JP2005044016A - 製品の回路設計支援方法及び回路設計支援システム - Google Patents
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Abstract
【課題】経験の浅い設計者にも、一定水準以上の品質で、しかも短い期間で、設計を行わせる。
【解決手段】製品の回路設計に必要となる設計仕様、回路構成部品、設計項目相互間の関係をデータベースに登録する構築工程と、設計者に前記設計仕様の内容の決定を促す設計仕様決定工程と、設計仕様と回路構成部品との関係に基づいて、回路構成部品の決定を設計者に促す回路構成部品決定工程と、構築工程で登録された前記設計項目と前記設計仕様若しくは前記回路構成部品との関係に基づいて、前記特定機種に必要な設計項目を抽出し、設計者に提示する設計項目抽出工程と、設計項目抽出工程で提示された設計項目の具体的な作業内容を、設計者に提示し、設計者をナビゲートして当該作業内容の遂行を促す設計項目遂行工程と、を具備することを特徴とする設計支援方法。
【選択図】 図2
【解決手段】製品の回路設計に必要となる設計仕様、回路構成部品、設計項目相互間の関係をデータベースに登録する構築工程と、設計者に前記設計仕様の内容の決定を促す設計仕様決定工程と、設計仕様と回路構成部品との関係に基づいて、回路構成部品の決定を設計者に促す回路構成部品決定工程と、構築工程で登録された前記設計項目と前記設計仕様若しくは前記回路構成部品との関係に基づいて、前記特定機種に必要な設計項目を抽出し、設計者に提示する設計項目抽出工程と、設計項目抽出工程で提示された設計項目の具体的な作業内容を、設計者に提示し、設計者をナビゲートして当該作業内容の遂行を促す設計項目遂行工程と、を具備することを特徴とする設計支援方法。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ある製品の特定機種の設計作業を行う設計者に対し、当該設計者が行うべき作業内容を提示する他、種々の方法で設計者をナビゲートする設計支援方法及び設計支援システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来は、ある製品の回路を設計する場合には、試行錯誤を繰り返しながら、必要な回路構成部品、回路構成部品相互の位置関係、等を決めながら設計していた。これまでは、一定以上のレベルを維持しながら短期間で設計できるようになるためには、1人の設計者が同一カテゴリーの製品の回路設計を何度も繰り返すことが必要だった。また、このように同一カテゴリーの製品の回路設計を何度も繰り返すことによって、次第にその製品の回路設計に慣れ、独自に設計ノウハウを獲得することができるようになるが、そのようなノウハウは、通常その設計者個人のものであり、別の設計者との間でそのようなノウハウを共有することは難しかった。
【0003】
ここで、過去の同種の製品の設計仕様を蓄積したデータベースを検索して、現在設計中の製品の部品の選択の参考とする技術は特許文献1に記載されている。
【0004】
しかしこの技術は、データベースを検索して、現在設計中の製品の部品の選択の参考とするに留まり、実際の設計時に考慮すべき設計仕様、設計項目については設計者をナビゲートするのが困難であった。
【0005】
【特許文献1】
特許第3288686号「設計支援装置及び設計支援プログラム」公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
製品購入者の要求が多様化し、多品種少量生産が一般化してくると、同一カテゴリーの製品であっても多数の機種を短時間のうちに次々と市場に投入する必要が生じ、それにともなってそれぞれの機種の設計に要する期間を大幅に短縮したいという要望が強まっている。このため多くの製品の回路設計現場で、経験の浅い設計者にも、一定水準以上の品質で、しかも短い期間でそれぞれの機種の設計をさせることが重要な課題となってきた。
【0007】
そのためには、製品の回路設計時に考慮すべき回路構成部品、設計仕様、設計項目、の全てについて設計者をナビゲートする必要がある。
【0008】
本発明は、このような課題を解決することを目的の一つとする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的および他の目的を解決するために、本発明では、コンピュータを使って、ある製品の回路設計を行う設計者を支援する設計支援方法であって、前記製品の回路設計に必要となる設計仕様、回路構成部品、設計項目、前記設計仕様と前記回路構成部品との関係、そして前記設計項目と前記設計仕様若しくは前記回路構成部品との関係をコンピュータ上で定義してデータベースに登録する構築工程と、前記製品の特定機種について、コンピュータによって、設計者に前記設計仕様の内容の決定を促す設計仕様決定工程と、前記構築工程で登録された設計仕様と回路構成部品との関係に基づいて、前記特定機種で用いる回路構成部品を前記データベースから抽出して設計者に提示し、必要に応じて追加・変更・削除を行って回路構成部品の決定をコンピュータ上で設計者に促す回路構成部品決定工程と、前記構築工程で登録された前記設計項目と前記設計仕様若しくは前記回路構成部品との関係に基づいて、コンピュータによって、前記特定機種に必要な設計項目を抽出し、設計者に提示する設計項目抽出工程と、前記設計項目抽出工程で提示された設計項目の具体的な作業内容を、コンピュータによって設計者に提示し、設計者をナビゲートして当該作業内容の遂行を促す設計項目遂行工程と、を具備することを特徴とする設計支援方法を開示する。
【0010】
これによって、設計者をナビゲートして当該作業内容に従って作業を進めれば、どういう手順で具体的にどのような作業を行えばよいかを詳しく知らないような、当該製品の回路設計経験が浅い設計者でも、一定以上の水準で設計を行うことが可能となり、しかも、設計に要する期間も短縮できる。
【0011】
好ましい態様では、本発明の設計支援方法は、前記構築工程において、各設計項目についてそれぞれの時間的な先後関係を設定するとともに、前記設計項目抽出工程において抽出された設計項目について、それぞれに設定されている前記先後関係に基づいてコンピュータ上で設計フロー図を作成し、設計者に提示することを特徴とする。
【0012】
これによって、設計者が、設計作業全体の流れを容易に把握することができる。
【0013】
また、別の好ましい態様では、前記構築工程において、各設計項目に関連するドキュメントを、それぞれの設計項目と関連づけてデータベースに登録しておき、前記設計項目遂行工程において、設計者が設計項目の具体的作業を行うときに当該設計項目と関連づけられたドキュメントが有るときは、その内容を抽出して設計者に提示することを特徴とする。
【0014】
これによって、設計者が設計作業の各ステージにおいて、熟練者等の残した関連ドキュメントを参照することによって、設計に関して初心者であっても、設計に関する重要なノウハウを共有することが出来る。
【0015】
別の好ましい態様では、前記ドキュメントが特許公報である。
【0016】
これによって、設計作業中に、他社の特許の抵触可能性を認識し、全ての設計作業、場合によっては販売直前での、他社特許を原因とする、設計やり直しや製造中止等の事態を未然に防ぐことができる。
【0017】
また、別の好ましい態様では、前記構築工程において前記各回路構成部品のコストをデータベースに登録するコスト登録工程と、前記回路構成部品決定工程で各回路構成部品が決定される度に、当該各回路構成部品毎のコストを前記データベースから読み出し、それまでに決定された各回路構成部品のコストの累計を表示する、回路構成部品コスト累計表示工程、を更に含む。
【0018】
これによって、設計作業中に、現時点での累積コストを認識することができ、最終目標コストを意識しながら、各部品への適切なコスト配分を考慮することが可能となる。また、設計完了時点でコストを大幅にオーバーしていることを発見し、それから再度設計をやり直すといった、迂遠な作業を回避できる。
【0019】
更に別の好ましい態様では、前記設計項目遂行工程において、一旦終了した設計項目を、得られたデータは残して未終了の状態に戻し、再度当該設計項目の遂行をやり直すことを可能にする工程をさらに含んでいることを特徴とする。
【0020】
このようにすることによって、設計作業を一部やり直したいときにも、既に行った設計作業を無にすることなく、かつ、容易に、必要な設計項目のみを再設計することが可能となる。
【0021】
本発明の別の態様によれば、ある製品の回路設計を行う設計者を支援する設計支援システムであって、前記製品の回路設計に必要となる設計仕様、回路構成部品、設計項目、前記設計仕様と前記回路構成部品との関係、そして前記設計項目と前記設計仕様若しくは前記回路構成部品との関係を定義してデータベースに登録する構築手段と、前記製品の特定機種について、設計者に前記設計仕様の内容の決定を促す設計仕様決定手段と、前記構築工程で登録された設計仕様と回路構成部品との関係に基づいて、回路構成部品を前記データベースから抽出して設計者に提示し、必要に応じて追加・変更・削除を行って回路構成部品の決定を設計者に促す回路構成部品決定手段と、前記構築工程で登録された前記設計項目と前記設計仕様若しくは前記回路構成部品との関係に基づいて、前記特定機種に必要な設計項目を抽出し、設計者に提示する設計項目抽出手段と、前記設計項目抽出手段で提示された設計項目の具体的な作業内容を設計者に提示し、当該作業内容の遂行を設計者に促す設計項目遂行手段と、を具備する。
【0022】
これによって、設計者をナビゲートして当該作業内容に従って作業を進めれば、どういう手順で具体的にどのような作業を行えばよいかを詳しく知らないような、当該製品の回路設計経験が浅い設計者でも、一定以上の水準で設計を行うことが可能となり、しかも、設計に要する期間も短縮できる。
【0023】
好ましい態様では、前記構築手段は、各設計項目についてその親情報を設定する機能を有し、前記設計項目抽出手段によって抽出された設計項目について、それぞれに設定されている前記親情報に基づいて設計フロー図を作成し、設計者に提示する手段を有することを特徴とする。
【0024】
これによって、設計者が、設計作業全体の流れを容易に把握することができる。
【0025】
また、別の好ましい態様では、前記構築手段は、各設計項目に関連するドキュメントをそれぞれの設計項目と関連づけてデータベースに登録する機能を有し、前記設計項目遂行手段において、設計者が設計項目の具体的作業を行うときに当該設計項目と関連づけられたドキュメントが有るときは、その内容を抽出して設計者に提示する手段を有する。
【0026】
これによって、設計者が設計作業の各ステージにおいて、熟練者等の残した関連ドキュメントを参照することによって、設計に関して初心者であっても、設計に関する重要なノウハウを共有することが出来る。
【0027】
別の好ましい態様では、前記ドキュメントが特許公報である。
【0028】
これによって、設計作業中に、他社の特許の抵触可能性を認識し、全ての設計作業、場合によっては販売直前での、他社特許を原因とする、設計やり直しや製造中止等の事態を未然に防ぐことができる。
【0029】
さらに、前記構築手段が、前記回路構成部品のコストをデータベースに登録するコスト登録手段を備え、前記回路構成部品決定手段が、各回路構成部品が決定される度に、当該各回路構成部品毎のコストを前記データベースから読み出し、それまでに決定された各回路構成部品のコストの累計を表示する、回路構成部品コスト累計表示手段、を備える設計支援システムも開示されている。
【0030】
これによって、設計作業中に、現時点での累積コストを認識することができ、最終目標コストを意識しながら、各部品への適切なコスト配分を考慮することが可能となる。また、設計完了時点でコストを大幅にオーバーしていることを発見し、それから再度設計をやり直すといった、迂遠な作業を回避できる。
【0031】
別の好ましい態様によれば、前記設計項目遂行手段は、一旦終了した設計項目を、得られたデータは残して未終了の状態に戻し、再度当該設計項目をやり直すことを可能にする手段を有する。
【0032】
このようにすることによって、設計作業を一部やり直したいときにも、既に行った設計作業を無にすることなく、かつ、容易に、必要な設計項目のみを再設計することが可能となる。
【0033】
なお、本明細中で「設計仕様」という用語は例えば、受信信号QPSK、回路基板の大きさ1000mm×1000mm、駆動電圧15V、等の全体的な性能を意味し、「回路構成部品」という用語は、回路構成部品名及び、回路構成部品の(1)材質、(2)選定方法、(3)位置、(4)部品間の配線、等の部品レベルでの決定事項を意味する。
【0034】
つまり両者は、回路構成部品を積み上げてゆくことで、ある設計仕様が決まる、という関係にある。
【0035】
また、「設計項目」とは例えば、信号変調部の設計というような、設計要素をある程度小さく分解した項目を意味する。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照しながら、本発明の実施の一形態として実現した設計ナビゲーションシステムについて説明する。本実施形態の設計ナビゲーションシステムは、基本的に、コンピュータと、このコンピュータ上で実行されるコンピュータ・プログラムにより構成されている。
【0037】
本実施形態の設計ナビゲーションシステムは、大きく分けて、「構築モード」と「実行モード」、という二つのモードに分けられる。
【0038】
「構築モード」とは、ある製品、例えば携帯電話の送受信信号、使用されることが予想される製品、部品相互間の位置関係、各部位の消費電力などを設計するために必要とされる設計仕様、用いられることが予想される回路構成部品、作業が必要になると予想される設計項目を、コンピュータ上で相互に関連付けてデータベースに登録する機能である。すなわち、設計者の設計作業をナビゲートするために必要とされる情報を、設計作業に先立って予め準備するモードである。
【0039】
一方、「実行モード」は、前記構築モードで準備された情報に基づいて、ある製品の特定機種(例えば携帯電話という製品の特定の一機種)の回路を、例えばCADシステム上で設計する、設計者の実際の設計作業をナビゲートするモードである。この実行モードは、本実施形態においては、設計作業の内容を考慮して「構想設計」と「詳細設計」という二つの段階に分けられている。
【0040】
「構想設計」では、当該機種を設計するのに必要な設計項目の抽出と、それらの設計項目決定を実行する順番を示す設計フローを作成する。
【0041】
「詳細設計」では、構想設計で示された設計フローに従って、詳細設計者にその時々に設計すべき設計項目を提示し、その設計項目の中で必要な設計作業を促す。
【0042】
ただし、「構想設計」、「詳細設計」という分け方は一例に過ぎず、本発明がこのような分け方に限定されるものではなく、実行モードを一つの一連の手続きとしたり、3つ以上に分ける場合も当然に考えられる。
【0043】
本実施形態の設計ナビゲーションシステムを起動すると、まず、ログイン画面(不図示)が現れ、ここで権限のあるユーザーのユーザー名とパスワードを入力して「OK」ボタンをクリックすると、図1に示すダイアログボックスが表示される。このダイアログボックスには、前述の「構築モード」、「構想設計」、「詳細設計」の選択ボタンが表示され、これらの中から何れかクリックして選択できるようになっている。以下では、「構築モード」、「構想設計」、「詳細設計」の順に本実施形態の設計ナビゲーションシステムを説明する。
【0044】
[構築モード]
