JP2005036265A - 導電性粒子、導電性材料および異方性導電膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】基材微粒子、および基材微粒子上に設けられた金属被覆層を有する導電性粒子において、耐蝕性を向上させ、下地金属の溶出や腐食を抑制する。
【解決手段】導電性粒子は、基材微粒子、および基材微粒子上に設けられた金属被覆層を有する。金属被覆層中の金の含有率が90重量%以上、99重量%以下である。あるいは、導電性粒子が、基材微粒子、内側金属層および金を含む外側金属層を備える粒子をエッチング処理することによって得られ、金属被覆層中の金の含有率が90重量%以上である。
【選択図】 なし
【解決手段】導電性粒子は、基材微粒子、および基材微粒子上に設けられた金属被覆層を有する。金属被覆層中の金の含有率が90重量%以上、99重量%以下である。あるいは、導電性粒子が、基材微粒子、内側金属層および金を含む外側金属層を備える粒子をエッチング処理することによって得られ、金属被覆層中の金の含有率が90重量%以上である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性粒子、導電性材料および異方性導電膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特許文献1には、最内層に銅、中間層にニッケル、最外層に金を被覆した導電性粒子が公開されている。
【特許文献1】
特許第2639104号公報
【0003】特許文献2には基材樹脂粒子に銅を含んだ金属被覆を施した導電性粒子が公開されている。
【特許文献2】
特開2001−155539号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特許文献1および特許文献2に記載される導電性粒子は、良好な導電性を得るため、銅を下地膜とし、金からなる上層を形成している。しかし、例えば酸を含む接着剤中に導電性粒子を分散させて異方導電性膜を製造すると、銅の溶出により、接着剤の硬化を阻害することがあった。また、このような異方導電性膜を用いた導電接続は、電気回路の短絡や接続部の剥離等が生じ易いことが分かった。
【0005】本発明の課題は、基材微粒子、および基材微粒子上に設けられた金属被覆層を有する導電性粒子において、耐蝕性に優れており、下地金属の溶出や腐食を抑制できるような導電性粒子を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】第一の態様に係る発明は、
基材微粒子、および基材微粒子上に設けられた金属被覆層を有する導電性粒子であって、金属被覆層中の金の含有率が90重量%以上、99重量%以下であることを特徴とする。
【0007】第二の態様に係る発明は、
基材微粒子、および基材微粒子上に設けられた金属被覆層を有する導電性粒子であって、基材微粒子、内側金属層および金を含む外側金属層を備える粒子をエッチング処理することによって得られ、金属被覆層中の金の含有率が90重量%以上であることを特徴とする。
【0008】本発明者は、下地金属の溶出や腐食の原因について検討したところ、以下の知見を得た。即ち、従来、複合金属層を有する導電性粒子の最上層には、耐食性に優れる金が好ましく用いられてきた。しかしながら、金層は、コスト面から例えば0.10μm以下の薄膜とされてきた。また,特に無電解めっきによって金層を成膜した場合には、金が粒状物として析出するため、粒状物間の隙間が多い。ここで酸を含む溶液あるいは樹脂中に導電性粒子を分散させると、金を含む最上層下にある、耐腐食性の相対的に低い金属層が腐食され、この金属が溶液や樹脂中に溶出しやすいことを見いだした。
【0009】そこで、第一の発明では、基材粒子に無電解メッキにより2層以上の金属層を形成した導電性粒子において、最表層を金を含む金属層とし、全金属被覆層中の金の割合を90重量%以上とすることによって、耐腐食性の相対的に低い金属層の腐食、溶出を抑制し、耐久性の高い導電性材料を提供できることを見いだした。
【0010】金の割合が100重量%となると、金の基材微粒子への密着性が悪くなり、基材微粒子から金属被覆層が剥離しやすくなる。金属被覆層の導電性粒子への密着性を向上させるという観点からは、金属被覆層中の金の割合は、99重量%以下とすることが更に好ましい。
【0011】金属被覆層中の金の割合は、蛍光X線測定装置を使用し、以下のようにして測定する。
得られた導電性粒子を1〜10%程度セルロースと混ぜ合わせた後、加圧成型する。この成型体を蛍光X線測定装置を用い、各元素の含有量を測定し、定量を行う。
【0012】また、第二の発明では、金属被覆層の最上層に金を含有させると共に、金属被覆層をエッチング処理する。これによって、導電性粒子の表面の腐食されやすい金属を溶解させて取り除く。この結果、得られた導電性粒子は、樹脂や溶液中の酸や酸化剤によって腐食されにくくなり、金属の腐食や溶出、導電安定性の低下を防止できる。
第一、第二の態様において、金属被覆層中の金の割合は91重量%以上が好ましく、93重量%以上が更に好ましく、95重量%以上が一層好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】(基材微粒子)
