JP2005154389A - Cd44の形態を識別する抗体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 CD44はヒアルロン酸に対する主要レセプターとして働く細胞接着分子であり、リンパ球のホーミング、T細胞の活性化、創傷治癒、血管新生及び腫瘍細胞の転移性伸展のような多くの生物学的、病理学的過程に関与している。しかしながら、選択的スプライシング異性体、多様な糖鎖修飾及び異なるプロテアーゼによる切断など、その分子の複雑さのため詳細な解析ができなかった。そこでこうした複雑な現象を解明できる抗体を提供し、CD44の機能を研究・解明する道具・技術を提供する。
【解決手段】 CD44 ステム領域の特徴的な配列を認識する抗体は、 CD44 分子上に起こる糖鎖修飾、特にはO結合型糖鎖修飾あるいは認識部位近傍の修飾によりその結合反応性に影響を受けるものがある。このように、これらの抗体は、CD44の部位特異的糖鎖修飾、特に腫瘍での、まだ知られていない役割の検出や解析に有用である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、CD44の形態を識別することを可能にする抗体に関する。本発明は,該特徴的なCD44の形態を当該特異的な抗体で識別することにより、CD44分子上の糖鎖を判別したり、腫瘍組織などで腫瘍細胞と非腫瘍細胞とを識別する技術に関する。
ヒアルロン酸(HA)は、多くの組織間隙を埋めている細胞外マトリックスに多量の水分を保持するグリコサミノグリカンであり、炎症、創傷治癒、組織の再構築及び細胞運動のような多くの生物学的プロセスに関与している(非特許文献1: Lee et al., Curr Opin Cell Biol, 12, 581-586, 2000)。HAは、増殖能、浸潤能の高い腫瘍において高濃度で検出されることより、その腫瘍の状態を確認するのに役立つと考えられている(非特許文献2: Toole, et al., J Biol Chem, 277, 4593-4596, 2002)。多くの腫瘍がHAを合成し、それを周りの環境に放出することが知られている(非特許文献3: Knudson et al., Front Biosci, 3, D604-615, 1998)。腫瘍細胞によるHAの産生はそれらの悪性度に大きな影響を持つことが、HA合成欠損細胞を用いて示されている(非特許文献4:Itano et al., Proc Natl Acad Sci U S A, 99, 3609-3614, 2002)。この影響はCD44、LYVE-1、Layilin 及びRHAMM のような細胞表面受容体を介し、複数のシグナルに変換される(非特許文献5: Entwistle et al., J Cell Biochem, 61: 569-577, 1996)。
CD44は、リンパ球の表面抗原として同定されたI型膜タンパク質であり、その後、繊維芽細胞、上皮細胞、癌細胞などの多くの細胞系で発現していることが報告されている(非特許文献6: Naot et al., Adv Cancer Res, 71, 241-319, 1997)。CD44は、HAの主要なレセプターであり、リンパ球のホーミング、T細胞の活性化、創傷治癒、血管新生及び癌細胞の転移性伸展のような生理学的、病理学的プロセスで重要な役割を示している(非特許文献6: Naot et al., Adv Cancer Res, 71, 241-319, 1997) 。また、CD44は、他にフィブロネクチン、コラーゲンなどとも結合することができる。
CD44は、1回膜貫通型糖タンパク質で、四つの機能的ドメインからなり、(1) 外側の細胞外ドメイン、(2) 内側の細胞外ドメイン、(3) 膜貫通ドメイン(transmembrane domain: TM)、そして(4) 細胞内ドメインを有している。CD44の遺伝子は、20のエキソン(以前の文献では19のエキソンによりコードされるとしていたが、そのうちエキソン6についてはエキソン6aとエキソン6bに再分類され、現在ではエキソン6及びエキソン7とされている) からなると考えられており、エキソン6〜15が可変エキソン(variant exons:対応してv1〜10と呼ばれている)と称され、可変エキソンで選択的スプライシングにより広範にわたる再構成を受けCD44の多数のアイソフォームを生み出すと考えられている。また、選択的スプライシングはCD44の細胞内ドメインをコードするエキソン、すなわちエキソン19とエキソン20にも起こり、細胞内ドメインが短い(short tail)CD44や細胞内ドメインの完全長のCD44を生み出すと考えられている。
標準的で最も広範に存在するCD44タンパク質は、CD44H であるが、それはエキソン1〜5, 16〜18及び20によってコードされるタンパク質からなるもので、CD44H の細胞外ドメインはエキソン1〜5, 16 及び17により主としてコードされ、膜貫通ドメインはエクソン18により主としてコードされ、そして細胞内ドメインはエキソン20によりコードされているとされている。CD44Hは、配列番号:1で表されるアミノ酸配列のシグナルペプチドの20個のアミノ酸残基を除く341アミノ酸(aa)で構成され、そのうちの248 aaが細胞外部位を72 aaが細胞内部位を構成している。N末端109 aaは6つのシステイン残基を持ち、リガンド結合のためのglobular(球形)領域を形成している(非特許文献6: Naot et al., Adv Cancer Res, 71, 241-319, 1997)。Globular領域と細胞膜の間に位置する139 aaのstem(ステム、あるいは軸)領域は選択的splicing(接合)挿入部位、糖鎖修飾部位及びShedding(切断・放出)のための切断部位を含んでいる。さらに21 aaのI型膜貫通領域に続き、アクチン骨格に結合するERM(ezrin 、radixin 及び moesin)タンパク質やアンキリンなどの多様なタンパク質に対する結合部位として機能する72 aa の細胞内領域を持っている(非特許文献6: Naot et al., Adv Cancer Res, 71, 241-319, 1997)。Rho-GDI やTiam1のような低分子量GTP結合タンパク質の制御機能もこの部位に含まれる(非特許文献7: Bourguignon et al., J Biol Chem, 275, 1829-1838, 2000)。このように、CD44の細胞外部分は相対的に柔軟な接着による組織構造を持ちながら細胞−細胞間及び細胞−マトリックス間の相互作用を仲介し、細胞内部分はアクチン骨格と相互作用することにより、細胞内情報伝達や細胞形態の制御に関与している。
CD44は選択的スプライシング(接合)により生じた多くの異性体を有する(非特許文献6: Naot et al., Adv Cancer Res, 71, 241-319, 1997) 。最も量的に多く、基本となる形態は標準型CD44(CD44HまたはCD44s)である。選択的スプライシングは、特別なexonによりエンコードされた付加配列をstem領域に挿入する。これまでに少なくとも20種類の選択的スプライシングされたexonをもつ転写産物が検出されており、それぞれの異性体がHA認識能力の違いなど、それぞれに特異的な機能を持っていると考えられている(非特許文献8: Stamenkovic et al., Embo J, 10: 343-348, 1991)。更に、これら異性体と癌との関係が多数報告されている。例えば、バリアント配列v6とv8-v10を持つ異性体の発現は、癌細胞の転移性伸展との相関が示され(非特許文献9: Gunthert et al., Cell, 65, 13-24, 1991) 、マトリックスメタロプロテアーゼの一つであるMMP-7 はバリアント配列v3に修飾されるヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)に結合することが報告されている(非特許文献10: Yu et al., Genes Dev., 16, 307-323, 2002) 。
CD44は、膜貫通型糖タンパク質レセプターに見られるような、リン酸化、グリコシル化、更にいくつかの異性体で見られるグリコサミノグリカン鎖の付加などの広範にわたる翻訳後修飾を受ける。特に変化しやすい N結合型及び O結合型糖鎖のような翻訳後修飾により、異性体の更なる多様性が生じる(非特許文献11: Goldstein et al., Cell, 56, 1063-1072, 1989)。CD44H は分子量37kDa と推測されるポリペプチドからなるが、観察される分子量は多くの糖鎖修飾により約85-95kDaとなる。CD44H分子上には、6つのN-結合型糖鎖付加部位と多数のO-結合型糖鎖付加部位が存在する。N-結合型糖鎖付加部位はほとんどが、HAへの結合に関与する N末端のGlobular領域に存在し、その修飾様式によりHA結合能が制御されていると考えられている。また、Stem領域の4つのセリン−グリシンモチーフは、プロテオグリカンヘパラン硫酸やコンドロイチン硫酸に対する修飾可能部位である。これら糖鎖の付加はHA結合に必要であるが、修飾様式によっては逆にHA結合を阻害することが知られている。例えば、ツニカマイシンによりN-結合型糖鎖修飾を阻害するとHA結合能が弱くなったとの報告 (非特許文献12: Cattera et al., Clin.Exp. Metastasis, 17, 583-591, 1999)や、O-結合型糖鎖修飾阻害でHA結合能が下がったとの報告 (非特許文献13: Jones et al., Int. J. Biochem. Cell Biol., 35, 1361-1377, 2003) もあれば、ノイラミニダーゼ処理によるシアル酸除去によりHA結合能が上がったとの報告 (非特許文献14: Katoh et al., J. Exp.Med., 182, 419-429, 1995)もある。おそらく多様な糖鎖修飾のバランスが、HA結合の強さを調節していると考えられる。またこのHA結合のバランスにより、細胞の運動能や形態に変化、更には癌細胞の浸潤・転移に影響をもたらしていると考えられる。しかしながら、糖鎖修飾の多様性及びその付加可能部位の多さゆえに、特定の部位のCD44糖鎖を検出することは容易ではない。それゆえ、部位特異的糖鎖(特にstem領域での修飾)の生物学的役割を明らかにすることは非常に困難である。
これまで多くのCD44に対する抗体が作製されてきた。その性質として、CD44分子を認識するだけでなく、HAへの結合能を阻害したり、逆に誘導したりするものもある。また、非特許文献15: Martegani et al., Am. J. Pathol., 154, 291-300, 1999に記載の抗体は、CD44異性体のexon領域を認識する抗体や定常領域を認識する抗体で、exon配列の組み合わせの種類や翻訳後修飾により反応性が阻害される性質を持つ。その影響を与える修飾は、N-結合型糖鎖やグリコサミノグリカン側鎖である。これらの糖鎖付加部位は、CD44アミノ酸配列より容易に予想され、その糖鎖の機能についての解析も多数報告されている。
Lee et al., Curr Opin Cell Biol, 12, 581-586, 2000 Toole, et al., J Biol Chem, 277, 4593-4596, 2002 Knudson et al., Front Biosci, 3, D604-615, 1998 Itano et al., Proc Natl Acad Sci U S A, 99, 3609-3614, 2002 Entwistle et al., J Cell Biochem, 61: 569-577, 1996 Naot et al., Adv Cancer Res, 71, 241-319, 1997 Bourguignon et al., J Biol Chem, 275, 1829-1838, 2000 Stamenkovic et al., Embo J, 10: 343-348, 1991 Gunthert et al., Cell, 65, 13-24, 1991 Yu et al., Genes Dev., 16, 307-323, 2002 Goldstein et al., Cell, 56, 1063-1072, 1989 Cattera et al., Clin.Exp. Metastasis, 17, 583-591, 1999 Jones et al., Int. J. Biochem. Cell Biol., 35, 1361-1377, 2003 Katoh et al., J. Exp.Med., 182, 419-429, 1995 Martegani et al., Am. J. Pathol., 154, 291-300, 1999
CD44における糖鎖修飾の中でも、O-結合型糖鎖は、HA結合への影響や癌細胞の増殖や浸潤・転移との関連性が報告されているにも関わらず、その種類の多様さや付加特異配列がないことによる付加可能部位の多さから、その機能について、特に特定部位における糖鎖の機能については解析が非常に困難である。また、これまで異性体と疾患との関連について、多くの報告がなされ、その抗体による解析が多数なされてきたが、糖鎖修飾と疾患、特に癌などとの関係を抗体の反応性での解析により明らかにしてきた報告は見られなかった。
本発明者らはCD44ステム領域は、CD44分子に共通して存在するにも拘らず、その部位において選択的スプライシング(接合)が生ずる部位で、なおかつ糖鎖修飾部位及びShedding(切断・放出)のための切断部位を含んでいることに鑑みて、該ステム領域の特定のエピトープを特異的に認識する抗体が上記した課題解決に貢献すると考え、鋭意研究の結果、CD44ステム領域の特定の特徴ある配列並びに特徴的な構造に特異的に反応性の(あるいは認識する)抗体(モノクローナル抗体を含む)の作製に成功した。該特異抗体を使用することにより、CD44分子に現れる特徴的な構造を解析できることなどを見いだすことに成功し、本発明を完成するに至った。
代表的には、本発明者らはCD44ステム領域の範囲の限定されたエピトープを認識するモノクローナル抗体 (285-2F12、284-43F1、268-1F5 、294-6F2)とポリクローナル抗体(C-6) を作製するのに成功した。さらに、CD44 stem領域のアミノ酸配列欠損変異体を用いて、各抗体の認識部位を更に詳細に特定することにも成功し、その結果、すべての抗体は、大腸菌で調製されたポリペプチドに対してウェスタンブロットで反応性を示すことを確認するのにも成功した。さらに、いくつかの腫瘍細胞系で発現された内在性のCD44分子に対する各抗体の反応性を調べたところ、285-2F12と284-43F1はすべてのCD44分子に反応したが、268-1F5 及び 294-6F2は一部のCD44分子に対して反応性を示さなかった。これらCD44H 分子は、その分子量からペプチド全長を持つものと考えられたため、抗体の反応性阻害は翻訳後修飾によるものと推測された。そこでZR-75-1細胞で内在性の CD44H分子と同等の翻訳後修飾を持つCD44H を発現させ、その分子を脱糖鎖酵素処理やアミノ酸置換変異体などの手法を用いて解析を行った。その結果、本発明者らはO-結合型糖鎖修飾が抗体の認識部位をブロックするなどして、その反応性を阻害していることを確認した。
一つの態様では、本発明は、
〔1〕 CD44タンパク質の細胞外ドメインのうちの内側の細胞外ドメインに存在する連続したアミノ酸配列からなる部位を特異的に認識することを特徴とする抗CD44抗体(但し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列に存在するThr163−Arg186 の連続したアミノ酸配列部位を特異的に認識することを特徴とする抗CD44抗体を除く)。
〔2〕 該内側の細胞外ドメインが、細胞外ドメインのうちのステム(stem)領域及びそれに連続する領域で膜貫通ドメイン(TM)の直前までの領域であることを特徴とする上記〔1〕記載の抗CD44抗体。
〔3〕 該内側の細胞外ドメインが、CD44Hタンパク質の配列番号:1で表されるアミノ酸配列(シグナルペプチドの20個のアミノ酸残基を含めて数える)のN末端側の Cys129 までのアミノ酸残基からなるグロブラー(globular)領域に隣接する Thr130 のアミノ酸残基から同N末端側から数えて268番目のアミノ酸残基Glu までの領域に見出される連続したアミノ酸配列であることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載の抗CD44抗体。
〔4〕 CD44タンパク質の細胞外ドメインのうちの内側の細胞外ドメインに存在する連続したアミノ酸配列からなる部位が、アミノ酸残基数で少なくとも2〜159であることを特徴とする上記〔1〕記載の抗CD44抗体。
〔5〕 CD44タンパク質の細胞外ドメインのうちの内側の細胞外ドメインに存在する連続したアミノ酸配列からなる部位が、アミノ酸残基数で少なくとも4〜50であることを特徴とする上記〔1〕記載の抗CD44抗体。
