JP2005146301A - 成形性に優れた高強度熱延鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 強度、延性および加工硬化特性のバランスに優れた高強度熱延鋼板を提供する。
【解決手段】 質量%で(成分について以下同じ)、C:0.06〜0.23%、Si:0.5〜2.5%、Mn:0.5〜2.5%を満たすと共に、Nb:0.03〜0.10%および/またはMo:0.1〜1.0%を含み、残部鉄および不可避不純物であり、金属組織において面積率で(金属組織について以下同じ)、残留オーステナイトが5〜20%、ポリゴナルフェライトが20%以上、ベイニティック・フェライトが30%以上であり、かつ該ポリゴナルフェライトとベイニティック・フェライトの合計面積率が60%以上であることを特徴とする高強度熱延鋼板。

Description

本発明は、成形性に優れた高強度熱延鋼板に関するものであり、詳細には、引張強度[TS(MPa)]×全伸び[El(%)]×加工硬化指数[n値]が5000以上と、強度、延性および加工硬化特性(n値)のバランスに優れた高強度複合組織鋼板に関するものである。
自動車鋼板の軽量化に伴う燃費の軽減を図り、衝突時の安全性を確保することを主な背景として高強度鋼板の需要は増大しており、最近では、地球環境保全の観点からも益々その需要が高まっている。
しかしながら、高強度鋼板といえども成形性に対する要求は強く、部品形状に応じて良好に成形できることが望まれている。特に自動車部品の製造においては、複雑形状のプレス加工が施される場合が多く、様々な加工特性に優れた高強度鋼板の実現が切望されている。
この様なニーズを受けて開発された高強度鋼板として、組織中に残留オーステナイト(γR)を生成させ、加工変形中にγRが誘起変態(歪み誘起変態:TRIP)して延性を向上させる鋼板(所謂TRIP鋼板)が知られている。例えば特許文献1には、フェライト、ベイナイト、γRの3相で構成され、且つ、フェライト占有率とフェライト粒径の比、及びγRの占有率を所定範囲に制御することで、上記作用効果を効率良く発揮できた旨開示されている。
本発明者らも、鋼板の金属組織を、残留オーステナイト:体積率で10%以上20%未満、焼き戻しマルテンサイトおよび焼き戻しベイナイト:体積率で30%以上とすることによって、局部延性と強度のバランスに優れたTRIP鋼板を実現している(例えば特許文献2)。また特許文献3では、鋼板の金属組織として、焼戻ベイナイトを占積率で15%以上とフェライトを含有し、第2相組織として残留オーステナイトを占積率で3〜30%とし、かつ残留オーステナイト中のC濃度を規定することで、伸びフランジ性および全伸びの両特性に優れた高強度鋼板を実現している。
しかし近年では、強度−延性バランスに優れるとともに、加工特性として張り出し成形性にも優れた高強度鋼板が切望されている。この張り出し成形性は、一般に鋼板の加工硬化指数(n値)が高いほど優れる傾向にあることから(以下、この様に「加工硬化指数が高く良好な張り出し成形性を期待できる」ことを「加工硬化特性に優れる」ということがある)、優れた張り出し成形性を付与するには、鋼板のn値向上を図ればよい。
これまでに、強度−延性バランスに優れたTRIP鋼において、n値の向上を図ったものとして、鋼板の加工硬化指数が0.13以上で該加工硬化指数×降伏強さが70以上の耐衝突安全性を高めた自動車用鋼板が、特許文献4に提案されている。しかし、加工硬化指数が安定して高く、確実に優れた張り出し成形性を発揮する鋼板を得るには更なる検討を要すると考えられる。
特開平2−97620号公報 特開2003−138345号公報 特開2003−171736号公報 特開平11−61326号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、強度、延性および加工硬化特性のバランスに優れた高強度熱延鋼板を提供することにある。
