JP2005154402A - 金属錯体タンパク質複合体及び酸化触媒 - Google Patents

金属錯体タンパク質複合体及び酸化触媒 Download PDF

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芳人 渡辺
Takashi Ueno
隆史 上野
Masataka Ohashi
雅卓 大橋
Tomomi Koshiyama
友美 越山
Norihiko Yokoi
紀彦 横井
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【課題】 不斉配位子ではなく容易に入手可能な配位子を用いて合成することができ、酸化反応を良好に促進する。
【解決手段】 キャビティーを持つタンパク質類の該キャビティーに式(1)のサレン金属錯体を挿入した構造を有する、金属錯体タンパク質複合体。
【化1】
Figure 2005154402

(式(1)中、Mは金属原子であり、R1〜R10はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基である)
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規な金属錯体タンパク質複合体及び酸化触媒に関する。
これまでに、本発明者は、酵素貯蔵タンパク質であるミオグロビン(Mb)からヘムを除いたアポミオグロビン(apo−Mb)のキャビティーに、サロフェン金属錯体を非共有結合的に挿入した金属錯体タンパク質複合体を提案している。例えば、マンガンにN,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−フェニレンジアミンを配位させた金属錯体をアポミオグロビンのキャビティーに保持した金属錯体タンパク質複合体を合成し、この種の複合体がチオアニソールの不斉酸化反応に有用であることを報告している(非特許文献1参照)。
第16回生体機能関連シンポジウム講演要旨集、「1S1−11 アポミオグロビンキャビティーへの金属錯体挿入による人工酵素の構築」(2001年9月発行)
しかしながら、上述したサロフェン錯体を用いた複合体では、酸化反応の反応性やエナンチオ選択性が十分とはいえないことから、より高活性な複合体の開発が望まれていた。
本発明は、新規な金属錯体タンパク質複合体を提供することを目的の一つとする。また、本発明は、新規な酸化触媒を提供することを目的の一つとする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、酸化触媒として有用な新規な金属錯体タンパク質複合体を見い出した。すなわち、本発明の金属錯体タンパク質複合体は、キャビティーを持つタンパク質類の該キャビティーに、式(1)のサレン金属錯体を挿入した構造を有するものである。
Figure 2005154402
(式(1)中、Mは金属原子であり、R1〜R10はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、分岐があってもよい炭素数1〜5のアルキル基又は分岐があってもよい炭素数1〜5のアルコキシ基である)
本発明の金属錯体タンパク質複合体は、不斉配位子ではなく容易に入手可能な配位子を用いて合成することができるし、酸化反応を良好に促進することができる。例えば、スルフィド酸化における反応性やエナンチオ選択性を良好にすることができる。
式(1)中、Mは鉄、マンガン、クロム、コバルト又はニッケルが好ましく、マンガン又はクロムがより好ましく、マンガンが特に好ましい。また、R1及びR5はそれぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基であり、R2〜R4及びR6〜R10は水素原子であることが好ましく、このときR1及びR5は同じ基であって炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましい。ここで、炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基又はn−プロピル基が好ましい。また、R1及びR5の置換基の大きさは、サレン金属錯体がタンパク質のキャビティー内に固定される位置を決定する要因であり、反応基質の取り込みやすさに影響する要因であるため、金属種、タンパク質のキャビティーの大きさ、反応基質等に応じて適宜決定するのが好ましい。
