JP2005046470A - トンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造 - Google Patents

トンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造 Download PDF

Info

Publication number
JP2005046470A
JP2005046470A JP2003283311A JP2003283311A JP2005046470A JP 2005046470 A JP2005046470 A JP 2005046470A JP 2003283311 A JP2003283311 A JP 2003283311A JP 2003283311 A JP2003283311 A JP 2003283311A JP 2005046470 A JP2005046470 A JP 2005046470A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tunnel
cable
fireproof
aluminum foil
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003283311A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4066179B2 (ja
Inventor
Ichiro Iwatani
一郎 岩谷
Satoshi Maruyama
諭 丸山
Masahiro Furukawa
政弘 古川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
A&A Material Corp
KFC Ltd
Original Assignee
A&A Material Corp
KFC Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by A&A Material Corp, KFC Ltd filed Critical A&A Material Corp
Priority to JP2003283311A priority Critical patent/JP4066179B2/ja
Publication of JP2005046470A publication Critical patent/JP2005046470A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4066179B2 publication Critical patent/JP4066179B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Laying Of Electric Cables Or Lines Outside (AREA)
  • Electric Cable Installation (AREA)

Abstract

【課題】RABT曲線に基いて1200℃で30分の耐火試験を行なった時にケーブル管路の内部温度を85℃以下とすることができるトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造を提供することにある。
【解決手段】本発明のトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造は、まず、ケーブル管路またはケーブル管路の複数本集合体の外周上に、断熱マット材を当接して被覆し、その外側にアルミ箔外側を当接して被覆し、その外側に吸熱パック層とケイ酸カルシウム板層とから構成された耐火被覆材を吸熱パック層がアルミ箔層と対面するように設置して、トンネル内壁及び耐火被覆材でケーブル管路等を取り囲み、ケーブル管路等とトンネル内部を遮断するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、トンネル内に電気・通信用ケーブルを付設するためにトンネル内壁に設置されたケーブル管路の耐火被覆構造に関するものである。
通常、トンネル内には、ケーブル管路が設置されており、その内部に1本または複数本の電気・通信用ケーブルが付設されている。このケーブル管路は鋼製電線管または硬質塩化ビニル管等から構成されていおり、また、電気・通信用ケーブルは塩化ビニル等のプラスチック被覆材により被覆されたものが多用されている。トンネル内で火災等が発生すると、トンネル内という特殊な環境下であるが故に、熱の逃げ場がなく、ケーブル管路は短時間で高温(1200℃以上)に曝され、内部に付設された電気・通信用ケーブルの損傷、切断といった深刻なトラブルの原因となる恐れがある。そこで、火災による熱を遮断するために、セラミック系耐火板とロックウールより構成された保護ボックスが開発され、例えば、トンネルの内壁に付設されたケーブル管路を保護ボックスで囲み、火災による熱からケーブル管路を遮断することが試みられている。
