JP2005083857A - ナノチューブプローブ及び製造方法 - Google Patents

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喜萬 中山
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隆 大川
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    • B82Y35/00Methods or apparatus for measurement or analysis of nanostructures

Abstract

【目的】耐久性があり、短時間で製造することができ、ナノチューブを保持するホルダー面に付着不純物が少ないナノチューブプローブを実現する。
【構成】本発明に係るナノチューブプローブは、ナノチューブ8をカンチレバー突出部4に少なくとも二つの部分コーティング膜12a、12bにより固定して構成される。これら二つの部分コーティング膜の中間領域に1箇所以上の部分コーティング膜を追加形成してもよい。各部分コーティング膜は、ナノチューブ基端部8bがカンチレバー突出部4に接触した位置に電子ビーム10を照射して形成される。各部分コーティング膜が相互に重なり合わないように分離して形成される。部分コーティング膜の大きさを極力小さくし、電子ビーム10のビーム径を絞ることにより、コーティング時間を短縮できる。ビーム径が小さいので余分な不純物の堆積を抑制することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ナノチューブを探針として使用するナノチュープローブに関し、更に詳細には、ナノチューブをホルダーに固定させる具体的方法を実現して、例えば、試料表面の物理的・化学的作用を検出して試料表面像を撮像する走査型プローブ顕微鏡の探針として使用できるナノチューブプローブ及びその製造方法に関する。
走査型プローブ顕微鏡は、プローブの探針により試料表面の原子から受ける物理的・化学的作用を検出し、探針を表面上に走査させながら検出信号から試料面像を現出させる顕微鏡である。そのため、走査型プローブ顕微鏡の分解能や測定精度は探針のサイズやその物性に大きく依存している。
カーボンナノチューブ(CNT)に代表される丈夫で微小径のナノチューブを走査型プローブ顕微鏡の探針として用いることにより、高い分解能を得ることができる。しかし、探針を保持するホルダーへのナノチューブの固定は、高度の微細加工技術を必要とする。
ナノチューブプローブ及びその製造方法については、先ず最初に、コルバート・ダニエル・ティー、ダイ・ホンジー等によって特表2000−516708号公報として開示された。次に、前記発明を改良する過程で、本発明者等によって特開2000−227435号公報として開示された。
特表2000−516708号公報では、走査型プローブ顕微鏡の探針としてナノチューブが使用され、このナノチューブは光学顕微鏡を用いて接着剤によりカンチレバー突出部に固定されている。しかし、光学顕微鏡の最大倍率は1000倍から2000倍が限度であるため、直径が100nm以下のナノチューブを光学顕微鏡により直接観察することは原理的に不可能である。
そのため、カンチレバー突出部の特定位置にナノチューブを接着することさえ難しく、接着されるナノチューブの本数や方向などを調整することは更に困難である。また、仮に接着されたとしても、複数本のナノチューブ探針が接着して試料面像が多重に重なったり、測定試料表面に対するナノチューブ探針の設定角度が直角から大きくずれて表面信号を誤って読み取ることが多かった。言い換えれば、暗室の中でナノチューブを取り扱うに等しい状態であった。
前記状態を改善するため、特開2000−227435号公報では、電子顕微鏡の中でナノチューブを直接観察しながらナノチューブプローブを組み立てる。即ち、直接観察状態下で電子ビームを用いて前記ナノチューブをホルダー面にコーティング固定することによって、ナノチューブプローブを高精度且つ簡便に製造する方法を提供している。
図15はこの従来技術によりナノチューブプローブを構成する実施例の説明図である。電子顕微鏡の中で直接観測しながら、ナノチューブ108が付着したナノチューブ配置板106とカンチレバー突出部104を対向させる。次いで、両者を接近させてナノチューブ基端部108bを前記突出部104上に接触させる。ここで、ナノチューブ108は探針として用いるのに十分なナノチューブ先端部108aの先端長Aを有し、前記基端部108bは基端部長Bを有している。
次に、電子ビーム110を照射すると、電子顕微鏡の試料室内に浮遊する不純物質が分解され、分解生成物である炭素物質によってコーティング膜112が形成される。このコーティング膜112によりナノチューブ基端部108bが前記カンチレバー突出部104に固定される。
特表2000−516708号公報 特開2000−227435号公報
図15において、電子ビーム110は前記ナノチューブ基端部108b全体を被覆するようなビーム径を有している。従って、試料室内に存在する不純物142、142は電子ビーム110により分解し、生成される炭素物質がナノチューブ基端部108bを覆うようにコーティング膜112が形成される。
しかしながら、前記炭素物質はコーティング膜112を形成するだけではなく、電子140、140により帯電して電気的反発力によって散乱したり、又は破片が飛び散ってコーティング膜112以外の領域に不純物136が付着してカンチレバー突出部104を汚すことが多かった。また、ナノチューブ基端部108bの全面コーティングする場合には、電子ビーム110の端面直径が大きくなるためエネルギー流密度が低下し、電子ビーム110を長時間照射する必要があった。
更に、先端長Aを適正長さに設定する場合には、(15B)に示すように、基端部長Bが相当長くなるケースが出現する。基端部長Bがビーム径に比べて大きい場合、基端部108bの全面を被覆するためには、電子ビーム110を矢印m方向に移動することによって、コーティング膜112を多段階に形成する必要が生ずる。しかし、コーティング膜112の被覆領域が大きくなればなるほど、固定時間が長くなり、カンチレバー突出部に付着する不純物136の量が増大する。その結果、前記ナノチューブプローブが不純物により大きく汚され、商品として提供できなくなる場合もあった。
図16はナノチューブプローブの不良品の構成図とそれを用いた測定図である。ナノチューブ108がカンチレバー突出部104の先鋭端107を通過しない状態で、ナノチューブ基端部108bが1回の処理で全面コーティングされると、そのずれ配置を補正することはもはや不可能である。このようなずれは、ナノチューブ配置板106に対しナノチューブ108が斜交状態で付着している場合に起こりやすい。
このようなずれ異常は、AFM測定においてナノチューブ先端108cと共に先鋭端107も探針として機能するといった弊害を招く。(16A)に示すように、先鋭端107とナノチューブ108の配置がずれている場合、(16B)に示すように、先鋭端走査点150とナノチューブ走査点152の二重露出を引き起こし、誤った試料表面148の情報を与えることになる。
