以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の第一の実施の形態にかかる基板への静電気侵入防止構造を用いて構成されたスイッチ板1を示す分解斜視図である。同図に示すようにスイッチ板1は、可撓性を有するスイッチ基板10の下面側に、接着層30を介してセパレートシート40を貼り付け、一方スイッチ基板10の上面側にこれを覆うように、シールド板50とスペーサ板70と銘板100とを貼り付けて構成されている。これら各部材の外形寸法形状は、何れもほぼ同一である。以下各構成部品について説明する。
スイッチ基板10は、可撓性を有する一枚の合成樹脂(例えばポリエチレンテレフタレートフイルム、以下「PETフイルム」という)製のフイルム11上に、複数個(この実施の形態では十二個)のスイッチ20を設けて構成されている。フイルム11の表面(上面)には図示しない所望の回路パターン(図2に示す固定側スイッチ接点21等がこれに該当する)が形成されている。またフイルム11の外周辺には引き出し部13が接続され、その表面には各スイッチ20のオンオフ信号を外部に出力するための図示しない回路パターンが形成されている。
図2はスイッチ20の要部分解斜視図である。同図に示すようにスイッチ20は、フイルム11上のスイッチ20の中央にスクリーン印刷などによって形成された固定側スイッチ接点21と、その周囲四箇所に形成された接続パターン23と、弾性金属板をドーム形状に形成してなる反転板(以下この実施の形態では「可動接点板」という)25と、可動接点板25をフイルム11上に接着する接着シート27とを具備して構成されている。四つの接続パターン23間は連結パターン24によって連結され、また固定側スイッチ接点21と接続パターン23にはそれぞれ引き出し用の回路パターン22,26が接続されている。なお回路パターン22,26上には図示しない絶縁層が印刷形成されている。そして可動接点板25をフイルム11上に載置し、その際可動接点板25の外周辺を各接続パターン23に当接して電気的に接続し、その上から接着シート27を貼り付けることで、スイッチ20が構成される。
図1に戻って接着層30は、可撓性を有する不織布からなる絶縁シートの両面に接着剤層を設けた両面接着シートによって構成されている。またセパレートシート40は紙等の絶縁シートで構成され、接着層30側の面は接着剤層からの剥離が容易に行われるように加工されている。
シールド板50は、可撓性を有する合成樹脂フイルム(例えばPETフイルム)からなる絶縁製のフイルム51上に、アルミ箔からなる導電層(金属層)53を積層して構成されている。シールド板50からは帯状に伸びる引き出し部60が引き出されている。またシールド板50の各スイッチ20の可動接点板25の外周辺に対向する位置には、一つずつ上下に貫通する***からなる空気抜き穴55が設けられている。またシールド板50上面の前記各スイッチ20の中心に対応する位置には、小円板状(可動接点板25の外径形状よりも小さい外径形状)の絶縁シートからなる押圧補助シート57が接着される。押圧補助シート57は可動接点板25をシールド板50の上部から押圧した際に可動接点板25の上面全体が押圧されるのを避け、確実にその中央部分のみが押圧されて感度の良いクリック感覚を生じるようにすると同時に、可動接点板25の表面全体が押圧されて可動接点板25の耐久性が低下するのを防止するために設けられている。なお押圧補助シート57はシールド板50の下面側(可動接点板25の上方)に設けても良い。
スペーサ板70は、可撓性を有する合成樹脂(例えばPET)製の絶縁シート71の上下面に、接着層73,75を貼り付けて構成されている。スペーサ板70の前記各スイッチ20に対応する位置には一つずつ開口部77が設けられている。各開口部77は可動接点板25の外形形状よりも大きい寸法で、矩形状に形成されている。両接着層73,75は前記接着層30と同様に、可撓性を有する不織布からなる絶縁シートの両面に接着剤層を設けた両面接着シートによって構成されている。ここで図3はスペーサ板70をその下面(シールド板50側の面)側から見た斜視図である。同図に示すように下面側の接着層75には切り欠き部を設けることで、空気抜き用溝部79を形成している。空気抜き用溝部79は、各開口部77をスペーサ板70の外周辺に接続するように形成されている。なお空気抜き用溝部79は、各開口部77をスペーサ板70の外周辺に接続するものであれば、どのような接続状態で形成しても良い。
図1に戻って、銘板100は、絶縁性の合成樹脂(例えばPET)製のフイルムの表面に所望の操作用記号101を印刷形成して構成されている。各操作用記号101は前記各スイッチ20に対応する位置に設けられている。
