JP2005107441A - 光ファイバケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】 細径の光ファイバケーブルに必要な抗張力性と曲げ剛性を有し、抗張力体が破断しない光ファイバケーブルを提供する。
【解決手段】 本発明に係る光ファイバケーブル1は、光ファイバ3と、有機性の高張力繊維束4とが、低密度ポリエチレンの外被9により一括に被覆されており、高張力繊維束4の周囲には、外被9に比べて弾性率の高いポリエチレンの被覆層5が設けられている。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明に係る光ファイバケーブル1は、光ファイバ3と、有機性の高張力繊維束4とが、低密度ポリエチレンの外被9により一括に被覆されており、高張力繊維束4の周囲には、外被9に比べて弾性率の高いポリエチレンの被覆層5が設けられている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光ファイバケーブルに関し、さらに詳しくは、光ファイバと、高張力繊維束とが、外被により被覆されて一体化されている光ファイバケーブルに関する。
近年、光通信システムの需要が増加するにつれ、光伝送路である光ファイバケーブルが多く使用されている。FTTH(Fiber To The Home)等の用途に用いられる光ファイバケーブルとして、電柱等に架空に敷設された多心型の光ファイバケーブルから、1本または複数本の光ファイバ毎に分配されて各加入者宅に引き落とされるドロップケーブル(例えば、特許文献1〜3参照)を挙げることができる。このドロップケーブルとして用いられている光ファイバケーブルの一例を図4に示す。
図4に示すように、従来の光ファイバケーブル100は、本体部107とメッセンジャワイヤ部108とが首部105により接続された構成である。
図4に示すように、従来の光ファイバケーブル100は、本体部107とメッセンジャワイヤ部108とが首部105により接続された構成である。
本体部107は、ほぼ中央に配置された1心の光ファイバ101と、2本の抗張力体102とが、樹脂103により被覆されてなるものである。すなわち、樹脂103は本体部107の外被を構成するものである。2本の抗張力体102は、光ファイバ101と同一平面上に並列されており、光ファイバ101は、これら2本の抗張力体102の間に配置されている。
ここで用いられる光ファイバ101としては、コアとクラッドとからなる二重構造のガラス体の外周に紫外線硬化型樹脂が被覆された構成で、その外径寸法が0.25mmであるものを例示できる。このガラス体の光ファイバには、例えばシングルモード光ファイバやマルチモード光ファイバを適用することができる。また、紫外線硬化型樹脂のさらに外周に、着色層が設けられているものもある。
抗張力体102は、鋼やガラス繊維強化プラスチック(ガラスFRP)等が用いられ、断面の外形形状が円形状に形成されている。なお、ガラスFRPは、一般に、集合させた高張力繊維に対してマトリックス樹脂を含浸させた後、そのマトリックス樹脂を加熱し硬化させることにより形成されるものである。
これらの光ファイバ101と抗張力体102とが一括に被覆されていることにより、抗張力体102は光ファイバケーブル100に付加される引張力等の外力を受けて、光ファイバ101を外力から保護する。
これらの光ファイバ101と抗張力体102とが一括に被覆されていることにより、抗張力体102は光ファイバケーブル100に付加される引張力等の外力を受けて、光ファイバ101を外力から保護する。
また、本体部107の外周には、光ファイバ101に向かって切り欠かれた2つのノッチ104が設けられている。このノッチ104は、光ファイバ101の取り出しを容易にするためのものであり、取り出しは、2つのノッチ104を利用してノッチ104間の樹脂103に切り込みを入れて樹脂103を引き裂くことにより行われる。
メッセンジャワイヤ部108は、光ファイバケーブル100を架空で支持するための強度を確保するためのもので、鋼の支持線106が樹脂103により被覆されている。
