JP2005098129A - Co2吸収制御方法及びco2吸収制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 CO2吸収放出手段のCO2吸収量の偏りを抑え、CO2を効率的に吸収できるCO2吸収制御方法及びCO2吸収制御装置を提供する。
【解決手段】 温度の変化に応じてCO2を吸収し又は放出するCO2吸収放出材が担体に担持されたCO2吸収放出装置22と、CO2吸収放出装置22の温度を調整する床温調整手段としての燃料噴射装置24と、CO2吸収放出装置22の一部をCO2の吸収に適した特定温度域に保持する時期と、特定温度域に保持されている領域がCO2吸収放出装置22上で移動するようにCO2吸収放出装置22の温度を変化させる時期とが生じるように燃料噴射装置24による温度調整を制御する床温制御装置としてのECU50とをCO2吸収制御装置に設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】 温度の変化に応じてCO2を吸収し又は放出するCO2吸収放出材が担体に担持されたCO2吸収放出装置22と、CO2吸収放出装置22の温度を調整する床温調整手段としての燃料噴射装置24と、CO2吸収放出装置22の一部をCO2の吸収に適した特定温度域に保持する時期と、特定温度域に保持されている領域がCO2吸収放出装置22上で移動するようにCO2吸収放出装置22の温度を変化させる時期とが生じるように燃料噴射装置24による温度調整を制御する床温制御装置としてのECU50とをCO2吸収制御装置に設ける。
【選択図】 図1
Description
本発明は、CO2吸収放出手段にCO2を吸収させるCO2吸収制御方法、及びCO2吸収制御装置に関する。
特定の温度域でCO2を吸収し、それより高い温度域で吸収したCO2を放出するCO2吸収放出材が知られている(特許文献1参照)。その他に本発明に関連する先行技術文献として特許文献2、及び非特許文献1がある。
CO2吸収放出材を担体に担持させた状態で高温のCO2ガスの流路内に配置した場合、CO2吸収放出手段の上流側はガスとの熱交換で温度が比較的大きく上昇する一方、下流側では熱交換量が減少して温度上昇が緩やかになり、CO2吸収放出手段に温度分布のばらつきが生じることがある。CO2吸収放出材のCO2吸収速度は雰囲気温度と相関があるため、CO2吸収放出手段の温度分布にばらつきが生じるとCO2吸収放出手段のCO2吸収量に偏りが生じて、CO2を効率的に吸収できない。
そこで、本発明は、CO2吸収放出手段のCO2吸収量の偏りを抑え、CO2を効率的に吸収できるCO2吸収制御方法及びCO2吸収制御装置を提供することを目的とする。
本発明のCO2吸収制御方法は、温度の変化に応じてCO2を吸収し又は放出するCO2吸収放出材が担体に担持されたCO2吸収放出手段のCO2吸収作用を制御するCO2吸収制御方法であって、前記CO2吸収放出手段の一部を前記CO2の吸収に適した特定温度域に保持する工程と、前記特定温度域に保持されている領域が前記CO2吸収放出手段上で移動するように前記CO2吸収放出手段の温度を変化させる工程とを備えることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
CO2吸収放出手段の温度分布のばらつきに起因してその全体をCO2の吸収に適した特定温度域に保持することが困難な場合でも、CO2吸収放出手段の一部を特定温度域に保持することは容易である。しかも、CO2吸収放出手段の全体の温度を上昇又は下降させる操作を行えば、特定温度域に保持されている領域をCO2吸収放出手段上において適宜に移動させることができる。本発明の吸収制御方法はこの点に着目したものであり、CO2吸収放出手段の一部をCO2の吸収に適した特定温度域に保持する工程と、CO2吸収放出手段の温度を変化させる工程とを組み合わせることにより、温度変化を与えない場合と比較してより広い範囲で効率よくCO2を吸収することができる。
