JP2005120116A - ポリウレタンエマルジョンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】引火性が低く、また、良好な水分散性と貯蔵安定性を有するポリウレタンエマルジョンの製造方法を提供する。
【解決手段】水に対する溶解度が25℃で0.1〜40質量%の範囲内にあり、かつ、引火点が50℃以上であるグリコールエーテル(A)を最終生成物であるポリウレタンエマルジョン基準で1〜20質量%含有する条件で存在させて、有機ジイソシアネート(B)、高分子ポリオール(C)およびカルボキシル基含有低分子グリコール(D)をウレタン化反応させた後、ウレタン化反応物を三級アミン(E)で中和してカルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得、さらに、水に乳化させた後、鎖延長剤(F)および反応停止剤(G)を反応させてポリウレタンエマルジョンを得る。
【選択図】なし
【解決手段】水に対する溶解度が25℃で0.1〜40質量%の範囲内にあり、かつ、引火点が50℃以上であるグリコールエーテル(A)を最終生成物であるポリウレタンエマルジョン基準で1〜20質量%含有する条件で存在させて、有機ジイソシアネート(B)、高分子ポリオール(C)およびカルボキシル基含有低分子グリコール(D)をウレタン化反応させた後、ウレタン化反応物を三級アミン(E)で中和してカルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得、さらに、水に乳化させた後、鎖延長剤(F)および反応停止剤(G)を反応させてポリウレタンエマルジョンを得る。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリウレタンエマルジョンの製造方法に関する。
従来、ウレタン樹脂溶液は、溶液におけるウレタン樹脂成分の微粒化の実現や分散安定性等の観点から、また、その用途である接着剤等における接着性等の特性に優れることから、多量の有機溶剤を含有させたものが主体であった。
しかしながら、近年、大気汚染防止、消防法上の規制、労働衛生等の要求に対応するべく、有機溶媒の含有量を低減した状態で、さらには有機溶媒を含まない状態で、ウレタン樹脂成分を水分散させたポリウレタンエマルジョン(ポリウレタン水分散液)の使用がさかんに検討されつつある。なお、消防法上の規制に関しては、有機溶媒を含んだウレタン樹脂溶の場合においても最終的に脱溶剤することにより、規制への対応が可能であるが、このとき、脱溶剤プロセスにともなうコスト増等の不具合を避けることができない。
このような有機溶媒を含まないポリウレタンエマルジョンの製造方法として、例えば、有機溶剤不存在下、高粘度化したプレポリマーを強制撹拌することで良好な乳化性を実現するもの、ウレタン樹脂原料にビニルモノマーを含有させることで高粘度化を抑制するとともに乳化性を確保し、最終的にはビニルモノマーを重合化させることで脱溶剤プロセスも不要とするもの、ウレタン樹脂原料に二級アルコールを含有させることで高粘度化を抑制するとともに乳化性を確保し、最終的には二級アルコールを揮散させるもの等の周知技術を挙げることができる。
しかしながら、現在検討されている上記それぞれのポリウレタンエマルジョンの製造方法は、いずれも一長一短を有するのが実情である。
ところで、高粘度化したプレポリマーの粘度を低下させる方法として、多量の高沸点で水溶性の溶剤である例えばN−メチルーピロリドンを加える方法が知られている。また、さらに、生態的に問題を含み、表示の義務のあるN−メチルーピロリドンに代えて、グリコールエーテルとして例えばジプロピレングリコールジメチルエーテルに変更する努力がなされているとの報告もある(特許文献1参照。)。
特表2002−509956号公報 段落番号11
しかしながら、上記のように、特許文献1には、高粘度化したプレポリマーの粘度を低下させる方法としてジプロピレングリコールジメチルエーテルを加えることについての記載はあるものの、それ以上の開示はない。
本発明は、グリコールエーテルをより有用に用いる新たなポリウレタンエマルジョンの製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、消防法上の規制に対応し、引火性の低いポリウレタンエマルジョンの製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、良好な水分散性と貯蔵安定性を有するポリウレタンエマルジョンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るポリウレタンエマルジョンの製造方法は、水に対する溶解度が25℃で0.1〜40質量%の範囲内にあり、かつ、引火点が50℃以上であるグリコールエーテル(A)を最終生成物であるポリウレタンエマルジョン基準で1〜20質量%含有する条件で存在させて、有機ジイソシアネート(B)、高分子ポリオール(C)およびカルボキシル基含有低分子グリコール(D)をウレタン化反応させてウレタン化反応物を得る工程と、
