JP2005068567A - 漂白パルプの製造方法 - Google Patents

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洋介 内田
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Abstract

【課題】 リグノセルロース物質を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白し、その後、初段に二酸化塩素漂白段を有する多段漂白工程で処理して漂白パルプを製造する方法において、効率よく漂白し、褪色性が改善された漂白パルプの製造方法の提供。
【解決手段】リグノセルロース物質を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白し、その後、初段に二酸化塩素漂白段を有する多段漂白工程で処理して漂白パルプを製造する方法において、該二酸化塩素漂白段の次段として酸処理段を設ける。
【選択図】なし

Description

本発明は、リグノセルロース物質の漂白パルプの製造法に関する。更に詳しく述べれば、本発明は、リグノセルロース物質を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白し、その後、初段に二酸化塩素漂白段を含有する多段漂白工程で処理して漂白パルプを製造する方法に関する。
リグノセルロース物質を蒸解して得られる未漂白パルプを漂白する手順としては、まずアルカリ酸素漂白し、その後、塩素で処理し、パルプ中に含有されるリグニンを塩素化し、リグニンに可溶性を付加した後、次いでアルカリを用いて塩素化リグニンを溶解抽出して、パルプ中からリグニンを分離除去し、最後に次亜塩素酸塩、二酸化塩素等を使用し、残留する少量のリグニンを分解除去する方法が従来から採られてきた。
しかしながら、近年、パルプの塩素化段からの漂白排水に含まれる有機塩素化合物(以下、AOXと略す)の環境への影響が懸念され、パルプ漂白に塩素を用いない動きが高まってきている。この漂白方法はECF(Elementary Chlorine Free)漂白方法として知られており、実際に導入されるケースが増えてきている。又、次亜塩素酸塩を用いた場合も、パルプの漂白時にクロロホルムが生成し、環境に悪影響を及ぼす可能性があることから、次亜塩素酸塩をパルプ漂白に使用しない漂白シーケンスも求められてきている。
現在、塩素や次亜塩素酸塩の代替として、オゾン、二酸化塩素、過酸化水素および過酢酸、過硫酸等の過酸の使用が提案されている。しかしながら、実際には、薬品薬品として実績があり、取り扱いが比較的容易な二酸化塩素および過酸化水素が塩素と次亜塩素酸塩の代替として使用されるケースが多くなっている。特に、塩素の代替としては二酸化塩素を使用するケースが圧倒的に多くなっている。ところが、二酸化塩素を塩素の代替として使用した場合、漂白パルプに多量のヘキセンウロン酸が残留、褪色性が悪化するという問題があった。
初段を二酸化塩素漂白段とするECF漂白シーケンスにおいて、初段の二酸化塩素漂白段に二酸化塩素を多量に使用して漂白パルプの褪色性を改善する方法が知られている(例えば特許文献1)。しかしながら、この方法は高価な二酸化塩素を多量に使用するため、場合によっては経済的に不利となるという問題点もあった。
初段を二酸化塩素漂白段とするECF漂白シーケンスの前処理段として、酸処理段を設けてヘキセンウロン酸を選択的に分解し、漂白パルプの褪色性を改善する方法も知られている(例えば非特許文献1)。しかしながら、酸処理後の洗浄が不十分となった場合には、酸処理時の分解物と二酸化塩素が反応し、初段二酸化塩素段の二酸化塩素が無駄に消費されるという問題点もあった。
初段を二酸化塩素漂白段とするECF漂白シーケンスにおいて、ヘキセウロン酸の除去を強化する方法として、初段二酸化塩素段後、洗浄することなく、続いてオゾン漂白段を設ける方法も知られている(例えば非特許文献2)。しかしながら、オゾン漂白段を設けるためには多大な投資が必要であり、経済的に不利となる問題点もあった。
特開2002−266271号公報 T.Vuorinenら、1996 Int Pulp Bleaching Conf.,Vol.1 pp.43−52 M.Ragnarら、Nordic Pulp and Paper Research Journal Vol.16 No.1/2001、pp.72−79
本発明の目的は、リグノセルロース物質を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白し、その後、初段に二酸化塩素漂白段を有するECF漂白工程で処理して漂白パルプを製造する方法において、漂白パルプの褪色性を悪化させないで、より少ない二酸化塩素使用量で漂白パルプを製造する方法を提供することにある。
