JP2005096844A - 成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 セルロース繊維を含む解繊可能なパルプモールド5の表面に、水又は水酸基を持つ液体中に分散されているミクロフィブリルセルロース層7をコーティングすることにより、筐体2ごとミクロフィブリルセルロース層7を再度製紙工程に投入して再利用を図り、ミクロフィブリルセルロースの成形体が再利用し難いという問題を解消する。
【選択図】 図3
Description
つまり、紙は、セルロース繊維の集合体であって、解繊可能な薄体に成形されたものである。紙は使用後に古紙として回収されてパルパーで離解されてパルプと同様に単独で、あるいは新たなパルプと混合されて再び紙として再生される。そのため、紙製品は非常に優れたリサイクル製品ということができる。なお、この明細書及び特許請求の範囲において、解繊の概念の中に離解が含まれるものとし、解繊には湿式と乾式の両方が含まれるものとする。
しかし、紙は立体的な構造物とは言えず、例えば紙を積層したり、紙を巻いたり、紙を折ったり絞ったりして初めて立体になる。紙の密度は0.7程度であり、軽くかつ、密度の割には丈夫であるが、水に弱く、また硬度などの機械的強度の点や吸湿することによる寸法変化、切削による加工がし難いなどの点で構造体としては使いづらい側面を有する。
従来の成形体のうち、例えばフィルムを巻き取るために使用される紙管の中には、皺が生じないようにフィルムを巻き取るために表面を鏡面化する目的で紙管の上にプラスチックなどをコーティングする場合がある。プラスチックのコーティングにより、紙管を形成する紙同士の継ぎ目でできる段差を無くし、熱加工や研摩ができるようになる。
また、容器や構造材料として用いられる紙管には、耐水性や耐油性やガスバリア性を向上させる目的でプラスチックフィルムやアルミ箔などがラミネートされる場合がある。
このように、折角、解繊可能な紙製のあるいは他の材料でほとんどの部分が構成されているにもかかわらず、その機能を補うために解繊できない材料や解繊の妨げとなる材料と複合して使わなければならない場合がある。
上記のようにプラスチックや金属箔を材料として含む紙管や容器などは、プラスチックや金属箔などがパルパーでの離解を妨げ再生紙としてリサイクルし難く、埋め立てるか焼却処分に回されることが多くなる。
また、従来の成形体では、古紙のセルロース繊維を活用して直接立体的な構造に成形したものとして、パルプモールドが代表例として挙げられる。パルプモールドもリサイクル性に優れた成形体ではあるが、耐水性や機械的強度、寸法安定性、加工性などの問題から、例えば鶏卵の業務用トレーに見られるように輸送物の緩衝材料が主な用途で、限られた用途に展開されるに留まっている。
ミクロフィブリル状微細繊維の詳細については、特公昭48−6641号公報、特公昭50−38720号公報等に記載され、特開平10−248872号公報には、ミクロフィブリルセルロースが商品名「セリッシュ」(ダイセル化学工業(株)製)等として市販されていることが記載されている。
また、特開平2003−201695号公報には、ミクロフィブリルセルロースからなる高強度材料に関する記載がある。ミクロフィブリルセルロースを用いた高強度材料は、セルロース繊維を用いているため古紙などから製造することが可能であり、石油由来のプラスチックを使用することに比べれば環境負荷は少ないといえ、優れた材料である。
この発明は上記の問題点を解消するためになされたものであり、リサイクル性に優れた成形体を提供することを目的とする。
第2の課題解決手段による成形体は、第1の課題解決手段において、立体が、セルロース繊維を解繊可能に立体成形した物であるものである。
第3の課題解決手段による成形体は、第2の課題解決手段において、立体成形した物が、パルプモールドであるものである。
第4の課題解決手段による成形体は、第2の課題解決手段において、立体成形した物が、紙を型に添わせて立体的に成形した物であるものである。
第5の課題解決手段による成形体は、第2の課題解決手段において、立体成形した物が、セルロース繊維とバインダーを混合して発泡させた発泡体であるものである。
第6の課題解決手段による成形体は、第1の課題解決手段において、立体が、リグノセルロース繊維を解繊可能に立体成形した物であるものである。
第7の課題解決手段による成形体は、第6の課題解決手段において、立体成形した物が、リグノセルロース繊維を解繊可能に結合してなる薄体を型に添わせて立体的に成形した物であるものである。
第8の課題解決手段による成形体は、第1から第7の課題解決手段のいずれかにおいて、立体の表面又は内面とミクロフィブリルセルロース層との間に中間層をさらに備えるものである。
第10の課題解決手段による成形体は、第1から第9の課題解決手段のいずれかにおいて、ミクロフィブリルセルロース層に、第2の繊維状物質を含むものである。
第11の課題解決手段による成形体は、第10の課題解決手段において、第2の繊維状物質が、炭素繊維であるものである。
第12の課題解決手段による成形体は、第10の課題解決手段において、第2の繊維状物質が、ミクロフィブリル化されていないセルロース繊維であるものである。
第13の課題解決手段による成形体は、第1から第12の課題解決手段のいずれかにおいて、ミクロフィブリルセルロース層に、外部に作用を及ぼす機能物質が添加されているものである。
第14の課題解決手段による成形体は、第13の課題解決手段において、機能物質が、油脂であるものである。
第15の課題解決手段による成形体は、第14の課題解決手段において、機能物質が、環境変化に対応して、発光又は変色する物質であるものである。