〔6〕 CD44タンパク質のステム(stem)領域及びそれに連続する領域で膜貫通ドメイン(TM)の直前までの領域に見出される連続したアミノ酸配列を特異的に認識し、糖鎖修飾に感受性を有することを特徴とする抗CD44抗体。
〔7〕 CD44タンパク質の糖鎖修飾が、O-結合型糖鎖修飾であることを特徴とする上記〔6〕記載の抗CD44抗体。
〔8〕 CD44タンパク質の糖鎖修飾が、シアリル酸を伴うO-結合型糖鎖修飾であることを特徴とする上記〔6〕又は〔7〕記載の抗CD44抗体。
〔9〕 CD44タンパク質の糖鎖修飾によりCD44タンパク質との結合が阻害を受けることを特徴とする上記〔6〕〜〔8〕のいずれか一記載の抗CD44抗体。
〔10〕 癌組織において、腫瘍細胞とは反応性であるが、間質細胞とは非反応性であることを特徴とする上記〔6〕〜〔9〕のいずれか一記載の抗CD44抗体。
〔11〕 CD44Hタンパク質の配列番号:1で表されるアミノ酸配列(シグナルペプチドの20個のアミノ酸残基を含めて数える)のPro220−Pro230を認識することを特徴とする上記〔6〕〜〔10〕のいずれか一記載の抗CD44抗体。
〔12〕 CD44Hタンパク質の配列番号:1で表されるアミノ酸配列(シグナルペプチドの20個のアミノ酸残基を含めて数える)のSer234−Thr237の連続したアミノ酸配列により、CD44タンパク質との結合が阻害を受けることを特徴とする上記〔6〕記載の抗CD44抗体。
〔13〕 CD44Hタンパク質の配列番号:1で表されるアミノ酸配列(シグナルペプチドの20個のアミノ酸残基を含めて数える)のAsp243−Gln250 を認識することを特徴とする上記〔6〕又は〔12〕記載の抗CD44抗体。
〔14〕 エピトープ近傍の糖鎖修飾によりCD44タンパク質との反応性が変化することを特徴とする上記〔13〕記載の抗CD44抗体。
〔15〕 CD44タンパク質のO-結合型糖鎖修飾により影響を受けないことを特徴とする上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一記載の抗CD44抗体。
〔16〕 CD44タンパク質の配列番号:1で表されるアミノ酸配列(シグナルペプチドの20個のアミノ酸残基を含めて数える)のPro205−Ile219を認識することを特徴とする上記〔1〕〜〔5〕及び〔15〕のいずれか一記載の抗CD44抗体。
〔17〕 CD44タンパク質の配列番号:1で表されるアミノ酸配列(シグナルペプチドの20個のアミノ酸残基を含めて数える)のThr130−Arg162を認識することを特徴とする上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一記載の抗CD44抗体。
〔18〕 抗体が、モノクローナル抗体であることを特徴とする上記〔1〕〜〔17〕のいずれか一記載の抗CD44抗体。
〔19〕 上記〔1〕〜〔17〕のいずれか一記載の抗CD44抗体を用いて細胞上に発現しているCD44の糖鎖の違いを検出することを特徴とするCD44糖鎖判別方法。
〔20〕 上記〔1〕〜〔17〕のいずれか一記載の抗CD44抗体を用いて腫瘍組織における細胞の糖鎖修飾の違いを検出することを特徴とする腫瘍組織における細胞の糖鎖判別方法。
〔21〕 細胞が腫瘍細胞であることを特徴とする上記〔20〕記載の方法。
〔22〕 上記〔1〕〜〔17〕のいずれか一記載の抗CD44抗体を用いて腫瘍組織における腫瘍細胞と非腫瘍細胞を識別することを特徴とする方法。
〔23〕 非腫瘍細胞が間質細胞であることを特徴とする上記〔22〕記載の方法。
〔24〕 上記〔1〕〜〔17〕のいずれか一記載の抗CD44抗体を有効成分として含有し、
(1) 細胞上に発現しているCD44の糖鎖の違いを検出する、
(2) 腫瘍組織における細胞の糖鎖修飾の違いを検出する、及び
(3) 腫瘍組織における腫瘍細胞と非腫瘍細胞を識別する
からなる群から選ばれたことのために用いることを特徴とする抗CD44抗体試薬。
〔25〕 固相化されていることを特徴とする上記〔1〕〜〔17〕のいずれか一記載の抗CD44抗体。
〔26〕 検知可能な標識でラベルされていることを特徴とする上記〔1〕〜〔17〕のいずれか一記載の抗CD44抗体。
〔27〕 すくなくとも以下の工程:
(a) 被験生体試料を上記〔1〕〜〔17〕のいずれか一記載の抗CD44抗体を固定化した担体と接触する工程;
(b) 該生体試料と接触せしめた固相担体を洗滌する工程;
(c) 該生体試料と接触せしめた固相担体を標識化した抗CD44抗体であって上記固定化抗CD44抗体とは異なるエピトープを認識する抗体と接触する工程;
(d) 固相化された標識あるいは遊離である標識を測定する工程;及び
(e) 工程(d)で測定された標識量をCD44量の指標とし、
(1) 細胞上に発現しているCD44の糖鎖の違いを検出する、
(2) 腫瘍組織における細胞の糖鎖修飾の違いを検出する、及び
(3) 腫瘍組織における腫瘍細胞と非腫瘍細胞を識別する
からなる群から選ばれたことをなす工程
(但し、上記〔1〕〜〔17〕のいずれか一記載の抗CD44抗体の代わりに上記(c)の抗CD44抗体を固定化した担体を使用して上記工程(a)と同様な処理を行い、一方、上記(c)の抗CD44抗体の代わりに上記〔1〕〜〔17〕のいずれか一記載の抗CD44抗体を標識化した抗体を使用して上記工程(c)と同様な処理を行う場合も包含される)
を含むことを特徴とする、CD44に関連した生物活性現象の測定方法。
〔28〕 定量的に抗原量を測定することを特徴とする上記〔27〕記載の方法。
〔29〕 すくなくとも以下の工程:
(a) 被験生体試料を組織固定化処理に付す工程;
(b) 工程(a)で調製された組織固定化標本を切片とする工程;
(c) 切片化した組織を上記〔1〕〜〔17〕のいずれか一記載の抗CD44抗体による免疫組織染色に付す工程;
(d) 被験生体試料における免疫組織染色の程度を指標として、
(1) 細胞上に発現しているCD44の糖鎖の違いを検出する、
(2) 腫瘍組織における細胞の糖鎖修飾の違いを検出する、及び
(3) 腫瘍組織における腫瘍細胞と非腫瘍細胞を識別する
からなる群から選ばれたことをなすことを特徴とする、CD44に関連した生物活性現象の測定方法。
〔30〕 上記〔1〕〜〔17〕のいずれか一記載の抗CD44抗体の少なくとも一つあるいは複数がタンパク質解析用マットリクスアレイ上に配置されていることを特徴とするCD44分子解析用アレイ。
なお、CD44H cDNAでコードされるポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号:1及び図5 に示され、そのN末端側の20残基はシグナルペプチドと考えられており、CD44H タンパク質は Gln(Q) で始まる341個のアミノ酸残基からなる部分と考えられている。
CD44分子に共通して存在するにも拘らず、その部位において選択的スプライシング(接合)が生ずる部位で、なおかつ糖鎖修飾部位及びShedding(切断・放出)のための切断部位を含んでいるCD44ステム領域の特定のエピトープを特異的に認識する抗体を利用可能としている。CD44ステム領域の特定の特徴ある配列並びに特徴的な構造に特異的に反応性の(あるいは認識する)抗体(モノクローナル抗体を含む)の作製成功により、該特異抗体を使用しての、CD44分子に現れる特徴的な構造を解析可能としている。CD44分子に生起する特定部位の糖鎖修飾状態をモニターリングことを可能とし、またそれら糖鎖の機能と調節機構を研究するため使用でき、さらにCD44の糖鎖修飾に関わっている糖転移・付加酵素を明らかにするために役立つ。該非常に特徴的な性質を有する抗体を利用して、CD44分子のO-結合型糖鎖修飾性状を明らかにでき、更にその反応性の違いにより腫瘍細胞の識別を行いうる。本抗体は、プロテアーゼにより生じたCD44断片を分析することを可能にする。本発明の抗体は、特定の酵素、例えばMT1-MMP により切断されたCD44断片を検出するのに有用であると同時にそれらの相互作用を明らかにするのに利用できる。CD44分子の糖鎖機能や調節機構についての有力な研究ツールとして、本抗体は有益である。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
本発明は、CD44分子に共通して存在する一方で、該部位において選択的スプライシング(接合)が生ずる部位であり、なおかつ糖鎖修飾部位及びShedding(切断・放出)のための切断部位を含んでいるステム領域にある特定のエピトープを特異的に認識する抗体、特にはCD44ステム領域の特定の特徴ある配列並びに特徴的な構造に特異的に反応性の(あるいは認識する)抗体(モノクローナル抗体を含む)を提供すると共に、その抗体の特性を利用した用途を提供するものである。その用途のうちには、CD44分子に現れる特徴的な構造を解析すること、腫瘍組織に現れる腫瘍細胞の特徴の解析、識別技術が含まれる。
当該CD44分子(CD44H分子及び遺伝子の選択的スプライシングで産生されるmRNA転写産物である可変アイソフォームCD44分子を含む)は、他の膜貫通型糖タンパク質レセプターと同様、リン酸化、グリコシル化、ある種のCD44アイソフォームではグリコサミノグリカン鎖の付くなど、広範にわたる翻訳後修飾を受けている。本発明は、こうした修飾によりCD44分子の機能が修飾されているのか否かを解明する手段を提供する。特に本発明は、CD44分子上の特定の部位に生ずる特定の修飾、特にはCD44のステム領域の特定糖鎖修飾といった特定の修飾に伴って観察される生物活性現象の解析を可能とし、さらにはCD44発現細胞やその周囲に存在する細胞などの運動能や形態の変化、癌細胞の特定化・判別を可能とする技術を提供できる。
タンパク質の糖鎖修飾は多様な糖転移酵素や糖付加酵素を必要とする複雑なプロセスである (Brockhausen et al., Biochim. Biophys Acta, 1473, 67-95, 1999) 。細胞内で発現される酵素の種類やその発現量・活性の調節により、修飾される糖の種類やその修飾位置が大きく変化する。生体内での糖鎖修飾の重要性は、いろいろな糖転移酵素欠損マウスを使って示されている (Stanley et al., FASEB J., 9, 1436-1444, 1995) 。しかしながら、標的となるタンパク質や特定の位置での糖鎖修飾の機能については十分に判っていない。CD44についてもどのような酵素が関与し、どのようにして特定部位で糖鎖修飾が起こるのか、そして特にstem領域での修飾がその機能にどれほど重要なのかということが明らかになっていない。一般的に、タンパク質の糖鎖修飾は、分解に働くプロテアーゼなどの接近を制限することにより安定化する働き、また、特定の糖に対し親和性をもつタンパク質へ相互作用する働きなどを持つと考えられている。
この点から、本発明の特徴的な免疫学的反応性を持つ抗体、特にはCD44分子に共通して現れるステム領域(の特定配列)に向けられた特徴的な性状を示す抗体は、注目される。本発明で得られた、糖鎖修飾の状態により結合が阻害される抗体に対し、腫瘍組織のCD44は異なった反応性を示したり、例えば、乳癌や喉頭癌で発現されたCD44に反応するが、その腫瘍周辺の間質細胞には反応しないなどといったことは、興味深い現象である。
一方では、本発明で得られた別の抗体では、腫瘍タイプにより異なり、乳癌では腫瘍のCD44分子に反応し間質のものには反応せず、喉頭癌では間質細胞を染色し腫瘍細胞を染色しないという全く逆の反応性を示すという特性を示す。
本明細書中、「抗体」との用語は、広義の意味で使用されるものであってよく、所望の当該CD44分子、CD44タンパク質ポリペプチド及び関連ペプチド断片〔CD44タンパク質の細胞外ドメインのうちの内側の細胞外ドメインに存在する連続したアミノ酸配列からなる部位、特にはCD44のステム領域に存在する連続したアミノ酸配列及びそれらの糖鎖修飾ペプチドフラグメントも含む〕に対するモノクローナル抗体(但し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列に存在する連続した163番目〜186番目のアミノ酸配列部位に対するモノクローナル抗体を除く)の単一のものや各種抗原決定基(エピトープ)に対する特異性を持つ抗体組成物であってよく、また1価抗体または多価抗体並びにポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を含むものであり、さらに天然型(intact)分子並びにそれらのフラグメント及び誘導体も表すものであり、F(ab')2 , Fab'及びFab といったフラグメントを包含し、さらに少なくとも二つの抗原又はエピトープ (epitope)結合部位を有するキメラ抗体若しくは雑種抗体、又は、例えば、クワドローム(quadrome), トリオーム(triome)などの二重特異性組換え抗体、種間雑種抗体、抗イディオタイプ抗体、さらには化学的に修飾あるいは加工などされてこれらの誘導体と考えられるもの、公知の細胞融合又はハイブリドーマ技術や抗体工学を適用したり、合成あるいは半合成技術を使用して得られた抗体、抗体生成の観点から公知である従来技術を適用したり、DNA 組換え技術を用いて調製される抗体、本明細書で記載し且つ定義する標的抗原物質あるいは標的エピトープに関して中和特性を有したりする抗体又は結合特性を有する抗体を包含していてよい。特に好ましい本発明の抗体は、CD44タンパク質の細胞外ドメインのうちのステム領域及びそれに連続する領域で膜貫通ドメイン(TM)の直前までの領域、あるいはCD44Hタンパク質の配列番号:1で表されるアミノ酸配列(シグナルペプチドの20個のアミノ酸残基を含めて数える) のN末端側の Cys129 までのアミノ酸残基からなるグロブラー(globular)領域に隣接する Thr130 のアミノ酸残基から同N末端側から数えて268番目のアミノ酸残基Glu までの領域に見出される連続したアミノ酸配列を特異的に識別できるもの(但し、公知のものは除く)であり、例えば、糖鎖修飾に対して特徴的な反応性や識別性を示したり、それを区別して認識できるものである。本発明のCD44タンパク質のステム領域の特徴的な配列、例えばステム領域に存在する連続したアミノ酸配列からなる部位が、アミノ酸残基数で少なくとも2〜159であるもの、好ましくはアミノ酸残基数で少なくとも4〜50であるものに対して特異的に結合するあるいはそれを特異的に認識するものが挙げられ、より具体的にはCD44Hタンパク質の配列番号:1で表されるアミノ酸配列(シグナルペプチドの20個のアミノ酸残基を含めて数える) のPro220−Pro230又はAsp243−Gln250 、CD44タンパク質の配列番号:1で表されるアミノ酸配列(シグナルペプチドの20個のアミノ酸残基を含めて数える) のPro205−Ile219又はThr130−Arg162あるいはそれらを含んで近傍のアミノ酸残基の1個又は複数個からなる認識部位に対する抗体なども挙げられる。
抗原物質に対して作製されるモノクローナル抗体は、培養中の一連のセルラインにより抗体分子の産生を提供することのできる任意の方法を用いて産生される。修飾語「モノクローナル」とは、実質上均質な抗体の集団から得られているというその抗体の性格を示すものであって、何らかの特定の方法によりその抗体が産生される必要があるとみなしてはならない。個々のモノクローナル抗体は、自然に生ずるかもしれない変異体が僅かな量だけ存在しているかもしれないという以外は、同一であるような抗体の集団を含んでいるものである。モノクローナル抗体は、高い特異性を持ち、それは単一の抗原性をもつサイトに対して向けられているものである。異なったエピトープに対して向けられた種々の抗体を典型的には含んでいる通常の(ポリクローナル)抗体調製物と対比すると、それぞれのモノクローナル抗体は当該抗原上の単一の抗原決定基に対して向けられているものである。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養により合成され、他のイムノグロブリン類の夾雑がないあるいは少ない点でも優れている。モノクローナル抗体は、ハイブリッド抗体及びリコンビナント抗体を含むものである。それらは、所望の生物活性を示す限り、その由来やイムノグロブリンクラスやサブクラスの種別に関わりなく、可変領域ドメインを定常領域ドメインで置き換えたり(例えば、ヒト化抗体) 、あるいは軽鎖を重鎖で置き換えたり、ある種の鎖を別の種の鎖でもって置き換えたり、あるいはヘテロジーニアスなタンパク質と融合せしめたりして得ることができる(例えば、米国特許第4816567 号; Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp.79-97, Marcel Dekker, Inc., New York, 1987 など) 。
