JP2005080927A - 医療用多孔質体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 凍結乾燥装置を用いることなく高分子からなる医療用多孔質体を製造する方法を提供する。
【解決手段】 医療用多孔質体の材料となる高分子を溶媒に溶解させて高分子溶液を作製する。この高分子溶液に造孔材を加えた後、所望の形状となる鋳型に流し込み冷凍庫にて凍結させ、高分子溶液の凍結体を得る。その後、凍結体に含まれる高分子に難溶または不溶でありかつ溶媒および造孔材が可溶である抽出溶媒を用いて凍結体から溶媒を抽出する。最後に多孔質体に含まれる抽出用溶媒を取り除くために乾燥を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】 医療用多孔質体の材料となる高分子を溶媒に溶解させて高分子溶液を作製する。この高分子溶液に造孔材を加えた後、所望の形状となる鋳型に流し込み冷凍庫にて凍結させ、高分子溶液の凍結体を得る。その後、凍結体に含まれる高分子に難溶または不溶でありかつ溶媒および造孔材が可溶である抽出溶媒を用いて凍結体から溶媒を抽出する。最後に多孔質体に含まれる抽出用溶媒を取り除くために乾燥を行う。
【選択図】 図1
Description
本発明は、細胞増殖や生体内埋設に用いる医療用多孔質体を製造する方法に関し、特に、その製造コストを抑制する技術に関するものである。
近年、医療分野や再生医工学の分野においては、組織再生の足場材料として高分子からなる医療用の多孔質体が用いられている。この多孔質体は、組織の導入により細胞の分化誘導や組織形成に用いられるほか、構造的に表面積が大きいことから徐放薬剤の担体としても用いられる。
このような多孔質体の製造方法としては、特許文献1〜4に見られるように高分子溶液を凍結した後真空減圧下にて溶媒を揮発させる凍結乾燥法や、特許文献5に見られるように造孔材を含有させた固形物から造孔材を抽出させる造孔材抽出法を用いることが一般的である。
このような多孔質体の製造方法としては、特許文献1〜4に見られるように高分子溶液を凍結した後真空減圧下にて溶媒を揮発させる凍結乾燥法や、特許文献5に見られるように造孔材を含有させた固形物から造孔材を抽出させる造孔材抽出法を用いることが一般的である。
凍結乾燥法は、上記のように低温かつ高真空下において処理されるので、材料となる高分子の化学的劣化を抑制しながら多孔質体を製造することができるものの、高価な凍結乾燥装置を必要とするため、イニシャルコストやランニングコストが高いというデメリットがある。さらに、多孔質体における孔径を制御するためには、凍結温度や凍結体の有形成分濃度を複雑に組み合わせて最適化する必要があり、所望の孔径を得ることは非常に難しい。
他方、造孔材抽出法は、使用する造孔材の径を選択することにより比較的容易に所望の孔径を得ることができるものの、造孔材の添加量を多くして多孔度の高いものを得ようとする場合、表面から遠い位置にある造孔材は抽出液が届きにくく抽出されずに残存する可能性がある。
このように造孔材が残存することを抑制するため、真空乾燥によって昇華する造孔材を用い、凍結乾燥法によりその造孔材を昇華させる技術が開示されている(特許文献6参照)。
特開平05−43734号公報
特開平09−99051号公報
特開平11−319066号公報
特開平2000−329761号公報
特公平7−4420号公報
特開平2002−146084号公報
このように造孔材が残存することを抑制するため、真空乾燥によって昇華する造孔材を用い、凍結乾燥法によりその造孔材を昇華させる技術が開示されている(特許文献6参照)。
しかしながら、上記造孔材を昇華させる技術においては、依然として高価な高真空装置や低温トラップなどを備える凍結乾燥装置を用いる必要があり、多孔質体を製造する際においては、そのイニシャルコストが上昇するとともに高真空に保持するためのランニングコストもかさみ、多孔質体の製造コストが高くなるという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑み、凍結乾燥装置を用いることなく医療用の多孔質体を製造することができる医療用多孔質体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題に鑑み、凍結乾燥装置を用いることなく医療用の多孔質体を製造することができる医療用多孔質体の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る医療用多孔質体の製造方法は、高分子からなる医療用多孔質体の製造方法であって、高分子を溶媒に溶解させた溶液と造孔材との混合溶液を凍結させて凍結体を作製し、高分子が難溶または不溶でありかつ前記溶媒および造孔材が可溶である抽出溶媒を用いて凍結体から溶媒および造孔材を抽出することを特徴とする。