該ウレタン化反応物を三級アミン(E)で中和してカルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得る工程と、
該カルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを水に乳化させた後、さらに鎖延長剤(F)および反応停止剤(G)を反応させてポリウレタンエマルジョンを得る工程を有することを特徴とする。
該ウレタン化反応物を三級アミン(E)で中和してカルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得る工程と、
該カルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを水に乳化させた後、さらに鎖延長剤(F)および反応停止剤(G)を反応させてポリウレタンエマルジョンを得る工程を有することを特徴とする。
また、本発明に係るポリウレタンエマルジョンの製造方法は、カルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを水に乳化させた後、さらに鎖延長剤(F)を反応させてポリウレタンエマルジョンを得る工程を有することを特徴とする
また、本発明に係るポリウレタンエマルジョンの製造方法は、カルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを水に乳化、反応させてポリウレタンエマルジョンを得る工程を有することを特徴とする。
また、本発明に係るポリウレタンエマルジョンの製造方法において、前記グリコールエーテル(A)が、ジプロピレングリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジブチルエーテルであることを特徴とする。
また、本発明に係るポリウレタンエマルジョンの製造方法において、レベリング剤(H)を添加する工程をさらに有することを特徴とする。
本発明に係るポリウレタンエマルジョンの製造方法によれば、水に対する溶解度が25℃で0.1〜40質量%の範囲内にあり、かつ、引火点が50℃以上であるグリコールエーテル(A)を最終生成物であるポリウレタンエマルジョン基準で1〜20質量%含有する条件で存在させて、ウレタン化反応物を得た後、ポリウレタンエマルジョンを得るため、引火性の低いポリウレタンエマルジョンを得ることができる。
また、本発明に係るポリウレタンエマルジョンの製造方法によれば、良好な水分散性および貯蔵安定性を有するポリウレタンエマルジョンを得ることができる。
本発明の実施の形態について、以下に説明する。
本発明に係るポリウレタンエマルジョンの製造方法は、水に対する溶解度が25℃で0.1〜40質量%の範囲内にあり、かつ、引火点が50℃以上であるグリコールエーテルを最終生成物であるポリウレタンエマルジョン基準で1〜20質量%含有する条件で存在させて、有機ジイソシアネート、高分子ポリオールおよびカルボキシル基含有低分子グリコールをウレタン化反応させてウレタン化反応物を得る第1工程と、
ウレタン化反応物を三級アミン(第三アミン)で中和してカルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得る第2工程と、
カルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを水に乳化させた後、さらに鎖延長剤および反応停止剤を反応させてポリウレタンエマルジョンを得る第3工程を有する。
ウレタン化反応物を三級アミン(第三アミン)で中和してカルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得る第2工程と、
カルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを水に乳化させた後、さらに鎖延長剤および反応停止剤を反応させてポリウレタンエマルジョンを得る第3工程を有する。
また、本発明に係るポリウレタンエマルジョンの他の製造方法は、上記第1および第2工程を経た後、第3工程において、上記の方法に代えて、カルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを水に乳化させた後、さらに鎖延長剤を反応させてポリウレタンエマルジョンを得る。
また、本発明に係るポリウレタンエマルジョンのさらに他の製造方法は、上記第1および第2工程を経た後、第3工程において、上記の方法に代えて、カルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを水に乳化、反応させてポリウレタンエマルジョンを得る。
また、本発明に係るポリウレタンエマルジョンの製造方法は、より好ましくは、レベリング剤を添加する第4工程をさらに有する。