モノクローナル抗体を製造する好適な方法の例には、ハイブリドーマ法 (G. Kohler and C. Milstein, Nature, 256, pp.495-497 (1975)); ヒトB細胞ハイブリドーマ法 (Kozbor et al., Immunology Today, 4, pp.72-79 (1983); Kozbor, J. Immunol., 133, pp.3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp.51-63, Marcel Dekker, Inc., New York (1987);トリオーマ法; EBV-ハイブリドーマ法 (Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp.77-96 (1985))(ヒトモノクローナル抗体を産生するための方法);米国特許第4946778 号 (単鎖抗体の産生のための技術) が挙げられる他、抗体に関して以下の文献が挙げられる: S. Biocca et al., EMBO J, 9, pp.101-108 (1990); R.E. Bird et al., Science, 242, pp.423-426 (1988); M.A. Boss et al., Nucl. Acids Res., 12, pp.3791-3806 (1984); J. Bukovsky et al., Hybridoma, 6, pp.219-228 (1987); M. DAINO et al., Anal. Biochem., 166, pp.223-229 (1987); J.S. Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, pp.5879-5883 (1988); P.T. Jones et al., Nature, 321, pp.522-525 (1986); J.J. Langone et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 121 (Immunochemical Techniques, Part I: Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies), Academic Press, New York (1986); S. Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, pp.6851-6855 (1984); V.T. Oi et al., BioTechniques, 4, pp.214-221 (1986); L. Riechmann et al., Nature, 332, pp.323-327 (1988); A. Tramontano et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83, pp.6736-6740 (1986); C. Wood et al., Nature, 314, pp.446-449 (1985); Nature, 314, pp.452-454 (1985) あるいはそこで引用された文献(それらの中にある記載はそれを参照することにより本明細書の開示に含められる) 。
本発明に係るモノクローナル抗体は、それらが所望の生物活性を示す限り、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の種から誘導される又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体の対応配列と同一又はホモローガスであるが、一方、鎖の残部は、別の種から誘導される又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体の対応配列と同一又はホモローガスである、「キメラ」抗体(免疫グロブリン) を特に包含する(米国特許第4816567 号明細書; Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, pp.6851-6855 (1984)) 。
以下、モノクローナル抗体を例に挙げて、抗体の作製につき詳しく説明する。本発明のモノクローナル抗体は、ミエローマ細胞を用いての細胞融合技術(例えば、G. Kohler and C. Milstein, Nature, 256, pp.495-497 (1975))など) を利用して得られたモノクローナル抗体が好ましく、例えば次のような工程で作製できる。
1.免疫原性抗原の調製
2.免疫原性抗原による動物の免疫
3.ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)の調製
4.抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合
5.ハイブリドーマ(融合細胞)の選択及びモノクローン化
6.モノクローナル抗体の製造
1.免疫原性抗原の調製
抗原としては、Screaton, G.R. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 89, pp12160-12164 (1992); Swiss-Prot: accession number P16070 などで記載してある配列を参照し、当該分野で知られた技術を適用し、CD44のステム領域ドメイン断片をリコンビナントタンパク質として発現させて得られたもの又はそれから誘導された断片を用いることができる。
抗原は、そのままあるいは適当なアジュバントと混合して動物を免疫するのに使用できるが、免疫原性コンジュゲートなどにしてもよい。例えば、免疫原として用いる抗原は、当該CD44タンパク質を断片化したもの、あるいはそのアミノ酸配列に基づき特徴的な配列領域を選び、DNAクローニング技術によりリコンビナントポリペプチドとして得たもの, あるいは特徴的な配列のポリ又はオリゴペプチドをデザインして化学合成して得られた合成ポリペプチド断片であってもよい。また、その断片を適当な縮合剤を介して種々の担体タンパク質類と結合させてハプテン−タンパク質の如き免疫原性コンジュゲートとし、これを用いて特定の配列のみと反応できる(あるいは特定の配列のみを認識できる)モノクローナル抗体をデザインするのに用いることもできる。デザインされるポリペプチドには予めシステイン残基などを付加し、免疫原性コンジュゲートの調製を容易にできるようにしておくことができる。担体タンパク質類と結合させるにあたっては、担体タンパク質類はまず活性化されることができる。こうした活性化にあたり活性化結合基を導入することが挙げられる。
活性化結合基としては、(1) 活性化エステルあるいは活性化カルボキシル基、例えばニトロフェニルエステル基、ペンタフルオロフェニルエステル基、1-ベンゾトリアゾールエステル基、N-スクシンイミドエステル基など、(2) 活性化ジチオ基、例えば2-ピリジルジチオ基などが挙げられる。担体タンパク質類としては、キーホール・リンペット・ヘモシアニン (KLH)、牛血清アルブミン (BSA)、卵白アルブミン、グロブリン、ポリリジンなどのポリペプタイド、細菌菌体成分、例えばBCG などが挙げられる。
2.免疫原性抗原による動物の免疫
免疫は、当業者に知られた方法により行うことができ、例えば村松繁、他編、実験生物学講座 14 、免疫生物学、丸善株式会社、昭和60年、日本生化学会編、続生化学実験講座5、免疫生化学研究法、東京化学同人、1986年、日本生化学会編、新生化学実験講座 12 、分子免疫学 III、抗原・抗体・補体、東京化学同人、1992年などに記載の方法に準じて行うことができる。免疫化剤を(必要に応じアジュバントと共に)一回又はそれ以上の回数哺乳動物に注射することにより免疫化される。代表的には、該免疫化剤及び/又はアジュバントを哺乳動物に複数回皮下注射あるいは腹腔内注射することによりなされる。免疫化剤は、上記抗原タンパク質(ペプチド)あるいはその関連ペプチド断片を含むものが挙げられる。免疫化剤は、免疫処理される哺乳動物において免疫原性であることの知られているタンパク質(例えば上記担体タンパク質類など)とコンジュゲートを形成せしめて使用してもよい。アジュバントとしては、例えばフロイント完全アジュバント、リビ(Ribi)アジュバント、百日咳ワクチン、BCG 、リピッドA、リポソーム、水酸化アルミニウム、シリカなどが挙げられる。免疫は、例えばBALB/cなどのマウス、ハムスター、その他の適当な動物を使用して行われる。抗原の投与量は、例えばマウスに対して約1〜約400 μg/動物で、一般には宿主動物の腹腔内や皮下に注射し、以後1〜4週間おきに、好ましくは1〜2週間ごとに腹腔内、皮下、静脈内あるいは筋肉内に追加免疫を2〜10回程度反復して行う。免疫用のマウスとしてはBALB/c系マウスの他、BALB/c系マウスと他系マウスとのF1マウスなどを用いることもできる。必要に応じ、抗体価測定系を調製し、抗体価を測定して動物免疫の程度を確認できる。本発明の抗体は、こうして得られ免疫された動物から得られたものであってよく、例えば、抗血清、ポリクローナル抗体などを包含する。
3.ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)の調製
細胞融合に使用される無限増殖可能株(腫瘍細胞株)としては免疫グロブリンを産生しない細胞株から選ぶことができ、当該分野で知られたものから選択することができ、例えば P3-NS-1-Ag4-1 (NS-1, Eur. J. Immunol., 6: 511-519, 1976) 、SP-2/0-Ag14 (SP-2, Nature, 276: 269-270, 1978)、マウスミエローマ MOPC-21セルライン由来のP3-X63-Ag8-U1 (P3U1, Curr. Topics Microbiol. Immunol., 81: 1-7, 1978 )、P3-X63-Ag8 (X63, Nature, 256: 495-497, 1975 ) 、P3-X63-Ag8-653 (653, J. Immunol., 123: 1548-1550, 1979) などを用いることができる。8-アザグアニン耐性のマウスミエローマ細胞株はダルベッコMEM 培地 (DMEM培地) 、RPMI-1640 培地などの細胞培地に、例えばペニシリン、アミカシンなどの抗生物質、牛胎児血清(FCS) などを加え、さらに8−アザグアニン(例えば5〜45μg/ml) を加えた培地で継代されるが、細胞融合の2〜5日前に正常培地で継代して所要数の細胞株を用意することができる。また使用細胞株は、凍結保存株を約37℃で完全に解凍したのち RPMI-1640培地などの正常培地で3回以上洗浄後、正常培地で培養して所要数の細胞株を用意したものであってもよい。
4.抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合
上記〔2.免疫原性抗原による動物の免疫〕の工程に従い免疫された動物、例えばマウスは最終免疫後、2〜5日後にその脾臓が摘出され、それから脾細胞懸濁液を得る。脾細胞の他、生体各所のリンパ節細胞を得て、それを細胞融合に使用することもできる。こうして得られた脾細胞懸濁液と上記3.の工程に従い得られたミエローマ細胞株を、例えば最小必須培地(MEM培地) 、DMEM培地、RPMI-1640 培地などの細胞培地中に置き、細胞融合剤、例えばポリエチレングリコール(PEG)を添加する。細胞融合剤としては、この他各種当該分野で知られたものを用いることができ、この様なものとしては不活性化したセンダイウイルス(HVJ: Hemagglutinating Virus of Japan)なども挙げられる。好ましくは、例えば30〜60%のポリエチレングリコールを 0.5〜2ml加えることができ、分子量が 1,000〜8,000 のポリエチレングリコールを用いることができ、さらに分子量が 1,000〜4,000 のポリエチレングリコールがより好ましく使用できる。融合培地中でのポリエチレングリコールの濃度は、例えば30〜60%となるようにすることが好ましい。必要に応じ、例えばジメチルスルホキシドなどを少量加え、融合を促進することもできる。融合に使用する脾細胞(リンパ球): ミエローマ細胞株の割合は、例えば 1:1〜20:1とすることが挙げられるが、より好ましくは 4:1〜7:1 とすることができる。
融合反応を1〜10分間行い、次にRPMI-1640 培地などの細胞培地を加える。融合反応処理は複数回行うこともできる。融合反応処理後、遠心などにより細胞を分離した後選択用培地に移す。
5.ハイブリドーマ(融合細胞)の選択及びモノクローン化
選択用培地としては、例えばヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含む、FCS 含有MEM 培地、RPMI-1640 培地などの培地、所謂 HAT培地が挙げられる。選択培地交換の方法は、一般的には培養プレートに分注した容量と等容量を翌日加え、その後1〜3日ごとに HAT培地で半量ずつ交換するというように処理することができるが、適宜これに変更を加えて行うこともできる。また融合後8〜16日目には、アミノプテリンを除いた、所謂HT培地で1〜4日ごとに培地交換をすることができる。フィーダーとして、例えばマウス胸腺細胞を使用することもでき、それが好ましい場合がある。
ハイブリドーマの増殖のさかんな培養ウェルの培養上清を、例えば放射免疫分析(RIA) 、酵素免疫分析(ELISA) 、蛍光免疫分析(FIA) などの測定系、あるいは蛍光惹起細胞分離装置(FACS)などで、所定の断片ペプチドを抗原として用いたり、あるいは標識抗マウス抗体を用いて目的抗体を測定するなどして、スクリーニングしたりする。
目的抗体を産生しているハイブリドーマをクローニングする。クローニングは、寒天培地中でコロニーをピック・アップするか、あるいは限界希釈法によりなされうる。限界希釈法でより好ましく行うことができる。クローニングは複数回行うことが好ましい。
6.モノクローナル抗体の製造
得られたハイブリドーマ株は、FCS 含有MEM 培地、RPMI-1640 培地などの適当な増殖用培地中で培養し、その培地上清から所望のモノクローナル抗体を得ることが出来る。大量の抗体を得るためには、ハイブリドーマを腹水化することが挙げられる。この場合ミエローマ細胞由来の動物と同系の組織適合性動物の腹腔内に各ハイブリドーマを移植し、増殖させるか、あるいは例えばヌード・マウスなどに各ハイブリドーマを移植し、増殖させ、該動物の腹水中に産生されたモノクローナル抗体を回収して得ることが出来る。動物はハイブリドーマの移植に先立ち、プリスタン(2,6,10,14-テトラメチルペンタデカン)などの鉱物油を腹腔内投与しておくことができ、その処理後、ハイブリドーマを増殖させ、腹水を採取することもできる。腹水液はそのまま、あるいは従来公知の方法で精製できる。抗体含有液は、例えば硫酸アンモニウム沈殿法などの塩析、セファデックスなどによるゲルろ過法、イオン交換クロマトグラフィー法、電気泳動法、透析、限外ろ過法、アフィニティ・クロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法などにより精製してモノクローナル抗体として用いることができる。好ましくは、モノクローナル抗体を含有する腹水は、硫安分画した後、DEAE−セファロースの如き、陰イオン交換ゲル及びプロテインAカラムの如きアフィニティ・カラムなどで処理し精製分離処理できる。特に好ましくは抗原又は抗原断片(例えば合成ペプチド、組換え抗原タンパク質あるいはペプチド、抗体が特異的に認識する部位など)を固定化したアフィニティ・クロマトグラフィー、プロテインAを固定化したアフィニティ・クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイト・クロマトグラフィーなどが挙げられる。
また、トランスジェニックマウス又はその他の生物、例えば、その他の哺乳動物は、本発明の免疫原タンパク質(ポリペプチド)産物に対する抗体(ヒト化抗体なども含まれてよい)を発現するのに用いることができる。
またこうして大量に得られた抗体の配列を決定したり、ハイブリドーマ株から得られた抗体をコードする核酸配列を利用して、遺伝子組換え技術により抗体を作製することも可能である。当該モノクローナル抗体をコードする核酸は、例えばマウス抗体の重鎖や軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用するなどの慣用の手法で単離し配列決定することができる。一旦単離されたDNA は、適した発現ベクターに入れ、CHO, COSなどの宿主細胞に入れることができる。該DNA は、例えばホモジーニアスなマウスの配列に代えて、ヒトの重鎖や軽鎖の定常領域ドメインをコードする配列に置換するなどして修飾することが可能である (Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81: 6581, 1984)。かくして所望の結合特異性を有するキメラ抗体やハイブリッド抗体も調製することが可能である。また、抗体は、下記するような縮合剤を用いることを含めた化学的なタンパク質合成技術を適用して、キメラ抗体やハイブリッド抗体を調製するなどの修飾をすることも可能である。