本発明の金属錯体タンパク質複合体の合成方法としては、幾つかの方法が考えられるが、代表的には以下の2通りの方法がある。一つは、キャビティーを持つタンパク質類のキャビティーに金属錯体を挿入する方法であり、もう一つは、キャビティーを持つタンパク質類が存在する系内に、キャビティーに挿入しようとする金属錯体の製造原料(反応することにより金属錯体となるもの)を入れてその系内で金属錯体を合成すると同時にキャビティーに金属錯体を挿入する方法である。前者の方法としては、例えば、キャビティーを持つタンパク質類と金属錯体とをタンパク質類と金属との当量比が1:0.5〜100、好ましくは1:1.1〜2となるように混合することが挙げられる。このときの溶媒としては、水−アセトン混合溶媒、水−メタノール混合溶媒、水−ジメチルホルムアミド(DMF)混合溶媒、水−ジメチルスルホキシド(DMSO)混合溶媒、水のみなどが好ましく、そのうち水−アセトン混合溶媒、水−メタノール混合溶媒が特に好ましい。また、混合時の温度は−10〜200℃、特に1℃〜4℃が好ましく、混合時間は0.5分〜24時間、特に5分〜30分が好ましい。また、後者の方法としては、例えば、タンパク質類と金属との当量比が1:0.5〜100、好ましくは1:1.1〜2となるように混合することが挙げられる。このときの溶媒としては、水−アセトン混合溶媒、水−メタノール混合溶媒、水−DMF混合溶媒、水−DMSO混合溶媒、水のみなどが好ましく、そのうち水−アセトン混合溶媒、水−メタノール混合溶媒が特に好ましい。また、混合時の温度は−10〜200℃、特に1℃〜4℃が好ましく、混合時間は0.5分〜24時間、特に5分〜1時間が好ましい。これら以外の方法として、担体に担持されたタンパク質類のキャビティーに前記2通りの方法のいずれかを用いて金属錯体を挿入する方法や、一旦金属錯体タンパク質複合体を調製したあと金属錯体の配位子を別の配位子に交換する方法を採用してもよい。なお、タンパク質類のキャビティーに入れる金属錯体のカウンターアニオンとしては、特に限定されるものではなく、例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオンなどのハロゲンアニオンのほか、テトラフルオロボレートアニオンやパークロレートアニオンなどが挙げられる。
本発明に用いられるタンパク質類としては、例えば、金属錯体の金属が配位可能なアミノ酸残基又は金属錯体の配位子と非共有結合可能なアミノ酸残基をキャビティーに有するタンパク質、タンパク質多量体又はそれらの変異体であってもよいし、ヘムを含むタンパク質からヘムを除くことによりヘムの存在していた部位をキャビティーにしたものであってもよい。具体的には、アポミオグロビン、アポヘモグロビン、アポヘムオキシゲナーゼ、アポカタラーゼ、アポシトクロム、アポフェリチン又はそれらの変異体などが挙げられる。なお、「アポ」とは、補因子又は補欠分子族などが欠損しているタンパク質を表す接頭語であり、アポミオグロビン、アポヘモグロビン等はヘムが欠損しており、アポフェリチンは鉄イオンが欠損している。また、タンパク質類の変異体としては、タンパク質類のキャビティーに挿入された金属錯体の化学反応場に影響を与える位置のアミノ酸残基を化学反応に適したアミノ酸残基に変異させたものが好ましい。例えばアポミオグロビンの変異体としては、アポミオグロビン(153個のアミノ酸よりなるポリペプチド鎖)の64番目、71番目、93番目、107番目などのアミノ酸残基を変異させたものが挙げられ、このうち64番目のヒスチジン(His64)と71番目のアラニン(Ala71)を変異させたものが好ましく、His64をアスパラギン酸にAla71をグリシンに変異させたものが特に好ましい。また、タンパク質類としてアポミオグロビン又はその変異体を用いる場合、93番目のアミノ酸残基であるヒスチジン(His93)のイミダゾール骨格中の窒素原子N
とサレン金属錯体の金属原子との距離が0.205〜0.245nm(2.05〜2.45Å)であることが好ましい。金属種によって活性最適化の位置は異なっていると考えられるため、各金属ごとに最適な距離を決めることが好ましい。この距離は、分子動力学計算から求めることができる。
