JP2005095167A - 光学活性環状アミノ酸の製造方法 - Google Patents

光学活性環状アミノ酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 光学活性環状アミノ酸の安価な製造法を提供すること。
【解決手段】 下記一般式(I)
Figure 2005095167

(式中、Aは、鎖長が1〜6原子であり、硫黄原子、酸素原子および窒素原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を鎖中または末端に含んでいてもよく、かつ、
置換されていてもよいアルキル鎖を示す)で表される1位に二重結合をもつ環状アミノ酸に、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼまたはそれを含む細胞、同細胞の調製物もしくは同細胞を培養して得られた培養液を作用させて、下記一般式(II)
Figure 2005095167

(式中、Aは前記と同義である)で表されるL体環状アミノ酸を生成させる。
【選択図】 なし
















Description

本発明は、産業的に有用である光学活性環状アミノ酸の製造方法に関するものである。
環状アミノ酸の化学的製造方法としては、L-アゼチディン-2-カルボン酸(L-azetidine-2-carboxylic acid)の製法(非特許文献1、特許文献1)、ピペコリン酸(pipecolic acid)の製法(非特許文献2) 、4−および5−ヒドロキシピペコリン酸(hydroxypipecolic acid)の製法(非特許文献3)、 チアザンカルボン酸(1,4-thiazane-3-carboxylic acid)の製法(非特許文献4、5)、L−モルフォリンカルボン酸(L-3-Morpholine carboxylic acid)の製法(非特許文献6)、 S−アゼパン−2−カルボン酸((S)-azepane-2-carboxylic acid)の製法 (非特許文献7)などが知られていた。
生物化学的に環状アミノ酸をつくる方法としては、ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ(EC 1.5.1.2)を利用したL−リジン(L-lysine)からのL-ピペコリン酸(L-pipecolic acid)の製法(非特許文献8)、ピロリン−5−カルボン酸レダクターゼ(EC 1.5.1.2)を利用したL-オルニチン(L-ornithine)からのL-プロリン(L-Proline) の製法(非特許
文献9、10)、オルニチンシクロデアミナーゼによるL-オルニチンからのL-プロリンの製法(非特許文献11)、オルニチンシクロデアミナーゼによる各種ジアミノ酸(diamino
acid)からの各種環状アミノ酸の製法(特許文献2)などが知られていた。
一方、1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を還元する酵素としては、たとえば動物由来またはカビ由来のピロリン−2−カルボン酸還元酵素(pyrroline-2-carboxylate reductase : EC 1.5.1.1)がΔ-1-ピロリン-2-カルボン酸(Δ-1-pyrroline-2-carboxylic acid)、およびΔ-1-ピペリジン-2-カルボン酸(Δ-1-piperidine-2-carboxylic acid)を
還元しそれぞれプロリン、およびピペコリン酸が生成する事が知られていた(非特許文献12)。
また、D―リジンからΔ-1-ピペリジン-2-カルボン酸(Δ-1-piperidine-2-carboxylic acid)を中間体としてL−ピペコリン酸を生成するというシュードモナス(Pseudomonas)属細菌の代謝の報告があり、その中でピペリデイン-2-カルボン酸還元酵素(piperideine-2-carboxylate reductase : EC 1.5.1.21)が還元反応を行っているとの報告もある(非特許文献13)。
また、豚肝臓由来のケチミン還元酵素(ketimine-reducing enzyme : EC 1.5.1.25)が、S-アミノエチルシステイン ケチミン(S-aminoethylcysteine ketimine)、ランチオニ
ン ケチミン(lanthionine ketimine)、シスタチオニン ケチミン(cystathionine ketimine)を還元することが見いだされている(非特許文献14)。
しかしながら、Fujiiら(非特許文献8)により報告されていた方法はL-リジン(L-lysine)にL-lysine 6-aminotransferaseを用い中間体としてΔ-1-piperidine-6-carboxylic acidを生成せしめ、さらにそれに還元酵素を作用させL−ピペコリン酸(L-pipecolic acid)を得るものである。この方法は原料がL−リジンの場合しか対応できず、他の環状
アミノ酸の製造には適応できない。
また、Costilowら(非特許文献11)の報告はL-オルニチン(L-ornithine)にOrnithine Cyclaseを用いL−プロリン(L-Proline)を得るものであるが、これもプロリン以外の
生成物に関しては記載が無い。またDenisら(特許文献2)はOrnithine Cyclaseを用いL-ピペコリン酸(L-pipecolic acid)、L-チオモルフォリン-2-カルボン酸(L-Thiomorpholine-2-carboxylic acid)、5-ヒドロキシ−L−ピペコリン酸(5-hydroxy-L-pipecolic aci
d)等を得る方法を報告しているが収率や光学純度などの記載はない。
上記いずれの方法も、生成物の環状アミノ酸の光学純度は原料のアミノ酸の光学純度によるものであり、全くラセミ体の原料から高効率で光学活性環状アミノ酸は得られない。
一方、中間体として1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を経る方法は、原料にラセミ
体の環状アミノ酸や、ジアミノ酸を用いることが出来、工業的に有利である。
L−プロリン(L-Proline)およびL−ピペコリン酸(L-pipecolic acid)、L−チオモル
フィン(L-Thiomorphine)等に対応する酵素反応がそれぞれ確認されているが、いずれも酵素反応を生化学的に確認されているのみで、工業的な生産の例は知られていなかった。また、動物由来の酵素は非常に不安定だとの記載もありこれらの酵素を用いての実用化は困難であった。
US 5942630 WO 02/101003 Stephen Hanessian et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters (1999) vol.9, pp.1437-1442 Concepcion F Garcia et al., Tetrahydron Asymmetry (1995) vol.6, pp.2905-2906 Roland E.A. Callens, et al, Bull. Soc. Chim. Belg. (1982) vol.91, pp.713-723 T. Shiraiwa, et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., vol62, pp2382-2387 U. Larsson et al., Acta Chemica Scandinavica (1994) vol.48 pp517-525 Y. Kogami et al., Bull. Chem. Soc. Jpn (1987) vol.60, pp2963-2965 D. Seebach et al., Liebigs. Ann. Chem. (1989) pp.1215-1232 Tadashi Fujii et al., Bioscience Biotechnology Biochem (2002) vol.66, pp.1981-1984 Janet Kenklies et al., Microbiology (1999), vol.145, pp.819-826 Ralph N Costilow et al., Journal of Bacteriology (1969) vol.100, pp.662 Ralph N Costilow et al., Journal of Biological Chemistry (1971) vol.246, pp.6655-6660 Alton Meister et al., Journal of Biological Chemistry (1957) vol.229, pp.789-800 Cecil W Payton et al., Journal of Bacteriology (1982) vol.149, pp.864-871 Mirella Nardini et al., European Journal of Biochemistry (1988) vol.173, pp.689-694
酵素学的に安定な、1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を還元する酵素で、各種の基質に広く反応する酵素を単離し、その固定化酵素を用いるか、あるいは当該遺伝子を組み込んだ組み替え微生物を用いれば、上記問題は解決され、工業的に安価に光学活性環状アミノ酸を収率よく製造すると考えられる。
さらに、本発明は工業的に安価なジアミノ酸やラセミ体の環状アミノ酸から中間体として1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を得て、これを還元する酵素を用いることにより工業的に安価な各種光学活性環状アミノ酸の製造方法を提供する事を目的とした。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼが1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を還元し効率よく光学活性環状アミノ酸を生成する事を見いだした。また、1位に二重結合をもつ環状アミノ酸は、ラセミ体の環状アミノ酸、或いはジアミノ酸から対応する既知の酵素を用いて効率的に製造することができ、化学的に得ることもできる。よってこの1位に二重結合をもつ環状アミノ酸生成反応および立体選択的還元反応の組み合わせにより工業的に安価な光学活性環状アミノ酸を製造することができる。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
即ち、本発明によれば、以下のL体環状アミノ酸の製造法が提供される。
(1) 下記一般式(I)
Figure 2005095167
(式中、Aは、鎖長が1〜6原子であり、硫黄原子、酸素原子および窒素原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を鎖中または末端に含んでいてもよく、かつ、
置換されていてもよいアルキル鎖を示す)で表される1位に二重結合をもつ環状アミノ酸に、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼまたはそれを含む細胞、同細胞の調製物もしくは同細胞を培養して得られた培養液を作用させて、下記一般式(II)
Figure 2005095167
(式中、Aは前記と同義である)で表されるL体環状アミノ酸を生成させることを特徴とする、L体環状アミノ酸の製造方法。
(2) N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼが以下の(A)、(B)、または(C)に示すポリペプチドである、(1)に記載の製造方法:
(A)配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチド;
(B)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1から複数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチド;又は
(C)配列番号1で表されるアミノ酸配列と50%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチド;(3) N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼが以下の理化学的性質を有するN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼである、(1)に記載の製造方法:
(A)作用:NADPHおよび/又はNADHを補酵素としてピルビン酸とアルキルアミン又はジアルキルアミンからN−アルキル−L−アラニンを生成する;
(B)基質特異性:アルキルアミン又はジアルキルアミンに対して活性を示すがアンモニアには活性を示さない;
(C)フェニルピルビン酸とメチルアミンとを基質とした場合の至適pHが10付近;
及び、
(D)30℃で30分処理したときの酵素が安定であるpHが5〜10.5付近:
(4) N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼを含む細胞が、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼをコードするDNAで形質転換された細胞である、(1)に記載の製造方法。
(5) N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼをコードするDNAが以下の(A)、(B)または(C)に示すタンパク質をコードするDNAである、(4)に記載の製造方法:
(A)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、または
(B)配列番号1に記載のアミノ酸配列と50%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
(C)配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が置換、欠失もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
(6) N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼをコードするDNAが以下の(D)、(E)または(F)に示すDNAである、(4)のいずれかに記載の製造方法:
(D)配列番号2に記載の塩基配列を有するDNA、または
(E)配列番号2に記載の塩基配列またはその相補配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(F)配列番号2に記載の塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失もしくは
付加された塩基配列及びその相補鎖からなり、かつN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(7) 前記一般式(I)および(II)で表される化合物において、Aが炭素数1〜4の直鎖状のアルキル鎖であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか一項に記載の方法。
(8) 前記一般式(I)および(II)で表される化合物において、Aが、−CHOHCH2−、−CH2CHOHCH2−、−SCH2−、−SC24−、−SC36−、−OCH2−、−OC24−、−OC36−、−NHCH2−、−NHC24−、−NHC36−、−NHCH2CHCOOH−、−C24NHCO−、−C24NHCN−、−C24CH