この「構築モード」では、前述のように、構想設計及び詳細設計における設計者の設計作業をナビゲートするのに必要な情報を、設計作業に先立って予めコンピュータ上で準備し、データベースに登録する。図2は、構築モードにおける作業の全体的手順を示した流れ図である。
【0045】
以下では、この構築モードで、携帯電話の設計を行う作業者を支援するためのシステムとして構築する場合を説明する。製品のカテゴリーが携帯電話であっても、機種が異なれば設計内容も当然異なる。しかしながら、携帯電話という同じカテゴリーの製品であれば、機種が異なっても共通する部分は非常に多い。したがって、構築モードで、携帯電話の設計に関する基本的な情報を登録しておくことによって、この登録された内容を利用して、個々の機種の携帯電話を設計する設計者をナビゲートすることができる。
【0046】
図1のダイアログボックスの「構築モード」には、「権限マスタ」、「ユーザマスタ」「設計項目登録」「設計規格登録」、「回路構成部品登録」、「必要条件」の6つの選択肢が表示されており、この中からこれから行おうとする作業を選択してクリックする。ここで、「設計項目登録」は図2における「設計フローを構成する設計項目の登録」(S204参照)という作業に該当し、「設計規格登録」は図2の流れ図における「設計仕様の登録」(S203参照)という作業に該当し、「回路構成部品登録」は図2における「回路構成部品となる部品の登録」(S202参照)という作業に該当する。
【0047】
まず、「設計規格登録」(S203参照)について説明する。図1のダイアログボックスで「設計規格登録」のボタンをクリックすると、図3の画面が現れる。これは、設計規格、言い換えると、設計仕様を登録するためのダイアログボックスである。なお、図3では、「設計規格ツリー」という欄に既に「設計仕様1」等の設計規格名が登録されているが、システムを稼働した当初はこのような設計規格名は登録されていない。設計規格名を登録するには、この部分を右クリックして現れるいくつかの選択肢の中から「追加」というボタン(不図示)をクリックして現れる設計規格名の入力欄において、相応しい名前を入力し、リターンキーを押すことによって、「設計規格ツリー」という欄の最後に、たった今入力した名前が追加される。
【0048】
このようにして追加した設計規格名に対して、右側の「設計規格値」というものを関連付けて登録することができる。この場合の設計規格値が、設計の際に設計者が複数の設計規格値の選択肢から適切な値を選択する、という形態にする場合には、選択肢となる複数の値を入力して登録する。
【0049】
図3の例では、「設計仕様1」という設計規格名に対して、「値1α」及び「値1β」という2つの値が選択肢として登録されている(「値1α」及び「値1β」の具体例としては、「駆動電圧=10V」や「変調信号=QPSK」が挙げられる)。また、下部の「設計規格に関するコメントを入力して下さい」という欄には、この「設計規格」に関する何らかの情報をコメントとして記載することができる。また、「設計規格に関するコメントを入力して下さい」という欄に記載されたコメントは、詳細設計を行う際に、作業者が簡単に参照できる有用な情報となる。以下同様にして、設計規格ツリーの欄に、必要とされる設計仕様を登録してゆき、併せて、それぞれの設計仕様に対して適切な設計規格値を登録してゆく。
【0050】
次に、「回路構成部品登録」(S202参照)について説明する。図1のダイアログボックスで「回路構成部品登録」ボタンをクリックすると、図4の画面が現れる。これは、設計作業において使用されることが予想される回路構成部品を登録するためのダイアログボックスである。図4の場合も、「回路構成部品」の欄には最初は何も登録されていない。回路構成部品を登録するには、「回路構成部品」の欄で右クリックし、現れるいくつかの選択肢の中から「追加」というボタン(不図示)をクリックし、回路構成部品名の入力欄が現れたら、相応しい名前を入力してリターンキーを押す。これにより、「回路構成部品」欄の最後に、たった今入力した名前が追加される。このように、回路構成部品の登録は簡単な操作によって行うことができる。
【0051】
さらに、入力された回路構成部品に関する情報を、「回路構成部品」欄の右側の欄において登録する。ここでは「回路構成部品1」という回路構成部品に関する情報を登録する場合を説明する。この例では、「回路構成部品1」について回路構成部品タイプAのタイプを用意したいので、右側の”3列”には「回路構成部品タイプ名=タイプA」というフィールドを作った状態を示している。
【0052】
C列には「部品タイプ」「部番」「材質」「コスト」「外部設計」というフィールドを作ってあり、この場合には3列にそれぞれこれらの属性に対応する「タイプA」「IN0001」「ABS」「100」「□(チェック用のチェックボックス)」が入力される。
【0053】
なお、ここで、「外部設計」とは外注のことを意味する。外部設計にチェックを行うと、部品としては登録されるが、実際の設計を行わない。
【0054】
また、各回路構成部品の「コスト」を登録しておくことで、後述の構想設計段階で、使用することが選択された回路構成部品のコストを累積し、当該コストを累積表示することが可能となる。
【0055】
これらのフィールドは、構築モードで作業をする者が任意に定義することができる。そして、予め用意されたこれらの各フィールドに対して、作業者は必要な値や文字を入力してゆく。
【0056】
回路構成部品については、設計仕様との関連を定義する必要がある。A列に「回路構成部品1」で適用が想定される「設計規格名」「設計仕様1」「設計仕様2」「設計仕様3」の項目名、B列にA列のそれぞれの属性に対応する「設計規格値」「値1α」「値2β」「値3γ」が設定されている(上述のように、「値1α」,「値2β」及び「値3γ」の具体例としては、「駆動電圧=10V」や「変調信号=QPSK」が挙げられる)。作業者は、このマトリックスの希望するセル上で右クリックし、表示される「抽出条件として設定」を選択すると、そのセルには「○」印が表示される。
【0057】
図4の例では、”3列”で”○”印が付けられた「設計仕様2」での「値2β」が、本「回路構成部品1」と関連付けられた設計仕様となる。即ち、「回路構成部品1」の「タイプA」という回路構成部品には、設計仕様2の値2βという設計仕様が関連付けられている。
【0058】
このように簡単に、回路構成部品とその回路構成部品に関連する設計仕様との関係を定義することができ(S205参照)、ここで定義された関係が、後の実行(構想設計及び詳細設計)において有効利用される。すなわち、例えば、構想設計において「設計仕様1」で作業者が「値2β」を選択(図11のS1205参照)したとすると、それに合致する回路構成部品として「回路構成部品1」の「タイプA」が抽出される(S1206参照)。このように対応する回路構成部品が自動的に抽出されるので、設計作業を行う者が経験の浅い者であっても、必要かつ適切な回路構成部品を選択することが可能となる。
【0059】
次に、「設計項目登録」(S204参照)について説明する。図1のダイアログボックスで「設計項目登録」ボタンをクリックすると、図5A(画面左半分に表示)及び6B(これが画面右半分に表示)の画面が画面の左右に分割されて現れる。これは、設計項目自体の登録(図5A)と、特定の設計項目(ここでは「設計項目1−1−2」)に関するプロパティを入力・編集して登録(同図右側:図5B)するためのダイアログボックスである。ただし、図5の例は、既に設計項目の登録がある程度進んだ段階でのダイアログボックスであり、実際に最初に構築モードを立ち上げた段階では、図5Aのツリー表示において「本体」の下位の階層である「回路構成部品1」等までは登録が済んでいるが、さらにその下位の階層である「部位1−1」や「設計項目1−1−1」等に関しては、当初は登録されていない。この場合は、作業者が所定の手順で一つ一つ「部位」や「設計項目」を登録してゆくことができる。
【0060】
ここで、「部位」とは、例えば「信号の変調回路」という回路構成部品の中の、例えば「信号変調部位」「フィルタ部位」「信号増幅部位」等を意味する。
【0061】
図5Bのダイアログボックスでは、設計項目と、それ以外の項目(その設計項目の実行に必要な標準時間、関連特許公報など)を登録できるようになっている。新たに設計項目を登録すると、その設計項目はこのツリーの所定位置に表示される。ツリーの階層の深さは、構築作業のし易さ等を考慮して、作業者が自由に決めることができる。ただし、本実施形態のシステムでは、最も下の階層を設計項目とするというルールを定めてある。登録した項目を、それが設計項目である旨を登録するためには、別途作業者がその旨を指定する。一例として、新たに「設計項目1−1−2」をツリーの最も下の階層に登録した状態で、これを設計項目として指定する場合には、図5Bに示したプロパティを入力・編集するダイアログボックスの各欄に、作業者がこの設計項目に関する情報を入力してゆく。
【0062】
図5Bのダイアログボックスには、その最上部に、このプロパティの入力・編集ダイアログボックスが「設計項目1−1−2」のものであることを示す、「設計項目名」が表示されている。その下には、「前設計項目」、「設計項目定義」、「標準時間」、「権限」、「チェック項目」、「関連ノウハウ」という各欄が設けてある。
【0063】
「前設計項目」には、その設計項目の決定が実行されるために完了していなければならない設計項目、すなわち親項目を定義する欄である。これは図5Aに示すように、ツリー表示から、親項目としたい「設計項目1−1−1」を、図5Bの「前設計項目」の欄にドラッグ&ドロップすることによって、図5Bのダイアログボックスに示すように「前設計項目」欄に「設計項目1−1−1」が表示され、これによって「設計項目1−1−2」の親項目が「設計項目1−1−1」である旨が定義される。
【0064】
なお、親項目とする設計項目は一つとは限らない。ある設計項目の設計を開始するために、複数の設計項目が完了していなければならないという場合があり得るからである。各設計項目についてすべての親情報が設定されると、図5の「シミュレート」ボタンをクリックすることによって、設定した内容に論理的な矛盾がないかどうかを自動的に調べることができる。これは、予め用意されているシミュレータのプログラムが実行されることによる。
【0065】
なお、図5の「設計項目定義」には、その設計項目の定義事項や補足説明を入力する。
「標準時間」には、その設計項目を始めてから完了するまでの標準的時間を登録する。
「権限」には、その設計項目を取得する権限を設定する。
「チェック項目」には、その設計項目でのチェック項目を登録する。
「関連ノウハウ」には、過去のトラブル情報、特許情報などの設計項目に関連するノウハウを登録する。
【0066】
次に、「必要条件」について説明する。図1のダイアログボックスで「必要条件」ボタンをクリックすると、図6の画面が現れる。図6の「必要条件」欄は、図5A、Bで設定した設計項目と、前述の設計仕様若しくは回路構成部品とを関連付ける(S206参照)ための欄である。
【0067】
図5Aに列挙された多数の設計項目は、ある製品のある機種の回路設計に必要な設計項目だけでなく、このシステムを利用して設計を行う際に必要となるすべての設計項目が網羅されている。例えば、携帯電話という製品のある一つの機種の設計に必要な設計項目が300程度で、この機種に限らずこのシステムを利用して設計しようとする携帯電話の全機種の設計に必要な設計項目が数千に及ぶとすると、ある製品の特定機種の設計に必要とされる設計項目は、ここに列挙された設計項目の一部のみである。この場合、図5Aのツリーには、この数千の設計項目が全て列挙される。この特定機種の設計に必要とされる設計項目を全ての設計項目の中から抽出するための条件を定義するのが、図6右側のダイアログボックスの「必要条件」欄において設定された情報である。
【0068】
「必要条件」欄の右側にある「追加」ボタンをクリックすると、図7に示すダイアログボックスが現れる。ここには、図3及び図4のダイアログボックスを介して既に登録されている設計仕様及び回路構成部品が全て表示される。図7のダイアログボックスで、左側の「回路構成部品一覧」から所定の回路構成部品を選び、その先頭のチェックボックスをクリックすると、チェックボックスにはチェックマークが表示される。これにより、この設計項目(図7の例では「設計項目1−1−2」)と、特定の回路構成部品とが関連付けられたことになる。同様に、図7右側の「設計仕様一覧」から所定の設計仕様を選び、その先頭のチェックボックスをクリックすると、チェックボックスにはチェックマークが表示される。これにより、個々の設計項目(設計項目1−1−2)と、特定の設計仕様(設計仕様1=値1a)とが関連付けられたことになる。
【0069】
このようにして関連付けられた設計仕様及び回路構成部品は、実行モードにおいて、設計仕様や回路構成部品から設計項目を抽出(S1208参照)する際の情報として用いられる。
【0070】
次に、図5Bにおいて、「関連ノウハウ」欄の右にある「+」ボタンを押すと、図8が立ちあがる。図8は、関連ノウハウを登録する方法を示した図である。予めデータベースには、設計作業に関連する種々のノウハウが多数のドキュメントとして格納されている。これらのドキュメントは、熟練設計者などから聞き取り調査を行って作成したり、あるいはこのシステムを利用して設計作業を積み重ねたりする間に蓄積されるものである。ここでは、格納されているこれらのドキュメントの中から必要なものを、それぞれの設計項目に関連付ける作業を行う。
【0071】
図8に示すように、関連ノウハウとして登録できるドキュメントが格納されているフォルダ内のファイルをリストアップするダイアログボックスが表示される。これらのファイルは、例えばエクセルやワード(いずれもマイクロソフト社の登録商標)などの一般的なファイルとして格納されたドキュメントである。これらのドキュメントの内容は、その設計項目に関連する特許情報、製品の不具合に関する情報、設計作業上注意すべき点、そしていわゆるノウハウなどである。
【0072】
作業者は、図8の中から適切なドキュメント(本図中には代表例として「特許公報」が挙げられている)を選択して、「開く」ボタンをクリックすると、図9に示すように、選択したドキュメントが「関連ノウハウ」欄に登録される。また、一度登録したが不必要だと判断したドキュメントについては削除することもできる。なお、実際にこの部分に登録されるのは、ここに表示されたドキュメントへのパスであり、後述の詳細設計の際に、作業者がいずれかのドキュメントをクリックすると、そのドキュメントに紐付けされたアプリケーションが自動的に起動し、当該ドキュメントがそのアプリケーションに読み込まれて表示されるようになっている。
【0073】
設計項目1−1−2について、図5Bのプロパティ編集画面の入力が済んだら、右上の「閉じる」ボタンをクリックすることによって、ここに入力された内容が「設計項目1−1−2」のプロパティとして保存される。
【0074】
前述のように、設計項目と設計項目以外の項目は、相互に変更することができる。例えば、図5Aに表示されている「設計項目1−1−1」をマウスで選択すると、ツリーの右側に「シミュレート対象とする」というボタン(不図示)が現れ、これをクリックするとその項目は設計対象として登録される。設計項目として登録するとは、換言すれば、設計フローを構成する一つ一つの要素になるということでもある。一方、既に設計項目として登録されている項目をマウスで選択すると、ツリーの右側には「シミュレート対象から外す」ボタンが現れる。そこでこのボタンをクリックすると、その項目は設計項目から外される。かかる操作を適宜行って、各項目の追加、変更、削除、並びに設計項目への登録及び解除を行ってゆく。
【0075】
