JP2005064671A - 無線ネットワークのための制御方法及び制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 無線ネットワークにおいてオーバーヘッドを大幅に削減して遅延時間を大幅に減少させる。
【解決手段】 それぞれ所定のビーム幅を有するセクタパターンを有するアンテナをそれぞれ含む複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御方法又は制御装置である。各無線局は、発信元無線局からの無線信号をオムニパターン又はセクタパターンを用いて検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記最大の信号強度を有する方位角に対してアンテナのビーム方向を向けて無線通信を行うように制御する。
【選択図】図15
【解決手段】 それぞれ所定のビーム幅を有するセクタパターンを有するアンテナをそれぞれ含む複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御方法又は制御装置である。各無線局は、発信元無線局からの無線信号をオムニパターン又はセクタパターンを用いて検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記最大の信号強度を有する方位角に対してアンテナのビーム方向を向けて無線通信を行うように制御する。
【選択図】図15
Description
本発明は、複数の無線局を備えた、例えば無線LANなどの無線ネットワークにおいてパケット通信を行う、例えばアドホック無線ネットワークなどの無線ネットワークのための制御方法及び制御装置に関する。
無線通信やパーソナルコンピュータの最近の進歩により、各ノード無線局が無線送受信機を備えた移動局ルータ装置として動作する、高速で実施可能なインフラストラクチャ(基盤)無しのネットワークであることが仮定されたアドホック無線ネットワークが研究されている。
通常、アドホック無線ネットワークではすべてのノード無線局はオムニパターンアンテナを備えている。しかしながら、オムニパターンアンテナを備えるアドホック無線ネットワークは、広い領域に及ぶ無線媒体を確保することによって、ネットワーク容量の大部分を浪費するRTS(Request To Send;通信開始制御信号)/CTS(Clear To Send;通信受付信号)を基礎とするフロア確保方法を使用している。その結果、送信機及び受信機の近傍にある多くの隣接ノード無線局は、送信機と受信機との間のデータ通信の終了を無為に待機していなければならない。この問題を緩和するために、研究者達は、送信ビーム及び受信ビームを受信ノード無線局及び送信ノード無線局のみへと方向づける指向性(固定又は適応制御型)アンテナの使用を提案している。これは無線干渉を大幅に低減させ、これにより、無線媒体の利用を改善し、それ故、ネットワークスループットを改善することができる(特許文献1及び2、並びに非特許文献1乃至11参照。)
次いで、本発明に関連する研究について以下簡単に説明する。指向性アンテナの持つ優位点にもかかわらず、指向性アンテナをアドホック無線ネットワークの無線通信システムにおいて使用する効率的なMAC(Media Access Control:メディアアクセス制御)プロトコルに関する研究は、アドホック無線ネットワークにおける移動性への即応に関する固有の困難さ、及び分散制御に起因して限定されている。研究者の中には、従来この課題に幾つかの方法で取り組もうとした者がある。ザンダーは、パケット無線ネットワークにおける指向性アンテナの使用を提案した(非特許文献1参照。)。また、非特許文献2では、指向性アンテナを使用するMACプロトコルも提案され、この場合、各局にはその隣接ノード無線局固有のトーン信号が割り当てられる。1つの局がパケットを受信すると、同局は直ちにそのトーン信号を一定の時間期間に渡って同報通信するため、その隣接ノード無線局はその存在を識別してその方向への送信を回避することができる。
さらに、近年、IEEE 802.11に規定されているようなRTS/CTS型ハンドシェイクに依存するMACプロトコルが、指向性アンテナを使用して幾つか提案されている(非特許文献3乃至11参照。)。非特許文献3では、指向性/全方向性RTS/CTSの組み合せを使用して、ノード無線局による既に存在するデータ通信と干渉する方向への送信をブロックし、一方で他の方向へは送信できるようにするD−MAC(指向性MAC)方法が提案されている。また、非特許文献4では、マルチホップ効率を確立するためのMACプロトコルが、指向性アンテナを使用するマルチホップRTS−シングルホップCTSを用いて提案されている。このメカニズムでは、より大きいレンジの指向性ビームの使用により、オムニパターンアンテナを使用する場合より少ないホップ数で宛先に到達することができる。これら非特許文献3及び4の方法では何れも、移動ノード無線局は、GPSを使用して自らの、及びそれらの隣接ノード無線局の物理的位置を認識することが仮定されている。但し、指向性RTS/指向性CTS方法に起因して、利得の非対称性及び認識されないRTS/CTSによる新たな隠れ端末の問題、難聴の問題及び非特許文献4に記載されているようなより指向性の高い干渉のような幾つかの問題点は解決されないままである。
さらに、非特許文献5では、提案されているMACプロトコルは位置情報を認識する必要がなく、発信無線局及び宛先無線局は、全方向性のRTS−CTSがオンデマンドを基礎として交換される間に互いの方向を識別する。このRTS−CTSダイアローグを聞いた発信無線局Ns及び宛先無線局Ndのすべての隣接ノード無線局は、この情報を使用して進行中のデータ送信との干渉を防止することが仮定されている。しかしながら、RTS及びCTSパケットの全方向性送信に起因して、このプロトコルは、無線チャネルの空間再使用の恩恵を全くもたらさない。但しそれでも、本プロトコルは、指向性データ送信に起因して発生する干渉の量が低減されることにより(非特許文献11参照。)、オムニパターンアンテナを使用するMACを凌いでスループットを向上させる。
また、非特許文献6において、ラマナサンは、変化するアンテナパターン及びビーム制御、チャネルアクセスメカニズム、リンク電力制御及び隣接ノード無線局の発見を有するビーム形成アンテナを使用するアドホック無線ネットワークの性能について調査している。さらに、非特許文献7では、著者達は位置情報の事前認識を仮定しており、各セクタに1つの指向性NAV(DNAV(Directional Network Allocation Vector:指向性ネットワーク位置ベクトル)の概念が使用され、全セクタ上の同時的な送信が安全となるまで送信延期を余儀なくされる代わりに、クリアなセクタパターン上の制御パケットの即時的送信が可能にされる。同じく、非特許文献8では、タカイほかが、当該方向の信号強度に依存して設定される方向及び幅を有するDNAV方法を提案した。この場合も、よりスマートなアンテナを使用して、1つの信号のそのマルチパス成分に起因する複数の到来角を識別することが可能であり、かつこれを使用して異なる幅及び方位角の複数のDNAVをブロックすることができる。
全体的な性能向上を目的とした、指向性アンテナの優位点を活用するためのアドホック無線ネットワークにおける適切なMACプロトコルの開発は、適切な位置追跡及び近傍認識を必要とする。各ノード無線局は、隣接ノード無線局と指向的に通信可能な方向を認識しなければならない。この情報により、効果的な通信を保証する方位角又はビーム形成を選択することが可能になる。同時に、各ノード無線局は、既に存在する通信を妨害することなく他の方向への通信を開始できるように、共有近傍における現在の通信状態について認識していなければならない。さらに、各ノード無線局とその各隣接ノード無線局との指向性アクセス情報を含むこの近傍情報の伝播は、これがネットワークによる適正なネットワークステータス情報の保持を促進することから、効率的でプロアクティブな(先を見込んだ革新的な)ルーティングプロトコルの設計にも役立つ(非特許文献10参照。)。
上述の非特許文献2では、移動無線局の位置の追跡が、トーンセットを使用し、かつネットワーク内の各ノード無線局で多大なネットワーク状態(ステータス)情報を保持することによって行われている。しかしながら、これは、動的方法では非現実的である。例えば、非特許文献5では、発信無線局及び宛先無線局が全方向性RTS−CTS交換の間に互いの方向を識別する。しかしながら、このメカニズムでは、ノード無線局はその完全な近傍情報を認識していない。
また、非特許文献3及び4では、各ノード無線局の位置を追跡するためにGPS(Global Positioning System)の使用が提案されているが、情報交換の正確なメカニズム及び結果的に生じるオーバーヘッドについては論じられていない。本発明者らは、先の研究で、各ノード無線局が方位角毎のSINRを示すテーブル(以下、ASテーブルという。)の保守を行うことにより、所定の近傍情報を動的に保持するMACプロトコルを開発した(非特許文献9参照。)。この方法では、ASテーブルを形成するために、各ノード無線局は、指向性ビーコンを指向性同報通信の形式で周期的に30度間隔で全方向へ逐次送信し、360度の空間全体をカバーする。これらの信号を異なる方位角で受信するノード無線局は、受信される最良の信号強度を決定し、その情報を発信無線局へRTS/CTSハンドシェイクを有するデータパケットとして送り返す。但し、非特許文献6に開示されたこの方法では、制御パケットに起因するオーバーヘッドが極めて高い。
例えば、図10が示すように、ノード無線局NnがオムニパターンAn0のオムニパターンアンテナを使用してノード無線局Nmと通信している間、ノード無線局NpとNrとは不使用状態でいなければならない。しかしながら、指向性ビームパターンAn,Ar,Apを使用する場合には、ノード無線局Nnがノード無線局Nmと通信している間に、ノード無線局Np及びNrは共にそれぞれノード無線局Nq及びNsと通信することが可能であり、媒体利用又はSDMA(Space Division Multiple Access:空間分割多重アクセス)の効率が劇的に向上する。
指向性アンテナの能力を十分に活用するためには、各ノード無線局は隣接ノード無線局の情報(ノード無線局のID、方向、リンク品質ほかなど)を事前に認識している必要がある。ノード無線局NpとNqとの通信は、ノード無線局Npからノード無線局Nqへの方向がノード無線局NpからNm又はノード無線局Npからノード無線局Nnへの方向と同じでない場合にのみ開始することができる。従って、発信無線局と宛先無線局とが通信しているときはいつも、発信無線局及び宛先無線局のすべての隣接ノード無線局は、それらが他の方向で新規無線通信を開始できるようにその通信の方向を認識していなければならず、これにより、発信無線局と宛先無線局間で進行中のデータ通信との干渉が防止される。言い替えれば、効果的なMAC及びルーティングプロトコルを当該無線通信システムで実施するためには、ノード無線局は、パケットをその隣接ノード無線局へ送信するためのその送信方向の設定方法を認識していなければならない。従って、各ノード無線局でその隣接ノード無線局の位置を追跡するメカニズムを保有することが不可避となる。
しかしながら、指向性アンテナを使用するアドホック無線ネットワークの無線通信システムにおけるこの位置追跡メカニズムは、多大な制御用オーバーヘッドが掛かることから深刻な問題点である。
また、第2に、指向性アンテナの能力を完全に活用するためには、各ノード無線局はデータ通信が既に進行している方向への送信を回避するだけでなく、他の隣接ノード無線局に対してその通信状態(通信ステータス)を通知する必要がある。言い替えれば、露出端末問題及び隠れ端末問題を同時に解決しなければならない。特に、ITS(Intelligent Transportation System:高度道路交通システム)の高速道路交通制御方法におけるストリングトポロジー(図22に示すように、互いに離間した2つの無線リンクが一直線上に延在するように配置されたトポロジーをいう。)では、進行中の無線通信を認識していないノード無線局の幾つかが、既に何らかの無線通信で使用中であるノード無線局との通信を試行する可能性がある。これは、指向性モードのスループットを劣化させる可能性があり、全方向性モードの場合より悪くなることもある。従って、指向性アンテナにより多重パラレル通信が可能であるとしても、隠れ端末ファクタが指向性アンテナによってもたらされる利得を制限する。その結果、その送信方向を宛先無線局へ向けて設定する隣接ノード無線局の位置追跡機構を保有することだけでなく、隠れたノード無線局による近傍で進行中のデータ通信を妨害する多くの無駄なパケットの送信を防止するブロードキャスト機構を実施することが不可欠である。