また、首部105は、本体部107及びメッセンジャワイヤ部108と同一の樹脂材料が用いられ、例えば熱可塑性樹脂により本体部107及びメッセンジャワイヤ部108が一体形成されている。
また、首部105は、本体部107及びメッセンジャワイヤ部108と同一の樹脂材料が用いられ、例えば熱可塑性樹脂により本体部107及びメッセンジャワイヤ部108が一体形成されている。
なお、ここでは1心の光ファイバ101を有する光ファイバケーブル100を例示したが、従来のドロップケーブルは、光ファイバを複数本有するものや、複数本の光ファイバをテープ化した光ファイバテープ心線を有するものもある。
また、ドロップ型の光ファイバケーブルは、屋外から屋内へ引き込まれる状態で敷設される場合には、落雷等により発生する誘導電流が屋内へ伝わらないように、誘導性の鋼線に代わり、無誘導性のガラスFRPを抗張力体として用いたものが既に知られている。
例えば、特許文献1には、光ファイバケーブルの抗張力体として、ガラスFRP、ポリエステル(PET)、アラミド繊維等を用いることが開示されている。
例えば、特許文献1には、光ファイバケーブルの抗張力体として、ガラスFRP、ポリエステル(PET)、アラミド繊維等を用いることが開示されている。
また、図4に示した光ファイバケーブル100は、架空から建物内に引き込まれると、架空に支持するためのメッセンジワイヤ部108が不要となるため、首部105を引き裂いて本体部107とメッセンジワイヤ部108とが分割される。そして、図5に示すように、本体部107のみで構成されたインドア型の光ファイバケーブル100aが建物内に配線される。
ところで、上記のような細径の光ファイバケーブルの抗張力体として、ガラス繊維をマトリックス樹脂により一体化させたガラスFRPを用いた場合には、光ファイバケーブルをその許容曲げ径より小さい曲げ径で曲げた際に、ガラスFRPが折れて破断してしまうことがある。ガラスFRPが破断してしまうと、破断部分は抗張力性が低下してしまうばかりでなく、光ファイバケーブルが小さい角度で曲がりやすくなり、内部の光ファイバが断線してしまうおそれがある。
そのため、光ファイバケーブルの敷設作業の際や、敷設された光ファイバケーブルをユーザが取り扱う際には、光ファイバケーブルを許容曲げ径以下に曲げないように注意する必要があるため、良好な取り扱い性が得られないという状況にあった。
また、上記のような光ファイバケーブルの抗張力体として、アラミド繊維を用いた場合には、折り曲げても破断せずに挫屈する程度であるが、上記のような細径の光ファイバケーブルでは所望の曲げ剛性が得られにくい。そのため、光ファイバケーブルの他の構成部材の曲げ剛性を上げる必要があり、その場合、サイズが大きくなってしまう等の問題から、実用に供し得ない光ファイバケーブルとなってしまったり、製造性が悪化してしまうことが考えられる。
また、上記のような光ファイバケーブルの抗張力体として、PETを用いた場合には、折り曲げても破断せずに挫屈する程度であるが、その弾性率は2000〜3000MPa程度であり、抗張力性が低い。そのため、PETを抗張力体として使用する場合には、ガラスFRPやアラミド繊維等の20倍以上の断面積が必要となってしまい、実用的な光ファイバケーブルが得られにくい。
本発明は、細径の光ファイバケーブルに必要な抗張力性と曲げ剛性を有し、抗張力体が破断しない光ファイバケーブルを提供することを目的としている。
上記目的を達成することのできる本発明に係る光ファイバケーブルは、光ファイバと、有機性の高張力繊維束とが、プラスチック樹脂の外被により一括に被覆されている光ファイバケーブルであって、高張力繊維束の周囲には、外被に比べて弾性率の高いプラスチック樹脂の被覆層が、少なくとも1層設けられていることを特徴としている。
ここで、高張力繊維束は、光ファイバケーブルの抗張力体としての機能を有するものであり、有機性の高張力繊維が複数本束ねられたものである。なお、光ファイバや高張力繊維束は、複数設けられていても良い。
ここで、高張力繊維束は、光ファイバケーブルの抗張力体としての機能を有するものであり、有機性の高張力繊維が複数本束ねられたものである。なお、光ファイバや高張力繊維束は、複数設けられていても良い。
