JP2005153951A - Ｆｐｄ用ガラス基板の包装部材及びｆｐｄ用ガラス基板の搬送方法 - Google Patents

Abstract

【課題】 ＦＰＤの製造に用いるガラス基板の包装部材及びＦＰＤ用ガラス基板の搬送方法において、ＦＰＤの製造ラインにおけるガラス基板及び包装部材の処理を簡素化できると共に、搬送時の荷姿の外形寸法を小さくしてガラス基板を効率的に搬送する。
【解決手段】 ＦＰＤの製造に用いるガラス基板５，５，…を搬送するためにその片面又は両面を包装する包装部材であって、その材質を、水中で溶解する水溶性フィルム１４としたものである。これにより、ＦＰＤの製造ラインにおける各ガラス基板５の前処理を簡素化できると共に、搬送用の外箱１２及び蓋１３内に梱包したときの荷姿の外形寸法を小さくして複数枚のガラス基板５を効率的に搬送することができる。
【選択図】 図１

Description

本発明は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのＦＰＤの製造に用いるガラス基板の包装部材及びＦＰＤ用ガラス基板の搬送方法に関し、詳しくは、ＦＰＤ用ガラス基板を水溶性フィルムで包装することによって、ＦＰＤの製造ラインにおけるガラス基板及び包装部材の処理を簡素化できると共に、搬送時の荷姿の外形寸法を小さくしてガラス基板を効率的に搬送可能とするＦＰＤ用ガラス基板の包装部材及びＦＰＤ用ガラス基板の搬送方法に関するものである。

従来、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのＦＰＤの製造に用いるガラス基板を搬送する場合には、図６に示す搬送ボックス１が用いられていた。この搬送ボックス１は、その内部に複数枚のガラス基板を立てて並べた状態で収納するもので、発泡ポリプロピレンなどの軽量で丈夫な材質で形成された箱形の本体部２と、この本体部２の開口部を覆う蓋部材３とから成り、これらが２本のゴムバンド４，４で固定されるようになっていた。この本体部２の内部の左右両側面には、図７に示すように、ＦＰＤ用ガラス基板５の縁部を挟んで固定するクッション部材６が配設されていた。このクッション部材６の内側の面には、部分拡大図Ｐに示すように、複数個の突起部７，７，…が形成されており、各突起部７，７の間にはガラス基板５の厚みに対応する幅の隙間８が形成されていた。そして、この突起部７，７の隙間８にガラス基板５を差し込んで、該ガラス基板５の縁部を突起部７，７で挟んで固定することによって、搬送ボックス１の内部に複数枚のガラス基板５，５，…を立てて並べて収納するようになっていた（例えば、特許文献１参照。）。
特開平７−２８５６１１号公報

しかし、このような搬送ボックス１においては、搬送中にガラス基板５が撓んだ場合でも、隣り合うＦＰＤ用ガラス基板５，５同士が接触して表面に傷が付かないようにするためには、部分拡大図Ｐに示すように、各ガラス基板５を固定する隙間８，８同士が所定の距離ｇ₀だけ離れるようにしなければならなかった。例えば、幅１１００ｍｍ×高さ１３００ｍｍで厚さ１mm以下のガラス基板５が互いに接触しないようにするためには、上記隙間８，８間の距離ｇ₀が約２５mmとなるように突起部７を形成しなければならなかった。これにより、図６に示すように、例えば２０枚のＦＰＤ用ガラス基板５を収納する搬送ボックス１の場合、その外形寸法が、幅（Ｗ）１２００mm×高さ（Ｈ）１４１０mm×奥行き（Ｄ）７２０mmとなり、大型となるものであった。