基材微粒子の材質は特に限定されないが、有機系重合体、有機・無機ハイブリット材料が好ましい。重合体としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド等の線状重合体;ジビニルベンゼン、ヘキサトリエン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジアリルカルビノール、アルキレンジアクリレート、オリゴ又はポリアルキレングリコールジアクリレート、オリゴ又はポリアルキレングリコールジメタクリレート、アルキレントリアクリレート、アルキレンテトラアクリレート、アルキレントリメタクリレート、アルキレンテトラメタクリレート、アルキレンビスアクリルアミド、アルキレンビスメタクリルアミド、両末端アクリル変性ポリブタジエンオリゴマー等を単独又は他の重合性モノマーと重合させて得られる網状重合体;フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0014】有機系重合体の重合法は限定されず、懸濁重合法、シード重合法、分散重合法、乳化重合法であってよい。
【0015】有機・無機ハイブリット材料としては、側鎖にシリル基を有する(メタ)アクリレートとスチレン、メチルメタクリレート等のビニルモノマーとの共重合体を作製した後、上記シリル基を縮合反応させたもの;有機重合体共存下でテトラエトキシシラン、トリエトキシシラン、ジエトキシシラン等をゾル−ゲル反応させたもの;テトラエトキシシラン、トリエトキシシラン、ジエトキシシラン等をゾル−ゲル反応させた後、低温で焼成を行うことにより有機成分を残留させたものが挙げられる。
【0016】基材微粒子の形状は限定されず、真球形状、回転楕円体、多面体、針状、ファイバー状、ウイスカー、柱状、筒状、不定形であってよいが、真球状とすることが好ましい。
【0017】基材微粒子の平均粒子径は、1〜1000μmが好ましく、2〜500μmがより好ましい。なお、基材微粒子の平均粒子径は、基材微粒子が球状の場合は直径であり、回転楕円体状である場合は長径である。また、前記平均粒子径は、任意の基材微粒子300個を電子顕微鏡で観察・測定することにより得られる値である。
【0018】基材微粒子の粒子径分布の変動係数(CV値)は、15%以下であることが好ましく、10%以下であることが一層好ましい。CV値が15%を超えると、基材微粒子の粒子径が不揃いとなるため、この基材微粒子を用いて製造した導電性粒子によって電気接続を図る際に、接続に関与しない導電性微粒子が発生し、隣接電極間でのリーク現象が生じる場合がある。
【0019】上記CV値とは、下記の式(1);
CV値(%)=(σ/Dn)×100・・・・(1)
(式中、σは、粒子径の標準偏差を表し、Dnは、数平均粒子径を表す)で表される値である。上記標準偏差及び上記数平均粒子径は、任意の基材微粒子300個を電子顕微鏡で観察・測定することにより得られる値である。
【0020】基材微粒子には、「相互侵入高分子網目構造を形成し得る化合物」を含浸させることが可能である。これは、粒子内部において加熱によって相互侵入高分子網目構造を生成することができるような化合物であれば、限定されない。好適な実施形態においては、本化合物は、相互に架橋反応し得る官能基を複数有する。このように、本化合物が複数の官能基を有し、各官能基において架橋反応が進行することによって、相互侵入高分子網目構造が生成する。このような官能基としては、以下を例示できる。これらの官能基は、1つの化合物に一種類または二種類以上包含されている。
エポキシ基、加水分解性シリル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、イミノ基
【0021】エポキシ基を有する前記化合物としては、以下を例示できる。
エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、3−グリシジドキシプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシブチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル) エチルトリメトキシシラン
【0022】加水分解性シリル基を有する化合物としては、以下を例示できる。
テトラエトキシシラン、2−トリメトキシシリルエチルトリメトキシシラン、6−トリメトキシシリルヘキサメチレントリメトキシシラン、p−ジメトキシシリルエチルベンゼン、テレフタル酸ジ−3−トリメトキシシリルプロピル、アジピン酸ジ−3−トリメトキシシリルプロピル、イソシアヌル酸トリ−3−メチルジメトキシシリルプロピル
【0023】また、相互侵入高分子網目構造を形成する結合としては、エーテル結合、シロキサン結合、エーテル結合とシロキサン結合との組み合わせを例示できる。
【0024】(金属被覆)
金属被覆の形成手段は特に限定されない。しかし、置換あるいは還元により金属層の形成を行う無電解メッキ法が好ましい。特に金層を形成するためには、金属層に厚みをもたせることができる点で、還元剤を使用する無電解メッキ法が特に好ましい。無電解メッキ法は密着性の高い被膜を形成する上で優れた方法であるが、金粒子が粒状に生成しやすいので、金粒子の隙間から下地金属の腐食、溶出が発生しやすい。この点で本発明が特に有効である。
【0025】金を含む最上層の厚さは限定されないが、耐蝕性の観点からは、0.01μm以上であることが好ましく、0.02μm以上であることが更に好ましい。また、金を含む最上層の厚さの上限は特にないが、コスト低減の観点からは、0.30μm以下が好ましく、0.10μm以下が更に好ましい。
【0026】内側金属層を構成する金属は特に限定されないが、銅、ニッケル、銀等の金属、あるいは、はんだ等の合金を用いることができる。