以下、順次工程を追って説明する。
まず、上記第1工程について説明する。
第1工程では、グリコールエーテルの存在下、ウレタン樹脂原料を反応させてウレタン化反応物を生成する。
グリコールエーテルは、水に対する溶解度が25℃で0.1〜40質量%の範囲内にあり、かつ、引火点が50℃以上であるものを用いる。
このようなグリコールエーテルは、適宜のものを用いることができるが、好適には、下記表1に示すジプロピレングリコールジメチルエーテル(以下、DMFDGと表示する。)やジエチレングリコールジブチルエーテル(以下、DBDGと表示する。)を用いる。
第1工程において、グリコールエーテルは、好適には、最終生成物であるポリウレタンエマルジョン基準で1〜20質量%含有させる。
グリコールエーテルは、ウレタン化反応工程において、また、さらには、ウレタンプレポリマー生成工程において、粘度低下剤として作用し、さらに、最終生成物であるウレタンエマルジョンを塗膜材料として用いるときの成膜助剤として作用する。
すなわち、第1工程において、グリコールエーテルを添加することで、ウレタン化反応過程、さらにはウレタンプレポリマー生成反応過程における原料の粘度の上昇を軽減することができ、ポリウレタンエマルジョンの良好な乳化状態を得ることができる。また、さらに、貯蔵安定性に優れるポリウレタンエマルジョンを得ることができる。
また、通常用いられるトルエンやイソプロパノール(以下、IPAと表示する。)等の有機溶剤(表1参照。)をポリウレタンエマルジョンが含有しないため、水の沸点(100℃)以下において引火点がない(引火点が検出されない)ポリウレタンエマルジョンを得ることができる。なお、引火点測定は、後述する方法によって行われる。
第1工程で用いるウレタン樹脂原料は、特に限定するものではないが、好適には、以下のものを用いる。
ジイソシアネートとして有機ジイソシアネートを用いる。有機ジイソシアネートは、より好適には、脂肪族または脂環族ジイソシアネートを用いる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート等を用いることができる。
脂環族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリメチルキシリレンジイソシアネート等を用いることができる。
また、更には、これら脂肪族ジイソシアネートや脂環族ジイソシアネートのウレタン変性体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、ビュレット変性体、ウレトジオン変性体、ウレトイミン変性体、イソシアヌレート変性体等のイソシアネート変性体も使用できる。
また、更には、これら脂肪族ジイソシアネートや脂環族ジイソシアネートのウレタン変性体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、ビュレット変性体、ウレトジオン変性体、ウレトイミン変性体、イソシアヌレート変性体等のイソシアネート変性体も使用できる。
これら脂肪族ジイソシアネートや脂環族ジイソシアネートあるいはそれらの変性体は単独でも用いることができるし、2種以上を混合して用いても良い。
高分子ポリオールは、適宜のものを用いることができるが、好適には、ポリカーボネートポリオールを用いる。
つぎに、上記第2工程について説明する。
第2工程では、ウレタン化反応物を三級アミンで中和してカルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを生成する。
三級アミンは、適宜のものを用いることができるが、好適には、トリエチルアミン(以下、TEAと表示する。)を用いる。また、トリメチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン等を用いることもできる。
つぎに、上記第3工程について説明する。
第3工程では、第2工程で得られたカルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを水に乳化させた後、さらに鎖延長剤および反応停止剤を反応させて、または、カルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを水に乳化させた後、さらに鎖延長剤を反応させて、または、カルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを水に乳化、反応させて、ポリウレタンエマルジョンを生成する。
鎖延長剤および反応停止剤は、それぞれ適宜のものを用いることができ、具体的には、以下のものを用いる。
鎖延長剤は、例えば、低分子ポリオール類、低分子ポリアミン類あるいはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−フェニルジプロパノールアミン等のアミノアルコール類などを用いることができる。