前述のように、図5Aでは、「設計項目1−1−1」と同じ最も下位の階層にある項目はすべて設計項目として登録されており、この名称の前に表示されている三角マークが、設計項目として登録されたことをグラフック的に示している。
【0076】
一方、これより上の階層にある全ての項目は、設計項目としては登録されておらず、これらの前に表示されている「逆くの字」マーク(「右向きマーク」という)は、その旨をグラフィック的に示している。
【0077】
「三角マーク」のついた項目は設計項目であるから、シミュレート対象でもある。この場合は、「シミュレート対象から外す」ボタンがクリックできる状態になっており、これをクリックすると、この項目はシミュレート対象(設計項目)ではなくなって、その項目の前に表示されたマークは「右向きマーク」に変わる。ただし、この場合でも、その項目に対して図5Aのダイアログボックスで入力したプロパティに関する情報は削除されずに保存され、後の利用に供することができる。逆に、「右向きマーク」がついた項目を選択状態にすると、「シミュレート」ボタン(不図示)がクリックできる状態となり、これをクリックすると、この項目はシミュレート対象、すなわち設計項目となって、その項目の前に表示されたマークは「三角マーク」に変わる。
【0078】
図5A上右端のダイアログボックスの」「シミュレート」ボタンをクリックすると、すべての項目の中からシミュレート対象となっている設計項目を抽出し、それぞれの設計項目について前述の「前設計項目」を参照して図10に示すような設計フローを作成する。ただし、この設計フローは試験的なものであって、最終的な設計フローではない。
【0079】
以上述べた「構築モード」の具体的な運用方法をまとめると、以下のようになる。ある事業所が製品として例えば携帯電話の開発・設計を行うにあたり、今後このシステムを利用して個々の機種の設計作業を支援するという場合には、まず、携帯電話の設計に詳しい技術者から、どのような設計項目、どういった設計仕様、どのような回路構成部品が必要であるかについての聞き取り調査を行い、その結果を、図3、図4、図5の画面を介して、大きく分けて設計仕様、回路構成部品、設計項目を登録してゆくという作業を行う。そして、各設計項目に対しては、図5右側に示したプロパティ入力・編集の画面において、必要な情報を入力してゆく。
【0080】
このように、構築モードにおいて、製品の設計仕様、回路構成部品、そして設計項目等の必要な情報が十分に登録されることによって、以下の実行モードの「構想設計」及び「詳細設計」において、同一カテゴリーに属する製品の特定の機種を実際に設計する設計者をナビゲートすることができる。
【0081】
[構想設計]
次に、実行モードの一つである構想設計について説明する。図11は、構想設計における作業手順の概略を示した流れ図である。図1の画面で「構想設計」ボタンをクリックすると、図12に示すダイアログボックスが表示される。このダイアログボックスには、既にあるオーダーがリスト表示されており、その中から自分が構想設計を担当するオーダー(機種)を選ぶという手順になっている。図12の例では、「開発−02」という名称のオーダーが一つだけ表示されている。一方、オーダーがまだない場合には、自分でオーダーを作ることもできる。
【0082】
図12のダイアログボックスにおいて、「開発−02」をクリックすると、図13に示す「開発機種設計規格」のダイアログボックスが現れる。図13のダイアログボックスは、携帯電話の設計に必要な設計仕様(中程の「設計規格名」欄にリスト表示されている「設計仕様1」、「設計仕様2」、「設計仕様3」、・・・)について、その内容、即ち設計値を、「設計値」の空欄を埋めるという態様で入力してゆく画面(S1205参照)である。
【0083】
ただし、各設計仕様についての入力作業を簡単にするとともに、経験の浅い設計者のために設計上のヒントを与えるために、類似の機種の開発が過去に行われている場合には、その機種の設計値を流用することができる。過去に設計された機種の設計値の一部を流用する場合には、図13のダイアログボックス中央の「流用機種」という入力ボックスの右側にある下向き矢印をクリックして登録されている機種を選択することができる。図13は、ここで「開発−01」という機種を選択したことによって、その「開発−01」の設計値が「流用値」の欄に表示された状態を示している。
【0084】
なお、図13では、「設計値」「流用値」の欄に、「値1a」等と入力されているが、実際には具体的な数値などが入力される。例えば「設計仕様」が回路基板の寸法である場合は、その寸法が所定の長さ単位で入力され、また、「設計仕様」が消費電力測定で合格しなければいけない「消費電力」であるならば、例えば1Wといった値が入力される。構想設計者は、この「開発−01」の各設計仕様の設計値を参考にしながら、今回新たに開発しようとする「開発−02」の各設計仕様を決めてゆく。例えば携帯電話を設計する場合のように、機種が異なっても多くの部分について同じ設計仕様でよい場合には、過去に作成した設計仕様の多くを流用できるので、従来のように一から設計仕様を作成する場合に比べ、作業時間の短縮が図られる。
【0085】
先に構築モードにおいて説明したように、各設計仕様と回路構成部品の関係が定義され(図4)、データベースに登録されているので(S205)、設計仕様が決まると、その設計仕様に基づいた回路構成部品を、予めデータベースに登録されている回路構成部品の一覧から自動的に抽出することができる(S1206)。図13には、設計仕様がすべて入力された状態を示している。
【0086】
この段階で、図13のダイアログボックス右上に示した「回路構成部品登録」というボタンをクリックすると、ディスプレーには図14に示す、回路構成部品登録のダイアログボックス(「開発機種構成部品」)が表示される。
【0087】
図14は、一つの回路構成部品に関する情報が1行に記載されている。各回路構成部品を特定する情報として、ここでは「ユニット名」、「サブユニット名」、「部品名」、「部品タイプ」、「部品番号」、「コスト」、「材質」というフィールドを設けている。ただし、これらすべてのフィールドに情報が記載されているとは限らない。また、図14に示したダイアログボックスでは、たまたまここに示されている回路構成部品はユニット名が「回路本体」である。構想設計者は、ここに表示された回路構成部品について今回設計している機種に合わせて追加、削除、変更を行いながら、今回設計しようとしている機種に必要な回路構成部品を決め、それを図14のダイアログボックスにおいて登録する。
【0088】
なお、回路構成部品の追加、変更、削除等を容易に行うことができるように、構築モードにおいて登録したすべての回路構成部品を表示させる機能を備えている。図14に示したダイアログボックスにおいて「全回路構成部品リスト」というボタンをクリックすると、図15に示すように、このシステムに登録されているすべての回路構成部品が表示される。図15では明示できないが、表示されたすべての回路構成部品のうち、今回の機種「開発−01」において選択されている回路構成部品については、その行全体が、それ以外の回路構成部品とは異なる色で表示される。したがって、図15の「全回路構成部品リスト」を表示させたときに、図14の回路構成部品表で選択されているものとそうでないものとが一目で分かる。選択されていないものを新たに追加したい場合は、その行をクリックし、図15右上の「登録」ボタン(2重丸ボタン◎)をクリックすれば、その回路構成部品が図14の回路構成部品表に追加される。
【0089】
逆に構築モードにおいて設定された情報に基づいてシステムが自動的に選択した回路構成部品の中に構想設計者がその機種には不要と判断した回路構成部品がある場合には、図14の回路構成部品表で、不要な回路構成部品の行を選択し、「削除」ボタン(×ボタン)をクリックする。これにより、その回路構成部品は図14の回路構成部品表から削除され、その後、図15の全回路構成部品リストを表示させると、削除した回路構成部品の行が非選択の色に変わるようになっている。
【0090】
なお、前述のように、前述の構築モードで各回路構成部品の「コスト」を登録しておくことで、この構想設計段階で、使用することが選択された回路構成部品のコストを累積し、設計段階で当該コストを累積表示することが可能となる。
【0091】
上記のようにして、設計仕様及び回路構成部品が決定すると、構築モードにおいて設定された情報に基づいてこの機種の設計に必要な設計項目を抽出できる(S1208)状態となる。図14右上の「フロー生成」というボタンをクリックすると、システムは内部的にこの機種のための設計項目を抽出し、これと各設計項目ごとに設定された前述の「前設計項目」を、予め用意されているフロー生成のためのアルゴリズムに供給し、設計フローを生成させる。
【0092】
図16は、このように生成された設計フローの一例である。この設計フローにおいて、下に「設計項目1−1−1」等と記された正方形のマークは、それぞれ一つの設計項目を表している。横軸(右向き)は時間の経過を示している。したがって、ある二つの設計項目(例えば「設計項目1−1−1」と「設計項目2−1−1」)を比べた場合、より右側にあるもの(設計項目2−1−1)ほど時間的に遅く実行される。また、横軸の位置が同じものは並行して実行できることを表している。例えば図16において、設計項目1−1−1、1−3−1、2−1−2、の三つは、どれを最初に実行することも可能であるし、必要があれば設計作業を複数の作業者で分担して進めることも可能である。
【0093】
図16を見ると、次のことが直ちに分かる。まず、設計項目1−1−1が完了すると、それによって設計項目1−1−2及び設計項目1−1−3を実行できる状態となる。設計項目2−2−1を実行するためには、設計項目1−1−2が完了していればよいが、設計項目1−2−1を実行するためには、設計項目1−1−2及び設計項目1−1−3の両方が完了している必要がある。また、設計項目2−1−1を実行するためには、設計項目1−2−1、1−3−2、2−1−2が完了していなければならない。このように、各設計項目同士の関係をグラフィック的に表現することによって、作業者は、設計作業全体の進捗状況や、現時点で取りかかることのできる設計項目が何であるかを視覚的に把握できるという利点がある。図16の例では、設計項目1−1−2、1−1−3、1−3−1、2−1−2が設計可の項目であり、当該図面中、他の設計項目とは異なる色で点滅表示される。
【0094】
また、前述のように、図16の設計フローを生成する際には、抽出されたそれぞれの設計項目についてその親となる設計項目の情報(親情報)だけが定義されて適切な設計フローを生成できるという点も、このシステムの一つの特徴である。
【0095】
構想設計が終了する場合にその旨をシステムに知らせる操作は、図17に示した「オーダー発行」という操作である。これは、図12に示したダイアログボックスと同じ機能のものであり、ここで「開発−02」という行を選択し、右上の「詳細設計へ移行」のボタンをクリックする。すると、このタスクが構想設計から詳細設計に引き渡され、図18に示すように、構想設計の「オーダー選択画面」で、「開発−02」については、「詳細設計中」の表示となり、次に説明する詳細設計にタスクが移行される。
【0096】
[詳細設計]
続いて、詳細設計について説明する。図19は、実行モードの一つである詳細設計全体の概略を示した流れ図である。詳細設計を行う場合の手続として、ログイン画面(不図示)においてユ−ザ名とパスワードを入力/出力インターフェース2して「OK」ボタンをクリックし、図1に示すダイアログボックスが表示されるところまでは、「構築モード」、「構想設計」と同じである。図1のダイアログボックスで「詳細設計」ボタンをクリックすると、図20のダイアログボックスが表示される。このダイアログボックスは、「開発機種選択」のためのもので、構想設計の図12に示したダイアログボックスに対応する。
【0097】
本詳細設計の前段階の構想設計で設計規格・部品の確定を行い、設計フローを生成すると、図17の「詳細設計へ移行」アイコンが押せるようになるので、これをクリックすることで構想設計から詳細設計にタスクが移行できる。これによって、図20のダイアログボックスに「開発−02」というタスクが存在するようになる。
【0098】
図20のダイアログボックスにおいて「開発−02」の部分をクリックすると、この「開発−02」に関して設計しなければならない詳細設計の各設計項目が、図21に示すように一覧表示される(S2205)。ここに一覧表示される各設計項目は、図16の設計フローに示された各設計項目に対応する。詳細設計を行う作業者は、図21の一覧を見ることによって、自分が設計作業を行わなければならない設計項目を容易に知ることができる。
【0099】
図21の一覧表には、「状態」、「開発機種名」、「ユニット」、「部品名」、「設計項目名」、「作業者」、「完了日時」というフィールドが用意されている。ここで、「部品名」フィールドは、その設計項目がどの回路構成部品に対する作業であるかを示している。「状態」フィールドは、設計作業を開始することができる状態かどうかを知らせるために設けられている。「作業者」フィールドには、その設計を現在行っている又は行った担当者の氏名が表示される。「日時」フィールドには、その設計項目が完了した日時が表示される。「ユニット」は、その設計項目がどのユニットのものなのかを示している。
【0100】
ある設計項目決定を開始できるかどうかは、先に図16との関連で説明したように、その設計項目決定よりも前に必要な設計項目決定が完了しているかどうかで決まる。図21を見ると分かるように、本実施形態のシステムでは、「状態」フィールドが「設計可」である設計項目のみが通常表示され、「設計不可」である項目名は薄く表示されるようにしてある。図21において「設計可」とされている4つの設計項目1−1−2、1−1−3、1−3−1、2−1−2、は、図16のフロー図において設計可と表示された4つの設計項目に対応している。作業者は、この4つの設計項目のどれから開始してもよい。
【0101】
図21のダイアログボックスにおいて、下端の「フロービュー」ボタンをクリックすると、図16に示したものとほぼ同じ設計フローを表示させることができるようになっている(S2206)。これにより、作業者は必要に応じて簡単に設計フローを参照することができる。この場合、表示された設計フローの中で現時点で「設計可」である4つの設計項目については、他の設計項目と異なる色で点滅表示される(S2207)。これにより作業者は、全体の作業工程の中での現在の状況を一見して把握できる。
【0102】
図21において、設計作業の開始が可能な4つの設計項目のいずれかをクリックすると、本実施形態のシステム上では、そのクリックされた設計項目の作業が開始されたステータスとなる。
【0103】
ここでは、「設計可」項目のうち一番上の「設計項目1−1−2」を選択したとすると、図22に示すこの設計項目の詳細設計画面が現れる。
【0104】
図22の左側の領域には、全体の設計工程がツリー表示されており、「設計項目1−1−2」がハイライト表示されている。図22の右側の領域には、この設計項目1−1−2に関する種々の情報が表示されている。
【0105】
例えば、「開発機種名」の欄には、この開発プロジェクトの名称である「開発−02」が表示されている。「構想設計者」の欄には構想設計を行った作業者の名前が表示され(図13の例ではuserである)、「項目機能」の欄には、この設計項目によって実現される機能が表示されている。
【0106】
図22の画面において、この段階で新たに情報を追加することも可能ではあるが、図22は基本的に、詳細設計を実行する作業者に、この設計項目決定の作業として行われなければならない内容をナビゲートするための情報を提示するためのものである。作業者は、本システムのナビゲーションに従いながら、CADシステムの端末と対峙しながら実際の設計作業を実行する。