ヒト化抗体は、当該分野で知られた技術により行うことが可能である(例えば、Jones et al., Nature, 321: pp.522-525 (1986); Riechmann et al., Nature, 332: pp.323-327 (1988); Verhoeyen et al., Science, 239: pp.1534-1536 (1988))。ヒトモノクローナル抗体も、当該分野で知られた技術により行うことが可能で、ヒトモノクローナル抗体を生産するためのヒトミエローマ細胞やヒト・マウスヘテロミエローマ細胞は当該分野で知られている (Kozbor, J. Immunol., 133, pp.3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp.51-63, Marcel Dekker, Inc., New York (1987)) 。バイスペシフィックな抗体を製造する方法も当該分野で知られている (Millstein et al., Nature, 305: pp.537-539 (1983); WO93/08829; Traunecker et al., EMBO J., 10: pp.3655-3659 (1991); Suresh et al., "Methods in Enzymology", Vol. 121, pp.210 (1986)) 。
さらにこれら抗体をトリプシン、パパイン、ペプシンなどの酵素により処理して、場合により還元して得られるFab 、Fab'、F(ab')2 といった抗体フラグメントにして使用してもよい。
抗体は、既知の任意の検定法、例えば競合的結合検定、直接及び間接サンドイッチ検定、及び免疫沈降検定に使用することができる(Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, pp.147-158 (CRC Press, Inc., 1987) 。
抗体を検出可能な原子団にそれぞれコンジュゲートするには、当分野で知られる任意の方法を使用することができ、例えば、David et al., Biochemistry, 13巻, 1014-1021 頁(1974); Pain et al, J. Immunol. Meth., 40: pp.219-231 (1981);及び "Methods in Enzymology", Vol. 184, pp.138-163 (1990) により記載の方法が挙げられる。標識物を付与する抗体としては、IgG 画分、更にはペプシン消化後還元して得られる特異的結合部Fab'を用いることができる。これらの場合の標識物の例としては、下記するように酵素(ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼあるいはβ-D- ガラクトシダーゼなど)、化学物質、蛍光物質あるいは放射性同位元素などがある。
本発明での検知・測定は、イムノ染色、例えば組織あるいは細胞染色、イムノアッセイ、例えば競合型イムノアッセイまたは非競合型イムノアッセイで行うことができ、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素免疫測定法(EIA)、螢光免疫測定法(FIA)、螢光抗体法(FAT)、化学発光免疫測定法(CLIA)、化学発光・酵素免疫測定法(CLEIA)、螢光偏光免疫測定法(FPIA)、フローサイトメトリー(FACS)などを用いることができ、B-F分離を行ってもよいし、あるいは行わないでその測定を行うことができる。好ましくはRIA 、ELISA、FIA などであり、さらにサンドイッチ型アッセイが挙げられる。例えばサンドイッチ型アッセイでは、一方を当該CD44タンパク質及びその関連ペプチド断片に対する抗体とし、他方を当該CD44タンパク質に対する別の種類の抗体とし、そして一方を検出可能に標識化する。同じ抗原を認識できる他の抗体を固相に固定化する。検体と標識化抗体及び固相化抗体を必要に応じ順次反応させるためインキュベーション処理し、ここで非結合抗体を分離後、標識物を測定する。測定された標識の量は抗原、すなわち当該CD44分子上の認識部位を有する抗原の量と比例する。このアッセイでは、不溶化抗体や、標識化抗体などの添加の順序に応じて同時サンドイッチ型アッセイ、フォワード(forward)サンドイッチ型アッセイあるいは逆サンドイッチ型アッセイなどと呼ばれる。例えば洗浄、撹拌、震盪、ろ過あるいは抗原の予備抽出などは、特定の状況のもとでそれら測定工程の中で適宜採用される。特定の試薬、緩衝液などの濃度、温度あるいはインキュベーション処理時間などのその他の測定条件は、検体中の抗原の濃度、検体試料の性質などの要素に従い変えることができる。当業者は通常の実験法を用いながら各測定に対して有効な最適の条件を適宜選定して測定を行うことが出来る。
抗原あるいは抗体を固相化できる多くの担体が知られており、本発明ではそれらから適宜選んで用いることができる。担体としては、抗原抗体反応などに使用されるものが種々知られており、本発明においても勿論これらの公知のものの中から選んで使用できる。特に好適に使用されるものとしては、例えばガラス、例えば活性化ガラス、多孔質ガラス、シリカゲル、シリカ−アルミナ、アルミナ、磁化鉄、磁化合金などの無機材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリレート、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリアクリルアミド、架橋ポリアクリルアミド、スチレン−メタクリレート共重合体、ポリグリシジルメタクリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタクリレート共重合体など、架橋化アルブミン、コラーゲン、ゼラチン、デキストラン、アガロース、架橋アガロース、セルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートなどの天然または変成セルロース、架橋デキストラン、ナイロンなどのポリアミド、ポリウレタン、ポリエポキシ樹脂などの有機高分子物質、さらにそれらを乳化重合して得られたもの、細胞、赤血球などで、必要に応じ、シランカップリング剤などで官能性基を導入してあるものが挙げられる。また、担体に識別可能な標識が付されていてもよい。
さらに、ろ紙、ビーズ、試験容器の内壁、例えば試験管、キュベット、タイタープレート、タイターウェル、ガラスセル、合成樹脂製セルなどの合成材料からなるセル、微粒子、マイクロ粒子、ナノ粒子、ガラス棒、合成材料からなる棒、末端を太くしたりあるいは細くしたりした棒、末端に丸い突起をつけたりあるいは偏平な突起をつけた棒、薄板状にした棒などの固体物質(物体)の表面などが挙げられる。
これら担体へは、抗体を結合させることができ、好ましくは本発明で得られる抗原に対し特異的に反応するモノクローナル抗体を結合させることができる。担体とこれら抗原抗体反応に関与するものとの結合は、吸着などの物理的な手法、あるいは縮合剤などを用いたり、活性化されたものなどを用いたりする化学的な方法、さらには相互の化学的な結合反応を利用した手法などにより行うことが出来る。
標識としては、酵素、酵素基質、酵素インヒビター、補欠分子類、補酵素、酵素前駆体、アポ酵素、蛍光物質、色素物質、化学ルミネッセンス化合物、発光物質、発色物質、磁気物質、金属粒子、例えば金コロイドなど、放射性物質などを挙げることができる。酵素としては、脱水素酵素、還元酵素、酸化酵素などの酸化還元酵素、例えばアミノ基、カルボキシル基、メチル基、アシル基、リン酸基などを転移するのを触媒する転移酵素、例えばエステル結合、グリコシド結合、エーテル結合、ペプチド結合などを加水分解する加水分解酵素、リアーゼ、イソメラーゼ、リガーゼなどを挙げることができる。酵素は複数の酵素を複合的に用いて検知に利用することもできる。例えば酵素的サイクリングを利用することもできる。
代表的な放射性物質の標識用同位体元素としては、[aUP], [12iI], [13OI],
[aH],[14 C],[aiS] などが挙げられる。
代表的な酵素標識としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP) などのペルオキシダーゼ、大腸菌β-D-ガラクトシダーゼなどのガラクトシダーゼ、マレエート・デヒドロゲナーゼ、グルコース-6-フォスフェート・デヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコアミラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、カタラーゼ、ウシ小腸アルカリホスファターゼ、大腸菌アルカリホスファターゼなどのアルカリフォスファターゼなどが挙げられる。
アルカリホスファターゼを用いた場合、4-メチルウンベリフェリルフォスフェートなどのウンベリフェロン誘導体、ニトロフェニルホスフェートなどのリン酸化フェノール誘導体、NADPを利用した酵素的サイクリング系、ルシフェリン誘導体、ジオキセタン誘導体などの基質を使用したりして、生ずる蛍光、発光などにより測定できる。ルシフェリン、ルシフェラーゼ系を利用したりすることもできる。カタラーゼを用いた場合、過酸化水素と反応して酸素を生成するので、その酸素を電極などで検知することもできる。電極としてはガラス電極、難溶性塩膜を用いるイオン電極、液膜型電極、高分子膜電極などであることもできる。
酵素標識は、ビオチン標識体と酵素標識アビジン(ストレプトアビジン)に置き換えることも可能である。標識は、複数の異なった種類の標識を使用することもできる。こうした場合、複数の測定を連続的に、あるいは非連続的に、そして同時にあるいは別々に行うことを可能にすることもできる。
本発明においては、信号の形成に4-ヒドロキシフェニル酢酸、o-フェニレンジアミン (OPD)、テトラメチルベンジジン (TMB)、5-アミノサリチル酸、3,3-ジアミノベンジジンテトラヒドロクロライド (DAB)、3-アミノ-9-エチルカルバゾール (AEC)、チラミン、ルミノール、ルシゲニン、ルシフェリン及びその誘導体などと西洋ワサビ・ペルオキシダーゼなどのHRP、ルミジェンPPD、(4-メチル)ウンベリフェリル-リン酸、p-ニトロフェノール-リン酸、フェノール-リン酸、ブロモクロロインドリルリン酸(BCIP)、AMPAKTM(DAKO)、AmpliQTM(DAKO)などとアルカリフォスファターゼ、4-メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトシドといったウンベリフェリルガラクトシド、o-ニトロフェノール-β-D-ガラクトシドといったニトロフェニルガラクトシドなどとβ-D-ガラクトシダーゼ、グルコース-6-リン酸・デヒドロゲナーゼ、ABTSなどとグルコースオキシダーゼなどの酵素試薬の組合わせも利用でき、ヒドロキノン、ヒドロキシベンゾキノン、ヒドロキシアントラキノンなどのキノール化合物、リポ酸、グルタチオンなどのチオール化合物、フェノール誘導体、フェロセン誘導体などを酵素などの働きで形成しうるものが使用できる。
蛍光物質あるいは化学ルミネッセンス化合物としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、例えばローダミンBイソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(RITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネートアイソマーR (TRITC)などのローダミン誘導体、7-アミノ-4-クマリン-3-酢酸、ダンシルクロリド、ダンシルフルオリド、フルオレスカミン、フィコビリプロテイン、アクリジニウム塩、ルミフェリン、ルシフェラーゼ、エクォリンなどのルミノール、イミダゾール、シュウ酸エステル、希土類キレート化合物、クマリン誘導体などが挙げられる。蛍光色素としては、通常の蛍光抗体法に用いられるものを使用することができる。発色、螢光などを含めた生成する信号などを検知するには、視覚によることもできるが、公知の装置を使用することもでき、例えば螢光光度計、プレートリーダーなども使用できる。また、放射性同位体(アイソトープ)などの出す信号を検知するには、公知の装置を使用することもでき、例えばガンマーカウンター、シンチレーションなども使用することができる。
標識するには、チオール基とマレイミド基の反応、ピリジルジスルフィド基とチオール基の反応、アミノ基とアルデヒド基の反応などを利用して行うことができ、公知の方法あるいは当該分野の当業者が容易になしうる方法、さらにはそれらを修飾した方法の中から適宜選択して適用できる。また上記免疫原性複合体作製に使用されることのできる縮合剤、担体との結合に使用されることのできる縮合剤などを用いることができる。
縮合剤としては、例えばホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソチオシアネート、N,N'-ポリメチレンビスヨードアセトアミド、N,N'-エチレンビスマレイミド、エチレングリコールビススクシニミジルスクシネート、ビスジアゾベンジジン、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、スクシンイミジル 3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、N-スクシンイミジル 4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、N-スルホスクシンイミジル 4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート、N-スクシンイミジル (4-ヨードアセチル)アミノベンゾエート、N-スクシンイミジル 4-(1-マレイミドフェニル)ブチレート、 N-(ε−マレイミドカプロイルオキシ)コハク酸イミド(EMCS), イミノチオラン、S-アセチルメルカプトコハク酸無水物、メチル-3-(4'-ジチオピリジル)プロピオンイミデート、メチル-4-メルカプトブチリルイミデート、メチル-3-メルカプトプロピオンイミデート、N-スクシンイミジル-S-アセチルメルカプトアセテートなどが挙げられる。
本発明の測定法によれば、測定すべき物質を酵素などで標識したモノクローナル抗体などの標識抗体試薬と、担体に結合された抗体とを順次反応させることができるし、同時に反応させることもできる。試薬を加える順序は選ばれた担体系の型により異なる。感作されたプラスチックなどのビーズを用いた場合には、酵素などで標識したモノクローナル抗体などの標識抗体試薬を測定すべき物質を含む検体試料と共に最初適当な試験管中に一緒に入れ、その後該感作されたプラスチックなどのビーズを加えることにより測定を行うことができる。
本発明の定量法においては、免疫学的測定法が用いられるが、その際の固相担体としては、抗体などタンパク質を良く吸着するポリスチレン製、ポリカーボネイト製、ポリプロピレン製あるいはポリビニル製のボール、マイクロプレート、スティック、微粒子あるいは試験管などの種々の材料及び形態を任意に選択し、使用することができる。
測定にあたっては至適pH、例えばpH約4〜約9に保つように適当な緩衝液系中で行うことができる。特に適切な緩衝剤としては、例えばアセテート緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、フォスフェート緩衝剤、トリス緩衝剤、トリエタノールアミン緩衝剤、ボレート緩衝剤、グリシン緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、Tris-HCl緩衝剤などが挙げられる。緩衝剤は互いに任意の割合で混合して用いることができる。抗原抗体反応は約0〜約60℃の間の温度で行うことが好ましい。
酵素などで標識されたモノクローナル抗体などの抗体試薬及び担体に結合せしめられた抗体試薬、さらには測定すべき物質のインキュベーション処理は、平衡に達するまで行うことができるが、抗原抗体反応の平衡が達成されるよりもずっと早い時点で固相と液相とを分離して限定されたインキュベーション処理の後に反応を止めることができ、液相又は固相のいずれかにおける酵素などの標識の存在の程度を測ることができる。測定操作は、自動化された測定装置を用いて行うことが可能であり、ルミネセンス・ディテクター、ホト・ディテクターなどを使用して基質が酵素の作用で変換されて生ずる表示シグナルを検知して測定することもできる。
抗原抗体反応においては、それぞれ用いられる試薬、測定すべき物質、さらには酵素などの標識を安定化したり、抗原抗体反応自体を安定化するように適切な手段を講ずることができる。さらに、非特異的な反応を除去し、阻害的に働く影響を減らしたり、あるいは測定反応を活性化したりするため、タンパク質、安定化剤、界面活性化剤、キレート化剤などをインキュベーション溶液中に加えることもできる。キレート化剤としては、エチレンジアミン四酢酸塩 (EDTA) がより好ましい。