本発明の第1の目的は以上の問題点を解決し、1ホップの無線ネットワークにおいて、従来技術に比較してオーバーヘッドを大幅に減少させて位置追跡を行うことができる無線ネットワークのための制御方法及び制御装置を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は以上の問題点を解決し、1ホップの無線ネットワークにおいて、SDMAのために効率的なMACプロトコルを提供できる無線ネットワークのための制御方法及び制御装置を提供することにある。
第1の発明に係る無線ネットワークの制御方法は、それぞれ所定のビーム幅を有するセクタパターンを少なくとも有するアンテナをそれぞれ含む複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御方法において、
発信元無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記最大の信号強度を有する方位角に対してアンテナのビーム方向を向けて無線通信を行うように制御するステップを含むことを特徴とする。
発信元無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記最大の信号強度を有する方位角に対してアンテナのビーム方向を向けて無線通信を行うように制御するステップを含むことを特徴とする。
上記無線ネットワークのための制御方法において、上記発信元無線局からの無線信号の検出は、オムニパターン又はセクタパターンを用いて実行することを特徴とする。
第2の発明に係る無線ネットワークの制御方法は、それぞれ所定のビーム幅を有するセクタパターンを少なくとも有するアンテナをそれぞれ含む複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御方法において、
他の無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行う無線局でないときに、当該無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線通信を行うことを禁止するステップを含むことを特徴とする。
他の無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行う無線局でないときに、当該無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線通信を行うことを禁止するステップを含むことを特徴とする。
上記無線ネットワークの制御方法において、他の無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行う無線局でないときに、当該無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線通信を行うことを禁止するステップをさらに含むことを特徴とする。
また、上記無線ネットワークの制御方法において、それぞれ所定のビーム幅を有するセクタパターンと無指向性のビームパターンの双方のビームを形成できるアンテナをそれぞれ含む複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御方法であって、
送信元からの通信開始制御信号(RTS:Request To Send)、及び受信元からの通信受付信号(CTS:Clear To Send)を双方ともに無指向性アンテナで送信し、データ信号(DATA)と受信完了通知信号(ACK:Acknowledge)を指向性で送信するステップをさらに含むことを特徴とする。
また、上記無線ネットワークの制御方法において、それぞれ所定のビーム幅を有するセクタパターンと無指向性のビームパターンの双方のビームを形成できるアンテナをそれぞれ含む複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御方法であって、
送信元からの通信開始制御信号(RTS:Request To Send)、及び受信元からの通信受付信号(CTS:Clear To Send)を双方ともに無指向性アンテナで送信し、データ信号(DATA)と受信完了通知信号(ACK:Acknowledge)を指向性で送信するステップをさらに含むことを特徴とする。
さらに、上記無線ネットワークの制御方法において、上記アンテナは、無線信号を送受信するための励振素子と、上記励振素子を中心として互いに等角度で離間されかつ上記励振素子から所定の間隔だけ離間されて設けられた複数の非励振素子と、上記複数の非励振素子にそれぞれ接続された複数の可変リアクタンス素子とを備え、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、上記複数の非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させることにより指向特性が変化するアレーアンテナであることを特徴とする。
第3の発明に係る無線ネットワークの制御装置は、それぞれ所定のビーム幅を有するセクタパターンを少なくとも有するアンテナをそれぞれ含む複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御装置において、
発信元無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記最大の信号強度を有する方位角に対してアンテナのビーム方向を向けて無線通信を行うように制御する手段を備えたことを特徴とする。
発信元無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記最大の信号強度を有する方位角に対してアンテナのビーム方向を向けて無線通信を行うように制御する手段を備えたことを特徴とする。
上記無線ネットワークの制御装置において、上記発信元無線局からの無線信号の検出は、オムニパターン又はセクタパターンを用いて実行することを特徴とする。
第4の発明に係る無線ネットワークの制御装置は、それぞれ所定のビーム幅を有するセクタパターンを少なくとも有するアンテナをそれぞれ含む複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御装置において、
他の無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行う無線局でないときに、当該無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線通信を行うことを禁止する手段を備えたことを特徴とする。
他の無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行う無線局でないときに、当該無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線通信を行うことを禁止する手段を備えたことを特徴とする。
上記無線ネットワークの制御装置において、他の無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行う無線局でないときに、当該無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線通信を行うことを禁止する手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、上記無線ネットワークの制御装置において、それぞれ所定のビーム幅を有するセクタパターンと無指向性のビームパターンの双方のビームを形成できるアンテナをそれぞれ含む複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御装置であって、
送信元からの通信開始制御信号(RTS:Request To Send)、及び受信元からの通信受付信号(CTS:Clear To Send)を双方ともに無指向性アンテナで送信し、データ信号(DATA)と受信完了通知信号(ACK:Acknowledge)を指向性で送信する手段をさらに備えたことを特徴とする。
送信元からの通信開始制御信号(RTS:Request To Send)、及び受信元からの通信受付信号(CTS:Clear To Send)を双方ともに無指向性アンテナで送信し、データ信号(DATA)と受信完了通知信号(ACK:Acknowledge)を指向性で送信する手段をさらに備えたことを特徴とする。
さらに、上記無線ネットワークの制御装置において、上記アンテナは、無線信号を送受信するための励振素子と、上記励振素子を中心として互いに等角度で離間されかつ上記励振素子から所定の間隔だけ離間されて設けられた複数の非励振素子と、上記複数の非励振素子にそれぞれ接続された複数の可変リアクタンス素子とを備え、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、上記複数の非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させることにより指向特性が変化するアレーアンテナであることを特徴とする。
従って、本発明に係る第1又は第3の発明に係る無線ネットワークの制御方法又は制御装置によれば、発信元無線局と宛先無線局との間で1ホップで無線通信を行う無線ネットワークにおいて、従来技術に比較してオーバーヘッドを大幅に減少させて、高速で位置追跡を行うことができる。
また、第2又は第4の発明に係る無線ネットワークの制御方法又は制御装置によれば、各無線局は、現在進行中の無線通信を所定の方位角毎に知ることができ、この情報を用いて、他の方向への新たな無線通信を開始することができ、このとき、現在進行中の無線通信との干渉を防止できる。これにより、1ホップの無線ネットワークにおいて、SDMAのために効率的なMACプロトコルを提供できる。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、同様の構成要素については同一の符号を付している。
第1の実施形態.
図1は、本発明に係る実施形態であるアドホック無線ネットワークの構成を示す複数の無線局1−1乃至1−9(総称して、符号1を付す。)の平面配置図であり、図2は、図1の各無線局1の構成を示すブロック図である。
図1は、本発明に係る実施形態であるアドホック無線ネットワークの構成を示す複数の無線局1−1乃至1−9(総称して、符号1を付す。)の平面配置図であり、図2は、図1の各無線局1の構成を示すブロック図である。
この実施形態の無線通信システムでは、図1に示すように、複数の無線局1が平面的に散在して存在し、各無線局1はそれぞれ、可変ビームアンテナ101の利得や送信電力、受信感度などのパラメータで決定される所定のサービスエリアを有し、このサービスエリア内でパケット通信を行うことができ、サービスエリア外の無線局1とパケット通信を行うときは、サービスエリア内の無線局1を中継局として用いてパケットデータを中継することにより、所望の宛先無線局1にパケットデータを伝送する。すなわち、各無線局1は、パケットのルーティングを行うルータ機能を備え、発信元無線局、中継局、又は宛先無線局として動作する。
この実施形態の無線通信システムは、例えば無線LANなどのアドホック無線ネットワークのパケット通信システムに適用するものであって、無指向性放射パターンであるオムニパターンと、自局を中心とした水平面内の所定の方位角毎にセクタ形状のメインビームを選択的に変更可能なセクタビームパターンと、上記方位角毎にヌル点を形成可能な排他的セクタパターンとを選択的に切り換え可能な可変ビームアンテナ101を備えるとともに、自局を中心とするサービスエリア内の隣接ノード無線局(自局から無線通信可能なノード無線局を隣接ノード無線局という。)1から無線信号を受信するときに測定可能な隣接ノード無線局1に対する方位角及び信号強度レベルを格納する方位角及び信号強度レベルテーブルであるASテーブル(Angle and Signal strength Table)をデータベースメモリ154に格納し、これらのテーブルに基づいて、可変ビームアンテナ101の放射パターンを制御しながらパケット信号のルーティングを行うことを特徴としている。
本実施形態では、特に、位置追跡及びMACプロトコルのための受信機中枢的なアプローチを提案する。各ノード無線局1は、その隣接のノード無線局の位置を追跡するために、その近隣情報を周期的に収集し、上記ASテーブルを形成する。ASテーブルを基礎として、ノード無線局1はその隣接ノード無線局の方向を認識して送信−受信の間の媒体アクセスを制御する。詳細後述するように、クアルネット(QualNet)のネットワークシミュレータ(例えば、非特許文献12参照。)に関する性能評価結果は、本発明者らのプロトコルが増加する通信数及び増加するデータレートに関して高度に効率的であることを示しており、本発明者らのプロトコルによる1ホップMACのスループットは、IEEE 802.11の規格の1.8倍である結果を得ている。
