JP2005097763A - 人工皮用革基体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、天然皮革調の柔軟で充実感のある風合いと高い剥離強力を兼ね備えた人工皮革用基体および銀付き調人工皮革であり、特に靴用途に使用することができる。
【解決手段】 極細繊維を主体とする絡合不織布とその内部に含浸された弾性重合体からなり、下記を満足することを特徴とする人工皮革用基体。
(1)極細繊維の平均単繊度が0.06dtex以下であること、
(2)極細繊維の強度が4.0cN/dtex未満であること、
(3)人工皮革用基体の表面側を構成する弾性重合体の見かけ密度Aと、裏面側を構成する弾性重合体の見かけ密度Bとが特定の条件を満足すること、
(4)絡合不織布と弾性重合体との質量比が40:60〜70:30であること、
(5)人工皮革用基体の見かけ密度が0.30〜0.50g/cmであること、
【選択図】 なし

Description

本発明は、天然皮革調の優れた柔軟性と充実感、高い剥離強力を兼ね備えた人工皮革用基体、さらには該人工皮革からなる銀付き調人工皮革に関するもので、特に靴の用途に広く使用することができる。
近年、合成皮革や人工皮革は、天然皮革の代替品として靴、衣料、手袋、鞄、ボール、インテリアなどのあらゆる分野に多く利用されている。これらは、より高い品質と感性が要求されており、とりわけ優美な天然皮革調の外観、柔軟性と特に靴用には剥離強度が両立したものが強く望まれている。
従来、天然皮革調の外観を作り出すために離型紙を用いて天然皮革のシボを再現した樹脂フィルムを作り基体に貼り付ける造面法が提案され、あるいは、同一の弾性体が均一に充填された基体層の片面に密着した多孔樹脂層を形成し、エンボスロールで型押しすることで天然皮革のシボを再現する方法がとられてきた。
しかし、同一の弾性重合体が均一に充填されている人工皮革用基体にこれらの方法を用いた場合においては、基体層があまりに均一で人工的であるため天然皮革調とは言えず、また深いシボ模様を形成することは出来ない。
また、特に靴用途に用いるために十分な剥離強度を得ようとした場合は基体層に充填するべく弾性重合体を多くする必要があるためソフト性が失われることになり、逆に、自然な天然皮革調のソフトな触感を得ようとすると、基体層に充填するべく弾性重合体を少なくする必要があるために靴用途に用いるには十分な剥離強力を実現することができないという問題もある。
これらを解決するために、基体の上に多孔層を形成するに際し、基体表面の界面をまたがるように高剥離強度を得るための高密度樹脂層を形成し、その上に必要な多孔皮膜層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。しかしながらこの方法では、銀面層と接する基体上層部分と含浸液が搾り出された後の下層部分との密度差が大きくなりやすく、また、使用する繊維の平均単繊度に関して触れられておらず、天然皮革調の風合いに劣り、ソフト性が損なわれる傾向がある。
さらには、表面多孔層と同一の弾性樹脂を表面多孔層と同時にして基体表層に充填し、エンボス型押し方法により自然な天然皮革調の外観を得るといった方法が提案されている(例えば特許文献2を参照。)。しかしながらこの方法では、エンボス型押し時に表面多孔層と同時に、同一の樹脂からなる基体層上層も圧縮変形して基体層のソフト性を損なう傾向がある。これを避けるために、エンボスにより変形しにくい弾性体に変えると、エンボスによる型押しが不十分であり、天然皮革調の外観が得られにくい傾向がある。
一方、ヌバック調人工皮革として絡合繊維基体に2種の弾性重合体を含浸させ、2段階にわたる極細化処理を必要とせずに風合いがソフトで、表面特性に優れたヌバック調人工皮革の製造方法が提案されている(例えば特許文献3参照。)。しかしながら、ヌバック調人工皮革のように比較的剥離強力を要求されない分野に関しては問題ないが、高い剥離強力とソフトな風合いが要求される銀付き調人工皮革、特に、靴用の銀付き調人工皮革においてはそれらの要求性能に対する両立が難しい。
