JP2005051284A - 音波発生器、ならびにそれを用いたスピーカ、ヘッドホンおよびイヤホン - Google Patents

音波発生器、ならびにそれを用いたスピーカ、ヘッドホンおよびイヤホン Download PDF

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Abstract

【課題】強磁場下においてもノイズがない音波圧力を発生することができる音波発生器を提供する。
【解決手段】音波信号20としての光信号22が照射されて光信号22に対応して発熱する発熱体2Aと、発熱体2Aの表面に接して配置され、この表面の近傍がその発熱により沸騰する沸騰媒質3Aと、この沸騰媒質3Aに接して配置され、その沸騰の圧力が伝達されて音波信号20に対応する音波圧力23を生じる膜状の振動部材とを具備する音波発生器200である。外部磁場に影響を受けず安定した音波圧力23を発生することができ、大きな音波圧力23を得ることができる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オーディオのスピーカ等に使用される、音波信号を音波圧力に変換する音波発生器に関するものであり、特に光信号により音波信号を供給する音波発生器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、音波発生器として例えばオーディオのスピーカ,ヘッドホン,イヤホンが用いられている。従来のスピーカは、例えば固定された環状の永久磁石と、この永久磁石の内周部に設置された可動式の電磁コイルと、この電磁コイルに接した振動体とにより構成されている。このような構成を採るスピーカは、音波信号としての電気信号に応じて永久磁石に対する電磁コイルの相対的位置が変動することにより、電磁コイルに接した振動体が振動し、空気振動を発生させることで、電気信号を機械的信号に変換して、音波信号に応じた音波圧力を発生させる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このようなスピーカは、永久磁石の作り出す磁場と電磁コイルとの相対的作用を利用する。従って、強磁場中においてはスピーカ外部の磁場がスピーカ内部の磁場を乱してしまうため、音波信号としての電気信号に対応した音波圧力を発生できなくなる。このため、強磁場を用いる装置、例えば、発電所における発電機やMRIに代表される医療装置の近傍にて使用することは困難である。
【0004】
そこで、永久磁石を使用しないスピーカとして、交流電流によるジュール加熱を利用するスピーカが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。これは、抵抗体を交流電流で加熱し、抵抗体が発生する熱によって周辺の空気を加熱し、空気を膨張・収縮させることにより音波圧力を発生させるものである。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−116197号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2002−186097号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、永久磁石と電磁コイルとを具備するスピーカはもとより交流電流によるジュール加熱を利用するスピーカにおいても、音波信号は電気信号として供給される。このため、音波信号は導電性を有する伝送線、例えば銅線によって離れた場所から音波発生部へ伝送されるが、銅線自体は外部磁場と音波信号としての電気信号との相互作用におけるループコイルとして働き、音波信号としての電気信号にノイズを発生させてしまうという問題点があった。
【0008】
また、交流電流によるジュール加熱を利用するスピーカでは、熱の発生から放熱までに要する時間が発生させる音波の周波数上限を制限する、という問題点があった。即ち、このスピーカの場合、電流を流して抵抗体を加熱することにより抵抗体の周辺の空気を加熱して膨張させた後、電流を流さない間に迅速に抵抗体および抵抗体の周辺の空気の熱を放散させて空気を収縮させなければならない。しかしながら、抵抗体は交流電流により全面にわたって加熱されるため、その全面および周辺の空気が放熱するためには時間を要するので、加熱・放熱のサイクルを極めて短い時間で繰り返さなければならない高周波領域においては音波発生が困難である、という問題点がある。
【0009】
これに対し、放熱時間を短くするために抵抗体の面積を小さくすると、充分な音波圧力を得られずスピーカとして用いる場合に充分に機能しなくなる、という問題点がある。
【0010】
本発明は上記のような従来の技術の問題点を解決するために案出されたものであり、その目的は、強磁場の環境下においても音波信号に対応したノイズのない音波圧力を発生することができ、かつ高周波領域の音波の発生も可能な音波発生器を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の音波発生器は、音波信号としての光信号を発熱体に照射して、前記光信号に対応して前記発熱体を発熱させることにより、前記発熱体の表面に前記音波信号に対応する音波圧力を生じることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第2の音波発生器は、音波信号としての信号が入力されて前記信号に対応して発熱する発熱体と、この発熱体の表面に接して配置され、前記表面の近傍がその発熱により沸騰する沸騰媒質と、この沸騰媒質に接して配置され、その沸騰の圧力が伝達されて前記音波信号に対応する音波圧力を生じる膜状の振動部材とを具備することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