上記課題を解決し得た本発明の高強度熱延鋼板とは、質量%で(成分について以下同じ)、C:0.06〜0.23%、Si:0.5〜2.5%、Mn:0.5〜2.5%を満たすとともに、Nb:0.03〜0.10%および/またはMo:0.1〜1.0%を含み、残部鉄および不可避不純物であり、金属組織において面積率で(金属組織について以下同じ)、残留オーステナイトが5〜20%、ポリゴナルフェライトが20%以上(好ましくは60%以下)、ベイニティック・フェライトが30%以上(好ましくは60%以下)であり、かつ該ポリゴナルフェライトとベイニティック・フェライトの合計面積率が60%以上(好ましくは90%以下)であるところに特徴がある。また、本発明の高強度複合組織鋼板は、倍率10000倍以上で観察した場合に、前記ポリゴナルフェライト中または前記ポリゴナルフェライトとベイニティック・フェライト中に、Nbおよび/またはMoの化合物が析出していることを確認できるものでもある。
本発明の鋼板は、強度−伸びバランスに優れるとともに加工硬化特性にも優れているので、高強度を有する自動車部品、その他の産業機械部品等を製造する際に、張り出し成形等を含む成形加工を良好に行うことができる。
本発明者らは、高い伸びを達成できるとともに加工硬化特性にも優れた高強度鋼板を提供すべく鋭意検討してきた。その結果、鋼板の金属組織を、ポリゴナルフェライト、ベイニティック・フェライトおよび残留オーステナイト(以下、「γR」と表すことがある)の3相を主体とし、これらの面積率を規定すると共に、特にNbおよび/またはMoを含有させればよいことを見出し本発明に想到した。
この様な構成とすることで、強度、延性および加工硬化特性の全てをバランス良く高めることができた理由について未だ明らかではないが次の様に推定される。従来のポリゴナルフェライト、ベイニティック・フェライトおよび残留オーステナイトからなる鋼板の場合、各組織の強度は、ポリゴナルフェライト、ベイニティック・フェライト、γRの順に高く、この様な鋼板に応力を加えると、微視的に最も軟質なフェライトから変形し始め、ポリゴナルフェライトよりも硬質のベイニティック・フェライトや該ベイニティック・フェライトに包囲されたγRも、変態初期にポリゴナルフェライトの変形に伴い変態(TRIP)し易い。
これに対し本発明鋼板は、各組織の強度が、ベイニティック・フェライト、ポリゴナルフェライト、γRの順に高くなっていると思われる。この様にベイニティック・フェライトよりポリゴナルフェライトの方が高強度であると判断したのは、次の様な根拠による。即ち、後述する図1(顕微鏡写真)で確認できる通り、ポリゴナルフェライト中にはNbC等の化合物が多く析出しているが、ベイニティック・フェライトには該化合物がほとんど析出していないことから、熱間圧延後の冷却過程で、初期に生成したポリゴナルフェライト中にNbC等の化合物が多く析出し、後から析出したベイニティック・フェライトには該化合物がほとんど析出せず、析出強化が少ないためと考えられる。
この様な金属組織の鋼板に応力を加えると、塑性変形が段階的に進行するため、均一伸びが大きくなりn値が高まると推定される。即ち、本発明鋼板に応力を加えると、ベイニティック・フェライトの降伏から始まり、続けてポリゴナルフェライトの降伏が起こり、均一変形の後半に軟質のベイニティック・フェライトに包囲されたγRが誘起変態するため、均一伸びが大きくなりn値が高まると考えられる。
本発明者らは、この様な作用効果を有効に発現させるべく、ベイニティック・フェライト、ポリゴナルフェライトおよび残留オーステナイトの各組織量についても検討した。以下、金属組織の面積率等を規定した理由について詳述する。
γ R (残留オーステナイト):5〜20%
γRは全伸びの向上に有用であり、この様な作用を有効に発揮させるには、全組織に対して面積率で5%以上(好ましくは8%以上)存在することが必要である。一方、多量に存在すると局部変形能や伸びフランジ性が劣化するので、上限を20%に定めた。より好ましくは17%以下である。
