JP2005088016A - ダイカストマシン用複合スリーブ - Google Patents

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Takahiro Gama
隆弘 蒲
Takeshi Mihashi
剛 三橋
Tetsuya Nukami
哲也 額見
Hiroyuki Kameda
弘之 亀田
Akira Dobashi
彰 土橋
Tetsuo Kubota
哲雄 窪田
Hiroshi Kawai
宏 河井
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Abstract

【課題】ダイカストマシン用スリーブにセラミックスを適用して耐溶損性,耐摩耗性等を高め改良された耐用寿命を得る。
【解決手段】このスリーブは、前部筒体(10)とその後端側に連結された後部筒体(20B)とを有し、後部筒体(20B)は、低熱膨張性材料の外筒(21)の内側にセラミックスの内筒(22)を焼嵌めた積層筒体(23)と、該積層筒体(23)を包囲する保持筒体(24)とからなり、前記低熱膨張性材料の常温〜600℃の熱膨張率が5〜7×10−6/℃、低熱膨張性材料とセラミックスとの常温〜600℃の熱膨張率差が2〜4.5×10−6/℃であり、積層円筒体(23)と保持筒体(24)の界面は隙間(25)を有する。前部筒体(10)と後部筒体(20B)とは前部筒体(10)の前記円環状突出部(10)と後部筒体(20B)の円環状突出部(21)においてねじで連結されている。保持筒体(24)を省略し積層円筒体(23)を後部筒体(20B)として前部筒体(10)にねじで連結してもよい。
【選択図】図3

Description

本発明は、アルミニウム合金等の非鉄金属の射出鋳造装置であるダイカストマシンを構成するプランジャースリーブの改良に関するものである。
ダイカストマシンに設置されるスリーブ(1)は、図6に示すように、溶融金属(M)を注入する給湯口(27)を後端側に有する円筒体であり、その中空孔内をプランジャーチップ(2)が進退駆動される。スリーブ(1)は、ダイカストマシン本体(5)の金型(51)に連通し、給湯口(27)を有する後端側はプラテン(ダイプレート)(52)の外側に突出するように設置される。給湯口(27)からスリーブ(1)内に供給される金属溶湯(M)はプランジャーチップ(2)を介して金型(51)内に射出(加圧注入)される。
スリーブ(1)の内周面は、金属溶湯に対する溶損抵抗性及びプランジャーチップ(2)の往復摺動に対する摩耗抵抗性等を必要とする。スリーブ(1)の内面が溶損や摩耗による損傷を受けると、スリーブ(1)とプランジャーチップ(2)との摺接界面に溶湯の差込みが生じ、摺動抵抗の増大、金型(51)への射出速度の低下等をきたし、鋳造操業の円滑性が損なわれると共に、製品品質の低下等を招くことになる。従来、スリーブ(1)としてSKD61に代表される熱間工具鋼(JIS-G4404)製シリンダーが使用されてきた。そのスリーブ(1)は、非鉄金属溶湯に対する比較的良好な耐溶損性、耐摩耗性等を備えているが、耐溶損性等をより高めるための改良策として、図7に示すように、金属円筒(61)の内側にセラミックス円筒(62)を焼嵌めて積層構造とすることが知られている。
上記積層スリーブ(1)の構成において留意すべき事項は、金属の熱膨張率(例えばSKD61工具鋼:約12×10−6/℃)が、セラミックスの熱膨張率(例えば窒化珪素質セラミックス:約1.5-3×10−6/℃)に比し著しく大きく、このため金属溶湯の接触により、例えば400-450℃の高温域に昇温すると、金属外筒(61)とセラミックス内筒(62)との焼嵌め効果が低減し、セラミックス内筒(62)の保持状態が不安定になることである。その解決策として、図5のグラフ「イ」に示す低熱膨張率のセラミックス(窒化珪素質セラミックス)を内筒(62)に適用する一方、外筒(61)の金属材料としてグラフ「ロ」のように、低温域(常温〜約300℃)の熱膨張率が低く、高温域(約300℃〜600℃)の熱膨張率が大きい材料を適用すると共に、その外筒(61)と内筒(62)とを、熱膨張量の差が大きい550〜600℃の高温域で焼嵌めすることとした積層スリーブが提案されている。