【0027】内側金属層を銅によって形成すると、ニッケル等の硬くて脆い金属を用いる場合と比べて、内側金属層に柔軟性を持たせることができる。これによって、粒子が圧縮される場合において金属層が割れにくくなる。また、銅は電気抵抗が小さく、導電接続には好適である。
【0028】外側金属層と内側金属層との間には、別の金属層を設けなくともよく、設けても良い。外側金属層と内側金属層との間に金属層を設ける場合には、この金属層は、例えば、銅、ニッケル、銀等の金属、あるいは、はんだ等の合金を用いることができる。
【0029】(銅−金メッキ)
銅−金メッキでは、基材粒子の表面に無限定銅メッキを行った後、その表面部分に置換あるいは無電解により金メッキ層を形成する。上記無電解銅メッキは、触媒付与工程と、銅還元メッキ工程とからなる。
【0030】(ニッケル−金メッキ)
ニッケル−金メッキでは、基材微粒子の表面に、無電解ニッケルメッキを行った後、その表面部分に置換または無電解により金メッキ層を形成する。上記無電解ニッケルメッキは触媒付与工程とニッケル還元メッキ工程とからなる。
【0031】上記触媒付与工程においては、基材微粒子の表面に、メッキの核となる触媒を析出又は吸着させるが、この際、白金族の金属化合物を用いることが好ましい。具体的には塩化第一錫の塩酸溶液に基材微粒子を浸漬した後、更に、塩化パラジウムの塩酸溶液に浸漬加熱し、水洗する。このようにして得た粒子では、パラジウムが粒径50nm以下の微粒子として析出している。
【0032】また、塩化錫と塩化パラジウムとの混合溶液に基材微粒子を浸漬し、その後、塩酸又は硫酸水溶液を用いて錫を溶出、除去してもよい。この場合も上記と同様、粒子表面にパラジウム微粒子が析出している。
【0033】更に、塩化パラジウムと、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピリジン等の水溶性モノマーと、アスコルビン酸との混合水溶液にグラフト重合層を有する樹脂微粒子を浸漬してもよい(特開昭61−166977号公報参照)。この場合も上記と同様、粒子表面にパラジウム微粒子が析出している。
【0034】次に、上記の方法により触媒の付与された基材微粒子を用いて、ニッケル還元メッキを行う。上記ニッケル還元メッキを行う方法としては、公知の方法(「最新無電解めっき技術」発行;総合技術センター、1986年、43頁等)を用いることができ、酸性メッキ、アルカリ性メッキのいずれをも用いることができる。上記ニッケル還元メッキとして、酸性メッキを用いる場合には、塩化ニッケル又は硫酸ニッケル溶液に触媒処理された粒子を浸漬し、pH4〜6の条件下で次亜リン酸ナトリウム溶液を滴下しながらニッケルの還元を行うことにより、粒子表面にニッケルメッキ層を形成することができる。
【0035】また、アルカリ性メッキを用いる場合には、pH8〜10の条件下でホウ酸又はホウ砂溶液を滴下しながらニッケルの還元を行うことにより、粒子表面にニッケルメッキ層を形成することができる。これらのニッケル還元メッキにおけるニッケル還元反応は、基材微粒子表面に存在するパラジウムの超微粒子上で進行し、これによりニッケルメッキ層が形成される。
【0036】次に、ニッケルメッキ層の形成された粒子に、置換メッキにより金メッキ層を形成する。上記金メッキは、ニッケルを部分的に溶出させると同時に金をニッケルメッキ層の表面部に析出させることにより行う。具体的には、シアン化合金カリウム、EDTA及び塩化アンモニウムからなる溶液にニッケルメッキ層が形成された粒子を投入し、加熱することにより行う。
【0037】(エッチング工程)
本発明においては、基材微粒子上に金属被覆層を形成した後に、粒子表面をエッチングする。
【0038】エッチングに使用できる酸としては、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸等の無機酸や、シュウ酸などの有機酸を例示できる。酸化剤としては、過酸化水素水、塩化第二鉄、塩化第二銅、過酸化水素水等の酸化剤を例示できる。また、酸と酸化剤とを併用することが特に好ましい。このような酸、酸化剤を含む溶液によるエッチングを行うことにより、予め酸に対して耐食性の劣る金属を取り除き、酸や腐食性添加物を含む接着樹脂への適用が可能となる。
【0039】(好適なエッチング条件)
好適なエッチング条件は、エッチング対象の金属によるが、例えば銅の場合、30%の塩酸および1%過酸化水素水の混合溶液を用い、60℃にて約30分間、攪拌浸漬する手法が挙げられる。
【0040】本発明による導電性粒子は、優れた導電性と耐久性とを有していることから、樹脂などの結着材に混入することにより、優れた導電性を有する導電性材料が得られる。このような導電性材料は、フィルム状の帯電防止膜や、電子回路において電気的接合を行う部分に使用可能な異方性導電膜として好適に利用できる。
【0041】こうした導電性材料を構成する結着材(接着剤)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ナイロン樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、スチレン・アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂を例示できる。
【0042】本発明の導電性粒子は酸による腐食や溶出に強い。従って、結着剤中に酸が含有されている場合に特に好適である。このような酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸等の重合性(メタ)アクリレート、酢酸、蟻酸、イソ吉草酸、イタコン酸、バラトルエンスルホン酸等の有機酸などが挙げられる。