本発明のCO2吸収制御方法においては、前記CO2吸収放出手段の同一部分を前記特定温度域に保持している間に吸収されたCO2の量を推定し、推定された量が所定値に達する毎に前記CO2吸収放出手段の温度を変化させてもよい(請求項2)。この場合、特定温度域に保持された領域の吸収能力に見合ったCO2の吸収量を所定値として設定しておくことにより、CO2吸収放出手段の各部分が過不足なくCO2を吸収する毎に温度を変化させて効率よくCO2を吸収することができる。
本発明のCO2吸収制御方法においては、前記CO2吸収放出手段が内燃機関の排気通路に設置され、前記特定温度域に保持されている領域が前記排気通路の流れ方向に関して前記CO2吸収放出手段の後端側から前端側へと移動するように前記CO2吸収放出手段の温度を変化させてもよい(請求項3)。排気通路に設置された場合、粒子状物質等の堆積等によって低下した機能を回復させるために燃料添加による酸化反応等を利用した再生処理が行われる。このような再生処理時には燃料の燃焼熱や酸化反応による熱の影響がCO2吸収放出手段の排気流れ方向における後端側ほど大きく現れることがあるため、それらの部分では温度制御が間に合わずに過昇温現象が生じることがある。こうした過昇温が生じやすい後端側から先にCO2を吸収しておけば、過昇温が生じるまでにCO2吸収放出手段の全体で十分にCO2を吸収できなくても、その過昇温が生じる部分に限ればCO2が十分に吸収されている可能性が高くなり、そのCO2を放出させることにより過昇温の防止又は抑制を図ることができる。
本発明のCO2吸収制御方法において、前記CO2吸収放出手段上で既にCO2を吸収している領域の温度がCO2を放出する温度範囲に保持されないように前記CO2吸収放出手段の温度の変化に制限を設けてもよい(請求項4)。このような制限により、既に休出したCO2の放出を防止して吸収効率を高めることができる。
本発明のCO2吸収制御方法は好適には前記担体としてパティキュレートフィルタが使用されたCO2吸収放出手段に対して適用することができる(請求項5)。パティキュレートフィルタにおいては堆積した粒子状物質の処理のために定期的な温度上昇操作を行う必要があり、本発明の方法によって蓄えたCO2を過昇温の防止又は抑制に活用することができる。
本発明のCO2吸収制御装置は、温度の変化に応じてCO2を吸収し又は放出するCO2吸収放出材が担体に担持されたCO2吸収放出手段と、前記CO2吸収放出手段の温度を調整する床温調整手段と、前記CO2吸収放出手段の一部を前記CO2の吸収に適した特定温度域に保持する時期と、前記特定温度域に保持されている領域が前記CO2吸収放出手段上で移動するように前記CO2吸収放出手段の温度を変化させる時期とが生じるように前記床温調整手段による温度調整を制御する床温制御手段と、を備えることにより、上述した課題を解決する(請求項6)。
本発明のCO2吸収制御装置によれば、床温制御手段の制御の下で床温調整手段がCO2吸収放出手段の温度を変化させることにより、本発明のCO2吸収制御方法を実現して広い範囲で効率よくCO2を吸収することができる。
本発明のCO2吸収制御装置は、上述したCO2吸収制御方法の好ましい態様を実現するよう構成されてもよい。すなわち、本発明のCO2吸収制御装置において、前記CO2吸収放出手段の同一部分を前記特定温度域に保持している間に吸収されたCO2の量を推定する吸収量推定手段を備え、前記床温制御手段は、前記吸収量推定手段の推定結果が所定値に達する毎に前記CO2吸収放出手段の温度が変更されるように前記床温調整手段による温度調整を制御してもよい(請求項7)。前記CO2吸収放出手段が内燃機関の排気通路に設置され、前記床温制御手段は、前記特定温度域に保持されている領域が前記排気通路の流れ方向に関して前記CO2吸収放出手段の後端側から前端側へと移動するように前記床温調整手段による温度調整を制御してもよい(請求項8)。前記CO2吸収放出材がCO2を放出する温度範囲が吸収する温度範囲よりも高温側に偏り、前記CO2吸収放出手段上で既にCO2を吸収している領域の温度が前記放出する温度範囲に保持されないように前記床温調整手段による温度調整を制御してもよい(請求項9)。前記担体としてパティキュレートフィルタが設けられてもよい(請求項10)。これらの態様の技術的な意義は上述した吸収制御方法の対応する態様と同じである。