特許第3093558号公報
金属外筒(61)とセラミックス内筒(62)とを焼嵌めした積層スリーブには、次のような問題がある。一つはスリーブ(1)に、図9の鎖線に示すような軸方向の反り変形Dや、図10の鎖線に示す径方向断面形状のゆがみDが生じ易いことである。これは、スリーブ(1)に供給される金属溶湯(M)が、スリーブ内に図8のように貯留されるため、スリーブの上側部と下側部とに温度差が生じ、しかも上側部と下側部とで断面形状が異なる(上側部には給湯口27が開口している)等により生じる熱ひずみである。このようなスリーブの変形は、プランジャーチップ(2)の円滑な往復運動の妨げとなり、またセラミックス内筒(62)の割れ発生、スリーブ及びプランジャーチップの摩耗損傷の助長等、これら部材の耐用寿命・鋳造操業に悪影響を及ぼす。
更に、前記図5の「イ」の熱膨張率を有するセラミックス内筒(62)と「ロ」の熱膨張率を有する金属外筒(61)とを、前記のように高温焼嵌め(約550-600℃)して積層スリーブを組み立てようとすれば、焼嵌め後の冷却時にセラミックス内筒(62)に対し過大な焼嵌め応力(セラミックスの割損を誘起する)が作用し易く、これを回避するには焼嵌め操作に厳密な温度管理を必要とする等、焼嵌めコントロールが難しく、また実機使用においては、300℃を越える高温域に加熱された場合、金属外筒(61)の急激な熱膨張により焼嵌め効果が急速に低減し、金属外筒(61)のセラミックス内筒(62)に対する保護機能が損なわれることになる。
本発明は、セラミックス−金属の積層構造を有するダイカストマシン用スリーブに関する上記問題を解消し、セラミックスの機能を効果的に発揮させ、耐久性及び鋳造操業の安定性を高めることを目的としてなされたものである。
本発明に係る第1のダイカストマシン用複合スリーブは、
前部筒体(10)と、その後端部に軸心を一致して連結された給湯口を有する後部筒体(20A)とからなり、後部筒体(20A)は、低熱膨張性材料からなる外筒(21)の内側に、セラミックスからなる内筒(22)が焼嵌めされた積層筒体であって、前記低熱膨張性材料の常温〜600℃における熱膨張率が5×10−6〜7×10−6/℃、及び前記セラミックスと低熱膨張性材料との常温〜600℃における熱膨張率差が2×10−6〜4.5×10−6/℃であることを特徴としている(請求項1)。
本発明の第2のダイカストマシン用複合スリーブは、
前部筒体(10)と、その後端側に軸心を一致して連結された給湯口を有する後部筒体(20B)とを有し、後部筒体(20B)は、低熱膨張性材料からなる外筒(21)の内側にセラミックスからなる内筒(22)が焼嵌めされた積層筒体(23)と、該積層筒体(23)を包囲する保持筒体(24)とからなり、前記低熱膨張性材料の常温〜600℃における熱膨張率が5×10−6〜7×10−6/℃、及び前記セラミックスと低熱膨張性材料との常温〜600℃における熱膨張率差が2×10−6〜4.5×10−6/℃であり、積層円筒体(23)と保持筒体(24)との円周界面は隙間(25)を有することを特徴としている(請求項3)。
後部筒体(20)の構成部材である低熱膨張性材料からなる外筒(21)の熱膨張率(α)は常温〜600℃の温度範囲において5×10−6〜7×10−6/℃であり、これを図5のグラフ「ハ」に示す。この外筒(21)に焼嵌めされる内筒(22)はセラミックスからなり、その熱膨張率(α)は、同図のグラフ「イ」に示されるように常温〜600℃の温度範囲において約1.5×10〜3×10−6/℃と低く、温度による変化は少ない。この外筒(21)と内筒(22)との熱膨張率の差(Δα=α)は、常温から600℃に至る広い温度域に亘って、約2×10−6〜4.5×10−6/℃と小さく安定している。
上記熱膨張率の規定の効果として、外筒(21)とセラミックス内筒(22)の焼嵌めの冷却過程で、セラミックス内筒(22)に割れを生じるような過大な応力が作用することはなく、高温焼嵌めの実施も可能であり、焼嵌めコントロールが容易である。また実機使用(通常のダイカスト操業におけるスリーブ外側面の到達温度や約300℃前後である)において、かりに300℃を越えるような高温域に加熱されるような場合にも、焼嵌め効果は損なわれず、低熱膨張性の外筒(21)とセラミックス内筒(22)との積層一体構造が安定に保持される。更に外筒(21)の低熱膨張性により反り変形(図9)や梨型変形(図10)の熱歪みも緩和解消される。