【0043】また、本発明の導電性粒子を、絶縁性粒子と混合し、加圧成形することより、導電性材料を製造可能である。こうした絶縁性粒子としては、前述した「基材微粒子」の項目で列挙した粒子を例示できる。
【0044】好適な実施形態においては、金属被覆層が基材微粒子の全表面を被覆している。しかし、導電性膜は、基材微粒子の全面を被覆している必要はなく、基材微粒子の一部を被覆している場合も本発明に含まれる。ただし、導電性膜は基材微粒子の表面に沿って連続相を形成していることが好ましく、また基材微粒子の50%以上を被覆していることが好ましい。
また、内側金属層はエッチングされるが、エッチング後に金属層を構成していてよい。あるいは、エッチング後には内側金属層の相当部分は取り除かれることから、実質的に層を構成するに到らず、基材微粒子表面に局所的に付着している場合も含む。
【0045】
【実施例】(基材微粒子の作製)
1Lセパラブルフラスコにポリビニルピロリドン6%メタノール溶液600g、スチレン63g、p−トリメトキシシリルスチレン80gを充填し、窒素気流下において緩やかに攪拌しつつ60℃に加温する。アゾビスイソブチロニトリル4gを加え、14時間反応させる。反応終了後、粒子を洗浄し、p−トルエンスルホン酸ナトリウムの10%水溶液200gを追加し、1時間60℃で攪拌して加水分解及び架橋反応せしめた。得られた粒子を洗浄、乾燥した後、200℃で熱処理を行い、平均粒径5.0μm、変動係数3%の基材微粒子を得た。
【0046】(導電性粒子Bの製造)
基材微粒子を公知の手法により無電解銅メッキを行い、金属膜厚0.05μmの金属被覆粒子Aを得た。得られた粒子Aに更に0.05μmの無電解金メッキを行い、銅および金の複合金属層を有する金属被覆粒子Bを得た。
【0047】(導電性粒子Cの製造)
金属被覆粒子B 6gを1%の塩化銅、1%過酸化水素、10%の塩化水素を含む水溶液40gに浸漬し、50℃で30分攪拌を行った後、洗浄、乾燥し、金属被覆粒子Cを得た。
【0048】(導電性粒子Dの製造)
基材粒子を公知の手法により無電解銅メッキを行い、金属膜厚0.025μmの金属被覆粒子を得た。得られた粒子に更に無電解金メッキを行い、0.05μmの銅および金の複合金属層を有する金属被覆粒子Dを得た。
【0049】(導電性粒子Eの製造)
金属被覆粒子D 6gを10%の塩化第二鉄水溶液40gに浸漬し、常温で30分攪拌を行った後、洗浄、乾燥し、金属被覆粒子Eを得た。
【0050】(導電性粒子Fの製造)
基材微粒子に公知の手法により無電解銅メッキを行い、金属膜厚0.005μmの金属被覆粒子を得た。得られた粒子を更に無電解金メッキを行い、0.05μmの銅および金の複合金属層を有する金属被覆粒子Fを得た。
(導電性粒子Gの製造)
基材微粒子に公知の手法により無電解ニッケルメッキおよび無電解金メッキを行い、内側金属層がニッケル(膜厚0.05μm)、外側金属層が金(膜厚0.05μm)の金属被覆層を有する金属被覆粒子を得た。この金属被覆粒子5gを10%の第二塩化鉄、30%の硫酸を含む水溶液40gに浸漬し、50℃で30分間攪拌を行った後、洗浄し、乾燥し、金属被覆粒子Gを得た。
【0051】得られた各導電性粒子を蛍光X測定装置で測定し、金属被覆層に占める金の重量濃度を求めた。
【0052】(導通信頼性試験)
得られた各導電性粒子に、アクリル酸を含む紫外線硬化型接着剤(ヘンケル・ジャパン製LOCTITE)に1wt%混練し、ペーストを作成した。該ペーストをITO膜が内面に形成された幅10mmの2枚のガラス基盤上を交差するように挟み込み、紫外線照射機にて硬化接着した。この試験片の下側基板と上側基板との電気抵抗を測定した後、この試験片を80℃にて1000時間、促進試験を行なった。このときの電気抵抗を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】導電性粒子Bにおいては金の割合が69.2%である。この導電性粒子を用いた場合には、導電性接着材の試験後の電気抵抗の増加が大きい。導電性粒子Cにおいては、導電性粒子Bを、酸および酸化剤を含む水溶液によってエッチング処理している。この結果、試験後の電気抵抗の上昇がない。
導電性粒子Dにおいては金の割合が81.5%であるが、試験後の電気抵抗は大きく上昇した。導電性粒子Eにおいては、導電性粒子Dをエッチング処理しているが、試験後の電気抵抗の上昇が抑制されている。まだ導電性粒子Eにおいては、金の割合が96.6重量%であり、銅の割合が3.4重量%と低いが、抵抗の変化が最も小さい。
導電性粒子Fにおいては、下地金属(銅)層の厚さを0.005μmと薄くすることによって、エッチング処理なしに、金属被覆層に占める金の割合を93.4%に増加させている。この結果、試験後の電気抵抗の上昇が抑制されている。ただし、金の割合が同程度であれば、エッチング処理した場合の方が、試験後の電気抵抗の上昇が一層抑制される。
また、導電性粒子Gと他の実施例とを比較すると、内側金属層を銅によって形成することによって、電気抵抗を一層小さくでき、抵抗の変化も小さくできることがわかった。
【0055】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、基材微粒子、および基材微粒子上に設けられた無電解メッキ法による金属被覆層を有する導電性粒子において、耐蝕性に優れており、下地金属の溶出や腐食を抑制できるような導電性粒子を提供できる。
