本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、クライアント端末同士がサーバを介さずに通信を行うことでコンテンツの流通を促進するとともに、コンテンツの流通に応じて著作権を有する者に確実に対価を支払うことができるコンテンツ流通システムを提供することを課題とする。
本発明の1つの観点では、ネットワークを介して端末装置と通信可能であり、データを暗号化するための共通暗号鍵及びデータを復号化するための共通復号鍵を保有するサーバ装置であって、複数のデータから構成されるコンテンツを前記共通暗号鍵で暗号化して、暗号化コンテンツを作成する暗号化コンテンツ作成手段と、作成した前記暗号化コンテンツと、前記コンテンツの識別情報と、前記共通復号鍵と、前記コンテンツの料金に関する課金情報と、を構成要素とする共通コンテンツ情報を作成する共通コンテンツ情報作成手段と、前記共通コンテンツ情報を前記端末装置へ送信する送信手段と、を備える。
上記のように構成されたサーバ装置は、データを暗号化するための共通暗号鍵と、暗号化されたデータを復号化するための共通復号鍵とをペアで保有している。まず、サーバ装置は、共通暗号鍵を使用してコンテンツを暗号化することで暗号化コンテンツを作成する。そして、サーバ装置は、暗号化コンテンツ、コンテンツ識別情報、共通復号鍵及び課金情報を合体させて共通コンテンツ情報を作成し、ユーザが使用する端末装置へ送信する。つまり、サーバ装置は、コンテンツのデータを直接端末装置に配信するのではなく、共通暗号鍵を使用して暗号化コンテンツとし、当該暗号化コンテンツを共通復号鍵や課金情報に基づいて加工した状態で端末装置に配信している。
これによれば、加工された共通コンテンツ情報を受信した端末装置は、コンテンツのデータ以外の構成要素である共通復号鍵等に基づいて当該端末装置に専用のコンテンツ情報を容易に作成することができる。つまり、コンテンツは所定の端末装置専用のコンテンツ情報として配信されるため、ユーザは、当該コンテンツを実行する場合であっても当該端末装置を使用して所定のライセンスサーバ等に接続する必要はない。よって、ユーザの利便性の向上を図ることができる。また、端末装置は共通コンテンツ情報の構成要素としてコンテンツの料金に関する情報を取得することができるため、ネットワークを介して所定のサーバに接続することなく、当該コンテンツの利用料を容易に把握することができる。
本発明の他の観点では、ネットワークを介して通信可能な端末装置であって、前記端末装置は、データを暗号化するための鍵であって前記端末装置に特有の第1暗号鍵を保有しており、データを復号化するための共通復号鍵と、複数のデータから構成されるコンテンツがデータを暗号化するための共通暗号鍵により暗号化された暗号化コンテンツと、前記コンテンツの識別情報と、を構成要素とする共通コンテンツ情報を取得する共通コンテンツ情報取得手段と、前記共通コンテンツ情報に含まれる前記共通復号鍵を前記第1暗号鍵で暗号化することにより、第1暗号化共通鍵を作成する第1暗号化共通鍵作成手段と、前記共通コンテンツ情報に含まれる前記暗号化コンテンツ及び前記コンテンツの識別情報と、作成した前記第1暗号化共通鍵と、を構成要素とする第1コンテンツ情報を作成する第1コンテンツ情報作成手段と、前記第1コンテンツ情報を記憶する第1記憶手段と、を備える。
上記のように構成された端末装置は、まず、保有している第1暗号鍵を使用して共通コンテンツ情報に含まれる共通復号鍵を暗号化することにより、第1暗号化共通鍵を作成する。そして、端末装置は、第1暗号化共通鍵、暗号化コンテンツ及びコンテンツ識別情報を合体させて、当該端末装置に専用の第1コンテンツ情報を作成し、記憶する。これによれば、端末装置は、共通コンテンツ情報の構成要素である共通復号鍵を当該端末装置に特有の第1暗号鍵を使用して暗号化することにより、容易に専用のコンテンツ情報を作成することができる。つまり、コンテンツは所定の端末装置に専用のコンテンツ情報として記憶されているため、ユーザは、当該コンテンツを実行する場合であっても所定のライセンスサーバ等に接続する必要はない。よって、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
上記端末装置の一態様では、前記端末装置は前記第1暗号鍵により暗号化されたデータを復号化するための第1復号鍵を保有しており、前記第1コンテンツ情報に含まれる前記第1暗号化共通鍵を、前記第1復号鍵により復号化する鍵復号化手段と、前記第1コンテンツ情報に含まれる暗号化コンテンツを、前記鍵復号化手段が復号化した前記共通復号鍵により復号化するコンテンツ復号化手段と、復号化した前記コンテンツを実行するコンテンツ実行手段と、をさらに備える。
上記のように構成された端末装置は、データを暗号化するための第1暗号鍵と、暗号化されたデータを復号化するための第1復号鍵とをペアで保有している。ここで、通常、暗号鍵とは所定の端末装置に特有の公開鍵であり、復号鍵とは所定の端末装置に特有の秘密鍵である。つまり、第1暗号鍵は公開鍵であり、第1復号鍵は秘密鍵とするができるが、これに限定されるものではなく、ペアで存在すれば第1暗号鍵が秘密鍵であり、第1復号鍵が公開鍵であっても構わない。まず、端末装置は、自身に特有の第1復号鍵を使用してまず暗号化共通鍵を復号化し、復号化した共通鍵を使用して暗号化コンテンツを復号化する。これにより、端末装置は、暗号化されていないコンテンツを取得し、実行することができる。これによれば、ユーザは第1復号鍵を保有している端末装置上でなければコンテンツを実行することができない。よって、本発明は、著作権付きコンテンツ等のユーザによる不正コピーや不正交換を容易に防止することができる。
上記端末装置の他の一態様では、他の端末装置から、前記他の端末装置に特有の第2暗号鍵及びコンテンツ識別情報を含むコンテンツ要求情報を受信する要求情報受信手段と、前記コンテンツ識別情報に基づいて前記第1記憶手段から前記第1コンテンツ情報を抽出する第1コンテンツ情報抽出手段と、抽出した前記第1コンテンツ情報に含まれる暗号化共通鍵を前記第1復号鍵により復号化し、復号化した共通復号鍵を前記第2暗号鍵で暗号化して第2暗号化共通鍵を作成する第2暗号化共通鍵作成手段と、前記第1コンテンツ情報に含まれる暗号化コンテンツ及び前記コンテンツの識別情報と、作成した前記第2暗号化共通鍵と、を構成要素とする第2コンテンツ情報を作成する第2コンテンツ情報作成手段と、前記第2コンテンツ情報を前記他の端末装置へ送信する送信手段と、をさらに備える。
上記のように構成された端末装置は、まず、他の端末装置から受信したコンテンツ識別情報に基づいて第1コンテンツ情報を抽出する。そして、端末装置は、自身が保有する第1秘密鍵を使用して第1コンテンツ情報に含まれる暗号化共通鍵を復号化することで共通鍵を取得する。さらに、端末装置は、他の端末装置から受信した第2暗号鍵を使用して当該共通鍵を暗号化することで第2暗号化共通鍵を作成する。そして、端末装置は、第2暗号化共通鍵、暗号化コンテンツ及びコンテンツ識別情報を合成することで第2コンテンツ情報を作成し、他の端末装置へ送信する。一方、他の端末装置は、受信した第2コンテンツ情報を記憶する。そして、当該他の端末装置は、自身の保有する第2暗号鍵により暗号化されたデータを復号化するための第2復号鍵を使用して復号化をすることにより、暗号化されていないコンテンツを取得することができる。また、暗号化されていないコンテンツの再生といった実行をすることも可能である。
これによれば、ユーザは第2復号鍵を保有している端末装置上でなければコンテンツを実行することができない。このように、サーバ装置を介さず端末装置間でコンテンツの交換を行う際に、配信元端末装置が、配信先端末装置に特有の暗号鍵を使用してコンテンツ情報の構成要素の一部を暗号化することで、当該配信先端末装置に専用のコンテンツ情報を作成すれば、著作権付きコンテンツ等のユーザによる不正コピーや不正交換を容易に防止することができる。
上記端末装置の他の一態様では、前記送信手段により前記第2コンテンツ情報を前記他の端末装置へ送信した後、前記第1コンテンツ情報抽出手段により抽出した前記第1コンテンツを、前記第1記憶手段から消去する消去手段をさらに備える。これによれば、単にコンテンツをコピーして配信することで流通させる市場とはことなり、ある端末装置を使用するユーザにとって古くなったコンテンツを再度流通される市場、即ち、中古コンテンツ流通市場を形成することができる。このような中古コンテンツ流通市場の形成により、従来と比較して多くのユーザに対して市場への参加を促すことができ、結果としてコンテンツの流通を促進させることが可能となる。
