JP2005097747A - 溶射粉及び溶射被膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】 供給時の流動性、溶融性に優れた溶射粉を提供し、さらに、この溶射粉を用いてフッ素系や塩素系などのハロゲン化ガス或いはそのプラズマに対して耐食性に優れた溶射被膜を提供する。
【解決手段】 元素の周期表3A族から選択された一種以上の元素の化合物からなり、鉄族金属化合物が酸化物換算で5ppm以下であることを特徴とする溶射粉である。該元素の化合物として、希土類酸化物が挙げられる。上記酸化物は、Al、Si、Zrから選ばれる少なくとも1種以上の元素との複合酸化物であることが好ましい。
溶射粉は、平均粒径が5μm〜80μmの範囲とすることが好ましい。
この溶射粉を基材上に溶射して、耐蝕性溶射被膜、特にはハロゲン系プラズマ耐性を有する溶射被膜が得られ、半導体製造装置部材用溶射被膜が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、金属、木材、コンクリート、外壁材等の基材表面にフレーム溶射、プラズマ溶射等を用いて溶射被膜を形成する際に用いられる溶射粉、この溶射粉を用いて金属、セラミックス等の基材表面にフレーム溶射、プラズマ溶射等を用いて形成される溶射被膜に関する。
従来、金属、コンクリート、セラミックスに微粉を溶射して被膜を形成し、耐熱性、耐磨耗性、耐食性を付与することが行なわれているが、この被膜形成材として、原料を電気炉で溶融し、冷却凝固後、粉砕機で微粉化し、その後分級することにより粒度調整を行った溶融粉砕粉が使用されている。
半導体製造におけるプラズマプロセスにおいては、フッ素系、塩素系等のハロゲン系腐食ガスが、その反応性の高さからエッチングやクリーニングに利用されている。フッ素系ガスとしては、SF6、CF4、CHF3、ClF3、HF等が、また塩素系ガスとしては、Cl2、BCl3、HCl等が挙げられ、これらのガスが導入された雰囲気にマイクロ波や高周波等を導入すると、これらのガスはプラズマ化される。これらのハロゲン系ガス或いはそのプラズマに曝される装置部材には高い耐食性が要求される。従来より、ハロゲン系ガス或いはそのプラズマに対する耐食性を付与するための材料として、石英、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム等のセラミックス或いはこれらを基材表面に溶射して溶射被膜を形成したものが使用されている。
一般に、溶射用の材料には上記溶融粉砕粉が使用され、フレーム溶射システムもしくはプラズマ溶射システムを用いて溶射される。密着強度に優れた溶射被膜を形成するためには、そのフレーム炎もしくはプラズマ炎中で十分に溶射粉を溶融させる必要がある。
その際、溶射粉は溶射ガンまで搬送チューブ等を用いて供給されるので、溶射粉の流動性が被膜の品質に影響を及ぼす。この流動性が悪いと、耐熱性、耐磨耗性及び耐食性等において所望の品質を有する被膜が得られない。従来用いられていた溶融粉砕粉は、不定形であるため安息角が大きく流動性が悪いので、溶射粉の供給量を増すと、溶射時、ノズルに閉塞等が生じ連続的に溶射できなくなったり、溶射斑を生じることがあった。
さらに、最近では、緻密で高硬度な溶射被膜を得るために、減圧プラズマ溶射が行なわれている。減圧プラズマ溶射は溶射スピードが増し、プラズマ炎の長さが長大となり、プラズマ炎のエネルギー密度が低いため、溶射粉には平均粒子径の細かいものが求められるが、溶融粉砕粉では粉砕粉を分級しなければならず、平均粒子径の細かい溶射粉を分級して造ることには困難が伴った。
半導体製造装置において、プラズマプロセスに用いられる部材として従来から使用されているガラスや石英は、プラズマ中での耐食性が不十分なため消耗が激しく、特にフッ素系或いは塩素系プラズマに曝されると、表面がエッチングされ、特に半導体製造においては、不良品発生の原因の1つとなっていた。
