JP2005134259A - 凝固制御物質測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】凝固反応に基づいて溶液中の物質の濃度を測定する方法であって、従来よりも簡易に行なえ、また、短時間で測定できる方法を提供する。
【解決手段】凝固を促進する物質の濃度を測地するために、回転性蛍光物質を添加し、凝固の進行に伴なう蛍光強度の変化を測定する。凝固を促進する物質の濃度が高いほど、蛍光強度が大きく変化することを利用して、濃度を算出する。また、本発明は、凝固を促進する物質の濃度が判明していれば、凝固を阻害する物質の濃度の測定にも使用することができる。なお、凝固を促進する物質の例として、リムルス反応におけるエンドトキシンがある。
【選択図】図9

Description

本発明は、凝固反応に基づいて溶液中の物質の濃度を測定する方法に関する。また、回転性蛍光物質の新規用途にも関する。
溶液中の特定の物質の濃度を測定する方法として、溶液に凝固因子を添加して、特定の物質と凝固因子との反応による凝固に基づいて、特定の物質の濃度を測定する方法がある。なお、特定の物質は、凝固因子との反応により、凝固を発生させ、または、促進するという意味で、凝固制御物質と呼ぶ場合がある。
このような測定方法により濃度が測定される特定の物質としては、例えば、エンドトキシンがある。エンドトキシンは、グラム陰性菌の細胞壁の構成成分であり、その活性本体はリポ多糖類である。エンドトキシンは、敗血症やショック症状を引き起こす物質であり、血液中のエンドトキシンの高感度な測定方法の開発は、敗血症などの診断や治療に貢献し、ひいては、医療費の低減につながる重要なものである。
エンドトキシンの濃度の測定には、リムルステストが使用されるのが主流である。「リムルステスト」とは、カブトガニの血球抽出液がエンドトキシンと特異的に反応し、凝固することの発見に基づく測定方法である。カブトガニの血球抽出液または、それから生成されて得られる試薬を、「リムルス試薬」と呼ぶ。
図5は、リムルス試薬とエンドトキシンとの反応の過程を示す図である。エンドトキシンは、リムルス試薬に含まれるC因子と結合し、活性化C因子が生成される(ステップS501)。次に、活性化C因子とB因子とが反応することにより、活性化B因子が生成され(ステップS502)、活性化B因子と前凝固酵素とが反応し、凝固酵素が生成される(ステップS503)。この凝固酵素は、Coagulogenの特定部位に作用し(ステップS504)、その結果、Coagulinへの作用が発生し(ステップS505)、凝固が発生する。
なお、カブトガニの血球抽出液には、β‐D−グルカンと反応するG因子も含まれており、β‐D−グルカンとG因子との反応によっても凝固が起きることが知られている。このため、エンドトキシンの測定のためには、G因子を取り除いたたり、G因子の活性を無くしたりして得られるリムルス試薬が使用されることが多い。
凝固が起きたかどうかは、例えば、図6に示すように、エンドトキシンの測定を行なう物質とリムルス試薬とを試験管などの容器601に入れ、一定条件下で放置した後に、容器を傾け、容器602のように液面が水平になれば、エンドトキシンは検出されない(陰性)とし、容器603のように液面が傾けば、陽性と判断する。
また、現在では、図7に示すように、エンドトキシンの濃度の測定を行なう物質とリムルス試薬とを容器702に入れ、それに光源701より発する光を当てて、透過する光の量を検出器703で測定することが行なわれている(例えば、非特許文献1参照。)。凝固によって、図8に示すグラフのように光の透過量が時間と共に減少する。そこで、閾値を定めておき、光の透過量がその閾値以下になるまでの時間を測定する。例えば、最初の光の透過量から95パーセント以下になるまでの時間を測定する。この時間の長さにより、エンドトキシンの濃度を算出する。現在では、このような方法により、1ミリリットルあたり1ピコグラム程度の濃度のエンドトキシンが測定できるようになっている。
