JP2005122156A - 位相差板および画像表示装置 - Google Patents

位相差板および画像表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2005122156A
JP2005122156A JP2004278240A JP2004278240A JP2005122156A JP 2005122156 A JP2005122156 A JP 2005122156A JP 2004278240 A JP2004278240 A JP 2004278240A JP 2004278240 A JP2004278240 A JP 2004278240A JP 2005122156 A JP2005122156 A JP 2005122156A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
liquid crystal
general formula
carbon atoms
retardation plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004278240A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideyuki Nishikawa
秀幸 西川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2004278240A priority Critical patent/JP2005122156A/ja
Publication of JP2005122156A publication Critical patent/JP2005122156A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

【課題】 既存の配向膜を用いても、ディスコティック液晶性化合物の円盤面が配向膜平面に対して略垂直に、且つディスコティック液晶性化合物の円盤面とラビング方向とが略直交にムラなく配向した位相差板を提供する。
【解決手段】 透明支持体上に少なくとも一層の光学異方性層を有し、該光学異方性層が例えば下記式で表される液晶性化合物を用いて形成されていることを特徴とする位相差板。
【化30】
Figure 2005122156

【選択図】 なし


Description

本発明は、新規なディスコティック液晶性化合物を用いた位相差板に関する。特に、液晶性化合物の円盤面と透明支持体平面とが略垂直に、且つその円盤面とラビング方向とが略直交に配向した位相差板に関する。更に本発明は、該位相差板を用いた画像表示装置に関する。
液晶表示装置では、通常、液晶セル、偏光素子および位相差板からなる。透過型液晶表示装置では、通常、二枚の偏光素子を液晶セルの両側に配置し、一枚または二枚の位相差板を液晶セルと偏光素子との間に配置する。反射型液晶表示装置では、通常、反射板、液晶セル、一枚の位相差板、そして一枚の偏光素子の順に配置する。液晶セルは、通常、棒状液晶性分子層、それを封入するための二枚の基板、棒状液晶性分子に電圧を加えるための電極層、および棒状液晶性分子の配向を制御する配向膜層からなる。液晶セルは、棒状液晶性分子の配向状態の違いで、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric LiquidCrystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper TwistedNematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically ControlledBirefringence)、反射型については、TN、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、GH(Guest−Host)のような様々な表示モードが提案されている。
位相差板は、画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。位相差板としては、延伸複屈折ポリマーフィルムが従来から使用されている。延伸複屈折フィルムからなる位相差板に代えて、透明支持体上に液晶性分子から形成された光学的異方性層を有する位相差板を使用することが提案されている。液晶性分子には多様な配向形態があるため、液晶性分子を用いることで、従来の延伸複屈折ポリマーフィルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になった。
位相差板の光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には上記のような表示モードの違いに応じて決定する。液晶性分子を用いると、液晶セルの様々な表示モードに対応する様々な光学的性質を有する位相差板を製造することができる。液晶性分子としては、一般に、棒状液晶性分子またはディスコティック液晶性分子が用いられている。液晶性分子を用いた位相差板では、様々な表示モードに対応するものが既に提案されている。例えば、TNモードの液晶セル用位相差板は、特許文献1〜4の各明細書に記載がある。また、IPSモードまたはFLCモードの液晶セル用位相差板は、特許文献5および6に記載がある。さらに、OCBモードまたはHANモードの液晶セル用位相差板は、特許文献7および8の各明細書に記載がある。さらにまた、STNモードの液晶セル用位相差板は、特許文献9に記載がある。そして、VAモードの液晶セル用位相差板は、特許文献10に記載がある。
これら多種多様の表示モードに対応するためには、ディスコティック液晶性化合物および棒状液晶性化合物のそれぞれの分子を、所望の配向角度に制御する配向膜が必須であるが、その角度によっては従来の技術では十分に配向することができないものもあった。例えば、特許文献5および6に記載のIPSモード等にはディスコッティック液晶性化合物の分子を、その円盤面を配向膜平面に対して略垂直に配向させた位相差板が好適に使用できることが記載されている。ディスコティック液晶性化合物をかかる配向状態に配向させ得る配向膜としては、例えば、特許文献11中には疎水的な置換基を導入した配向膜等が提案されている。しかしながら、これらの配向膜を用いると、実際には、図1(a)の様に、ディスコッティック液晶性化合物の分子01を、その円盤面とラビング方向04とを平行にして、且つ配向膜平面02に対して垂直に配向させることはできるが、図1(b)の様に、ディスコッティック液晶性化合物の分子01を、その円盤面とラビング方向04とを直交させて、且つ配向膜平面02に対して垂直にムラなく配向させることは困難であった。
また、棒状液晶性化合物の場合には、図2に示した様な、棒状液晶性化合物03を、その長軸がラビング方向04と略直交して配向させる方法として、例えば、特許文献12〜17に記載の様に、カルバゾール環やフルオレン環等をポリマー主鎖に置換させた配向膜を用いる方法が知られているが、実施例で後述するように、これらの配向膜と従来のディスコッティック液晶性化合物では、その円盤面とラビング方向04とを直交させて、且つ配向膜平面02に対して垂直にムラなく配向させることは困難であった。
特開平6−214116号公報 米国特許5583679号明細書 米国特許5646703号明細書 ドイツ特許公報3911620A1号 特開平9−292522号公報 特開平10−54982号公報 米国特許第5805253号明細書 国際特許出願公開第96/37804号パンフレット 特開平9−26572号公報 特許第2866372号公報 特開2000−282041公報 特開2002−62427号公報 特開2002−90545号公報 特開2002−98836号公報 特開2002−268068号公報 特開2002−309010号公報 特開2002−350859号公報
本発明が解決しようとする課題は、既存の配向膜を用いても、ディスコティック液晶性化合物の円盤面が配向膜平面に対して略垂直に、且つディスコティック液晶性化合物の円盤面とラビング方向とが略直交にムラなく配向した位相差板を提供することである。更に、本発明は、画像表示特性の改善された画像表示装置、特にIPSモードの画像表示装置を提供することを課題とする。
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)透明支持体上に、少なくとも一層の光学異方性層を有する位相差板であって、該光学異方性層が下記一般式(I)で表される液晶性化合物を用いて形成されていることを特徴とする位相差板。
一般式(I)
Figure 2005122156
一般式(I)中、Y11、Y12、Y13、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26は、それぞれ独立にメチンまたは窒素原子を表す。X1、X2、X3は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、メチレン、またはイミノを表す。L1、L2、L3は、それぞれ独立に単結合または二価の連結基を表す。R1、R2、R3は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基、またはシリル基を表す。
(2)光学異方性層が下記一般式(II)で表される液晶性化合物を用いて形成されていることを特徴とする(1)記載の位相差板。