本発明者等は、かかる現状に鑑み、リグノセルロース物質を原料とし、初段で二酸化塩素漂白段とするECF漂白シーケンスで漂白する方法において、漂白パルプの褪色性を悪化させないで、より少ない二酸化塩素使用量で漂白パルプを製造する方法について鋭意研究した結果、酸処理段の導入位置を通例となっている初段二酸化塩素漂白段前ではなく、初段二酸化塩素漂白段終了後に設けた方がより効果が大きいことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の発明を包含する
(1)リグノセルロース物質を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白し、その後、初段に二酸化塩素漂白段を有する多段漂白工程で処理し、該二酸化塩素漂白段の次段として酸処理段を設ける漂白パルプの製造方法。
(2)前記酸処理段後の次段として、酸素および/または過酸化水素を添加したアルカリ抽出段を設ける(1)記載の漂白パルプの製造方法。
(3)前記酸処理段前後に洗浄工程を設け、かつ酸処理段後の洗浄排水を酸処理の希釈水として使用する(1)又は(2)記載の漂白パルプの製造方法。
広葉樹材を含むリグノセルロース物質を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白し、その後、初段に二酸化塩素漂白段を有する多段漂白工程で処理して漂白パルプを製造する方法において、該二酸化塩素漂白段の次段として酸処理段を設けることにより、効率良く漂白でき、かつ褪色性の改善された漂白パルプを製造することが可能となる。
本発明で用いられるリグノセルロース物質としては、特に限定されるものではないが、好適には広葉樹材が用いられる。広葉樹材をリグノセルロース物質として用いた場合には、未漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量が多くなり、本発明の効果が大きくなるという特徴を有する。本発明に使用されるパルプを得るための蒸解法としては、クラフト蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、アルカリサルファイト蒸解等の公知の蒸解法を用いることができるが、パルプ品質、エネルギー効率等を考慮すると、クラフト蒸解法、または、ポリサルファイド蒸解が好適に用いられる。
例えば、広葉樹材100%のリグノセルロースをクラフト蒸解する場合、クラフト蒸解液の硫化度は5〜75%、好ましくは15〜45%、有効アルカリ添加率は絶乾木材質量当たり5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%、蒸解温度は130〜170℃で、蒸解方式は、連続蒸解法あるいはバッチ蒸解法のどちらでもよく、連続蒸解釜を用いる場合は、蒸解液を多点で添加する修正蒸解法でもよく、その方式は特に問わない。
蒸解に際して、使用する蒸解液に蒸解助剤として、公知の環状ケト化合物、例えばベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェナントロキノン及び前記キノン系化合物のアルキル、アミノ等の核置換体、或いは前記キノン系化合物の還元型であるアントラヒドロキノンのようなヒドロキノン系化合物、さらにはディールスアルダー法によるアントラキノン合成法の中間体として得られる安定な化合物である9,10−ジケトヒドロアントラセン化合物等から選ばれた1種或いは2種以上が添加されてもよく、その添加率は通常の添加率であり、例えば、木材チップの絶乾質量当たり0.001〜1.0質量%である。
本発明では、公知の蒸解法により得られた未漂白パルプは洗浄、粗選及び精選工程を経て、公知のアルカリ酸素漂白法により脱リグニンされる。本発明に使用されるアルカリ酸素漂白法は、公知の中濃度法あるいは高濃度法がそのまま適用できるが、パルプ濃度が8〜15質量%で行われる中濃度法が操作性がよいため、好ましい。
前記中濃度法によるアルカリ酸素漂白法において、アルカリとしては苛性ソーダあるいは酸化されたクラフト白液を使用することができ、酸素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。前記酸素ガスとアルカリは中濃度ミキサーにおいて中濃度のパルプスラリーに添加され混合が十分に行われた後、加圧下でパルプ、酸素及びアルカリの混合物を一定時間保持できる反応塔へ送られ、脱リグニンされる。酸素ガスの添加率は、絶乾パルプ質量当たり0.5〜3質量%、アルカリ添加率は0.5〜4質量%、反応温度は80〜120℃、反応時間は15〜100分、パルプ濃度は8〜15質量%であり、この他の条件は公知のものが適用できる。本発明では、アルカリ酸素漂白工程において、上記アルカリ酸素漂白を連続して複数回行い、できる限り脱リグニンを進めるのが好ましい実施形態である。アルカリ酸素漂白が施されたパルプは次いで洗浄工程へ送られる。パルプは洗浄後、ECF漂白工程へ送られる。