の第2の音波発生器は、上記構成において、前記信号の入力が、光信号の前記発熱体への照射によることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の第1および第2の音波発生器は、上記各構成において、前記光信号を前記発熱体に集光するための集光部材を有することを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の第1および第2の音波発生器は、上記各構成において、前記光信号が光伝送路を介して前記発熱体に照射されることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の第2の音波発生器は、上記構成において、前記沸騰媒質が大気圧より低い圧力に保持されていることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の第3の音波発生器は、音波信号としての光信号を透過させる透光性部材と、この透光性部材に接して配置され、前記光信号を吸収して発熱することにより局所的に沸騰する光吸収性沸騰媒質と、この光吸収性沸騰媒質に接して配置され、その沸騰の圧力が伝達されて前記音波信号に対応する音波圧力を生じる膜状の振動部材とを具備することを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の第3の音波発生器は、上記構成において、前記光信号を前記光吸収性沸騰媒質に集光するための集光部材を有することを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の第3の音波発生器は、上記構成において、前記光信号が光伝送路を介して前記光吸収性沸騰媒質に照射されることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の第3の音波発生器は、上記構成において、前記光吸収性沸騰媒質が大気圧より低い圧力に保持されていることを特徴とするものである。
【0021】
本発明のスピーカは、キャビネットまたはホーンに本発明の第1乃至第3のいずれかの音波発生器が取り付けられて成ることを特徴とするものである。
【0022】
本発明のヘッドホンは、耳に装着されるハウジングに本発明の第1乃至第3のいずれかの音波発生器が取り付けられて成ることを特徴とするものである。
【0023】
本発明のイヤホンは、耳孔に装着される筒状部材に本発明の第1乃至第3のいずれかの音波発生器が接続されて成ることを特徴とするものである。
【0024】
本発明の第1の音波発生器によれば、音波信号としての光信号を発熱体に照射して、前記光信号に対応して前記発熱体を発熱させることにより、前記発熱体の表面に前記音波信号に対応する音波圧力を生じさせるものであることから、永久磁石のような磁場の影響を受ける部材を使用しないため、強磁場中においても、音波信号としての光信号に対応した音波圧力を安定して発生させることが可能である。
【0025】
また、音波信号を変換した光信号を発熱体へ照射するので、電気信号を用いる場合の銅線のような磁場の影響を受ける部材が不要であり、銅線がアンテナとして働いて、音波信号としての電気信号にノイズが入るという不具合が生じないため、音波信号にノイズが発生することがない。従って、周辺の磁場環境に左右されない性能の良い音波発生器を構成することが可能となる。
【0026】
本発明の第2の音波発生器によれば、音波信号としての信号が入力されて前記信号に対応して発熱する発熱体と、この発熱体に接して配置され、前記表面の近傍がその発熱により沸騰する沸騰媒質と、この沸騰媒質に接して配置され、その沸騰の圧力が伝達されて前記音波信号に対応する音波圧力を生じる膜状の振動部材とを具備することから、音波圧力の発生に永久磁石等を用いていないため、外部磁場に影響を受けず、強磁場中においても音波信号に対応した音波圧力を安定して発生することができる。また、沸騰媒質は加熱され沸騰することにより液体から気体へ変化して振動部材に大きな圧力を伝達するので、振動部材を大きく変位させることができ、充分大きな音波圧力を得ることができる。
【0027】
また、本発明の第2の音波発生器においては、信号の入力を光信号により行なうことが好ましい。本発明の第1の音波発生器と同様に光信号を用いることにより、ノイズがない音波信号としての光信号を伝送することができ、安定した音波圧力を生じることができる。
【0028】
また、本発明の第1および第2の音波発生器においては、光信号を発熱体に集光するための集光部材を有することが好ましい。集光部材により、光信号を例えば光の波長程度まで絞って発熱体および沸騰媒質を局所的に加熱することが可能となる。その結果、発熱体および沸騰媒質の発熱部をごく一部とすることができるため、効率的に熱を放出することができる。従って、迅速な発熱と放出の繰り返しが求められる高周波領域においても音波信号に即した音波圧力を発生することができる。さらに、集光部材を用いることにより、必要な発熱体の大きさも小さくすることができるので、音波発生器を小型化することができる。
【0029】
また、本発明の第1および第2の音波発生器においては、光信号が光伝送路を介して前記発熱体に照射されることが好ましい。光伝送路により、光信号の伝送方向を自由に制御できるため、音波信号としての光信号源と音波発生器とが直線で結ばれる位置に無い場合でも、両者を自由な位置関係として光信号を伝送し、動作させることができるものとなる。また、音波信号としての光信号を長距離にわたり低損失で伝送することができるので、光信号が光伝送路を介して発熱体に照射されるものとすることにより、音波信号としての光信号源と音波発生器との距離を自由に設定することができ、両者が遠く離れた場所に配置されている場合においても、安定した音波圧力を生じることができる音波発生器となる。