一般式(II)
Figure 2005122156
一般式(II)中、Y11、Y12、Y13、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26は、それぞれ独立にメチンまたは窒素原子を表す。X1、X2、X3は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、メチレン、またはイミノを表す。L1、L2、L3は、それぞれ独立に単結合または二価の連結基を表す。R1、R2、R3は、それぞれ独立に下記一般式(V)を表す。
一般式(V)
Figure 2005122156
一般式(V)中、*は一般式(II)中の5員環に結合する位置を表す。R4はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルキルオキシ基、炭素原子数2〜8のアシル基、炭素原子数2〜8のアシルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、またはシアノ基を表す。L6は**−O−、**−CO−O−、**−O−CO−、**−O−CO−O−、または**−CH2−を表し、**は一般式(V)中のベンゼン環に結合する位置を表す。R5は水素原子、メチル基、エチル基またはプロピル基を表す。mは2から16の整数を表す。lは0〜4の整数を表す。R6は水素原子またはメチル基を表す。
(3)透明支持体と少なくとも一層の光学異方性層との間に配向膜層を有することを特徴とする(1)または(2)記載の位相差板。
(4)液晶性化合物の分子が、分子の円盤面と透明支持体平面とのなす角を略垂直にして配向固定されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の位相差板
(5)液晶性化合物の分子が、分子の円盤面と配向膜層のラビング方向とのなす角を略直交にして配向固定されていることを特徴とする(3)または(4)に記載の位相差板。
(6)液晶セルと、(1)〜(5)のいずれかに記載の位相差板を有することを特徴とする画像表示装置。
(7)前記液晶セルがIPS(In−Plane Switching)モードであることを特徴とする(6)に記載の画像表示装置。
なお、本明細書において、「略垂直」及び「略直交」は、正確に90°である態様以外にも、90±5°である態様も含む意味である。
本発明によれば、特定の液晶性化合物を用いることによって、従来は困難であったディスコティック液晶性分子を配向膜平面に対して略垂直に、且つディスコティック液晶性分子の円盤面とラビング方向とを略直交にムラなく配向させることができる。また、上記配向状態に固定された液晶性化合物を含有する光学異方性層を有する位相差板は、画像表示装置の表示特性の向上に寄与する。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
[液晶性化合物]
本発明に係る液晶性化合物は、下記一般式(I)で表される。
一般式(I)
Figure 2005122156
一般式(I)中、Y11、Y12、Y13、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26は、それぞれ独立にメチンまたは窒素原子を表す。
11、Y12、Y13、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26がメチンの場合は、メチンは置換基を有していてもよい。置換基の例には、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換または無置換のアミノ基(例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アルキルスルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基が挙げられる)、アリールスルホニルアミノ基(例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N−メチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(例えば、無置換のカルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、アルキルスルホニル基(例えば、メシル基などが挙げられる)、アリールスルホニル基(例えば、トシル基などが挙げられる)、アルキルスルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル基などが挙げられる)、アリールスルフィニル基(例えば、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(例えば、無置換のウレイド基、3−メチルウレイド基、3−フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。
これらのなかでも、メチンの置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子およびシアノ基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基がさらに好ましく、炭素数は1乃至12のアルキル基、炭素数は1乃至12のアルコキシ基、炭素数は2乃至12アルコキシカルボニル基、炭素数は2乃至12アシルオキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基が最も好ましい。
一般式(I)中、X1、X2、X3は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、メチレン、イミノを表す。X1、X2、X3が、メチレン、イミノの場合は、置換基を有していてもよい。置換基としては、上記メチンの置換基として挙げたものが好ましい。これらの置換基はさらに置換されていてもよく、その場合の置換基もメチンの置換基が有してもよい置換基として挙げたものと同じである。
一般式(I)中、L1、L2、L3は、それぞれ独立に単結合または二価の連結基である。L1、L2、L3が二価の連結基の場合、それぞれ独立に、−O−,−S−,−C(=O)−,−NR7−,−CH=CH−、−C≡C−、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
1、L2、L3で表される二価の環状基とは、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の連結基である。二価の環状基は5員環、6員環、または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることがもっとも好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であっても良い。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。環状基は、芳香族環、および複素環が好ましい。
1、L2、L3で表される二価の環状基のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレンであることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイルが好ましい。
1、L2、L3で表される二価の環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1乃至16のアルキル基、炭素原子数が1乃至16のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1乃至16のアルコキシ基、炭素原子数が2乃至16のアシル基、炭素原子数が1乃至16のアルキルチオ基、炭素原子数が2乃至16のアシルオキシ基、炭素原子数が2乃至16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2乃至16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2乃至16のアシルアミノ基が含まれる。
1、L2、L3としては、単結合、*−O−CO−、*−CO−O−、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−二価の環状基−、*−O−CO−二価の環状基−、*−CO−O−二価の環状基−、*−CH=CH−二価の環状基−、*−C≡C−二価の環状基−、*−二価の環状基−O−CO−、*−二価の環状基−CO−O−、*−二価の環状基−CH=CH−、*−二価の環状基−C≡C−が好ましい。特に、単結合、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−CH=CH−二価の環状基−、*−C≡C−二価の環状基−が好ましい。*は一般式(I)中のY11、Y12およびY13を含む6員環に結合する位置を表す。