本発明のECF漂白処理工程では、初段は必ず二酸化塩素漂白が行われる。従来、酸処理と二酸化塩素漂白を組み合わせて処理する場合には、酸処理、二酸化塩素漂白の順に処理が行われるが、この順では酸処理で発生するCOD成分により次段の二酸化塩素が浪費され、十分な漂白作用が得られないという問題があるため、本発明では、酸処理の前に二酸化塩素漂白を行う。本発明の初段二酸化塩素漂白段における二酸化塩素添加率は、アルカリ酸素漂白後のカッパー価、白色度および漂白パルプの目標白色度等によって異なるが、絶乾パルプ質量当たり二酸化塩素として0.2〜2.0質量%であり、好ましくは0.4〜1.5質量%である。反応pHは、反応後の終pHを指標とした場合、pH2〜6であり、好ましくは2.5〜4.5である。pHを調製するために公知の酸あるいはアルカリを二酸化塩素添加前、直後、または同時に添加することができる。pH調整用のアルカリおよび酸は特に限定されるのもではないが、取り扱いのし易さや経済的な面から、苛性ソーダおよび硫酸、塩酸あるいは硝酸が好適に使用される。二酸化塩素の添加方法は一括添加でも分割添加でもよく、特に限定されるものではない。処理温度は40〜80℃、好ましくは50〜70℃であり、処理時間は1〜120分間、好ましくは15〜60分である。パルプ濃度は、1〜40%、好ましくは3〜15%である。
本発明においては、初段の二酸化塩素漂白段後は、好適には洗浄段が設けられ、続いて酸処理が行われる。本発明の酸処理は、pH2〜4、好ましくは2.5〜3.5、温度70〜100℃、好ましくは80〜95℃、保持時間5〜180分、好ましくは20〜120分、パルプ濃度1〜40%、好ましくは4〜15%の条件下で行われる。本発明の酸処理に用いられる酸は、酸処理時のpHを2〜4に調整できるものであれば無機酸、有機酸のいずれでも良いが、硫酸、硝酸、塩酸、亜硫酸、亜硝酸等の無機酸、中でも硫酸が入手と取り扱いが容易であり好適に用いられる。
本発明の酸処理においては、酸処理後に必ず洗浄段が設けられ、その洗浄ろ液は、好適には、次回の酸処理段の希釈水として使用される。本発明では、酸処理段後、その直後に二酸化塩素漂白段を行わないため、酸処理段後の洗浄が不十分になったり、洗浄ろ液を回収することで、ろ液中のCOD成分濃度が濃くなっても後段の漂白性に影響を与えないという特徴を有している。
本発明では、初段二酸化塩素漂白段、酸処理段後、アルカリ抽出段、二酸化塩素漂白段の順に処理するのが好ましい実施形態である。酸処理段後の漂白段をアルカリ抽出段とする場合の条件としては、アルカリ添加率は絶乾パルプ質量当たり0.5〜3質量%、反応温度は60〜120℃、反応時間は15〜120分、パルプ濃度は8〜15質量%である。好適には、アルカリ抽出段に酸素ガスが添加される。酸素ガスの添加率は、絶乾パルプ質量当たり0.1〜3質量%である。さらに好適には、過酸化水素も添加される。過酸化水素の添加率は、絶乾パルプ質量当たり0.05〜2質量%である。本発明では、アルカリ抽出段前に酸処理段を有するため、アルカリ抽出段前のパルプ中の重金属含有量が著しく少なくなり、重金属によって誘発される過酸化水素、酸素のような酸素系薬品の分解率が低くなるので、より効果的に酸素系薬品を反応させることができるという特徴がある。
本発明の多段漂白工程では、最終段は二酸化塩素漂白段とするのが好ましい実施形態である。最終段の二酸化塩素漂白段の条件は、好ましくは、pHは4.5〜6.5、さらに好ましくは5.0〜6.0であり、反応温度50〜90℃、反応時間30〜240分、パルプ濃度は8〜15%であり、pHを調整するために、必要に応じて、酸、アルカリが添加される。pH調整用のアルカリおよび酸は特に限定されるのもではないが、取り扱いのし易さや経済的な面から、苛性ソーダおよび硫酸、塩酸あるいは硝酸が好適に使用される。二酸化塩素の添加率は、絶乾パルプ質量当たり0.05〜1質量%であり、分割添加することも可能である。
本発明においては、最終段二酸化塩素漂白段後の洗浄排水を、初段二酸化塩素漂白段の開始時の希釈水として使用することも可能である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下に示す実施例1〜2は、酸素漂白後広葉樹クラフトパルプをD1(初段二酸化塩素漂白段)−A(酸処理段)−E/O(酸素/アルカリ抽出段)−D2(最終二酸化塩素漂白段)シーケンスで漂白したものであり、実施例3〜4は、D1−A−E/OP−D2シーケンスで漂白したものである。また、比較例1〜2はA(酸処理段)−D1(初段二酸化塩素漂白段)−E/O(酸素/アルカリ抽出段)−D2(最終二酸化塩素漂白段)シーケンス、比較例3はD1−E/O−D2シーケンス、比較例4、比較例5はA−D1−E/OP−D2シーケンス、比較例6はD1−E/OP−D2シーケンスで漂白したものである。