また、本発明の光ファイバケーブルにおいて、被覆層は、複数層から構成されていることが好ましい。
また、本発明の光ファイバケーブルにおいて、高張力繊維束は、マトリックス樹脂によって一体化されていることが好ましい。さらに好ましくは、高張力繊維束は、集合させた高張力繊維にマトリックス樹脂を含浸させた後、そのマトリックス樹脂を加熱して硬化させて一体化されたものであると良い。
また、本発明の光ファイバケーブルにおいて、外被と被覆層は、同種類のプラスチック樹脂であることが好ましい。
また、本発明の光ファイバケーブルにおいて、外被及び被覆層は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
また、本発明の光ファイバケーブルにおいて、外被及び被覆層は、ポリオレフィン系の樹脂であることが好ましい。
また、本発明の光ファイバケーブルにおいて、外被は低密度ポリエチレンであり、被覆層は高密度ポリエチレンまたは直鎖状ポリエチレンであることが好ましい。
また、本発明の光ファイバケーブルにおいて、光ファイバは、波長1.3μmにおけるピーターマン−I(Petermann−I)の定義によるモードフィールド径が9.0μm以下であり、スクリーニングレベルが1.2%以上の引っ張り強度試験を経た光ファイバであることが好ましい。
また、本発明の光ファイバケーブルにおいて、当該光ファイバケーブルを架空で支持するための支持線が設けられていることが好ましい。
本発明の光ファイバケーブルは、抗張力体として有機性の高張力繊維束を用いているために、折れ曲げても破断せず、さらに、外被より弾性率の高い被覆層で高張力繊維束を覆って、曲げ剛性を向上させている。そのため、本発明によれば、細径の光ファイバケーブルに必要な抗張力性と曲げ剛性を有し、抗張力体が破断しない光ファイバケーブルを提供することができる。
以下、本発明に係る、光ファイバケーブルの実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1に、本発明に係る光ファイバケーブルであって、インドア型の光ファイバケーブルの一実施形態を示す。
図1に示すように、本実施形態の光ファイバケーブル1は、ほぼ中央に配置された1心の光ファイバ3と、2つの高張力繊維束4とが、プラスチック樹脂の外被9により一括に被覆されているものである。2つの高張力繊維束4は、光ファイバ3と同一平面上に並列されており、光ファイバ3は、これら2つの高張力繊維束4の間に配置されている。外被9には、光ファイバ3の取り出しを容易にする2つのノッチ10が設けられている。
図1に、本発明に係る光ファイバケーブルであって、インドア型の光ファイバケーブルの一実施形態を示す。
図1に示すように、本実施形態の光ファイバケーブル1は、ほぼ中央に配置された1心の光ファイバ3と、2つの高張力繊維束4とが、プラスチック樹脂の外被9により一括に被覆されているものである。2つの高張力繊維束4は、光ファイバ3と同一平面上に並列されており、光ファイバ3は、これら2つの高張力繊維束4の間に配置されている。外被9には、光ファイバ3の取り出しを容易にする2つのノッチ10が設けられている。
ここで用いられる光ファイバ3について説明する。光ファイバ3は、コアとクラッドを有するガラスファイバと、このガラスファイバの外周を保護被覆層で覆った構成となっている。このガラスファイバには、例えばシングルモード光ファイバやマルチモード光ファイバを適用することができる。また、ガラスファイバの周囲に薄膜状のカーボン層がコーティングされていても良い。保護被覆層は、複数の層からなっていても良い。また、保護被覆層の外周に厚さ1μmから10μm程度の着色層が形成されていても良い。光ファイバ3の外径寸法は、例えば0.25mmである。
本発明に適用可能なガラスファイバとしては、コアと複数層のクラッドからなるガラスファイバ等、いかなる屈折率分布を有するガラスファイバも適用可能である。また、光ファイバケーブル1には、光ファイバが複数本設けられていても良く、複数本の光ファイバをテープ化した光ファイバテープ心線が設けられていても良い。
