JP2005029633A - 処理顔料およびその製造方法 - Google Patents

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栄一 木内
Hiroshi Katsube
浩史 勝部
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真由美 徳岡
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Abstract

【課題】分散性、経時安定性に優れた処理顔料、およびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】有機顔料と官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体とを強酸に共溶解させ、その溶液を水に取り出すことにより、前記顔料と前記誘導体とが最小粒子単位で混ざり合い処理されること、又は析出した前記顔料の表面を前記誘導体で被覆して処理されることを特徴とする処理顔料の製造方法。さらに、前記製造方法により処理された処理顔料。
【選択図】 なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機顔料が官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体により処理された処理顔料の製造方法に関する。さらに本発明は、塗料、プラスチック、印刷インキ、カラートナー、カラーフィルター、インクジェットインキ等の色材用に分散性、経時安定性に優れた処理顔料に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗料、印刷インキ等の色材分野において、分散性、透明性、流動性、光沢、鮮明性、経時安定性等の適性を付与するため、顔料の表面に処理を施した処理顔料を用いることは一般的に知られている。
【0003】
従来、この表面処理剤としては、例えば、ロジン、ロジン誘導体、アミン、顔料誘導体、合成樹脂、界面活性剤等が使用されている。その表面処理方法としては、ロジンにおいてはアルカリ金属塩として水に溶解させ、これを顔料スラリー中に添加し、その後強酸で酸析させ不溶性のフリーの酸として、あるいは金属塩として顔料の表面に析出する方法、ロジン誘導体、顔料誘導体、合成樹脂、界面活性剤においてはその水溶液を顔料スラリー中に添加する方法等が知られている。
【0004】
顔料誘導体による表面処理の方法としては、前記した様に顔料スラリー中に、官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する顔料誘導体が溶解している水溶液を添加することにより、顔料の二次粒子表面に前記誘導体を吸着させる方法が挙げられる。また、官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する顔料誘導体とその未反応物との強酸溶液から水に析出した混合物を顔料の二次粒子表面に吸着させる方法が挙げられる(特許文献1参照。)。
【0005】
しかしながら、上記製造方法により得られた処理顔料は、顔料の二次粒子表面に前記誘導体が吸着している部分と吸着していない部分とが平衡状態で混在しており、その分布差も大きく、これら処理顔料を用いた印刷インキは、顔料自身の凝集による分散性の低下、それに伴うインキの増粘、さらにインキの経時安定性が未だ不十分であるという問題点があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−317126号公報(第2頁段落番号0006、第4頁段落番号0025〜第5頁段落番号0028、同頁段落番号0033〜第6頁段落番号0036。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、分散性、経時安定性に優れた処理顔料、およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、前記実状に鑑みて鋭意検討した結果、顔料誘導体による処理の方法として、前記した顔料スラリー中に、官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する顔料誘導体が溶解している水溶液を添加する方法、あるいは官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する顔料誘導体とその未反応物との強酸溶液から水に析出した混合物を顔料の二次粒子表面に吸着させる方法に代えて、有機顔料と官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体とを強酸に共溶解させ、その溶液を水に取り出すことにより、顔料の一次粒子表面だけでなく最小粒子単位での処理が可能となり、分散性、経時安定性により優れた処理顔料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち本発明は、有機顔料と官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体とを強酸に共溶解させ、その溶液を水に取り出すことにより、前記顔料と前記誘導体とが最小粒子単位で混ざり合い処理されること、又は析出した前記顔料の表面を前記誘導体で被覆して処理されることを特徴とする処理顔料の製造方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法に使用される有機顔料としては、公知慣用のものがいずれも使用することができるが、例えば、ペリレン・ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、メチン・アゾメチン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、可溶性及び不溶性・縮合アゾ系顔料、アントラキノン系顔料、ジアンスラキノニル系顔料、アンスラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ピランスロン系顔料、建染染料系顔料および塩基性染料系顔料等が挙げられる。
【0011】
有機顔料の具体例を挙げると、以下の通りである。
ペリレン・ペリノン系顔料としては、例えば、C.I.Pigment Violet 29、C.I.Pigment Red 123、同149、同178、同179、C.I.Pigment Black 31、同32、C.I.Pigment Orange 43等の顔料が挙げられる。
【0012】
キナクリドン系顔料としては、例えば、C.I.Pigment Violet19、同42、C.I.Pigment Red 122、同202、同206、同207、同209、C.I.Pigment Orange 48、同49等の顔料が挙げられる。
【0013】
