JP2005129443A - 透明導電性積層体用フィルム - Google Patents

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俊介 奥山
Tetsuo Yoshida
哲男 吉田
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Koji Kubo
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Abstract

【課題】 優れた耐傷性、接着性、透明性、易滑性および加熱時に低分子量物の析出を少なく耐熱性を有する光学用易接着性ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 圧縮弾性率が2000N/mm以下の熱可塑性樹脂aと圧縮弾性率が2100N/mm以上である熱可塑性樹脂bが共押出法で積層された積層フィルムの少なくとも片面に、ガラス転移点が40〜100℃かつ固有粘度が0.4以上0.7未満のポリエステル樹脂からなる組成物の塗布層を有する透明導電性積層体用フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、透明導電性積層体用フィルムに関する。
可視光領域で透明且つ導電性を有する薄膜は、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイなどの新しいディスプレイ方式や、タッチパネル等における透明電極のほか、透明物品の帯電防止や電磁波遮断等の目的で用いられている。従来このような薄膜を備えた透明導電性積層体としては、ガラス上に酸化インジウム薄膜を形成した、いわゆる導電性ガラスが良く知られている。しかしこれは基材がガラスである故に、可撓性や加工性に劣り、用途によっては好ましくない場合がある。
この為、近年では、可撓性や加工性に加えて、耐衝撃性に優れ且つ軽量であるなどの利点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムをはじめとする各種のプラスチックフィルムを基材とした、透明導電性積層体が使用されている。
このような透明導電性積層体を特にディスプレイ用途に用いる場合、基材となるプラスチックフィルムは優れた透明性に加えてプリズムレンズ層、ハードコート層、粘着剤層、反射防止処理層、スパッタ層等に対する優れた易接着性が要求される。
また、プラスチックフィルムを基材に用いる画像表示装置では、プラスチックフィルムの寸法を安定化させるため熱処理を行う場合がある。この熱処理によって、特にポリエステルフィルムを用いる場合は、ポリエステルの重合時等に発生した低分子量物が基材表面に析出し、フィルムの透明性が悪化することがあり、それ故に洗浄等の余分な工程が必要となり、製品の生産性が低下する等の問題を生じる。また、蒸着やスパッタ工程においても、ポリエステルフィルムの表面に低分子量物が析出し、蒸着層やスパッタ層を均一に設けることが困難な場合があり、本来の導電性、ガスバリア性、反射防止性等の性能を出せない問題が生じる可能性がある。
このポリエステルフィルムからの低分子量物の発生は基材上に特定の層を設けることによって抑制可能であるが、易接着能を付与するために塗設するプライマー層のような非常に厚みの薄い層では低分子量物の発生抑制効果は少ない。
特許第2667680号公報 特開平8−244186号公報 特開平8−244187号公報 特開2001−229736号公報 特開2001−273817号公報
本発明は、かかる従来技術の問題点を解消し、フィルム基材を用いた透明導電性積層体において、視認性とタッチ感、すなわち導電性薄膜の打点特性を改良すると共に、熱処理時の低分子量物の析出が少なく、透明性、易滑性および耐傷性に優れ、光学用途に用いられる層との接着力、特にハードコート層との接着性に優れる透明導電性積層体用フィルムを提供すること、特にタッチパネル用として好適な透明導電性積層体用フィルムを提供することを目的とする。
すなわち本発明は、圧縮弾性率10〜2000N/mmの熱可塑性樹脂aの層およびこの層に接する圧縮弾性率2100〜10000N/mmの熱可塑性樹脂bの層からなる共押出法で得られた積層フィルム、ならびに積層フィルムのうえに設けられたガラス転移温度40〜100℃、固有粘度0.4以上0.7未満のポリエステル樹脂の組成物からなる塗布層から構成される透明導電性積層体用フィルムである。
以下、本発明を詳細に説明する。
[積層フィルム]
本発明においては、積層フィルムとして、圧縮弾性率10〜2000N/mmの低弾性率熱可塑性樹脂の層およびこの層に接する圧縮弾性率2100〜10000N/mmの高弾性率熱可塑性樹脂の層からなる共押出法で得られた積層フィルムを用いる。
[低弾性率熱可塑性樹脂]
低弾性率熱可塑性樹脂としては、圧縮弾性率が10〜2000N/mm、好ましくは10〜1500N/mm、さらに好ましくは10〜1000N/mmのものを用いる。圧縮弾性率が2000N/mmを超えると積層体の圧縮弾性率が高いため、タッチ感の優れた積層体とはならない。圧縮弾性率が10N/nm未満であると強度が不足する。
低弾性率熱可塑性樹脂としては、加熱することで柔らかくなり流動化し、成形可能となる熱可塑性樹脂のうち圧縮弾性率が上記の要件を満たすものを用いることができる。この熱可塑性樹脂として、熱可塑性エラストマー樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂を用いることができる。これは、ランダム共重合、ブロック共重合といった共重合体であってもよく、ブレンド体であってもよい。これらのなかでも、優れたタッチ感を得られることから、熱可塑性エラストマー樹脂が好ましい。
熱可塑性エラストマー樹脂は、溶融製膜可能なエラストマーであって、分子中にゴム弾性を有する柔軟性成分(ソフトセグメント)と塑性変形を防止するための分子拘束成分(ハードセグメント)からなる熱可塑性エラストマーである。
かかる熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリウレタン系、ポリ塩化ビニル系、結晶性1,2−ポリブタジエン系、ポリアミド系、フッ素系、アイオノマー系、ポリイソプレン系のエラストマーを例示することができ、好ましくはポリエステル系エラストマーを用いる。
ポリオレフィン系エラストマーとしては、オレフィン樹脂をハードセグメントとするエラストマーであって、ブレンドタイプと重合タイプがある。単純ブレンドの他に、有機化酸化物などで部分架橋したものや、コンパウンド時に分散されたゴム相を完全に架橋したエラストマー等がある。
ポリスチレン系エラストマーとしては、ソフトセグメントの種類によりポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレンなどに分けられ、ハードセグメントとソフトセグメントの結合様式により、リニアトリブロック、ラジアルブロック、マルチブロックなどの種類がある。
ポリウレタン系エラストマーとしては、分子量が1000〜3000の末端にヒドロキシ基を有するポリエステル及び/又はポリ(オキシアルキレン)グリコール、ジイソシアネート及び鎖伸長剤であるグリコール及び/又はジアミンを、場合によっては末端ヒドロキシ基を有するポリカーボネートを更に加え、反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンを挙げることができる。ここでジイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4‘−ジイソシアネート、ジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネートが例示される。また鎖伸長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−β−ヒドロキシエトキシベンゼン又はエチレンジアミン、ブチレンジアミン、プロピレンジアミンが例示される。