また、光ファイバ3は、ITU−T(International Telecommunication Union - Telecommunication standardization sector : 国際電気通信連合・電気通信標準化部門)により定められたG652に準拠するものであることが好ましい。
さらに、光ファイバ3は、半径15mm程度まで曲げても実用上問題となるような伝送損失の増加を生じさせないために、波長1.3μmにおけるPetermann−Iの定義によるモードフィールド径(MFD:Mode Field Diameter)が9.0μm以下であることが好ましい。さらに、波長1.55μmにおけるモードフィールド径を8.0μm以下とすると、側圧によるマイクロベンド損失や曲げ損失(マクロベンド損失)を小さくすることができ、許容曲げ半径を7.5mm程度まで小さくすることができる。したがって、光ファイバケーブル1が取り扱われる際に受ける外力や曲げ等による、伝送損失の増加を抑えることができる。
さらに、光ファイバ3は、半径15mm程度まで曲げても実用上問題となるような伝送損失の増加を生じさせないために、波長1.3μmにおけるPetermann−Iの定義によるモードフィールド径(MFD:Mode Field Diameter)が9.0μm以下であることが好ましい。さらに、波長1.55μmにおけるモードフィールド径を8.0μm以下とすると、側圧によるマイクロベンド損失や曲げ損失(マクロベンド損失)を小さくすることができ、許容曲げ半径を7.5mm程度まで小さくすることができる。したがって、光ファイバケーブル1が取り扱われる際に受ける外力や曲げ等による、伝送損失の増加を抑えることができる。
また、光ファイバ3として、スクリーニングレベルが1.2%以上の引っ張り強度試験を経た光ファイバを用いることが望ましい。ここでいうスクリーニングとは、製品化する光ファイバの強度の保証であり、線引きした光ファイバをボビン等に巻き取る手前で、その走行ラインに張力印加区間を設けることで引っ張り強度試験を行うものである。すなわち、張力印加区間に印加する張力を任意の値に設定することにより、光ファイバの伸び率(%)をスクリーニングレベルとして設定することができる。これにより、所望のスクリーニングレベルに満たない低強度の光ファイバを破断させて、破断しない部分のみをボビン等に巻き取って製品とすることができる。
このような1.2%以上のスクリーニングレベルを満たす光ファイバは、光ファイバケーブル1の通常の敷設環境において付加される張力に対して、累積破断確率が非常に低い。そのため、光ファイバケーブル1の引っ張り強度(抗張力性)を必要以上に強化する必要がない。
上述したように、本実施形態の光ファイバケーブル1に用いられる光ファイバ3は、側圧や曲げ、引っ張り等が付加された場合においても良好な光伝送特性を発揮することができる。そのため、光ファイバケーブル1は、信頼性の高い高品質の光伝送路を効果的に得ることができる。
高張力繊維束4に用いる有機性の高張力繊維として、アラミド繊維を好適な例として挙げることができる。
また、高張力繊維束4は、マトリックス樹脂を含浸させた後、そのマトリックス樹脂を熱硬化させて一体化された、所謂FRPとなっていても良い。
なお、マトリックス樹脂には、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル、エポキシ、アクリル等を用いることができる。
また、高張力繊維束4は、マトリックス樹脂を含浸させた後、そのマトリックス樹脂を熱硬化させて一体化された、所謂FRPとなっていても良い。
なお、マトリックス樹脂には、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル、エポキシ、アクリル等を用いることができる。
高張力繊維束4がFRPとして形成されていると、抗張力性や曲げ剛性を向上させることができるだけでなく、抗収縮性が著しく向上する。そのため、高張力繊維束4を一体的に被覆した外被9の収縮を防ぐことができ、光ファイバケーブル1が経時変化等で長手方向に収縮してしまうことを防止できる。