当該分野で普通に採用されていたりあるいは当業者に知られた非特異的結合反応を防ぐためのブロッキング処理を施してもよく、例えば、哺乳動物などの正常血清タンパク質、アルブミン、スキムミルク、乳発酵物質、コラーゲン、ゼラチンなどで処理することができる。非特異的結合反応を防ぐ目的である限り、それらの方法は特に限定されず用いることが出来る。
本発明の測定方法で測定される試料としては、あらゆる形態の溶液やコロイド溶液、非流体試料などが使用しうるが、好ましくは生物由来の試料、例えば胸腺、睾丸、腸、腎臓、脳、乳癌、卵巣癌、結腸・直腸癌、血液、血清、血漿、関節液、脳脊髄液、膵液、胆汁液、唾液、羊水、尿、その他の体液、細胞培養液、組織培養液、組織ホモジュネート、生検試料、組織、細胞などが挙げられる。
これら個々の免疫学的測定法を含めた各種の分析・定量法を本発明の測定方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作などの設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて、本発明の当該対象物質あるいはそれと実質的に同等な活性を有する物質に関連した測定系を構築すればよい。
これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる〔例えば、入江 寛編,「ラジオイムノアッセイ」,講談社,昭和49年発行;入江 寛編,「続ラジオイムノアッセイ」,講談社,昭和54年発行;石川栄治ら編,「酵素免疫測定法」,医学書院,昭和53年発行;石川栄治ら編,「酵素免疫測定法」(第2版),医学書院,昭和57年発行;石川栄治ら編,「酵素免疫測定法」(第3版),医学書院,昭和62年発行;H. V. Vunakis et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 70 (Immunochemical Techniques, Part A), Academic Press, New York (1980); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 73 (Immunochemical Techniques, Part B), Academic Press, New York (1981); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 74 (Immunochemical Techniques, Part C), Academic Press, New York (1981); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 84 (Immunochemical Techniques, Part D: Selected Immunoassays), Academic Press, New York (1982); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 92 (Immunochemical Techniques, Part E: Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods), Academic Press, New York (1983); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 121 (Immunochemical Techniques, Part I: Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies), Academic Press, New York (1986); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 178 (Antibodies, Antigens, and Molecular Mimicry), Academic Press, New York (1989); M. Wilchek et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 184 (Avidin-Biotin Technology), Academic Press, New York (1990); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 203 (Molecular Design and Modeling: Concepts and Applications, Part B: Anibodies and Antigens, Nucleic Acids, Polysaccharides, and Drugs), Academic Press, New York (1991) などあるいはそこで引用された文献 (それらの中にある記載はそれを参照することにより本明細書の開示に含められる) 〕。
本発明の当該抗体の使用の一つの態様は、該抗CD44抗体と標的CD44分子との結合を液相系において検出する方法である。例えば、標識化抗体と生体試料とを接触させて標識化抗体と標的CD44分子を結合させ、この結合体を分離する。分離は、標的CD44分子+標識化抗体の結合体を公知の分離手段(クロマト法、固相法等)によって分離する方法等によって行うことができる。また公知のウエスタンブロット法に準じた方法を採用することもできる。標識シグナルの測定は、標識として酵素を用いる場合には、酵素作用によって分解して発色する基質を加え、基質の分解量を光学的に測定することによって酵素活性を求め、これを結合抗体量に換算し、標準値との比較から抗体量が算出される。放射生同位体を用いる場合には、放射性同位体の発する放射線量をシンチレーションカウンター等により測定する。また、蛍光色素を用いる場合には、蛍光顕微鏡を組み合わせた測定装置によって蛍光量を測定すればよい。
液相系での別の方法は、当該抗体(一次抗体)と生体試料とを接触させて一次抗体と標的CD44分子を結合させ、この結合体に標識化した所定の抗体(二次抗体)を結合させ、この三者の結合体における標識シグナルを検出する。あるいは、さらにシグナルを増強させるためには、非標識の二次抗体を先ず抗体+抗原タンパク質結合体に結合させ、この二次抗体に標識物質を結合させるようにしてもよい。このような二次抗体への標識物質の結合は、例えば二次抗体をビオチン化し、標識物質をアビジン化しておくことによって行うことができる。あるいは、二次抗体の一部領域(例えば、Fc領域)を認識する抗体(三次抗体)を標識し、この三次抗体を二次抗体に結合させるようにしてもよい。なお、一次抗体と二次抗体は、両方ともモノクローナル抗体を用いることもでき、あるいは、一次抗体と二次抗体のいずれか一方をポリクローナル抗体とすることもできる。液相からの結合体の分離やシグナルの検出は前記と同様とすることができる。
本発明で得られた抗体の別の使用形態としては、当該抗体と標的CD44分子との結合を固相系において試験する方法である。この固相系における方法は、極微量の標的CD44分子の検出と操作の簡便化のため好ましい方法である。すなわちこの固相系の方法は、本発明の抗体を樹脂プレートまたはメンブレン等に固定化し、この固定化抗体に標的CD44分子を結合させ、非結合タンパク質を洗浄除去した後、プレート上に残った抗体+標的CD44分子結合体に所要の標識化抗体を結合させて、この標識化抗体のシグナルを検出する方法である。この方法は、いわゆる「サンドイッチ法」と呼ばれる方法であり、マーカーとして酵素を用いる場合には、「ELISA(enzyme linked immunosorbent assay)」として広く用いられている方法である。2種類の抗体は、両方ともモノクローナル抗体を用いることもでき、あるいは、いずれか一方をポリクローナル抗体とすることもできる。
本発明におけるCD44分子の測定系としては、例えば組織に対しては免疫染色、免疫電子顕微鏡などの蛋白測定系、in situ hybridization などの発現遺伝子測定系に免疫染色などを組合わせたもの、組織抽出物に対してはEIA, RIA, FIA, LIA, ウエスタンブロッティングなどの蛋白測定系、ノーザンブロッティング、サザンブロッティング、ドットブロット、RNase プロテクションアッセイ、RT-PCR (reverse transcription polymerase chain reaction)、Real-Time PCR 、競合PCR などの発現遺伝子測定系に抗体による検出系を組合わせたもの、そして血中、体液などに対してはEIA, RIA, FIA, LIA, ウエスタンブロッティングといった蛋白測定系を有利に利用できる。
EIA の測定系において、例えば競合法では、抗CD44抗体を固相化抗体として使用し、標識抗原及び非標識抗原(抗原としては、CD44あるいはそのフラグメントペプチドなどが挙げられる)を使用するし、また非競合法で、例えばサンドイッチ法では、固相化抗CD44抗体や標識抗CD44抗体を利用できる他、抗CD44抗体を直接標識したり、固相化せずに、抗CD44抗体に対する抗体を標識したり、固相化して行うこともできる。感度増幅法としては、例えば、非酵素標識一次抗体との組み合わせでは、高分子ポリマーと酵素と一次抗体を利用するもの(Envision試薬を応用したもの; Enhanced polymer one-step staining (EPOS))が挙げられ、非酵素標識二次抗体との組合せでは、例えば PAP (peroxidase-antiperoxidase)法などの酵素と抗酵素抗体複合体の組合せ、SABC (avidin-biotinylated peroxidase complex) 法などのビオチン標識二次抗体とビオチン標識酵素−アビジン複合体の組合せ、ABC (streptavidin-biotin complex) 法、LSAB (labeled streptavidin-biotin)法などのビオチン標識二次抗体とビオチン標識酵素−ストレプトアビジン複合体の組合せ、CSA (catalyzed signal amplification)法などのSABCとビオチン標識タイラマイドと酵素標識ストレプトアビジンの組合せ、高分子ポリマーで二次抗体と酵素を標識してあるものなどが挙げられる。
本発明の固相化されている抗CD44抗体及び検知可能な標識でラベルされている抗CD44抗体は、共に特定の特徴的な構造特性あるいは形態を有するCD44分子量を定量的に測定するのに有用である。
本発明では、少なくとも以下の工程:
すくなくとも以下の工程:
(a) 被験生体試料を請求項1〜17のいずれか一記載の抗CD44抗体を固定化した担体と接触する工程;
(b) 該生体試料と接触せしめた固相担体を洗滌する工程;
(c) 該生体試料と接触せしめた固相担体を標識化した抗CD44抗体であって上記固定化抗CD44抗体とは異なるエピトープを認識する抗体と接触する工程;
(d) 固相化された標識あるいは遊離である標識を測定する工程;及び
(e) 工程(d)で測定された標識量をCD44量の指標とし、
(1) 細胞上に発現しているCD44の糖鎖の違いを検出する、
(2) 腫瘍組織における細胞の糖鎖修飾の違いを検出する、及び
(3) 腫瘍組織における腫瘍細胞と非腫瘍細胞を識別する
からなる群から選ばれたことをなす工程
を含むことを特徴とする、CD44に関連した生物活性現象の測定方法が提供される。
上記測定方法の別の形態としては請求項1〜17のいずれか一記載の抗CD44抗体の代わりに上記(c)の抗CD44抗体を固定化した担体を使用して上記工程(a)と同様な処理を行い、一方、上記(c)の抗CD44抗体の代わりに請求項1〜17のいずれか一記載の抗CD44抗体を標識化した抗体を使用して上記工程(c)と同様な処理を行う場合が挙げられ。
本法では、好ましくは定量的に標的CD44タンパク質存在量が測定される。
また、本発明では、少なくとも以下の工程:
(a) 被験生体試料を組織固定化処理に付す工程;
(b) 工程(a)で調製された組織固定化標本を切片とする工程;
(c) 切片化した組織を請求項1〜17のいずれか一記載の抗CD44抗体による免疫組織染色に付す工程;
(d) 被験生体試料における免疫組織染色の程度を指標として、
(1) 細胞上に発現しているCD44の糖鎖の違いを検出する、
(2) 腫瘍組織における細胞の糖鎖修飾の違いを検出する、及び
(3) 腫瘍組織における腫瘍細胞と非腫瘍細胞を識別する
からなる群から選ばれたことをなすことを特徴とする、CD44に関連した生物活性現象の測定方法が提供される。ここで定量的な測定を行うことで、腫瘍細胞と非腫瘍細胞を識別することができる。
本発明で得られる抗体は、それを使用して診断キットを構成することができ, それは上記方法を行うための試薬キットである。このようなキットは、被検成分の種類に応じて各種のものが市販されているので、それを利用して本発明の診断キットとすることが可能である。本発明によって提供される抗体および/または標識化抗体を用いることを除き、公知公用のキットに用いられている各要素によって構成することができる。
本明細書中で「標的CD44分子」とは、当該CD44のステム領域でプロテアーゼにより切断されて生ずるCD44断片を包含していて良い。また、該標的CD44分子には、本発明で新規に樹立された抗CD44抗体で特異的に認識されるものが含まれていて良い。
本発明で得られた抗体を利用した標的CD44分子を測定するための別の手段は、タンパク質マイクロアレイ(プロテインチップ)を使用する方法である。マイクロアレイの作製方法としては、所定の抗体を固相担体表面に固定する方法が知られている。アレイ化にあたっては、DNAマイクロアレイ(DNA チップ)作成と同様な技術を適用でき、例えば、光照射で選択的に除去される保護基の使用、半導体製造に利用されるフォトリソグラフィー技術および固相合成技術とを組み合わせ、微少なマトリックスの所定の領域での選択的修飾を行う方法を利用できる。アレイ化は, 例えば、Blawas, A.S., et al., Biomaterials, 19, pp595-609, 1998 などを参照できる。代表的な手法では、ガラス表面をシラン処理あるいはエステル化し、アビジン (例えば、NeutrAvidinTM) でコーティングし、次にビオチン化した抗体をプロットし点着せしめる。
所定抗体は、一般的には、表面処理した固相担体に適宜必要に応じてスペーサーやクロスリンカーを介して共有結合させる。ガラス表面にポリアクリルアミドゲルの微小片を整列させ、そこにタンパク質を結合させてもよい。また、シリカマイクロアレイ上に微小電極のアレイを作製し、電極上にはストレプトアビジンを含むアガロースの浸透層を設けて反応部位とし、この部位をプラスに荷電させることでビオチン化タンパク質を固定してもよい。プロテインチップの作成は、当該分野で当業者に知られた手法・技術を適用して行うことが可能である。
抗体分子と標的CD44分子との結合は、螢光物質標識を使用したり、表面プラズモン共鳴現象を利用したり、水晶発振子を利用したりなど様々な方法でその検知を実施してよい。本技術のうちには得られたシグナルなどのデータを処理するために最適化されたプログラム・データ処理システム・解析システムが包含されて良い。
本発明の抗体の樹立の結果、腫瘍組織のCD44が、糖鎖修飾の状態により結合が阻害される抗体、例えば、抗体268-1F5や294-6F2に対し、反応性の違いを示すことが見出された。特に、抗体268-1F5は2つの乳癌と3つの喉頭癌で発現されたCD44に反応するが、その腫瘍周辺の間質細胞には反応しないという特性を有すること、一方、抗体294-6F2の反応性は、腫瘍タイプにより異なり、乳癌では腫瘍のCD44分子に反応し、間質のものには反応せず、喉頭癌では間質細胞を染色し、腫瘍細胞を染色しないという全く逆の反応性を示すことを見出すことに成功した。
かくして、抗体268-1F5 と294-6F2 の反応性に影響を与える糖鎖修飾は腫瘍細胞と間質細胞の間、及び腫瘍の種類でも異なる制御を受けていると考えられる。そして、腫瘍特異的な修飾を持つCD44が腫瘍細胞の悪性度に関与する特別な機能を持っていることも考えられる。本発明の結果より、おそらくCD44分子が細胞種によって部位特異的なO-結合型糖鎖修飾を受けることが示されているものと思われる。これら抗体は、in vivoでのこれら特定部位の糖鎖修飾状態をモニターリングするために、またそれら糖鎖の機能と調節機構を研究するために、さらに言えばCD44の糖鎖修飾に関わっている糖転移・付加酵素を明らかにするために役立つと期待される。本発明で初めて、非常に特徴的な性質を有する抗体を利用して、O-結合型糖鎖修飾により抗体への結合が阻害される部位を明らかにすることに成功でき、更にその反応性の違いにより腫瘍細胞の識別を行いうることを見出すのに成功した。