一方、回転性蛍光物質なる物質の存在が知られている。「回転性蛍光物質」とは、分子内のある結合の周りの自由回転に関連して蛍光強度が変化する物質である。このような物質は、分子内の電子供与部分と電子受容部分との間のC−C結合が自由に回転できる状態であれば、蛍光は殆ど発しないが、そのC−C結合の回転が制限されると、その制限の程度に応じた蛍光を発する。したがって、例えば、回転性蛍光物質の周囲の溶液の粘度が増加することによって、回転性蛍光物質の蛍光強度が増加することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この現象を利用して、例えば、細胞骨格や細胞膜の挙動など流動性の変化の観察が行なわれている(例えば、非特許文献2参照。)。
なお、図1から図4は、代表的な回転性蛍光物質の化学式を例示している。図1から図4に例示されている回転性蛍光物質は、蛍光性のキノリンおよびジュロリジン骨格に分子内で自由回転可能なビニル基を導入して得られる物質である。
特開平6−82451(第2ページ) 大石晴樹、"リムルス試薬を用いたエンドトキシン測定法の歴史"、〔online〕、1999年8月16日、〔2002年8月20日検索〕、インターネット<URL:http://www.jsme.or.jp/bio/news/28/28-1-2.html> 株式会社同仁化学研究所、"細胞膜研究用試薬―粘性プローブ - 蛍光分子ローター"〔online〕、2003年10月15日、〔2003年10月22日検索〕、インターネット<URL:http://dominoweb.dojindo.co.jp/goodsr5.nsf/View_Display/C340?OpenDocument>
従来のエンドトキシンなどの凝固反応を用いた濃度測定方法においては、感度が高くない点が問題となる。例えば、図6を用いて説明した方法では、エンドトキシンの存在が定性的に判明するだけである。また、測定に時間がかかる点も問題となる。例えば、図7を用いて説明した方法では、光の透過量が閾値以下になるまでの時間を測定するため、濃度を測定する物質の濃度が低ければ、それだけ測定に時間を要することになる。また、凝固反応を行なう前の前処理の過程で生じる沈殿物質が測定の障害となることが多い。
また、エンドトキシンの測定について言えば、試験管などの容器の操作が煩雑であり、マイクロプレートの使用ができない。このため、多数の検体の処理が困難であるという問題がある。
そこで、本発明では、凝固反応を用いた物質の濃度の測定方法であって、従来よりも高感度であり、より短時間で濃度が測定できる測定方法を提供することを目的とする。
本発明では、溶液に凝固因子を添加し、また、その溶液に回転性蛍光物質を添加し、蛍光強度の変化を測定し、その蛍光強度の変化に基づいて、凝固制御物質の濃度を算出する測定方法を提供する。
本発明の測定方法においては、単位時間あたりの蛍光強度の変化を測定することにより、濃度を算出することができるので、従来の方法よりも短時間で濃度が測定可能である。また、蛍光を用いるので、測定感度を高くでき、また、沈殿物質の影響を受けにくいため、沈殿物質が存在しても測定の障害になり難い。さらにマイクロプレートが使用できるので、より少ない試薬の量で測定が可能となり、また、多数の検体の処理が可能となる。これにより課題が解決される。
なお、本発明の測定方法においては、蛍光強度そのものを測定する代わりに、蛍光強度の変化率を測定してもよい。
また、凝固因子は、リムルス試薬又は/及びカイコプラスマ試薬であり、凝固制御物質は、リムルス試薬又は/及びカイコプラスマ試薬と反応して凝固を促進する凝固制御物質であってもよい。そのような凝固制御物質の例としては、エンドトキシン、β‐D−グルカン、ペプチドグリカンがある。
また、本発明を利用すれば、溶液の凝固因子の凝固を促進する物質の濃度が判明している場合に、凝固因子の凝固を阻害する物質の濃度を測定することも可能である。
本発明に係る凝固制御物質測定方法によれば、エンドトキシンなどの凝固制御物質の濃度を、従来よりも簡易な方法で、短時間で、測定することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を用いて説明する。なお、本発明は、これらの実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
(本発明の概要)
図9は、本発明の概要を示す図である。
まず、容器中に、凝固制御物質を含む溶液が入っている。ここに、「凝固制御物質」とは、凝固因子による凝固を制御する物質である。「凝固を制御する」とは、凝固の促進または阻害をすることを意味する。例えば、凝固因子をリムルス試薬とすれば、エンドトキシンが凝固制御物質となる。また、エンドトキシンとリムルス試薬との反応による凝固を阻害する物質も凝固制御物質である。