一般式(I)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立にアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換または無置換のアミノ基(例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アルキルスルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基が挙げられる)、アリールスルホニルアミノ基(例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N−メチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(例えば、無置換のカルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、アルキルスルホニル基(例えば、メシル基などが挙げられる)、アリールスルホニル基(例えば、トシル基などが挙げられる)、アルキルスルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル基などが挙げられる)、アリールスルフィニル基(例えば、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(例えば、無置換のウレイド基、3−メチルウレイド基、3−フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)を表す。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。
1、R2、R3は、それぞれ独立に下記一般式(III)で表されるものが更に好ましい。
一般式(III) *−L11−Q
一般式(III)中、*は一般式(I)中の5員環に結合する位置を表す。
Qはそれぞれ独立に重合性基またはメチル基である。本発明の位相差板を含め、一般式(I)で表される化合物を光学補償フィルムのような位相差の大きさが熱により変化しないものが好ましい光学フィルムに用いる場合には、Qは重合性基であることが好ましい。重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
Figure 2005122156
さらに、重合性基は付加重合反応が可能な官能基であることが特に好ましい。そのような重合性基としては、重合性エチレン性不飽和基または開環重合性基が好ましい。
重合性エチレン性不飽和基の例としては、下記の式(M−1)〜(M−6)が挙げられる。
Figure 2005122156
式(M−3)、(M−4)中、Rは水素原子または置換基を表す。置換基としては、R1、R2、R3として挙げたものが挙げられる。Rとしては、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基が特に好ましい。
上記(M−1)〜(M−6)のなかでも、(M−1)または(M−2)が好ましく、(M−1)が最も好ましい。
開環重合性基として好ましいのは、環状エーテル基であり、中でもエポキシ基またはオキセタニル基がより好ましく、エポキシ基が最も好ましい。
一般式(III)中、L11は二価の連結基である。L11は、−O−,−S−,−C(=O)−,−NR7−,二価の鎖状基,二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
11で表される二価の鎖状基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基,置換アルキニレン基を意味する。なかでも、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基およびアルケニレン基がさらに好ましい。
11で表される二価の鎖状基としてのアルキレン基は、分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は1乃至16であることが好ましく、2乃至14であることがさらに好ましく、2乃至12であることが最も好ましい。置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
11で表される二価の鎖状基としてのアルケニレン基は、主鎖中に置換または無置換のアルキレン基を有してもよく、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素数は2乃至16であることが好ましく、2乃至14であることがさらに好ましく、2乃至12であることが最も好ましい。置換アルケニレン基のアルケニレン部分は、上記アルケニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
11で表される二価の鎖状基としてのアルキニレン基は、主鎖中に置換または無置換のアルキレン基を有してもよく、アルキニレン基の炭素数は2乃至16であることが好ましく、2乃至14であることがさらに好ましく、2乃至12であることが最も好ましい。置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
11で表される二価の鎖状基の具体例としては、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、1−メチル−1,4−ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、2−ブテニレンおよび2−ブチニレンなどが挙げられる。
11で表される二価の環状基とは、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の連結基である。二価の環状基は5員環、6員環、または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることがもっとも好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であっても良い。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。
11で表される二価の環状基のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレンであることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイルが好ましい。
11で表される二価の環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1乃至16のアルキル基、炭素原子数が1乃至16のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1乃至16のアルコキシ基、炭素原子数が2乃至16のアシル基、炭素原子数が1乃至16のアルキルチオ基、炭素原子数が2乃至16のアシルオキシ基、炭素原子数が2乃至16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2乃至16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2乃至16のアシルアミノ基が含まれる。
1、R2、R3は、それぞれ独立に下記一般式(IV)で表されるものが更に好ましい。
一般式(IV) *−L21−二価の環状基−L22−Q1
一般式(IV)中、*は一般式(I)中の5員環に結合する位置を表す。
1は、一般式(III)のQの定義と同様である。
21は単結合または二価の連結基である。L21が二価の連結基の場合、−O−,−S−,−C(=O)−,−NR7−,−CH=CH−、−C≡C−、およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
21は単結合、および、*−O−CO−、*−CO−O−、*−CH=CH−、*−C≡C−(ここで、*は一般式(IV)中の*側を表す)が好ましい。
一般式(IV)中の二価の環状基は、一般式(III)中の二価の環状基の定義と同様である。
一般式(IV)中、L22は、一般式(III)のL11の定義と同様である。
22で表される二価の連結基の例を以下に示す。ここで、右側が一般式(IV)中の二価の環状基に、左側がQ1に結合する。
L−1:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−
L−2:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−CO−O−
L−3:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−O−CO−
L−4:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−CO−NR7
L−5:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−6:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−7:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−8:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−
L−9:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−CO−O−
L−10:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−O−CO−