アルミナ、窒化アルミニウム、炭化珪素等のセラミックス或いはこれらの溶射被膜は、上記ガラスや金属に比較してフッ素系ガスに対する耐食性に優れるものの、高温でプラズマに曝されると腐食が徐々に進行し、この場合も半導体製造装置においては、不良品発生の原因の1つとなっていた。
本発明は、供給時の流動性、溶融性に優れた溶射粉を提供し、さらに、この溶射粉を用いてフッ素系や塩素系などのハロゲン化ガス或いはそのプラズマに対して耐食性に優れた溶射被膜を提供することを目的とするものである。
本発明の溶射粉は、元素の周期表3A族から選択された一種以上の元素の化合物からなり、該化合物には鉄族金属化合物が含まれ、鉄族金属化合物が酸化物換算で5ppm以下であることを特徴とするものである。上記元素の周期表3A族から選択された元素の化合物が、希土類酸化物であることが好ましい。
さらに、上記酸化物は、Al、Si、Zrから選ばれる少なくとも1種以上の元素との複合酸化物であることがさらに好ましい。
また、溶射粉は、平均粒径が5μm〜80μmの範囲とすることが好ましい。
さらにまた、前記希土類元素がGd、Dy、Er、Yb、Yから選ばれるものであることが好ましい。
このような溶射粉を基材上に溶射して、耐蝕性溶射被膜が、また、ハロゲン系プラズマ耐性溶射被膜が、さらに、半導体製造装置部材用溶射被膜が、得られる。
本発明の溶射粉は、溶射性に優れており、この溶射粉を溶射して得られる溶射被膜は耐プラズマ性が高く、かつ緻密で耐食性に優れた溶射被膜を形成することができる。このようにして形成された溶射被膜は耐プラズマ性が高く、半導体製造装置部材用溶射被膜として極めて優れている。
本発明の溶射粉は、上記したように元素の周期表3A族から選択された一種以上の元素の化合物を造粒して得られるが、この元素化合物には鉄族金属化合物が酸化物換算で5ppm以下のものが下記の理由により使用される。
半導体製造プロセスにおいては、反応性の高いフッ素系、塩素系のハロゲン化ガスが用いられるため、鉄族金属化合物(ここでいう鉄族金属とはFe、Co、Niを指す)、特に鉄族金属酸化物が溶射粉に含まれていると、溶射被膜中で鉄族金属元素と希土類元素とが反応して化合物を生じ、これが斑点となる。さらに、ハロゲン化ガス或いはそのプラズマに曝される環境下では鉄族金属化合物によって部分的に腐食を生じ、不良品発生の原因となる。
このため鉄族金属化合物は、酸化物換算で5ppm以下に抑える必要があり、これが5ppmを超えると、上記斑点を生じたり、部分的に腐食が進み不良品発生の原因となる。
鉄族金属化合物が酸化物換算で5ppm以下の溶射粉を得るには、母材の原料、副材料に高純度の精製品を用い、さらに、造粒工程においては雰囲気中からの鉄族金属化合物の混入を防ぐために、クリーンルーム内で製造する等、厳しい管理が求められる。
本発明において使用される元素の周期表3A族元素の化合物として、酸化物、炭化物、ホウ化物、窒化物等が挙げられる。その中でも酸化物がハロゲン化ガス或いはそのプラズマ中での化学的安定性の点で溶射材料として好ましい。
元素の周期表3A族酸化物は基本組成式Ln23で表され、LnはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Yからなる群より選ばれる希土類元素であり、特に好ましくは、Gd、Dy、Er、Yb、Yからなる群より選ばれる。また、上記の希土類元素を含む化合物であれば、他のAl、Zr、Si等から選ばれる元素、好ましくはAl、Siを含む複合化合物、或いは混合物でもよい。これら複合化合物は複合酸化物であることが好ましく、Ln23換算でAl、Zr、Siから選ばれる化合物を90重量%以下配合させることが好ましく、複合酸化物としてはLnAlO3(LnはYを含む希土類元素)、Ln4Al29、Ln3Al512、Ln2SiO5、Ln2Si27、Ln2Zr27等が挙げられるがこれに限定されるものではない。また希土類元素も1種に限られず、2種以上から選ばれる複合酸化物でもよい。
