JP2005119199A - 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 - Google Patents

液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 圧電素子の破壊を長期間に亘って確実に防止することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】 リード電極90を含む少なくとも圧電素子300に対向する領域が無機絶縁材料からなる絶縁膜100によって覆われており、この絶縁膜100で覆われているリード電極90の少なくとも圧電素子300に対向する部分に他の部分よりも膜厚の薄い薄膜部90bを設ける。
【選択図】 図2

Description

本発明は、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板の表面に圧電素子を形成して、圧電素子の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2種類が実用化されている。
前者は圧電素子の端面を振動板に当接させることにより圧力発生室の容積を変化させることができて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
これに対して後者は、圧電材料のグリーンシートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難であるという問題がある。
一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消すべく、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものがある。そして、このような圧電素子は、例えば、湿気等の外部環境に起因して破壊され易いという問題がある。このような問題を解決するために、圧電素子を絶縁体層で覆いコンタクトホールを介して電極を接続し、さらに、コンタクトホール周辺を保護膜で覆ったものがある(例えば、特許文献1参照)。また、圧力発生室が形成される流路形成基板に、圧電素子保持部を有する封止基板(リザーバ形成基板)を接合し、この圧電素子保持部内に圧電素子を密封するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、前者は、構造が複雑なうえ、絶縁体層は上電極にダメージを与えずコンタクトホールを形成可能なポリイミド等を用いているため、耐湿性が不十分であるという問題がある。また、後者のように圧電素子を密封しても、例えば、封止基板と流路形成基板との接着部分から圧電素子保持部内に水分が入り込むこと等により、圧電素子保持部内の湿気が徐々に上昇し、最終的にはこの湿気により圧電素子が破壊されてしまうという問題がある。なお、このような問題は、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドだけではなく、勿論、インク以外の液滴を吐出する他の液体噴射ヘッドにおいても、同様に存在する。
特開平11−235818号公報(第6図、第5頁右欄) 特開2003−136734号公報(第1図、第2図、第5頁)
本発明は、このような事情に鑑み、圧電素子の破壊を長期間に亘って確実に防止することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、液滴を吐出するノズル開口にそれぞれ連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられる下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子とを具備する液体噴射ヘッドであって、前記上電極から前記圧力発生室の周壁上に延設されるリード電極を有すると共に、該リード電極を含む少なくとも前記圧電素子に対向する領域が、無機絶縁材料からなる絶縁膜によって覆われ、且つ前記リード電極の少なくとも前記圧電素子に対向する部分が他の部分よりも膜厚の薄い薄膜部となっていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第1の態様では、水分透過率の低い無機絶縁材料からなる絶縁膜によって圧電体層が覆われるため、水分(湿気)に起因する圧電体層(圧電素子)の劣化(破壊)が防止される。そして、リード電極の一部が薄膜部となっていることで、この絶縁膜の被覆性が向上する。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記リード電極の前記薄膜部を構成する層数は1層以上であり、前記リード電極の前記薄膜部以外の領域に、前記薄膜部の層数よりも多い総数で構成される領域を有することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第2の態様では、薄膜部を有するリード電極が容易に形成される。
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記薄膜部の厚さが、前記絶縁膜の厚さ以下であることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第3の態様では、薄膜部が絶縁膜によって良好に被覆され、薄膜部の端部での絶縁膜の剥離が確実に防止される。
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記上電極の端部から前記薄膜部の基端部までの距離が、少なくとも前記圧電素子の厚さの2倍以上であることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第4の態様では、薄膜部の基端部で絶縁膜の剥離が発生しやすいが、上電極の端部とリード電極の薄膜部の基端部との距離を所定距離以上とすることで、仮に剥離が発生した場合でも圧電体層への影響が抑えられる。
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記上電極上の前記薄膜部の端部近傍の厚さが、その先端側に向かって漸小して端面が傾斜面となっていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第5の態様では、薄膜部の端部を覆って絶縁膜が確実に形成され、被覆性がさらに向上する。