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性粒子、導電性材料および異方性導電膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特許文献1には、最内層に銅、中間層にニッケル、最外層に金を被覆した導電性粒子が公開されている。
【特許文献1】
特許第2639104号公報
【0003】特許文献2には基材樹脂粒子に銅を含んだ金属被覆を施した導電性粒子が公開されている。
【特許文献2】
特開2001−155539号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特許文献1および特許文献2に記載される導電性粒子は、良好な導電性を得るため、銅を下地膜とし、金からなる上層を形成している。しかし、例えば酸を含む接着剤中に導電性粒子を分散させて異方導電性膜を製造すると、銅の溶出により、接着剤の硬化を阻害することがあった。また、このような異方導電性膜を用いた導電接続は、電気回路の短絡や接続部の剥離等が生じ易いことが分かった。
【0005】本発明の課題は、基材微粒子、および基材微粒子上に設けられた金属被覆層を有する導電性粒子において、耐蝕性に優れており、下地金属の溶出や腐食を抑制できるような導電性粒子を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】第一の態様に係る発明は、
基材微粒子、および基材微粒子上に設けられた金属被覆層を有する導電性粒子であって、金属被覆層中の金の含有率が90重量%以上、99重量%以下であることを特徴とする。
【0007】第二の態様に係る発明は、
基材微粒子、および基材微粒子上に設けられた金属被覆層を有する導電性粒子であって、基材微粒子、内側金属層および金を含む外側金属層を備える粒子をエッチング処理することによって得られ、金属被覆層中の金の含有率が90重量%以上であることを特徴とする。
【0008】本発明者は、下地金属の溶出や腐食の原因について検討したところ、以下の知見を得た。即ち、従来、複合金属層を有する導電性粒子の最上層には、耐食性に優れる金が好ましく用いられてきた。しかしながら、金層は、コスト面から例えば0.10μm以下の薄膜とされてきた。また,特に無電解めっきによって金層を成膜した場合には、金が粒状物として析出するため、粒状物間の隙間が多い。ここで酸を含む溶液あるいは樹脂中に導電性粒子を分散させると、金を含む最上層下にある、耐腐食性の相対的に低い金属層が腐食され、この金属が溶液や樹脂中に溶出しやすいことを見いだした。
【0009】そこで、第一の発明では、基材粒子に無電解メッキにより2層以上の金属層を形成した導電性粒子において、最表層を金を含む金属層とし、全金属被覆層中の金の割合を90重量%以上とすることによって、耐腐食性の相対的に低い金属層の腐食、溶出を抑制し、耐久性の高い導電性材料を提供できることを見いだした。
【0010】金の割合が100重量%となると、金の基材微粒子への密着性が悪くなり、基材微粒子から金属被覆層が剥離しやすくなる。金属被覆層の導電性粒子への密着性を向上させるという観点からは、金属被覆層中の金の割合は、99重量%以下とすることが更に好ましい。
【0011】金属被覆層中の金の割合は、蛍光X線測定装置を使用し、以下のようにして測定する。
得られた導電性粒子を1〜10%程度セルロースと混ぜ合わせた後、加圧成型する。この成型体を蛍光X線測定装置を用い、各元素の含有量を測定し、定量を行う。
【0012】また、第二の発明では、金属被覆層の最上層に金を含有させると共に、金属被覆層をエッチング処理する。これによって、導電性粒子の表面の腐食されやすい金属を溶解させて取り除く。この結果、得られた導電性粒子は、樹脂や溶液中の酸や酸化剤によって腐食されにくくなり、金属の腐食や溶出、導電安定性の低下を防止できる。
第一、第二の態様において、金属被覆層中の金の割合は91重量%以上が好ましく、93重量%以上が更に好ましく、95重量%以上が一層好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】(基材微粒子)
基材微粒子の材質は特に限定されないが、有機系重合体、有機・無機ハイブリット材料が好ましい。重合体としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド等の線状重合体;ジビニルベンゼン、ヘキサトリエン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジアリルカルビノール、アルキレンジアクリレート、オリゴ又はポリアルキレングリコールジアクリレート、オリゴ又はポリアルキレングリコールジメタクリレート、アルキレントリアクリレート、アルキレンテトラアクリレート、アルキレントリメタクリレート、アルキレンテトラメタクリレート、アルキレンビスアクリルアミド、アルキレンビスメタクリルアミド、両末端アクリル変性ポリブタジエンオリゴマー等を単独又は他の重合性モノマーと重合させて得られる網状重合体;フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0014】有機系重合体の重合法は限定されず、懸濁重合法、シード重合法、分散重合法、乳化重合法であってよい。
【0015】有機・無機ハイブリット材料としては、側鎖にシリル基を有する(メタ)アクリレートとスチレン、メチルメタクリレート等のビニルモノマーとの共重合体を作製した後、上記シリル基を縮合反応させたもの;有機重合体共存下でテトラエトキシシラン、トリエトキシシラン、ジエトキシシラン等をゾル−ゲル反応させたもの;テトラエトキシシラン、トリエトキシシラン、ジエトキシシラン等をゾル−ゲル反応させた後、低温で焼成を行うことにより有機成分を残留させたものが挙げられる。