以上に説明したように、本発明によれば、CO2吸収放出手段の一部をCO2の吸収に適した特定温度域に保持すること、及びCO2吸収放出手段の温度を変化させることを組み合わせることにより、CO2吸収放出手段に対して広い範囲で効率よくCO2を吸収させることができる。
(第1の形態)
図1は本発明のCO2吸収制御装置が組み込まれたディーゼルエンジンの要部を示している。エンジン1のシリンダ2には吸気通路3及び排気通路4が接続され、吸気通路3には吸気濾過用のエアフィルタ5、排気エネルギを利用して吸気圧を高める過給機6のコンプレッサ6a、吸気量調節用の絞り弁7が、排気通路4には過給機6のタービン6bがそれぞれ設けられている。排気通路4と吸気通路3とを接続する通路には、EGRクーラ14及びEGRバルブ15が設けられている。また、各シリンダ2には、シリンダ2内に燃料を噴射するインジェクタ11がそれぞれに設けられ、各インジェクタ11は加圧された燃料を蓄えるコモンレール12に接続されている。
図1は本発明のCO2吸収制御装置が組み込まれたディーゼルエンジンの要部を示している。エンジン1のシリンダ2には吸気通路3及び排気通路4が接続され、吸気通路3には吸気濾過用のエアフィルタ5、排気エネルギを利用して吸気圧を高める過給機6のコンプレッサ6a、吸気量調節用の絞り弁7が、排気通路4には過給機6のタービン6bがそれぞれ設けられている。排気通路4と吸気通路3とを接続する通路には、EGRクーラ14及びEGRバルブ15が設けられている。また、各シリンダ2には、シリンダ2内に燃料を噴射するインジェクタ11がそれぞれに設けられ、各インジェクタ11は加圧された燃料を蓄えるコモンレール12に接続されている。
排気通路4のタービン6bより下流側には、排気浄化装置20が設けられている。排気浄化装置20には、ケーシング21と、そのケーシング21に内蔵されたCO2吸収放出手段としてのCO2吸収放出装置22と、CO2吸収放出装置22の温度(以下、床温と呼ぶことがある。)を検出する温度センサ23とが設けられている。排気浄化装置20よりも上流側の排気通路4には、床温調整手段としての燃料供給装置24が設けられている。
CO2吸収放出装置22は、隔壁にて仕切られた多数のセルを有するセラミック製のパティキュレートフィルタにCO2吸収放出材を担持させて形成されている。さらに、パティキュレートフィルタの隔壁には、酸化触媒物質として白金(Pt)が担持されている。
CO2吸収放出材は、例えばリチウムシリケート(Li4SiO4)等のリチウムの複合酸化物を主体として構成され、第1の温度域でCO2を吸収し、第1の温度域よりも高温側に偏った第2の温度域でCO2を放出する特性を備えた公知のものである。CO2吸収放出材のCO2吸収速度は温度に伴って変化し、第1の温度域に含まれる特定温度域において最も大きくなる。この温度とCO2吸収速度との相関関係はCO2吸収放出材の素材により異なるが、例えばリチウムシリケートでは、500°C〜550°CでCO2吸収速度が最も大きくなる。
エンジン1の運転状態は、エンジンコントロールユニット(ECU)50により制御される。ECU50は、回転センサ、水温センサ等からの出力信号を参照し、ROMに記録されたプログラムに従って各インジェクタ11の動作等を制御するコンピュータとして設けられているが、ここでは後述する図5のCO2吸収制御ルーチンを一定周期で繰り返し実行することにより、燃料供給装置24からの燃料供給量を制御する床温制御手段としても機能する。
以下に、ECU50による床温制御の概要を図2〜図4を参照して説明する。図2はCO2吸収放出装置22の温度分布を、図3はCO2吸収放出装置22の温度と経過時間との関係の一例を、図4はCO2吸収放出装置22のCO2吸収速度と経過時間との関係の一例を、それぞれ示している。