COOH−、−SCH2CHCOOH−、−SC24CHCOOH−、−C36NHCH2CHCOOH−、−NHCHCOOHCH2−、および−CH2NHCHCOOHC24−よりなるから選ばれるヘテロ原子を含むアルキル鎖であることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法。
(9) 前記一般式(I)および(II)で表される化合物において、Aが好ましくは、炭素数2〜4の直鎖状のアルキル鎖(-C24-、−C36-、-C48-)、-CHOHCH2-、-C24CHOHCH2-、-SCH2-、-SC24-、-SC36-、-OC24-、よりなる群から選ばれるヘテロ原子を含むアルキル鎖であることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法。
(10) 下記一般式(III)
Figure 2005095167
(式中、Aは前記と同義である)で表される鎖状のα,ω−ジアミノ酸に、ジアミノ酸のα位のアミノ基をケト基に変換しαケト酸を生成することのできる酵素を反応させ、上記一般式(I)で表される1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を生成させた後、得られた1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を、(1)〜(9)のいずれか一項に記載の方法により、上記一般式(II)で表されるL体環状アミノ酸を生成させることを特徴とする、L体環状アミノ酸の製造方法。
(11) ジアミノ酸のα位のアミノ基をケト基に変換しαケト酸を生成することのできる酵素が、D−アミノ酸オキシダーゼ、L−アミノ酸オキシダーゼ、D−アミノ酸デヒドロゲナーゼ、L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ、D−アミノ酸トランスフェラーゼ、および、L−アミノ酸トランスフェラーゼよりなる群から選ばれる酵素である(10)に記載のL体環状アミノ酸の製造方法。
(12) 下記一般式(IV)
Figure 2005095167
(式中、Aは前記と同義である)で表される環状アミノ酸に、1位のアミノ基を酸化できる酵素を作用させ、上記一般式(I)で表される1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を生成させた後、得られた1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を、(1)〜(9)のいずれか一項に記載の方法により、上記一般式(II)で表されるL体環状アミノ酸を生成させることを特徴とする、L体環状アミノ酸の製造方法。
(13) 環状アミノ酸の1位のアミノ基を酸化し、1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を生成することのできる酵素が、D−アミノ酸オキシダーゼ、D−アミノ酸デヒドロゲナーゼ、およびD−アミノ酸トランスフェラーゼよりなる群から選ばれる酵素である(12)に記載のL体環状アミノ酸の製造方法。
(14)下記化学式に示す環状アミノ酸[1,4] チアゼパン−3−カルボン酸([1,4]t
hiazepane-3-carboxylic acid)。
Figure 2005095167
本発明は、工業的に安価なジアミノ酸やラセミ体の環状アミノ酸から、中間体として1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を得て、これをN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼを用いて還元することにより工業的に安価で、高純度な各種光学活性環状アミノ酸製造方法を提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
前記一般式(I)、(II)、(III)および(IV)において、Aの定義中の原子及び基を具体的に説明する。
本発明において、アルキル鎖としては、例えば、−CH2−、−C24−、−C36
、−C23CH3−、−C48−、−C35CH3−、−CH2CHCH3CH2−、−C510−、−C47CH3−、−C24CHCH3CH2−、−CH2CHCH324−、−C
2C(CH3) 2CH2−、−C612−等の炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖アルキル鎖が挙げられる。これらの中で、5員環〜7員環の環状アミノ酸を形成することができる炭素数2〜4の直鎖状のアルキル鎖が好ましく、特に炭素数2の場合はL−プロリン(Proline)、
などの5員環アミノ酸、炭素数3の場合はL−ピペコリン酸(pipecolic acid)などの6員環アミノ酸を形成し、炭素数4の場合はアゼパン−2−カルボン酸(azepane-2-carboxylic acid)などの7員環アミノ酸を形成し、特に好ましい。これら化合物の化学式を次に
示す。
Figure 2005095167
また、上記のアルキル鎖中には硫黄原子、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子を鎖中又は末端に含んでいてもよく、これらへテロ原子を含むアルキル鎖により複素環を形成することができる。アルキル鎖中に含まれる硫黄原子、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子は複数種または複数個含まれていてもよく、含まれるヘテロ原子の数としては、1〜3個が好ましい。ヘテロ原子を含むアルキル鎖としては、例えば−CHOHCH2−、−CH2CHOHCH2−、−SCH2−、−SC24−、−SC36−、−OCH2−、−OC24
−、−OC36−、−NHCH2−、−NHC24−、−NHC36−、−NHCH2CHCOOH−、−C24NHCO−、−C24NHCN−、−C24CHCOOH−、−SCH2CHCOOH−、−SC24CHCOOH−、−C36NHCH2CHCOOH−、−NHCHCOOHCH2−、および−CH2NHCHCOOHC24−などが挙げられる。
Aが、硫黄原子を含むアルキル鎖の場合、光学活性環状アミノ酸としては、チオプロリン、3−チオモルフォリンカルボン酸、[1,4] チアゼパン−3−カルボン酸([1,4]thiazepane-3-carboxylic acid)等が挙げられる。Aが、酸素原子を含むアルキル鎖の場合、
光学活性アミノ酸としては、4−オキザゾリジンカルボン酸、3−モルフォリンカルボン酸等が挙げられる。Aが、窒素原子を複数含むアルキル鎖の場合、光学活性環状アミノ酸としては、ピペラジン−2−カルボン酸、が挙げられる。これら化合物の化学式を次に示す。
Figure 2005095167
また、上記アルキル鎖または、へテロ原子を含むアルキル鎖の置換基としては、 反応に悪影響を与えない基であれば特に限定はないが、具体的には、アルキル基、 アリール基、アルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン基、シアノ基、アミノ基、 ニトロ基及びヒドロキシル基等が挙げられる。置換基を含む環状アミノ酸としては 例えばヒドロキシプロリン(hydroxyproline)、ヒドロキシピペコリン酸等があげら れる。これらの化学式を次に示す。
Figure 2005095167
次に、本発明でいうN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼとは、例えばシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)ATCC12633株由来のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼに代表される様に還元型ニコチンアミドアデニンヌクレオチド(NADH)または還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)(以下、両者をまとめて「NAD(P)H」と略記することがある)を補酵素としてピルビン酸、フェニルピルビン酸等のαケト酸にメチルアミンを付加させてN−メチル−L−アラニン、N−メチル−L−フェニルアラニン等のN−メチル−L−アミノ酸を生成する酵素である(下記反応式参照)。
Figure 2005095167
本発明で用いるN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼとしては以下の理化学的性質を有するものを挙げることができる。
(A)作用:NADPHおよび/又はNADHを補酵素としてピルビン酸とアルキルアミン又はジアルキルアミンからN−アルキル−L−アラニンを生成する;
(B)基質特異性:アルキルアミン又はジアルキルアミンに対して活性を示すがアンモニアには活性を示さない;
(C)フェニルピルビン酸とメチルアミンとを基質とした場合の至適pHが10付近;及び、
(D)30℃で30分処理したときの酵素が安定であるpHが5〜10.5付近:
本発明のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼは、例えば、フェニルピルビン酸のようなジカルボニル基含有化合物と、NADPHおよび/又はNADHの存在下で、アンモニア、アルキルアミン及びジアルキルアミンを反応させ、反応性生物を解析して、デヒドロゲナーゼ活性の有無とその程度を検出するスクリーニングを行うことにより、取得することができる。
スクリーニングに当たっては、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性を有する微生物の培養物から増殖菌体、該菌体破砕物、又はこれから通常の操作により単離した粗酵素又は精製酵素を用いることができる。
加えて、酵素の安定なpHが5〜10.5付近である上で、至適pHが10付近となるといった特性を有することが上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼの特性である。
上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼは、例えば、シュードモナス・プチダに属する微生物、特に好ましくは、シュードモナス・プチダATCC12633株より単離することができる。
上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼの具体例としては、配列番号1に記載のアミノ酸配列で表されるポリペプチド、並びにそのホモログであってN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するものが挙げられる。
配列番号1に記載のアミノ酸配列で示されるN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼの性質としては、上記(A)〜(D)で示される性質の他に以下のような特性も示す。
(E)Superose 12HR10/30(アマシャムバイオサイエンス社製)を用いたゲル濾過法分析により測定される分子量が約80〜93キロダルトンであり、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動において、少なくとも約36キロダルトンと推定されるポリペプチドのバンドを示す。
(F)フェニルピルビン酸とメチルアミンを基質とした場合の活性測定による至適温度は35℃付近である。
(G)至適pH(フェニルピルビン酸とメチルアミンとを基質とした場合=pH10)において30分処理したときの熱安定性は、約30℃未満である。
(H)ピルビン酸だけでなく、少なくとも2−ケトヘキサン酸、フェニルピルビン酸、2−オキソ酪酸、β―フルオロピルビン酸、2−ケト−n−吉草酸にも活性を示す。
(I)0.01mMの塩化水銀(HgCl2)及び0.01mMの塩化銅(CuCl2)といった2価の重金属によって活性が阻害される。
上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼのホモログとしては、 配列番号1 で表されるアミノ酸配列において1から複数個(好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜15個、さらに好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜7個、特に好ましくは1〜5個程度)のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチド;又は
配列番号1で表されるアミノ酸配列と50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上の相同性を有し、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチド;が挙げられる。
尚、上記ポリペプチドのホモロジー検索は、例えば、DNA Databank of JAPAN(DDBJ)を
対象に、FASTA programやBLAST programなどを用いて行うことができる。
また、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性とは、NAD(P)H等を酸化還元反応に関する補酵素として、ピルビン酸、フェニルピルビン酸等のαケト酸にメチルアミンを付加させて、N−メチル−L−アラニン、N−メチル−L−フェニルアラニン等のN−メチル−L−アミノ酸を合成する活性をいう。
上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼの取得方法としては、上述したようN−メチル−L−アミノ酸にデヒドロゲナーゼ活性を有する微生物の培養物から単離・精製する方法のほか、後述するように上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼのアミノ酸配列の一部又は全部をコードする塩基配列を元にして作成したプローブを用いることにより、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性を有する任意の微生物からN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼをコードするDNAを単離した後、それを元に遺伝子工学的手法を用いて得ることができる。
あるいは、上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼは、Fmoc法(フルオレニ
ルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)等の化学合成法によっても製造することができる。また、桑和貿易(米国Advanced Chem Tech社製)、パーキンエルマージャバン(米国Perkin Elmer社製)、アマシャムファルマシアバイオテク(Amersham Pharmacia Biotech社製)、アロカ(米国Protein Technology Instrument社製)、クラ
ボウ(米国Synthecell-Vega社製)、日本パーセプティブ・リミテッド(米国PerSeptive社製)、島津製作所等のペプチド合成機を利用して化学合成することもできる。