第16の課題解決手段による成形体は、第1から第15の課題解決手段のいずれかにおいて、立体中に、外部に作用を及ぼす機能物質が添加されているものである。
第17の課題解決手段による成形体は、第16の課題解決手段において、機能物質が、香料であるものである。
第19の課題解決手段による成形体は、第18の課題解決手段において、表面層が、酸化シリコンからなる保護層であるものである。
第20の課題解決手段による成形体は、第1から第19の課題解決手段のいずれかにおいて、ミクロフィブリルセルロース層において、ミクロフィブリルセルロースが酸化シリコンと複合されているものである。
第21の課題解決手段による成形体は、第1から第20の課題解決手段のいずれかにおいて、ミクロフィブリルセルロース層において、ミクロフィブリルセルロースが炭酸カルシウムと複合されているものである。
第22の課題解決手段による成形体は、第1から第21の課題解決手段のいずれかにおいて、ミクロフィブリルセルロース層に、植物由来の材料及び動物由来の材料のうち少なくとも一方を含むものである。
第23の課題解決手段による成形体は、第1から第22の課題解決手段のいずれかにおいて、ミクロフィブリルセルロース層は、立体を平面で切断した場合に、平面とミクロフィブリルセルロース層との交わってできる領域がリング状に繋がる場合が存在し、交わってできる領域に囲まれるように立体と平面との交わった領域が存するものである。
第24の課題解決手段による成形体は、第1から第23の課題解決手段のいずれかにおいて、立体及びミクロフィブリルセルロース層のうち少なくとも一方に、熱可塑性の材料が添加されているものである。
第25の課題解決手段による成形体は、第1から第24の課題解決手段のいずれかにおいて、0.2mm以上の厚みを有し、ミクロフィブリルセルロース層に、ミクロフィブリルセルロースが65重量%以上99重量%以下含有するものである。
第2の課題解決手段の成形体によれば、セルロース繊維でできているため、使用後に解繊を行うことで、紙などのセルロース繊維からなる素材と共にリサイクルを行えるという効果がある。
第3の課題解決手段の成形体によれば、既存のパルプモールドの技術や設備を用いて成形体を製造することができ、製品化の期間及びコストを削減できるという効果がある。
第4の課題解決手段の成形体によれば、紙の持つ機械特性やコストパーフォーマンスを活用することができ、比較的軽量かつ安価な成形体を提供できるという効果がある。
第5の課題解決手段の成形体によれば、紙をバインダーに混ぜて発泡させることにより、紙を普通に積層する場合に比べ、成形性に優れた成形体を容易に提供できるという効果がある。
第6の課題解決手段の成形体によれば、リグノセルロース繊維を用いることで、セルロース繊維を用いる場合に比べて耐水性を向上させることができるという効果がある。
第7の課題解決手段の成形体によれば、リグノセルロース繊維を薄体にすることで、筒に巻く場合などは成形性が良くなるという効果がある。
第8の課題解決手段の成形体によれば、立体とミクロフィブリルセルロース層との間にある中間層で立体にもミクロフィブリルセルロース層にもない機能を付加でき、立体とミクロフィブリルセルロース層との間の結合を媒介でき、あるいは立体とミクロフィブリルセルロース層との間の絶縁に役立つという効果がある。
第9の課題解決手段の成形体によれば、透過した気体が立体に及ぼす影響、例えばミクロフィブリルセルロース層を透過した蒸気による立体内部での結露といった問題の発生を抑制できるという効果がある。
第10の課題解決手段の成形体によれば、第2の繊維状物質によりミクロフィブリルセルロースだけでは出にくい機能を付加することができるという効果がある。
第11の課題解決手段の成形体によれば、炭素繊維により柔軟性を持たせ、ミクロフィブリルセルロース層の脆さを緩和することができるという効果がある。
第12の課題解決手段の成形体によれば、ミクロフィブリル化されていないセルロース繊維、例えば解繊されただけの古紙を添加することにより、セルロース繊維同士であるため強度低下を抑えられ、安価にかつ比較的丈夫な成形体を提供できるという効果がある。
第13の課題解決手段の成形体によれば、機能物質により外部に対する影響力をコントロールすることができるという効果がある。
第14の課題解決手段の成形体によれば、油脂により撥水性を持つとともに外部の物質が成形体と摺動する際に摺動抵抗を下げるという効果がある。
第15の課題解決手段の成形体によれば、環境変化例えば、電界の変化や温度の変化や光量の変化などに対応する発光や変色により環境の変化を知らせ、あるいは環境を変化させて発光や変色を誘導して光学的機能を発揮させることができるという効果がある。
第16の課題解決手段の成形体によれば、立体中に添加された機能物質がミクロフィブリルセルロース層を介して外部に影響を与えるため、ミクロフィブリルセルロース層によって機能物質の機能の発現時間や程度を制御することができるという効果がある。
第17の課題解決手段の成形体によれば、ミクロフィブリルセルロース層が紙などに比べて緻密で隙間が少ないことから、香料の匂い方を抑え、長時間持続させることができるという効果がある。
第18の課題解決手段の成形体によれば、表面層により、ミクロフィブリルセルロース層を保護し、あるいはミクロフィブリルセルロース層にない風合いや色彩を付与することができるという効果がある。
第19の課題解決手段の成形体によれば、ミクロフィブリルセルロースでは実現できないような耐熱性や耐水性を、酸化シリコンの保護層により持たせることができるという効果がある。
第20の課題解決手段の成形体によれば、酸化シリコンによりミクロフィブリルセルロース層の硬度や耐水性を向上させることができるという効果がある。