図2に示すように、CO2吸収放出装置22に矢印EX方向の排気ガスを流すと、CO2吸収放出装置22に温度勾配が生じて、上流側(図2の左側)の温度が下流側(図2の右側)よりも高くなる。このため、上流側の領域A1を特定温度域に保持すると、領域A1より下流側の領域A2、A3は特定温度域よりも低温となる一方、下流側の領域A3を特定温度域に保持すると、領域A3より上流側の領域A1、A2は特定温度域よりも高温となる。図3に示したように床温を△Tずつ段階的に上昇させると、時刻t1〜t2では領域A1が、時刻t3〜t4では領域A2が、時刻t5〜t6では領域A3が、それぞれ特定温度域に保持される。これに伴って、図4に示すように、時刻t1〜t2では領域A1で、時刻t3〜t4では領域A2で、時刻t5〜t6では領域A3で、それぞれのCO2吸収速度が最も大きくなり、CO2吸収放出装置22上では主として各時間帯でのCO2吸収速度の大きい領域がCO2を吸収する。その結果、CO2吸収放出装置22は、各領域A1〜A3で偏りなく、効率的にCO2を吸収できる。
上述のような床温制御に基づいてCO2吸収放出装置22にCO2を吸収させるために、ECU50は、図5に示すCO2吸収制御ルーチンを一定周期で繰り返し実行する。図5は、制御時間に基づいて床温を切り替えてCO2吸収制御を実行するためのCO2吸収制御ルーチンを示すフローチャートである。このルーチンにおいて、ECU50はまずステップS11でCO2吸収放出材のCO2吸収条件が成立したか否かを判定する。このCO2吸収条件には種々の条件を設定してよい。例えば、領域A1の床温が特定温度域に達したことを条件として設定してもよい。領域A1の床温は、例えば、CO2吸収放出装置22の領域A3の床温を温度センサ23によって検出し、予め実験的に求めておいた温度分布のばらつきから推定してもよい。CO2吸収条件が成立していないと判定した場合は、今回のルーチンを終了する。
CO2吸収条件が成立したと判定した場合は、続くステップS12で、床温の制御中か否かを判別するための床温制御フラグがON状態であるか否かを判定する。床温制御フラグがON状態であればステップS13の処理をスキップしてステップS14に進む。床温制御フラグがON状態でなければ、ステップS13へ進み、床温目標値を設定するとともに床温制御フラグをON状態とし、床温制御を開始する。この床温の制御は、燃料供給装置24から酸化触媒に添加した燃料の燃焼熱を利用することにより実行される。
続くステップS14では、CO2吸収放出装置22の最高床温がCO2の放出温度域(第2の温度域)に到達したか否かを判定する。最高床温は例えば温度センサ23の検出値から推定することができる。なお、ステップS14の判断は、最高床温が放出温度域に保持されないことを保証するものであればよく、例えば最高床温よりも低温側に緩衝範囲を設定し、最高床温がその緩衝範囲に達した時点でステップS14が肯定判断されるようにしてもよい。あるいは、最高床温が放出温度域に一定時間以上継続して入っていることを条件としてステップS14が肯定判断されるようにしてもよい。ステップS14が肯定判断された場合にはステップS15〜S17の処理をスキップしてステップS18に進む。最高床温が放出温度域に到達するおそれがないと判定した場合はステップS15に進む。
ステップS15では、床温の保持時間が一定時間△taに達したか否かを判定する。この一定時間△taは、CO2吸収放出装置22上で、特定温度域に保持された領域を切り替えるための閾値として予め定められる値であり、特定温度域に保持された領域に過不足なくCO2を吸収させるために必要な時間に設定される。一定時間△taに達していないと判定した場合は、今回のルーチンを終了する。一定時間△taが経過したと判定した場合は、ステップS16に進んで、ステップS13にて設定した床温目標値を△T上昇させる。続くステップS17では、最低床温が特定温度域に到達したか否かを判定する。最低床温が特定温度域に到達していないと判定した場合は今回のルーチンを終了する。最低床温が特定温度域に到達した場合はステップS18に進んで、床温制御フラグをOFF状態として床温制御を終え、ルーチンを終了する。なお、ステップS17では最低床温が特定温度域を超えるおそれがあるか否かを判断し、超えるおそれがあるときにステップS17を肯定判断してもよい。
(第2の形態)