また、特許文献1には、トンネルの内壁を利用して設けられた設備を耐火板構造の保護ボックスにより囲んでトンネル空間より遮断し、そのトンネル内での車両事故等による火災時に保護ボックス内に伝播した熱を、該保護ボックスの内面側に設けられていてトンネルのコンクリート躯体側と接触する金属板を通して、コンクリート躯体側へ逃がすことを特徴とするトンネル内の電気・通信ケーブル等の耐火保護方法が開示されている。
更に、特許文献2には、ケーブル(2)を内蔵したケーブル保護管(1)の外周に接合すると共にその内面及び外面の一方又は両方に蒸気の通過を阻止するための耐熱膜(3a、3b)を有する第1断熱材層(3)と、前記第1断熱材層(3)の外周に形成され袋(11)内に液又はゲル状物質よりなる水分(10)を内蔵させてなる吸熱材(12)と、前記吸熱材(12)の外周に設けられた第2断熱材層(13)と、よりなり、屋外に設置して用いるようにしたことを特徴とする通信ケーブル保護管の屋外設置型耐火被覆構造が開示されている。
また、特許文献3には、ダクト本体1の金属製函体2の底部3が底部耐火断熱被覆材4により被覆され、同函体2の側壁5が側部耐火断熱被覆材6により被覆されてなる耐火断熱被覆付金属製ダクトにおいて、底部耐火断熱被覆材4と側部耐火断熱被覆材6の隅の接合部分7、8間に、難燃性材料により所定形状に成形されたスペーサ9が挟着され、同スペーサ9は前記接合部分7、8間に挟着される挟着部10の上面11に連接され且つ前記側部耐火断熱被覆材6の内面12に沿って立ち上がる縦重合部13とが設けられたものであることを特徴とする耐火断熱被覆付金属製ダクトの耐火断熱被覆構造が開示されている。また、特許文献3の6頁下から5行ないし7頁3行には、「底部耐火断熱被覆材4、側部耐火断熱被覆材6、上部耐火断熱被覆材16には、いずれも従来からの耐火断熱被覆材と同じ材料、即ち、ゾーノトライト系結晶、ワラストナイト系結晶、トベルモライト系結晶、或いはこれらの混合物を主体とし、必要に応じて粘土や繊維質物質等の補強材を含有させた、けい酸カルシウム系成形材等が使用される。」旨の記載もあります。
更に、特許文献4には、トンネル構造物の耐火被覆材として有用なケイ酸カルシウム材として、ケイ酸カルシウム水和物からなるマトリックスと繊維とを含有してなるケイ酸カルシウム材において、前記ケイ酸カルシウム水和物はトバモライトとゾノトライトとからなるとともに、前記ゾノトライトの(001)面のX線回折強度と前記トバモライトの(002)面のX線回折強度との比が、前者/後者として0.3〜5.0であり、前記ケイ酸カルシウム材は、前記繊維として20〜60質量%の範囲の針状ワラストナイトおよび1〜10質量%の範囲のセルロースパルプを含有することにより、1200℃における加熱残存収縮率が5%以下であることを特徴とするケイ酸カルシウム材が開示されている。
また、特許文献5には、吸熱パックを使用した耐火被覆構造として、2枚のフィルム間に区画形成されたセルの中に水または水を含浸させたポリマー等の液体またはゲル状の物質等の吸熱材を封入し周囲をヒートシールして構成された吸熱パックと、無機繊維混合マット等の様な耐火断熱材とを、耐火被覆すべき電線管の周りに巻き付け、針金またはテープまたは金網にて固定し、必要に応じて金属板で被覆して成ることを特徴とする電線管の耐火被覆構造が開示されている。
更に、特許文献6には、管路の周囲に巻着して使用する被覆材料であって、上記被覆材料が、アルミクロス保護材、不燃材及び吸熱パックの三層積層体構造よりなる可撓性袋体状シートに形成してなることを特徴とする耐火被覆材料が開示されている。
特開2002−360722号公報 特許請求の範囲 特開平11−46430号公報 特許請求の範囲 実願昭63−139894号明細書 実用新案登録請求の範囲 6〜7頁 特開2003−104769号公報 特許請求の範囲 特開平7−135716号公報 特許請求の範囲 特開平9−280480号公報 特許請求の範囲
ここで、沈埋トンネル等の最近のトンネル工法に伴うトンネル躯体の耐火試験における加熱条件としてRABT曲線が採用され、トンネル内に設置されるケーブル管路の耐火試験においても同一条件で行なうことが必要となっている。ケーブル管路に付設される電気・通信用ケーブル等に使用されている被覆材の軟化温度は通常85℃程度であることから、上記加熱条件において、ケーブル管路の内部温度を85℃以下とする必要があるが、未だこの条件を満足するケーブル管路の耐火被覆構造が開発されていないのが現状である。
