段第1スイッチング素子の動作期間が重ならないように、互いに位相の異なる信号となっている。
また、第3クロック信号は第1クロック信号及び第2クロック信号に対して所定量だけ遅延する信号であり、第3クロック信号のアクティブ期間によって奇数段又は偶数段第2スイッチング素子の動作期間が規定される。第3クロック信号を、第1クロック信号及び第2クロック信号の論理和信号に基づいて生成されたクロック信号とすることによって、該第3クロック信号の第1クロック信号及び第2クロック信号に対する遅延量を調整することが可能となる。
本発明のシフトレジスタにおいて、動作時、先ず、第1段目の転送単位回路において転送動作が開始される。より具体的には、第1クロック信号が入力されると、即ち第1クロック信号のアクティブ期間が開始されると、奇数段第1スイッチング素子は閉状態となり、該奇数段第1スイッチング素子を介してスタートパルスが、第1段目の転送単位回路内に取り込まれて転送動作が開始される。
該取り込まれたスタートパルスは奇数段ラッチ用バッファに入力される。そして、奇数段ラッチ用バッファによって、入力されたスタートパルスに基づいて第1番目の転送パルスが生成される。
続いて、第1段目の転送単位回路において、前述した第1クロック信号の入力より所定量だけ遅れて、奇数段第2スイッチング素子に第3クロック信号が入力される。第3クロック信号が入力されると、即ち第3クロック信号のアクティブ期間が開始されると、奇数段第2スイッチング素子は閉状態となり、奇数段ラッチ用バッファより出力される第1番目の転送パルスを該奇数段ラッチ用バッファの出力側から入力側にフィードバックする。これにより、奇数段第2スイッチング及び奇数段ラッチ用バッファは、ラッチ回路として機能し、奇数段ラッチ用バッファの出力側及び入力側は所定の電圧に維持される。
その後、第2段目の転送単位回路において転送動作が開始される。第2段目の転送単位回路において、第2クロック信号の入力即ち第2クロック信号のアクティブ期間の開始に応じて偶数段第1スイッチング素子が閉状態となり、該偶数段第1スイッチング素子を介して第1番目の転送パルスが第2段目の転送単位回路内に取り込まれる。そして、第1段目の転送単位回路における、奇数段ラッチ用バッファと同様に、偶数段ラッチ用バッファによって第2番目の転送パルスが生成される。
続いて、第2段目の転送単位回路において、前述した第2クロック信号の入力より所定量だけ遅れて第3クロック信号が入力されて偶数段第2スイッチング素子が閉状態となると、該偶数段第2スイッチング素子が第1段目の転送単位回路における奇数段第2スイッチング素子と同様に動作することで、第2段目の転送単位回路において、ラッチ回路が形成される。
その後、第3段目以降最終段までの各段において第2段目と同様の動作が行われ、その結果転送パルスが順次生成される。
このように本発明のシフトレジスタによれば、第1クロック信号及び第2クロック信号に応じて複数段において順次転送動作が開始される。また、各転送単位回路において、スタートパルス又は前段からの転送パルスを取り込んで転送パルスを生成してから、ラッチが開始される。
ここで、奇数段又は偶数段第1スイッチング素子と、奇数段又は偶数段第2スイッチング素子とは、互いに異なる導電型のトランジスタを用いて構成してもよいし、互いに同一の導電型のトランジスタを用いて構成してもよい。奇数段又は偶数段第1スイッチング素子と、奇数段又は偶数段第2スイッチング素子とを、互いに異なる導電型のトランジスタを用いて構成すれば、転送単位回路において、回路素子の数を増やさなくても動作時に貫通電流の発生を抑制することが可能となるため、当該シフトレジスタの消費電力を削減することができる。また、この場合、当該シフトレジスタの駆動電圧及び第1から第3クロック信号、及びスタートパルスの電圧を同一とすることが可能となる。
従って、本発明のシフトレジスタによれば、比較的少ない数の回路素子によって各転送単位回路を構成することが可能であると共に、レーシング等の誤動作を防止することが可能となる。
よって、既に説明したような回路素子数の多いシフトレジスタを製造する場合と比較して、本発明のシフトレジスタの製造時における歩留まりを向上させることが可能となる。また、本発明のシフトレジスタはレイアウト面積が大きくならないため、例えば、画像表示領域における画素ピッチが狭ピッチとして構成された電気光学パネルの駆動回路に組み込む場合も非常に有利となる。
本発明のシフトレジスタの一態様では、前記所定量は、前記奇数段及び偶数段ラッチ用バッファの夫々における転送動作の遅延量よりも大きい。
この態様によれば、各転送単位回路において、スタートパルス又は前段からの転送パルスを取り込んで転送パルスを生成してから、ラッチを開始することが可能となる。よって、この態様では、より確実にレーシングによる誤動作を防止することが可能となる。
本発明のシフトレジスタの一態様では、前記奇数段又は偶数段第1及び第2スイッチング素子は夫々、互いに異なる導電型のトランジスタを用いて構成される。
この態様によれば、第1から第3クロック信号、及びスタートパルスの電圧と、当該シフトレジスタの駆動電圧とを同一としても、各転送単位回路内において、奇数段又は偶数段第1及び第2スイッチング素子の接続点における電位は中間電位に固定されない。即ち、貫通電流は生じないため、回路素子数を増やさなくても消費電力を削減することが可能となる。
この、奇数段又は偶数段第1及び第2スイッチング素子が互いに異なる導電型のトランジスタを用いて構成される態様では、前記奇数段又は偶数段第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子はエンハンスメント型トランジスタを用いて構成してもよい。
このように構成すれば、ドープ工程を増やすことなく、奇数段又は偶数段第1及び第2スイッチング素子を製造することが可能となる。また、第1から第3クロック信号、及びスタートパルスの電圧と、当該シフトレジスタの駆動電圧とを同一としても、各転送単位回路内において、奇数段又は偶数段第1及び第2スイッチング素子の接続点における電位は中間電位に固定されない。
本発明のシフトレジスタの他の態様では、前記第1、第2及び第3クロック信号、並びに前記スタートパルスの電圧は夫々、当該シフトレジスタに入力される電源電圧と同じである。
この態様によれば、少ない数の電源によって当該シフトレジスタを駆動することが可能となる。例えば、一つの電源によって当該シフトレジスタを駆動することも可能となる。
本発明のシフトレジスタの他の態様では、前記奇数段又は偶数段第1及び前記第2スイッチング素子は互いに同一の導電型のトランジスタを用いて構成される。
この態様によれば、第1から第3クロック信号、及びスタートパルスの電圧値を、奇数段又は偶数段第1及び第2スイッチング素子の動作電圧に対して調整することにより、上記と同様に貫通電流を抑制することが可能となる。より具体的には、奇数段又は偶数段第1及び第2スイッチング素子の閾値電圧の値に応じて、上述の4種の信号の電圧値を前述の動作電圧に対して相対的に低くするか或いは高くして調整する。よって、回路素子数を増やさなくても消費電流を削減することができる。
本発明のシフトレジスタの他の態様では、前記奇数段又は偶数段第1及び第2スイッチング素子は夫々、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;以下適宜、”TFT”と称する)を用いて構成される。