さらに、近年、大型画面のＦＰＤの製造に用いるガラス基板として、例えば幅１３００ｍｍ×高さ１５００ｍｍ、幅１５００ｍｍ×高さ１８００ｍｍ、幅１９００ｍｍ×高さ２１００ｍｍなど、さらに大きいサイズのものがあるが、ガラス基板のサイズが大きくなるにしたがって、その撓みも大きくなる。そのため、搬送ボックス１内で隣り合うガラス基板５，５同士が接触しないようにするためには、前記隙間８，８間の距離ｇ₀をさらに大きく形成しなければならなかった。これにより、搬送ボックス１は、奥行き（Ｄ）がさらに長くなるので、ガラス基板５のサイズが大きいものほど、搬送ボックス１の外形寸法が大型化し、効率的な搬送ができないという問題点があった。

また、これに関連して、ＦＰＤ用ガラス基板を梱包したときの荷姿の外形寸法を小さくする方法として、図８（ａ）に示すように、ＦＰＤ用ガラス基板５の表面を保護するスペーサとして、各ガラス基板５，５，…の間に薄いプラスチックフィルム９などを介在させて梱包する方法もあった。しかし、この場合には、ＦＰＤの製造ラインでガラス基板５を処理する工程において、同図（ｂ）に示すように、プラスチックフィルム９が貼り合わされたガラス基板５を一枚ずつ取り出し、同図（ｃ）に示すように、各ガラス基板５からプラスチックフィルム９を剥離する工程が必要であった。また、ＦＰＤ用ガラス基板５からプラスチックフィルム９を剥離するときに発生する静電気によって、同図（ｄ）に示すように、ガラス基板５の表面に小さなごみ１０が付着することがあり、その後の洗浄工程に多くの時間を要することがあった。さらに、プラスチックフィルム９を剥離した後にガラス基板５の表面に接着剤１１が残ることがあり、その場合には、上記接着剤１１を除去しなければならず、前処理工程がさらに煩雑となることがあった。さらにまた、同図（ｃ）において剥離されたプラスチックフィルム９は、産業廃棄物として処分しなければならならなかった。

そこで、本発明は、このような問題点に対処し、ＦＰＤの製造に用いるガラス基板を水溶性フィルムで包装することによって、ＦＰＤの製造ラインにおけるガラス基板及び包装部材の処理を簡素化できると共に、搬送時の荷姿の外形寸法を小さくしてガラス基板を効率的に搬送可能とするＦＰＤ用ガラス基板の包装部材及びＦＰＤ用ガラス基板の搬送方法を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために、本発明によるＦＰＤ用ガラス基板の包装部材は、ＦＰＤの製造に用いるガラス基板を搬送するためにその片面又は両面を包装する包装部材であって、その材質を、水中で溶解する水溶性フィルムとしたものである。

このような構成により、ＦＰＤ用ガラス基板を包装する包装部材を水中で溶解することができる。

ここで、上記水溶性フィルムは、変性ポリビニルアルコールでできている。

また、本発明によるＦＰＤ用ガラス基板の搬送方法は、ＦＰＤの製造に用いるガラス基板の片面又は両面に水中で溶解する水溶性フィルムをラミネートし、この水溶性フィルムがラミネートされたＦＰＤ用ガラス基板を搬送用の外箱内に重ねて収納し、この外箱に蓋を被せて梱包した状態で搬送するものである。

このような方法の実施により、ＦＰＤ用ガラス基板の片面又は両面に水溶性フィルムがラミネートされ、この水溶性フィルムがラミネートされたＦＰＤ用ガラス基板が搬送用の外箱内に重ねて収納され、この外箱に蓋を被せて梱包した状態でガラス基板が搬送される。

さらに、上記搬送用の外箱及び蓋は、吸湿性の材質から成るものである。これにより、外気の湿気が外箱及び蓋で吸収される。

そして、上記搬送用の外箱及び蓋の両方又は一方の内側に、乾燥剤を備えたものである。これにより、外箱及び蓋内の湿気が乾燥剤で吸収される。

請求項１に係るＦＰＤ用ガラス基板の包装部材によれば、その材質が水中で溶解する水溶性フィルムであることにより、水中で溶解することができる。したがって、ＦＰＤ用ガラス基板を水溶性フィルムで包装することによって、ＦＰＤの製造ラインにおけるガラス基板及び包装部材の処理を簡素化できると共に、搬送時の荷姿の外形寸法を小さくしてガラス基板を効率的に搬送することができる。