次に、図6及び図7を参照して本発明を実施するための第2の形態を説明する。第2の形態においては、第1の形態と比較して、各領域A1〜A3が特定温度域に保持されている間に吸収したCO2の量を推定し、その推定値に基づいて床温を制御する点が相違している。従って、第2の形態においては第1の形態と相違する部分のみ説明し、重複する部分の説明を省略する。なお、図6及び図7において図3〜図5との共通部分には同一の参照符号を付してある。
次に、図6及び図7を参照して本発明を実施するための第2の形態を説明する。第2の形態においては、第1の形態と比較して、各領域A1〜A3が特定温度域に保持されている間に吸収したCO2の量を推定し、その推定値に基づいて床温を制御する点が相違している。従って、第2の形態においては第1の形態と相違する部分のみ説明し、重複する部分の説明を省略する。なお、図6及び図7において図3〜図5との共通部分には同一の参照符号を付してある。
図6は、CO2吸収速度と経過時間との相互関係を示しており、ここでは、一例として領域A3におけるCO2吸収速度を示している。なお、図6のCO2吸収速度は、CO2吸収放出材の単位体積、単位時間あたりのCO2吸収量である。
CO2吸収放出装置22の温度が段階的に上昇して、領域A3のCO2吸収速度が図6のように変化した場合、この間に領域A3にて吸収されるCO2吸収量は、図6で縦線を施した領域の面積ARと領域A3に含まれるCO2吸収放出材の体積Vとの積として求められる。このうち、領域A3が特定温度域に保持されている時刻t5〜t6の間に、領域A3が吸収したCO2の量の推定値CO2strgは、CO2吸収速度W、領域A3に含まれるCO2吸収放出材の体積V、及び領域A3が特定温度域に到達した時刻t5以降の累積保持時間△tから以下の式によって算出される。
領域A1、A2が特定温度域に保持されている間にそれぞれの領域A1、A2で吸収したCO2の量も同様の方法で推定できる。このようにして求められる各領域A1〜A3におけるCO2吸収量の推定値CO2strgが、各領域A1〜A3のCO2吸収能力に見合った必要吸収量に達する毎に、床温が切り替えられる。
上述のような床温制御をECU50に実行させるためのCO2吸収制御ルーチンを図7に示す。このルーチンにおいて、ECU50はまずステップS11でCO2吸収放出材のCO2吸収条件が成立したか否かを判定する。CO2吸収条件が成立していないと判定した場合は、今回のルーチンを終了する。CO2吸収条件が成立したと判定した場合は、続くステップS12で、床温制御フラグがON状態であるか否かを判定する。床温制御フラグがON状態であればステップS13の処理をスキップしてステップS21に進む。床温制御フラグがON状態でなければ、ステップS13へ進む。ステップS13では、ECU50は床温目標値を設定するとともに床温制御フラグをON状態とし、床温制御を開始する。この床温制御は、第1の形態と同様でよい。
続くステップS21において、特定温度域に保持されたCO2吸収対象領域のCO2吸収推定値CO2strgを上式に従って算出する。なお、CO2吸収速度Wは、例えば、これと相関関係を有するCO2の分圧及び床温に対応づけられたマップをECU50のROMに記憶しておき、そのマップを参照することで求めることができる。ステップS22では、ステップS21にて算出したCO2吸収推定値CO2strgが必要CO2吸収量に到達したか否かを判定する。必要CO2吸収量に到達していないと判定した場合は、今回のルーチンを終了する。必要CO2吸収量に到達したと判定した場合は、ステップS23に進んで、ステップS13にて設定した床温目標値を△T上昇させて、ステップS24に進む。
ステップS24では、最低床温領域でCO2吸収が終了したか否かを判定する。最低床温領域でCO2吸収が終了していないと判定した場合は、今回のルーチンを終了する。最低床温領域でCO2吸収が終了したと判定した場合はステップS18に進んで、床温制御フラグをOFF状態にして床温制御を終え、ルーチンを終了する。
(第3の形態)