L−11:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−CO−NR7
L−12:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−13:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−14:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−15:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−
L−16:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−CO−O−
L−17:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−O−CO−
L−18:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−CO−NR7
L−19:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−20:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−21:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−22:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−
L−23:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−CO−O−
L−24:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−O−CO−
L−25:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−CO−NR7
L−26:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−27:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−28:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−29:−二価の鎖状基−
L−30:−二価の鎖状基−O−
L−31:−二価の鎖状基−CO−O−
L−32:−二価の鎖状基−O−CO−
L−33:−二価の鎖状基−CO−NR7
L−34:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−
L−35:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−
L−36:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−CO−O−
L−37:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−CO−
上記のうち、L−2,L−3,L−9,L−10,L−16,L−17,L−23,L−24,L−30,L−31,L−32,L−35,L−36,L−37が好ましい。
1、R2、R3は、それぞれ独立に下記一般式(V)で表されるものが最も好ましい。
一般式(V)
Figure 2005122156
一般式(V)中、*は一般式(I)中の5員環に結合する位置を表す。
4はそれぞれ独立にハロゲン原子(好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルキルオキシ基、炭素原子数2〜8のアシル基、炭素原子数2〜8のアシルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基を表す。好ましくは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルキルオキシ基、炭素原子数2〜4のアシル基、炭素原子数2〜4のアシルオキシ基、炭素原子数2〜4のアルコキシカルボニル基、シアノ基である。
lは0〜4の整数を表し、好ましくは0または1であり、最も好ましくは0である。lが2以上の場合、複数のR4で表される基はそれぞれ異なっていてもよい。
6は**−O−、**−CO−O−、**−O−CO−、**−O−CO−O−、または**−CH2−を表し、**は一般式(V)中のベンゼン環に結合する位置を表す。
5は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基を表し、より好ましくは水素原子もしくはメチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
mは2から16の整数を表し、好ましくは2から12の整数である。ここで、mが5以上の整数の場合、1つの−CH−は−O−に置き換えられていも良い。またmが8以上の場合、1つもしくは2つの−CH−は−O−に置き換えられていも良い。ただし、−CH−を−O−に置き換えた場合、−O−にR5は連結しないものとする。
6は水素原子またはメチル基を表し、好ましくは水素原子である。
以下に、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005122156
Figure 2005122156
Figure 2005122156
Figure 2005122156
Figure 2005122156
Figure 2005122156
Figure 2005122156
Figure 2005122156
Figure 2005122156
Figure 2005122156
Figure 2005122156
Figure 2005122156
Figure 2005122156
Figure 2005122156
本発明に係る液晶性化合物は、良好なモノドメイン性を示す液晶相を発現することが望ましい。モノドメイン性が悪い場合には、得られる構造がポリドメインとなり、ドメイン同士の境界に配向欠陥が生じ、光を散乱するようになる。良好なモノドメイン性を示すと、位相差板が高い光透過率を有しやすくなる。
本発明に係る液晶性化合物が発現する液晶相としては、カラムナー相およびディスコティックネマチック相(ND相)を挙げることができる。これらの液晶相の中では、良好なモノドメイン性を示すディスコティックネマチック相(ND相)が最も好ましい。
本発明に係る液晶性化合物は、液晶相を20℃〜300℃の範囲で発現することが好ましい。さらに好ましくは40℃〜280℃であり、最も好ましくは60℃〜250℃である。ここで20℃〜300℃で液晶相を発現するとは、液晶温度範囲が20℃をまたぐ場合(具体的に例えば、10℃〜22℃)や、300℃をまたぐ場合(具体的に例えば、298℃〜310℃)も含む。40℃〜280℃と60℃〜250℃に関しても同様である。
2.位相差板
本発明の位相差板の一形態は、支持体上に配向膜層(本明細書では単に「配向膜」と称することもある)と、該配向膜によって配向制御され、且つその配向状態に固定された液晶性化合物を含有する光学異方性層を有する。図3は、本発明の位相差板の一実施形態を示した断面模式図である。図3に示す位相差板14は、透明支持体11上に、配向膜12および光学異方性層13を有する。配向膜12は、プラスチックフィルム等の透明支持体11の表面に、塗布または蒸着等によって形成することができる。配向膜12の表面をラビングした後、液晶性化合物を含有する組成物(塗布液)をラビング処理面に塗布すると、液晶性化合物の分子はラビングによって配向制御され、所望の配向角度に配向する。その後、その配向状態に液晶性分子を固定して、光学異方性層13を形成し、位相差板14が得られる。
本発明においては、液晶性化合物の分子の円盤面と配向膜のラビング方向とは略直交であることが好ましい。また、分子の円盤面と透明支持体平面とのなす角が略垂直であることが好ましい。
図4および図5は、本発明の好ましい態様の1つである。ここで、図4は長尺状に作製された位相差板の斜視図を表し、図5(a)は側面模式図(図4中、a方向から観察した図)、及び図(b)は正面模式図(図4中、b方向から観察した図)を表す。図5に示す位相差板24は、透明支持体21上に配向膜22を設け、ディスコティック液晶性化合物01の分子の円盤面がラビング方向04と略直交する光学異方性層23を有する。ディスコティック液晶性化合物01の分子の円盤面は、配向膜22側から空気界面側まで配向膜平面に対し略垂直に配向している。なお、透明支持体平面と配向膜平面とは実質平行であり、本明細書において、「分子の円盤面と配向膜平面とのなす角度が略垂直」と「分子の円盤面と透明支持体平面とのなす角度が略垂直」とは同義である。
例えば、配向膜を設けた長尺状の支持体にラビング処理を施そうとすれば、長手方向とラビング方向04を直交させることは困難である。従って、ラビング処理を施した配向膜を設けた長尺状の支持体の上に、図4および5に示す位相差板を作製するためには、液晶性化合物の分子の円盤面が配向膜のラビング方向とは略直交で配向する必要が生じる。
[光学異方性層]
