JP2005105336A - カルコゲン化合物の共沈方法、白金族−カルコゲン合金の製造方法、白金族−カルコゲン合金/無機多孔質体担持物の製造方法及び酸化反応生成物の製造方法 - Google Patents

カルコゲン化合物の共沈方法、白金族−カルコゲン合金の製造方法、白金族−カルコゲン合金/無機多孔質体担持物の製造方法及び酸化反応生成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高機能材料や触媒として有用な白金族−カルコゲン合金の製造方法及び白金族−カルコゲン合金/無機多孔質担持触媒を用いて、オレフィン等及びカルボン酸等と分子状酸素とを反応させる酸化反応生成物の製造方法を提供する。
【解決手段】 塩化パラジウム塩酸溶液及びテルル酸水溶液を含浸した球状シリカ担体に、1.6N−NaOH水溶液を加えてアルカリ処理を行い、パラジウム化合物とテルル化合物とを共沈させて球状シリカ単体表面に吸着担持させる。次いで、球状シリカ担体に吸着担持したパラジウム化合物及びテルル化合物を、蒸留水による洗浄、窒素ガスによる乾燥後、1Nl/分の水素による還元処理を行い、パラジウム−テルル/シリカ担持触媒を調製する。このパラジウム−テルル/シリカ担持触媒は、分子状酸素の存在下で、ブタジエンのジアセトキシ化反応を行なった場合、高活性な触媒として作用する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、カルコゲン化合物の共沈方法等に関し、より詳しくは、白金族−カルコゲン化合物の共沈物を用いた白金族−カルコゲン合金/無機多孔質体担持物の製造方法等に関する。
カルコゲンは多くの金属と化合物を形成し、特に、遷移金属とは合金を形成することが知られており、また、数多くの金属間化合物も知られている。これらの合金は高機能材料として極めて有用と考えられており、触媒や半導体等の用途に実用化されている。
例えば、触媒用途としては、パラジウム及びテルルをシリカ等の固体担体に担持した固体触媒は、共役ジエンとカルボン酸及び分子状酸素とを反応させて不飽和グリコールエステルを製造する触媒として使用されている(特許文献1参照)。
特開平08−003110号公報
ところで、このようなカルコゲンと遷移金属との合金触媒の製造方法としては多くの方法が提案されており、溶解した金属を多孔質担体に含浸させた後に固定化し、還元する方法が基本となる。この場合、金属原料溶液中の金属イオンと多孔質担体の表面官能基との相互作用により、金属イオンを多孔質担体上へ吸着固定する原理を利用する方法では、その金属イオン種による相互作用の差により合成される合金形態が変化する。例えば、白金族金属とテルルを鉱酸に溶解したものを活性炭に吸着担時させる場合、一般的に、活性炭に対する吸着能は、白金族イオンがカルコゲンよりも高いことから、合金粒子の組成比を均質に担時することは困難である。このように白金族とカルコゲンではそのイオンの特性が大きく異なる多元系で均質に担時することは極めて困難である。
また、金属原料溶液中の金属イオンと多孔質担体の表面官能基との相互作用が殆ど無い状態で、金属イオンを乾燥等により強制的に担体上へ析出させる方法が工業的に採用されているが、この方法は、各金属塩の析出速度が、その溶解度に支配されるため、均一な組成比を有する合金粒子を多孔質担体に担時することは困難である。
さらに、化学的な反応を利用して金属塩を析出する沈殿法も知られており、例えば、白金族の場合は、白金族化合物の溶液中にアルカリ成分を添加することにより、白金族を水酸化物として析出させる手法は広く利用されている。しかし、カルコゲンの場合、一般的にカルコゲンとアルカリ金属又はアルカリ土類金属との化合物が水溶性であるために、カルコゲンの金属塩を析出させる方法は採用されていない。
このように、従来技術では、白金族−カルコゲン合金を工業的に満足する製造方法は得られていない。一方、白金族金属は極めて高価であるため、単位金属量当りの活性の高い触媒の開発が求められており、高活性白金族−カルコゲン合金を工業的に製造する方法の開発は、極めて重要である。
本発明は、かかる技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、白金族化合物とカルコゲン化合物とを共沈させる方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、高機能材料や触媒として有用な白金族−カルコゲン合金の製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、触媒又は半導体等の用途に適用できる白金族−カルコゲン合金/無機多孔質担持物を工業的に満足しうる条件で製造する方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、高活性な白金族−カルコゲン合金/無機多孔質担持触媒を用いて、オレフィン等及びカルボン酸等と分子状酸素とを反応させる酸化反応生成物の製造方法を提供することにある。
かかる課題を解決すべく本発明者等は鋭意検討した結果、パラジウム化合物とテルル化合物とを溶解した水溶液を珪酸ナトリウム水溶液中に添加することにより、単独では析出しないテルル化合物を含有するパラジウム化合物−テルル化合物の共沈物が得られることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに到った。
かくして本発明の要旨は、カルコゲン化合物の溶液を白金族化合物の存在下アルカリ成分と接触させ、白金族化合物及びカルコゲン化合物を析出させることを特徴とするカルコゲン化合物の共沈方法にある。
また、本発明の要旨は、カルコゲン化合物の溶液を白金族化合物の存在下アルカリ成分と接触させ、白金族化合物及びカルコゲン化合物の共沈物を析出させ、共沈物を還元処理することを特徴とする白金族−カルコゲン合金の製造方法にある。
さらに、本発明は、白金族化合物及びカルコゲン化合物の溶液とアルカリ成分とを無機多孔質体の存在下接触させ、無機多孔質体に白金族化合物及びカルコゲン化合物の共沈物を析出させ、共沈物を還元処理することを特徴とする白金族−カルコゲン合金/無機多孔質体担持物の製造方法として把握することができる。
このような製造方法により製造される白金族−カルコゲン合金/無機多孔質体担持物は、触媒として各種の合成反応に使用することができる。また、白金族化合物が、パラジウム、ロジウム又はルテニウムの化合物であることが好ましい。また、カルコゲン化合物が、テルル化合物であることが好ましい。さらに、無機多孔質体が、シリカであることが好ましい。
次に、本発明は、無機多孔質体に吸着担持した白金族化合物及びカルコゲン化合物の共沈物を還元処理することにより得られた白金族−カルコゲン合金/無機多孔質体担持触媒と分子状酸素の存在下、オレフィン及び芳香族化合物の中から選ばれる少なくとも一つの反応基質に求核剤を酸化的付加させることを特徴とする酸化反応生成物の製造方法として捉えることができる。
本発明が適用される酸化反応生成物の製造方法において、反応基質が共役ジエンであり、求核剤がカルボン酸又はアルコールであることを特徴とすれば、高活性な固体触媒により不飽和グリコールジエステルを製造することができる。
一般的にテルル等のカルコゲンとアルカリ金属又はアルカリ土類金属との化合物が水溶性であるために、カルコゲンの金属塩は単独では不溶化しない。しかし、本発明においては、共通溶液中においてパラジウム等の白金族とテルル等のカルコゲンとで形成された錯塩が同時に不溶化することにより白金族化合物−カルコゲン化合物が共沈すると考えられる。