また、特に示さない限り、カッパー価の測定、過マンガン酸カリウム価(K価)の測定、パルプ白色度の測定、パルプの褪色性の評価はそれぞれ以下の方法で行った。なお、実施例及び比較例における薬品の添加率は絶乾パルプ質量当たりの質量%示す。
1.パルプのカッパー価の測定
カッパー価の測定は、JIS P 8211に準じて行った。
2.パルプの過マンガン酸カリウム価(K価)の測定
過マンガン酸カリウム価の測定は、JIS P 8206に準じて行った。
3.パルプ白色度の測定
漂白パルプを離解後、Tappi試験法T205os−71(JIS P 8209)に従って坪量60g/mのシートを作製し、JIS P 8123に従ってパルプの白色度を測定した。
4.パルプの褪色性評価
漂白パルプを離解後、硫酸アルミニウムを加え、pH4.5に調整した後、坪量60g/mのシートを作製し、送風乾燥機にて乾燥させた。このシートを80℃、相対湿度65%の条件下で、24時間褪色させ、褪色前後の白色度から下式に従いPC価を算出し、評価した。
PC価=(100−褪色後白色度)÷(2×褪色後白色度)−(100−褪色前白色度)÷(2×褪色前白色度)
実施例1
国内広葉樹30%とユーカリ材70%からなる広葉樹混合木材チップ900g(絶乾)を液比5、絶乾チップ質量当たり有功アルカリ18%、蒸解液の硫化度25%、蒸解温度160℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱用オートクレーブを用いてクラフト蒸解し、その後廃液とパルプを分離し、パルプを10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選してハンター白色度34.5%、カッパー価21.2、パルプ粘度28.4mPa・sの広葉樹未漂白クラフトパルプを446g(絶乾)得た。
前記広葉樹未漂白クラフトパルプのうちの70g(絶乾)を採取し、絶乾パルプ質量当たり苛性ソーダを2.0%添加し、次いでイオン交換水で希釈してパルプ濃度10%に調整し、間接加熱式オートクレーブでゲージ圧力0.5MPaとなるように純度が99.9%の市販の圧縮酸素ガスで加圧し、100℃で60分間反応させ、アルカリ酸素漂白を行った。得られたパルプはイオン交換水で洗浄後脱水、ハンター白色度49.8.%、カッパー価11.2のパルプを得た。
前記パルプを絶乾質量で70g採取し、プラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を10%に調整した後、絶乾パルプ質量当たり二酸化塩素を0.75%を添加し、温度が70℃の恒温水槽に30分間浸漬してD1段処理を行った。D1段終了時のパルプスラリーのpHは3.0であった。得られたパルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。
D1段後のパルプにイオン交換水を加えて、パルプ濃度を10%に調整した後、絶乾パルプ質量当たり硫酸を0.7%添加し、ステンレス製2リットル容の間接加熱式オートクレーブに入れ、95℃で120分間反応させ、酸処理を行った。酸処理終了時のパルプスラリーのpHは2.8であった。得られたパルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。この時の洗浄ろ液を採取した。
酸処理後のパルプにイオン交換水を加えて、パルプ濃度を10%に調整した後、絶乾パルプ質量当たり苛性ソーダを1.3%添加し、ステンレス製2リットル容の間接加熱式オートクレーブに入れ、ゲージ圧力が0.15MPaとなるように純度が99.9%の市販の圧縮酸素ガスで加圧し、70℃で20分間反応させた。その後、パルプスラリーをオートクレーブから取り出し、プラスチック袋に移した後、温度が70℃の恒温水槽に70分間浸漬し、E/O段の抽出を行った。E/O段終了時のパルプスラリーのpHは11.0であった。得られたパルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。
続いて、E/O段後のパルプを絶乾質量で60.0g、プラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度10%に調整した後、絶乾パルプ質量当たり二酸化塩素を0.2%と苛性ソーダを0.05%添加し、温度が70℃の恒温水槽に180分間浸漬し、D2段の漂白を行った。D2段終了時のパルプスラリーのpHは5.5であった。得られたパルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。得られた漂白パルプの白色度は85.0%、K価は1.0、PC価は1.5であった。
D1段における二酸化塩素添加率、漂白パルプの白色度、K価およびPC価を表1に示した。
実施例2
実施例1で採取した酸処理後の洗浄ろ液を酸処理の濃調時にイオン交換水の変わりに使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。漂白パルプの白色度は84.8%、K価は1.0、PC価は1.5であった。
