JP2005050027A - 流動解析システムおよび流動解析方法 - Google Patents

流動解析システムおよび流動解析方法 Download PDF

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Tetsuzo Yamamoto
哲三 山本
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幸夫 瀧川
Takeshi Shimizu
武司 清水
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Abstract

【課題】流動解析において、個別機器の設計がシステム全体に及ぼす影響を把握し、かつ、システム全体挙動の一部分として個別機器の境界条件を適切に与える。
【解決手段】流体系全体解析モデル101と、流動スケールに応じて階層化された複数の部分流動解析モデル102とを用いて解析する流動解析システムである。全体システム挙動を解析する手段と、全体解析結果を部分解析モデルの境界条件またはモデルパラメーターとして利用し、階層化された部分解析モデルの上位のモデルによる解析結果を下位の部分解析モデルの境界条件またはモデルパラメーターとして利用して部分解析モデルによる解析を行なう手段と、下位の部分解析モデルによる解析結果に基づいて作成される物理モデルまたは相関式モデルまたは物理パラメーターを上位の部分解析モデル及び全体解析モデルに組み込む手段と、流体系全体解析モデルによる解析結果に基づいて作成される物理モデルまたは相関式モデルまたは物理パラメーターを流体系全体解析モデルに組み込む手段と、を有する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、計算機を用いた流動解析システムおよび流動解析方法に関し、特に、原子炉などの複雑流路を有する大規模流体系に適した流動解析システムおよび流動解析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の原子炉系解析では、図16に示すように管路網モデルなどの比較的計算機負荷の少ないモデルで原子炉系全体システムの挙動を解析し、個別機器性能に対する流動の影響や局所的流動状態の把握のために流動解析が用いられている。原子炉内の冷却材流動挙動は個別機器の性能のみならずシステム全体の性能にも影響を及ぼすため、システム全体に亘る流動解析が望まれるが、多数の機器から構成される複雑大規模流体系である原子炉系全体の詳細流動解析は実現していない。
【0003】
このような状況の中、複雑形状における流動解析手法が特許文献1に提案されている。特許文献1では、解析対象を微小要素に分割した集合を複数の部分集合領域に分割し、並列計算機を用いて、各部分集合領域ごとに別々の演算処理装置により時間変化に伴う流体の流動状態を計算するというものである。
【0004】
また、大規模な非定常解析を短時間に効率的に実行する方法が特許文献2に提案されている。特許文献2は、解析対象領域を複数の微小要素に分割した解析モデルを構築し、解析モデルの解析領域内に状態量の時間変化の激しい微小要素を含む領域A及び状態量の時間変化の緩やかな微小要素を含む領域Bを設定し、領域Bについては時間的な計算負荷の小さな計算手法により状態量を求めて状態量Bとし、得られた状態量Bに基づいて境界条件を設定し、領域Aについて時間的な計算負荷の大きな計算手法により求めるという方法である。
【0005】
更に、大規模システムを階層的に分解し、分散して設計(解析)を行なう方法が特許文献4に提案されている。特許文献4では、システムを複数の下位システムに分割して、下位システムを各々のコンピューターを利用してシミュレーションで個別に設計し、各コンピューターは通信装置等で接続され、設計に関する情報を送受する構成となっており、下位システムの設計をまとめる形で上位システムの設計が行なわれる。
【0006】
これに類似した技術が特許文献3に提案されている。特許文献3では、遠隔地に存在する複数のシミュレーター装置をシミュレーションプラットフォーム上に接続し、これらのシミュレーター装置を複数のグループに分割して管理、実効制御するものである。また、複数のシミュレーションプログラムを同時に実行処理する方法が特許文献5に提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−172668号公報
【特許文献2】
特開2002−157286号公報
【特許文献3】
特開平11−161630号公報
【特許文献4】
特開2002−15009号公報
【特許文献5】
特開2000−267890号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来の原子炉系解析においては、個別機器の性能評価と原子炉系全体システム挙動の評価がそれぞれ独立して行なわれる。そのため、個別機器間の境界条件に含まれる不確定性あるいは、流動解析モデルと管路網モデルのモデルの違いに起因する誤差あるいは解析できない現象の存在等が機器設計あるいはシステム設計に安全余裕を見込んだ“設計裕度”として取り込まれ、原子炉系システム全体として過度の設計裕度を生じている。
【0009】
このような過度の設計裕度を適正化し、原子炉系システムの合理化を図るためには、個別機器の設計がシステム全体に及ぼす影響を正確に把握し、なおかつ、システム全体挙動の一部分として個別機器の境界条件を適切に与える必要がある。
【0010】
これらの問題を解決するための一つの策として、原子炉系全体の詳細な流動解析モデルを作成し、一貫して解析する方法が考えられるが、複雑流路形状を有し大規模領域を対象とする原子炉系解析では計算格子数が膨大になり、計算機のメモリ容量、解析結果のデータ容量、解析時間などの観点から実現は難しい。
【0011】
従来技術の例として提示した特許文献1では複雑形状における流動解析手法が提案されている。しかしながら、これはいわゆる並列計算における一般的な領域分割法に他ならず、仮に原子炉系全体の数値流動解析モデルにこの手法を適用した場合、1つの部分集合領域の計算時間を現実的な値すなわち数日のオーダーに抑えようとすれば、部分集合領域数は10のオーダーに上る。つまり、10のオーダーの演算処理装置を並列計算させることになる。従って、特許文献1の方法では、原子炉系全体の数値流動解析を現実的な時間及び演算処理装置数で行なうことは現時点で不可能である。
【0012】
また、特許文献2では、大規模な非定常解析を短時間に効率的に実行する方法が提案されているが、これを沸騰水型原子炉系の解析に当てはめて考えた場合、沸騰水型原子炉系では二相流領域の占める割合が大きく、更に流路面積の大きな場所からその数百分の一、数千分の一の流路面積を有する複数の狭隘並列流路へ分配される部分が存在し、特許文献2の中で述べている状態量の時間変化の激しい領域Aに相当する部分の割合が非常に大きくなる。
【0013】
領域Aについては、時間的な計算負荷の大きな解析手法を用いるあるいは、時間ステップを小さく取った解析を行なうことが提案されているが、その場合、領域Aの解析時間が全体解析の中における律速となる。原子炉系全体の詳細な流動解析において、その実現を困難にしているのがまさに上述の領域Aに相当する部分の解析負荷の大きさである。しかしながら、特許文献2では、この領域Aの解析負荷自体を低減する提案は全くなされておらず、原子炉系全体の数値流動解析を実現するための手段とはなり得ない。
【0014】
一方、特許文献4では、大規模システムを階層的に分解し、分散して設計(解析)を行なう方法が提案されている。具体的には大規模機械を構成するシステムを複数の下位システムに分解し、この下位システムを更にメインシステムとそれに付随するサブシステムに分類する。サブシステムは個別に設計され、それを統合する形でメインシステムが構成されるというものである。この概念は、原子炉系全体の数値流動解析を実現する上でも参考となるものである。
【0015】
そこで、特許文献4の方法を原子炉系全体の数値流動解析に当てはめてみると、メインシステムが原子炉流動系となり、サブシステムは制御系、核特性系、流体流れ詳細となる。このサブシステムの流体流れ詳細の部分を更に、解析領域ごとにメインシステムとサブシステムに分類すると、原子炉系全体流動というメインシステムの中に炉心―上部プレナム―気水分離機流動、蒸気乾燥器―蒸気ドーム流動、原子炉水位近傍流動、給水混合部―ダウンカマ―再循環ポンプ―下部プレナム流動、などの複数のサブシステムに分かれる。