従って、本発明の目的は、RABT曲線に基いて1200℃で30分の耐火試験を行なった時にケーブル管路の内部温度を85℃以下とすることができるトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造を提供することにある。
本発明のトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造は、トンネル内に設置される、内部に1本または複数本のケーブルが付設されたケーブル管路またはケーブル管路の複数本集合体の耐火被覆構造において、トンネル内壁に取り付けられたケーブル管路またはケーブル管路の複数本集合体の外周に断熱マット材が当接して被覆され、断熱マット材の外周にはアルミ箔層が当接して被覆され、更に、その外側がトンネル内壁及び耐火被覆材によって取り囲まれることにより、ケーブル管路またはケーブル管路の複数本集合体がトンネル内の空間から遮断される構成を有し、断熱マット材の密度が24〜48kg/mで、厚さが15〜50mmの範囲内にあり、耐火被覆材は、2枚のフィルム間に区画形成されたセルの中に水または水を含浸させたポリマーよりなる液体またはゲル状の物質よりなる吸熱材を封入し周囲をシールした構成を有し且つ4000〜5000g/mの水分を有する吸熱パック層と、密度が0.8〜1.1g/cmで、厚さが15〜50mmの範囲内にあるケイ酸カルシウム板層とから構成され、吸熱パック層がアルミ箔層と対面するように耐火被覆材が設置されており、RABT曲線に基づいて1200℃で30分の耐火試験を行なった時のケーブル管路の内部温度が85℃以下であることを特徴とする。
また、本発明のトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造は、トンネル内に設置される、内部に1本または複数本のケーブルが付設されたケーブル管路またはケーブル管路の複数本集合体の耐火被覆構造において、トンネル内壁に取り付けられたケーブル管路またはケーブル管路の複数本集合体の外周に、少なくとも片面にアルミ箔層を備える断熱マット材が、片面にアルミ箔層を有する断熱マット材にあってはアルミ箔層が該外周と接しないように当接して被覆され、更に、その外側がトンネル内壁及び耐火被覆材によって取り囲まれることにより、ケーブル管路またはケーブル管路の複数本集合体がトンネル内の空間から遮断される構成を有し、少なくとも片面にアルミ箔層を備える断熱マット材の密度が24〜48kg/mで、厚さが15〜50mmの範囲内にあり、耐火被覆材は、2枚のフィルム間に区画形成されたセルの中に水または水を含浸させたポリマーよりなる液体またはゲル状の物質よりなる吸熱材を封入し周囲をシールした構成を有し且つ4000〜5000g/mの水分を有する吸熱パック層と、密度が0.8〜1.1g/cmで、厚さが15〜50mmの範囲内にあるケイ酸カルシウム板層とから構成され、吸熱パック層が少なくとも片面にアルミ箔層を備える断熱マット材と対面するように耐火被覆材が設置されており、RABT曲線に基づいて1200℃で30分の耐火試験を行なった時のケーブル管路の内部温度が85℃以下であることを特徴とする。
更に、本発明のトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造は、吸熱パック層とこれに対面するアルミ箔層との間に空間が設けられていることを特徴とする。
また、本発明のトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造は、ケイ酸カルシウム板が、マトリックスがトバモライトとゾノトライトとからなり、繊維として20〜60質量%の針状ワラストナイト及び1〜10質量%のセルロースパルプを含有するものであることを特徴とする。
本発明のトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造によれば、既存の耐火被覆構造に比してトンネル内に占める体積が小さくても、トンネル内で火災発生時に、ケーブル管路内に付設された電気・通信用ケーブルを損傷することがない良好な耐火・断熱性能を発揮するという効果を奏するものである。
本発明のトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造は、まず、ケーブル管路またはケーブル管路の複数本集合体(以下、単に「ケーブル管路等」と記載する)の外周上に、断熱マット材を当接して被覆し、その外側にアルミ箔外側を当接して被覆し、その外側に吸熱パック層とケイ酸カルシウム板層とから構成された耐火被覆材を吸熱パック層がアルミ箔層と対面するように設置して、トンネル内壁及び耐火被覆材でケーブル管路等を取り囲み、ケーブル管路等とトンネル内部とを遮断するものである。
