JP2005081485A - 高温メカノケミカル研磨方法と装置 - Google Patents

高温メカノケミカル研磨方法と装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 開放雰囲気においてワークを高温でメカノケミカル研磨することができ、研磨中のワーク、研磨プレート、および砥粒へのアプローチが容易であり、作業性が高く、加工能率を大幅に高めることができる高温メカノケミカル研磨方法と装置を提供する。
【解決手段】 ワーク1を2枚の平板(研磨プレート12とワーク保持板16)で挟持し、平板の一方または両方を加熱してワークを昇温し、ワークと少なくとも一方の平板間にメカノケミカル作用を生じる微細粒子2を供給しながらワークを高温でメカノケミカル研磨する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、開放雰囲気において高温でメカノケミカル研磨する高温メカノケミカル研磨方法と装置に関する。
近年、サファイヤやセラミックス材料の高品質研磨のニーズが急増している。サファイヤは、ブルーレーザー用基板やSOSなどの電子デバイスや液晶プロジェクター等の熱フィルタに使用される。また、窒化硅素や炭化硅素のセラミックスは、次世代の高機能基板材料として期待されている。
サファイヤやセラミックス材料は、極めて硬質であり、難加工材として知られている。そのため、これらの硬質難加工材の研磨は、化学的腐食作用を有する加工液を用いた常温湿式研磨によって行っている。
しかし、常温湿式研磨の研磨速度は極めて低く、研磨工程の最終研磨に数時間〜数十時間という長時間作業を余儀無くされており、生産性が悪く、製造コストが高くなる要因になっていた。
そこでSiO2などの軟質砥粒を用いサファイヤ等の硬質難加工材との間の摩擦により、化学反応を誘起させることで、高品質な面を創成するMCP(メカノケミカルポリシング)法が、東海大学の安永教授らにより研究されてきた(非特許文献1〜3)。
安永 暢男他、摩耗における界面固相反応の効果とその精密加工への応用に関する研究、電子技術総合研究所報告第776号、電子技術総合研究所、昭和52年12月 安永 暢男、軟質砥粒によるメカノケミカルポリシング、光技術コンタクト、Vol.31.No.10 (1993) 安永 暢男、特殊研摩加工技術とは、機械と工具、1998年5月
上述したメカノケミカルポリシング法によれば、例えば、加工雰囲気の温度を約500℃付近まで上昇させることによって、1ケタ以上の加工レートが上がることが確認されている。
しかし、従来、高温でメカノケミカル研磨(メカノケミカルポリシング)を実施するためには、図9に例示するように、硬質難加工材(ワーク)をメカノケミカルポリシングする領域全体を容器内に収納し、その容器内をヒータ等で加熱して雰囲気温度を高める必要があった。その結果、従来は、研磨中のワーク、研磨プレート、および砥粒へのアプローチが困難であり、作業性が低く、加工能率が十分に高められない問題点があった。
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、開放雰囲気においてワークを高温でメカノケミカル研磨することができ、研磨中のワーク、研磨プレート、および砥粒へのアプローチが容易であり、作業性が高く、加工能率を大幅に高めることができる高温メカノケミカル研磨方法と装置を提供することにある。
本発明によれば、ワークを2枚の平板で挟持し、該平板の一方または両方を加熱してワークを昇温し、ワークと少なくとも一方の平板間にメカノケミカル作用を生じる微細粒子を供給しながらワークを高温でメカノケミカル研磨する、ことを特徴とする高温メカノケミカル研磨方法が提供される。
本発明の方法によれば、一方または両方が加熱された2枚の平板の間にワークが挟持されるので、2枚の平板およびその間に位置する熱容量が小さいワークと微細粒子も伝熱により実質的に同一温度となる。