上記端末装置の他の一態様では、前記第1暗号鍵は、前記端末装置に接続可能な記憶媒体に記憶されており、前記端末装置は、前記記憶媒体が前記端末装置に接続されているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記記憶媒体が接続されていないと判定された場合に、前記共通コンテンツ情報取得手段の実行を禁止する禁止手段と、を備える。これによれば、端末装置に専用のコンテンツ情報を作成するために必要な第1暗号鍵が記憶媒体に記憶されているため、当該記憶媒体が端末装置に接続されている場合でなければ、ユーザは当該端末装置を使用してコンテンツ情報を取得することができない。つまり、コンテンツを所定の端末装置に専用のコンテンツ情報に加工することなく、当該端末が当該コンテンツを取得することはできない。よって、ユーザによるコンテンツの不正コピーによる流出を防止することができ、強固なセキュリティを実現することができる。
上記端末装置の他の一態様では、前記第1暗号鍵は、前記端末装置に接続可能な記憶媒体に記憶されており、前記端末装置は、前記記憶媒体が前記端末装置に接続されているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記記憶媒体が接続されていないと判定された場合に、前記コンテンツ実行手段の実行を禁止する禁止手段と、を備える。これによれば、端末装置に専用のコンテンツ情報を実行するために必要な第1暗号鍵が記憶媒体に記憶されているため、当該記憶媒体が端末装置に接続されている場合でなければ、ユーザは当該端末装置を使用してコンテンツ情報に含まれるコンテンツを復号化し、実行することができない。よって、ユーザによるコンテンツの不正使用を防止することができる。また、第1暗号鍵は、ユーザが使用する特定の端末装置の固有情報に基づくものではなく、記憶媒体に予め記憶されているものであるため、例えば端末装置の固有情報が変化したとしても、これまでに取得したコンテンツは実行不可能になることはなく、ユーザの利便性が損なわれることはない。また、コンテンツを別の端末装置にコピーしたとしても、ユーザに特有の当該記憶媒体を接続することで当該別の端末装置上においてもコンテンツを実行することができる。
上記端末装置の他の一態様では、前記端末装置は、ネットワークを介して料金請求を行うサーバ装置と通信可能であって、前記共通コンテンツ情報は、前記共通復号鍵、暗号化コンテンツ及び前記コンテンツの識別情報に加え、前記コンテンツの料金に関する課金情報を構成要素とし、前記第1コンテンツ情報は、前記共通コンテンツ情報に含まれる前記暗号化コンテンツ、前記コンテンツの識別情報及び前記課金情報と、前記第1暗号化共通鍵と、を構成要素としており、前記課金情報に基づいて前記コンテンツに関する利用データを作成する利用データ作成手段と、前記利用データを前記記憶媒体に記憶する利用データ記憶手段と、前記利用データを所定の時期に前記サーバ装置へ送信する利用データ送信手段と、をさらに備える。
上記のように構成された端末装置において、課金情報とは、コンテンツのダウンロード、再生、譲渡といった実行を行う際にユーザに対して発生する利用料やポイントに関する情報である。端末装置は、専用の第1コンテンツ情報に含まれる課金情報に基づいて、前記コンテンツに関する利用データを作成し、記憶媒体に記憶する。ここで、コンテンツに関する利用データとは、端末装置が所定のサーバから所定のコンテンツが加工されたコンテンツ情報をダウンロードした際のダウンロード料金や端末装置が当該コンテンツ情報に含まれるコンテンツを再生した際の再生料金などのデータである。作成された利用データは、端末装置に接続可能な記憶媒体に記憶される。
なお、端末装置は、記憶媒体が接続された状態でなければ、共通コンテンツ情報取得手段やコンテンツ実行手段を行うことができない。そのため、端末装置は、所定のコンテンツを実行した場合、常に、課金情報に基づいて利用料やポイントを記憶媒体に記憶することができる。そして、端末装置は、所定の時期に記憶媒体から利用料やポイントといった利用データを抽出し、サーバ装置へ送信する。ここで、サーバ装置は、ネットワークを介して料金請求を行うものである。よって、サーバ装置は、端末装置から受信した利用データに基づいて容易に利用料を算出してユーザへ請求したり、ポイントを算出してユーザへインセンティブを与えたりすることができる。
これによれば、課金情報に基づいてコンテンツのダウンロードや再生等に対して確実にその分の利用料が記憶媒体に記憶される。よって、サーバ装置は、確実にユーザから利用料を徴収し、その一部をコンテンツ所有者に支払うことができる。
上記端末装置のさらに他の一態様では、前記第2コンテンツ情報は、前記第1コンテンツ情報に含まれる暗号化コンテンツ、前記コンテンツの識別情報及び前記課金情報と、作成した前記第2暗号化共通鍵と、を構成要素とする。これによれば、第2コンテンツ情報に課金情報が含まれているため、サーバ装置を介さずに端末装置間でコンテンツの送受信を行った場合であっても、いずれかの端末装置が当該コンテンツを実行した場合、常に、課金情報に基づいて利用料やポイントといった利用料データを記憶媒体に記憶することができる。よって、サーバ装置は、サーバ装置を介さずに端末装置間でコンテンツの送受信を行った場合であっても、記憶媒体に記憶された利用料データに基づいて確実にユーザから利用料を徴収することができる。
本発明の他の観点では、ネットワークを介して端末装置と通信可能であり、データを暗号化するための共通暗号鍵及びデータを復号化するための共通復号鍵を保有するコンピュータにより実行されるプログラムであって、複数のデータから構成されるコンテンツを前記共通暗号鍵で暗号化して、暗号化コンテンツを作成する暗号化コンテンツ作成手段、作成した前記暗号化コンテンツと、前記コンテンツの識別情報と、前記共通復号鍵と、前記コンテンツの料金に関する課金情報と、を構成要素とする共通コンテンツ情報を作成する共通コンテンツ情報作成手段、前記共通コンテンツ情報を前記端末装置へ送信する送信手段、として前記コンピュータを機能させる。
本発明の他の観点では、ネットワークを介して通信可能なコンピュータにより実行されるプログラムであって、前記プログラムは、データを暗号化するための鍵であって前記端末装置に特有の第1暗号鍵を保有しており、データを復号化するための共通復号鍵と、複数のデータから構成されるコンテンツがデータを暗号化するための共通暗号鍵により暗号化された暗号化コンテンツと、前記コンテンツの識別情報と、を構成要素とする共通コンテンツ情報を取得する共通コンテンツ情報取得手段、前記共通コンテンツ情報に含まれる前記共通復号鍵を前記第1暗号鍵で暗号化することにより、第1暗号化共通鍵を作成する第1暗号化共通鍵作成手段、前記共通コンテンツ情報に含まれる前記暗号化コンテンツ及び前記コンテンツの識別情報と、作成した前記第1暗号化共通鍵と、を構成要素とする第1コンテンツ情報を作成する第1コンテンツ情報作成手段、前記第1コンテンツ情報を記憶する第1記憶手段、として前記コンピュータを機能させる。
上記プログラムをコンピュータにより実行することにより、上述のサーバ装置及び端末装置を実現することができる。また、上述のサーバ装置及び端末装置の各態様も同様に実現することができる。
本発明のさらに他の観点では、ネットワークを介して、端末装置とサーバ装置とが通信可能に構成されたコンテンツ流通システムであって、前記サーバ装置は、データを暗号化するための共通暗号鍵及びデータを復号化するための共通復号鍵を保有しており、複数のデータから構成されるコンテンツを前記共通暗号鍵で暗号化して、暗号化コンテンツを作成する暗号化コンテンツ作成手段と、作成した前記暗号化コンテンツと、前記コンテンツの識別情報と、前記共通復号鍵と、を構成要素とする共通コンテンツ情報を作成する共通コンテンツ情報作成手段と、前記共通コンテンツ情報を前記端末装置へ送信する送信手段と、を備え、前記端末装置は、データを暗号化するための鍵であって前記端末装置に特有の暗号鍵を保有しており、データを復号化するための共通復号鍵と、複数のデータから構成されるコンテンツがデータを暗号化するための共通暗号鍵により暗号化された暗号化コンテンツと、前記コンテンツの識別情報と、を構成要素とする共通コンテンツ情報を取得する共通コンテンツ情報取得手段と、前記共通コンテンツ情報に含まれる前記共通復号鍵を前記暗号鍵で暗号化することにより、暗号化共通鍵を作成する暗号化共通鍵作成手段と、前記共通コンテンツ情報に含まれる前記暗号化コンテンツ及び前記コンテンツの識別情報と、作成した前記暗号化共通鍵と、を構成要素とするコンテンツ情報を作成するコンテンツ情報作成手段と、前記コンテンツ情報を記憶する記憶手段と、を備える。