本発明の酸化触媒は、上述した金属錯体タンパク質複合体からなるものであり、酸化反応を促進するものである。本発明の酸化触媒を利用すれば、酸化反応速度が向上したり、反応生成物のエナンチオ選択性が向上したりする。本発明の酸化触媒の使用量は、反応容器や経済性によって異なるが、反応基質とのモル比S/C(Sは基質、Cは触媒)が10〜10000、特に50〜5000の範囲で用いることが好ましい。反応基質は、酸化される部位を有する化合物であれば特に限定されないが、例えばメチルフェニルスルフィド(チオアニソール)、エチルフェニルスルフィドなどに代表されるアルキルフェニルスルフィドや、メチルベンジルスルフィド、エチルベンジルスルフィドなどに代表されるアルキルベンジルスルフィドなどのスルフィド類が挙げられる。酸化反応の溶媒としては、例えば、水、水と低級アルコール(メタノール、エタノールなど)の混合溶媒、水と低級ケトン(アセトン、メチルエチルケトンなど)の混合溶媒、水とDMFの混合溶媒、水とDMSOの混合溶媒などが挙げられる。反応温度は−10〜200℃、特に1℃〜50℃が好ましく、混合時間は0.5分〜24時間、特に5分〜10時間が好ましい。この酸化反応は、反応形式がバッチ式においても連続式においても実施することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
[実施例1]
3,3’−Me2−salen配位子(図1参照)を以下のようにして合成した。エタノール10mlに3−メチルサリチルアルデヒド0.27g(2mmol,アルドリッチ社)を溶かし、その溶液にエチレンジアミン0.06g(1mmol)を滴下し、90℃で2時間還流した。エバポレータにより溶媒を除去すると、3,3’−Me2−salen配位子が黄色の生成物として得られた。
続いて、[MnIII(3,3’−Me2−salen)]+BF4 -(図2参照)を以下のようにして合成した。まず、エタノール8mlに、3,3’−Me2−salen配位子50mg(0.16mmol)を溶かし、その溶液にMnCl2・H2O 33mg(0.16mmol)を加え、85℃で4時間還流した。室温で一晩撹拌し、濃縮すると茶色の沈殿([MnIII(3,3’−Me2−salen)]+Cl-)が得られた。[MnIII(3,3’−Me2−salen)]]+Cl- 15mg(0.04mmol)をメタノール5mlに溶かし、AgBF47.7mg(0.04mmol)を加え75℃で6時間還流した。室温で一晩撹拌した後濃縮し、エーテルを加えていくと、[MnIII(3,3’−Me2−salen)]+BF4 -が茶色の生成物として得られた。
続いて、サレン金属錯体アポミオグロビン複合体(図3参照)を以下のようにして合成した。なお、以下の作業はすべて4℃で行った。まず、公知文献(T.Matsui et al. J.Am.Chem.Soc., 1999, vol121, p9952-9957)に従って、ミオグロビンの64番目のアミノ酸残基であるヒスチジンをアスパラギン酸に変異させ、71番目のアミノ酸残基であるアラニンをグリシンに変異させた。次に、このように変異させたミオグロビンを、公知文献(F.Ascole et al. Method Enzymol. 1981, vol76, p72-87)に記載された酸−ブタノン法に従ってアポ化し、10mM Tris/HClバッファーpH7.0,6Lで6時間透析することにより、アポミオグロビンを得た。このアポミオグロビンをapo−H64D/A71G Mbと称する。このアポミオグロビン溶液に1−1.5等量の[MnIII(3,3’−Me2−salen)]+BF4 -のメタノール溶液を滴下し、10分間放置した後、10mM Bis−Tris/HClバッファーpH6.0,1Lで6時間透析した。再構成した複合体は、ゲルろ過クロマトグラフィーであるG25とG50(10mM Tris/HClバッファpH7.0)により単離生成を行った。複合体の同定は、ESI−TOF MS(電子スプレー式イオン化法を用いた飛行時間型質量分析)、UV−vis、原子吸光法によって行った。このときのMS分析値は17643.2であり、計算値17643.0とよく一致していた。また、UV−vis分析では281nm(3.7×105)、317nm(3.3×104)であった。なお、G25はSephadex G25 Medium(アマシャムバイオサイエンス社製)で、G50はSephadex G50 Superfine(アマシャムバイオサイエンス社製)である。また、上述した例では、金属錯体のカウンターアニオンとして、複合体の生成し易さを考慮してテトラフルオロボレートアニオンを採用したが、塩素イオンを採用してもよい。