更に上記γR中のC濃度(CγR)は0.8%以上であることが推奨される。このCγRは、TRIP(歪誘起変態加工)の特性に大きく影響し、0.8%以上に制御すると、特に、伸び等の向上に有効である。好ましくは1%以上、より好ましくは1.2%以上である。尚、上記CγRの含有量は多い程好ましいが、実操業上、調整可能な上限は概ね1.6%と考えられる。
ポリゴナルフェライト+ベイニティック・フェライト:合計で60%以上
本発明では、上記作用効果を十分に発揮させるべくポリゴナルフェライトとベイニティック・フェライトを合計で60%以上とする。好ましくは70%以上であるが、該面積率は、所望の特性を発揮し得るよう90%以下の範囲内で、γRとのバランスにより(γRを15%以上とする場合には85%以下とするなど)適切に制御することが推奨される。
ポリゴナルフェライト:20%以上
本発明では、上述の通りポリゴナルフェライト中にNbおよび/またはMoの化合物を析出させることによって、ベイニティック・フェライトよりも高強度のフェライトを形成することができ、上記作用効果に寄与すると考えられる。尚、上記化合物は、結晶粒内と粒界のどちらにも析出し得るが、強度向上に寄与するのは結晶粒内への析出である。また上記化合物としては、Nbおよび/またはMoの炭化物が析出していればよい。図1は、ポリゴナルフェライト中に上記化合物が析出していることを示すTEM観察写真であり、(a)ではNb炭化物が析出し、(b)ではNbとMoの炭化物が析出している。
この様な効果を十分に発現させるには、ポリゴナルフェライトを20%以上存在させる必要がある。好ましくは30%以上である。但し、全組織に占めるポリゴナルフェライトが多過ぎると、相対的にベイニティック・フェライトが減少し、高い加工硬化特性が得られ難くなるので、その上限を60%とすることが推奨される。より好ましくは50%以下である。
ベイニティック・フェライト:30%以上
本発明では、γRが、ポリゴナルフェライトより後に析出するベイニティック・フェライトで包含された組織とすることで、均一変形の後半に誘起変態を生じさせることができ、n値の向上を達成できると考えられる。この様な効果を十分に発揮させるには、ベイニティック・フェライトを全組織に対して30%以上、好ましくは35%以上存在させるのがよい。但し、ベイニティック・フェライトの面積率が過剰となっても相対的にポリゴナルフェライトが減少し、高い加工硬化特性が得られ難くなるので、60%以下(より好ましくは55%以下)に抑えるのが好ましい。
Nb:0.03〜0.10%および/またはMo:0.1〜1.0%
上述の通りフェライト中にNbおよび/またはMoの化合物を析出させて、硬質のフェライトを実現させるべく、本発明ではこれらの元素を適量存在させる必要がある。詳細にはNbを0.03%以上、好ましくは0.04%以上含有させるのがよい。しかしNb含有量が過剰になると、必要以上に硬度が増し、延性等の劣化を招くため、0.10%以下に抑える必要があり、好ましくは0.08%以下である。またMoを添加させる場合には0.1%以上、好ましくは0.15%以上含有させればよいが、Mo含有量が過剰の場合も、硬度が上昇して意図するレベルの延性を確保できなくなるので、Moを含有させる場合には1.0%以下に抑えるのがよく、好ましくは0.8%以下である。
以下、その他の成分を規定した理由を述べる。
C:0.06〜0.23%
Cは、鋼板の強度及びγRを確保するのに必須の元素である。0.06%未満では、熱延鋼板を巻取りした後、各鋼板中に存在するγRが極めて少なくなり、γRによる所望のTRIP効果が充分得られない。好ましくは0.08%以上、より好ましくは0.10%以上である。但し、C含有量が過剰になると、溶接性などの特性が劣化するため0.23%以下、好ましくは0.20%以下、より好ましくは0.15%以下に抑える。
Si:0.5〜2.5%
Siは、γRの生成に寄与する元素である。0.5%未満では所定のγRが得られず、γRによるTRIP効果が充分得られない。好ましくは1.0%以上、より好ましくは1.2%以上である。但し、2.5%を超えて添加すると、割れが生じる恐れがあり加工性が劣化する。好ましくは2%以下、より好ましくは1.8%以下である。
