JP2005146325A - ステンレスとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ステンレス表面で、抗菌性と防汚性を両立することが困難であった。
【解決手段】少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、その粒子が島状に露出している表面において、その全表面上に少なくともシロキサン結合を含む膜が形成されたステンレスの構成とした。これによって、抗菌能を有する粒子が、シロキサン結合を有する膜を通して溶出することで、ステンレス表面に抗菌性と防汚性を同時に付与することができる。
【選択図】図1

Description

発明は、表面に抗菌性だけでなく、その性能を維持しつつ防汚性を有するステンレスおよびその製造方法に関する。
従来、ステンレスの表面に抗菌性を持たせるのに、ステンレスに抗菌性の粒子を含有させ、それを表面に露出させる方法があった(例えば特許文献1参照)。
一方、ステンレスの表面に防汚性を持たせるのに、一般にシリコーン系やフッ素系のコーティングが用いられる。
特許第3398591号公報
そこで、この両方を持たせるために、例えばに抗菌性の粒子を含有させ、それを表面に露出させたステンレス表面に、シリコーン系やフッ素系のコーティングをした場合は、このコーティングが抗菌性の粒子を被覆するため、防汚性が付与されるものの、抗菌性が付与されないという課題があった。
上記課題を解決するために本発明の手段は、少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、前記粒子が島状に露出している表面において、その全表面上に少なくともシロキサン結合を含む膜が形成されたステンレスの構成とした。これによって、抗菌能を有する粒子が、シロキサン結合を有する膜を通して溶出することで、ステンレス表面に抗菌性と防汚性を同時に付与することができることを見出した。
本発明によって、ステンレス表面に抗菌性と防汚性を同時に付与することができる。
第1の発明は、少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、前記粒子が島状に露出している表面において、その全表面上に少なくともシロキサン結合を有する膜が形成されたステンレスである。この構成により、抗菌能を有する粒子が、シロキサン結合を有する膜を通して溶出することで、ステンレス表面に抗菌性と防汚性を同時に付与することができる。
第2の発明は、抗菌能を有する粒子が、Zn、Cu、Agの酸化物およびそれらの複合酸化物であることを特徴とする。この構成により、抗菌能を有する粒子上の安定なシロキサン結合を有する膜を形成でき、しかも、シロキサン結合を有する膜を通して溶出することができる。
第3の発明は、少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、前記粒子が島状に露出している表面において、その粒子が露出していない表面上にシロキサンを有する膜が形成されたステンレスである。この構成により、抗菌能を有する粒子が、シロキサン結合を有する膜には被覆されないので、容易に溶出でき、ステンレス表面に抗菌性と防汚性を同時に付与することができる。
第4の発明は、抗菌能を有する粒子が、Zn、Cu、Agであることを特徴とする請求項3記載のステンレスである。この構成により、抗菌能を有する粒子上にはシロキサン結合を有する膜が形成されないので、容易に溶出することができる。
第5の発明は、シロキサン結合を有する膜がフルオロアルキル基を有することを特徴とするステンレスである。この構成により、ステンレス表面の表面エネルギーが小さくなり、撥水、撥油表面になるため防汚性が向上する。
第6の発明は、シロキサン結合を有する膜が単分子膜であることを特徴とするステンレスである。この構成により、膜厚が分子レベルの超薄膜でかつ均一になるので、抗菌能を有する粒子がシロキサン結合を有する膜を通して安定かつばらつきなく溶出することができる。
第7の発明は、Zn、Cu、Agの合計の含有率が0.0001〜1wt%であることを特徴とするステンレスである。この構成により、ステンレスの耐食性またはその上のシロキサン結合の耐久性を維持しつつ、抗菌能を発揮することができる。
第8の発明は、少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、前記粒子が島状に露出している表面を有するステンレスを少なくともシラン化合物を含む溶液に浸漬する工程を有するステンレスの製造方法である。この方法によると容易に抗菌能を有する粒子が、シロキサン結合を有する膜を通して、あるいは直接溶出することで、表面に抗菌性と防汚性を同時に付与することができるステンレスを提供することができる。
