JP2005146009A - 誘電性樹脂組成物及び電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 比誘電率及び誘電正接などの誘電特性を良好に維持しながら、機械的強度が高く、成形加工性に優れ、小型化及び軽量化することができる誘電性樹脂組成物及び電子部品を得る。
【解決手段】 メジアン径10μm以上の、酸化チタン、チタン酸金属塩、ニオブ酸金属塩、タンタル酸金属塩、ジルコン酸金属塩等の粒状の無機充填材を、好ましくは10〜95重量%となるように合成樹脂マトリックス中に含有させたことを特徴とする誘電性樹脂組成物及び電子部品。
【選択図】 図1
【解決手段】 メジアン径10μm以上の、酸化チタン、チタン酸金属塩、ニオブ酸金属塩、タンタル酸金属塩、ジルコン酸金属塩等の粒状の無機充填材を、好ましくは10〜95重量%となるように合成樹脂マトリックス中に含有させたことを特徴とする誘電性樹脂組成物及び電子部品。
【選択図】 図1
Description
本発明は、誘電性樹脂組成物及び電子部品に関する。詳しくは、高周波帯域で高比誘電率と低誘電正接を有し、かつ、機械的強度が高く、成形加工性の優れた誘電性樹脂組成物及び電子部品に関する。
最近における、携帯電話、コードレスホン、自動車電話等の移動体通信機の目覚しい普及、衛星通信機の著しい発達等に伴い、通信信号の周波数の高周波化及び通信機の一層の小型化が望まれている。
ところで、信号の高周波化及び通信機の小型化には、通信機内部に組み込まれたアンテナ基板の比誘電率(εr)と誘電正接(tanδ)という2種の誘電特性が大きく関与する。比誘電率とは誘電体内の分極の程度を示すパラメーターであり、アンテナ基板の比誘電率が高い程、該基板上に形成された回路を伝播する信号の波長が短縮する。従って、該基板の比誘電率を高く設定できれば、回路の短縮化及び小型化を図ることができる。誘電正接とは、誘電体内を伝播する信号が熱に変換されて失われる量を示すパラメーターであり、これが低い程信号の損失が少ない。
合成樹脂は、その易成形性により、家電等の一般的な電子電気機器の部品材料として使用されている。この樹脂に誘電性を付与する目的で、誘電性無機充填材が使用されている(特許文献1など)。しかし、従来の誘電性無機充填材は、樹脂への添加量を増加させれば高比誘電率を得ることができるが、添加量が多くなり、誘電体全体の重量が増加する。また、従来の充填材を添加した樹脂組成物は、成形加工性、機械的強度の点で問題がある。
特開平8−41247号公報
本発明の目的は、比誘電率及び誘電正接などの誘電特性を良好に維持しながら、機械的強度が高く、成形加工性に優れ、小型化及び軽量化することができる誘電性樹脂組成物及び電子部品を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、無機充填材として、特定の寸法を有する粒状物を合成樹脂マトリックスに配合し成形することにより、比誘電率及び誘電正接などの誘電特性を良好に維持しながら、機械的強度が高く、成形加工性に優れ、かつ小型化及び軽量化することができる誘電性樹脂組成物及び電子部品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、合成樹脂マトリックス中に、メジアン径10μm以上の粒状無機充填材を含有させたことを特徴とする誘電性樹脂組成物である。
本発明においては、メジアン径10μm以上の粒状無機充填材を用いているので、比誘電率が高くかつ誘電正接が低いという良好な誘電特性を得ることができる。また、成形加工性に優れ、機械的強度が高い誘電性樹脂組成物とすることができる。良好な誘電特性を有しているので、小型化することができ、また配合する粒状無機充填材の量を少なくしても、高い比誘電率を得ることができるので、軽量化することができる。
本発明の電子部品は、上記本発明の誘電性樹脂組成物を成形してなることを特徴としている。本発明の電子部品としては、例えば、アンテナ、コネクター、コンデンサー、センサーなどが挙げられる。
本発明の誘電性樹脂組成物及び電子部品は、比誘電率が高くかつ誘電正接が低いという良好な誘電特性を有し、成形加工性に優れ、機械的強度が高く、小型化、軽量化することができる。
本発明の誘電性樹脂組成物及び電子部品は、高周波帯域での信号の伝達効率が良い。
本発明の誘電性樹脂組成物及び電子部品は、特定の寸法を有する粒状無機充填材の配合量に応じて誘電特性が相関的に変化するので、配合量を調整することにより容易に比誘電率を設定することができる。
本発明の誘電性樹脂組成物及び電子部品は、特定の寸法を有する粒状無機充填材の配合量が少なくても高比誘電率を得ることができるため、小型化及び軽量化を図ることができる。