そしてスイッチ基板10の下面側に、接着層30とセパレートシート40とを貼り付け、一方スイッチ基板10の上面側にこれを覆うように、押圧補助シート57を接着したシールド板50と、スペーサ板70と、銘板100とを貼り付けることで、スイッチ板1が完成する。
図4は以上のようにして完成したスイッチ板1の一つのスイッチ20の部分の拡大概略断面図である。同図に示すようにスイッチ20は、各種回路パターンが形成されたスイッチ基板10の上部に、可撓性を有するフイルムからなる絶縁製のフイルム51の表面に導電層53を設けてなるシールド板50を設置し、一方シールド板50に設けた空気抜き穴55によって、シールド板50によって覆われた可動接点板25とスイッチ基板10との間に形成される空間a1と、銘板100によって覆われた開口部77によって形成される空間a2とを連通し、さらに空間a2と外気とをスペーサ板70の接着層75を切り欠いて形成された空気抜き用溝部79によって連通して構成されている。なおスイッチ基板10は図1に示す引き出し部13によって外部の回路に接続され、シールド板50は引き出し部60によってその導電層53がアースされている。また実際はセパレートシート40は剥ぎ取られ、接着層30の下面には図示しない他の部材の面が接着される。
以上のように構成されたスイッチ20を銘板100の上から押圧すると、可動接点板25が反転することで可動接点板25の中央下面がその真下にある固定側スイッチ接点21に当接し、固定側スイッチ接点21と接続パターン23間がオンする。前記押圧を解除すれば、可動接点板25はその弾発力によって元の状態に自動復帰し、スイッチ20はオフする。ところで銘板100が押圧されて可動接点板25が反転する際、前記空間a1は潰れるが、この実施の形態においては前述のように空間a1は空間a2と空気抜き用溝部79とによって外気と連通しているので、空間a1内の空気の流出・流入はスムーズに行え、可動接点板25の押圧動作はスムーズに行われる。
一方本実施の形態においては、銘板100に帯電した指等が接近しても、その静電気はスイッチ20の上を覆うシールド板50の導電層53に確実にアースされる。従ってスイッチ20に静電気が入り込んで電気機器の誤動作等を生じる恐れはない。特にシールド板50はスイッチ20の上面に接近して設置されるので、確実なシールドが行える。
しかもスイッチ基板10上にシールド板50を設置するだけでよいので、構造が簡単で、スイッチ基板10に限らず、その他の各種回路パターンや各種電子部品を設けた各種基板(フレキシブル基板、硬質基板を問わない)への静電気侵入防止構造として容易に利用できる。
なお上記実施の形態においては、スペーサ板70側に接着層75を設けたが、接着層75はシールド板50側に設けても良い。また上記実施の形態では空気抜き用溝部79をシールド板50とスペーサ板70の間の接着層75に設けたが、その代わりに空気抜き用溝部79をスペーサ板70と銘板100の間に設けた接着層73に設けても良い。これらの点は図11に示す第四の実施の形態等においても同様である。
図5は本発明の第二の実施の形態にかかる基板への静電気侵入防止構造を用いて構成されたスイッチ板1−2を示す分解斜視図である。同図において、前記第一の実施の形態と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外については、第一の実施の形態と同じである。同図に示すスイッチ板1−2において、前記スイッチ板1と相違する概要は、シールド板50に何ら空気抜き穴55を設けず、同時にスペーサ板70に空気抜き用溝部79を設けず、その代わりに、スイッチ基板10を構成するフイルム11の各スイッチ20近傍に貫通する小孔からなる空気抜き穴15を設けた点と、スイッチ基板10の下面に接着する接着層30中に接着層30を切り欠いてなる空気抜き溝31を設けた点とである。
ここで図6はスイッチ20の要部分解斜視図である。同図に示すようにこのスイッチ20においては、一本の連結パターン24の外周側に、貫通する小孔からなる空気抜き穴15を設けている。空気抜き穴15は可動接点板25の外周辺が当接する部分近傍に設けられている。
また図5に示す接着層30の空気抜き溝31は、前記各空気抜き穴15の下面側に接続するように設けられ、空気抜き溝31の端部は、接着層30の辺(外周辺)に接続されている。この実施の形態では空気抜き溝31は一本の溝で構成されているが、複数の空気抜き溝31を各空気抜き穴15に接続するように設けても良い。つまり例えば、一つのスイッチ20の空気抜き穴15と、他の一つのスイッチ20の空気抜き穴15とをこれらの下面側で接続するように空気抜き溝31を設け、一方他のスイッチ20間についても同様に別の空気抜き溝31によって接続し、これら複数の空気抜き溝31を別々に又は合流した上で、接着層30の辺に接続するようにしても良い。要は空気抜き溝31はこのスイッチ基板10を接着層30によって他の部材の面に接着した際にスイッチ基板10に設けた空気抜き穴15と外気とを連通する形状・構成であれば、どのような形状・構造であっても良い。