従って、硬質難加工材(ワーク)を容器内に収容することなく、開放雰囲気において、メカノケミカル作用を生じる微細粒子を供給しながらワークを高温でメカノケミカル研磨することができ、研磨中のワーク、研磨プレート、および砥粒へのアプローチが容易であり、作業性が高く、加工能率を大幅に高めることができる。
また、本発明によれば、水平な研磨面を有する研磨プレートと、該研磨プレートを鉛直な軸心Z-Zを中心に水平に回転駆動するプレート旋回装置と、ワークを保持するワーク保持板と、該ワーク保持板を前記研磨面に向けて付勢しながらワークを研磨面に沿って摺動させるワーク摺動装置と、研磨プレートおよび/またはワーク保持板を加熱する加熱装置とを備え、ワークと研磨プレートの間にメカノケミカル作用を生じる微細粒子を供給しながらワークを高温でメカノケミカル研磨する、ことを特徴とする高温メカノケミカル研磨装置が提供される。
本発明の構成によれば、加熱装置で研磨プレートおよび/またはワーク保持板を加熱するので、加熱された研磨プレートとワーク保持板の間にワークが挟持されるので、その間に位置する熱容量が小さいワークと微細粒子も伝熱により実質的に同一温度に加熱できる。
従って、硬質難加工材(ワーク)を容器内に収容することなく、開放雰囲気において、メカノケミカル作用を生じる微細粒子を供給しながらワークを高温でメカノケミカル研磨することができ、研磨中のワーク、研磨プレート、および砥粒へのアプローチが容易であり、作業性が高く、加工能率を大幅に高めることができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記加熱装置は、研磨プレートの背面に密着して固定され内部にヒータエレメントを内蔵するホットプレートと、該ホットプレート内の温度を計測する温度検出器と、ホットプレートに一端が連結され軸心Z-Zに沿って延びる回転軸と、該回転軸から電力線と信号線を固定部分に取り出すスリップリングと、該スリップリングを介してホットプレートと温度検出器に接続されホットプレートをメカノケミカル研磨に適した所定の温度に制御する温度制御装置とを有する。
この構成により、スリップリングを介してホットプレート内のヒータエレメントに電力を供給してホットプレート自体を昇温し、伝熱(熱伝導)により密着して固定された研磨プレートを加熱することができる。
また、温度検出器でホットプレート内の温度を計測し、スリップリングを介して温度制御装置によりヒータエレメントに供給する電力を制御してホットプレートおよび研磨プレートをメカノケミカル研磨に適した所定の温度に制御することができる。
また、前記プレート旋回装置は、前記回転軸を通す貫通穴を有しホットプレートを軸心Z-Zを中心に水平に回転可能に支持する旋回軸と、該旋回軸を軸心Z-Zを中心に回転駆動する旋回駆動装置とを有する。
この構成により、加熱装置の回転軸を旋回軸の貫通穴に通し、その下端にスリップリングを取り付けることで、加熱装置をプレート旋回装置とは別個に制御することができる。
また、加熱装置のホットプレートを旋回軸に固定し、ホットプレートを研磨プレートの背面に密着して固定することで、ホットプレートを介して研磨プレートを鉛直な軸心Z-Zを中心に水平に回転駆動することができる。
また、前記ワーク摺動装置は、前記ワーク保持板を軸心Z-Zと平行な軸心Z'-Z'を中心に水平に回転駆動するワーク旋回装置と、該ワーク旋回装置を研磨面に向けて付勢するワーク付勢装置と、ワーク保持板を研磨面に沿って水平移動させる水平移動装置とからなる。
この構成により、ワークを研磨面に向けて付勢した状態で、ワークを軸心Z-Zと平行な軸心Z'-Z'を中心に水平に回転駆動しながら、研磨面に沿って水平移動させ、ワーク全面を均等にメカノケミカル研磨することができる。
前記ワーク保持板は、真空チャックである。
この構成により、高温においてもワークを確実に保持することができる。
上述したように、本発明の高温メカノケミカル研磨方法と装置によれば、開放雰囲気においてワークを高温でメカノケミカル研磨することができ、研磨中のワーク、研磨プレート、および砥粒へのアプローチが容易であり、作業性が高く、加工能率を大幅に高めることができる。