反応停止剤は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、2−エチルヘキサノール等のモノアルコール類、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等の1級アミンや、ジエチルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン等のモノアミン類を用いることができ、また、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミノアルコール類も反応停止剤となりえる。さらに、フェニルイソシアネート、ブチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート等のようなモノイソシアネート類も反応停止剤として使用できる。
本発明では、より好ましくは、第4工程でレベリング剤を添加する。
レベリング剤は、適宜のものを用いることができる。
本発明の製造法により得られるポリウレタンエマルジョンの平均粒径は、好ましくは1,000nm以下であり、より好ましくは500nm以下である。平均粒径が上限を越える場合は、沈降が起こり、エマルジョンとして存在できなくなる。なお、この平均粒径とは、動的光散乱法にて測定した値をキュムラント法にて解析した値である。
また、ポリウレタンエマルジョンの25℃における粘度は、好ましくは5,000mPa・s以下であり、より好ましくは1,000mPa・s以下である。粘度が上限を越える場合は、基材への塗布が困難となりやすい。
なお、背景技術の項で説明した、ウレタン樹脂原料に二級アルコールを含有させる方法は、二級アルコールの存在によって高粘度化を抑制するとともに分散性を確保し、最終的には二級アルコールを揮散させる点において、本発明と共通する部分を有する。しかしながら、二級アルコールとして、例えばイソプロピルアルコールを用いた場合、すでに説明したように、その引火点が12℃と低く、得られるウレタン樹脂水分散液が引火性の問題を含むことが明らかである。さらに、二級アルコールを用いる方法は、二級アルコールと原料の高分子ポリオールとの相溶性が低い、親水基が分子骨格に導入されたプレポリマーの段階で二級アルコールを用いることになるが、この段階ではプレポリマーの粘度が高いために均一に希釈することが難しい等の問題がある。
実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、比率を単に%で表示しているものもすべて質量%の意である。
実施例1について説明する。なお、実施例1をはじめとして各実施例および比較例で略号表示した各使用原料の名称を表2にまとめて示す。
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹梓装置および温度計を備えた容量3Lのフラスコ
を乾燥空気で置換した後、ポリオール−1を419.6g、DMBAを31.1g、DMFDGを200g仕込み、60℃に温度調節した。次に、IPDIを149.1g、DOTDLを0.12g仕込み、80℃にて3時間反応させた。その後TEAを21.2g仕込んで、カルボン酸塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液を得た。ウレタンプレポリマー溶液は、75℃の粘度が3,000mPa・s、イソシアネート含量が2.58%であった。
を乾燥空気で置換した後、ポリオール−1を419.6g、DMBAを31.1g、DMFDGを200g仕込み、60℃に温度調節した。次に、IPDIを149.1g、DOTDLを0.12g仕込み、80℃にて3時間反応させた。その後TEAを21.2g仕込んで、カルボン酸塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液を得た。ウレタンプレポリマー溶液は、75℃の粘度が3,000mPa・s、イソシアネート含量が2.58%であった。
次に、水を999g仕込んで乳化させた。乳化直後は浮遊物もなく均一にウレタンプレポリマーが分散した。この分散液に、あらかじめEDAを14.4g、MEAを1.5g、水を143g配合したアミン水溶液を仕込み、40℃で鎖延長反応を行った。FT−IRにてイソシアネート基の吸収ピークの消失を確認した後、あらかじめポリフローKL−245を2.1g、水を19g配合したレベリング剤水溶液を仕込み、さらに、固形分調整のため60gの水を追加仕込みして、ポリウレタンエマルジョンPUE−1を得た。
上記のPUE−1の製造条件および製造結果を表3に示す。
さらに、使用原料の種類および使用量を一部変えたほかは、上記実施例1と基本的に同様の条件でポリウレタンエマルジョンを生成した製造条件および製造結果を、実施例2〜6については表3に、実施例7、8および比較例1〜4について表4に、比較例5〜8については表5に、それぞれまとめて示す。また、実施例1〜8および比較例5〜7で得られたポリウレタンエマルジョンの皮膜耐水性および貯蔵安定性の試験結果を表6に示す。