【0030】
また、本発明の第2の音波発生器によれば、沸騰媒質が大気圧に比べ低い圧力で保持されているものとしたときは、沸騰媒質の沸点が降下することにより、沸騰媒質を沸騰させるために必要なエネルギーが少なくなる一方、沸騰による体積膨張が発生し、十分な音波圧力を発生することができる。従って、前記光信号の出力が小さくても音波信号に基づいた十分な音波圧力を得ることができるものとなる。
【0031】
本発明の第3の音波発生器によれば、音波信号としての光信号を透過する透光性部材と、この透光性部材に接して配置され、光信号を吸収して発熱することにより局所的に沸騰する光吸収性沸騰媒質と、この光吸収性沸騰媒質に接して配置され、沸騰により発生した圧力が伝送され、音波信号に対応する音波圧力を発生させる振動部材とを具備していることから、音波圧力の発生源として発熱体を用いる必要がなくなるので、本発明の第2の音波発生器に比べて構成を簡易なものとすることができる。
【0032】
また、本発明の第3の音波発生器によれば、光信号を集光する集光部材を設けることにより、本発明の第1および第2の音波発生器の場合と同様に、高周波領域の音波圧力の発生に対応可能であり、加えて音波発生器を小型化することができるものとなる。
【0033】
また、本発明の第3の音波発生器によれば、光信号が光伝送路を介して光吸収性沸騰媒質に照射されるものとしたときには、本発明の第1および第2の音波発生器の場合と同様に、音波信号としての光信号源と音波発生器とを自由な位置関係として光信号を伝送し、動作させることができるものとなる。また、音波信号としての光信号源と音波発生器との距離を自由に設定することができ、両者が遠く離れた場所に配置されている場合においても、安定した音波圧力を生じることができるものとなる。
【0034】
また、本発明の第3の音波発生器によれば、光吸収性沸騰媒質を大気圧より低い圧力に保持されているものとすることにより、本発明第2の音波発生器の場合と同様に、光信号の出力が小さくても十分な音波信号に基づいた音波圧力を得ることができるものとなる。
【0035】
本発明のスピーカによれば、本発明の第1乃至第3のいずれかの音波発生器をキャビネットまたはホーンに取り付けて成ることにより、十分な音量を得ることができ、かつ上記のような本発明の第1乃至第3の音波発生器の特性を備えたスピーカとして使用できる。
【0036】
また、本発明のヘッドホンによれば、本発明の第1乃至第3のいずれかの音波発生器を耳に装着されるハウジングに取り付けて成ることにより、上記のような本発明の第1乃至第3の音波発生器の特性を備えたヘッドホンとして使用できる。
【0037】
さらに、本発明のイヤホンによれば、本発明に第1乃至第3のいずれかの音波発生器を耳孔内に装着させる筒状部材に取り付けて成ることにより、上記のような本発明の第1乃至第3の音波発生器の特性を備えたイヤホンとして使用できる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の音波発生器について詳細に説明する。
【0039】
図1は本発明の第1の音波発生器の実施の形態の一例を示す断面図である。図1において、本発明の第1の音波発生器100は発熱体2を備える。発熱体2は例えばAu,Fe,Al,Cu等の光を吸収して発熱する光吸収体であり、かつ熱の良導体で形成され、その形状に制約はない。
【0040】
次に、音波発生器100の動作を説明する。音波信号20がレーザ装置21により電気光変換され、光信号22として発熱体2に照射される。発熱体2は音波信号としての光信号22に応じて発熱する。この時、発熱体2の光信号照射面と発熱体2の表面近傍の空気との間で効率的に熱交換が行なわれ、空気を圧縮・膨張させて音波圧力が発生する。発熱体2には熱の良導体を用いているので、発熱体2における発熱および放熱は迅速に行なわれる。
【0041】
発熱体2は、伝送される光信号22の照射面積以上の面積を有していれば、その大きさおよび形状に制約はない。例えば、正方形状,円形状,矩形状,板状,球形状,ブロック状等、自由に設計可能である。
【0042】
この音波発生器100においては、発熱体2の一部および全面を薄く形成し、その部位に光信号22を照射することで、音波圧力を光信号22照射面の表面に加え、光信号照射面の背面においても音波信号に応じた音波圧力を発生させることができる。発熱体2を薄く形成する部位は、伝送される光信号22の照射面積以上の面積に渡り、その厚みを好ましくは1μmから100μmとする。このような厚みとするのは、光信号22による発熱体2の焼失を防ぎ、かつ光信号22の照射面の背面側の表面近傍の空気へ良好に熱伝導させるためである。
【0043】
本発明の第1の音波発生器100に用いる光信号22について特に制限はなく、光ピックアップ,光通信用レーザや、加工装置にて使用されるYAGレーザやCOレーザ、最近実用化されつつある青紫半導体レーザや紫外半導体レーザ、一般的に使用されるアルゴンレーザやヘリウムカドミウムレーザなどの、高い出力を持つレーザ等が使用可能である。特に、加工装置用に使用される赤外の波長を持つ光源は、様々な材料において吸収・発熱が良いため好適に使用することができる。また、充分に出力を上げることにより、レーザ以外にもLED等の利用も可能であり、LEDを用いる場合には、レーザに比べ簡易な駆動方法により音波発生器を構成することが可能となる。
【0044】
次に、図2は本発明の第2の音波発生器の実施の形態の一例を示す断面図である。
【0045】