第9の発明は少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、前記粒子が島状に露出している表面を有するステンレスを加熱する工程と少なくともシラン化合物を含む溶液に浸漬する工程を有するステンレスの製造方法である。ステンレスを加熱する工程により、ステンレスおよび、抗菌粒子上に酸化被膜が形成されるので、その上に形成されるシロキサン結合を有する膜との結合ポイントが増え、シロキサン結合を有する膜の耐久性を大幅に向上できる。
第10の発明は、少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、前記粒子が島状に露出している表面を有するステンレスを加熱する工程と、少なくとも酸を含む溶液で洗浄する工程と、少なくともシラン化合物を含む溶液に浸漬する工程とを有するステンレスの製造方法である。酸で洗うことにより、ステンレスを加熱する工程により形成された抗菌粒子上の酸化被膜のうち、耐食性が低下する鉄酸化皮膜が除去されるので、その上に形成されるシロキサン結合を有する膜の耐久性を大幅に向上できる。
第11の発明はシラン化合物がクロロシランであることを特徴とするステンレスの製造方法である。クロロシランを使うことにより、シラン化合物がステンレス表面上の表面水酸基と反応し、シラン化合物が強固に化学吸着し固定されるので、形成されるシロキサン結合を有する膜の耐久性を大幅に向上できる。
第12の発明はシラン化合物を含む溶液の溶媒が非水溶媒であることを特徴とするステンレスの製造方法である。非水溶媒を使用することにより、クロロシラン等のシラン化合物が水により加水分解することがないので、ステンレス表面上にシラン化合物が強固に化学吸着し固定されるので、形成されるシロキサン結合を有する膜の耐久性を大幅に向上できる。
第13発明はシラン化合物を含む溶液を浸漬する工程が湿度35%以下の無水雰囲気下であることを特徴とするステンレスの製造方法である。湿度を35%以下にすることにより、クロロシラン等のシラン化合物の溶液が吸湿により加水分解することがないので、ステンレス表面上にシラン化合物が強固に化学吸着し固定されるので、形成されるシロキサン結合を有する膜の耐久性を大幅に向上できる。
第14発明はシラン化合物を含む溶液を浸漬する工程の後に過剰な未反応のシラン化合物を洗浄する工程を含むことを特徴とするステンレスの製造方法である。未反応のシラン化合物を洗浄するにより、シロキサン結合を有する膜の膜厚が分子レベルの超薄膜でかつ均一になるので、抗菌能を有する粒子がシロキサン結合を有する膜を通して安定かつばらつきなく溶出することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の第1の発明におけるステンレス表面の模式図とその製造プロセスを示す。窒素雰囲気(無水)下で抗菌能を有する酸化銀粒子を含み、それが島状に露出している表面を有するステンレス1をプタデカフルオロデシルトリクロロシラン2を含む溶液3に浸漬し、浸漬後過剰なヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン2を溶媒4で洗浄し、通常雰囲気で乾燥することで、本発明のステンレス5が作製される。そしてこのステンレスは抗菌能を有する酸化銀粒子がヘプタデカフルオロデシル基を有しシロキサン結合を有する膜を通して溶出することで、ステンレス表面に酸化銀による抗菌性とヘプタデカフルオロデシル基による防汚性を同時に付与することができる。
図2は本発明の第3の発明におけるステンレス表面の模式図とその製造プロセスを示す。窒素雰囲気(無水)下で抗菌能を有する銀粒子を含み、それが島状に露出している表面を有するステンレス11を少なくともヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン12を含む溶液13に浸漬し、浸漬後過剰なヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン12を溶媒14で洗浄し、通常雰囲気で乾燥することで、本発明のステンレス15が作製される。そしてこのステンレスは抗菌能を有する銀粒子が、ヘプタデカフルオロデシル基を有しシロキサン結合を有する膜には被覆されないので、容易に溶出でき、ステンレス表面に銀による抗菌性とヘプタデカフルオロデシル基による防汚性を同時に付与することができる。