本発明の製造方法において、1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を還元する際に用いる細胞としては、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼを持つ微生物であればいずれを用いても構わない。望ましくはN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼをコードするDNAで形質転換した微生物がよい。
上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼをコードするDNAとしては、例えば、配列番号2で表される塩基配列を含むものが挙げられる。
上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼをコードするDNAのホモログとしては、配列番号2で表される塩基配列において1から複数個(好ましくは1〜60個、より好ましくは1〜30個、さらに好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、特に好ましくは1〜5個程度)の塩基が欠失、置換及び/又は付加された塩基配列を有し、デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA、又は、配列番号2で表される塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAが
挙げられる。
当業者であれば、配列番号2に記載のDNAに部位特異的変異導入法(Nucleic
Acid Res.10,pp.6487(1982)、Methods in Enzymol.100,pp.448(1983)、Molecular Cloning
2nd Edt.、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)(以下、"モレキュラークローニング第2版" と略す)、PCR − A Practical Approach IRL Press pp.200(1991))等を用いて適宜置換、欠失、挿入及び/または付加変異を導入することにより所望のホモログを得ることが可能である。
本明細書において「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA」とは、DNAをプローブとして使用し、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法、あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるDNAの塩基配列を意味し、例えば、コロニーあるいはプラーク由来のDNAまたは該DNAの断片を固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2×SSC溶液(1×SSCの組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるDNA等を挙げることができる。
ハイブリダイゼーションは、モレキュラークローニング第2版等に記載されている方法に準じて行うことができる。
上記したDNAのホモログとしては、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドと60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上の相同性を有し、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするものが挙げられる。
上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼをコードするDNAは、例えば、以下のような方法によって単離することができる。
まず、上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼを精製後、N末端アミノ酸配列を解析し、さらに、染色体DNAからPCR法を用いたクローニング等の通常の遺伝子工学的解析手法を用いて、目的とするN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子を単離し、その塩基配列を解析することができる。また、本発明により、その塩基配列が明らかになったため、当該塩基配列を元にプライマーを設定し、目的とする遺伝子をクローニングすることもできるし、DNA合成装置により合成することもできる。
上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼをコードするDNAは、後述するとおり、公知の発現ベクターに挿入することにより、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ発現ベクターを提供することができる。また、この発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養することにより、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼを該形質転換体から得ることができる。
上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼをコードするDNAを発現させるための形質転換の対象となる微生物としては、宿主自体が本反応に悪影響を与えない限り特に限定されることはなく、具体的には以下に示すような微生物を挙げることができる。
エシェリヒア(Escherichia)属、バチルス(Bacillus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、セラチア(Serratia)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属など宿主ベクター系の開発されている細菌;
ロドコッカス(Rhodococcus)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属など宿主ベクタ
ー系の開発されている放線菌;
サッカロマイセス(Saccharomyces)属、クライベロマイセス(Kluyveromyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属、ピキア(Pichia)属、キャンディダ(Candida)属などの宿主ベクター系の開発されている酵母;
ノイロスポラ(Neurospora)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、セファロスポリウム(Cephalosporium)属、トリコデルマ(Trichoderma)属などの宿主ベクター系の開発されているカビ。
上記微生物の中で宿主として好ましくは、エシェリヒア(Escherichia)属、バチルス(Bacillus)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属であり、特に好ましくは、エシェリヒア(Escherichia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属である。
形質転換体の作製のための手順および宿主に適合した組み換えベクターの構築は、分子生物学、生物工学、遺伝子工学の分野において慣用されている技術に準じて行うことができる(例えば、モレキュラークローニング第2版などを参照)。
具体的には、微生物等の細胞中において安定に存在するプラスミドベクターやファージベクター中に上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼをコードするDNAを導入するか、もしくは、上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼをコードするDNAを染色体上に組み込むことによって直接宿主ゲノム中に導入することにより細胞に形質転換し、そのDNAを細胞中で発現させることができる。
このとき、プロモーターを本発明のDNA鎖の5'−側上流に、より好ましくはターミ
ネーターを3'−側下流にそれぞれ組み込むことが好ましい。本発明で用いることができ
るプロモーター及びターミネーターとしては、宿主として利用する微生物中において機能することが知られているプロモーター及びターミネーターであれば特に限定されず、これら各種微生物において利用可能なベクター、プロモーター及びターミネーターなどに関しては、例えば「微生物学基礎講座8遺伝子工学・共立出版」、特に酵母に関しては、Adv.
Biochem. Eng. 43, 75-102 (1990)、Yeast 8, 423-488(1992)、などに詳細に記述されている。
具体的には、例えばエシェリヒア属、特に大腸菌エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)においては、プラスミドベクターとしては、pBR、pUC系プラスミドが挙げられ、lac(β-ガラクトシダーゼ)、trp(トリプトファンオペロン)、tac、 trc (lac、trpの融合)、λ ファージ PL、PRなどに由来するプロモーターなどが挙げられる。また、ターミネータ
ーとしては、trpA由来、ファージ由来、rrnBリボソーマルRNA由来のターミネーターなどが挙げられる。
バチルス属においては、ベクターとしては、pUB110系プラスミド、pC194系プラスミド
などを挙げることができ、また、染色体にインテグレートすることもできる。プロモーター及びターミネーターとしては、アルカリプロテアーゼ、中性プロテアーゼ、α−アミラーゼ等の酵素遺伝子のプロモーターやターミネーターなどが利用できる。
シュードモナス属においては、ベクターとしては、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)などで開発されている一
般的な宿主ベクター系や、トルエン化合物の分解に関与するプラスミドTOLプラスミドを
基本にした広宿主域ベクター(RSF1010などに由来する自律的複製に必要な遺伝子を含む
)pKT240を挙げることができる。
ブレビバクテリウム属、特にブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)においては、ベクターとしては、pAJ43(Gene 39, 281 (1985))など
のプラスミドベクターを挙げることができる。プロモーター及びターミネーターとしては、大腸菌で使用されている各種プロモーター及びターミネーターが利用可能である。
コリネバクテリウム属、特にコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)においては、ベクターとしては、pCS11(特開昭57-183799号公報)、pCB101(Mol. Gen. Genet. 196, 175 (1984)などのプラスミドベクターが挙げられる。
サッカロマイセス(Saccharomyces)属、特にサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae) においては、ベクターとしては、YRp系、YEp系、YCp系、YIp系プラス
ミドが挙げられる。また、アルコール脱水素酵素、グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素、酸性フォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ホスホグリセレートキナーゼ、エノラーゼといった各種酵素遺伝子のプロモーター、ターミネーターが利用可能である。
シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属においては、ベクターとしては、Mol. Cell. Biol. 6, 80 (1986)に記載のシゾサッカロマイセス・ポンベ由来のプラスミドベクターを挙げることができる。特に、pAUR224は、宝酒造から市販されており容易に利用で
きる。
アスペルギルス(Aspergillus)属においては、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger) 、アスペルギルス・オリジー (Aspergillus oryzae) などがカビの中で最もよく研
究されており、プラスミドや染色体へのインテグレーションが利用可能であり、菌体外プロテアーゼやアミラーゼ由来のプロモーターが利用可能である(Trends in Biotechnology 7, 283-287 (1989))。
また、上記以外でも、各種微生物に応じた宿主ベクター系が開発されており、それらを適宜使用することができる。
また、微生物以外でも、植物、動物において様々な宿主・ベクター系が開発されており、特に蚕を用いた昆虫(Nature 315, 592-594 (1985))や菜種、トウモロコシ、ジャガイモなどの植物中に大量に異種タンパク質を発現させる系及び大腸菌無細胞抽出液や小麦胚芽などの無細胞タンパク質合成系を用いた系が開発されており、好適に利用できる。
上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼをコードするDNAを有する形質転換体を培養し、培養物から公知の方法で上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼを単離精製することができる。
上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼをコードするDNAを有する形質転換体を培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
本発明で用いる形質転換体が大腸菌等の原核生物、酵母菌等の真核生物である場合、これら微生物を培養する培地は、該微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれでもよい。培養は、振盪培養または深部通気撹拌培養などの好気的条件下で行うことが好ましく、培養温度は通常15〜40℃であり、培養時間は、通常16時間〜7日間である。培養中pHは、3.0〜9.0に保持する。pHの調整は、無機あるいは有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニアなどを用いて行う。また培養中必要に応じて、アンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
動物細胞を宿主細胞として得られた形質転換体を培養する培地としては、一般に使用されているRPM11640培地〔The Journal of the American Medical Association,199,519(1967)〕、EagleのMEM培地〔Science, 122, 501(1952)〕、DMEM培地〔Virology, 8, 396(195
9)〕、199培地〔Proceeding of the Society for the Biological Medicine, 73, 1(1950)〕またはこれら培地に牛胎児血清等を添加した培地等が用いられる。培養は、通常pH
6〜8、30〜40℃、5%CO2存在下等の条件下で1〜7日間行う。また、培養中必
要に応じて、カナマイシン、ペニシリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
形質転換体の培養物から、上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼを単離精製するには、通常のタンパク質の単離、精製法を用いればよい。