特開平7−252781号公報(3頁) 特開平11−140779号公報(請求項7および16頁) 特開平8−81886号公報(31頁)
本発明は、かかる従来技術では実現することが困難であった柔軟で充実感のある風合いおよび高い剥離強力を兼ね備えた人工皮革用基体、さらにはそれを用いた銀付き調人工皮革に関するものである。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討の結果、天然皮革調の柔軟で充実感のある風合いと高い剥離強力を兼ね備えた人工皮革用基体が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、極細繊維を主体とする絡合不織布とその内部に含浸された弾性重合体からなり、下記を満足することを特徴とする人工皮革用基体である。
(1)極細繊維の平均単繊度が0.06dtex以下であること、
(2)極細繊維の強度が4.0cN/dtex未満であること、
(3)人工皮革用基体の表面側を構成する弾性重合体の見かけ密度Aと、裏面側を構成する弾性重合体の見かけ密度Bとが下記式(a)を満足すること、
0.07+B≧A≧0.01+B (a)
(4)絡合不織布と弾性重合体との質量比が40:60〜70:30であること、
(5)人工皮革用基体の見かけ密度が0.30〜0.50g/cmであること、
さらには、該人工皮革用基体の表面側に弾性重合体被膜が形成されている銀付き調人工皮革であり、また、該銀付き調人工皮革を用いた靴である。
本発明は、天然皮革調の柔軟で充実感のある風合いと高い剥離強力を兼ね備えた人工皮革用基体であり、銀付き調人工皮革に適し、特に靴用途に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明で使用する絡合不織布を構成する極細繊維の平均単繊度は、0.06dtex以下であることが必要である。そして、0.0001〜0.05dtexの極細繊維の束からなることが好ましい。そして、0.06dtex以下の極細繊維は、従来公知の方法で作製される。例えば、少なくとも2種類のポリマーからなる極細繊維発生型繊維から少なくとも1成分を溶解又は分解除去することにより、又は機械的又は化学的な処理により2成分の界面で剥離することにより得ることができる。
得られる極細繊維の束を構成する極細繊維の平均単繊度を0.06dtex以下とするためには、貼合わせ型の極細繊維発生型繊維を用いるよりは繊維断面が海島構造となっている極細繊維発生型繊維を用いることが工程上有利である。
極細繊維発生型繊維中で極細繊維を構成するポリマーとしては、6−ナイロン、66−ナイロンをはじめとする溶融紡糸可能なポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、カチオン可染型変性ポリエチレンテレフタレートをはじめとする溶融紡糸可能なポリエステル類などから選ばれた少なくとも1種類のポリマーが挙げられる。
また溶解または分解除去される成分としては、極細繊維成分と溶剤または分解剤に対する溶解性または分解性を異にし、極細繊維成分との相溶性の低いポリマーであり、かつ紡糸条件下で極細繊維成分より溶融粘度が小さいかあるいは表面張力が小さいポリマーであり、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンプロピレン共重合体、変性ポリエステルなどのポリマーから選ばれた少なくとも1種類のポリマーである。
なお、基体に十分な風合いおよびソフト性を実現させるためには、極細繊維の平均繊度は0.06dtex以下である必要がある。そして更に人工皮革用基体が十分な風合い、ソフト性および剥離物性のバランスを満たすためには極細繊維束の強度が4.0cN/dtex未満である必要がある。そして、よりソフトな風合いとする点で3.0cN/dtex未満であることが好ましく、2.0cN/dtex未満であることが天然皮革調のソフトな風合いを有する点でより好ましい。4.0cN/dtex以上の場合には人工皮革用基体の風合いが硬くなる傾向がある。