図7は上記スイッチ板1−2の一つのスイッチ20の部分の拡大概略断面図である。同図に示すスイッチ20も、第一の実施の形態にかかるスイッチ20と同様に、各種回路パターンが形成されたスイッチ基板10の上部に、可撓性を有するフイルムからなる絶縁製のフイルム51の表面に導電層53を設けてなるシールド板50を設置して構成されている。スイッチ20はその上に設置されるスペーサ板70の開口部77内に設置され、その上に銘板100が貼り付けられる。
そしてこの実施の形態においては、図示しない他の部材の面に貼り付けたスイッチ板1−2のスイッチ基板10に設けた空気抜き穴15と接着層30に設けた空気抜き溝31とによって、スイッチ基板10と可動接点板25との間に形成される空間a1と外気とを連通している。
以上のように構成されたスイッチ20を銘板100の上から押圧すると、可動接点板25が反転することで固定側スイッチ接点21と接続パターン23間がオンし、その際、前記空間a1は潰れ、空間a1内の空気は圧縮されようとするが、この実施の形態においては前述のように空間a1は空気抜き穴15と空気抜き溝31とによって外気と連通しているので、空間a1内の空気の流出・流入はスムーズに行え、可動接点板25の押圧動作はスムーズに行われる。
そして本実施の形態においても、銘板100に帯電した指等が接近しても、その静電気はスイッチ20の上を覆うシールド板50の導電層53に確実にアースされる。従ってスイッチ20に静電気が入り込んで電気機器の誤動作等を生じる恐れはない。特にシールド板50はスイッチ20の上面に接近して設置されるので、確実なシールドが行えることも前記実施の形態と同様である。
さらにこの実施の形態においては、スイッチ基板10の上面を覆うシールド板50に何ら穴等を設けていないので、前記第一の実施の形態に比べてさらに確実にスイッチ基板10への静電気の侵入を防止できる。
なおこの静電気侵入防止構造においても、スイッチ基板10以外の、各種回路パターンや各種電子部品を設けた基板(フレキシブル基板、硬質基板を問わない)への静電気侵入防止構造として容易に利用できる。
図8は本発明の第三の実施の形態にかかる基板のスイッチの空気導通構造を用いて構成されたスイッチ板1−3を示す分解斜視図である。同図において、前記第一,第二の実施の形態と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外については、第一,第二の実施の形態と同じである。同図に示すスイッチ板1−3においては、シールド板50の代りに覆い板110をスイッチ基板10上にこれを覆うように取り付け、同時に前記図1,図5のスイッチ板10で用いていた可動接点板25貼付け用の接着シート27を省略している。覆い板110が接着シート27の代りになるからである。
すなわちこのスイッチ板1−3は、可撓性を有するスイッチ基板10の下面側に、接着層30を介してセパレートシート40を貼り付け、一方スイッチ基板10の上面側にこれを覆うように、覆い板110とスペーサ板70と銘板100とを貼り付けて構成されている。これら各部材の外形寸法形状は、何れもほぼ同一である。そしてこのスイッチ板1−3の場合は、覆い板110に何ら空気抜き穴を設けず、スイッチ基板10を構成するフイルム11の各スイッチ20近傍に貫通する小孔からなる空気抜き穴15を設け、スイッチ基板10の下面に接着する接着層30中に接着層30を切り欠いてなる空気抜き溝31を設けている。
即ち図9に示すようにこのスイッチ20においては、一本の連結パターン24の外周側に、貫通する小孔からなる空気抜き穴15を設けている。空気抜き穴15は可動接点板25の外周辺が当接する部分近傍に設けられている。
また図8に示す接着層30の空気抜き溝31は、前記各空気抜き穴15の下面側に接続するように設けられ、空気抜き溝31の端部は、接着層30の辺(外周辺)に接続されている。この実施の形態では空気抜き溝31は一本の溝で構成されているが、複数の空気抜き溝31を各空気抜き穴15に接続するように設けても良い。つまり例えば、一つのスイッチ20の空気抜き穴15と、他の一つのスイッチ20の空気抜き穴15とをこれらの下面側で接続するように空気抜き溝31を設け、一方他のスイッチ20間についても同様に別の空気抜き溝31によって接続し、これら複数の空気抜き溝31を別々に又は合流した上で、接着層30の辺に接続するようにしても良い。要は空気抜き溝31はこのスイッチ基板10を接着層30によって他の部材の面に接着した際にスイッチ基板10に設けた空気抜き穴15と外気とを連通する形状・構成であれば、どのような形状・構造であっても良い。