ポリアミド系エラストマーとしては、例えばラウリルラクタム成分とポリ(オキシブチレン)グリコール成分とジカルボン酸成分との共重合体が挙げられる。この場合、エラストマーの硬さを変えるにはポリ(オキシブチレン)グリコールの分子量を変化させても良いし、またラウリルラクタムの共重合割合を変化させても良い。
ポリエステル系エラストマーとしては、主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)と、主として脂肪族ポリエーテル単位及び/又は脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメント(b)とを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合体からなる。
ポリエステルエラストマーに使用されるポリエステルとしては、アジピン酸、セバシン酸といった脂肪族ジカルボン酸と、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコールといったジオールからなるポリエステルを例示することができる。また、ポリ(オキシエチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、ポリ(オキシブチレン)グリコール等のホモ重合体、及びこれらのブロック共重合体、ランダム共重合体を例示することができる。
ポリエステル系エラストマーにおいて、高融点結晶性重合体セグメント(a)は、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールから形成されるポリエステルであり、好ましくはテレフタル酸及び/又はジメチルテレフタレートと、1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレートであるが、この他にイソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4‘−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、或いはこれらのエステル形成性誘導体などのジカルボン酸成分と、分子量300以下のジオール、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロールなどの脂環式ジオール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4‘−ジヒドロキシ−p−クオーターフェニルなどの脂肪族ジオールなどから誘導されるポリエステル、或いはこれらのジカルボン酸成分及びジオール成分を2種類以上併用した共重合ポリエステルであっても良い。
ポリエステル系エラストマーにおいて、低融点重合体セグメント(b)は、脂肪族ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルである。脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体等が挙げられる。また、脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等が挙げられる。これらの脂肪族ポリエーテル及び/又は脂肪族ポリエステルの中で得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性からポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが好ましい。また、これらの低融点重合体セグメントの数平均分子量としては、共重合された状態において300〜6000程度であることが好ましい。
ポリエステルブロック共重合体における低融点重合体セグメント(b)の共重合量は、好ましくは10〜80重量%、更に好ましくは15〜75重量%である。
ポリエステルブロック共重合体は公知の方法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコール、及び低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法、或いは、ジカルボン酸と過剰量のグリコール及び低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル化反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法、又、あらかじめ高融点結晶性セグメントを作っておき、これに低融点セグメント成分を添加してエステル交換反応によりランダム化せしめる方法、高融点結晶性セグメントと低融点重合体セグメントを鎖連結剤でつなぐ方法、さらにポリ(ε−カプロラクトン)を低融点重合体セグメントに用いる場合は、高融点結晶性セグメントにε−カプロラクトンモノマーを付加反応させる方法など、いずれの方法をとっても良い。
エラストマーは、必要に応じて添加剤、例えば蛍光増白剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、更に透明性を上げる為に結晶核剤を含有してもよい。
例えばポリエステル系エラストマーを使用する場合、その透明性を向上させる方法としてポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどの他のポリエステル樹脂とのブレンドや結晶核剤の添加が挙げられる。
例えば、結晶核剤の場合、添加量としてエラストマーの重量を基準に0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜7重量%、更に好ましくは0.3〜5重量%添加しても構わない。ここで結晶核剤としては金属塩タイプやソルビトールアセタールタイプなどの公知のものを使用できる。
例えばポリエステル系エラストマーの場合は、カルボン酸ナトリウム、アクリル酸及び/又はメタクリル酸共重合ポリマーのナトリウム塩が挙げられる。これらは、単独で用いても2種類以上の組み合わせで用いても構わない。
本発明においては、耐熱性や生産安定性からポリエステル系エラストマーが好ましく、透明性の点ではポリスチレン系やオレフィン系エラストマーが好ましい。
低弾性率熱可塑性樹脂は、単独で用いても2種類以上の樹脂を組み合わせても構わない。
[高弾性率熱可塑性樹脂]
本発明において高弾性率熱可塑性樹脂は、圧縮弾性率が2100〜10000N/mmである。圧縮弾性率が2100N/mm未満であると樹脂の腰が無く、硬さが不足し、タッチパネル用途では筆記性に劣ることになる。圧縮弾性率が10000N/mmを超えると可撓性や加工性に劣ることになる。
高弾性率熱可塑性樹脂としては、加熱することで柔らかくなり流動化し、成形可能となる熱可塑性樹脂のうち圧縮弾性率が上記の要件を満たすものを用いることができる。例えば、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂)、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂を例示することができる。この中でも、ポリエステル樹脂やポリスチレン樹脂が好ましい。押出特性や延伸特性の点でポリエステル樹脂が好ましい。
好ましいポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸成分とグリコール成分からなる線状ポリエステルである。かかるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを例示することができる。これらは、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。