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、本発明の高温メカノケミカル研磨装置の全体構成図である。この図に示すように、本発明の高温メカノケミカル研磨装置10は、研磨プレート12、プレート旋回装置14、ワーク保持板16、ワーク摺動装置18、および加熱装置30を備え、ワーク1と研磨プレート12の間にメカノケミカル作用を生じる微細粒子2を供給しながらワーク1を高温でメカノケミカル研磨するようになっている。
ワーク1は、サファイヤ、セラミックス材料等の硬質難加工材であるのが好ましいが、本発明はこれに限定されずその他の材料、例えばシリコンやガラス材にも適用できる。また、ワーク1の形状は、ウエハ等の薄板円板形状が好ましいが、本発明はこれに限定されず、熱容量が小さい小型部材であればよい。
メカノケミカル作用を生じる微細粒子2は、SiO2、酸化鉄、MgO等周知のものを用いることができる。また微細粒子2の粒径分布は、ワーク1の材質、必要とする面粗さ等に対応させて任意に設定する。
研磨プレート12は、この例では上面が水平な研磨面12aである厚肉の平板である。研磨プレート12は、耐摩耗性が高くかつ熱伝導率が高い材料、例えば銅、銅合金、鋼、セラミックス等からなる。この研磨プレート12の背面は、後述するにホットプレート32の上面にボルト等で密着して固定され、ホットプレート32と共に回転しながらホットプレート32からの熱伝導で加熱されるようになっている。
図2は、図1の部分構成図である。この図において、加熱装置30は、ホットプレート32、温度検出器34、回転軸36、スリップリング38、および温度制御装置40からなる。
ホットプレート32は、ボルト等で互いに張り合わされたメインプレート32aとヒータプレート32bとからなる。メインプレート32aは、研磨プレート12の背面(この例では下面)に密着してボルト等で固定されている。またヒータプレート32bは、内部に設けられた溝内に複数(この例では5つ)のヒータエレメント31を内蔵し、ホットプレート全体を均一に加熱するようになっている。
複数のヒータエレメント31は、例えば直径の異なる円形のヒータエレメントからなり、これらが同心かつ平面的に配置されているにがよい。
温度検出器34は、例えば熱電対であり、その測定点34aが、ホットプレート全体の代表温度を検出するように、複数のヒータエレメント31の中間位置に位置決めされている。
回転軸36は、ホットプレート32に一端(この例で上端)が連結され、軸心Z-Zに沿って下方にスリップリング38を貫通して延びている。スリップリング38は、回転軸36から電力線31aと信号線34bを固定部分に取り出し、温度制御装置40に接続している。温度制御装置40は、スリップリング38を介してホットプレート32内の温度検出器34とヒータエレメント31に接続され、ホットプレート全体をメカノケミカル研磨に適した所定の温度に制御するようになっている。
上述した構成により、スリップリング38を介してホットプレート32内のヒータエレメント31に電力を供給してホットプレート自体を昇温し、伝熱(熱伝導)により密着して固定された研磨プレート12を加熱することができる。
また、温度検出器34でホットプレート32内の温度を計測し、スリップリング38を介して温度制御装置40によりヒータエレメント31に供給する電力を制御してホットプレート32およびこれに取り付けられた研磨プレート12をメカノケミカル研磨に適した所定の温度に制御することができる。
なお、同様の構成の加熱装置をワーク摺動装置18に設け、ワーク保持板16を加熱してもよい。
図1において、プレート旋回装置14は、ホットプレート32を軸心Z-Zを中心に軸受14bにより水平に回転可能に支持された旋回軸14aと、旋回駆動装置15とを有する。旋回軸14aは、加熱装置30の回転軸32を通す貫通穴を有し、この貫通穴を通して回転軸36を下方のスリップリング38と連結するようになっている。
旋回駆動装置15は、減速機付きの電動機15a、プーリ15b、15cおよびタイミングベルト15dからなり、旋回軸14aを軸心Z-Zを中心に回転駆動し、研磨プレート12を鉛直な軸心Z-Zを中心に水平に回転駆動するようになっている。
