JP2005044997A - 電気回路ユニット - Google Patents

Abstract

【課題】 トランスの製作、及びプリント基板への実装が容易な電気回路ユニットを提供する。
【解決手段】 表・裏層及び適数層からなる内層にそれぞれ導電層を形成し、且つ導電層間を適宜スルーホール７を介して電気的に接続した多層プリント基板６に、複数の回路部品を実装してなる電気回路ユニットＵにおいて、多層プリント基板６の表・裏層及び内層の適宜に形成し、且つ多層プリント基板６の厚み方向に重なった領域に導電層の導電パターンと異なる複数の巻線状導電パターンＷ、Ｘ、Ｙ、Ｚを形成するとともに、各巻線状導電パターンの中央部分の多層プリント基板６に貫通孔を設け、貫通孔にＥ型コア１０１の中脚を多層プリント基板６の表面から挿入し、裏面側でＩ型コア１０２をＥ型コア１０１に磁気的に結合してコア１０と１次巻線及び２次巻線５１とでトランスＴを構成する。
【選択図】 図３

Description

本発明は、多層プリント基板にトランスを始めとする電子回路部品を複数個実装した電気回路ユニットに関する。

従来より、導電パターンが施されたプリント配線基板に複数個の電子回路部品を実装して電気回路ユニットを構成し、例えばインバータ回路を構成する。プリント配線基板上には、トランスが他の電子回路部品（ＩＣやコンデンサ等）とともに実装されている。図１に示すように、従来のトランスＴＲは、合成樹脂等で構成され且つ中空部を有する中空円筒状のボビン１と、このボビン１に巻回した１次巻線及び２次巻線２と、ボビン１の中空部に挿入したフェライト等の磁性材料で構成されるコア３と、を組み合わせて構成されている。

しかしながら、上述のようなトランスＴＲでは、１次巻線及び２次巻線２をボビン１に巻回し、さらに１次巻線及び２次巻線２のリード端末（図示せず）をそれぞれピン４に巻き付けてはんだ付けを行う等の作業が必要であるため、トランスの製作工程が複雑になり、また、トランスの寸法、特に高さ寸法が他の電子回路部品と比較して高くなってしまうため、電気回路ユニットが大型化してしまうという問題があった。

そこで、近年では、導電パターンが施されたシート状の基材を複数枚積層して多層基板を構成するとともに、各基材の導電パターン同士を電気的に接続して１次巻線及び２次巻線を構成し、この多層基板を挟むようにして一対のコアを結合して構成された薄型のトランスが利用されている。
特開平６−２１５９６２号公報

しかしながら、上記特許文献に記載のトランスは、他の電子回路部品と同様にはんだ付けによりプリント配線基板上に実装するものであるため、トランスを構成する多層基板に施された導電パターンから引き出された多数個の外部接続端子をプリント配線基板上の導電パターンにはんだ付けする作業が必要であるため、トランスをプリント配線基板上に実装するのに非常に手間がかかっていた。

本発明は、このような従来技術が有していた問題を解決しようとするものであり、その目的とするところは、トランスの製作が容易であり、且つ多層プリント基板へのトランスの実装が容易に行える電気回路ユニットを提供することにある。

本発明は、上記目的を達成するために、表・裏層及び適数層からなる内層にそれぞれ導電層を形成し、且つ該導電層間を適宜スルーホールを介して電気的に接続した多層プリント基板に、複数の回路部品を実装していずれかの前記導電層に電気的接続してなる電気回路ユニットにおいて、前記多層プリント基板の表・裏層及び内層の適宜に形成し、且つ該多層プリント基板の厚み方向に重なった領域に前記導電層の導電パターンと異なる複数の巻線状導電パターンを形成するとともに、該巻線状導電パターンの中央部分の多層プリント基板に貫通孔を設け、該貫通孔に一対のコアのうち一方のコアのポールを前記多層プリント基板の表面（裏面）から挿入し、裏面（表面）側で他方のコアを前記一方のコアに磁気的に結合して前記一対のコアと前記複数の巻線状導電パターンとでトランスを構成してなることを特徴とする。

また、本発明は、前記一対のコアのうち少なくとも一方はＥ型コアで構成され、前記ポールは該Ｅ型コアの中脚で構成されることを特徴とする。

本発明の電気回路ユニットによると、１次巻線及び２次巻線をボビンに巻回する等の作業が不要であるためトランスの製作が非常に容易であり、また多層プリント基板にコアを装着するだけでトランスが製作できるので製作のばらつきが少なく、特性の安定したトランスが得られる。さらに、はんだ付け作業を行うことなく容易にトランスの多層プリント基板への実装ができ、またボビンが不要なためトランスを薄型にすることができ、その結果、電気回路ユニットの薄型化・小型化が実現できる。