本発明によれば、高機能材料や触媒として有用な白金族−カルコゲン合金の製造方法等が提供される。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態という。)について詳細に説明する。
本実施の形態で使用される白金族元素としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金が挙げられる。また本実施の形態で合金製造のための原料として使用される白金族の形態としては、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸との化合物や酢酸塩、シアン化物、チオシアン酸塩、アセチルアセチナト塩等の有機化合物でも良い。
具体的には、例えば、パラジウムを例にとると、ハロゲン化物としてはフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物の何れも使用でき、より具体的には、例えば、塩化物としてその例を挙げると、PdCl、NaPdCl、KPdCl、CsPdCl等の無機ハロゲン化物;アリルパラジウムクロライド二量体、C10ClPd、ビスエチレンジアミンパラジウムクロライド[Pd(C]Cl、ジクロロビストリエチルホスフィンパラジウム[PdCl{P(C]等の有機ハロゲン化物が挙げられる。また、必要に応じ、金属パラジウムをハロゲンを含む酸で溶解したものを用いても良い。ハロゲンの種類としては、最も工業的に用いられている塩化物が、その入手のしやすさから好ましい。
更に、PdSO等の硫酸塩;Pd(NO等の硝酸塩;Pd(COOCH等の酢酸塩;Pd(CN)等のシアン化物;Pd(SCN)等のチオシアン化物;ビス(アセチルアセトナト)パラジウム等の錯塩でも良い。
このように種々の白金族化合物が使用できるが、その入手の容易性や価格、原料化合物の溶解性、更にはアルカリ金属又はアルカリ土類金属との反応性生物の溶解等の点で、無機塩化物が最も好ましい。具体的には、RuCl、HRuCl、NaRuCl等のルテニウム塩化物;RhCl、HRhCl、NaRhCl等のロジウム塩化物;PdCl、HPdCl、LiPdCl、NaPdCl、KPdCl等のパラジウム塩化物;塩化銀;ReCl、ReClO、ReClO等のレニウム塩化物;OsCl、Os(OH)Cl等のオスミウム塩化物;IrCl、IrCl、HIrCl、NaIrCl、IrCl(OH)等のイリジウム塩化物;HPtCl、NaPtCl等の白金塩化物;HAuCl、NaAuCl等の金塩化物が好ましい。
これらの白金族は溶解した状態で使用される。その溶液の調製方法は特に限定されるものではなく、白金族が溶媒中に溶解していれば良い。溶媒は一般的に水が用いられるが、必要に応じてアセトン、アルコール、有機カルボン酸、エーテル、エステル等の有機溶媒でも良く、更に、その混合物でも良い。白金族は溶解した溶液の濃度は、製造する合金の用途により限定されるので、一概には限定できないが、通常、0.05重量%〜最大溶解度の範囲で使用される。
本実施の形態で使用されるカルコゲンとしてはイオウ、セレン、テルルが挙げられる。より具体的には、本実施の形態で原料として使用されるイオウ化合物としては、NaSやNaSH、KS等の硫化物;NaHSO、NaSO等の硫酸塩;Na等の焦性硫酸塩;K、Na等のチオ硫酸塩等が挙げられる。
本実施の形態で原料として使用されるセレンとしては、NaSe、NaHSe等のセレン化物;SeCl等のハロゲン化物;SeO等の酸化物;亜セレン酸、NaSeO等の亜セレン酸塩;セレン酸、NaSeO等のセレン酸塩等が挙げられる。また、必要に応じ、セレン金属を酸又はアルカリに溶解したものを用いても良い。
本実施の形態で原料として使用されるテルルとしては、NaTe等のテルル化物、TeCl等の塩化物;TeO等の酸化物;亜テルル酸、NaTeO、KTeO等の亜テルル酸塩;テルル酸、NaTeO、KTeO等のテルル酸塩等が挙げられる。また、必要に応じ、テルル金属を酸又はアルカリに溶解したものを用いても良く、例えば、ジフェニルジテルライド等の有機テルルを用いても良いが、その入手の容易さや取り扱い性の観点でテルル酸およびその塩類が最も好ましい。
これらのカルコゲンは溶解した状態で使用される。その溶液の調製方法は特に限定されるものではなく、カルコゲンが溶媒中に溶解していれば良い。溶媒は一般的に水が用いられるが、必要に応じ、アセトン、アルコール、有機カルボン酸、エーテル、エステル等の有機溶媒でも良く、更に、その混合物でも良い。その濃度は、製造する合金の用途により限定されるので、一概には限定できないが、通常、0.05重量%〜最大溶解度の範囲で使用される。
本実施の形態によれば、白金族とカルコゲンは溶液中にその双方が共存した金属原料液として調製された後に使用される。金属原料液中の白金族とカルコゲンとの濃度比は、通常、白金族1モルに対してカルコゲンが0.05モル以上、好ましくは、0.1モル以上、より好ましくは、0.15モル以上である。但し、通常、5モル以下、好ましくは、2モル以下、より好ましくは、0.5モル以下である。この金属原料液は、各金属原料を個別に溶解した後に混合しても良く、或いは同時に溶解して使用しても良い。
本実施の形態で使用されるアルカリ成分としては、KOH、NaOH等の水酸化物;KCO、NaCO等の炭酸塩;CHCOOK、CHCOONa等の酢酸塩;KSiO、NaSiO等のケイ酸塩等、広くアルカリ金属化合物が使用できる。更に、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン等のアミン類で代表される有機アルカリを用いても良い。
本実施の形態で使用されるアルカリ成分の量は、特に限定されるものではない。アルカリ成分の量が少ない場合には、白金族やカルコゲンの一部が析出しなくなるが、それらは析出物を分離した後に金属原料液の一部として利用(回収)できる。しかし、この回収率が過度に高いと金属成分のロスが多くなるので、高価な貴金属を取り扱う上では好ましくはない。従って、工業的には、アルカリ成分の量としては、通常、下記式(1)で求められたMa(単位:mol)の0.2倍以上、好ましくは0.5倍以上、更に好ましくは1倍以上の量である。
一方、余剰のアルカリ成分は、析出物を分離した後にアルカリ成分の一部としてリサイクル使用できるので、その使用量の上限値は特に限定されるものではないが、生産性の観点から、通常、下記式(1)で求められたMa(単位:mol)の500倍以下が好ましい。但し、多孔質体に担時する場合であって、当該多孔質体がアルカリにより溶解したり、又は、細孔構造が変化する等の特別な事情がある場合には、アルカリ成分の使用量は更に少ない方が好ましく、具体的には、下記式(1)で求められたMa(単位:mol)の20倍以下の量が好ましい。
Figure 2005105336
(式(1)中、Mpは、金属原料液に含まれる白金族のモル数であり、Aは、定数で通常は2、但し、金の場合は1であり、Mcは、金属原料液に含まれるカルコゲンのモル数であり、Zは、アルカリ成分のアルカリ価数である(例えば、NaOHの場合、Z=1、NaSiOの場合、Z=2。))
カルコゲン化合物の溶液を、白金族化合物の存在下、アルカリ成分と接触させる方法は特に限定されないが、通常、白金族とカルコゲンを含む溶液(以下、「金属原料液」と記す。)とアルカリ成分とを接触させる。例えば、予め、アルカリ成分を含む溶液(以下、「アルカリ溶液」と記す。)を調製し、金属原料液にアルカリ溶液を混合しても良く、アルカリ溶液に金属溶液を混合しても良い。混合の方法は特に限定されず、例えば、滴下、シャワー状、噴霧状等の何れでも良く、必要とあれば、金属原料液にアルカリ成分自体を投入しても良い。混合する温度は、通常、室温であり、必要に応じて、冷却又は加熱状態でも良く、沸点以上の温度が必要であれば加圧系で行えば良い。