この本発明の第2の音波発生器200は、2箇所の開口部1a,1bを有する中空のケース1Aと、このケース1Aの第1の開口部1aを塞ぐ発熱体2Aと、この発熱体2Aに接しケース1Aの中空部に充填された沸騰媒質3と、この沸騰媒質3に接しケース1Aの第2の開口部1bを封止する振動部材4Aとを備えるものである。また、この例においては、光ファイバ等からなる光伝送路10と、光伝送路10と発熱体2Aとの間に設置された集光レンズ5とを備えている。
【0046】
ケース1Aは、例えば一辺または直径が1〜3mmの立方体状または円筒形状である。第1の開口部1aは、光信号22を発熱体2Aに損失無く照射するために、その開口の大きさを光信号22が集光される大きさから集光レンズ5の大きさの範囲で設定すればよい。光信号22が集光される大きさは、例えば、光通信等で用いられる大出力のポンプレーザ(波長980nm,1480nm)の内、波長980nmのレーザをマルチモードファイバにより伝送し、倍率1倍で集光した場合であれば、集光径は直径50μm程度となる。また、集光レンズ5の大きさは、ボールレンズであれば0.8mm程度である。一方、第2の開口部1bは、振動部材4Aが沸騰媒質3から受ける圧力を振動部材4Aの表面の空気に効率良く伝達し、音波圧力を発生させるために適した大きさに設定すればよい。
【0047】
発熱体2Aは第1の開口部1a側からケース1Aの中空部を塞ぐ大きさで、好ましくは、伝送される光信号22が集光される大きさである直径1μmから100μmの大きさであることが望ましい。発熱体2Aの厚みは発熱による焼失を避けるために1μm以上必要であるが、厚すぎると発熱体2Aの熱が沸騰媒質3へ良好に熱伝達されないため、数μm〜100μm程度が好適に使用される。
【0048】
次に、本発明の第2の音波発生器200の動作について説明する。音波信号20はレーザ装置21によって電気光変換される。音波信号20は光信号22として、この例では光伝送部10を通じて伝送され、集光レンズ5により集光される。集光された光信号22は発熱体2Aへ照射され、発熱体2Aが発熱し、発生した熱が沸騰媒質3に伝達される。沸騰媒質3は発熱体2Aの表面近傍において局所的に加熱され、沸騰し気化することにより、体積膨張部30Aが生じる。この体積膨張部30Aによって振動部材4Aが変位し、周囲の空気に音波圧力23を発生させる。また、沸騰媒質3の一部が気化して生じた分の体積膨張部30Aは、ケース1Aは振動させずに振動部材4Aのみを変化させるため、指向性の強い音波発生器200を得ることができる。
【0049】
音波信号20に対応した音波圧力23を発生させるためには、光信号22の照射時における発熱体2Aの発熱による沸騰媒質3の膨張と、非照射時における発熱体2Aおよび沸騰媒質3の放熱および沸騰媒質3の放熱による体積膨張部30Aの収縮を迅速かつ充分に行なう必要がある。そのため、ケース1Aは光信号22を吸収し発熱する材質であり、かつ熱の良導体で形成される。このようなケース1Aを構成する材料としては、例えば、Au,Fe,Al,Cu等の良導体が挙げられる。発熱体2Aはそれらの良導体の一部を薄く形成することで、発熱体として機能している。このような構成を採ることにより、光信号22が照射された領域は高温になるが、その周囲は熱の放散が良好であるため、発熱体2Aおよび沸騰媒質3とケース1Aとの間の熱交換が効率的に行なわれ、沸騰媒質3を音波信号20に応じて収縮・膨張させ振動部材4Aを変位させることによって、その周辺の空気に音波圧力23を発生させる。
【0050】
また、光信号22の吸収の効率を上げるために発熱体2Aをケース1Aとは別の材料とすることも可能であり、用いる光信号22の強度および音波発生器200の用途に従ってケース1Aおよび発熱体2Aの材料を選択すれば良い。
【0051】
また、本発明の第2の音波発生器200は、レーザ光である光信号22を集光レンズ5により光の波長のサイズに集光することが好ましい。これにより、発熱体2Aの光信号22の照射部を局所的に加熱することができ、これに伴い沸騰媒質3を局所的に加熱することが可能である。この場合は、発熱体2Aおよび沸騰媒質3の加熱部分が少ないため、放熱も迅速に行なわれるので、高周波領域の音波発生に有利となる。
【0052】
光信号22には本発明の第1の音波発生器100において示した光ピックアップ,各種レーザ,LEDにより電気光変換したものが使用できる。
【0053】
光伝送路10は光信号22に合わせて選択することによって、損失無く光信号22を発熱体2Aへ伝送することが可能となる。光伝送路10の代表例としては、光ファイバが挙げられる。例えば、波長1.3μmや1.5μmの光通信用レーザによる光信号22に対しては、光伝送路10として石英ガラスファイバを使用することによって0.2dB/kmという低損失で光信号22を伝送することが可能である。また、近年、光通信において多く実用化されている980nmや1480nmといった波長の高出力なポンプレーザに対しては、光伝送路10としてマルチモードファイバを用いることにより低損失の伝送が可能である。また、短波長(波長400〜500nm)の光においては、取り扱いの容易なプラスチックファイバ(POF)によって低損失の伝送が可能であり、また、高出力のためレーザ機械加工や医療用で用いられるCOレーザ(波長10.6μm)に対しては、ガラス中空ファイバを用いることで光信号22を良好に伝送できる。
【0054】
また、光通信の技術における増幅器(EDFA(Erbium doped Fiber Amplifier)やSOA(Semiconductor optical amplifier))を光信号22の増幅に用いることで、音波信号20を増幅することが可能である。これにより長距離の音波信号伝送が可能となることに加え、光増幅器自体を音波信号アンプとして用いることができる。
【0055】
沸騰媒質3には水系のものが好適に使用されるが、発熱体2の発熱量,必要とする音圧に合わせて、アルコール等を使用することもできる。
【0056】