例えば、ポリエチレンテレフタレートを共重合体として用いる場合、共重合成分は、ジカルボン酸成分であってもグリコール成分であっても良い。ジカルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の如き脂環族ジカルボン酸等を挙げることができ、グリコール成分としては例えばブタンジオール、ヘキサンジオール等の如き脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール等の如き脂環族ジオール等を挙げることができる。
これらの中で共重合成分として好ましいジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸が挙げられ、グリコール成分としてはシクロヘキサンジメタノールが挙げられる。共重合成分は単独で用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
本発明において高弾性率熱可塑性樹脂は、従来公知の方法で製造することができる。例えばポリエステルのうちポリエチレンテレフタレートの単独重合体又は共重合体の製造方法としては、テレフタル酸、エチレングリコール及び必要に応じて加えた共重合成分をエステル化反応させ、得られた反応生成物を更に重縮合反応させてポリエステルとする方法、或いはジメチルテレフタレート、エチレングリコール及び必要に応じて加えた共重合成分をエステル交換反応させ、得られる反応生成物を更に重縮合反応させてポリエステルとする方法が好ましく用いられる。
尚、ポリエステルを製造する際に、他の添加剤、例えば蛍光増白剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤などを添加することは各々の物性向上が図れるので好ましい。更に透明性を上げる為に結晶核剤を添加する事は好ましいことである。
高弾性率熱可塑性樹脂、特にポリエステルには、フィルムに適度の滑り性や作業性を持たせるために、不活性粒子を本発明の特性を損なわない範囲で添加しても構わない。該不活性粒子としては、例えば周期律表第IIA、第IIB、第IVA、第IVBの元素を含有する微粒子(例えば、カオリン、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化珪素など)、シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン等の如き耐熱性の良い高分子よりなる微粒子を挙げることができる。
また、近年触媒の改良によりアイソタクチックポリプロピレン樹脂、シンジオタクチックポリプロピレン樹脂等のオレフィン樹脂や、シンジオタクチックポリスチレン樹脂等が開発された。例えばシンジオタクチックポリスチレン樹脂は耐湿熱寸法安定性が良好であり、又、押出成形も延伸も可能であり、透明性もあるといった特徴を有し、本用途の目的においても優位な特性を示す。そのため、シンジオタクチックポリスチレン樹脂は、ポリエステル樹脂と並び、高弾性率熱可塑性樹脂として好ましく用いることができる。
尚、これら樹脂を単独で用いても、延伸性を更に向上させる為に、本発明の目的を損なわない範囲で共重合して、使用しても構わない。
[積層構造]
本発明における積層フィルムは、低弾性率熱可塑性樹脂の層と、これに接する高弾性率熱可塑性樹脂の層とを備える。そして、少なくとも1軸以上の延伸配向構造を有することが好ましい。
低弾性率熱可塑性樹脂の層をA層とし、高弾性率熱可塑性樹脂の層をB層とする場合、A層を内層とするB/A/B(ここで、/は層の構成を示す)タイプの3層構成、B/A/B/A/Bタイプの5層構成、更にこれらの順序による7層、9層、・・・、(2n+1(nは正の整数))層のマルチ積層構成を、積層フィルムの好ましい態様として挙げることができる。
例えば、低弾性率熱可塑性樹脂としてポリエステル系エラストマーを用いA層とし、高弾性率熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレートを用いB層とし、A層を内層とするB/A/Bタイプの3層構成、B/A/B/A/Bタイプの5層構成、更にこれらの順序による7層、9層、・・・、(2n+1(nは正の整数))層のマルチ積層構成は、好ましい態様である。
また、B層が2層以上である場合、1層以上を違うポリマーで構成してもよい。例えば、高弾性率熱可塑性樹脂が2種のポリマー(b1、b2)のいずれか一方からなるとき、B1/A/B2(ここで、B1、B2はそれぞれ熱可塑性樹脂b1、b2のそれぞれの層を指す)タイプの3層構成、B1/A/B2/A/B1タイプの5層構成としてもよい。これら層構成のうち3層、5層が好ましく、特に3層が好ましい。
高弾性率熱可塑性樹脂の層の厚みは、好ましくは1〜200μm、さらに好ましくは5〜150μm、さらに好ましくは10〜100μmである。この厚みは、高弾性率熱可塑性樹脂の層が、複数の相互に接触する層からなり複数の層全体として高弾性率熱可塑性樹脂層を構成するときには、その合計層の厚みを指す。
また、本発明のフィルムは、高弾性率熱可塑性樹脂の層を少なくとも片面の最外層に設けていることが好ましい。誘電体薄膜や透明導電膜を低弾性率熱可塑性樹脂の層のうえに形成すると、タッチ感は優れたものとなるが、弾性率の低さから押し込み時の力が誘電体薄膜や導電膜に影響し、膜が破壊されて、結果として使い物にならなくなる場合が多く好ましくない。
[積層フィルムの製造方法]
本発明における積層フィルムは共押出製膜法で製造する。その具体例を、例えば上記3層フィルム(B/A/B)の場合について説明すると、先ず、熱可塑性エラストマー層A用に調整したエラストマーチップを乾燥、溶融する。これと並行して、ポリエステル層B用に調整したポリエステルチップを必要に応じ乾燥し、溶融する。続いて、これら溶融ポリマーをダイ内部で、例えばマルチマニホールドダイを用いた同時積層押出し法により、積層未延伸フィルムを製造する。すなわちA層を形成するポリマーの溶融物とB層を形成するポリマーの溶融物を交互に形成されるように積層し、ダイに展開して押出す。この時、ダイ内部で積層されたポリマーは積層された形態を維持している。ダイより押出されたシートは、キャスティングドラムで冷却固化され、積層未延伸フィルムとなる。
この未延伸状態の延伸可能な積層ポリエステルフィルムは、テンター法、インフレーション法等の従来より知られている製膜方法を用いて製造することができる。
例えば、テンター法の場合、得られた積層未延伸フィルムをロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸温度は積層している熱可塑性樹脂の内、最も高い熱可塑性樹脂のガラス転移点(Tg)より高い温度、更にはTgより20〜40℃高い温度とするのが好ましい。延伸倍率は、この用途の要求及び使用する熱可塑性樹脂の特性にもよるが、1.5倍以上4.0倍以下とするのが好ましい。更に好ましくは2.0倍以上3.9倍以下とするのが好ましい。1.5倍未満とするとフィルムの厚み斑が悪くなり、4.0倍以上とすると製膜中に破断が発生し易くなる場合がある。
縦延伸フィルムは、続いて、横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとすることができるが、これらの処理はフィルムを走行させながら行う。横延伸処理は積層している熱可塑性樹脂のうち、最も高い熱可塑性樹脂のガラス転移点(Tg)より20℃高い温度から始める。そして熱可塑性樹脂の融点(Tm)より(120〜30)℃低い温度まで昇温しながら行う。この延伸開始温度は(Tg+40)℃以下であることが好ましい。又、延伸最高温度は積層している熱可塑性樹脂の内、最も高い熱可塑性樹脂の融点(Tm)より(100〜30)℃低い温度であることが好ましい。