【0016】
こうしたサブシステムの流動状態は更に下位の機器レベルの流動状態に分類できる。簡単な例では、気水分離機流動は気水分離機一体を一つのサブシステムとした時、この気水分離機が数百体集まって構成している一つのメインシステムである。原子炉系流動解析では、これらの全ての階層におけるサブシステム及びメインシステム全体が、共通の流体場を介して相互に密接に関連している。
【0017】
このような相互作用をフィードバックさせずに、原子炉系を階層的に分解してそれぞれのサブシステムを個別に解析し、その結果だけをメインシステムに戻すのであれば、個別機器の性能評価と原子炉系全体システム挙動の評価がそれぞれ独立して行なわれている従来の原子炉系解析と変わるところはない。逆に、それぞれのサブシステム及びメインシステムで情報を相互にやり取りしながら詳細流動解析を進めるのであれば、それは、原子炉系全体の詳細流動解析を単に個別システムとして分散させて実行するものとなり、やはり解析時間及び収束性などの観点から実現は難しい。
【0018】
このように、上位システムの詳細流動解析が下位システムの詳細流動解析の集合体として位置付けられる限り、原子炉系全体の詳細流動解析を実用化できる時間スケール及び並列演算処理装置数で実施することは現時点で不可能である。特許文献4においても、流動解析に関するメインシステムとサブシステムの関係は特に明示されておらず、この問題に対する解決策は見出せない。
【0019】
本発明は上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、原子炉系などの大規模流動解析において、個別機器の設計がシステム全体に及ぼす影響を正確に把握し、なおかつ、システム全体挙動の一部分として個別機器の境界条件を適切に与えることのできる流動解析システムおよび流動解析方法を得ることを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的に沿うものであって、請求項1に記載の発明は、流体系全体を複数のノードに分割し、ノード間をジャンクションで接続し、該ノード内で状態量を計算し、該ジャンクションでノード間の移行量を計算する最上位の数値流動解析モデルとしての流体系全体解析モデルと、解析対象領域によって前記流体系全体を分割してかつ流動スケールに応じて階層化された複数の部分流動解析モデルとを用いて、流体系の流動を解析する流動解析システムにおいて、前記流体系全体解析モデルを用いて流体系全体のシステム挙動を解析する手段と、前記流体系全体解析モデルによる解析結果を前記複数の部分流動解析モデルの境界条件あるいはモデルパラメーターとして利用し、前記流動スケールに応じて階層化された部分流動解析モデルの上位のモデルによる解析結果をそれより下位の部分流動解析モデルの境界条件あるいはモデルパラメーターとして利用して前記複数の部分流動解析モデルによる解析を行なう手段と、下位の部分流動解析モデルを用いた解析結果に基づいて作成される物理モデルまたは相関式モデルまたは物理パラメーターを上位の部分流動解析モデル及び前記流体系全体解析モデルの一部として組み込む手段と、前記流体系全体解析モデルを用いた解析結果に基づいて作成される物理モデルまたは相関式モデルまたは物理パラメーターを前記流体系全体解析モデルの一部として組み込む手段と、を有することを特徴とする。
【0021】
また、請求項5に記載の発明は、前記流動解析システムにおいて、前記複数の部分流動解析モデルの下位に、該部分流動解析モデルに領域として内包される局所領域の局所流動解析モデルがあって、前記流体系全体解析モデルもしくは前記部分流動解析モデルの解析領域に対する最適化問題の独立変数をx1、x2、・・・xmとし、目的関数をF(x1、x2、・・・xm)とし、独立変数xmの実行可能領域をSmとし、それよりも下位の流動解析モデルの解析領域に対する最適化問題の独立変数をy1、y2、・・・ynとし、目的関数をG(y1、y2、・・・yn)とし、独立変数ynの実行可能領域をTnとするとき、該解析モデルにおいて、任意のxmおよびynは解析パラメーターとして設定自在に構成され、かつxmとynの関係を解析によって算出可能にモデル化することによって、その関係に基づいてSmとTnのいずれか一方から他方を求め、目的関数F(x1、x2、・・・xm)もしくは、目的関数G(y1、y2、・・・yn)の最適解が得られることが可能に、前記流体系全体解析モデルおよび部分流動解析モデルが構築されていること、を特徴とする。
【0022】
また、請求項10に記載の発明は、流体系全体を複数のノードに分割し、ノード間をジャンクションで接続し、該ノード内で状態量を計算し、該ジャンクションでノード間の移行量を計算する最上位の流動解析モデルとしての流体系全体解析モデルと、解析対象領域によって前記流体系全体を分割してかつ流動スケールに応じて階層化された複数の部分流動解析モデルとを用いて、流体系の流動を解析する流動解析方法において、前記流体系全体解析モデルを用いて流体系全体のシステム挙動を解析するステップと、前記流体系全体解析モデルによる解析結果を前記複数の部分流動解析モデルの境界条件あるいはモデルパラメーターとして利用し、前記流動スケールに応じて階層化された部分流動解析モデルの上位のモデルによる解析結果をそれより下位の部分流動解析モデルの境界条件あるいはモデルパラメーターとして利用して前記複数の部分流動解析モデルによる解析を行なうステップと、前記下位の部分流動解析モデルを用いた解析結果に基づいて作成される物理モデルまたは相関式モデルまたは物理パラメーターを上位の部分流動解析モデル及び前記流体系全体解析モデルの一部として組み込むステップと、前記流体系全体解析モデルを用いた解析結果に基づいて作成される物理モデルまたは相関式モデルまたは物理パラメーターを前記流体系全体解析モデルの一部として組み込むステップと、を有することを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1〜図10は本発明の大規模流動解析システムを利用して炉心への流量配分を評価する場合を例題とした、第1の実施の形態の説明図である。
解析対象である沸騰水型原子炉では、図2に示すように、原子炉圧力容器2内に複数の上向き平行流路である炉心チャンネル4が配置され、さらにこの炉心チャンネル4に平行にバイパス領域6が設けられている。各炉心チャンネル4の入口部には、炉心入口オリフィス16が配置されていて、原子炉圧力容器2の最下部に形成された下部プレナム18から冷却材が流入するようになっている。また、冷却材は、下部プレナム18では液単相であるが、炉心チャンネル4を通るときに加熱されて沸騰し、気液二相流となる。
【0024】
炉心チャンネル4およびバイパス領域6の上方には上部プレナム8が形成され、その上方に複数の気水分離器8が配置されている。気水分離器8の上方にはベッセルドーム10が形成されている。炉心チャンネル4、バイパス領域6および上部プレナム8は筒状のシュラウド12で囲まれ、シュラウド12の外側にダウンカマ14が形成されている。ダウンカマ14の底部には複数(例えば10機)の再循環ポンプ16がほぼ等間隔に配置されている。再循環ポンプ20によって、ダウンカマ14内の冷却材が下部プレナム18に圧入される。下部プレナム18には、制御棒案内管22等の管群が配置されている。
【0025】
炉心への流量配分に影響を及ぼす要因には、次のようなものがある。
(1)周方向に均等配置された10機の再循環ポンプの吐出流量
(2)下部プレナム領域での管群間隙での冷却材流動
(3)炉心支持板下部に設置されたビームによる流れの撹乱
(4)炉心入口オリフィス部での渦流の発生と圧力損失
(5)炉心部における流動と相変化による圧力損失
【0026】
これらはいずれも冷却材の流動に起因するものであるが、流動が生じている空間の規模、流速変化の時間スケールは現象毎に異なっている。本実施の形態の大規模流動解析システムは、流動の空間的、時間的なスケールに合わせて、複数の流動解析プログラム(モデル)を準備している。上述の炉心への流量配分に影響を及ぼす要因に対しては、ユーザーは大規模流動解析システムにおいて次の2つの解析プログラムを使用できる。
【0027】
(a)下部プレナム領域全体を流動解析対象とした下部プレナム流動解析プログラム