これによれば、端末装置は、サーバ装置から受信した共通コンテンツ情報の構成要素である共通復号鍵を当該端末装置に特有の第1暗号鍵を使用して暗号化することにより、容易に当該端末装置に専用のコンテンツ情報を作成することができる。つまり、コンテンツは所定の端末装置に専用のコンテンツ情報として記憶されているため、ユーザは、当該コンテンツを実行する場合であっても所定のライセンスサーバ等に接続する必要はない。よって、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
本発明によれば、コンテンツの流通を促進するとともに、コンテンツの流通に応じて著作権を有する者に確実に対価を支払うことができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。本発明は、端末装置において実行可能なコンテンツの不正使用等を防止しながら流通を促進し、当該コンテンツの著作権者に確実に対価を支払うことを可能とするものである。
[コンテンツ流通システム]
まず、本発明に係るコンテンツ流通システムについて説明する。図1に、コンテンツ流通システムの概略構成を示す。図1に示すコンテンツ流通システム100は、端末装置において再生可能なコンテンツを加工して流通させることでユーザによる不正交換や不正使用を防止するとともに、所定のサーバを介さずに端末装置間でコンテンツの交換を行った場合であっても確実に利用料を徴収することを可能とするものである。
図1に示すように、コンテンツ流通システム100は、端末装置A3、端末装置B4、コンテンツ所有者サーバ5及び流通管理サーバ6がネットワーク2を通じて接続されて構成される。ネットワーク2の1つの好適な例はインターネットである。なお、便宜上、図1において端末装置は2つとなっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の端末装置がネットワーク2に接続されていることとしても構わない。また、便宜上、図1においてコンテンツ所有者サーバ5は1つとなっているが、複数のコンテンツ所有者サーバ5がネットワーク2に接続されていることとしても構わない。
まず、本システムによるコンテンツの流通方法の概要を述べておく。まず、コンテンツ所有者サーバ5は、流通管理サーバ6へアクセスし、所有するコンテンツの登録を行う。ここで、コンテンツ所有者サーバ5とは、コンテンツの著作権を実際に有する著作者や著作権管理団体(以下、「コンテンツ所有者」という。)がコンテンツを管理・配信するためのサーバである。また、流通管理サーバ6とは、コンテンツ所有者の保有するコンテンツに関する情報を管理するとともに、ユーザによるダウンロードや再生の記録に基づいて当該ユーザから利用料を徴収し、コンテンツ所有者に当該利用料を配分する処理を行うサーバである。流通管理サーバ6は、登録したコンテンツを暗号化により加工することで共通コンテンツ情報を作成し、当該共通コンテンツ情報をコンテンツ所有者サーバ5へ送信する。コンテンツ所有者サーバ5は、受信した当該共通コンテンツ情報をユーザが使用する端末装置A3へ配信する。ここで、端末装置とは、コンテンツを、ネットワーク2を介して取得したり再生したりするためのプログラムを実行することができるPC等である。
ユーザが使用する端末装置A3は、メモリを内蔵した流通情報保持媒体Aと接続可能に構成されており、流通情報保持媒体Aが接続されている場合に限り、コンテンツのダウンロードや再生を行うことができるものとする。ここで、流通情報保持媒体とは、予めユーザが流通管理サーバから購入等することにより取得するICカード等所定の記憶媒体であって、詳細は後述するが、予め利用期限が設定されているものである。コンテンツ所有者サーバ5から共通コンテンツ情報を受信した端末装置A3は、当該共通コンテンツ情報を分解し、当該端末装置A3に特有の暗号鍵を使用して所定の暗号化を行うことでA用コンテンツ情報を作成する。そして、端末装置A3は、A用コンテンツ情報をコンテンツ記憶部に記憶し、任意のタイミングでコンテンツの再生等を行う。このとき、端末装置A3は、コンテンツ所有者サーバ5からコンテンツをダウンロードしたことになるため、流通情報保持媒体Aにダウンロード料金を課金する。
一方、他のユーザが使用する端末装置B4は、メモリを内蔵した流通情報保持媒体Bと接続可能に構成されており、流通情報保持媒体Bが接続されている場合に限り、コンテンツの交換や再生を行うことができるものとする。端末装置B4を使用するユーザが、端末装置A3が保有するコンテンツを取得したいと考えた場合、まず、コンテンツ要求情報を送信する。このとき、コンテンツ要求情報には、端末装置B4に特有の暗号鍵が含まれている。コンテンツ要求情報を受信した端末装置A3は、詳細は後述するが、コンテンツ記憶部に記憶してあるA用コンテンツ情報を分解し、端末装置B4に特有の暗号鍵を使用して所定の暗号化を行うことでB用コンテンツ情報を作成する。そして、端末装置A3は、B用コンテンツ情報を端末装置B4に送信する。端末装置B4は、受信したB用コンテンツ情報をコンテンツ記憶部に記憶し、任意のタイミングでコンテンツの再生等を行う。このとき、端末装置B4は、端末装置A3からコンテンツをダウンロードしたことになるため、流通情報保持媒体Bにダウンロード料金を課金する。また、端末装置A3は、端末装置B4にコンテンツを配信したことになるため、詳細は後述するが、流通情報保持媒体Aに配信ポイントが加算される。なお、流通情報保持媒体A及びBに記録された利用料やポイントは、所定のタイミングで利用情報として流通管理サーバ6へ送信される。そして、流通管理サーバ6は、当該利用情報に基づいてユーザから利用料金の徴収を行う。
このように、端末装置のコンテンツ記憶部に記憶されるコンテンツ情報は、当該端末装置に特有の暗号鍵によって所定の暗号化がされている。よって、当該コンテンツ情報に含まれるコンテンツは、当該コンテンツ情報が記憶されており、特定の流通情報保持媒体が接続された端末装置においては再生等することが可能であるが、それ以外の端末装置においては実行することが不可能となる。即ち、ユーザによるコンテンツの不正交換や不正コピーを防止することができる。また、端末装置に接続可能な流通情報保持媒体にコンテンツの利用料やポイントを記録しておくことで、たとえコンテンツ所有者サーバ5を介さずに端末装置間でコンテンツ情報の交換を行ったとしても、当該流通情報保持媒体から利用情報を取得することで流通管理サーバ6は確実にユーザから利用料金の徴収を行うことができる。
次に、各要素について個別に説明する。図2は、本発明のコンテンツ流通システム100における端末装置A3、コンテンツ所有者サーバ5及び流通管理サーバ6の内部構成を示したものである。ここで、コンテンツ所有者サーバ5はコンテンツデータベース(以下、「DB」と呼ぶ。)10に接続されており、流通管理サーバ6は所有者登録情報DB11及びコンテンツ登録情報DB12に接続されている。なお、端末装置B4は、端末装置A3と同様の内部構成であるため便宜上説明は省略する。
まず、コンテンツ所有者サーバ5について詳しく説明する。図2に示すように、コンテンツ所有者サーバ5は、コンテンツ登録機能51及びコンテンツ配信機能52を有する。
コンテンツ登録機能51は、コンテンツ所有者サーバ5が保有するコンテンツを流通管理サーバ6へ登録する機能である。コンテンツの登録を行うためにコンテンツ登録機能51は、まず、所有者登録情報を流通管理サーバ6へ送信する。ここで、所有者登録情報とは、コンテンツ所有者に関する情報であり、例えば氏名や銀行口座番号等である。そして、コンテンツ登録機能51は、所有者登録情報に基づいて流通管理サーバ6が発行したユーザID及び初期パスワードを登録通知情報として受信する。さらに、コンテンツ登録機能51は、登録通知情報に基づいて再び流通管理サーバ6へ接続し、コンテンツDB10から抽出した所定のコンテンツ、当該コンテンツの識別情報及び課金情報等をコンテンツ登録情報として送信する。そして、コンテンツ登録機能51は、コンテンツ登録情報に基づいて流通管理サーバ6が作成した共通コンテンツ情報を受信し、コンテンツ識別情報に対応付けてコンテンツDB10へ記憶する。これにより、コンテンツ登録機能51は、コンテンツ登録処理を完了する。
コンテンツ配信機能52は、端末装置からのコンテンツ要求情報に基づいてコンテンツDB10から所定の共通コンテンツ情報を抽出し、当該端末装置へ配信する機能である。ここで、コンテンツ要求情報とは、コンテンツを識別する識別情報等である。コンテンツ登録機能51によりコンテンツ所有者サーバ5はコンテンツ識別情報に対応付けてコンテンツDB10に共通コンテンツ情報を記憶しているため、端末装置からのコンテンツ要求情報に含まれるコンテンツ識別情報に基づいて容易に共通コンテンツ情報を抽出することができる。