本発明における光学異方性層は、本発明に係る液晶性化合物が配向した状態を含む。従って、光学異方性層は、液晶性化合物の配向に基づく光学異方性を示す。
光学異方性層は、本発明に係る液晶性化合物とともに、その配向を制御するのに寄与する材料、配向状態を固定するのに寄与する材料等、他の材料を含有する組成物から形成してもよい。本発明に従う液晶性化合物は一度液晶相形成温度まで加熱し、次にその配向状態を維持したまま冷却することによりその液晶状態における配向形態を損なうことなく固定化することができる。また、本発明に従う液晶性化合物は、重合開始剤を添加した組成物を液晶相形成温度まで加熱した後、重合させ冷却することによっても固定化することができる。本発明で配向状態が固定化された状態とは、その配向が保持された状態が最も典型的、且つ好ましい態様ではあるが、それだけには限定されず、具体的には、通常0℃〜50℃、より過酷な条件下では−30℃〜70℃の温度範囲において、該層に流動性がなく、且つ外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることなく、固定化された配向形態を安定に保ち続けることができる状態を指すものである。
なお、配向状態が最終的に固定化された際に、液晶性組成物はもはや液晶性を示す必要はない。例えば、液晶性化合物として重合性化合物を用いた場合、結果的に熱、光等での反応により重合または架橋反応が進行し、高分子量化して、液晶性を失ってもよい。
[光学異方性層の形成方法]
光学異方性層は、例えば、液晶性化合物を可溶できる溶媒に溶解して調製した塗布液を、支持体上に形成され且つ配向性が付与された配向膜上に塗布し、次いで、25℃〜130℃において用いた溶媒を乾燥すると同時に、液晶性化合物を配向させ、更に、所望により紫外線照射等によって固定化することによって形成されることができる。
このようにして形成された光学異方性層の厚さは、用途に応じて、例えば、最適なレターデーションの値に応じて、その好ましい範囲も異なるが、一般的には、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜5μmであるのがさらに好ましい。
[光学異方性層の添加剤]
光学異方性層の形成にあたり、本発明に係る液晶性化合物に加えることが可能な添加剤としては、例えば、特開特開2002−98828号公報に記載のディスコティック液晶性分子および後述する空気界面配向制御剤、配向膜界面配向制御剤、ハジキ防止剤、重合開始剤、重合性モノマー等が挙げられる。
[空気界面配向制御剤]
液晶性化合物は、空気界面においては空気界面のチルト角(透明支持体面と液晶性化合物の円盤面のなす角)で配向する。空気界面におけるチルト角は、液晶性化合物の種類によりその程度が異なるために、空気界面のチルト角を任意に制御する必要がある。
このチルト角の制御には、例えば、電場や磁場のような外場を用いることや添加剤を用いることができるが、添加剤を用いることが好ましい。
このような添加剤としては、炭素原子数が6〜40の置換または無置換脂肪族基もしくは炭素原子数が6〜40の置換または無置換脂肪族置換オリゴシロキサノキシ基を、分子内に1本以上有する化合物が好ましく、分子内に2本以上有する化合物がさらに好ましい。例えば、空気界面配向制御剤としては、特開2002−20363号公報に記載の疎水性排除体積効果化合物を用いることができる。
空気界面側の配向制御用添加剤の添加量としては、液晶性化合物に対して、0.001質量%〜20質量%が好ましく、0.01質量%〜10質量%がさらに好ましく、0.1質量%〜5質量%が最も好ましい。
[配向膜界面配向制御剤]
液晶性化合物は、配向膜界面においては配向膜界面のチルト角で配向する。本発明に係る液晶性化合物は、配向膜界面においてほぼ90°のチルト角を示すことが多いため、このチルト角を制御する必要は多くないが、例えば、90°より小さいチルト角を示す液晶性化合物を用いた場合や、90°よりも小さいチルト角が必要な場合においては、配向膜界面のチルト角を任意に制御する必要がある。
このチルト角の制御には、例えば、電場や磁場のような外場を用いることや添加剤を用いることができるが、添加剤を用いることが好ましい。
このような添加剤としては、分子内に極性基を有する化合物が好ましい。極性基を有する化合物としては、例えば、−OH、−NH2、−COOH、−SO3H基やオニウム塩を分子内に有する化合物を挙げることができる。具体的に例えば特開2004−101920に記載の添加剤を用いることができる。
配向膜界面側の配向制御用添加剤の添加量としては、本発明に係る液晶性化合物に対して、0.001質量%〜10質量%が好ましく、0.005質量%〜5質量%がさらに好ましく、0.01質量%〜2質量%が最も好ましい。
[ハジキ防止剤]
本発明に係る液晶性化合物に添加し、該組成物の塗布時のハジキを防止するための材料としては、一般に高分子化合物を好適に用いることができる。使用するポリマーとしては、本発明に係る液晶性化合物のチルト角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。
ポリマーの例としては、特開平8−95030号公報に記載があり、特に好ましい具体的ポリマー例としてはセルロースエステル類を挙げることができる。セルロースエステルの例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。本発明に係る液晶性化合物の配向を阻害しないように、ハジキ防止目的で使用されるポリマーの添加量は、円盤状化合物に対して一般に0.1〜10質量%の範囲にあり、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
[重合開始剤]
本発明では、液晶性化合物はモノドメイン配向、つまり実質的に均一に配向している状態で固定されていることが好ましく、そのため重合性の液晶性化合物を用いている場合には重合反応により液晶性化合物を固定することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応と電子線照射による重合反応が含まれるが、熱により支持体等が変形、変質するのを防ぐためにも、光重合反応と電子線照射による重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)等が挙げられる。光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、10mJ〜50J/cm2であることが好ましく、50mJ〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。また、雰囲気の酸素濃度は重合度に関与するため、空気中で所望の重合度に達しない場合には、窒素置換等の方法により酸素濃度を低下させることが好ましい。好ましい酸素濃度としては、10%以下が好ましく、7%以下がさらに好ましく、3%以下が最も好ましい。
[重合性モノマー]
本発明に係る液晶性化合物とともに使用する重合性モノマーとしては、本発明に係る液晶性化合物と相溶性を有し、本発明に係る液晶性化合物のチルト角変化や配向阻害を著しく引き起こさない限り、特に限定はない。これらの中では重合活性なエチレン性不飽和基、例えばビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基などを有する化合物が好ましく用いられる。上記重合性モノマーの添加量は、液晶性化合物に対して一般に0〜30質量%の範囲にあり、0〜20質量%の範囲にあることが好ましい。また反応性官能基数が2以上のモノマーを用いると、配向膜と光学異方性層間の密着性を高める効果が期待できるため、特に好ましい。
[塗布方式]
光学異方性層は、下記溶媒を用いて液晶組成物の塗布液を調製し、例えば配向膜上に塗布し、液晶性化合物を配向処理することで形成する。塗布液の塗布は、公知の方法(例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
[塗布溶剤]
液晶組成物の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、トルエン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド、エステルおよびケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液中の液晶性化合物およびその他の添加剤の固形分濃度としては、0.1質量%〜60質量%が好ましく、0.5質量%〜50質量%がより好ましく、2質量%〜40質量%がさらに好ましい。また、塗布液の粘度は、0.01cp〜100cpが好ましく、0.1cp〜50cpがより好ましい。
[配向膜]
液晶性化合物を配向させる方法としては、例えば、電場や磁場のような外場を用いる方法や配向膜を用いる方法を挙げることができるが、本発明においては、配向膜を用いることが好ましい。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜上に設けられる光学異方性層の液晶性化合物に所望の配向を付与できるのであれば、配向膜としてはどのような層でもよいが、本発明においては、ラビング処理もしくは、光照射により形成される配向膜が好ましい。特にポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、一般にはポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に数回擦ることにより実施することができるが、特に本発明では液晶便覧(丸善(株))に記載されている方法により行うことが好ましい。配向膜の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜3μmであることがさらに好ましい。