(b)燃料集合体4バンドルの炉心入口部分を流動解析対象とした炉心入口オリフィス流動解析プログラム
【0028】
下部プレナム流動解析プログラムは、ダウンカマの下端から炉心入口までの下部プレナム領域を多数の計算格子に分割し、ナビエ−ストークス方程式を解くことにより流速場を計算するものである。計算格子の大きさは、制御棒駆動機構のガイドチューブからなる管群の間の冷却材流動に基づいている。また、下部プレナム流動解析プログラムは、下部プレナムを360°にわたって計算格子化したものである。下部プレナム流動解析プログラムは10機の再循環ポンプ一台ずつに対応する10箇所の流入境界を有している。下部プレナム流動解析プログラムは、炉心入口のビームが入っている領域から燃料集合体領域までを、圧損を与えるための計算格子として有している。下部プレナム流動解析プログラムは燃料集合体の圧損を与える計算格子の上端に圧力境界を有している。
【0029】
炉心入口オリフィス流動解析プログラムは、炉心入口のビームによる流動への影響が無視できる程度に離れた下部プレナム領域から、炉心入口オリフィスを通って燃料チャンネル下端までを流動解析の対象としている。炉心入口オリフィス流動解析プログラムは、オリフィスを通る冷却材の流動に基づいて計算格子の大きさを決定している。
【0030】
炉心入口オリフィス流動解析プログラムは、下部プレナム領域の下端に流入境界を有している。炉心入口オリフィス流動解析プログラムは、燃料チャンネル下端から上部プレナム入口までの圧力損失を与えるための計算格子を有している。炉心入口オリフィス流動解析プログラムは、燃料チャンネルでの圧力損失を与えるための計算格子の上端に圧力境界を有している。
【0031】
大規模流動解析システムは、局所的な流動解析を実施するための解析プログラムの他に、プラント全体の挙動を計算するためのプラント全体解析プログラムを有している。プラント全体解析プログラムは、プラントを構成している流体の流路をノードに分割し、ノード間をジャンクションで結合したものである。ノード内では流体の圧力、温度、密度、組成は均一である。ノード内で圧力、温度、密度、組成の変化量を計算し、ジャンクションでノード間の質量及びエネルギーの移動量を計算する。更にプラント全体解析プログラムは、プラント制御系を模擬したロジックを備えている。
【0032】
大規模流動解析システムは、プラント全体解析プログラムと下部プレナム流動解析プログラムと炉心入口オリフィス流動解析プログラムとの間のデータの変換及び受け渡しを行なうインターフェースプログラムを有している。
【0033】
図3に、下部プレナム流動解析プログラム境界条件とプラント全体解析プログラム出力及びインターフェースプログラムでのデータ加工の関係を示す。また、図4に、プラント全体解析プログラムと下部プレナム流動解析プログラムとの間でインターフェースプログラムにおけるノードとジャンクションを示す。
【0034】
インターフェースプログラムは、ユーザーと大規模流動解析システムとの間のインターフェースの機能も有する。図5〜9は本実施の形態の大規模流動解析システムを利用して炉心への流量配分を評価する場合の計算フロー図である。また、図10は、この実施の形態におけるデータの相互関係を示す。以下、図5〜9に従って説明を行なう。
【0035】
インターフェースプログラムが大規模流動解析システムの入力画面1を端末のディスプレイ装置に表示する(i1)。ユーザーは、インターフェースプログラムが表示する入力画面上で、解析対象とするプラントと流動解析を実施する領域を指定する(u1)。本実施の形態では、炉心への流量配分を評価する場合を例題としているため、流動解析を実施する領域は、下部プレナム領域である。インターフェースプログラムは、ユーザーが解析対象として指定したプラントに対応したプラント全体解析プログラムP1をデータベースD1から検索する(i2)。
【0036】
インターフェースプログラムは、検索された全体解析プログラムP1の計算実行に必要なファイル一式をデータベースD1からユーザーの作業ディレクトリにコピーする(i3)。また、インターフェースプログラムは、ユーザーが指定した流動解析を実施する領域に対応した流動解析プログラムをデータベースD1から検索する(i4)。本実施の形態では、インターフェースプログラムは、下部プレナム流動解析プログラムLP1を検索する。インターフェースプログラムは、検索された下部プレナム流動解析プログラムLP1の計算実行に必要なファイル一式をデータベースD1からユーザーの作業ディレクトリにコピーする(i5)。
【0037】
ユーザーは、インターフェースプログラムが表示する入力画面上で、プラントの初期運転状態(炉心出力、再循環ポンプ流量)と過渡事象、チェックポイントの間隔を指定する(u2)。ここで、チェックポイントとは、P1からLP1に境界条件を受け渡す時刻であると共に、P1とLP1の計算結果を比較し、P1の係数調整を行なうかどうかの判断を行なう時刻である。
【0038】
ユーザーはあるチェックポイントから次のチェックポイントまでの時間間隔を指定する。この間隔は、一定値である場合と、時間の経過と共に変化させる場合とがある。例えば、解析対象となる時間全てにわたって、10秒間隔のチェックポイントを指定する場合、あるいは、初期の10秒間は1秒間隔のチェックポイントを設定し、次の100秒間は10秒間隔のチェックポイントを設定する場合である。
【0039】
ユーザーは境界条件の時間変化が激しいと予想される時間帯については、チェックポイント間隔を小さく、境界条件の時間変化が緩やかな時間帯については、チェックポイント間隔を大きくとる。インターフェースプログラムは、ユーザーによって指定された初期運転状態と過渡事象及びチェックポイントの間隔に基づいて、プラント全体解析プログラムP1の入力ファイルP1_INP1をユーザーの作業ディレクトリ上に作成する(i6)。
【0040】
ユーザーは、インターフェースプログラムが表示する入力画面上で、解析実行を指示する(u3)。インターフェースプログラムは、ユーザーによる解析実行の指示(u3)を認識して、プラント全体解析プログラムP1を起動する(i7)。プラント全体解析プログラムP1は、起動後(p1)、時刻tpi− をタイムステップ時間Δtp分だけ先に進め、tpiとする(p2)。時刻tpiにおける各ノードの流体の圧力、温度、組成、密度と、各ジャンクションにおける流体の質量移動速度を計算する(p3)。
【0041】
プラント全体解析プログラムP1は、時刻tpiとチェックポイントCPとを比較する(p4)。時刻tpiがチェックポイントCP以上である場合、プラント全体解析プログラムP1は、前回のチェックポイント(CP−ΔCP)の時刻から現在のチェックポイントCPまでの各ノードの流体の圧力、温度、組成、密度と、各ジャンクションにおける流体の質量移動速度を時系列データP1_OUTnとして出力する(p5)。時刻tpiがチェックポイントCP未満である場合、プラント全体解析プログラムP1は、次のタイムステップの計算を行なう。
【0042】
piが計算終了時刻以上である場合(p6)、プラント全体解析プログラムP1は、計算を終了する(p7)。プラント全体解析プログラムP1が計算を終了すると、プロセスID(ID1)が消滅したことを、インターフェースプログラムが認識する(i9)。tpiが計算終了時刻未満である場合(p6)、プラント全体解析プログラムP1は、チェックポイントCPの値を更新する(p8)。
【0043】
インターフェースプログラムはプラント全体解析プログラムが出力した時系列データP1_OUTnを用いて、図3に示す演算を行ない、下部プレナム流動解析プログラムの境界条件を算出する(i8)。インターフェースプログラムは、下部プレナム流動解析プログラムの境界条件を、予め定められた書式に従って、ユーザーの作業ディレクトリ上のファイルLP1_BDnに書き出す(i10)。このとき、LP1_BDnにはチェックポイントの値が含まれている。LP1_BDnを作成する基になったファイルP1_OUTnは2つのチェックポイント(CP−ΔCP)とCPの間の時系列データである。
【0044】
インターフェースプログラムは、P1_OUTnの最初の時刻の値、すなわちCP−ΔCPをTime1としてLP1_BDnに書き出す(i10)。また、インターフェースプログラムは、P1_OUTnの最後の時刻の値、すなわちCPをTime2としてLP1_BDnに書き出す(i10)。下部プレナム流動解析プログラムの境界条件のファイルを作成した後、インターフェースプログラムは、下部プレナム流動解析プログラムLP1を起動する(i11)。