強度4.0cN/dtex未満とするためには、繊維原料として重合度の低いポリマーを用いること、また延伸条件を弱めることによって所望の強度とすることが可能である。
極細繊維発生型繊維は、カードで解繊し、ウェッバーを通してウェッブを形成し、得られた繊維ウェッブは、所望の重さ、厚さに積層し、次いで、ニードルパンチ、高速水流などの公知の方法で絡合処理を行って絡合不織布とする。ウェッブには本件発明の目的効果を損なわない程度に必要に応じて織編物等を積層することもできる。絡合不織布は、得られる人工皮革用基体の風合いの点から絡合不織布全体が極細繊維発生型繊維又は極細繊維からなっている場合が好ましい。絡合不織布は、表面平滑な基体とするため、弾性重合体の含浸前にプレス処理などにより表面平滑化することが好ましい。
絡合不織布、あるいはプレスして得られる不織布の厚みは、得られる人工皮革の用途等によって任意に選択でき、特に制限されるものではないが、1枚ものの場合にその厚みは0.2〜10mm程度であることが好ましく、0.4〜5mm程度であることがより好ましい。密度は0.15g/cm〜0.50g/cmが好ましく、0.20g/cm〜0.40g/cmがより好ましい。0.15g/cm未満であると含浸する樹脂が多くなりゴムライクな風合いとなり、さらに剥離強力も低下する。0.50g/cmを越えると得られる人工皮革用基体の風合いが硬くなる傾向がある。
次に該絡合不織布の内部に弾性重合体溶液または分散液を含浸したのち、公知の方法にて凝固する。弾性重合体は公知の弾性重合体を用いることが可能であるが、特に皮革様のソフトな風合いおよび優れた機械物性等を兼ね備える点でポリウレタンの好ましい。その代表例としては、ポリエステル系ジオール、ポリエーテル系ジオール、ポリエステル・エーテル系ジオールなどの高分子ジオールの1種または2種以上と、有機ポリイソシアネート、好ましくは脂肪族系、芳香族系あるいは脂環族系の有機ジイソシアネートの1種または2種以上と、低分子ジオール、低分子ジアミン、ヒドラジンなどの活性水素原子を2個有する鎖伸長剤とから得られるポリウレタンが挙げられる。
中でも、ポリウレタン全質量に対する、該ポリウレタンを合成するのに用いた有機ポリイソシアネート中のイソシアネート基を構成する窒素原子の質量百分率(以下、N%と称す。)が2.5〜5%であるようなポリウレタンまたはこのポリウレタンを主体とするポリマー混合物が好ましい。
N%が2.5%未満の場合には、得られる基体層は耐摩耗性や耐引っ掻き強さにおいて劣ることとなり、またN%が5%を越える場合には、折り曲げシワが粗くなり、風合いも硬く、得られる人工皮革が安っぽくなると同時に、耐屈曲疲労性においても劣ったものとなる。
基体層に用いるポリウレタンの代表例としては、両末端にヒドロキシル基を有する分子量500〜5000のポリマージオールと4,4′−ジフェニルメタン−ジイソシアネートと炭素数2〜6の低級アルキレングリコールを主体とするハードセグメントから得られたポリウレタン、あるいは、両末端にヒドロキシル基を有する分子量500〜5000のポリマージオールと脂肪族または脂環族ジイソシアネートと有機ジアミンあるいは有機酸ジヒドラジドを主体とするハードセグメントから得られたポリウレタンなどがあげられる。ただし、ソフト性、耐久性、加工性を考慮し、これらの共重合物、混合物を用いることは可能である。
両末端にヒドロキシル基を有する分子量500〜5000のポリマージオールとしては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリカプロラクトンジオールなどのポリエステル系ジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールで代表されるポリカーボネート系ジオール、ポリエチレンエーテルジオール、ポリプロピレンエーテルジオール、ポリテトラメチレンエーテルジオール、ポリヘキサメチレンエーテルジオールなどのポリエーテル系ジオールおよびこれらの混合物が使用されるが、特にポリエステル系ジオール、ポリカーボネート系ジオールあるいはポリエステル系ジオールとポリカーボネート系ジオールとの混合ジオール、ポリエステル系ジオール、ポリカーボネート系ジオールとポリエーテル系ジオールとの混合ジオールが好ましく使用される。