振動部材4Aには、沸騰媒質3の水分を通さず、ヤング率の低いものを用いると良い。振動部材4Aが水分を通さないことより、沸騰媒質3を密閉することができるため長期間にわたり音波発生器として機能させることができる。また、振動部材4Aにヤング率の低いものを用いることにより、沸騰媒質3から伝わる圧力を振動部材4Aの周辺の空気に伝えることができる。このような振動部材4Aとして、例えば、Au,Cu,Al,Fe,ステンレス,ジュラルミン等の金属薄膜やゴム,セロファン,ナイロン等の高分子材料等が使用できる。
【0057】
集光レンズ5としては、安価なボールレンズを用いることが可能である。また、非球面レンズを使用することで集光位置を調整することもできる。また、光ファイバとの親和性の良いセルフォックレンズを集光レンズ5として用いて、予め光伝送路10としての光ファイバの端末に接続しておくことにより、より簡易な構成にすることができる。なお、集光レンズ5と光伝送路10とは両者が一体化されているものとしてもよく、その場合は、さらに構成を簡易にすることができる。集光レンズ5と光伝送路10とを一体化したものとしては、例えば、レンズドファイバやTEC(Thermal Expand Core)ファイバ、GI(Graded Index)付き端末がある。
【0058】
また、図2においては、ケース1Aの2箇所の開口部1a,1bを向かい合う面に設けているが、2箇所の開口部1a,1bの配置に制限はない。従って、光信号22を照射する部位と音波圧力23が発生する部位とを自由な配置に設計することができる。
【0059】
沸騰媒質3が充填されるケース1Aの中空部の形状は、図示したような直方体状に限定されない。例えば、立方体状や円柱状、あるいはこれらの組み合わせ等、自由に設計可能である。
【0060】
次に、図3は本発明の第3の音波発生器の実施の形態の一例を示す断面図である。本発明の第3の音波発生器300は、2箇所に開口部1a,1bを有する中空のケース1Bと、このケース1Bの第1の開口部1aを塞ぎ、光信号22を透過させる部材である透光性部材6Aと、ケース1Bの中空部に充填された光吸収性沸騰媒質7Aと、ケース1Bの第2の開口部1bを塞ぐ振動部材4Bとを具備する。
【0061】
本発明の第3の音波発生器300の動作について説明する。光信号22は透光性部材6Aを通して光吸収性沸騰媒質7Aに直接照射される。光吸収性沸騰媒質7Aは光信号22の波長を吸収する光吸収性を有している。光信号22が照射されると、光吸収性沸騰媒質7Aはその光を吸収して直接加熱され、沸騰することにより体積膨張部30Bが発生する。そして、この光吸収性沸騰媒質7Aの圧力を受けて振動部材4Bが変位することにより、振動部材4Bの表面に音波圧力23が発生する。ケース1Bは、第1の音波発生器100におけるのと同様に、放熱性の良い良導体で形成されており、光信号22の非照射時には光吸収性沸騰媒質7Aの熱を迅速に放散させることが可能である。
【0062】
光吸収性沸騰媒質7Aとしては例えば、顔料を分散させた水溶液や染料を溶解させた水溶液、具体的には墨汁やインクジェットプリンタ等で使用されるインク等が挙げられる。また、Au,Ag,Cu等の金属から成る光吸収性材料を水に分散させたコロイド溶液を使用することもできる。
【0063】
振動部材4Bには、光信号22が強度を保ったままの状態で振動部材4Bを通過することを防いで安全性を高めるために、光吸収性を有していることが好ましい。このため、振動部材4Bには本発明の第2の音波発生器200に示した各材料の内、光信号22を吸収する材料を使用することができる。例えば、光通信等で用いられる大出力のポンプレーザ(波長980nm,1480nm)を用いた場合であれば、Au,Cu,Al,Fe,ステンレス,ジュラルミン等の金属材料を用いることができる。
【0064】
透光性部材6Aには、使用する光信号22の波長域において光を吸収しない材料から成るものを使用できる。先に例に挙げたポンプレーザであれば、光の波長は980nmまたは1480nmであるので、石英ガラスが、その波長において低損失であることより好適に使用できる。
【0065】
ケース1Bおよび光伝送路の材料には、本発明の第2の音波発生器200のケース1Aについて示した各種材料を使用することができる。ケース1Bの開口部1a,1bの位置および中空分の形状についても、本発明の第2の音波発生器200のケース1Aにおけるのと同様に自由な設計が可能である。
【0066】
次に、図4は本発明の第3の音波発生器の実施の形態の他の例を示す断面図である。本発明の第3の音波発生器400は、2箇所に開口部1a,1bを有する中空のケース1Cと、ケース1Cの第1の開口部1aを塞ぎ、光信号を透過する材料で、かつレンズ形状に形成した透光性部材6Bと、ケース1Cの第2の開口部1bを塞ぐ振動部材4Cとによって、ケース1Cの中空部に充填された光吸収性沸騰媒質7Bを封止したものである。
【0067】
この本発明の第3の音波発生器400の動作について説明する。光伝送路10としての光ファイバ10Aを介して照射される光信号22は、透光性部材6Bの通過時に集光され、光吸収性沸騰媒質7Bを局所的に加熱する。光吸収性沸騰媒質7Bの発熱部において体積膨張部30Cが発生し、その圧力が伝わり振動部材4Cが変位することにより、振動部材4Cの表面に音波圧力23が生じる。これにより、光ファイバのコア(10〜50μmφ)が細いため光ファイバとレンズと集光部との精密な位置合わせが必要である、取り扱いの難しい光ファイバ10Aの端末処理を簡易なものにすることが可能となる。
【0068】
ケース1Cには、本発明の第2の音波発生器200のケース1Aについて示した各種材料を使用することができる。
【0069】
光吸収性沸騰媒質7Bは、本発明の第3の音波発生器300における光吸収性沸騰媒質7Aと同様に光信号22を吸収する光吸収性を有し、光信号22を吸収することによって加熱され、沸騰するものである。