なお、配向膜を用いて液晶性化合物を配向させてから、その配向状態のまま液晶性化合物を固定して光学異方性層を形成し、光学異方性層のみをポリマーフィルム(または透明支持体)上に転写しても良い。配向状態の固定された液晶性化合物は、配向膜がなくても配向状態を維持することができる。そのため、位相差板では、配向膜は(位相差板の製造において必須であるが)必須ではない。
液晶性化合物を配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを調節するポリマー(通常の配向用ポリマー)を用いる。具体的なポリマーの種類については液晶セルまたは位相差板について種々の文献に記載がある。いずれの配向膜においても、液晶性化合物と透明支持体の密着性を改善する目的で、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位を導入するか、あるいは、環状基の置換基として導入することができる。界面で液晶性化合物と化学結合を形成する配向膜を用いることが好ましく、かかる配向膜としては特開平9−152509号公報に記載されている。
本発明においては、液晶性化合物の分子の円盤面と配向膜のラビング方向とが略直交に配向する配向膜を用いることが好ましい。このような配向膜としては、棒状液晶性化合物の長軸方向をラビング方向とが略直交に配向させるような配向膜を用いることが好ましい。そのような配向膜としては、例えば、ポリスチレンや上記特許文献12〜17に記載のカルバゾール環やフルオレン環等をポリマー主鎖に置換させた配向膜を用いることができる。
[支持体]
本発明の位相差板は支持体を有する。支持体は、作製時に用いられる支持体と必ずしも同一でなくてもよく、前記光学異方性層を作製した後、作製時に用いた仮支持体から他の支持体に転写してもよい。透明で光学異方性が小さく、波長分散が小さいポリマーフィルムを支持体として用いることが好ましい。ここで支持体が透明であるとは、支持体を分光光度計((株)島津製作所製UV−2550)を用いて、透過率の測定を行った場合、400nm〜700nmの波長において、光透過率が80%以上であることを意味する。
波長分散が小さいとは、具体的には、波長400nmおよび700nmにおける面内レターデーションの比(Re400/Re700)が1.2未満であることが好ましい。光学異方性が小さいとは、具体的には、面内レターデーション(Re)が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。透明支持体は、ロール状または長方形のシート状の形状を有することが好ましく、ロール状の透明支持体を用いて、光学異方性層を積層してから、必要な大きさに切断することが好ましい。ポリマーの例には、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレートおよびポリメタクリレートが含まれる。セルロースエステルが好ましく、アセチルセルロースがさらに好ましく、トリアセチルセルロースが最も好ましい。ポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明支持体の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。透明支持体とその上に設けられる層(接着層、配向膜あるいは光学異方性層)との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。
本発明の位相差板は、種々の用途に利用される。画像表示装置、例えば液晶表示装置の光学補償シートや、直線偏光膜や透明保護膜と積層して偏光板として利用され得る。
[偏光板]
本発明の位相差板に、直線偏光膜または透明保護膜を貼り合せ、偏光板とした後に、実際の液晶表示素子に用いる際に好ましい。以下に該偏光膜および透明保護膜について説明する。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の透過軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。ディスコティック液晶性化合物を光学異方性層に用いた場合には、偏光膜の透過軸は、配向膜側のディスコティック液晶性分子の面に対し、実質的に平行になるように配置される。また、棒状液晶性化合物を用いた場合、偏光膜の透過軸は、棒状液晶性分子の長軸方向(遅相軸)と、実質的に平行になるように配置する。通常は、位相差板の支持体側に張り合わせるのが好ましいが、必要によっては、光学異方性層側と張り合わせてもよい。
位相差板の光学異方性層側に透明保護膜として、透明なポリマーフィルムを用いてもよい。保護膜が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。透明保護膜としては、一般にセルロースエステルフィルム、好ましくはトリアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明保護膜の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
[液晶表示装置]
本発明の位相差板は、様々な表示モードの液晶セルを有する液晶表示装置に用いることができる。前述した様に、本発明の位相差板は、液晶セルの光学補償シートして有用である。液晶性分子からなる光学異方性層有する光学補償シートは、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric LiquidCrystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper TwistedNematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically ControlledBirefringence)、反射型については、TN、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、GH(Guest−Host)等の液晶セルに対応するものが既に提案されている。本発明によって得られる位相差板および偏光板は、その配向状態によって種々の液晶表示モードに適用できるが、図5に示した、ディスコティック液晶性化合物を配向膜側から空気界面側まで垂直に配向させた光学異方性層を有する位相差板は、透過型のIPSモードに好適に使用できる。
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
(実施例1)位相差板の作製
[配向膜の形成]
厚さ100μm、幅150mm、長さ200mの光学的に等方性のトリアセチルセルロースフィルムを透明支持体として用いた。特開2002−98836公報に記載の下記のアクリル酸コポリマー(PA732)およびトリエチルアミン(中和剤)を、メタノール/水の混合溶媒(質量比=30/70)に溶解して、4質量%溶液を調製した。この溶液を、バーコーターを用いてロール状透明支持体を搬送しながらその上に連続的に塗布した。塗布層を120℃で5分間加熱して、乾燥し、厚さ1μmの層を形成した。塗布層を設けたロール状透明支持体を搬送しながら、長手方向(搬送方向)に連続的に塗布層の表面をラビング処理して、配向膜を形成した。
Figure 2005122156
[光学異方性層の形成]
ラビング処理を行った配向膜の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布した。塗布層を130℃で1分間加熱して、ディスコティック液晶性分子を配向させた。その温度で600mJ/cm2の紫外線を照射してディスコティック液晶性分子を重合させ、配向状態を固定した。このようにして光学的異方性層を形成し、本発明の位相差板を作製した。波長550nmにおける面内レターデーション(Re)をKOBRA(王子計測機器(株)製)を用いて測定したところ、Reは100nmであった。また、観察角度を変えてレターデーションを測定したところ、レタデーションの角度依存性がほぼ左右対称になったことから、液晶性化合物の円盤面は略垂直であることが分かった。 また、分子の円盤面と配向膜のラビング方向とのなす角は90°であった。
────────────────────────────────────
光学的異方性層(A)塗布液組成
────────────────────────────────────
本発明に係る液晶性化合物(D−8) 100質量部
光重合開始剤
(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製) 2.0質量部
下記空気界面配向制御剤 (KK−1) 0.2質量部
クロロホルム 270質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2005122156
(比較例1)
[光学異方性層の形成]