このような希土類元素を含む化合物を造粒して得た造粒粉は、平均粒径を5〜80μm、好ましくは20〜80μmとすることにより、溶射粉としての流動性を向上することができる。造粒粉の平均粒子径が5μmより小さいと製造が困難であり、80μmを超えると粒子の中心部が溶射時に溶融されず未融着粉を生じたり、密着強度が低く歩留の低下を招くおそれがある。
溶射粉は、高温のプラズマ炎に曝されるため、粒度分布がブロードであると微粒子側は蒸発し、粗粒子側は溶融が不十分となり基材に付着しないといった歩留の低下を招く。他方、粒度分布がシャープなものは製造工程が複雑になり量産に適していない。また、粒度分布がブロードな溶射粉は流動性が悪いため、粉体供給時にノズル詰まりを生じやすくなる。以上の理由から分散指数は0.1〜0.7が適している。この分散指数は、下記の式で定義される。なお、D90は粒子の90%がD90より小さい直径を有する粒子直径であり、D10は粒子の10%がD10より小さい直径を有する粒子直径である。
分散指数=(D90−D10)/(D90+D10
また、この溶射粉は、個々の粒子径が小さいため、溶射材の表面積が増大し、BET法により測定した比表面積は1m2/g以上となっている。比表面積が大きいため溶射時の熱効率が良くなり、溶射材の溶融斑あるいは溶射基材への付着斑を防ぐことができる。
比表面積が5m2/gを超えると、構成粒子の粒径が小さ過ぎて、溶射に際しての取り扱いが困難になる。他方、比表面積が1m2/gより小さいと、プラズマ炎中での溶融が不十分となって基材に十分密着しなくなり、歩留が低下するおそれがある。
このような溶射粉は、一次粒子の平均粒径が特に0.05〜10μm、好ましくは0.5〜10μmの元素の周期表3A族元素の化合物を水、アルコール等にバインダーを加えてスラリー化し、これを転動型造粒機、噴霧型造粒機、圧縮造粒機、流動造粒機等で造粒し、乾燥した後、1200℃〜1800℃、好ましくは1500℃〜1700℃の大気中で1〜10hr焼成することにより、球状で流動性のよい平均粒径が5μm〜80μmの範囲にある溶射粉が得られる。複合化合物の場合は複合化合物の一次粒子を用いる事もできるし、複合化合物を生成し得る一次粒子の混合粉を用いる事もできる。例えばLn3Al512の場合、Ln3Al512の一次粒子を造粒しても、Ln23とAl23をLn3Al512組成になるような配合比で混合した物を造粒しても良い。
バインダーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)等のセルロース類、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が3A族元素の化合物に対し0.1〜5重量%用いられる。
また、装置用部材への溶射は、プラズマ溶射或いは減圧プラズマ溶射で行われ、プラズマガスとしては窒素/水素、アルゴン/水素、アルゴン/ヘリウム、アルゴン/窒素、アルゴン単体、窒素ガス単体等を用いることができるが、特に限定されるものではない。
溶射される装置用部材としては、アルミニウム、ニッケル、クロム、亜鉛、ジルコニウム及びこれらの合金、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素、石英ガラス、ジルコニア等からなる部材が挙げられ、部材表面に厚さ50〜500μmの溶射被膜を形成させるとよい。このようにして溶射被膜の形成された部材は、特に、半導体製造装置用部材として好ましいものである。