図17は従来の湾曲側面を有するカンチレバー突出部104とナノチューブ108の構成図である。カンチレバー突出部104の側面122が凹状に湾曲している場合、この湾曲側面122にナノチューブを固定する必要が生ずる。ナノチューブ108と突出部104との間に隙間123が空き、全面コーティング膜112により固定されている部分は、先鋭端付近と下方部付近だけである。それ以外の部分は、全面コーティングしていても固定には全く寄与していない。以上のように、従来の全面コーティング方式には、改善すべき点が多々存在する。
従って、本発明は、ナノチューブプローブを所定以上の強度でホルダーに固定し、しかも短時間で固定することが可能なナノチューブプローブ及びその製造方法を提供することを目的する。また、固定時に不純物の付着量が少なく、湾曲面を有するホルダーにも短時間で固定することが可能であり、更に固定強度を増大化できるナノチューブプローブ及びその製造方法を提供することを目的する。
本発明は、上記課題を達成するためになされたものであり、本発明の第1の形態は、ナノチューブを保持するホルダーと、前記ナノチューブの先端部を突出させた状態でナノチューブの基端部をホルダー面にコーティング膜により固定したナノチューブプローブにおいて、前記ナノチューブ基端部の複数箇所の夫々を部分コーティング膜によりホルダー面に固定し、各部分コーティング膜が相互に重なり合わずに分離しているナノチューブプローブである。
本発明の第2の形態は、前記部分コーティング膜において、ナノチューブの軸に直交する方向でホルダー面に固定されている最大コーティング裾幅をWとし、ナノチューブの直径をdとしたとき、W/d≧0.1の関係を満足するナノチューブプローブである。
本発明の第3の形態は、前記部分コーティング膜において、ナノチューブを軸方向に直接押さえているコーティング長をLとし、ナノチューブの直径をdとしたとき、L/d≧0.3の関係を満足するナノチューブプローブである。
本発明の第4の形態は、前記部分コーティング膜の平均膜厚Tは1nm以上であるナノチューブプローブである。
本発明の第5の形態は、カンチレバーの突出部を前記ホルダーとして使用し、前記突出部表面にナノチューブ基端部を接触するように配置し、2個以上の接触領域の夫々に前記部分コーティング膜を形成するナノチューブプローブである。
本発明の第6の形態は、前記突出部の側面が突出部先端に向けて湾曲形成されているとき、ナノチューブ基端部が前記湾曲面と接触している位置に前記部分コーティング膜を形成するナノチューブプローブである。
本発明の第7の形態は、前記突出部の先鋭端の近傍にナノチューブを通過配置させるナノチューブプローブである。
本発明の第8の形態は、ナノチューブを保持するホルダーと、前記ナノチューブの先端部を突出させた状態でナノチューブの基端部をホルダー面にコーティング膜により固定するナノチューブプローブの製造方法において、前記コーティング膜を少なくとも2個以上の部分コーティング膜によって構成し、前記ナノチューブ基端部の第1固定箇所をホルダー面に接触させて、この第1固定箇所を部分的に被覆する第1部分コーティング膜を形成し、次にナノチューブ基端部の第2固定箇所をホルダー面に接触させて、この第2固定箇所を部分的に被覆する第2部分コーティング膜を形成し、第1部分コーティング膜と第2部分コーティング膜が相互に重なり合わないように分離して形成されるナノチューブプローブの製造方法である。
本発明の第9の形態は、前記ホルダーとしてカンチレバー突出部を使用し、第1部分コーティング膜をナノチューブ基端部の下方位置に形成し、ナノチューブが突出部の先鋭端近傍を通過するような配置状態で、第2部分コーティング膜をナノチューブ基端部の上方位置に形成したナノチューブプローブの製造方法である。
本発明の第10の形態は、前記カンチレバー突出部の側面がその先鋭端に向けて湾曲形成されているとき、ナノチューブ基端部の下方位置に第1部分コーティング膜を形成し、ナノチューブ基端部の中間領域を前記突出部と非接触状態に保持し、前記第1部分コーティング膜を支点としてナノチューブが突出部先鋭端を通過するように調整し、ナノチューブ基端部の上方位置を前記先鋭端近傍に接触させてこの接触部に第2部分コーティング膜を形成したナノチューブプローブの製造方法である。
本発明の第11の形態は、前記カンチレバー突出部の側面がその先鋭端に向けて湾曲形成されているとき、ナノチューブ基端部の下方位置に第1部分コーティング膜を形成し、ナノチューブ基端部における第1固定箇所と第2固定箇所の間の中間領域を湾曲面に沿う形状に強制湾曲させ、前記第1部分コーティング膜を支点としてナノチューブが突出部先鋭端近傍を通過するように調整し、前記強制湾曲と通過調整はいずれが先に行われてもよく、ナノチューブ基端部の上方位置を前記先鋭端近傍に接触させてこの接触領域に第2部分コーティング膜を形成したナノチューブプローブの製造方法である。
本発明の第12の形態は、前記第2部分コーティング膜を形成した後、前記中間領域を第3部分コーティング膜により固定するナノチューブプローブの製造方法である。
本発明の第13の形態は、電子顕微鏡又は集束イオンビーム装置の中で直接観察しながら部分コーティング膜を形成する請求項8、9,10、11、12に記載のナノチューブプローブの製造方法である。
本発明の第14の形態は、前記部分コーティング膜は電子ビーム又はイオンビームによる分解堆積物である請求項13に記載のナノチューブプローブの製造方法である。
本発明の第15の形態は、前記電子ビーム又はイオンビームの走査範囲を規制することにより、前記部分コーティング膜の大きさを制御するナノチューブプローブの製造方法である。
本発明の第1の形態によれば、部分コーティング膜によってナノチューブをホルダー面に固定するから、部分コーティング膜の大きさを極力小さくすることにより、コーティング膜の形成時間を従来の全面コーティング膜より飛躍的に短縮することが可能になる。ナノチューブは電子顕微鏡などの拡大視装置でもその全体像を明瞭に視認することは難しく、特にナノチューブの最後端を確認することは熟練者でも難しい。全面コーティング方式ではナノチューブ最後端を必ず確認してコーティングする必要があるため、膨大なコーティング時間を必要としていた。しかし、部分コーティング方式ではナノチューブ最後端の確認などは全く不要となり、コーティング時間の短縮と同時にコーティング操作が極めて簡単になる利点がある。換言すれば、拡大視装置の中で確認できるナノチューブの少なくとも2点を対象にコーティング操作を施すだけでよいから、コーティング作業の操作性を格段に向上することができる。また、ナノチューブ基端部の少なくとも2点を固定するだけでナノチューブをホルダーに不動状態に固定できが、固定力を高めるためにはコーティング点を3点又は4点と増やしていくだけでよい。