以下、本発明に係る電気回路ユニットの一実施例を図２乃至図７を用いて説明する。図２は、本発明による電気回路ユニットを示す概略斜視図、図３は、図２におけるＭ−Ｍ’線要部断面図、図４は、本発明による多層プリント基板を示す分解斜視図、図５は、本発明によるトランスを構成する巻線状導電パターンを示す平面図で、図５（Ｗ）は多層プリント基板の表層に形成した導電パターンＷであり、図５（Ｘ）、（Ｙ）はそれぞれ異なる内層に形成した導電パターンＸ、Ｙであり、図５（Ｚ）は裏層に形成した導電パターンＺである。また、図６は、本発明によるトランスＴの分解斜視図、図７は、本発明によるトランスの等価回路を示す説明用回路図である。

図２に示すように、電気回路ユニットＵは、種々の導電パターンからなる導電層５が表層・裏層及び内層にそれぞれ施された多層プリント基板６に、トランスＴと、他の複数の電子回路部品（図示せず）とを実装して構成される。

まず、本発明の多層プリント基板６の構造は、図３及び図４に示すように、それぞれ片面に導電層５が配置された導電シートａ、ｂと、両面に導電層５が配置された導電シートｃと、２枚の絶縁シートｄ、ｄ’とからなる。多層プリント基板６は、導電シートａ、ｂの導電層５が配置された面をともに外側に向けるようにして、導電シートａ、絶縁シートｄ、導電シートｃ、絶縁シートｄ’、導電シートｂの順に積層し一体に成形することにより構成されている。

前記各導電層５，５，５には、所望する機能、性能を有する電気回路ユニットＵを得るために必要なコンデンサ、抵抗、各種半導体チップ、マイコン等の電子回路部品を実装するに必要な回路パターン（導電パターン）が設けられている。図２及び図４に一部の導電層５を記載した。また各層の導電層５，５，５（導電パターン）はそれぞれ適宜スルーホールにより電気的に接続されている。

本発明は、このような導電パターンを設けた多層プリント基板６に、各導電層５の導電パターンと異なる導電パターンを形成してトランスのコイルを形成するものである。

すなわち、本発明は、図３及び図５に示すように、多層プリント基板６の表層に巻線状導電パターンＷが、内層に巻線状導電パターンＸ、Ｙが、そして裏層に巻線状導電パターンＺが形成され（図５参照）、また導電シートａ、ｂ、ｃは互いに絶縁シートｄ、ｄ’により電気的に絶縁されている。また、各巻線状導電パターンＷ、Ｘ、Ｙ、Ｚ同士は、適宜スルーホール７を介してそれぞれ電気的に接続され、多層プリント基板６の厚み方向に重なった領域に、トランスＴの１次巻線及び２次巻線５１が形成される。すなわち、各巻線状導電パターンＷ、Ｘ、Ｙ、ＺがトランスＴの１次巻線及び２次巻線５１になるのである。

さらに、各シートａ、ｂ、ｃ、ｄ、ｄ’にはそれぞれ貫通孔８ａ、８ｂ、８ｂ’が設けられており、各シートを積層することにより多層プリント基板６に貫通孔８ａ、８ｂ、８ｂ’が形成される。そしてこの貫通孔８ａ、８ｂ、８ｂ’はそれぞれ、各巻線状導電パターンＷ、Ｘ、Ｙ、Ｚの中央部及び両外側、すなわち１次巻線及び２次巻線５１の中央部及び両外側に設けられる。また、１次巻線及び２次巻線５１は、中央の貫通孔８ａの周囲を巻回する形状に構成されている。

次に、多層プリント基板６にトランスＴのコア１０を装着する方法について図３及び図６に基づいて説明する。コア１０は、フェライト等の磁性材料からなり、Ｅ型コア１０１とＩ型コア１０２とを結合して構成される。

まず、Ｅ型コア１０１の３本のポール９ａ、９ｂ、９ｂ’を多層プリント基板６の表面（又は裏面）より、貫通孔８ａ、８ｂ、８ｂ’にそれぞれに挿入する。この時、Ｅ型コア１０１の中央のポール９ａ（以下、中脚という）は中央の貫通孔８ａに挿入される。そして、多層プリント基板６の裏面（又は表面）側でＩ型コア１０２をＥ型コア１０１に板状の樹脂フィルム１２を介して接合して日の字型のコア１０を形成し、閉磁路を形成する。そして、略コの字型の金具１１の左右の脚１１１、１１１を多層プリント基板６の表面（又は裏面）よりそれぞれ貫通孔８ｂ、８ｂ’の隙間へ挿入し、脚１１１、１１１の先端部にそれぞれ設けた係止部１１２、１１２をＩ型コア１０２の両端近傍にそれぞれ係止させることにより、Ｅ型コア１０１とＩ型コア１０２とを一体に固定する。この時、Ｅ型コア１０１とＩ型コア１０２との間に樹脂フィルム１２を介挿したが、これにより、トランスＴの電流飽和が起こりにくくなるという特性が得られ、また樹脂フィルム１２はＩ型コア１０２と多層プリント基板６の裏層の導電層との電気的絶縁作用も兼ねている。また、Ｅ型コア１０１と多層プリント基板６の表層との間には絶縁紙１３が介挿され、Ｅ型コア１０１と多層プリント基板６の表層の導電層５とを電気的に絶縁している。絶縁紙１３は板状に形成され、貫通孔８ａ、８ｂ、８ｂ’のそれぞれに対応した３つの孔が設けられている。