脂肪族ジイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが、また脂環族ジイソシアネートとしては、シクロヘキサンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタン−ジイソシアネートなどが挙げられる。有機ジアミンとしては、p−フェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4′−ジアミンジフェニルメタン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエタノールアミン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミンなどが挙げられ、有機酸ジヒドラジドとしてはアジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどが挙げられる。
炭素数2〜6の低級アルキレングリコールの代表例としては、エチレングリコール、ブタングリコール、ヘキサングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどがあり、中でもエチレングリコールがエンボスによる型押しを行う場合に良好な型押し性が得られる点で好ましい。
用いるポリウレタンの好ましい100%モジュラスとしては、20〜120kg/cmであり、より好ましくは40〜80kg/cmである。20kg/cm未満の場合は、物性が劣る傾向があり、120kg/cmを越えると、風合いが硬くなる傾向がある。
絡合不織布の内部に弾性重合体を含浸する方法は、具体的には得られる人工皮革用基体の表面側と裏面側に弾性重合体を異なる充填率で充填する必要がある。例えば、弾性重合体がポリウレタンの場合には、基体の表面側、裏面側それぞれにポリウレタンを充填し凝固後のポリウレタンの密度を表面側と裏面側をそれぞれAとBとした場合、基体のソフト性および高い剥離物性を確保するため、0.07+B≧A≧0.01+Bの式が成り立つことが必要である。なお、基体層に更なる特性を持たすために表面側と裏面側で種類の異なるポリウレタンを充填してもよい。
なお、この式を満足せず、0.07+B<Aの関係にある場合においては基体層が硬くなる傾向、天然皮革調のバランスの取れた風合いを損なう傾向があり、またA<0.01+Bの関係にある場合においては高い剥離物性が得られなくなる傾向がある。
ここで、人工皮革用基体の表面側とは、人工皮革用基体の厚み方向に垂直に2分割した場合の上層部分のことをいい。裏面側とは下層部分のことをいう。そして、表面側と裏面側の弾性重合体の質量は、得られる人工皮革用基体を厚み方向に垂直に2分割スライスし、その後、弾性重合体を溶解又は分解除去せず、繊維のみを溶解又は分解除去する溶剤又は分解剤で繊維のみを溶解あるいは分解除去した後の質量を測定して求めた。
また、本発明の基体層中の表面側に選択される弾性重合体がポリウレタンの場合には、基体表層にコーティングする表面多孔層との接着性を満たすため、同一または近似したポリウレタンを混合させる方法も好ましく用いられる。
ここで同一とは、表面側を形成する弾性重合体と基体表面にコーティングする弾性重合体被膜を形成するウレタンとが同一であることをいい。また、近似したとは、それぞれの弾性重合体が物性、分子量、粘度などの性質が似ているウレタンのことをいう。
これら表面側を形成するポリウレタンは、基体層のソフト性を発現できるようにソフトなポリウレタンを使用してもよい。例えば、100%モジュラスが、20〜100kg/cm、好ましくは、30〜60kg/cmのポリウレタンが用いられる。また、ソフト性と剥離強力を重視し、全体のバランスを損なわない範囲の量を充填する。