本実施形態では、制御オーバーヘッドを低減するための受信機指向の位置追跡メカニズム及び効率的な媒体利用のための単純なMACプロトコルについて説明する。本発明者らは、クアルネットを使用して広範な性能評価を実行し、その有効性を実証した。このMACプロトコルは、RTSとCTSとの全方向***換を基礎としている。しかしながら、この場合のRTS/CTSの目的は、オムニパターンアンテナを使用する場合のような、送信機及び受信機の隣接ノード無線局による送信又は受信を禁止することではなく、これらにこの通信に関する通知を行うことにある。これはまた、通信のおおよその持続時間を特定する。送信及び受信のすべての隣接ノード無線局は、それらのそれぞれに各ASテーブルからその方向が知られている通信を追跡し、仮想搬送波検出のためのDNAVを設定してその方向の通信のみを禁止する。
次いで、図2を参照して、各無線局1の装置構成について説明する。図2において、無線局1は、可変ビームアンテナ101と、その指向性を制御するための指向制御部103と、サーキュレータ102と、データパケット送信部140及びデータパケット受信部130を有するデータパケット送受信部104と、トラヒックモニタ部105と、回線制御部106と、上位レイヤ処理装置107とを備える。
送受信すべきデータを処理する上位レイヤ処理装置107によって発生されたパケット形式の通信用送信信号データは、送信バッファメモリ142を介して変調器143に入力され、変調器143は、所定の無線周波数の搬送波信号を、拡散符号発生器160でCDMA方式で発生された所定の通信チャネル用拡散符号を用いて、入力された通信用送信信号データに従ってスペクトル拡散変調して、変調後の送信信号を高周波送信機144に出力する。高周波送信機144は入力された送信信号に対して増幅などの処理を実行した後、サーキュレータ102を介して可変ビームアンテナ101から他の無線局1に向けて送信する。一方、可変ビームアンテナ101で受信されたパケット形式の通信チャネル用受信信号は、サーキュレータ102を介して高周波受信機131に入力され、高周波受信機131は入力された受信信号に対して低雑音増幅などの処理を実行した後、復調器132に出力する。復調器132は、入力される受信信号を、拡散符号発生器160でCDMA方式で発生された通信チャネル用拡散符号を用いて、スペクトル逆拡散により復調して、復調後の受信信号データを受信バッファメモリ133を介して上位レイヤ処理装置107に出力するとともに、トラヒックモニタのためにトラヒックモニタ部105に出力する。
本実施形態においては、指向性アンテナである可変ビームアンテナ101は、複数のアンテナ素子とその指向性を制御する制御部103に接続され、
(a)無指向性放射パターンであるオムニパターンと、
(b)例えば図3に示すように、自局を中心とした水平面内の所定の方位角毎にセクタ形状のメインビームを選択的に変更可能な指向性パターンであるセクタビームパターンと、
(c)上記方位角毎にヌル点を形成可能な排他的セクタパターンと
を電気的な制御により選択的に切り換え可能なアンテナである。
(a)無指向性放射パターンであるオムニパターンと、
(b)例えば図3に示すように、自局を中心とした水平面内の所定の方位角毎にセクタ形状のメインビームを選択的に変更可能な指向性パターンであるセクタビームパターンと、
(c)上記方位角毎にヌル点を形成可能な排他的セクタパターンと
を電気的な制御により選択的に切り換え可能なアンテナである。
なお、可変ビームアンテナ101については、例えば、公知のフェーズドアレーアンテナ装置であってもよいし、もしくは、図11及び図12を参照して詳細後述するように、特許文献1及び2、非特許文献16、17及び18に開示された電子制御導波器アレーアンテナ装置(Electronically Steerable Passive Array Radiator Array Antenna Apparatus)である可変ビームアンテナであってもよい。
トラヒックモニタ部105は、検索エンジン152と、更新エンジン153と、データベースメモリ154と、クロック回路155とを備え、後述のルーティング及び通信処理を実行するとともに、無線局1が他の無線局1とのパケット通信において使用すべき通信チャネルを決定して、決定した通信チャネルに対応する拡散符号の指定データを回線制御部106を介して拡散符号発生器160に送ることにより、拡散符号発生器160が当該指定データに対応する拡散符号を発生するように制御するとともに、決定した通信チャネルに対応するタイムスロットの指定データを回線制御部106を介して送信タイミング制御部141に送ることにより、送信タイミング制御部141が送信バッファメモリ142による通信チャネル用送信信号データの書き込み及び読み出しを制御することにより通信チャネル用送信信号が対応するタイムスロットで送信されるように制御する。なお、クロック回路155は、現在日時を計時してその情報を、必要に応じて管理制御部151に出力する。
トラヒックモニタ部105の検索エンジン152は、管理制御部151の制御によりデータベースメモリ154内のデータを検索して検索したデータを管理制御部151に返信する。また、更新エンジン153は、管理制御部151の制御によりデータベースメモリ154内のデータを更新する。さらに、データベースメモリ154に、ASテーブルを記憶している。なお、後述の第1の実施形態の変形例では、データベースメモリ154はさらに、DNAV制御テーブルを記憶する。
本実施形態においては、アンテナ放射パターンを単一の通信相手先方向の利得が最大となるように指向性を変化させるセクタビームパターンの実効的な送信ビーム幅を30°としており、可変ビームアンテナ101は、方位角を30°毎に選択的に変化可能に設定できる。ビーム幅及び方位角の変化方位角は、60°又は他の方位角であってもよい。また、本実施形態のパケット通信システムで用いるパケットデータは、図4に示す形式のフォーマットを有する。すなわち、パケットデータは、宛先無線局のIDと、パケット種別(トーン、RTS(Request To Send)、CTS(Clear To Send)、DATAなど)と、自局のIDと、データ(上位レイヤでのデータなどを含む)とを含む。なお、RTS信号又はCTS信号のとき、データには当該無線通信における通信持続時間を含む。さらに、データベースメモリ154に格納されたASテーブルは、図5に示すように、自局のサービスエリア内の隣接ノード無線局毎に、方位角と、信号強度レベルの情報を格納し、後述する図15の無線通信制御処理により作成更新される。
さらに、本実施形態で用いる無線通信システムについて詳細に説明する。
まず、本実施形態で用いるスマートアンテナである可変ビームアンテナ101の詳細について説明する。本実施形態に係る無線ネットワークにおいて使用されるスマートアンテナには、基本的に、スイッチビーム又は固定ビームアンテナと回転式適応型アレーアンテナとの2タイプを用いることができる(例えば、非特許文献12,13,14参照。)。スイッチビームアンテナは、複数の予め画定された固定指向性ビームパターンを生成し、信号を受信すると1回に1パターンを設定する。これは最も単純な技術であり、別々の指向性アンテナ間、又はそれぞれが360/N度の方位角で張られた非重複性の固定セクタパターンへと配備されているN個のアンテナ素子より成るアレーアンテナの予め画定されたビーム間の基本的なスイッチング関数のみで構成されている。すべてのセクタパターンで信号検出が行われ、可変ビームアンテナ101は、最大の利得を有するセクタを認識する能力を備えている。受信に際しては、一般に検出プロセスによって選択されるものである正確に1つのセクタパターンがその信号を集めて受信する。
スイッチビームアンテナより進化している回転式適応型アレーアンテナの場合、ビーム構成は無線周波数(RF)の信号環境に適応し、ビームを所望の無線信号へ向けて配向してアンテナ利得を最大化すると同時に干渉信号の方向にあるアンテナパターンを(ヌルに設定することにより)抑制する(非特許文献14参照。)。適応型アレーアンテナでは、出力信号を制御するため、すなわち信号対干渉プラス雑音比(SINR)を最大化するためのアルゴリズムが必要とされる。これらの両スマートアンテナ間の相違点は、次のように仮定することができる。すなわち、固定ビームアンテナはそのスマートさを最強強度の信号ビームの方向に集中させるが、適応型アレーアンテナは、すべてのアンテナ素子内の受信された全情報からの恩恵により、ウェイトベクトルの調整を用いて出力SINRを最適化する。
本発明者らは、スマートアンテナを使用するアドホック無線ネットワークのテストベッドを開発しており(非特許文献15参照。)、各ユーザ端末は、電子制御導波器アレーアンテナ装置として知られる小型で低コストのスマートアンテナを使用する(非特許文献16,17,18参照。)。適応型アレーアンテナは、通常はデジタル式のビーム形成アンテナである。これに対して、電子制御導波器アレーアンテナ装置はRFビーム形成に依存し、これにより回路の複雑さが劇的に減少する。電子制御導波器アレーアンテナ装置は受信機出力を1つしか必要としないため、周波数変換器及びアナログ−デジタル変換器の必要数はアレー分岐の数だけ減少し、DC電力の消散及び製造コストの両方を劇的に改善することができる(非特許文献16参照。)。
次いで、電子制御導波器アレーアンテナ装置の具体例について以下に詳細説明する。当該電子制御導波器アレーアンテナ装置であるアレーアンテナ装置100とその周辺回路を備えたアレーアンテナの制御装置を図11に示し、また、アレーアンテナ装置100の縦断面図を図12に示す。なお、図11において、アレーアンテナ装置100は図1の可変ビームアンテナ101に対応し、サーキュレータ6は図1のサーキュレータ102に対応し、無線送信機7は図1のパケット送信部140に対応し、低雑音増幅器1Lから復調器4までの部分は図1のパケット受信部130に対応し、適応制御型コントローラ20及び学習シーケンス信号発生器21は図1の指向制御部103に対応する。
当該アレーアンテナの制御装置は、図1に示すように、1つの励振素子A0と、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6がそれぞれ装荷された6個の非励振素子A1乃至A6と、接地導体11とを備えてなるアレーアンテナ装置100と、適応制御型コントローラ20とを備えて構成される。
ここで、適応制御型コントローラ20は、例えばコンピュータなどのディジタル計算機で構成され、受信時において、復調器4による無線通信を開始する前に、相手先の送信機から送信される無線信号に含まれる学習シーケンス信号を上記アレーアンテナ装置100の励振素子A0により受信したときの受信信号y(t)と、上記学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有して学習シーケンス信号発生器21で発生された学習シーケンス信号r(t)とに基づいて、例えば最急勾配法による適応制御処理を実行する。この適応制御処理では、上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための、各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に印加されるバイアス電圧値を探索して制御電圧信号を用いて設定する。以上の説明においては最急勾配法を用いているが、これに限らず他の適応制御方法を用いてもよい。適応制御型コントローラ20にはキーボードなどの入力装置(図示せず。)が接続され、復調器又は無線送信機7を用いた無線通信を開始する前に、ユーザは当該入力装置を用いて適応制御方法の選択等を行って、適応制御型コントローラ20の動作を制御することができる。
図1において、アレーアンテナ装置100は、接地導体11上に設けられた7本のアンテナ素子、すなわち励振素子A0及び非励振素子A1乃至A6から構成され、励振素子A0は、半径dの円周上に設けられた6本の非励振素子A1乃至A6によって囲まれるように配置されている。好ましくは、各非励振素子A1乃至A6は上記半径dの円周上に互いに等間隔(すなわち、励振素子A0を中心として互いに等方位角で離間して)を保って設けられる。各励振素子A0及び非励振素子A1乃至A6は、例えば、所望波の波長λに対して約λ/4の長さのモノポール素子になるように構成され、また、上記半径dはλ/4になるように構成される。また、各アンテナ素子の直径は0.02λである。励振素子A0の給電点は、同軸ケーブル5及びサーキュレータ6を介して低雑音増幅器(LNA)1に接続され、また、非励振素子A1乃至A6はそれぞれ可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に接続され、これら可変リアクタンス素子12−1乃至12−6は、適応制御型コントローラ20からの制御電圧信号に応答してそのリアクタンス値を変化させる。