本発明において、マトリックスとなる合成樹脂としては特に制限されず、公知のものを使用できる。具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリオレフィン、5−メチルペンテン樹脂、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、変性ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ABS樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、アイオノマー樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエステル、芳香族ポリエステル、液晶ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、熱溶融性フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、熱硬化性ポリフェニレンエーテル、トリアジン系樹脂、ポリイミド等の熱硬化性樹脂等を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、環状ポリオレフィン、ポリエーテルイミド、液晶ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、変性ポリスチレン、熱溶融性フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリイミド、5−メチルペンテン樹脂、シンジオタクチックポリスチレン等が好ましく、また熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリフェニレンエーテル、トリアジン系樹脂、ポリイミド等が好ましい。これらの中でも、1GHz以上の高周波帯域における誘電正接が0.01以下であるものが特に好ましく、具体的には、環状ポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、シンジオタクチックポリスチレン、5−メチルペンテン樹脂、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリエステル、熱溶融性フッ素樹脂等を挙げることができる。
合成樹脂は1種を単独でまたは2種以上を併用して使用できる。
本発明においては、粒状無機充填材として、特定の寸法を有するものを使用する。この様な特定の粒状無機充填材を用いることにより、合成樹脂に高比誘電率と低誘電正接が付与され、成形加工性が向上し、機械的強度も高く、高周波帯域での信号の伝達効率が良好になる。
本発明における粒状無機充填材は、メジアン径10μm以上の寸法を有するものである。好ましくは、20μm以上、さらに好ましくは、20〜500μm以上である。メジアン径が10μm未満であると、高比誘電率、低誘電正接が得られず、また、機械的強度が低く、小型化及び軽量化された誘電性樹脂組成物及び電子部品を得ることが困難である。本発明において粒状無機充填材のメジアン径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定することができる。メジアン径は、50体積%における累積径である。
粒状無機充填材の配合量は特に制限されず、比誘電率や誘電正接の設定値、組成物の用途に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常、組成物全量の10〜95重量%程度、好ましくは30〜90重量%程度、さらに好ましくは50〜85重量%程度とすればよい。
本発明において使用し得る粒状無機充填材としては、上記特定の寸法を有するものであれば特に限定されないが、例えば、酸化チタン、チタン酸金属塩、ニオブ酸金属塩、タンタル酸金属塩、ジルコン酸金属塩等が挙げられる。
チタン酸金属塩の具体例としては、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウムカルシウム、チタン酸バリウムマグネシウム、チタン酸カルシウムマグネシウム等のアルカリ土類金属塩、チタン酸バリウムビスマス、チタン酸バリウムネオジム等のアルカリ土類金属原子の一部が他の金属に置換したチタン酸金属塩、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸ニオブ酸鉛マグネシウム等のチタン酸の一部が他の金属に置換したチタン酸金属塩等を挙げることができ、1種を単独でまたは2種以上を併用して使用できる。