この構成により、加熱装置30の回転軸32を旋回軸14aの貫通穴に通し、その下端にスリップリング38を取り付けることで、加熱装置30をプレート旋回装置14とは別個に制御することができる。
また、加熱装置30のホットプレート32を旋回軸14aに固定し、ホットプレート32を研磨プレート12の背面に密着して固定することで、ホットプレート32を介して研磨プレート12を鉛直な軸心Z-Zを中心に水平に回転駆動することができる。
ワーク保持板16は、この例では真空チャックであり、軸心Z-Zと平行な軸心Z'-Z'に沿って延びる吸引ライン17を介して図示しない吸引装置に接続され、ワーク1を図で上方に吸引して保持することにより、高温においてもワーク1を確実に保持するようになっている。
ワーク摺動装置18は、ワーク旋回装置22、ワーク付勢装置24、および水平移動装置26からなる。
ワーク旋回装置22は、ワーク保持板16を下端に取り付け軸心Z-Zと平行な軸心Z'-Z'を中心に水平に回転可能に支持された回転軸22aと、減速機付きの電動機22b、プーリ22c、22dおよびタイミングベルト22eからなり、ワーク保持板16を軸心Z-Zと平行な軸心Z'-Z'を中心に水平に回転駆動する。
ワーク付勢装置24は、ワーク旋回装置22を上下移動可能に案内する案内レール24aと、ワーク旋回装置22を上下方向に移動させる空圧シリンダ24bとからなり、可能ワーク旋回装置22を介してワーク1を研磨面12aに向けて付勢する。
水平移動装置26は、この例ではワーク付勢装置24を水平移動可能に案内する案内レール26aと、ワーク付勢装置24を水平移動させるボールネジ26bと、ボールネジ26bを回転駆動する駆動装置26cとからなり、ワーク保持板16と共にワーク1を研磨面12aに沿って水平移動させる。駆動装置26cは、例えば減速機付きの電動機、プーリおよびタイミングベルトからなる。
上述した構成により、ワーク1を研磨面12aに向けて付勢した状態で、ワーク1を軸心Z-Zと平行な軸心Z'-Z'を中心に水平に回転駆動しながら、研磨面12aに沿って水平移動させ、ワーク全面を均等にメカノケミカル研磨することができる。
上述した本発明の構成によれば、加熱装置30で研磨プレート12および/またはワーク保持板16を加熱するので、加熱された研磨プレート12とワーク保持板16の間にワーク1が挟持されるので、その間に位置する熱容量が小さいワーク1と微細粒子2も伝熱により実質的に同一温度に加熱できる。
従って、硬質難加工材(ワーク1)を容器内に収容することなく、開放雰囲気において、メカノケミカル作用を生じる微細粒子2を供給しながらワーク1を高温でメカノケミカル研磨することができ、研磨中のワーク、研磨プレート、および砥粒へのアプローチが容易であり、作業性が高く、加工能率を大幅に高めることができる。
また本発明の方法では、ワーク1を2枚の平板(この例では研磨プレート12とワーク保持板16)で挟持し、研磨プレート12とワーク保持板16の一方または両方を加熱してワーク1を昇温し、ワーク1と少なくとも一方の平板(例えば研磨プレート12)の間にメカノケミカル作用を生じる微細粒子2を供給しながらワーク1を高温でメカノケミカル研磨する。
この方法によれば、一方または両方が加熱された2枚の平板の間にワーク1が挟持されるので、2枚の平板およびその間に位置する熱容量が小さいワークと微細粒子2も伝熱により実質的に同一温度となる。
従って、硬質難加工材(ワーク)を容器内に収容することなく、開放雰囲気において、メカノケミカル作用を生じる微細粒子を供給しながらワークを高温でメカノケミカル研磨することができ、研磨中のワーク、研磨プレート、および砥粒へのアプローチが容易であり、作業性が高く、加工能率を大幅に高めることができる。
以下、本発明の実施例を説明する。図1に示した本発明の高温メカノケミカル研磨装置10を実際に製作した。その仕様は以下の通りである。
(1)ラップ圧力:エアコントロール
(2)ワーク:モータによる強制駆動、モータ単相AC100V,200W、ワークサイズφ100mm、回転数160min-1、加圧力1.0〜300N