本実施形態では、FRPを構成する高張力繊維として、ガラス繊維を用いず、有機性材料を用いているため、光ファイバケーブルを折り曲げるようにして小さい曲率半径で曲げた際にも、挫屈することはあっても、ガラスFRPのように折れて破断してしまうことは防止できる。
本実施形態では、FRPを構成する高張力繊維として、ガラス繊維を用いず、有機性材料を用いているため、光ファイバケーブルを折り曲げるようにして小さい曲率半径で曲げた際にも、挫屈することはあっても、ガラスFRPのように折れて破断してしまうことは防止できる。
本実施形態では、高張力繊維束4(FRP化したものも含む)の周囲に、外被9を構成するプラスチック樹脂と比較して弾性率の高いプラスチック樹脂で形成された被覆層5が設けられている。すなわち、高弾性率の被覆層5を高張力繊維束4と一体化させて設けることにより、高張力繊維束4と被覆層5とが抗張力体8としての機能を有することとなり、抗張力体を有機性の高張力繊維束4のみとした場合では得られない大きさの曲げ剛性を光ファイバケーブル1に付与することができる。これにより、インドア型光ファイバケーブルのような細径の光ファイバケーブルに必要な曲げ剛性を得ることができる。
また、被覆層5が設けられていることにより、FRP化させた高張力繊維束4が挫屈した場合であっても、その挫屈によって発生する外方への衝撃力を吸収して和らげ、光ファイバ3の損傷を防ぐことができる。
なおここで、挫屈するとは、折れ曲がった際に塑性変形が生じて、折り皺が残留してしまうことを指す。
なおここで、挫屈するとは、折れ曲がった際に塑性変形が生じて、折り皺が残留してしまうことを指す。
ここで、外被9や被覆層5として好適に用いられるプラスチック樹脂について説明する。
外被9と被覆層5は、互いに同種類のプラスチック樹脂が用いられていると良い。外被9と被覆層5とを同種類のプラスチック樹脂とすることで、これらの間の高い密着性を得ることができる。外被9と被覆層5との密着性、すなわち外被9と抗張力体8との密着性を高めることで、外被9の伸縮や収縮を効果的に防止することができる。
外被9と被覆層5は、互いに同種類のプラスチック樹脂が用いられていると良い。外被9と被覆層5とを同種類のプラスチック樹脂とすることで、これらの間の高い密着性を得ることができる。外被9と被覆層5との密着性、すなわち外被9と抗張力体8との密着性を高めることで、外被9の伸縮や収縮を効果的に防止することができる。
ここで、同種類とは、好適には、互いにポリオレフィン系の樹脂であることが例示できる。ポリオレフィン系の樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレンを例示でき、同種類である組み合わせとしては、ポリエチレンとポリエチレン、ポリプロピレンとポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレン、の何れかとすることができる。ポリオレフィン系の樹脂を用いることで、耐腐食性、耐水性、加工性が良好である他、紫外線に対する劣化も少ないため、屋外で使用できる安価な光ファイバケーブルを得ることができる。
本実施形態においては、外被9と被覆層5とを、ポリエチレン同士の組み合わせとすることが良い。
ポリエチレンは、その密度の違いにより分類されることができ、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)に大別される。また、低密度ポリエチレンは、さらに、高圧法低密度ポリエチレン(HPLDPE)と、高圧法低密度ポリエチレンとは密度範囲が異なる直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とに分類することができる。
本実施形態に好適に用いられる樹脂の、密度(g/cm3)と引張弾性率(MPa)との代表的な数値例を、表1に示す。