上記のチタン酸金属塩の中でも、チタン酸アルカリ土類金属塩が好ましくは、さらに、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウムカルシウム、チタン酸バリウムマグネシウム、チタン酸カルシウムマグネシウム等の2種以上のアルカリ土類金属を含むものが特に好ましい。
ニオブ酸金属塩の具体例としては、例えば、ニオブ酸ソーダ、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸鉛、ニオブ酸カドミウム等を挙げることができ、1種を単独でまたは2種以上を併用して使用できる。
タンタル酸金属塩の具体例としては、例えば、タンタル酸リチウム、タンタル酸ソーダ、タンタル酸カリウム、タンタル酸ルビジウム、タンタル酸鉛等を挙げることができ、1種を単独でまたは2種以上を併用して使用できる。
ジルコン酸金属塩の具体例としては、例えば、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸マグネシウム等を挙げることができ、1種を単独でまたは2種以上を併用して使用できる。
粒状無機充填材には、該充填材の合成樹脂への分散性を高める目的で、表面処理剤による処理を施してもよい。表面処理剤としては公知のものが使用でき、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等のカップリング剤を挙げることができる。また、表面処理剤の使用量は特に制限されないが、通常、本発明組成物の誘電特性及び物理的特性を損なわれない範囲とすればよい。
本発明の誘電性樹脂組成物及び電子部品には、その誘電特性及び物理的特性を損なわない範囲で、公知の樹脂用添加剤を加えてもよい。該添加剤の具体例としては、例えば、補強材、紫外線吸収剤、帯電防止剤、表面処理剤、相溶化剤、熱伝導改良剤、潤滑性向上剤、着色剤、染料、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤、難燃剤、メッキ特性改良剤等を挙げることができる。
本発明の電子部品は、上記の合成樹脂と特定の寸法を有する粒状無機充填材を公知の方法に従って混合、成形することにより製造することができる。例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、注型成形等の公知の方法に従って、所望の形状の電子部品とすることができる。
本発明の誘電性樹脂組成物及び電子部品においては、例えば特定の寸法を有する粒状無機充填材の配合量を適宜変化させることにより、所望の比誘電率及び誘電正接に設定することができるが、通常、比誘電率を20以上、誘電正接を0.05以下とすることが好ましい。
また、本発明の誘電性樹脂組成物及び電子部品を耐熱性が要求される用途に適用する場合には、18.5kg/cm2荷重下の荷重たわみ温度を130℃以上に設定するのが好ましい。
〔合成例1〜3〕
炭酸バリウム56.83g、炭酸ストロンチウム42.51g、及び酸化チタン46.02gの3種類の粉末(Ba/Sr/Ti=0.5/0.5/1 モル比)を溶媒にエタノールを用い、ボールミルにより24時間の混合を行った。混合終了後の粉末分散溶液は粉末と、ボール及びエタノールとを分離し、粉末は110℃、12時間の乾燥を行い、原料として用いた。乾燥した粉末はアルミナるつぼに入れ、電気炉を用いて1300℃、24時間の焼成を行った。焼成を行った粉末はアルミナ乳鉢で粉砕を行いながら、篩に通し、表1に示すような粒子の大きさを調整した粉末を得た。結果を表1に示す。
炭酸バリウム56.83g、炭酸ストロンチウム42.51g、及び酸化チタン46.02gの3種類の粉末(Ba/Sr/Ti=0.5/0.5/1 モル比)を溶媒にエタノールを用い、ボールミルにより24時間の混合を行った。混合終了後の粉末分散溶液は粉末と、ボール及びエタノールとを分離し、粉末は110℃、12時間の乾燥を行い、原料として用いた。乾燥した粉末はアルミナるつぼに入れ、電気炉を用いて1300℃、24時間の焼成を行った。焼成を行った粉末はアルミナ乳鉢で粉砕を行いながら、篩に通し、表1に示すような粒子の大きさを調整した粉末を得た。結果を表1に示す。
〔合成例4〜7〕
合成例1と同様に炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、及び酸化ニオブを原料として、これらの混合比(Ba/Sr/Nb=0.5/0.5/2 モル比)となるように混合して焼成し粉砕後、篩にて粒子の大きさを調整した。結果を表1に示す。
合成例1と同様に炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、及び酸化ニオブを原料として、これらの混合比(Ba/Sr/Nb=0.5/0.5/2 モル比)となるように混合して焼成し粉砕後、篩にて粒子の大きさを調整した。結果を表1に示す。