またCD44はプロテアーゼによりstem領域で切断され、血流中に放出されることが知られている(shedding)。このsheddingがHAへ接着する細胞の能力を制御し、CD44を介したシグナル伝達を変化させていると考えられている。多様な細胞表面プロテアーゼがこのプロセシングに関わっており(Okamoto et al., Oncogene, 18, 1435-1446, 1999) 、MT1-MMP がそのような活性を持つプロテアーゼの一つであることが示唆されている(Kajita et al., J. Cell Biol., 153:, 893-904., 2001)。まだ他のプロテアーゼ候補は同定されていないが、もし異なるプロテアーゼがCD44を切断するならば、その切断部位はそれぞれのプロテアーゼに依存して変化するであろう。しかしながら、切断断片の分子量は切断部位に関する明確な情報を提供しない。つまり、CD44の分子量は糖鎖修飾依存的に大きく変化するため、分子量のみで判断するのは危険である。本発明では、CD44のステム領域にある特徴ある配列をその抗体のエピトープとしたものが得られており、異なるプロテアーゼにより生じたCD44断片を分析するのに有用であろう。また、糖鎖修飾の位置により、プロテアーゼのCD44への結合が阻害や促進されたりする可能性もある。さらに言えば、プロテアーゼの相互作用により糖鎖修飾のされ方が変化する可能性もある。悪性腫瘍細胞はCD44切断の増加を示し(Okamoto et al., Am. J. Pathol, 160, 441-447, 2002) 、MT1-MMP もそのような腫瘍組織で発現されている(Seiki et al., Cancer Lett, 194, 1-11, 2003)。このように、本発明の抗体は、特定の酵素、例えばMT1-MMP により切断されたCD44断片を検出するのに有用であると同時にそれらの相互作用を明らかにするのに利用できる。その手段としてサンドウィッチELISAなどが利用できる。今回、本発明の2種類の抗体を用いて2ステップ酵素免疫測定法を検討した。その結果は、ウェスタンブロット法での結果を反映するものであった。この方法により定量できることから発現量の増減も観察することができる。これまで、同様のEIA法を用いた報告は、いくつかあるが、糖鎖修飾により影響を受ける抗体を用いたものではないため、CD44分子の糖鎖機能や調節機構について新たな可能性が見出されると期待できる。
要するに、CD44はヒアルロン酸に対する主要レセプターとして働く細胞接着分子であり、リンパ球のホーミング、T細胞の活性化、創傷治癒、血管新生及び腫瘍細胞の転移性伸展のような多くの生物学的、病理学的過程に関与している。しかしながら、選択的スプライシング異性体、多様な糖鎖修飾及び異なるプロテアーゼによる切断など、その分子の複雑さのため詳細な解析ができなかった。しかし、本発明で CD44 stem(幹)領域の定義された配列を認識する4種類のモノクローナル抗体(285-2F12、284-43F1、268-1F5 及び 294-6F2)と1種類のポリクローナル抗体が調製され、ウェスタンブロティングにおいて、2種類のモノクローナル抗体(268-1F5 及び 294-6F2)が腫瘍細胞系7種類のうちの5種類で発現されたCD44を認識できないのに対し、ノイラミニダーゼとO-グリコシダーゼの組み合わせでの処理や糖鎖付加可能部位のアミノ酸置換変異を行ったCD44に対して、これら抗体は反応した結果が得られた。このことより、これらの反応性は、O結合型糖鎖修飾、おそらく認識部位近傍の修飾により影響を受けること、これらの反応性に影響を与えるCD44の糖鎖修飾は、2つの乳癌及び3つの喉頭癌組織における腫瘍細胞と間質細胞の間で異なる制御を受けていることが判った。抗体268-1F5は、腫瘍細胞に反応したが、その周りの間質細胞には反応しなかった。一方、抗体294-6F2の反応性は、2つの腫瘍タイプで異なっていた。このように、これらの抗体は、CD44の部位特異的糖鎖修飾、特に腫瘍での、まだ知られていない役割の検出や解析に有用である。
明細書及び図面において、用語は、IUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclatureによるか、あるいは当該分野において慣用的に使用される用語の意味に基づくものである。代表的な用語の意味を以下に示す。
アミノ酸配列に関しては:
A:アラニン (Ala) M:メチオニン (Met)
C:システイン (Cys) N:アスパラギン (Asn)
D:アスパラギン酸 (Asp) P:プロリン (Pro)
E:グルタミン酸(Glu) Q:グルタミン (Gln)
F:フェニルアラニン(Phe) R:アルギニン (Arg)
G:グリシン(Gly) S:セリン (Ser)
H:ヒスチジン(His) T:スレオニン (Thr)
I:イソロイシン(Ile) V:バリン (Val)
K:リジン(Lys) W:トリプトファン (Trp)
L:ロイシン(Leu) Y:チロシン (Tyr)
ヌクレオチド配列に関しては:
A,a:アデニン G,g: グアニン
C,c:シトシン T,t: チミン
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
以下の実施例における通常慣用されるDNAクローニングを含めた分子生物学的技術としては、標準的な実験マニュアル、例えば J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York (1989) & J. Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3rd Edition), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York (2001)に記載されるように実施できる。また特にPCR 法では、R. Saiki et al., Science, 230: 1350, 1985; R. Saiki et al., Science, 239: 487, 1988; H. A. Erlich (ed.), PCR Technology, Stockton Press, 1989 ; D. M. Glover et al. (ed.), "DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1, (The Practical Approach Series), IRL Press, Oxford University Press (1995); M. A. Innis et al. (ed.), "PCR Protocols: a guide to methods and applications", Academic Press, New York (1990)); M. J. McPherson, P. Quirke and G. R. Taylor (ed.), PCR: a practical approach, IRL Press, Oxford (1991); M. A. Frohman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 8998-9002 (1988) などに記載の方法に準じて行っているし、また市販の試薬あるいはキットを用いている場合はそれらに添付の指示書(protocols) や添付の薬品等を使用している。
〔抗CD44モノクローナル抗体の作製〕
a)免疫原の調製
J. Cell Biol., 153, 893-904, 2001 に記載のKajita et al. の方法により調製した。 N末端にFLAG tag、 C末端に His6 tag を付けたCD44H stem領域(Thr130-Glu268(以下全て、配列番号:1で表されるアミノ酸配列に基づく。))をコードしたcDNA(rCD44HS)をバクテリアベクター、pET3a(Stratagene, La Jolla, CA) を使って発現した(図1)。大腸菌株BL21(DE3)pLysSをプラスミドで形質転換し、タンパク質の発現を0.4mM IPTGで誘導した。細胞を集め、2mM PMSFを含むTNC緩衝液(50mM Tris-HCl, 150mM NaCl, 10mM CaCl2, 0.02% NaN3) で超音波破砕した。上清を集め、 His6-tagタンパク質をキレートセファロースとAKTA explorer 10S system (Amersham Pharmecia Biotech, Buckinghamshire, UK)を使ったゲル濾過カラムで精製した。CD44H stem領域断片(GST-tagされたRS1(Thr130-Arg162))も、rCD44HS と同様に大腸菌で発現し精製した。DGHSHGSQEGGA(アミノ酸243-254 )を含むP1オリゴペプチドはCD44H stem領域から選ばれた。
b)抗体産生細胞の調製
前記a)記載の方法により調製したリコンビナントヒトCD44H stem 領域タンパク質51.8μg を完全フロイントアジュバントと共に6週令BALB/c雌マウス2匹にそれぞれ腹腔内投与し、初回免疫した。21日後に0.9%塩化ナトリウム水溶液に溶解したリコンビナントヒトCD44H stem 領域タンパク質59.4μg を初回免疫したそれぞれのマウスに腹腔内投与し追加免疫した。更に、34日後に追加免疫時と同様にリコンビナントヒトCD44H stem 領域タンパク質40μg を静脈内および腹腔内投与し、最終免疫とした。その3日後に脾臓を摘出し、脾細胞懸濁液とした。CD44H stem領域断片(RS1) 及びP1オリゴペプチドも同様の方法により免疫された。
c)細胞融合
(1)以下の材料および方法を用いた。
RPMI-1640 培地:RPMI-1640(Flow Lab.)に重炭酸ナトリウム(24mM)、ピルビン酸ナトリウム(1mM) 、ペニシリンGカリウム(50U/ml)、硫酸アミカシン(100μg/ml) を加え、ドライアイスでpHを7.2 にし、0.2μm 東洋メンブレンフィルターで除菌ろ過した。
NS-1培地:上記RPMI-1640 培地に除菌ろ過したFCS(M.A.Bioproducts)を15%(v/v)の濃度になるように加えた。
PEG4000 溶液:RPMI-1640 培地にポリエチレングリコール4000(PEG 4000, Merk & Co.)を50%(w/w)になるように加え、無血清溶液を調製した。
8-アザグアニン耐性ミエローマ細胞SP2(SP-2/0-Ag14)との融合は、Selected Method in Cellular Immunology, eds. B. B. Mishell and S. M. Shiigi, W. H. Freeman and Company, 351-372, 1980 に記載のOi and Herzenberg et al.の方法を若干改変して行った。
(2)前記b)で調製した有核脾細胞(生細胞率100%)とミエローマ細胞(生細胞率100%)とを5:1 の割合で融合した。脾臓細胞とミエローマ細胞とを別に前記のRPMI-1640 培地で洗浄し、次に同じ培地で懸濁し、融合させるため上記の割合で混合した。容量250ml のポリプロピレン製遠沈管(岩城硝子)を用い、25mlのRPMI-1640 培地中 400×g,10分間遠心し、上清を完全に吸出した。沈殿細胞に37℃加温PEG 4000溶液4.3ml を1分間で滴下し、さらに1分間撹拌し細胞を再懸濁、分散させた。次に37℃加温RPMI-1640 培地4.3ml を1分間で滴下した。この操作をさらに1回繰り返した後、同培地29.2mlを2〜3分間で常に撹拌しながら滴下し細胞を分散させた。これを 400×g,7分間遠心分離し、上清を完全に吸引除去した。次にこの沈殿細胞に37℃加温、NS-1培地42.7mlを速やかに加え、細胞の大きい塊を10mlのピペットを用いて注意深くピペッティングして分散した。更に同培地85.3mlを加えて希釈し、ポリスチレン製96穴マイクロウェル(岩城硝子)にウェル当り 6.0×105 個/0.1ml の細胞を加えた。細胞を加えた上記のマイクロウェルを7%炭酸ガス/93%空気中で温度37℃、湿度100%下に培養に付した。
d)選択培地によるハイブリドーマの選択的増殖
(1)使用する培地は以下の通りである。
HAT 培地:前記c)で述べたNS-1培地に更にヒポキサンチン(100μM)、アミノプテリン( 0.4μM)およびチミジン(16μM)を加えた。
HT培地:アミノプテリンを除去した以外は上記HAT培地と同一組成のものである。
(2)前記c)の培養開始後翌日(1日目)、細胞にパスツールピペットでHAT培地2滴(約 0.1ml)を加えた。2、3、5、8、11日目に培地の半分(0.1ml) を新しいHAT 培地で置き換えた。ハイブリドーマ生育全ウェルについて次項e)記載のELISA により陽性ウェルをチェックした。次にフィーダーとして107 個のマウス胸腺細胞を含むHT培地1ml をポリスチレン製24穴セルウェル(岩城硝子)に加えたものを用い、上記で検出された各陽性ハイブリドーマの全内容物を移した。これを前記c)と同様に7%炭酸ガス存在下、37℃で約1週間培養に付した。その間1〜2回各ウェルの上清0.5ml を新しいHT培地0.5ml と交換した。ハイブリドーマの充分生育した時点でELISA 法により陽性を再確認し、それぞれについて次項f)記載の限界希釈法によるクローニングを行った。なお、クローニングに使用後の残液をポリスチレン製25cm2 組織培養フラスコ(岩城硝子)に移し、凍結保存用試料を調製した。
e)ELISA法による抗CD44抗体産生ハイブリドーマの検索
Anal. Biochem., 104, 205, 1980に記載のRennard et al.の方法を若干改変した方法を用いた。この方法は、ハイブリドーマ抗体の検出に適している。96穴ミクロタイトレーションプレート(Flow Lab.) を100ng のリコンビナントヒトCD44H stem領域タンパク質でコートし、次に、未コート部分を1%BSA でブロックした。これに前記d)で得られたハイブリドーマ生育ウェルの上清の一部を加えて室温で約1時間インキュベートした。2次抗体として西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP) 標識ヤギ抗マウス免疫グロブリン(Cappel Lab.) を加え、更に室温で約1時間インキュベートした。次に基質である過酸化水素とo−フェニレンジアミンを加え生成した褐色の程度をマイクロプレートリーダー(MRP-A4、東ソー)を用いて492nm の吸光度を測定し判定した。
f)クローニング
前記d)の操作後、各ウェル中には、2種以上のハイブリドーマが生育している可能性があるので、限界希釈法によりクローニングを行い、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを取得する。NS-1培地 1ml当りフィーダーとして107 個のマウス胸腺細胞を含むクローニング培地を調製し、96穴マイクロウェルの36ウェル、36ウェル及び24ウェル当り5個、1個及び 0.5個のハイブリドーマを加えた。5日目、12日目に全ウェルに各0.1ml のNS-1培地を追加した。クローニング開始後14〜15日で充分なハイブリドーマの生育が認められ、コロニー形成陰性ウェルが50%以上である群についてELISA 法を行った。テストした全ウェルが陽性でない場合、抗体陽性ウェル中のコロニー数を確認し、ウェル中に1コロニーが確認されたウェルを4〜6個選び再クローニングする。最終的にリコンビナントヒトCD44H stem領域タンパク質に対するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを得た。
g)モノクローナル抗体の生体外増殖及び生体内増殖
モノクローナル抗体の増殖は常法による。すなわち、得られた各ハイブリドーマをNS-1培地などの適当な培養液で培養(生体外増殖)し、その培養上清から10〜100μg/mlの濃度のモノクローナル抗体を得ることができた。一方、大量に抗体を得るために、脾細胞とミエローマ細胞の由来動物と同系のマウス(BALB/c)に1匹当り0.5ml の腫瘍形成促進剤プリスタン(Aldrich Chem. Co.) を腹腔内投与した。1〜3週間後に、各ハイブリドーマ1×107 個を同じく腹腔内投与し、更にその1〜2週間後に生体内で産生された 1〜4mg/mlのモノクローナル抗体を含む腹水を得ることができた。
h)モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖
前述したELISA 法に従って、リコンビナントヒトCD44H stem領域タンパク質をコートしたミクロタイトレーションプレートに前記f)で得られた各モノクローンの培養上清を加えた。次に PBSにより洗浄した後、アイソタイプ特異的ウサギ抗マウスIg抗体 (ZymedLab.) を加えた。PBS による洗浄後、 HRP標識ヤギ抗ウサギ IgG(H+L)抗体を加え、基質として過酸化水素及び 2,2'-アジノ-ジ(3-エチルベンゾチアゾリン硫酸)を用いてそれぞれの重鎖及び軽鎖を判定した。例えば、クローンNo. 285-2F12はγ1/κ、284-43F1はγ1/κ、268-1F5 はγ1/κそして294-6F2 はγ2b/κであった。