本発明の溶射材料は、微粒子で構成される球状溶射粉であるため、熱効率が良く均一に溶融させることができ、かつ流動性に優れているため、溶射ノズルの閉塞を生じることなく溶射でき、得られる溶射被膜は緻密である。また、鉄族金属化合物が酸化物換算で5ppm以下の溶射粉を用いることにより、従来よりも耐食性に優れ、部分腐食のない溶射被膜を得ることができる。このようにして形成された溶射被膜はハロゲン系プラズマ耐性が高く、この溶射被膜の形成された部材は、特に、半導体製造装置用部材として好ましいものである。
さらに、本発明を下記の実施例、比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
PVA(ポリビニルアルコール)15gを溶かした純水15リットルに、平均粒子径1.1μmでFe23が0.5ppm以下の酸化イットリウム5kgを分散させてスラリーを作製し、2流体ノズル噴霧型造粒機でこのスラリーを噴霧乾燥させ球状造粒粉を作製した。さらに、この造粒粉を大気中1700℃で2時間焼成し球状溶射粉とした。
上記、溶射粉製造工程によって得られた溶射粉の粒径をレーザー回折式の粒度測定器で測定したところ、平均粒子径は38μmであった。測定した粒度分布より分散指数を求めたところ、0.57であった。
この溶射粉を酸分解してICP分光分析(誘導結合高周波プラズマ分光分析)でFe23濃度を測定したところ、Fe23は1ppmであった。また、BET法で比表面積を求めたところ、比表面積は1.5m2/gであった。
さらに、この酸化イットリウム溶射粉をアルゴン/水素で減圧プラズマ溶射して、アルミニウム合金基板上に膜厚210μmの被膜を形成した。溶射中、ノズルの閉塞も無く、溶射歩留は40%であった。
得られた溶射部材をRIE(反応性イオンエッチング)装置を用いてCF4プラズマ中で16時間の暴露試験を行いエッチング速度を測定したところ、エッチング速度は2nm/minであった。なお、このエッチング速度は、溶射部材の一部をポリイミドテープでマスキングし、マスク有無の部分をレーザー顕微鏡で高度差計測することにより求めた。
これらの結果を表1にまとめて示した。
[実施例2]
CMC(カルボキシメチルセルロース)15gを溶かした純水15リットルに、平均粒子径1.2μmでFe23が0.5ppm以下の酸化イッテルビウム5kgを分散させてスラリーを作製し、2流体ノズル噴霧型造粒機でこのスラリーを噴霧乾燥させ球状造粒粉を作製した。さらに、この造粒粉を大気中1500℃で2時間焼成し球状溶射粉とした。
この溶射粉製造工工程によって得られた平均粒子径46μm、分散指数0.70、ICP分光分析によるFe23:1ppm、BET法による比表面積1.8m2/gの酸化イッテルビウム溶射粉を、アルゴン/水素で減圧プラズマ溶射して、アルミニウム合金基板上に膜厚230μmの被膜を形成した。溶射中、ノズルの閉塞も無く、溶射歩留は45%だった。
この溶射部材をRIE装置を用いて実施例1に記載の条件で暴露試験を行ないエッチング速度を測定したところ、エッチング速度は2nm/minであった。
これらの結果を表1にまとめて示した。
[実施例3]
CMC(カルボキシメチルセルロース)15gを溶かした純水15リットルに平均粒子径1.2μmでFe23が0.5ppm以下の酸化イッテルビウム5kgを分散させてスラリーを作製し、回転ディスク噴霧型造粒機でこのスラリーを噴霧乾燥させ球状造粒粉を作製した。さらに、この造粒粉を大気中1500℃で2時間焼成し球状溶射粉とした。
上記、溶射粉製造工程によって得られた平均粒子径65μm、分散指数0.62、ICP分光分析によるFe23:3ppm、BET法による比表面積1.1m2/gの酸化イッテルビウム溶射粉を、アルゴン/水素で減圧プラズマ溶射して、アルミニウム合金基板上に膜厚200μmの被膜を形成した。溶射中、ノズルの閉塞も無く、溶射歩留は41%であった。
得られた溶射部材をRIE装置を用いて実施例1に記載の条件で暴露試験を行ないエッチング速度を測定したところ、エッチング速度は2nm/minであった。