例えば、上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼが、細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後、細胞を遠心分離により回収し水系緩衝液に懸濁後、超音波破砕機、フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザー、ダイノミル等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られた上清から、通常のタンパク質の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)セファロース、DIAION HPA-75(三菱化学社製)等レジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、S-Sepharose FF(ファルマシア社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロー
ス、フェニルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィ一法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合わせて用い、精製標品を得ることができる。
また、上記のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼが細胞内に不溶体を形成して発現した場合は、同様に細胞を回収後破砕し、遠心分離を行うことにより得られた沈殿画分より、通常の方法により該N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼを回収後、該N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼの不溶体をタンパク質変性剤で可溶化する。該可溶化液を、タンパク質変性剤を含まないあるいはタンパク質変性剤の濃度がN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼが変性しない程度に希薄な溶液に希釈、あるいは透析し、該N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼを正常な立体構造に構成させた後、上記と同様の単離精製法により精製標品を得ることができる。
形質転換体を作用させるに当たっては、該形質転換体をそのまま、該形質転換体をアセトン、DMSO、トルエン等の有機溶媒や界面活性剤により処理したもの、凍結乾燥処理したもの、物理的または酵素的に破砕したもの等の菌体処理物、該形質転換体中の本発明の酵素画分を粗製物あるいは精製物として取り出したもの、さらには、これらをポリアクリルアミドゲル、カラギーナンゲル等に代表される担体に固定化したものを用いることができる。
N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼを用いて還元すべき、環状アミノ酸生成反応の基質である下記一般式(I)
Figure 2005095167
(式中、Aは前記と同義である)で表される1位に二重結合をもつ環状アミノ酸は、いかなる手段によって製造されたものも使用することが出来る。
たとえば対応するジアミノ酸やラセミ体の環状アミノ酸から生物学的、あるいは化学的
に導くことが出来る。
ジアミノ酸から導く場合、下記反応式のとおり、ジアミノ酸のα位のアミノ基をケト基に変換しαケト酸が生成させれば、該αケト酸は非酵素的脱水閉環が起こり1位に二重結合をもつ環状アミノ酸となる。なお、下記反応式中、Aは前記と同義である。
Figure 2005095167
通常、該αケト酸と1位に二重結合をもつ環状アミノ酸は水溶液中で平衡混合物として存在するので、これらのものは等価のものと見なされる。すなわち、本発明の反応系中には1位に二重結合をもつ環状アミノ酸そのもの、あるいは該αケト酸と1位に二重結合をもつ環状アミノ酸の混合物、あるいは該αケト酸を添加、あるいは含有することが出来、これらいずれの態様も本発明に包含される。
上記反応を触媒するものとしては、ジアミノ酸のα位のアミノ基をケト基に変換しαケト酸が生成する事の出来る触媒であれば特に限られないが、具体的にはアミノ酸オキシダーゼ(D-amino acid oxidase, L-amino acid oxidase)、アミノ酸デヒドロゲナーゼ(D-amino acid dehydrogenase, L-amino acid dehydrogenase)やアミノ酸トランスフェラーゼ(D-amino acid aminotransferase, L-amino acid aminotransferase)などの酵素があげられる。
これらの中で、基質特異性の広い酵素が好ましい。具体的にはEnzyme and Microbial Technology vol.31(2002) p77-87に記載されているL−アミノ酸オキシダーゼ、シグマ社
製のD−アミノ酸オキシダーゼなどがあげられる。
用いられるアミノ酸オキシダーゼ、アミノ酸デヒドロゲナーゼやアミノ酸トランスフェラーゼは、ジアミノ酸にのみ反応するものであり、かつ本反応で用いられる補酵素に対応するものを使用できると補酵素の再生システムの代替ともなり好ましい。すなわち、本反応の還元反応において、補酵素としてNAD(P)Hを用いた場合、NAD(P)Hは本反応の還元化に伴い酸化型ニコチンアミドアデニンヌクレオチド(NAD+)または酸化
型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+)(両者をまとめて「NA
D(P)+」と略記することがある)となるが、一方で、ジアミノ酸類から1位に二重結
合をもつ環状アミノ酸を製造するに当たり、このNAD(P)+を利用してNAD(P)
Hへ変換することとなる。
またラセミ体の環状アミノ酸化合物から1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を導く場合、最終的に生成する光学活性環状アミノ酸と光学活性が異なる環状アミノ酸を選択的に酸化し1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を生成する反応を用いるか、あるいは全てを1位に二重結合をもつ環状アミノ酸に導く反応を用いる事ができる。
すなわち下記反応式に説明されるように所望の光学活性環状アミノ酸すなわちL体の環状アミノ酸はそのままに残し、所望とは反対の光学活性体すなわちD体を1位に二重結合をもつ環状アミノ酸に変換しこれを本発明のN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼを用いて還元する方法、あるいは全てを1位に二重結合をもつ環状アミノ酸に変換させた後にそれを単離して次の還元反応に用いることも出来る。なお、下記反応中、Aは前記と同義である。
Figure 2005095167
D体の光学活性体を1位に二重結合をもつ環状アミノ酸に変換する触媒としては、その活性を有するものであれば特に限定はされないが、酵素が好ましく用いられる。酵素としては、例えばD−アミノ酸オキシダーゼ(D-amino acid oxidase)、 D−アミノ酸デヒ
ドロゲナーゼ(D-amino acid dehydrogenase)、D−アミノ酸アミノトランスフェラーゼ(D-amino acid aminotransferase)などが挙げられる。
これらの中で、は基質特異性の広い酵素が好ましい。具体的にはシグマ社製のD−アミノ酸オキシダーゼなどがあげられる。
用いられるアミノ酸オキシダーゼ、アミノ酸デヒドロゲナーゼやアミノ酸トランスフェラーゼは、D体の光学活性体を1位に二重結合をもつ環状アミノ酸にのみ反応するものであり、かつ本反応で用いられる補酵素に対応するものを使用できると補酵素の再生システムの代替ともなり好ましい。すなわち、本反応の還元反応において、補酵素としてNAD(P)Hを用いた場合、NAD(P)Hは本反応の還元化に伴いNAD(P)+となるが
、一方で、所望とは反対の光学活性体を1位に二重結合をもつ環状アミノ酸から1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を製造するに当たり、このNAD(P)+を利用してNAD(
P)Hへ変換することとなる。
また1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を得るために各種アミノ酸オキシダーゼを用いる場合、該反応に伴い過酸化水素が生成され、それが酵素活性の低下など反応に悪影響を及ぼすことが考えられるので、過酸化水素を除去するために別の酵素を組み合わせることも望ましい。過酸化水素を除去する酵素としては、過酸化水素に反応する酵素であれば特に限定はされないが、具体的にはカタラーゼやパーオキシダーゼが好ましい。添加量としては生成する過酸化水素が効率よく除去される範囲であれば限定はされないが、具体的には該オキシダーゼに対し0.1〜100万倍活性、好ましくは1〜10万倍活性の範囲で用いられる。
さらにオキシダーゼを用いる場合、補酵素のフラビンアデニンジヌクレチド(FAD)をさらに追加することにより活性を高めることも出来る。添加濃度は反応液中に0.00001〜100ミリモル濃度、好ましくは0.001〜10ミリモル濃度の範囲で用いられる。
本発明の製造方法において、反応基質となる1位に二重結合をもつ環状アミノ酸の反応液中の濃度は、通常、0.0001〜90%w/v、好ましくは0.01〜30%w/vの範囲である。これらは、反応開始時に一括して添加してもよいが、酵素の基質阻害があった場合の影響を減らすと言う点や生成物の蓄積濃度を向上させるという観点からすると、連続的もしくは間欠的に添加することが望ましい。
反応基質をジアミノ酸類とする場合は、通常、基質濃度が0.01〜90%w/v、好ましくは0.1〜30%w/vの範囲である。
反応基質をラセミ体の環状アミノ酸とする場合は通常、基質濃度が0.01〜90%w/v、好ましくは0.1〜30%w/vの範囲で用いられる。
また、本反応においては、補酵素NAD(P)+もしくはNAD(P)Hを添加するの
が好ましく、通常、0.001mM〜100mM、好ましくは0.01〜10mM添加する。
上記補酵素を添加する場合には、NAD(P)Hから生成するNAD(P)+をNAD
(P)Hへの再生させることが生産効率向上のため好ましく、上記再生方法としては、1)宿主微生物自体のNAD(P)+還元能を利用する方法、2)NAD(P)+からNAD(P)Hを生成する能力を有する微生物やその処理物、あるいは、グルコース脱水素酵素、ギ酸脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、アミノ酸脱水素酵素、有機酸脱水素酵素(リンゴ酸脱水素酵素など)などのNAD(P)Hの再生に利用可能な酵素(再生酵素)を反応系内に添加する方法、3)形質転換体を製造するに当たり、NAD(P)Hの再生に利用可能な酵素である上記再生酵素類の遺伝子を本発明のDNAと同時に宿主に導入する方法が挙げられる。
このうち、上記1)の方法においては、反応系にグルコースやエタノール、ギ酸などを添加するのが好ましい。
また、上記2)の方法においては、上記再生酵素類を含む微生物、上記再生酵素類をコードするDNAで形質転換された微生物、該微生物菌体をアセトン処理したもの、凍結乾燥処理したもの、物理的または酵素的に破砕したもの等の菌体処理物、該酵素画分を粗製物あるいは精製物として取り出したもの、さらには、これらをポリアクリルアミドゲル、カラギーナンゲル等に代表される担体に固定化したもの等を用いてもよく、また市販の酵素を用いてもよい。
この場合、上記再生酵素の使用量としては、具体的には、N−メチル-L-アミノ酸デヒドロゲナーゼに比較して、酵素活性で0.01〜100倍、好ましくは0.5〜20倍程度となるよう添加する。
また、上記再生酵素の基質となる化合物、例えば、グルコース脱水素酵素を利用する場合のグルコース、ギ酸脱水素酵素を利用する場合のギ酸、アルコール脱水素酵素を利用する場合のエタノールもしくはイソプロパノールなど、の添加も必要となるが、その添加量としては、反応原料であるジカルボニル基含有化合物に対して、通常0.1〜100モル倍量、好ましくは0.5〜20モル倍量添加する。
また、上記3)の方法においては、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼのDNAと上記再生酵素類のDNAを染色体に組み込む方法、単一のベクター中に両DNAを導入し、宿主を形質転換する方法及び両DNAをそれぞれ別個にベクターに導入した後に宿主を形質転換する方法を用いることができるが、両DNAをそれぞれ別個にベクターに導入した後に宿主を形質転換する方法の場合、両ベクター同士の不和合性を考慮してベクターを選択する必要がある。
単一のベクター中に複数の遺伝子を導入する場合には、プロモーター及びターミネーターなど発現制御に関わる領域をそれぞれの遺伝子に連結する方法やラクトースオペロンのような複数のシストロンを含むオペロンとして発現させることも可能である。
本反応は、反応基質及び形質転換体並びに必要に応じて添加された各種補酵素及びその再生システムを含有する水性媒体中もしくは該水性媒体と有機溶媒との混合物中で行われる。
上記、水性媒体としては、水又は緩衝液が挙げられ、また、有機溶媒としては、エタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド等の水溶性有機溶媒や酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、クロロホルム、n−ヘキサン等の非水溶性有機溶媒などから適宜反応基質の溶解度が高い物を使用することができる。
本反応は、通常、4〜60℃、好ましくは10〜50℃の反応温度で、通常pH4〜1
1、好ましくはpH5〜10で行われる。
また、膜リアクターなどを利用して行うことも可能である。
本反応により生成する環状アミノ酸は、反応終了後、反応液中の菌体やタンパク質を遠心分離、膜処理などにより分離した後に、酢酸エチル、トルエンなどの有機溶媒による抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィー、晶析等のなどを適宜組み合わせることにより行うことができる。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)ATCC12633株由来N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼの酵素精製>
N−メチル-L-アミノ酸デヒドロゲナーゼの酵素活性は下記のような方法で測定した。
測定対象となる粗酵素液にフェニルピルビン酸ナトリウム(最終濃度15mM)、メチルアミン−硫酸緩衝液(pH10)(最終濃度400mM)、NADPH(最終濃度10mM)を加え全量50μLとした。37℃で1時間反応させた。反応終了後、5μLの10%トリクロロ酢酸液を加え13000rpm、5分間遠心を行った。遠心上清10μLを40μLの高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略記する)溶離液で希釈し0.45μmのフィルターで濾過後高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略記する)にて分析した。
HPLCの条件は、次のとおりである。
カラム:Ultron ESPh−CD(信和化工株式会社)
温度:40℃
溶離液:20%アセトニトリル、80% 20mM KH2PO4、H3PO4 0.
4ml/L(pH3)
流速:0.85ml/min.