図10は上記スイッチ板1−3の一つのスイッチ20の部分の拡大概略断面図である。同図に示すスイッチ20は、各種回路パターンが形成されたスイッチ基板10の上部に、可撓性を有する絶縁性で合成樹脂製のフイルム111からなる覆い板110を設置して構成されている。スイッチ20はその上に設置されるスペーサ板70の開口部77内に設置され、その上に銘板100が貼り付けられる。
そしてこの実施の形態においては、図示しない他の部材の面に貼り付けたスイッチ板1−3のスイッチ基板10に設けた空気抜き穴15と接着層30に設けた空気抜き溝31とによって、スイッチ基板10と可動接点板25との間に形成される空間a1と外気とを連通している。
以上のように構成されたスイッチ20を銘板100の上から押圧すると、可動接点板25が反転することで固定側のスイッチ接点21と接続パターン23間がオンし、その際、前記空間a1は潰れ、空間a1内の空気は圧縮されようとするが、この実施の形態においては前述のように空間a1は空気抜き穴15と空気抜き溝31とによって外気と連通しているので、空間a1内の空気の流出・流入はスムーズに行え、可動接点板25の押圧動作はスムーズに行われる。
図11は本発明の第四の実施の形態にかかる基板への静電気侵入防止構造を用いて構成されたスイッチ板1−4を示す分解斜視図である。同図において前記第一の実施の形態と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外については、第一の実施の形態と同じである。この実施の形態において前記図1に示すスイッチ板1と相違する点は、スイッチ基板10の構造のみである。即ちこの実施の形態におけるスイッチ基板10は、図12に示すように、一対の合成樹脂製のフイルム11−1,11−2の対向する面にそれぞれスイッチ接点21−1,21−2をスクリーン印刷等によって形成するとともに、各スイッチ接点21−1,21−2の周囲をそれぞれ囲むように各スイッチ接点21−1,21−2の厚みよりも厚い絶縁性のスペーサ層29−1,29−2をスクリーン印刷等によって形成し、これら両フイルム11−1,11−2を重ね合わせることで両スイッチ接点21−1,21−2を所定の隙間を介して対向させ、さらに一方(上側)のフイルム11−2の上面側に反転板(以下この実施の形態では「クリック板」という)25を取り付けてスイッチ20を構成している。
図13は上記スイッチ板1−4の一つのスイッチ20の部分の拡大概略断面図である。同図においてスイッチ20を銘板100の上から押圧すると、クリック板25が反転することでクリック板25の中央下面がその真下にあるフイルム11−2を押圧してスイッチ接点21−2を下降し、両スイッチ接点21−1,21−2間をオンする。上気押圧を解除すれば、クリック板25とフイルム11−2は元の状態に自動復帰し、スイッチ20はオフする。ところで銘板100が押圧されてクリック板25が反転する際、空間a1は潰れるが、この実施の形態においても空間a1は空気抜き穴55と空間a2と空気抜き用溝部79とによって外気と連通しているので、空間a1内の空気の流出・流入はスムーズに行え、クリック板25の押圧動作はスムーズに行われる。
一方本実施の形態においても、銘板100に帯電した指等が接近しても、その静電気はスイッチ20の上を覆うシールド板50の導電層53に確実にアースされる。従ってスイッチ20に静電気が入り込んで電気機器の誤動作等を生じる恐れはない。
なおスイッチ基板10としてこの実施の形態のように二枚のフイルム11−1,11−2を重ね合わせて構成されるスイッチ基板10は、前記図5に示すスイッチ板1−2に用いるスイッチ基板10や、前記図8に示すスイッチ板1−3に用いるスイッチ基板10にも適用できる。これらの場合、二枚のフイルム11−1,11−2の両者に空気抜き穴15を設けることで空間a1を接着層30に設けた空気抜き溝31に連通することとなる。
なお本発明にかかる空気導通構造を用いて構成される第五の実施の形態にかかるスイッチ板として、図1に示すスイッチ板1のシールド板50の代りにシールド板50から導電層53を省略して合成樹脂製のフイルムのみとした覆い板を用い、この覆い板をスイッチ基板10上にこれを覆うように取り付け、同時に図1に示すスイッチ基板10で用いている可動接点板25貼付け用の接着シート27を省略したスイッチ板がある。前記覆い板にはシールド板50に設けた空気抜き穴55と同様に、この覆い板によって覆われる可動接点板25とスイッチ基板10の間の空間と導通する空気抜き穴を設ける。これ以外は第一の実施の形態の構成と同一である。このように構成すれば、前記スイッチ板1の場合と同様に、覆い板によって覆われた可動接点板25とスイッチ基板10との間に形成される空間と、銘板100によって覆われた開口部77によって形成される空間とを連通し、さらにこれら空間と外気とをスペーサ板70の空気抜き用溝部79によって連通して構成されるので、スイッチ20をオンオフする際の空間内の空気の流出・流入がスムーズに行え、可動接点板25の押圧動作はスムーズに行える。