ここで、上記凍結体は、高分子と溶媒とが相分離した複相構造をなすので、抽出によって溶媒が取り除かれた部分にも孔が形成される。
溶媒および造孔材の抽出は、凍結体の形が崩壊することを抑制するため、溶媒の凝固点近傍で行うことが望ましい。
なお、混合溶液に対し、さらに徐放薬剤を添加して凍結させるようにすれば、薬剤を多孔質体の製造時において担持させることができ、多孔質体の製造後に薬剤を外部から浸透させる方法と比べて多孔質体内部にまで薬剤を含侵させることができる。
溶媒および造孔材の抽出は、凍結体の形が崩壊することを抑制するため、溶媒の凝固点近傍で行うことが望ましい。
なお、混合溶液に対し、さらに徐放薬剤を添加して凍結させるようにすれば、薬剤を多孔質体の製造時において担持させることができ、多孔質体の製造後に薬剤を外部から浸透させる方法と比べて多孔質体内部にまで薬剤を含侵させることができる。
具体的には、高分子として熱可塑性高分子を用いることができる。
また、その熱可塑性高分子としては、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸からなる群から選択された高分子を用いることができる。
具体的に、テトラヒドロフラン、メチルエーテルケトン、アセトン、ジメチルサルフォキサイド、ジオキサンからなる群から選択された溶媒を用いることができる。
また、その熱可塑性高分子としては、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸からなる群から選択された高分子を用いることができる。
具体的に、テトラヒドロフラン、メチルエーテルケトン、アセトン、ジメチルサルフォキサイド、ジオキサンからなる群から選択された溶媒を用いることができる。
また、抽出溶媒としては、水系溶媒が用いられ、水、塩酸、硝酸の群から選択された抽出溶媒を用いることができる。
また、造孔材としては、水溶性材料が用いられ、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウムの群から選択された造孔材を用いることができる。
また、造孔材としては、水溶性材料が用いられ、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウムの群から選択された造孔材を用いることができる。
従来、溶媒および造孔材を除去するために凍結乾燥装置を用いて除去していたが、本発明は、それらを除去するために高分子が難溶または不溶でありかつ溶媒および造孔材が可溶である抽出溶媒を用いて抽出を行っている。このような抽出溶媒を用いることにより、特許文献6に記載された造孔材を昇華させる技術と同様、凍結体から溶媒を除去するとともに造孔材を除去することができる。また、この溶媒および造孔材の抽出された部分が孔として形成されるため、造孔材抽出法に比べて造孔材の使用量を減らすことができ、高い多孔度の多孔質体を形成する場合においても造孔材が残存しにくい。さらに、高価な凍結乾燥装置を用いなくても溶媒と造孔材を除去できるため、医療用多孔質体を製造する際の装置にかかるイニシャルコストおよびランニングコストを抑制することが可能となる。そして、多孔質体が形成された後においては、残存する抽出溶媒を自然乾燥などさせることにより除去することができる。
以下、本発明に係る医療用多孔質体(以下、「多孔質体」という。)およびその製造方法の一実施の形態について説明する。
まず、多孔質体の材料に使用する高分子について説明する。
本発明に係る多孔質体を構成する高分子は、例えば、熱可塑性の高分子であり、溶媒に可溶なものであれば特に制限されることなく用いることができる。例えば、熱可塑性高分子としては、熱可塑性ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル類、およびポリビニルアルコールやポリアクリル酸、ポリアルギン酸等の水溶性高分子を使用することができる。また、これらの高分子を複数ブレンドしたものや共重合体を用いることもできる。好ましくは、生体吸収性および強度に優れた分子量が10万〜30万の乳酸−εカプロラクトン共重合体を用いることができる。
まず、多孔質体の材料に使用する高分子について説明する。