次に、図8及び図9を参照して、本発明を実施するための第3の形態を説明する。第3の形態においては、第2の形態と比較して、床温が段階的に下降するように床温制御する点が相違している。従って、第3の形態においては第2の形態と相違する部分のみ説明し、重複する部分の説明を省略する。なお、図8及び図9において図6及び図7との共通部分には同一の参照符号を付してある。
次に、図8及び図9を参照して、本発明を実施するための第3の形態を説明する。第3の形態においては、第2の形態と比較して、床温が段階的に下降するように床温制御する点が相違している。従って、第3の形態においては第2の形態と相違する部分のみ説明し、重複する部分の説明を省略する。なお、図8及び図9において図6及び図7との共通部分には同一の参照符号を付してある。
図8は、CO2吸収放出装置22の温度と経過時間との関係の一例を示している。図8に示したように床温を△Tずつ段階的に下降させると、時刻t7〜t8では領域A3が、時刻t9〜t10では領域A2が、時刻t11〜t12では領域A1が、それぞれ特定温度域に保持される。これに伴って、時刻t7〜t8では領域A3で、時刻t9〜t10では領域A2で、時刻t11〜t12では領域A1で、それぞれのCO2吸収速度が大きくなり、CO2吸収放出装置22上では主として各時間帯でのCO2吸収速度の大きい領域がCO2を吸収する。その結果、CO2吸収放出装置22は、各領域A1〜A3で偏りなく、効率的にCO2を吸収できる。また、領域A2によるCO2の吸収中には領域A3の床温が、領域A1によるCO2の吸収中には領域A2、A3の床温が、それぞれ特定温度域より低温側にあるので、一部の領域でCO2を吸収中に既にCO2を吸収した他の領域が放出温度域に到達してCO2を放出するおそれがない。これにより、効率的にCO2を吸収できる。さらに、パティキュレートフィルタを再生する際には排気の流れ方向後端側ほど床温が上がり易いが、これに合わせて後端側の領域A3から順に特定温度域に保持することにより、温度の上がり易い部分から優先してCO2を吸収させ、それにより、すべての領域A1、A2、A3がCO2の吸収を完了する前に領域A3で過昇温現象が発生し又はその発生のおそれが生じても、その領域A3に吸収されたCO2が吸収しているCO2を不活性ガスとして放出することにより、温度上昇を抑えて過昇温を抑制し、又は防止することができる。
上述のような床温制御をECU50に実行させるためのCO2吸収制御ルーチンを図9に示す。このルーチンにおいて、ECU50はまずステップS11でCO2吸収放出材のCO2吸収条件が成立したか否かを判定する。CO2吸収を実行中でないと判定した場合は、今回のルーチンを終了する。CO2吸収条件が成立していないと判定した場合は、今回のルーチンを終了する。
CO2吸収条件が成立したと判定した場合は、続くステップS12で、床温制御フラグがON状態であるか否かを判定する。床温制御フラグがON状態であればステップS31及びステップS13の処理をスキップしてステップS21に進む。一方、床温制御フラグがON状態でなければ、ステップS31へ進む。ステップS31では、床温が過上昇しやすい部位をCO2吸収対象領域として設定する。続くステップS13では、ECU50は床温目標値を設定するとともに床温制御フラグをON状態とし、床温制御を開始する。この床温制御は、第2の形態と同様でよい。
ステップS21では、特定温度域に保持されたCO2吸収対象領域のCO2吸収推定値CO2strgを算出する。このCO2吸収推定値CO2strgの算出方法は、第2の形態と同様でよい。続くステップS22では、ステップS21にて算出したCO2吸収推定値CO2strgが必要CO2吸収量に到達したか否かを判定する。必要CO2吸収量に到達していないと判定した場合は、今回のルーチンを終了する。必要CO2吸収量に到達したと判定した場合は、ステップS32に進んで、ステップS13にて設定した床温目標値を△Tだけ下降させて、ステップS33に進む。
ステップS33では、CO2吸収放出装置22の全域でCO2の吸収が終了したか否かを判定する。CO2吸収放出装置22の全域でCO2の吸収が終了していないと判定した場合は、今回のルーチンを終了する。吸収が終了したと判定した場合はステップS18に進んで、床温制御フラグをOFF状態として床温制御を終え、ルーチンを終了する。