このようにして得られたサレン金属錯体アポミオグロビン複合体を用いてチオアニソールのスルフォキシドへの不斉酸化反応を以下のようにして行った。10μMのサレン金属錯体アポミオグロビン複合体溶液(50mM酢酸ナトリウムバッファーpH5.0)に、1mMチオアニソール、1mM過酸化水素、内部標準物質であるアセトフェノンを加え、35℃で10分間反応させた後、反応生成物を0.5mlのジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタンをエアーで除去し、10%イソプロピルヘキサン溶液に溶解させ、ダイセルキラルセルODカラム(Daicel chiralcel OD column)を用い、HPLC(島津LC−10ADポンプシステム(Shimadzu LC-10AD pump system))、島津SPD−10Aスペクトロメーター(Shimadzu SPD-10A spectrphotometer))、n−ヘキサン/2−プロパノール=90/10)により分析した。その結果、反応速度(1分あたりのターンオーバー数)及びエナンチオ選択性は、図5のとおりであった。なお、生成物の濃度は、HPLCにおける内部標準物質と生成物とのピーク面積強度比に基づいて決定した。
また、チオアニソールの不斉酸化反応に準じて、エチルフェニルスルフィドやベンジルメチルスルフィドの不斉酸化反応を行ったところ、前者は27ee%(S)、593×10-3ターンオーバー数/分、後者は39ee%(R)、503×10-3ターンオーバー数/分であった。
[実施例2]
実施例1に準じて、3,3’−Et2−salen配位子(図1の3,3’位がEtのもの)、[MnIII(3,3’−Et2−salen)]+BF4 -(図2の3,3’位がEtのもの)、これを用いたサレン金属錯体アポミオグロビン複合体を合成した。この複合体のMS分析値は17669.6であり、計算値17671.1とよく一致していた。得られたサレン金属錯体アポミオグロビン複合体を用いたチオアニソールの酸化反応を行った。その結果を図5に示す。
[実施例3]
実施例1に準じて3,3’−Pr2−salen配位子(図1の3,3’位がn−Prのもの)、[MnIII(3,3’−Pr2−salen)]+BF4 -(図2の3,3’位がn−Prのもの)、これを用いたサレン金属錯体アポミオグロビン複合体を合成した。この複合体のMS分析値は17698.5であり、計算値17699.1とよく一致していた。得られたサレン金属錯体アポミオグロビン複合体を用いたチオアニソールの酸化反応を行った。その結果を図5に示す。
[比較例1]
実施例1で得た[MnIII(3,3’−Me2−salen)]+BF4 -をアポミオグロビンと複合化せずそのまま用いてチオアニソールの酸化反応を実施例1に準じて行った。その結果を図5に示す。
[比較例2]
実施例1に準じて、3,3’−[MnIII(3,3’−Me2−salophen)]+BF4 -を作成し、これとアポミオグロビンapo−H64D/A71G Mbとを複合化してサロフェン金属錯体アポミオグロビン錯体(図5参照)を合成し、得られたサロフェン金属錯体アポミオグロビン錯体を用いてチオアニソールの酸化反応を行った。その結果を図5に示す。
[結果]
図5に示すように、サレン金属錯体をアポミオグロビンと複合化せずに用いた場合(比較例1)には、反応活性が62と低くエナンチオ選択性も全く見られなかったが、サレン金属錯体アポミオグロビン複合体を用いた場合(実施例1〜3)には、反応活性が135〜464と高くなりエナンチオ選択性も見られるようになった。また、サロフェン金属錯体アポミオグロビン複合体を用いた場合(比較例2)とサレン金属錯体アポミオグロビン複合体を用いた場合(実施例1)とを比較すると、反応活性は前者が158に対して後者が464と大きく向上し、エナンチオ選択性は前者が23ee%(S体)に対して後者が32ee%(S体)と向上した。また、サレン金属錯体アポミオグロビン複合体を用いた場合、3,3’位の置換基がメチル基では32ee%(S体)だが、エチル基では6ee%まで下がり、n−プロピル基では13ee%(R体)と逆のエナンチオマーが過剰となった。
なお、3,3’位が水素原子のサレン錯体アポミオグロビン複合体やサロフェン錯体アポミオグロビン複合体も合成したが、実施例1〜3の複合体と比べて不安定であった。
[結晶構造]
ミオグロビンは、153個のアミノ酸より成るポリペプチド鎖と、鉄−ポリフィリン(ヘム)補欠分子族を含んでいるが、そのときに鉄と配位しているのはポリペプチド鎖の93番目のヒスチジンのイミダゾール骨格にある窒素原子(His93N)である。このため、今回のサレン金属錯体アポミオグロビン複合体についても、このHis93Nと金属との距離が酸化反応の反応性やエナンチオ選択性を決定するパラメータになり得る。そこで、実施例1のサレン金属錯体アポミオグロビン複合体につき、この距離を以下のようにして算出した。