低熱膨張性の外筒(21)とセラミックス内筒(22)とを焼嵌めした積層円筒体(23)を、保持筒体(24)で包囲した構成を有する第2のスリーブにおいて、仮に実機使用過程で、保持筒体(24)に反り変形(図9)や梨型変形(図10)を生じることがあっても、積層円筒体(23)と保持筒体(24)との間に円周隙間(25)が与えられていることにより、保持筒体(24)の変形が積層円筒体(24)の形状に影響を及ぼすことがなく、積層円筒体(23)の真円真直のシリンダー形状は安定に保持される。
従来、ダイカストマシン用スリーブの実機使用における溶損・摩耗等は、給湯口(27)付近に集中して発生する現象であり、スリーブの耐用寿命を左右しているのはこの部分に生じる損傷の進み具合である。従ってセラミックスを適用するに当ってこれをスリーブの全長に及ぼす必要はない。本発明はスリーブの後部(後部筒体)に限定して適用することにより、後記のようにダイカストマシン用スリーブに要求される十分な強度・堅牢性を保持しつつ、耐用寿命の飛躍的な改善効果を確保することを可能にしている。
図1は本発明に係る第1のスリーブの例を示し、図2はそのI-I矢視断面を示している。このスリーブ(1)は、前部筒体(10)と、給湯口(25)を有する後部筒体(20)とからなり、両者は互いの軸心を一致させて同軸上に連結されている。後部筒体(20)は、低熱膨張性の外筒(21)とその内側のセラミックス内筒(22)とからなる積層円筒体である。外筒(21)とセラミックス内筒(22)とは焼嵌めにより嵌着一体化されている。
上記スリーブ(1)において、後部筒体(20)(低熱膨張性の外筒21とセラミックス内筒22の焼嵌め積層筒体)のセラミックス内筒(22)は、前端部にフランジ(22a)を有し、外筒(21)には前記フランジ(22a)に係合する拡径段差(21b)が形設されている。また、外筒(21)の前縁には、前部筒体(10)に向って突出する円環状突出部(21)が形成されていると共に、その円環状突出部(21)に内ねじ(図示せず)が設けられている。これに対応して前部筒体(10)の後縁には、後部筒体(20)に向って突出する円環状突出部(10)が形成され、その円環状突出部(10)に外ねじ(図示せず)が設けられている。前部筒体(10)と後部筒体(20)とは、互いの円環状突出部(10)(21)を螺着することにより同軸上に連結される。そのねじの締付けによりセラミックス内筒(22)の前端面は前部筒体(21)の円環突出部(20)の端面に押圧される。なお、前部筒体(10)と後部筒体(20)の連結構造について、図では、前部筒体(10)の円環状突出部(10)を、後部筒体(20)の外筒(21)の円環状突出部(21)の内側に挿入した形態を示しているが、2つの円環状突出部(10)と(21)とは、その嵌め合いの内外の関係を図示のそれとは逆にした連結構造を採用してもよい。
更に、後部筒体(20)の尾端面には止め板(40)があてがわれる。止め板(40)は、熱間工具鋼(例えばSKD61)等からなるリング状板部材であり、周縁部の複数個所において、ボルト(41)により後部筒体(20)の低熱膨張性の外筒(21)に固定される。これによりセラミックス内筒(22)は、前部筒体(10)の円環状突出部(10)の端面と、止め板(40)の板面との間に軸方向に挟着固定される。このように前部筒体(10)と後部筒体(20)との連結及び止め板(40)の取り付けを行なうことによりスリーブ(1)の組み立てを完成する。プランジャーチップ(2)(図6)は止め板(40)の開口を介してスリーブ内に挿通される。
図3は、本発明に係る第2のスリーブの例を示し、図4はそのII-II矢視断面を示している。
このスリーブ(1)は、前部筒体(10)と給湯口(27)を有する後部筒体(20)とからなり、両者は互いの軸心を一致させて連結されている。その後部筒体(20)は、積層円筒体(23)とその外周面を包囲する保持筒体(24)とで構成されており、積層円筒体(23)は、低熱膨張性の外筒(21)とその内側に焼嵌めされたセラミックス内筒(22)とからなる。積層円筒体(23)と保持筒体(24)との間には円周隙間(27)が与えられている。