【0107】
なお、「詳細設計」の段階においては、設計項目決定は、アンプの増幅度や入出力インイーダンスといった、一般的な性能に留まらず、それらの性能を満たす、特定メーカの特定素子の決定までを可能とするものである。
【0108】
図22のダイアログボックスの「チェックリスト」欄は、この設計項目決定において、作業者が必ず作業を行わなければならない項目を列挙したものであり、作業者は、CAD上でここに列挙された一つの項目の作業を完了する度に、その項目の左側のチェックボックスにチェックマークを入れてゆく(S2208)。そして、すべての項目にチェックマークが入らないと、この設計項目の作業を完了できない仕組みになっている(S2208,S2209)。このような工夫によって、その設計項目において検討すべき点としてどのような項目があるかを把握していない経験の浅い作業者でも、確実に必要な作業を遂行することができ、作業の漏れなどを防ぐことができる。
【0109】
さらに、図22の右側の「標準画面」領域には、この設計項目に関連する部分の画像が表示される。この画像データは、CADの設計データの中から対応する部分を抽出して表示させたものである。これにより、作業者は、自分が今行っている作業が開発の全工程のうちどの部分に対応するのかを視覚的に把握できる。なお、作業者は設計ナビゲーションシステムの指示に従ってCADシステム上で設計作業を行うが、両者は一般には独立している。しかし、CADシステムと設計ナビゲーションシステムを切り替える、あるいは両システムが離れた場所にある場合には一方から他方へ移動する必要があるとすると効率が低下する。そこで、本実施形態のシステムのように、CADシステム上の設計画面を設計ナビゲーションシステム上でも参照できるようにすると、作業の効率が向上する。
【0110】
図22中央上部の「ナレッジリスト」欄に列挙されている情報は、前述の構築モードにおいて登録された「関連ノウハウ」の情報である(図9参照)。「ナレッジリスト」欄には、エクセルやワード等の一般的な形式のファイル名のドキュメントが記載されており、これらのファイルには、この設計項目に関連するノウハウや関連特許など、設計作業を行う上で有用な情報が記載されている。
【0111】
図23、は、一例として、図22の「ナレッジリスト」に含まれる「設計シート」というドキュメントをクリックしたときに現れる画像を示している(S2212)。この「設計シート」はエクセルのファイルとして格納されており、このドキュメントがクリックされるとエクセルが自動的に起動し、かつ「設計シート」という名前のファイルが自動的にエクセルに読み込まれ、図23に示したように表示される仕組みになっている。このように、設計担当者は、作業を行いながら瞬時にナレッジリストに登録された情報を参照することができるので、設計作業や知識が浅い作業者でも、これらのドキュメントに記載されたノウハウや情報を参照しながら、効率的に、しかも一定以上の水準で設計作業を遂行することが可能となる。
【0112】
図24は、図22と類似しているが、図24は、例えばこのシステムが稼動している端末とは別の端末上で稼動しているCADソフトウェアを操作しながら。「チェック項目」により列記されている各項目について設計作業を行い、一つの項目が終わる度に対応する項目のチェックボックスをクリックするという操作を繰り返し、全ての項目にチェックマークが入った状態を示している。なお、図24では、「チェック項目」の欄は、作業者がクリックしてチェックマークを付けるようにしたが、設計項目によっては作業者が何らかの数値をキーボード等から入力しなければならない場合もある。その場合には、当該数値を入力して初めてチェックボックスをクリックできる状態となるようにしてもよい。
【0113】
図24の「チェック項目」に示されたすべての設計項目にチェックマークが入ると、図24の右上の「設計完了」ボタンをクリックすることができる状態となる。このように、本システムが作業者をナビゲートして、各段階でどのような設計作業が必要かをコンピュータを介して作業者に知らせるようにしたことにより、設計作業の経験が浅い作業者でも必要な項目を設計し忘れるということがまず無くなる。
【0114】
ここで、「設計完了」ボタンをクリックすると、図24のダイアログボックスが閉じ、図25に示すダイアログボックスが表示される。このダイアログボックスは、図21に示したのと同じダイアログボックスであるが、内容が一部変わっている。すなわち、図25のダイアログボックスでは設計項目1−1−2の「状態」フィールドが「設計完了」に変わっており、それに伴って設計項目1−2−1の「状態」フィールドが「設計可」となって通常の表示状態になっている。
【0115】
次に、「手戻り」機能について説明する。この機能は、詳細設計における作業がある程度まで進んだ段階で、以前の設計項目についてやり直しをしたいという場合に、簡単に所望の設計項目まで戻ることができるようにした機能である。図26は、この手戻り機能を説明するための図である。図26は設計工程一覧のダイアログボックスであり、この「状態」フィールドを見ると分かるように、ここに表示されているいくつかの設計項目には、既に完了したもの(「設計完了」となっているもの)もあれば、現時点で設計作業を行うことができるもの(「設計可」となっているもの)もある。
【0116】
現在、作業者は、「状態」フィールドが「設計可」となっている設計項目1−2−2について設計作業を行っていたとする。図27は、設計項目1−2−2の設計作業を行っている状態を示したダイアログボックスである
図26で設計項目1−2−2(設計可)を選択して、設計項目1−2−2の詳細画面が図27になる。設計項目1−2−2は設計中の設計項目ということで矢印で示されている。
【0117】
ここで、設計項目1−1−1に手戻りを行う(再度設計項目1−1−1をやり直す)ための指定をする為に、設計項目1−1−1が選択状態になっている。(図26の段階では、1−1−1は設計完了されているが、1−2−2を行う段階で1−1−1に手戻りをかけている。)
【0118】
その場合には、図27の左側にツリー表示の中の「設計項目1−1−1」をクリックして選択状態にしてから図27右上部の「NG」ボタンをクリックする。すると、図28に示す確認画面が表示されるので、ここで「了解」ボタンをクリックすると図29に示す新たな設計工程一覧画面が表示される。これを見ると分かるように、新たに設計項目1−1−1が一つ追加され、同じ設計項目1−1−1が合計二つ表示されている。ここで追加された設計項目1−1−1の「状態」フィールドを見ると、「設計可」となっていることが分かる。
【0119】
図30は、上記の手戻り機能を使った前後において、設計フローがどのように変化したかを示している。手戻りを行う前の図30(a)の設計フローでは、設計項目2−2−2が現在実行可能な設計項目として第1の所定の色で表示される。
【0120】
これに対して、手戻りを行ったあとの図30(b)では、設計項目2−2−2はすでに完了したことを示す、第2の所定の色で表示され、代わりに設計項目1−1−1が現在実行可能な設計項目として、第1の所定の色で表示される。これに伴って、設計項目1−1−2、2−1−1、2−2−1については改めて作業をやり直す必要が生じ、例えば手戻った設計項目1−1−1が完了すると、図30(b)の設計フロー上では、続いて設計することができるようになる設計項目1−1−2及び2−1−1が実行可能な状態として表示される。
【0121】
以上説明した作業を繰り返しながら設計者が設計作業を進めてゆき、最終的にすべての設計項目が完了して、図31(a)に示すようにすべての設計項目の「状態」フィールドは「設計完了」とあると下端の「終了宣言」というボタンをクリックできる状態となる。ここで、このボタンをクリックし、図31(b)に示す確認画面で「OK」ボタンをクリックすると、図31(c)に示すように、オーダー選択画面から、「開発−02」というオーダが消える。これにより、詳細設計が終了する。なお、他の実施例として、(図示せず)34(a)の画面ですべての「状態」フィールドが「設計完了」となったときに、その旨が電子メールで構想設計者に送られ、構想設計者が詳細設計の内容を見て、その内容を承認して初めて詳細設計が終了するようにすることも考えられる。
【0122】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の設計支援方法及び設計支援システムによれば、製品の回路設計に必要となる設計仕様、回路構成部品、設計項目、前記設計仕様と前記回路構成部品との関係、そして前記設計項目と前記設計仕様若しくは前記回路構成部品との関係を定義してデータベースに登録することによって、前記製品の特定機種について設計者に前記設計仕様の内容の決定を促すこと、前記特定機種で用いる回路構成部品を前記データベースから抽出して設計者に提示し、必要に応じて追加・変更・削除を行って回路構成部品の決定を設計者に促すこと、前記特定機種に必要な設計項目を抽出し設計者に提示すること、そして、前記設計項目抽出工程で抽出された設計項目の具体的な作業内容を設計者に提示し、設計者をナビゲートして当該作業内容に従って作業を進めれば、どういう手順で具体的にどのような作業を行えばよいかを詳しく知らないような、当該製品の回路設計経験が浅い設計者でも、一定以上の水準で設計を行うことが可能となり、しかも、設計に要する期間も短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施の形態における、「構築モード」、「構想設計」、「詳細設計」の選択ボタンが表示されたダイアログボックス。
【図2】本発明の1つの実施の形態における、構築モードにおける作業の全体的手順を示した流れ図。
【図3】本発明の1つの実施の形態における、設計仕様を登録するためのダイアログボックス。
【図4】本発明の1つの実施の形態における、設計作業において使用されることが予想される回路構成部品を登録するためのダイアログボックス。
【図5A】本発明の1つの実施の形態における、設計項目自体の登録に関するプロパティを入力・編集するためのダイアログボックス。
【図5B】本発明の1つの実施の形態における、特定の設計項目に関するプロパティを入力・編集して登録するためのダイアログボックス。
【図6】本発明の1つの実施の形態における、設計項目と設計仕様もしくは回路構成部品とを関連付けるためのダイアログボックス。
【図7】本発明の1つの実施の形態における、既に登録されている設計仕様及び回路構成部品が全て表示されるダイアログボックス。
【図8】本発明の1つの実施の形態における、関連ノウハウを登録する方法を示したダイアログボックス。
【図9】本発明の1つの実施の形態における、選択したドキュメントを「関連ノウハウ」欄に登録するためのダイアログボックス。
【図10】本発明の1つの実施の形態における、「親情報」を参照して作成された設計フローを示すダイアログボックス。
【図11】本発明の1つの実施の形態における、構想設計における作業手順の概略を示した流れ図。
【図12】本発明の1つの実施の形態における、オーダー(機種)選択のためのダイアログボックス。
【図13】本発明の1つの実施の形態における、設計仕様の設計値入力用のダイアログボックス。
【図14】本発明の1つの実施の形態における、回路構成部品登録のダイアログボックス。
【図15】本発明の1つの実施の形態における、システムに登録されているすべての回路構成部品が表示されたダイアログボックス。
【図16】本発明の1つの実施の形態における、生成された設計フローの一例。
【図17】本発明の1つの実施の形態における、構想設計が終了する場合にその旨をシステムに知らせる「タスク発行」という操作を行うダイアログボックス。
【図18】本発明の1つの実施の形態における、構想設計の「開発機種一覧画面」で、詳細設計にタスクが移行された状態を示すダイアログボックス。
【図19】本発明の1つの実施の形態における、実行モードの一つである詳細設計全体の概略を示した流れ図。
【図20】本発明の1つの実施の形態における、「詳細設計」における「開発機種選択」のためのダイアログボックス。
【図21】図20のダイアログボックスにおける「開発−02」に関して設計しなければならない詳細設計の各設計項目の一覧表示。
【図22】本発明の1つの実施の形態における、選択された設計項目の詳細設計画面。
【図23】図22の「ナレッジリスト」に含まれる「設計シ−ト」というドキュメントをクリックしたときに現れる画像。
【図24】本発明の1つの実施の形態における、全ての項目にチェックマークが入った状態を示すダイアログボックス。
【図25】本発明の1つの実施の形態における、ある設計項目が「設計完了」とされた場合に表示されるダイアログボックス。
【図26】本発明の1つの実施の形態における、設計工程一覧のダイアログボックス。
【図27】本発明の1つの実施の形態における、設計項目1−2−2の設計作業を行っている状態を示したダイアログボックス。
【図28】本発明の1つの実施の形態における、設計項目1−1−1の設計作業をやり直す場合の確認画面を表すダイアログボックス。
【図29】本発明の1つの実施の形態における、設計項目1−1−1の設計作業をやり直す場合の新たな設計工程一覧画面。
【図30】本発明の1つの実施の形態における、手戻り機能を使った前後において、設計フローがどのように変化したかを示す図。
【図31(a)】本発明の1つの実施の形態における、詳細設計の終了宣言を行うダイアログボックス。
【図31(b)】本発明の1つの実施の形態における、詳細設計の終了宣言を行うダイアログボックス。
【図31(c)】本発明の1つの実施の形態における、詳細設計の終了宣言を行うダイアログボックス。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ある製品の特定機種の設計作業を行う設計者に対し、当該設計者が行うべき作業内容を提示する他、種々の方法で設計者をナビゲートする設計支援方法及び設計支援システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来は、ある製品の回路を設計する場合には、試行錯誤を繰り返しながら、必要な回路構成部品、回路構成部品相互の位置関係、等を決めながら設計していた。これまでは、一定以上のレベルを維持しながら短期間で設計できるようになるためには、1人の設計者が同一カテゴリーの製品の回路設計を何度も繰り返すことが必要だった。また、このように同一カテゴリーの製品の回路設計を何度も繰り返すことによって、次第にその製品の回路設計に慣れ、独自に設計ノウハウを獲得することができるようになるが、そのようなノウハウは、通常その設計者個人のものであり、別の設計者との間でそのようなノウハウを共有することは難しかった。
【0003】
ここで、過去の同種の製品の設計仕様を蓄積したデータベースを検索して、現在設計中の製品の部品の選択の参考とする技術は特許文献1に記載されている。
【0004】
しかしこの技術は、データベースを検索して、現在設計中の製品の部品の選択の参考とするに留まり、実際の設計時に考慮すべき設計仕様、設計項目については設計者をナビゲートするのが困難であった。
【0005】
【特許文献1】
特許第3288686号「設計支援装置及び設計支援プログラム」公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