本発明のトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造において、トンネル内壁に取り付けられるケーブル管路は、例えば鋼製電線管(JIS C8305)、硬質塩化ビニル管(JIS K6741)またはFRP(繊維補強プラスチック)管等を用いることができる。また、ケーブル管路等に付設される電気・通信用ケーブルは特に限定されるものではなく、公知・慣用のケーブルを用いることができる。なお、ケーブル管路に付設される電気・通信用ケーブルの本数は特に限定されるものではなく、1本であっても複数本であっても良い。また、ケーブル管路の複数本集合体の構成もまた特に限定されるものではなく、複数本のケーブル管路の集合構成も何ら限定されるものではない。
上述のような構成を有するケーブル管路等の外周には、断熱マット材を当接して被覆し、更に、その外周にはアルミ箔層を当接して被覆する。ここで、アルミ箔層は、熱により後述する吸熱パックが破損して内部の水分が水蒸気となりケーブル管路等に直接接触することを防止するために作用するものであり、そのためアルミ箔層が断熱マット材の少なくとも外周面に配置されていることが肝要である。アルミ箔層が断熱マット材の内周面、即ち、ケーブル管路等に接する面のみに配置されていると、水蒸気温度がアルミ箔層からケーブル管路等に直接伝播し、ケーブル管路等の内部温度の上昇に繋がるために好ましくない。なお、断熱マットの密度は24〜48kg/m、好ましくは30〜40kg/mの範囲内である。ここで、該密度が24kg/m未満であると、ケーブル管路等に被覆する際に不均一となることがあるために好ましくなく、また、該密度が48kg/mを超えると、柔軟性が低下して被覆作業がし難くなると共に、被覆する際に不均一となることがあるために好ましくない。また、断熱マットの厚さは15〜50mm、好ましくは20〜40mm、最適には25〜30mmの範囲内である。断熱マットの厚さが15mm未満てあると、熱を受ける際にケーブル管路等の内部温度が上昇し易くなるために好ましくなく、また、断熱マットの厚さが50mmを超えると、トンネル内の空間中に占める耐火被覆構造の体積が大きくなり過ぎるために好ましくない。なお、断熱マットの材質は断熱性を有するとともに、柔軟性を有し、巻付施工可能であれば特に限定されるものではなく、例えばグラスウール、ロックウール、セラミックウール等のマットやフェルトを用いることができ、価格及び施工性の点からグラスウールが特に好ましい。また、アルミ箔層の厚さは、4〜20μm、好ましくは5〜15μmの範囲内である。ここで、アルミ箔層の厚さが4μm未満であると、施工時に破損し易くなるために好ましくなく、また、アルミ箔層の厚さが20μmを超えると、それに伴ってコストの上昇を招くが、それに見合う耐火性能の向上が得られないために好ましくない。
なお、本発明のトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造においては、ケーブル管路等の外周に、断熱マット材を当接して被覆し、更に、その外周にはアルミ箔層を当接して被覆する構成とする代わりに少なくとも片面にアルミ箔層を有する断熱マット材をケーブル管路等の外周に当接して被覆することができる。この場合、片面にアルミ箔層を備える断熱マット材にあっては、アルミ箔層がケーブル管路等の外周と接しないように被覆することが肝要である。
上述のような断熱マット材及びアルミ箔層または少なくとも片面にアルミ箔層を備える断熱マット材で被覆されたケーブル管路等がトンネル内壁に取り付けられる。取り付け方法は特に限定されるものではなく、例えばトンネル内壁に設置された取り付け具によりトンネル上部から吊り下げたり、取り付け具により固定するなどの種々の方法を採用することができる。
次に、トンネル内壁に取り付けられた断熱マット材で被覆されたケーブル管路等を取り囲むように耐火被覆材を設置してケーブル管路等をトンネル内部から遮断する。ここで、本発明のトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造に使用される耐火被覆材は、吸熱パック層及びケイ酸カルシウム板層よりなる2層構造を有する。吸熱パック層は、2枚のフィルム間に区画形成されたセルの中に水または水を含浸させたポリマーよりなる液体またはゲル状の物質よりなる吸熱材を封入し周囲をヒートシール等の方法によりシールした構成を有するものである。