【0045】
下部プレナム流動解析プログラムLP1は、起動後(lp1)、時刻tlpi− をタイムステップΔ時刻tlp分だけ先に進め、tlpiとする(lp2)。下部プレナム流動解析プログラムLP1は、時刻tpiにおける下部プレナム領域の計算格子の圧力、温度、密度、計算格子間の流速を計算する(lp3)。
【0046】
下部プレナム流動解析プログラムLP1は、時刻tlpiとチェックポイントCPとを比較する(lp4)。時刻tlpiがチェックポイントCP以上である場合、下部プレナム流動解析プログラムLP1は、前回のチェックポイント(CP−ΔCP)の時刻から現在のチェックポイントCPまでの下部プレナム領域の計算格子の圧力、温度、密度、計算格子間の流速を時系列データLP1_OUTnとして出力する(lp5)。
【0047】
時刻tlpiがチェックポイントCP未満である場合、下部プレナム流動解析プログラムLP1は、次のタイムステップの計算を行なう。tlpiが計算終了時刻以上である場合(lp6)、下部プレナム流動解析プログラムLP1は、計算を終了する(lp7)。下部プレナム流動解析プログラムLP1が計算を終了すると、プロセスID(ID2)が消滅したことを、インターフェースプログラムが認識する(i12)。
【0048】
lpiが計算終了時刻未満である場合(lp6)、下部プレナム流動解析プログラムLP1は、インターフェースプログラムから計算中止命令(i27, i37)または計算待機命令(i34)が入らなければ、境界条件ファイルLP1_BDnの値が更新されるのを待つ(lp13)。下部プレナム流動解析プログラムLP1は境界条件ファイルLP1_BDnを読み込む。ファイルが更新されていなければ、CP=Time2になっている。
【0049】
プラント全体解析プログラムP1が次のチェックポイントまでの出力ファイルを作成し、インターフェースプログラムが境界条件ファイルLP1_BDnを更新すると、更新前のTime2の値が、更新後のTime1の値になっている。
【0050】
下部プレナム流動解析プログラムLP1では、チェックポイントCPは旧いままであるため、ファイルが更新されるとCPはTime1の値と等しくなる。こうすることで、下部プレナム流動解析プログラムLP1は境界条件ファイルLP1_BDnが更新されたことを認識する。境界条件ファイルLP1_BDnの値が更新されたら、下部プレナム流動解析プログラムLP1は、チェックポイントCPの値を更新し(lp14)、次のタイムステップの計算を行なう。
【0051】
インターフェースプログラムは、プラント全体解析プログラムP1のプロセスID(ID1)及び下部プレナム流動解析プログラムLP1のプロセスID(ID2)の消滅を検知すると(i9, i12)、計算終了のメッセージ3を端末のディスプレイ装置に表示する(i14)。プラント全体解析プログラムP1及び下部プレナム流動解析プログラムLP1の係数が変更されていない場合、インターフェースプログラムは解析結果表示画面を表示する(i20)。
【0052】
プラント全体解析プログラムP1の係数が変更された場合(i15)に、インターフェースプログラムは、プラント全体解析プログラムP1のバージョン名を変更する(i16)。本実施の形態においては、下部プレナム領域の圧力損失係数あるいは炉心入口オリフィス圧力損失係数が変更された場合に、インターフェースプログラムは、プラント全体解析プログラムP1のバージョン名を変更する(i16)。バージョン名とは、プラント全体解析プログラムP1の変更履歴を表したものであり、プラント全体解析プログラムP1の実行に必要なファイル一式を格納したディレクトリ名の一部である。
【0053】
インターフェースソフトはバージョン名を変更したプラント全体解析プログラムP1をデータベースD1に保存する(i17)。更にインターフェースプログラムは、変更された係数の名前と変更前の値及び変更後の値、変更した年月日、誤差の比較対照となった下部プレナム流動解析プログラムのバージョン名をログファイルに書き出す(i18)。インターフェースプログラムは変更内容を書き出したファイルをデータベースD1に保存する(i19)。その後、インターフェースプログラムは解析結果表示画面をディスプレイ装置に表示する(i20)。
【0054】
下部プレナム流動解析プログラムLP1の係数が変更された場合(i15)に、インターフェースプログラムは、下部プレナム流動解析プログラムLP1のバージョン名を変更する(i16)。本実施の形態においては、炉心入口オリフィス圧力損失係数が変更された場合に、インターフェースプログラムは、下部プレナム流動解析プログラムLP1のバージョン名を変更する(i16)。後の処理はプラント全体解析プログラムP1の場合と同様である。
【0055】
下部プレナム流動解析プログラムLP1から出力ファイルLP1_OUTnが出力されたら、インターフェースプログラムは、LP1_OUTnの値を読み込む(i21)。インターフェースプログラムは、下部プレナム流動解析プログラムLP1が出力した炉心の圧損を模擬する計算格子における冷却材の鉛直方向質量流量[kg/s・m]を、燃料チャンネル一体に相当する領域に渡って積算する (i21)。
【0056】
インターフェースプログラムは、プラント全体解析プログラムP1で計算された各燃料チャンネルでの冷却材流量と下部プレナム流動解析プログラムLP1で計算された各燃料チャンネルでの冷却材流量との誤差を計算する (i22)。
【0057】
インターフェースプログラムは上記冷却材流量の誤差と、ユーザーが予め設定している誤差の許容値とを比較する(i23)。誤差が許容値以内であるとインターフェースプログラムが判断した場合には、インターフェースプログラムは、炉心入口オリフィス部分の圧力損失係数のチェックを行なう(後述、図8および9のa4以降)。この時、i23で誤差が許容値以内であると判断された場合の直後の処理として、後述する係数調整フラグをoffする処理を加えても良い。このようにすると誤差が許容値以内にある場合には係数調整を行なわず、P1とPL1の解析をそれぞれ続行させることができる。
【0058】
誤差が許容値外であるとインターフェースプログラムが判断した場合、インターフェースプログラムは、係数調整フラグがONになっているかどうか判断する(i24)。ここで、係数調整フラグは、通常はOFFに設定されており、ユーザーが係数調整を指示した場合にのみONになる変数である。係数調整フラグがOFFの場合、インターフェースプログラムは、端末のディスプレイ装置にメッセージ1とともに許容値外の誤差が生じたチャンネルの番号と誤差の値、係数の調整を実行するためのボタンを表示する(i25)。
【0059】
インターフェースプログラムが表示する入力画面上で、上記メッセージをユーザーが確認(u4)後、ユーザーが解析中断の指示(u5)を行なった場合には、インターフェースプログラムはプラント全体解析プログラムP1及び下部プレナム流動解析プログラムLP1の実行を中断する(i26)。
【0060】
ここで、i24のステップの直前に係数フラグがOnになってからのi24のステップに至る回数を数え、予め設定した回数より多い場合に係数フラグをOffする処理を加えても良い。このようにすると、予め設定した係数調整を行なっても誤差が許容値以内にならない場合にもP1およびLP1の解析を続行させることができる。
【0061】
例えばP1とPL1の誤差を比較する対象である燃料チャンネルの本数は、ABWRタイプのプラントの場合、872体もある。これら全ての燃料チャンネルの流量を許容値以内の誤差に収めようとして、係数調整を行なったとしても、収束しない場合がある。このようなときに、ユーザーは、どの燃料チャンネルでどの程度の誤差が生じているのか把握し、全燃料チャンネルのうち一部がわずかに許容値を満たさない場合であれば、解析を続行させることができる。
【0062】
インターフェースプログラムが表示する入力画面上で、ユーザーが係数の調整を実行するためのボタンを押して、プラント全体解析プログラムP1の係数調整を指示(u6)した場合、インターフェースプログラムは係数調整フラグをONにして(i29)、係数調整画面2を表示する(i30)。ユーザーは係数調整画面2で調整する係数を指定する(u7)。なお、本実施の形態においては、ユーザーが調整を指定できる係数は、下部プレナムを模擬しているノード間の圧力損失係数である。