【0016】基材微粒子の形状は限定されず、真球形状、回転楕円体、多面体、針状、ファイバー状、ウイスカー、柱状、筒状、不定形であってよいが、真球状とすることが好ましい。
【0017】基材微粒子の平均粒子径は、1〜1000μmが好ましく、2〜500μmがより好ましい。なお、基材微粒子の平均粒子径は、基材微粒子が球状の場合は直径であり、回転楕円体状である場合は長径である。また、前記平均粒子径は、任意の基材微粒子300個を電子顕微鏡で観察・測定することにより得られる値である。
【0018】基材微粒子の粒子径分布の変動係数(CV値)は、15%以下であることが好ましく、10%以下であることが一層好ましい。CV値が15%を超えると、基材微粒子の粒子径が不揃いとなるため、この基材微粒子を用いて製造した導電性粒子によって電気接続を図る際に、接続に関与しない導電性微粒子が発生し、隣接電極間でのリーク現象が生じる場合がある。
【0019】上記CV値とは、下記の式(1);
CV値(%)=(σ/Dn)×100・・・・(1)
(式中、σは、粒子径の標準偏差を表し、Dnは、数平均粒子径を表す)で表される値である。上記標準偏差及び上記数平均粒子径は、任意の基材微粒子300個を電子顕微鏡で観察・測定することにより得られる値である。
【0020】基材微粒子には、「相互侵入高分子網目構造を形成し得る化合物」を含浸させることが可能である。これは、粒子内部において加熱によって相互侵入高分子網目構造を生成することができるような化合物であれば、限定されない。好適な実施形態においては、本化合物は、相互に架橋反応し得る官能基を複数有する。このように、本化合物が複数の官能基を有し、各官能基において架橋反応が進行することによって、相互侵入高分子網目構造が生成する。このような官能基としては、以下を例示できる。これらの官能基は、1つの化合物に一種類または二種類以上包含されている。
エポキシ基、加水分解性シリル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、イミノ基
【0021】エポキシ基を有する前記化合物としては、以下を例示できる。
エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、3−グリシジドキシプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシブチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル) エチルトリメトキシシラン
【0022】加水分解性シリル基を有する化合物としては、以下を例示できる。
テトラエトキシシラン、2−トリメトキシシリルエチルトリメトキシシラン、6−トリメトキシシリルヘキサメチレントリメトキシシラン、p−ジメトキシシリルエチルベンゼン、テレフタル酸ジ−3−トリメトキシシリルプロピル、アジピン酸ジ−3−トリメトキシシリルプロピル、イソシアヌル酸トリ−3−メチルジメトキシシリルプロピル
【0023】また、相互侵入高分子網目構造を形成する結合としては、エーテル結合、シロキサン結合、エーテル結合とシロキサン結合との組み合わせを例示できる。
【0024】(金属被覆)
金属被覆の形成手段は特に限定されない。しかし、置換あるいは還元により金属層の形成を行う無電解メッキ法が好ましい。特に金層を形成するためには、金属層に厚みをもたせることができる点で、還元剤を使用する無電解メッキ法が特に好ましい。無電解メッキ法は密着性の高い被膜を形成する上で優れた方法であるが、金粒子が粒状に生成しやすいので、金粒子の隙間から下地金属の腐食、溶出が発生しやすい。この点で本発明が特に有効である。
【0025】金を含む最上層の厚さは限定されないが、耐蝕性の観点からは、0.01μm以上であることが好ましく、0.02μm以上であることが更に好ましい。また、金を含む最上層の厚さの上限は特にないが、コスト低減の観点からは、0.30μm以下が好ましく、0.10μm以下が更に好ましい。
【0026】内側金属層を構成する金属は特に限定されないが、銅、ニッケル、銀等の金属、あるいは、はんだ等の合金を用いることができる。
【0027】内側金属層を銅によって形成すると、ニッケル等の硬くて脆い金属を用いる場合と比べて、内側金属層に柔軟性を持たせることができる。これによって、粒子が圧縮される場合において金属層が割れにくくなる。また、銅は電気抵抗が小さく、導電接続には好適である。
【0028】外側金属層と内側金属層との間には、別の金属層を設けなくともよく、設けても良い。外側金属層と内側金属層との間に金属層を設ける場合には、この金属層は、例えば、銅、ニッケル、銀等の金属、あるいは、はんだ等の合金を用いることができる。
【0029】(銅−金メッキ)
銅−金メッキでは、基材粒子の表面に無限定銅メッキを行った後、その表面部分に置換あるいは無電解により金メッキ層を形成する。上記無電解銅メッキは、触媒付与工程と、銅還元メッキ工程とからなる。
【0030】(ニッケル−金メッキ)
ニッケル−金メッキでは、基材微粒子の表面に、無電解ニッケルメッキを行った後、その表面部分に置換または無電解により金メッキ層を形成する。上記無電解ニッケルメッキは触媒付与工程とニッケル還元メッキ工程とからなる。
【0031】上記触媒付与工程においては、基材微粒子の表面に、メッキの核となる触媒を析出又は吸着させるが、この際、白金族の金属化合物を用いることが好ましい。具体的には塩化第一錫の塩酸溶液に基材微粒子を浸漬した後、更に、塩化パラジウムの塩酸溶液に浸漬加熱し、水洗する。このようにして得た粒子では、パラジウムが粒径50nm以下の微粒子として析出している。