本発明の第2の形態によれば、ナノチューブ直径dに対し最大コーティング裾幅WがW/d≧0.1の関係を満たすことにより、部分コーティング膜がナノチューブをホルダー面へ固定するために必要な固定強度を得ることができる。部分コーティング膜は矩形、円形、楕円形など任意の形状に形成され、部分コーティング膜はナノチューブを謂わば絆創膏で固定するようなものであり、絆創膏の端部がホルダー面と接着する長さによって接着強度が決められる。この接着長さを最大コーティング裾幅と呼んでおり、この最大コーティング裾幅Wがナノチューブ直径dの0.1倍以上であれば初期の固定強度が得られることを本発明者らは初めて発見したのである。部分コーティング膜は矩形、円形、楕円形、曲面形など任意の形状に形成されるから、コーティング裾幅も位置によって変化する。本発明は、最大のコーティング裾幅に着目して前記条件を発見したものである。この発見により部分コーティング膜の最大裾幅Wの下限値が明確になり、過度な固定強度を与える従来のコーティング操作が無用になった。従って、この発明によりコーティング時間の相当な短縮化を実現できる。最大コーティング裾幅Wの上限について制限はないが、コーティング時間との兼ね合いで上限値を決めればよい。
本発明の第3の形態によれば、ナノチューブ直径dに対しコーティング長LがL/d≧0.3の関係を満たすことにより、部分コーティング膜がナノチューブをホルダー面へ固定するために必要な固定強度を得ることができる。前述したように、部分コーティング膜はナノチューブを固定する絆創膏であり、絆創膏がナノチューブを直接押さえる軸方向の長さをコーティング長さと称し、前記接着強度を与える因子の一つである。部分コーティング膜は任意の形状を取り得るが、コーティング長は一意的に決定される。このコーティング長Lがナノチューブ直径dの0.3倍以上であれば初期の固定強度が得られることが本発明者らによって明らかにされた。この発見により部分コーティング膜のコーティング長Lの下限値が明確になり、過度な固定強度を与える従来のコーティング操作が格段に改善される。この発明によりコーティング時間の短縮化を実現できる。コーティング長Lの上限について制限はないが、コーティング時間との兼ね合いで上限値を決めることができる。
本発明の第4の形態によれば、平均膜厚Tが1nm以上の部分コーティング膜を形成することにより、実用に耐え得る固定強度を有したナノチューブプローブを提供することが可能である。部分コーティング膜の膜厚は均一であることが望ましいが、完全に均一であるとはいえない。膜厚が均一である場合には、平均膜厚はその膜厚に一致する。膜厚が均一でない場合には、平均の膜厚で判断する。平均膜厚に関しては、厚くなるほどコーティング強度が強くなるのは当然である。しかし、平均膜厚が大きくなると、コーティング時間を無用に増大させる。本発明者らは、コーティング膜の平均膜厚が1nm以上(T≧1nm)であれば、ナノチューブの固定を確実に行えることを実験的に確定した。従来の全面コーティング膜方式では、無用に厚くしていたためにコーティング時間が膨大になっていた。本発明により、平均膜厚を1nm以上に設定するように構成すればよいから、コーティング時間の激減とコーティング操作の簡便化が実現される。
本発明の第5の形態によれば、原子間力顕微鏡(AFMと呼ぶ)に用いられるカンチレバーをホルダーとして利用するから、このカンチレバーにナノチューブを2個以上の部分コーティング膜によって固定することにより、簡単にナノチューブプローブを製造することができる。また、カンチレバーを微動制御するAFM装置をそのまま使用できるから、ナノチューブプローブの駆動制御を容易に行うことができる。この発明では、カンチレバー突出部の形状は任意でよく、突出部形状として円錐や三角錐などの直錐体、表面が曲面から成る曲錐体など種々の形状が利用できる。突出部表面とナノチューブ基端部が少なくとも接触する位置に部分コーティング膜を形成すればよい。
本発明の第6の形態によれば、湾曲形成されたカンチレバー突出部をホルダーとして用いることができる。従来の半導体カンチレバーでは突出部自身が探針であるため、この突出部の先端をより先鋭化するために凹状又は凸状に湾曲形成されることが行われている。本発明は棒状のナノチューブを湾曲面に当接配置すると少なくとも上下の2点で接触するから、これらの接触点に部分コーティング膜を形成することによってナノチューブを固定することができる。このように、接触点が複数存在する場合には、本発明が有効に利用でき、全面コーティングと同程度の固定強度を得ることができる。
本発明の第7の形態によれば、カンチレバー突出部の先鋭端近傍にナノチューブを通過配置させるから、試料表面を走査するナノチューブ探針からの表面信号により試料表面像を高精度に現出させることができる。突出部先鋭端は探針として機能せず、2重露出を防ぐことができる。
本発明の第8の形態は、前述した第1の形態を実現する製造方法を与えている。ナノチューブ基端部がホルダーと接触する少なくとも2点を選択し、その両接触点を第1固定箇所及び第2固定箇所として部分コーティング膜により固定するものである。第1固定箇所及び第2固定箇所のコーティング順序は問わない。部分コーティング膜の面積が極減されているから、全面コーティング方法と比較してコーティング時間を格段に短縮する利点がある。ナノチューブの固定強度は部分コーティング膜の面積に依存する。しかし、前述したW/d≧0.1、L/d≧0.3又は/及びT≧1(nm)の条件を考慮すれば、部分コーティング膜の面積を一定以上に設定することにより、固定強度を所定値以上に設計することが可能になる。
本発明の第9の形態によれば、第1部分コーティング膜を下方に形成した後、この第1部分コーティング膜を支点してナノチューブを左右に振らせながらカンチレバー突出部の先鋭端近傍にナノチューブを通過配置させ、その後に第2部分コーティング膜を上方に形成する。このような2段階固定によってナノチューブを正常に配置することができ、ナノチューブプローブの不良率を急速に低減することができる。また、試料表面を走査するナノチューブ探針からの表面信号だけで試料表面像の撮像が可能になり、突出部先鋭端による2重露出を引き起こさないナノチューブプローブを製造することができる。
本発明の第10の形態によれば、突出部先鋭端を湾曲性により一層先鋭化されたカンチレバーを用いてナノチューブプローブを作製することができる。凹状の湾曲面に棒状のナノチューブを当接させると、上下の2点でナノチューブは湾曲面に接触し、中間領域では非接触状態となる。下方の接触点を先ず部分コーティング固定し、この固定点を支点としてナノチューブを左右に振らせて前記先鋭端を通過させ、その後に上方の接触点を部分コーティング固定する。従って、中間領域では固定されてはいないが、上下2点により確実に固定できる。また、凸状の湾曲面では中間領域は接触状態となるが、上下2点の部分コーティング固定により確実に固定できる。同時に、ナノチューブを正常姿勢に確実に矯正でき、ナノチューブプローブの不良率を急速に低減する利点を有する。また、部分コーティング固定であるから、ナノチューブ基端部全面を覆う従来コーティングより短時間で同程度の固定強度を発現させることができる。