Mn:0.5〜2.5%
MnはSiと同様、γRの生成に寄与する元素である。この様な作用を有効に発揮させるには、0.5%以上含有させるのがよい。好ましくは1.0%以上、より好ましくは1.5%以上である。但し、Mnを過剰に含有させると、熱間圧延時の荷重が高くなり、生産性が著しく悪くなるため、2.5%以下に抑える。好ましくは2.2%以下である。
本発明で規定する含有元素は上記の通りであり、残部成分は実質的にFeであるが、鋼中に、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる不可避不純物として、P(りん)が0.02%以下、S(硫黄)が0.01%以下、Alが0.05%以下、N(窒素)が0.008%以下等の範囲で含まれることが許容されるのは勿論のこと、前記本発明の作用に悪影響を与えない範囲で、下記の如く、更に他の元素を積極的に含有させることも可能である。
Ni:2%以下(0%を含まない)及び/又はCu:2%以下(0%を含まない)
これらの元素は共にオーステナイト安定化元素であり、γRの生成に寄与する。この様な作用を有効に発揮させるには、Ni:0.1%以上(より好ましくは0.3%以上)、Cu:0.1%以上(より好ましくは0.3%以上)添加することが好ましい。但し、過剰に添加すると割れが発生する恐れがある為、その上限を、Ni:2%(より好ましくは1%)、Cu:2%(より好ましくは1%)とすることが推奨される。上記元素は単独で添加しても良いし、併用しても構わない。
Cr:1.0%以下(0%を含まない)
Crは強度向上に寄与する元素であり、この様な作用を有効に発揮させるには、Crを0.1%以上(より好ましくは0.2%以上)添加することが好ましい。但し、Crを過剰に添加すると炭化物を生成し、γRの生成が低下するので、Cr含有量は1.0%以下(より好ましくは0.5%以下)とするのがよい。
Tiおよび/またはV:合計で0.1%以下
TiやVは析出強化作用を発揮する元素である。この様な作用を有効に発揮させるには、上記元素の少なくとも一種を、合計で0.01%以上(より好ましくは0.05%以上)添加することが推奨される。但し、上記元素の合計量が0.1%を超えると炭化物が生成して所望のγR量が得られない。より好ましくは合計で0.08%以下である。
本発明は、上記鋼板の製造方法まで限定するものでもなく、通常行われている通り、溶製後に鋳造し、後述する実施例に例示する通り、1050℃以上1250℃以下の温度で10〜60分間加熱した後、熱間圧延を行えばよいが、上記金属組織を実現させて、本発明で意図する強度、延性(全伸び)および加工硬化特性のバランスに優れた鋼板を効率良く得るには、特に、熱間圧延後の冷却と巻き取りを下記条件で行えばよい。
即ち、熱間圧延時に800℃以上で仕上圧延を行った後、50℃/s以上で700〜750℃の温度域まで急冷(例えば水冷)し、その後、該温度域で5秒間以上(好ましくは10秒間以上)放置(空冷)する。該温度域で放置することによって、規定量のフェライトを確保することができ、かつNbおよび/またはMoの化合物の該フェライト中への析出を促進させることができる。
上記放置時間は長すぎるとポリゴナルフェライトが過剰となるため、45秒以下(好ましくは30秒以下)とする。
その後、巻取温度域まで再度50℃/s以上で冷却してから巻き取るのがよい。
巻き取りは、300〜550℃で行えばよく、引張強度、延性および加工硬化特性の各特性を高めるには、下記図2〜6に示す検討結果に基づいて巻取温度を調整すればよい。
図2は、巻取温度とTS(引張強度)の関係を鋼種別に示したものであるが、この図2から、780MPa以上の強度を確保するには、規定量のNbおよび/またはMoを含む鋼材を550℃以下で巻き取ればよいことがわかる。
図3は、巻取温度とEl(全伸び)の関係を鋼種別に示したものである。20%以上の優れた伸び(全伸び)を確保するには、規定量のNbおよび/またはMoを含む鋼材を350℃以上で巻き取るのが好ましいことがわかる。図4は、巻取温度と均一伸び(U−El)の関係を示したグラフであるが、優れた均一伸びを確保する観点からは、350℃以上450℃以下で巻き取るのがよいことがわかる。