例えば、吸熱パック層は、2枚のナイロンフィルムやポリエチレンフィルム等のような合成樹脂フィルムの間にアルミ箔をサンドイッチ構造に挟持してなるフィルム2枚の間に区画形成されたセルの中に水または水を含浸させたポリマー等の液体またはゲル状物質等の吸熱材を封入し、周囲をヒートシールしたもので、例えば5〜10cm四方のパック、即ち、セルが連続的に設置されたシート状のものであることができる。なお、吸熱パック層は、4000〜5000g/m、好ましくは4300〜4700g/mの水分を有する。吸熱パック層の水分量が4000g/m未満では、吸熱効果が低下するために好ましくなく、また、吸熱パック層の水分量が5000g/mを超えると、吸熱パック層の厚さが厚くなり過ぎ、それに伴ってトンネル内の空間中に占める耐火被覆構造の体積かせ大きくなるために好ましくない。なお。吸熱パック層は、30gの水分を封入したセルを1m当たり150個(4500g/m)厚さ4.5mmのものが最適である。
また、耐火被覆材のケイ酸カルシウム板層を構成するケイ酸カルシウム板の密度は、0.8〜1.1g/cmで、好ましくは0.9〜1.05g/cmの範囲内にある。ここで、密度が0.8g/cm未満であると、破損し易くなるために好ましくなく、また、密度が1.1g/cmを超えると、断熱性能が低下するために好ましくない。更に、ケイ酸カルシウム板の厚さは、15〜50mm、好ましくは20〜40mm、最適には25〜30mmの範囲内である。ここで、厚さが15mm未満であると、耐火性能が低下するために好ましくなく、また、厚さが50mmを超えると、トンネル内の空間中に占める耐火被覆構造の体積が大きくなるために好ましくない。なお、ケイ酸カルシウム板は特に限定されるものではないが、例えば特許文献4に記載されているようなマトリックスがトバモライトとゾノトライトとからなり、繊維として20〜60質量%の針状ワラストナイト及び1〜10質量%のセルロースパルプを含有するケイ酸カルシウム板を好適に使用することができる。
なお、吸熱パック層とケイ酸カルシウム板層の積層方法は特に限定されるものではなく、例えば両層を接着することにより積層したり、タッカーを用いてケイ酸カルシウム板層に吸熱パック層のシール部分を取り付けることにより積層することができる。
上述のような構成を有する耐火被覆材は、吸熱パック層がトンネル内壁に取り付けられたケーブル管路等と対面し、且つトンネル内壁及び耐火被覆材で囲まれた区域がトンネル内部と遮断されるようにトンネル内壁に設置される。なお、耐火被覆材を設置する方法は特に限定されるものではなく、例えばトンネル内壁に鋼製下地を設置し、この鋼製下地に耐火被覆材を取り付けることができる。また、トンネル内壁と耐火被覆材の継ぎ目や耐火被覆材同志の継ぎ目は、耐火・断熱性を有するシーリング剤例えばシリコーンシリコーン剤を用いてシールすることもできる。更に、長さ方向の継ぎ目部分は、継ぎ目部分に鋼製下地を設置して耐火被覆材を取り付け、継ぎ目部分は上記と同様にシーリング剤を用いてシールすることにより施工することができる。
また、耐火被覆材をトンネル内壁に設置するに際して、ケーブル管路等の外周に被覆された断熱マット材及びアルミ箔層または少なくとも片面にアルミ箔層を有する断熱マット材と、耐火被覆材の吸熱パック層とが接することなく、ある程度の間隔、例えば100mm以内の空間を有するように耐火被覆材を取り付けることが好ましい。ここで、間隔をあける、即ち、空間を設けることにより、熱により吸熱パック層が破損して発生する水蒸気がケーブル管路等の温度上昇を抑制する効果をより一層高めることができる。なお、間隔が100mmを上回ると、トンネル内の空間に占める耐火被覆構造の容積が増加するために好ましくない。
上述のような構成を有する本発明のトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造によれば、ドイツ連邦交通省道路建設局の「道路トンネルの設備と運用に関する指針(RABT)」に定められる時間−温度曲線[RABT曲線:図2]に基いて1200℃で30分の耐火試験を行なった時に、ケーブル管路等の内部温度を85℃以下に抑えることができる。
本発明のトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造の1実施態様を図1を用いて説明する。
トンネル内壁の代替として長さ1820mm、幅600mm、厚さ100mmのALC板(1)を3列用い、その長さ方向の下面側に2本のケーブル管路(50A鋼管)(2)を吊り下げ具(3)を用いて取り付けた。なお、1本のケーブル管路(2)には、光ケーブル(被覆材:塩化ビニル)(4)を、他方のケーブル管路(2)には、電線ケーブル(被覆材:塩化ビニル)(5)をそれぞれ付設した。