検出器:UV検出器(210nm)
標準サンプルとしてSigma社の試薬を用い、酵素の活性単位1unitを一分間に1μモルのN−メチル−フェニルアラニンを生成する酵素量と規定した。
(1−1)粗酵素液の調製
滅菌した液体培地100ml(メチルアミン塩酸塩 5g/L, グルコース 1g/L, 酵母エキス 5g/L, リン酸水素二カリウム 7g/L, リン酸二水素カリウム 3g/L, 硫酸マグネシウム七水和物 0.1g/Lを含む)×2本(500ml坂口フラスコ)に、シュードモナス・プチダ ATCC12633株を接種し、28℃で18時間、好気的に振とう培養した(前々培養)。次に、同じ組成の滅菌した液体培地500ml×4本(2L坂口フラスコ)に、前々培養で得られた培養液を各2L坂口フラスコに50mlずつ接種した。28℃で8時間、好気的条件で振とう培養した(前培養)。1%ポリペプトン(ナカライテスク社製)、0.5%酵母エキス(ナカライテスク社製)、1%塩化ナトリウム(ナカライテスク社製)を添加した培地(以下、LB培地と略す)200Lを滅菌して、前培養で得られた培養液2200mlをすべて接種し、28℃で好気的に16時間培養した(本培養)。培養後得られた培養液を遠心分離し、2.5kgの湿菌体を得た。この菌体を、5Lの20mMトリス−塩酸バッファー(pH7.0)に懸濁し、超音波破砕によって5.9Lの粗酵素液を得た。
粗酵素に対し硫安分画を行ったところ、硫安濃度20〜60%画分に活性があった。この画分を集めて15Lの20mMトリス−塩酸バッファー(pH7.0)で5回透析した
。酵素液の量は3100mlになった。
(1−2)SuperQ-TOYOPEARL(TOSOH社製)による精製
20mMトリス−塩酸バッファー (pH 7.0)で平衡化したSuperQ-TOYOPEARL(TOSO
H社製)700mLに、硫安分画20〜60%飽和の画分3100mLを供した。その後20mMトリス−塩酸バッファー (pH 7.0) 4900mLで洗浄を行った。洗浄画分には活
性が検出されなかった。
上記洗浄後、0.2M 塩化ナトリウムを含有する20mMトリス−塩酸バッファー3
500mLで溶出した。この条件で、活性を持つタンパク質が溶出された。さらに、0.5M 塩化ナトリウムを含有する20mMトリス−塩酸バッファー3500mLで溶出し
たが、この画分では活性が検出されなかった。
上記0.2M 塩化ナトリウムを含有する20mMトリス−塩酸バッファーで溶出した
画分を回収し、タンパク量及び酵素活性を測定した。活性を示した溶液3900mLを、20%飽和の硫安含有20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0) に12Lで3回透析し
た。透析後の酵素液は3000mLであった。
(1−3)Butyl-TOYOPEARL(TOSOH社製)による精製
上記(1−2)で得た酵素液3000mLを、20%飽和の硫安含有20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0)で平衡化したButyl-TOYOPEARL(TOSOH社製)500mLに
流した。その20%飽和の硫安含有20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0)2800mLで洗浄を行った。洗浄画分のタンパク量及び酵素活性を測定したところ、この画分に活性が検出された。洗浄で得た酵素液に直接硫安を加えて、硫安濃度が5〜20%飽和の画分を取得し再びButyl-TOYOPEARLに流すことにした。
(1−4)Butyl-TOYOPEARL(TOSOH社製)による2回目の精製
得られた硫安画分の酵素液5700mLを、30%飽和の硫安含有20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0)で平衡化したButyl-TOYOPEARL(TOSOH社製)500mLに流
した。その後、30%飽和の硫安含有20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0)2300mLで洗浄を行った。洗浄画分のタンパク量及び酵素活性を測定したところ、この画分に活性が検出された。続いて、このカラムを15%飽和の硫安含有20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0)で溶出した。その結果、溶出液にも活性が検出された。活性を示した上記両方の画分を回収し、60%飽和濃度になるように3070gの硫安を加えて撹拌し、濃縮した。その結果、酵素液は600mLとなった。これを20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0)14Lで3回透析を行い、得られた酵素液は1000mLになった。
(1−5)DEAE-TOYOPEARL(TOSOH社製)による精製
上記(1−4)において透析して得た酵素液1000mLを、20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0) で平衡化したDEAE-TOYOPEARL(TOSOH社製)600mLに供した
。その後、20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0)4000mLで洗浄を行った。洗浄画分には活性がみられなかった。続いて0.1Mの塩化ナトリウムを含有する20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0)2500mLで溶出した。その結果、この画分にほとんど活性が検出されなかった。次に、塩化ナトリウム濃度が0.1〜0.3Mとなるようにグラジェントをかけてタンパクを溶出した。酵素活性を有する画分を回収したところ、1700mLの酵素液が得られた。この酵素液に760gの硫安を加えて撹拌し、濃縮した。その結果、酵素液は60mLになった。これを20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0)8Lで2回透析を行った。透析後、酵素液は100mLになった。
(1−6)Green-sepharose CL-4Bによる精製
市販の膨潤Sepharose CL-4Bゲル150mlをガラスフィルター上にとり、1Lの蒸留水を用
いて吸引洗浄した。これを2L坂口フラスコに移した。これに、150mLの水に溶かしたReactive Green 19(Sigma社製) 0.75g(7.5mg色素/mLゲルの割合)を加えた。さらに22%塩化ナトリウム水溶液15mL(最終濃度:約2%)を加え、ゲルと色素がよく混ざり合う程度で、約30分間振とう撹拌した。1.5gの結晶炭酸ナトリウムを加えて、50℃で一晩振とう撹拌した。反応終了後、ゲル懸濁液をガラスフィルターに移し、水(約1.5L)、1M塩化ナトリウム水溶液(約1.5L)、水(約3L)の順序で、ろ液の着色が
見られなくなるまで色素ゲルを洗浄し、Green-sepharose CL-4Bを調製した。
上記方法で調製したGreen-sepharose CL-4B 450mLを20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0) で平衡化した後に上記(1−5)で得た酵素液100mLを流した。
その後、20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0)3000mLで洗浄を行った。洗浄画分には、上記(1−5)で得られた酵素液のトータル活性の15%ほどの活性が検出された。次に、塩化ナトリウム濃度が0〜3Mになるようにグラジェントをかけてタンパクを溶出した。酵素活性を有する画分を回収したところ、231mLの酵素液が得られた。これに、70%飽和濃度になるように硫安を109g加えてタンパクを沈殿させた。沈殿を20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0)3mLに懸濁し、20%飽和の硫安含有20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0)9Lで8時間透析した。透析後、チューブ内に沈殿物が見られたため、透析と同じバッファー8.5mLを加えて懸濁した。この操作でも沈殿物が溶解しなかったため、遠心して沈殿物と上清を分離した。活性がほとんど上清の方にみられたため、上清13mLをRESOURCE PHE(アマシャムバイオサイエンス社製)で精製した。20 mLの20%飽和の硫安含有20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0)と20 mLの20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0)でグラジェントをかけてタンパクを溶出した。
回収した酵素液19mLを限外濾過で5mLまで濃縮した後に、20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0)で透析したところ、酵素液は6.5mLになった。
(1−7)Blue-sepharose 4B(アマシャムバイオサイエンス社製)による精製
Blue-sepharose 4B(アマシャムバイオサイエンス社製)5mLを20mMトリス−塩
酸バッファー(pH 7.0) で平衡化した後に上記(1−6)で得られた酵素液6.5mLを
流した。その後、20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0)50mLで洗浄を行った。さらに、50 mLの1M塩化ナトリウム水溶液と50 mLの20mM トリス−塩酸バッファー(pH 7.0)で、塩化ナトリウム濃度が0〜1Mとなるようにグラジエントをかけ活性画分を溶出させた。
上記(1−1)〜(1−7)の各精製ステップにおける酵素画分の比活性等を表1にまとめる。
Figure 2005095167
<SDS−PAGEおよび部分アミノ酸配列の解析>
各酵素精製ステップのサンプルをすべてSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動した。
精製と共に量の増加が見られる約35〜40kDaを通常の方法で切り出し、プロテインシーケンサーにより、エドマン法によるアミノ酸配列の解析を行い、N末端のアミノ酸配列を決定した。該配列を配列表の配列番号3で示す。
BLASTサーチにより、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(Accession No. AE004091)と相同性が高い蛋白であることが示唆された。
<N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子のクローニング>
シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)ATCC12633株をLB培地で培養し得られた菌体よりDNeasy Tissue Kit (Qiagen社製)を用いて、染色体DNAを調製した

実施例2で決定されたN末端アミノ酸配列及びBLASTサーチで見出されたリンゴ酸
デヒドロゲナーゼ(Accession No. AE004091)のアミノ酸配列をコードする塩基配列を元にプライマーを合成した。それぞれの塩基配列を、配列表の配列番号4(NMPDHf)及び5 (NMPDHr1) に示す。
シュードモナス・プチダATCC12633株の染色体DNAを鋳型とし、NMPDHf、NMPDHr1をプライマーとして、PCR(98℃,20秒、68℃,3分)を30サイクル行い、特異的な増幅サンプルを得た。
上記で得られたDNA断片を常法に従い、クローニングベクターpET21a(宝酒造社製))に導入した。以下、このプラスミドをpENMadh株とする。
次に大腸菌(Escherichia coli)BL21(DE3)(Novagen社)を形質転換した。
形質転換株をアンピシリン(100μg/mL)を含むLB培地プレート(LB培地+2%寒天)上で37℃で生育させた。出現したいくつかの白いコロニーを培養しプラスミドの抽出を通常の条件で行った。とれたプラスミドを制限酵素NdeIおよびHindIIIで切
断後(37℃で3時間)、目的DNA断片がプラスミドに挿入されているかアガロース電気泳動で確認した。
目的とするDNA断片が挿入されていると考えられるコロニーをアンピシリンを含む液体LB培地で培養し、培養14時間目にIPTGを0.1mMとなるように添加しさらに培養を3時間続けて、集菌した。菌体を超音波破砕し粗酵素を得た。
得られた粗酵素の活性測定を行って目的蛋白の発現を確認した。
目的断片が入ったコロニーから得られた粗酵素を用いるとN−メチル−L−フェニルアラニンの生成が確認され、プラスミドのみで形質転換した菌体破砕物ではN−メチル−L−フェニルアラニン生成が見られなかった。
活性確認されたプラスミド中の挿入断片の塩基配列を解析した。該遺伝子の塩基配列を配列表の配列番号2に、該遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列を配列表の配列番号1に示す。
得られたDNA断片にコードされたタンパク質のアミノ酸配列(配列番号1)中、3番目のアミノ酸から18番目のアミノ酸までの配列は、実施例2で決定した精製酵素N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼのN末端配列(配列番号3)と完全に一致した。このことから、本実施例で得られたDNA断片は、実施例1で精製したN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼをコードしていることが確認された。