第21の課題解決手段の成形体によれば、炭酸カルシウムによりミクロフィブリルセルロース層の硬度や耐水性を向上させることができるという効果がある。
第22の課題解決手段の成形体によれば、植物由来の材料及び動物由来の材料のうち少なくとも一方を用いてミクロフィブリルセルロース層を高機能化でき、石油由来の材料を削減できるという効果がある。
第23の課題解決手段の成形体によれば、ミクロフィブリルセルロース層は、コーティングにより収縮し、リング状に繋がる部分で立体に結合でき、接着剤などの解繊の妨げとなる物質を低減させて解繊を容易化できるという効果を奏する。
第24の課題解決手段の成形体によれば、熱可塑性の材料によりコーティング後に立体及びミクロフィブリルセルロース層のうち少なくとも一方の熱加工が可能になり、成形体の外形精度を向上させやすくなるという効果がある。
第25の課題解決手段の成形体によれば、ミクロフィブリルセルロース層が0.2mm以上あり、ミクロフィブリルセルロースを65重量%以上99重量%以下含有することから、高強度材料としての機能を十分発揮できるという効果がある。
以下、この発明の第1実施形態による成形体について図1を用いて説明する。図1は、ノートブック型パーソナルコンピュータの概観を示す斜視図である。ノートブック型パーソナルコンピュータ1は、主要部としては、筐体2に液晶パネル3とキーボード4が組み付けられた外観を呈する。液晶パネル3やキーボード4以外にもコンパクトディスクプレーヤーやフロッピィーディスクドライブ等が付属する場合があるが、本発明の主要部は筐体2であるので、他の付属物については図示及び説明を省略する。
日本においては、平成13年に「資源の有効な利用の促進に関する法律」が施行され、パーソナルコンピュータが指定省資源化製品及び指定再利用促進製品に指定されたのにともない、パーソナルコンピュータの製造において、リユース、リデュース、リサイクルに配慮した設計が求められることとなった。そのため、パーソナルコンピュータ1の筐体2も、リサイクル等に適したものでなければならず、回収してリサイクルできることが好ましい状況となっている。
図2は筐体2の構成を説明するための部分破断斜視図である。図3は図2の丸で囲まれた領域Aの拡大図である。筐体2の中心部には、解繊されたパルプを筐体2の概略の形状に沿って立体的に成形されたパルプモールド5が在る。パルプモールド5は、セルロース繊維の集合体であって、使用後回収してパルパーで離解可能に形成されている。このパルプモールド5は例えば紙粉を水中に分散し、水抜きの穴が多数形成された金型で成形することにより形成できる。
パルプモールド5の表面には、中間層として、酸化シリコンからなるガラス層6が、数μm〜数十μm形成される。ガラス層6は例えば特許第3020934号や特許第2880654号に記載されているゾルゲル法により形成することができる。一般に、ガラス層6は、後述するミクロフィブリルセルロース層よりも高いバリア性を備えており、パルプモールド5全体がガラス層6で覆われることにより水分や水蒸気などの侵入を防ぎ、筐体2の劣化を防止することができる。ゾルゲル法で、例えば金属アルコキシドを用いる場合など、加水分解でガラス層6を形成すると、ミクロフィブリルセルロース中の水分と反応させることによりミクロフィブリルセルロース層7とガラス層6との結合を密にすることができる。
ところで、中間層は、一種類の素材で形成するばかりでなく、複数種類の素材を混合したり積層したりして形成することも可能である。例えば、柿渋のようなタンニンをパルプモールド5の上に塗布・乾燥して水に不溶な層を形成した後、柿渋の層の上に酸化シリコンからなる層を形成することができる。このようにすると、柿渋の層がパルプモールド5の表面に緻密な層を形成するという性質を持つことから、ガラス層6をコーティングする際にコート液がパルプモールド5の内部に染み込んで解繊しにくくなるのを防止することができる。つまり、柿渋のような目止め効果のある下地と酸化シリコンのような機能性の上塗りとを組み合わせたものである。勿論、柿渋だけで中間層を形成することもできる。
ミクロフィブリルセルロース層7は、ガラス層6の上に形成される。しかし、ミクロフィブリルセルロース層7を直接パルプモールド5の表面に形成することもできる。また、パルプモールド5の形成時に同時にパルプモールド5の表面に直接ミクロフィブリルセルロース層7を形成することともできる。夫々の構成には一長一短があり、また中間層を入れるか否か中間層を入れないとした場合にパルプモールド5の上にどのようにミクロフィブリルセルロース層を形成するかなどの使い分けは、対象となる筐体2の用途に応じて行われる。
ミクロフィブリルセルロース層7は、例えば水にミクロフィブリルセルロース、つまりミクロフィブリル状のセルロース繊維が分散されている懸濁液、あるいは混合物を立体(パルプモールド5)の表面に着けて乾燥することにより形成される。あるいは、予め形成しておいたミクロフィブリルセルロース層7を貼り付けることによっても形成できる。水以外にもアルコールなどの水酸基を有する液体やそれらの混合液を用いることができるが、製造時の安全性から水を用いることが好ましい。ミクロフィブリルセルロースが水に数重量%含有されるだけで泥状の高粘度の懸濁液となり、10重量%を超えて含有される場合には液体というよりもむしろ紙粘土のようなゲル状の混合物になる。懸濁液の場合には塗布・乾燥し、混合物の場合には板状にして被せ型押しするか、予め型に入れて成形した物を表面に被せるなどして後に乾燥することで成形できる。ミクロフィブリルセルロースと水の混合物は、水分が50%以下になった状態でも収縮率が大きいことから、本実施形態のようにミクロフィブリルセルロース層7で立体の外側を覆う場合はよいが、内面に形成する場合には後から乾燥したのでは剥離する可能性がある。そこで、ミクロフィブリルセルロース層7を成形乾燥した後にミクロフィブリルセルロース層7を接着してもよい。あるいは立体に外側から内側に通じる貫通孔を開けておいてもよい。図4に貫通孔が形成されたパルプモールド5aと、その貫通孔の中まで浸入したガラス層6aとミクロフィブリルセルロース層7aと、それらを保護する保護層8aを有する場合を示す。