また、その充填量は、充填する表面側の絡合不織布の繊維質量に対して、固型分で0.3〜3.0倍、好ましくは、0.8〜2.0倍で設定する。不織布の繊維質量に対して、0.3倍未満では、繊維とのバインダー効果が弱く、必要な剥離強力が得られず、3.0倍を越える場合には繊維を固定しすぎ、また密度が高くなりすぎて、基体層のソフト性を損なう傾向がある。
また、基体の裏面側を形成する弾性重合体がポリウレタンの場合には、人工皮革用基体のソフト性を発現できるように、ソフトなポリウレタンを使用することが好ましい。例えば、100%モジュラスが、20〜90kg/cm、好ましくは、20〜60kg/cmである。また、ソフト性を重視し、全体のバランスを損なわない範囲の量を充填する。例えば、充填する下層部分の絡合不織布の繊維質量に対して、0.1〜1.5倍、好ましくは、0.3〜1.0倍に充填する。0.1倍を下回るとソフト性は得られるが、あまりに充填される樹脂が少ないために、充実感が失われ、全体の風合いバランスが損なわれる。また、1.5倍を超えると樹脂の充填度が高くなりすぎ、ゴム弾性が強くなり、また硬くなり、天然皮革調のソフトで充実感のある風合いではなくなってしまう。
基体層へのポリウレタン溶液の含浸方法は、以下のいくつかの方法が好ましい。
まず、絡合不織布に上面より人工皮革用基体の表面側を構成するポリウレタン樹脂を所定量塗布し、自然浸透させるか、ロールあるいはナイフでこすり付けるように浸透させ、下面より人工皮革用基体の裏面側を構成するポリウレタン樹脂をロールあるいはナイフ等でこすりつけるように浸透させ、過剰分はナイフ等でかきとる方法がある。また、不織布全体にいったん基体裏面側に裏面側用のポリウレタン溶液を充填した後に、基体表面側(以下、基体上層部と称することもある。)のポリウレタン樹脂をコートしこれを裏面がフリーの状態でプレスすることにより基体表面の内部まで浸透させ、裏面からはみ出た過剰分の裏面側を構成するポリウレタンの一部をナイフでかきとる方法も使用できる。
あるいは、不織布全体にいったん基体裏面側用のポリウレタン溶液を充填した後、ロールあるいはナイフで圧縮し、基体裏面側(以下、基体下層部と称することもある。)用のポリウレタン樹脂をコートし、不織布の回復力を利用して浸透させ、その後該絡合不織布よりはみ出した過剰分のポリウレタン樹脂をナイフでかきとる方法も使用できる。
なお、基体のソフト性と高い剥離物性を実現させるためには、基体上層部にポリウレタン濃度20%以上のジメチルホルムアミド溶液を、基体下層部にポリウレタン濃度18%以下のジメチルホルムアミド溶液を含浸することが好ましい。
そして、本発明の好適な凝固条件としては液温40℃で25%ジメチルホルムアミド水溶液での凝固が好ましい。
ついで、極細繊維発生型繊維を少なくとも1成分の溶解剤若しくは分解剤で処理して、又は機械的若しくは化学的処理により2成分の界面で剥離して極細繊維または極細繊維束に変性する。極細繊維発生型繊維の変性処理は弾性重合体の付与前であってもよいが、極細繊維束に変性後に弾性重合体を含浸、凝固すると、弾性重合体が極細繊維に接着し風合いが硬くなりやすいため、弾性重合体付与後に変性することが好ましい。弾性重合体付与前に変性処理を行う場合は、極細繊維と弾性重合体が直接接着しないようにポリビニルアルコールなどの後で溶解除去可能な仮充填剤を予め付与した後に弾性重合を付与し、その後該仮充填剤を除去することが好ましい。
そして、得られた人工皮革用基体の絡合不織布と弾性重合体との質量比が40:60〜70:30であることが必要であり、45:55〜60:40であることが基体のバランスの点で好ましい。絡合不織布の質量比が40未満の場合ゴムライクとなる傾向が有り、70を越えた場合にはごわごわしたペーパーライクな風合いとなる傾向がある。