ポリエチレンは、その密度の違いにより分類されることができ、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)に大別される。また、低密度ポリエチレンは、さらに、高圧法低密度ポリエチレン(HPLDPE)と、高圧法低密度ポリエチレンとは密度範囲が異なる直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とに分類することができる。
本実施形態に好適に用いられる樹脂の、密度(g/cm3)と引張弾性率(MPa)との代表的な数値例を、表1に示す。
外被9を構成するプラスチック樹脂としては、EVAやEEAを含有させて難燃性を付与しやすい、低密度ポリエチレン(LDPE)が好ましい。
また、被覆層5は、上述したように外被9に比べて弾性率を高くする観点から、直鎖状低密度ポリエチレンまたは高密度ポリエチレンを用いると良い。
また、被覆層5は、上述したように外被9に比べて弾性率を高くする観点から、直鎖状低密度ポリエチレンまたは高密度ポリエチレンを用いると良い。
次に、本発明に係る光ファイバケーブルの他の実施形態について説明する。
図2に示すように、本実施形態の光ファイバケーブル20は、上記の光ファイバケーブル1(図1参照)と類似の光ファイバケーブルであり、抗張力体8aの構成のみが異なるものである。
図2に示すように、本実施形態の光ファイバケーブル20は、上記の光ファイバケーブル1(図1参照)と類似の光ファイバケーブルであり、抗張力体8aの構成のみが異なるものである。
本実施形態に用いられている抗張力体8aは、図1を参照して説明した実施形態における、高張力繊維束4と、その周囲に被覆された被覆層5とを備えている。本実施形態では、さらにその周囲に、外被9より弾性率の高い被覆層6が設けられている。すなわち、2層の被覆層5,6によって、抗張力体8aの一部をなす被覆層7が形成されている。
ここで、被覆層6は、外被9よりも弾性率の高いプラスチック樹脂であれば、その種類は問わない。例えば、被覆層5と同様に、上記のポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。通常、外側に位置する被覆層6に、被覆層5より高い弾性率の樹脂を用いることで、光ファイバケーブル1の曲げ剛性を、より効果的に向上させることができる。
また、この実施形態では、被覆層7が、被覆層5,6からなる2層に構成されているが、本発明においては、何層であっても構わない。
また、この実施形態では、被覆層7が、被覆層5,6からなる2層に構成されているが、本発明においては、何層であっても構わない。
このように、被覆層7が複数層設けられていることによって、光ファイバケーブル1の曲げ剛性をさらに向上させることができる。
なお、図1に示したように、被覆層が1層のみの場合であっても、その樹脂の選択や厚さの調節を適宜行うことで、所望の曲げ剛性を得ることも可能である。
なお、図1に示したように、被覆層が1層のみの場合であっても、その樹脂の選択や厚さの調節を適宜行うことで、所望の曲げ剛性を得ることも可能である。
また、本発明の光ファイバケーブルは、上記の実施形態に限られるものではない。
例えば、図3に示すように、図1に示した光ファイバケーブル1の構成を本体部2とした、ドロップ型の光ファイバケーブルであっても良い。この光ファイバケーブル1aは、本体部2とメッセンジャワイヤ部11とが首部13により接続された構成である。メッセンジャワイヤ部11及び首部13は、従来の光ファイバケーブル(図4参照)と同様の構成とすることができる。すなわち、メッセンジャワイヤ部11に設けられた支持線12により、光ファイバケーブル1aを架空で支持するための強度を確保している。
また、図示した光ファイバケーブルの他に、外形形状が円形であるもの等、種々の形態とすることが可能である。
例えば、図3に示すように、図1に示した光ファイバケーブル1の構成を本体部2とした、ドロップ型の光ファイバケーブルであっても良い。この光ファイバケーブル1aは、本体部2とメッセンジャワイヤ部11とが首部13により接続された構成である。メッセンジャワイヤ部11及び首部13は、従来の光ファイバケーブル(図4参照)と同様の構成とすることができる。すなわち、メッセンジャワイヤ部11に設けられた支持線12により、光ファイバケーブル1aを架空で支持するための強度を確保している。