【0032】また、塩化錫と塩化パラジウムとの混合溶液に基材微粒子を浸漬し、その後、塩酸又は硫酸水溶液を用いて錫を溶出、除去してもよい。この場合も上記と同様、粒子表面にパラジウム微粒子が析出している。
【0033】更に、塩化パラジウムと、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピリジン等の水溶性モノマーと、アスコルビン酸との混合水溶液にグラフト重合層を有する樹脂微粒子を浸漬してもよい(特開昭61−166977号公報参照)。この場合も上記と同様、粒子表面にパラジウム微粒子が析出している。
【0034】次に、上記の方法により触媒の付与された基材微粒子を用いて、ニッケル還元メッキを行う。上記ニッケル還元メッキを行う方法としては、公知の方法(「最新無電解めっき技術」発行;総合技術センター、1986年、43頁等)を用いることができ、酸性メッキ、アルカリ性メッキのいずれをも用いることができる。上記ニッケル還元メッキとして、酸性メッキを用いる場合には、塩化ニッケル又は硫酸ニッケル溶液に触媒処理された粒子を浸漬し、pH4〜6の条件下で次亜リン酸ナトリウム溶液を滴下しながらニッケルの還元を行うことにより、粒子表面にニッケルメッキ層を形成することができる。
【0035】また、アルカリ性メッキを用いる場合には、pH8〜10の条件下でホウ酸又はホウ砂溶液を滴下しながらニッケルの還元を行うことにより、粒子表面にニッケルメッキ層を形成することができる。これらのニッケル還元メッキにおけるニッケル還元反応は、基材微粒子表面に存在するパラジウムの超微粒子上で進行し、これによりニッケルメッキ層が形成される。
【0036】次に、ニッケルメッキ層の形成された粒子に、置換メッキにより金メッキ層を形成する。上記金メッキは、ニッケルを部分的に溶出させると同時に金をニッケルメッキ層の表面部に析出させることにより行う。具体的には、シアン化合金カリウム、EDTA及び塩化アンモニウムからなる溶液にニッケルメッキ層が形成された粒子を投入し、加熱することにより行う。
【0037】(エッチング工程)
本発明においては、基材微粒子上に金属被覆層を形成した後に、粒子表面をエッチングする。
【0038】エッチングに使用できる酸としては、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸等の無機酸や、シュウ酸などの有機酸を例示できる。酸化剤としては、過酸化水素水、塩化第二鉄、塩化第二銅、過酸化水素水等の酸化剤を例示できる。また、酸と酸化剤とを併用することが特に好ましい。このような酸、酸化剤を含む溶液によるエッチングを行うことにより、予め酸に対して耐食性の劣る金属を取り除き、酸や腐食性添加物を含む接着樹脂への適用が可能となる。
【0039】(好適なエッチング条件)
好適なエッチング条件は、エッチング対象の金属によるが、例えば銅の場合、30%の塩酸および1%過酸化水素水の混合溶液を用い、60℃にて約30分間、攪拌浸漬する手法が挙げられる。
【0040】本発明による導電性粒子は、優れた導電性と耐久性とを有していることから、樹脂などの結着材に混入することにより、優れた導電性を有する導電性材料が得られる。このような導電性材料は、フィルム状の帯電防止膜や、電子回路において電気的接合を行う部分に使用可能な異方性導電膜として好適に利用できる。
【0041】こうした導電性材料を構成する結着材(接着剤)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ナイロン樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、スチレン・アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂を例示できる。
【0042】本発明の導電性粒子は酸による腐食や溶出に強い。従って、結着剤中に酸が含有されている場合に特に好適である。このような酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸等の重合性(メタ)アクリレート、酢酸、蟻酸、イソ吉草酸、イタコン酸、バラトルエンスルホン酸等の有機酸などが挙げられる。
【0043】また、本発明の導電性粒子を、絶縁性粒子と混合し、加圧成形することより、導電性材料を製造可能である。こうした絶縁性粒子としては、前述した「基材微粒子」の項目で列挙した粒子を例示できる。
【0044】好適な実施形態においては、金属被覆層が基材微粒子の全表面を被覆している。しかし、導電性膜は、基材微粒子の全面を被覆している必要はなく、基材微粒子の一部を被覆している場合も本発明に含まれる。ただし、導電性膜は基材微粒子の表面に沿って連続相を形成していることが好ましく、また基材微粒子の50%以上を被覆していることが好ましい。
また、内側金属層はエッチングされるが、エッチング後に金属層を構成していてよい。あるいは、エッチング後には内側金属層の相当部分は取り除かれることから、実質的に層を構成するに到らず、基材微粒子表面に局所的に付着している場合も含む。
【0045】
【実施例】(基材微粒子の作製)
1Lセパラブルフラスコにポリビニルピロリドン6%メタノール溶液600g、スチレン63g、p−トリメトキシシリルスチレン80gを充填し、窒素気流下において緩やかに攪拌しつつ60℃に加温する。アゾビスイソブチロニトリル4gを加え、14時間反応させる。反応終了後、粒子を洗浄し、p−トルエンスルホン酸ナトリウムの10%水溶液200gを追加し、1時間60℃で攪拌して加水分解及び架橋反応せしめた。得られた粒子を洗浄、乾燥した後、200℃で熱処理を行い、平均粒径5.0μm、変動係数3%の基材微粒子を得た。