本実施の形態で使用されるアルカリ溶液のアルカリ成分の濃度は、通常、0.1重量%〜最大溶解度の範囲から選ばれ、好ましくは、0.5重量%〜最大溶解の範囲であり、より好ましくは、2重量%〜最大溶解度の範囲である。アルカリ溶液のアルカリ成分の濃度が過度に低いと、白金族化合物−カルコゲン化合物の共沈物が必要十分に析出しないので好ましくない。
本実施の形態で使用される無機多孔質としては、例えば、活性炭、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の酸化物担体及びこれらの混合酸化物等が挙げられ、中でも、シリカが特に好ましい。担体物性としては多孔質であることが必要であり、平均細孔直径が10nm〜50nmであるものが好ましい。担体形状は特に限定されない。但し、本実施の形態が適用される製造方法により得られる白金族−カルコゲン合金/無機多孔質体担持物を、後述するように、触媒として用いる際に、固定床触媒反応形式を採用する場合は、工業的にはその担体粒子径が1mm以上であるのが好ましい。但し、担体粒子径が8mm以下であるのが好ましい。担体粒子径が大きすぎると触媒粒子の外表面積が相対的に小さくなってしまう。逆に小さすぎると触媒充填層の圧力損失が大きくなる。また、流動床触媒反応形式や懸濁相触媒反応形式を採用する場合は、工業的にはその担体粒子径が5μm以上であるのが好ましく、より好ましくは10μm以上である。但し、担体粒子径が2000μm以下であるのが好ましく、より好ましくは1000μmである。担体粒子径が過度に大きいと触媒の流動性が低下する。担体粒子径が過度に小さいと触媒の分離が困難になる。
無機多孔質体に白金族化合物及びカルコゲン化合物の共沈物(以下、単に「共沈物」と記すことがある。)を析出させる方法は、例えば、予め、(1)金属原料液を無機多孔質体に含浸させた後に、アルカリ溶液を接触させる方法、(2)アルカリ溶液を無機多孔質体に含浸させてから金属原料液を接触させる方法、(3)無機多孔質体にアルカリ溶液を含浸させた後に乾燥し、アルカリ成分を無機多孔質体の細孔内に析出させた後、無機多孔質体に金属原料液を接触させる方法が挙げられる。これらの中でも、(1)金属原料液を無機多孔質体に含浸させた後に、アルカリ溶液を接触させる方法が好ましい。
具体的には、前述した(1)又は(2)の方法は、先ず、無機多孔質体に金属原料液又はアルカリ溶液を含浸させる。その方法は特に限定されるものではない。例えば、金属原料液又はアルカリ溶液に無機多孔質体を加える方法、無機多孔質体に金属原料液又はアルカリ溶液を接触させる方法、無機多孔質体に金属原料液又はアルカリ溶液を噴霧する方法等の何れでも良い。金属原料液又はアルカリ溶液を無機多孔質体に含浸する際の金属原料液又はアルカリ溶液の量は特に限定されず、無機多孔質体の細孔容積よりも過剰の金属原料液又はアルカリ溶液を用いた場合には、その過剰分をリサイクルすれば良い。また、金属原料液又はアルカリ溶液を無機多孔質体の粒子の中心部まで含浸させたくない場合は、無機多孔質体の細孔容積よりも少ない量の金属原料液又はアルカリ溶液を使用すれば良い。
さらに、金属原料液又はアルカリ溶液のいずれか一方を含浸した無機多孔質体に、他方の溶液を接触させる方法も特に限定されず、滴下、シャワー状、噴霧状等の何れでも良い。接触させる温度は通常、室温であり、必要に応じ、冷却又は加熱状態でも良く、沸点以上の温度が必要であれば加圧系で行えば良い。
次に、前述した(3)の方法は、上記(2)の方法において、無機多孔質体にアルカリ溶液を含浸させた後に乾燥する。この場合の乾燥方法は特に限定されるものではない。例えば、ロータリエバポレータ、コニカルブレンダーを用いた流動床減圧乾燥;減圧乾燥機、棚段乾燥装置等の静置式乾燥;キルン乾燥装置等の流動床乾燥;冷却凍結させた状態で減圧し乾燥する方法;気流中で加熱して乾燥する方法等、何れの乾燥方法でも良い。中でも、工業的には、気流中で加熱乾燥する方法が好ましい。
無機多孔質体に含浸されたアルカリ溶液を気流中で乾燥する方式としては、例えば、固定床乾燥、流動床乾燥、キルン型乾燥の何れでも良い。キルン型乾燥は、無機多孔質体の粒子径の制限を受けないが、工業的には、無機多孔質体の粒子径が1mm以上の場合は、固定床乾燥が好ましく、無機多孔質体の粒子径が0.2mm以下の場合は、流動床乾燥が好ましい。気流乾燥の場合のガス成分としては、空気、窒素等の不活性ガス又はそれらの混合物でも良く、必要に応じて、除湿したガスを使用しても良い。この場合に用いるガス流量は、通常、触媒に対して空間速度(SV)で20(l/l・時)以上の範囲で選択され、より好ましくは、1000(l/l・時)〜8000(l/l・時)の範囲である。空間速度(SV)の値が過度に低いと、乾燥時間が長くなり、また過度に高いと、ガス使用量が大きくなり不経済である。
次に、このように、無機多孔質体の存在下又は不存在下で、金属原料液とアルカリ成分とを接触させることにより得られた、白金族化合物及びカルコゲン化合物の共沈物を析出させ、この共沈物を還元処理することにより、白金族−カルコゲン合金を製造することができる。当該共沈物を還元処理する方法は特に限定されないが、例えば、金属原料液とアルカリ成分とを担持させて得た共沈物を含む溶液に還元剤を接触させても良く、又は、金属原料液とアルカリ成分とを接触させて得た共沈物を含む溶液から共沈物を分離した後に還元処理しても良い。また、必要に応じ、還元処理前に共沈物の洗浄及び/又は乾燥や焼成を行っても良く、更に、必要ならば、それらを繰り返し行っても良い。還元方法としては、白金族化合物及びカルコゲン化合物の共沈物が還元されて白金族−カルコゲン合金が得られれば特に限定されず、例えば、水素ガス、メタノールガス等による気相還元;ヒドラジン、ホルマリン、ギ酸及びその塩類で代表される液相還元のいずれでも良い。
本実施の形態において、必要に応じて還元処理の前に白金族とカルコゲンを含む共沈物又は共沈物を含む無機多孔質体を分離する方法は特に限定されるものではない。例えば、デカンテーション、ろ過、遠心分離等の何れでも良い。また、無機多孔質体の細孔内に共沈析出させた場合には、その無機多孔質体と共に分離すればよい。
本実施の形態において、必要に応じて還元処理の前に共沈物又は共沈物を含有する無機多孔質体を洗浄する方法は特に限定されるものではない。一般的には水による洗浄が利用されるが、必要に応じ、不純物を除去しうる数種類の薬液を用いても良い。
本実施の形態において、必要に応じて還元処理の前に共沈物又は共沈物を含有する無機多孔質体を乾燥する方法は特に限定されるものではない。例えば、ロータリエバポレータ、コニカルブレンダー等を用いた流動床減圧乾燥;減圧乾燥機、棚段乾燥装置等の静置式乾燥;キルン乾燥装置等の流動床乾燥;冷却凍結させた状態で減圧し乾燥する方法;気流中で加熱して乾燥する方法等、何れの乾燥方法でも良い。