本発明の第11の形態によれば、ナノチューブと湾曲形成されたカンチレバー突出部を強制的に密着させて固定するから、部分コーティング膜による固定とともにナノチューブとカンチレバー突出部間のファンデルワールス力が加わり、より高強度に固定することができる。カンチレバー突出部の湾曲形状には、凹状湾曲と凸状湾曲がある。これらの湾曲形状に応じてナノチューブを湾曲させると、ナノチューブ先端部は突出部先鋭端の突出方向に強制され、ナノチューブ探針が試料表面に対して直交し易くなる。従って、試料表面を走査する際、ナノチューブ探針が試料表面の急峻な凹凸に正確に追従でき、試料表面像を高精度に撮像できる利点がある。また、ナノチューブが突出部先鋭端を通過するようにナノチューブの姿勢を強制的に矯正するから、ナノチューブプローブの不良率を急速に低減させることができる。
本発明の第12の形態よれば、前記第11の形態における中間領域も部分コーティング膜によって固定されるから、コーティング箇所が3箇所以上になり、高強度な固定を実現することができる。
本発明の第13の形態によれば、電子顕微鏡や収束イオンビーム装置を用いて部品となるカンチレバーやナノチューブをその場観察しながら拡大視でき、部品の組み立てを高精度に行うことができる。
本発明の第14の形態によれば、電子ビーム又はイオンビームにより装置内の不純物ガスを分解し、この分解物を堆積させて部分コーティング膜を簡単且つ短時間に形成できる利点がある。前記電子ビームやイオンビームは既成の電子顕微鏡や集束イオンビーム装置(FIB装置)を用いることができる利点を有し、新たな荷電ビーム発生装置を必要としない。
本発明の第15の形態によれば、電子ビーム又はイオンビームの走査範囲(ビームの振れ幅)を規制することにより、コーティング膜のサイズ、即ちコーティング長L、最大コーティング裾幅Wを自在に変えることができる。従って、前述したW/d≧0.1及びL/d≧0.3の条件を簡単に満足させることができる。また、電子ビームやイオンビームのビーム径を極小に絞ることが可能であり、コーティング領域以外への分解物の堆積を極小化できる効果がある。更に、ビーム照射時間を制御することにより平均コーティング膜厚を自在に制御でき、前述した膜厚条件、即ちT≧1(nm)の条件を簡単に達成することができる。
本発明者らは、全面コーティング方式によるナノチューブプローブを改良するため鋭意研究した結果、部分コーティング方式によるナノチューブプローブを完成するに到った。以下に、本発明に係るナノチューブプローブ及びその製造方法の実施例を図面に従って詳細に説明する。
この部分コーティング方式により、ナノチューブをホルダー面に短時間に固定でき、ホルダー面に付着する不純物量を極限まで低減でき、しかも任意形状のホルダーを利用できるナノチューブプローブ及びその製造方法が提供される。以下の実施例では、ナノチューブを固定するホルダーとしてAFM用のカンチレバー突出部が利用される。しかし、ホルダーはカンチレバーに限定されるものではなく、ナノチューブを固定できしかもナノチューブを微動制御できる部材であればホルダーとして利用できることは言うまでもない。
図1はカンチレバー2にナノチューブ8を固定させる装置の概略構成図である。AFMにおいて使用されるカンチレバー2は、カンチレバー部3と突出部4から構成され、突出部4がナノチューブ固定用のホルダーとして用いられる。ナノチューブ供給源であるナノチューブ配置板6には多数のナノチューブ8が付着されている。ナノチューブ配置板6のナノチューブ8を前記突出部4に固定し、その後ナノチューブ8をナノチューブ配置板6から引き離してナノチューブプローブを組み立てる。
ナノチューブ配置板6上にはナノチューブ8、8は単に付着しているだけで、固定されていないことは当然である。カンチレバー2はXYZの3次元方向に移動でき、ナノチューブ配置板6はXYの2次元方向に移動できる。これらの操作は走査型電子顕微鏡室内で実時間観察しながら行われ、極めて微細な駆動制御が可能となる。
図2はナノチューブ8の固定作業の説明図である。(2A)に示すように、電子顕微鏡で直接観測しながら、カンチレバー突出部4の先鋭端7をナノチューブ8に矢印a方向に極微に接近させる。カンチレバー突出部4により、前記ナノチューブ8が先端部8a及び基端部8bに分解されるようにカンチレバー突出部4を配置する。ナノチューブ基端部8bがカンチレバー突出部4の表面に付着したら、適当な第1固定箇所に電子ビーム10を照射して第1部分コーティング膜12aを形成する。電子顕微鏡による観察ではナノチューブ先端8cを特定することは熟練度を要する。従って、ナノチューブ先端8cから適当に離れた位置に電子ビーム10を照射して、前記第1部分コーティング膜12aを形成するのである。
次に(2B)では、基端部8bの上方にある第2固定箇所に電子ビーム10を照射し、第2部分コーティング膜12bを形成し、ナノチューブ基端部8bをカンチレバー突出部4に固定する。電子顕微鏡内の不純物ガスは電子ビームによって分解され、その分解物が堆積して第1部分コーティング膜12a及び第2部分コーティング膜12bが形成される。前記不純物ガスが有機ガスの場合には分解堆積物は炭素物質から構成される場合が多い。しかし、有機金属ガスの場合には、分解堆積物は金属物質から構成される。このようにコーティング膜を構成する素材は任意に選択できる。
第1部分コーティング膜12a及び第2部分コーティング膜12bが形成された後、前記カンチレバー突出部4とナノチューブ配置板6を矢印b方向に相対的に引き離す。このとき、当然のことながら、ナノチューブ8のナノチューブ配置板6に対する付着力は、第1部分コーティング膜12aと第2部分コーティング膜12bよる固定強度に比べて弱い。その結果、前記引き離し過程で、ナノチューブ8はカンチレバー突出部4と一体になってナノチューブ配置板6から分離される。
図3は電子ビーム10よって形成される部分コーティング膜12の説明図である。コーティング膜を形成する場合に2つの方法がある。第1方法は電子ビームを極細に絞ってビームを設定された走査範囲内で振る方法であり、走査範囲を可変して部分コーティング膜のサイズを調整する。第2方法は絞りを緩めて電子ビーム自体を太くする方法であり、ビームの太さを可変してコーティング膜のサイズを調整する。
(3A)では、前記第1方法が使用され、電子ビーム10のビーム直径Rを極細(例えば、数nm〜10nm)まで絞り、この電子ビーム10を設定された走査範囲14内で振りながらコーティング膜12を形成する。例えば、ビーム直径Rを4nm程度に絞り、走査範囲14を一辺20nmに設定し、そのときコーティング膜12のサイズは30nm程度である。走査範囲14の大きさとコーティング膜12の大きさは同オーダーではあるが同一とは限らない。しかし、走査範囲14の大きさとコーティング膜12の大きさには一定の依存関係がある。
前記走査範囲14は横幅u及び縦幅vにより区画される領域で、偏向コイルにより実現される。この走査範囲14内で電子ビーム10を振りながら照射することによって、部分コーティング膜12が形成される。前記走査範囲14を可変することにより部分コーティング膜12の大きさを制御できる。固定されるナノチューブの直径の大小に応じて走査範囲14の大小を調整すればよい。後述するように、部分コーティング膜12の幅D、長さL、平均膜厚Tがナノチューブ直径dに対し一定の関係を有するから、その関係を満足するように部分コーティング膜12を形成することにより所期の固定強度を得ることができる。