この態様によれば、奇数段又は偶数段第1及び第2スイッチング素子は個別に順次駆動されるため、該奇数段又は偶数段第1及び第2スイッチング素子を構成するTFTの閾値電圧の値や易動度の値が、当該シフトレジスタの各転送単位回路間でばらついても、誤動作を防止することが可能となる。
本発明のシフトレジスタの他の態様では、前記奇数段及び偶数段ラッチ用バッファは夫々、直列接続された2個のインバータ回路を有し、該2個のインバータ回路のうち前記スタートパルス又は前記転送パルスが入力される側の一方は、対応する前記奇数段又は偶数段第1スイッチング素子の閾値電圧よりも高い閾値電圧を有するインバータ回路である。
この態様によれば、奇数段及び偶数段ラッチ用バッファにおける前記一方のインバータ回路の閾値電圧は、対応する奇数段又は偶数段第1スイッチング素子の閾値電圧に対して高くすることによって調整されている。よって、奇数段及び偶数段第1スイッチング素子における貫通電流の発生による奇数段及び偶数段ラッチ用バッファの誤動作を防止することが可能となる。
本発明のシフトレジスタの他の態様では、前記複数段の並びに対して前記転送パルスが順次出力される順序を選択的に順方向又は逆方向に設定する転送方向設定手段を更に備える。
この態様によれば、本発明のシフトレジスタを順方向及び逆方向の双方向に駆動することが可能となる。また、順方向、或いは逆方向に駆動する両方の場合において、誤動作を防止することが可能となる。
本発明のシフトレジスタの他の態様では、前記奇数段第1スイッチング素子と前記奇数段ラッチ用バッファとの間及び前記偶数段第1スイッチング素子と前記偶数段ラッチ用バッファとの間に夫々、前記入力された転送パルスの電圧を保持するための保持容量を更に備える。
この態様では、各転送単位回路における奇数段及び偶数段第1スイッチング素子、並びに奇数段及び偶数段第2スイッチング素子が開状態のとき、保持容量によって奇数段及び偶数段ラッチ用バッファの入力側を所定の電圧に保持することが可能となる。その結果、奇数段及び偶数段第2スイッチング素子のフィードバックが停止されている間も、各転送単位回路より転送パルスを所定の電圧に維持して出力させることが可能となる。
本発明の駆動回路は上記課題を解決するために、上述した本発明のシフトレジスタ(但し、その各種態様も含む)と、前記第1及び第2クロック信号を生成すると共に、前記第1及び第2クロック信号を論理和し且つ遅延させることによって前記第3クロック信号を生成するクロック信号生成回路とを備えており、前記シフトレジスタより直接又は他の回路を経て前記転送パルスが駆動信号として順次出力される。
本発明の駆動回路では、クロック信号生成回路によって、第1及び第2クロック信号は互いに異なる位相となるように生成される。このように、第1及び第2クロック信号が生成されることにより、本発明のシフトレジスタの各転送単位回路における奇数段及び偶数段第1スイッチング素子の動作期間が互いに重ならないように制御される。
第3クロック信号は、第1及び第2クロック信号を、論理和した後に遅延させて生成するようにしてもよいし、遅延させた後に論理和して生成するようにしてもよい。そして、クロック信号生成回路において第3クロック信号の、第1及び第2クロック信号に対する遅延量が調整される。これにより、本発明のシフトレジスタでは、各転送単位回路において、スタートパルス又は前段からの転送パルスを取り込んで転送パルスを生成してから、ラッチを開始することが可能となる。ここに、第3クロック信号の、第1及び第2クロック信号に対する遅延量を大きくすると、各転送単位回路において貫通電流が発生する時間が長くなる。従って、貫通電流の発生が抑制されるように、奇数段又は偶数段第1及び第2スイッチング素子の性能に応じて、クロック信号生成回路において、第3クロック信号が生成されるのが好ましい。
よって、本発明の駆動回路によれば、例えば該駆動回路を電気光学パネルに組み込む場合に、新たなインターフェースを用いることなく、クロック信号生成回路によって本発明のシフトレジスタに入力される第1から第3クロック信号を生成させることが可能となる。
尚、他の回路、より具体的には例えばイネーブル手段や、バッファ回路、レベルシフタを経て、転送パルスを駆動信号として出力させることによって、各転送単位回路より出力される転送パルスに対して波形制御等を行うことが可能となる。
本発明の駆動回路の一態様では、前記他の回路は、前記第3クロック信号に基づいて、前記駆動信号が出力される期間が時間軸上で相互に重ならないように前記転送パルスに対して波形制御を行うイネーブル手段を含む。
この態様によれば、本発明のシフトレジスタの各転送単位回路におけるラッチを開始させる第3クロック信号に基づいて、イネーブル手段によって各転送パルスに対して波形制御が行われる。これにより、各駆動信号が出力される期間が制御され、各転送単位回路におけるラッチの開始のタイミングに基づいて、本発明の駆動回路より駆動信号を順次出力させることが可能となる。言い換えれば、イネーブル手段用の信号と第3クロック信号とを兼用にできるので有利である。
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、上述した本発明の駆動回路(但し、その各種態様も含む)、及び前記順次出力される駆動信号に基づいて駆動される電気光学パネルを備える。
本発明の電気光学装置では、新たなインターフェースを用いること無く、或いは本発明の駆動回路を駆動させるための新たな信号を外部から入力させること無く、該駆動回路を正常に動作させることが可能となる。
上述したように、本発明のシフトレジスタはレイアウト面積が大きくならないため、電気光学パネルにおける画像表示領域において多画素を実現することが可能となり、高品質な画像表示を行うことが可能となる。
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置を具備する。
本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、高品質な画像表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)等を実現することも可能である。
本発明のシフトレジスタの駆動方法は上記課題を解決するために、複数段の転送単位回路において転送パルスを順次生成するシフトレジスタを駆動するシフトレジスタの駆動方法であって、前記複数段のうち奇数段の前記転送単位回路において夫々、(i)奇数段スイッチング素子を第1クロック信号のアクティブ期間に閉状態とすることで、前段からの転送パルス又はスタートパルスを通過させ、(ii)該奇数段第1スイッチング素子を介して前記転送パルス又はスタートパルスが入力される奇数段ラッチ用バッファによって、次段へ転送され且つ出力される転送パルスを生成し、(iii)奇数段第2スイッチング素子を第3クロック信号のアクティブ期間に閉状態とすることで、前記奇数段ラッチ用バッファの出入力に帰還を掛ける工程と、前記複数段のうち偶数段の前記転送単位回路において夫々、(i)偶数段第1スイッチング素子を前記第1クロック信号とはアクティブ期間が異なる第2クロック信号の該アクティブ期間に閉状態とすることで、前段からの前記転送パルスを通過させ、(ii)該偶数段第1スイッチング素子を介して前記転送パルスが入力される偶数段ラッチ用バッファによって、次段へ転送され且つ出力される転送パルスを生成し、(iii)偶数段第2スイッチング素子を前記第3クロック信号のアクティブ期間に閉状態とすることで、前記偶数段ラッチ用バッファの出入力に帰還を掛ける工程とを備え、前記第3クロック信号は、前記第1及び第2クロック信号の論理和信号であって且つ前記第1及び第2クロック信号に対して所定量だけ遅延されているクロック信号である。