図2は、アレーアンテナ装置100の縦断面図である。図2において、励振素子A0は接地導体11と電気的に絶縁され、各非励振素子A1乃至A6は、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6を介して、接地導体11に対して高周波的に接地される。可変リアクタンス素子12−1乃至12−6の動作を説明すると、例えば励振素子A0と非励振素子A1乃至A6の長手方向の長さが実質的に同一であるとき、例えば、可変リアクタンス素子12−1がインダクタンス性(L性)を有するときは、可変リアクタンス素子12−1は延長コイルとなり、非励振素子A1乃至A6の電気長が励振素子A0に比較して長くなり、反射器として働く。一方、例えば、可変リアクタンス素子12−1がキャパシタンス性(C性)を有するときは、可変リアクタンス素子12−1は短縮コンデンサとなり、非励振素子A1の電気長が励振素子A0に比較して短くなり、導波器として働く。また、他の可変リアクタンス素子12−2乃至12−6に接続された非励振素子A2乃至A6についても同様に動作する。
従って、図1のアレーアンテナ装置100において、各非励振素子A1乃至A6に接続された可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に印加するバイアス電圧値を変化させて、その接合容量値であるリアクタンス値を変化させることにより、アレーアンテナ装置100の平面指向特性を変化させることができる。
アレーアンテナ100で受信される無線信号を送信する送信局は、学習シーケンス信号発生器21で発生される所定の学習シーケンス信号と同一の信号パターンを有する学習シーケンス信号を含む所定のシンボルレートのディジタルデータ信号に従って、無線周波数の搬送波信号を、例えばBPSK、QPSKなどのディジタル変調法を用いて変調し、当該変調信号を電力増幅して受信局のアレーアンテナ装置100に向けて送信する。本実施形態においては、データ通信を行う前に、送信局から受信局に向けて学習シーケンス信号を含む無線信号が送信され、受信局では、適応制御型コントローラ20による適応制御処理が実行される。
アレーアンテナ装置100は送信局からの無線信号を受信し、上記受信された信号は、給電用同軸ケーブル5及びサーキュレータ6を介して低雑音増幅器(LNA)1に入力されて増幅され、次いで、ダウンコンバータ(D/C)2は増幅された信号を所定の中間周波数の信号(IF信号)に低域変換する。さらに、A/D変換器3は低域変換されたアナログ信号をディジタル信号にA/D変換し、そのディジタル信号を適応制御型コントローラ20及び復調器4に出力する。次いで、適応制御型コントローラ20は、入力される受信信号y(t)と学習シーケンス信号r(t)とに基づいて、各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を、順次所定の差分幅だけ摂動させ、各リアクタンス値に対して所定の評価関数値(例えば、受信信号の電力)を計算し、上記計算された評価関数値に基づいて、最急勾配法を用いて、当該評価関数値が最大となるように、各リアクタンス値を反復して計算することにより、当該アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を計算して設定するように制御する。これにより、当該評価関数値が最大となるように、上記アレーアンテナ装置100の主ビームを所望波の方向に向けかつ干渉波の方向にヌルを向けるための各可変リアクタンス素子のバイアス電圧値を探索し、探索された各バイアス電圧値を有する制御電圧信号を各可変リアクタンス素子に出力して設定する。
また、無線送信機7は入力される送信ベースバンド信号に基づいて無線搬送波を所定の変調方式で変調し、変調された無線搬送波である無線信号をサーキュレータ6、給電用同軸ケーブル5を介してアレーアンテナ装置100の励振素子A0に出力され、これにより当該アレーアンテナ装置100から無線信号が放射される。
ところで、電子制御導波器アレーアンテナ装置であるアレーアンテナ装置100はの特徴には、ビーム方向制御、多重ビーム(周波数は同じ)形成、機械的回転ビーム(360度掃引)及びヌルステアリング制御がある。受信機アプリケーションの場合、ヌルは干渉信号が到来する方向へ配向されなければならない。受信機における適応型ヌルステアリングアルゴリズムは、他の方向から到来する干渉信号の自動的抑制にも使用されることが可能である(非特許文献17参照。)。7素子のアレーアンテナ装置100を使用すれば、同時的な8dBiビーム利得及び−30dBiヌルにより360度の連続ビーム/ヌルステアリングが可能であることが観察されている(非特許文献17参照。)。また、7素子のアレーアンテナ装置100では、指向性の多重ビーム及び多くのヌルの同時形成が可能であることも観察されている。
アドホック無線ネットワークにおける適応型アンテナを有する適切なMACプロトコルの開発は、困難でも興味深いタスクである。そのため、アドホック無線ネットワークの無線通信システムで行われている研究のほとんどが、より単純なスイッチビームアンテナの使用を仮定している。本実施形態においても、本発明者らはスイッチビームアンテナとして、好ましくは、スマートな電子制御導波器アレーアンテナ装置であるアレーアンテナ装置100を使用する。また、アレーアンテナ装置100は、複数の指向性ビームパターンの中から1つの特定の指向性ビームのリアクタンス値を選択することにより、複数の受信機出力(周波数変換器及びアナログ−デジタル変換器)を使用することなく、一般化されたスイッチビームアンテナ又は擬似スイッチビームアンテナとしても使用することが可能である。詳細後述するように、ユーザから受信される信号の到来方向(DOA)を検出する何らかのメカニズムを包含すれば、連続追跡を達成することが可能であり、これをスイッチビームの概念の一般化と見なすことができる(非特許文献14参照。)。この場合も、受信される電力は最大化される。一般化されたスイッチビームアンテナとしてアレーアンテナ装置100を使用することの優位点は、わずか1つの受信機出力だけで連続追跡が可能であり、かつ可変数のビームパターンを保有可能なことにある。言い替えれば、スイッチビームモードで使用されるときに、電子制御導波器アレーアンテナ装置を使用して形成される指向性ビームは、複数N個の素子を有する従来型のスイッチビームアンテナの場合のようにそれぞれが360/N度の方位角を張る非重複性の固定セクタに限定される必要がない。アレーアンテナ装置100は低コスト、低電力の小型アンテナとなることから、アドホック無線ネットワークにおけるユーザ端末の電力消費量の低減を促進し、かつスイッチビームアンテナの優位点のすべてをもたらすことができると考えられる。
図13(a)及び図13(b)は、60度のビーム幅を有するアレーアンテナ装置100のアンテナパターンを示したものである。図13(a)は方位角Adが0度における放射パターンを示し、このビームパターンは、各アンテナ素子において0乃至60度の区間、60乃至120度の区間などで6個のビームが形成される。図13(b)は30度における放射パターンを示し、このビームパターンは、各アンテナ素子間において30乃至90度の区間、90乃至150度の区間などでさらに6個のビームが形成される。これらは、30度の間隔で合わせて12個の重複するパターンを構成する。図13(c)は45度のビーム幅を有するクアルネットのデフォルトアンテナパターンを示し、図13(d)は重要でないサイドローブを有するビーム幅45度の理想的な指向性アンテナを示している。性能評価で実証されるように、理想的な指向性アンテナの性能は(予想通り)最良であり、同時に、アレーアンテナ装置100の性能はクアルネットのデフォルトアンテナパターンより遙かに優れている。その理由は、アレーアンテナ装置100の放射パターンは、クアルネットにおけるデフォルトアンテナパターンの場合よりも少ない有効範囲を有し、サイドローブもさほど目立たない点にある。
次いで、本実施形態に係る到来方向(DOA)の検出と位置追跡メカニズムについて以下に詳述する。
本実施形態においては、各ノード無線局1はアイドル状態の間、全方向性の受信モードで待機する。しきい値を超える何らかの無線信号を検出すると、これは回転セクタパターンの受信モードに入る。回転セクタパターンの受信モードにおいて、ノード無線局1は、その指向性アンテナである可変ビームアンテナ101を30度の間隔で全方向へ逐次回転させて360度の空間全体を各方向における逐次指向性受信の形式でカバーし、各方向で受信される信号を検出する。1回転すると、ノード無線局1は、受信された最大の信号強度を有する信号を以て最善の受信可能方向を決定する。次に、ノード無線局1は、そのビームをその方向へ設定し、無線信号を受信する。
しかしながら、受信される信号を復号する受信機を有効化するために、図7に示すように、各制御パケット(ビーコン信号、RTS信号又はCTS信号を含む。)は先行するトーン信号(無変調搬送波)に続いて、受信機の回転受信ビームを360度回転させる時間の方がトーン信号の持続時間よりも短いような持続時間で送信される。任意の制御パケットより前にこのようにしてトーン信号を送信する目的は、受信機が無線信号の最善の受信可能方向を追跡できるようにすることにある。受信機がそのビームをその方向へ設定すると、トーン信号の目的は果たされ、続いて制御パケットが送信される。
本発明者らは、提案した本実施形態に係る無線通信システムにおいて、3つのタイプの制御パケット、すなわち隣接ノード無線局1の位置の追跡に使用するビーコン信号又は「ハロー」パケット、媒体アクセス制御のためのRTS信号及びCTS信号を使用している。ビーコン信号は周期的な信号であり、各ノード無線局1から予め定義された間隔で送信される。各周期的間隔において、例えばNmである各ノード無線局1は、媒体がフリーであればその隣接ノード無線局へ全方向性のビーコン信号を送信する。先に指摘したように、各ビーコン信号は、受信機によるビーコン信号の最善の受信可能方向の検出を補助するトーン信号に続いて送信される。次に各受信機はそのビームをその方向へ設定し、ビーコン信号を受信して復号化する。こうして、例えばノード無線局Nmの隣接ノード無線局であるノード無線局Nnはノード無線局Nmの方位角毎の信号レベル情報を形成し、かつ同様にして他の隣接ノード無線局の情報も形成する。ノード無線局Nnのその隣接ノード無線局Nmに関するASテーブルへの入力は「SIGNALα n,m(t)」であり、これは、ノード無線局Nnにおいてノード無線局Nmからノード無線局Nnに対して方位角αで受信されかつノード無線局Nnにより任意の時間ポイントtで検出された信号の最大強度である。ASテーブルを基礎としてノード無線局Nnはノード無線局Nmの方向を認識し、送受信の間の媒体アクセスを制御する。
RTS信号は同報通信パケットであって発信元アドレスを含むことから、ノード無線局はこのRTS信号を復号することによってもまた、方位角毎の信号レベルテーブルであるASテーブルを形成することができる。従って、本発明者らはRTS信号をビーコン信号として使用したことになる。RTS信号が送信されると、ビーコン信号のタイマがリセットされる。ビーコン信号としてのRTS信号の使用は、ビーコン信号に起因するオーバーヘッドが最小化される高頻度のトラフィックにおいて効果的である。これは、送信側のノード無線局は、追加のビーコン信号を送信してその隣接ノード無線局に対してその存在を通知する必要がないためである。
次いで、指向性通信をサポートする媒体アクセス制御プロトコルについて以下に説明する。IEEE 802.11のMACプロトコル規格では、RTS−CTS/データ−肯定応答(ACK;受信完了通知信号)の交換メカニズムを使用して信頼性の高いデータ通信が保証される。本発明者らの方法では、まず、ノード無線局Nnがノード無線局Nmとの通信を希望すると媒体を検出し、媒体がフリー(未使用)であれば全方向性のRTS信号を送信する。バックオフのメカニズムは、IEEE 802.11の場合と同じである。RTS信号の目的は、ノード無線局Nmを含むノード無線局nのすべての隣接ノード無線局に対して、ノード無線局Nnからノード無線局Nmへ通信が要求されていると通知することにある。これはまた、通信のおおよその持続時間も特定する。ノード無線局Nnのすべての隣接ノード無線局はノード無線局Nnからのこの要求を追跡し、その方向は、受信されたRTS信号からこれらのノード無線局のそれぞれに認識される。RTS信号を受信するメカニズムは、ビーコン信号の場合と同じである。