図5は、巻取温度と[TS(引張強度)×El(全伸び)]との関係を示したグラフであるが、この図5から、TS×Elが16000以上と強度−延性バランスに優れた鋼材を得るには、規定量のNbおよび/またはMoを含む鋼材を300℃以上550℃以下の範囲で巻き取るのがよいことがわかる。TS×Elの値が20000以上と強度−延性バランスのより優れた鋼材を得るには、Nbを規定量含む鋼材を、350℃以上450℃以下で巻き取ることが好ましく、最も好ましくは約400℃で巻き取ればよい。
図6は、巻取温度とn値の関係を示したグラフであるが、このグラフからn値:0.15以上を達成するには、規定量のNbを含む鋼材を300℃以上550℃以下の範囲で巻き取るか、規定量のMoを含む鋼材を約400〜500℃で巻き取ればよいことがわかる。特にn値が0.2以上と加工硬化特性の非常に優れた鋼板を得るには、規定量のNbを含む鋼材を約400〜450℃で巻き取ればよいことがわかる。巻取は、成分組成に応じて10分間〜1時間で行えばよく、巻取後の冷却方法も特に限定されないが、通常は空冷等の徐冷が行われる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例
表1に記載の成分組成からなる供試鋼(表中の単位は質量%)を真空溶製し、実験用スラブとした後に、熱間圧延を行い、その後に冷却して巻き取った。
具体的には、図7に示す通り、各スラブを1200℃で30分間加熱した後、熱延時の仕上温度(FDT):850℃の条件で熱間圧延した。熱間圧延後は、約750℃まで水冷した後、水冷を停止して10秒間放置(空冷)し、その後に再度400℃まで水冷を行い、約400℃にて10分間で巻き取った後、空冷して板厚約3.0mmの鋼板を得た。そして、この3.0mmの鋼板の表裏面を各々0.5mm研削して2.0mmの鋼板を供試板とした。
この様にして得られた各鋼板につき、引張強度(TS)、伸び[全伸びのこと(EI)]、及び加工硬化指数(n)の測定と、金属組織の観察を下記要領で行った。
まず、JIS5号試験片を用いて引張試験を行い、引張強度(TS)、伸び(EI)及び加工硬化指数(n)を測定した。尚、引張試験の歪速度は10mm/secとし、加工硬化指数としては、ひずみ量が5〜10%のときのn値を求めた。本発明では、強度[TS(MPa)]×伸び[El(%)]×加工硬化特性[n値]が5000以上である鋼板を「本発明例」と評価した。
鋼板の金属組織については、鋼板をナイタールで腐食し、SEM(倍率:1000倍または2000倍)観察によりポリゴナルフェライト、ベイニティック・フェライトおよび残留オーステナイトを下記の通り区別して面積率を求めた。
・ポリゴナルフェライト(PF):SEM写真において黒色であり、多角形の形状で、内部に第2相(残留γやマルテンサイト)を含まない。
・ベイニティック・フェライト(BF):SEM写真において、第2相(残留γやマルテンサイト)を含むベイナイト組織から該第2相を差し引いて求めた。SEM写真では濃灰色を示し、ベイニティック・フェライトと上記第2相を分離区別できない場合も多い。この様な場合には、ベイナイト組織(ベイニティック・フェライト+残留γと仮定)から、後述する飽和磁化法による残留γを差し引いた値を、ベイニティック・フェライトの面積率とした。
・残留γ(γR):飽和磁化測定(R&D 神戸製鋼技報 Vol.52,No.3を参照)で面積率を測定した。
これらの結果を表2に示す。尚、表2において、実施例で金属組織の合計%が100とならないのは、マルテンサイトが存在するためである(上記第2相から、上記飽和磁化法による残留γ量を差し引いた値がマルテンサイト量に相当する)。