ミクロフィブリルセルロースの製造方法には、例えば特開平6−10286号公報、特開平7−310296号公報、特開平8−284090号公報、及び特開2002−194691号公報などに記載されている方法を用いることができる。
中間層を設ける場合に、例えばガラス層6を中間層として設けてもよい。ガラス層6を設けてその上にミクロフィブリルセルロースの懸濁液をコーティングする場合には、懸濁液がガラス層6に付着し難くなり、はじかれる場合があるので、予めガラス層6の表面にカップリング剤を塗布し、あるいは懸濁液に粘着性を付与するなどしておくことが好ましい。
ミクロフィブリルセルロース層7にバインダーを添加して、ミクロフィブリルセルロース層7と、中間層を介するのであれば中間層との層間剥離強度、パルプモールド5に直接形成するのであればパルプモールド5との層間剥離強度、後述する表面層との層間剥離強度あるいは、ミクロフィブリルセルロース層7自身の機械的強度を向上させることができる場合がある。
バインダーとしては、離解する妨げとならないために、水溶性高分子が好ましく、例えば合成高分子ではポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンなど、天然高分子では澱粉類やアルギン酸等の多糖類、ゼラチン、膠、カゼインがある。また、多糖類の誘導体も用いることができ、乾燥すると水溶性でなくなるものとして例えばタンニンなども用いることができる。
多糖類の誘導体の中にはヒドロキシプロピルセルロースなどの熱可塑性を有するものがあり、澱粉やその誘導体中にも熱可塑性を有するものがあり、このように熱可塑性のものを添加しておくことで、ミクロフィブリルセルロース層7を形成した後に熱加工により表面粗さを改善したり、形状修正をしたりすることが容易になる。
ミクロフィブリルセルロース層7に、バインダー以外の例えば炭素繊維(昭和電工株式会社製VGCF(登録商標))を分散させることにより、ミクロフィブリルセルロース層7の破断延びが改善される。VGCFとしては、例えば繊維径0.2μm、繊維長10〜20μmのものが用いられる。破断伸びが大きくなことにより例えば、外部からミクロフィブリルセルロース層7に大きな応力が加わったときにクラックが入り難くなるなどの改善が見られる。炭素繊維をミクロフィブリルセルロース層7の中に分散させる方法としては、例えばミクロフィブリルセルロースの懸濁液中に炭素繊維を分散してコーティング・乾燥させる方法や、あるいはミクロフィブリルセルロースと水の混合物中に炭素繊維を混ぜ込んで一緒に付着させ、乾燥させる方法がある。
添加剤の効果としては、成形体の機械的強度向上以外の効果を得ることもできる。
ミクロフィブリルセルロース層7に、ミクロフィブリル化されていないセルロース繊維を分散させてもよい。ミクロフィブリル化されていないセルロース繊維は、ミクロフィブリル化されているセルロース繊維に比べてセルロース繊維を得るために投入するエネルギーコストと製造時間を短縮できるので、ミクロフィブリル化されていないセルロース繊維を混ぜることにより成形体を低コストにて得られる。ミクロフィブリル化されていないセルロース繊維であってもセルロース繊維であることに変わりはなく、ミクロフィブリル化されていないセルロース繊維とミクロフィブリルセルロースとの間でも水素結合が行われるため、水素結合などの強い結合を行わないような例えばガラスファイバーを入れる場合に比べてミクロフィブリルセルロース層7の機械的強度低下を少なくできる。ミクロフィブリル化されていないセルロース繊維をミクロフィブリルセルロース層7に分散させる方法としては、先に説明した炭素繊維を分散させるのと同様に行うことができる。
ミクロフィブリル化されていないセルロース繊維をミクロフィブリルセルロース層7に分散させる場合、繊維長(粒径)の平均値が同じものを比べる場合、ミクロフィブリル化されていないセルロース繊維の粒度分布は広い範囲に平均的に分布している方が好ましい。例えば、古紙からミクロフィブリル化されていないセルロース繊維を得る場合に、解繊の方法や程度が異なる数種類の解繊品をブレンドして用いると、粒度分布には図5に示すようにミクロフィブリルセルロースのピーク以外に、ミクロフィブリル化されていないセルロース繊維のピークが2つ以上現れる。あるいは、図6に示すようにピーク付近の分布幅が広い粒度分布となる。この場合には、半値幅がピーク値の10%以上の値を有する粒度分布の幅の2/3より広いことが好ましい。粒度分布測定には、例えば株式会社堀場製作所製粒度分布測定装置LA−910を用いる。
ミクロフィブリルセルロース層7において、酸化シリコンとミクロフィブリルセルロースとを複合させてもよい。上述の説明で中間層としてガラス層6をゾルゲル法により形成することを説明したが、ゾルゲル法に用いられる溶液と同じ成分あるいは近い成分となるように、ミクロフィブリルセルロースの懸濁液を調整する。例えば、ミクロフィブリルセルロースが分散されている水を一部若しくは全部アルコールなどに置換する。そして、懸濁液中に金属アルコキシド等の材料を入れてゾルゲル法により酸化シリコンを形成しながら乾燥し、ミクロフィブリルセルロースと酸化シリコンの複合体をミクロフィブリルセルロース層7に形成する。この複合体により硬度や耐水性が向上する。ただし、耐水性を向上させる場合にはパルプモールド5の解繊の妨げとならないようミクロフィブリルセルロース層7の厚みを調整するなどの必要がある。ミクロフィブリルセルロースと酸化シリコンの複合により透明度が向上する場合もある。