(3)ワーク取付部:接着方式または真空チャック方式
(4)ラップ定盤(研磨プレート):プレートホッター(回転ヒータ)を内蔵、モータ単相AC100V,200W、サイズφ250mm、回転数160min-1
(5)プレートホッター(回転ヒータ):使用温度約500℃、ヒータサイズφ150mm
(6)寸法・重量:W400×L720×H1100 約100kg
図3は、各種物質の高温硬さを示す図である。この図に示すように、サファイア、石英ガラス、酸化鉄(FeO)等の硬質難加工材は一般的に高温になるほどビッカース硬さが低下する特性を有している。
図4は、軟質粒子によるメカノポリッシング法の一般的な特徴を示す図である。メカノポリッシング法の加工形式は、通常のラッピングポリッシングとほぼ同等であるが、加工物よりも力学的に軟質でかつ加工物表面と固相反応を生じ得る粉末を砥粒として用いる点で相違する。
図5は、軟質粒子と加工物との接触点を示すモデル図である。メカノポリッシング法では、軟質粒子と加工物との接触点局部で摩擦エネルギーにより高温・高圧が発生し、微小接触時間内に両者の固相反応が生じ、この微小反応部が摩擦力によりÅオーダの微小単位で除去されることにより研磨が進行する。
従って、従来の硬質砥粒による機械的研磨と異なり、砥粒として作用する粒子が力学的に軟質なために、接触点では粒子側が変形し、粒子の押込み・引っ掻き作用に基づくスクラッチや加工変質層は生じないことになる。
図6は、雰囲気温度と加工量の関係を示す図である。この図は、α-Fe23の粒子とSiC粒子を用いてサファイヤを窒素雰囲気中で高温ポリッシングしたものである。この結果から、α-Fe23によるメカノケミカルポリッシングにおいては、500℃での加工量は、常温におけるそれの10倍以上に達しており、本発明の装置によっても同等以上の効果が得られることを示している。
図7は、鋼ポリッシャの自己酸化を利用した高温ポリッシングと、α-Fe23の粒子による湿式ポリッシングを比較した図である。この図から、α-Fe23やFe34が生成する400〜500℃で、α-Fe23の粒子による湿式ポリッシングよりも大きな加工量が得られることがわかる。
図8は、各種パウダによるサファイヤ加工量を乾式と湿式で比較した図である。この図に示すように、メカノケミカル効果を示すSiO2とα-Fe23の粒子は、特に乾式で高い加工能率を示す。
上述したように、SiO2などの粒子とサファイヤとの間の摩擦により、化学反応を誘起させMCP(メカノケミカルポリシング)法が、東海大学の安永教授らにより研究され、サファイヤのMCPにおいて、加工雰囲気の温度を約500℃付近まで上昇させることによって、1ケタ以上の加工レートが上がると確認されている。
また、本発明により研磨板を高温とすることで、開放雰囲気においてMCPを可能とする新しい研磨装置を提案した。この装置は、加熱を加工点に集中させることで、安全かつ効率的にワークを昇温できる特徴を有する。また、400〜500℃でのベンガラによる乾式研磨の優れた効果が確認されている。
さらに、単結晶SiCは先端的半導体デバイス基板としてアプリケーションが進んでいるが、サファイヤ同様にMCPの適用が有効と考えられる。
また本発明の装置は、特に従来の常温湿式研磨では長時間を要した難加工材料に対して、その最終研磨法として十分な実用性と実効性を有する。
すなわち、本発明の装置は、回転円盤型の通常研磨方式で使用される研磨装置であるが、大気雰囲気中で常温〜500℃の高温環境下で乾式研磨も実施できるという特徴を有する。
メカノケミカル研磨法(MCP)によれば、超高硬度を有する難加工材料のいずれも、それぞれに適した軟質砥粒あるいは研磨プレートを用いて超平滑で加工変質層の生じない研磨を行うことができる。MCP法は、砥粒あるいは研磨プレートとの微小接触点における直接的な化学反応(固相反応)に基づいて研磨が進行するものである。化学反応の反応速度は一般に温度が上昇するほど高くなることから、MCPの研磨能力も高温環境下ほど上昇することが期待される。したがって、たとえば従来はコロイダルシリカ研磨剤によるサファイヤの常温湿式研磨に10時間以上を要していたものが、本開発装置を用いればわずか数10分以下で終了できる。研磨装置の昇温や冷却に多少の時間を要するとしても、研磨試料を連続的にローディング・アンローディングできるような装置構成にすれば、1桁以上の加工能率の向上が見込める。