なお、本発明のシラン化合物としては、次のものが有効である。
(1)SiX4 (n=0に相当)
(2)SiX3−O−SiX3 (n=1に相当)
さらに具体的な化合物としては
(3)Si(OC254
(4)Si(OCH33−O−Si(OCH33
(5)Si(OC253−O−Si(OCH33
(6)Si(OC253−O−Si(OC253
(7)Si(NCO)4
(8)Si(NCO)3−O−Si(NCO)3
(9)SiCl4
(10)SiCl3−O−SiCl3
が挙げられる。
また、本発明で用いることができるシラン化合物としては、下記のものを例示することができる。
(11)SiYpCl4-p
(12)CH3(CH2sO(CH2)tSiYqCl3-q
(13)CH3(CH2u−Si(CH32(CH2v−SiYqCl3-q
(14)CF3COO(CH2wSiYqCl3-q
但し、pは1〜3の整数、qは0〜2の整数、rは1〜25の整数、sは0〜12の整数、tは1〜20の整数、uは0〜12の整数、vは1〜20の整数、wは1〜25の整数を示す。また、Yは、水素、アルキル基、アルコキシル基、含フッ素アルキル基または含フッ素アルコキシ基である。
さらに、具体的なシラン系化合物として下記に示す(15)−(21)が挙げられる。
(15)CH3CH2O(CH215SiCl3
(16)CH3(CH22Si(CH32(CH215SiCl3
(17)CH3(CH26Si(CH32(CH29SiCl3
(18)CH3COO(CH215SiCl3
(19)CF3(CF27−(CH22−SiCl3
(20)CF3(CF25−(CH22−SiCl3
(21)CF3(CF27−C64−SiCl3
また、上記クロロシラン系化合物の代わりに、全てのクロロシリル基をイソシアネート基に置き扱えたイソシアネート系化合物、例えば下記に示す(22)−(26)を用いてもよい。
(22)SiYp(NCO)4-p
(23)CH3−(CH2rSiYp(NCO)3-p
(24)CH3(CH2sO(CH2tSiYq(NCO)q-P
(25)CH3(CH2u−Si(CH32(CH2)v−SiYq(NCO)3-q
(26)CF3COO(CH2vSiYq(NCO)3-q
但し、p、q、r、s、t、u、v、wおよびXは、前記と同様である。
前記のシラン系化合物に変えて、下記(27)−(33)に具体的に例示するシラン系化合物を用いてもよい。
(27)CH3CH2O(CH215Si(NCO)3
(28)CH3(CH22Si(CH32(CH215Si(NCO)3
(29)CH3(CH26Si(CH32(CH29Si(NCO)3
(30)CH3COO(CH215Si(NCO)3
(31)CF3(CF27−(CH22-Si(NCO)3
(32)CF3(CF25−(CH22-Si(NCO)3
(33)CF3(CF27−C64−Si(NCO)3
また、シラン系化合物として、一般に、SiYk(OA)4-k(Yは、前記と同様、Aはアルキル基、kは0、1、2または3)で表される物質を用いることが可能である。中でも、CF3−(CF2n−(R)l−SiYq(OA)3-q(nは1以上の整数、好ましくは1〜22の整数、Rはアルキル基、ビニル基、エチニル基、アリール基、シリコンもしくは酸素原子を含む置換基、lは0または1、Y、Aおよびqは前記と同様)で表される物質を用いると、よりすぐれた防汚性の被膜を形成できるが、これに限定されるものではなく、これ以外にも、 CH3−(CH2)r−SiYq(OA)3-qおよびCH3−(CH2)s−0−(CH2)t−SiYq(OA)3-q、CH3−(CH2u−Si(CH32−(CH2v−SiYq(OA)3-q、CF3COO−(CH2v−SiYq(OA)3-q(但し、q、r、s、t、u、v、w、YおよびAは、前記と同様)などが使用可能である。
さらに、より具体的なシラン系化合物としては、下記に示す(34)−(57)を挙げることができる。
(34)CH3CH2O(CH215Si(OCH33
(35)CF3CH2O(CH215Si(OCH33
(36)CH3(CH22Si(CH32(CH215Si(OCH33
(37)CH3(CH26Si(CH32(CH29Si(OCH33
(38)CH3COO(CH215Si(OCH33
(39)CF3(CF25(CH22Si(OCH33
(40)CF3(CF27−C64−Si(OCH33
(41)CH3CH2O(CH215Si(OC253
(42)CH3(CH22Si(CH32(CH215Si(OC253