本発明に係る多孔質体を構成する高分子は、例えば、熱可塑性の高分子であり、溶媒に可溶なものであれば特に制限されることなく用いることができる。例えば、熱可塑性高分子としては、熱可塑性ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル類、およびポリビニルアルコールやポリアクリル酸、ポリアルギン酸等の水溶性高分子を使用することができる。また、これらの高分子を複数ブレンドしたものや共重合体を用いることもできる。好ましくは、生体吸収性および強度に優れた分子量が10万〜30万の乳酸−εカプロラクトン共重合体を用いることができる。
ここで、熱可塑性ポリウレタン系樹脂や塩化ビニル系樹脂といった生体吸収性を示さない高分子は、生体の外部に貼付する薬剤担体に用いることが望ましい。一方、生体吸収性を示す高分子である、ポリエステル類に属するポリ乳酸やポリグリコール酸、ポリリンゴ酸、ポリカプロラクトン、およびこれらの共重合体などは、生体内に埋植可能な組織再生用のスキャホールドとして用いることが望ましい。
図1は、多孔質体の製造過程における高分子の状態を示す模式図である。
図1(a)に示すように、容器3において上記高分子を溶媒に溶解させた高分子溶液1と造孔材2とを混合した混合溶液を作製し、この溶液を有底筒状の型4に流し込む。ここで、型4の形状は筒状に限定されるものではなく、所望の多孔質体の形状にあわせたものを使用することができる。
図1(a)に示すように、容器3において上記高分子を溶媒に溶解させた高分子溶液1と造孔材2とを混合した混合溶液を作製し、この溶液を有底筒状の型4に流し込む。ここで、型4の形状は筒状に限定されるものではなく、所望の多孔質体の形状にあわせたものを使用することができる。
混合溶液に使用する溶媒としては、多孔質体を構成する高分子を溶解させることができ、かつ添加する造孔材2が不溶または難溶であるとともに、冷凍庫の温度において凝固するものが好ましい。
例えば、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエーテルケトン(MEK)、アセトン、ジメチルスルフォキサイド(DMSO)、ジオキサンなどの有機溶媒あるいはこれらの混合物を用いることができる。特に、ジオキサンは、一般家庭において使用されている冷凍庫の温度(−20℃)程度において凝固するため、特殊な冷凍庫が不要でありイニシャルコストを下げ、多孔質体のコストを下げることができるため好ましい。
例えば、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエーテルケトン(MEK)、アセトン、ジメチルスルフォキサイド(DMSO)、ジオキサンなどの有機溶媒あるいはこれらの混合物を用いることができる。特に、ジオキサンは、一般家庭において使用されている冷凍庫の温度(−20℃)程度において凝固するため、特殊な冷凍庫が不要でありイニシャルコストを下げ、多孔質体のコストを下げることができるため好ましい。
造孔材2としては、有機物あるいは無機物等種々のものを使用することができる。高分子を溶解する溶媒と、造孔材2を抽出する抽出溶媒との組み合わせを考慮すると、好ましくは、水溶性材料である無機塩類の造孔材が好ましい。例えば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウムなどが挙げられるが、溶媒に不溶かつ抽出溶媒に可溶なものであればよく、これらの混合物でもよい。造孔材2の粒子径および添加量は、所望する多孔質体の孔径や多孔度に合わせて選択すればよく、高分子溶液に対して質量比2倍以上添加することが好ましい。なお、医療用に用いる場合、多孔質体の多孔度としては、80〜98%が適していると考えられる。
次に、図1(b)に示すように、この混合溶液が流し込まれた型4を冷凍庫にて凍結させて凍結体5を作製する。
次に、図1(c)に示すように型4から取り出すことにより高分子溶液の凍結体5を得る。ここで、凍結体5においては、その凍結を行うことによって図1(c)の拡大図に示すように高分子11と溶媒12とが相分離した複相構造をなしていると考えられる。
次に、図1(c)に示すように型4から取り出すことにより高分子溶液の凍結体5を得る。ここで、凍結体5においては、その凍結を行うことによって図1(c)の拡大図に示すように高分子11と溶媒12とが相分離した複相構造をなしていると考えられる。
次に、図1(d)に示すように、抽出容器6に注入された抽出溶媒20に対し、凍結体5を凍結させた状態にて浸漬させる。
ここで、抽出溶媒20は、高分子11が難溶または不溶であり、かつ溶媒12および造孔材2と相溶性のあるものが用いられる。そのため、この浸漬により抽出溶媒20と相溶性のある造孔材2と溶媒12とが抽出溶媒20に溶解・抽出される一方、高分子11は、抽出溶媒に対してほとんど溶けないため、そのまま残存することになる。