ここで、実施例7、8については、第3工程における水の作用が実施例1〜6とは異なるため、以下に製造条件を個別に示す。
実施例7では、実施例1と同様な反応器の内部を乾燥空気で置換した後、ポリオール−1を416.8g、DMBAを30.8g、DMFDGを200g仕込み、60℃に温度調節した。次に、IPDIを148.1g、DOTDLを0.12g仕込み、80℃にて3時間反応させた。その後TEAを21.1g仕込んで、カルボン酸塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液を得た。該ウレタンプレポリマー溶液は、75℃の粘度が3,100mPa・s、イソシアネート含量が2.58%であった。
次に、水を1,292g仕込んで乳化させた。乳化直後は浮遊物もなく均一にウレタンプレポリマーが分散した。この分散液に、あらかじめEDAを7.5g、水を68g配合したアミン水溶液を仕込み、50℃でEDAおよび水による鎖延長反応を行った。12時間後、FT−IRにてイソシアネート基の吸収ピークの消失を確認した後、あらかじめポリフローKL−245を2.1g、水を19g配合したレベリング剤水溶液を仕込み、さらに、固形分調整のため65gの水を追加仕込みして、ポリウレタンエマルジョンPUE−7を得た。
実施例8では、実施例1と同様な反応器の内部を乾燥空気で置換した後、ポリオール−1を424.4g、DMBAを31.4g、DMFDGを200g仕込み、60℃に温度調節した。次に、IPDIを150.8g、DOTDLを0.12g仕込み、80℃にて3時間反応させた。その後TEAを21.4g仕込んで、カルボン酸塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液を得た。該ウレタンプレポリマー溶液は、75℃の粘度が3,200mPa・s、イソシアネート含量が2.59%であった。
次に、水を1,160g仕込んで乳化させた。乳化直後は浮遊物もなく均一にウレタンプレポリマーが分散した。この分散液をさらに50℃で水による鎖延長反応を行った。12時間後、FT−IRにてイソシアネート基の吸収ピークの消失を確認した後、あらかじめポリフローKL−245を2.1g、水を19g配合したレベリング剤水溶液を仕込み、さらに、固形分調整のため70gの水を追加仕込みして、ポリウレタンエマルジョンPUE−8を得た。
比較例1、2は、DMFDGを過少にあるいは過大に含有させた例であり、比較例3〜6は、本発明のグリコールエーテルに代えて通常用いられる有機溶剤を用いた例であり、比較例7、8は、DMFDGを適量含有させる一方で、中和剤の添加時期を本発明のウレタン化反応時より後の、ウレタンプレポリマー生成時に変えた例であり、このうち、比較例7では、さらに、中和剤として、TEAに変えてNaOHを用いた例である。
なお、比較例1〜4および比較例8では、ウレタンプレポリマーを水に乳化したところ、表4、5に示す乳化状態の異常が発生したので、それ以降の製造工程は行わなかった。表4、5中、「グリコールエーテルほか含有量」のかっこ内の値は、固形分30%として、鎖延長反応を行ったと仮定したときの値を、参考までに示したものである。
上記各表の製造結果の欄に示したポリウレタンエマルジョンの各特性の試験方法について、それぞれ以下に説明する。
グリコールエーテル含有量もしくはグリコールエーテルほか含有量およびカルボン酸塩含有量は、仕込みから算出した。
平均粒径は、電気泳動光散乱計(大塚電子社製 ELS−800 )にて測定した。
引火点は、自動密閉式引火点測定装置(スタンホープ社製、型番71000−0、引火点測定範囲−30〜100℃)を使用し、JIS K2265 迅速平衡法(セタ密閉式)にて測定した。
固形分および粘度は、JIS K5400にて測定した。
貯蔵安定性試験は、ポリウレタンエマルジョンを密閉容器に入れて50℃で1ヶ月貯蔵した後の状態を観察して、以下のように評価した。
○:変化が認められない。
×:ゲル状物や、二層分離状態が確認される。
○:変化が認められない。
×:ゲル状物や、二層分離状態が確認される。
耐水性試験は、表面処理をしたアルミ板にポリウレタンエマルジョンを150μm(ウェット状態)で塗布し、120℃で30分乾燥して成膜して、試験片を作成し、この試験片の塗布面に水1滴たらし、その上にカバーグラスをかぶせた直後及び2時間後の膜の外観を観察して、以下のように評価した。
○:白化、膨潤等の異常は確認されない。
×:白化、膨潤等の異変が顕著に確認される。
××:白化、膨潤等の異変がより顕著に確認される。
○:白化、膨潤等の異常は確認されない。
×:白化、膨潤等の異変が顕著に確認される。
××:白化、膨潤等の異変がより顕著に確認される。
実施例1〜8では、乳化状態、耐水性、貯蔵安定性の各特性のすべてに優れ、かつ、引火性の低いポリウレタンエマルジョンが得られ、一方、比較例1〜8では、これらの各特性のいずれかが不足したポリウレタンエマルジョンが得られることがわかる。