<形質転換体からのN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ酵素精製>
LB培地5mLを試験管に入れて121℃で20分間蒸気殺菌し、室温になってから100mg/ml アンピシリン水溶液を5μL加えた。これに実施例3で得られた大腸菌クローン株のコロニーを無菌的に白金耳で接種して、37℃で24時間振とう培養した(前培養)。次にLB培地500mLを2Lの坂口フラスコに入れて殺菌し、室温になってから100mg/ml アンピシリン水溶液を500μL加えた。これらに前培養で得られた大腸菌クローン株の培養液0.5mLを接種して、37℃で14時間振とう培養した。この段階で1MのIPTG水溶液を500μL加え、さらに37℃で3時間振とう培養した。培養後、遠心分離により菌体を集め、20mMトリス−塩酸緩衝液(pH 7.0)で
2回洗浄した。得られた菌体3.3gを20mM トリス−塩酸緩衝液(pH 7.0)28mLに懸濁し(全量30ml)、超音波で菌体を破砕した。遠心分離により菌体断片を除き、29mLの無細胞抽出液を得た。次に実施例1で用いたGreen sepharose CL-4Bを
用いて精製を行った。
Green sepharose CL-4B(樹脂100ml量)をトリス塩酸バッファー(pH 7.0) で平衡化した後に上記無細胞抽出液を流した。
その後、20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0)800mLで洗浄を行った。洗浄画分には、次に、塩化ナトリウム濃度が0〜1Mになるようにグラジェントをかけてタンパクを溶出した。酵素活性を有する画分を回収し、これをCentriprep(アマシャムバイオサイエンス社製)で濃縮した。これを20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0)で8時間透析した。透析後、酵素液量は59mlとなった。
次にDEAE-TOYOPEARL(TOSOH社製)による精製を行った。
上記の透析して得た酵素液を、20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0) で平衡化し
たDEAE-TOYOPEARL(TOSOH社製)(樹脂60mL)に供した。その後、20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0)500mLで洗浄を行った。次に、塩化ナトリウム濃度が0〜0.35Mとなるようにグラジェントをかけてタンパクを溶出した。酵素活性を有する画分を回収し、Centriprep(アマシャムバイオサイエンス社製)で濃縮した後、20mMトリス−塩酸バッファー(pH 7.0)に対して透析を行った。透析後、酵素液は6mLになった。
上記の各精製ステップにおける酵素画分の比活性比を表2にまとめる。
Figure 2005095167
<N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼの基質特異性>
実施例4と同様な方法で大腸菌クローン株より精製酵素を得た。
これに表3に示す各種ケト酸を最終濃度10mM、NADPHを最終濃度0.2mM、硫酸でp
H10に調整したメチルアミンを最終濃度60mMとなるように加えた反応液の340nm
の吸光度の変化を調べることにより酵素活性を測定した。測定時の反応温度は37℃にした。β−フェニルピルビン酸を基質としたときを100%として相対活性の結果を表3に示
した。
Figure 2005095167
<至適pHの測定>
実施例4と同様な方法で大腸菌クローン株より精製酵素を得た。
これにβ−フェニルピルビン酸を最終濃度10mM、NADPHを最終濃度0.2mM、硫酸で
各pHに調整したメチルアミンを最終濃度60mMとなるように加えた反応液の340nm
の吸光度の変化を調べることにより酵素活性を測定した。測定時の反応温度は37℃にした。一分間に1マイクロモルのβ−フェニルピルビン酸と反応する酵素量を1unitととして蛋白量あたりのunit数(u/mg)とpHの関係の結果を図1に示した。反応の至適pHは10.0であった。
<作用至適温度>
実施例5と同様な反応条件のうちメチルアミン−硫酸(pH10)にして、温度だけを変化させて活性を測定した。結果を図2に示す。至適温度は30〜40℃であった。
<pH安定性>
実施例4で得られた精製酵素を、緩衝液を用いてpHを変化させて30℃で30分間インキュベートし、残存活性を測定した。反応条件は実施例7と同様にメチルアミン−硫酸(pH10)、37℃で行った。結果は、未処理の活性を100とした残存活性で表し、図3に示した。本発明による酵素は、pH6〜9において最も安定であった。
<温度安定性>
実施例5で得られた精製酵素を25℃、30℃、35℃、40℃、45℃および50℃の温度で30分間放置した後、実施例6と同様に活性を測定した。結果は、未処理(氷中放置)の活性を100とした残存活性で表し、図4に示した。
本発明による酵素は、30℃まで100%の残存活性を示した。
<NADHを補酵素とした場合の基質特異性>
実施例4と同様な方法で大腸菌クローン株より精製酵素を得た。
これに表4に示す各種ケト酸を最終濃度40mM(但しβ−フェニルピルビン酸は30mM)、NADHを最終濃度0.3mM、bis-Tris propane緩衝液(pH10.0)を最終濃度100mM、メチルアミンを最終濃度180mMとなるように加えた反応液の340nmの吸光度の変化を調べ
ることにより酵素活性を測定した。測定時の反応温度は37℃にした。ピルビン酸を基質としたときを100%として相対活性の結果を表4に示した。
Figure 2005095167
<NADHを補酵素とした場合の至適pHの測定>
実施例4と同様な方法で大腸菌クローン株より精製本酵素を得た。
これにピルビン酸を最終濃度80mM、NADHを最終濃度0.3mM、硫酸で各pHに調整し
たメチルアミンを最終濃度180mMとなるように加えた反応液の340nmの吸光度の変化
を調べることにより酵素活性を測定した。測定時の反応温度は37℃にした。一分間に1マイクロモルのピルビン酸と反応する酵素量を1unitとして蛋白量あたりのunit数(u/mg)とpHの関係の結果を図5に示した。反応の至適pHは9.5であった。
<NADを補酵素とした場合の逆反応の検討>
実施例4と同様な方法で大腸菌クローン株より精製本酵素を得た。
N−メチル−L−アラニンを最終濃度50mM、NADを最終濃度10mM、bis-Tris propane緩衝液(pH10.0)を最終濃度100mMとなるように加えた反応液の340nmの吸光度の
変化を調べることにより酵素活性を測定した。測定時の反応温度は37℃にした。活性は7.8×10-3(u/mg蛋白)であった。
<NADPHを補酵素とした場合の本酵素の基質特異性>
実施例4と同様な方法で大腸菌クローン株より精製本酵素を得た。
これに表5に示す各種アミン類を最終濃度60mM、NADPHを最終濃度0.2mM、β−フ
ェニルピルビン酸を最終濃度10mMとなるように加えた反応液の340nmの吸光度の変化を調べることにより酵素活性を測定した。測定時の反応温度は37℃にした。メチルアミンを基質としたときを100%として相対活性の結果を表5に示した。
Figure 2005095167
<D−アミノ酸オキシダーゼとの共反応(1)>
実施例4と同様な方法で大腸菌クローン株の精製本酵素を得た。
これに最終濃度50mMとなるようにDL−ピペコリン酸(東京化成社製)、最終濃度100mM
のNADPH、トリス塩酸緩衝液(pH9)を最終濃度100mMとなるように加えた反応液
100μlにD−アミノ酸オキシダーゼ(シグマ社製 porcine kidney由来)を0.052unit加えた。このとき反応液中の本酵素の蛋白量は26.5μgとなるようにした。測定時の反応温度は30℃にした。
900分後反応液にトリクロロ酢酸を最終濃度2%となるように25μl添加し反応を
終了させた。
反応液を下記条件のHPLCで分析した。
カラム:CHIRALPAK WE 250 x 4.6mm (Daicel社製)
溶離液:2mM CuSO4
流速:0.5 ml/min
温度:50度
検出:UV254nm
測定の結果D-ピペコリン酸は完全に消失しており、L−ピペコリン酸が45mM濃度生成されていた。
<D−アミノ酸オキシダーゼとの共反応(2)>
DL−ピペコリン酸を用いる代わりにD−プロリンを用いた以外は実施例14と同様に行った。600分後D−プロリンは完全に消失しL−プロリンが45mM生成していた。
<枯草菌からのグルコース脱水素酵素遺伝子のクローニング>
枯草菌(Bacillus subtilis 株)をLB培地上で培養し、菌体を調製した。菌体から染色体DNAの調製はQiagen kit(Qiagen社製)を用い、付属マニュアル記載の方法により行った。
NADPHの再生を行わせるために、文献(J.Bacteriol.166,238-243(1986))記載の枯草菌由来グルコース脱水素酵素(以下「GDH」と略記することがある)遺伝子のクローニングを行った。文献記載の塩基配列を元に、GDH遺伝子のオープンリーディングフレーム部分ののみをPCRクローニングするため構造遺伝子の5'-末端、3'-末端の配列を元にプラ
イマー BsuG#S(配列番号6)、BsuG#A(配列番号7)を合成した。上記により調製した枯草菌染色体DNAを鋳型としてPCR(94℃、30秒、54℃、30秒、72℃1分)を30サイクル行い、
特異的な増幅DNAを得た。得られたDNA断片をEcoRIとHindIIIの2種類の制限酵素で消化し
た。プラスミドベクターpKK223-3(アマシャム−ファルマシア社製)をEcoRIとHindIIIで消化し、上記PCR増幅DNA断片をT4DNAリガーゼで連結し、pKK223-3GDHを得た。挿入断片の塩基配列解析を行った結果、データベース(DDBJ AccessionNo. M12276)に収録されている塩基配列と全て一致した。得られたGDH遺伝子の塩基配列を配列番号8に示す。
<N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼと共発現できるGDHプラスミドpSTV28-GDHの構築>
実施例16で構築したpKK223-3GDHをEcoRI、PstIの2種類の制限酵素で消化し、枯草菌GDH遺伝子を含む断片を調製した。プラスミドベクターpSTV28(TAKARA社製)をEcoRI、PstI
で消化し、上記GDHを含む断片をT4DNAリガーゼで連結し、pSTV28-GDHを得た。
<枯草菌由来GDHとN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼの大腸菌における共発
現>
実施例2で構築したpENMadh を保持する大腸菌BL21(DE3) クローン株をpSTV28-GDHで形質転換した。組み換え大腸菌を100ug/mLのアンピシリン、25ug/mLのクロラムフェニコー
ルを含む液体LB培地に植菌し17時間培養した後、1mM IPTGを添加し、さらに3時間培養した。集菌後、20mM Tris-HCL (pH7.0) にて懸濁し、超音波破砕によって得られた細胞粗抽出液の酵素活性を測定した。
(1)共発現株におけるN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性の測定
共発現株におけるN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性の測定は100mM bis-trispropaneバッファー(pH10.0)、0.2mM NADPH、30mM methylamine、10mM ピルビン酸
ナトリウムを含む反応液で30℃で行った。1Uは上記反応条件で1分間に1μmolのNADPHを酸化する酵素量とした。その結果、6.6U/mg蛋白であった。
(2)共発現株におけるグルコース脱水素酵素活性の測定
粗酵素10μlにグルコースを最終濃度100mM、NADPを最終濃度2mM、トリス塩酸緩
衝液(pH9.0)を最終濃度100mM、となるように加えた反応液1mlの340nmの吸光度の変化を調べることにより酵素活性を測定した。測定時の反応温度は30℃にした。一
分間に1マイクロモルのグルコースと反応する酵素量を1unitとして蛋白量あたりのunit数(u/mg)を求めた。その結果、1mg蛋白あたり3.4Uであった。
<グルコース脱水素酵素/N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ共発現形質転換体を用いたL−ピペコリン酸の合成>
実施例18で得られた大腸菌を実施例18と同様に培養し培養液100mlを得た。培養後、遠心分離により菌体を集め、0.85%の食塩を含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH 7.0)40mlで2回洗浄休止菌体を得た。
この休止菌体を一度―80度に凍結させた。凍結菌体に4mlの20mMトリス−塩酸緩衝液(pH 7.0)を加え菌体を融解し強く攪拌した。これに最終濃度1mMとなる
ようにPMSFを加え超音波破砕し遠心分離後蛋白濃度が15g/Lの粗酵素液を得た。
得られた粗酵素液に最終濃度1%のL−リジン(キシダ化学社製)、最終濃度0.2 mMのNADP、最終濃度100 mMのグルコース、および最終濃度1mMのFAD(ナカライテスク社製)、最終濃度1.5 U/mlのL-Lysine oxidase(生化学工業製)、最終濃度14 u/mlの
カタラーゼ(Sigma社製)最終濃度100mMトリス−塩酸緩衝液(pH 7.5)を含む反応液を加え粗酵素の蛋白量を1.5 g/Lとなるようにした。全量で10mlとした。反応