図14は本発明の第六の実施の形態にかかる基板のスイッチの空気導通構造を用いて構成されたスイッチ板1−6を示す分解斜視図である。同図において、前記第一の実施の形態と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、第一の実施の形態と同じである。同図に示すスイッチ板1−6において第一の実施の形態と相違する概要は、シールド板50を省略し、スイッチ基板10の上に直接スペーサ板70と銘板100とを取り付けている点である。以下各構成部品について説明する。
スイッチ基板10は、第一の実施の形態と同様に、可撓性を有する一枚の合成樹脂(例えばPET)製のフイルム11上に、複数個のスイッチ20を設けて構成されている。スイッチ20の構造も前記図2に示すスイッチ20の構造と同様である。このスイッチ基板10において第一の実施の形態にかかるスイッチ基板10と相違する点は、スイッチ基板10の所定位置に、上下に貫通する小孔からなる空気導通孔17を設けた点のみである。
接着層30も第一の実施の形態と同様に、可撓性を有する不織布からなる絶縁シートの両面に接着剤層を設けた両面接着シートによって構成されており、またセパレートシート40も第一の実施の形態と同様に、紙等の絶縁シートで構成され、接着層30側の面は接着剤層からの剥離が容易に行われるように加工されている。これら接着層30及びセパレートシート40において第一実施形態にかかる接着層30及びセパレートシート40と相違する点は、両者の前記スイッチ基板10に設けた空気導通孔17に対向する位置に、それぞれこの空気導通孔17と同一形状(異なる形状でも良い)の貫通する小孔からなる接着層30に設けた空気導通孔33及びセパレートシート40に設けた孔41を設けた点のみである。なおセパレートシート40は最終的にはスイッチ板1−6から剥がすので、孔41は必ずしも必要ない。
スペーサ板70は、可撓性を有する合成樹脂(例えばPET)製の絶縁シート71の上下面にそれぞれ接着層73,75を貼り付けるとともに、さらに接着層73の上に、第二の絶縁シート80を貼り付けた構造からなり、また前記各スイッチ20に対応する位置に一つずつ上下に貫通する機械的に切断(例えばプレス金型による等)してなる開口部77を設け、また前記スイッチ基板10の空気導通孔17に対向する位置にこの空気導通孔17と同一形状(異なる形状でも良い)の貫通する小孔からなる空気導通孔85を設けて構成されている。スペーサ板70の各開口部77は反転板である可動接点板25の外形形状よりも大きい寸法で、具体的には絶縁シート71での矩形状の開口形状と、第二の絶縁シート80でのC字状の開口形状とを積層した形状となっている。このスペーサ板70において第一の実施の形態のスペーサ板70と相違する点は、接着層75に空気抜き用溝部79を設けず、第二の絶縁シート80を別途取り付けるとともに、空気導通孔85を設けた点のみである。従って絶縁シート71と接着層73,75の材質は第一の実施の形態のものと同じである。一方第二の絶縁シート80は、可撓性を有する合成樹脂(例えばPET)製のシートによって構成され、開口部77の部分にはその内周辺から矩形状の支持板部81を連結部82を介して突出して設けるとともに、この支持板部81の上下面に薄い厚みで円形に上下に突出する押圧部83,83を形成して構成されている。押圧部83は、支持板部81の上下面の略中央(前記スイッチ基板10の各可動接点板25の中央の上部の位置)に、合成樹脂製の塗料を塗布して硬化させることで形成されている。押圧部83はこの押圧部83が可動接点板25を押圧した際に可動接点板25の上面全体が押圧されるのを避け、確実にその中央部分のみが押圧されて感度の良いクリック感覚を生じるようにすると同時に、可動接点板25の表面全体が押圧されて可動接点板25の耐久性が低下するのを防止するために設けられている。なお押圧部83は必要に応じ、支持板部81の上面又は下面の何れかのみに設けても良い。