【0070】
振動部材4Cには、本発明の第3の音波発生器300の振動部材4Bについて示した各種材料を使用することができる。
【0071】
透光性部材6Bには、本発明の第3の音波発生器300の透光性部材6Aについて示した各種材料を使用することができる。
【0072】
光ファイバ10Aには、本発明の第2の音波発生器200の光伝送路10について示した各種材料の内、光信号22に合わせて適当な材料から成るものを使用することができる。
【0073】
ケース2Bの開口部1a,1bの位置および中空部の形状についても、本発明の第2の音波発生器200のケース1Aにおけるのと同様に自由な設計が可能である。
【0074】
次に、図5は本発明の第3の音波発生器の実施の形態のさらに他の例を示す断面図である。この本発明の第3の音波発生器500は、2箇所に開口部1a,1bを持つ中空のケース1Dと、このケース1Dの第1の開口部1aを塞ぐ透光性部材6Cと、ケース1Dの中空部に充填された光吸収性沸騰媒質7Cと、ケース1Dの第2の開口部1bを塞ぐ振動部材4Dとを備える。振動部材4Dは、加圧力40を印加し振動部材4Dに弾性変形を起こした状態で光吸収性沸騰媒質7Cを封止し、その後加圧力40を取り去ることによって振動部材4Dの復元力を発生させている。これにより光吸収性沸騰媒質7Cの圧力が低下し、光吸収性沸騰媒質7Cの沸点が低下する。このような構成により、光吸収性沸騰媒質7Cを沸騰させるために必要なエネルギーが少なくなるため、光信号の出力を小さくすることが可能である。このように光吸収性沸騰媒質7Cを大気圧より低い圧力に保持する場合は、光吸収性沸騰媒質7Cを、沸点が変化し、かつ気化しない範囲内の減圧状態とする。
【0075】
振動部材4Dは、減圧状態にある光吸収性沸騰媒質7Cをケース1D、透光性部材6Cと共に保持することができ、かつ光吸収性沸騰媒質7Cの体積膨張による圧力を外部に伝える柔軟性を持つものである。これにより、光吸収性沸騰媒質7Cを減圧状態に保ちつつ、光吸収性沸騰媒質7Cの体積膨張による圧力を外部に伝えることができる。このような振動部材4Dとしては、例えば本発明の第3の音波発生器300の振動部材4Bについて示した各種材料を使用することができる。
【0076】
なお、この本発明の第3の音波発生器500においては、光信号の照射面に透光性部材6Cを用いたが、光信号の照射面は本発明の第3の音波発生器400に示した透光性部材6Bとしてもよい。また、ケース1Dおよび光伝送路の材料については、本発明の第2の音波発生器200について示した各種材料を使うことができる。さらに、ケース1Dの開口部1a,1bの位置および中空部の形状についても、本発明の第2の音波発生器200におけるのと同様に自由な設計が可能である。
【0077】
本発明の第3の音波発生器500における、光吸収性沸騰媒質7Cを大気圧より低い圧力に保持する構成は、本発明の第2の音波発生器200についても同様に適用することができ、それにより光信号22の出力を小さくすることができる。
【0078】
次に、図6を参照して、本発明の音波発生器を用いた本発明のスピーカの実施の形態の一例について説明する。図6は本発明の第2の音波発生器200を用いた本発明のスピーカ600の実施の形態の一例を示す断面図である。
【0079】
図6に示すように、本発明のスピーカ600は、本発明の第1乃至第3の音波発生器のいずれかであり、この例では本発明の第2の音波発生器200が音響ホーン50に取り付けられて成るものである。音響ホーン50は、振動部材4Aの近傍に位置付けられる喉部50aから開口部50bに向けて音道の断面積が拡大する形状を呈している。
【0080】
本発明のスピーカ600によれば、本発明の音波発生器、この例では本発明の第2の音波発生器200を音響ホーン50に取り付けたことにより、音波圧力レベルが向上し、より大きい音波圧力を生じることができる。
【0081】
なお、本発明のスピーカ600中の音波発生部には、本発明の第1乃至第3の音波発生器100,200,300,400,500の説明で述べた各種の例を用いることが可能である。
【0082】
次に、図7を参照して、本発明のヘッドホンの実施の形態の一例について説明する。図7は本発明の第2の音波発生器200を用いた本発明のヘッドホン700の例を示す、(a)は概略構成図であり、(b)は要部拡大断面図である。
【0083】
図7に示すように、本発明のヘッドホン700は、本発明の第1乃至第3の音波発生器のいずれかであり、この例では本発明の第2の音波発生器200を2個用い、それぞれを耳に装着するためのハウジング60に取り付けて成るものである。ハウジング60は本発明の第2の音波発生器200への光伝送路としての光ファイバ10Aを通すための孔60aを有し、発熱時に一部が高温となるケース1Aおよび発熱体2Aを覆う形状となっている。本発明のヘッドホン700は、密閉型とオープン型とを問わないので、ハウジング60の大きさや形状等については各種の変形を施すことができる。
【0084】
なお、本発明のヘッドホン700中の音波発生部には、本発明の第1乃至第3の音波発生器100,200,300,400,500の説明で述べた各種の例を用いることが可能である。
【0085】
次に、図8を参照して、本発明の音波発生器を用いた本発明のイヤホンの実施の形態の一例について説明する。図8は本発明の第2の音波発生器200を用いた本発明のイヤホン800の実施の形態の一例を示す断面図である。
【0086】