は30℃で、10規定の水酸化ナトリウム水溶液でpHを5.1〜7.6に調整しながら、撹拌しつつ行った。
5時間後 さらに0.5%のL−リジン、7u/mlのカタラーゼ、100mMのグルコース
を加えさらに反応を15時間まで続けた。
反応液を下記条件のHPLCで分析した。
カラム:CHIRALPAK WE 250 x 4.6mm (Daicel社製)
溶離液:2mM CuSO4
流速:0.75 ml/min
温度:50度
検出:UV254nm
15時間反応後のL−ピペコリン酸の濃度は14g/Lであった(反応収率98%)。またD−ピペコリン酸のピークは見られなかった。
<グルコース脱水素酵素/N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ共発現形質転換体を用いたL−ヒドロキシプロリンの合成>
実施例19と同様に粗酵素液を得た。
得られた粗酵素液に最終濃度10mMのcis-D−ヒドロキシプロリン(渡辺化学社製)、最終濃度1mMのNADP、最終濃度100mMのグルコース、および最終濃度0.1mMのFAD(ナカライテスク社製)、最終濃度0.5U/mlのD-amino acid oxidase(Porcine kidney 由来:和光社製)、最終濃度50u/mlのカタラーゼ(Sigma社製)最終濃度100mMトリス−
塩酸緩衝液(pH 8)を含む反応液を加え粗酵素を10分の1量加えた。全量で0.2mlとした。反応は30℃で24時間反応させた。また同時に粗酵素液を入れないものも反応させた。
反応液を下記条件のHPLCで分析した。
カラム:MCI GEL CRS10W (4.6x500mm) (三菱化学社製)
溶離液:0.4mM CuSO4
流速:0.5 ml/min
温度:40度
検出:UV254nm
その結果、粗酵素液を添加したものは9.5mMのL−ヒドロキシプロリンが生成していた
。粗酵素液を加えないものにはL−ヒドロキシプロリンの生成は見られなかった。
<グルコース脱水素酵素/N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ共発現形質転換体を用いたL−ピペコリン酸の合成>
実施例20と同様にD−リジン(東京化成社製)、DL−ピペコリン酸(東京化成社製)、D−オルニチン(東京化成社製)で行った。
D−リジンからはL−ピペコリン酸が5.9mM生成していた。粗酵素を入れない方には生
成は見られなかった。
DL−ピペコリン酸からはL−ピペコリン酸が10mM生成していた。粗酵素を入れない方には生成は見られなかった。
<グルコース脱水素酵素/N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ共発現形質転換体を用いたL−プロリンの合成>
D−オルニチンからはL−プロリンが6.8mM生成していた。但し粗酵素を入れない方に
も生成がみられ、L−プロリンが6.1mM生成していた。これはD−アミノ酸オキシダーゼ
で生じたΔ1―ピロリジン2−カルボン酸が自然にラセミ体プロリンとなり、D−プロリンは再びD−アミノ酸オキシダーゼの作用を受けΔ1―ピロリジン2−カルボン酸となり、結果、L−プロリンが蓄積していると考えられる。
<ジアミノ酸から、環内に硫黄原子を含む光学活性環状アミノ酸および環内に酸素原子を含む光学活性環状アミノ酸の合成>
実施例19と同様に粗酵素液を得た。
最終濃度10mMのL−リジン(キシダ化学社製)、アミノエチル−L−システイン(ICN社製)、または(S)−(+)−2−アミノー3−(2−アミノエトキシ)プロパン酸一塩酸塩((S)-(+)-2-Amino-3-(2-amino ethoxy) propanoic acid monohydrochrolide)
(アルドリッチ社製)各々に、最終濃度5.4mMのNADP、最終濃度108mMのグルコース、最終濃度0.1mMのFAD(ナカライテスク社製)、最終濃度0.8U/mlのL-Lysine oxidase(生化学工業製)、最終濃度54u/mlのカタラーゼ(Sigma社製)、および最終濃度100
mMトリス−塩酸緩衝液(pH 8.2)を含む反応液に粗酵素を10分の1量加え、全量で0.2mlとした。反応は30℃で24時間反応させた。また同時に粗酵素液を入れないものもコントロールとして反応させた。
反応液を下記条件のHPLCで分析した。
カラム:MCI GEL CRS10W (4.6x500mm) (三菱化学社製)
溶離液:0.4mM CuSO4
流速:0.5 ml/min
温度:40度
検出:UV254nm
その結果、L−リジンからはL−ピペコリン酸が9.9mM生成していた。粗酵素を加えないコントロールでは生成は見られなかった。
アミノエチルシステインに粗酵素液を添加したものはリテンションタイム12.1分の所にピークが生成していた。粗酵素液を加えないものにはこのピークの生成は見られなかった。
本生成物は以下の反応式により生じたL体環状アミノ酸であるL−3−チオモルフォリンカルボン酸(R−3−チオモルフォリンカルボン酸)と考えられる。
Figure 2005095167
2−アミノ−3−(2−アミノエトキシ)プロパン酸に粗酵素液を添加したものはリテンションタイム7.8分の所にピークが生成していた。粗酵素液を加えないものにはこのピークの生成は見られなかった。
本生成物は以下の反応式により生じたL体環状アミノ酸であるL−3−モルフォリンカルボン酸と考えられる。
Figure 2005095167
<LC−Massによる生成物の確認>
実施例23で生成された3−チオモルフォリンカルボン酸および3−モルフォリンカルボン酸を確認するために、精製およびLC−Massを用いた分析を行った。
シリカゲルのTLC(Merck社製 1.05715)にて環状アミノ酸と原料のアミノ酸を分離する条件を検討したところ、展開液にメタノール:水:アセトニトリル=1:1:4を用いると原料のアミノ酸は原点にとどまり環状のアミノ酸は展開され効率良く分離出来ることがわかった。またニンヒドリンによる発色で環状アミノ酸は特徴的な色となり通常のアミノ酸と区別する事が出来た。例えばこの条件でピペコリン酸はRf=0.22で紫色の発色、プロリンはRf=0.20で黄色の発色である。実施例23のアミノエチルシステインの反応液をこの条件で分析すると、Rf=0.32にうすい群青色の発色のスポットが見られた。2−アミノー3−(2−アミノエトキシ)プロパン酸の反応液をこの条件で分析すると、Rf=0.23にマゼンダ色の発色のスポットが見られた。
全ての反応液をPLCプレート(Merck社製 ART13793)にスポットし、十分に乾燥さ
せた後にメタノール:水:アセトニトリル=1:1:4の組成の展開液で展開した。プレートの一部を切り取りニンヒドリンで発色させ目的物の位置を確認した。該当部分を掻き取り、メタノールにて溶出し、シリカゲルを濾紙で除去し、このメタノール溶出液を濃縮した。濃縮物を少量の水で溶かし塩酸を入れて酸性にした後に、H型に再生した強酸性のカチオン交換樹脂(三菱化学製 SK1B)に吸着させ、樹脂を蒸留水で洗浄し、1Nのアンモニア水で溶出した。溶出液を濃縮しメタノール少量で溶かした。TLCで環状アミノ酸部分が精製されたきたか確認後、以下の条件のLC−Massで分析した。
LC−Mass装置 ヒューレットパッカード社1100MSD
HPLCカラム Imtakt社製 UK-C18 (250 x 4.6 mm)
溶離液 10%アセトニトリル
流速 0.5 ml/min
温度 40度
圧力 91bar
UV210nm
イオン化電圧 20V
イオン化法 API−ES法
正イオン測定モード
アミノエチルシステインの反応液から精製してきたサンプルを分析するとリテンションタイム6.8のピークは分子イオンm/z148.1を示し、プロトンが1個付加されているので化合物の分子量は147.1となり、3−チオモルフォリンカルボン酸の分子量と一致した。
2−アミノ−3−(2−アミノエトキシ)プロパン酸反応液から精製してきたサンプルはリテンションタイム5.7のピークが分子イオンm/z132.1であり、プロトンが1個付加されているので化合物の分子量は131.1となり、3−モルフォリンカルボン酸の分子量と一致していた。
<アミノプロピルLシステインから[1,4]チアゼパン−3−カルボン酸([1,4]thiazepane-3-carboxylic acid)の生成反応>
L-システインとブロモプロピルアミンより公知の方法(DE2217895)を用いてアミノプロピル−L−システインを合成した。
実施例23と同様に反応を行った。これを実施例24と同様にTLCとLC−Massで分析した。TLCではRf=0.30でマゼンダ色の発色であった。LC−Massではrt=6.9に分子イオンm/z162.10のヒ゜ークが確認された。これは、[1,4] チアゼパン−3−カルボン酸の分子量161.10にプロトンが付加したものと一致する。
Figure 2005095167
<[1,4] チアゼパン−3−カルボン酸([1,4]thiazepane-3-carboxylic acid)の同定>
実施例19と同様に粗酵素液を得た。
最終濃度85mMのアミノプロピルLシステイン、最終濃度0.1mMのFAD(ナカライテス
ク社製)、最終濃度0.65U/mlのL-Lysine oxidase(生化学工業製)、最終濃度123u/mlの
カタラーゼ(Sigma社製)、および最終濃度100mMトリス-塩酸緩衝液(pH 8.2)
を含む反応液10mlを室温で5時間攪拌した。そこに粗酵素を1ml、最終濃度1mMのNADP、最終濃度233mMのグルコースを加えた。28℃で3日反応させた。
これにメタノール10ml、アセトニトリル30ml、活性炭1gを加え良く攪拌後遠心分離し、上清を0.20μmのフィルターで濾過後、濃縮した。これを実施例24と同様にPLC
とSK1Bで精製した。精製サンフ゜ルを少量のメタノールで溶解した所にアセトンを入れ晶析さ
せた。結晶は白色であった。晶析サンフ゜ルを1H−NMRおよび13C−NMRで分析した。
1H−NMR(400MHz, D2O): δ = 4.01 (1H, t, J =6.3Hz), 3.19-3.45(3H, m), 3.10(1H, dd, J =15.9, 6.8 Hz), 2.63-2.82(2H, m), 2.14(2H, dt, J =10.9, 5.1Hz)
13C−NMR (100MHz, D2O): δ = 31.9, 34.2, 34.5, 46.3, 64.8, 175.0
このデーターから[1,4] チアゼパン−3−カルボン酸であることが確認された。
またさらに確証を得るために以下のように高分解能の質量分析測定を行った。
イオン化法;DEI(+)
日本電子 JMS−700 質量分析計
ScanMode EF
校正物質 PFK
その結果分子量161.0509 (Err-mmu −0.1)と分子組成 C6 H11 O2 N1 S1 と測定された
。これはNMR分析より同定した構造を指示する組成式であった。
<L-3-モルフォリンカルボン酸の同定>
実施例19と同様に粗酵素液を得た。
159mgのLアミノエチルセリン(和光純薬製)を蒸留水6mlにとかし、1mMのFAD(ナカライテスク社製)を含んだ12.5U/mlのL-Lysine oxidase(生化学工業製)を0.5ml、1175unitsのカタラーゼ(Sigma社製)、および1Mトリス-塩酸緩衝液(pH 8.2)1ml加え28度で一日攪拌した。そこに粗酵素を1ml、50mMのNADPを0.2
ml、50%のグルコースを0.8ml加えた室温で反応した。7時間後L-Lysine oxidase溶液を0.4ml追加し、さらに5日反応させた。
これにメタノール20ml、アセトニトリル20ml、活性炭1gを加え良く攪拌後遠心分
離し、上清を0.20μmのフィルターで濾過後、濃縮した。これを実施例24と同様にPL
CとSK1Bで精製した。精製サンプルを少量のメタノールで溶解した所にアセトンを入れ晶析させた。結晶は白色であった。晶析サンプルを1H−NMRで分析した。
1H−NMR(400MHz, D2O): δ = 4.04 (1H, dd, J =11.6, 3.0Hz), 3.82(1H, dt, J =12.4, 3.6Hz), 3.55-3.67(3H, m), 3.13(1H, dt, J =13.1, 3.0Hz), 2.98(1H, ddd, J =13.4, 10.1, 0.9Hz)
このデーターからL-3-モルフォリンカルボン酸であることが確認された。
<L-ホモリジンからアゼパン−2−カルボン酸(azepane-2-carboxylic acid)の生成反
応>
L-ホモリジンは公知の方法(特開昭60−218400)を用いて合成した。
実施例23と同様に反応を行った。これを実施例24と同様に精製を行いTLCとLC−Massで分析した。TLCではRf=0.28で茶色の発色であった。LC−Massではrt=7.17に分子イオンm/z145.10のピークが確認された。これはアゼパンー2−カルボン酸の分子量144.10にプロトンが付加したものと一致する。またH−NMRで測定したところ公知の文献(Liebigs Ann. Chem 1989, pp11215-1232)に記載されている値と一致した。
Figure 2005095167
<5−ヒドロキシ−DL−リジンから4−ヒドロキシピペコリン酸の生成反応>
5−ヒドロキシ−DL−リジンはアルドリッチ社製のものを用いた。
実施例23と同様に反応を行った。これを実施例24と同様に精製を行いTLCとLC−Massで分析した。TLCではRf=0.26でピペコリン酸と同様の紫色の発色であった。LC−Massではrt=5.64に分子イオンm/z146.20のピークが確認された。これは4−ヒドロキシピペコリン酸の分子量145.16にプロトンが付加したものと一致する。またH−NMRで測定したところ公知の文献(Bull. Soc. Chim. Belg. (1982) vol.91, pp.713-723)に記載されているデーターと一致した。