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかにおいて、少なくとも前記圧電素子を構成する各層及び前記リード電極のパターン領域が、前記下電極及び前記リード電極の接続配線との接続部に対向する領域を除いて、前記絶縁膜によって覆われていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第6の態様では、無機絶縁材料からなる絶縁膜によってパターン領域のほぼ全領域が覆われるため、水分(湿気)に起因する圧電体層(圧電素子)の劣化(破壊)がさらに確実に防止される。
本発明の第7の態様は、第1〜6の何れかの態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる第7の態様では、耐久性を著しく向上した液体噴射装置を実現することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及び断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成されている。流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14を介して連通されている。なお、連通部13は、後述する保護基板のリザーバ部と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバの一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
また、流路形成基板10の開口面側には、圧力発生室12を形成する際のマスクとして用いられた絶縁膜51を介して、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又は不錆鋼などからなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、厚さが例えば約1.0μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、厚さが例えば、約0.4μmの絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1.0μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。
ここで、圧電素子300の構造について詳細に説明する。圧電素子300を構成する下電極膜60は、例えば、図2に示すように、圧力発生室12の長手方向では圧力発生室12に対向する領域内にパターニングされ、複数の圧力発生室12に対応する領域に連続的に設けられている。また、下電極膜60は、圧力発生室12の列の外側で連通部13近傍まで延設され、その端部近傍は駆動IC120から延設された接続配線130が接続される接続部60aとなっている。圧電体層70及び上電極膜80は、基本的には圧力発生室12に対向する領域内に設けられているが、圧力発生室12の長手方向では、下電極膜60の端部よりも外側まで延設されており、下電極膜60の端面は圧電体層70によって覆われている。また、上電極膜80の一端部近傍にはリード電極90が接続されている。このリード電極90は、連通部13近傍まで延設されており、その端部近傍は、下電極膜60と同様に、接続配線130が接続される接続部90aとなっている。
また、リード電極90の少なくとも圧電素子300に対向する部分を含む圧電素子300側の一部が、他の部分よりも膜厚の薄い薄膜部90bとなっている。例えば、本実施形態では、リード電極90は、厚さが0.1〜0.5μm程度の第1配線層91と、この第1の配線層91上に設けられて、厚さが0.5〜3μm程度の第2配線層92とからなり、薄膜部90bは、第1の配線層91のみで構成されて他の部分よりも薄く形成されている。なお、薄膜部90bの厚みは、層数に拘わらず、0.1〜0.5μm程度で形成されるのが好ましい。また、本実施形態では、リード電極90の薄膜部90bの端部近傍は先端側に向かって膜厚が漸小し、端面は傾斜面となっている。
第1配線層91の材料としては、例えば、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、銅(Cu)、チタンタングステン(TiW)等が挙げられる。また、第2配線層92の材料としては、例えば、金(Au)、アルミニウム(Al)等が挙げられる。なお、本実施形態では、リード電極90は、チタンタングステン(TiW)からなる第1配線層91と、金(Au)からなる金属層92とで形成されている。
そして、本実施形態では、このような圧電素子300を構成する各層及びリード電極90のパターン領域が、下電極膜60の接続部60a及びリード電極90の接続部90aに対向する領域を除いて、無機絶縁材料からなる絶縁膜100によって覆われている。すなわち、パターン領域の下電極膜60、圧電体層70、上電極膜80及びリード電極90の表面(上面及び端面)が、無機絶縁材料からなる絶縁膜100によって覆われている。この絶縁膜100の材料としては、無機絶縁材料であれば、特に限定されず、例えば、酸化アルミニウム(Al)、五酸化タンタル(Ta)等が挙げられる。特に、酸化アルミニウム(Al)を用いるのが好ましく、この場合、絶縁膜100が、100nm程度の薄膜で形成されていても、高湿度環境下での水分透過を十分に防ぐことができる。なお、絶縁膜の材料として、例えば、樹脂等の有機絶縁材料を用いるとなると、上記無機絶縁材料からなる絶縁膜と同程度の薄さでは、水分透過を十分に防ぐことができない。また、水分透過を防ぐために絶縁膜の膜厚を厚くすると、圧電素子の運動を妨げるという事態を招く虞がある。
このような無機絶縁材料からなる絶縁膜100は、水分の透過性が極めて低いため、この絶縁膜100によって、下電極膜60、圧電体層70、上電極膜80及びリード電極90の表面を被覆することにより、圧電体層70の水分(湿気)に起因する破壊を防止することができる。また、接続部60a,90aを除いて、圧電素子300を構成する各層及びリード電極90の表面を覆うようにすることで、これらの層と絶縁膜100との間から水分が侵入した場合でも、圧電体層70まで水分が達するのを防ぐことができ、圧電体層70の水分に起因する破壊をより確実に防止することができる。
また、本発明では、リード電極90の少なくとも圧電素子300に対向する部分が薄膜部90bとなっているため、少なくとも圧電素子300に対向する領域は、絶縁膜100によって良好に被覆される。すなわち、絶縁膜100は、リード電極90の端部(端面)に対応する領域には形成され難く、この部分で絶縁膜100の剥離が発生しやすい。しかしながら、リード電極90の膜厚を薄くすることで、リード電極90の端部に対応する領域にも絶縁膜100が良好に形成される。特に、本実施形態では、薄膜部90bの端面が圧電素子300のリード電極90とのコンタクト部側とは反対側端部方向への傾斜面となっているため、絶縁膜100がさらに良好に形成される。したがって、絶縁膜100の剥離の発生を防止することができ、圧電体層70の水分に起因する破壊をより確実に防止することができる。