図8に示すように、本発明のイヤホン800は、本発明の第1乃至第3の音波発生器のいずれかであり、この例では本発明の第2の音波発生器200が、耳孔に装着するための筒状部材70および背面カバー71に取り付けられて成るものである。筒状部材70は、振動部材4Aの近傍に位置付けられる喉部70aから耳孔差込側の開口部70bに至るまで音道が確保されている。また、筒状部材70は喉部70aから開口部70bに向けて音道の断面積が拡大する形状にすることで、音波圧力レベルを向上できる。背面カバー71は本発明の第2の音波発生器200への光伝送路としての光ファイバ10Aを通すための孔71aを有し、発熱時に一部が高温となるケース1Aおよび発熱体2Aを覆う形状となっている。
【0087】
なお、本発明のイヤホン800中の音波発生部には、本発明の第1乃至第3の音波発生器100,200,300,400,500の説明で述べた各種の例を用いることができる。
【0088】
なお、本発明の第1乃至第3の音波発生器ならびにこれを用いたスピーカ,ヘッドホンおよびイヤホンは、以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更や改良を加えることは何ら差し支えない。例えば、本発明の第1の音波発生器100において光信号22は光伝送路を介さずに伝送されているが、光ファイバを介して伝送しても良い。
【0089】
【発明の効果】
以上、説明した通り、本発明の第1の音波発生器によれば、音波信号としての光信号を発熱体に照射して、前記光信号に対応して前記発熱体を発熱させることにより、前記発熱体の表面に前記音波信号に対応する音波圧力を生じさせるものであることから、永久磁石のような磁場の影響を受ける部材を使用しないため、強磁場中においても、音波信号としての光信号に対応した音波圧力を安定して発生させることが可能である。
【0090】
また、音波信号を変換した光信号を発熱体へ照射するので、電気信号を用いる場合の銅線のような磁場の影響を受ける部材が不要であり、銅線がアンテナとして働いて、音波信号としての電気信号にノイズが入るという不具合が生じないため、音波信号にノイズが発生することがない。従って、周辺の磁場環境に左右されない性能の良い音波発生器を構成することが可能となる。
【0091】
本発明の第2の音波発生器によれば、音波信号としての信号が入力されて前記信号に対応して発熱する発熱体と、この発熱体に接して配置され、前記表面の近傍がその発熱により沸騰する沸騰媒質と、この沸騰媒質に接して配置され、その沸騰の圧力が伝達されて音波信号に対応する音波圧力を生じる膜状の振動部材とを具備することから、音波圧力の発生に永久磁石等を用いていないため、外部磁場に影響を受けず、強磁場中においても音波信号に対応した音波圧力を安定して発生することができる。また、沸騰媒質は加熱され沸騰することにより液体から気体へ変化して振動部材に大きな圧力を伝達するので、振動部材を大きく変位させることができ、充分大きな音波圧力を得ることができる。
【0092】
また、本発明の第2の音波発生器においては、信号の入力を光信号により行なうことが好ましい。本発明の第1の音波発生器と同様に光信号を用いることにより、ノイズがない音波信号としての光信号を伝送することができ、安定した音波圧力を生じることができる。
【0093】
また、本発明の第1および第2の音波発生器においては、光信号を発熱体に集光するための集光部材を有することが好ましい。集光部材により、光信号を例えば光の波長程度まで絞って発熱体および沸騰媒質を局所的に加熱することが可能となる。その結果、発熱体および沸騰媒質の発熱部をごく一部とすることができるため、効率的に熱を放出することができる。従って、迅速な発熱と放出の繰り返しが求められる高周波領域においても音波信号に即した音波圧力を発生することができる。さらに、集光部材を用いることにより、必要な発熱体の大きさも小さくすることができるので、音波発生器を小型化することができる。
【0094】
また、本発明の第1および第2の音波発生器においては、光信号が光伝送路を介して発熱体に照射されることが好ましい。光伝送路により、光信号の伝送方向を自由に制御できるため、音波信号としての光信号源と音波発生器とが直線で結ばれる位置に無い場合でも、両者を自由な位置関係として光信号を伝送し、動作させることができるものとなる。また、音波信号としての光信号を長距離にわたり低損失で伝送することができるので、光信号が光伝送路を介して発熱体に照射されるものとすることにより、音波信号としての光信号源と音波発生器との距離を自由に設定することができ、両者が遠く離れた場所に配置されている場合においても、安定した音波圧力を生じることができる音波発生器となる。
【0095】
また、本発明の第2の音波発生器によれば、沸騰媒質が大気圧に比べ低い圧力で保持されているものとしたときは、沸騰媒質の沸点が降下することにより、沸騰媒質を沸騰させるために必要なエネルギーが少なくなる一方、沸騰による体積膨張が発生し、十分な音波圧力を発生することができる。従って、光信号の出力が小さくても音波信号に基づいた十分な音波圧力を得ることができるものとなる。
【0096】
本発明の第3の音波発生器によれば、音波信号としての光信号を透過する透光性部材と、この透光性部材に接して配置され、光信号を吸収して発熱することにより局所的に沸騰する光吸収性沸騰媒質と、この光吸収性沸騰媒質に接して配置され、沸騰により発生した圧力が伝送され、音波信号に対応する音波圧力を発生させる振動部材とを具備していることから、音波圧力の発生源としての発熱体を用いる必要がなくなるので、本発明の第2の音波発生器に比べて構成を簡易なものとすることができる。
【0097】
また、本発明の第3の音波発生器によれば、光信号を集光する集光部材を設けることにより、本発明の第1および第2の音波発生器の場合と同様に、高周波領域の音波圧力の発生に対応可能であり、加えて音波発生器を小型化することができるものとなる。
【0098】