D1段における二酸化塩素添加率、漂白パルプの白色度、K価およびPC価を表1に示した。
実施例3
実施例1において、D1段における二酸化塩素添加率をパルプ質量当たり0.55%に変え、E/O段に過酸化水素を絶乾パルプ質量当たり0.2%添加したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。漂白パルプの白色度は85.2%、K価は1.0、PC価は1.5であった。
D1段における二酸化塩素添加率、漂白パルプの白色度、K価およびPC価を表1に示した。
実施例4
実施例2において、D1段における二酸化塩素添加率をパルプ質量当たり0.55%に変え、E/O段に過酸化水素を絶乾パルプ質量当たり0.2%添加したこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。漂白パルプの白色度は84.9%、K価は1.0、PC価は1.5であった。
D1段における二酸化塩素添加率、漂白パルプの白色度、K価およびPC価を表1に示した。
比較例1
実施例1のD1段と酸処理段を入れ替え、かつ酸処理における硫酸添加率を絶乾パルプ質量当たり1.0%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。漂白パルプの白色度は84.5%、K価は1.0、PC価は1.6であった。
D1段における二酸化塩素添加率、漂白パルプの白色度、K価およびPC価を表1に示した。
比較例2
実施例2のD1段と酸処理段を入れ替え、かつ酸処理における硫酸添加率を絶乾パルプ質量当たり1.0%に変更した以外は、実施例2と同様の操作を行った。漂白パルプの白色度は83.6%、K価は1.0、PC価は1.7であった。
D1段における二酸化塩素添加率、漂白パルプの白色度、K価およびPC価を表1に示した。
比較例3
実施例1の酸処理段をスキップし、D1段における二酸化塩素添加率を絶乾パルプ質量当たり1.0%に変更した以外は、実施例3と同様の操作を行った。漂白パルプの白色度は85.0%、K価は2.2、PC価は4.2であった。
比較例4
実施例3のD1段と酸処理段を入れ替え、かつ酸処理における硫酸添加率を絶乾パルプ質量当たり1.0%に変更した以外は、実施例3と同様の操作を行った。漂白パルプの白色度は84.7%、K価は1.0、PC価は1.6であった。
D1段における二酸化塩素添加率、漂白パルプの白色度、K価およびPC価を表1に示した。
比較例5
実施例4のD1段と酸処理段を入れ替え、かつ酸処理における硫酸添加率を絶乾パルプ質量当たり1.0%に変更した以外は、実施例4と同様の操作を行った。漂白パルプの白色度は83.9%、K価は1.0、PC価は1.7であった。
D1段における二酸化塩素添加率、漂白パルプの白色度、K価およびPC価を表1に示した。
比較例6
実施例3の酸処理段をスキップし、D1段における二酸化塩素添加率を絶乾パルプ質量当たり0.8%に変更した以外は、実施例3と同様の操作を行った。漂白パルプの白色度は85.0%、K価は3.0、PC価は6.0であった。
D1段における二酸化塩素添加率、漂白パルプの白色度、K価およびPC価を表1に示した。
Figure 2005068567
表1の実施例1、2と比較例1〜3を比較することから明らかなように、広葉樹材を含むリグノセルロース物質を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白し、その後、初段に二酸化塩素漂白段を有するECF漂白工程で処理して漂白パルプを製造する際に、初段二酸化塩素漂白段の後段に酸処理段を設けることにより、白色度が高く、K価が低く、褪色性のよい漂白パルプが得られることがわかる。
また、表1の実施例3、4と比較例4〜6を比較することから明らかなように、E/O段に過酸化水素を添加した場合には、その効果が大きくなることもわかる。
本発明は、リグノセルロース物質の漂白パルプの製造に利用できる。更に詳しく述べれば、本発明は、褪色性し難いECF漂白パルプの製造に利用できる。

Claims (3)

  1. リグノセルロース物質を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白し、その後、初段に二酸化塩素漂白段を有する多段漂白工程で処理し、該二酸化塩素漂白段の次段として酸処理段を設けることを特徴とする漂白パルプの製造方法。
  2. 前記酸処理段後の次段として、酸素および/または過酸化水素を添加したアルカリ抽出段を設けることを特徴とする請求項1記載の漂白パルプの製造方法。
  3. 前記酸処理段前後に洗浄工程を設け、かつ酸処理段後の洗浄排水を酸処理段の希釈水として使用することを特徴とする請求項1、2記載の漂白パルプの製造方法。

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