ここで、請求項２に係る発明によれば、上記水溶性フィルムは、変性ポリビニルアルコールでできているので、使用する態様に応じて溶解温度や溶解速度を調節でき、任意の溶解条件を設定することができる。したがって、ＦＰＤの製造ラインにおけるガラス基板及び包装部材の処理を簡単に行うことができる。

また、請求項３に係るＦＰＤ用ガラス基板の搬送方法によれば、ＦＰＤ用ガラス基板の片面又は両面に水溶性フィルムがラミネートされ、この水溶性フィルムがラミネートされたＦＰＤ用ガラス基板が搬送用の外箱内に重ねて収納され、この外箱に蓋を被せて梱包した状態でガラス基板が搬送されるので、搬送時の荷姿の外形寸法を小さくしてガラス基板を効率的に搬送することができる。

さらに、請求項４に係る発明によれば、上記搬送用の外箱及び蓋は、吸湿性の材質から成ることにより、外気の湿気が外箱及び蓋で吸収されるので、搬送中における水溶性フィルムの溶解を防止することができる。したがって、搬送中にガラス基板同士が接触しない状態を保持し、該ガラス基板の表面を保護することができる。

そして、請求項５に係る発明によれば、上記搬送用の外箱及び蓋の両方又は一方の内側に、乾燥剤を備えたことにより、外箱及び蓋内の湿気が乾燥剤で吸収されるので、搬送中における水溶性フィルムの溶解を防止することができる。したがって、搬送中にガラス基板同士が接触しない状態を保持し、該ガラス基板の表面を保護することができる。

以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図１は、本発明によるＦＰＤ用ガラス基板の包装部材を用いて、複数枚のガラス基板５，５，…が搬送用の外箱１２及び蓋１３内に梱包された状態を示す一部断面した斜視図である。この包装部材１４は、ＦＰＤ用ガラス基板５の表面を保護する薄膜であって、部分拡大図Ｑに示すように、積み重ねられた上下のガラス基板５，５の間に介在している。これにより、図６に示す従来の搬送ボックス１を用いなくても、図１に示す搬送用の外箱１２及び蓋１３内に複数枚のガラス基板５を積み重ねて収納して搬送することができる。この搬送用の外箱１２及び蓋１３は、複数枚のガラス基板５，５，…を積み重ねた状態で収納できるものであればよいので、外箱１２及び蓋１３の外形寸法、特に荷姿の高さｈが大きくならないようにすることができる。そして、例えば幅１３００ｍｍ×高さ１５００ｍｍ、幅１５００ｍｍ×高さ１８００ｍｍ、幅１９００ｍｍ×高さ２１００ｍｍなどの大きなサイズのガラス基板５を搬送する場合であっても、外箱１２及び蓋１３を用いて梱包したときの荷姿の高さｈはほとんど変わらない。したがって、ガラス基板５を効率的に搬送することができる。

ここで、本発明においては、上記包装部材１４は、その材質が水中で溶解する水溶性フィルムでできている。この水溶性フィルム１４は、変性ポリビニルアルコールでできた薄膜であり、使用する態様に応じて溶解条件を調節することができる。すなわち、溶解速度は、水温やフィルムの膜厚、溶解方法によって異なり、任意の溶解条件を設定することができる。これにより、外箱１２及び蓋１３内に梱包されて搬送されたガラス基板５及び包装部材としての水溶性フィルム１４の処理を、ＦＰＤの製造ラインにおいて簡単に行うことができる。すなわち、図２（ａ）に示す複数枚のガラス基板５から、同図（ｂ）に示すように、水溶性フィルム１４が貼り合わされた状態のガラス基板５を一枚ずつ取り出す。次に、同図（ｃ）に示すように、このガラス基板５をそのまま水槽１５内に浸す。これにより、水溶性フィルム１４が水槽１５内で数十秒以内に溶解する。例えば、膜厚２０μｍの水溶性フィルム１４を２０℃の水の中に浸したときには、該水溶性フィルム１４を２０秒以内に溶解することができる。そして、同図（ｄ）に示すように、ガラス基板５のみを取り出して、次の処理工程に進むことができる。