Claims (5)
- 水に対する溶解度が25℃で0.1〜40質量%の範囲内にあり、かつ、引火点が50℃以上であるグリコールエーテル(A)を最終生成物であるポリウレタンエマルジョン基準で1〜20質量%含有する条件で存在させて、有機ジイソシアネート(B)、高分子ポリオール(C)およびカルボキシル基含有低分子グリコール(D)をウレタン化反応させてウレタン化反応物を得る工程と、
該ウレタン化反応物を三級アミン(E)で中和してカルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得る工程と、
該カルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを水に乳化させた後、さらに鎖延長剤(F)および反応停止剤(G)を反応させてポリウレタンエマルジョンを得る工程を有することを特徴とするポリウレタンエマルジョンの製造方法。 - 水に対する溶解度が25℃で0.1〜40質量%の範囲内にあり、かつ、引火点が50℃以上であるグリコールエーテル(A)を最終生成物であるポリウレタンエマルジョン基準で1〜20質量%含有する条件で存在させて、有機ジイソシアネート(B)、高分子ポリオール(C)およびカルボキシル基含有低分子グリコール(D)をウレタン化反応させてウレタン化反応物を得る工程と、
該ウレタン化反応物を三級アミン(E)で中和してカルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得る工程と、
該カルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを水に乳化させた後、さらに鎖延長剤(F)を反応させてポリウレタンエマルジョンを得る工程を有することを特徴とするポリウレタンエマルジョンの製造方法。 - 水に対する溶解度が25℃で0.1〜40質量%の範囲内にあり、かつ、引火点が50℃以上であるグリコールエーテル(A)を最終生成物であるポリウレタンエマルジョン基準で1〜20質量%含有する条件で存在させて、有機ジイソシアネート(B)、高分子ポリオール(C)およびカルボキシル基含有低分子グリコール(D)をウレタン化反応させてウレタン化反応物を得る工程と、
該ウレタン化反応物を三級アミン(E)で中和してカルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得る工程と、
該カルボン酸アミン塩含有イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを水に乳化、反応させてポリウレタンエマルジョンを得る工程を有することを特徴とするポリウレタンエマルジョンの製造方法。 - 前記グリコールエーテル(A)が、ジプロピレングリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジブチルエーテルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリウレタンエマルジョンの製造方法。
- レベリング剤(H)を添加する工程をさらに有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリウレタンエマルジョンの製造方法。
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JP2003353082A JP2005120116A (ja) | 2003-10-14 | 2003-10-14 | ポリウレタンエマルジョンの製造方法 |
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JP2006307078A (ja) * | 2005-04-28 | 2006-11-09 | Nippon Polyurethane Ind Co Ltd | 水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物及びその製造方法 |
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2003
- 2003-10-14 JP JP2003353082A patent/JP2005120116A/ja active Pending
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JP2006307078A (ja) * | 2005-04-28 | 2006-11-09 | Nippon Polyurethane Ind Co Ltd | 水性ポリウレタン樹脂エマルジョン組成物及びその製造方法 |
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