次に、流通管理サーバ6について詳しく説明する。図2に示すように、流通管理サーバ6は、所有者登録情報DB管理機能61、コンテンツ登録情報DB管理機能62、コンテンツ情報作成機能63及び料金請求処理機能64を有している。
所有者登録情報DB管理機能61は、コンテンツ所有者サーバ5から受信した所有者登録情報に基づいてユーザID及び初期パスワードを発行し、当該ユーザIDをキーとして当該所有者登録情報に含まれる情報を所有者登録情報DB11に記憶する機能である。ここで、所有者登録情報DB11について図3を参照して説明する。図3に示すように、所有者登録情報DB11は、ユーザID、氏名、銀行口座番号等から構成されている。ユーザIDは、コンテンツ所有者サーバ5から受信した所有者登録情報に基づいて所有者登録情報DB管理機能61が発行したユーザの識別情報である。氏名は当該ユーザの氏名である。また、銀行口座番号は、流通管理サーバ6が徴収したコンテンツの利用料をコンテンツ所有者に振り込むための番号である。所有者登録情報DB管理機能61は、ユーザIDを発行した後、当該ユーザIDをキーとして所有者登録情報に含まれる氏名、銀行口座番号等を所有者登録情報DB11に記憶し、管理する。
コンテンツ登録情報DB管理機能62は、コンテンツ所有者サーバ5から受信したコンテンツ登録情報に基づいて、コンテンツIDをキーとして当該コンテンツ登録情報に含まれる情報をコンテンツ登録情報DB12に記憶する機能である。ここで、コンテンツ登録情報DB12について図4を参照して説明する。図4に示すように、コンテンツ登録情報DB12は、コンテンツID、ユーザID、課金情報等から構成されている。コンテンツIDは登録するコンテンツの識別情報であり、コンテンツ所有者サーバ5から受信するコンテンツ登録情報に含まれている。ユーザIDは、所有者登録情報DB管理機能61が発行したユーザの識別情報であり、コンテンツ所有者サーバ5が流通管理サーバ6へ接続する際に取得することができる。課金情報は、ダウンロード価格、再生価格及び配信ポイント等から構成されており、該当するコンテンツの利用料等に関する情報である。課金情報もコンテンツIDと同様にコンテンツ所有者サーバ5から受信するコンテンツ登録情報に含まれている。コンテンツ登録情報DB管理機能62は、コンテンツ登録情報に含まれるコンテンツIDをキーとしてユーザID、課金情報等をコンテンツ登録情報DB12に記憶し、管理する。
コンテンツ情報作成機能63は、コンテンツ所有者サーバ5から受信したコンテンツ登録情報に基づいて所定の暗号化による加工を行うことで、共通コンテンツ情報を作成する機能である。ここで、共通コンテンツ情報について図5(a)及び(b)を参照して詳しく説明する。図5(a)は、流通管理サーバ6のコンテンツ情報作成機能63が共通コンテンツ情報を作成するために行う暗号化処理を概念的に示す図である。流通管理サーバ6は、コンテンツ所有者サーバ5から受信したコンテンツ登録情報からコンテンツID、課金情報及びコンテンツを抽出する。さらに、流通管理サーバ6は、保有する共通鍵を使用して抽出したコンテンツを暗号化する。ここで、共通鍵とは、ペアとして存在するデータを暗号化するための暗号鍵とデータを復号化するための復号鍵のことをいう。なお、暗号化するための共通鍵は任意に決定することができ、例えば「乱数発生装置からの出力値」等としても構わない。つまり、流通管理サーバ6は、保有する共通鍵のうちの暗号鍵を使用して、コンテンツ登録情報から抽出したコンテンツを暗号化する。そして、流通管理サーバ6は、図5(a)に示すように、抽出したコンテンツID及び課金情報と、共通鍵と、共通鍵を使用して暗号化した暗号化コンテンツとを合成し、スクランブル化することで共通コンテンツ情報を作成する。ここで、合成スクランブル化する共通鍵とは、暗号化コンテンツを復号化するために必要な共通鍵のうちの復号鍵である。このようにして作成された共通コンテンツ情報は、図5(b)に示すように、コンテンツID、共通鍵、暗号化コンテンツ及び課金情報を構成要素としている。
決済処理機能64は、端末装置から受信した利用情報に基づいて、ユーザがコンテンツのダウンロードや再生といった実行をすることにより発生した利用料を算出し、当該利用料を請求情報として当該端末装置に送信する機能である。ここで、利用情報とは、詳細は後述するが、端末装置に接続可能な流通情報保持媒体に記録された利用料やポイント等の情報である。また、決済処理機能64は、所有者登録情報DB11及びコンテンツ登録情報DB12を参照することにより、請求情報に基づいてユーザから徴収した利用料をコンテンツ所有者に対価として支払を行う。具体的に、ユーザから徴収した利用料のうち70%をコンテンツ所有者に支払い、残りの30%を流通管理サーバ6が手数料として受け取るなど、支払方法は任意に設定することが可能である。これにより、流通管理サーバ6は、決済処理を完了する。
次に、端末装置A3について詳しく説明する。図2に示すように、端末装置A3は、ダウンロード処理機能31、再生処理機能32、受信処理機能33、送信処理機能34、支払処理機能35及びコンテンツ記憶部36を有する。また、端末装置A3は、当該端末装置に接続可能な記憶媒体であって、当該端末装置A3に特有の公開鍵Aと秘密鍵Aを記憶している流通情報保持媒体A8が接続されているものとする。ここで、公開鍵及び秘密鍵とは、ペアとして存在するデータを暗号化するための暗号鍵とデータを復号化するための復号鍵のことをいう。本実施形態では、公開鍵を暗号鍵、秘密鍵を復号鍵として使用するが、本発明はこれに限定されるものではなく、公開鍵が復号鍵、秘密鍵が暗号鍵であっても適用することができる。即ち、ペアとして存在する暗号鍵と復号鍵が存在すれば、本発明を適用することができる。また、コンテンツ記憶部36は、例えば、通常のPCにおけるファイルシステムの特定のフォルダ等とすることができる。
ダウンロード処理機能31は、コンテンツ所有者サーバ5から受信した共通コンテンツ情報を分解し、流通情報保持媒体A8から抽出した公開鍵Aを使用して、当該共通コンテンツ情報の構成要素である共通鍵を暗号化することで、A用コンテンツ情報を作成する機能である。なお、A用コンテンツ情報は、端末装置A3内のコンテンツ記憶部に記憶される。ここで、A用コンテンツ情報について図6(a)及び(b)を参照して詳しく説明する。図6(a)は、端末装置A3がA用コンテンツ情報を作成するために行う復号化処理及び暗号化処理を概念的に示す図である。端末装置A3は、図6(a)に示すように、コンテンツ所有者サーバ5から受信した共通コンテンツ情報を逆スクランブル化し、分解する。これにより、端末装置A3は、共通コンテンツ情報の構成要素であるコンテンツID、暗号化コンテンツ、共通鍵及び課金情報を抽出することができる。さらに、端末装置A3は、自身に接続されている流通情報保持媒体A8から公開鍵Aを抽出し、当該公開鍵Aを使用して共通コンテンツ情報から抽出した共通鍵を暗号化する。そして、端末装置A3は、図6(a)に示すように、抽出したコンテンツID、暗号化コンテンツ及び課金情報と、公開鍵Aにより暗号化された暗号化共通鍵とを合成スクランブル化することでA用コンテンツ情報を作成する。このようにして作成されたA用コンテンツ情報は、図6(b)に示すように、コンテンツID、公開鍵Aで暗号化された暗号化共通鍵、暗号化コンテンツ及び課金情報を構成要素としている。なお、ダウンロード処理機能31により作成されたA用コンテンツ情報は、コンテンツ記憶部36に記憶される。
このように、A用コンテンツ情報は、共通鍵が公開鍵Aで暗号化されているため、当該公開鍵Aとペアで存在する秘密鍵Aを記憶した流通情報保持媒体Aを保有するユーザのみが暗号化コンテンツを復号化することができる。換言すると、流通情報保持媒体Aを保有するユーザ以外は、暗号化コンテンツを復号化し、コンテンツの実行を行うことはできない。よって、ユーザによる不正コピーや不正交換を効果的に防止することができる。
再生処理機能32は、コンテンツ記憶部36に記憶されたA用コンテンツ情報を抽出し、流通情報保持媒体A8から抽出した秘密鍵Aを使用して、当該A用コンテンツ情報の構成要素である暗号化共通鍵を復号化することで、共通鍵を取得する機能である。また、再生処理機能32は、取得した共通鍵を使用してA用コンテンツ情報の構成要素である暗号化コンテンツを復号化することでコンテンツを取得し、当該コンテンツを再生する機能である。
受信処理機能33は、ユーザが他の端末装置B4の保有するコンテンツを取得したいと考えた場合に、コンテンツ要求情報を送信することで端末装置B4からA用コンテンツ情報を受信する機能である。ここで、コンテンツ要求情報は、取得したいコンテンツのコンテンツID及び流通情報保持媒体Aから抽出した公開鍵Aを含んでいる。端末装置B4が端末装置A3から受信したコンテンツ要求情報に基づいてA用コンテンツ情報を作成する処理は、後述する送信処理機能34が行う処理と同様であるため便宜上説明は省略する。なお、受信したA用コンテンツ情報は、端末装置A3内のコンテンツ記憶部36に記憶される。