表1および表2より、以下の様に考察することができる。表2におけるNo.2,5,6,8,9(実施例No.を示す。以下同じ)は、本発明の要件を満たすものであり、強度、延性および加工硬化特性(n値)のバランスに優れた高強度鋼板が得られていることがわかる。即ち、いずれも強度が780MPa以上であり、かつ(TS×El×n)の値が5000以上を達成している。
これに対し、No.1,3,4,7,10〜13は、本発明で規定する要件のいずれかを欠くものであり、上記3特性のバランスが好ましくない。No.1は、ベイニティック・フェライトと残留オーステナイトがどちらも不足しているため上記バランスの悪いものとなった。No.3は、Nb、Moを添加していないため、またNo.4は、Nb、Moを含んでいるが、その含有量が不足しているため上記特性バランスの悪いものとなった。No.7は、残留オーステナイトが不足しているため、全伸びが小さく上記3特性のバランスが好ましくないものとなった。No.10は、C量が過剰であるため、残留γ量が上限を外れており、伸び特性に優れないものとなった。
No.11〜13は、好ましい条件で製造しなかったため、意図する組織が得られず、優れた特性が得られなかった。即ち、No.11は、700℃で放置(空冷)しなかったため、ポリゴナルフェライトが少なく、上記3特性のバランスが好ましくないものとなった。No.12は、700℃での空冷を長時間(60秒間)行ったため、ポリゴナルフェライトが過剰となり十分なベイニティック・フェライトが得られず、上記3特性のバランスの好ましくないものとなった。
No.13は、巻取温度が高すぎたため、ベイニティック・フェライトや残留γを確保できず、上記3特性の著しく劣るものとなった。
尚、上記No.3〜6の鋼板のSEM写真をそれぞれ図8〜11に示す。これらの顕微鏡写真から、No.3(図8)とNo.4(図9)では、黒色部分と白色部分が明確に分かれており、濃灰色のベイニティック・フェライトがあまり存在していないことがわかる。これに対し、No.5(図10)とNo.6(図11)は、濃灰色部分が多く、規定量のベイニティック・フェライトが確保されていることがわかる。
ポリゴナルフェライト中に上記化合物が析出していることを示すTEM観察写真である。 巻取温度とTS(引張強度)の関係を鋼種別に示したグラフである。 巻取温度とEl(全伸び)の関係を鋼種別に示したグラフである。 巻取温度とU−El(均一伸び)の関係を鋼種別に示したグラフである。 巻取温度とTS×Elの関係を鋼種別に示したグラフである。 巻取温度とn値の関係を鋼種別に示したグラフである。 実施例における製造工程(一部)を示す図である。 実施例におけるNo.3のSEM観察写真である。 実施例におけるNo.4のSEM観察写真である。 実施例におけるNo.5のSEM観察写真である。 実施例におけるNo.6のSEM観察写真である。

Claims (3)

  1. 質量%で(成分について以下同じ)、
    C :0.06〜0.23%、
    Si:0.5〜2.5%、
    Mn:0.5〜2.5%
    を満たすとともに、
    Nb:0.03〜0.10%、および/または
    Mo:0.1〜1.0%
    を含み、残部鉄および不可避不純物であり、
    金属組織において面積率で(金属組織について以下同じ)、
    残留オーステナイトが5〜20%、
    ポリゴナルフェライトが20%以上、
    ベイニティック・フェライトが30%以上であり、かつ
    該フェライトとベイニティック・フェライトの合計面積率が60%以上
    であることを特徴とする成形性に優れた高強度熱延鋼板。
  2. 前記ポリゴナルフェライト中または前記ポリゴナルフェライトとベイニティック・フェライト中に、Nbおよび/またはMoの化合物が析出している請求項1に記載の高強度熱延鋼板。
  3. 前記ポリゴナルフェライトが60%以下、前記ベイニティック・フェライトが60%以下で、前記フェライトとベイニティック・フェライトの合計面積率が90%以下である請求項1または2に記載の高強度熱延鋼板。
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