また、図示した光ファイバケーブルの他に、外形形状が円形であるもの等、種々の形態とすることが可能である。
次に、本発明に係る光ファイバケーブルの実施例について、説明する。
図1及び図2に示したような光ファイバケーブルの形態において、高張力繊維束として有機性の高張力繊維(アラミド繊維)をFRP化したもの(例1〜3)と無機性の高張力繊維(ガラス繊維)をFRP化したもの(例4〜6)を用意し、さらにそのうち、上述した被覆層5,6を設けたものと設けていないものをそれぞれ用意した。
図1及び図2に示したような光ファイバケーブルの形態において、高張力繊維束として有機性の高張力繊維(アラミド繊維)をFRP化したもの(例1〜3)と無機性の高張力繊維(ガラス繊維)をFRP化したもの(例4〜6)を用意し、さらにそのうち、上述した被覆層5,6を設けたものと設けていないものをそれぞれ用意した。
各光ファイバケーブルに共通する構成として、光ファイバ3は、ガラス体の光ファイバに紫外線硬化型樹脂の保護被覆層を設けたものであり、その外径は0.25mmである。
また、外被9は、外形寸法が、図1または図2の縦方向で4mm、横方向で2mmであり、材質は、難燃性を付与した低密度ポリエチレン(LDPE)である。
また、高張力繊維束4は、FRP化したマトリックス樹脂としてビニルエステルを用い、その外径は0.5mmである。
また、外被9は、外形寸法が、図1または図2の縦方向で4mm、横方向で2mmであり、材質は、難燃性を付与した低密度ポリエチレン(LDPE)である。
また、高張力繊維束4は、FRP化したマトリックス樹脂としてビニルエステルを用い、その外径は0.5mmである。
高張力繊維束4の被覆層を、図1のように1層の被覆層5のみとした場合(例2,5)、被覆層5の材質は直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であり、その外径は1.5mmである。
また、高張力繊維束4の被覆層を、図2のように2層の被覆層5,6とした場合(例3,6)、被覆層5の材質は直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であり、その外径は0.8mmである。また、被覆層6の材質は高密度ポリエチレン(HDPE)であり、その外径は1.5mmである。
また、高張力繊維束4の被覆層を、図2のように2層の被覆層5,6とした場合(例3,6)、被覆層5の材質は直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であり、その外径は0.8mmである。また、被覆層6の材質は高密度ポリエチレン(HDPE)であり、その外径は1.5mmである。
そして、光ファイバケーブルを図1または図2の図中左右方向に曲げる際の曲げ剛性と、ケーブルの折り曲げによる抗張力体と光ファイバの損傷状態を調べた。なお、光ファイバケーブルを折り曲げる際の試験は、JIS C 6851によって規定された光ファイバケーブルの硬さ(曲げ剛性)試験のうち、方法E17Cに基づいて行った。
このような試験により得られた結果を、表2に示す。
このような試験により得られた結果を、表2に示す。
表2に示す結果のうち、まず、高張力繊維としてアラミド繊維を用いたもの(例1〜3)を比較する。
被覆層5,6を設けていないもの(例1)を基準として、被覆層5を設けたもの(例2)と、被覆層5,6を設けたもの(例3)とを比較すると、被覆層を設けることによって曲げ剛性が大きくなることがわかる。また、ケーブルを折り曲げて500gfの力で押さえつけた際の抗張力体は、10本のサンプル中、破断は見られなかった。また、同様にケーブルを折り曲げた際の光ファイバは、被覆層を全く設けなかったもの(例1)では、10本のサンプル中、1本が断線したが、被覆層を少なくとも1層設けたもの(例2,3)では、全く断線しなかった。