ここで、抽出溶媒20は、高分子11が難溶または不溶であり、かつ溶媒12および造孔材2と相溶性のあるものが用いられる。そのため、この浸漬により抽出溶媒20と相溶性のある造孔材2と溶媒12とが抽出溶媒20に溶解・抽出される一方、高分子11は、抽出溶媒に対してほとんど溶けないため、そのまま残存することになる。
この抽出においては、凍結した高分子溶液の形状が崩れない温度、すなわち溶媒12の凝固点近傍(例えば、上記冷凍庫内にて−20℃)に管理した状態において抽出溶媒に浸漬する必要がある。ここで、抽出溶媒20としては、溶媒、造孔材との関係から水系溶媒が好ましく、水や、塩酸、硝酸などの酸あるいはこれらの混合物を用いることができる。
この抽出によって、図1(d)に示すように高分子11は析出する一方、溶媒12と造孔材2とが抽出溶媒20と溶け合って置換されるので、抽出により形成される高分子11からなる多孔質体には抽出溶媒20が含侵された状態となる。
この抽出によって、図1(d)に示すように高分子11は析出する一方、溶媒12と造孔材2とが抽出溶媒20と溶け合って置換されるので、抽出により形成される高分子11からなる多孔質体には抽出溶媒20が含侵された状態となる。
最後に、その多孔質体を抽出容器6から取り出して自然乾燥を行い、含侵された抽出溶媒20を蒸発させることによって多孔質体を得ることができる。
このような方法によれば、抽出溶媒にて溶媒と造孔材とを取り除くことができるので、高価な凍結乾燥装置を用いて溶媒や造孔材を除去する必要がない。
したがって、多孔質体製造時におけるイニシャルコストやランニングコストを低減することができ、多孔質体の製造コストを下げることができる。
このような方法によれば、抽出溶媒にて溶媒と造孔材とを取り除くことができるので、高価な凍結乾燥装置を用いて溶媒や造孔材を除去する必要がない。
したがって、多孔質体製造時におけるイニシャルコストやランニングコストを低減することができ、多孔質体の製造コストを下げることができる。
さらに、本発明に係る多孔質体の製造方法によれば、得られた多孔質体は、外表面に近い部分が緻密になり内部が粗となるいわゆるスキン−コア構造が見られなくなる。したがって、多孔質体は、全体的に均一な多孔度を有する構造となり、足場材料などに適用する場合にはスキン−コア構造を有するものよりも適したものとなる。また、造孔材が内部に残されることはない。
(実施例1)
以下、本発明に係る製造方法を用いて、生体吸収性高分子であるL乳酸−εカプロラクトン共重合体の多孔質体を製造する方法について説明する。
(実施例1)
以下、本発明に係る製造方法を用いて、生体吸収性高分子であるL乳酸−εカプロラクトン共重合体の多孔質体を製造する方法について説明する。
(1)組成比50:50のL乳酸−εカプロラクトン共重合体(以下、P(LA50/CL50)という。)を溶媒である1,4−ジオキサンに溶解し、8質量%の溶液を調整した。
(2)次に、そのP(LA50/CL50)溶液50mLに粒径100μmのNaClを100g添加し、混合溶液を得た。
(2)次に、そのP(LA50/CL50)溶液50mLに粒径100μmのNaClを100g添加し、混合溶液を得た。
(3)次に、そのP(LA50/CL50)溶液を内径20mmのチューブ状鋳型に静かに流し込み、家庭用フリーザー(温度−20℃)にて12時間凍結させた。
(4)その後、凍結したP(LA50/CL50)溶液を鋳型から取り出し、20mmφ×80mmの円柱状の凍結体を得た。
(5)この円柱状の凍結体を、抽出溶媒である−4℃に冷却した水1L中に浸漬させ、当該水を攪拌させながら24時間放置することによって、1,4−ジオキサン溶媒と造孔材であるNaClを同時に抽出した。ここで、水は、P(LA50/CL50)に難溶または不溶であり、かつ1,4−ジオキサンおよびNaClに可溶である。また水については、その抽出効率を向上させるため、抽出開始から6時間後、12時間後、18時間後に新しいものと交換した。
(4)その後、凍結したP(LA50/CL50)溶液を鋳型から取り出し、20mmφ×80mmの円柱状の凍結体を得た。
(5)この円柱状の凍結体を、抽出溶媒である−4℃に冷却した水1L中に浸漬させ、当該水を攪拌させながら24時間放置することによって、1,4−ジオキサン溶媒と造孔材であるNaClを同時に抽出した。ここで、水は、P(LA50/CL50)に難溶または不溶であり、かつ1,4−ジオキサンおよびNaClに可溶である。また水については、その抽出効率を向上させるため、抽出開始から6時間後、12時間後、18時間後に新しいものと交換した。