本発明のシフトレジスタの駆動方法では、前述した本発明のシフトレジスタと同様に、少ない個数の回路素子によって各転送単位回路を構成することが可能であると共に、レーシング等の誤動作を防止することが可能となる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態は、本発明の電気光学装置を、TFTアクティブマトリクス駆動形式の液晶装置に適用したものである。
<1;液晶装置の構成>
先ず本発明に係る電気光学装置の全体構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る液晶装置の全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、液晶装置1は、主要部として、本発明に係る「電気光学パネル」の一例たる液晶パネル100及びタイミングジェネレータ400、並びに本発明に係る「駆動回路」の一例として走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150を備える。
液晶パネル100は、その画像表示領域110に画素スイッチング用のスイッチング素子としてTFT116、画素電極等を形成した素子基板と、対向電極等を形成した対向基板とを、互いに電極形成面を対向させて且つ一定の間隙を保って貼付し、この間隙に液晶を挟持することで構成されている。
タイミングジェネレータ400は、図示せぬ上位装置から供給される垂直同期信号HSYNC、水平同期信号VSYNC、及びドットクロックDCKに従って、各部で使用される各種タイミング信号を出力するように構成されている。より具体的には、垂直同期信号HSYNC、水平同期信号VSYNC、及びドットクロックDCKに基づいて、Yクロック信号YCK、Yイネーブル信号/YEN、及びYスタートパルスDY1、並びにXクロック信号XCK、Xイネーブル信号/XEN、及びXスタートパルスDX1が生成される。
走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150は、例えば液晶パネル100に内蔵されて設けられる。この場合、走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150は、好ましくは、画像表示領域110に作り込まれる各画素に係るTFT116等と共に、液晶パネル100の素子基板の周辺領域に作り込まれる。或いは、走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150は、少なくとも部分的に外付けICとして構成され、周辺領域に後付けされてもよい。
液晶パネル100は更に、その素子基板の中央を占める画像表示領域110に、縦横に配線されたデータ線114及び走査線112を備え、それらの交点に対応する各画素に、マトリクス状に配列された画素電極118及び画素電極118をスイッチング制御するためのTFT116を備える。尚、本実施形態では特に、走査線112の総本数をm本(但し、mは2以上の自然数)とし、データ線114の総本数をn本(但し、nは2以上の自然数)として説明する。
ここに、データ線駆動回路150には、図1には図示しない画像信号処理回路から、画像信号DATAが画像信号供給線L1を介して供給される。この画像信号DATAは、画像信号処理回路において、外部から入力される入力画像データに基づいて生成される。尚、この例では、説明を簡略化するため、画像信号DATAは白黒の階調を表すものとするが、本発明はこれに限定されるものではなく、画像信号をRGB各色に対応するR信号、G信号、及びB信号から構成してもよい。この場合には、画像信号供給線を3本設ければよい。
データ線駆動回路150は、画像信号供給線L1から供給される画像信号DATAを、各データ線114に画像信号X1、X2、X3、X4、・・・、Xnとしてこの順に線順次に、或いは相隣接する複数のデータ線114同士に対して、グループ毎に、供給する。図1中、点線で囲まれた一つの画素部の構成に着目すれば、TFT116のソース電極には、データ線駆動回路150より画像信号Xi(但し、i=1、2、3、・・・、n)が供給されるデータ線114が電気的に接続されている一方、TFT116のゲート電極には、後述する走査信号が供給される走査線112が電気的に接続されるとともに、TFT116のドレイン電極には、画素電極118が接続されている。そして、各画素部は、画素電極118と、対向基板に形成された共通電極と、これら両電極間に挟持された液晶とによって構成される結果、走査線112とデータ線114との各交点に対応して、マトリクス状に配列されることになる。
画素電極118は、スイッチング素子であるTFT116を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線114から供給される画像信号X1、X2、X3、X4、・・・、Xnを所定のタイミングで書き込む。画素電極118を介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号X1、X2、X3、X4、・・・、Xnは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学パネルからは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、蓄積容量119が、画素電極118と対向電極との間に形成される液晶容量と並列に付加されている。例えば、画素電極118の電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量119により保持されるので、保持特性が改善される結果、高コントラスト比が実現されることとなる。
<2;走査線駆動回路>
次に、図1の他、図2から図6を参照して、走査線駆動回路130について説明する。
先ず、図1に加えて、図2から図4を参照して走査線駆動回路130の構成について説明する。図2は走査線駆動回路130の構成を示すブロック図である。また、図3はY側クロック信号生成回路の回路構成を示す回路図であり、図4は、Y側シフトレジスタ、Y側イネーブル手段、及びY側バッファ回路の回路構成を示す回路図である。
図1において、走査線駆動回路130は、主要部として、Y側クロック信号生成回路131、Y側シフトレジスタ133、Y側イネーブル手段135、及びY側バッファ回路137を含む。