対象のノード無線局Nmは、全方向性のCTS信号を送信して要求を発行し、ノード無線局Nmの隣接ノード無線局に対して、ノード無線局Nmがノード無線局Nnからデータを受信しつつあることを通知する。これはまた、通信のおおよその持続時間も特定する。ノード無線局Nmのすべての隣接ノード無線局は受信側であるノード無線局Nmを追跡し、その方向は、受信されたCTS信号からこれらのノード無線局のそれぞれに認識される。この場合もやはり、CTS信号を受信するメカニズムは、ビーコン信号の場合と同じである。但し、この場合のRTS/CTSの目的は、オムニパターンアンテナを使用する場合のような、ノード無線局Nn及びNmの隣接ノード無線局による送信又は受信を禁止することではなく、ノード無線局Nn及びNmの隣接ノード無線局に対して、ノード無線局Nmがノード無線局Nnからデータを受信しつつあると通知することにある。
全方向性のCTS信号を送信すると、受信側のノード無線局は指向性受信モードで待機し、データ信号が送信される、又はタイムアウトになると全方向性の受信モードに戻る。また、CTS信号が受信されると、送信側はデータを指向的に送信して肯定応答信号(ACK信号)を指向性パターンで待機し、肯定応答信号(ACK信号)が受信されると、又はタイムアウトになると全方向性の受信モードに戻る。指向性の受信モードは、要求された方向からの適正な信号受信及び他の方向からの干渉の最小化を保証する。
RTS/CTSの交換を受信した(耳にした;オーバーヒアした)ノード無線局Nn及びNmの近傍にある他の隣接ノード無線局は、自らのDNAVをそれらがそれぞれRTS信号又はCTS信号の到来方向として検出した方向へ設定する。この時点で、これらが、ASテーブルから認識されるその方向がブロックされたDNAVの方向でないノード無線局へ送るパケットを有していれば、これらはノード無線局NnとNmとの間の通信を妨害することなくRTS信号及びCTS信号の両方を全方向的に発行することができる。受信側ノード無線局の方向がDNAVによってブロックされかつRTS信号が発行されていれば、CTS信号は発行されない可能性が最も高く、そうでなければRTS信号との衝突が生じる可能性がある。その結果、当該ノード無線局はその衝突ウィンドウを増大してバックオフに入る。これは繰り返し発生する可能性があり、結果的にノード無線局は送信の機会を少なくしていく。よってこの場合、本発明者らはRTS信号の送信を許可しない。ノード無線局はここでDNAVの時間を待って通信の開始を試行する。これは、IEEE 802.11の規格に説明されているNAVの待機に類似している。
図14は、第1の実施形態の変形例に係る同一のサービスエリアの領域で発生する2つの同時的通信のメカニズムを示している。通信しているのは、発信元無線局NSと宛先無線局NDであるものとする。図14には、宛先無線局NDを含む発信元無線局NSからの指向性ビームが示されている。ここで、共に無線局NS及びNDの全方向の近傍に存在する他の隣接ノード無線局対NX及びNYが無線通信を望んでいるものとする(図14)。ノード無線局NX及びNYは共に、無線局NS及びNDから既にRTS/CTSを受信している。それらの個々のASテーブルから、ノード無線局NXは発信元無線局NS及び宛先無線局NDのノード無線局NXに対する方位角位置を認識し、ノード無線局NX及びNYもまた無線局NS及びNDのノード無線局NYに対する方位角位置を認識している。ノード無線局NX及びNYは共に、無線局NS及びNDに向けてDNAVを設定する。ノード無線局NXからノード無線局NYへの指向性ビームが無線局NS又はNDを捕捉すれば、ノード無線局NXはDNAVにおいてタイムアウトが言及されるまでアイドル状態のままであることを余儀なくされ、こうして、その無線通信の希望は延期される。これ以外であれば、ノード無線局NXはRTS信号を発行することができる。言い替えれば、ノード無線局は、当該無線通信が既に存在している無線通信の領域に立ち入らない場合にのみRTS信号を発行することができる。
図15は、本実施形態において実行される無線通信制御処理における状態遷移図である。図15において、まず、状態S101ではアイドル状態にあり、オムニパターン検出モード又は回転セクタ検出モードで待機する。ここで、周期的なビーコン信号の発行を行うためのビーコンタイマーがタイムアウトしたとき、状態S102においてオムニパターンでビーコン信号を送信した後、状態S101に戻る。また、状態S101で送信すべきデータがあるとき、状態S103においてオムニパターンでRTS信号を送信した後(このときオムニパターンなので受信無線局の方向のDNAVはブロックされない)、状態S101に戻る。さらに、状態S101で検出しきい値を超える信号レベルの信号を受信したとき、状態S104においてセクタパターンを1回転して信号到来方向を追跡し最大受信方向に主ビームを向けた後、状態S105においてセクタパターンでパケット信号を受信する。
状態S105でビーコン信号を受信したときは、状態S106から状態S107に遷移し、状態S107において情報データを格納し、ここで、ASテーブルにおける方位角及び信号強度レベルを更新した後、状態S101に戻る。
また、状態S105でRTS信号を受信したときは、状態S108から状態S109に遷移し、状態S109において無線通信したい目的の受信無線局であるか否かをチェックし、YESであれば状態110に遷移する一方、NOであれば状態S113に遷移する。状態S110においてオムニパターンでCTS信号を送信し、状態S111においてセクタパターンでDATA信号を待機し、ここで、DATA信号を受信したときは、状態S112でセクタパターンでACK信号を送信した後、状態S101に戻る。一方、状態S111でタイムアウトしたとき、状態S101に戻る。さらに、上記状態S109でNOであるとき、状態S113においてDNAV制御テーブルにおいて制御データとして現在時刻に詳細後述する所定の通信時間を加算して計算した「時刻データ」(当該時刻までは当該方位角で無線通信が不可能であることを示す。)を記録した後、状態S101に戻る。
またさらに、状態S105でCTS信号を受信したとき、状態S114から状態S115に遷移し、ここで、無線通信したい目的の受信無線局であるか否かをチェックし、YESであれば状態S116に遷移する一方、NOであれば状態S118に遷移する。状態S116ではセクタパターンでDATA信号を送信した後、状態S117においてセクタパターンでACK信号を待機し、状態S101に戻る。また、状態S118では、DNAV制御テーブルにおいて制御データとして現在時刻に詳細後述する所定の通信時間を加算して計算した「時刻データ」(当該時刻までは当該方位角で無線通信が不可能であることを示す。)を記録した後、状態S101に戻る。
さらに、本実施形態に係る無線通信システムにおける幾つかの仮定と理論的根拠について以下に説明する。
ノード無線局のアンテナが全方向性モードで動作しているとき、信号を、例えば無指向性利得Gomniで全方向から送受信する能力を有し、アイドル状態の間、ノード無線局は全方向性の受信モードで動作する。
ノード無線局のアンテナが指向性モードで動作しているとき、ノード無線局はそのビーム(主ローブ)を、ビーム幅w及び例えばGdir(Gdir>>Gomni)の利得である特定の方向へ向けることができる。本発明者らのシミュレーションでは、ビーム幅は約60度である。
従って、所定の入力電力量に関しては、指向性アンテナを使用する送信到達距離(半径)Rdirの方が対応するオムニパターンアンテナを使用する場合の送信到達距離Romniよりはるかに大きくなる。
本発明者らは、ノード無線局Nnの隣接ノード無線局を、当該ノード無線局Nnの全方向性送信到達距離の送信サービスエリア内にあるノード無線局セットとして定義する。これらは、ノード無線局Nnから1ホップの距離にあることが仮定されている。これは、ノード無線局Nnの全方向性の送信サービスエリアの外にあるノード無線局は、それがノード無線局Nnからそのノード無線局へと形成される指向性ビームを使用すれば、ノード無線局Nnによって1ホップで到達可能なものであっても、ノード無線局Nnの隣接ノード無線局とは見なされないことを意味する。指向性データ通信の観点からすれば、これは、例えばNnであるノード無線局の例えばNmである隣接ノード無線局は必ず強力な隣接ノード無線局であることを意味する。図10に示すように、ノード無線局Nnがその隣接ノード無線局Nmに向けて指向性ビームを形成するとき、ノード無線局Nmは、そうして形成された送信サービスエリアの送信ゾーン内に完全に含まれる(図10参照。)。故に、ノード無線局Nmにおいてノード無線局Nnから受信される信号の強度は、常に、他の干渉が存在していても適切な捕捉が保証される強力なものである。従って、ノード無線局Nm又はNnの何れかの外向きの移動性に起因してノード無線局Nnからのデータパケット転送の間にノード無線局Nmのリンク接続が外れ、又はリンク接続が弱まるという可能性は極めて少ない。
これにより、非特許文献4で指摘されているような隠れ端末の問題は緩和される。ノード無線局Nnが指向性ビームによってノード無線局Nmと無線通信している図16について考える。ここでは、ノード無線局Npがノード無線局Nqとの通信を希望している。ノード無線局Npがノード無線局Nnの近傍内(送信サービスエリア内)にあれば、ノード無線局Npがノード無線局Nn及び/又はNmの方向へ指向性ビームを形成することは許されないことから、この通信は開始されない。しかしながら、ノード無線局Npがノード無線局Nnの近傍(送信サービスエリア)外にあれば、ノード無線局Npはノード無線局Nqに向けて指向性ビームを形成して通信を開始する。これは、ノード無線局Nmの受信に干渉する可能性がある。但し、ノード無線局Npとノード無線局Nmとの距離は、ノード無線局Nnとノード無線局Nmとの距離より少なくとも、オムニパターン利得Romni(全方向性レンジ)分は長いため、ノード無線局Nmにおいてノード無線局Nnから受信される信号は優勢であり、この干渉によってデータパケットが失われる可能性は些少になる。
しかしながら、この仮定の結果、より大きい送信サービスエリアの指向性ビームの使用によって、宛先無線局はオムニパターンアンテナを使用する場合より少ないホップ数で到達され得ることから、指向性アンテナを使用すれば達成され得たはずのマルチホップ効率は犠牲にされている。但し、性能評価で実証されるように、本発明者らが得ようとしているのはSDMA効率である。
図8は第1の実施形態において用いられる各ノード無線局での放射パターンの種類と無線通信プロトコルを示すタイミングチャートである。図8において、送信側のノード無線局からのトーン信号+RTS信号の送信やトーン信号+CTS信号の送信では、オムニパターンが使用される。これに対して、受信側のノード無線局におけるトーン信号+RTS信号の受信では、その開始時にオムニパターン又はセンタパターンでトーン信号を検出した後、セクタパターンを用いて360度の範囲で1回転して(回転セクタパターン)最大の信号強度を得ることができる方位角を検出して、ASテーブルに基づいた方位角に向けられたセクタパターンを使用し、当該セクタパターンを用いた通信中において適応制御のための準備処理を実行し、最後に、セクタパターン(又はオムニパターンもしくは適応制御パターンであってもよい。)を用いてRTS信号を受信することを特徴としている。
以上説明したように、第1の実施形態によれば、発信元無線局からの無線信号を検出した後、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記最大の信号強度を有する方位角に対してアンテナのビーム方向を向けて無線通信を行うように制御する。従って、発信元無線局と宛先無線局との間で1ホップで無線通信を行う無線ネットワークにおいて、従来技術に比較してオーバーヘッドを大幅に減少させて、高速で位置追跡を行うことができる。
さらに、第1の実施形態の変形例に係る無線通信制御処理の特徴について以下に説明する。図6は図2のデータベースメモリ154において格納され、第1の実施形態の変形例において用いるDNAV制御テーブルの一例を示す表であり、図9は第1の実施形態の変形例において用いられる各周辺隣接無線局(正確には、図14において、発信元無線局NSのオムニパターンのエリアである送信サービスエリア内に存在するノード無線局をいう。)での放射パターンの種類と無線通信プロトコルを示すタイミングチャートである。
まず、第1の実施形態の変形例で用いるDNAV制御テーブルの作成及び更新処理について以下に説明する。なお、可変ビームアンテナ101は30度毎にビームの方位角を設定できるセクタパターンを有するものとする。DNAV制御テーブルは、図6に示すように、設定可能な方位角毎に、制御データの欄において、「時刻データ」と「使用可能」の情報が付与されており、「時刻データ」はその時刻まで当該方位角は使用中であることを示し、すなわち、その時刻まで使用不可能であることを示している。また、「使用可能」はその方位角について無線通信は使用可能であることを示している。