被覆層5,6を設けていないもの(例1)を基準として、被覆層5を設けたもの(例2)と、被覆層5,6を設けたもの(例3)とを比較すると、被覆層を設けることによって曲げ剛性が大きくなることがわかる。また、ケーブルを折り曲げて500gfの力で押さえつけた際の抗張力体は、10本のサンプル中、破断は見られなかった。また、同様にケーブルを折り曲げた際の光ファイバは、被覆層を全く設けなかったもの(例1)では、10本のサンプル中、1本が断線したが、被覆層を少なくとも1層設けたもの(例2,3)では、全く断線しなかった。
次に、高張力繊維としてガラス繊維を用いたもの(例4〜6)について比較する。
被覆層5,6を設けていないもの(例4)を基準として、被覆層5を設けたもの(例5)と、被覆層5,6を設けたもの(例6)とを比較すると、被覆層を設けた方が曲げ剛性を向上させることができている。しかしながら、何れの例においても、抗張力体の破断及び光ファイバの断線を防止することはできていない。
被覆層5,6を設けていないもの(例4)を基準として、被覆層5を設けたもの(例5)と、被覆層5,6を設けたもの(例6)とを比較すると、被覆層を設けた方が曲げ剛性を向上させることができている。しかしながら、何れの例においても、抗張力体の破断及び光ファイバの断線を防止することはできていない。
以上示した実施例から、本発明に係る構造を有する例2,3の光ファイバケーブルでは、有機性の高張力繊維を抗張力体として用いて、さらにその周囲に外被より弾性率の高い被覆層を設けているため、曲げ剛性を向上できるとともに、抗張力体の破断及び光ファイバの断線を防止できることがわかった。
1,1a 光ファイバケーブル
2 本体部
3 光ファイバ
4 高張力繊維束
5,6,7 被覆層
8,8a 抗張力体
9 外被
10 ノッチ
11 メッセンジャワイヤ部
12 支持線
13 首部
2 本体部
3 光ファイバ
4 高張力繊維束
5,6,7 被覆層
8,8a 抗張力体
9 外被
10 ノッチ
11 メッセンジャワイヤ部
12 支持線
13 首部
Claims (9)
- 光ファイバと、有機性の高張力繊維束とが、プラスチック樹脂の外被により一括に被覆されている光ファイバケーブルであって、
前記高張力繊維束の周囲には、前記外被に比べて弾性率の高いプラスチック樹脂の被覆層が、少なくとも1層設けられていることを特徴とする光ファイバケーブル。 - 請求項1に記載の光ファイバケーブルであって、
前記被覆層は、複数層から構成されていることを特徴とする光ファイバケーブル。 - 請求項1または2に記載の光ファイバケーブルであって、
前記高張力繊維束は、マトリックス樹脂によって一体化されていることを特徴とする光ファイバケーブル。 - 請求項1から3の何れか1項に記載の光ファイバケーブルであって、
前記外被と前記被覆層は、同種類のプラスチック樹脂であることを特徴とする光ファイバケーブル。 - 請求項4に記載の光ファイバケーブルであって、
前記外被及び前記被覆層は、熱可塑性樹脂であることを特徴とする光ファイバケーブル。 - 請求項4または5に記載の光ファイバケーブルであって、
前記外被及び前記被覆層は、ポリオレフィン系の樹脂であることを特徴とする光ファイバケーブル。 - 請求項1から6の何れか1項に記載の光ファイバケーブルであって、
前記外被は低密度ポリエチレンであり、前記被覆層は高密度ポリエチレンまたは直鎖状ポリエチレンであることを特徴とする光ファイバケーブル。 - 請求項1から7の何れか1項に記載の光ファイバケーブルであって、
前記光ファイバは、波長1.3μmにおけるピーターマン−I(Petermann−I)の定義によるモードフィールド径が9.0μm以下であり、スクリーニングレベルが1.2%以上の引っ張り強度試験を経た光ファイバであることを特徴とする光ファイバケーブル。 - 請求項1から8の何れか1項に記載の光ファイバケーブルであって、
当該光ファイバケーブルを架空で支持するための支持線が設けられていることを特徴とする光ファイバケーブル。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2003
- 2003-10-02 JP JP2003344238A patent/JP2005107441A/ja active Pending
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