(3B)では、第2方法が使用され、ナノチューブ直径dが小から大へと変化する場合に、電子ビーム10の直径Rも絞り調整により小から大へと調節される。この場合には電子ビーム10は直射状態にあり、走査されない。即ち、細いナノチューブ8(左図)と太いナノチューブ8(右図)に対応して、電子ビーム10のビーム径Rを調整してビーム照射を行い、所定の固定強度を有した部分コーティング膜12、12を形成する。その結果、ナノチューブの直径d、ホルダー面の形状に対応して、後述されるように部分コーティング膜12の平均膜厚T、コーティング長L、最大コーティング裾幅Wを自在に変えることができる。
第3の方法として、電子ビームの直径Rを可変し、且つ電子ビームの絞り調整を行う方法も採用できる。例えば、コーティング膜12の一辺のサイズが100nmのとき、電子ビーム直径Rを30nmに設定し、走査範囲14を一辺80nmに調節する場合が考えられる。このような2段調整は目的に応じて自在に変更できることは言うまでもない。
部分コーティング膜12の材質については、ナノチューブプローブに対して要求される各種の物性、例えば固定強度、導電性、絶縁性、磁性などを満足するように選択される。電子顕微鏡内の不純物ガスが有機ガスの場合には、電子ビーム分解によって生成される炭素物質が前記部分コーティング膜12となる。不純物ガスが金属有機ガスの場合には、分解された金属物質が前記部分コーティング膜12となる。金属元素の種類を選択することによって前記物性の調整が可能である。
図4は部分コーティング膜12の大きさとナノチューブ直径dの関係の説明図である。(4A)に示すように、部分コーティング膜12は次のような寸法を有して構成される。ナノチューブ8と直交する方向において、突出部表面5と接触する長さはコーティング裾幅で表される。この部分コーティング膜12は矩形であるから、コーティング裾幅は一定であり、最大コーティング裾幅Wはそのコーティング裾幅に等しい。従って、コーティング裾幅Wと言ってもよいし、最大コーティング裾幅Wと言ってもよい。また、部分コーティング膜12の軸方向の長さはコーティング長Lで与えられる。この場合、部分コーティング膜12は矩形であるから、部分コーティング膜12の幅も前記コーティング長Lと同一になる。ナノチューブ8の直径はd、平均膜厚はTとする。
この部分コーティング膜12の各サイズとナノチューブ直径dに対する固定強度の関係を調べるために、(4B)に示した耐久力の試験を行う。この耐久試験では、カンチレバー2のカンチレバー突出部4に第1部分コーティング膜12aと第2部分コーティング膜12bで固定されたナノチューブ8が使用された。ナノチューブ8の先端8cを試料表面48に接触させ、試料表面48に垂直な矢印c方向へカンチレバーを更に接近させ、ナノチューブ8を湾曲させた。次に、この湾曲状態を保持して試料表面48上を移動させた。この試験を100回反復して、部分コーティング膜12の固定強度が測定された。この試験結果について図5に示す。
(4A)では、方形の部分コーティング膜により各寸法を定義したが、部分コーティング膜12の形状は方形に限られたものではない。部分コーティング膜の形状は、カンチレバー突出部の形状に応じて、電子ビームのビーム断面や走査範囲を変化させることにより様々な形状に形成することが可能である。例として、(4C)に楕円形状に形成された部分コーティング膜12を示す。このとき、部分コーティング膜12と突出部表面5が接触する面内において、ナノチューブ8と直交する方向へ、ナノチューブからコーティング膜の端までの幅が最大となる長さを最大コーティング裾幅Wとする。また、ナノチューブ8を軸方向に直接押さえている長さをコーティング長Lとする。
(4B)に示した耐久力試験に用いられたナノチューブプローブの部分コーティング膜の形状は、矩形に限らず楕円形状なども含まれる。しかしながら、ナノチューブ直径dに対する最大コーティング裾幅Wやコーティング長Lの比と、ナノチューブの固定強度の関係は、少なくとも矩形と楕円形では、ほぼ一致する。このことから、図5に示すナノチューブ直径dと各寸法の関係は、過度な形状の違いがない限り、一般的に成り立つと結論付けられる。
図5はナノチューブ直径dと部分コーティング膜の各サイズと固定強度の関係図である。固定強度は優(◎)、良(○)、可(△)、不可(×)の4段階で判定され、優・良・可の3段階が合格とされ、不可は不合格と判断された。優・良・可・不可の判断基準は、試験されたナノチューブブローブを用いて標準試料のAFM画像を撮像し、その画像の鮮明度を熟練者が判断して決められた。不可の場合には、ナノチューブの早期脱落やナノチューブ先端の摩耗など種々の原因が考えられる。
(5A)では、最大コーティング裾幅Wとナノチューブ直径dの比率W/dを変えて判定が行われた。W/dが0.1の場合には不可であった。W/dが0.3では△、0.4では○、1以上では◎の結果が得られた。従って、W/dが0.3以上の場合に合格と判定された。つまり、前記部分コーティング膜において、探針として最低限必要な固定強度を有するためには、W/d≧0.3の関係を満足する必要性がある。更に、W/d≧0.5では好ましい固定強度を有し、W/d≧1では、より好ましい固定強度を有する。
(5B)では、コーティング長Lとナノチューブ直径dの比率L/dを変えて判定が行われた。L/dが0.3の場合には不可であった。L/dが0.5では△、0.8では○、1以上では◎の結果が得られた。従って、L/dが0.5以上の場合に合格と判定された。つまり、前記部分コーティング膜において、探針として最低限必要な固定強度を有するためには、L/d≧0.5の関係を満足する必要性がある。更に、L/d≧0.8では好ましい固定強度を有し、L/d≧1では、より好ましい固定強度を有する。
(5C)では、平均コーティング膜厚Tを変えて判定が行われた。Tが1nmでは不可であった。Tが2nmでは△、3nmでは○、4nm以上では◎の結果が得られた。従って、Tが2nm以上の場合に合格と判定された。つまり、前記部分コーティング膜において、探針として最低限必要な固定強度を有するためには、前記部分コーティング膜の平均膜厚Tが2nm以上であることが必要である。更に、T≧3nmでは好ましい固定強度を有し、T≧4nmではより好ましい固定強度を有する。
図6はエッチング処理されたナノチューブ8の固定強度を示した関係図である。カンチレバー突出部をエッチング処理すると、突出部表面の改質によりナノチューブの固定強度が増加すると考えられる。ここで、エッチング処理はフッ酸、リン酸などを用いた化学エッチング、電解エッチング、プラズマエッチング、レーザービームエッチング等があり、目的に応じて種々のエッチング方法を選択できる。図5と同様に、W/d、L/d及びTを変化させて固定強度の判定が行われた。
(6A)に示されるように、W/dの値が0.1に対しても実用上最低限の固定強度が得られている。また、好ましくはW/d≧0.3、より好ましくはW/d≧0.5以上で優れた固定強度が得られる。(6B)に示されるように、L/dに対しては、最低限必要な固定強度はL/d≧0.3で得られる。好ましくはL/d≧0.5、より好ましくはL/d≧0.8の場合に優れた固定強度が得られる。(6C)に示されるように、平均コーティング膜厚Tに対しては、最低限必要な固定強度はT≧1nmで得られる。好ましくはT≧2nm、より好ましくはT≧3nmの場合に優れた固定強度が得られる。