また、ミクロフィブリルセルロース層7において、炭酸カルシウムとミクロフィブリルセルロースとを複合させてもよい。例えば、ミクロフィブリルセルロースの懸濁液や混合物中に水酸化カルシウムを溶かしておく。この懸濁液や混合物によりミクロフィブリルセルロース層7を形成するのであるが、二酸化炭素が存在する雰囲気中で懸濁液や混合物の攪拌又は混錬が行われるようにしてパルプモールド5の表面に付着させ、水酸化カルシウムを炭酸カルシウムに変化させて、ミクロフィブリルセルロースと炭酸カルシウムの複合をする。炭酸カルシウムとの複合により、硬度や耐水性を向上させることができる。
また、ミクロフィブリルセルロース層7に機能物質を添加してもよい。機能物質として例えば油脂を添加した場合、ミクロフィブリルセルロース層7に撥水作用や潤滑作用を持たせることができる。後述する保護層を設けない場合には筐体2の耐水性が向上し、取り扱い易くなる。油の添加は、ミクロフィブリルセルロースの懸濁液や混合物中において油を超音波等により水と混ぜて添加することで行うことができ、脂の添加は、例えば湯煎したものを超音波で細かくするなどして細かくなった脂を懸濁液や混合物中に混ぜ込むことにより行うことができる。ここでは筐体2に用いる場合を示したが、成形体を摺動部品としても用いることができ、その場合には摺動抵抗を下げられるという効果が期待できる。
油脂以外に金属石けんなどを用いても同様の効果が得られる。
また、ミクロフィブリルセルロース層7に、環境変化に対応して発光又は変色する物質を添加してもよい。発光する物質には、例えば電磁波の影響(環境変化)で発光する蛍光塗料やエレクトロルミネッセンス材料、変色する材料には、例えば温度や光や電磁波の影響(環境変化)で変色するサーモクロミズム材料、フォトクロミズム材料、エレクトロクロミズム材料などがある。これらのような機能物質が添加されたミクロフィブリルセルロース層7において、所定の環境変化例えば電界の変化によって所定の機能が発現し即ちエレクトロルミネッセンス材料が発光する。このようにミクロフィブリルセルロース層7が発光すれば電界の変化を検知でき、逆に積極的に電界を変化させてミクロフィブリルセルロース層7を発光させることもできる。ミクロフィブリルセルロース層7は、懸濁液や混合物から形成されるため、機能物質を添加し易く、紙などに比べて密度が高いため、機能物質を保持させ易い。
ミクロフィブリルセルロース層7の上に、酸化シリコンからなるガラス質の保護層8が形成されている。保護層8は必要に応じて設ければよいが、ノートブック型パーソナルコンピュータ1のように屋外において使用される機会が多いものには保護層を設けることが好ましい。保護層8はゾルゲル法によってコーティングされる。例えば、上述の中間層としてのガラス層6と同様の製造方法により製造される。
ここでは保護層8が酸化シリコンからなる場合について説明したが、他の物質で形成されてもよく、無機物・有機物のいずれであってもよく、例えばアルミニウムを薄く真空蒸着し、あるいは漆を塗るなどの方法で保護層を形成できるが、筐体2を粉砕してパルパーに入れた際に離解の妨げになり難いものであることが好ましい。
また、立体を構成しているパルプモールド5の中に外部に作用を及ぼす機能物質を添加してもよい。例えば、パルプモールド5に木の香りのする香料を染み込ませ、ノートブック型パーソナルコンピュータ1を使用する者に心地よさを感じさせることができる。香料を染み込ませたとき、ミクロフィブリルセルロース層7の構造が緻密で香料が揮発した際に少ししか通過させないため香りを持続させる効果がある。パルプモールド5には、香料以外の機能物質、例えば蛍光塗料や帯電防止剤や潤滑剤など成形体の使用用途に応じて適宜選択できる。
以上の説明では、成形体の用途をノートブック型パーソナルコンピュータ1の筐体2としたが、成形体の用途は上述のものに限られるものではなく、例えば旅行鞄、フィルム一体型のカメラのケース、自動車部品、家具、建設資材など様々な用途が存在する。従って、成形体の各要素は用途に適応するよう適宜組み合わせられるが、リサイクル性に優れることから回収される用途であることが好ましい。
なお、この明細書及び特許請求の範囲において立体には厚さ3mm以上の板が含まれるものとする。板になれば、2次元的な紙と異なり、用途としてそれ自身が立体的な成形体として使用可能であるからである。
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態による成形体について図7乃至図9を用いて説明する。図7は、第2実施形態による紙管の構成を示す斜視図である。図7に示す紙管10は、紙管原紙をスリットした紙テープ3(図8参照)を巻いて形成された素管11と、素管11上にコーティングされたミクロフィブリルセルロース層12とを備える。紙管原紙は、セルロース繊維を解繊可能に結合させたものである。紙管原紙自身は2次元の物体であるが、素管11に加工されることにより3次元の立体となる。
図8は素管11の一製造工程を示す工程図である。紙テープ13はマンドレルと呼ばれる鉄製円柱状の型14に添わせて成形される。つまり、接着剤が塗布された紙テープ13が型14に螺旋状に巻きつけられ、ベルト15によって型14の前方に向けて駆動されるため素管11は連続的に生産される。回転しながら連続的に型14の表面を前方に移動する素管11の上に、例えば後年度の懸濁液を押出し器15で押出してミクロフィブリルセルロースの懸濁液をコーティングする。懸濁液の濃度を調整し、又は添加するバインダーの濃度を調整して、コーティングに適した粘度を得る。素管11の回転速度を利用してミクロフィブリルセルロース層12の厚みが均一にできる粘度に調整する。