中でも、気流中で乾燥及び/又は焼成する方式としては、例えば、固定床乾燥、流動床乾燥、キルン型乾燥の何れでも良い。キルン型乾燥は目的物の粒子径の制限を受けないが、工業的には、粒子径が1mm以上の場合は、固定床乾燥が好ましく、0.2mm以下の場合は、流動床乾燥が好ましい。気流乾燥の場合のガス成分としては、空気や窒素等の不活性ガス又はそれらの混合物でも良く、必要に応じて除湿したガスを使用しても良い。ガスとして水素を用いると、乾燥と還元を同時に行うことができるために好ましい。ガス流量は、通常、共沈物に対して空間速度(SV)が20(l/l・時)以上の範囲で選択され、より好ましくは1000(l/l・時)〜10000(l/l・時)の範囲である。空間速度(SV)の値が過度に低いと、乾燥時間が長くなり、また過度に高いと、ガス使用量が大きくなり不経済である。
本実施の形態の白金族−カルコゲン合金の用途の一つとして、触媒が挙げられ、広く触媒反応に使用することが出来る。還元処理して得た白金族−カルコゲン合金はそのまま触媒として使用できるが、当該合金中に残存するアルカリ金属類やハロゲン等を除去処理した後に使用しても良い。その除去方法としては、通常、本質的に白金族−カルコゲン合金を溶解させることのない液体により洗浄する方法が用いられる。その洗浄用の液体としては、例えば水や温水で良く、更には任意の濃度に調整された酢酸や蓚酸のような弱酸及び炭酸ナトリウムのような弱塩基を用いても良い。
中でも、水または温水が価格や安全性の面でより好ましい。なお、水または温水ではアルカリ金属類成分を完全に除去することは困難であるため、工業的には反応系中で問題にならない程度まで除去するのが一般的である。この問題にならない量は、反応基質や条件、プロセスフロー等によって変化する為、一概には言えないが、一般的には0.5%未満であり、好ましくは0.2%未満である。但し、プロセスによってはアルカリ金属類やハロゲンをできるだけ完全に除去したい場合がある。アルカリを特に除去したい場合は、酢酸や蓚酸のような弱酸を用いて洗浄すると除去効率が良い。また、ハロゲン成分を特に除去したい場合は、炭酸ナトリウムのような弱塩基を用いて洗浄すると除去効率が良い。洗浄方法は特に限定されるものではないが、工業的には洗浄槽に触媒を充填し、洗浄液を流通させるのが一般的である。
以下、触媒としての使用方法についてより詳細に説明する。本実施の形態が適用される製造方法により得られる白金族−カルコゲン合金/無機多孔質体担持物は、広く酸化触媒反応の酸化用触媒として使用することができるが、液相反応での使用が好ましい。即ち、反応時に、基質及び酸素求核剤のうち、少なくとも1つ以上が液状で触媒と接触することが好ましい。中でも、オレフィン又は芳香族化合物に酸素求核剤を酸化的付加させる酸化的付加反応方法と、これを用いた酸化的付加生成物の製造方法に適用すると効果が高い。例えば、オレフィンの酸化によるアルデヒド合成;オキシクロリネーションや酸化的アシロキシ化;酸化的シアノ化;酸化的アルコキシ化等のオキシアニオニゼーション;オレフィン及び/又は芳香族のカップリング反応;酸化的カルボキシル化等の反応が挙げられる。
より具体的には、アルデヒド合成としては、エチレンからのアセトアルデヒド合成等が挙げられる。オキシクロリネーションとしては、エチレンからの塩化ビニル合成;プロピレンからの塩化アリル合成;ブタジエンからのジククロロブテン合成;イソプレンからのジクロロメチルブテン合成;ベンゼンからのクロロベンゼン合成;トルエン又はキシレン等の側鎖クロロ化等が挙げられる。アシロキシ化としては、エチレンからの酢酸ビニル合成で代表されるアシロキシビニル合成;ブタジエンからのジアシロキシブテン合成;イソプレンからのジアシロキシメチルブテン合成;ベンゼンからのアシロキシベンゼン合成;トルエン叉はキシレン等の側鎖アシロキシ化等が挙げられる。シアノ化としては、エチレンからのアクリロニトリル合成;ブタジエンからのジシアノブテン合成;イソプレンからのジシアノメチルブテン合成;ベンゼンからのシアノベンゼン合成;トルエン叉はキシレン等の側鎖シアノ化等が挙げられる。アルコキシ化としては、エチレンからのメチルエチルエーテル合成;ブタジエンからのジアルコキシブテン合成;イソプレンからのジアルコキシメチルブテン合成;ベンゼンからのアルコキシベンゼン合成;トルエン叉はキシレン等の側鎖アルコキシ化等が挙げられる。カップリング反応としては、ベンゼンからのビフェニル合成;トルエンからのメチルベンゼン二量体合成;酢酸ビニルからのジアセトキシブタジエン合成;スチレンとベンゼンからのスチルベン合成;スチレン又はスチレンとベンゼンからのトリフェニルベンゼン及びテトラフェニルベンゼン合成等が挙げられる。酸化的カルボキシル化では、エチレンと一酸化炭素からのアクリル酸合成;一酸化炭素とアルコールからのシュウ酸ジエステル合成;エチレンと一酸化炭素及びアルコールからのコハク酸ジエステル合成;ブタジエンと一酸化炭素及びアルコールからのアジピン酸エステル類の合成等が挙げられる。
最も好ましくは、液相酸化的アシロキシ化及び/又はアルコキシ化反応用の触媒として用いると、活性が極めて高く好ましい。中でも、オレフィン又は芳香族化合物に酸素求核剤を酸化的付加させる酸化的付加反応方法と、これを用いた酸化的付加生成物の製造方法に適用すると効果が高い。この場合、酸素求核剤は、例えばオレフィン又は芳香族化合物の不飽和結合部位に対して酸化的付加反応を行う。或いは、側鎖アルキル基を有する芳香族化合物に酸素求核剤を酸化的付加させる酸化的付加反応方法と、これを用いた酸化的付加生成物の製造方法に適用すると効果が高い。この場合、酸素求核剤は、例えば側鎖アルキル基の芳香環に隣接した炭素に酸化的付加反応を行う。
本実施の形態において使用される原料のオレフィンとしては、反応に悪影響を与えないものであれば特に制限はないが、直鎖又は分岐状のオレフィン、もしくは単環、多環又は縮合環式のシクロオレフィンが好ましく、中でも直鎖又は分岐状のオレフィンまたは単環のシクロオレフィンが好ましい。これらのオレフィン又はシクロオレフィンは、本発明の酸化反応に悪影響を与えない置換基で置換されていてもよい。置換基としては例えば、アリル基、アリール基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミド基、アルコキシ基、アシル基、カルボキシル基、ホルミル基、アシロキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの置換基が挙げられるが、これに限定されるものではない。
直鎖又は分枝状のオレフィンの炭素数は、通常、2以上であって、通常30以下、好ましくは12以下、より好ましくは10以下である。単環、多環又は縮合環式のシクロオレフィンの炭素数は、通常、4以上、好ましくは5以上、より好ましくは6以上であり、通常、30以下、好ましくは12以下、より好ましくは10以下である。オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、2,3−ジメチルブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、ブタジエン、シクロヘキサジエン等が挙げられる。中でも、好ましくは共役ジエンが挙げられる。共役ジエンとしては、具体的にはブタジエン、ピペリレン(1,3−ペンタジエン)、1,4−ヘキサジエンの他、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチルブタジエン等のアルキル置換ブタジエン(分岐状オレフィンの一種である。)、更に、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンのような環状ジエンを使用する事ができる。好ましくはブタジエン、ピペリレン、アルキル置換ブタジエンのいずれかであり、最も好ましくはブタジエン又はアルキル置換ブタジエンのいずれかである。また、シクロオレフィンも好ましく、例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン等が挙げられる。特に好ましくはシクロヘキセンである。