エッチング処理することにより、エッチングしない場合より1段階強度が増加することが明らかとなった。エッチング処理によって突出部表面が改質され、ナノチューブとの結合力が増大したことが原因であると考えられる。エッチング処理を考慮すると、必要な固定強度は、W/d≧0.1、L/d≧0.3、T≧1nmの場合に得られることが分かった。エッチング処理を行わない場合には、必要な固定強度は、W/d≧0.3、L/d≧0.5、T≧2nmの場合に得られることが分かった。
図7は湾曲形成されたカンチレバー突出部4にナノチューブ8を固定する方法の工程図である。ナノチューブ配置板6に付着したナノチューブ8を先鋭端7に向けて湾曲形成された突出部湾曲面22に固定する。前記ナノチューブ8が前記湾曲面22と接触した第1固定箇所P1に電子ビーム10を照射し、第1部分コーティング膜12aを形成する。次に、ナノチューブ8を倒して先鋭端7の近傍に位置する第2固定箇所P2にナノチューブ8を接触させる。この第2固定箇所P2に電子ビーム10を照射し、第2部分コーティング膜12bを形成する。その結果、ナノチューブ8は前記湾曲面22と少なくとも接触している2点で固定され、しかも前述したコーティング条件を満足することによって所定の固定強度が保持される。ナノチューブ8と湾曲面22の間に存在する隙間23にはコーティング処理が施されず、コーティング膜の被覆時間が削減され、効率的なコーティング処理が行われる。
図8は湾曲していないカンチレバー突出部4に対するナノチューブ8の固定方法の説明図である。カンチレバー突出部4の表面5a、5bは湾曲せずストレートに形成されており、ナノチューブ8がその表面5a又は5bに第1コーティング膜12a及び第2コーティング膜12bにより固定されている。(8A)では、カンチレバー部3をZ軸方向に向け、突出部4をY軸方向に配置し、表面5aにナノチューブ8が固定されている。(8b)では、カンチレバー突出部4の表面5bにナノチューブ8が固定される。このように、ナノチューブ8はカンチレバー突出部4の表面5aと表面5bのどちら側にも固定することができる。ナノチューブ配置板6の突出部4に対する姿勢を自在に制御することによって、ナノチューブ8を取り付ける表面を自在に選択することができる。
図9はナノチューブ8を突出部4の先鋭端7近傍に通過配置させる工程図である。ナノチューブ8が先鋭端7からずれると、ナノチューブ先端8cと突出部先鋭端7が同時に探針として機能し、撮像された表面画像が2重像(2重露出)になって画像精度が低下してしまう。画像を鮮明化するために、先鋭端7の探針機能を封殺する必要がある。このために、ナノチューブ8を突出部4の先鋭端7近傍に通過配置させるのである。
(9A)では、ナノチューブ8がナノチューブ配置板6に対して直交せずに、斜めに付着している場合が示されている。ナノチューブ配置板6はナノチューブ8の供給源であるが、ナノチューブ8はナノチューブ配置板6に対し斜交しているのが通常である。ナノチューブ8は付着領域6aにおいてナノチューブ配置板6に付着されている。付着領域6aは、ナノチューブ8とナノチューブ配置板6が分子間力により結合している領域である。両者を付着させる方法は本発明の主題を外れるので言及しない。
(9B)では、斜交配置されたナノチューブ8をカンチレバー突出部4に接触させ、その接触点である第1固定位置P1に電子ビーム10を照射して第1部分コーティング膜12aを形成する。次に、ナノチューブ8を先鋭端7に強制的に通過させる。この強制方法には2種類ある。第1の方法は、ナノチューブ配置板6を矢印e方向に移動させ、ナノチューブ8を第1固定箇所P1を支点として左回りに旋回移動させる。第2の方法は、カンチレバー突出部4を矢印f方向に移動させ、ナノチューブ8を付着領域6aを支点として左回りに旋回移動させることになる。このようにして、先鋭端7近傍を通過するようにナノチューブ8の配置を修正する。
(9C)では、先鋭端7付近にある第2固定箇所P2に電子ビーム10を照射して第2部分コーティング膜12bを形成する。このようにして、先鋭端7の近傍を通過するように、ナノチューブ8が第1部分コーティング膜12a及び第2部分コーティング膜12bにより突出部4に固定される。先鋭端7の近傍とは先鋭端7の位置及びその近接領域を意味しており、ナノチューブ8が先鋭端7の位置を直接通過することが最適であることは言うまでもない。
図10はナノチューブ中間領域を第3部分コーティング膜12cにより固定する工程図である。(10A)及び(10B)では、図9で説明した操作が行われ、ナノチューブ8が突出部4に対し、第1部分コーティング膜12a及び第2部分コーティング膜12bにより固定される。更に、固定強度を強めるために、第1部分コーティング膜12aと第2部分コーティング膜12bの間にある中間領域に対し電子ビーム10を照射して第3部分コーティング膜12cを形成する。で固定する。また、必要な場合には、第4部分コーティング膜などを追加形成して、ナノチューブを多点固定してより高強度な固定を施すことができる。
図11は凹状に湾曲形成されたカンチレバー突出部4にナノチューブ8を固定する工程図である。カンチレバー突出部4の側面がその先鋭端7に向けて凹状に湾曲形成され、湾曲面22が形成されている。この湾曲面22にナノチューブ8を密着させる工程が(11A)、(11B)、(11C)に示される。先ず、(11A)では、ナノチューブ8の下方位置の第1固定箇所P1に電子ビーム10を照射することにより第1部分コーティング膜12aを形成する。(11B)では、ナノチューブ配置板6を矢印g方向に移動し、同時にナノチューブ配置板6を矢印h方向に微動させ、ナノチューブ8の中間領域を湾曲面22に沿わすように接触させて強制湾曲させる。また、第1部分コーティング膜12aを支点としてナノチューブ8が先鋭端7を通過するように調整する。
(11C)では、カンチレバー突出部4に密着させたナノチューブ8の上方位置にある第2固定箇所P2に電子ビーム10を照射し、第2部分コーティング膜12bを形成する。このような密着固定により、前記ナノチューブ8とカンチレバー突出部4間のファンデルスワールス力が増強し、より強固にナノチューブ8を固定することができる。また、このような方法で取り付けられたナノチューブ8は突出部4から上方に向かってほぼ垂直に突設される。従って、試料面に対して略直角に配置されるため、ナノチューブ探針の先端が試料表面の凹凸に垂直に立ち、その凹凸を高精度に検出して誤情報を急減させる。
図12は凹状に湾曲形成されたカンチレバー突出部4にナノチューブ8を3点固定する工程図である。(12A)及び(12B)では、図11で示されたように、湾曲面22に沿うようにナノチューブ8が、第1部分コーティング膜12a及び第2部分コーティング膜12bにより2点固定される。このときナノチューブ8は先鋭端7を通過するように固定されている。(12C)では、固定強度を強くするため、中間領域に対し電子ビーム10を照射して第3部分コーティング膜12cを形成する。この第3部分コーティング膜12cにより、ナノチューブ8が湾曲面22に確実に接合固定される。また、必要によっては第4部分コーティング膜などを形成して、ナノチューブ8を多点固定すれば固定強度の増大化を達成できる。