また、本発明の第3の音波発生器によれば、光信号が光伝送路を介して光吸収性沸騰媒質に照射されるものとしたときには、本発明の第1および第2の音波発生器の場合と同様に、音波信号としての光信号源と音波発生器とを自由な位置関係として光信号を伝送し、動作させることができるものとなる。また、音波信号としての光信号源と音波発生器との距離を自由に設定することができ、両者が遠く離れた場所に配置されている場合においても、安定した音波圧力を生じることができるものとなる。
【0099】
また、本発明の第3の音波発生器によれば、光吸収性沸騰媒質を大気圧より低い圧力に保持されているものとすることにより、本発明第2の音波発生器の場合と同様に、光信号の出力が小さくても十分な音波信号に基づいた音波圧力を得ることができるものとなる。
【0100】
本発明のスピーカによれば、本発明の第1乃至第3のいずれかの音波発生器をキャビネットまたはホーンに取り付けて成ることにより、十分な音量を得ることができ、かつ上記のような本発明の第1乃至第3の音波発生器の特性を備えたスピーカとして使用することができる。
【0101】
本発明のヘッドホンによれば、本発明の第1乃至第3のいずれかの音波発生器を耳に装着されるハウジングに取り付けて成ることにより、上記のような本発明の第1乃至第3の音波発生器の特性を備えたヘッドホンとして使用することができる。
【0102】
本発明のイヤホンによれば、本発明に第1乃至第3のいずれかの音波発生器を耳孔内に装着させる筒状部材に取り付けて成ることにより、上記のような本発明の第1乃至第3の音波発生器の特性を備えたイヤホンとして使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の音波発生器の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の第2の音波発生器の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の第3の音波発生器の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の第3の音波発生器の実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図5】本発明の第3の音波発生器の実施の形態のさらに他の例を示す断面図である。
【図6】本発明のスピーカの実施の形態の一例を示す断面図である。
【図7】本発明のヘッドホンの実施の形態の一例を示す、(a)はその概略構成図であり、(b)は要部拡大断面図である。
【図8】本発明のイヤホンの実施の形態の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
2,2A:発熱体
3:沸騰媒質
4A,4B,4C,4D:振動部材
5:レンズ
6A,6B,6C:透光性部材
7A,7B,7C:光吸収性沸騰媒質
10:光伝送路
20:音波信号
22:光信号
23:音波圧力
40:加圧力
50:音響ホーン
60:ハウジング
70:筒状部材
100,200,300,400,500:音波発生器
600:スピーカ
700:ヘッドホン
800:イヤホン

Claims (13)

  1. 音波信号としての光信号を発熱体に照射して、前記光信号に対応して前記発熱体を発熱させることにより、前記発熱体の表面に前記音波信号に対応する音波圧力を生じることを特徴とする音波発生器。
  2. 音波信号としての信号が入力されて前記信号に対応して発熱する発熱体と、該発熱体の表面に接して配置され、前記表面の近傍がその発熱により沸騰する沸騰媒質と、該沸騰媒質に接して配置され、その沸騰の圧力が伝達されて前記音波信号に対応する音波圧力を生じる膜状の振動部材とを具備することを特徴とする音波発生器。
  3. 前記信号の入力が、光信号の前記発熱体への照射によることを特徴とする請求項2記載の音波発生器。
  4. 前記光信号を前記発熱体に集光するための集光部材を有することを特徴とする請求項1または請求項3記載の音波発生器。
  5. 前記光信号が光伝送路を介して前記発熱体に照射されることを特徴とする請求項1,請求項3および請求項4のいずれかに記載の音波発生器。
  6. 前記沸騰媒質が大気圧より低い圧力に保持されていることを特徴とする請求項2または請求項3記載の音波発生器。
  7. 音波信号としての光信号を透過させる透光性部材と、該透光性部材に接して配置され、前記光信号を吸収して発熱することにより局所的に沸騰する光吸収性沸騰媒質と、該光吸収性沸騰媒質に接して配置され、その沸騰の圧力が伝達されて前記音波信号に対応する音波圧力を生じる膜状の振動部材とを具備することを特徴とする音波発生器。
  8. 前記光信号を前記光吸収性沸騰媒質に集光するための集光部材を有することを特徴とする請求項7記載の音波発生器。
  9. 前記光信号が光伝送路を介して前記光吸収性沸騰媒質に照射されることを特徴とする請求項7または請求項8記載の音波発生器。
  10. 前記光吸収性沸騰媒質が大気圧より低い圧力に保持されていることを特徴とする請求項7記載の音波発生器。
  11. キャビネットまたはホーンに請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の音波発生器が取り付けられて成ることを特徴とするスピーカ。
  12. 耳に装着されるハウジングに請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の音波発生器が取り付けられて成ることを特徴とするヘッドホン。
  13. 耳孔に装着される筒状部材に請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の音波発生器が接続されて成ることを特徴とするイヤホン。
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