【0063】
インターフェースプログラムは、ユーザーが指定した係数を元の値から変化させた入力ファイルP1_INPnを作成し(i31)、プラント全体解析プログラムP1を起動する(i7)。中断前と同様の手順により、インターフェースプログラムは下部プレナム流動解析プログラムLP1の境界条件のファイルLP_BDnを作成し、下部プレナム流動解析プログラムLP1を実行する。
【0064】
プラント全体解析プログラムP1による燃料チャンネル流量の計算結果P_OUTnと下部プレナム流動解析プログラムLP1による燃料チャンネル流量の計算結果LP_OUTnとの誤差と許容値とを比較する。誤差が許容値外であり、係数調整フラグがONであれば、インターフェースプログラムはプラント全体解析プログラムP1と下部プレナム流動解析プログラムLP1の実行を中断する(i27)。
【0065】
誤差が許容値内に収まるまで、インターフェースプログラムは、調整対象になっている係数を変化させて、プラント全体解析プログラムP1の入力ファイルP1_INPnを作成し(i31)、プラント全体解析プログラムP1を起動し、下部プレナム流動解析プログラムLP1の境界条件ファイルLP_BDnを作成し、下部プレナム流動解析プログラムLP1を起動して、解析結果の誤差を求め、許容値と比較するという作業を繰り返す。調整対象となっている係数を変化させる方法は、一般に最適設計手法で用いられている遺伝的アルゴリズムや最急降下法などを用いる。
【0066】
プラント全体解析プログラムP1と下部プレナム流動解析プログラムLP1との各燃料チャンネルでの冷却材流量の計算結果が、許容値以内に収まるか、許容値外でもユーザーが解析中断を指定しない場合は、インターフェースプログラムは炉心入口オリフィスの圧力損失係数の適用範囲のチェックを行なう(a4以降)。
【0067】
インターフェースプログラムは、炉心入口オリフィスを模擬しているノードの冷却材圧力、流速をプラント全体解析プログラムの出力ファイルP1_OUTnから取得する(i32) 。また、インターフェースプログラムは、炉心入口オリフィスを模擬している計算格子の冷却材圧力、流速を下部プレナム流動解析プログラムの出力ファイルLP1_OUTnから取得する(i32)。
【0068】
インターフェースプログラムは、炉心入口オリフィスを模擬しているノードの冷却材圧力、流速及びその変化率を炉心入口オリフィスの圧力損失係数の適用範囲と比較する(i33)。炉心入口オリフィスを模擬しているノード及び計算格子の冷却材圧力、流速及びその変化率のいずれも、炉心入口オリフィスの圧力損失係数の適用範囲を逸脱していない場合、インターフェースプログラムは、次のチェックポイントまでプラント全体解析プログラムP1と下部プレナム流動解析プログラムLP1の実行を継続する。
【0069】
炉心入口オリフィスを模擬しているノードまたは計算格子の冷却材圧力、流速及びその変化率のいずれかが、炉心入口オリフィスの圧力損失係数の適用範囲を逸脱した場合、インターフェースプログラムはプラント全体解析プログラムP1及び下部プレナム流動解析プログラムLP1に待機命令を出す(i34)。インターフェースプログラムは、端末のディスプレイ装置にメッセージ2とともに適用範囲外の値が生じたオリフィスのタイプと適用範囲を逸脱した変数の名前とその値、係数の再計算を実行するためのボタンを表示する(i35)。
【0070】
インターフェースプログラムが表示する入力画面上で、上記メッセージ2をユーザーが確認後(u8)、ユーザーが解析中断の指示を行なった場合(u9)には、インターフェースプログラムはプラント全体解析プログラムP1及び下部プレナム流動解析プログラムLP1の実行を中断する(i37)。
【0071】
インターフェースプログラムが表示する入力画面上で、ユーザーが係数の再計算を実行するためのボタンを押して、炉心入口オリフィスの圧力損失係数の再計算を指示した場合(u10)、インターフェースプログラムは係数再計算画面3を表示する(i38)。ユーザーは係数再計算画面3で計算対象を指定する(u11)。なお、この場面において、ユーザーが指定する項目は、炉心入口オリフィスのタイプ、境界条件の範囲(流速、圧力)、計算の種類(定常か非定常か)である。
【0072】
インターフェースプログラムは、ユーザーが指定した炉心入口オリフィスのタイプに対応した炉心入口オリフィス流動解析プログラムEO1をデータベースD1から検索する(i39)。インターフェースプログラムは、検索された炉心入口オリフィス流動解析プログラムEO1の計算実行に必要なファイル一式をデータベースD1からユーザーの作業ディレクトリにコピーする(i40)。
【0073】
インターフェースプログラムは、係数再計算画面3でユーザーが指定した境界条件の範囲及び計算の種類に基づいて、炉心入口オリフィス流動解析プログラムEO1の入力ファイルEO_INP1及び境界条件ファイルEO_BD1をユーザーの作業ディレクトリ上に作成する(i41)。インターフェースプログラムは炉心入口オリフィス流動解析プログラムEO1を起動する(i42)。
【0074】
炉心入口オリフィス流動解析プログラムEO1の計算が終了し、出力ファイルEO1_OUT1が出力されると、インターフェースプログラムは炉心入口オリフィスの出力ファイルEO_OUT1中に格納されている以下に示すデータを用いて、圧力損失係数を計算する(i43)。
【0075】
(1)炉心入口のビームより下方の計算格子における冷却材の圧力と鉛直方向速度
(2)炉心入口オリフィス部分の計算格子より上方でかつ炉心の圧損を模擬している計算格子より下方の計算格子における冷却材の圧力
【0076】
インターフェースプログラムは、データベースD1に保存されている同じ炉心入口オリフィスのタイプについて実施された既存の計算結果に、今回計算した結果を追加する(i44)。インターフェースプログラムはプラント全体解析プログラムP1の炉心入口オリフィスの圧力損失係数を修正し、入力ファイルP1_INPn+1をユーザーの作業ディレクトリに作成する(i45)。インターフェースプログラムは、プラント全体解析プログラムP1を起動する(i7)。後の手順は、炉心入口オリフィスの圧力損失係数が適用範囲を逸脱していない場合と同様である。
【0077】
以上のように、本実施の形態の大規模流動解析システムを用いて、炉心への流量配分を計算した場合、プラント全体の冷却材圧力変化、再循環ポンプの運転状態、炉心の出力等はプラント全体解析プログラムが計算する。このプラント全体解析プログラムの結果を境界条件として、下部プレナム流動解析プログラムで炉心への流量配分を計算する。逆に炉心への流量配分が下部プレナム流動解析プログラムの結果と同等になるよう、プラント全体解析プログラムの圧力損失係数を調整する。調整された係数及び解析プログラムと入力データは全てデータベースに保存する。解析結果が蓄積されるに従って、プラント全体解析プログラムの精度が向上していく。
【0078】
また、プラント全体解析プログラムで使用している係数や相関式の適用範囲外の条件が生じた場合(この実施の形態では炉心入口オリフィスの圧力損失係数を取り上げたが)、その部分だけ詳細に解析するプログラムを起動して、係数あるいは相関式の設定を行なうことができる。このように、本実施の形態の大規模流動解析システムは、詳細な流動解析の結果を反映したプラント全体解析を行なう。
【0079】
以上説明したように、第1の実施の形態においては、着目する現象あるいはパラメーターが顕在化するスケール及び領域にフォーカスし、各スケール及び領域について、それらを許容可能な精度で評価できる解析モデルを用いる。例えば、システム挙動に着目した場合、重要となるのは系内の状態量のマクロな分布とその変化率であり、こうした現象を評価するためには、ノード・ジャンクション法による解析モデルが適している。
【0080】
また、狭隘複雑流路での圧力損失に着目した場合、重要となるのは壁面摩擦効果及び渦流の発生などの局所的な流れの状態であり、こうした現象を評価するためには、詳細な解析格子を有した数値流動解析モデルが適している。
【0081】
こうして個々の現象については、その現象が顕在化するスケール及び領域にフォーカスしたモデルで解析が行なわれ、その現象に直接的に関与しないスケール及び領域については、境界条件あるいはモデルパラメーターあるいは物理モデルあるいは相関式モデルとして取り扱うことで、解析精度を損なうことなく、解析時間及び計算機メモリ容量及び演算処理装置数の負荷低減を図ることができる。