上述した第2の形態、及び第3の形態では、図7及び図9のCO2吸収制御ルーチンのうち、ECU50がステップS21を実行することにより吸収量推定手段として機能する。
本発明は上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、エンジン1はディーゼルエンジンに限られず、ガソリンエンジンであってもよい。また、床温及びCO2の分圧は、各種のセンサにより検出して取得するものに限られず、演算によって取得してもよい。例えば、燃料供給装置24により供給された燃料量及び排気流量から算出される熱量とCO2吸収放出装置22の熱交換率とから熱交換量を求め、これとCO2吸収放出装置22の熱容量とから演算によって床温を取得してもよい。
CO2吸収放出材はパティキュレートフィルタに担持されることに限られず、NOxを吸蔵還元する触媒等に担持されてもよい。パティキュレートフィルタや触媒等とは異なる別の担体にCO2吸収放出材が担持されてもよい。床温調整手段は、床温を上昇又は下降できるものであればその形態は問わない。例えば、エンジン1の膨張行程の終期に燃焼室へ燃料を噴射する、いわゆるポスト噴射を実施して排気通路4にて未燃燃料を燃焼させることにより床温を制御してもよい。また、電熱ヒータ等の発熱装置をCO2吸収放出装置22に隣接して設けて、床温を制御してもよい。
上記の形態ではCO2吸収放出装置22を三つの領域A1〜A3に区分して温度を変化させているが、その領域数はCO2吸収放出装置22の温度分布のばらつきによって適宜に変化する。すなわち、CO2吸収放出装置22の前端から後端まで(又は後端から前端まで)をCO2の吸収に適した特定温度域に順次保持することが可能な領域の区分数の最小値はCO2吸収放出装置の吸収特性や温度分布特性等によって定まり、吸収に適した特定温度域が広いか又は温度勾配が小さいほど最小区分数は減少し、特定温度域が狭いか又は温度勾配が大きいほど最小区分数は増加する。その最小区分数以上の段数で温度を変化させることにより本発明のCO2吸収制御方法を実現することができる。なお、CO2吸収放出装置22には、排気ガスの流れ方向EXに関する温度勾配の他、排気ガスの流れ方向EXに垂直な面内の半径方向に関して、中心側から外側へかけて漸次温度が低下するような温度勾配も生じる。従って、このような半径方向の温度勾配を考慮して、CO2吸収放出装置22上に同心円状の複数の領域を設定してもよい。
図5のフローチャートにおいて、CO2吸収放出装置22の最低床温領域が特定温度域に到達する前に最高床温が第2の温度域に到達するおそれがない場合には、ステップS14を省略してもよい。また、図7のフローチャートにおいて、ステップ22より前にステップS14を追加してもよい。図5、図7、及び図9のステップS13では、領域A3の床温を管理したが、他の領域の床温を管理して床温制御を実施してもよい。
1 エンジン
4 排気通路
20 排気浄化装置
22 CO2吸収放出装置(CO2吸収放出手段)
23 温度センサ
24 燃料供給装置(床温調整手段)
50 ECU(床温制御手段、吸収量推定手段)
4 排気通路
20 排気浄化装置
22 CO2吸収放出装置(CO2吸収放出手段)
23 温度センサ
24 燃料供給装置(床温調整手段)
50 ECU(床温制御手段、吸収量推定手段)
Claims (10)
- 温度の変化に応じてCO2を吸収し又は放出するCO2吸収放出材が担体に担持されたCO2吸収放出手段のCO2吸収作用を制御するCO2吸収制御方法であって、
前記CO2吸収放出手段の一部を前記CO2の吸収に適した特定温度域に保持する工程と、前記特定温度域に保持されている領域が前記CO2吸収放出手段上で移動するように前記CO2吸収放出手段の温度を変化させる工程とを備えたことを特徴とするCO2吸収制御方法。 - 前記CO2吸収放出手段の同一部分を前記特定温度域に保持している間に吸収されたCO2の量を推定し、推定された量が所定値に達する毎に前記CO2吸収放出手段の温度を変化させることを特徴とする請求項1に記載のCO2吸収制御方法。