実施例1のサレン金属錯体アポミオグロビン複合体自身は結晶化に成功していないが、比較例2のサロフェン金属錯体アポミオグロビン複合体のアポミオグロビンをapo−A71G Mb(71番目のアミノ酸残基であるアラニンをグリシンに変異させたアポミオグロビン)としたものを別途合成したところ結晶化に成功した。このため、その結晶構造データを元にした分子動力学計算の結果から、実施例1の複合体についてマンガンとHis93N
との距離を求めたところ、0.228nm(2.28Å)であった。なお、結晶構造解析には、リガク社製のX線発生装置(RigakuFR-E), 検出器(Rigaku R-AXIS VII)を用いた。また、ソフトウェアはAFMB-CNRS社のTURBO-FRODO、ハードウェアは日本SGI社製のワークステーションUNIX Octaneを用いた。分子動力学計算は、アクセルリス社のソフトウェアinsightII/Discover3.0、ワークステーションUNIX Octaneを用いて行った。パラメータはESFF force fieldを用いた。
サレン配位子の説明図である。 サレン金属錯体の説明図である。 サレン金属錯体アポミオグロビン複合体の説明図である。 サロフェン金属錯体アポミオグロビン複合体の説明図である。 チオアニソールの不斉酸化反応の結果を表すテーブルである。

Claims (11)

  1. キャビティーを持つタンパク質類の該キャビティーに式(1)のサレン金属錯体を挿入した構造を有する、金属錯体タンパク質複合体。
    Figure 2005154402
    (式(1)中、Mは金属原子であり、R1〜R10はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基である)
  2. 前記式(1)中、Mは鉄、マンガン、クロム、コバルト又はニッケルであり、R1及びR5はそれぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基であり、R2〜R4及びR6〜R10は水素原子である、請求項1に記載の金属錯体タンパク質複合体。
  3. 前記式(1)中、R1及びR5は同じ基であってメチル基、エチル基又はn−プロピル基であり、R2〜R4及びR6〜R10は水素原子である、請求項1又は2に記載の金属錯体タンパク質複合体。
  4. 前記タンパク質類は、前記サレン金属錯体の金属が配位可能なアミノ酸残基又は前記サレン金属錯体の配位子と非共有結合可能なアミノ酸残基を前記キャビティーに有するタンパク質、タンパク質多量体又はそれらの変異体である、請求項1〜3のいずれかに記載の金属錯体タンパク質複合体。
  5. 前記タンパク質類は、ヘムを含むタンパク質からヘムを除くことによりヘムの存在していた部位をキャビティーにしたタンパク質、タンパク質多量体又はそれらの変異体である、請求項1〜4のいずれかに記載の金属錯体タンパク質複合体。
  6. 前記タンパク質類は、アポミオグロビン、アポヘモグロビン、アポヘムオキシゲナーゼ、アポカタラーゼ、アポシトクロム、アポフェリチン又はそれらの変異体である、請求項1〜5のいずれかに記載の金属錯体タンパク質複合体。
  7. 前記タンパク質類は、アポミオグロビン又はそれらの変異体であって93番目のアミノ酸残基であるヒスチジンのイミダゾール骨格中の窒素原子N
    と前記サレン金属錯体の金属原子との距離が0.205〜0.245nmである、請求項1〜6のいずれかに記載の金属錯体タンパク質複合体。
  8. 前記タンパク質類は、アポミオグロビンの64番目のアミノ酸残基であるヒスチジンと71番目のアミノ酸残基であるアラニンとを変異させたアポミオグロビン変異体である、請求項1〜7のいずれかに記載の金属錯体タンパク質複合体。
  9. 前記タンパク質類は、アポミオグロビンの64番目のアミノ酸残基であるヒスチジンをアスパラギン酸に変異させ71番目のアミノ酸残基であるアラニンをグリシンに変異させたアポミオグロビン変異体である、請求項8に記載の金属錯体タンパク質複合体。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の金属錯体タンパク質複合体であって、酸化反応を促進する機能を有する酸化触媒。
  11. スルフィド類の不斉酸化反応を促進する機能を有する請求項10に記載の酸化触媒。
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