次に、容器中の凝固制御物質を含む溶液に回転性蛍光物質を添加する。回転性蛍光物質としては、例えば、図1から図4に例示された化学式を持つ物質がある。
次に、容器中の凝固制御物質を含む溶液に凝固因子を添加する。この添加により、凝固制御物質による凝固が開始されることになる。
凝固が開始すると、回転性蛍光物質の自由な回転運動が、周辺の自由体積の減少により制限を受け、回転性蛍光物質の蛍光強度が増加する。
そして、回転性蛍光物質による蛍光の強度の変化を測定する。この測定に基づいて、例えば、時間を横軸にとり、蛍光の強度を縦軸にとって、グラフが作成される。そこで、一定時間tが経過した時点での蛍光強度Iから凝固制御物質の濃度を算出する。
以上が本発明の概要である。
(実施形態1)
本発明の実施形態1として、凝固制御物質の濃度を測定する凝固制御物質測定方法について説明する。
(実施形態1:構成)
まず、本実施形態に係る凝固制御物質測定方法は、溶液に含まれる物質であって、凝固因子により凝固を制御する物質である凝固制御物質の、その容器での濃度を測定する方法である。「凝固因子」とは、凝固制御物質などの物質と反応することにより凝固現象を発生させる物質である。「凝固を制御する」とは、凝固因子による凝固の促進または阻害をすることを意味する。「促進」と書いたが、これは、凝固因子が自然に凝固するものである場合に、その凝固に要する時間を短くすることのみならず、凝固因子だけでは凝固しない場合において、凝固因子による凝固を発生させることも意味する。なお、溶液には、水溶液のみならず、コロイド溶液も含まれるものとする。
本実施形態に係る凝固制御物質測定方法は、回転性蛍光物質添加ステップと、凝固因子添加ステップと、蛍光強度変化測定ステップと、濃度算出ステップと、を含む。
「回転性蛍光物質添加ステップ」とは、その溶液に回転性蛍光物質を添加するステップである。「添加」とは加えることであるが、溶液中に均一に分布するように攪拌することも含まれていてもよい。また、その溶液の量に対して、一定の割合で回転性蛍光物質を添加する量を決定してもよい。
「凝固因子添加ステップ」とは、その溶液に凝固因子を添加するステップである。このステップにより、凝固の反応が開始する。回転性蛍光物質添加ステップにおけるように、その溶液の量に対して、一定の割合で凝固因子を添加する量を決定してもよい。なお、少なくとも、凝固因子添加ステップ以降においては、溶液を一定の温度に保つなどして、条件を一定のものにする。また、次の蛍光強度変化測定ステップのために、その溶液を暗所に置くのが望ましい。
「蛍光強度変化測定ステップ」とは、その回転性蛍光物質による蛍光の強度の変化である傾向強度変化を測定するステップである。すなわち、一定の波長の光を照射し、その光の照射により発光する光の強度の変化を測定する。凝固因子添加ステップにより、凝固が発生し、回転性蛍光物質の分子内の自由回転が制限されるために、蛍光が発するので、その蛍光の強度の変化を測定する。蛍光の強度の変化は、例えば、凝固因子添加ステップが行なわれてから一定時間経過後における蛍光の絶対的な強度として求めてもよいし、少なくとも複数の時間において、蛍光の強度を測定し、その複数の時間において測定された蛍光の強度の割合を求めてもよい。
蛍光強度変化測定ステップにおける蛍光強度の測定では、励起波長および蛍光波長としてはそれぞれ、回転性蛍光物質添加ステップで添加された回転性蛍光物質の極大波長近傍付近の波長を選択するのが望ましい。例えば、図2に例示された物質を回転性蛍光物質として使用する場合には、励起波長としては430nmから450nmを用い、蛍光波長としては、500nmから520nmを用いる。さらに好適には、検出において他の物質による影響(例えば、ビリルビンに由来する蛍光など)を受けない波長を選択するのが望ましい。測定は、一般の蛍光光度計、好ましくは蛍光分光光度計にて実施される。また、励起光としてレーザー光を用いることで高感度に測定することも可能である。
また、励起光として偏光を用いて、蛍光の強度として蛍光の偏光強度を測定してもよい。回転性蛍光物質での回転が発生すると、励起平面と異なる平面の偏光の蛍光を発し蛍光偏光が解消されるが、回転性蛍光物質での回転が制限されると、同一平面の偏光に蛍光を発するからである。