図2及び図3において、Y側クロック信号生成回路131は、Y側第1クロック信号生成回路UA1、Y側第2クロック信号生成回路UA2、及びY側第3クロック信号生成回路UA3を含んでなる。図3に示すように、好ましくは、Y側第1クロック信号生成回路UA1及びY側第2クロック信号生成回路UA2は互いに同様の回路構成となっている。Y側第1クロック信号生成回路UA1に着目すれば、該Y側第1クロック信号生成回路UA1は、インバータ31a及びナンド(NAND)回路32aを含むY側第1クロック信号生成部33aと、2つのインバータより構成されるバッファ回路35aとを備えている。また、Y側第2クロック信号生成回路UA2は、インバータ31b及びナンド回路32bを含むY側第2クロック信号生成部33bと、バッファ回路35bとを備えている。
Y側第1クロック信号生成回路UA1及びY側第2クロック信号生成回路UA2は、タイミングジェネレータ400より供給されるYクロック信号YCK及びYイネーブル信号/YENに基づいて、Y側第1クロック信号YCK11及びY側第2クロック信号YCK12を生成する。
図3において、Y側第3クロック信号生成回路UA3は、Y側第1クロック信号YCK11及びY側第2クロック信号YCK12を論理和するノア(NOR)回路37及び2つのインバータより構成されるバッファ回路38を、Y側第3クロック信号YEN1を生成する遅延部として備えている。
図2及び図4において、Y側クロック信号生成回路131において生成されたY側第1クロック信号YCK11、Y側第2クロック信号YCK12、及びY側第3クロック信号YEN1は、Y側シフトレジスタ133に入力される。また、Y側シフトレジスタ133には、タイミングジェネレータ400よりYスタートパルスDY1が供給される。
Y側シフトレジスタ133は、m本の走査線112に対応させて(m+1)段より構成され、各段には転送単位回路UBk(但し、k=1、2、3、・・・、(m+1))が含まれる。図4において、転送単位回路UBkは、pチャネルMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)TFTを用いて構成される第1スイッチング素子TFW1、nチャネルMOSTFTを用いて構成される第2スイッチング素子TBK1、並びに2つのインバータINV11及びINV12を含むラッチ
用バッファLBF1を含む構成となっている。
本実施形態では、ラッチ用バッファLBF1における、一方のインバータINV11の閾値電圧は、好ましくは、第1スイッチング素子TFW1の閾値電圧よりも高くしてある。また、第1スイッチング素子TFW1及び第2スイッチング素子TBK1は夫々エンハンスメント型トランジスタを用いて構成されるのが好ましい。
Y側シフトレジスタ133において、Y側第1クロック信号YCK11は、奇数段の第1スイッチング素子TFW1に順次入力され、Y側第2クロック信号YCK12は、偶数段の第1スイッチング素子TFW1に順次入力され、Y側第3クロック信号YEN1は、各段の第2スイッチング素子TBK1に入力される。Y側シフトレジスタ133の(m+1)段において、当該Y側シフトレジスタ133にYスタートパルスDY1が入力されると、Y側第1クロック信号YCK11、Y側第2クロック信号YCK12、及びY側第3クロック信号YEN1に基づくタイミングで、Y側転送パルスYP1、YP2、・・・、YPm+1が順次生成される。
また、図2において、Y側イネーブル手段135及びY側バッファ回路137より構成される走査信号生成部138には、Y側シフトレジスタ133の(m+1)段に対応するm段に、ユニット回路UC1、UC2、・・・、UCmが含まれる。図2及び図4において、各段のユニット回路UCj(但し、j=1、2、3、・・・、m)には、ナンド回路NAND10及びNAND11を含む波形整形回路、並びに2個のインバータINV13及びINV14を含むバッファ回路が設けられている。尚、Y側イネーブル手段135は、各段のユニット回路UCjに含まれる波形整形回路を含み、Y側バッファ回路137は、各段のユニット回路UCjに含まれるバッファ回路を含んでなる。
走査信号生成部138のm段において、Y側シフトレジスタ133より順次出力されたY側転送パルスYP1、YP2、YP3、・・・、YPm、YPm+1に対して波形制御等が行われた後、Y側駆動信号として走査信号Y1、Y2、・・・、Ymが走査線112に順次出力される。
次に、図3及び図4の他、図5及び図6を参照して走査線駆動回路130の動作について説明する。図5には、Y側第1から第3クロック信号YCK11、YCK12、及びYEN1の生成について説明するためのタイミングチャートを示し、図6には、Y側転送パルスYP1、YP2、・・・、YPm+1の生成、並びに走査信号Y1、Y2、・・・、Ymの生成について説明するためのタイミングチャートを示してある。
尚、本実施形態では、走査線駆動回路130において、Y側クロック信号生成回路131及びY側シフトレジスタ133は、低電位Vss及び高電位Vddによって決定される電源電圧によって駆動されるものとする。
先ず、走査線駆動回路130におけるY側クロック信号生成回路131の動作について説明する。動作時、図3に示すように、Yクロック信号YCKは、Y側第1クロック信号生成回路UA1における、Y側第1クロック信号生成部33aのナンド回路32aに供給される。Yクロック信号YCKは、Y側第1クロック信号生成部33aのインバータ31aを介してY側第2クロック信号生成回路UA2に供給される。
Yイネーブル信号/YENは、Y側第2クロック信号生成回路UA2における、Y側第2クロック信号生成部33bのインバータ31bを介して、ナンド回路32b及びY側第1クロック信号生成回路UA1に供給される。
Y側第1クロック信号生成回路UA1において、Y側第1クロック信号生成部33aのナンド回路32aは、Yクロック信号YCK、及び第2クロック信号生成部33bのインバータ31bを介して供給されるYイネーブル信号/YENを論理演算する。ナンド回路32aの出力信号は、Y側第1クロック信号生成回路UA1におけるバッファ回路35aに入力され、該バッファ回路35aよりY側第1クロック信号YCK11が出力される。
また、Y側第2クロック信号生成回路UA2において、Y側第2クロック信号生成部33bのナンド回路32bによって、インバータ31bの出力信号及びY側第1クロック信号生成部33aのインバータ31aを介して供給されるYクロック信号YCKを用いた論理演算が行われた後、バッファ回路35bを介してY側第2クロック信号YCK12が出力される。
図5において、「動作」として示された、Y側第1クロック信号YCK11及びY側第2クロック信号YCK12のアクティブ期間は、Yイネーブル信号/YENに対してTd31だけ遅延する。ここに、Y側シフトレジスタ133において、奇数段第1スイッチング素子TFW1の動作期間はY側第1クロック信号YCK11のアクティブ期間によって規定され、偶数段第1スイッチング素子TFW1の動作期間はY側第2クロック信号YCK12のアクティブ期間によって規定される。Y側第1クロック信号YCK11の入力に応じて奇数段第1スイッチング素子TFW1によって夫々転送動作が開始され、Y側第2クロック信号YCK12の入力に応じて偶数段第1スイッチング素子TFW1によって転送動作が夫々開始される。そして、Y側第1クロック信号YCK11及びY側第2クロック信号YCK12は、Y側シフトレジスタ133の(m+1)段において順次転送動作が開始されるように、且つ、各段における第1スイッチング素子TFW1の動作期間が重ならないように、互いに位相の異なる信号となっている。