送信処理機能34は、他のユーザが端末装置A3の保有するコンテンツを取得したいと考えた場合に、当該他のユーザが使用する端末装置B4からコンテンツ要求情報を受信し、当該コンテンツ要求情報に基づいてB用コンテンツ情報を作成・送信する機能である。ここで、コンテンツ要求情報は、当該他のユーザが取得したいコンテンツのコンテンツID及び端末装置B4が自身に接続された流通情報保持媒体Bから抽出した公開鍵Bを含んでいる。ここで、B用コンテンツ情報について詳しく説明する。端末装置A3は、端末装置B4から受信したコンテンツ要求情報からコンテンツID及び公開鍵Bを抽出する。そして、端末装置Aは、抽出したコンテンツIDに基づいてコンテンツ記憶部36から該当するA用コンテンツ情報を抽出し、当該A用コンテンツ情報を逆スクランブル化し、分解する。さらに、端末装置A3は、自身に接続されている流通情報保持媒体A8から秘密鍵Aを抽出し、当該秘密鍵Aを使用してA用コンテンツ情報から抽出した暗号化共通鍵を復号化する。そして、端末装置A3は、復号化した共通鍵を公開鍵Bで暗号化する。さらに、端末装置A3は、コンテンツID、暗号化コンテンツ、課金情報及び公開鍵Bにより暗号化された暗号化共通鍵を合成スクランブル化することでB用コンテンツ情報を作成し、端末装置B4へ送信する。
このように、B用コンテンツ情報は、共通鍵が公開鍵Bで暗号化されているため、当該公開鍵Bとペアで存在する秘密鍵Bを記憶した流通情報保持媒体Bを保有するユーザのみが暗号化コンテンツを復号化することができる。換言すると、流通情報保持媒体Bを保有するユーザ以外は、暗号化コンテンツを復号化し、コンテンツの実行を行うことはできない。よって、ユーザによる不正コピーや不正交換を効果的に防止することができる。
支払処理機能35は、端末装置A3がコンテンツのダウンロード、再生、配信等を行った際に、予め設定された課金情報に基づいて流通情報保持媒体Aに利用料及びポイントを利用情報として記録する機能である。ここで、課金情報とは、A用コンテンツ情報の構成要素となっている課金情報であり、図4に示すコンテンツ登録DB12に記憶された所定の課金情報のことである。具体的に、図4を参照すると、コンテンツID「C001」のコンテンツは、ダウンロードする際に利用料として500円支払う義務がユーザに対して発生し、さらに、当該コンテンツを1回再生する毎に利用料として50円支払う義務が発生することが分かる。一方、コンテンツID「C002」のコンテンツは、ダウンロードする際に利用料として100円支払う義務がユーザに対して発生するが、その後は無料で再生することができる。これは、再生価格が「0円」となっているからである。このように、課金情報は、コンテンツの所有者が任意に設定することが可能のものである。
ここで、課金情報に基づいて流通情報保持媒体Aに記録される利用情報の例を図7(a)に示す。利用者情報は、図7(a)に示すように、コンテンツID、利用料、ポイント、利用期限、公開鍵及び秘密鍵から構成されている。コンテンツIDはコンテンツの識別情報であり、利用料及びポイントは当該コンテンツIDにより識別されるコンテンツをダウンロード、再生、配信等を行うことにより発生する利用料及びポイントである。利用期限は、流通情報保持媒体Aに予め設定された期限である。公開鍵及び秘密鍵は、端末装置Aに特有の暗号鍵及び復号鍵のペアである。なお、図7(a)の例では、利用情報に含まれるコンテンツID及びそれに伴う利用料とポイントは1つずつであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、端末装置Aのコンテンツ記憶部に複数のコンテンツ情報が記憶されている場合はコンテンツID及びそれに伴う利用料とポイントは複数となる。また、図7(a)に示すように、利用情報には予め流通情報保持媒体Aの利用期限が設定されているが、この利用期限を過ぎると端末装置A3に流通情報保持媒体Aを接続した状態であっても、当該端末装置A3は、ダウンロード、再生、配信等といったコンテンツの実行をすることができなくなる。よって、ユーザは、端末装置A3を使用して流通管理サーバ6へ接続し、流通情報保持媒体Aの利用期限を延長する処理を行う必要がある。このとき、端末装置Aは流通情報保持媒体Aから利用情報を抽出し、流通管理サーバ6へ送信する。このことから、図2に示す、流通管理サーバ6の決済処理機能64は、利用情報に基づいてユーザに対して利用料の請求を行うことができる。
なお、コンテンツのダウンロードや再生において記録される利用料は、流通管理サーバ6が端末装置A3から徴収し、当該コンテンツの所有者へ支払うことになる。一方、コンテンツを他の端末装置へ配信した場合に記録されるポイントは、流通管理サーバ6に代わって端末装置Aが当該コンテンツの流通を促進したことになるため、ユーザのインセンティブとして取り扱われる。具体的には、ポイントに基づいてユーザに特典が与えられたり、利用料が一部軽減されたりすることがポイントに基づく処理として挙げられる。
[コンテンツ流通処理]
次に、上記コンテンツ流通システム100により実行されるコンテンツ流通処理について説明する。コンテンツ流通処理は、コンテンツ登録処理、第1コンテンツ再生処理、第2コンテンツ再生処理、譲渡処理及び決済処理から構成されている。
まず、コンテンツ登録処理について説明する。図8は、コンテンツ登録処理のフローチャートである。コンテンツ登録処理は、コンテンツ所有者サーバ5が自身のコンテンツを流通管理サーバ6へ登録する処理であり、コンテンツ流通処理において必ず行われる処理である。図8に示すように、まず、コンテンツ所有者サーバ5は、ネットワーク2を介して流通管理サーバ6へ接続し、所有者登録情報を送信する(ステップS1)。ここで、所有者登録情報とは、登録を考えているコンテンツの所有者に関する情報であり、例えば氏名や銀行口座番号等である。一方、流通管理サーバ6は、受信した所有者登録情報に基づいてユーザの識別情報であるユーザIDと、当該ユーザがコンテンツ使用者サーバ5から再び流通管理サーバ6に接続する場合に入力する必要がある初期パスワードと、を発行する(ステップS2)。そして、流通管理サーバ6は、発行したユーザIDをキーとして所有者登録情報に含まれる情報を所有者登録情報DB11に記憶する(ステップS3)。さらに、流通管理サーバ6は、ステップS2において発行したユーザID及び初期パスワードを登録通知情報としてコンテンツ所有者サーバ5へ送信する(ステップS4)。
コンテンツ所有者サーバ5は、受信した所有者登録情報に含まれるユーザID及び初期パスワードを使用して、再び流通管理サーバ6へ接続する(ステップS5)。ユーザID及び初期パスワードを使用して接続するとは、具体的に、コンテンツ所有者サーバ5が流通管理サーバ6へ接続する際の初期画面上で当該ユーザID及び初期パスワードを入力する等である。接続が完了すると、コンテンツ所有者サーバ5は、登録したいコンテンツ、当該コンテンツの識別情報であるコンテンツID、当該コンテンツの課金情報などをコンテンツ登録情報として流通管理サーバ6へ送信する(ステップS6)。一方、流通管理サーバ6は、受信したコンテンツ登録情報に含まれるコンテンツIDをキーとして、ユーザIDと、コンテンツ登録情報に含まれる情報をコンテンツ登録情報DB12に記憶する(ステップS7)。そして、流通管理サーバ6は、保有する共通鍵(暗号鍵)を使用してコンテンツを暗号化することで暗号化コンテンツを作成する。さらに、流通管理サーバ6は、図5(a)に示すように、コンテンツ登録情報に含まれるコンテンツID及び課金情報と、保有する共通鍵(復号鍵)と、作成した暗号化コンテンツと、を合成スクランブル化することで共通コンテンツ情報を作成し、コンテンツ所有者サーバ5へ送信する(ステップS8)。一方、コンテンツ所有者サーバ5は、登録したコンテンツのコンテンツIDに基づいて、受信した共通コンテンツ情報をコンテンツDB10へ記憶する(ステップS9)。これにより、コンテンツ登録処理は完了する。なお、コンテンツ登録情報は、上述したものの他に、コンテンツのタイトルといった当該コンテンツの属性情報を含むとしてもよい。