上記積層円筒体(23)(低熱膨張性の外筒21とこれに焼嵌めされたセラミックス内筒22とからなる)のセラミックス内筒(22)は、前端部にフランジ(22a)を有し、外筒(21)には該フランジ(22a)に係合する拡径段差(21b)が形成されている。また該積層円筒体(23)を包囲する保持筒体(24)の前部には、前記外筒(21)のフランジ(22a)に係合する拡径段差(24b)が設けられており、該拡径段差部(24b)に積層円筒体(23)のフランジ部が嵌合保持されている。
上記後部筒体(20)の保持筒体(24)の前縁には、前部筒体(10)に向って突出する円環状突出部(24)が形成されていると共に、該円環状突出部(24)に内ねじ(図示せず)が設けられている。これに対応して、前部筒体(10)の後縁には、後部筒体(20)に向う円環状突出部(10)が形成され、その円環状突出部(10)に外ねじ(図示せず)が設けられている。前部筒体(10)と後部筒体(20)とは、互いの円環状突出部(10)と(24)との螺合により同軸上に連結される。そのねじの締付けにより積層円筒体(23)の前端面は前部筒体(10)の円環状突出部(10)の端面に押圧される。なお、図3に示した前部筒体(10)と後部筒体(20)との連結構造は、前部筒体(10)の円環状突出部(10)を、保持筒体(24)の円環状突出部(24)の内側に挿入するようにした形態を有しているが、2つの円環状突出部(10)と(24)とは、その嵌め合いの内外の関係を図示のそれとは反転した連結構造としてもよい。
更に、上記後部筒体(20)の尾端面には止め板(40)があてがわれる。止め板(40)は、前記図1のスリーブ(1)におけるそれと同様の材種、例えば熱間工具鋼(例えばSKD61)等からなるリング状板部材であり、周縁部の複数個所において、ボルト(41)で後部筒体(20)の保持筒体(24)に固定される。これにより、積層円筒体(23)は、前部筒体(10)の円環状突出部(10)の端面と止め板(40)の板面との間に軸方向に挟着固定される。このように前部筒体(10)と後部筒体(20)との相互連結、及び止め板(40)の取り付けによりスリーブ(1)の組み立てを完成する。プランジャーチップ(2)(図6)は止め板(40)の開口を介してスリーブ内に挿通される。
上記後部筒体(20)の保持筒体(24)は、積層円筒体(23)を包囲して積層円筒体(23)の器物との接触及び毀損を防止すると共に、前部筒体(10)との連結を行なう役目を有する。この保持筒体(24)と積層円筒体(23)との間には、円周隙間(25)が与えられている。隙間(25)を設けるのは、積層円筒体(23)の変形(図9の軸方向変形D,図10の径方向断面の変形D)を回避するためである。というのは、保持筒体(24)は積層筒体(23)に比し熱膨張率が大きいので、スリーブ(1)の実機使用時に、前部筒体(10)からの伝導伝熱等による変形(D,D)を生じ易く、従って積層円筒体(23)が保持筒体(24)に拘束(密着嵌合)されていると、保持筒体(24)の変形とともに積層円筒体(23)も変形することになる。そこで隙間(25)を設けて積層筒体(23)に対する保持筒体(24)の拘束をなくし、積層円筒体(23)の変形を回避するようにしているのである。隙間(25)の大きさは、約0.5〜1mm程度であってよい。隙間(25)には所望により緩衝材料としてセラミックス繊維等が装填される。
前部筒体(10)は、従来の一般的なスリーブ材料であるSKD61に代表される熱間工具鋼(JIS-G4404)をはじめとし、窒化鋼(JIS-G4202)、高速度鋼(JIS-G4403)等の各種鉄系材料からなるシリンダー(遠心鋳造等による鋳造体又は熱間等方加圧焼結体等)であってよい。
後部筒体(20)(20,20)の内筒(22)はセラミックス焼成品である。セラミックス材種は、耐溶損性,耐摩耗性等の点から、窒化珪素、サイアロン等の窒化珪素質セラミックスが好ましい。その常温〜600℃における熱膨張率は約1.5×10−6〜3×10−6/℃である。低熱膨張性の外筒(21)とセラミックス内筒(22)とは焼嵌めにより一体化される。その焼嵌めは、約300〜500℃の広い温度域を採用することができる。