図3において、Y側第3クロック信号生成回路UA3において、遅延部38は、ノア回路37から出力される、Y側第1クロック信号YCK11及びY側第2クロック信号YCK12の論理和信号を、所定量だけ遅延してY側第3クロック信号YEN1を生成する。
図5において、Y側第1クロック信号YCK11のアクティブ期間に対して、「動作」として示されたY側第3クロック信号YEN1のアクティブ期間は、例えば時刻t31及び時刻t32よって規定されるTd32だけ遅延する。或いは、Y側第2クロック信号YCK12のアクティブ期間に対して、Y側第3クロック信号YEN1のアクティブ期間は、例えば時刻t33及び時刻t34よって規定されるTd32だけ遅延する。
Y側第3クロック信号YEN1のアクティブ期間によって、Y側シフトレジスタ133における奇数段又は偶数段第2スイッチング素子TBK1の動作期間が規定される。前述の遅延量Td32は、奇数段及び偶数段ラッチ用バッファLBF1の夫々における転送動作の遅延量よりも大きくしてある。また、遅延量Td32を大きくすると、Y側シフトレジスタ133の各段において、後述するような貫通電流が発生する時間が長くなる。従って、このような貫通電流の発生が抑制されるように、奇数段又は偶数段第1及び第2スイッチング素子TFW1及びTBK1の性能に応じて、Y側第3クロック信号YEN1が生成されるのが好ましい。
次に、Y側シフトレジスタ133の動作について説明する。図6において、先ず、YスタートパルスDY1がハイレベルとなる。その後、時刻t21においてY側第1クロック信号YCK11がハイレベルからローレベルとなると、アクティブ期間が開始され、図4において、第1段目の転送単位回路UB1において転送動作が開始される。より具体的には、第1段目の転送単位回路UB1において、時刻t21に第1スイッチング素子TFW1は閉状態となり、該第1スイッチング素子TFW1を介してYスタートパルスDY1が、第1段目の転送単位回路UB1内に取り込まれて転送動作が開始される。よって、時刻t21において、第1スイッチング素子TFW1の出力端子側の節点A1の電位はハイレベルになる。
第1段目の転送単位回路UB1内に取り込まれたYスタートパルスDY1は、ラッチ用バッファLBF1に入力され、該ラッチ用バッファLBF1によって、第1番目のY側転送パルスYP1が生成される。
図6において、時刻t22において、Y側第3クロック信号YEN1が、Y側第1クロック信号YCK11よりTd2だけ遅れてローレベルからハイレベルに遷移して、該Y側第3クロック信号YEN1のアクティブ期間が開始される。すると、図4において、第1段目の転送単位回路UB1において、第2スイッチング素子TBK1は閉状態となり、ラッチ用バッファLBF1より出力される第1番目のY側転送パルスYP1を該ラッチ用バッファLBF1の出力側から入力側にフィードバックする。
尚、Y側第1から第3クロック信号YCK11、YCK12、及びYEN1、並びにYスタートパルスDY1は、低電位Vssと高電位Vddによって規定される電圧となっている。よって、上述したような、ラッチ用バッファLBF1のフィードバックにより、ラッチ用バッファLBF1の入力側における節点A1は、低電位Vss及び高電位Vdd間の電圧に維持される。
その後、時刻t23において、Y側第3クロック信号YEN1が、ハイレベルからローレベルに遷移すると、第2スイッチング素子TBK1は開状態となり、該第2スイッチング素子TBK1によるフィードバックが終了する。
その後、時刻t24に、Y側第2クロック信号YCK12がハイレベルからローレベルとなり、アクティブ期間が開始されると、第2段目の転送単位回路UB2において、転送動作が開始される。第2段目の転送単位回路UB2において、時刻t24に第1スイッチング素子TFW1が閉状態となり、該第1スイッチング素子TFW1を介して第1番目のY側転送パルスYP1が第2段目の転送単位回路UB2内に取り込まれる。よって、時刻t24に、第2段目の転送単位回路UB2における第1スイッチング素子TFW1の出力端子側の節点B1の電位はハイレベルになる。そして、第1段目の転送単位回路UB1と同様に、ラッチ用バッファLBF1によって、第2番目のY側転送パルスYP2が生成される。
続いて、時刻t25において、Y側第3クロック信号YEN1のアクティブ期間が、Y側第2クロック信号YCK12のアクティブ期間より遅れて開始すると、第2段目及び第1段目の転送単位回路UB1及びUB2の第2スイッチング素子TBK1が閉状態となる。そして、第1段目と同様に、第2段目の転送単位回路UB2において、第2スイッチング素子TBK1によるフィードバックが行われる。よって、節点A1及び節点B1の電圧は、低電位Vss及び高電位Vdd間の電圧に維持される。
その後、時刻t26において、Y側第3クロック信号YEN1が、ハイレベルからローレベルに遷移すると、第1段目及び第2段目の転送単位回路UB1及びUB2における前述したフィードバックが終了する。
第3段目以降最終段までの各段において第2段目と同様の動作が行われ、その結果Y側転送パルスYP1、YP2、・・・、YPm+1が順次生成される。
ここで、時刻t27において、Y側第1クロック信号YCK11のアクティブ期間が開始されると、第1段目の転送単位回路UB1において、第1スイッチング素子TFW1は再び閉状態となり、節点A1の電位はハイレベルからローレベルに遷移する。第1スイッチング素子TFW1はYスタートパルスDY1の電圧と同一の電圧によって駆動されるため、時刻t27に、節点A1では該第1スイッチング素子TFW1の閾値電圧Vthp2に相当する貫通電流が発生する。
上述したように、ラッチ用バッファLBF1の入力側に位置するINV11の閾値電圧は、第1スイッチング素子TFW1の閾値電圧よりも高くしてあるため、貫通電流の発生によるラッチ用バッファLBF1の誤動作は防止される。
続いて、時刻t28において、Y側第3クロック信号YEN1のアクティブ期間が開始されると、第1段目の転送単位回路UB1において、第2スイッチング素子TBK1は閉状態となる。これにより、第1スイッチング素子TFW1及び第2スイッチング素子TBK1によってトランスミッションゲート回路が形成されるため、節点A1の電位はローレベル、即ち低電位Vssと同等のレベルとなり、貫通電流の発生を抑制することが可能となる。
このように、走査線駆動回路130におけるY側シフトレジスタ133では、Y側第1クロック信号YCK11及びY側第2クロック信号YCK12に応じて(m+1)段において順次転送動作が開始される。また、各転送単位回路UBkにおいて、YスタートパルスDY1又は前段からのY側転送パルスYPk−1を取り込んでY側転送パルスkを生成してから、ラッチが開始される。
従って、Y側シフトレジスタ133において、比較的少ない数の回路素子によって各転送単位回路UBkを構成することが可能であると共に、レーシング等の誤動作を防止することが可能となる。また、回路素子の数を増やさなくても動作時に貫通電流の発生を抑制することが可能となるため、Y側シフトレジスタ133の消費電力を削減することができる。よって、既に説明したような回路素子数の多いシフトレジスタを製造する場合と比較して、Y側シフトレジスタ133の製造時における歩留まりを向上させることが可能となる。