【0082】
ここで重要なことは、個々の解析が独立して存在しているのではなく、あらゆるスケール及びあらゆる領域の解析同士が互に境界条件あるいはモデルパラメーターあるいは物理モデルあるいは相関式モデルを介して相互に関わり合っている点である。こうした構成にすることによって、個別機器の設計がシステム全体に及ぼす影響を把握し、なおかつ、システム全体挙動の一部分として個別機器の境界条件を適切に与えることのできる実用的な大規模流動解析システムを得ることができる。
なお、例えば単相流領域と二相流領域を分割した解析を実行することもできる。
【0083】
更に、数値流体解析モデルから流体力及び状態量に関する境界条件を与えられ、流体場に置かれた構造物の応力と変位を数値構造解析プログラムを用いて計算する構造解析モデルを用いることにより、原子炉システムのある事象、特に過渡事象における流体側の熱水力的な挙動を、構造解析への境界条件として与えることが可能となる。
【0084】
図11は複数の同一形状機器を有する流体系システムに本発明の大規模流動解析システムを適用した場合の、第2の実施の形態の説明図である。機器単体の性能Pは機器形状gと環境条件e、境界条件bによって次のように決定できる。
P=f(g, e, b) …(1)
【0085】
この関係を単体流動解析モデル104を用いて作成する。単体流動解析モデル104では、数値流動解析手法を用いて機器形状gにおける機器内部の詳細流れを解くことにより、流動状態に影響を受ける機器の特性及び性能を種々の環境条件e及び境界条件bの下で評価する。次にこれらの結果から機器単体性能Pと機器形状g、環境条件e、境界条件bの関係(1)を作成する。
【0086】
次に(1)の単体性能を持つ機器が複数集まって構成されるコンポーネントに対し、機器の集合体流動解析モデル105を用いて、機器の集合体としての挙動を評価すると共に、集合体内の個々の機器への境界条件b及び環境条件eを評価する。ここで、集合体流動解析モデルにおける単体機器性能評価に関係(1)を用いることで、解析負荷の低減を図る。
【0087】
また、機器集合体流動解析モデル自体の環境条件E及び境界条件Bは、流体系全体解析106から与えられ、一方、関係(1)は流体系全体解析106における機器単体性能評価モデルとなる。更に、流体系全体解析で計算した機器単体への境界条件B’及び環境条件E’が、機器集合体流動解析モデル105を用いて解析した境界条件b及びeと同等になるよう、流体系全体解析の物理パラメーター、物理モデル、相関式モデルの修正または追加を行なう。
【0088】
こうすることで、流体系全体解析において、機器の形状に依存した流動状態を考慮した性能評価と、機器集合体の挙動を考慮した境界条件及び環境条件の評価が可能になるとともに、機器単体の性能評価においても、システム挙動及び集合体としての挙動を考慮した境界条件及び環境条件の取得が可能となる。
【0089】
以上説明したように、第2の実施の形態においては、特に原子炉系のような多数の同一形状機器の集合体を有する流体系において、個々の機器内部の詳細流動を数値流動解析によって解くとともに、その結果に基づいて作成された物理モデルまたは相関式モデルまたは物理パラメーターに基づいた解析負荷の小さいモデルで機器の集合体としての挙動を解析することにより、解析精度を損なうことなく、解析時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0090】
図12は、本発明の大規模流動解析システムを、流体系全体と個別機器の相互作用を考えた最適設計に適用した場合の第3の実施の形態の説明図である。以下の最適設計への適用に関する実施の形態の説明では、流体系全体のシミュレーション結果で評価可能な炉心出力の安定性および最小限界出力比が設計基準を満足するように炉心入口部における圧損係数に関わる主要因子である炉心入口オリフィスの口径を最適化する場合を例に記述する。
【0091】
なお、炉心出力の安定性および最小限界出力比は、炉心入口部における圧損係数が大きくなると炉心出力の安定性は向上するものの、最小限界出力比は低下し熱的に厳しくなるというトレードオフの関係にある。
【0092】
プラント全体解析プログラムによる解析で得られる原子炉出力、原子炉圧力、原子炉水位、炉心流量などの挙動に対して解析者が設定した、例えば炉心出力の安定性の設計基準や炉心燃料の最小限界出力比の設計基準といった目的関数H1(P,Q,R,・・・)、H2(P,S,T・・・)に対して、その独立変数の一つであるPを最適化することにより、目的関数H1及びH2を満足する場合を考える。なお、ここでは説明のために、独立変数Pを機器単体107の性能、例えば炉心入口に複数設置されている炉心入口オリフィスの圧損係数と仮定する。
【0093】
目的関数H1及びH2を満足するために、機器単体107の形状を見直す場合、形状変更に伴う機器単体内部での詳細流動情報については、全体システム109を対象とした流体系全体解析のレベルで直接評価することができない。そこで、目的関数H1及びH2を満足するように選ばれた流体系全体解析における独立変数Pを、機器単体107に関する単体流動解析モデルの目的関数P(g,e,b)として新たに解析者が設定し、目的関数P(g,e,b)が全体システムレベルでの要求をすなわち目的関数H1及びH2を満足するよう、その独立変数である機器形状因子gの最適化を行なう。 ここでの例の場合、機器形状因子gは炉心入口オリフィスの口径が挙げられる。機器集合体108全体を解析対象として、その領域内の流体挙動、および集合体内の個々の機器の環境条件及び境界条件を評価するための集合体流動解析においては、前記単体流動解析で得られる目的関数P(g,e,b)の値すなわち炉心入口オリフィス圧損係数は、モデルパラメーターP(g,e,b)すなわち集合体流動解析モデルにおける炉心入口オリフィス部の圧力損失を別途計算して付加するための定数として設定される。
【0094】
集合体流動解析と単体流動解析及び流体系全体解析間の解析結果のやり取りは第2の実施の形態と同様である。
このような構成によれば、例えば、炉心入口オリフィス口径をパラメーターに単体流動解析でその圧損係数を求め、それを集合体解析、流体系全体解析モデルにモデルパラメーターとしてフィードバックしながら、単体流動解析、集合体解析、およびプラント全体解析を連成させて解析する。
【0095】
これにより、プラント全体解析で評価可能な炉心出力の安定性の減幅比や炉心燃料の最小限界出力比といった目的関数H1(P,Q,R,・・・)、H2(P,S,T・・・)の値が設計基準を満足する最適なオリフィス口径を求めることが可能となる。このように本発明の実施の形態の大規模流動解析システムを用いることにより、流体系全体と個別機器の相互作用を考えた最適化問題を解析的に解くことで、例えば流体系全体の流体挙動を最適化する機器レベルの形状を選定するなどの最適設計が可能になる。
【0096】
更に、以上説明した第1〜第3の実施の形態によれば、多数のユーザーが多数の解析ケースを実施し解析の入出力データが蓄積されれば、有効利用可能なリソースが増えるために大規模な流動解析を効率よく実行することが可能となり、かつ、流動スケールに応じて下位は上位の部分領域となるように複数の解析モデルによって階層化された構成とし、下位の解析モデルの解析結果に基づいて上位の解析モデルに内在する物理モデル、相関式モデル、および物理パラメーターを更新することが可能なシステムであるために、利用可能な解析結果が増えるほど精度が高い解析モデルに更新される。
【0097】
次に、第4の実施の形態として、図13および図14を用いて解析の入力データやそれをもとに解析した結果である出力データをデータサーバーにおいて集中管理するディレクトリ構造を適用した大規模流動解析システムについて説明する。ここで、本実施の形態の大規模流動解析システムを運用する計算機環境の例を図14に示す。
【0098】
上記第1〜第3の実施の形態として説明した原子炉系解析システムにおいては、多数の解析者が多数の解析ケースを実施することによって解析の入出力データが蓄積されれば、有効利用可能なリソースが増えるために大規模な流動解析を効率よく実行することが可能となる。しかも、流動スケールに応じて下位は上位の部分領域となるように複数の解析モデルによって階層化された構成として、下位の解析モデルの解析結果に基づいて上位の解析モデルに内在する物理モデル、相関式モデル、および物理パラメーターを更新することが可能なシステムであるために、利用可能な解析結果が増えるほど精度が高い解析モデルに更新される。