また、ミクロフィブリルセルロースの混合物を用いる場合には、素管11を所定の長さにカットして混合物をカットした素管11の周りに形成する。例えば、カットした素管11の中に芯を挿入して保持し、金型で素管11を挟んで金型に混合物を注入して成形した後金型を開いて乾燥する。
ミクロフィブリルセルロース層12の乾燥を行う場合は、素管11を回転させながら行う方が、ミクロフィブリルセルロース層12の厚みを均一にする上から好ましい。
紙管10において、十分な厚さ例えば0.2mm以上を有する場合には、ミクロフィブリルセルロース層12が乾燥により収縮する力によってミクロフィブリルセルロース層12が素管11を締め付けるため、接着剤がなくても素管11からミクロフィブリルセルロース層12が抜け落ちることはない。つまり、紙管10の中心軸に垂直な平面で紙管10を切断すると、その平面とミクロフィブリルセルロース層12とが交わってできる領域がリング状に繋がるため、交わってできる領域のミクロフィブリルセルロース層12が収縮するときに、交わってできる領域に囲まれた紙管10の領域が締め付けられる。このように接着剤はできるだけ使わない方がパルパーでの離解を容易にする。
上記の製造においてミクロフィブリルセルロース層12を形成する場合、ミクロフィブリルセルロースが水と交じり合っている状態であることから、素管11に単に懸濁液をコーティングしたり、混合物を成形したりしただけでは濃淡が生じ又は継ぎ目(隣接するミクロフィブリルセルロース層の繋がりが切れた状態が連続的に続いている状況)が形成されてしまう可能性が大きい。このような現象を防止するため、例えば超音波で振動する円筒状若しくは円環状の振動体17の中に未だ乾燥していないミクロフィブリルセルロース層12を通してミクロフィブリルセルロースの分散の均一化と絡み合いの強化を図る。それにより、乾燥後のミクロフィブリルセルロース層12の表面のうねりを小さくすると共に膜強度を強くすることができる。
さらに、上記のマンドレル上でのコーティングと金型による成形とを組み合わせて側面及び内面にもミクロフィブリルセルロース層を形成してもよい。また、内面のみにミクロフィブリルセルロース層を形成することもできる。例えば、図9に示すように、素管11の外周面を金型20内面に接するようにして保持し素管11の内周面側にミクロフィブリルセルロースの混合物を注入する。このとき、素管11内に心棒22をスペーサーとして挿入して支持体23で支持することで紙管10の内径を調整する。
以上のようにして形成された紙管10は、例えばテーブルの脚として使用することができる。
素管11とミクロフィブリルセルロース層12の間に中間層を設ける場合に、例えばガラス層を中間層として設けてもよいのは、第1実施形態と同様である。
ミクロフィブリルセルロース層12にバインダーを添加して、中間層を介するのであれば中間層との層間剥離強度、素管11に直接形成するのであれば素管11との層間剥離強度、後述する表面層との層間剥離強度あるいは、ミクロフィブリルセルロース層12自身の機械的強度を向上させることができる。
第1実施形態と同様、バインダーとしては、離解する妨げとなりないために、水溶性高分子が好ましく、例えば合成高分子ではポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンなど、天然高分子では澱粉類やアルギン酸等の多糖類、ゼラチン、膠、カゼインがある。また、多糖類の誘導体も用いることができ、乾燥すると水溶性でなくなるものとして例えばタンニンなども少量であれば用いることができる。
天然高分子や多糖類の誘導体は、植物由来又は動物由来の物質であるため石油資源を使用しないで済むことから好ましい材料である。
多糖類の誘導体の中にはヒドロキシプロピルセルロースなどの熱可塑性を有するものがあり、澱粉やその誘導体中にも熱可塑性を有するものがあり、このように熱可塑性のものを用いる場合も第1実施形態と同様に結果が得られる。
ミクロフィブリルセルロース層12に、バインダー以外の例えば炭素繊維(昭和電工株式会社製VGCF(登録商標))を分散させることにより、ミクロフィブリルセルロース層12の引張り破断伸びが改善されるのは、第1実施形態と同様である。破断伸びが向上する効果や炭素繊維の分散方法は第1実施形態と同様である。
添加剤の効果としては、成形体の機械的強度向上以外の効果を得ることもできる。
ミクロフィブリルセルロース層12に、ミクロフィブリル化されていないセルロース繊維を分散させてもよく、分散方法及び効果は第1実施形態と同様である。
ミクロフィブリル化されていないセルロース繊維をミクロフィブリルセルロース層12に分散させる場合、ミクロフィブリル化されていないセルロース繊維の粒度分布は広い範囲に平均的に分布している方が好ましく、その効果は第1実施形態で説明したものと同様である。
ミクロフィブリルセルロース層12において、酸化シリコンや炭酸カルシウムとミクロフィブリルセルロースとを複合させてもよく、複合する方法及び効果は第1実施形態と同様である。
また、ミクロフィブリルセルロース層12に機能物質を添加してもよい。
機能物質として例えば油脂を添加した場合、ミクロフィブリルセルロース層12に撥水作用を持たせることができる。テーブルの脚として使用する場合、例えば光沢を持たせ、インテリア装飾としてバリエーションを広げられる。第2実施形態の説明では、テーブルの脚に用いる場合を示したが、成形体を摺動部品としても用いることができ、その場合には油脂や金属石けんを添加することにより、摺動抵抗を下げられるという効果が期待できる。添加方法なども第1実施形態と同様に行える。
また、ミクロフィブリルセルロース層12に、環境変化に対応して発光又は変色する物質を添加してもよいのは、第1実施形態と同様である。