また、本発明の人工皮革用基体の見かけ密度が0.30〜0.50g/cmである必要があり、0.35〜0.45g/cmであることが好ましい。見かけ密度が0.30g/cm未満の場合には、風合いが物足りないものとなる傾向が有り、0.50g/cmを越える場合には硬い触感となる傾向がある。
上記で得られた絡合不織布と弾性重合体からなる人工皮革用基体は、乾式造面方法や湿式造面方法等で代表される公知の方法により弾性重合体皮膜層を形成することで、銀付き調人工皮革を得ることが出来る。
例えば、乾式法により弾性体皮膜を形成する場合には、前もって離型紙上に塗布して模様付けしておいた100%伸張時のモジュラスが40kg/cmのポリウレタンと顔料からなる厚み30μmの樹脂膜の上に架橋型のポリウレタン系接着剤溶液を70g/m塗布し、その後70℃で120秒乾燥し溶剤が一部蒸発したタックのある状態で基体層と貼り付ける。その後基体層厚みの65%のクリアランスロールで圧着後、110℃で3分間乾燥し、70℃で3日間熟成処理後、離型紙を剥がす方法が好ましい。なお、樹脂膜および接着剤の塗布量、成分は任意の条件に変えてもよい。
本発明の銀付き調人工皮革を用いた靴は、足へのフィット性に優れ、かつ甲部分と靴底部分の剥離に優れる点で好ましい用途である。

次に本発明を具体的に実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%は断わりのない限り質量に関するものである。
平均単繊度
平均単繊度は、繊維束の断面の顕微鏡写真から、繊維束を構成する極細繊維の本数を数え、繊維束のトータル繊度を該本数で除した値である。
極細繊維束の強度
極細繊維束の強度は、基体から抽出した極細繊維束をチャック間の50mmで25mm/minのスピードで伸張し、その破断強度から求めた。
人工皮革用基体の表面側、および裏面側の弾性重合体の見かけ密度
基体を厚さ方向の中央部でスライスし、それぞれの断面の顕微鏡写真より表面側(基体上層)と裏面側(基体下層)の厚みを測定し、スライス後のそれぞれに対し塩化カルシウム過飽和のエタノール溶液を用いて極細繊維の抽出を行った後表面側と裏面側の弾性重合体質量を測定し、弾性重合体の見かけ密度はこれら質量、厚みおよび表面積より算出した。
人工皮革用基体の見かけ密度
人工皮革用基体断片の質量とその表面積、および断面の顕微鏡写真より測定した厚みより算出した。
海成分としてポリエチレン50質量部および島成分として6−ナイロン(重合度:180000)50質量部を同一溶融系で混合溶融紡糸して、繊度10dtexの海島型複合繊維を製造した。この複合繊維を3.0倍に延伸し、捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断し、カードで解繊した後クロスラッパーウェッバーでウェッブとした。次に、ニードルパンチにより、目付650g/m2の絡合不織布とした。この絡合不織布にポリヘキサカーボネートジオール、ポリメチレンプロピレンアジペート、メチレンジアミンが5:2:3の質量比で構成され、n−ヘキサンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタン−ジイソシアネート、エチレングリコールで共重合された100%モジュラス60kg/cmのポリカーボネート系ポリウレタン14%ジメチルホルムアミド溶液を含浸後に、同一ポリウレタン25%ジメチルホルムアミド溶液をコートし、これを裏面がフリーの状態でプレスすることにより絡合不織布の内部まで浸透させ、裏面からはみ出た過剰分のポリカーボネート系ポリウレタン14%ジメチルホルムアミド溶液をナイフでかきとった。そして、DMF/水=30/70の比率のDMF水溶液からなる凝固浴中で凝固して。続いて、水洗後、複合繊維中のポリエチレンを熱トルエンで抽出除去して、強力が約1.0cN/dtex、平均単繊度が0.01dtexの6−ナイロン極細繊維からなる極細繊維束状繊維絡合不織布とポリウレタンとからなる厚さ1.25mmの人工皮革用基体を得た。
この人工皮革用基体の表面側(基体上層部)のポリウレタンの見かけ密度は0.182であり、その裏面側(基体下層部)のポリウレタンの見かけ密度は0.134であった。