本実施の形態において使用する芳香族化合物としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に制限はないが、単環又は縮合環の芳香族化合物が用いられ、縮合環の環の数は通常2〜10、好ましくは2〜6、より好ましくは2または3である。これらの中でも好ましくは単環または2環の縮合環の芳香族化合物、より好ましくは単環の芳香族化合物である。これらの芳香族化合物は、本発明の酸化反応に悪影響を与えない置換基で置換されていてもよい。置換基としては例えば、アルキル基、アリル基、アリール基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミド基、アルコキシ基、アシル基、カルボキシル基、ホルミル基、アシロキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの置換基が挙げられるが、これに限定されるものではない。
以上のようなオレフィン又は芳香族化合物に対して、酸素求核剤は、例えばその不飽和結合部位に酸化的付加反応を行う。
また、本実施の形態において使用する側鎖アルキル基を有する芳香族化合物としては、反応に悪影響を与えないものであれば特に制限はないが、上記の芳香族化合物が一つのアルキル基で置換された化合物、または、これにさらにアルキル基、アリル基、アリール基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミド基、アルコキシ基、アシル基、カルボキシル基、ホルミル基、アシロキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの置換基が直接結合した芳香族化合物等が例示される。
具体的な例は次の通りである。トルエン、エチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ジエチルベンゼン、o−クロロトルエン、m−クロロトルエン、p−クロロトルエン、ジクロロトルエン、o−ニトロトルエン、m−ニトロトルエン、p−ニトロトルエン、o−メトキシトルエン、m−メトキシトルエン、p−メトキシトルエン、o−フェノキシトルエン、m−フェノキシトルエン、p−フェノキシトルエン、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、o−トルアルデヒド、m−トルアルデヒド、p−トルアルデヒド、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−メチルベンジルアルコール、m−メチルベンジルアルコール、p−メチルベンジルアルコール等が挙げられる。
以上のような側鎖アルキル基を有する芳香族化合物に対して、酸素求核剤は、例えば側鎖アルキル基の芳香環に隣接した炭素に酸化的付加反応を行う。
これら反応を用いた具体的な製造方法としては、例えば、共役ジエンとカルボン酸及び分子状酸素を反応させて対応する不飽和グリコールジエステルを製造する方法、共役ジエンとアルコール及び分子状酸素を反応させて対応する不飽和グリコールジエーテルを製造する方法、シクロヘキセンとカルボン酸及び分子状酸素を反応させて対応するアシロキシシクロヘキセンを製造する方法、アルキルベンゼンとカルボン酸及び分子状酸素を反応させて対応するアシロキシアルキルベンゼンを製造する方法、等が挙げられる。
これらの製造方法において、好ましくは共役ジエンがブタジエン、ピペリレン、アルキル置換ブタジエンから選ばれるものとする。また、好ましくはカルボン酸が酢酸である。
本実施の形態の白金族−カルコゲン合金が、これらの反応の触媒として使用させる場合は、白金族としてパラジウムが好ましく、カルコゲンとしてはテルルが好ましい。また、触媒の形態としては、白金族−カルコゲン合金を無機多孔質体に担持させた白金族−カルコゲン合金/無機多孔質体担持触媒が好ましい。分子状酸素の存在下、オレフィン又はフェニル基若しくは側鎖アルキル基の中から選ばれる少なくとも一つの反応基質に求核剤を酸化的付加させる酸化反応生成物の製造方法において、白金族−カルコゲン合金/無機多孔質体担持触媒を使用する場合、無機多孔質体に担持させる白金族−カルコゲン合金の担持量は、酸化反応生成物が得られる範囲であれば特に限定されないが、通常、無機多孔質体1g当たり、白金族1mg以上100mg以下であり、カルコゲン1mg以上100mg以下である。また、白金族とカルコゲンとの割合は、白金族1モルに対して、カルコゲンが、通常、0.1モル以上であり、通常、5モル以下、好ましくは2モル以下である。
分子状酸素の存在下、オレフィン又はフェニル基若しくは側鎖アルキル基の中から選ばれる少なくとも一つの反応基質に求核剤を酸化的付加させる酸化反応生成物の製造方法のの一例として、共役ジエンのアシロキシ化による不飽和グリコールジエステル製造に関して、以下に詳細に説明する。
本実施の形態が適用される白金族−カルコゲン合金/無機多孔質体担持触媒を用いて不飽和グリコールジエステルを製造する際に、反応原料として使用する共役ジエンは、例えば、ブタジエン;イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン等のアルキル置換ブタジエン;ピペリレン;シクロペンタジエン等の環状ジエンを使用する事ができる。好ましくは、共役ジエンがブタジエン、アルキル置換ブタジエン、ピペリレン、から選ばれるものとする。共役ジエンは、必ずしも純粋なものである必要はなく、窒素ガス等の不活性ガス、メタン、エタン、ブタン等の飽和炭化水素、ブテン等の不飽和炭化水素を含むものであっても良い。
次に、もう一方の反応原料であるカルボン酸としては、脂肪族、脂環族、芳香族等、任意のものを用いることができるが、工業的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸等の低級脂肪族のモノカルボン酸(炭素数4以下)が挙げられる。特に、反応性及び価格の点から、酢酸がより好ましい。また、当該カルボン酸は反応原料であるとともに反応溶媒を兼ねても良く、さらに、必要に応じて、酸化反応に不活性な、例えば、飽和炭化水素、エステル等の有機溶媒が存在していても良い。但し、反応溶媒の50重量%以上は、原料のカルボン酸である事が好ましい。カルボン酸の使用量は、共役ジエン1モルに対する化学量論量以上、60モル以下の範囲が好ましい。
本実施の形態が適用される酸化反応生成物の製造方法において、上述の原料を分子状酸素、通常は分子状酸素を含有する気体を用いて、好ましくは液相下で固体触媒と接触させる。ここで分子状酸素を含有する気体とは、純酸素あるいは酸素と不活性気体の混合気体を指す。この不活性気体とは、窒素、アルゴン、ヘリウム等であり、混合気体としては空気も含まれる。分子状酸素は不活性気体と任意の混合比率にて、大気圧〜加圧状態として反応系に供給することができるが、酸素濃度は反応系内の気相部が爆発組成とならない範囲が好ましい。一般的に酸化反応は、酸素分圧が高い程反応速度的に有利なので、その限定された範囲内で安全率を考慮した最大濃度で供給するのがより好ましい。しかし、空気よりも高い酸素濃度については、燃焼反応の促進や、酸素高濃度化の為の設備が必要になり、更には高濃度酸素ガスそのものの危険性も増大する為、特に反応速度が必要な場合を除き、一般的には使用されない。また酸素分圧については、供給する酸素濃度、反応系中の組成と反応圧力、温度により決定される。