ミクロフィブリルセルロース層12の上に、酸化シリコンからなるガラス質の保護層を形成してもよく、第1実施形態で説明した効果を奏する。保護層の形成も第1実施形態で説明した方法と同様に行える。ここでは保護層が酸化シリコンからなる場合について説明したが、他の物質で形成されてもよく、無機物・有機物のいずれであってもよく、例えばアルミニウムを薄く真空蒸着し、あるいは漆を塗布するなどの方法で保護層を形成できるが、テーブルの脚を粉砕してパルパーに入れた際に離解の妨げになり難いものであることが好ましい。
また、立体を構成している素管11の中に外部に作用を及ぼす機能物質を添加してもよい。例えば、素管11に木の香りのする香料を染み込ませ、テーブルを使用する者に心地よさを感じさせることができる。香料を染み込ませたとき、ミクロフィブリルセルロース層7の構造が緻密で香料が揮発した際に少ししか通過させないため香りを持続させる効果がある。素管11には、香料以外の機能物質、例えば蛍光塗料や帯電防止剤や潤滑剤など成形体の使用用途に応じて適宜選択できる。
また、上記第2実施形態では、ミクロフィブリルセルロース層12を紙管10の外周面に形成する場合を示したが、紙管10の内周面に形成してもよい。その場合、素管に孔を開け、ミクロフィブリルセルロース層を内周面と外周面との間で連絡させてもよい。
以上の説明では、成形体の用途をテーブルの脚としたが、成形体の用途は上述のものに限られるものではなく、例えば容器、自動車部品、家具、建設資材など様々な用途が存在する。従って、成形体の各要素は用途に適応するよう適宜組み合わせられるが、リサイクル性に優れることから回収される用途であることが好ましい。
(第3実施形態)
次に、この発明の第3実施形態による成形体について説明する。第3実施形態による成形体は例えば第1実施形態の成形体と同様にノートブック型パーソナルコンピュータの筐体に適用することができる。第3実施形態の成形体により図1乃至図3に示すような筐体2を形成する場合、パルプモールド5に代えてパルプモールドと同じ形状の発泡体が筐体2の中心部に入る。
発泡体はセルロース繊維とバインダーを混ぜて解繊可能に成形されたものである。発泡体は例えば特許第3125351号公報に記載されているように形成する。例えば、古紙を解繊したセルロース繊維にバインダーとして澱粉を混ぜ発泡剤として過酸化水素を用い、イースト菌を触媒として発泡させる。これらの材料を金型内に入れて発泡させることにより室温で成形体を形成することができる。パルプモールド5に代えて上述の発泡体を用いてもパルパーの中で解繊することが可能であり、リサイクル性を有する。このような発泡体だけでは筐体として用いる場合に機械的強度や耐環境特性に問題が生じ易い。そこで、発泡体上に形成されるミクロフィブリルセルロース層をミクロフィブリルセルロースの含有量が65重量%以上99重量%以下となるようにしミクロフィブリルセルロース層を高強度材料と化して機械的強度を担わせる。ミクロフィブリルセルロース層の厚さは機械的強度を得るために0.2mm以上であることが好ましく、発泡体の表面が粗い場合には0.3mmい上が好ましく、さらに表面を研磨する等の後加工をする場合には0.5mm以上であることが好ましい。
なお、発泡体を形成する方法は前述の方法に限られず、発泡ビーズや他の発泡剤を用い他のバインダーにて行ってもよい。湿式であるか乾式であるかを問わないが、リサイクル性を持たせるために解繊できるものでなくてはならない。バインダーとしては熱可塑性であることが好ましく、例えば澱粉を用いる場合でも熱可塑性の澱粉であることが好ましく、ヒドロキシプロピルセルロースやポリビニルアルコールも熱可塑性でかつ水溶性であるので好ましい。
なお、中間層や表面層と設けてもよく、例えば酸化シリコンからなる層を設けてもよいのは第1実施形態と同様である。
また、発泡体やミクロフィブリルセルロース層に、外部に対して作用を及ぼす機能物質、油脂や環境に応じて発光又は変色する物や香料などを添加してもよいのは第1実施形態と同様である。同様に熱可塑性の材料やタンニン、多糖類及びそれらの誘導体を添加してもよい。
また、ミクロフィブリルセルロース層において、ミクロフィブリルセルロースと酸化シリコン及び炭酸カルシウムのうち少なくとも一方と複合してもよいのは第1実施形態と同様である。
また、ミクロフィブリルセルロース層が0.2mm以上であることが好ましく、紙のように表面の粗いものでは0.3mm以上であることが好ましく、加熱成形や研磨などの加工をする場合には0.5mm以上の厚さを有することが好ましく、ミクロフィブリルセルロースの含有量が65重量%以上99重量%以下であることが好ましいのは、第1実施形態も第2実施形態も第3実施形態と同様である。
上記第1実施形態から第3実施形態では、紙などのセルロース繊維にて立体を形成し、紙の離解プロセスを経て紙と同様にリサイクルできる態様について説明したが、古紙やダンボールなどのリサイクルプロセスを活用しなくとも独自のリサイクルプロセスを構築してリサイクルを行うことも可能である。
リサイクルプロセスを構築するのであれば、解繊可能な立体はセルロース繊維以外の繊維であってもかまわない。
例えば、リグノセルロース繊維、つまり木本植物から取れる木材や草本植物から取れる竹材等をリグニンとセルロースに分けることなく繊維状にして使用することもできる。例えば竹を繊維径の分布のメジアンが100〜200μm程度になるまで粉砕し、バインダーとして例えば澱粉を用いて直接立体的に成形し又は薄体に形成してから筒状に巻くなどして立体的に成形してもよい。