この人工皮革用基体中のポリカーボネート系エーテル系ポリウレタンと絡合不織布の質量比率は、47/53であり、人工皮革用基体の表面側(基体上層部)の該ポリウレタンと絡合不織布の質量比率は53/47であり、その裏面側(基体下層部)の該ポリウレタンと絡合不織布の質量比率は40/60であった。また、この人工皮革用基体の見かけ密度は、0.385g/cmであり、柔軟で充実感のある風合いを有するものであった。
前もって離型紙上に塗布して模様付けしておいた100%伸張時のモジュラスが40kg/cmのポリカーボネート系エーテル系ポリウレタンと顔料からなる厚み30μmの樹脂膜の上に架橋型のポリウレタン系接着剤溶液を70g/m塗布し、その後70℃で120秒乾燥し溶剤が一部蒸発したタックのある状態で人工皮革用基体の表面側と貼り付け、その後該基体層厚みの65%のクリアランスでニップし圧着後、110℃で3分間乾燥し、70℃で3日間熟成処理後、離型紙を剥がして銀付き調人工皮革を作製した。
得られた銀付き調人工皮革は天然皮革調の自然な外観と柔軟で充実感のある風合いを有し、さらに剥離強力9.7kg/inchと高いものであった。そして、該銀付き調人工皮革を甲部分に用いた靴を作製したところ製靴性は良好で、履き心地がよく、長期間使用しても甲部分と靴底の部分の接着状態にはなんら変化がなかった。
比較例1
実施例1と同一の極細繊維発生型複合繊維からなる絡合不織布に、100%モジュラス40kg/cmポリカーボネート系ポリウレタンを主体とするポリウレタン14%ジメチルホルムアミド溶液のみを含浸後、DMF/水=30/40の比率の凝固浴中で凝固して、水洗後、複合繊維中のポリエチレンを抽出除去して、0.01dtexの6−ナイロン極細繊維からなる極細繊維束状繊維とポリウレタンとからなる厚さ1.15mmの人工皮革用基体を得た。
この人工皮革用基体の表面側(基体上層部)のポリウレタンの見かけ密度は0.132であり、裏面側(基体下層部)のポリウレタンの見かけ密度は0.127であった。この人工皮革用基体中のポリカーボネート系エーテル系ポリウレタンと絡合不織布の質量比率は、40/60であり、人工皮革用基体の表面側(基体上層部)と裏面側(基体下層部)の該ポリウレタンと絡合不織布の質量比率はともに40/60であった。また、この人工皮革用基体の見かけ密度は、0.350g/cmであり、柔軟であるが充実感(こし感)に劣る風合いを有するものであった。
実施例1と同様に離型紙を用いて該人工皮革用基体の表面側にポリウレタン被膜からなる銀面層を形成した。得られた銀付き調人工皮革は、目標とする天然皮革調の優美な外観を有するものであった。しかしながら、ソフト性はあるものの充実感の無い風合いで、剥離強力は8.3kg/inchと劣るものであった。そして、該銀付き調人工皮革を甲部分に用いた靴を作製したところ、製靴性は良好であったが、長期使用中に靴の底と甲部分とが一部剥がれた箇所が見つかった。
比較例2
実施例1と同一の極細繊維発生型複合繊維からなる絡合不織布に、100%モジュラス40kg/cmポリカーボネート系ポリウレタンを主体とするポリウレタン18%ジメチルホルムアミド溶液を含浸後、DMF/水=30/40の比率の凝固浴中で凝固して、水洗後、複合繊維中のポリエチレンを抽出除去して、0.01dtexの極細繊維からなる6−ナイロン極細繊維束状繊維とポリウレタンとからなる厚さ1.27mmの人工皮革用基体を得た。
この人工皮革用基体の表面側(基体上層部)のポリウレタンの見かけ密度は0.170であり、裏面側(基体下層部)のポリウレタンの見かけ密度は0.165であった。
この人工皮革用基体中のポリカーボネート系エーテル系ポリウレタンと絡合不織布の質量比率は、50/50であり、人工皮革用基体の表面側(基体上層部)と裏面側(基体下層部)の該ポリウレタンと絡合不織布の質量比率はともに50/50であった。また、この人工皮革用基体の見かけ密度は、0.375g/cmであり、実施例1に比べ柔軟性および充実感(こし感)に若干劣る風合いを有するものであった。