図15は銘板100をその裏面側から見た斜視図である。同図及び図14に示すように銘板100は、絶縁性の合成樹脂(例えばPET)製のフイルム103の下面に接着層105を設けて構成されている。フイルム103の上面には所望の操作用記号101が印刷形成されている。各操作用記号101は前記各スイッチ20に対応する位置に設けられている。接着層105は前記接着層30等と同様に、可撓性を有する不織布からなる絶縁シートの両面に接着剤層を設けた両面接着シートによって構成されている。接着層105の前記各スペーサ板70の開口部77に対向する位置には、各開口部77と略同一形状の接着層105を切り欠いてなる開口106が設けられている。各開口106間は溝状の切り欠きからなる空気抜き用溝部107によって相互に接続されている。また接着層105の前記スペーサ板70に設けた空気導通孔85に対向する位置にはこの空気導通孔85と同一形状(異なる形状でも良い)の小円状の空気導通溝部108を設け、この空気導通溝部108も前記空気抜き用溝部107によって開口部106に接続している。
そしてスイッチ基板10の下面側に、接着層30とセパレートシート40とを貼り付け、一方スイッチ基板10の上面側にこれを覆うように、スペーサ板70と銘板100とを貼り付けることで、スイッチ板1−6が完成する。
図16は以上のようにして完成したスイッチ板1−6の一つのスイッチ20の部分の拡大概略断面図である。同図に示すようにスイッチ20は、各種回路パターンが形成されたスイッチ基板10の上部に取り付けたスペーサ板70の開口部77内に位置しており、その上部に第二の絶縁シート80に設けた支持板部81が設置され、この支持板部81の下面側の押圧部83が可動接点板25の上面中央に当接又は接近して配置され、さらに上面側の押圧部83の上に銘板100が配置されている。このとき各開口部77間は銘板100下面の接着層105に設けた空気抜き用溝部107(図15参照)によって相互に連通され、また図14に示すスイッチ基板10の空気導通孔17とスペーサ板70の空気導通孔85と銘板100の空気導通溝部108と接着層30の空気導通孔33とは上下に一致して連通しており、また空気導通溝部108と一つの開口部77とは空気抜き用溝部107によって連結されているので、結局スイッチ基板10と銘板100によって覆われた各開口部77によって形成される空間a2(スイッチ基板10と可動接点板25間の空間a1を含む)は空気導通溝部108と空気導通孔85,17,33を介して接着層30の下面側で外気と導通している。なおスイッチ基板10は図14に示す引き出し部13によって外部の回路に接続されている。また実際はセパレートシート40は剥ぎ取られ、接着層30の下面には図示しない他の部材の面が接着される。図16において、絶縁シート71の厚みを厚く記載しているのは、図示の都合であり、実際は絶縁シート71の厚みは第二の絶縁シート80と同等である。なお絶縁シート71と第二の絶縁シート80とを積層してスペーサ板70を構成したのは、開口部77内に、支持板部81に押圧部83,83が取り付くことによる厚みと、可動接点板25の反転ストローク長の両方に必要な厚み方向の空間を確保するためである。即ち絶縁シート71と第二の絶縁シート80は何れもフイルムなので、両者をプレスカットして積層することで、絶縁シート71の厚み分(及び接着層73,75の厚み分)を前記空間として確保したのである。
以上のように構成されたスイッチ20を銘板100の上から押圧すると、支持板部81の上面側の押圧部83が押圧され、支持板部81はその連結部82が屈曲することで下降し、これによって下側の押圧部83が可動接点板25の中央を押圧してこれを反転することでスイッチ20がオンする。前記押圧を解除すれば、可動接点板25はその弾発力によって元の状態に自動復帰し、スイッチ20がオフする。ところで銘板100が押圧される際、前記空間a2は潰れるが、この実施の形態においては前述のように空間a2(スイッチ基板10と可動接点板25間の空間a1を含む)は空気抜き用溝部107と空気導通溝部108と空気導通孔85,17,33とを介して接着層30の下面側で外気と導通しているので、空間a2内の空気の流出・流入はスムーズに行え、可動接点板25の押圧動作はスムーズに行なえる。なおこの実施の形態のように、空気導通孔85,17,33等を設けることによって、外気との連通を接着層30の下面側で行えば、銘板100側に何ら穴等がなくなり、その完全防水化が図れる。この構成は上記第一の実施の形態等にも用いることができる。
この実施の形態の場合、各スイッチ20毎に対応して仕切られたスペーサ板70の開口部77内に連結部82を介して一体に支持板部81を設置したので、支持板部81のスイッチ20に対する設置位置を容易に正確に位置決めでき、従って押圧部83を容易且つ正確に可動接点板25の中央に位置させることができる。
なお本実施の形態において、銘板100に帯電した指等が接近した場合、第一の実施の形態のようにシールド板50を設置してはいないが、銘板100は絶縁性の合成樹脂シートであり、従ってその静電気はこの銘板100によってその内部(裏面側)への侵入が阻止されて容易にはその裏面側には侵入せず、従って容易には空間a2内には入り込まない(もちろんシールド板50を設置した方が確実ではある)。従ってスイッチ20やその他の回路パターンに静電気が入り込んで電気機器の誤動作等を生じる恐れはない。しかもスイッチ基板10上にスペーサ板70と銘板100とを設置するだけでよいので、構造が簡単である。