上記のようにコア１０を多層プリント基板６へ装着することにより、コア１０を構成するＥ型コア１０１の中脚９ａの周囲を、１次巻線及び２次巻線５１が巻回されたトランスＴが形成される。１次巻線及び２次巻線５１は導電層５と電気的に接続されているため、トランスＴは、導電層５を介して他の電子回路部品と電気的に接続される。トランスＴの等価回路は図７のようになり、１次巻線は２個の１次側コイルＰ１、Ｐ２により、また２次巻線は３個の２次側コイルＳ１、Ｓ２、Ｓ３により構成される。

上記実施例は本発明の単に一例に過ぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変形や修正を加えても、本願の特許請求の範囲に包含されることは明らかである。例えば、本発明では、Ｅ型コアとＩ型コアとを金具により一体に固定したが、絶縁テープ等をコアの周りに巻回してＥ型コアとＩ型コアとを一体に固定してもよい。

また、トランスの用途に応じて、多層プリント基板の内層の導電層数や、各導電層の導電パターンの本数等を増減させることにより、１次側コイル及び２次側コイルの数、またトランスの２次側電圧等を任意に変更することも可能である。さらに、ここでは図示しないが、巻線状導電パターンを多層プリント基板の内層にのみ形成することも可能であり、この場合はコアを多層プリント基板に装着する際に、コアと、多層プリント基板の表層及び裏層との間に絶縁紙を介挿する必要がなくなる。

さらにまた、Ｅ型コアの中脚の長さを他の２本のポールよりも短く構成し、Ｅ型コアとＩ型コアとを結合した際に、Ｅ型コアの中脚とＩ型コアとの間を離間させるようにしてもよい。この時、両コアが互いに接触する面に樹脂フィルムを介挿しなくても、上記の実施例のトランスと同様の、電流飽和が起こりにくいというトランスの特性が得られる。

また、図８に示すようにコア１０を、センターポール１０ａとこのセンターポール１０ａを囲むように設けられた筒状ポール１０ｂとからなる筒状コア１０３と、この筒状コア１０３に対置する矩形状又は円形状の板コア１０４とが対になったものを利用してもよい。

従来のトランスの一例を示す概略図。 本発明の一実施例による電気回路ユニットを示す概略斜視図。 図２におけるＭ−Ｍ’線要部断面図。 同じく多層プリント基板を示す分解斜視図。 （Ｗ）は多層プリント基板の表層に形成した導電パターンＷを示す平面図、（Ｘ）、（Ｙ）はそれぞれ異なる内層に形成した導電パターンＸ、Ｙを示す平面図、（Ｚ）は裏層に形成した導電パターンＺを示す平面図。 同じくトランスを示す分解斜視図。 同じくトランスの等価回路を示す説明用回路図。 同じくコアの他の実施形態を示す斜視図。

符号の説明

Ｕ 電気回路ユニット
Ｔ トランス
５ 導電層
５１ １次巻線及び２次巻線
６ 多層プリント基板
７ スルーホール
８ａ、８ｂ、８ｂ’ 貫通孔
９ａ 中脚
９ｂ、９ｂ’ ポール
１０ コア
１０１ Ｅ型コア
１０２ Ｉ型コア
１０ａ センターポール
１０ｂ 筒状ポール
１０３ 筒状コア
１０４ 板コア
１１ 金具
１１１ 脚
１１２ 係止部
１２ 樹脂フィルム
１３ 絶縁紙
Ｗ、Ｘ、Ｙ、Ｚ 導電パターン
ａ、ｂ、ｃ 導電シート
ｄ、ｄ’ 絶縁シート
Ｐ１、Ｐ２ １次側コイル
Ｓ１、Ｓ２、Ｓ３ ２次側コイル

Claims (2)

1. 表・裏層及び適数層からなる内層にそれぞれ導電層を形成し、且つ該導電層間を適宜スルーホールを介して電気的に接続した多層プリント基板に、複数の回路部品を実装していずれかの前記導電層に電気的接続してなる電気回路ユニットにおいて、前記多層プリント基板の表・裏層及び内層の適宜に形成し、且つ前記多層プリント基板の厚み方向に重なった領域に前記導電層の導電パターンと異なる複数の巻線状導電パターンを形成するとともに、該巻線状導電パターンの中央部分の前記多層プリント基板に貫通孔を設け、該貫通孔に一対のコアのうち一方のコアのポールを前記多層プリント基板の表面（裏面）から挿入し、裏面（表面）側で他方のコアを前記一方のコアに磁気的に結合して前記一対のコアと前記複数の巻線状導電パターンとでトランスを構成してなることを特徴とする電気回路ユニット。
2. 前記一対のコアのうち少なくとも一方はＥ型コアで構成され、前記ポールは該Ｅ型コアの中脚で構成されることを特徴とする請求項１に記載の電気回路ユニット。

Images