実施例1と同様に離型紙を用いて該人工皮革用基体の表面側にポリウレタン被膜からなる銀面層を形成した。得られた銀付き調人工皮革は、目標とする天然皮革調の優美な外観を有するものであった。しかしながら、ある程度ソフトな風合いと剥離強力が8.9kg/inchのものが得られたが十分満足のいくものではなかった。そして、該銀付き調人工皮革を甲部分に用いた靴を作製したところ、製靴性は良好であったが、長期使用中に靴の底と甲部分とが一部剥がれた箇所が見つかった。
比較例3
実施例1と同一の極細繊維発生型複合繊維からなる絡合不織布に、100%モジュラス40kg/cmポリカーボネート系ポリウレタンを主体とするポリウレタン25%ジメチルホルムアミド溶液を含浸後、DMF/水=30/40の比率の凝固浴中で凝固して、水洗後、複合繊維中のポリエチレンを抽出除去して、0.01dtexの6−ナイロン極細繊維からなる極細繊維束状繊維とポリウレタンとからなる厚さ1.37mmの人工皮革用基体を得た。
この人工皮革用基体の表面側(基体上層部)のポリウレタンの見かけ密度は0.182であり、その裏面側(基体下層部)のポリウレタンの見かけ密度は0.180であった。
この人工皮革用基体中のポリカーボネート系エーテル系ポリウレタンと絡合不織布の質量比率は、53/47であり、人工皮革用基体の表面側(基体上層部)と裏面側(基体下層部)の該ポリウレタンと絡合不織布の質量比率はともに53/47であった。また、この人工皮革用基体の見かけ密度は、0.421g/cmであり、柔軟性に劣りゴムライクな風合いを有するものであった。
実施例1と同様に離型紙を用いて該人工皮革用基体の表面側にポリウレタン被膜からなる銀面層を形成した。得られた銀付き調人工皮革は、目標とする天然皮革調の優美な外観および剥離強力が10.4kg/inchと高い値を有するものであった。しかしながら、非常硬い風合いのものとなり製靴するには至らなかった。
比較例4
平均単繊度0.2dtexの繊維発生型複合繊維からなる絡合不織布に、実施例1と同様の処理を行って得た人工皮革用基体および銀付き調人工皮革は、目標とする天然皮革調の柔軟な風合いが得られず硬いものであった。そして製靴するには至らなかった。
比較例5
海成分としてポリエチレン55質量部および島成分として6−ナイロン(重合度:180000)45質量部を複合紡糸方式で溶融紡糸し、繊度18dtexの海島型複合繊維を製造した。この複合繊維を3.8倍に延伸し、捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断し、カードで解繊した後クロスラッパーウェッバーでウェッブとし、これをニードルパンチにより、目付650g/m2の絡合不織布とした。その後、実施例1と同様の処理を行うことで極細繊維の強度が5cN/dtexの絡合不織布からなる人工皮革用基体を得た。得られた人工皮革用基体および銀付き調人工皮革は、目標とする天然皮革調の柔軟な風合いが得られず硬いものであった。そして製靴するには至らなかった。

Claims (3)

  1. 極細繊維を主体とする絡合不織布とその内部に含浸された弾性重合体からなり、下記を満足することを特徴とする人工皮革用基体。
    (1)極細繊維の平均単繊度が0.06dtex以下であること、
    (2)極細繊維の強度が4.0cN/dtex未満であること、
    (3)人工皮革用基体の表面側を構成する弾性重合体の見かけ密度Aと、裏面側を構成する弾性重合体の見かけ密度Bとが下記式(a)を満足すること、
    0.07+B≧A≧0.01+B (a)
    (4)絡合不織布と弾性重合体との質量比が40:60〜70:30であること、
    (5)人工皮革用基体の見かけ密度が0.30〜0.50g/cmであること、
  2. 請求項1に記載の人工皮革用基体の表面側に弾性重合体被膜が形成されている銀付き調人工皮革。
  3. 請求項2に記載の銀付き調人工皮革を用いた靴。
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