本実施の形態が適用される白金族−カルコゲン合金/無機多孔質体担持触媒を用い、共役ジエンとカルボン酸及び分子状酸素を反応させて、酸化反応性生物である不飽和グリコールのカルボン酸ジエステルを製造する方法は、回分式、連続式のいずれの方法でも行う事ができる。また、反応方式としては固定床式、流動床式、懸濁槽式等任意の方式を採用する事ができ、工業的には固定床式がより好ましい。反応温度は、通常、20℃以上の温度で行われ、反応速度及び副生物の生成等を考慮すると、好適な反応温度の範囲は、40℃〜120℃である。また、反応圧力は、常圧、加圧のいずれも可能である。反応速度を高めるには加圧の方が好ましいが、反応設備経費が高くなり、それらを考慮すると好適な反応圧は、常圧〜100kgf/cmの範囲である。
なお、上記反応例において、共役ジエンに代えてシクロヘキセンを用いることで、アシロキシシクロヘキセンを製造することができる。このとき、用いられるシクロヘキセンの純度には特に制限は無く、例えば、若干のシクロヘキサン、ベンゼンを含んでいても、また微量の水を含んでいても特にさしつかえない。また、共役ジエンに代えてアルキルベンゼンを用いることで、アシロキシアルキルベンゼンを製造することができる。このとき、用いられるアルキルベンゼンの純度には特に制限は無く、例えば若干のベンゼン等を含んでいても、また微量の水を含んでいても特にさしつかえない。
更に、上記反応例において、カルボン酸に代えてアルコールを用いることで、不飽和グリコールジエーテルを製造することができる。本発明に用いうるアルコールは、特に限定されないが、工業的には例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の炭素数4以下の低級アルコールが用いられる。
以下、実施例に基づき本実施の形態を更に詳細に説明するが、本実施の形態はその要旨を越えない限り下記実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
14.3重量%のパラジウムを含有するNaPdCl溶液34.6gに、15.3重量%のテルルを含有するHTeO溶液9.7gを加え、更に、蒸留水51.6gを添加することにより、金属原料液を調製した。この溶液中には、5.2重量%のパラジウムと1.5重量%のテルルとを含有し、テルル/パラジウム原子比は0.25であった。この金属原料液0.54gを、10重量%のNaSiOを含有するアルカリ溶液5.02gに撹拌しながら滴下した後、1晩放置し、沈殿物を濾別した。この沈殿物に蒸留水20gを加えて水洗した後、再び濾別した。
次に、この沈殿物をグラスウールを敷きつめた内径2.5cm(有効断面積4.9cm)のパイレックス(登録商標)ガラス管の中に入れ、1.0Nl/分の窒素ガスを流しながら90℃において1時間、更に、150℃に昇温して1時間乾燥した。次いで、0.5Nl/分の水素に切り替え毎時50℃の割合で昇温し、400℃に2時間保持した後、窒素気流中で冷却し還元処理したところ、沈殿物は黒色へ変化していた。このものをグラスウールごと全量取り出し、王水で抽出した後、ICPにより定量した結果、パラジウム24.1mg、テルル7.4mgを含有しており、そのテルル/パラジウム原子比は0.25であった。
(実施例2)
実施例1で使用した金属原料液0.56gを、18重量%のNaCOを含有するアルカリ溶液5.04gに滴下したこと以外は実施例1と同様に合金を合成し、その合金中のパラジウム及びテルル含有量を定量した結果、パラジウム19.7mg、テルル5.6mgを含有しており、そのテルル/パラジウム原子比は0.24であった。
(実施例3)
10.1重量%のロジウムを含有するRhCl溶液20.2gに、15.3重量%のテルルを含有するHTeO溶液16.7gを加え、更に、蒸留水3.24gを添加することにより、金属原料液を調製した。この溶液中には、5.1重量%のロジウムと6.4重量%のテルルとを含有し、テルル/ロジウム原子比は1.0であった。この金属原料液0.56gを、10重量%のNaSiOを含有するアルカリ溶液5.11gに滴下したこと以外は実施例1と同様に合金を合成し、その合金中のロジウム及びテルル含有量を定量した結果、ロジウム23.1mg、テルル29.3mgを含有しており、そのテルル/ロジウム原子比は1.0であった。
(実施例4)
実施例3で使用した金属原料液0.65gを、16重量%のNaOHを含有するアルカリ溶液5.13gに滴下したこと以外は実施例1と同様に合金を合成し、その合金中のロジウム及びテルル含有量を定量した結果、ロジウム25.6mg、テルル33.0mgを含有しており、そのテルル/ロジウム原子比は1.0であった。
(実施例5)
実施例3で使用した金属原料液0.65gを、18重量%のNaCOを含有するアルカリ溶液5.12gに滴下したこと以外は実施例1と同様に合金を合成し、その合金中のロジウム及びテルル含有量を定量した結果、ロジウム26.9mg、テルル35.4mgを含有しており、そのテルル/ロジウム原子比は1.1であった。
(実施例6)
8.4重量%のルテニウムを含有するRuCl溶液15.3gに、15.3重量%のテルルを含有するHTeO溶液10.6gを加え、金属原料液を調製した。この溶液中には、5.0重量%のルテニウムと6.3重量%のテルルとを含有し、テルル/ルテニウム原子比は1.0であった。この金属原料液0.56gを、10重量%のNaSiOを含有するアルカリ溶液5.05gに滴下したこと以外は実施例1と同様に合金を合成し、その合金中のルテニウム及びテルル含有量を定量した結果、ルテニウム22.8mg、テルル29.0mgを含有しており、そのテルル/ルテニウム原子比は1.0であった。
(実施例7)
実施例6で使用した金属原料液0.56gを、16重量%のNaOHを含有するアルカリ溶液5.05gに滴下したこと以外は実施例1と同様に合金を合成し、その合金中のルテニウム及びテルル含有量を定量した結果、ルテニウム22.3mg、テルル27.6mgを含有しており、そのテルル/ルテニウム原子比は1.0であった。
(実施例8)
実施例6で使用した金属原料液0.52gを、22重量%のKOHを含有するアルカリ溶液5.08gに滴下したこと以外は実施例1と同様に合金を合成し、その合金中のルテニウム及びテルル含有量を定量した結果、ルテニウム20.4mg、テルル26.6mgを含有しており、そのテルル/ルテニウム原子比は1.0であった。
(比較例1)
15.3重量%のテルルを含有するHTeO溶液1.52gを、10重量%のNaSiOを含有するアルカリ溶液5.09gに撹拌しながら滴下したが、沈殿物はまったく認められなかった。
(比較例2)
15.3重量%のテルルを含有するHTeO溶液1.55gを、16重量%のNaOHを含有するアルカリ溶液5.22gに撹拌しながら滴下したが、沈殿物はまったく認められなかった。
(実施例9)