(43)CH3(CH26Si(CH32(CH29Si(OC253
(44)CF3(CH26Si(CH32(CH29Si(OC253
(45)CH3COO(CH215Si(OC253
(46)CF3COO(CH215Si(OC253
(47)CF3COO(CH215Si(OCH33
(48)CF3(CF29(CH22Si(OC253
(49)CF3(CF27(CH22Si(OC253
(50)CF3(CF25(CH22Si(OC253
(5l)CF3(CF2764Si(OC253
(52)CF3(CF29(CH22Si(OCH33
(53)CF3(CF25(CH22Si(OCH33
(54)CF3(CF27(CH22SiCH3(OC252
(55)CF3(CF27(CH22SiCH3(OCH32
(56)CF3(CF27(CH22Si(CH32OC25
(57)CF3(CF27(CH22Si(CH32OCH3
ここで(22)〜(57)の化合物を用いた場合には、塩酸が発生しないため、装置保全および作業上のメリットもある。また抗菌能を有する粒子の溶出のため、これらのうちアルキル鎖が1〜20までのもpのが望ましい。
なお、図1のシラン化合物を浸漬する工程に示す最初の反応ステップ(脱塩化水素反応)は、一般に化学吸着反応と呼ばれている。
次に、溶媒としては、活性水素を含まない非水系溶媒を用いるのが好ましく、水を含まない炭化水素系溶媒、フッ化炭素系溶媒、シリコーン系溶媒などを用いることが可能である。なお、石油系の溶剤の他に具体的に使用可能なものは、石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、灯油、リグロイン、ジメチルミリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエステルシリコーンなどを挙げることができる。また、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭ガラス社製品)などがある。なお、これらは1種単独で用いてもよいし、よく混合するものなら2種以上を組み合わせてもよい。
また、基材のステンレスの抗菌能を有する粒子として、本発明のAg、Cu、Znおよびその酸化物以外に、Co、Mo、Vおよびその酸化物が有効である。またそれらの含有率は防汚性重視の場合は0.0001〜0.5wt%未満、抗菌性重視の場合は0.5〜1wt%が望ましい。
また、ステンレスを加熱する工程の温度としては100〜150℃が望ましい。200℃以上になると、Feが表面に析出しステンレス耐食性、シロキサン結合を有する膜の耐久性が悪くなる。ただし、この状態でも酸、例えば塩酸、硫酸、硝酸などで洗浄するとよい。特に硝酸は強固な酸化皮膜を形成するので、ステンレス耐食性、シロキサン結合を有する膜の耐久性を向上する。
(実施例1)
窒素雰囲気(無水)下で少なくとも抗菌能を有する0.05wt%酸化銀粒子を含み、それが島状に露出している表面を有するフェライト系ステンレス(SUS430系)をヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランと溶媒ヘキサメチルシロキサン溶媒を含む溶液に浸漬し、通常雰囲気で乾燥することで、本発明のステンレスAを作製した。
(実施例2)
窒素雰囲気(無水)下で少なくとも抗菌能を有する0.05wt%酸化銀粒子を含み、それが島状に露出している表面を有するフェライト系ステンレス(SUS430系)をヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランと溶媒ヘキサメチルシロキサン溶媒を含む溶液に浸漬し、浸漬後過剰なヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランを溶媒で洗浄し、通常雰囲気で乾燥することで、本発明のステンレスBを作製した。
(実施例3)
窒素雰囲気(無水)下で少なくとも抗菌能を有する0.05wt%銀粒子を含み、それが島状に露出している表面を有するフェライト系ステンレス(SUS430系)をヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランと溶媒ヘキサメチルシロキサン溶媒を含む溶液に浸漬し、浸漬後過剰なヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランを溶媒で洗浄し、通常雰囲気で乾燥することで、本発明のステンレスCを作製した。
(実施例4)