実施例1で作製した配向膜の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布した。塗布層を130℃で1分間加熱して、ディスコティック液晶性分子を配向させた。その温度で600mJ/cm2の紫外線を照射してディスコティック液晶性分子を重合させ、配向状態を固定した。このようにして光学的異方性層を形成し、位相差板を作製した。波長550nmにおける面内レターデーション(Re)をKOBRA(王子計測機器(株)製)を用いて測定したところ、Reは50nmであった。また、観察角度を変えてレターデーションを測定したところ、レタデーションの角度依存性が左右対称にならなかったことから、液晶性化合物の円盤面は略垂直でないことが分かった。
また、分子の円盤面と配向膜のラビング方向とのなす角は90°であった。
────────────────────────────────────
光学的異方性層(B)塗布液組成
────────────────────────────────────
下記従来型液晶性化合物(JD−1) 100質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 9.9質量部
光重合開始剤
(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製) 3.3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1.1質量部
上記空気界面配向制御剤 (KK−1) 0.2質量部
メチルエチルケトン 270質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2005122156
[偏光板および画像表示装置の作製]
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。偏光膜の一方の面に、ケン化処理したロール状セルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を、他方の面にケン化処理した、上記作製したロール状位相差板の透明支持体を、連続して貼り合わせ、偏光板を作製した。作製した偏光板を透過型IPS用液晶セルに貼り付け、人物画像を表示した状態を目視で観察した結果、ムラの無い画像が得られた。その結果を表1に示す。
Figure 2005122156
以上の結果から、本発明に係る液晶性化合物を用いることによって、従来のディスコティック液晶性化合物では困難であった液晶性分子を略垂直に、且つ液晶性分子の面とラビング方向が略直交にムラなく配向させることが可能であることが分かった。また、結果として良好な画像表示性能を与える偏光板を得ることができた。
(合成例1)
下記スキームにしたがってD−9を合成した。
Figure 2005122156
文献記載の方法(Kim, Bong Giらの報告、Molecular Crystals and Liquid Crystals, 2001年, 370巻, 391頁)に従い合成した(D−3)5.0gをCH2Cl2100mlに溶解させ、三臭化ホウ素(1.0M CH2Cl2溶液)75mlを添加した。40℃で12時間撹拌後、反応液に水を加え、析出した結晶をろ過により濾取した。この結晶を乾燥することで、トリヒドロキシ体を3.0g得た。
4−ヒドロキシブチルアクリレート6.5gとトリエチルアミン8.0gを酢酸エチル100mlに溶解後、メタンスルホニルクロライド4.2gを酢酸エチル50ml溶解した溶液を、反応温度30℃以下で滴下した。0.5時間攪拌後、水100mlを加え酢酸エチル層を洗浄した。分液後、酢酸エチル層を留去し、上記トリヒドロキシ体0.5g、炭酸カリウム0.8gおよびジメチルホルムアミドを加え、100℃で5時間攪拌した。反応液に水を加え、CH2Cl2で抽出後、有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィーを用いて精製を行うことで、D−9の結晶0.7gを得た。得られたD−9の1H−NMRスペクトルは以下の通りである。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
1.70−1.90(6H、m)
1.90−2.00(6H、m)
3.95−4.30(12H、m)
5.80(3H、d)
6.14(3H、dd)
6.43(3H、d)
7.08(6H、d)
8.13(6H、d)
9.02(3H、s)
得られたD−9の相転移温度を偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって行ったところ、温度を上げていき131℃付近で結晶相からカラムナー相に転移し、さらに134℃付近でカラムナー相からディスコティックネマチック相に転移し、138℃を超えると等方性液体相に転移した。すなわち、D−9は131℃から138℃の間で液晶相を呈し、特に、134℃から138℃の間でディスコティックネマチック相を呈することが分かった。
(合成例2)
[D−8の合成]
下記スキームにしたがってD−8を合成した。
Figure 2005122156
3−ブロモ−1−プロパノール5gをジメチルアセトアミド20mlに溶解後、アクリロイルクロライド3.8mlを、反応温度40℃以下で滴下した。1時間攪拌後、水200mlを加え酢酸エチル/ヘキサンで抽出した。分液後、有機層を留去し、実施例10に記載のトリヒドロキシ体0.5g、炭酸カリウム2.0gおよびジメチルホルムアミドを加え、100℃で10時間攪拌した。
反応液に水を加え、CH2Cl2で抽出後、有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィーを用いて精製を行うことで、D−8の結晶0.8gを得た。得られたD−8の1H−NMRスペクトルは以下の通りである。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
2.15−2.30(6H、m)
4.18(6H、t)
4.43(6H、t)
5.86(3H、d)
6.16(3H、dd)
6.45(3H、d)
7.08(6H、d)
8.16(6H、d)
9.02(3H、s)
得られたD−8の相転移温度を偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって行ったところ、温度を上げていき125℃付近で結晶相からディスコティックネマチック相に転移し、149℃を超えると等方性液体相に転移した。すなわち、D−8は125℃から149℃の間でディスコティックネマチック相を呈することが分かった。
ディスコティック液晶性分子のラビング方向に対する配向状態を模式的に示した図である。 棒状液晶性分子のラビング方向に対する配向状態を模式的に示した図である。 本発明の位相差板の一実施形態の断面模式図である。 本発明の位相差板の一実施形態の斜視図である。 本発明の位相差板の一実施形態の(a)側面模式図および(b)正面模式図である。
符号の説明
01 ディスコティック液晶性化合物
02 配向膜平面
03 棒状液晶性化合物
04 ラビング方向
11、21 透明支持体
12、22 配向膜
13、23 光学異方性層
14、24 位相差板

Claims (7)

  1. 透明支持体上に、少なくとも一層の光学異方性層を有する位相差板であって、該光学異方性層が下記一般式(I)で表される液晶性化合物を用いて形成されていることを特徴とする位相差板。
    一般式(I)
    Figure 2005122156
    一般式(I)中、Y11、Y12、Y13、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26は、それぞれ独立にメチンまたは窒素原子を表す。X1、X2、X3は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、メチレン、またはイミノを表す。L1、L2、L3は、それぞれ独立に単結合または二価の連結基を表す。R1、R2、R3は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基、またはシリル基を表す。
  2. 光学異方性層が下記一般式(II)で表される液晶性化合物を用いて形成されていることを特徴とする請求項1記載の位相差板。
    一般式(II)
    Figure 2005122156
    一般式(II)中、Y11、Y12、Y13、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26は、それぞれ独立にメチンまたは窒素原子を表す。X1、X2、X3は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、メチレン、またはイミノを表す。L1、L2、L3は、それぞれ独立に単結合または二価の連結基を表す。R1、R2、R3は、それぞれ独立に下記一般式(V)を表す。
    一般式(V)
    Figure 2005122156
    一般式(V)中、*は一般式(II)中の5員環に結合する位置を表す。R4はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルキルオキシ基、炭素原子数2〜8のアシル基、炭素原子数2〜8のアシルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、またはシアノ基を表す。L6は**−O−、**−CO−O−、**−O−CO−、**−O−CO−O−、または**−CH2−を表し、**は一般式(V)中のベンゼン環に結合する位置を表す。R5は水素原子、メチル基、エチル基またはプロピル基を表す。mは2から16の整数を表す。lは0〜4の整数を表す。R6は水素原子またはメチル基を表す。