更に、各転送単位回路UBkにおける第1スイッチング素子TFW1及び第2スイッチング素子TBK1は個別に順次駆動される。よって、該第1及び第2スイッチング素子TFW1及びTBK1を構成するTFTの閾値電圧の値や易動度の値が、各転送単位回路UBk間でばらついても、誤動作を防止することが可能となる。また、第1スイッチング素子TFW1及び第2スイッチング素子TBK1はエンハンスメント型トランジスタを用いて構成することにより、ドープ工程を増やすことなく、該第1及び第2スイッチング素子TFW1及びTBK1を製造することが可能となる。
加えて、Y側第1から第3クロック信号YCK11、YCK12、及びYEN1はY側クロック信号生成回路131によって生成されるため、新たなインターフェースを用いることなく、或いは新たな信号を外部から入力させること無く、Y側シフトレジスタ133を駆動させることが可能である。
また、走査信号生成部138の第1段目のユニット回路UC1の波形整形回路において、時刻t24に、第1段目の転送単位回路UB1においてフィードバックが終了した後、第2番目のY側転送パルスYP2が生成されると、入力側に配置されたナンド回路NAND10の出力側の節点D1の電位がハイレベルからローレベルに遷移する。その後、時刻t25に、Y側第3クロック信号YEN1のアクティブ期間が開始されると、第1段目の波形整形回路の出力側に配置されたナンド回路NAND11の出力信号がインバータINV13及びINV14を含むバッファ回路を経て、走査信号Y1として出力される。従って、時刻t25において、走査信号Y1の電位はローレベルからハイレベルに遷移する。
よって、第1段目のユニット回路UC1からは、第2番目のY側転送パルスYP2の生成期間であって、且つY側第3クロック信号YEN1のアクティブ期間において、走査信号Y1が出力される。そして、第2段目以降、最終段までの各段のユニット回路UCjにおいて、第1段目と同様の動作が行われる。
このように各段のユニット回路UCjでは、Y側第3クロック信号YEN1のアクティブ期間に基づいて各走査信号Yjの出力期間が制御され、各段のユニット回路UCjから走査信号Y1、Y2、・・・、Ymが順次出力することとなる。
尚、各段のユニット回路UCjにおけるバッファ回路として、レベルシフタを用いるようにすれば、走査線駆動回路130の動作電圧を低電圧化させることが可能となり、該走査線駆動回路130の消費電力を削減することが可能となる。
<3;データ線駆動回路>
次に、データ線駆動回路150について説明する。図1において、データ線駆動回路150は、主要部として、X側クロック信号生成回路151、X側シフトレジスタ153、X側イネーブル手段155、1次ラッチ回路157、2次ラッチ回路158、及びD−A変換器159を含む。
データ線駆動回路150において、X側クロック信号生成回路151はY側クロック信号生成回路131と同様に構成されている。そして、X側クロック信号生成回路151は、Y側クロック信号生成回路131と同様に、タイミングジェネレータ400より供給されるXクロック信号XCK及びXイネーブル信号/XENに基づいて、X側第1クロック信号XCK11及びX側第2クロック信号XCK12を生成し、該X側第1クロック信号XCK11及びX側第2クロック信号XCK12の論理和信号を遅延することにより、X側第3クロック信号XEN1を生成する。
X側シフトレジスタ153はY側シフトレジスタ133と同様に構成される。X側第1クロック信号XCK11、X側第2クロック信号XCK12、及びX側第3クロック信号XEN1は、X側シフトレジスタ153に入力される。また、X側シフトレジスタ153には、タイミングジェネレータ400よりXスタートパルスDX1が供給される。
X側シフトレジスタ153は、n本のデータ線114に対応させて(n+1)段より構成される。X側シフトレジスタ153の(n+1)段において、当該X側シフトレジスタ153にXスタートパルスDX1が入力されると、X側第1クロック信号XCK11、X側第2クロック信号XCK12、及びX側第3クロック信号XEN1に基づくタイミングで、X側転送パルスXP1、XP2、・・・、XPn+1が順次生成される。
また、X側イネーブル手段155は、X側シフトレジスタ153の(n+1)段に対応するn段に、走査信号生成部138のユニット回路UCjと同様の波形整形回路が含まれる。X側イネーブル手段155のn段において、X側シフトレジスタ153より順次出力されたX側転送パルスXP1、XP2、・・・、XPn+1に対して、X側第3クロック信号XEN1に基づいて波形制御が行われた後、サンプリング信号SP1、SP2、・・・、SPnが順次出力される。
1次ラッチ回路157は、サンプリング信号SP1、SP2、・・・、SPnに基づいて、画像信号供給線L1に供給された画像信号DATAをラッチし、続いて、タイミングジェネレータ400より出力されるタイミング信号LTXに基づいて、2次ラッチ回路158によって、1次ラッチ回路157の出力信号がラッチされる。そして、D−A変換器159によってアナログ信号に変換された2次ラッチ回路158の出力信号が画像信号X1、X2、X3、X4、・・・、Xnとして出力される。
よって、以上説明したような走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150の構成によれば、そのレイアウト面積が大きくならないため、液晶パネル100における画像表示領域110において多画素を実現することが可能となり、高品質な画像表示を行うことが可能となる。
<4;変形例>
以下に、以上説明した第1実施形態の走査線駆動回路130の変形例について説明する。尚、上述したようにデータ線駆動回路150は走査線駆動回路130と同様の構成を含むため、該同様の構成について以下に説明する走査線駆動回路130の構成が適用されてもよい。
<4−1;第1変形例>
先ず、図7から図10を参照して、第1変形例について説明する。図7は、第1変形例に係るY側クロック信号生成回路の回路構成を示す回路図であり、図8は、第1変形例に係るY側シフトレジスタの回路構成を示す回路図である。また、図9には、第1変形例に係るY側第1から第3クロック信号YCK21、YCK22、及び/YEN2の生成について説明するためのタイミングチャートを示し、図10には、第1変形例に係るY側転送パルスYP1、YP2、・・・、YPm+1の生成、並びに走査信号Y1、Y2、・・・、Ymの生成について説明するためのタイミングチャートを示してある。
図7に示すY側クロック信号生成回路131aにおいて、Y側第1クロック信号生成回路UA11には、Y側第1クロック信号生成部33a及びバッファ回路35aに加えて、該バッファ回路35aの出力信号を反転させるインバータ36aが更に設けられている。また、Y側第2クロック信号生成回路UA12にも、Y側第1クロック信号生成回路UA11と同様に、インバータ36bが更に設けられている。
よって、図9に示すY側第1クロック信号YCK21及びY側第2クロック信号YCK22は、図5に示すY側第1クロック信号YCK11及びY側第2クロック信号YCK12を反転させた信号となる。また、Y側第1クロック信号YCK21及びY側第2クロック信号YCK22のアクティブ期間は、Yイネーブル信号/YENに対してTd61だけ遅延する。更に、Y側第1クロック信号YCK21及びY側第2クロック信号YCK22は、図5に示すY側第1クロック信号YCK11及びY側第2クロック信号YCK12と同様、互いに位相の異なる信号となっている。