横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でも良い。通常、逐次的に昇温する。例えばステンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、各ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。横延伸開始温度が低すぎるとフィルムの破れが起こり、好ましくない。また延伸最高温度が(Tm−120)℃より低いとフィルムの熱収が大きくなり、また幅方向の物性の均一性が低下し、好ましくない。一方、延伸最高温度が(Tm−20)℃より高いとフィルムが柔らかくなり外乱等によってフィルムの破れが起こり、好ましくない。
横延伸の倍率は、その用途の要求特性にもよるが、1.5倍以上4.0倍以下とするのが好ましい。更に好ましくは、2.5倍以上3.9倍以下とするのが好ましい。1.5倍以下とするとフィルムの厚み斑が悪くなり、4.0倍以上とすると製膜中に破断が発生しやすくなる場合がある。
[塗膜層]
本発明では、上述の積層フィルムの少なくとも片面に、塗布層が設けられる。この塗布層はガラス転移温度が40〜100℃かつ固有粘度が0.4以上0.7未満のポリエステル樹脂からなる組成物の塗布層である。
[ポリエステル樹脂]
塗布層に用いるポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸酸成分とジオール成分から得られるポリエステルを用いることができる。多価塩基成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を例示することができる。
かかるポリエステル樹脂としては、2種以上のジカルボン酸成分を用いた共重合ポリエステルを用いることが好ましい。ポリエステル樹脂には、若干量であればマレイン酸、イタコン酸等の不飽和多塩基酸成分が、或いはp−ヒドロキシ安息香酸等の如きヒドロキシカルボン酸成分が含まれていてもよい。
ポリエステル樹脂のジオール成分としては、エチレングリコール、1、4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、ジメチロールプロパン等や、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールを例示することができる。
ポリエステル樹脂は、ガラス転移点が好ましくは40〜100℃である。ガラス転移温度が40℃未満であるとフィルム同士でブロッキングが発生しやすくなり、100℃を超えると塗膜が硬くて脆くなり、耐傷性が悪化して好ましくない。さらに好ましくは60〜80℃である。この範囲であれば、より優れた接着性や耐傷性を得ることができる。
ポリエステル樹脂の固有粘度は、0.4以上0.7未満である。固有粘度が0.4未満であるとポリエステル樹脂自体からの低分子量物の発生が起こり、基材の透明性を悪化させ、好ましくない。好ましくは0.5以上0.7未満である。この範囲であれば、ポリエステル樹脂自体からの低分子量物の発生をより高度に抑制でき、かつポリエステル樹脂の凝集力がより高くなる故に、より優れた接着性や耐傷性を得ることができる。
また、ポリエステル樹脂は水に可溶性または分散性のものが好ましいが、多少の有機溶剤を含有する水に可溶なものも用いることができる。
ポリエステル樹脂は例えば次の方法で製造することができる。ジカルボン酸成分とジオール成分をエステル交換反応器に仕込み、触媒を添加して窒素雰囲気下で温度を230℃に制御して生成するメタノールを留去させてエステル交換反応を行う。次いで、温度を徐々に255℃まで上昇させ、系内を減圧下にして重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂を得ることができる。重縮合時に分子量が上昇してくると溶融粘度が高くなり、系内の攪拌が難しくなる。塗布層に使用されるポリエステル樹脂はホモのポリエチレンテレフタレートと比較すると分子量が低い割に溶融粘度が高くなり、系内の攪拌が非常に難しく、攪拌設備のモーターのトルクを上げること、羽根の形状を工夫すること、重合時間を延ばすこと等で固有粘度を上げることができる。塗布層中のポリエステル樹脂の、塗布層中での含有割合は好ましくは50〜95重量%、さらに好ましくは60〜90重量%である。
[微粒子]
本発明で塗布層は、微粒子を含有することが好ましい。かかる微粒子は、平均粒子径が20〜200nm、好ましくは40〜120nmである。200nmより大きいと微粒子の落脱が発生しやすくなり、20nmよりも小さいと十分な滑性、耐傷性が得られない場合があり好ましくない。微粒子は通常、塗布層の組成物中に含有される。
本発明で使用する微粒子としては例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、ケイ酸ソーダ、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化錫、三酸化アンチモン、カーボンブラック、二硫化モリブデン等の無機微粒子;アクリル系架橋重合体、スチレン系架橋重合体、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂等の有機微粒子を用いることができる。これらは1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
塗付層の微粒子の含有量は、塗布層の組成物100重量%あたり0.1〜10重量%が好ましい。0.1重量%未満であると十分な滑性、耐傷性が得られず、10重量%を超えると塗膜の凝集力が低くなり接着性が悪化し好ましくない。
[架橋剤]
塗布層の組成物には、架橋剤を配合することが好ましく、架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メラミン系架橋剤およびイソシアネート系架橋剤が好ましい。これらは1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
エポキシ系架橋剤は、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等が挙げられる。ここで、ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトール、ポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルが挙げられる。グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。
オキサゾリン系架橋剤は、オキサゾリン基を含有する重合体が好ましい。かかる重合体は、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2ーエチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等のア(メタ)クリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N、N−ジアルキルアクリルアミド、N、N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸のエステル部にポリアルキレンオキシドを付加させたもの等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα、β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン、等のα、β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