- 前記CO2吸収放出手段が内燃機関の排気通路に設置され、前記特定温度域に保持されている領域が前記排気通路の流れ方向に関して前記CO2吸収放出手段の後端側から前端側へと移動するように前記CO2吸収放出手段の温度を変化させることを特徴とする請求項1又は2に記載のCO2吸収制御方法。
- 前記CO2吸収放出手段上で既にCO2を吸収している領域の温度がCO2を放出する温度範囲に保持されないように前記CO2吸収放出手段の温度の変化に制限を設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のCO2吸収制御方法。
- 前記担体としてパティキュレートフィルタが使用されたCO2吸収放出手段に対して適用されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のCO2吸収制御方法。
- 温度の変化に応じてCO2を吸収し又は放出するCO2吸収放出材が担体に担持されたCO2吸収放出手段と、
前記CO2吸収放出手段の温度を調整する床温調整手段と、
前記CO2吸収放出手段の一部を前記CO2の吸収に適した特定温度域に保持する時期と、前記特定温度域に保持されている領域が前記CO2吸収放出手段上で移動するように前記CO2吸収放出手段の温度を変化させる時期とが生じるように前記床温調整手段による温度調整を制御する床温制御手段と、を備えたことを特徴とするCO2吸収制御装置。 - 前記CO2吸収放出手段の同一部分を前記特定温度域に保持している間に吸収されたCO2の量を推定する吸収量推定手段を備え、前記床温制御手段は、前記吸収量推定手段の推定結果が所定値に達する毎に前記CO2吸収放出手段の温度が変更されるように前記床温調整手段による温度調整を制御することを特徴とする請求項6に記載のCO2吸収制御装置。
- 前記CO2吸収放出手段が内燃機関の排気通路に設置され、前記床温制御手段は、前記特定温度域に保持されている領域が前記排気通路の流れ方向に関して前記CO2吸収放出手段の後端側から前端側へと移動するように前記床温調整手段による温度調整を制御することを特徴とする請求項6又は7に記載のCO2吸収制御装置。
- 前記CO2吸収放出材がCO2を放出する温度範囲が吸収する温度範囲よりも高温側に偏り、前記CO2吸収放出手段上で既にCO2を吸収している領域の温度が前記放出する温度範囲に保持されないように前記床温調整手段による温度調整を制御することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載のCO2吸収制御装置。
- 前記担体としてパティキュレートフィルタが設けられたことを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載のCO2吸収制御装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003329753A JP2005098129A (ja) | 2003-09-22 | 2003-09-22 | Co2吸収制御方法及びco2吸収制御装置 |
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JP2005098129A true JP2005098129A (ja) | 2005-04-14 |
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JP (1) | JP2005098129A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111022154A (zh) * | 2018-10-10 | 2020-04-17 | 丰田自动车株式会社 | 内燃机的排气净化装置 |
-
2003
- 2003-09-22 JP JP2003329753A patent/JP2005098129A/ja not_active Withdrawn
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