次に、2本のケーブル管路(2)を集合体としてその外周に、片面にアルミ箔層を備えたグラスウール(アルミ箔厚:7μm、グラスウール密度:32kg/m、厚さ:25mm)(6)をアルミ箔層がケーブル管路(2)と接しないように当接して被覆した。
次に、ALC板(1)に取り付け具(9)をALCめねじプラグ(10)により固定し、鋼製下地(9)に吸熱パック層(7)及びケイ酸カルシウム板(8)よりなる耐火被覆材を固定した。なお、吸熱パック層(7)とアルミ箔層の最短距離は80mmとした。
なお、吸熱パック層(7)は、2枚のナイロンフィルムの間にアルミ箔をサンドイッチ構造に挟持してなるフィルム2枚の間に区画形成されたセルの中に30gの水を封入して周囲をヒートシールしたセルを1m当たり150個(4500g/m)有するもので、厚さは4.5mmのものであった。
また、ケイ酸カルシウム板層は、石灰質原料として消石灰を用い、ケイ酸質原料として非晶質ケイ酸としてのAl含量0.5質量%及びSiO含量98質量%のフェロシリコンダストと、結晶質ケイ酸としてのAl含量1質量%、SiO含量98質量%及びブレーン値3000cm/gの粉末珪石とを用い、繊維原料として平均繊維長さ約100μm、アスペクト比約10の針状ワラストナイトと、CSF200mlの叩解セルロースパルプとを用い、CaO/SiO質量比1.05、非晶質ケイ酸/結晶質ケイ酸質量比0.18、消石灰43.7質量%、フェロシリコンダスト5質量%、粉末珪石28.3質量%、針状ワラストナイト20質量%、叩解セルロースパルプ3質量%の配合を有する原料スラリーを調製し、90℃で2時間加熱養生し、続いて4MPaの圧力で加圧脱水成形してケーキを形成し、得られたケーキを195℃で、10時間オートクレーブ養生して得た密度1.0、厚さ25mmのものである。なお、得られたケイ酸カルシウム板層のゾノトライト(001)面/トバモライト(002)面のX線回折強度の比は1.1であった。
耐火被覆材は、上記構成の吸熱パック層(7)のシール部分をケイ酸カルシウム板層(8)にタッカーにより取り付けることにより積層されたものであった。
また、ALC板(1)と耐火被覆材の継ぎ目並びに耐火被覆材同志の継ぎ目は、シリコンシーリング剤(11)を用いてシールした。なお、得られた耐火被覆構造の断面の高さ方向の寸法は400mmであり、横方向の寸法は540mmであった。
上述のような構成を有するトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造の試験体の両端を耐火材で密封するとともに、ケーブル管路(2)の端部にもセラミックフェルトを充填した後、該試験体の長さ方向の中央部890mmを小型水平炉に上方より設置し、図2に示すRABT曲線に従って最初の5分間で室温から1200℃まで昇温し、1200℃で25分間保持し、その後直線的に冷却して加熱開始から140分後に室温まで冷却した。この時のケーブル管路(2)中の長さ方向の中央部の光ケーブル(4)及び電線ケーブル(5)表面に取り付けられた熱電対(12)により測定した温度のデータを図3に記載した。なお、図3の(A)は光ケーブル(4)表面の温度を示し、(B)は電線ケーブル(5)表面の温度を示すものである。図3のデータからも明かなように、ケーブル表面の最高温度は78℃であり、本発明のトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造は、充分な耐火・断熱性能を有するものである。
なお、加熱試験終了後、耐火被覆構造の内部を調査したところ、小型水平炉にて加熱された帯域の吸熱パック層の個々のセルは破損していることが観察された。
本発明のトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造は、非常に優れた耐火・断熱性能を有すると共に簡便な施工により設置することができ、新設のトンネルは勿論のこと既存のトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造として好適に採用することができるものである。
実施例における本発明のトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造の1実施態様を示すものである。 RABT曲線を示すグラフである。 実施例に示すトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造の試験体を加熱した際のケーブル管路内の温度変化のデータを示すグラフである。
符号の説明
1 ALC板
2 ケーブル管路
3 吊り下げ具
4 光ケーブル
5 電線ケーブル
6 片面にアルミ箔層を有するグラスウール
7 吸熱パック層
8 ケイ酸カルシウム板層
9 鋼製下地
10 ALCめねじプラグ
11 シリコンシーリング剤
12 熱電対