i)モノクローナル抗体の精製
前記g)で得られた各腹水を40%飽和硫酸アンモニウムで分画した後、IgG1クラスの抗体について0.5M塩化ナトリウム含有1.5Mグリシン−NaOH緩衝液(pH8.9) で平衡化したアフィゲル プロテインA(Bio-Rad Lab.)カラム (φ2.5×5cm)に吸着させ、上記緩衝液で洗浄後、0.1Mクエン酸緩衝液(pH3.0) で溶出した。溶出液 4ml/フラクションに分画したところ、例えばクローンNo. 268-1F5 ではフラクション4〜5に、クローンNo.294-6F2ではフラクション2〜5に溶出され精製できた。
〔認識部位の検索〕
a)免疫染色
実施例1、a)でKajita et al. の方法により調製したリコンビナントヒトCD44H stem領域タンパク質を、ドデシル硫酸ナトリウムを含むポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)に供した後、細胞工学,182, 1061-1068, 1983に記載の田部の方法に従ってウエスタンブロッティングを行い、各モノクローナル抗体と反応後、HRP 標識ヤギ抗マウス免疫グロブリン(Cappel Lab.) を用い、間接法により免疫染色を行った。リコンビナントCD44H であることを確認するため抗His抗体を使用した。その結果、4クローン(クローンNo. 285-2F12、284-43F1、268-1F5 及び294-6F2)で抗原に対し特異的な反応が見られた(図2)。図2で使われている他の抗CD44抗体はP1ペプチド(Asp243−Ala254) に対するウサギポリクローナル抗体(C-6) と市販抗体2C5 である。
b)各モノクローナル抗体のCD44分子における認識部位の検索
各モノクローナル抗体のCD44分子における認識部位を調べるため、7種類の部分欠損CD44H stem領域タンパク質(図3)を作製し、それぞれの分子に対する各モノクローナル抗体の反応性を調べた。RS2:Thr130−Arg186, RS3:Thr130−Gly192, RS4:Thr130−Ser209, RS5:Thr130−Pro230, RS6:Thr130−Gln250及びRS7:Thr130−Glu268(いずれも配列番号:1において)(図4)。
その結果、クローンNo. 285-2F12は Thr130−Arg162 アミノ酸の領域、クローンNo. 284-43F1と268-1F5 は Asp206−Pro230 アミノ酸の領域、クローンNo. 294-6F2 は Asp243−Gln250 アミノ酸の領域を認識した。さらにクローンNo. 284-43F1と268-1F5 の認識部位を絞り込むため、Pro205 −Ile219 アミノ酸配列及び Pro220−Pro230 アミノ酸配列の2種類のペプチドを合成し、各モノクローナル抗体との反応性を調べた。その結果、クローンNo. 284-43F1は Pro205−Ile219 アミノ酸領域を、クローンNo. 268-1F5 は Pro220−Pro230 アミノ酸領域を認識した。各クローンの認識部位を図5に示した。
〔抗体の特異性〕
a)ヒト細胞系由来CD44との反応性
ヒト細胞由来CD44に対する各モノクローナル抗体の反応性を調べるため、10種類のヒト腫瘍細胞系でのCD44発現を調べた(図6)。その方法として、RT-PCR法を用いた。Total RNAサンプル(3μg)が 0.3μg のランダムプライマーを使って逆転写された。それから、cDNA産物溶液をTaq DNA ポリメラーゼにて30サイクル増幅した(対照サンプルとしてグリセルアルデヒド-3-フォスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH) を用い、20サイクル増幅した)。プライマーは以下の通りである。
CD44;
primer-1 (5'-AGACATCTACCCCAGCAAC-3') 〔配列番号:2〕
primer-2 (5'-CGTTGAGTCCACTTGGCTTTC-3') 〔配列番号:3〕
GAPDH;
primer-1 (5'-AAGGCTGAGAACGGGAAGCTTGTCATCAAT-3') 〔配列番号:4〕
primer-2 (5'-TTCCCGTCTAGCTCAGGGATGACCTTGCCC-3') 〔配列番号:5〕
ヒト膵臓癌 (MIAPaCa-2 及び PANC1) 、繊維肉腫(HT1080)、乳癌(ZR-75-1、MCF-7 及び MDA-MB231) 、膀胱癌(T24) 、前立腺癌(LNCAP) 、星状細胞種(U251)及び子宮頚腺癌(HeLa)はAmerican Type Culture Collection (Rockville, MD)より得た。MIAPaCa-2 、ZR-75-1 及び U251 は10% 牛胎児血清(FBS) 及びカナマイシンを含むRPMI1640培地(Sigma Aldrich, Louis, MO)で、他の細胞系は10% FBS 及びカナマイシン或いはペニシリン/ストレプトマイシン含有Dulbecco's modified Eagle's 培地(Sigma Aldrich) で培養された。
その結果、7種類の細胞系でCD44の発現が確認されたが、残りの3種類ではその発現は非常に弱かった。それら7種類のCD44分子に対する各モノクローナル抗体の反応性を調べたところ、膵臓癌MIAPaCa-2 及び星状細胞腫U251では全ての抗体で85-95kDaの主要バンドが検出された。クローンNO. 285-2F12、2C5 及び284-43F1は、mRNAを発現していた全ての細胞系のCD44に反応した。そしてその分子量は、細胞系で僅かに違いは見られたけれど、MIAPaCa-2 、U251とほぼ同じであった。ポリクローナル抗体C6は同じような認識パターンを示したが、乳癌MDA-MB231 細胞のCD44に対しては弱い反応であった。
クローンNo. 268-1F5 と294-6F2 は、5種類の細胞系(膵臓癌PANC1 、繊維肉腫HT1080、子宮頚腺癌HeLa、膀胱癌T24 及び乳癌MDA-MB231 )のCD44に対し、他の抗体(285-2F12、2C5 及び284-43F1)では反応しているにもかかわらず、反応しなかった。なお、すべての細胞系においてクローンNo. 268-1F5 で検出されている75kDa 分子はCD44とは関係のないものである。というのは該75kDa 分子はCD44を発現していない細胞系(LNCAP, MCF-7及びZR-75-1)でも検出されるからである。
このように、5種類の細胞系で発現されたCD44分子はおそらく他の2種類のCD44産生細胞系分子と異なる修飾を受けていて、抗体に対して異なる反応性を示しているものと思われる。
b)組換えアデノウィルスの調製と誘導
N末端にc-Myc エピトープ、C末端にFLAG tagを付けたCD44H cDNA(CD44MF)をPCR に基づいた方法により調製し、ベクタープラスミドpcDNA3.1(+)Zeo (Invitrogen, Carlsbad, CA) に組み込んだ。cDNAインサートをAdeno-X Expression System (Clontech Laboratories, Inc., Palo Alto, CA)を用いてアデノウィルスType5 遺伝子に組み込んだ。組換えアデノウィルスをヒト未分化腎臓293細胞で増幅し、塩化セシウム濃度勾配により精製した。ウィルス力価 (infectious units/mL)は、Adeno-X Rapid Titer Kit (Clontech Laboratories, Inc.) により決められた。
抗体の反応性に対する糖鎖修飾の影響を確かめるため、内在性のCD44H を発現していないZR-75-1 細胞(3×106)を100mm シャーレに播き、10%FBS,カナマイシン含有RPMI1640培地で24時間培養した。細胞を、5%FBS 含有DMEM培地にて組換えアデノウィルスで1時間、37℃で感染した。それから培地を無血清RPMI1640培地に置換し、48時間培養した。細胞をプロテアーゼインヒビター (Roche Diagnostics, GmbH)含有RIPA緩衝液 (50mmol Tris-HCl pH7.5, 1% TritonX-100, 1% deoxycolic acid, 0.1% SDS, 150mmol NaCl)で溶解した。抗FLAG M2 抗体結合アガロースビーズ (Sigma Aldrich)を用いて、その細胞破砕抽出液よりFLAG Tagにて免疫沈降法により、CD44を精製し、その精製産物を抗原としウェスタンブロット法により免疫染色を行った(図7)。細胞で発現されたCD44MFは抗c-Myc 抗体と抗FLAG抗体を用いたウェスタンブロットで確認された。その分子量は図6の細胞系で発現されていた内在性CD44分子のものと同じであった。クローンNo. 285-2F12、284-43F1及び2C5 はCD44MFを検出したが、268-1F5 と294-6F2 は反応しなかった。ポリクローナル抗体C6はCD44MFに非常に弱いが反応した。このように、細胞で発現されたCD44MFは、図6で使われた5種類の細胞系で発現された内在性CD44分子と同様の修飾を受けていると考えられる。
c) CD44分子上糖鎖修飾の影響
クローンNo. 268-1F5 と294-6F2 の反応性に対するCD44の翻訳後修飾、特に糖鎖修飾による影響を調べた。前記b)に記載の方法により精製したCD44を50μL の20mmolリン酸緩衝液(pH7.0) に溶解し、2mU ノイラミニダーゼ、0.2mU O-グリコシダーゼ及び/又は0.3U N-グリコシダーゼF (Roche Diagnostics, GmbH, Mannheim, Germany)で37℃、16時間処理を行った。それからウェスタンブロット法により各抗体の反応性の変化を確認した(図8)。ノイラミニダーゼは、N-結合型及びO-結合型糖鎖の末端に位置するシアリル酸に対するエキソグリコシダーゼである。O-グリコシダーゼはセリン又はスレオニン残基に修飾されたO-結合型糖鎖から二糖Galβ(1-3)GalNAc を消化する。末端にシアリル酸が付加されていると、O-グリコシダーゼの機能が阻害されるので、O-結合型糖鎖を効果的に加水分解するにはノイラミニダーゼとO-グリコシダーゼの組み合わせが必要である。N-グリコシダーゼFはエンドグリコシダーゼで、アスパラギンに修飾されたすべてのタイプのN-結合型糖鎖を切断する。クローンNo. 285-2F12で検出された未処理のCD44MF分子に比べ、ノイラミニダーゼ処理したCD44MFの分子量に僅かな変化が見られ、O-グリコシダーゼとの同時処理によりさらに変化が見られた。しかし、O-グリコシダーゼ単独ではCD44MFの分子量に変化は見られなかった。N-グリコシダーゼFでの処理によりCD44MFの分子量は70kDa に減った。しかし、さらにノイラミニダーゼと共に処理しても、それ以上の変化は見られなかった。全ての酵素で同時に処理したCD44MFの分子量は約69kDa であった。
最初に、グリコシダーゼ処理したサンプルに対するクローンNo. 268-1F5 の反応性が確かめられた(図8)。ノイラミニダーゼまたはO-グリコシダーゼ単独の処理では反応性に変化は見られなかったが、両方同時に処理されたCD44MFには反応を示した。これはシアリル酸を伴ったO-結合型糖鎖、おそらくクローンNo. 268-1F5 の認識部位近傍の修飾が、抗体の結合を阻害していることを示している。クローンNo. 268-1F5 で反応しなかったHT1080の内在性CD44をグリコシダーゼ処理した場合でも同様の結果が得られた。ポリクローナル抗体C-6 の反応性はN-グリコシダーゼF処理により強くなったが、ノイラミニダーゼやO-グリコシダーゼの組み合わせでの変化はほんの僅かであった。C-6 エピトープのすぐ下流にN-結合型糖鎖修飾可能部位(NTT257)があり、この部位の修飾が抗体の反応性に影響を与えているのかもしれない。
それに対し、クローンNo. 294-6F2 の反応性はCD44MFに対するどの酵素処理でも回復されなかった。3つのグリコシダーゼでCD44MFを処理しても、分子量からわかるように、完全に糖鎖修飾を取り除くことはできないので、まだ残っている修飾が抗体の反応性部位を覆っているのかもしれない。特に、O-グリコシダーゼはO-結合型糖鎖のGlucNac とGalNacなどの部分を切断することはできない。
d)免疫反応に影響を与えるアミノ酸配列の検討
次にクローンNo.294-6F2の免疫反応性に影響を及ぼしている部位を調べた。O-結合型糖鎖修飾可能部位を含むセリン−スレオニンリッチ配列 (SHTT237)がクローンNo. 294-6F2 の認識部位近傍に見られる。この部位での修飾の影響を評価するため、GeneEditor site-directed mutagenesis system(Promega)を用いて、図9のように糖鎖修飾可能部位である234番セリン、236 及び 237番スレオニン残基をアラニン残基に置換した。次にFuGENE6TM(Roche Diagnostics, GmbH) を用いてZR-75-1 細胞に変異体発現プラスミドを導入し、それら細胞を培養し、変異体を発現させ、免疫染色を行った(図9)。その結果、全ての変異体はZR-75-1 細胞で発現され、クローンNo. 285-2F12でのウェスタンブロットで検出できた。野生型CD44MFと236番目のスレオニンをアラニンに置換した変異体(SHAT 、Mut.SAT)は反応性に変化を与えなかった。しかし、234番目セリン/236-237番目スレオニンを置換した変異体 (AHAA、Mut.AAA)、236-237番目スレオニンを置換した変異体 (SHAA、Mut.SAA)または 237番目スレオニンを置換した変異体 (SHTA、Mut.STA)はクローンNo. 294-6F2 により認識された。このことより、抗体認識部位近傍の 234番目セリンと 237番目スレオニン残基が反応性に重要であり、おそらくO-結合型糖鎖により修飾されているものと考えられた。これら変異体の効果は、クローンNo. 294-6F2 に特異的なものであり、クローンNo. 268-1F5 の反応性には影響を与えなかった。
〔組織染色〕
a)細胞染色
ヒト乳癌細胞ZR-75-1細胞(American Type Culture Collection)にCD44遺伝子導入アデノウィルスを感染させ、フィブロネクチンコートしたカバーガラス上にて一晩培養し細胞を接着させ、CD44を発現させた。培養上清を除去した後、PBS にて軽く洗浄を行い、3%パラホルムアルデヒド含有PBS に浸け10分間、室温にて細胞を固定した。PBS にて洗浄を行った後、1μg/mLの各抗体液を添加し室温にて2時間静置した。その後、抗体液を除去し、PBS にて軽く洗浄を行い、1μg/mL Alexa488標識ヤギ抗マウスIgG (Molecular Probes)含有PBS を添加し1時間、室温にて静置した。抗体液を除去し、PBS にて洗浄後、Bio Rad MRC-1024 conforcal laser microscope (Bio Rad) にて細胞を観察した。全体の細胞はAlexa568標識phalloidin (Molecular Probes, OR) にてF-アクチンを染色することにより可視化した。その結果、クローンNo. 284-43F1、268-1F5 及び294-6F2 は、ZR-75-1 細胞に比べCD44発現ZR-75-1 細胞で有意な反応を示した。しかし、クローンNo. 285-2F12では、いずれの細胞でも反応性を確認することはできなかった。268-1F5 はウェスタンブロットで正体の明らかになっていない 75kDa分子に反応していた。しかし、免疫染色ではCD44陰性細胞(ZR-75-1) を検討したが、シグナルは検出されなかった。
CD44を発現しているヒト腫瘍細胞系(MIAPaCa-2) をカバーグラス上で20時間培養した。細胞を3%パラホルムアルデヒドで固定し、抗CD44抗体をCD44に反応させた。その結果、クローンNo. 284-43F1、268-1F5 及び 294-6F2は、MIAPaCa-2 より発現されている内在性のCD44に反応し、細胞を染色していた。
b)組織染色