まず、初期状態では、DNAV制御テーブルの制御データのすべての欄に「使用可能」の情報を挿入する。次いで、図15の状態S109又はS115においてNOであるときに、DNAV制御テーブルにおいて以下の通り制御データを記録して状態S101に戻る。
(ケース1)DNAV制御テーブルにおいて、受信したRTS信号又はCTS信号の方位角に対応する制御データの欄が「使用可能」であるとき、RTS信号又はCTS信号に含まれている通信持続時間を現在時刻に加算することにより通信終了時刻を計算し、受信したRTS信号又はCTS信号の方位角に対して当該計算した「時刻データ」を記録する。
(ケース2)DNAV制御テーブルにおいて、受信したRTS信号又はCTS信号の方位角に対応する制御データの欄が所定の「時刻データ」であるときに、RTS信号又はCTS信号に含まれている通信持続時間を現在時刻に加算することにより通信終了時刻を計算し、その計算した通信終了時刻がすでに記録済みの「時刻データ」の時刻と同じ又は早い時刻であるときは何も処理をしないが、その計算した通信終了時刻がすでに記録済みの「時刻データ」の時刻よりも遅いときは、遅い方の当該計算した通信終了時刻を当該方位角の「時刻データ」として記録する。
(ケース1)DNAV制御テーブルにおいて、受信したRTS信号又はCTS信号の方位角に対応する制御データの欄が「使用可能」であるとき、RTS信号又はCTS信号に含まれている通信持続時間を現在時刻に加算することにより通信終了時刻を計算し、受信したRTS信号又はCTS信号の方位角に対して当該計算した「時刻データ」を記録する。
(ケース2)DNAV制御テーブルにおいて、受信したRTS信号又はCTS信号の方位角に対応する制御データの欄が所定の「時刻データ」であるときに、RTS信号又はCTS信号に含まれている通信持続時間を現在時刻に加算することにより通信終了時刻を計算し、その計算した通信終了時刻がすでに記録済みの「時刻データ」の時刻と同じ又は早い時刻であるときは何も処理をしないが、その計算した通信終了時刻がすでに記録済みの「時刻データ」の時刻よりも遅いときは、遅い方の当該計算した通信終了時刻を当該方位角の「時刻データ」として記録する。
さらに、状態S101におけるアイドル状態において、DNAV制御テーブルの制御データの欄に記載の「時刻データ」の時刻が現在時刻を過ぎたときは、当該「時刻データ」を「使用可能」に変更して更新する。
すなわち、各周辺隣接無線局は、他の無線局と無線通信を開始するときに、図9に示すように、トーン信号及びRTS信号を送信し、もしくはそれに応答してトーン信号及びCTS信号を送信するときに、DNAV制御テーブルを参照して使用可能な方位角のセクタパターンのみを用いて無線通信を行う。従って、各ノード無線局は、DNAV制御テーブルを生成して使用することにより、現在進行中の無線通信を所定の方位角毎に知ることができ、この情報を用いて、他の方向への新たな無線通信を開始することができ、このとき、現在進行中の無線通信との干渉を防止できる。これにより、1ホップの無線ネットワークにおいて、SDMAのために効率的なMACプロトコルを提供できる。
本発明者らは、第1の実施形態に係る無線通信システムについて以下の通りシミュレーションを行い、以下のシミュレーション結果を得た。当該シミュレーションは、クアルネット(QualNet)3.1を使用して実行した(非特許文献12参照。)。電子制御導波器アレーアンテナ装置であるアレーアンテナ装置100のシミュレーションは、30度の方位角で離散的に回転されて360度のスパンをカバーする擬似スイッチビームアンテナの形式で行った。
ここで、MACプロトコルのシミュレーションは、上述した下記の放射パターンを用いた。
(i)シミュレーションされた電子制御導波器アレーアンテナ装置100の放射パターン(図17乃至図20において「アレーアンテナ装置100」と記す。);
(ii)クアルネットのデフォルト指向性アンテナパターン(図17乃至図20において「クアルネットのデフォルトアンテナ」と記す。);
(iii)サイドローブのない理想的な指向性アンテナパターン(図17乃至図20において「理想的な指向性アンテナ」と記す。)。
(i)シミュレーションされた電子制御導波器アレーアンテナ装置100の放射パターン(図17乃至図20において「アレーアンテナ装置100」と記す。);
(ii)クアルネットのデフォルト指向性アンテナパターン(図17乃至図20において「クアルネットのデフォルトアンテナ」と記す。);
(iii)サイドローブのない理想的な指向性アンテナパターン(図17乃至図20において「理想的な指向性アンテナ」と記す。)。
クアルネットシミュレータには、MAC層における指向性仮想搬送波検出及びクアルネットシミュレータの物理層における指向性送信を実施するために必要な変更を行った。当該シミュレーションでは、アレーアンテナ装置100のハードウェア性能を基礎として、制御パケット信号における先行トーンの持続時間を200マイクロ秒となるように選択した。
ルーティングプロトコルの影響を回避して、IEEE 802.11に規定するMACプロトコルと、本発明者らが提案する本実施形態に係るMACプロトコルとの相違を明確に示すため、ランダムに選択された単純な1ホップ無線通信を使用した。また、静的ルートを使用して、プロアクティブであれアクティブであれ、任意のルーティングプロトコルによって発生されるパケットをすべて停止させた。当該シミュレーションでは、データレート及び同時通信の数を変化させて、従来の全方向性のIEEE 802.11のMACプロトコルと、本実施形態に係るMACプロトコルとの性能を比較調査した。本発明者らが提案する本実施形態に係るMACプロトコルの調査では、本実施形態に係るMACプロトコルのロバスト性を確証するために上述のような異なるアンテナパターンを使用した。その実行に際しては、アレーアンテナ装置100をアンテナパターンの1つとして使用し、当該アレーアンテナ装置100の性能も評価した。
当該シミュレーションでは、1000m×1000mのエリア範囲に40個のノード無線局1をランダムに配置した。当該シミュレーションは2ステップで行い、まず同時通信数を10に保持してデータレートを81.92kbs(50ミリ秒間隔で送信される512バイトのデータパケット)から順次2.048Mbps(2ミリ秒間隔で送信される512バイトのデータパケット)まで上昇させ、次に、データレートを409.6kbps(10ミリ秒間隔で送信される512バイトのデータパケット)に保持して同時通信の数を4から12へ増加させた。両ステップにおいて、平均スループット及び1ホップの平均エンド・ツー・エンド遅延時間を評価した。表1は、使用されたパラメータセットを示したものである。
次いで、当該シミュレーションの結果と検討について以下に説明する。図17乃至図20において「IEEE 802.11」と表記している従来のIEEE 802.11に規定するMACプロトコルを比較用のベンチマークとして使用し、それぞれアレーアンテナ装置100と、クアルネットのデフォルトアンテナと、理想的な指向性アンテナとによって、本発明者らが提案するMACプロトコルの性能を評価した。評価は、平均スループット及び1ホップの平均エンド・ツー・エンド遅延時間である2つの基準に基づいて行った。
図17乃至図20はそれぞれ、そのシミュレーション結果を示したものである。報告されている結果のそれぞれは、異なるシードによる10回実施した平均値である。従って、完璧な結果を得るために、400を超えるシナリオをシミュレーションすることを余儀なくされ、そのそれぞれをシミュレータで5分間実施して全体的な平均結果を得た。
図17では、データレートの上昇に伴って、任意の指向性アンテナパターンを使用する本発明者らが提案するMACプロトコル(以下、E−MACのプロトコルという。)の平均スループットの方が、オムニパターンアンテナを使用するIEEE 802.11の場合より遙かに優れていることが分かる。また、図18からは、任意の指向性アンテナを使用するE−MACの1ホップの平均エンド・ツー・エンド遅延時間の性能の方が、IEEE 802.11のMACプロトコルを使用して達成されるものより遙かに優れていることが分かる。
全方向性のIEEE 802.11のMACプロトコルでは、媒体が使用中であることが分かるとバックオフ状態に入らなければならない場合がより多い。データレートが上昇すると、MACのコンテンションは増大する。但し、指向性アンテナを使用しかつ指向性仮想搬送波検出を実施すると、本実施形態に係るE−MACのプロトコルは、オムニパターンアンテナを使用する「IEEE 802.11のMACプロトコル」では生成し得ない、コンテンションがより低い環境を作り出す。従って、図17が示すように、データレートが上昇すると、E−MACのプロトコルでは平均スループットが急激に増大する。E−MACのプロトコルでは、RTS/CTSハンドシェイクが実行されると、ノード無線局は高利得で指向的にデータを送信しかつ肯定応答信号(ACK信号)を受信する。従って、受信機側でデータを、又は送信機側で肯定応答信号(ACK信号)を受信し損なう可能性は最小化される。しかしながら、IEEE 802.11のプロトコルでは、データを受信し損なう可能性はRTS/CTSの場合よりも逆に多くなる。これは、(a)データはRTS/CTSの場合と同じ利得で全方向に送信され、かつ全方向で受信される、(b)RTS/CTSに比べてデータパケットが大きく、適正に受信するためにはSINRレベルを長い時間期間にわたって高く保持する必要がある、という2つの理由による。これらの理由は、IEEE 802.11に比べてE−MACのプロトコルで平均スループットが高く、エンド・ツー・エンド遅延時間が低いことをも説明している。
MACプロトコルの性能は、指向性アンテナのパターンにも大きく依存する。従って、シミュレーションは3つの異なるタイプの指向性アンテナパターンに関して行っている。クアルネットのデフォルトアンテナは、標準的なアンテナパターンである。理想的な指向性アンテナは、サイドローブのない理想の指向性アンテナパターンである。これについては、上述した通りである。アレーアンテナ装置100を使用する平均スループットはクアルネットのデフォルトアンテナより優れ、アレーアンテナ装置100によって達成されるスループットの利得はIEEE 802.11の場合のほぼ1.8倍である。
図19では、同時通信数の増大に伴って平均スループットは、E−MACのプロトコル及びIEEE 802.11のプロトコルの両方で低減することが観察されるが、E−MACのプロトコルは平均スループットにおける大幅な利得を示している。これは、E−MACのプロトコルは隣接ノード無線局による送信を禁止せず、単に隣接ノード無線局に進行中の通信及びその方向を通知するだけであるため、隣接ノード無線局は他の方向への通信を開始できることによる。しかしながら、オムニパターンアンテナを使用するIEEE 802.11は、RTS/CTSを発行してすべての隣接ノード無線局をサイレント状態(沈黙の無言状態)に保持する。
また、同時通信数が増加すると、図19が示すように、平均エンド・ツー・エンド遅延時間(1ホップ)はIEEE 802.11のプロトコル及びE−MACのプロトコルの両方で増大するが、その増大の程度は、指向性アンテナパターンの使用に関わらずE−MACのプロトコルより「IEEE 802.11のプロトコル」の方が遙かに顕著である。同時通信の数が増大すると、追加される同時通信数分の干渉によって各通信の干渉は増加する。しかしながら、E−MACのプロトコルは、その近隣の他のノード無線局に進行中の通信を通知し、かつより大きな捕捉で指向性放射パターンを用いて送受信を行うため、他の方向からの干渉も最小限に抑えられる。このように、E−MACのプロトコルはより多くの数の同時通信を可能にするSDMA効率を活用することから、図20で観察されるようなより少ない待ち行列遅延及びより少ない1ホップの平均エンド・ツー・エンド遅延時間を得ることができる。
以上説明したように、適正なMACプロトコルの設計が可能であれば、アドホック無線ネットワークにおける指向性アンテナの使用は、システム性能を劇的に向上させることができる。指向性アンテナを使用すれば、仮想搬送波検出の指向的な設定により、媒体を最大限に利用することができる。位置追跡のオーバーヘッドを最小限に抑えることにより、MACで達成される利得は実に多大なものとなる。同時に、MACプロトコルの成功は、指向性アンテナのパターンに大きく依存する。電子制御導波器アレーアンテナ装置であるアレーアンテナ装置100を使用する場合の平均スループットは、クアルネットのデフォルトアンテナの場合より優れ、アレーアンテナ装置100によって達成されるスループットの利得はIEEE 802.11のMACプロトコルの場合のほぼ1.8倍である。
第2の実施形態.