Claims (4)

  1. トンネル内に設置される、内部に1本または複数本のケーブルが付設されたケーブル管路またはケーブル管路の複数本集合体の耐火被覆構造において、トンネル内壁に取り付けられたケーブル管路またはケーブル管路の複数本集合体の外周に断熱マット材が当接して被覆され、断熱マット材の外周にはアルミ箔層が当接して被覆され、更に、その外側がトンネル内壁及び耐火被覆材によって取り囲まれることにより、ケーブル管路またはケーブル管路の複数本集合体がトンネル内の空間から遮断される構成を有し、断熱マット材の密度が24〜48kg/mで、厚さが15〜50mmの範囲内にあり、耐火被覆材は、2枚のフィルム間に区画形成されたセルの中に水または水を含浸させたポリマーよりなる液体またはゲル状の物質よりなる吸熱材を封入し周囲をシールした構成を有し且つ4000〜5000g/mの水分を有する吸熱パック層と、密度が0.8〜1.1g/cmで、厚さが15〜50mmの範囲内にあるケイ酸カルシウム板層とから構成され、吸熱パック層がアルミ箔層と対面するように耐火被覆材が設置されており、RABT曲線に基づいて1200℃で30分の耐火試験を行なった時のケーブル管路の内部温度が85℃以下であることを特徴とするトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造。
  2. トンネル内に設置される、内部に1本または複数本のケーブルが付設されたケーブル管路またはケーブル管路の複数本集合体の耐火被覆構造において、トンネル内壁に取り付けられたケーブル管路またはケーブル管路の複数本集合体の外周に、少なくとも片面にアルミ箔層を備える断熱マット材が、片面にアルミ箔層を有する断熱マット材にあってはアルミ箔層が該外周と接しないように当接して被覆され、更に、その外側がトンネル内壁及び耐火被覆材によって取り囲まれることにより、ケーブル管路またはケーブル管路の複数本集合体がトンネル内の空間から遮断される構成を有し、少なくとも片面にアルミ箔層を備える断熱マット材の密度が24〜48kg/mで、厚さが15〜50mmの範囲内にあり、耐火被覆材は、2枚のフィルム間に区画形成されたセルの中に水または水を含浸させたポリマーよりなる液体またはゲル状の物質よりなる吸熱材を封入し周囲をシールした構成を有し且つ4000〜5000g/mの水分を有する吸熱パック層と、密度が0.8〜1.1g/cmで、厚さが15〜50mmの範囲内にあるケイ酸カルシウム板層とから構成され、吸熱パック層が少なくとも片面にアルミ箔層を備える断熱マット材と対面するように耐火被覆材が設置されており、RABT曲線に基づいて1200℃で30分の耐火試験を行なった時のケーブル管路の内部温度が85℃以下であることを特徴とするトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造。
  3. 吸熱パック層とこれに対面するアルミ箔層との間に空間が設けられている、請求項1または2記載のトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造。
  4. ケイ酸カルシウム板は、マトリックスがトバモライトとゾノトライトとからなり、繊維として20〜60質量%の針状ワラストナイト及び1〜10質量%のセルロースパルプを含有するものである、請求項1ないし3のいずれか1項記載のトンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造。
JP2003283311A 2003-07-31 2003-07-31 トンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造 Expired - Lifetime JP4066179B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003283311A JP4066179B2 (ja) 2003-07-31 2003-07-31 トンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003283311A JP4066179B2 (ja) 2003-07-31 2003-07-31 トンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005046470A true JP2005046470A (ja) 2005-02-24
JP4066179B2 JP4066179B2 (ja) 2008-03-26