(6)その後、得られたP(LA50/CL50)を24時間真空乾燥することによって多孔質体を得た。
このようにして得られた多孔質体は、走査型電子顕微鏡を用いて観察することにより、図2に示すように、連続した気泡を有するとともに、スキン−コア構造が存在せず、表皮部分と内部との孔径(2μm〜500μm)および多孔度(80%〜98%)が略等しいものであることが確認された。また、造孔材であるNaClの残存も見られず、抽出溶媒による抽出が完全に行われていることが確認された。このような多孔度を有する多孔質体は、組織再生用のスキャホールドの用途に適していると考えられる。
このようにして得られた多孔質体は、走査型電子顕微鏡を用いて観察することにより、図2に示すように、連続した気泡を有するとともに、スキン−コア構造が存在せず、表皮部分と内部との孔径(2μm〜500μm)および多孔度(80%〜98%)が略等しいものであることが確認された。また、造孔材であるNaClの残存も見られず、抽出溶媒による抽出が完全に行われていることが確認された。このような多孔度を有する多孔質体は、組織再生用のスキャホールドの用途に適していると考えられる。
なお、上記実施の形態においては、高分子を溶媒に溶解させて凍結させていたが、凍結前に徐放薬剤を混合するようにしてもよい。このようにすれば、薬剤を多孔質体の製造時において担持させることができ、多孔質体の製造後に薬剤を外部から浸透させる方法と比べて多孔質体内部にまで薬剤を含侵させることができる。
本発明に係る医療用多孔質体の製造方法は、特にコストの安さが求められる医療用多孔質体に有効である。
1 高分子溶液
2 造孔材
3 容器
4 型
5 凍結体
6 抽出容器
11 高分子
12 溶媒
20 抽出溶媒
2 造孔材
3 容器
4 型
5 凍結体
6 抽出容器
11 高分子
12 溶媒
20 抽出溶媒
Claims (11)
- 高分子からなる医療用多孔質体の製造方法であって、
高分子を溶媒に溶解させた溶液と造孔材との混合溶液を凍結させて凍結体を作製し、前記高分子が難溶または不溶でありかつ前記溶媒および造孔材が可溶である抽出溶媒を用いて前記凍結体から前記溶媒および前記造孔材を抽出する
ことを特徴とする医療用多孔質体の製造方法。 - 前記凍結体は、高分子と溶媒とが相分離した複相構造をなしていることを特徴とする請求項1に記載の医療用多孔質の製造方法。
- 前記溶媒および造孔材の抽出は、溶媒の凝固点近傍で行うことを特徴とする請求項1または2に記載の医療用多孔質体の製造方法。
- 前記混合溶液に対し、さらに徐放薬剤を添加して凍結させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の医療用多孔質体の製造方法。
- 前記高分子は、熱可塑性高分子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の医療用多孔質体の製造方法。
- 前記熱可塑性高分子は、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸からなる群から選択された高分子であることを特徴とする請求項5に記載の医療用多孔質体の製造方法。
- 前記溶媒は、テトラヒドロフラン、メチルエーテルケトン、アセトン、ジメチルサルフォキサイド、ジオキサンからなる群から選択された溶媒であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の医療用多孔質体の製造方法。
- 前記抽出溶媒は、水系溶媒であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の医療用多孔質体の製造方法。
- 前記水系溶媒は、水、塩酸、硝酸の群から選択された溶媒であることを特徴とする請求項8に記載の医療用多孔質体の製造方法。
- 前記造孔材は、水溶性材料から構成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の医療用多孔質体の製造方法。
- 前記水溶性材料は、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウムの群から選択された材料であることを特徴とする請求項10に記載の医療用多孔質体の製造方法。
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- 2003-09-09 JP JP2003317258A patent/JP2005080927A/ja active Pending
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