図13は凸状に湾曲形成されたカンチレバー突出部4にナノチューブ8を固定する工程図である。(13A)では、カンチレバー突出部4の湾曲面22がその先鋭端7に向けて凸状に湾曲形成されているとき、ナノチューブ8の下方位置に電子ビーム10を照射して第1部分コーティング膜12aを形成する。(13B)では、ナノチューブ8の上方位置を先鋭端7近傍に接触させ、この接触部に電子ビーム10を照射し第2部分コーティング膜12bを形成する。このように部分コーティング膜による固定方法では、様々な形状を持つホルダー面にナノチューブを固定することが容易になる。
図14はナノチューブ群36から一本のナノチューブ8を固定する方法の説明図である。ナノチューブ配置板6に付着した数本〜数十本のナノチューブ群から探針として用いる適当なナノチューブ8を選択する。このナノチューブ8に対し微小なビーム径を持つ電子ビームを照射することによって、このナノチューブ8だけを選択的にカンチレバー突出部4に固定することができる。換言すれば、部分コーティング膜12a、12bの大きさを隣接するナノチューブの間隔よりも小さく設計すれば、一本のナノチューブだけを固定できるわけである。固定した後、ナノチューブ配置板6を矢印j方向に後退させればよい。又は、カンチレバー突出部4を矢印k方向に後退させても、その選択されたナノチューブ8だけを引き抜くことができる。このようにすれば、同じナノチューブ配置板6から一本一本のナノチューブ8を引き抜いて、多数本のナノチューブプローブを製造することができる。従って、ナノチューブプローブの製造効率を急激に高めることができる。
上記実施例では、拡大視装置として電子顕微鏡を使用し、部分コーティング膜を形成するために電子ビームを使用した。しかし、他の拡大視装置及び荷電ビームを目的に応じて使用することができる。例えば、集束イオンビーム装置を使用し、荷電ビームとしてイオンビームを使用することも可能である。
本発明の第1の形態を用いると、部分コーティング膜によってナノチューブをホルダー面に固定するから、固定時間を大幅に短縮することが可能になり、ナノチューブプローブの大量生産と生産コストの低減を実現できる。部分コーティング膜のサイズを小さくすることによって、同一のナノチューブ配置板を何回も使用でき、ナノチューブプローブの製造効率を増大化できる。
第2〜第4の形態を用いれば、ナノチューブ直径d、最大コーティング裾幅W、コーティング長L、平均膜厚Tとしたとき、W/d≧0.1、L/d≧0.3、T≧1nmの関係を満たす部分コーティング膜を形成するだけで所定強度のナノチューブプローブを製造できる。この条件を満足するように、荷電ビームのエネルギー流密度、照射時間、走査範囲(ビーム振れ幅)などを初期設定しておくだけで、熟練度を必要とすることなくナノチューブプローブを製造でき、生産性を著しく向上させることが可能である。
第5の形態を用いれば、従来用いられているカンチレバーにナノチューブを部分コーティング膜によって取り付けるだけで、簡単にナノチューブプローブを製造することができ、生産コストを著しく低減することが可能である。
第6の形態を用いれば、湾曲形成されたカンチレバー突出部とナノチューブの接触部のみを部分コーティングするだけで所期の目的を達成できる。前記湾曲面とナノチューブの接触点が小さい場合にも、その接触点を部分コーティングすれば、全面コーティングと同程度の固定強度を得ることができる。これは、製造時間の大幅な短縮のみならず、従来のカンチレバーの高度利用を図ることができ、省力化を達成することができる。
第7の形態を用いれば、カンチレバー突出部の先鋭端近傍にナノチューブを通過配置することにより、突出部先鋭端の探針機能を封殺でき、ナノチューブ探針だけによる高精度の表面画像を現出でき、ナノチューブプローブの信頼性を大幅に向上させることができる。つまり、2重露出の防止により、物質試料や生体試料のナノ構造を正確に検出し、ナノテクノロジーの測定手段として画期的な方法を提供するものである。
第8の形態を用いれば、ナノチューブプローブを短時間で製造でき、ナノチューブプローブの大量生産と生産コストの急減を実現できる。
第9の形態を用いれば、カンチレバー突出部の先鋭端近傍にナノチューブを通過配置するから、突出部先鋭端の探針機能を封殺でき、ナノチューブ探針だけによる高精度の表面画像を提供できる。また、ナノチューブプローブの信頼性を大幅に向上させることができる。
第10の形態を用いれば、ナノチューブを湾曲面に部分コーティング固定してナノチューブプローブを提供できるから、任意形状のホルダーを用いてナノチューブプローブを構成でき、ナノチューブプローブの多展開を図ることができる。
第11の形態を用いれば、ナノチューブをカンチレバー突出部の湾曲面に密着させるから、部分コーティング固定に加えて、密着面のファンデルワールス力が作用し、耐久性のあるナノチューブプローブを提供できる。更に、ナノチューブ探針が試料表面に対して直交することにより、試料表面の凹凸情報を正確に検出することができる。
第12の形態を用いれば、ナノチューブ基端部の3箇所を部分コーティング膜によって固定することにより、より一層の高強度固定を施すことができる。
第13の形態によれば、電子顕微鏡で直接観測しながら固定作業を行うから、高精度で部分コーティング膜を形成することができる。更に、ナノチューブの固定と共に、ナノチューブの加工や機能性物質の添加等を電子顕微鏡装置内で確実に行うことが可能である。
第14の形態を用いれば、電子ビーム又はイオンビームを用いて部分コーティング膜を形成できる。従って、電子顕微鏡や集束イオンビーム装置(FIB装置)等の既成の装置を用いてナノチューブプローブの製造が可能であり、新たな荷電ビーム発生装置を必要としない。電子ビーム及びイオンビームは電磁的制御方法が確立しており、高度な微細加工を可能にする。
第15の形態を用いれば、電子ビーム又はイオンビームの走査範囲を規制するだけで、部分コーティング膜の平均膜厚、コーティング長、最大コーティング裾幅を自在に変えることができる。従って、任意形状のホルダー面に所望の固定強度を有したナノチューブプローブを製造できる。また、荷電ビームのビーム径を極小に絞ることが可能であり、荷電ビームによりホルダー面上に付着されるビーム経路内の不純物量を抑制することができる。
本発明に係るナノチューブプローブは、通常の走査型プローブ顕微鏡に適用できる。走査型プローブ顕微鏡には、トンネル電流を検出する走査型トンネル顕微鏡(STM)、ファンデルワールス力で表面凹凸を検出する原子間力顕微鏡(AFM)、表面の違いを摩擦力で検出する水平力顕微鏡(LFM)、磁性探針と試料表面の磁性相互作用を検出する磁気力顕微鏡(MFM)、試料と探針間に電圧を印加して電界力勾配を検出する電界力顕微鏡(EFM)、化学官能基の表面分布を画像化する化学力顕微鏡(CFM)などがある。これらの走査型プローブ顕微鏡は、その特有の物理的・化学的作用を探針で検出して表面の原子配置を撮像する点で共通する。従って、本発明に係るナノチューブプローブを適用すれば、分解能や測定精度を格段に向上できる。