メラミン系架橋剤は、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロールメラミン誘導体に低級アルコールとしてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等を反応させてエーテル化した化合物及びそれらの混合物が好ましい。メチロールメラミン誘導体としては、例えば、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤は、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、1,6−ジイソシアネートヘキサン、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールの付加物、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ポリオール変性ジフェニルメタン−4、4´−ジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3´−ビトリレン−4,4´ジイソシアネート、3,3´ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
塗布層の組成物に架橋剤を含有させる場合、架橋剤の含有割合は、塗布層の組成物100重量%あたり好ましくは0.1〜30重量%、さらに好ましくは10〜25重量%である。0.1重量%より少ないと塗膜の凝集力が発現しない場合があり、接着性が不足する場合があり好ましくない。30重量%より多いと塗膜が非常に硬くなり、応力緩和が少なくなり接着性が発現しない場合や塗設したフィルムを回収使用した場合に架橋体による異物が発生する場合があり好ましくない。
塗布層の架橋剤はオキサゾリン系架橋剤が、取り扱いやすく、塗布液のポットライフが長いことから好ましい。
[脂肪族ワックス]
塗布層には脂肪族ワックスを含有させることが好ましい。
脂肪族ワックスの具体例としては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、パームワックス、ロジン変性ワックス、オウリキュリーワックス、サトウキビワックス、エスパルトワックス、バークワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ロウ、イボタロウ、セラックワックス等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシンワックス等の鉱物系ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス;フィッシャートロプッシュワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素系ワックスを挙げることができる。就中、ハードコートや粘着剤等に対する易接着性と滑性が良好なことから、カルナバワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスが特に好ましい。これらは環境負荷の低減が可能であることおよび取扱い易さから水分散体として用いることが好ましい。
これらの脂肪族ワックスの塗布層組成物中の含有量は好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1重量%〜10重量%である。含有量が0.5重量%未満ではフィルム表面の滑性が十分には得られないことがあり好ましくない。30重量%を超えるとポリエステルフィルム基材への密着やハードコートや粘着剤等に対する易接着性が不足する場合があり好ましくない。
[塗布層の形成方法]
本発明において塗布層の塗設に用いられる上記組成物は、塗布層(以下『塗膜』いうことがある)を形成させるために、水溶液、水分散液或いは乳化液等の水性塗液の形態で使用されることが好ましい。塗布層を形成するために、必要に応じて、前記組成物以外の他の樹脂、例えば帯電防止剤、着色剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、架橋剤を添加することができる。
本発明に用いる水性塗液の固形分濃度は、通常20重量%以下が好ましいが、特に1〜10重量%であることが好ましい。この割合が1重量%未満であると、ポリエステルフィルムへの塗れ性が不足することがあり、20重量%を超えると塗液の安定性や塗布層の外観が悪化することがあり好ましくない。
水性塗液の積層フィルムへの塗布は、任意の段階で実施することができるが、積層フィルムの製造過程で実施するのが好ましく、更には配向結晶化が完了する前の積層フィルムに塗布するのが好ましい。
ここで、結晶配向が完了する前の積層フィルムとは、未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向または横方向の何れか一方に配向せしめた一軸配向フィルム、更には縦方向および横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめたもの(最終的に縦方向また横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)等を含むものである。なかでも、未延伸フィルムまたは一方向に配向せしめた一軸延伸フィルムに、上記組成物の水性塗液を塗布し、そのまま縦延伸および/または横延伸と熱固定とを施すのが好ましい。
水性塗液をフィルムに塗布する際には、塗布性を向上させるための予備処理としてフィルム表面にコロナ表面処理、火炎処理、プラズマ処理等の物理処理を施すか、あるいは組成物と共にこれと化学的に不活性な界面活性剤を併用することが好ましい。かかる界面活性剤は、積層フィルムへの水性塗液の濡れを促進する機能や塗液の安定性を向上させるものであり、例えば、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン型、ノニオン型界面活性剤を挙げることができる。界面活性剤は、塗布層を形成する組成物中に、1〜10重量%含まれていることが好ましい。
塗液の塗布量は、塗布層の厚さが0.01〜0.3μmとなることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.25μmの範囲となるような量である。塗布層の厚さが薄過ぎると、接着力が不足し、逆に厚過ぎると、ブロッキングを起こしたり、ヘイズ値が高くなったりする可能性があり好ましくない。
塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法等を単独または組合せて用いることができる。なお、塗膜は必要に応じフィルムの片面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよい。
[光線透過率]
本発明の透明導電性積層体用フィルムは、波長550nmにおける光線透過率が70%以上であるのが好ましい。これが70%未満であると、透明導電性積層体としての必要な視認性が充分でないものになる場合があり好ましくない。この光線透過率は、可視光波長(380〜780nm)範囲全域で70%以上であることがより好ましい。
[摩擦係数]
本発明の透明導電性積層体用フィルムは、塗布層表面の摩擦係数(μs)が0.8以下であることが好ましい。このようなフィルムは、前記のポリエステル樹脂からなる塗布層を形成させることにより得ることができる。
本発明によれば、視認性とタッチ感、すなわち導電性薄膜の打点特性を改良すると共に、熱処理時の低分子量物の析出が少なく、透明性、易滑性および耐傷性に優れ、光学用途に用いられる層との接着力、特にハードコート層との接着性に優れる透明導電性積層体用フィルムを提供することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。各種物性は下記の方法により評価した。
(1)各層の厚み
サンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kVにて観測撮影し、その写真から各層の厚みを測定し、平均厚み、相対標準偏差を求めた。