製品購入者の要求が多様化し、多品種少量生産が一般化してくると、同一カテゴリーの製品であっても多数の機種を短時間のうちに次々と市場に投入する必要が生じ、それにともなってそれぞれの機種の設計に要する期間を大幅に短縮したいという要望が強まっている。このため多くの製品の回路設計現場で、経験の浅い設計者にも、一定水準以上の品質で、しかも短い期間でそれぞれの機種の設計をさせることが重要な課題となってきた。
【0007】
そのためには、製品の回路設計時に考慮すべき回路構成部品、設計仕様、設計項目、の全てについて設計者をナビゲートする必要がある。
【0008】
本発明は、このような課題を解決することを目的の一つとする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的および他の目的を解決するために、本発明では、コンピュータを使って、ある製品の回路設計を行う設計者を支援する設計支援方法であって、前記製品の回路設計に必要となる設計仕様、回路構成部品、設計項目、前記設計仕様と前記回路構成部品との関係、そして前記設計項目と前記設計仕様若しくは前記回路構成部品との関係をコンピュータ上で定義してデータベースに登録する構築工程と、前記製品の特定機種について、コンピュータによって、設計者に前記設計仕様の内容の決定を促す設計仕様決定工程と、前記構築工程で登録された設計仕様と回路構成部品との関係に基づいて、前記特定機種で用いる回路構成部品を前記データベースから抽出して設計者に提示し、必要に応じて追加・変更・削除を行って回路構成部品の決定をコンピュータ上で設計者に促す回路構成部品決定工程と、前記構築工程で登録された前記設計項目と前記設計仕様若しくは前記回路構成部品との関係に基づいて、コンピュータによって、前記特定機種に必要な設計項目を抽出し、設計者に提示する設計項目抽出工程と、前記設計項目抽出工程で提示された設計項目の具体的な作業内容を、コンピュータによって設計者に提示し、設計者をナビゲートして当該作業内容の遂行を促す設計項目遂行工程と、を具備することを特徴とする設計支援方法を開示する。
【0010】
これによって、設計者をナビゲートして当該作業内容に従って作業を進めれば、どういう手順で具体的にどのような作業を行えばよいかを詳しく知らないような、当該製品の回路設計経験が浅い設計者でも、一定以上の水準で設計を行うことが可能となり、しかも、設計に要する期間も短縮できる。
【0011】
好ましい態様では、本発明の設計支援方法は、前記構築工程において、各設計項目についてそれぞれの時間的な先後関係を設定するとともに、前記設計項目抽出工程において抽出された設計項目について、それぞれに設定されている前記先後関係に基づいてコンピュータ上で設計フロー図を作成し、設計者に提示することを特徴とする。
【0012】
これによって、設計者が、設計作業全体の流れを容易に把握することができる。
【0013】
また、別の好ましい態様では、前記構築工程において、各設計項目に関連するドキュメントを、それぞれの設計項目と関連づけてデータベースに登録しておき、前記設計項目遂行工程において、設計者が設計項目の具体的作業を行うときに当該設計項目と関連づけられたドキュメントが有るときは、その内容を抽出して設計者に提示することを特徴とする。
【0014】
これによって、設計者が設計作業の各ステージにおいて、熟練者等の残した関連ドキュメントを参照することによって、設計に関して初心者であっても、設計に関する重要なノウハウを共有することが出来る。
【0015】
別の好ましい態様では、前記ドキュメントが特許公報である。
【0016】
これによって、設計作業中に、他社の特許の抵触可能性を認識し、全ての設計作業、場合によっては販売直前での、他社特許を原因とする、設計やり直しや製造中止等の事態を未然に防ぐことができる。
【0017】
また、別の好ましい態様では、前記構築工程において前記各回路構成部品のコストをデータベースに登録するコスト登録工程と、前記回路構成部品決定工程で各回路構成部品が決定される度に、当該各回路構成部品毎のコストを前記データベースから読み出し、それまでに決定された各回路構成部品のコストの累計を表示する、回路構成部品コスト累計表示工程、を更に含む。
【0018】
これによって、設計作業中に、現時点での累積コストを認識することができ、最終目標コストを意識しながら、各部品への適切なコスト配分を考慮することが可能となる。また、設計完了時点でコストを大幅にオーバーしていることを発見し、それから再度設計をやり直すといった、迂遠な作業を回避できる。
【0019】
更に別の好ましい態様では、前記設計項目遂行工程において、一旦終了した設計項目を、得られたデータは残して未終了の状態に戻し、再度当該設計項目の遂行をやり直すことを可能にする工程をさらに含んでいることを特徴とする。
【0020】
このようにすることによって、設計作業を一部やり直したいときにも、既に行った設計作業を無にすることなく、かつ、容易に、必要な設計項目のみを再設計することが可能となる。
【0021】
本発明の別の態様によれば、ある製品の回路設計を行う設計者を支援する設計支援システムであって、前記製品の回路設計に必要となる設計仕様、回路構成部品、設計項目、前記設計仕様と前記回路構成部品との関係、そして前記設計項目と前記設計仕様若しくは前記回路構成部品との関係を定義してデータベースに登録する構築手段と、前記製品の特定機種について、設計者に前記設計仕様の内容の決定を促す設計仕様決定手段と、前記構築工程で登録された設計仕様と回路構成部品との関係に基づいて、回路構成部品を前記データベースから抽出して設計者に提示し、必要に応じて追加・変更・削除を行って回路構成部品の決定を設計者に促す回路構成部品決定手段と、前記構築工程で登録された前記設計項目と前記設計仕様若しくは前記回路構成部品との関係に基づいて、前記特定機種に必要な設計項目を抽出し、設計者に提示する設計項目抽出手段と、前記設計項目抽出手段で提示された設計項目の具体的な作業内容を設計者に提示し、当該作業内容の遂行を設計者に促す設計項目遂行手段と、を具備する。
【0022】
これによって、設計者をナビゲートして当該作業内容に従って作業を進めれば、どういう手順で具体的にどのような作業を行えばよいかを詳しく知らないような、当該製品の回路設計経験が浅い設計者でも、一定以上の水準で設計を行うことが可能となり、しかも、設計に要する期間も短縮できる。
【0023】
好ましい態様では、前記構築手段は、各設計項目についてその親情報を設定する機能を有し、前記設計項目抽出手段によって抽出された設計項目について、それぞれに設定されている前記親情報に基づいて設計フロー図を作成し、設計者に提示する手段を有することを特徴とする。
【0024】
これによって、設計者が、設計作業全体の流れを容易に把握することができる。
【0025】
また、別の好ましい態様では、前記構築手段は、各設計項目に関連するドキュメントをそれぞれの設計項目と関連づけてデータベースに登録する機能を有し、前記設計項目遂行手段において、設計者が設計項目の具体的作業を行うときに当該設計項目と関連づけられたドキュメントが有るときは、その内容を抽出して設計者に提示する手段を有する。
【0026】
これによって、設計者が設計作業の各ステージにおいて、熟練者等の残した関連ドキュメントを参照することによって、設計に関して初心者であっても、設計に関する重要なノウハウを共有することが出来る。
【0027】
別の好ましい態様では、前記ドキュメントが特許公報である。
【0028】
これによって、設計作業中に、他社の特許の抵触可能性を認識し、全ての設計作業、場合によっては販売直前での、他社特許を原因とする、設計やり直しや製造中止等の事態を未然に防ぐことができる。
【0029】
さらに、前記構築手段が、前記回路構成部品のコストをデータベースに登録するコスト登録手段を備え、前記回路構成部品決定手段が、各回路構成部品が決定される度に、当該各回路構成部品毎のコストを前記データベースから読み出し、それまでに決定された各回路構成部品のコストの累計を表示する、回路構成部品コスト累計表示手段、を備える設計支援システムも開示されている。
【0030】
これによって、設計作業中に、現時点での累積コストを認識することができ、最終目標コストを意識しながら、各部品への適切なコスト配分を考慮することが可能となる。また、設計完了時点でコストを大幅にオーバーしていることを発見し、それから再度設計をやり直すといった、迂遠な作業を回避できる。
【0031】
別の好ましい態様によれば、前記設計項目遂行手段は、一旦終了した設計項目を、得られたデータは残して未終了の状態に戻し、再度当該設計項目をやり直すことを可能にする手段を有する。
【0032】
このようにすることによって、設計作業を一部やり直したいときにも、既に行った設計作業を無にすることなく、かつ、容易に、必要な設計項目のみを再設計することが可能となる。
【0033】
なお、本明細中で「設計仕様」という用語は例えば、受信信号QPSK、回路基板の大きさ1000mm×1000mm、駆動電圧15V、等の全体的な性能を意味し、「回路構成部品」という用語は、回路構成部品名及び、回路構成部品の(1)材質、(2)選定方法、(3)位置、(4)部品間の配線、等の部品レベルでの決定事項を意味する。
【0034】
つまり両者は、回路構成部品を積み上げてゆくことで、ある設計仕様が決まる、という関係にある。
【0035】
また、「設計項目」とは例えば、信号変調部の設計というような、設計要素をある程度小さく分解した項目を意味する。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照しながら、本発明の実施の一形態として実現した設計ナビゲーションシステムについて説明する。本実施形態の設計ナビゲーションシステムは、基本的に、コンピュータと、このコンピュータ上で実行されるコンピュータ・プログラムにより構成されている。
【0037】
本実施形態の設計ナビゲーションシステムは、大きく分けて、「構築モード」と「実行モード」、という二つのモードに分けられる。
【0038】
「構築モード」とは、ある製品、例えば携帯電話の送受信信号、使用されることが予想される製品、部品相互間の位置関係、各部位の消費電力などを設計するために必要とされる設計仕様、用いられることが予想される回路構成部品、作業が必要になると予想される設計項目を、コンピュータ上で相互に関連付けてデータベースに登録する機能である。すなわち、設計者の設計作業をナビゲートするために必要とされる情報を、設計作業に先立って予め準備するモードである。
【0039】
一方、「実行モード」は、前記構築モードで準備された情報に基づいて、ある製品の特定機種(例えば携帯電話という製品の特定の一機種)の回路を、例えばCADシステム上で設計する、設計者の実際の設計作業をナビゲートするモードである。この実行モードは、本実施形態においては、設計作業の内容を考慮して「構想設計」と「詳細設計」という二つの段階に分けられている。
【0040】
「構想設計」では、当該機種を設計するのに必要な設計項目の抽出と、それらの設計項目決定を実行する順番を示す設計フローを作成する。
【0041】
「詳細設計」では、構想設計で示された設計フローに従って、詳細設計者にその時々に設計すべき設計項目を提示し、その設計項目の中で必要な設計作業を促す。
【0042】
ただし、「構想設計」、「詳細設計」という分け方は一例に過ぎず、本発明がこのような分け方に限定されるものではなく、実行モードを一つの一連の手続きとしたり、3つ以上に分ける場合も当然に考えられる。
【0043】
本実施形態の設計ナビゲーションシステムを起動すると、まず、ログイン画面(不図示)が現れ、ここで権限のあるユーザーのユーザー名とパスワードを入力して「OK」ボタンをクリックすると、図1に示すダイアログボックスが表示される。このダイアログボックスには、前述の「構築モード」、「構想設計」、「詳細設計」の選択ボタンが表示され、これらの中から何れかクリックして選択できるようになっている。以下では、「構築モード」、「構想設計」、「詳細設計」の順に本実施形態の設計ナビゲーションシステムを説明する。
【0044】
[構築モード]
この「構築モード」では、前述のように、構想設計及び詳細設計における設計者の設計作業をナビゲートするのに必要な情報を、設計作業に先立って予めコンピュータ上で準備し、データベースに登録する。図2は、構築モードにおける作業の全体的手順を示した流れ図である。
【0045】
以下では、この構築モードで、携帯電話の設計を行う作業者を支援するためのシステムとして構築する場合を説明する。製品のカテゴリーが携帯電話であっても、機種が異なれば設計内容も当然異なる。しかしながら、携帯電話という同じカテゴリーの製品であれば、機種が異なっても共通する部分は非常に多い。したがって、構築モードで、携帯電話の設計に関する基本的な情報を登録しておくことによって、この登録された内容を利用して、個々の機種の携帯電話を設計する設計者をナビゲートすることができる。
【0046】
図1のダイアログボックスの「構築モード」には、「権限マスタ」、「ユーザマスタ」「設計項目登録」「設計規格登録」、「回路構成部品登録」、「必要条件」の6つの選択肢が表示されており、この中からこれから行おうとする作業を選択してクリックする。ここで、「設計項目登録」は図2における「設計フローを構成する設計項目の登録」(S204参照)という作業に該当し、「設計規格登録」は図2の流れ図における「設計仕様の登録」(S203参照)という作業に該当し、「回路構成部品登録」は図2における「回路構成部品となる部品の登録」(S202参照)という作業に該当する。
【0047】
まず、「設計規格登録」(S203参照)について説明する。図1のダイアログボックスで「設計規格登録」のボタンをクリックすると、図3の画面が現れる。これは、設計規格、言い換えると、設計仕様を登録するためのダイアログボックスである。なお、図3では、「設計規格ツリー」という欄に既に「設計仕様1」等の設計規格名が登録されているが、システムを稼働した当初はこのような設計規格名は登録されていない。設計規格名を登録するには、この部分を右クリックして現れるいくつかの選択肢の中から「追加」というボタン(不図示)をクリックして現れる設計規格名の入力欄において、相応しい名前を入力し、リターンキーを押すことによって、「設計規格ツリー」という欄の最後に、たった今入力した名前が追加される。
【0048】
このようにして追加した設計規格名に対して、右側の「設計規格値」というものを関連付けて登録することができる。この場合の設計規格値が、設計の際に設計者が複数の設計規格値の選択肢から適切な値を選択する、という形態にする場合には、選択肢となる複数の値を入力して登録する。
【0049】
図3の例では、「設計仕様1」という設計規格名に対して、「値1α」及び「値1β」という2つの値が選択肢として登録されている(「値1α」及び「値1β」の具体例としては、「駆動電圧=10V」や「変調信号=QPSK」が挙げられる)。また、下部の「設計規格に関するコメントを入力して下さい」という欄には、この「設計規格」に関する何らかの情報をコメントとして記載することができる。また、「設計規格に関するコメントを入力して下さい」という欄に記載されたコメントは、詳細設計を行う際に、作業者が簡単に参照できる有用な情報となる。以下同様にして、設計規格ツリーの欄に、必要とされる設計仕様を登録してゆき、併せて、それぞれの設計仕様に対して適切な設計規格値を登録してゆく。
【0050】
次に、「回路構成部品登録」(S202参照)について説明する。図1のダイアログボックスで「回路構成部品登録」ボタンをクリックすると、図4の画面が現れる。これは、設計作業において使用されることが予想される回路構成部品を登録するためのダイアログボックスである。図4の場合も、「回路構成部品」の欄には最初は何も登録されていない。回路構成部品を登録するには、「回路構成部品」の欄で右クリックし、現れるいくつかの選択肢の中から「追加」というボタン(不図示)をクリックし、回路構成部品名の入力欄が現れたら、相応しい名前を入力してリターンキーを押す。これにより、「回路構成部品」欄の最後に、たった今入力した名前が追加される。このように、回路構成部品の登録は簡単な操作によって行うことができる。