〔合成例8〜10〕
合成例1と同様に炭酸カルシウム及び酸化チタンを混合比(Ca/Ti=1/1 モル比)となるように混合して焼成し粉砕後、篩にて粒子の大きさを調整した。結果を表1に示す。
合成例1と同様に炭酸カルシウム及び酸化チタンを混合比(Ca/Ti=1/1 モル比)となるように混合して焼成し粉砕後、篩にて粒子の大きさを調整した。結果を表1に示す。
〔実施例1〜7及び比較例1〜3〕
合成例1〜10の粒状無機充填材をラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製)を用いてポリエチレンに80重量%となるように添加して試料を作製した。得られた試料の誘電特性をネットワークアナライザーを用い、空胴共振器法にて測定した。結果を表2に示す。
合成例1〜10の粒状無機充填材をラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製)を用いてポリエチレンに80重量%となるように添加して試料を作製した。得られた試料の誘電特性をネットワークアナライザーを用い、空胴共振器法にて測定した。結果を表2に示す。
表2に示すように、メジアン径が10μm以上である粒状無機充填材を含有させた実施例1〜7においては、比較例1〜3に比べ、高い比誘電率が得られている。また、比較例1に用いた粒状無機充填材を多量に配合することにより、実施例1〜7に示すような高い比誘電率を得ようとすると、誘電正接が実施例のものより高くなる。従って、本発明によれば、比誘電率が高く、かつ誘電正接が低い誘電性樹脂組成物とすることができる。
〔実施例8〜14及び比較例4〜6〕
ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂として、商品名「フォートロンW203A」(ポリプラスチックス株式会社販売)を用い、これに合成例3で製造したチタン酸バリウムストロンチウム、合成例10で製造したチタン酸カルシウム、及び合成例1で製造したチタン酸バリウムストロンチウムを、それぞれ表3及び表4に示す配合割合となるように混合した。具体的には、二軸押出機(日本製鋼所株式会社製、TEX44)を用い、シリンダ温度320℃にて、フォートロンW203Aを溶融した後、各フィラーを途中添加(サイドフィード)する方法にてストランドカットを行い、各樹脂ペレットを作製した。これらのペレットを、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、FS−150)を用いてシリンダ温度320℃、金型温度150℃にて射出成形を行い、各成形物の物性評価を行った。その結果を表3(実施例)及び表4(比較例)に示す。
ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂として、商品名「フォートロンW203A」(ポリプラスチックス株式会社販売)を用い、これに合成例3で製造したチタン酸バリウムストロンチウム、合成例10で製造したチタン酸カルシウム、及び合成例1で製造したチタン酸バリウムストロンチウムを、それぞれ表3及び表4に示す配合割合となるように混合した。具体的には、二軸押出機(日本製鋼所株式会社製、TEX44)を用い、シリンダ温度320℃にて、フォートロンW203Aを溶融した後、各フィラーを途中添加(サイドフィード)する方法にてストランドカットを行い、各樹脂ペレットを作製した。これらのペレットを、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、FS−150)を用いてシリンダ温度320℃、金型温度150℃にて射出成形を行い、各成形物の物性評価を行った。その結果を表3(実施例)及び表4(比較例)に示す。
ここに示す比誘電率及び誘電正接は、ネットワークアナライザーを用い、空胴共振器法にて測定を行った。
引張強度は、JIS K−7113、曲げ強度及び曲げ弾性率は、JIS K−7203、アイゾット衝撃強さ(ノッチ付き)は、JIS K−7110により測定した。
表3より、樹脂に対する粒状無機充填材の充填量が増加すると、比誘電率が飛躍的に増大することがわかる。このことから、粒状無機充填材の充填量を調整することにより、任意の比誘電率を有する誘電性樹脂組成物及び電子部品が得られることがわかる。
表3及び表4より、同じ充填量のものを比較すると、比較例のチタン酸バリウムストロンチウムより実施例のチタン酸バリウムストロンチウムの方が、比誘電率が高く、機械的強度が高いことがわかる。このことより、同じ比誘電率の電子部品を得ようとする場合には、実施例の誘電性樹脂組成物を使用すると、無機充填材の充填量は少なくてよく、電子部品の軽量化を実現できることがわかる。