これらの結果を表1にまとめて示した。
[実施例4]
PVA(ポリビニルアルコール)15gを溶かした純水15リットルに平均粒子径1.3μmでFe23が0.5ppm以下の酸化ジスプロシウム5kgを分散させてスラリーを作製し、回転ディスク噴霧型造粒機でこのスラリーを噴霧乾燥させ球状造粒粉を作製した。さらに、この造粒粉を大気中1400℃で2時間焼成し球状溶射粉とした。
この溶射粉製造工程によって得られた平均粒子径25μm、分散指数0.68、ICP分光分析によるFe23:2ppm、BET法による比表面積2.0m2/gの酸化ジスプロシウム溶射粉を、アルゴン/水素で減圧プラズマ溶射してアルミニウム合金基板上に膜厚230μmの被膜を形成した。溶射中、ノズルの閉塞も無く、溶射歩留は52%であった。
この溶射部材をRIE装置を用いて実施例1に記載の条件で暴露試験を行ないエッチング速度を測定したところ、エッチング速度は3nm/minであった。
これらの結果を表1にまとめて示した。
[実施例5]
PVA(ポリビニルアルコール)15gを溶かした純水15リットルに、平均粒子径1.3μmでFe23が0.5ppm以下のY3Al512の複合酸化物粉5kgを分散させてスラリーを作製し、このスラリーをマグネット除鉄器に通して磁性粉を除いた後、2流体ノズル噴霧型造粒機でこのスラリーを噴霧乾燥させ球状造粒粉を作製した。さらに、この造粒粉を1700℃で2時間焼成し球状溶射粉とした。
上記、溶射粉製造工程によって得られた溶射粉の粒径をレーザー回折式の粒度測定器で測定したところ、平均粒子径は32μmであった。測定した粒度分布より分散指数を求めたところ、0.52であった。
この溶射粉を酸分解してICP分光分析(誘導結合高周波プラズマ分光分析)でFe23濃度を測定したところ、Fe23は1ppmであった。また、BET法で比表面積を求めたところ、比表面積は2.1m2/gであった。
さらに、このY3Al512溶射粉をアルゴン/水素で減圧プラズマ溶射して、アルミニウム合金基板上に膜厚210μmの被膜を形成した。溶射中、ノズルの閉塞も無く、溶射歩留は52%であった。
得られた溶射部材をRIE(反応性イオンエッチング)装置を用いてCF4プラズマ中で16時間の暴露試験を行いエッチング速度を測定したところ、エッチング速度は2nm/minであった。なお、このエッチング速度は、溶射部材の一部をポリイミドテープでマスキングし、マスク有無の部分をレーザー顕微鏡で高度差計測することにより求めた。
これらの結果を表1にまとめて示した。
[実施例6]
PVA(ポリビニルアルコール)15gを溶かした純水15リットルに、平均粒子径1.5μmでFe23が0.5ppm以下のYb2SiO5粉5kgを分散させてスラリーを作製し、このスラリーをマグネット除鉄器に通して磁性粉を除いた後、2流体ノズル噴霧型造粒機でこのスラリーを噴霧乾燥させ球状造粒粉を作製した。さらに、この造粒粉を1700℃で2時間焼成し球状溶射粉とした。
上記、溶射粉製造工程によって得られた溶射粉の粒径をレーザー回折式の粒度測定器で測定したところ、平均粒子径は40μmであった。測定した粒度分布より分散指数を求めたところ、0.60であった。
この溶射粉を酸分解してICP分光分析(誘導結合高周波プラズマ分光分析)でFe23濃度を測定したところ、Fe23は3ppmであった。また、BET法で比表面積を求めたところ、比表面積は1.3m2/gであった。
さらに、このYb2SiO5造粒粉をアルゴン/水素で減圧プラズマ溶射して、アルミニウム合金基板上に膜厚210μmの被膜を形成した。溶射中、ノズルの閉塞も無く、溶射歩留は60%であった。
得られた溶射部材をRIE(反応性イオンエッチング)装置を用いてCF4プラズマ中で16時間の暴露試験を行いエッチング速度を測定したところ、エッチング速度は2nm/minであった。なお、このエッチング速度は、溶射部材の一部をポリイミドテープでマスキングし、マスク有無の部分をレーザー顕微鏡で高度差計測することにより求めた。