【0051】
さらに、入力された回路構成部品に関する情報を、「回路構成部品」欄の右側の欄において登録する。ここでは「回路構成部品1」という回路構成部品に関する情報を登録する場合を説明する。この例では、「回路構成部品1」について回路構成部品タイプAのタイプを用意したいので、右側の”3列”には「回路構成部品タイプ名=タイプA」というフィールドを作った状態を示している。
【0052】
C列には「部品タイプ」「部番」「材質」「コスト」「外部設計」というフィールドを作ってあり、この場合には3列にそれぞれこれらの属性に対応する「タイプA」「IN0001」「ABS」「100」「□(チェック用のチェックボックス)」が入力される。
【0053】
なお、ここで、「外部設計」とは外注のことを意味する。外部設計にチェックを行うと、部品としては登録されるが、実際の設計を行わない。
【0054】
また、各回路構成部品の「コスト」を登録しておくことで、後述の構想設計段階で、使用することが選択された回路構成部品のコストを累積し、当該コストを累積表示することが可能となる。
【0055】
これらのフィールドは、構築モードで作業をする者が任意に定義することができる。そして、予め用意されたこれらの各フィールドに対して、作業者は必要な値や文字を入力してゆく。
【0056】
回路構成部品については、設計仕様との関連を定義する必要がある。A列に「回路構成部品1」で適用が想定される「設計規格名」「設計仕様1」「設計仕様2」「設計仕様3」の項目名、B列にA列のそれぞれの属性に対応する「設計規格値」「値1α」「値2β」「値3γ」が設定されている(上述のように、「値1α」,「値2β」及び「値3γ」の具体例としては、「駆動電圧=10V」や「変調信号=QPSK」が挙げられる)。作業者は、このマトリックスの希望するセル上で右クリックし、表示される「抽出条件として設定」を選択すると、そのセルには「○」印が表示される。
【0057】
図4の例では、”3列”で”○”印が付けられた「設計仕様2」での「値2β」が、本「回路構成部品1」と関連付けられた設計仕様となる。即ち、「回路構成部品1」の「タイプA」という回路構成部品には、設計仕様2の値2βという設計仕様が関連付けられている。
【0058】
このように簡単に、回路構成部品とその回路構成部品に関連する設計仕様との関係を定義することができ(S205参照)、ここで定義された関係が、後の実行(構想設計及び詳細設計)において有効利用される。すなわち、例えば、構想設計において「設計仕様1」で作業者が「値2β」を選択(図11のS1205参照)したとすると、それに合致する回路構成部品として「回路構成部品1」の「タイプA」が抽出される(S1206参照)。このように対応する回路構成部品が自動的に抽出されるので、設計作業を行う者が経験の浅い者であっても、必要かつ適切な回路構成部品を選択することが可能となる。
【0059】
次に、「設計項目登録」(S204参照)について説明する。図1のダイアログボックスで「設計項目登録」ボタンをクリックすると、図5A(画面左半分に表示)及び6B(これが画面右半分に表示)の画面が画面の左右に分割されて現れる。これは、設計項目自体の登録(図5A)と、特定の設計項目(ここでは「設計項目1−1−2」)に関するプロパティを入力・編集して登録(同図右側:図5B)するためのダイアログボックスである。ただし、図5の例は、既に設計項目の登録がある程度進んだ段階でのダイアログボックスであり、実際に最初に構築モードを立ち上げた段階では、図5Aのツリー表示において「本体」の下位の階層である「回路構成部品1」等までは登録が済んでいるが、さらにその下位の階層である「部位1−1」や「設計項目1−1−1」等に関しては、当初は登録されていない。この場合は、作業者が所定の手順で一つ一つ「部位」や「設計項目」を登録してゆくことができる。
【0060】
ここで、「部位」とは、例えば「信号の変調回路」という回路構成部品の中の、例えば「信号変調部位」「フィルタ部位」「信号増幅部位」等を意味する。
【0061】
図5Bのダイアログボックスでは、設計項目と、それ以外の項目(その設計項目の実行に必要な標準時間、関連特許公報など)を登録できるようになっている。新たに設計項目を登録すると、その設計項目はこのツリーの所定位置に表示される。ツリーの階層の深さは、構築作業のし易さ等を考慮して、作業者が自由に決めることができる。ただし、本実施形態のシステムでは、最も下の階層を設計項目とするというルールを定めてある。登録した項目を、それが設計項目である旨を登録するためには、別途作業者がその旨を指定する。一例として、新たに「設計項目1−1−2」をツリーの最も下の階層に登録した状態で、これを設計項目として指定する場合には、図5Bに示したプロパティを入力・編集するダイアログボックスの各欄に、作業者がこの設計項目に関する情報を入力してゆく。
【0062】
図5Bのダイアログボックスには、その最上部に、このプロパティの入力・編集ダイアログボックスが「設計項目1−1−2」のものであることを示す、「設計項目名」が表示されている。その下には、「前設計項目」、「設計項目定義」、「標準時間」、「権限」、「チェック項目」、「関連ノウハウ」という各欄が設けてある。
【0063】
「前設計項目」には、その設計項目の決定が実行されるために完了していなければならない設計項目、すなわち親項目を定義する欄である。これは図5Aに示すように、ツリー表示から、親項目としたい「設計項目1−1−1」を、図5Bの「前設計項目」の欄にドラッグ&ドロップすることによって、図5Bのダイアログボックスに示すように「前設計項目」欄に「設計項目1−1−1」が表示され、これによって「設計項目1−1−2」の親項目が「設計項目1−1−1」である旨が定義される。
【0064】
なお、親項目とする設計項目は一つとは限らない。ある設計項目の設計を開始するために、複数の設計項目が完了していなければならないという場合があり得るからである。各設計項目についてすべての親情報が設定されると、図5の「シミュレート」ボタンをクリックすることによって、設定した内容に論理的な矛盾がないかどうかを自動的に調べることができる。これは、予め用意されているシミュレータのプログラムが実行されることによる。
【0065】
なお、図5の「設計項目定義」には、その設計項目の定義事項や補足説明を入力する。
「標準時間」には、その設計項目を始めてから完了するまでの標準的時間を登録する。
「権限」には、その設計項目を取得する権限を設定する。
「チェック項目」には、その設計項目でのチェック項目を登録する。
「関連ノウハウ」には、過去のトラブル情報、特許情報などの設計項目に関連するノウハウを登録する。
【0066】
次に、「必要条件」について説明する。図1のダイアログボックスで「必要条件」ボタンをクリックすると、図6の画面が現れる。図6の「必要条件」欄は、図5A、Bで設定した設計項目と、前述の設計仕様若しくは回路構成部品とを関連付ける(S206参照)ための欄である。
【0067】
図5Aに列挙された多数の設計項目は、ある製品のある機種の回路設計に必要な設計項目だけでなく、このシステムを利用して設計を行う際に必要となるすべての設計項目が網羅されている。例えば、携帯電話という製品のある一つの機種の設計に必要な設計項目が300程度で、この機種に限らずこのシステムを利用して設計しようとする携帯電話の全機種の設計に必要な設計項目が数千に及ぶとすると、ある製品の特定機種の設計に必要とされる設計項目は、ここに列挙された設計項目の一部のみである。この場合、図5Aのツリーには、この数千の設計項目が全て列挙される。この特定機種の設計に必要とされる設計項目を全ての設計項目の中から抽出するための条件を定義するのが、図6右側のダイアログボックスの「必要条件」欄において設定された情報である。
【0068】
「必要条件」欄の右側にある「追加」ボタンをクリックすると、図7に示すダイアログボックスが現れる。ここには、図3及び図4のダイアログボックスを介して既に登録されている設計仕様及び回路構成部品が全て表示される。図7のダイアログボックスで、左側の「回路構成部品一覧」から所定の回路構成部品を選び、その先頭のチェックボックスをクリックすると、チェックボックスにはチェックマークが表示される。これにより、この設計項目(図7の例では「設計項目1−1−2」)と、特定の回路構成部品とが関連付けられたことになる。同様に、図7右側の「設計仕様一覧」から所定の設計仕様を選び、その先頭のチェックボックスをクリックすると、チェックボックスにはチェックマークが表示される。これにより、個々の設計項目(設計項目1−1−2)と、特定の設計仕様(設計仕様1=値1a)とが関連付けられたことになる。
【0069】
このようにして関連付けられた設計仕様及び回路構成部品は、実行モードにおいて、設計仕様や回路構成部品から設計項目を抽出(S1208参照)する際の情報として用いられる。
【0070】
次に、図5Bにおいて、「関連ノウハウ」欄の右にある「+」ボタンを押すと、図8が立ちあがる。図8は、関連ノウハウを登録する方法を示した図である。予めデータベースには、設計作業に関連する種々のノウハウが多数のドキュメントとして格納されている。これらのドキュメントは、熟練設計者などから聞き取り調査を行って作成したり、あるいはこのシステムを利用して設計作業を積み重ねたりする間に蓄積されるものである。ここでは、格納されているこれらのドキュメントの中から必要なものを、それぞれの設計項目に関連付ける作業を行う。
【0071】
図8に示すように、関連ノウハウとして登録できるドキュメントが格納されているフォルダ内のファイルをリストアップするダイアログボックスが表示される。これらのファイルは、例えばエクセルやワード(いずれもマイクロソフト社の登録商標)などの一般的なファイルとして格納されたドキュメントである。これらのドキュメントの内容は、その設計項目に関連する特許情報、製品の不具合に関する情報、設計作業上注意すべき点、そしていわゆるノウハウなどである。
【0072】
作業者は、図8の中から適切なドキュメント(本図中には代表例として「特許公報」が挙げられている)を選択して、「開く」ボタンをクリックすると、図9に示すように、選択したドキュメントが「関連ノウハウ」欄に登録される。また、一度登録したが不必要だと判断したドキュメントについては削除することもできる。なお、実際にこの部分に登録されるのは、ここに表示されたドキュメントへのパスであり、後述の詳細設計の際に、作業者がいずれかのドキュメントをクリックすると、そのドキュメントに紐付けされたアプリケーションが自動的に起動し、当該ドキュメントがそのアプリケーションに読み込まれて表示されるようになっている。
【0073】
設計項目1−1−2について、図5Bのプロパティ編集画面の入力が済んだら、右上の「閉じる」ボタンをクリックすることによって、ここに入力された内容が「設計項目1−1−2」のプロパティとして保存される。
【0074】
前述のように、設計項目と設計項目以外の項目は、相互に変更することができる。例えば、図5Aに表示されている「設計項目1−1−1」をマウスで選択すると、ツリーの右側に「シミュレート対象とする」というボタン(不図示)が現れ、これをクリックするとその項目は設計対象として登録される。設計項目として登録するとは、換言すれば、設計フローを構成する一つ一つの要素になるということでもある。一方、既に設計項目として登録されている項目をマウスで選択すると、ツリーの右側には「シミュレート対象から外す」ボタンが現れる。そこでこのボタンをクリックすると、その項目は設計項目から外される。かかる操作を適宜行って、各項目の追加、変更、削除、並びに設計項目への登録及び解除を行ってゆく。
【0075】
前述のように、図5Aでは、「設計項目1−1−1」と同じ最も下位の階層にある項目はすべて設計項目として登録されており、この名称の前に表示されている三角マークが、設計項目として登録されたことをグラフック的に示している。
【0076】
一方、これより上の階層にある全ての項目は、設計項目としては登録されておらず、これらの前に表示されている「逆くの字」マーク(「右向きマーク」という)は、その旨をグラフィック的に示している。
【0077】
「三角マーク」のついた項目は設計項目であるから、シミュレート対象でもある。この場合は、「シミュレート対象から外す」ボタンがクリックできる状態になっており、これをクリックすると、この項目はシミュレート対象(設計項目)ではなくなって、その項目の前に表示されたマークは「右向きマーク」に変わる。ただし、この場合でも、その項目に対して図5Aのダイアログボックスで入力したプロパティに関する情報は削除されずに保存され、後の利用に供することができる。逆に、「右向きマーク」がついた項目を選択状態にすると、「シミュレート」ボタン(不図示)がクリックできる状態となり、これをクリックすると、この項目はシミュレート対象、すなわち設計項目となって、その項目の前に表示されたマークは「三角マーク」に変わる。
【0078】
図5A上右端のダイアログボックスの」「シミュレート」ボタンをクリックすると、すべての項目の中からシミュレート対象となっている設計項目を抽出し、それぞれの設計項目について前述の「前設計項目」を参照して図10に示すような設計フローを作成する。ただし、この設計フローは試験的なものであって、最終的な設計フローではない。
【0079】
以上述べた「構築モード」の具体的な運用方法をまとめると、以下のようになる。ある事業所が製品として例えば携帯電話の開発・設計を行うにあたり、今後このシステムを利用して個々の機種の設計作業を支援するという場合には、まず、携帯電話の設計に詳しい技術者から、どのような設計項目、どういった設計仕様、どのような回路構成部品が必要であるかについての聞き取り調査を行い、その結果を、図3、図4、図5の画面を介して、大きく分けて設計仕様、回路構成部品、設計項目を登録してゆくという作業を行う。そして、各設計項目に対しては、図5右側に示したプロパティ入力・編集の画面において、必要な情報を入力してゆく。
【0080】
このように、構築モードにおいて、製品の設計仕様、回路構成部品、そして設計項目等の必要な情報が十分に登録されることによって、以下の実行モードの「構想設計」及び「詳細設計」において、同一カテゴリーに属する製品の特定の機種を実際に設計する設計者をナビゲートすることができる。
【0081】
[構想設計]
次に、実行モードの一つである構想設計について説明する。図11は、構想設計における作業手順の概略を示した流れ図である。図1の画面で「構想設計」ボタンをクリックすると、図12に示すダイアログボックスが表示される。このダイアログボックスには、既にあるオーダーがリスト表示されており、その中から自分が構想設計を担当するオーダー(機種)を選ぶという手順になっている。図12の例では、「開発−02」という名称のオーダーが一つだけ表示されている。一方、オーダーがまだない場合には、自分でオーダーを作ることもできる。
【0082】
図12のダイアログボックスにおいて、「開発−02」をクリックすると、図13に示す「開発機種設計規格」のダイアログボックスが現れる。図13のダイアログボックスは、携帯電話の設計に必要な設計仕様(中程の「設計規格名」欄にリスト表示されている「設計仕様1」、「設計仕様2」、「設計仕様3」、・・・)について、その内容、即ち設計値を、「設計値」の空欄を埋めるという態様で入力してゆく画面(S1205参照)である。