〔実施例15〜17〕
熱硬化性樹脂として、フェノール型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、EPCLON850)を用い、合成例3で製造したチタン酸バリウムストロンチウムをそれぞれ表5に示す配合割合となるように混合し、充分攪拌分散させた後、硬化剤としてメタキシリンジアミンを15phr(エポキシ樹脂100重量部に対し、15重量部)添加して、さらに攪拌後、真空脱泡した。次いで、得られた樹脂組成物をフッ素樹脂シートの上に厚さ3mmのスペーサーを周囲において、流延して3時間室温に放置後、130℃で3時間硬化させた。得られた硬化物について誘電特性を測定した。結果を表5に示す。
熱硬化性樹脂として、フェノール型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、EPCLON850)を用い、合成例3で製造したチタン酸バリウムストロンチウムをそれぞれ表5に示す配合割合となるように混合し、充分攪拌分散させた後、硬化剤としてメタキシリンジアミンを15phr(エポキシ樹脂100重量部に対し、15重量部)添加して、さらに攪拌後、真空脱泡した。次いで、得られた樹脂組成物をフッ素樹脂シートの上に厚さ3mmのスペーサーを周囲において、流延して3時間室温に放置後、130℃で3時間硬化させた。得られた硬化物について誘電特性を測定した。結果を表5に示す。
〔実施例18〜21〕
実施例9、10、13及び14の樹脂組成物を用い、共振周波数が430MHz帯となるような図1に示すパッチアンテナを作製した。図1において、1は誘電体基板を示し、2は給電点を示す。アンテナの寸法を表6に示す。作製したアンテナについて、ネットワークアナライザーを用い、共振周波数f0及び電圧定在波比VSWRを測定した。測定結果を表6に示す。
実施例9、10、13及び14の樹脂組成物を用い、共振周波数が430MHz帯となるような図1に示すパッチアンテナを作製した。図1において、1は誘電体基板を示し、2は給電点を示す。アンテナの寸法を表6に示す。作製したアンテナについて、ネットワークアナライザーを用い、共振周波数f0及び電圧定在波比VSWRを測定した。測定結果を表6に示す。
表6に示す結果から明らかなように、本発明の誘電体樹脂組成物を用いることにより、アンテナ基材等の電子部品において比誘電率の高いものが得られることがわかる。従って、従来の樹脂組成物では作製することが困難であった、小型のアンテナが作製可能となることがわかる。
〔実施例22〜26及び比較例7〜8〕
合成例1〜7の充填材を用い、実施例8〜14で用いたポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂に、これらの充填材を、混合した樹脂組成物の成形品(成形品寸法:90mm×50mm×3mm)の比誘電率(εr)が20となるように配合した。この時の成形品の重量を表7に示す。
合成例1〜7の充填材を用い、実施例8〜14で用いたポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂に、これらの充填材を、混合した樹脂組成物の成形品(成形品寸法:90mm×50mm×3mm)の比誘電率(εr)が20となるように配合した。この時の成形品の重量を表7に示す。
表7に示す結果から明らかなように、本発明に従い、メジアン径10μm以上の粒状無機充填材を用いることにより、軽量化できることがわかる。
1…誘電体基板
2…給電点
2…給電点
Claims (5)
- 合成樹脂マトリックス中に、メジアン径10μm以上の粒状無機充填材を含有させたことを特徴とする誘電性樹脂組成物。
- 粒状無機充填材が酸化チタン、チタン酸金属塩、ニオブ酸金属塩、タンタル酸金属塩、及びジルコン酸金属塩から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の誘電性樹脂組成物。
- 粒状無機充填材の配合量が、10〜95重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の誘電性樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の誘電性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする電子部品。
- アンテナ、コネクター、コンデンサー、またはセンサーであることを特徴とする請求項4に記載の電子部品。
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