Family

ID=34268229

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003283311A Expired - Lifetime JP4066179B2 (ja) 2003-07-31 2003-07-31 トンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4066179B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100844279B1 (ko) 2007-12-13 2008-07-07 주식회사 21세기엔지니어링 소화시설을 구비한 건축용 조립식 케이블 트레이
JP2015171176A (ja) * 2014-03-05 2015-09-28 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 原子力発電所におけるケーブルの耐火構造

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100844279B1 (ko) 2007-12-13 2008-07-07 주식회사 21세기엔지니어링 소화시설을 구비한 건축용 조립식 케이블 트레이
JP2015171176A (ja) * 2014-03-05 2015-09-28 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 原子力発電所におけるケーブルの耐火構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP4066179B2 (ja) 2008-03-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4424867A (en) Heat hardening sealant-gel for flexible couplings
US4265953A (en) Intumescent stressed skin composite material
US8007888B2 (en) Fire protection blanket and associated method
JP4066179B2 (ja) トンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造
CN107564612A (zh) 一种中压耐火电力电缆
CN206541941U (zh) 一种电缆防火防爆毯
JP2006304501A (ja) トンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造
JP4340525B2 (ja) トンネル内ケーブル管路の耐火被覆構造
CN211089101U (zh) 耐高温柔性防火电缆中间接头
WO2021031329A1 (zh) 一种复合式防火拉索
CN217933235U (zh) 一种集肤伴热特种电缆
US3375628A (en) Insulated wall construction for heated surfaces
CN206205203U (zh) 一种保温隔音防火墙体结构
JPH01138921A (ja) 建物耐火スラブの貴通部防火構造
CN210223646U (zh) 一种防火耐腐蚀的高压电缆
JP2003259541A (ja) ケーブル用耐火被覆部材
CN209688349U (zh) 保温材料复合层、管道以及管道***
JP4745852B2 (ja) 沈埋函の柔継手部位の耐火被覆構造
CN207704934U (zh) 阻燃型光纤低压复合电缆
CN215769158U (zh) 一种具有阻燃功能的加强型硅芯管
JPH0560335A (ja) 床暖房部材
CN210271877U (zh) 一种云母陶瓷复合耐火电缆
CN208088677U (zh) 墙面卷材接头结构
CN218471640U (zh) 防爆毯和电缆结构
CN215600141U (zh) 一种建筑用抗冻线缆

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060228

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070607

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070612

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070810

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071218

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071225

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110118

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4066179

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120118

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130118

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130118

Year of fee payment: 5

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130118

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140118

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term