次に、第1コンテンツ再生処理について説明する。図9は、第1コンテンツ再生処理のフローチャートである。第1コンテンツ再生処理は、ユーザが端末装置を使用してコンテンツ所有者サーバ5から所定のコンテンツをダウンロードし、当該端末装置において当該コンテンツを再生する処理である。図9に示すように、まず、端末装置A3は、流通情報保持媒体Aが接続されているか否かを確認する(ステップS11)。端末装置A3は、流通情報保持媒体Aが接続されている場合に限り、コンテンツのダウンロードや再生を行うことができるからである。よって、流通情報保持媒体Aが接続されていなければ、端末装置A3は、第1コンテンツ再生処理を行うことができない。なお、流通情報保持媒体には有効期限が設定されており、ユーザは、流通管理サーバ6から予め当該流通情報保持媒体を購入しておく必要がある。そして、流通情報保持媒体Aが接続されている場合、端末装置A3は、コンテンツ所有者サーバ5へコンテンツ要求情報を送信する(ステップS12)。ここで、コンテンツ要求情報は、端末装置A3を使用するユーザが取得したいと考えているコンテンツのコンテンツIDである。
コンテンツ要求情報を受信したコンテンツ所有者サーバ5は、当該コンテンツ要求情報に含まれるコンテンツIDに基づいてコンテンツDB10から共通コンテンツ情報を抽出する(ステップS13)。そして、コンテンツ所有者サーバ5は、抽出した共通コンテンツ情報を端末装置A3へ配信する(ステップS14)。共通コンテンツ情報を受信した端末装置A3は、接続された流通情報保持媒体Aから当該端末装置A3に特有の公開鍵Aを抽出する(ステップS15)。また、端末装置A3は、図6に示すように、受信した共通コンテンツ情報を逆スクランブル化し、分解することでコンテンツID、暗号化コンテンツ、共通鍵(復号鍵)及び課金情報を抽出する。そして、端末装置A3は、共通鍵(復号鍵)をステップS15において抽出した公開鍵Aを使用して暗号化することで、暗号化共通鍵を作成する(ステップS16)。さらに、端末装置A3は、コンテンツID、暗号化コンテンツ、暗号化共通鍵及び課金情報を合成し、スクランブル化することでA用コンテンツ情報を作成し(ステップS17)、コンテンツ記憶部に記憶する(ステップS18)。
また、端末装置A3は、A用コンテンツ情報に含まれる課金情報に基づいて、流通情報保持媒体Aに利用情報としてダウンロード料金を記録する(ステップS19)。具体的に、課金情報としてコンテンツのダウンロード料金が「500円」と設定されている場合、端末装置A3は、流通情報保持媒体Aの利用情報における利用料項目に500円を加算して記録する。そして、ユーザが取得したコンテンツを再生したいと考えた場合、当該ユーザが使用する端末装置A3は、流通情報保持媒体Aから公開鍵Aとペアになっている秘密鍵Aを抽出する。また、端末装置A3は、コンテンツ記憶部に記憶されたA用コンテンツ情報を分解して、暗号化共通鍵及び暗号化コンテンツを抽出する。そして、端末装置A3は、秘密鍵Aを使用して暗号化共通鍵を復号化することで共通鍵を取得し、当該共通鍵を使用して暗号化コンテンツを復号化することでコンテンツを取得する。よって、端末装置A3は、暗号化されていないコンテンツを取得し、再生することができる(ステップS20)。これにより、第1コンテンツ再生処理は完了する。
なお、A用コンテンツ情報に含まれる課金情報によって1回再生する毎に利用料が発生することが設定されている場合、端末装置A3は、流通情報保持媒体Aに利用情報として再生料金を記録する。具体的に、課金情報としてコンテンツの再生料金が1回につき「50円」と設定されている場合、端末装置A3は、流通情報保持媒体Aの利用情報における利用料項目に50円を加算する。よって、流通情報保持媒体Aに記録される利用者情報は、図7(a)に示すように、利用料項目がダウンロード料金と再生料金が加算された550円となる。
なお、上述の第1コンテンツ再生処理では、ユーザは流通情報保持媒体Aが接続された端末装置A3を使用して所定の処理を行うこととしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ユーザは流通情報保持媒体Aが接続された端末装置であれば当該端末装置A3に限らず使用することができる。
次に、第2コンテンツ再生処理について説明する。図10は、第2コンテンツ再生処理のフローチャートである。第2コンテンツ再生処理は、ユーザが端末装置を使用して、他のユーザが使用する他の端末装置から所定のコンテンツを取得し、再生する処理である。換言すると、コンテンツ所有者サーバ5からダウンロードしたコンテンツを、所定のサーバを介することなく、P2P等を利用してユーザが使用する端末装置間で送受信する処理である。なお、下記の例では、所定のユーザが端末装置B4を使用して端末装置A3からコンテンツを取得し、再生する場合について説明する。図10に示すように、まず、端末装置B4は、流通情報保持媒体Bが接続されているか否かを確認する(ステップS31)。端末装置B4は、流通情報保持媒体Bが接続されている場合に限り、コンテンツのダウンロード、取得、再生等を行うことができるからである。よって、流通情報保持媒体Bが接続されていなければ、端末装置B4は、第2コンテンツ再生処理を行うことはできない。端末装置B4に流通情報保持媒体Bが接続されている場合、当該端末装置B4は、端末装置Aへコンテンツ要求情報を送信する(ステップS32)。ここで、コンテンツ要求情報は、端末装置B4を使用するユーザが取得したいと考えているコンテンツのコンテンツIDと、当該端末装置B4に特有の公開鍵Bと、である。
コンテンツ要求情報を受信した端末装置A3は、まず、当該コンテンツ要求情報から公開鍵Bを抽出する(ステップS33)。また、端末装置A3は、当該コンテンツ要求情報に含まれるコンテンツIDに基づいてコンテンツ記憶部から抽出したA用コンテンツ情報を逆スクランブル化し、分解することでコンテンツID、暗号化コンテンツ、暗号化共通鍵及び課金情報を抽出する。そして、端末装置A3は、流通情報保持媒体Aから秘密鍵Aを抽出し、当該秘密鍵Aを使用して暗号化共通鍵を復号化することで共通鍵(復号鍵)を取得する(ステップS34)。なお、端末装置A3も流通情報保持媒体Aが接続されている場合に限り、コンテンツの配信を行うことができるものとする。さらに、端末装置A3は、取得した共通鍵(復号鍵)をステップS33において抽出した公開鍵Bを使用して暗号化することで、暗号化共通鍵を作成する(ステップS35)。そして、端末装置A3は、コンテンツID、暗号化コンテンツ、暗号化共通鍵及び課金情報を合成し、スクランブル化することでB用コンテンツ情報を作成し、端末装置B4へ配信する(ステップS36)。端末装置Bは、取得したB用コンテンツ情報をコンテンツ記憶部に記憶する(ステップS37)。
また、端末装置B4は、B用コンテンツ情報を分解することで抽出される課金情報に基づいて、流通情報保持媒体Bに利用情報としてダウンロード料金を記録する(ステップS38)。具体的に、課金情報としてコンテンツのダウンロード料金が「500円」と設定されている場合、端末装置B4は、流通情報保持媒体Bの利用情報における利用項目に500円を加算して記録する。そして、端末装置B4は、B用コンテンツ情報のコンテンツ記憶部への記憶、及び、ダウンロード料金の記録を行った後、完了通知情報を端末装置A3へ送信する(ステップS39)。完了通知情報を受信した端末装置A3は、A用コンテンツ情報を分解することで抽出される課金情報に基づいて流通情報保持媒体Aの利用情報におけるポイント項目に50ポイントを加算して記録する(ステップS40)。よって、流通情報保持媒体Aに記録される利用者情報は、図7(a)に示すように、ポイント項目が50となる。
一方、ユーザが取得したコンテンツを再生したいと考えた場合、当該ユーザが使用する端末装置B4は、流通情報保持媒体Bから当該端末装置B4に特有の秘密鍵Bを抽出する。また、端末装置B4は、コンテンツ記憶部に記憶されたB用コンテンツ情報から暗号化共通鍵及び暗号化コンテンツを抽出する。そして、端末装置B4は、秘密鍵Bを使用して暗号化共通鍵を復号化することで共通鍵(復号鍵)を取得し、当該共通鍵(復号鍵)を使用して暗号化コンテンツを復号化することでコンテンツを取得する。よって、端末装置B4は、暗号化されていないコンテンツを取得し、再生することができる(ステップS41)。なお、B用コンテンツ情報に含まれる課金情報によって1回再生する毎に利用料が発生することが設定されている場合は、流通情報保持媒体Bに利用情報として再生料金を記録する。具体的に課金情報としてコンテンツの再生料金が1回につき「50円」と設定されている場合、端末装置B4は、流通情報保持媒体Bの利用情報における利用料項目に50円を加算して記録する。よって、流通情報保持媒体Bに記録される利用者情報は、図7(b)に示すように、利用料項目がダウンロード料金と再生料金が加算された550円となる。