後部筒体(20)の保持筒体(24)は、前部筒体(10)と同様に、SKD61に代表される熱間工具鋼をはじめとする各種の鉄系材料からなるシリンダー(遠心鋳造等による鋳造体又は熱間等方加圧焼結体等)である。好ましくはSKD61等の熱間工具鋼からなるシリンダーが使用される。
後部筒体(20)(20,20)の外筒(21)を形成する材料は、低熱膨張性と併せてスリーブ材料としての耐熱性・機械強度を有するものであり、これは公知の材料から適宜選択することができる。具体例として、タングステン合金(α:約5×10−6〜6×10−6/℃)例えばW-3%Ni-2%Cu合金、モリブデン合金(α:約5×10−6〜6×10−6/℃)例えばMo-2%Ni合金、チタン合金(α:約6×10−6〜7×10−6/℃)例えばTi-40%Mo合金、超硬合金(α:約5×10−6〜6×10−6/℃)例えばWC-12%CoのWC系超硬合金等の金属材料が挙げられる。また、上記金属材料のほか、CCコンポジット(α:約5×10−6〜6×10−6/℃)を適用することができる。このものは炭素繊維とその繊維間隙に浸潤されたピッチとの混合物を加圧加熱下に処理して形成される炭素質の固結体であり、低熱膨張性と併せてスリーブ材料としての耐熱性・機械強度を備えている。
本発明のスリーブ(1)(1A,1B)の前部筒体(10)と後部筒体(20)(20A,20B)との分割位置(=連結位置)は、ダイカストマシン本体(5)(図6)におけるプラテン(ダイプレート)(52)の外側面(53)の付近(外側面53に略一致させてよい)とし、プラテン(52)から外側に突出する筒体部分を後部筒体(20)(20A,20B)、その前方部分(ダイカストマシン本体に内包されて固定される部分)を前部筒体(10)とするのが好ましい。このような分割構造とすることにより、次のようにダイカストマシン用スリーブに必要な強度・堅牢性を確保しつつ、セラミックス内筒(22)の積層構造による耐溶損性等の改良効果を十分に発揮させることができる。
スリーブ(1)に供給された金属溶湯を金型(51)内に圧入する際のプランジャーチップ(2)の加圧操作は、プランジャーチップ(2)が給湯口(27)より前方に進出した位置(前部筒体10内)で行なわれる。前部筒体(10)を前記のように工具鋼製の単層筒体としておけば、加圧操作時に発生する高圧力の衝撃に耐える十分な強度・堅牢性が保証される。しかも、その衝撃はプランジャーチップ(2)のうしろ側の後部筒体(20)(20、20)には直接的に作用しないので、後部筒体(20)におけるセラミックス内筒(22)と外筒(21)を衝撃から保護し、その積層構造を安定に保持することができる。
スリーブ(1)の耐用寿命を左右するスリーブ内面の溶損・摩耗は、給湯口付近に集中して発生する現象であり、従ってスリーブの全長に亘ってセラミックスを適用する必要はなく、後部側(後部筒体20)に限定して適用するだけで耐用寿命の飛躍的向上が可能である。そのセラミックス内筒(22)を保持する外筒(21)の低熱膨張性材料は、従来のスリーブ材料(SKD61工具鋼)に比しかなり高価な材料であるので、後部側(後部筒体20)のみを積層構造とし、前方部分(前部筒体10)は従来と同様の工具鋼製単層筒体(前部筒体10)とすれば、コストアップを抑えながら上記積層構造に基づく改良効果を確保することができる。
ダイカストマシン(型締力2500ton)用スリーブ(全長1000mm,中空孔径150mm)を製作。前部筒体(10)と後部筒体(20)の分割位置はプラテン外側面位置である。
[実施例1(供試スリーブA)](図1,図2)
前部筒体:材種 SKD61
サイズ 軸長700mm,肉厚50mm
後部筒体(外筒-内筒の焼嵌め積層筒体)
軸長(前部筒体と止め板に挟まれた部分)300mm
外筒:材種 タングステン合金(3%Ni-2%Cu-W)
肉厚 10mm
内筒:材種 窒化珪素質セラミックス(5%MgAlO-5%ZrO-SiN
肉厚 15mm
焼嵌め温度:450℃
[実施例2(供試スリーブB)](図1,図2)
前部筒体:材種 窒化鋼SACM645
サイズ 軸長700mm,肉厚50mm