50mlのメスフラスコに13.7重量%のTeを含有するテルル酸水溶液3.8gを入れ、これに9.34重量%のパラジウムを含有する塩化パラジウム塩酸溶液18.6gを加え、更に、蒸留水を加える事により50mlへメスアップした。この溶液に球状シリカ担体(富士シリシア化学(株)製CARiACT−15、粒子直径1.7mm〜3.4mm)26.0gを加え室温で2時間浸漬した後、これを濾過して溶液を除去し、更に、遠心分離器で脱液する事により、塩化パラジウム塩酸溶液及びテルル酸水溶液を含浸した球状シリカ担体52.4gを得た。この球状シリカ担体50.0gに、1.6N−NaOH水溶液52.6gを加え、室温で4h撹拌した後、一晩放置した。次にこの球状シリカ担体を濾別した後、内径3.5cm(有効断面積9.6cm)のパイレックス(登録商標)ガラス管に移し、約1リットル/hの蒸留水で連続的に8時間洗浄した。これをろ過して溶液を除去し、内径4.6cm(有効断面積16.6cm)のパイレックス(登録商標)ガラス管の中に入れ、8Nl/分の窒素ガスを流しながら90℃において3時間、更に、150℃に昇温して2時間乾燥した。次いで1Nl/分の水素に切り替え毎時50℃の割合で昇温し、400℃に2時間保持した後、窒素気流中で冷却し活性化処理した塩化パラジウム及びテルル酸/球状シリカ担持触媒24.1gを得た。この触媒はパラジウム3.3重量%及びテルル1.0重量%を含有していた。
次に、この触媒4gを内径12mm(有効断面積1.005cm)のステンレス製反応管に充填し、反応圧力60kgf/cm反応温度80℃において1,3−ブタジエン0.15モル/時、酢酸2.5モル/時、酸素6%を含有する窒素100Nl/時の流量で流通し、ブタジエンのジアセトキシ化反応を連続的に7時間実施した。この反応において、反応開始後4〜5時間の間の反応液留分及び6〜7時間の間の反応液留分を各々ガスクロマトグラフィーにより生成物を定量し、その平均値をもって反応結果とした。反応結果より活性及び選択率を求め、その結果を表1に示す。
尚、表1において、活性(単位:mmol)は、触媒1kgに対する1時間当たりの生成物である、3,4−ジアセトキシブテン−1、3−ヒドロキシ−4−アセトキシブテン−1、1−アセトキシクロトンアルデヒド、1,4−ジアセトキシブテン−2(1、4−DABE)、1−ヒドロキシ−4−アセトキシブテン−2、1,4−ジヒドロキシブテン−2、ジアセトキシオクタトリエン及びトリアセトキシブテンの合計の生成量である。また、1、4−DABE選択率は、上記の生成物に、フラン、アクロレイン、モノアセトキシブテン、ブタノール、モノアセトキシ−1,3−ブタジエンの生成物を加えた合計の生成物量に対する、1、4−ジアセトキシブテン−2の生成量の割合(単位;mol%)である。
(実施例10)
50mlのメスフラスコに13.7重量%のTeを含有するテルル酸水溶液3.8gを入れ、これに5.7重量%のパラジウムと6.2重量%のNaClを含有する塩化パラジウム塩酸溶液30.7gを加え、更に脱塩水を加える事により50mlへメスアップした。この溶液に球状シリカ担体(富士シリシア化学(株)製CARiACT−15、粒子直径1.7mm〜3.4mm)25.8gを加え室温で2時間浸漬した後、これを濾過して溶液を除去し、更に遠心分離器で脱液する事により塩化パラジウム塩酸溶液及びテルル酸水溶液を含浸した球状シリカ担体52.4gを得た。この球状シリカ担体50.1gに1.6N−NaOH水溶液51.3gを加えたこと以外は実施例9と同様に、塩化パラジウム及びテルル酸/球状シリカ担持触媒を調製し、活性化処理した触媒24.3gを得た。この触媒はパラジウム3.3重量%及びテルル1.0重量%を含有していた。この触媒を使用し、実施例9と同様にブタジエンのジアセトキシ化反応を実施した。結果を表1に示す。
(実施例11)
50mlのメスフラスコに13.7重量%のTeを含有するテルル酸水溶液3.8gを入れ、これに14.3重量%のパラジウムを含有する塩化パラジウム酸ナトリウム溶液12.1gを加え、更に、脱塩水を加える事により50mlへメスアップした。この溶液に球状シリカ担体(富士シリシア化学(株)製CARiACT−15、粒子直径1.7mm〜3.4mm)26.1gを加え室温で2時間浸漬した後、これを濾過して溶液を除去し、更に、遠心分離器で脱液する事により塩化パラジウム酸ナトリウム溶液及びテルル酸水溶液を含浸した球状シリカ担体52.6gを得た。この球状シリカ担体33.4gに1.6N−NaOH水溶液33.4gを加えたこと以外は実施例9と同様に触媒を調製し、活性化処理した塩化パラジウム酸ナトリウム及びテルル酸/球状シリカ担持触媒16.2gを得た。この触媒は、パラジウム3.2重量%及びテルル1.0重量%を含有していた。この触媒を使用し、実施例9と同様にブタジエンのジアセトキシ化反応を実施した。結果を表1に示す。
(実施例12)
50mlのメスフラスコに13.7重量%のTeを含有するテルル酸水溶液3.6gを入れ、これに16.0重量%のパラジウムを含有する塩化パラジウム酸ナトリウム溶液10.3gを加え、更に、脱塩水を加える事により50mlにメスアップした。この溶液に球状シリカ担体(富士シリシア化学(株)製CARiACT−15、粒子直径1.7mm〜3.4mm)25.5gを加え室温で2時間浸漬した後、これを濾過して溶液を除去し、更に、遠心分離器で脱液する事により塩化パラジウム酸ナトリウム溶液及びテルル酸水溶液を含浸した球状シリカ担体51.0gを得た。この球状シリカ担体25.2gに4.8重量%のジイソルロピルアミンを含有するアルカリ溶液31.1gを加え、室温で15分撹拌した後、ろ過して溶液を除去した。次に、この球状シリカ担体を濾別した後、内径3.5cm(有効断面積9.6cm)のパイレックス(登録商標)ガラス管に移し、約1リットル/時の蒸留水で連続的に8時間洗浄した。これをろ過して溶液を除去し、内径4.6cm(有効断面積16.6cm)のパイレックス(登録商標)ガラス管の中に入れ、8Nl/分の窒素ガスを流しながら90℃において3時間、更に150℃に昇温して2時間乾燥した。次いで1Nl/分の水素に切り替え毎時50℃の割合で昇温し、400℃に2時間保持した後、窒素気流中で冷却し活性化処理した塩化パラジウム酸ナトリウム及びテルル酸/球状シリカ担持触媒12.4gを得た。この触媒はパラジウム3.1重量%及びテルル1.0重量%を含有していた。この触媒を使用し、実施例9と同様にブタジエンのジアセトキシ化反応を実施した。結果を表1に示す。
(実施例13)
50mlのメスフラスコに13.7重量%のTeを含有するテルル酸水溶液3.6gを入れ、これに16.0重量%のパラジウムを含有する塩化パラジウム酸ナトリウム溶液10.3gを加え、更に、脱塩水を加える事により50mlにメスアップした。この溶液に球状シリカ担体(富士シリシア化学(株)製CARiACT−15、粒子直径1.7mm〜3.4mm)25.5gを加え室温で2時間浸漬した後、これを濾過して溶液を除去し、更に遠心分離器で脱液する事により塩化パラジウム酸ナトリウム溶液及びテルル酸水溶液を含浸した球状シリカ担体51.0gを得た。この球状シリカ担体25.8gに10.0重量%のケイ酸ナトリウムを含有するアルカリ溶液32.4gを加えたこと以外は実施例9と同様に塩化パラジウム酸ナトリウム及びテルル酸/球状シリカ担持触媒を調製し、活性化処理した触媒13.1gを得た。この触媒はパラジウム3.1重量%及びテルル1.0重量%を含有していた。この触媒を使用し、実施例9と同様にブタジエンのジアセトキシ化反応を実施した。結果を表1に示す。
(比較例3)
50mlのメスフラスコに、19.7重量%のテルルを含有するテルル酸水溶液2.7gを入れ、これに24.2重量%のパラジウムを含有する塩化パラジウム塩酸溶液7.4gを加え、更に、脱塩水を加える事により50mlへメスアップした。この溶液に球状シリカ担体(富士シリシア化学(株)製CARiACT−15、粒子直径1.7mm〜3.4mm)22.8gを加え室温で1時間浸漬した後、これを濾過して溶液を除去し、更に、遠心分離器で脱液する事により塩化パラジウム酸ナトリウム溶液及びテルル酸水溶液を含浸した球状シリカ担体46.0gを得た。この球状シリカ担体を内径2.5cm(有効断面積4.9cm)のパイレックス(登録商標)ガラス管の中に入れ、6.7Nl/分の窒素ガスを流しながら90℃において3時間、更に150℃に昇温して2時間乾燥した。次いで、0.42Nl/分の水素に切り替え毎時50℃の割合で昇温し、400℃に2時間保持した後、窒素気流中で冷却し活性化処理した塩化パラジウム酸ナトリウム及びテルル酸/球状シリカ担持触媒23.7gを得た。この触媒はパラジウム3.2重量%及びテルル0.96重量%を含有していた。この触媒を使用し、実施例9と同様にブタジエンのジアセトキシ化反応を実施した。結果を表1に示す。