なお上記実施の形態においては、銘板100の下面に接着層105を設けたが、その代りにスペーサ板70の上面に接着層105を設けても同じである。またこの実施の形態のように、銘板100とスペーサ板70の間の接着層105に空気抜き用溝部107を設ける代りに、スペーサ板70とスイッチ基板10の間の接着層75(又は接着層73)に空気抜き用溝部107を設けてもよい。
図17は本発明の第七の実施の形態にかかる基板のスイッチの空気導通構造を用いて構成されたスイッチ板1−7を示す分解斜視図である。同図において、前記各実施の形態と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記各実施の形態と同じである。同図に示すスイッチ板1−7において、第一の実施の形態と相違する概要は、シールド板50の代りに覆い板110を用い、またスペーサ板70と銘板100とを省略する代りに合成樹脂の成形品からなるキートップ板120を取り付けている点である。即ちこのスイッチ板1−7は、スイッチ基板10の上に覆い板110とキートップ板120とを取り付け、スイッチ基板10の下に接着層30とセパレートシート40を取り付けて構成されている。以下各構成部品について説明する。
スイッチ基板10は、第一の実施の形態と同様に、可撓性を有する一枚の合成樹脂(例えばPET)製のフイルム11上に、複数個のスイッチ20を設けて構成されている。スイッチ20の構造は前記図2に示すスイッチ20の構造と同様である。即ちスイッチ20は、スイッチ基板10の表面に反転板である可動接点板25を可動接点板25の上面に接着される接着シート27によって取り付けることで構成されている。
接着層30も第一の実施の形態と同様に、可撓性を有する不織布からなる絶縁シートの両面に接着剤層を設けた両面接着シートによって構成されており、またセパレートシート40も第一の実施の形態と同様に、紙等の絶縁シートで構成され、接着層30側の面は接着剤層からの剥離が容易に行われるように加工されている。
図18は覆い板110をその下面側から見た斜視図である。同図及び図17に示すように覆い板110は、可撓性を有する合成樹脂フイルム(例えばPETフイルム)からなる絶縁性のフイルム111の下面に接着層113を設けて構成されている。覆い板110の前記可動接点板25中央の接着シート27上に位置する部分には接着層113を含めて上下に貫通する空気抜き穴115が設けられている。空気抜き孔115の内径は、前記接着シート27の短手方向の幅よりも小さく、下記するキートップ133の押圧部137の外径よりも大きく形成されている。また図18に示すように、接着層113の前記各空気抜き孔115の周囲には、各空気抜き孔115から半径方向外側に向かって直線状に突出する接着層113を切り欠いてなる一本ずつの溝状の空気抜き用溝117が設けられている。各空気抜き用溝117の先端は、これに対向する前記スイッチ基板10の接着シート27で覆われていない露出している可動接点板25の外周辺の部分にまで至っている。
図19はキートップ板120をその下面側から見た分解斜視図である。但し図19では、図17に示すキートップ板120の下面に取り付けられる接着層140の記載を省略している。同図及び図17に示すようにキートップ板120は、略平板状に成形してなるケース121と、複数のキートップ133を取り付けてなるキートップ取付体131とを具備して構成されている。キートップ取付体131は合成樹脂の成形品であり、前記スイッチ基板10の各スイッチ20に対向する位置にそれぞれキートップ133が位置するように、各キートップ133間を連結部135によって連結して構成されている。各キートップ133の下面中央には小突起状の押圧部137が設けられ、また各キートップ133の外周下部にはリング状に張り出すつば部139が設けられている。連結部135は平板状であり、所定の可撓性を有するように、その厚みは薄く形成されている。連結部135の所定位置には複数(この実施の形態では三つ)の貫通する小孔からなる取付部136が設けられている。ケース121は合成樹脂を矩形状に成形して構成されており、前記各キートップ133に対向する位置にはそれぞれ円形の開口部123が設けられている。一方ケース121下面には、前記キートップ取付体131を収納する凹状の収納部125が設けられている。収納部125は各開口部123の周囲と各開口部123間を連結する部分とに設けられている。また収納部125内の前記キートップ取付体131の各取付部136に対向する位置には各取付部136に挿入する寸法形状の小突起からなる係合取付部127が設けられている。またケース121下面の収納部125を除くその略全面には、図17に示すように接着層140が設けられている。そしてケース121の下面に設けた収納部125内にキートップ取付体131を収納し、その際各キートップ133をケース121の各開口部123からその上面側に突出し、同時にケース121の各係合取付部127をキートップ取付体131の各取付部136に挿入し、各係合取付部127の先端を熱カシメすれば、キートップ板120が完成する。