後部筒体(外筒-内筒の焼嵌め積層筒体)
軸長(前部筒体と止め板に挟まれた部分)300mm
外筒:材種 タングステン合金(3%Ni-2%Cu-W)
肉厚 10mm
内筒:材種 窒化珪素質セラミックス(5%MgAlO-5%ZrO-SiN
肉厚 15mm
焼嵌め温度:450℃
[実施例3(供試スリーブC)](図3,図4)
前部筒体:材種 SKD61
サイズ 軸長700mm, 肉厚50mm
後部筒体(外筒-内筒の焼嵌め積層筒体が保持筒体で包囲されている)
軸長(前部筒体と止め板に挟まれた部分)300mm
外筒:材種 モリブデン合金(2%Ni-Mo)
肉厚 10mm
内筒:材種 窒化珪素質セラミックス(5%MgAlO-5%ZrO-SiN
肉厚 15mm
焼嵌め温度:450℃
保持筒体:材種 SKD61
肉厚 40mm
隙間(s):隙間幅0.5mm, AlO-SiOセラミックス繊維装填
[実施例4(供試スリーブD)](図3,図4)
前部筒体:材種 窒化鋼SACM645
サイズ 軸長700mm, 肉厚50mm
後部筒体(外筒-内筒の焼嵌め積層筒体が保持筒体で包囲されている)
軸長(前部筒体と止め板に挟まれた部分)300mm
外筒:材種 モリブデン合金(2%Ni-Mo)
肉厚 10mm
内筒:材種 窒化珪素質セラミックス(5%MgAlO-5%ZrO-SiN
肉厚 15mm
焼嵌め温度:450℃
保持筒体:材種 SKD61
肉厚 40mm
隙間(s):隙間幅0.5mm, AlO-SiOセラミックス繊維装填
[実機使用試験]
アルミ合金(JIS-H5302 ADC-12)の加圧鋳造に使用。
給湯温度 :680℃
鋳造サイクルタイム:2分。
各供試スリーブA〜Dのいずれも、10000ショット以上の安定した鋳造を行なうことができ、なお継続使用の可能な状態を保持していることが観察された。
本発明によれば、ダイカストマシン用スリーブの給湯口付近における溶損,摩耗等の損傷及び熱変形とそれに起因する損傷等が効果的に抑制防止される。特にセラミックス内筒と金属外筒の熱膨張率の規定により、焼嵌めコントロールの困難を解消し、焼嵌めにおけるセラミックス内筒の破損防止、実機使用時の昇温に伴う焼嵌めの緩み防止および金属外筒の変形とそれに因るセラミックス内筒の破損防止を可能にすると共に、前部筒体と後部筒体との分割(連結)構造により、ダイカストマシンのスリーブとして必要な強度・堅牢性を保証しつつ、セラミックスによる高度の溶損抵抗性・摩耗抵抗性を確保し、スリーブの耐用寿命の飛躍的向上、加圧鋳造操業の効率化、メンテナンスの軽減、鋳造品質の向上安定化等の効果を得ることを可能にするものである。
本発明のスリーブの実施例を示す軸方向要部断面図である。 図1のスリーブのI-I矢視断面図である。 本発明のスリーブの実施例を示す軸方向要部断面図である。 図3のスリーブのII-II矢視断面図である。
外筒を形成する低熱膨張性材料及び内筒を形成するセラミックスの熱膨張率を示すグラフである。 ダイカストマシン本体を示す要部断面説明図である。 従来の金属-セラミックス積層スリーブを示す軸方向断面説明図である。 スリーブ内に供給された金属溶湯の貯留状態を示す断面説明図である。 スリーブの熱変形(軸方向反り変形)を模式的に示す断面説明図である。 スリーブの熱変形(径方向変形)を模式的に模式的に示す断面説明図である。
符号の説明
1,1A,1B:スリーブ
2 :プランジャーチップ
10:スリーブの前部筒体
10:前部筒体の円環状突出部
20(20A, 20B):スリーブの後部筒体
21 :低熱膨張性の外筒
21:外筒の円環状突出部
21a:外筒のフランジ
21b:外筒の拡径段差部
22:セラミックス内筒
22a:セラミックス内筒のフランジ
23:外筒-内筒の焼嵌め積層円筒体
24:保持筒体
24:保持筒体の円環状突出部
24b:保持筒体の拡径段差部
25:円周隙間(積層円筒体23と保持筒体24間のスペース)
26:円周隙間の充填セラミックス繊維シート
27:給湯口
40:止め板
41:ボルト
5:ダイカストマシン本体
51:金型
52:プラテン(ダイプレート)
61:金属円筒
62:セラミックス円筒

Claims (8)