また、図7において、Y側第3クロック信号生成回路UA13は、図3に示すY側第3クロック信号生成回路UA3と同様の回路構成となっている。図9に示すY側第3クロック信号/YEN2は、図5に示すY側第3クロック信号YEN1を反転させた信号であって、Y側第1クロック信号YCK21及びY側第2クロック信号YCK22の各々に対して、時刻t61及び時刻t62、或いは時刻t63及び時刻t64よって規定されるTd62だけ遅延する。
図8において、Y側シフトレジスタ133の転送単位回路UB1kは、nチャネルMOSTFTを用いて構成される第1スイッチング素子TFW2、及びpチャネルMOSTFTを用いて構成される第2スイッチング素子TBK2を含む構成となっている。また、各転送単位回路UB1kのラッチ用バッファLBF2は2つのインバータINV21及びINV22を含み、入力側に配置されるインバータINV21の閾値電圧を、第1スイッチング素子TFW2の閾値電圧よりも高くしてある。
図10において、YスタートパルスDY2がローレベルからハイレベルとなると、Y側シフトレジスタ133に該YスタートパルスDY2が入力される。そして、Y側シフトレジスタ133の第1段から第3段に着目すれば、Y側第1クロック信号YCK21及びY側第2クロック信号YCK22に基づくタイミングで、節点A2から節点C2の夫々の電位は順次ローレベルからハイレベルに遷移する。
ここで、例えば時刻t51において、節点A2では該第1スイッチング素子TFW2の閾値電圧Vthn5に相当する貫通電流が発生する。上述したように、ラッチ用バッファLBF2の入力側に位置するINV21の閾値電圧は、第1スイッチング素子TFW2の閾値電圧よりも高くしてあるため、貫通電流の発生によるラッチ用バッファLBF2の誤動作は防止される。
続いて、時刻t52において、Y側第3クロック信号/YEN2のアクティブ期間がY側第1クロック信号21のアクティブ期間よりTd5だけ遅れて開始されると、第2スイッチング素子TBK2は閉状態となり、第1スイッチング素子TFW2及び第2スイッチング素子TBK2によってトランスミッションゲート回路が形成されるため、節点A2の電位はハイレベル、即ち高電位Vddと同等のレベルとなり、貫通電流の発生を抑制することが可能となる。
そして、Y側シフトレジスタ133の(m+1)段において、Y側第1クロック信号YCK21、Y側第2クロック信号YCK22、及びY側第3クロック信号/YEN2に基づくタイミングで、Y側転送パルスYP1、YP2、・・・、YPm+1が順次生成されると共に、該Y側転送パルスYP1、YP2、YP3、・・・、YPm、YPm+1に対して波形制御等が行われた後、Y側駆動信号として走査信号Y1、Y2、・・・、Ymが走査線112に順次出力される。
よって、第1変形例についても、Y側シフトレジスタ133において、比較的少ない数の回路素子によって各転送単位回路UB1kを構成することが可能であると共に、レーシング等の誤動作を防止し、且つ消費電力を削減することができる。また、新たなインターフェースを用いることなく、或いは新たな信号を外部から入力させること無く、Y側シフトレジスタ133を駆動させることが可能である。
<4−2;第2変形例>
次に、図11を参照して、第2変形例について説明する。図11は、第2変形例に係るY側シフトレジスタの回路構成を示す回路図である。
図11において、Y側シフトレジスタ133の転送単位回路UBkは、第1スイッチング素子TFW1とラッチ用バッファLBF1との間に、該転送単位回路UBkに入力されたYスタートパルスDY1又はY側転送パルスYPjを保持する保持容量CND1を更に備える。
図6において、例えば第1段目の転送単位回路UB1では、時刻t23から時刻t25において、第2スイッチング素子TBK1が開状態となるが、節点A1の電位を該節点A1に設置された保持容量によって低電位Vss及び高電位Vdd間の電圧に維持することが可能となる。
<4−3;第3変形例>
次に、図12及び図13を参照して、第3変形例について説明する。図12は、第3変形例に係るY側シフトレジスタの一の回路構成を示す回路図であり、図13は、第3変形例に係るY側シフトレジスタの他の回路構成を示す回路図である。
図12において、Y側シフトレジスタ133の転送単位回路UB3kは、pチャネルMOSTFTを用いて夫々構成される第1スイッチング素子TFW7及び第2スイッチング素子TBK7を含む構成となっている。この場合、Y側第1から第3クロック信号YCK71、YCK72、及びYCK73並びにYスタートパルスDY7の電圧を、各転送単位回路UB3kにおける第1及び第2スイッチング素子TFW7及びTBK7の動作電圧に対して下げることにより、節点A7、節点B7、或いは節点C7における貫通電流を抑制することが可能となる。尚、図12において、走査信号生成部138の各ユニット回路UCjは、タイミングジェネレータ400より出力されるYイネーブル信号/YEN7に基づいて波形制御を行う。
或いは、図13に示すように、Y側シフトレジスタ133の転送単位回路UB4kを、nチャネルMOSTFTを用いて夫々構成される第1スイッチング素子TFW8及び第2スイッチング素子TBK8を含む構成としてもよい。この場合、Y側第1から第3クロック信号YCK81、YCK82、及びYCK83並びにYスタートパルスDY8の電圧を、各転送単位回路UB4kにおける第1及び第2スイッチング素子TFW8及びTBK8の動作電圧に対して上げることにより、節点A8、節点B8、或いは節点C8における貫通電流を抑制することが可能となる。尚、図13においても、走査信号生成部138の各ユニット回路UCjは、タイミングジェネレータ400より出力されるYイネーブル信号/YEN8に基づいて波形制御を行う。
第3変形例によれば、前述したようにY側シフトレジスタ133に入力される各信号の電圧を調整するために、新たな電源を用いる必要がある。それに比較して、第1実施形態によれば、既に説明したように新たな電源を用いることなく、Y側クロック信号生成回路131及びY側シフトレジスタ133を含む走査線駆動回路130を駆動することが可能である。
更に、第1実施形態において、Y側第1から第3クロック信号YCK11、YCK12、及びYEN1並びにYスタートパルスDY1の電圧を、各転送単位回路UBkにおける第1及び第2スイッチング素子TFW1及びTBK1の動作電圧に対して下げるようにしてもよい。図14には、この場合について、図6のタイミングチャートに示す各信号の波形について示してある。図14において、時刻t27において、第1スイッチング素子TFW1は閉状態となり、節点A1の電位はハイレベルからローレベルに遷移する。この時点で、接点A1の電位は低電位Vssとなるため、貫通電流の発生は抑制される。
<4−4;第4変形例>
本発明の電気光学装置に係る第4変形例について説明する。第4変形例では、走査線駆動回路130におけるY側シフトレジスタ133に対して、該Y側シフトレジスタ133の(m+1)段の並びに対してY側転送パルスYPkが順次出力される順序を選択的に順方向又は逆方向に設定する転送方向設定手段を更に備える。