なお、リード電極90の薄膜部90bは、少なくとも圧電素子300に対向する領域に設けられていれば、その長さは特に限定されないが、例えば、図3に示すように、上電極膜80の端部から薄膜部90bの基端部(第2の配線層92の端部)までの距離Lが、少なくとも圧電素子300の厚さの2倍以上であることが好ましく、より好ましくは10〜200μm程度である。第2配線層92が形成されている領域では、その端部(端面)に対応する部分に絶縁膜100が形成され難く、薄膜部90bに対応する領域と比較すると絶縁膜100の剥離等が発生し易い。このため、距離Lが短いと、絶縁膜100の剥離が発生した場合に、剥離した部分から侵入した水分によって圧電体層70が破壊される虞がある。また、距離Lが長過ぎると、すなわち、薄膜部90bの長さが長すぎると、リード電極90の抵抗値が高くなり過ぎて圧電素子300に良好に電圧を印加できなくなる虞がある。なお、リード電極90の抵抗値は、2Ω以下であることが望ましい。
また、流路形成基板10の圧電素子300側の面には、圧電素子300に対向する領域にその運動を阻害しない程度の空間を確保可能な圧電素子保持部31を有する保護基板30が、例えば、エポキシ系樹脂等である接着剤35を介して接合されている。圧電素子300は、この圧電素子保持部31内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。さらに、保護基板30には、流路形成基板10の連通部13に対応する領域にリザーバ部32が設けられている。このリザーバ部32は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の並設方向に沿って設けられており、上述したように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ110を構成している。なお、流路形成基板10と保護基板30の接合には、エポキシ系樹脂等の接着剤による接着の他、金属を用いた金属接合を用いてもよい。
保護基板30の圧電素子保持部31とリザーバ部32との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられ、この貫通孔33内に上述した下電極膜60の接続部60a及びリード電極90の接続部90aが露出されている。そして、これら下電極膜60の接続部60a及びリード電極90の接続部90aに、保護基板30上に実装された駆動IC120から延設される接続配線130の一端が接続されている。
保護基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることがより好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ110に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ110の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ110からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動IC120からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
ここで、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図4〜図6を参照して説明する。なお、図4〜図6は、圧力発生室12の長手方向の断面図である。まず、図4(a)に示すように、シリコン単結晶基板である流路形成基板10を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、流路形成基板10の表面に弾性膜50及びマスク膜51を構成する二酸化シリコン膜52を形成する。次いで、図4(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜52)上に、ジルコニウム(Zr)層を形成後、例えば、500〜1200℃の拡散炉で熱酸化して酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜55を形成する。次いで、図4(c)に示すように、例えば、白金とイリジウムとを絶縁体膜55上に積層することにより下電極膜60を形成後、この下電極膜60を所定形状にパターニングする。
次に、図4(d)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば、イリジウムからなる上電極膜80とを流路形成基板10の全面に形成する。次いで、図5(a)に示すように、圧電体層70及び上電極膜80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。
次に、リード電極90を形成する。具体的には、まず、図5(b)に示すように、流路形成基板10の全面に亘って、例えば、チタンタングステン(TiW)からなる第1配線層91を形成し、さらに、この第1配線層91上の全面に、例えば、金(Au)からなる第2配線層92を形成する。その後、図5(c)に示すように、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を介して第2配線層92を所定のエッチング液でエッチングして各圧電素子300毎にパターニングする。さらに、マスクパターン及びエッチング液を替えて第1配線層91をエッチングすることにより、図5(d)に示すように、第1の配線層91を所定形状にパターニングする。これにより、圧電素子300に対向する領域に薄膜部90bを有するリード電極90が形成される。
次に、図6(a)に示すように、例えば、酸化アルミニウム(Al)からなる絶縁膜100を形成すると共に所定形状にパターニングする。すなわち、絶縁膜100を流路形成基板10の全面に形成し、その後、下電極膜60の接続部60a及びリード電極90の接続部90aに対向する領域の絶縁膜100を除去する。なお、本実施形態では、接続部60a,90aに対向する領域と共に、圧電素子300を構成する各層及びリード電極90のパターン領域以外も除去するようにしている。勿論、絶縁膜100は、接続部60a,90aに対向する領域のみが除去されていてもよい。何れにしても、絶縁膜100は、下電極膜60の接続部60a及びリード電極90の接続部90aを除いて、圧電素子300を構成する各層及びリード電極90のパターン領域を覆うように形成されていればよい。また、絶縁膜100の除去方法は、特に限定されないが、例えば、イオンミリング等のドライエッチングを用いることが好ましい。これにより、絶縁膜100を選択的に良好に除去することができる。