  1. 前部筒体(10)とその後端部に軸心を一致して連結された給湯口を有する後部筒体(20A)、及び後部筒体(20A)の尾端面に取付けられた止め板(40)を有し、後部筒体(20A)は、低熱膨張性材料からなる外筒(21)の内側に、セラミックスからなる内筒(22)が焼嵌めされた積層筒体であって、前記低熱膨張性材料の常温〜600℃における熱膨張率が5×10−6〜7×10−6/℃、及び前記セラミックスと低熱膨張性材料との常温〜600℃における熱膨張率差が2×10−6〜4.5×10−6/℃であることを特徴とするダイカストマシン用複合スリーブ。
  2. 後部筒体(20A)の外筒(21)は前縁に円環状突出部(21)を、前部筒体(10)は後縁に円環状突出部(10)をそれぞれ有し、前部筒体(10)と後部筒体(20A)とは、前記円環状突出部(10)と(21)との螺合により連結されていると共に、内筒(22)は、前部筒体(10)の円環状突出部(10)の端面と、後部筒体(10)の尾端面に取り付けられた止め板(40)との間に軸方向に挟着保持されていることを特徴とする請求項1に記載のダイカストマシン用複合スリーブ。
  3. 前部筒体(10)とその後端側に軸心を一致して連結された給湯口を有する後部筒体(20B)、及び後部筒体(20B)を有し、後部筒体(20B)は、低熱膨張性材料からなる外筒(21)の内側にセラミックスからなる内筒(22)が焼嵌めされた積層筒体(23)と、該積層筒体(23)を包囲する保持筒体(24)とからなり、前記低熱膨張性材料の常温〜600℃における熱膨張率が5×10−6〜7×10−6/℃、及び前記セラミックスと低熱膨張性材料との常温〜600℃における熱膨張率差が2×10−6〜4.5×10−6/℃であり、積層円筒体(23)と保持筒体(24)との円周界面は隙間(25)を有することを特徴とするダイカストマシン用複合スリーブ。
  4. 積層円筒体(23)と保持筒体(24)との間隙(25)にセラミックス繊維シート(26)が装填されていることを特徴とする請求項3に記載のダイカストマシン用複合スリーブ。
  5. 後部筒体(20B)の保持筒体(24)は前縁に円環状突出部(24)を、前部筒体(10)は後縁に円環状突出部(10)を有し、前部筒体(10)と後部筒体(20B)とは、前記円環状突出部(10)と(24)との螺合により連結されていると共に、積層円筒体(23)は前部筒体(10)の円環状突出部(10)の端面と、後部筒体(20B)に取り付けられた止め板(40)との間に軸方向に挟着保持されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のダイカストマシン用複合スリーブ。
  6. 前部筒体(10)と後部筒体(20A) 又は(20B)との連結位置は、ダイプレートの外側面に略一致している請求項1〜5のいずれか1項に記載のダイカストマシン用複合スリーブ。
  7. 前記低熱膨張性材料は、タングステン合金、モリブデン合金、チタン合金、超硬合金又はCCコンポジットであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のダイカストマシン用複合スリーブ。
  8. 内筒(22)は、窒化珪素又はサイアロン等の窒化珪素質セラミックス焼結品であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のダイカストマシン用複合スリーブ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015083319A (ja) * 2013-09-19 2015-04-30 日立金属株式会社 ダイカスト用スリーブ
JP2016159333A (ja) * 2015-03-03 2016-09-05 日立金属株式会社 ダイカスト用スリーブ
CN108097920A (zh) * 2018-01-31 2018-06-01 宁波海天金属成型设备有限公司 钛合金料筒结构
WO2023055012A1 (ko) * 2021-09-29 2023-04-06 주식회사 상익기공 부분 교체가 가능한 다이캐스팅용 슬리브

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