「濃度算出ステップ」とは、蛍光強度変化に基づいて、その凝固制御物質のその容器中での濃度を算出するステップである。すなわち、凝固制御物質が凝固因子による凝固を促進するものである場合には、凝固制御物質の濃度が高いほど、凝固が促進されるため、回転性蛍光物質の蛍光強度変化が大きくなることを利用して、凝固制御物質の濃度を算出する。算出の具体的な方法としては、次のものがある。すなわち、あらかじめ凝固制御物質の濃度が判明している状態で測定した蛍光強度変化と、蛍光強度変化測定ステップで得られた蛍光強度変化と、を比較することにより、凝固制御物質の濃度を算出する。例えば、複数の濃度の凝固制御物質を含む状態で測定した蛍光強度変化を補間などすることにより、凝固制御物質の濃度を算出する。
(実施形態1:処理)
図10は、本実施形態に係る凝固制御物質測定方法での処理の流れ図を例示する。
ステップS1001において、溶液に回転性蛍光物質を添加する。
ステップS1002において、溶液に凝固因子を添加する。
ステップS1003において、回転性蛍光物質の蛍光強度変化を測定する。
ステップS1004において、蛍光強度変化に基づいて、凝固制御物質の濃度を算出する。
なお、図10に例示された流れ図は、一例である。例えば、ステップS1001とステップS1002との順序を入れ替えてもよい。
(実施形態1:主な効果)
本実施形態によれば、回転性蛍光物質の蛍光強度変化を測定することにより、凝固制御物質の濃度が測定されるので、従来よりも簡易な方法で、短時間で、測定することが可能となる。また、蛍光強度の測定は精密に行なえるので、従来よりも高精度に濃度を算出して測定することが可能となる。
(実施形態2)
本発明の実施形態2として、蛍光強度変化が強度の変化率である凝固制御物質測定方法について説明する。
(実施形態2:構成)
本実施形態に係る凝固制御物質測定方法の構成は、実施形態1に係る凝固制御物質測定方法と同じである。ただし、本実施形態においては、蛍光強度変化が、蛍光の強度の変化率である点が異なっている。
「蛍光の強度の変化率」とは、回転性蛍光物質添加ステップにより添加された回転性蛍光物質の蛍光の強度の変化の度合いである。例えば、単位時間あたりに、何パーセントの強度の変化があったかを表わす。
例えば、本実施形態における蛍光強度変化測定ステップにておいは、図11に示すように、所定の時間(第一の時間:t1)において、蛍光強度I1を測定し、別の所定の時間(第二の時間:t2)において、蛍光強度I2を測定し、第二の時間における蛍光強度が、第一の時間における蛍光強度の何倍になっているかを測定する。
また、濃度算出ステップにおいては、蛍光の強度の変化率に基づいて、濃度を算出する。
(実施形態2:主な効果)
本実施形態においては、蛍光の強度の変化率に基づいて、濃度が算出されるので、溶液に対する添加する回転性蛍光物質の割合が変動しても、変化率はそれほど変動しないので、濃度を算出することができる。また、溶液の状態により、回転性蛍光物質の蛍光の一部が溶液に吸収されても、同様の理由で、濃度を算出することができる。
(実施形態3)
本発明の実施形態3として、凝固因子をリムルス試薬又は/及びカイコプラスマ試薬とした凝固制御物質測定方法について説明する。
(実施形態3:構成)
本実施形態に係る凝固制御物質測定方法は、実施形態1または実施形態2に係る凝固制御物質測定方法と同じである。ただし、本実施形態においては、凝固因子はリムルス試薬又は/及びカイコプラスマ試薬であり、凝固制御物質は、リムルス試薬又は/及びカイコプラスマ試薬と反応して凝固を促進する物質である。
(実施形態3:主な効果)
本実施形態によれば、リムルス試薬又は/及びカイコプラスマ試薬を用いて濃度を測定することができ、従来よりも簡単で短時間で、リムルス試薬又は/及びカイコプラスマ試薬と反応して凝固を引き起こす物質の濃度が測定できる。
(実施形態4)
本発明の実施形態4として、凝固制御物質を、エンドトキシン、β‐D‐グルカン、ペプチドグリカンのいずれか一または二以上の組み合わせを含む凝固制御物質測定方法を説明する。
(実施形態4:構成)