そしてスイッチ基板10の下面側に、接着層30とセパレートシート40とを貼り付け、一方スイッチ基板10の上面側にこれを覆うように、覆い板110とキートップ板120とをそれぞれ接着層113,140によって貼り付ければ、スイッチ板1−7が完成する。
図20は以上のようにして完成したスイッチ板1−7の一つのスイッチ20の部分の拡大概略断面図である。同図に示すようにスイッチ20はスイッチ基板10の上部に取り付けたケース121の開口部123内に位置し、その上部にはキートップ133が配置されている。スイッチ20を構成する可動接点板25の上面は、その一部が接着シート27によって覆われており、また可動接点板25の上面の内の接着シート27によって覆われていない面は覆い板110によって覆われているので、結局可動接点板25の上面はその全体が合成樹脂フイルムによって覆われていることになる。言い換えれば、覆い板110に設けた空気抜き穴115の部分を、接着シート27が塞いでいる。このとき空気抜き孔115と可動接点板25の外周部分とは空気抜き用溝117によって連通されているので、覆い板110によって覆われたスイッチ基板10と可動接点板25間の空間a1は、可動接点板25の外周部分から空気抜き用溝117を介して空気抜き孔115に連通し、可動接点板25の上面側で外気に開放されている。またキートップ133の押圧部137の下部は空気抜き孔115内に挿入され、その下面が接着シート27の上面に当接又は接近している。なおスイッチ基板10は図17に示す引き出し部13によって外部の回路に接続されている。また実際はセパレートシート40は剥ぎ取られ、接着層30の下面には図示しない他の部材の面が接着される。
そしてキートップ133を押圧すれば、キートップ133を支持している連結部135の部分が撓むことでキートップ133が下降し、その押圧部137が可動接点板25を押圧してこれを反転しスイッチがオンする。前記押圧を解除すれば、可動接点板25はその弾発力によって元の状態に自動復帰すると同時にキートップ133は元の位置まで上昇し、スイッチ20がオフする。ところで可動接点板25が押圧される際、前記空間a1は潰れるが、この実施の形態においては前述のように空間a1は空気抜き用溝部117と空気抜き孔115とを介して可動接点板25の上面側で外気と導通しているので、空間a1内の空気の流出・流入はスムーズに行え、可動接点板25の押圧動作はスムーズに行なえる。
なお本実施の形態において、キートップ133に帯電した指等が接近又は接触した場合、第一の実施の形態のようにシールド板50を設置してはいないが、覆い板110は絶縁性の合成樹脂シートであり、同時に覆い板110に設けた空気抜き孔115は接着シート27によって塞がれているので、その静電気はこれら覆い板110と接着シート27によってその内部(裏面側)への侵入が阻止されて容易にはその裏面側には侵入せず、従って容易には可動接点板25等のスイッチ構成部材やスイッチ基板10上面のその他の回路パターンには入り込まない(もちろんシールド板50を設置した方が確実ではある)。従ってスイッチ20やその他の回路パターンに静電気が入り込んで電気機器の誤動作等を生じる恐れはない。しかもスイッチ基板10上に覆い板110とキートップ板120を設置するだけでよいので、構造が簡単である。
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記各実施の形態では、シールド板50に形成する導電層53をアルミ箔を貼り付けることによって構成したが、他の材質の金属箔を貼り付けても良いし、さらに蒸着(物理的蒸着、化学的蒸着)等、その他の手段によって導電層を形成しても良い。
また上記各実施の形態ではスイッチ基板10の上面に直接シールド板50(又は覆い板110)を設置したが、スイッチ基板10とシールド板50(又は覆い板110)の間に他の部材を介在させても良い。
また上記第一の実施形態の空気抜き用溝部79や、第二,第三の実施の形態の空気抜き溝31は接着層(両面接着シート)75,30の一部を上下に貫通するように切り欠くことで形成されているが、例えば接着層の基材(絶縁シート)は切り欠かずに、厚めに設けた接着剤層のみに接着剤層を設けないことで空気抜き溝を設けても良い。空気抜き用溝部107や空気抜き用溝117においても同様である。