(2)光線透過率
島津製作所製の分光分析装置MPC−3100を用いて、光波長550nmにおける可視光線透過率を測定した。
(3)圧縮弾性率
熱可塑性樹脂単体を取出し、3mm厚みのシートを作成した。得られたシートについてJIS K 7181に準拠して測定した。
(4)タッチ感
得られた積層体の表面を先端径3mmφの球状にした鉄棒で筆記を行い、そのタッチ感を下記基準で官能評価した。
○:書き味がソフトで非常に滑らかである。
△:書き味に若干ソフト感が劣るが、硬い感じまではしない。
×:書き味にソフト感がなく、非常に硬い感じがする。
(5)摩擦係数(μs)
ASTM D1894−63に準じ、東洋テスター社製のスリッパリー測定器を使用し、塗膜形成面と反対側の塗膜非形成面との静摩擦係数(μs)を測定した。但し、スレッド板はガラス板とし、荷重は1kgとした。尚、フィルムの滑り性を下記の基準で評価した。
◎: 摩擦係数(μs)≦0.5 ……滑り性極めて良好
○:0.5<摩擦係数(μs)≦0.8 ……滑り性良好
×:0.8<摩擦係数(μs) ……滑り性不良
(6)ハードコート接着性
塗膜形成面に厚さ10μmのハードコート層を形成して碁盤目のクロスカット(1mm2のマス目を100個)を施し、その上に24mm幅のセロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付け、180°の剥離角度で急激に剥がした後、剥離面を観察し、下記の基準で評価した。
5:剥離面積が10%未満 ……接着力極めて良好
4:剥離面積が10%以上20%未満 ……接着力良好
3:剥離面積が20%以上30%未満 ……接着力やや良好
2:剥離面積が30%以上40%未満 ……接着力不良
1:剥離面積が40%以上 ……接着力極めて不良
(7)耐ブロッキング性
2枚のフィルムを、塗膜形成面同士が接するように重ね合せ、これに、60℃、80%RHの雰囲気下で17時間にわたって0.6kg/cm2の圧力をかけ、その後、剥離して、その剥離力(単位:mN/5cm)により耐ブロッキング性を下記の基準で評価した。
◎: 剥離力<98 ……耐ブロッキング性極めて良好
○:98 ≦剥離力<147 ……耐ブロッキング性良好
△:147≦剥離力<196 ……耐ブロッキング性やや良好
×:196≦剥離力 ……耐ブロッキング性不良
(8)ガラス転移温度
サンプル約10mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(デュポン社製・V4.OB2000型DSC)に装着し、25℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温させ、300℃で5分間保持した後取出し、直ちに氷の上に移して急冷する。このパンを再度示差熱量計に装着し、25℃から20℃/分の速度で昇温させてガラス転移温度(Tg:℃)を測定する。
(9)固有粘度
固有粘度([η]dl/g)は、25℃のo−クロロフェノール溶液で測定した。
(10)耐熱性
フィルムを120℃、60分で熱処理し、フィルムのヘイズ値変化量を測定した。なお、フィルムのヘイズ値変化量を下記の基準で評価した。
◎: ヘイズ値変化量≦1.0% ……フィルムの耐熱性極めて良好
○:1.0%<ヘイズ値変化量≦2.5% ……フィルムの耐熱性良好
×:2.5%<ヘイズ値変化量 ……フィルムの耐熱性不良
ヘイズ値変化量=(熱処理後のフィルムのヘイズ値)−(熱処理前のフィルムのヘイズ値)
[実施例1]
低弾性率熱可塑性樹脂aとしてポリエステル系エラストマー(帝人(株)製ヌーベランB4032AT:圧縮弾性率50N/mm)を用いた。これを110℃で乾燥した。
高弾性率熱可塑性樹脂bとしてポリエチレンテレフタレート(固有粘度=0.65dl/g:圧縮弾性率5000N/mm)を用いた。これには平均粒径0.5μmの多孔質凝集シリカを0.05重量%添加し160℃で乾燥した。
その後、低弾性率熱可塑性樹脂aを230℃、高弾性率熱可塑性樹脂bを280℃に加熱された2台の単軸押出機にそれぞれ供給し溶融した後、ダイ内部で高弾性率熱可塑性樹脂bのB層/低弾性率熱可塑性樹脂aのA層/高弾性率熱可塑性樹脂bのB層の3層構成で積層し、この状態で冷却ドラム上にキャスティングし、未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸フィルムを100℃で3.3倍に縦方向に延伸し、表1に示す塗剤1の濃度6%の水性塗液をロールコーターで均一に塗布した。次いで、120℃で横方向に3.5倍延伸し、その後200℃で熱固定処理をして積層フィルムを得た。この積層フィルムの層構成を表2に示す。
[実施例2]
低弾性率熱可塑性樹脂aとしてポリエステル系エラストマー(帝人(株)製ヌーベランP4110AT:圧縮弾性率50N/mm)を用い、これ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムの層構成を表2に示す。
[実施例3〜10、比較例4〜6]
表1に示す塗液を表2の通りに塗布する以外は実施例2と同様に積層フィルムを得た。この積層フィルムの層構成を表2に示す。尚、比較例6では塗液の塗布を行わなかった。
[実施例11]
低弾性率熱可塑性樹脂aとして、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」という)にイソフタル酸を12モル%(全酸成分に対して)共重合した共重合PET(固有粘度=0.60dl/g)を50重量%と、PETにナフタレンジカルボン酸を12モル%(全酸成分に対して)共重合した共重合PET(固有粘度=0.64dl/g)を50重量%とをブレンドしたものを用いた。これを140℃で乾燥した。このブレンド体の圧縮弾性率は1500N/mmであった。
高弾性率熱可塑性樹脂bとしてPET(圧縮弾性率4500N/mm)を用いた。これには平均粒径0.5μmの多孔質凝集シリカを0.05重量%添加し160℃で乾燥した。
その後、低弾性率熱可塑性樹脂aを280℃、高弾性率熱可塑性樹脂bを280℃に加熱された2台の単軸押出機にそれぞれ供給し溶融した後、ダイ内部で高弾性率熱可塑性樹脂bのB層/低弾性率熱可塑性樹脂aのA層/高弾性率熱可塑性樹脂bのB層の3層構成で積層し、この状態で冷却ドラム上にキャスティングし、未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸フィルムを100℃で3.0倍に縦方向に延伸し、表1に示す塗剤1の濃度6%の水性塗液をロールコーターで均一に塗布した。次いで、120℃で横方向に3.3倍延伸し、その後200℃で熱固定処理をして積層フィルムを得た。この積層フィルムの層構成を表2に示す。
[実施例12]
低弾性率熱可塑性樹脂aとしてポリエステル系エラストマー(帝人(株)製ヌーベランB4032AT:圧縮弾性率50N/mm)を用いた。これを110℃で乾燥した。高弾性率熱可塑性樹脂bとしてポリエチレン−2,6−ナフタレート(固有粘度0.66dl/g:圧縮弾性率5500N/mm)を用いた。これには平均粒径0.5μmの多孔質凝集シリカを0.05重量%添加し170℃で乾燥した。
その後、低弾性率熱可塑性樹脂aを230℃、高弾性率熱可塑性樹脂bを300℃に加熱された2台の単軸押出機にそれぞれ供給し溶融した後、ダイ内部で高弾性率熱可塑性樹脂bのB層/低弾性率熱可塑性樹脂aのA層/高弾性率熱可塑性樹脂bのB層の3層構成で積層し、この状態で冷却ドラム上にキャスティングし、未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸フィルムを120℃で3.3倍に縦方向に延伸し、表1に示す塗剤1の濃度6%の水性塗液をロールコーターで均一に塗布した。次いで、150℃で横方向に3.5倍延伸し、その後220℃で熱固定処理をして積層フィルムを得た。この積層フィルムの層構成を表2に示す。