本実施形態に係る凝固制御物質測定方法の構成は、実施形態3に係る凝固制御物質測定の構成と同じである。ただし、本実施形態においては、凝固制御物資を、エンドトキシン、β‐D‐グルカン、ペプチドグリカンのいずれか一または二以上の組み合わせを含む物質とする。エンドトキシン、β‐D‐グルカン、ペプチドグリカンは生理活性物質として重要であり、また、極微量で生体反応を引き起こす物質である。
凝固因子として、リムルス試薬を用いる場合には、凝固制御物質はエンドトキシン又は/及びβ‐D−グルカンを含む物質となる。また、凝固因子として、カイコプラスマ試薬を用いる場合には、凝固制御物質はβ‐D−グルカン又は/及びペプチドグリカンを含む物質となる。なお、「AがBを含む」とは、B以外にAに属するものがある場合に加えて、AとBが等しい場合を含むものとする。
(実施形態4:主な効果)
本実施形態によれば、エンドトキシン、β‐D‐グルカン、ペプチドグリカンなどの微量でも生体反応を引き起こす物質の濃度を、従来よりも簡単に、また、短時間に測定することができる。また、蛍光の強度を測定するので、マイクロプレートを用いて多くの検体を一度に処理することが可能となる。また、マイクロプレートを使用することにより、必要な試薬の量を従来のものより半分以下にすることができる。さらに、後で説明する実施例により示されるように、高感度に測定を行なうことができる。
(実施形態5)
本発明の実施形態5として、凝固因子による凝固の阻害をする物質の濃度を測定する凝固制御物質測定方法について説明する。
(実施形態5:構成)
本実施形態に係る凝固制御物質測定方法の構成は、実施形態1または実施形態2の凝固制御物質測定方法と同じである。ただし、本実施形態においては、溶液は、それに含まれる凝固を促進する物質の量が判明している溶液である。例えば、エンドトキシンの濃度が判明している溶液である。また、本実施形態においては、凝固制御物質は、凝固を阻害する物質である。例えば、エンドトキシンに対する抗体やエンドトキシンの活性を失わせる物質である。あるいは、凝固因子の働きを阻害する物質である。このような凝固を阻害する物質であると、凝固の進み方が緩慢となり、結果として、回転性蛍光物質の蛍光強度変化が緩慢となる。
図12は、凝固を阻害する凝固制御物質が存在しない場合と存在する場合との時間経過に伴なう蛍光強度変化のグラフを例示する。グラフ1201は、凝固を阻害する凝固制御物質が存在しない場合に対応し、グラフ1202は、凝固を阻害する凝固制御物質が存在する場合に対応する。例えば、グラフ1201に対するグラフ1202の傾きなどにより、凝固を阻害する凝固制御物質の濃度を算出することができる。
(実施形態5:主な効果)
本実施形態により、凝固を阻害する凝固制御物質の濃度を測定することが可能となる。また、本実施形態の凝固制御物質測定方法は、凝固を促進する物質の働きを阻害したり、凝固因子の働きを阻害したりする物質のスクリーニングを行なうためにも用いることができる。例えば、抗エンドトキシン薬などの発見に本発明を用いることができる。
(実施形態6)
本発明の実施形態6として、実施形態1から実施形態5で使用される回転性蛍光物質について説明する。
(実施形態6:回転性蛍光物質)
実施形態1から実施形態5で使用される回転性蛍光物質としては、自由な回転運動が制限されれば、蛍光を発する特性を有する物質であれば、好適に使用される。例えば、図1から図4に例示される化学式を持つ物質を例として挙げることができる。
また、図1から図4に例示される化学式を持つ物質以外にも、一般式として、図13に例示される化学式を持つ化合物またはその塩であってもよい。なお、図13の式中において、R1はOH、COOR5またはOCOR6を示し、R2およびR3はCN、COOR7またはCONH2を示す。R4はHを示すか、またはR1と共に単結合を形成してもよい。但し単結合を形成している場合、R2およびR3は両者同時にCNではない。R5、R6およびR7はHまたはC1からC4の低級アルキルを示す。nは1から5の整数を、mは0または1から4の整数を示す。
(実施例)
以下に、本発明の実施例について述べる。
回転性蛍光物質として、図2に例示された物質(以下、DCQと略す)を用いることにした。DCQを2mMの濃度になるようdimethyle sulfoxide(Sigma社製)に溶解した。
健常人の採血から遠心分離で得た血漿に対して、既知濃度の標準エンドトキシンを添加し,測定サンプルとした。なお,この血漿はあらかじめ別法による高感度エンドトキシン測定にて検出限界以下であることを確認してある。