【0099】
そこで、本実施の形態は、例えば図14に示した計算機環境において、データサーバーで解析の入力データやそれをもとに解析した結果である出力データを集中管理するディレクトリ構造を、共有データベース領域311と各クライアントの作業領域312とに分ける。
【0100】
解析者は自分に割り当てられたクライアント作業領域では読み書き自在にデータにアクセス可能で、共有データベース領域および他の解析者に割り当てられたクライアント作業領域には読み込みのみ許可され、かつ、管理者が認めた場合には、各クライアント領域にある解析の入力データやそれをもとに解析した結果である出力データを共有データベース領域に登録可能な状態に管理する。
【0101】
共有データベース領域311と各クライアントの作業領域312の両領域は、例えば原子炉の種類、プラントの初期運転状態、解析対象とするプラント事象、解析ケース、および解析モデルのように解析対象と解析条件の違いによって分類された同一の階層構造313とする。
【0102】
例えば、原子炉の種類I、初期運転状態1、事象αにおいて、解析ケース(1)314については解析が実施されデータが共有データベース領域311に登録されている場合に、クライアントAが、同事象において、共有データベース領域311に登録されている解析とは異なる条件、すなわち新たな解析ケースとして、原子炉系全体モデル、グローバル領域解析モデル(i)、およびローカル解析モデルaによる解析を実施したい場合、クライアントA作業領域315に新たな解析ケース(A1)316のフォルダを作成する。
【0103】
そして、その下を共有データベース領域と同一のディレクトリ構成として、既存の原子炉系全体モデルの入力データ317の読込み318を行ない編集した同モデルの入力データ319、原子炉系全体モデルの解析結果320、グローバル領域解析モデル(i)による解析結果321、およびローカル解析モデルによる解析結果322を保存する。
【0104】
ここで、グローバル領域解析モデルおよびローカル解析モデルとは第1の実施の形態として記載の流動スケールに応じて階層化された数値流体解析モデルの分類の一例であり、第1の実施の形態においては、下部プレナム流動解析モデルがグローバル領域解析モデルに、その一部を詳細な空間分解能でモデル化した炉心入口オリフィス流動解析モデルがローカル領域モデルに各々相当する。
【0105】
グローバル領域解析モデル(i)による解析結果321、ないしはローカル解析モデルによる解析結果322が他の解析者にとって活用できるものとシステム管理者が判断した場合には、管理者権限において、クライアントA作業領域の解析ケース(A1)以下にある原子炉系全体モデル、グローバル領域解析モデル(i)、およびローカル領域解析モデルaの入力データファイル、解析結果ファイルをディレクトリ構造ごと共有データベース領域に登録323すなわち書き込みすることが可能な構成とする。
【0106】
他のクライアント作業領域、例えばクライアントA作業領域を利用する解析者にとってクライアントB作業領域324に活用可能な入力データもしくは解析結果がある場合には、そこからコピーしてそのままもしくは入力データに関しては編集するなどして活用することも可能に管理する。
【0107】
この方法によれば、各領域において、原子炉の種類、初期運転状態、プラント事象といった解析対象、およびその解析対象の解析に適用した原子炉系全体モデル、グローバル領域解析モデルやローカル領域解析モデルなどの数値流体解析モデルによって階層的に分類された同一のディレクトリ構成である。
【0108】
その結果、解析者は保存されている入力データファイルや解析結果ファイルのプロパティがディレクトリ名に基づいて同定可能となる。そして、管理者による共有データベース領域311への解析入出力データの登録、解析者による他の領域の解析入出力データを活用した解析実行を、ディレクトリ構造を辿って必要な部分をディレクトリごとコピーして編集、活用するといった画一的なプロセスで行なうことが可能となる。
【0109】
上記作用によって、共有データベース311への解析データの蓄積が促進され、かつ、これらの有効活用が促進されるために、大規模解析の作業効率の向上、および解析モデルに内在する物理モデル等の更新に基づく解析精度の向上を図ることが可能となる
図14は本実施の形態の大規模流動解析システムを運用する計算機環境の例を示したものである。
解析者が大規模流動解析システムの端末として利用するクライアント計算機301と、大規模流動解析システムのサーバー計算機302、ストレージ機器303、前記プラント全体解析プログラム、数値流体解析プログラム、もしくは構造解析プログラムを有し実行する高速計算機305、およびネットワーク306から構成されている。例えば、サーバー計算機302はウェブサーバーとなっており、クライアント計算機301からは、ウェブブラウザを用いて大規模流動解析システムプログラムを利用可能に構成されている。
【0110】
図15は、本発明の第5の実施の形態を示すもので、大規模流動解析システムを運用する計算機環境の例を示したものである。これは、図14に示した計算機環境を基本構成として、分散配置された複数の高速計算機305a〜fによる解析実行環境を、十分に高速な通信速度を有するネットワーク306を介して結合したグリッドコンピューティング構成である。
【0111】
この実施の形態によれば、分散配置された複数の高速計算機305a〜f上にある解析プログラムや高速計算機305a〜f等ハードウェアのリソースを大規模解析システムを構成する解析モジュールもしくはハードウェア要素として、サーバー計算機302によって集中管理することが可能となり、その有効活用が容易になる。そのため、大規模解析の解析負荷を分散して解析時間の短縮を図ることができる。
【0112】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、原子炉内のように小さなスケールと大きなスケールの流動現象が互いに影響し合う大規模な体系について、スケールに応じた階層構造で領域分けした複数の解析モデルで構築し、各解析モデル同士が互いに境界条件、モデルパラメーター、物理モデル、あるいは相関式を解して相互に連成させることによって、個別機器の設計がシステム全体に及ぼす影響を正確に把握し、なおかつ、システム全体挙動の中における個別機器レベルの流動現象の挙動を評価できる大規模流動解析システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る流動解析システムの第1の実施の形態における情報の流れを示すブロック図。
【図2】図1の流動解析の対象となる原子炉における流動を示す模式図。
【図3】本発明に係る流動解析システムの第1の実施の形態における下部プレナム流動解析プログラム境界条件とプラント全体解析プログラム出力及びインターフェースプログラムでのデータ加工の関係を示す表。
【図4】本発明に係る流動解析システムの第1の実施の形態におけるプラント全体解析プログラムと下部プレナム流動解析プログラムとの間でインターフェースプログラムにおけるノードとジャンクションを示す模式図。(a)は下部プレナム流動解析プログラムを示す図、(b)はプラント全体解析プログラムを示す図。
【図5】本発明に係る流動解析システムの第1の実施の形態における計算フロー図。
【図6】図5の計算フロー図のつづき。
【図7】図6の計算フロー図のつづき。
【図8】図7の計算フロー図のつづき。
【図9】図8の計算フロー図のつづき。
【図10】本発明に係る流動解析システムの第1の実施の形態におけるデータの相関関係を示すブロック図。
【図11】本発明に係る流動解析システムの第2の実施の形態における情報の流れを示すブロック図。
【図12】本発明に係る流動解析システムの第3の実施の形態における情報の流れを示すブロック図。
【図13】本発明に係る流動解析システムの第4の実施の形態を示すブロック図。
【図14】本発明に係る流動解析システムの第4の実施の形態における情報の流れを示すブロック図。
【図15】本発明に係る流動解析システムの第5の実施の形態を示すブロック図。