これらの結果を表1にまとめて示した。
[比較例1]
平均粒径0.9μmでFe23を10ppm含むY23を用いて、実施例1と同様の条件で球状溶射粉を作製し、この球状溶射粉を実施例1と同じ条件で溶射し、アルミニウム合金基板上に膜厚210μmの被膜を形成し、エッチング速度を測定した。この結果を比較例1として表1にまとめて示した。
[比較例2]
平均粒径4μmの酸化イットリウムを溶融固化し、その後粉砕、分級して溶射粉を作製した。この溶融粉砕法によって得られた平均粒子径36μm、分散指数0.61、ICP分光分析によるFe23:55ppm、BET法による比表面積0.1m2/gの酸化イットリウム溶融粉砕粉を、アルゴン/水素で減圧プラズマ溶射して、アルミニウム合金基板上に膜厚190μmの被膜を形成した。この溶射部材をRIE装置を用いて実施例1に記載の条件で暴露試験を行ないエッチング速度を測定したところ、エッチング速度は430nm/minであった。なお、このエッチング速度は、溶射被膜表面に生じた斑点部分を測定したものである。
これらの結果を表1にまとめて示した。
[比較例3〜6]
元素の周期表3A族から選択された元素の化合物に代えて、Al23、SiO2、SiC、Si34を用いた以外は、実施例1に従い溶射粉を作製し、実施例1と同じ条件で溶射し、エッチング速度を測定した。これらの結果を比較例3〜6として表1にまとめて示した。
Figure 2005097747
表1にみられるように、元素の周期表3A族から選択された元素の化合物からの溶射粉ではない比較例3〜6は、いずれも、エッチング速度が大きく耐食性に劣り、また、元素の周期表3A族から選択された元素の化合物からの溶射粉ではあるが鉄族金属化合物(Fe23)分が多い比較例1〜2では、溶射被膜表面に斑点が見られ、その部分でのエッチング速度が極めて大きく耐食性に劣り、溶射被膜として好ましいものが得られなかった。
これに対して、実施例1〜6は、溶射中、ノズル詰まりもなく、形成された溶射被膜はCF4プラズマ中での長時間暴露試験に耐え、エッチング速度も極めて小さく耐食性に優れていた。
本発明によれば、耐蝕性に優れた溶射被膜、特にはハロゲン系プラズマ耐性溶射被膜が得られるから、半導体製造装置部材用溶射被膜として有利に用いられ、半導体製造の分野に裨益するところ大である。

Claims (8)

  1. 元素の周期表3A族から選択された一種以上の元素の化合物からなり、該化合物には鉄族金属化合物が含まれ、鉄族金属化合物が酸化物換算で5ppm以下であることを特徴とする溶射粉。
  2. 前記元素の周期表3A族から選択された元素の化合物が希土類酸化物である請求項1に記載の溶射粉。
  3. 請求項2記載の周期表3A族から選択された元素の化合物が希土類元素とAl、Si、Zrから選ばれる少なくとも1種以上の元素との複合酸化物である請求項2に記載の溶射粉。
  4. 平均粒径が5μm〜80μmの範囲にある請求項1乃至3のいずれかに記載の溶射粉。
  5. 前記希土類元素がGd、Dy、Er、Yb、Yから選ばれることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の溶射粉。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の溶射粉を基材上に溶射して得られる耐蝕性溶射被膜。
  7. 請求項1乃至5のいずれかに記載の溶射粉を溶射して得られたものであることを特徴とするハロゲン系プラズマ耐性溶射被膜。
  8. 請求項1乃至5のいずれかに記載の溶射粉を溶射して得られたものであることを特徴とする半導体製造装置部材用溶射被膜。
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