なお本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
本発明の高温メカノケミカル研磨装置の全体構成図である。 図1の部分構成図である。 各種物質の高温硬さを示す図である。 軟質粒子によるメカノポリッシング法の一般的な特徴を示す図である。 軟質粒子と加工物との接触点を示すモデル図である。 雰囲気温度と加工量の関係を示す図である。 鋼ポリッシャの自己酸化を利用した高温ポリッシングと、α-Fe23の粒子による湿式ポリッシングを比較した図である。 各種パウダによるサファイヤ加工量を乾式と湿式で比較した図である。 従来の密閉型の高温メカノケミカル研磨装置の概略図である。
符号の説明
1 ワーク、2 微細粒子、
10 高温メカノケミカル研磨装置、12 研磨プレート、
14 プレート旋回装置、14a 旋回軸、
15 旋回駆動装置、15a 電動機、
15b,15cプーリ、15d タイミングベルト、
16 ワーク保持板、17 吸引ライン、18 ワーク摺動装置、
22 ワーク旋回装置、22a 回転軸、22b 電動機、
22c、22d プーリ、22e タイミングベルト、
24 ワーク付勢装置、26 水平移動装置、
26a 案内レール、26b ボールネジ、26c 駆動装置、
30 加熱装置、31 ヒータエレメント、32 ホットプレート、
32a メインプレート、32b ヒータプレート、
34 温度検出器、34a 測定点、36 回転軸、
38 スリップリング、40 温度制御装置

Claims (6)

  1. ワークを2枚の平板で挟持し、該平板の一方または両方を加熱してワークを昇温し、ワークと少なくとも一方の平板間にメカノケミカル作用を生じる微細粒子を供給しながらワークを高温でメカノケミカル研磨する、ことを特徴とする高温メカノケミカル研磨方法。
  2. 水平な研磨面を有する研磨プレートと、該研磨プレートを鉛直な軸心Z-Zを中心に水平に回転駆動するプレート旋回装置と、ワークを保持するワーク保持具と、該ワーク保持具を前記研磨面に向けて付勢しながらワークを研磨面に沿って摺動させるワーク摺動装置と、研磨プレートおよび/またはワーク保持具を加熱する加熱装置とを備え、ワークと研磨プレートの間にメカノケミカル作用を生じる微細粒子を供給しながらワークを高温でメカノケミカル研磨する、ことを特徴とする高温メカノケミカル研磨装置。
  3. 前記加熱装置は、研磨プレートの背面に密着して固定され内部にヒータエレメントを内蔵するホットプレートと、該ホットプレート内の温度を計測する温度検出器と、ホットプレートに一端が連結され軸心Z-Zに沿って延びる回転軸と、該回転軸から電力線と信号線を固定部分に取り出すスリップリングと、該スリップリングを介してホットプレートと温度検出器に接続されホットプレートをメカノケミカル研磨に適した所定の温度に制御する温度制御装置とを有する、ことを特徴とする請求項2に記載の高温メカノケミカル研磨装置。
  4. 前記プレート旋回装置は、前記回転軸を通す貫通穴を有しホットプレートを軸心Z-Zを中心に水平に回転可能に支持する旋回軸と、該旋回軸を軸心Z-Zを中心に回転駆動する旋回駆動装置とを有する、ことを特徴とする請求項3に記載の高温メカノケミカル研磨装置。
  5. 前記ワーク摺動装置は、前記ワーク保持具を軸心Z-Zと平行な軸心Z'-Z'を中心に水平に回転駆動するワーク旋回装置と、該ワーク旋回装置を研磨面に向けて付勢するワーク付勢装置と、ワーク保持具を研磨面に沿って水平移動させる水平移動装置とからなる、ことを特徴とする請求項2に記載の高温メカノケミカル研磨装置。
  6. 前記ワーク保持具は、真空チャックである、ことを特徴とする請求項2に記載の高温メカノケミカル研磨装置。

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