[実施例13]
低弾性率熱可塑性樹脂aとして、ポリスチレン系エラストマー(クラレ(株)製ハイブラー7125)を60重量%に、ポリプロピレン(モンテル・エスディーケー・サンライズ製サンアロマーPL500A)を40重量%の比率でブレンドしたものを、乾燥しないで用いた。このブレンド体の圧縮弾性率は25N/mmであった。高弾性率率熱可塑性樹脂bとして実施例1と同じPETを用いた。これには平均粒径0.5μmの多孔質凝集シリカを0.05重量%添加し160℃で乾燥した。
その後、熱可塑性樹脂aを230℃、熱可塑性樹脂bを280℃に加熱された2台の単軸押出機にそれぞれ供給し溶融した後、ダイ内部で高弾性率熱可塑性樹脂bのB層/低弾性率熱可塑性樹脂aのA層/高弾性率熱可塑性樹脂bのB層の3層構成で積層し、この状態で冷却ドラム上にキャスティングし、未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸フィルムを100℃で3.3倍に縦方向に延伸し、表1に示す塗剤1の濃度6%の水性塗液をロールコーターで均一に塗布した。次いで、120℃で横方向に3.5倍延伸し、その後200℃で熱固定処理をして積層フィルムを得た。この積層フィルムの層構成を表2に示す。
[実施例14]
低弾性率熱可塑性樹脂aとして、ポリスチレン系エラストマー(クラレ(株)製ハイブラー7125)を60重量%に、ポリプロピレン(モンテル・エスディーケー・サンライズ製サンアロマーPL500A)を40重量%の比率でブレンドしたものを、乾燥しないで用いた。ブレンド体の圧縮弾性率は25N/mmであった。高弾性率熱可塑性樹脂bとしては、シンジオタクチックポリスチレン樹脂(出光石油化学(株)製ザレックS100:圧縮弾性率2500N/mm)を乾燥しないで用いた。
その後、低融点熱可塑性樹脂aを230℃、熱可塑性樹脂bを300℃に加熱された2台の単軸押出機にそれぞれ供給し溶融した後、ダイ内部で高融点熱可塑性樹脂bのB層/低融点熱可塑性樹脂aのA層/高融点熱可塑性樹脂bのB層の3層構成で積層し、この状態で冷却ドラム上にキャスティングし、未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸フィルムを120℃で1.5倍に縦方向に延伸し、表1に示す塗剤1の濃度6%の水性塗液をロールコーターで均一に塗布した。次いで、120℃で横方向に1.5倍延伸し、その後200℃で熱固定処理をして積層フィルムを得た。この積層フィルムの層構成を表2に示す。
[比較例1]
高融点熱可塑性樹脂bとして、実施例1と同じPETを用いた。これには平均粒径0.5μmの多孔質凝集シリカを0.05重量%添加し、160℃で乾燥した。本例では、低融点熱可塑性樹脂aを使用せず、高融点熱可塑性樹脂bのみの構成とした。
その後、高融点熱可塑性樹脂bを280℃に加熱された単軸押出機に供給し溶融した後、この状態で冷却ドラム上にキャスティングし、未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸フィルムを100℃で3.3倍に縦方向に延伸し、表1に示す塗剤1の濃度6%の水性塗液をロールコーターで均一に塗布した。次いで、120℃で横方向に3.5倍延伸し、その後200℃で熱固定処理をして積層フィルムを得た。この積層フィルムの層構成を表2に示す。
得られたフィルムは積層構成をとっていないため、光線透過率が高く、透明性は問題なかったが、該フィルムの剛性が強く、タッチ感に劣るものであった。
[比較例2]
低弾性率熱可塑性樹脂aとしてポリエステル系エラストマー(帝人(株)製ヌーベランB4032AN:圧縮弾性率50N/mm)を用い、これ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムの層構成を表2に示す。
使用したポリエステル系エラストマーの結晶性が高い為か、白濁し、光線透過率が30%と低く、透明性に欠けた積層フィルムとなった。
[比較例3]
低弾性率熱可塑性樹脂aとして、実施例1と同じPETを90重量%と、ポリエステル系エラストマー(帝人(株)製ヌーベランP4110AN)を10重量%ブレンドしたものを用いた。これを110℃で乾燥した。ブレンド体の圧縮弾性率は2500N/mmであった。
高弾性率熱可塑性樹脂bとしてはPET(圧縮弾性率5000N/mm)を用いた。このPETには平均粒径0.5μmの多孔質凝集シリカを0.05重量%添加し160℃で乾燥した。
その後、低弾性率熱可塑性樹脂aを230℃、高弾性率熱可塑性樹脂bを280℃に加熱された2台の単軸押出機にそれぞれ供給し溶融した後、ダイ内部で高弾性率熱可塑性樹脂bのB層/低弾性率熱可塑性樹脂aのA層/高弾性率熱可塑性樹脂bのB層の3層構成で積層し、この状態で冷却ドラム上にキャスティングし、未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸フィルムを100℃で13.3倍に縦方向に延伸し、表1に示す塗剤1の濃度6%の水性塗液をロールコーターで均一に塗布した。次いで、120℃で横方向に3.5倍延伸し、その後200℃で熱固定処理をして積層フィルムを得た。この積層フィルムの層構成を表2に示す。
得られた積層フィルムは、光線透過率が高く、透明性は問題なかったが、芯層の熱可塑性樹脂aの圧縮弾性率が高い為、タッチ感に劣るものであった。
Figure 2005129443
塗布層を組成する成分は以下のとおりである。
ポリエステル1:酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸75モル%/イソフタル酸20モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%、グリコール成分がエチレングリコール90モル%/ジエチレングリコール10モル%で構成されている(Tg=80℃、平均分子量15000)。なお、ポリエステル1は、下記の通り製造した。すなわち、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル51部、イソフタル酸ジメチル11部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル4部、エチレングリコール31部、ジエチレングリコール2部を反応器に仕込み、これにテトラブトキシチタン0.05部を添加して窒素雰囲気下で温度を230℃にコントロールして加熱し、生成するメタノールを留去させてエステル交換反応を行った。次いで攪拌器のモータートルクの高い重合釜で反応系の温度を徐々に255℃まで上昇させ系内を1mmHgの減圧にして重縮合反応を行い、固有粘度が0.56のポリエステル1を得た。このポリエステル25部をテトラヒドロフラン75部に溶解させ、得られた溶液に10000回転/分の高速攪拌下で水75部を滴下して乳白色の分散体を得、次いでこの分散体を20mmHgの減圧下で蒸留し、テトラヒドロフランを留去した。ポリエステル1の水分散体を得た。
ポリエステル2:酸成分がテレフタル酸95モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%、グリコール成分がエチレングリコール90モル%/ジエチレングリコール10モル%で構成されている(Tg=72℃、平均分子量16000)。なお、ポリエステル2は下記の通りに製造した。テレフタル酸ジメチル56部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル5部、エチレングリコール36部、ジエチレングリコール3部を反応器に仕込み、これにテトラブトキシチタン0.05部を添加して窒素雰囲気下で温度を230℃にコントロールして加熱し、生成するメタノールを留去させてエステル交換反応を行った。次いで攪拌器のモータートルクの高い重合釜で反応系の温度を徐々に255℃まで上昇させ系内を1mmHgの減圧にして重縮合反応を行い、固有粘度が0.57のポリエステル2を得た。このポリエステル25部をテトラヒドロフラン75部に溶解させ、得られた溶液に10000回転/分の高速攪拌下で水75部を滴下して乳白色の分散体を得、次いでこの分散体を20mmHgの減圧下で蒸留し、テトラヒドロフランを留去した。ポリエステル2の水分散体を得た。