【0046】(導電性粒子Bの製造)
基材微粒子を公知の手法により無電解銅メッキを行い、金属膜厚0.05μmの金属被覆粒子Aを得た。得られた粒子Aに更に0.05μmの無電解金メッキを行い、銅および金の複合金属層を有する金属被覆粒子Bを得た。
【0047】(導電性粒子Cの製造)
金属被覆粒子B 6gを1%の塩化銅、1%過酸化水素、10%の塩化水素を含む水溶液40gに浸漬し、50℃で30分攪拌を行った後、洗浄、乾燥し、金属被覆粒子Cを得た。
【0048】(導電性粒子Dの製造)
基材粒子を公知の手法により無電解銅メッキを行い、金属膜厚0.025μmの金属被覆粒子を得た。得られた粒子に更に無電解金メッキを行い、0.05μmの銅および金の複合金属層を有する金属被覆粒子Dを得た。
【0049】(導電性粒子Eの製造)
金属被覆粒子D 6gを10%の塩化第二鉄水溶液40gに浸漬し、常温で30分攪拌を行った後、洗浄、乾燥し、金属被覆粒子Eを得た。
【0050】(導電性粒子Fの製造)
基材微粒子に公知の手法により無電解銅メッキを行い、金属膜厚0.005μmの金属被覆粒子を得た。得られた粒子を更に無電解金メッキを行い、0.05μmの銅および金の複合金属層を有する金属被覆粒子Fを得た。
(導電性粒子Gの製造)
基材微粒子に公知の手法により無電解ニッケルメッキおよび無電解金メッキを行い、内側金属層がニッケル(膜厚0.05μm)、外側金属層が金(膜厚0.05μm)の金属被覆層を有する金属被覆粒子を得た。この金属被覆粒子5gを10%の第二塩化鉄、30%の硫酸を含む水溶液40gに浸漬し、50℃で30分間攪拌を行った後、洗浄し、乾燥し、金属被覆粒子Gを得た。
【0051】得られた各導電性粒子を蛍光X測定装置で測定し、金属被覆層に占める金の重量濃度を求めた。
【0052】(導通信頼性試験)
得られた各導電性粒子に、アクリル酸を含む紫外線硬化型接着剤(ヘンケル・ジャパン製LOCTITE)に1wt%混練し、ペーストを作成した。該ペーストをITO膜が内面に形成された幅10mmの2枚のガラス基盤上を交差するように挟み込み、紫外線照射機にて硬化接着した。この試験片の下側基板と上側基板との電気抵抗を測定した後、この試験片を80℃にて1000時間、促進試験を行なった。このときの電気抵抗を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】導電性粒子Bにおいては金の割合が69.2%である。この導電性粒子を用いた場合には、導電性接着材の試験後の電気抵抗の増加が大きい。導電性粒子Cにおいては、導電性粒子Bを、酸および酸化剤を含む水溶液によってエッチング処理している。この結果、試験後の電気抵抗の上昇がない。
導電性粒子Dにおいては金の割合が81.5%であるが、試験後の電気抵抗は大きく上昇した。導電性粒子Eにおいては、導電性粒子Dをエッチング処理しているが、試験後の電気抵抗の上昇が抑制されている。まだ導電性粒子Eにおいては、金の割合が96.6重量%であり、銅の割合が3.4重量%と低いが、抵抗の変化が最も小さい。
導電性粒子Fにおいては、下地金属(銅)層の厚さを0.005μmと薄くすることによって、エッチング処理なしに、金属被覆層に占める金の割合を93.4%に増加させている。この結果、試験後の電気抵抗の上昇が抑制されている。ただし、金の割合が同程度であれば、エッチング処理した場合の方が、試験後の電気抵抗の上昇が一層抑制される。
また、導電性粒子Gと他の実施例とを比較すると、内側金属層を銅によって形成することによって、電気抵抗を一層小さくでき、抵抗の変化も小さくできることがわかった。
【0055】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、基材微粒子、および基材微粒子上に設けられた無電解メッキ法による金属被覆層を有する導電性粒子において、耐蝕性に優れており、下地金属の溶出や腐食を抑制できるような導電性粒子を提供できる。
Claims (8)
- 基材微粒子、および前記基材微粒子上に設けられた金属被覆層を有する導電性粒子であって、
前記金属被覆層中の金の含有率が90重量%以上、99重量%以下であることを特徴とする、導電性粒子。 - 前記金属被覆層が銅を含むことを特徴とする、請求項1記載の導電性粒子。
- 基材微粒子、および前記基材微粒子上に設けられた金属被覆層を有する導電性粒子であって、
前記基材微粒子、内側金属層および金を含む外側金属層を備える粒子をエッチング処理することによって得られ、前記金属被覆層中の金の含有率が90重量%以上であることを特徴とする、導電性粒子。 - 前記外側金属層の厚さが0.05μm以下であり、前記金属被覆層における金以外の金属の含有率が5重量%以下であることを特徴とする、請求項3記載の導電性粒子。
- 前記内側金属層が無電解メッキによって形成されていることを特徴とする、請求項3または4記載の導電性粒子。
- 前記内側金属層が銅を含むことを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一つの請求項に記載の導電性粒子。
- 請求項1〜6のいずれか一つの請求項に記載の導電性粒子、およびこの導電性粒子を結着する結着剤を備えていることを特徴とする、導電性材料。
- 請求項7記載の導電性材料からなることを特徴とする、異方性導電膜。
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