窒素雰囲気(無水)下で少なくとも抗菌能を有する0.1wt%酸化銀粒子を含み、それが島状に露出している表面を有するフェライト系ステンレス(SUS430系)をヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランと溶媒ヘキサメチルシロキサン溶媒を含む溶液に浸漬し、浸漬後過剰なヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランを溶媒で洗浄し、通常雰囲気で乾燥することで、本発明のステンレスDを作製した。
(実施例5)
窒素雰囲気(無水)下で少なくとも抗菌能を有する0.05wt%酸化銀粒子を含み、それが島状に露出している表面を有するフェライト系ステンレス(SUS430系)を空気中で150℃1時間熱処理した後、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランと溶媒ヘキサメチルシロキサン溶媒を含む溶液に浸漬し、浸漬後過剰なヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランを溶媒で洗浄し、通常雰囲気で乾燥することで、本発明のステンレスEを作製した。
(実施例6)
窒素雰囲気(無水)下で少なくとも抗菌能を有する0.05wt%酸化銀粒子を含み、それが島状に露出している表面を有するフェライト系ステンレス(SUS430系)を空気中で150℃1時間熱処理した後、1N硝酸に30分浸漬後、乾燥し、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランと溶媒ヘキサメチルシロキサン溶媒を含む溶液に浸漬し、浸漬後過剰なヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランを溶媒で洗浄し、通常雰囲気で乾燥することで、本発明のステンレスFを作製した。
(比較例1)なにも処理しない抗菌能を有する0.05wt%酸化銀粒子を含み、それが島状に露出している表面を有するフェライト系ステンレス(SUS430系)R1を作製した。
(比較例2)窒素雰囲気(無水)下でフェライト系ステンレス(SUS430系)をヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランと溶媒ヘキサメチルシロキサン溶媒を含む溶液に浸漬し、浸漬後過剰なヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランを溶媒で洗浄し、通常雰囲気で乾燥することで、ステンレスR2を作製した。
(本発明と比較例の抗菌性評価と、撥水性の耐久性評価)
本発明と比較例のステンレスを以下に示すJISに準拠したフィルム評価法で抗菌性評価を行った。
(1)25cm3 のステンレスを99.5%以上含有のエタノールを染みこませた脱脂綿で洗浄・脱脂する。
(2)大腸菌を1/500 普通ブイオン溶液に分散する。(菌の個数は2.0×105 〜1.0×106 cfu/ml に調整した。1/500 普通ブイオン溶液とは普通ブイオン培地を滅菌精製水で500倍に希釈したものである。普通ブイオン培地とは、肉エキス5.0g、塩化ナトリウム5.0g、ペプトン10.0g、精製水1000mL、pH:7.0±0.2のものをいう。)
(3) 菌液を0.5mL/25cm3 の割合でステンレス上(各水準3個)に塗布する。
(4) ステンレス表面に被覆フィルムを被せる。
(5) 試験体の温度を35±1.0℃、湿度を90%RHの条件下で24時間保存する。
(6) 寒天培養法(35±1.0℃ 40〜48時間)により生菌数を測定する。
(7) 滅菌率を算出する。滅菌率=(リファレンスの菌数−試験後の菌数)/(リファレンスの菌数)×100 なお、リファレンスの菌数とは、滅菌シャーレ上にて上記試験を行ったものの生菌数であり、9.30×107 であった。
また、防汚性の評価は水の接触角で行った。
これらの耐久性を評価するのに、ステンレスを沸騰水中で100時間放置し、そのときの抗菌性および接触角の評価を行った。
以上の結果を(表1)に示す。
Figure 2005146325
以上の結果から、比較例と比較して、本発明のステンレスは高い抗菌性し、また優れた防汚性能を有することがわかった。特に、ステンレスCは銀粒子上に単分子膜がないので銀粒子が流出しやすいこと、またステンレスDが酸化銀上の含有が高いことで、より高い抗菌性を示す。次に耐久性加熱処理をしたステンレスEもしくはFが優れていることがわかる。