したがって、図８に示す従来のプラスチックフィルム９でガラス基板５を保護した場合とは異なり、スペーサの剥離工程が不要となるので、ガラス基板５の前処理及び水溶性フィルム１４の処理を簡素化することができる。また、水溶性フィルム１４は、親水性に優れているので、図８に示すプラスチックフィルム９とは異なり、ほとんど静電気を帯びることがない。したがって、ガラス基板５の表面に紙紛などのごみが付着し難く、ガラス基板５の前処理が煩雑になることもない。さらに、水溶性フィルム１４を溶解するための水槽１５のみを準備すればよく、またスペーサを剥離するための装置を省略できるので、設備投資のコストを削減できる。さらにまた、水溶性フィルム１４は、最終的には炭酸ガスと水とに分解するので、産業廃棄物の発生を抑制することができる。この水溶性フィルム１４には塩素などのハロゲン元素は含まれていないので、通常のプラスチックフィルムに比べ、廃棄の際の地球環境への負荷が少ない。以上に説明したような水溶性フィルムの具体例としては、日本合成化学工業社製の製品名：ハイセロン（登録商標）などが挙げられる。なお、この水溶性フィルム１４は、初期弾性率や引張強度、引張伸度などの機械的物性やヒートシール強度など、包装材料としての性質にも優れており、切断や熔断が簡単にできるため、ガラス基板５の表面へのラミネートを容易に行うことができる。

次に、上記水溶性フィルム１４を用いて、複数枚のガラス基板５，５，…を搬送用の外箱１２及び蓋１３内に梱包して搬送する方法について、図３を参照して説明する。まず、図３（ａ）において、上記水溶性フィルム１４を芯材１６にロール状に巻き取っておき、その裏面にホットメルト型の接着剤が塗布されているとする。このホットメルト型の接着剤は、水分散性、水溶解性に優れたものがよく、例えば、特開平５−４３８５３号公報、特開２００２−１７３６５５号公報等に開示されたものが望ましい。このような水溶解性に優れた接着剤は、図２（ｃ）に示す水槽１５内で水溶性フィルムと共に溶解するので、同図（ｄ）に示すように、ガラス基板５上に残留することがない。したがって、ＦＰＤの製造ラインにおけるガラス基板５の前処理を簡素化できる。

この状態で、図３（ａ）に示すロール状の水溶性フィルム１４を矢印Ａの方向に回転させ、該水溶性フィルム１４の先端部を矢印Ｂの方向に送ってＦＰＤ用ガラス基板５の上面に重ね合わせる。そして、これらの水溶性フィルム１４及びガラス基板５を、矢印Ｃ，Ｄの方向に回転する加熱ローラ１７，１８の間に挟みながら両者を加熱すると、水溶性フィルム１４の裏面に塗布された接着剤が溶融し、ガラス基板５の上面側に水溶性フィルム１４が接着される。そして、ガラス基板５の後端部で水溶性フィルム１４を切断することにより、同図（ｂ）に示すように、ガラス基板５の上面に水溶性フィルム１４がラミネートされる。

次に、この水溶性フィルム１４がラミネートされた状態のＦＰＤ用ガラス基板５を、同図（ｃ）に示すように、搬送用の外箱１２内に重ねて収納する。そして、同図（ｄ）に示すように、ガラス基板１５が所定の枚数だけ重ねて収納されてから、外箱１２に蓋１３を被せて梱包すると、複数枚のガラス基板５が外箱１２及び蓋１３内に梱包され、図１に示す状態となる。そして、この梱包された状態のガラス基板５をある拠点から他の拠点に搬送する。