また、無機繊維やプラスチック繊維、例えば炭素繊維を用いてもよい。先に示したVGCF(登録商標)(炭素繊維)を例えばヒドロキシプロピルセルロースで結合して圧力を加えて固体化したものを用いることもできる。使用後には、水で溶かしてVGCFを再利用することができる。その際にミクロフィブリルセルロースは異物になるが、乾燥後はミクロフィブリルセルロースを水につけても比較的大きな粒子となることから分離することが可能である。
なお、中間層や表面層と設けてもよく、例えば酸化シリコンからなる層を設けてもよいのは第1実施形態と同様である。
また、立体やミクロフィブリルセルロース層に、外部に対して作用を及ぼす機能物質、油脂や環境に応じて発光又は変色する物や香料などを添加してもよいのは第1実施形態と同様である。同様に熱可塑性の材料やタンニン、多糖類及びそれらの誘導体を添加してもよい。
また、ミクロフィブリルセルロース層において、ミクロフィブリルセルロースと酸化シリコン及び炭酸カルシウムのうち少なくとも一方と複合してもよいのは第1実施形態と同様である。
また、ミクロフィブリルセルロース層が0.3mm以上、好ましくは0.5mm以上の厚さを有し、ミクロフィブリルセルロースの含有量が65重量%以上99重量%以下であることが好ましいのは、第3実施形態と同様である。
Claims (25)
- 第1の繊維状物質の集合体で解繊可能に形成された3次元的な構造を有する立体と、
前記立体の表面又は前記立体の内面にミクロフィブリルセルロースを含んでなるミクロフィブリルセルロース層とを備える成形体。 - 前記立体が、セルロース繊維を解繊可能に立体成形した物であることを特徴とする、請求項1記載の成形体。
- 前記立体成形した物が、パルプモールドであることを特徴とする、請求項2記載の成形体。
- 前記立体成形した物が、紙を型に添わせて立体的に成形したものであることを特徴とする、請求項2記載の成形体。
- 前記立体成形した物が、セルロース繊維とバインダーを混合して発泡させた発泡体であることを特徴とする、請求項2記載の成形体。
- 前記立体が、リグノセルロース繊維を解繊可能に立体成形した物であることを特徴とする、請求項1記載の成形体。
- 前記立体成形した物が、リグノセルロース繊維を解繊可能に結合してなる薄体を型に添わせて立体的に成形した物であることを特徴とする、請求項6記載の成形体。
- 前記立体の前記表面又は前記内面と前記ミクロフィブリルセルロース層との間に中間層をさらに備える、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の成形体。
- 前記中間層が、気体の透過度を抑制するバリア性を有することを特徴とする、請求項8記載の成形体。
- 前記ミクロフィブリルセルロース層に、第2の繊維状物質を含むことを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の成形体。
- 前記第2の繊維状物質が、炭素繊維であることを特徴とする、請求項10記載の成形体。
- 前記第2の繊維状物質が、ミクロフィブリル化されていないセルロース繊維であることを特徴とする、請求項10記載の成形体。
- 前記ミクロフィブリルセルロース層に、外部に作用を及ぼす機能物質が添加されていることを特徴とする、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の成形体。
- 前記機能物質が、油脂であることを特徴とする、請求項13記載の成形体。
- 前記機能物質が、環境変化に対応して、発光又は変色する物質であることを特徴する、請求項14記載の成形体。
- 前記立体中に、外部に作用を及ぼす機能物質が添加されていることを特徴とする、請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の成形体。
- 前記機能物質が、香料であることを特徴とする、請求項16記載の成形体。
- 前記ミクロフィブリルセルロース層の表面に、表面層をさらに備える、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の成形体。
- 前記表面層が、酸化シリコンからなる保護層であることを特徴とする、請求項18記載の成形体。
- 前記ミクロフィブリルセルロース層において、ミクロフィブリルセルロースと酸化シリコンが複合されていることを特徴とする、請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の成形体。
- 前記ミクロフィブリルセルロース層において、ミクロフィブリルセルロースと炭酸カルシウムが複合されていることを特徴とする、請求項1から請求項20のいずれか一項に記載の成形体。
- 前記ミクロフィブリルセルロース層に、植物由来の材料及び動物由来の材料のうち少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の成形体。
- 前記ミクロフィブリルセルロース層は、前記立体を平面で切断した場合に、前記平面と前記ミクロフィブリルセルロース層との交わってできる領域がリング状に繋がる場合が存在し、前記交わってできる領域に囲まれるように前記立体と前記平面との交わった領域が存することを特徴とする、請求項1から請求項22のいずれか一項に記載の成形体。
- 前記立体及び前記ミクロフィブリルセルロース層のうち少なくとも一方に、熱可塑性の材料が添加されていることを特徴とする、請求項1から請求項23のいずれか一項に記載の成形体。
- 前記ミクロフィブリルセルロース層は、0.2mm以上の厚みを有し、ミクロフィブリルセルロースが65重量%以上99重量%以下含有することを特徴とする、請求項1から請求項25のいずれか一項に記載の成形体。
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