なお、上述の第2コンテンツ再生処理では、課金情報に予め配信ポイントが設定されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、配信したコンテンツのダウンロード料金の何%かに相当するポイントを配信ポイントとして、配信したユーザの流通情報保持媒体に記録することとしてもよい。具体的に、ダウンロード料金が「500円」であり、配信ポイントが「1%」と設定されていれば、配信したユーザの流通情報保持媒体の利用者情報におけるポイント項目に「5ポイント」が加算して記録される。このように、配信ポイントがダウンロード料金の何%に相当するかはコンテンツ所有者等が任意に設定することができる。
次に、譲渡処理について説明する。図11は、譲渡処理のフローチャートである。譲渡処理は、ユーザが端末装置を使用して、他のユーザが使用する他の端末装置から所定のコンテンツを譲り受け、再生する処理である。第2コンテンツ再生処理は当該コンテンツに関するコンテンツ情報が双方の端末装置に記憶されるが、譲渡処理は当該コンテンツに関するコンテンツ情報が譲り受ける端末装置にのみ記憶され、譲り渡した端末装置からは消去される。即ち、コンテンツを譲渡した側のユーザは、当該コンテンツの所有を放棄する処理である。この点で2つの処理は大きく異なる。なお、下記の例では、所定のユーザが端末装置B4を使用して端末装置A3から所定のコンテンツを譲り受け、再生する場合について説明する。また、譲渡処理の前提としてユーザ間に当該コンテンツを何ポイントで譲渡するといった交渉が既に成立しているものとする。下記の例では、10ポイントで譲渡する交渉が成立しているものとする。
図11に示すように、まず、端末装置B4は、流通情報保持媒体Bが接続されているか否かを確認する(ステップS51)。端末装置B4は、流通情報保持媒体Bが接続されている場合に限り、コンテンツの譲り受け、再生等を行うことができるからである。よって、流通情報保持媒体Bが接続されていなければ、端末装置B24は、譲渡処理を行うことはできない。端末装置B4に流通情報保持媒体Bが接続されている場合、当該端末装置B4は、端末装置A3へコンテンツ要求情報を送信する(ステップS52)。ここで、コンテンツ要求情報は、端末装置B4を使用するユーザが譲り受けたいと考えているコンテンツのコンテンツIDと、当該端末装置B4に特有の公開鍵Bと、である。
コンテンツ要求情報を受信した端末装置A3は、まず、当該コンテンツ要求情報から公開鍵Bを抽出する(ステップS53)。また、端末装置A3は、当該コンテンツ要求情報に含まれるコンテンツIDに基づいてコンテンツ記憶部から抽出したA用コンテンツ情報を分解し、逆スクランブル化することでコンテンツID、暗号化コンテンツ、暗号化共通鍵及び課金情報を抽出する。そして、端末装置A3は、流通情報保持媒体Aから秘密鍵Aを抽出し、当該秘密鍵Aを使用して暗号化共通鍵を復号化することで共通鍵(復号鍵)を取得する(ステップS54)。なお、端末装置A3も流通情報保持媒体Aが接続されている場合に限り、コンテンツの譲渡を行うことができるものとする。さらに、端末装置A3は、取得した共通鍵(復号鍵)をステップS53において抽出した公開鍵Bを使用して暗号化することで、暗号化共通鍵を作成する(ステップS55)。そして、端末装置A3は、コンテンツID、暗号化コンテンツ、暗号化共通鍵及び課金情報を合成し、スクランブル化することでB用コンテンツ情報を作成し、端末装置B4へ譲渡する(ステップS56)。端末装置Bは、譲り受けたB用コンテンツ情報をコンテンツ記憶部に記憶し、譲り受けが完了した旨の通知を行う(ステップS57)。
端末装置B4から譲り受けが完了した旨の通知を受信した端末装置A3は、ステップS54において抽出したA用コンテンツ情報をコンテンツ記憶部から削除する(ステップS58)。そして、端末装置A3は、流通情報保持媒体Aに譲渡ポイントを記録する(ステップS59)。具体的に、端末装置A3は、予め行われた交渉に基づいて流通情報保持媒体Aの利用情報におけるポイント項目に「10ポイント」加算して記録する。一方、端末装置B4は、流通情報保持媒体Bに譲受ポイントを記録する(ステップS60)。具体的に、端末装置B4は、当該交渉に基づいて流通情報保持媒体Bの利用情報におけるポイント項目に「10ポイント」減算して記録する。これにより、譲渡処理は完了する。なお、このとき減算されるポイントは「10ポイント」以上としてもよい。具体的に、交渉に基づいて所定のコンテンツを「10ポイント」で譲渡することが決定されている場合、譲り受けるユーザのポイントを「12ポイント」とすることができる。これは、譲渡ポイントの20%増であり、何%増に設定するかは流通管理サーバ6が任意に決定することができる。これによれば、詳細は後述するが、ユーザが使用する端末装置間でコンテンツが譲渡されると、その度に、流通管理サーバ6には譲渡ポイントの20%分のポイントに相当する手数料が結果として入ることになる。
ここで、利用情報におけるポイントについて説明する。ポイントは、コンテンツの配信や譲渡を頻繁に行うことで流通の促進に寄与したユーザへインセンティブを与える際に使用される。例えば、ポイントに基づいて流通管理サーバ6がユーザへキャッシュバックをしたり、特典を与えたりすることが考えられる。よって、コンテンツを譲り受けたユーザの利用情報において、譲渡ポイントよりも多くのポイントを減算するということは、本来ユーザへ与えるはずであったインセンティブに相当する手数料が流通管理サーバ6へ与えられることになる。具体的に、流通管理サーバ6が利用情報のポイント項目に記録された1ポイントにつき1円のキャッシュバックをユーザに行う設定がビジネスルールとしてなされている場合であれば、コンテンツの譲渡により、当該コンテンツを譲り受けたユーザのポイントを譲渡ポイントよりも「2ポイント」多く減算するということは、流通管理サーバ6は相対的にユーザへの支払が「2円」分減額されたことを意味する。換言すると、端末装置間でコンテンツが譲渡される毎に、流通管理サーバ6は、結果として「2円」分の手数料を得ることになる。
なお、端末装置B4が譲受したコンテンツを再生したいと考えた場合、第2コンテンツ再生処理と同様の処理を行うことにより実現することができるが、便宜上説明は省略する。
次に、決済処理について説明する。図12は、決済処理のフローチャートである。決済処理は、流通情報保持媒体に記録された利用情報に基づいて流通管理サーバ6が利用料を請求し、徴収した利用料をコンテンツ所有者へ支払う処理である。
図12に示すように、流通情報保持媒体Aの有効期限を過ぎると端末装置A3は、流通情報保持媒体Aから利用情報を抽出し(ステップS71)、流通管理サーバ6へ送信する(ステップS72)。有効期限を過ぎると流通情報保持媒体が無効となり、コンテンツのダウンロードや再生といった実行を行うことができなくなるため、当該有効期限を更新する必要があるからである。端末装置A3は、当該有効期限を更新するために流通管理サーバ6へ接続し、利用情報を送信しなければならない。一方、流通管理サーバ6は、受信した利用者情報に基づいて、当該流通情報保持媒体Aを使用するユーザに対する請求金額を算出し、当該請求金額を請求情報として端末装置Aへ送信する(ステップS73)。具体的に、ユーザの流通情報保持媒体Aにおいて、図7(a)に示すように、利用情報の利用料項目が「550円」であって、ポイント項目が「50」である場合、予め1ポイントに付き1円キャッシュバックするというビジネスルールが設定されていれば、流通管理サーバ6は、端末装置Aに対して請求金額「500円」を請求情報として端末装置Aへ送信する。
端末装置Aは請求情報を取得し、当該端末装置Aを使用するユーザは当該請求情報に基づいて利用料の支払を行う(ステップS74)。例えば、ユーザがクレジットカードによる支払を希望する場合、当該ユーザはこの時点で端末装置Aを使用してクレジットカード番号を入力する。つまり、流通管理サーバ6がDB等にユーザのクレジットカード番号を記憶しておく必要はないため、当該流通管理サーバ6からユーザのクレジットカード番号といった個人情報が流出されることはない。そして、端末装置Aは、流通情報保持媒体Aから当該利用者情報を構成する料金項目及びポイント項目の値をリセットし(ステップS75)、有効期限を更新する(ステップS76)。ここで、有効期限は現在から一律3ヶ月とする方法やユーザに入力させる方法など種々の方法を適用することができる。一方、流通管理サーバ6は、利用情報を構成する料金項目に基づいてコンテンツ所有者にユーザから徴収した利用料の一部を支払い、利用情報を構成するポイント項目に基づいてユーザにインセンティブを与える(ステップS77)。ここで、流通管理サーバ6がコンテンツ所有者に支払うユーザから徴収した利用料の一部とは、例えば「利用料の70%」などに任意に設定することができる。この場合、ユーザから徴収した利用料の70%はコンテンツ所有者に支払われ、当該利用料の30%は流通管理サーバ6の手数料となる。これにより、決済処理は完了する。