【0083】
ただし、各設計仕様についての入力作業を簡単にするとともに、経験の浅い設計者のために設計上のヒントを与えるために、類似の機種の開発が過去に行われている場合には、その機種の設計値を流用することができる。過去に設計された機種の設計値の一部を流用する場合には、図13のダイアログボックス中央の「流用機種」という入力ボックスの右側にある下向き矢印をクリックして登録されている機種を選択することができる。図13は、ここで「開発−01」という機種を選択したことによって、その「開発−01」の設計値が「流用値」の欄に表示された状態を示している。
【0084】
なお、図13では、「設計値」「流用値」の欄に、「値1a」等と入力されているが、実際には具体的な数値などが入力される。例えば「設計仕様」が回路基板の寸法である場合は、その寸法が所定の長さ単位で入力され、また、「設計仕様」が消費電力測定で合格しなければいけない「消費電力」であるならば、例えば1Wといった値が入力される。構想設計者は、この「開発−01」の各設計仕様の設計値を参考にしながら、今回新たに開発しようとする「開発−02」の各設計仕様を決めてゆく。例えば携帯電話を設計する場合のように、機種が異なっても多くの部分について同じ設計仕様でよい場合には、過去に作成した設計仕様の多くを流用できるので、従来のように一から設計仕様を作成する場合に比べ、作業時間の短縮が図られる。
【0085】
先に構築モードにおいて説明したように、各設計仕様と回路構成部品の関係が定義され(図4)、データベースに登録されているので(S205)、設計仕様が決まると、その設計仕様に基づいた回路構成部品を、予めデータベースに登録されている回路構成部品の一覧から自動的に抽出することができる(S1206)。図13には、設計仕様がすべて入力された状態を示している。
【0086】
この段階で、図13のダイアログボックス右上に示した「回路構成部品登録」というボタンをクリックすると、ディスプレーには図14に示す、回路構成部品登録のダイアログボックス(「開発機種構成部品」)が表示される。
【0087】
図14は、一つの回路構成部品に関する情報が1行に記載されている。各回路構成部品を特定する情報として、ここでは「ユニット名」、「サブユニット名」、「部品名」、「部品タイプ」、「部品番号」、「コスト」、「材質」というフィールドを設けている。ただし、これらすべてのフィールドに情報が記載されているとは限らない。また、図14に示したダイアログボックスでは、たまたまここに示されている回路構成部品はユニット名が「回路本体」である。構想設計者は、ここに表示された回路構成部品について今回設計している機種に合わせて追加、削除、変更を行いながら、今回設計しようとしている機種に必要な回路構成部品を決め、それを図14のダイアログボックスにおいて登録する。
【0088】
なお、回路構成部品の追加、変更、削除等を容易に行うことができるように、構築モードにおいて登録したすべての回路構成部品を表示させる機能を備えている。図14に示したダイアログボックスにおいて「全回路構成部品リスト」というボタンをクリックすると、図15に示すように、このシステムに登録されているすべての回路構成部品が表示される。図15では明示できないが、表示されたすべての回路構成部品のうち、今回の機種「開発−01」において選択されている回路構成部品については、その行全体が、それ以外の回路構成部品とは異なる色で表示される。したがって、図15の「全回路構成部品リスト」を表示させたときに、図14の回路構成部品表で選択されているものとそうでないものとが一目で分かる。選択されていないものを新たに追加したい場合は、その行をクリックし、図15右上の「登録」ボタン(2重丸ボタン◎)をクリックすれば、その回路構成部品が図14の回路構成部品表に追加される。
【0089】
逆に構築モードにおいて設定された情報に基づいてシステムが自動的に選択した回路構成部品の中に構想設計者がその機種には不要と判断した回路構成部品がある場合には、図14の回路構成部品表で、不要な回路構成部品の行を選択し、「削除」ボタン(×ボタン)をクリックする。これにより、その回路構成部品は図14の回路構成部品表から削除され、その後、図15の全回路構成部品リストを表示させると、削除した回路構成部品の行が非選択の色に変わるようになっている。
【0090】
なお、前述のように、前述の構築モードで各回路構成部品の「コスト」を登録しておくことで、この構想設計段階で、使用することが選択された回路構成部品のコストを累積し、設計段階で当該コストを累積表示することが可能となる。
【0091】
上記のようにして、設計仕様及び回路構成部品が決定すると、構築モードにおいて設定された情報に基づいてこの機種の設計に必要な設計項目を抽出できる(S1208)状態となる。図14右上の「フロー生成」というボタンをクリックすると、システムは内部的にこの機種のための設計項目を抽出し、これと各設計項目ごとに設定された前述の「前設計項目」を、予め用意されているフロー生成のためのアルゴリズムに供給し、設計フローを生成させる。
【0092】
図16は、このように生成された設計フローの一例である。この設計フローにおいて、下に「設計項目1−1−1」等と記された正方形のマークは、それぞれ一つの設計項目を表している。横軸(右向き)は時間の経過を示している。したがって、ある二つの設計項目(例えば「設計項目1−1−1」と「設計項目2−1−1」)を比べた場合、より右側にあるもの(設計項目2−1−1)ほど時間的に遅く実行される。また、横軸の位置が同じものは並行して実行できることを表している。例えば図16において、設計項目1−1−1、1−3−1、2−1−2、の三つは、どれを最初に実行することも可能であるし、必要があれば設計作業を複数の作業者で分担して進めることも可能である。
【0093】
図16を見ると、次のことが直ちに分かる。まず、設計項目1−1−1が完了すると、それによって設計項目1−1−2及び設計項目1−1−3を実行できる状態となる。設計項目2−2−1を実行するためには、設計項目1−1−2が完了していればよいが、設計項目1−2−1を実行するためには、設計項目1−1−2及び設計項目1−1−3の両方が完了している必要がある。また、設計項目2−1−1を実行するためには、設計項目1−2−1、1−3−2、2−1−2が完了していなければならない。このように、各設計項目同士の関係をグラフィック的に表現することによって、作業者は、設計作業全体の進捗状況や、現時点で取りかかることのできる設計項目が何であるかを視覚的に把握できるという利点がある。図16の例では、設計項目1−1−2、1−1−3、1−3−1、2−1−2が設計可の項目であり、当該図面中、他の設計項目とは異なる色で点滅表示される。
【0094】
また、前述のように、図16の設計フローを生成する際には、抽出されたそれぞれの設計項目についてその親となる設計項目の情報(親情報)だけが定義されて適切な設計フローを生成できるという点も、このシステムの一つの特徴である。
【0095】
構想設計が終了する場合にその旨をシステムに知らせる操作は、図17に示した「オーダー発行」という操作である。これは、図12に示したダイアログボックスと同じ機能のものであり、ここで「開発−02」という行を選択し、右上の「詳細設計へ移行」のボタンをクリックする。すると、このタスクが構想設計から詳細設計に引き渡され、図18に示すように、構想設計の「オーダー選択画面」で、「開発−02」については、「詳細設計中」の表示となり、次に説明する詳細設計にタスクが移行される。
【0096】
[詳細設計]
続いて、詳細設計について説明する。図19は、実行モードの一つである詳細設計全体の概略を示した流れ図である。詳細設計を行う場合の手続として、ログイン画面(不図示)においてユ−ザ名とパスワードを入力/出力インターフェース2して「OK」ボタンをクリックし、図1に示すダイアログボックスが表示されるところまでは、「構築モード」、「構想設計」と同じである。図1のダイアログボックスで「詳細設計」ボタンをクリックすると、図20のダイアログボックスが表示される。このダイアログボックスは、「開発機種選択」のためのもので、構想設計の図12に示したダイアログボックスに対応する。
【0097】
本詳細設計の前段階の構想設計で設計規格・部品の確定を行い、設計フローを生成すると、図17の「詳細設計へ移行」アイコンが押せるようになるので、これをクリックすることで構想設計から詳細設計にタスクが移行できる。これによって、図20のダイアログボックスに「開発−02」というタスクが存在するようになる。
【0098】
図20のダイアログボックスにおいて「開発−02」の部分をクリックすると、この「開発−02」に関して設計しなければならない詳細設計の各設計項目が、図21に示すように一覧表示される(S2205)。ここに一覧表示される各設計項目は、図16の設計フローに示された各設計項目に対応する。詳細設計を行う作業者は、図21の一覧を見ることによって、自分が設計作業を行わなければならない設計項目を容易に知ることができる。
【0099】
図21の一覧表には、「状態」、「開発機種名」、「ユニット」、「部品名」、「設計項目名」、「作業者」、「完了日時」というフィールドが用意されている。ここで、「部品名」フィールドは、その設計項目がどの回路構成部品に対する作業であるかを示している。「状態」フィールドは、設計作業を開始することができる状態かどうかを知らせるために設けられている。「作業者」フィールドには、その設計を現在行っている又は行った担当者の氏名が表示される。「日時」フィールドには、その設計項目が完了した日時が表示される。「ユニット」は、その設計項目がどのユニットのものなのかを示している。
【0100】
ある設計項目決定を開始できるかどうかは、先に図16との関連で説明したように、その設計項目決定よりも前に必要な設計項目決定が完了しているかどうかで決まる。図21を見ると分かるように、本実施形態のシステムでは、「状態」フィールドが「設計可」である設計項目のみが通常表示され、「設計不可」である項目名は薄く表示されるようにしてある。図21において「設計可」とされている4つの設計項目1−1−2、1−1−3、1−3−1、2−1−2、は、図16のフロー図において設計可と表示された4つの設計項目に対応している。作業者は、この4つの設計項目のどれから開始してもよい。
【0101】
図21のダイアログボックスにおいて、下端の「フロービュー」ボタンをクリックすると、図16に示したものとほぼ同じ設計フローを表示させることができるようになっている(S2206)。これにより、作業者は必要に応じて簡単に設計フローを参照することができる。この場合、表示された設計フローの中で現時点で「設計可」である4つの設計項目については、他の設計項目と異なる色で点滅表示される(S2207)。これにより作業者は、全体の作業工程の中での現在の状況を一見して把握できる。
【0102】
図21において、設計作業の開始が可能な4つの設計項目のいずれかをクリックすると、本実施形態のシステム上では、そのクリックされた設計項目の作業が開始されたステータスとなる。
【0103】
ここでは、「設計可」項目のうち一番上の「設計項目1−1−2」を選択したとすると、図22に示すこの設計項目の詳細設計画面が現れる。
【0104】
図22の左側の領域には、全体の設計工程がツリー表示されており、「設計項目1−1−2」がハイライト表示されている。図22の右側の領域には、この設計項目1−1−2に関する種々の情報が表示されている。
【0105】
例えば、「開発機種名」の欄には、この開発プロジェクトの名称である「開発−02」が表示されている。「構想設計者」の欄には構想設計を行った作業者の名前が表示され(図13の例ではuserである)、「項目機能」の欄には、この設計項目によって実現される機能が表示されている。
【0106】
図22の画面において、この段階で新たに情報を追加することも可能ではあるが、図22は基本的に、詳細設計を実行する作業者に、この設計項目決定の作業として行われなければならない内容をナビゲートするための情報を提示するためのものである。作業者は、本システムのナビゲーションに従いながら、CADシステムの端末と対峙しながら実際の設計作業を実行する。
【0107】
なお、「詳細設計」の段階においては、設計項目決定は、アンプの増幅度や入出力インイーダンスといった、一般的な性能に留まらず、それらの性能を満たす、特定メーカの特定素子の決定までを可能とするものである。
【0108】
図22のダイアログボックスの「チェックリスト」欄は、この設計項目決定において、作業者が必ず作業を行わなければならない項目を列挙したものであり、作業者は、CAD上でここに列挙された一つの項目の作業を完了する度に、その項目の左側のチェックボックスにチェックマークを入れてゆく(S2208)。そして、すべての項目にチェックマークが入らないと、この設計項目の作業を完了できない仕組みになっている(S2208,S2209)。このような工夫によって、その設計項目において検討すべき点としてどのような項目があるかを把握していない経験の浅い作業者でも、確実に必要な作業を遂行することができ、作業の漏れなどを防ぐことができる。
【0109】
さらに、図22の右側の「標準画面」領域には、この設計項目に関連する部分の画像が表示される。この画像データは、CADの設計データの中から対応する部分を抽出して表示させたものである。これにより、作業者は、自分が今行っている作業が開発の全工程のうちどの部分に対応するのかを視覚的に把握できる。なお、作業者は設計ナビゲーションシステムの指示に従ってCADシステム上で設計作業を行うが、両者は一般には独立している。しかし、CADシステムと設計ナビゲーションシステムを切り替える、あるいは両システムが離れた場所にある場合には一方から他方へ移動する必要があるとすると効率が低下する。そこで、本実施形態のシステムのように、CADシステム上の設計画面を設計ナビゲーションシステム上でも参照できるようにすると、作業の効率が向上する。
【0110】
図22中央上部の「ナレッジリスト」欄に列挙されている情報は、前述の構築モードにおいて登録された「関連ノウハウ」の情報である(図9参照)。「ナレッジリスト」欄には、エクセルやワード等の一般的な形式のファイル名のドキュメントが記載されており、これらのファイルには、この設計項目に関連するノウハウや関連特許など、設計作業を行う上で有用な情報が記載されている。
【0111】
図23、は、一例として、図22の「ナレッジリスト」に含まれる「設計シート」というドキュメントをクリックしたときに現れる画像を示している(S2212)。この「設計シート」はエクセルのファイルとして格納されており、このドキュメントがクリックされるとエクセルが自動的に起動し、かつ「設計シート」という名前のファイルが自動的にエクセルに読み込まれ、図23に示したように表示される仕組みになっている。このように、設計担当者は、作業を行いながら瞬時にナレッジリストに登録された情報を参照することができるので、設計作業や知識が浅い作業者でも、これらのドキュメントに記載されたノウハウや情報を参照しながら、効率的に、しかも一定以上の水準で設計作業を遂行することが可能となる。
【0112】
図24は、図22と類似しているが、図24は、例えばこのシステムが稼動している端末とは別の端末上で稼動しているCADソフトウェアを操作しながら。「チェック項目」により列記されている各項目について設計作業を行い、一つの項目が終わる度に対応する項目のチェックボックスをクリックするという操作を繰り返し、全ての項目にチェックマークが入った状態を示している。なお、図24では、「チェック項目」の欄は、作業者がクリックしてチェックマークを付けるようにしたが、設計項目によっては作業者が何らかの数値をキーボード等から入力しなければならない場合もある。その場合には、当該数値を入力して初めてチェックボックスをクリックできる状態となるようにしてもよい。