【図16】従来の流動解析システムにおける情報の流れを示すブロック図。
【符号の説明】
101…原子炉系全体モデル、102…下部プレナム流動解析モデル(大領域流動解析モデル)、103…炉心入口オリフィス流動解析モデル(局所領域解析モデル)、104…単体流動解析モデル、105…集合体流動解析モデル、106…流体系全体解析モデル、107…機器単体、108…機器集合体、109…全体システム、301…計算機(クライアント機能)、304…サーバー機能(ウェブサーバー&データサーバー)、305…高速計算機、306…ネットワーク、311…共有データベース領域、312…クライアント作業領域。

Claims (10)

  1. 流体系全体を複数のノードに分割し、ノード間をジャンクションで接続し、該ノード内で状態量を計算し、該ジャンクションでノード間の移行量を計算する最上位の数値流動解析モデルとしての流体系全体解析モデルと、解析対象領域によって前記流体系全体を分割してかつ流動スケールに応じて階層化された複数の部分流動解析モデルとを用いて、流体系の流動を解析する流動解析システムにおいて、
    前記流体系全体解析モデルを用いて流体系全体のシステム挙動を解析する手段と、
    前記流体系全体解析モデルによる解析結果を前記複数の部分流動解析モデルの境界条件あるいはモデルパラメーターとして利用し、前記流動スケールに応じて階層化された部分流動解析モデルの上位のモデルによる解析結果をそれより下位の部分流動解析モデルの境界条件あるいはモデルパラメーターとして利用して前記複数の部分流動解析モデルによる解析を行なう手段と、
    下位の部分流動解析モデルを用いた解析結果に基づいて作成される物理モデルまたは相関式モデルまたは物理パラメーターを上位の部分流動解析モデル及び前記流体系全体解析モデルの一部として組み込む手段と、
    前記流体系全体解析モデルを用いた解析結果に基づいて作成される物理モデルまたは相関式モデルまたは物理パラメーターを前記流体系全体解析モデルの一部として組み込む手段と、を有することを特徴とする流動解析システム。
  2. 請求項1に記載の流動解析システムにおいて、前記複数の部分流動解析モデルを適用する領域が、流動を記述する支配方程式の相違によって分割されていること、を特徴とする流動解析システム。
  3. 請求項1または2に記載の流動解析システムにおいて、
    前記流体系全体は互いに共通の単体性能を有する複数の機器を含み、前記流動解析システムは、
    前記複数の機器の単体性能を評価するための単体流動解析モデルによる解析を行なう手段と、
    前記単体流動解析モデルによる解析の結果に基づいて作成された物理モデルまたは相関式モデルまたは物理パラメーターを、前記複数の機器の集合体としての性能を評価するための集合体解析モデルの一部として組み込む手段と、
    前記集合体解析モデルによって、前記複数機器の集合体における個々の機器の境界条件を求める手段と、を有することを特徴とする流動解析システム。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の流動解析システムにおいて、
    前記部分流動解析モデルを用いた計算から流体力及び状態量に関する境界条件を与える手段と、
    前記流体系の流体場に置かれた構造物の応力及び変位を数値構造解析モデルを用いて計算する手段と、
    をさらに有することを特徴とする流動解析システム。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の流動解析システムにおいて、
    前記複数の部分流動解析モデルの下位に、該部分流動解析モデルに領域として内包される局所領域の局所流動解析モデルがあって、
    前記流体系全体解析モデルもしくは前記部分流動解析モデルの解析領域に対する最適化問題の独立変数をx1、x2、・・・xmとし、目的関数をF(x1、x2、・・・xm)とし、独立変数xmの実行可能領域をSmとし、それよりも下位の流動解析モデルの解析領域に対する最適化問題の独立変数をy1、y2、・・・ynとし、目的関数をG(y1、y2、・・・yn)とし、独立変数ynの実行可能領域をTnとするとき、該解析モデルにおいて、任意のxmおよびynは解析パラメータとして設定自在に構成され、かつxmとynの関係を解析によって算出可能にモデル化することによって、その関係に基づいてSmとTnのいずれか一方から他方を求め、目的関数F(x1、x2、・・・xm)もしくは、目的関数G(y1、y2、・・・yn)の最適解が得られることが可能に、前記流体系全体解析モデルおよび部分流動解析モデルが構築されていること、
    を特徴とする流動解析システム。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の流動解析システムにおいて、
    複数のクライアント機能を有する複数のクライアント計算機と、
    ネットワークを介して前記クライアント計算機に接続されてサーバー機能を有するサーバー計算機およびストレージ機器と、
    前記ネットワークを介して前記クライアント計算機、サーバー計算機およびストレージ機器に接続され、前記流体系全体解析モデルおよび部分流動解析モデル、もしくは構造解析モデルを用いた解析を実行する高速計算機と、
    を有し、
    前記各解析モデルへの入力データの生成、解析実行、解析出力データの処理および表示機能を有し、前記流動解析を実行するためのプログラム、入力データ、解析出力データ、およびその処理データを前記サーバー機能で一元管理し、前記クライアント計算機からの利用を可能とした計算機環境で動作するように構成されていること、
    を特徴とする流動解析システム。
  7. 請求項6に記載の流動解析システムにおいて、前記サーバー機能はウェブサーバー機能を含み、前記各クライアント計算機はウェブブラウザを介して前記高速計算機にアクセス可能に構成されていること、を特徴とする流動解析システム。
  8. 請求項6または7に記載の流動解析システムにおいて、前記サーバー機能はデータサーバー機能を含み、そのデータサーバー機能は、前記各解析モデルの入力データ、解析出力データ、およびその処理データを、共有データベース領域と各クライアント計算機の作業領域とに分けて、両領域は解析の種類によって分類された、同一の階層構造によって前記ストレージ機器上に管理された計算機環境で動作するように構成されていること、を特徴とする流動解析システム。
  9. 請求項6ないし8のいずれかに記載の流動解析システムにおいて、前記高速計算機は複数の単位高速計算機をネットワークを介して結んだグリッドコンピューティング構成であって、前記サーバー計算機から前記各単位高速計算機にある複数の解析プログラムを実行する計算機環境で動作するように構成されていること、を特徴とする流動解析システム。
  10. 流体系全体を複数のノードに分割し、ノード間をジャンクションで接続し、該ノード内で状態量を計算し、該ジャンクションでノード間の移行量を計算する最上位の流動解析モデルとしての流体系全体解析モデルと、解析対象領域によって前記流体系全体を分割してかつ流動スケールに応じて階層化された複数の部分流動解析モデルとを用いて、流体系の流動を解析する流動解析方法において、
    前記流体系全体解析モデルを用いて流体系全体のシステム挙動を解析するステップと、
    前記流体系全体解析モデルによる解析結果を前記複数の部分流動解析モデルの境界条件あるいはモデルパラメーターとして利用し、前記流動スケールに応じて階層化された部分流動解析モデルの上位のモデルによる解析結果をそれより下位の部分流動解析モデルの境界条件あるいはモデルパラメーターとして利用して前記複数の部分流動解析モデルによる解析を行なうステップと、
    前記下位の部分流動解析モデルを用いた解析結果に基づいて作成される物理モデルまたは相関式モデルまたは物理パラメーターを上位の部分流動解析モデル及び前記流体系全体解析モデルの一部として組み込むステップと、
    前記流体系全体解析モデルを用いた解析結果に基づいて作成される物理モデルまたは相関式モデルまたは物理パラメーターを前記流体系全体解析モデルの一部として組み込むステップと、
    を有することを特徴とする流動解析方法。
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