このように、コンテンツ登録処理、第1コンテンツ再生処理、第2コンテンツ再生処理、譲渡処理及び決済処理を行うことにより、コンテンツ流通処理は完了する。
本発明によれば、サーバを介さず端末装置間でデータのやり取りが可能なP2P等のネットワークを利用し、ユーザによる著作権付きコンテンツの不正コピーや不正利用を防止しつつ、当該ユーザが使用する端末装置間でコンテンツを流通させることができる。また、適法に他の端末装置へコンテンツを配信したユーザには、ポイントに基づいてインセンティブを与えることができる。よって、当該ユーザは自身が使用する端末装置に記憶されたコンテンツを積極的に他の端末装置へ配信するようになり、コンテンツの流通を促進させることができる。
また、本発明の譲渡処理のように、ユーザ間でポイントを介したコンテンツの譲渡も可能となる。よって、単にコンテンツをコピーして配信することで流通させる市場とは異なり、あるユーザにとって古くなったコンテンツを再度流通させる市場、即ち中古コンテンツ流通市場を形成することができる。このような中古コンテンツ流通市場の形成により、従来と比較して多くのユーザに対してこのコンテンツ流通システムへの参加を促すことができ、結果としてコンテンツの流通を促進させることができる。
また、本発明によれば、課金情報に基づいてコンテンツのダウンロードや再生等に対して確実にその分の利用料が利用情報保持媒体に記憶される。そのため、流通管理サーバ6は、確実にユーザから利用料を徴収し、その一部をコンテンツ所有者に支払を行うことができる。よって、コンテンツ所有者の不利益を大幅に減少させることとなり、当該コンテンツ所有者は、ネットワークを介したコンテンツ配信を積極的に行うようになるため、コンテンツの流通を促進させることができる。
また、本発明によれば、コンテンツのデータは直接端末装置に配信されるのではなく、不正コピー等を防止するため当該端末装置に専用のコンテンツ情報として配信され、コンテンツ記憶部に記憶される。よって、ユーザは端末装置を使用して当該コンテンツのダウンロードや再生を行うために所定のライセンスサーバへ接続する必要はない。さらに、専用のコンテンツ情報が既にコンテンツ記憶部に記憶されているため、当該コンテンツの再生のみであればネットワークに接続する必要もなく、全くのオフライン状態で実行することができる。よって、ユーザは、利便性を損なわれることなく迅速にコンテンツのダウンロードや再生を行うことができる。
また、本発明の決済処理によれば、流通情報保持媒体に記録されている有効期限が切れた時点でコンテンツ利用料の支払が発生し、コンテンツ購入毎、又は、ライセンス購入毎に支払が発生するわけではないため、ユーザのクレジットカード番号などの情報がネットワーク上で流出する機会が少なくて済み、従来と比較してセキュリティが強固で安全な決済が可能となる。また、各ユーザがどんなコンテンツをどれだけ利用したかが流通情報保持媒体に記録され、所定のサーバで一元管理するわけではないことから、当該ユーザの個人情報が当該サーバから流出して不正に利用される可能性を少なくすることができる。さらに、コンテンツに基づいて専用のコンテンツ情報を作成するための暗号鍵は、ユーザが使用する特定の端末装置の固有情報に基づくものではなく、ユーザの流通情報保持媒体に予め記憶されているものである。よって、例えばOS(Operation System)の再インストール等による当該端末装置の構成変更や故障により当該端末装置の固有情報が変化したとしても、これまでに取得したコンテンツは利用不可能となることはなく、ユーザの利便性が損なわれることはない。また、コンテンツを別の端末装置にコピーしたとしても、ユーザに特有の当該流通情報保持媒体を接続することで当該別の端末装置上においても当該コンテンツをそのまま利用することができる。
[変形例]
上記の実施形態では、ポイントはコンテンツを配信したり、譲渡したりすることによってしか取得できないこととなっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、現金を支払うことでポイントを購入するようにしても良い。また、上記の実施形態では、流通情報保持媒体に予め設定された有効期限を更新する際に利用情報を流通管理サーバ6へ送信することで決済処理を行っている。しかし、流通情報保持媒体に有効期限を設定するのではなく、予め現金で購入したポイントを記録しておき、コンテンツ利用料が当該ポイントを上回るとコンテンツの取得や実行が行えなくなるようにすることも可能である。つまり、決済処理を流通情報保持媒体に記録されたポイントに基づくプリペイド方式として本発明に適用することも可能である。
また、上記の実施形態では、第1コンテンツ再生処理において端末装置A3は、コンテンツ所有者サーバ5からネットワーク2を介して共通コンテンツ情報をダウンロードしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、共通コンテンツ情報が記憶されたCD−ROMなど所定の記憶媒体をコンテンツ所有者サーバ5から取得することとしてもよい。
また、上記の実施形態では、図5や図6に示すように、利用料やポイントが設定された課金情報がコンテンツ情報の構成要素となっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、課金情報はコンテンツ情報の構成要素となっておらず、常に流通管理サーバ6が保有していることとしてもよい。この場合、流通管理サーバ6は、課金情報に設定された利用料やポイントを自由且つ容易に変更することができる。よって、流通管理サーバ6は、コンテンツの価格の変更等に動的に対応することができる。さらに、流通管理サーバ6は、コンテンツの価格の変更等により流通速度等をコントロールすることも可能である。また、コンテンツ情報に課金情報の格納場所を示すパス情報等を構成要素として含ませておけば、コンテンツを実行する度に端末装置が当該パス情報に基づいて課金情報を確認し、その後決済処理を行う方法を本発明に適用することも可能である。これによれば、当該課金情報は流通管理サーバ6に限らず、コンテンツ情報と離れて所定のサーバが容易に管理することができる。
また、上記の実施形態では特に記載されていないが、流通情報保持媒体内に記録されているデータのハッシュ値を当該流通情報保持媒体に記録しておき、決済時に図2に示す流通管理サーバ6の料金請求処理機能64が、当該ハッシュ値に基づいて流通情報保持媒体内のデータが不正に改竄されているか否かをチェックすることとしてもよい。さらに、端末装置に予めチェックプログラムを記憶させておき、当該プログラムにより、端末装置が、流通情報保持媒体に記録されたデータが更新される度に当該データが不正に改竄されているか否かをチェックすることとしてもよい。
また、上記の実施形態では特に記載されていないが、端末装置がコンテンツ所有者サーバ5から共通コンテンツ情報をダウンロードする際、又は、端末装置間でコンテンツ情報の配信や譲渡を行う際に、当該コンテンツ情報が要求先から正当に配信されたものであるか否かを確認できるようにするため、当該コンテンツ情報に電子署名を付けて配信することとしてもよい。また、電子証明書発行、検証のために、認証局を別途設けることとしてもよい。
また、上記の実施形態では、図1に示すように、コンテンツ所有者はコンテンツ所有者サーバ5により共通コンテンツ情報を配信している。つまり、コンテンツ所有者が直接端末装置に共通コンテンツ情報を配信しているが、本発明はこれに限定されるものではない。図13は、複数のコンテンツ所有者A80乃至C82が、1つのコンテンツ配信サーバ83により共通コンテンツ情報を配信する場合におけるコンテンツ流通システムの概略構成を示す図である。これによれば、コンテンツ配信サーバ83は、複数のコンテンツ所有者から共通コンテンツ情報の配信を代行することができる。よって、コンテンツ所有者は、ネットワーク等の詳細な情報を把握していなくても、容易に本発明によるコンテンツ流通システムを利用して、確実にユーザから対価を徴収することができる。
このように、本発明のコンテンツ流通システムを利用することで、著作権付きコンテンツの不正コピーや不正交換を防止するとともに、流通の促進を図ることができる。具体的に、コンテンツは、電子書籍、雑誌、新聞記事、音楽コンテンツ、映像コンテンツ及び教育系コンテンツ等が挙げられ、本発明はこれらのコンテンツの流通システムを実現することができる。なお、コンテンツ流通システムは、IP(Internet Protocol)網などの有線ネットワーク上に構築することも可能であるが、本発明はこれに限られるものではなく、WiFi(Wireless Fidelity)などの無線ネットワーク上に構築することも可能である。