図21は第2の実施形態に係るアドホック無線ネットワークにおけるマルチホップの無線通信制御処理を実行する各無線局の平面図である。第2の実施形態に係る無線通信システムは、第1の実施形態に係る無線通信システムに比較して、無線通信システム自体のハードウエアは同一であるが、第1の実施形態における1ホップの無線通信ルーティングに対して、図21に示すように、他のノード無線局と無線リンクを少なくとも1つをそれぞれ有するノード無線局1−1乃至1−7のうち、発信元無線局から宛先無線局まで複数ホップ、すなわちマルチホップの無線通信ルーチィングを実施するものであり、ここで、特に、各周辺隣接無線局は、他の無線局と無線通信を開始するときに、図9に示すように、トーン信号及びRTS信号を送信し、もしくはそれに応答してトーン信号及びCTS信号を送信するときに、DNAV制御テーブルを参照して使用可能な方位角のセクタパターンのみを用いて無線通信を行うことを特徴としている。具体的には、マルチホップの無線通信において、図9、図14及び図15の無線通信制御処理を実行する。
図21は第2の実施形態に係るアドホック無線ネットワークにおけるマルチホップの無線通信制御処理を実行する各無線局の平面図である。第2の実施形態に係る無線通信システムは、第1の実施形態に係る無線通信システムに比較して、無線通信システム自体のハードウエアは同一であるが、第1の実施形態における1ホップの無線通信ルーティングに対して、図21に示すように、他のノード無線局と無線リンクを少なくとも1つをそれぞれ有するノード無線局1−1乃至1−7のうち、発信元無線局から宛先無線局まで複数ホップ、すなわちマルチホップの無線通信ルーチィングを実施するものであり、ここで、特に、各周辺隣接無線局は、他の無線局と無線通信を開始するときに、図9に示すように、トーン信号及びRTS信号を送信し、もしくはそれに応答してトーン信号及びCTS信号を送信するときに、DNAV制御テーブルを参照して使用可能な方位角のセクタパターンのみを用いて無線通信を行うことを特徴としている。具体的には、マルチホップの無線通信において、図9、図14及び図15の無線通信制御処理を実行する。
本実施形態では、アドホック無線ネットワークのための方向探索方法を有する効率的な指向性MACプロトコルを提案する。この効率的な指向性MACプロトコルは、各ノード無線局1が周期的にその近傍の指向性情報を収集して、ASテーブルを形成する受信のノード無線局1に対して配向された方向探索方法を使用している。ASテーブルを基礎として、各ノード無線局1はその隣接ノード無線局の方向を知り、送受信の間の媒体アクセスを制御する。第1の実施形態の変形例に係る図9に示すように、指向性のDATA/ACKパケットは、全方向性のRTS/CTSの後に送信される。この全方向性のRTS/CTSは、ASテーブルからの方位角情報を有するDNAV(指向性ネットワーク位置ベクトル)の使用により、進行中の近傍の無線通信を妨害することなく発行することができる。また、均等化された受信機感度及び受信機しきい値の効果も調査している。
本発明者らの先の研究では、各ノード無線局は、方位角毎のSINRテーブルの保守更新を行うことにより、所定の近傍情報を動的に保持するMACプロトコル(非特許文献9参照。)を開発した。この方法では、ASテーブルを形成するために各ノード無線局が周期的に指向性ブロードキャストの形式の指向性ビーコン信号を30度間隔で連続して全方向に送信し、360度の空間全体をカバーする。これらの信号を異なる方位角で受信する複数のノード無線局は、受信した信号の最良品質を決定し、その情報をソースノード無線局へRTS/CTSハンドシェイクを有するデータパケットとして送り返す。ここで、この方法では、制御パケットに起因するオーバーヘッドが極めて高い(非特許文献9参照。)。
次いで、指向性探索方法を有する指向性MACプロトコルについて以下に説明する。本実施形態に係る指向性MACプロトコルは、基本的には、指向性探索方法としても機能する「受信機指向性の回転セクタを基礎とする指向性MACプロトコル」である。その隣接ノード無線局の方向を追跡するため、各ノード無線局Nnは周期的にその近傍情報を収集してASテーブルを形成する。SIGNALθ n,m(t)は、ノード無線局Nnにおいてノード無線局Nmからノード無線局Nnに対する方位角θで受信され、かつノード無線局Nnにより任意の時間ポイントtで検出された信号の最大強度である。ASテーブルに基づいて、ノード無線局Nnはノード無線局Nmの方向を知り、送受信の間の媒体アクセスを制御する。この場合、各ノード無線局は無為に全方向性検出モードで待機する。これは、しきい値を超える何らかの信号を検出する度に回転セクタ受信モードに入り、その指向性アンテナを連続的に全方向へ30度間隔で回転させて各方向で連続する指向性受信の形式で360度の空間全体をカバーし、受信される信号を各方向で検出する。回転が一周すると、最大の受信信号強度によって、信号を受信する最良の可能方向を決定する。次いで、そのビームをその方向に設定し、信号を受信する。但し、受信機が受信された信号を復号できるようにするため、各制御パケットは、受信機の回転性の受信ビームが360度回転する時間が当該トーンの持続時間よりわずかに短い(本発明者らのケースでは、200マイクロ秒)持続時間を有する先行トーン信号を伴って送信される。任意の制御パケットの前に送信されるこのトーンの目的は、受信機が信号受信の最良可能方向を追跡できるようにすることにある。当該ビームがその方向へ設定されると、トーン信号の目的は果たされ、続いて制御パケットが送信される。各ノード無線局は周期的に全方向性ビーコンを送信し、ビーコン信号を受信する側のその隣接ノード無線局はこれを復号化してASテーブルにエントリする。この場合、RTS/CTS信号は先行トーン信号を伴って送信されかつビーコン信号としても機能する発信元無線局アドレスを包含するため、高いトラフィックでのビーコン送信のオーバーヘッドが最小化される。
ノード無線局Nnは、例えばノード無線局Njとのデータ通信の開始を希望するとき、無線媒体をチェックし、フリー(未使用)であれば、ノード無線局Nnは全方向性RTS信号を送信して発行する。RTS信号を受信した目的の受信ノード無線局Njは、全方向性CTS信号を送信して発行する。この場合のRTS/CTSの目的は、オムニパターンアンテナの場合がそうであるようなノード無線局Nn及びNjの隣接ノード無線局による送信又は受信を禁止することではなく、ノード無線局Njがノード無線局Nnからデータを受信しつつあることをノード無線局Nj及びNnの隣接ノード無線局に知らせることにある。これはまた、通信のおおよその持続時間も特定することができる。ノード無線局Nn及びNjのすべての隣接ノード無線局は、そのDNAVをノード無線局Nn及びNjに向けて設定することにより、ノード無線局Nn及びNj間の通信を追跡する。こうして、ノード無線局Nn及びNjの近傍における隣接ノード無線局は、ノード無線局Nn及びNj間の現行通信を妨害することなく他の方向で通信を開始することができる。次いで、発信元無線局及び宛先無線局はデータ及び肯定応答信号(ACK信号)をセクタパターンを用いて指向的に送信し、それぞれ指向性受信モードで肯定応答信号(ACK信号)及びデータ信号を待つ。
以上説明したように、本実施形態によれば、マルチホップの無線通信を行う無線ネットワークにおいて、他の無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行う無線局でないときに、当該無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線通信を行うことを禁止する。従って、例えばITSなどの無線通信システムにおいて、すべてのノード無線局が1つの線上に位置するトポロジーの下では、指向性のRTS/CTSは発信元無線局による通信の意向を宛先無線局の反対方向へ知らせることが可能であり、隠れたノード無線局から多くのパケットが送信されることはない。従って、シミュレーション結果を参照して詳細後述するように、ホップ数が増加してもスループットとエンド・ツー・エンド遅延時間を従来技術に比較して改善できる。
図29は全方向性の無線通信を示しており、ノード無線局NAは送信エリアAt1を有し、ノード無線局NBは受信機感度で決定される受信エリアAr1を有している。また、ノード無線局NAは受信機しきい値で決定される搬送波検出エリアAc1を有しており、一般に、Ac1>At1である。さらに、図30は第2の実施形態に係る指向性の無線通信を示している。IEEE802.11の規定によれば、搬送波検出エリアAc1内に存在するノード無線局は、ノード無線局NA,NB間の無線通信が進行中はアイドル状態のままでいなければならない。オムニパターンアンテナを使用する場合、搬送波検出エリアAc1内の任意のノード無線局、例えばノード無線局NCがノード無線局NA,NB間の無線通信の進行中に通信を開始すれば、ノード無線局NBは全方向的な受信状態にあることから、ノード無線局NBで干渉が発生するため、これは必要である。しかしながら、本実施形態に係る図30に示すように、指向性アンテナを使用すれば、ノード無線局NBはそのセクタパターンで決まる受信エリアAr2をノード無線局NAに向けて回転させ、他の全方向にはヌルを形成することが可能であり、他の方向からの干渉の機会が最小限に抑えられる。この場合、ノード無線局NCが無線通信を開始しても、ノード無線局NCの無線信号がノード無線局NBにおいて干渉を発生させることはない。
ここで、上記各無線局はセクタパターンを用いて無線送信し、上記各無線局においてそれぞれ互いに、図30に示すように、受信機感度(受信機において変調された無線信号を実質的に誤り無く復調することができる受信信号レベルをいう。)と受信機しきい値(受信機において無線信号の有無を判断するときの信号レベルのしきい値をいう。)とを実質的に等しく設定することが好ましい。従って、指向性のセクタパターンのアンテナを使用する場合、受信機感度と受信機しきい値とを等しくすることによって、図22のごとく、2つの無線リンクで同時に無線通信を行うことができる。また、SDMA効率を大幅に向上させることができる。それ故、ノード無線局は、当該ノード無線局によって受信されかつ復号化される可能性を有する無線信号のみによってサイレント状態にされる。
本発明者らは、第2の実施形態に係る無線通信システムについて以下のようにシミュレーションを行い、以下の結果を得た。ここで、クアルネット3.1(非特許文献12参照。)を使用し、ストリングトポロジーにおいて、「E−MAC」と称する本発明者らが提案しているMACプロトコルと、「IEEE802.11(全方向性)」と称する全方向性IEEE802.11と、「D−MAC」と称する従来型の指向性MACプロトコルとの比較評価を行った。また、D−MACでは、RTS、CTS、DATA及びACKパケットを指向性パターンであるセクタパターンを用いて送信する。無線通信していない静止したノード無線局は、距離300mで分離される。1024バイトのCBRパケットは、2Mbpsを超えるデータ速度で5.4ミリ秒間隔で送信される。RTS/CTS/ビーコン信号における先行トーン信号の持続時間は200マイクロ秒である。
まず、指向性利得が全方向性利得と等しい理想のケースでの評価を行った。図23及び24における結果は、E−MACがD−MACより遙かに性能が良く、かつその性能はIEEE802.11(全方向性)のそれに匹敵することを示している。非特許文献4において指摘されているような隠れ端末及び難聴問題により、D−MACはストリングトポロジーでは性能が低い。しかしながら、E−MACは、ホップ数が増えればIEEE802.11(全方向性)より性能が良い。しかし、現実的には、アンテナの指向性利得は全方向性利得より大きい。従って、本発明者らは、全方向性利得より大きい5.4dBiの指向性利得を有するE−MACについて評価した。IEEE802.11の場合と同様に、受信機感度(RS)は受信機しきい値(RT)より低く保持されている。グラフ「E−MAC(RS<RT)」は、アンテナの利得が等しくなくてもE−MACの性能は低下しないことを示している。