  3. 透明支持体と少なくとも一層の光学異方性層との間に配向膜層を有することを特徴とする請求項1または2記載の位相差板。
  4. 液晶性化合物の分子が、分子の円盤面と透明支持体平面とのなす角を略垂直にして配向固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の位相差板
  5. 液晶性化合物の分子が、分子の円盤面と配向膜層のラビング方向とのなす角を略直交にして配向固定されていることを特徴とする請求項3または4に記載の位相差板。
  6. 液晶セルと、請求項1〜5のいずれかに記載の位相差板を有することを特徴とする画像表示装置。
  7. 前記液晶セルがIPS(In−Plane Switching)モードであることを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
JP2004278240A 2003-09-24 2004-09-24 位相差板および画像表示装置 Pending JP2005122156A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004278240A JP2005122156A (ja) 2003-09-24 2004-09-24 位相差板および画像表示装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003330969 2003-09-24
JP2004278240A JP2005122156A (ja) 2003-09-24 2004-09-24 位相差板および画像表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005122156A true JP2005122156A (ja) 2005-05-12

Family

ID=34621904

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004278240A Pending JP2005122156A (ja) 2003-09-24 2004-09-24 位相差板および画像表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005122156A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006273781A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Fuji Photo Film Co Ltd 化合物、液晶組成物、薄膜、位相差板および光学補償シート
JP2006301614A (ja) * 2005-03-24 2006-11-02 Fuji Photo Film Co Ltd 位相差板
JP2007002220A (ja) * 2005-03-15 2007-01-11 Fujifilm Holdings Corp 化合物、組成物、位相差板、楕円偏光板および液晶表示装置
JP2007079346A (ja) * 2005-09-16 2007-03-29 Fujifilm Corp 光学フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2007102205A (ja) * 2005-09-07 2007-04-19 Fujifilm Corp 光学補償フィルム、その製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
JP2007108732A (ja) * 2005-09-16 2007-04-26 Fujifilm Corp 偏光板及び液晶表示装置
JP2007248780A (ja) * 2006-03-15 2007-09-27 Fujifilm Corp 光学補償膜およびそれを用いた液晶表示装置
US8025936B2 (en) 2005-12-01 2011-09-27 Fujifilm Corporation Optical compensation film, polarizing plate and liquid crystal display device

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007002220A (ja) * 2005-03-15 2007-01-11 Fujifilm Holdings Corp 化合物、組成物、位相差板、楕円偏光板および液晶表示装置
US7968156B2 (en) 2005-03-15 2011-06-28 Fujifilm Corporation Compound, composition, retardation plate, elliptically-polarizing plate and liquid-crystal display device
JP2006301614A (ja) * 2005-03-24 2006-11-02 Fuji Photo Film Co Ltd 位相差板
JP2006273781A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Fuji Photo Film Co Ltd 化合物、液晶組成物、薄膜、位相差板および光学補償シート
JP4628158B2 (ja) * 2005-03-30 2011-02-09 富士フイルム株式会社 化合物、液晶組成物、薄膜、位相差板および光学補償シート
JP2007102205A (ja) * 2005-09-07 2007-04-19 Fujifilm Corp 光学補償フィルム、その製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
JP2007079346A (ja) * 2005-09-16 2007-03-29 Fujifilm Corp 光学フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2007108732A (ja) * 2005-09-16 2007-04-26 Fujifilm Corp 偏光板及び液晶表示装置
US8025936B2 (en) 2005-12-01 2011-09-27 Fujifilm Corporation Optical compensation film, polarizing plate and liquid crystal display device
JP2007248780A (ja) * 2006-03-15 2007-09-27 Fujifilm Corp 光学補償膜およびそれを用いた液晶表示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4606195B2 (ja) 液晶化合物、液晶組成物、重合体、位相差板、及び楕円偏光板
JP4866638B2 (ja) 位相差板
JP4721747B2 (ja) 高分子膜、液晶配向膜、位相差板及び液晶表示装置
JP4613079B2 (ja) 液晶組成物、位相差板および楕円偏光板
JP4794563B2 (ja) 位相差板、楕円偏光板および液晶表示装置
JP2007031709A (ja) 液晶組成物及び位相差板
JP4686317B2 (ja) 液晶性組成物、位相差板、および楕円偏光板
JP4344591B2 (ja) 位相差板、トリフェニレン化合物および液晶表示装置
JP4264307B2 (ja) 液晶性化合物、液晶性組成物および位相差板
JP2005122156A (ja) 位相差板および画像表示装置
JP4431454B2 (ja) 液晶性化合物、液晶性組成物および位相差板
JP2005122155A (ja) 位相差板、楕円偏光板および液晶表示装置
JP5750069B2 (ja) 液晶配向促進剤、液晶組成物、高分子材料およびフィルム
JP2007057609A (ja) 位相差板
JP2006124666A (ja) 液晶性組成物
JP3996292B2 (ja) 液晶表示装置およびその製造方法
JP2005316234A (ja) 位相差板
JP4647270B2 (ja) 位相差板、その製造方法ならびにそれを用いた偏光板及び画像表示装置
JP4199488B2 (ja) 位相差板および円偏光板
JP4628158B2 (ja) 化合物、液晶組成物、薄膜、位相差板および光学補償シート
JP2004300420A (ja) 液晶組成物、重合物、位相差板、及び楕円偏光板
JP2010077096A (ja) 化合物、液晶性組成物、膜、及び位相差板
JP2006091551A (ja) 光学補償フィルム、楕円偏光板及び液晶表示装置
JP2006171102A (ja) 光学補償板の製造方法
JP2006091626A (ja) 光学補償フィルム、楕円偏光板、及び液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060327

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061124