本発明にかかるステンレスとその製造方法は、ステンレス表面に抗菌性と防汚性を同時に付与することが可能になるので、キッチンの流しや浴槽、トイレ、洗濯機、食器洗い機、調理器等の衛生、防汚回りの商品に適用できる。
本発明の第1の発明におけるステンレスの表面状態を示す模式図とその製造工程を示す図 本発明の第3の発明におけるステンレスの表面状態を示す模式図とその製造工程を示す図
符号の説明
1 抗菌能を有するステンレス
2 ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン
3 ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン溶液
4 溶媒
5 本発明の第1発明のステンレス
11 抗菌能を有するステンレス
12 ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン
13 ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン溶液
14 溶媒
15 本発明の第3発明のステンレス

Claims (14)

  1. 少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、前記粒子が島状に露出している表面において、その全表面上に少なくともシロキサン結合を有する膜が形成されたステンレス。
  2. 抗菌能を有する粒子が、Zn、Cu、Agの酸化物およびそれらの複合酸化物であることを特徴とする請求項1記載のステンレス。
  3. 少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、前記粒子が島状に露出している表面において、その粒子が露出していない表面上にシロキサンを有する膜が形成されたステンレス。
  4. 抗菌能を有する粒子が、Zn、Cu、Agであることを特徴とする請求項3記載のステンレス。
  5. シロキサン結合を有する膜がフルオロアルキル基を有することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のステンレス。
  6. シロキサン結合を有する膜が単分子膜であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載のステンレス。
  7. Zn、Cu、Agの合計の含有率が0.0001〜1wt%であることを特徴とする請求項2または4記載のステンレス。
  8. 少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、前記粒子が島状に露出している表面を有するステンレスを少なくともシラン化合物を含む溶液に浸漬する工程を有するステンレスの製造方法。
  9. 少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、前記粒子が島状に露出している表面を有するステンレスを加熱する工程と少なくともシラン化合物を含む溶液に浸漬する工程を有するステンレスの製造方法。
  10. 少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、前記粒子が島状に露出している表面を有するステンレスを加熱する工程と、少なくとも酸を含む溶液で洗浄する工程と、少なくともシラン化合物を含む溶液に浸漬する工程とを有するステンレスの製造方法。
  11. シラン化合物がクロロシランであることを特徴とする請求項8〜10いずれか1項に記載のステンレスの製造方法。
  12. シラン化合物を含む溶液の溶媒が非水溶媒であることを特徴とする請求項11記載のステンレスの製造方法。
  13. シラン化合物を含む溶液を浸漬する工程が湿度35%以下の無水雰囲気下であることを特徴とする請求項8〜12いずれか1項に記載のステンレスの製造方法。
  14. シラン化合物を含む溶液を浸漬する工程の後に過剰な未反応のシラン化合物を洗浄する工程を含むことを特徴とする請求項8〜13いずれか1項に記載のステンレスの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20150315388A1 (en) * 2012-11-30 2015-11-05 Samsung Electronics Co., Ltd. Multifunctional coating structure and method for forming the same

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