(比較例4)
50mlのメスフラスコに、2.8重量%のテルルを含有するテルル酸と、9.5重量%のパラジウムを含有する硝酸パラジウムとを含む硝酸酸性水溶液を16.8g入れ、更に、脱塩水を加える事により50mlにメスアップした。この溶液に球状シリカ担体(富士シリシア化学(株)製CARiACT−15、粒子直径1.7mm〜3.4mm)21.8gを加え室温で1時間浸漬した後、これを濾過して溶液を除去し、更に、遠心分離器で脱液する事により塩化パラジウム酸ナトリウム溶液及びテルル酸水溶液を含浸した球状シリカ担体44.4gを得た。この球状シリカ担体を内径2.5cm(有効断面積4.9cm)のパイレックス(登録商標)ガラス管の中に入れ、6.7Nl/分の窒素ガスを流しながら90℃において3時間、更に150℃に昇温して2時間乾燥した。次いで0.42Nl/分の水素に切り替え毎時50℃の割合で昇温し、400℃に2時間保持した後、窒素気流中で冷却し活性化処理した塩化パラジウム酸ナトリウム及びテルル酸/球状シリカ担持触媒22.6gを得た。この触媒はパラジウム3.0重量%及びテルル0.89重量%を含有していた。この触媒を使用し、実施例9と同様にブタジエンのジアセトキシ化反応を実施した。結果を表1に示す。
(比較例5)
50mlのメスフラスコに、パラジウムとして6.3重量%の金属パラジウム及びテルルとして1.9重量%の金属テルルを硝酸に溶解した溶液を26.2g入れ、これに8.0重量%のナトリウムを含有する塩化ナトリウム水溶液13.8gを加え、更に脱塩水を加える事により50mlへメスアップした。この溶液に球状シリカ担体(富士シリシア化学(株)製CARiACT−15、粒子直径1.7mm〜3.4mm)21.5gを加え室温で1時間浸漬した後、これを濾過して溶液を除去し、更に、遠心分離器で脱液する事により金属パラジウム及び金属テルルの硝酸溶液を含浸した球状シリカ担体46.0gを得た。この球状シリカ担体を内径2.5cm(有効断面積4.9cm)のパイレックス(登録商標)ガラス管の中に入れ、6.7Nl/分の窒素ガスを流しながら90℃において3時間、更に150℃に昇温して2時間乾燥した。次いで0.42Nl/分の水素に切り替え毎時50℃の割合で昇温し、400℃に2時間保持した後、窒素気流中で冷却し活性化処理した金属パラジウム−金属テルル/球状シリカ担持触媒22.7gを得た。この触媒はパラジウム3.0重量%及びテルル0.91重量%、更に、ナトリウム2.0重量%を含有していた。この触媒を使用し、実施例9と同様にブタジエンのジアセトキシ化反応を実施した。結果を表1に示す。
Figure 2005105336
表1の結果から、本実施の形態が適用されるパラジウム化合物−テルル/シリカ担持触媒を用い、分子状酸素の存在下でブタジエンのジアセトキシ化反応を行った場合(実施例9〜13)は、触媒活性が極めて高いことが分かる。
これに対して、アルカリ処理を行わずに調製したパラジウム化合物−テルル/シリカ担持触媒を用い、分子状酸素の存在下でブタジエンのジアセトキシ化反応を行った場合(比較例3〜5)は、実施例9〜13と比較して、触媒活性が略1/2以下であることが分かる。
(実施例14)
実施例9において調製した触媒4gを、内径12mm(有効断面積1.005cm)のステンレス製反応管に充填し、60kgf/cm、80℃において酢酸2.5モル/時、窒素100Nl/時の流量で7時間流通させ、触媒に含有しているアルカリ金属類及びハロゲンを洗浄した。その後、反応圧力60kgf/cm、反応温度80℃においてイソプレン81ミリモル/時、酢酸2.2モル/時、酸素6容量%を含有する窒素100Nl/時の流量で流通し、イソプレンのジアセトキシ化反応を連続的に7時間実施した。この反応において、反応開始後4〜5時間の間の反応液留分及び6〜7時間の間の反応液留分を各々ガスクロマトグラフィーにより1,4−ジアセトキシ−2−メチルブテン−2を定量し、その平均値をもって反応結果とした。反応結果より活性を求め、結果を表2に示した。
(比較例6)
比較例3において調製した触媒を用い、実施例14と同様にイソプレンのアセトキシ化反応を実施した。結果を表2に示した。
(比較例7)
比較例4において調製した触媒を用い、実施例14と同様にイソプレンのアセトキシ化反応を実施した。結果を表2に示した。
Figure 2005105336
表2の結果から、本実施の形態が適用されるパラジウム化合物−テルル/シリカ担持触媒を用い、分子状酸素の存在下でイソプレンのジアセトキシ化反応を行った場合(実施例14)は、生成速度が極めて大きいことが分かる。
これに対して、アルカリ処理を行わずに調製したパラジウム化合物−テルル/シリカ担持触媒を用い、分子状酸素の存在下でイソプレンのジアセトキシ化反応を行った場合(比較例6、7)は、実施例13と比較して略1/2程度の生成速度であることが分かる。

Claims (9)

  1. カルコゲン化合物の溶液を白金族化合物の存在下アルカリ成分と接触させ、前記白金族化合物及び前記カルコゲン化合物を析出させることを特徴とするカルコゲン化合物の共沈方法。
  2. カルコゲン化合物の溶液を白金族化合物の存在下アルカリ成分と接触させ、前記白金族化合物及び前記カルコゲン化合物の共沈物を析出させ、
    前記共沈物を還元処理することを特徴とする白金族−カルコゲン合金の製造方法。
  3. 白金族化合物及びカルコゲン化合物の溶液とアルカリ成分とを無機多孔質体の存在下接触させ、
    前記無機多孔質体に前記白金族化合物及び前記カルコゲン化合物の共沈物を析出させ、
    前記共沈物を還元処理することを特徴とする白金族−カルコゲン合金/無機多孔質体担持物の製造方法。
  4. 前記白金族−カルコゲン合金/無機多孔質体担持物が、触媒であることを特徴とする請求項3に記載の白金族−カルコゲン合金/無機多孔質体担持物の製造方法。
  5. 前記白金族化合物が、パラジウム、ロジウム又はルテニウムの化合物であることを特徴とする請求項3又は4に記載の白金族−カルコゲン合金/無機多孔質体担持物の製造方法。
  6. 前記カルコゲン化合物が、テルル化合物であることを特徴とする請求項3乃至5いずれか1項に記載の白金族−カルコゲン合金/無機多孔質体担持物の製造方法。
  7. 前記無機多孔質体が、シリカであることを特徴とする請求項3乃至6いずれか1項に記載の白金族−カルコゲン合金/無機多孔質体担持物の製造方法。
  8. 無機多孔質体に吸着担持した白金族化合物及びカルコゲン化合物の共沈物を還元処理することにより得られた白金族−カルコゲン合金/無機多孔質体担持触媒と分子状酸素の存在下、オレフィン及び芳香族化合物の中から選ばれる少なくとも一つの反応基質に求核剤を酸化的付加させることを特徴とする酸化反応生成物の製造方法。
  9. 前記反応基質が共役ジエンであり、前記求核剤がカルボン酸又はアルコールであることを特徴とする請求項8に記載の酸化反応生成物の製造方法。
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