【0113】
図24の「チェック項目」に示されたすべての設計項目にチェックマークが入ると、図24の右上の「設計完了」ボタンをクリックすることができる状態となる。このように、本システムが作業者をナビゲートして、各段階でどのような設計作業が必要かをコンピュータを介して作業者に知らせるようにしたことにより、設計作業の経験が浅い作業者でも必要な項目を設計し忘れるということがまず無くなる。
【0114】
ここで、「設計完了」ボタンをクリックすると、図24のダイアログボックスが閉じ、図25に示すダイアログボックスが表示される。このダイアログボックスは、図21に示したのと同じダイアログボックスであるが、内容が一部変わっている。すなわち、図25のダイアログボックスでは設計項目1−1−2の「状態」フィールドが「設計完了」に変わっており、それに伴って設計項目1−2−1の「状態」フィールドが「設計可」となって通常の表示状態になっている。
【0115】
次に、「手戻り」機能について説明する。この機能は、詳細設計における作業がある程度まで進んだ段階で、以前の設計項目についてやり直しをしたいという場合に、簡単に所望の設計項目まで戻ることができるようにした機能である。図26は、この手戻り機能を説明するための図である。図26は設計工程一覧のダイアログボックスであり、この「状態」フィールドを見ると分かるように、ここに表示されているいくつかの設計項目には、既に完了したもの(「設計完了」となっているもの)もあれば、現時点で設計作業を行うことができるもの(「設計可」となっているもの)もある。
【0116】
現在、作業者は、「状態」フィールドが「設計可」となっている設計項目1−2−2について設計作業を行っていたとする。図27は、設計項目1−2−2の設計作業を行っている状態を示したダイアログボックスである
図26で設計項目1−2−2(設計可)を選択して、設計項目1−2−2の詳細画面が図27になる。設計項目1−2−2は設計中の設計項目ということで矢印で示されている。
【0117】
ここで、設計項目1−1−1に手戻りを行う(再度設計項目1−1−1をやり直す)ための指定をする為に、設計項目1−1−1が選択状態になっている。(図26の段階では、1−1−1は設計完了されているが、1−2−2を行う段階で1−1−1に手戻りをかけている。)
【0118】
その場合には、図27の左側にツリー表示の中の「設計項目1−1−1」をクリックして選択状態にしてから図27右上部の「NG」ボタンをクリックする。すると、図28に示す確認画面が表示されるので、ここで「了解」ボタンをクリックすると図29に示す新たな設計工程一覧画面が表示される。これを見ると分かるように、新たに設計項目1−1−1が一つ追加され、同じ設計項目1−1−1が合計二つ表示されている。ここで追加された設計項目1−1−1の「状態」フィールドを見ると、「設計可」となっていることが分かる。
【0119】
図30は、上記の手戻り機能を使った前後において、設計フローがどのように変化したかを示している。手戻りを行う前の図30(a)の設計フローでは、設計項目2−2−2が現在実行可能な設計項目として第1の所定の色で表示される。
【0120】
これに対して、手戻りを行ったあとの図30(b)では、設計項目2−2−2はすでに完了したことを示す、第2の所定の色で表示され、代わりに設計項目1−1−1が現在実行可能な設計項目として、第1の所定の色で表示される。これに伴って、設計項目1−1−2、2−1−1、2−2−1については改めて作業をやり直す必要が生じ、例えば手戻った設計項目1−1−1が完了すると、図30(b)の設計フロー上では、続いて設計することができるようになる設計項目1−1−2及び2−1−1が実行可能な状態として表示される。
【0121】
以上説明した作業を繰り返しながら設計者が設計作業を進めてゆき、最終的にすべての設計項目が完了して、図31(a)に示すようにすべての設計項目の「状態」フィールドは「設計完了」とあると下端の「終了宣言」というボタンをクリックできる状態となる。ここで、このボタンをクリックし、図31(b)に示す確認画面で「OK」ボタンをクリックすると、図31(c)に示すように、オーダー選択画面から、「開発−02」というオーダが消える。これにより、詳細設計が終了する。なお、他の実施例として、(図示せず)34(a)の画面ですべての「状態」フィールドが「設計完了」となったときに、その旨が電子メールで構想設計者に送られ、構想設計者が詳細設計の内容を見て、その内容を承認して初めて詳細設計が終了するようにすることも考えられる。
【0122】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の設計支援方法及び設計支援システムによれば、製品の回路設計に必要となる設計仕様、回路構成部品、設計項目、前記設計仕様と前記回路構成部品との関係、そして前記設計項目と前記設計仕様若しくは前記回路構成部品との関係を定義してデータベースに登録することによって、前記製品の特定機種について設計者に前記設計仕様の内容の決定を促すこと、前記特定機種で用いる回路構成部品を前記データベースから抽出して設計者に提示し、必要に応じて追加・変更・削除を行って回路構成部品の決定を設計者に促すこと、前記特定機種に必要な設計項目を抽出し設計者に提示すること、そして、前記設計項目抽出工程で抽出された設計項目の具体的な作業内容を設計者に提示し、設計者をナビゲートして当該作業内容に従って作業を進めれば、どういう手順で具体的にどのような作業を行えばよいかを詳しく知らないような、当該製品の回路設計経験が浅い設計者でも、一定以上の水準で設計を行うことが可能となり、しかも、設計に要する期間も短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施の形態における、「構築モード」、「構想設計」、「詳細設計」の選択ボタンが表示されたダイアログボックス。
【図2】本発明の1つの実施の形態における、構築モードにおける作業の全体的手順を示した流れ図。
【図3】本発明の1つの実施の形態における、設計仕様を登録するためのダイアログボックス。
【図4】本発明の1つの実施の形態における、設計作業において使用されることが予想される回路構成部品を登録するためのダイアログボックス。
【図5A】本発明の1つの実施の形態における、設計項目自体の登録に関するプロパティを入力・編集するためのダイアログボックス。
【図5B】本発明の1つの実施の形態における、特定の設計項目に関するプロパティを入力・編集して登録するためのダイアログボックス。
【図6】本発明の1つの実施の形態における、設計項目と設計仕様もしくは回路構成部品とを関連付けるためのダイアログボックス。
【図7】本発明の1つの実施の形態における、既に登録されている設計仕様及び回路構成部品が全て表示されるダイアログボックス。
【図8】本発明の1つの実施の形態における、関連ノウハウを登録する方法を示したダイアログボックス。
【図9】本発明の1つの実施の形態における、選択したドキュメントを「関連ノウハウ」欄に登録するためのダイアログボックス。
【図10】本発明の1つの実施の形態における、「親情報」を参照して作成された設計フローを示すダイアログボックス。
【図11】本発明の1つの実施の形態における、構想設計における作業手順の概略を示した流れ図。
【図12】本発明の1つの実施の形態における、オーダー(機種)選択のためのダイアログボックス。
【図13】本発明の1つの実施の形態における、設計仕様の設計値入力用のダイアログボックス。
【図14】本発明の1つの実施の形態における、回路構成部品登録のダイアログボックス。
【図15】本発明の1つの実施の形態における、システムに登録されているすべての回路構成部品が表示されたダイアログボックス。
【図16】本発明の1つの実施の形態における、生成された設計フローの一例。
【図17】本発明の1つの実施の形態における、構想設計が終了する場合にその旨をシステムに知らせる「タスク発行」という操作を行うダイアログボックス。
【図18】本発明の1つの実施の形態における、構想設計の「開発機種一覧画面」で、詳細設計にタスクが移行された状態を示すダイアログボックス。
【図19】本発明の1つの実施の形態における、実行モードの一つである詳細設計全体の概略を示した流れ図。
【図20】本発明の1つの実施の形態における、「詳細設計」における「開発機種選択」のためのダイアログボックス。
【図21】図20のダイアログボックスにおける「開発−02」に関して設計しなければならない詳細設計の各設計項目の一覧表示。
【図22】本発明の1つの実施の形態における、選択された設計項目の詳細設計画面。
【図23】図22の「ナレッジリスト」に含まれる「設計シ−ト」というドキュメントをクリックしたときに現れる画像。
【図24】本発明の1つの実施の形態における、全ての項目にチェックマークが入った状態を示すダイアログボックス。
【図25】本発明の1つの実施の形態における、ある設計項目が「設計完了」とされた場合に表示されるダイアログボックス。
【図26】本発明の1つの実施の形態における、設計工程一覧のダイアログボックス。
【図27】本発明の1つの実施の形態における、設計項目1−2−2の設計作業を行っている状態を示したダイアログボックス。
【図28】本発明の1つの実施の形態における、設計項目1−1−1の設計作業をやり直す場合の確認画面を表すダイアログボックス。
【図29】本発明の1つの実施の形態における、設計項目1−1−1の設計作業をやり直す場合の新たな設計工程一覧画面。
【図30】本発明の1つの実施の形態における、手戻り機能を使った前後において、設計フローがどのように変化したかを示す図。
【図31(a)】本発明の1つの実施の形態における、詳細設計の終了宣言を行うダイアログボックス。
【図31(b)】本発明の1つの実施の形態における、詳細設計の終了宣言を行うダイアログボックス。
【図31(c)】本発明の1つの実施の形態における、詳細設計の終了宣言を行うダイアログボックス。
Claims (12)
- コンピュータを使って、ある製品の回路設計を行う設計者を支援する設計支援方法であって、
前記製品の回路設計に必要となる設計仕様、回路構成部品、設計項目、前記設計仕様と前記回路構成部品との関係、そして前記設計項目と前記設計仕様若しくは前記回路構成部品との関係をコンピュータ上で定義してデータベースに登録する構築工程と、
前記製品の特定機種について、コンピュータによって、設計者に前記設計仕様の内容の決定を促す設計仕様決定工程と、
前記構築工程で登録された設計仕様と回路構成部品との関係に基づいて、前記特定機種で用いる回路構成部品を前記データベースから抽出して設計者に提示し、必要に応じて追加・変更・削除を行って回路構成部品の決定をコンピュータ上で設計者に促す回路構成部品決定工程と、
前記構築工程で登録された前記設計項目と前記設計仕様若しくは前記回路構成部品との関係に基づいて、コンピュータによって、前記特定機種に必要な設計項目を抽出し、設計者に提示する設計項目抽出工程と、
前記設計項目抽出工程で提示された設計項目の具体的な作業内容を、コンピュータによって設計者に提示し、設計者をナビゲートして当該作業内容の遂行を促す設計項目遂行工程と、
を具備することを特徴とする設計支援方法。 - 前記構築工程において、各設計項目についてそれぞれの時間的な先後関係を設定するとともに、前記設計項目抽出工程において抽出された設計項目について、それぞれに設定されている前記先後関係に基づいてコンピュータ上で設計フロー図を作成し、設計者に提示することを特徴とする請求項1に記載の設計支援方法。
- 前記構築工程において、各設計項目に関連するドキュメントを、それぞれの設計項目と関連づけてデータベースに登録しておき、前記設計項目遂行工程において、設計者が設計項目の具体的作業を行うときに当該設計項目と関連づけられたドキュメントが有るときは、その内容を抽出して設計者に提示することを特徴とする請求項1又は2に記載の設計支援方法。
- 前記ドキュメントが特許公報である、請求項3に記載の設計支援方法。
- 前記構築工程において前記各回路構成部品のコストをデータベースに登録するコスト登録工程と、
前記回路構成部品決定工程で各回路構成部品が決定される度に、当該各回路構成部品毎のコストを前記データベースから読み出し、それまでに決定された各回路構成部品のコストの累計を表示する、回路構成部品コスト累計表示工程、
を更に含む、
請求項1乃至4に記載の設計支援方法。 - 前記設計項目遂行工程において、一旦終了した設計項目を、得られたデータは残して未終了の状態に戻し、再度当該設計項目の遂行をやり直すことを可能にする工程をさらに含んでいることを特徴とする、請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の設計支援方法。
- ある製品の回路設計を行う設計者を支援する設計支援システムであって、
前記製品の回路設計に必要となる設計仕様、回路構成部品、設計項目、前記設計仕様と前記回路構成部品との関係、そして前記設計項目と前記設計仕様若しくは前記回路構成部品との関係を定義してデータベースに登録する構築手段と、
前記製品の特定機種について、設計者に前記設計仕様の内容の決定を促す設計仕様決定手段と、
前記構築工程で登録された設計仕様と回路構成部品との関係に基づいて、回路構成部品を前記データベースから抽出して設計者に提示し、必要に応じて追加・変更・削除を行って回路構成部品の決定を設計者に促す回路構成部品決定手段と、
前記構築工程で登録された前記設計項目と前記設計仕様若しくは前記回路構成部品との関係に基づいて、前記特定機種に必要な設計項目を抽出し、設計者に提示する設計項目抽出手段と、
前記設計項目抽出手段で提示された設計項目の具体的な作業内容を設計者に提示し、当該作業内容の遂行を設計者に促す設計項目遂行手段と、
を具備することを特徴とする設計支援システム。 - 前記構築手段は、各設計項目についてその親情報を設定する機能を有し、前記設計項目抽出手段によって抽出された設計項目について、それぞれに設定されている前記親情報に基づいて設計フロー図を作成し、設計者に提示する手段を有することを特徴とする、請求項7に記載の設計支援システム。
- 前記構築手段は、各設計項目に関連するドキュメントをそれぞれの設計項目と関連づけてデータベースに登録する機能を有し、前記設計項目遂行手段において、設計者が設計項目の具体的作業を行うときに当該設計項目と関連づけられたドキュメントが有るときは、その内容を抽出して設計者に提示する手段を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の設計支援システム。
- 前記ドキュメントが特許公報である、請求項9に記載の設計支援システム。
- 前記構築手段が、前記回路構成部品のコストをデータベースに登録するコスト登録手段を備え、
前記回路構成部品決定手段が、各回路構成部品が決定される度に、当該各回路構成部品毎のコストを前記データベースから読み出し、それまでに決定された各回路構成部品のコストの累計を表示する、回路構成部品コスト累計表示手段、
を備える、
請求項7乃至10に記載の設計支援システム。 - 前記設計項目遂行手段は、一旦終了した設計項目を、得られたデータは残して未終了の状態に戻し、再度当該設計項目をやり直すことを可能にする手段を有することを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一項に記載の設計支援システム。
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