カンチレバー2にナノチューブ8を固定させる装置の概略構成図である。 ナノチューブ8の固定作業の説明図である。 電子ビーム10よって形成される部分コーティング膜12の説明図である。 部分コーティング膜12の大きさとナノチューブ直径dの関係の説明図である。 ナノチューブ直径dと部分コーティング膜の各サイズと固定強度の関係図である。 エッチング処理されたナノチューブ8の固定強度を示した関係図である。 湾曲形成されたカンチレバー突出部4にナノチューブ8を固定する方法の工程図である。 湾曲していないカンチレバー突出部4に対するナノチューブ8の固定方法の説明図である。 ナノチューブ8を突出部4の先鋭端7近傍に通過配置させる工程図である。 ナノチューブ中間領域を第3部分コーティング膜12cにより固定する工程図である。 凹状に湾曲形成されたカンチレバー突出部4にナノチューブ8を固定する工程図である。 凹状に湾曲形成されたカンチレバー突出部4にナノチューブ8を3点固定する工程図である。 凸状に湾曲形成されたカンチレバー突出部4にナノチューブ8を固定する工程図である。 ナノチューブ群36から一本のナノチューブ8を固定する方法の説明図である。 この従来技術によりナノチューブプローブを構成する実施例の説明図である。 従来のナノチューブプローブの不良品の構成図とそれを用いた測定図である。 従来の湾曲側面を有するカンチレバー突出部104とナノチューブ108の構成図である。
符号の説明
2 カンチレバー
3 カンチレバー部
4 カンチレバー突出部
5 突出部表面
5a 表面
5b 表面
6 ナノチューブ配置板
6a 付着領域
7 先鋭端
8 ナノチューブ
8a ナノチューブ先端部
8b ナノチューブ基端部
8c ナノチューブ先端
10 電子ビーム
12 部分コーティング膜
12a 第1部分コーティング膜
12b 第2部分コーティング膜
12c 第3部分コーティング膜
22 湾曲面
36 ナノチューブ群
48 試料表面
102 カンチレバー
104 カンチレバー突出部
106 ナノチューブ配置板
107 先鋭端
108 ナノチューブ
108a ナノチューブ
108b ナノチューブ
108c ナノチューブ
110 電子ビーム
112 コーティング膜
136 不純物
140 電子
142 不純物
148 試料表面
150 先鋭端走査点
152 ナノチューブ走査点
P1 第1固定箇所
P2 第2固定箇所

Claims (15)

  1. ナノチューブを保持するホルダーと、前記ナノチューブの先端部を突出させた状態でナノチューブの基端部をホルダー面にコーティング膜により固定したナノチューブプローブにおいて、前記ナノチューブ基端部の複数箇所の夫々を部分コーティング膜によりホルダー面に固定し、各部分コーティング膜が相互に重なり合わずに分離していることを特徴とするナノチューブプローブ。
  2. 前記部分コーティング膜において、ナノチューブの軸に直交する方向でホルダー面に固定されている最大コーティング裾幅をWとし、ナノチューブの直径をdとしたとき、W/d≧0.1の関係を満足する請求項1に記載のナノチューブプローブ。
  3. 前記部分コーティング膜において、ナノチューブを軸方向に直接押さえているコーティング長をLとし、ナノチューブの直径をdとしたとき、L/d≧0.3の関係を満足する請求項1に記載のナノチューブプローブ。
  4. 前記部分コーティング膜の平均膜厚Tが1nm以上である請求項1に記載のナノチューブプローブ。
  5. カンチレバーの突出部を前記ホルダーとして使用し、前記突出部表面にナノチューブ基端部を接触するように配置し、2個以上の接触領域の夫々に前記部分コーティング膜を形成する請求項1に記載のナノチューブプローブ。
  6. 前記突出部の側面が突出部先端に向けて湾曲形成されているとき、ナノチューブ基端部が前記湾曲面と接触している位置に前記部分コーティング膜を形成する請求項5に記載のナノチューブプローブ。
  7. 前記突出部の先鋭端の近傍にナノチューブを通過配置させる請求項5又は6に記載のナノチューブプローブ。
  8. ナノチューブを保持するホルダーと、前記ナノチューブの先端部を突出させた状態でナノチューブの基端部をホルダー面にコーティング膜により固定するナノチューブプローブの製造方法において、前記コーティング膜を少なくとも2個以上の部分コーティング膜によって構成し、前記ナノチューブ基端部の第1固定箇所をホルダー面に接触させて、この第1固定箇所を部分的に被覆する第1部分コーティング膜を形成し、次にナノチューブ基端部の第2固定箇所をホルダー面に接触させて、この第2固定箇所を部分的に被覆する第2部分コーティング膜を形成し、第1部分コーティング膜と第2部分コーティング膜が相互に重なり合わないように分離して形成されることを特徴とするナノチューブプローブの製造方法。
  9. 前記ホルダーとしてカンチレバー突出部を使用し、第1部分コーティング膜をナノチューブ基端部の下方位置に形成し、ナノチューブが突出部の先鋭端近傍を通過するような配置状態で、第2部分コーティング膜をナノチューブ基端部の上方位置に形成した請求項8に記載のナノチューブプローブの製造方法。
  10. 前記カンチレバー突出部の側面がその先鋭端に向けて湾曲形成されているとき、ナノチューブ基端部の下方位置に第1部分コーティング膜を形成し、ナノチューブ基端部の中間領域を前記突出部と非接触状態に保持し、前記第1部分コーティング膜を支点としてナノチューブが突出部先鋭端を通過するように調整し、ナノチューブ基端部の上方位置を前記先鋭端近傍に接触させてこの接触領域に第2部分コーティング膜を形成した請求項9に記載のナノチューブプローブの製造方法。
  11. 前記カンチレバー突出部の側面がその先鋭端に向けて湾曲形成されているとき、ナノチューブ基端部の下方位置に第1部分コーティング膜を形成し、ナノチューブ基端部における第1固定箇所と第2箇所の間の中間領域を湾曲面に沿う形状に強制湾曲させ、前記第1部分コーティング膜を支点としてナノチューブが突出部先鋭端を通過するように調整し、前記強制湾曲と通過調整はいずれが先に行われてもよく、ナノチューブ基端部の上方位置を前記先鋭端近傍に接触させてこの接触領域に第2部分コーティング膜を形成した請求項9に記載のナノチューブプローブの製造方法。
  12. 前記第2部分コーティング膜を形成した後、前記中間領域を第3部分コーティング膜により固定する請求項11に記載のナノチューブプローブの製造方法。
  13. 電子顕微鏡又は集束イオンビーム装置の中で直接観察しながら部分コーティング膜を形成する請求項8、9,10、11、12に記載のナノチューブプローブの製造方法。
  14. 前記部分コーティング膜は電子ビーム又はイオンビームによる分解堆積物である請求項13に記載のナノチューブプローブの製造方法。
  15. 前記電子ビーム又はイオンビームの走査範囲を規制することにより前記部分コーティング膜の大きさを制御する請求項14に記載のナノチューブプローブの製造方法。
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