本生成物は、以下の反応式により生じたL体環状アミノ酸であるL−4−ヒドロキシピペコリン酸と考えられる。
Figure 2005095167
本願発明によれば、工業的に安価なジアミノ酸やラセミ体の環状アミノ酸から、中間体として1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を得て、これをN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼを用いて還元することにより工業的に安価で、高純度な各種光学活性環状アミノ酸の製造方法を提供することができる。
光学活性環状アミノ酸は下記の化学式に示すとおりL−プロリン(L-Proline)、L−ヒ
ドロキシプロリン(L-hydroxyproline)などの5員環アミノ酸、L−ピペコリン酸(L-Pipecolic acid)などの6員環アミノ酸、アゼチジン−2−カルボン酸(Azetidine-2-carboxylic acid)などの4員環アミノ酸と言ったアミノ酸などがよく知られ、医薬あるいは農薬の
中間原料として注目されている有用な物質である。
Figure 2005095167
また複素環であるL−チオプロリン(L-Thioproline)やL−モルフォリンカルボン酸(L-3-Morpholine carboxylic acid)、および L−チオモルフォリンカルボン酸(L-3-Thiomor
pholine carboxylic acid)等も医薬あるいは農薬の中間原料として有用な物質として挙げられる。
Figure 2005095167

例えば、6員環であるピペコリン酸の誘導体関連の医薬品としては、下記化学式に示すパリナビル(Palinavir)、
Figure 2005095167

下記化学式に示すセルフォテル(Selfotel)、
Figure 2005095167
下記化学式に示すアルガトロバン(Argatroban)、
Figure 2005095167
などが知られている(Terence P Keenan et al, Tetrahedron asymmetry vol.10 (1999) p4331-4341)。
またTNF−α変換酵素阻害剤としても、ピペコリン酸の誘導体が利用されている(Michael A Latavic et al, Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters (2002) vol.12, pp1387-1390)。
またプロリン誘導体関連では、下記化学式に示すゼフェノプリル(Zefenopril)、
Figure 2005095167
などがある(J Med Chem (1988) vol.31 p1148)。
アゼチジンカルボン酸誘導体では、ゲラチナーゼ阻害剤(gelatinase inhibitor)としての下記化学式に示すニコチアナミン(nicotianamine)、
Figure 2005095167
(Suzuki K et al, J antibiot (1996) vol.49 p1284-)や、喘息薬である下記化学式に
示すBMS-262084
Figure 2005095167
があげられる(Sutton JC et al, Bioorg Med Chem Lett. 2002 12(21) p3229-33)。
複素環では抗炎症剤Z−4003(EP0254354)
Figure 2005095167
にチオプロリンが用いられている。
図1は、本明細書の実施例で使用したN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼの至適pHを示すグラフである。 図2は、本明細書の実施例で使用したN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼの至適温度を示すグラフである。 図3は、本明細書の実施例で使用したN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼのpH安定性を示すグラフである。 図4は、本明細書の実施例で使用したN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼの熱安定性を示すグラフである。 図5は、本明細書の実施例で使用したN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼに対するpHの影響を示すグラフである。

Claims (14)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 2005095167
    (式中、Aは、鎖長が1〜6原子であり、硫黄原子、酸素原子および窒素原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を鎖中または末端に含んでいてもよく、かつ、
    置換されていてもよいアルキル鎖を示す)で表される1位に二重結合をもつ環状アミノ酸に、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼまたはそれを含む細胞、同細胞の調製物もしくは同細胞を培養して得られた培養液を作用させて、下記一般式(II)
    Figure 2005095167
    (式中、Aは前記と同義である)で表されるL体環状アミノ酸を生成させることを特徴とする、L体環状アミノ酸の製造方法。
  2. N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼが、以下の(A)、(B)、または(C)に示すポリペプチドである、請求項1に記載の製造方法:
    (A)配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチド;
    (B)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1から複数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチド;又は
    (C)配列番号1で表されるアミノ酸配列と50%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチド;
  3. N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼが、以下の理化学的性質を有するN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼである、請求項1に記載の製造方法:
    (A)作用:NADPHおよび/又はNADHを補酵素としてピルビン酸とアルキルアミン又はジアルキルアミンからN−アルキル−L−アラニンを生成する;
    (B)基質特異性:アルキルアミン又はジアルキルアミンに対して活性を示すがアンモニアには活性を示さない;
    (C)フェニルピルビン酸とメチルアミンとを基質とした場合の至適pHが10付近;及び、
    (D)30℃で30分処理したときの酵素が安定であるpHが5〜10.5付近:
  4. N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼを含む細胞が、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼをコードするDNAで形質転換された細胞である、請求項1に記載の製造方法。
  5. N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼをコードするDNAが以下の(A)、(B)
    または(C)に示すタンパク質をコードするDNAである、請求項4に記載の製造方法:
    (A)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、または
    (B)配列番号1に記載のアミノ酸配列と50%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
    (C)配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が置換、欠失もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
  6. N−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼをコードするDNAが以下の(D)、(E)または(F)に示すDNAである、請求項4に記載の製造方法:
    (D)配列番号2に記載の塩基配列を有するDNA、または
    (E)配列番号2に記載の塩基配列またはその相補配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
    (F)配列番号2に記載の塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失もしくは
    付加された塩基配列及びその相補鎖からなり、かつN−メチル−L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  7. 前記一般式(I)および(II)で表される化合物において、Aが炭素数1〜4の直鎖状のアルキル鎖であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記一般式(I)および(II)で表される化合物において、Aが、−CHOHCH2−、
    −CH2CHOHCH2−、−SCH2−、−SC24−、−SC36−、−OCH2−、−OC24−、−OC36−、−NHCH2−、−NHC24−、−NHC36−、−NH
    CH2CHCOOH−、−C24NHCO−、−C24NHCN−、−C24CHCOO
    H−、−SCH2CHCOOH−、−SC24CHCOOH−、−C36NHCH2CHCOOH−、−NHCHCOOHCH2−、および−CH2NHCHCOOHC24−よりなる群から選ばれるヘテロ原子を含むアルキル鎖であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 前記一般式(I)および(II)で表される化合物において、Aが好ましくは、炭素数2〜4の直鎖状のアルキル鎖(-C24-、−C36-、-C48-)、-CHOHCH2-、-C24CHOHCH2-、-SCH2-、-SC24-、-SC36-、-OC24-、よりなる群から選ばれるヘテロ原子を含むアルキル鎖であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 下記一般式(III)
    Figure 2005095167
    (式中、Aは前記と同義である)で表される鎖状のα,ω−ジアミノ酸に、ジアミノ酸のα位のアミノ基をケト基に変換しαケト酸を生成することのできる酵素を反応させ、下記一般式(I)
    Figure 2005095167
    (式中、Aは前記と同義である)で表される1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を生成させた後、得られた1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法により、下記一般式(II)
    Figure 2005095167
    (式中、Aは前記と同義である)で表されるL体環状アミノ酸を生成させることを特徴とする、L体環状アミノ酸の製造方法。
  11. ジアミノ酸のα位のアミノ基をケト基に変換しαケト酸を生成することのできる酵素が、D−アミノ酸オキシダーゼ、L−アミノ酸オキシダーゼ、D−アミノ酸デヒドロゲナーゼ、L−アミノ酸デヒドロゲナーゼ、D−アミノ酸トランスフェラーゼ、および、L−アミノ酸トランスフェラーゼよりなる群から選ばれる酵素である請求項10に記載のL体環状アミノ酸の製造方法。
  12. 下記一般式(IV)
    Figure 2005095167
    (式中、Aは前記と同義である)で表される環状アミノ酸に、1位のアミノ基を酸化できる酵素を作用させ、下記一般式(I)
    Figure 2005095167
    (式中、Aは前記と同義である)で表される1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を生成させた後、得られた1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法により、下記一般式(II)
    Figure 2005095167
    (式中、Aは前記と同義である)で表されるL体環状アミノ酸を生成させることを特徴とする、L体環状アミノ酸の製造方法。
  13. 環状アミノ酸の1位のアミノ基を酸化し、1位に二重結合をもつ環状アミノ酸を生成することのできる酵素が、D−アミノ酸オキシダーゼ、D−アミノ酸デヒドロゲナーゼ、およびD−アミノ酸トランスフェラーゼよりなる群から選ばれる酵素である、請求項12に記載のL体環状アミノ酸の製造方法。
  14. 下記化学式に示す環状アミノ酸[1,4] チアゼパン−3−カルボン酸([1,4]thiazepane-3-carboxylic acid)。
    Figure 2005095167





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