測定サンプル100μリットルを900μリットルの希釈過熱前処理液(和光純薬株式会社製)と混和させ,70℃で10分間の加温の前処理を行った。氷冷後に,この中にDCQが5μMになるよう添加混和した。
そして,これから200μリットルをリムルス反応試薬(エンドトキシン−シングルテスト−ワコー,和光純薬株式会社製)と混和後すぐに100μリットルを96穴マイクロプレート上に分注し,37℃の状態で経時間的に蛍光強度を測定した。蛍光強度はコロナ社蛍光光度計を用いて励起波長440nm,蛍光波長505nmで測定した。
図14に経時間的な蛍光強度の推移を示す。なお,エンドトキシン濃度は測定サンプルの濃度を示し,測定開始時の蛍光強度を0として,それぞれの蛍光強度を示す。
図14により示されるように、エンドトキシン濃度の上昇に伴い,単位時間(この場合は分単位が適当)の蛍光強度の増加があることが認められる。この蛍光増加速度とエンドトキシン濃度には相関があることが認められる。
本発明に係る凝固制御物質測定方法は、エンドトキシンなどの凝固制御物質の濃度を、従来よりも簡易な方法で短時間で測定することを可能とし、凝固反応に基づいて溶液中の物質の濃度を測定する方法として有用であり、生化学分野、免疫科学分野、工業製品の品質管理などに応用ができる。
回転性蛍光物質の化学式の一例図 回転性蛍光物質の化学式の一例図 回転性蛍光物質の化学式の一例図 回転性蛍光物質の化学式の一例図 リムルス試薬とエンドトキシンとの反応の過程を示す図 凝固が起きたかどうかを判定する手順の一例図 光の透過量を測定する様子の一例図 光の透過量の時間変化を示す一例図 本発明の概要を示す図 本発明の処理の流れ図 時間経過に伴なう蛍光強度変化のグラフの一例図 凝固を阻害する物質がある場合とない場合とにおける蛍光強度変化のグラフの一例図 回転性蛍光物質の一般式を示す図 既知濃度の標準エンドトキシンを用いた場合の蛍光強度変化のグラフの一例図

Claims (6)

  1. 溶液に含まれる物質であって、凝固因子による凝固を制御する物質である凝固制御物質の前記溶液中での濃度を測定する凝固制御物質測定方法であって、
    前記溶液に回転性蛍光物質を添加する回転性蛍光物質添加ステップと、
    前記溶液に凝固因子を添加する凝固因子添加ステップと、
    前記回転性蛍光物質による蛍光の強度の変化である蛍光強度変化を測定する蛍光強度変化測定ステップと、
    前記蛍光強度変化に基づいて前記凝固制御物質の前記溶液中での濃度を算出する濃度算出ステップと、
    を含む凝固制御物質測定方法。
  2. 前記蛍光強度変化は、蛍光の強度の変化率である請求項1に記載の凝固制御物質測定方法。
  3. 前記凝固因子はリムルス試薬又は/及びカイコプラスマ試薬であり、前記凝固制御物質は、リムルス試薬と反応して凝固を促進する物質である請求項1または2に記載の凝固制御物質測定方法。
  4. 前記凝固制御物質は、エンドトキシン、β―D−グルカン、ペプチドグリカンのいずれか一または二以上の組み合わせを含む請求項3に記載の凝固制御物質測定方法。
  5. 前記溶液は、それに含まれる凝固を促進する物質の量が判明している溶液であり、
    前記凝固制御物質は、凝固を阻害する物質である請求項1または2に記載の凝固制御物質測定方法。
  6. 前記回転性蛍光物質は、一般式:
    Figure 2005134259
    (式中、R1はOH、COOR5またはOCOR6を示し、R2およびR3はCN、COOR7またはCONH2を示す。R4はHを示すか、またはR1と共に単結合を形成してもよい。但し単結合を形成している場合、R2およびR3は両者同時にCNではない。R5、R6およびR7はHまたはC1からC4の低級アルキルを示す。nは1から5の整数を、mは0または1から4の整数を示す。)で表わされる化合物またはその塩である請求項1から5のいずれか一に記載の凝固制御物質測定方法。
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WO2015098473A1 (ja) * 2013-12-25 2015-07-02 株式会社日立ハイテクノロジーズ 自動分析装置及び分析方法
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