次いで、図6(b)に示すように、流路形成基板10の圧電素子300側に保護基板30を接着剤35によって接合し、所定形状にパターニングしたマスク膜51を介して流路形成基板10を異方性エッチングすることにより圧力発生室12等を形成する。
なお、実際には、上述した一連の膜形成及び異方性エッチングによって一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プロセス終了後、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10毎に分割する。その後は、流路形成基板10にマスク膜51を介してノズルプレート20を接合し、保護基板30上に駆動IC120を実装すると共にコンプライアンス基板40を接合することにより本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとなる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、リード電極が、第1の配線層と第2の配線層との2層で構成されているが、これに限定されず、例えば、3層以上で構成されていてもよい。何れにしてもリード電極が複数層で構成される場合には、薄膜部の層数が1層以上であり、リード電極の薄膜部以外の領域に薄膜部の層数よりも多い層数で構成される領域が形成されていればよい。また、リード電極は、勿論、1層で構成されていてもよく、この場合には、リード電極の一部をハーフエッチングすることにより薄膜部を形成すればよい。
また、上述した実施形態では、第1の配線層を第2の配線層と略同一幅となるように形成したが、これに限定されず、例えば、第2の配線層の幅よりも若干幅広に形成するようにしてもよい。これにより、第1の配線層をパターニングする際に、第1の配線層が第2の配線層の下側までサイドエッチングされることがない。したがって、絶縁膜がこの部分にも比較的良好に形成され、絶縁膜の剥離の発生をさらに低減することができる。
また、上述した実施形態では、上電極膜から周壁上に引き出されるリード電極について説明したが、例えば、下電極膜からもリード電極(下電極用リード電極)が引き出される場合には、勿論、この下電極用リード電極にも本発明の構造を採用することができる。
さらに、上述した実施形態では、圧電素子を構成する各層及びリード電極のパターン領域に、下電極膜60の接続部60a及びリード電極90の接続部90aに対向する領域を除いて絶縁膜を設けるようにしたが、これに限定されず、絶縁膜は、少なくとも圧電素子に対向する領域を覆って設けられていればよい。
また、上述した実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図7は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。図7に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上を搬送されるようになっている。
また、上述した実施形態においては、本発明の液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを説明したが、液体噴射ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。本発明は、広く液体噴射ヘッドの全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射するものにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの要部を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 一実施形態に係る記録装置の概略図である。
符号の説明
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 圧電素子保持部、 32 リザーバ部、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 55 絶縁体膜、 60 下電極膜、 70 圧電体膜、 80 上電極膜、 100 絶縁膜、110 リザーバ、 300 圧電素子

Claims (7)

  1. 液滴を吐出するノズル開口にそれぞれ連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられる下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子とを具備する液体噴射ヘッドであって、
    前記上電極から前記圧力発生室の周壁上に延設されるリード電極を有すると共に、該リード電極を含む少なくとも前記圧電素子に対向する領域が、無機絶縁材料からなる絶縁膜によって覆われ、且つ前記リード電極の少なくとも前記圧電素子に対向する部分が他の部分よりも膜厚の薄い薄膜部となっていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 請求項1において、前記リード電極の前記薄膜部を構成する層数は1層以上であり、前記リード電極の前記薄膜部以外の領域に、前記薄膜部の層数よりも多い総数で構成される領域を有することを特徴とする液体噴射ヘッド。
  3. 請求項1又は2において、前記薄膜部の厚さが、前記絶縁膜の厚さ以下であることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、前記上電極の端部から前記薄膜部の基端部までの距離が、少なくとも前記圧電素子の厚さの2倍以上であることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  5. 請求項1〜4の何れかにおいて、前記上電極上の前記薄膜部の端部近傍の厚さが、その先端側に向かって漸小して端面が傾斜面となっていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  6. 請求項1〜5の何れかにおいて、少なくとも前記圧電素子を構成する各層及び前記リード電極のパターン領域が、前記下電極及び前記リード電極の接続配線との接続部に対向する領域を除いて、前記絶縁膜によって覆われていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  7. 請求項1〜6の何れかの液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
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