ヒト喉頭癌及び乳癌組織を periodate-lysine-paraformaldehyde液にて固定し、パラフィンにて包埋した。組織切片を各抗体液 (10μg/mL) にて処理し、更にビオチン標識したウマ抗マウスIgG (Vector Laboratories) 及びavidin-biotin-HRP complex solution (DAKO) にて処理を行い、3,3'-diaminobenzidine tetrahydrochloride (Sigma Aldrich)にて発色させ、顕微鏡にて観察した。その結果、腫瘍細胞といくつかの間質細胞がクローンNo. 284-43F1で染色された。間質細胞は腫瘍組織の間隙に浸潤している血球細胞のように見える。なぜならその細胞形態が繊維芽細胞のものと異なること及びCD44H がリンパ球や組織球(マクロファージ)で発現されていることが知られているからである。同様の染色パターンが抗体2C5 でも得られた。それに対し、クローンNo. 268-1F5 と 294-6F2は染色で細胞タイプ特異的な違いを示した。クローンNo. 268-1F5 では乳癌組織と喉頭癌組織の両方で腫瘍細胞のみが染色された。一方、クローンNo. 294-6F2 は、乳癌組織では腫瘍細胞のみを、喉頭癌組織では間質細胞のみを染色した。それらのシグナルはエピトープ配列を含むオリゴペプチドで吸収されることから、エピトープ配列に特異的なものである。このようにクローンNo. 268-1F5 と 294-6F2の反応性は、腫瘍組織での腫瘍細胞と間質細胞で明らかに異なる。これら抗体の反応性は糖鎖修飾により影響を受けるので、抗体認識部位近傍のCD44H の糖鎖修飾が、腫瘍での細胞タイプ特異的な様式を制御していると思われる。
〔免疫学的測定法〕
a)モノクローナル抗体結合固相担体の調製
J. Immunoassay, 4, 209-327, 1983に記載のIshikawa et al. の方法に従ってクローンNo. 285-2F12を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5) に溶解し、 100μg/mlの濃度に調整した。そのモノクローナル抗体溶液を96穴マイクロプレートにウェル当り 100μl ずつ加え、4℃、24時間静置した。次にモノクローナル抗体溶液を除去し、各々生理食塩液で3回洗浄後、1% BSA, 0.1M塩化ナトリウム及び10mM EDTA 含有30mMリン酸緩衝液(pH7.0,緩衝液A)に浸漬し、4℃で保存した。
b)酵素標識抗体(IgG-HRP複合体)の調製
J. Immunoassay, 4, 209-327, 1983に記載のIshikawa et al. の方法に従って、抗CD44H IgG-HRP 複合体を調製した。モノクローナル抗体(IgG :クローンNo. 268-1F5 )を0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5) に対し透析し、その溶液に含有されるIgG に対して100 倍モルのS-アセチルメルカプト無水コハク酸をジメチルホルムアミド溶液として加え、30℃、30分間インキュベーションした。次に、0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.0) を総容量の 1/5量、0.1M EDTA 溶液(pH6.0) を総容量の1/50量、1Mヒドロキシルアミン溶液(pH7.0) を総容量の1/5 量加え、30℃、5分間静置後、5mM EDTA含有O.1Mリン酸緩衝液(pH6.0) で平衡化したセファデックスG-25でゲルろ過し、SH基標識抗CD44IgG を得た。マレイミド標識HRP の調製HRP を10mg/ml の濃度になるように0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0) に溶解し、その HRP量に対して25倍モル量のEMCSをジメチルホルムアミド溶液として加え、30℃、30分間反応させた。この反応液を0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0) で平衡化したセファデックスG-25カラムでゲルろ過し、マレイミド標識HRP画分を分取した。SH基標識IgG 1モルに、マレイミド標識HRP 約5モルを加え、4℃、20時間静置した。この混合液を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0) で平衡化したウルトロゲル AcA44カラム(Villeneuve-la-Garenne,フランス)でゲルろ過し、抗CD44H IgG-HRP複合体画分を分取した。BSA 及びクロルヘキシジンを各々0.1%及び0.002%になるように添加し、4℃で保存した。
同様に、モノクローナル抗体( IgG:クローンNo. 284-43F1)を用いて、抗CD44H IgG-HRP 複合体を調製した。
c)2ステップサンドイッチEIA法
CHO細胞にFLAG tagを付加したCD44H cDNAを発現させ、抗FLAG抗体結合カラムなどにより精製したリコンビナントCD44H (rCD44H)あるいは実施例3a)で検討した細胞系の培養上清を96穴ビニルプレート(Falcon)にて10mM TCEP(PIRCE)、1% BSA, 0.1M塩化ナトリウム及び10mM EDTA 含有30mMリン酸緩衝液、pH7.0 で4倍希釈し、25℃、30分間静置した後、この混合液を前記a)で調製した抗体結合プレートに 100μL 加え、25℃、1時間反応した。次に生理食塩液で3回洗浄した後、前記b)で調製した酵素標識抗体を1μg/mLとなるように免疫反応用緩衝液(1% BSA, 0.1M 塩化ナトリウム及び10mM EDTA 含有30mMリン酸緩衝液、pH7.0)で希釈し、 100μL ずつ加え混和した。室温で1時間反応させた後、生理食塩液で3回洗浄した。次に0.1mg/mLテトラメチルベンジジン (TMB)溶液をウェル当り 100μL 加え、室温で30分間反応後、1mol/L 硫酸 100μL 添加し、反応を停止させた。この反応混液のA450 をマイクロプレートリーダー(MPR−A4,東ソー)を用いて測定し、検量線より検体中のCD44量を求めた(図10、表1)。
Figure 2005154389
本発明で、CD44の糖鎖修飾に関わっている糖転移・付加酵素を明らかにするに役立つ道具が提供され、CD44の糖鎖修飾によりCD44の機能が如何なる修飾を受け、さらにはCD44が腫瘍組織を含めた生体組織において如何なる働きをしているかを研究・解明することを可能にする。また、CD44のステム領域に生ずる選択的スプライシング(接合)、糖鎖修飾、及びShedding(切断・放出)というものが、如何なる生物活性に関与するかを解明・研究することを可能にする。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
<配列表フリーテキスト>
SEQ ID NO: 2, Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO: 3, Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO: 4, Oligonucleotide to act as a primer for PCR
SEQ ID NO: 5, Oligonucleotide to act as a primer for PCR
抗原の模式図を示す。 CD44H が上段、免疫原に使用されたポリペプチドが下段に示されている (CD44H stem断片、sCD44HS ;N末端断片、RS1 ;C末端ペプチド、P1) 。CD44H は、ヒアルロン酸結合領域(HA binding)、stem配列(Stem)、膜貫通領域(TM)及び細胞内領域(CP)から構成される。rCD44HS (以下、それぞれ配列番号:1において、 aa130-268)はN末端にFLAG、C末端にHis6を付与してある。RS1 (aa130-162) はN末端にGST-tag が付与されている。P1は 243-254番目の9アミノ酸を含んでいる。 抗体の反応性を示す。 調製された抗体の反応性を検討するため、rCD44HS を含む大腸菌細胞ライセートがウェスタンブロットに使用された。図に示された285-2F12、284-43F1、268-1F5 及び294-6F2 は調製されたモノクローナル抗体である。C-6 はP1ペプチドの対するポリクローナル抗体である。Anti-Hisは、His-tag に対する抗体、そして2C5 はR&D Systems Inc. (MN, USA)より市販されている抗CD44抗体である。 エピトープマッピングのための配列欠損変異体を示す。 rCD44HS のC末側から部分配列切除された6つの断片が示されている(RS2-7) 。各断片(RS2-7) は配列番号:1においてaa130からそれぞれ186 、192 、209 、230 、250 及び268 までを含んでいる。 配列切除されたステム領域断片に対する抗体の反応性を示す。 配列切除断片のいずれか一つを含む大腸菌細胞ライセートのサンプルが抗体(5μg/mL)を使ったウェスタンブロットに適用された。 抗体により認識されたアミノ酸配列を示す。 CD44H stem領域のアミノ酸配列が示され、認識部位を含む配列が囲いで示されている。 抗CD44抗体によるヒト腫瘍細胞系で発現されたCD44の検出結果を示す。 ヒト膵臓癌(MIAPaCa-2、PANC1)、星状細胞腫(U251)、繊維肉腫(HT1080)、膀胱癌(T24) 、前立腺癌(LNCAP) 、子宮頚腺癌(HeLa)及び乳癌(ZR-75-1、MCF-7 、MDA-MB231)細胞が2-メルカプトエタノール含有SDS-PAGE loading buffer で溶解され、抗CD44抗体及び抗アクチン抗体を用いたウェスタンブロット分析に適用された(3×104 細胞/レーン)。CD44H 及びGAPDH の遺伝子発現はRT-PCRにて確認された。 ZR-75-1 細胞でのCD44H の発現と検出結果を示す。 ヒト乳癌ZR-75-1 細胞にCD44H の遺伝子を導入した組換えアデノウィルスを感染させ、FLAG tagをもつCD44H を発現させた。細胞はRIPA buffer に溶解され、CD44H は抗FLAG抗体を用いた免疫沈降法により回収された。沈降物は、SDS-PAGEに適用され、示された抗体(5μg/mL)を用いたウェスタンブロットにより分析された。 CD44H に対する抗体の反応性への糖鎖の影響を示す。 ZR-75-1 細胞にCD44MFアデノウィルスを感染させることにより、CD44H を発現させた。CD44MFの90kDa分子はライセートより免疫沈降法により得られた。サンプルは2mU ノイラミニダーゼ、0.2mU O-グリコシダーゼ及び/又は0.3U N-グリコシダーゼF で37℃、16時間処理され、抗CD44抗体(285-2F12 、268-1F5、294-6F2 及びC-6)を用いたウェスタンブロット分析に適用された。 CD44H S/T 部位置換変異体の模式図並びにクローンNo. 294-6F2 のエピトープ近傍に位置するO-結合型糖鎖修飾可能部位の変異の影響を示す。 セリン残基234 とスレオニン残基236 および237 がアラニンに置換された(*)。囲い内の配列は抗CD44抗体、クローンNo. 294-6F2 、のエピトープ部位を示す。CD44H (Wild type) 、S/T 部位置換変異体 (Mut.AAA、SAT 、STA 及びSAA)及びコントロールベクター (Mock) がZR-75-1 で発現され、抗CD44抗体、クローンNo. 285-2F12及び294-6F2 を用いたウェスタンブロットに適用された。 免疫学的測定法によるCD44の測定結果を示す。 リコンビナントCD44H を 2.5〜160ng/mLの濃度とし、固相としてクローンNo. 285-2F12を、標識抗体としてクローンNo. 268-1F5 を使用し、2ステップELISA を行い、波長450nm での吸光値を測定し、両対数にて検量線を描いた。

Claims (24)

  1. CD44タンパク質の細胞外ドメインのうちの内側の細胞外ドメインに存在する連続したアミノ酸配列からなる部位を特異的に認識することを特徴とする抗CD44抗体(但し、配列番号:1で表されるアミノ酸配列に存在するThr163−Arg186 の連続したアミノ酸配列部位を特異的に認識することを特徴とする抗CD44抗体を除く)。
  2. 該内側の細胞外ドメインが、細胞外ドメインのうちのステム(stem)領域及びそれに連続する領域で膜貫通ドメイン(TM)の直前までの領域であることを特徴とする請求項1記載の抗CD44抗体。
  3. 該内側の細胞外ドメインが、CD44Hタンパク質の配列番号:1で表されるアミノ酸配列(シグナルペプチドの20個のアミノ酸残基を含めて数える)のN末端側の Cys129 までのアミノ酸残基からなるグロブラー(globular)領域に隣接する Thr130 のアミノ酸残基から同N末端側から数えて268番目のアミノ酸残基Glu までの領域に見出される連続したアミノ酸配列であることを特徴とする請求項1又は2記載の抗CD44抗体。
  4. CD44タンパク質の細胞外ドメインのうちの内側の細胞外ドメインに存在する連続したアミノ酸配列からなる部位が、アミノ酸残基数で少なくとも2〜159であることを特徴とする請求項1記載の抗CD44抗体。
  5. CD44タンパク質の細胞外ドメインのうちの内側の細胞外ドメインに存在する連続したアミノ酸配列からなる部位が、アミノ酸残基数で少なくとも4〜50であることを特徴とする請求項1記載の抗CD44抗体。
  6. CD44タンパク質のステム(stem)領域及びそれに連続する領域で膜貫通ドメイン(TM)の直前までの領域に見出される連続したアミノ酸配列を特異的に認識し、糖鎖修飾に感受性を有することを特徴とする抗CD44抗体。
  7. CD44タンパク質の糖鎖修飾が、O-結合型糖鎖修飾であることを特徴とする請求項6記載の抗CD44抗体。
  8. CD44タンパク質の糖鎖修飾が、シアリル酸を伴うO-結合型糖鎖修飾であることを特徴とする請求項6又は7記載の抗CD44抗体。
  9. CD44タンパク質の糖鎖修飾によりCD44タンパク質との結合が阻害を受けることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一記載の抗CD44抗体。
  10. 癌組織において、腫瘍細胞とは反応性であるが、間質細胞とは非反応性であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一記載の抗CD44抗体。
  11. CD44Hタンパク質の配列番号:1で表されるアミノ酸配列(シグナルペプチドの20個のアミノ酸残基を含めて数える)のPro220−Pro230を認識することを特徴とする請求項6〜10のいずれか一記載の抗CD44抗体。
  12. CD44Hタンパク質の配列番号:1で表されるアミノ酸配列(シグナルペプチドの20個のアミノ酸残基を含めて数える)のSer234−Thr237の連続したアミノ酸配列により、CD44タンパク質との結合が阻害を受けることを特徴とする請求項6記載の抗CD44抗体。
  13. CD44Hタンパク質の配列番号:1で表されるアミノ酸配列(シグナルペプチドの20個のアミノ酸残基を含めて数える)のAsp243−Gln250 を認識することを特徴とする請求項6又は12記載の抗CD44抗体。
  14. エピトープ近傍の糖鎖修飾によりCD44タンパク質との反応性が変化することを特徴とする請求項13記載の抗CD44抗体。
  15. CD44タンパク質のO-結合型糖鎖修飾により影響を受けないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一記載の抗CD44抗体。
  16. CD44タンパク質の配列番号:1で表されるアミノ酸配列(シグナルペプチドの20個のアミノ酸残基を含めて数える) のPro205−Ile219を認識することを特徴とする請求項1〜5及び15のいずれか一記載の抗CD44抗体。
  17. CD44タンパク質の配列番号:1で表されるアミノ酸配列(シグナルペプチドの20個のアミノ酸残基を含めて数える) のThr130−Arg162を認識することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一記載の抗CD44抗体。
  18. 抗体が、モノクローナル抗体であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一記載の抗CD44抗体。
  19. 請求項1〜17のいずれか一記載の抗CD44抗体を用いて細胞上に発現しているCD44の糖鎖の違いを検出することを特徴とするCD44糖鎖判別方法。
  20. 請求項1〜17のいずれか一記載の抗CD44抗体を用いて腫瘍組織における細胞の糖鎖修飾の違いを検出することを特徴とする腫瘍組織における細胞の糖鎖判別方法。
  21. 細胞が腫瘍細胞であることを特徴とする請求項20記載の方法。
  22. 請求項1〜17のいずれか一記載の抗CD44抗体を用いて腫瘍組織における腫瘍細胞と非腫瘍細胞を識別することを特徴とする方法。
  23. 非腫瘍細胞が間質細胞であることを特徴とする請求項22記載の方法。
  24. 請求項1〜17のいずれか一記載の抗CD44抗体を有効成分として含有し、
    (1) 細胞上に発現しているCD44の糖鎖の違いを検出する、
    (2) 腫瘍組織における細胞の糖鎖修飾の違いを検出する、及び
    (3) 腫瘍組織における腫瘍細胞と非腫瘍細胞を識別する
    からなる群から選ばれたことのために用いることを特徴とする抗CD44抗体試薬。
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