また、図１（ａ）及び図３（ｄ）に示す外箱１２や蓋１３は、例えばダンボール、発泡ポリプロピレン、木材などの吸湿性に優れた材質で形成されている。これにより、外気の湿気が外箱１２及び蓋１３で吸収されるので、搬送中における水溶性フィルム１４の溶解を防止することができる。したがって、搬送中にガラス基板５同士が接触しない状態を保持し、該ガラス基板５の表面を保護することができる。

さらに、図１の部分拡大図Ｑに示すように、上記外箱１２の内側面に、例えばシート状の乾燥剤１９を備えてもよい。これにより、外箱１２及び蓋１３内の湿気が乾燥剤１９で吸収されるので、搬送中における水溶性フィルム１４の溶解を防止することができる。したがって、搬送中にガラス基板５同士が接触しない状態を保持し、該ガラス基板５の表面を保護することができる。なお、乾燥剤は、外箱１２及び蓋１３内の湿気を吸収するものであれば、どのような形状のものでもよい。

なお、図２（ａ）及び図３（ａ）において、スペーサとしての水溶性フィルム１４をガラス基板５の上面側にラミネートすると説明したが、本発明はこれに限られず、図４に示すように、ガラス基板５の上面及び下面の両面に水溶性フィルム１４をラミネートしてもよい。また、図５に示すように、ガラス基板５の全体を水溶性フィルム１４で袋状に包み込むようにしてもよい。この場合には、ＦＰＤ用ガラス基板５の上下両面が保護される。このとき、荷姿の外形寸法の大きさは変わらないので、ガラス基板５を効率的に搬送することができる。また、ＦＰＤの製造ラインにおけるガラス基板５の処理を簡素化できる。

本発明によるＦＰＤ用ガラス基板の包装部材を用いて複数枚のガラス基板が外箱及び蓋内に梱包された状態を示す一部断面斜視図である。 図１に示す各ガラス基板をＦＰＤの製造ラインで処理する工程を示す説明図である。 ＦＰＤ用ガラス基板の上面に水溶性フィルムを包装し外箱及び蓋内に梱包して搬送する工程を示す説明図である。 ＦＰＤ用ガラス基板の上面及び下面の両面に水溶性フィルムを包装する工程を示す説明図である。 ＦＰＤ用ガラス基板の全体が水溶性フィルムで袋状に包み込まれた状態を示す断面図である。 ＦＰＤ用ガラス基板を収納する従来の搬送ボックスの外観図である。 図５に示す搬送ボックスの一部断面した平面図である。 従来のプラスチックフィルムで包装されたガラス基板をＦＰＤ製造ラインで処理する工程を示す説明図である。

符号の説明

５…ＦＰＤ用ガラス基板
１２…外箱
１３…水溶性フィルム
１４…蓋
１５…水槽
１６…芯材
１７，１８…加熱ローラ
１９…乾燥剤

Claims (5)

1. ＦＰＤの製造に用いるガラス基板を搬送するためにその片面又は両面を包装する包装部材であって、
   その材質は、水中で溶解する水溶性フィルムであることを特徴とするＦＰＤ用ガラス基板の包装部材。
2. 上記水溶性フィルムは、変性ポリビニルアルコールでできたことを特徴する請求項１記載のＦＰＤ用ガラス基板の包装部材。
3. ＦＰＤの製造に用いるガラス基板の片面又は両面に水中で溶解する水溶性フィルムをラミネートし、
   この水溶性フィルムがラミネートされたＦＰＤ用ガラス基板を搬送用の外箱内に重ねて収納し、
   この外箱に蓋を被せて梱包した状態で搬送することを特徴とするＦＰＤ用ガラス基板の搬送方法。
4. 上記搬送用の外箱及び蓋は、吸湿性の材質から成ることを特徴とする請求項３記載のＦＰＤ用ガラス基板の搬送方法。
5. 上記搬送用の外箱及び蓋の両方又は一方の内側に、乾燥剤を備えたことを特徴とする請求項３又は４記載のＦＰＤ用ガラス基板の搬送方法。

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