ポリエステル3:酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸75モル%/イソフタル酸20モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%、グリコール成分がエチレングリコール90モル%/ジエチレングリコール10モル%で構成されている(Tg=80℃、平均分子量10000)。なお、ポリエステル1は、下記の通り製造した。すなわち、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル51部、イソフタル酸ジメチル11部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル4部、エチレングリコール31部、ジエチレングリコール2部を反応器に仕込み、これにテトラブトキシチタン0.05部を添加して窒素雰囲気下で温度を230℃にコントロールして加熱し、生成するメタノールを留去させてエステル交換反応を行った。次いで攪拌器のモータートルクが通常の強さである重合釜で反応系の温度を徐々に255℃まで上昇させ系内を1mmHgの減圧にして重縮合反応を行い、固有粘度が0.38のポリエステル3を得た。このポリエステル25部をテトラヒドロフラン75部に溶解させ、得られた溶液に10000回転/分の高速攪拌下で水75部を滴下して乳白色の分散体を得、次いでこの分散体を20mmHgの減圧下で蒸留し、テトラヒドロフランを留去した。ポリエステル3の水分散体を得た。
架橋剤1:メチルメタクリレート30モル%/2−イソプロペニル−2−オキサゾリン30モル%/ポリエチレンオキシド(n=10)メタクリレート10モル%/アクリルアミド30モル%で構成されている(Tg=50℃)。なお、アクリルは、特開昭63−37167号公報の製造例1〜3に記載の方法に準じて下記の通り製造した。すなわち、四つ口フラスコに、イオン交換水302部を仕込んで窒素気流中で60℃まで昇温させ、次いで重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5部、亜硝酸水素ナトリウム0.2部を添加し、更にモノマー類である、メタクリル酸メチル23.3部、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン22.6部、ポリエチレンオキシド(n=10)メタクリル酸40.7部、アクリルアミド13.3部の混合物を3時間にわたり、液温が60〜70℃になるよう調整しながら滴下した。滴下終了後も同温度範囲に2時間保持しつつ、撹拌下に反応を継続させ、次いで冷却して固形分が25%のアクリルの水分散体を得た。
架橋剤2:メチロール化メラミン(三和ケミカル社製 商品名MX−035)
架橋剤3:グリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製 商品名デナコールEX−313)
架橋剤4:ブロック化イソシアネート(第一工業製薬社製 商品名エラストロンBN−5)
微粒子1:シリカ及びチタニアの複合無機粒子(平均粒径:100nm)。なお、微粒子1は、特開平7−2520号公報の製造例及び実施例に記載の方法に準じて下記の通り製造した。撹拌羽根付きの内容積4リットルのガラス製反応容器にメタノール140g、イソプロパノール260g、およびアンモニア水(25重量%)100gを仕込み、反応液を調製し、反応液の温度を40℃に保持しつつ攪拌した。次に、3リットルの三角フラスコに、シリコンテトラメトキシド(Si(OMe)4、コルコート(株)、商品名;メチルシリケート39)542gを仕込み、撹拌しながら、メタノール195gと0.1重量%塩酸水溶液(35%塩酸、和光純薬工業(株)を1/1000に水で希釈)28gを加え、約10分間撹拌した。続いて、チタニウムテトライソプロポキシド(Ti(O−i−Pr)4、日本曹達(株)、品名;A−1(TPT))300gをイソプロパノール634gで希釈した液を加え、透明な均一溶液(シリコンテトラアルコキシドとチタニウムテトラアルコキシドの共縮合物)を得た。上記均一溶液1699gとアンモニア水(25重量%)480gの各々を前記反応液中に、最初は滴下速度を小さくし、終盤にかけて徐々に速度を大きくして、2時間かけて同時に滴下した。滴下終了後、得られた共加水分解物をろ過し、50℃で有機溶媒を乾燥させ、その後、水に分散化させ、濃度10重量%の微粒子1を得た。
微粒子2:シリカフィラー(平均粒径:80nm)
(触媒化成工業社製 商品名カタロイドSI−80P)
微粒子3:アクリルフィラー(平均粒径:80nm)
(日本触媒社製 商品名MX−80W)
添加剤:カルナバワックス(中京油脂社製 商品名セロゾール524)
濡れ剤:ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル(三洋化成社製 商品名ナロアクティーN−70)
Figure 2005129443
本発明の透明導電性積層体用フィルムは、特にタッチパネルに好適に利用することができる。

Claims (15)

  1. 圧縮弾性率10〜2000N/mmの熱可塑性樹脂aの層およびこの層に接する圧縮弾性率2100〜10000N/mmの熱可塑性樹脂bの層からなる共押出法で得られた積層フィルム、ならびに積層フィルムのうえに設けられたガラス転移温度40〜100℃、固有粘度0.4以上0.7未満のポリエステル樹脂の組成物からなる塗布層から構成される透明導電性積層体用フィルム。
  2. 塗布層の組成物が平均粒子径20〜200nmの微粒子を含有する請求項1記載の透明導電性積層体用フィルム。
  3. 塗布層の組成物が架橋剤を含有する請求項1記載の透明導電性積層体用フィルム。
  4. 架橋剤がエポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メラミン系架橋剤およびイソシアネート系架橋剤からなる群から選ばれる1種以上の架橋剤である、請求項3記載の透明導電性積層体用フィルム。
  5. 塗布層の組成物が脂肪族ワックス0.5〜30重量%を含有する、請求項1記載の透明導電性積層体用フィルム。
  6. 延伸された透明導電性積層体用フィルムであって、波長550nmでの光線透過率が70%以上である、請求項1記載の透明導電性積層体用フィルム。
  7. 熱可塑性樹脂bが、ポリエステル樹脂である、請求項1記載の透明導電性積層体用フィルム。
  8. 熱可塑性樹脂aが、熱可塑性エラストマー樹脂である、請求項1記載の透明導電性積層体用フィルム。
  9. 熱可塑性エラストマー樹脂が、ポリエステル系熱可塑性エラストマー樹脂である、請求項8記載の透明導電性積層体用フィルム。
  10. 積層フィルムの最外層が、熱可塑性樹脂bの層である、請求項1記載の透明導電性積層体用フィルム。
  11. 積層フィルムが、熱可塑性樹脂bの層を熱可塑性樹脂aの層の両面に設けて構成される、請求項10記載の透明導電性積層体用フィルム。
  12. 可視光波長全範囲における光線透過率が70%以上である、請求項1記載の透明導電性積層体用フィルム。
  13. タッチパネルに用いられる請求項1記載の透明導電性積層体用フィルム。
  14. 請求項1〜13の何れかに記載の透明導電性積層体用フィルムを用いた透明導電性積層体。
  15. 請求項14記載の透明導電性積層体を用いたタッチパネル。
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