図29及び図30を参照して説明したように、IEEE802.11の規格に係るMACプロトコルによれば、ノード無線局NA,NB間の無線通信の進行中、搬送波検出エリアAc1内のノード無線局は無為に存在しているしかない。搬送波検出エリアAc1内の例えばノード無線局NCである任意のノード無線局がノード無線局NA,NB間の無線通信の進行中に無線通信を開始すれば、ノード無線局NBは全方向的に受信しているためにノード無線局NBにおいて干渉が発生することから、オムニパターンアンテナを使用することが必要である。しかしながら、指向性アンテナを使用すれば、ノード無線局NBはそのセクタパターンをノード無線局NAの方へ回転することが可能であって、他のすべての方向へはヌルが形成され、よって他の方向からの干渉の機会は最小限に抑えられる。これで、ノード無線局NCが無線通信を開始しても、ノード無線局NCからの無線信号はノード無線局NBにおいて干渉を発生させることはできない。従って、指向性アンテナを使用し、受信機感度と受信機しきい値とを実質的に等しくすることにより、SDMAの効率を向上させることができる。それ故、ノード無線局は、そのノード無線局によって受信されかつ復号化される信号強度を有する無線信号によってのみ沈黙状態に保持される。
図25及び図26では、「E−MAC(RS=RT)」のグラフが、ストリングトポロジーにおけるE−MACの利得の向上を示し、これは「IEEE802.11(全方向性)」の場合のほぼ2倍である。E−MACはまた、図27及び図28から明らかなように、取得される最大利得が「IEEE802.11(全方向性)」の場合のほぼ4倍であるパラレルトポロジーでも「IEEE802.11(全方向性)」の性能を凌いでいる。
以上説明したように、本実施形態によれば、受信機指向性の方向探索方法を用いて、方向情報を保持することが可能であり、かつDNAVを有する全方向性RTS/CTSが露出端末問題及び隠れ端末問題に有効である、効果的な指向性MACプロトコルを提示している。受信機感度と受信機しきい値とを等しくした場合の組合せでは、従来技術の全方向性IEEE802.11に比較して、スループットはストリングトポロジーで2倍、パラレルトポロジーで4倍の向上が可能である。
A0…励振素子、
A1乃至A6…非励振素子、
NS…発信元無線局、
ND…宛先無線局、
NX,NY…隣接無線局、
1,1−1乃至1−9,1−i,1−j,1−k,Ns,Nr,Nn,Nm,Np,Nq,NA,NB,NC…ノード無線局、
1L…低雑音増幅器(LNA)、
2…ダウンコンバータ、
3…A/D変換器、
4…復調器、
5…給電用同軸ケーブル、
6…サーキュレータ、
7…無線送信機、
11…接地導体、
12−1乃至12−6…可変リアクタンス素子、
20…適応制御型コントローラ、
21…学習シーケンス信号発生器、
100…アレーアンテナ装置。
101…可変ビームアンテナ、
102…サーキュレータ、
103…指向制御部、
104…パケット送受信部、
105…トラヒックモニタ部、
106…回線制御部、
107…上位レイヤ処理装置、
130…パケット受信部、
131…高周波受信機、
132…復調器、
133…受信バッファメモリ、
140…パケット送信部、
141…送信タイミング制御部、
142…送信バッファメモリ、
143…変調器、
144…高周波送信機、
151…管理制御部、
152…検索エンジン、
153…更新エンジン、
154…データベースメモリ、
155…クロック回路、
160…拡散符号発生器。
A1乃至A6…非励振素子、
NS…発信元無線局、
ND…宛先無線局、
NX,NY…隣接無線局、
1,1−1乃至1−9,1−i,1−j,1−k,Ns,Nr,Nn,Nm,Np,Nq,NA,NB,NC…ノード無線局、
1L…低雑音増幅器(LNA)、
2…ダウンコンバータ、
3…A/D変換器、
4…復調器、
5…給電用同軸ケーブル、
6…サーキュレータ、
7…無線送信機、
11…接地導体、
12−1乃至12−6…可変リアクタンス素子、
20…適応制御型コントローラ、
21…学習シーケンス信号発生器、
100…アレーアンテナ装置。
101…可変ビームアンテナ、
102…サーキュレータ、
103…指向制御部、
104…パケット送受信部、
105…トラヒックモニタ部、
106…回線制御部、
107…上位レイヤ処理装置、
130…パケット受信部、
131…高周波受信機、
132…復調器、
133…受信バッファメモリ、
140…パケット送信部、
141…送信タイミング制御部、
142…送信バッファメモリ、
143…変調器、
144…高周波送信機、
151…管理制御部、
152…検索エンジン、
153…更新エンジン、
154…データベースメモリ、
155…クロック回路、
160…拡散符号発生器。
Claims (12)
- それぞれ所定のビーム幅を有するセクタパターンを少なくとも有するアンテナをそれぞれ含む複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御方法において、
発信元無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記最大の信号強度を有する方位角に対してアンテナのビーム方向を向けて無線通信を行うように制御するステップを含むことを特徴とする無線ネットワークのための制御方法。 - 上記発信元無線局からの無線信号の検出は、オムニパターン又はセクタパターンを用いて実行することを特徴とする請求項1記載の無線ネットワークの制御方法。
- それぞれ所定のビーム幅を有するセクタパターンを少なくとも有するアンテナをそれぞれ含む複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御方法において、
他の無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行う無線局でないときに、当該無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線通信を行うことを禁止するステップを含むことを特徴とする無線ネットワークの制御方法。 - 他の無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行う無線局でないときに、当該無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線通信を行うことを禁止するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1又は2記載の無線ネットワークの制御方法。
- それぞれ所定のビーム幅を有するセクタパターンと無指向性のビームパターンの双方のビームを形成できるアンテナをそれぞれ含む複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御方法であって、
送信元からの通信開始制御信号(RTS:Request To Send)、及び受信元からの通信受付信号(CTS:Clear To Send)を双方ともに無指向性アンテナで送信し、データ信号(DATA)と受信完了通知信号(ACK:Acknowledge)を指向性で送信するステップをさらに含むことを特徴とする請求項4記載の無線ネットワークの制御方法。 - 上記アンテナは、無線信号を送受信するための励振素子と、上記励振素子を中心として互いに等角度で離間されかつ上記励振素子から所定の間隔だけ離間されて設けられた複数の非励振素子と、上記複数の非励振素子にそれぞれ接続された複数の可変リアクタンス素子とを備え、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、上記複数の非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させることにより指向特性が変化するアレーアンテナであることを特徴とする請求項1乃至5のうちのいずれか1つに記載の無線ネットワークのための制御方法。
- それぞれ所定のビーム幅を有するセクタパターンを少なくとも有するアンテナをそれぞれ含む複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御装置において、
発信元無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記最大の信号強度を有する方位角に対してアンテナのビーム方向を向けて無線通信を行うように制御する手段を備えたことを特徴とする無線ネットワークのための制御装置。 - 上記発信元無線局からの無線信号の検出は、オムニパターン又はセクタパターンを用いて実行することを特徴とする請求項7記載の無線ネットワークの制御装置。
- それぞれ所定のビーム幅を有するセクタパターンを少なくとも有するアンテナをそれぞれ含む複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御装置において、
他の無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行う無線局でないときに、当該無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線通信を行うことを禁止する手段を備えたことを特徴とする無線ネットワークの制御装置。 - 他の無線局からの無線信号を検出し、セクタパターンを用いてすべての方位角にわたってアンテナのビーム方向を回転して最大の信号強度を有する方位角を探索した後、上記検出した無線信号が無線通信を行う無線局でないときに、当該無線局の方位角に対するセクタパターンを用いて無線通信を行うことを禁止する手段をさらに備えたことを特徴とする請求項7又は8記載の無線ネットワークの制御装置。
- それぞれ所定のビーム幅を有するセクタパターンと無指向性のビームパターンの双方のビームを形成できるアンテナをそれぞれ含む複数の無線局を備え、各無線局間で無線通信を行う無線ネットワークのための制御装置であって、
送信元からの通信開始制御信号(RTS:Request To Send)、及び受信元からの通信受付信号(CTS:Clear To Send)を双方ともに無指向性アンテナで送信し、データ信号(DATA)と受信完了通知信号(ACK:Acknowledge)を指向性で送信する手段をさらに備えたことを特徴とする請求項10記載の無線ネットワークの制御装置。 - 上記アンテナは、無線信号を送受信するための励振素子と、上記励振素子を中心として互いに等角度で離間されかつ上記励振素子から所定の間隔だけ離間されて設けられた複数の非励振素子と、上記複数の非励振素子にそれぞれ接続された複数の可変リアクタンス素子とを備え、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、上記複数の非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させることにより指向特性が変化するアレーアンテナであることを特徴とする請求項7乃至11のうちのいずれか1つに記載の無線ネットワークのための制御装置。
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