図15には、転送方向設定手段の回路構成を示してある。図15において、転送方向設定手段716は、Y側シフトレジスタ133の(m+1)段に対応する(m+2)個の順方向スイッチング素子SWR及び(m+2)個の逆方向スイッチング素子SWLを備えている。順方向スイッチング素子SWR及び逆方向スイッチング素子SWLは夫々、例えばpチャネルMOSTFTを用いて構成される。
順方向の動作時、転送方向設定手段716には、タイミングジェネレータ400より第1制御信号DIR及び第2制御信号/DIRが供給されて、(m+2)個の順方向スイッチング素子SWRが選択される。そして、転送方向設定手段716に、タイミングジェネレータ400より供給される順方向のYスタートパルスDYRが入力されると、Y側シフトレジスタ133の第1段目から第(m+1)段目に向かう方向に、Y側転送パルスYP1、YP2、YP3、・・・、YPm、YPm+1が順次生成される。尚、順方向において、第(m+1)段目の転送単位回路UBm+1によって生成された第(m+1)番目のY側転送パルスYPm+1が、対応する順方向スイッチング素子SWRm+2を介して検査信号TPRとして出力されるようにしてもよい。
また、逆方向の動作時について、順方向と同様、転送方向設定手段716における(m+2)個の逆方向スイッチング素子SWLが選択され、タイミングジェネレータ400より出力された逆方向のYスタートパルスDYLが入力されると、Y側シフトレジスタ133の第(m+1)段目から第1段目に向かう方向に、Y側転送パルスYP1、YP2、YP3、・・・、YPm、YPm+1が順次生成される。尚、逆方向において、第1段目の転送単位回路UB1によって生成された第(m+1)番目のY側転送パルスYPm+1が、対応する逆方向スイッチング素子SWL1を介して検査信号TPLとして出力されるようにしてもよい。
よって、第4変形例によれば、Y側シフトレジスタ133を順方向及び逆方向の双方向に駆動することが可能となる。また、順方向、或いは逆方向に駆動する両方の場合において、誤動作を防止することが可能となる。
<5;液晶装置の全体構成>
以上のように構成された液晶装置1の全体構成について図16及び図17を参照して説明する。ここに、図16は、TFTアレイ基板10をその上に形成された各構成要素と共に対向基板20の側から見た平面図であり、図17は、図16のH−H’断面図である。
図16及び図17に示す液晶装置において、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域110の周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域110の額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
画像表示領域110の周辺に位置する周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路150及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。また、走査線駆動回路130は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域110の両側に設けられた二つの走査線駆動回路130間をつなぐため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
また、対向基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナー部に対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
図17において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極118上に、配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。更に、TFTアレイ基板10及び対向基板20の各々の対向面の背面側には配向方向に応じた偏光板(図示省略)が設けられる。
なお、図16及び図17に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路150、走査線駆動回路130等に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学パネルの品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
<6;電子機器>
次に、上述した液晶装置1を各種の電子機器に適用される場合について説明する。
<6−1:プロジェクタ>
まず、この液晶装置1をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図18は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。この図に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106および2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gに入射される。
液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gの構成は、上述した液晶パネル100と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、RおよびBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。したがって、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
ここで、各液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
なお、液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
<6−2:モバイル型コンピュータ>
次に、この液晶パネルを、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図19は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、液晶表示ユニット1206とから構成されている。この液晶表示ユニット1206は、先に述べた液晶パネル1005の背面にバックライトを付加することにより構成されている。
<6−3;携帯電話>
さらに、この液晶パネルを、携帯電話に適用した例について説明する。図20は、この携帯電話の構成を示す斜視図である。図において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、反射型の液晶パネル1005を備えるものである。この反射型の液晶パネル1005にあっては、必要に応じてその前面にフロントライトが設けられる。
尚、図18〜図20を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うシフトレジスタ及びその駆動方法、並びに該シフトレジスタを備える駆動回路、このような駆動回路を備えてなる電気光学装置及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。