フタロシアニン系顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、C.I.Pigment Green 7、同36等の顔料が挙げられる。
【0014】
アントラキノン系顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue60、C.I.Pigment Yellow 24、同108、C.I.Pigment Red 168、同177、C.I.Pigment Orange 40等の顔料が挙げられる。
【0015】
キノフタロン系顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow138等の顔料が挙げられる。
【0016】
ジオキサジン系顔料としては、例えば、C.I.Pigment Violet23、同37等の顔料が挙げられる。
【0017】
イソインドリノン系顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 109、同110、同173、C.I.Pigment Orange 61等の顔料が挙げられる。
【0018】
イソインドリン系顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 185等の顔料が挙げられる。
【0019】
メチン・アゾメチン系顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 139、同185、C.I.Pigment Orange 66、C.I.Pigment Brown 38等の顔料が挙げられる。
【0020】
ジケトピロロピロール系顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 254、同255等の顔料が挙げられる。
【0021】
不溶性アゾ系顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、同3、同12、同13、同14、同17、同55、同73、同74、同81、同83、同97、同130、同151、同152、同154、同156、同165、同166、同167、同170、同171、同172、同174、同175、同176、同180、同181、同188、C.I.Pigment Orange 16、同36、同60、C.I.Pigment Red 5、同22、同31、同112、同146、同150、同171、同175、同176、同183、同185、同208、同213、C.I.Pigment Violet 43、同44、C.I.Pigment Blue 25、同26等の顔料が挙げられる。
【0022】
縮合アゾ系顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 93、同94、同95、同128、同166、C.I.Pigment Orange 31、C.I.Pigment Red 144、同166、同214、同220、同221、同242、同248、同262、C.I.PigmentBrown 41、同42等の顔料が挙げられる。
【0023】
本発明においてこれら有機顔料は、2種以上を併用することもできる。
【0024】
前記した有機顔料は、通常、一次粒子の平均粒子径が50000〜20nmのものとして入手されるが、有機顔料の粒子径が比較的大きい場合には、微細化し且つ粒子径を制御するために、ソルトミリングやソルベントミリング、あるいはソルベントソルトミリング等の湿式粉砕または乾式粉砕を行うことが好ましい。
【0025】
本発明は、有機顔料と官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体とを強酸に共溶解させ、その溶液を水に取り出すことにより、前記顔料と前記誘導体とが最小粒子単位で混ざり合い処理が実施される。ここで、前記した有機顔料と有機顔料誘導体とを強酸に共溶解させた溶液と、水とをエゼクターを用いて同時に水に取り出すこともできる。
【0026】
また本発明は、有機顔料を強酸に溶解させた溶液を、官能基がスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体が溶解している水溶液に取り出すことにより、析出した前記顔料の表面を前記誘導体で被覆して処理が実施される。ここで、前記有機顔料を強酸に溶解させた溶液と、前記有機顔料誘導体が溶解している水溶液とをエゼクターを用いて同時に水に取り出すこともできる。
【0027】
上記2つの処理方法については、いずれも顔料の一次粒子表面だけでなく最小粒子単位での処理が可能である。なかでも、顔料の一次粒子表面に前記誘導体が吸着している部分と吸着していない部分とが平衡状態で混在することもなく、無論その分布差も無く、分散性、経時安定性により優れた処理顔料を安定的に得られる点で前者の方法がより好ましい。
【0028】
本発明の製造方法で使用される強酸としては、公知慣用のものがいずれも使用することができるが、例えば、硫酸、発煙硫酸、クロロ硫酸等が挙げられる。
【0029】
ここで前記硫酸の濃度としては、62〜98質量%の範囲のものが使用される。例えば、フタロシアニン系顔料においては、硫酸濃度が62〜85質量%のアシッドスラリー法、硫酸濃度が95〜98質量%のアシッドペースティング法等が挙げられる。
【0030】
アシッドスラリー法は、粗製銅フタロシアニンをその5〜15倍の62〜85質量%の硫酸に加え、適切な温度で4〜8時間強力に攪拌して微細で均一な銅フタロシアニン硫酸塩を生成させ、これを多量の水に取りだし、硫酸塩を加水分解することでα型銅フタロシアニン顔料を得る方法である。
【0031】
一方、アシッドペースティング法は、粗製銅フタロシアニンをその5〜15倍の濃硫酸に溶解させ、約30〜50倍の水に激しく攪拌しながら注入して、急速に硫酸濃度を低下させて微細で高着色力のα型銅フタロシアニン顔料を得る方法である。
【0032】
さらに、このα型銅フタロシアニン顔料を溶剤処理、又は機械的な結晶変換操作によりβ型あるいはε型の銅フタロシアニン顔料を得ることも可能である。
【0033】
前記したアシッドスラリー法の如く、有機顔料が、硫酸と塩を形成する官能基を有する有機顔料の場合には、有機顔料は有機顔料の硫酸塩となり、溶液中に溶解することができる。
【0034】
本発明の製造方法においては、官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体が溶解している水溶液を準備する。本発明における有機顔料の表面処理においては、前記した有機顔料誘導体を、有機顔料誘導体の水可溶性塩とした水溶液とすることが必要であり、この水溶液を使用する。
【0035】
本発明で使用される水としては、公知慣用のものがいずれも使用することができるが、例えば、イオン交換水、蒸留水、純水、超純水等の金属塩類を含まないものを使用することが好ましい。
【0036】
本発明の製造方法で使用する官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体としては、例えば、−SOHもしくはその塩、−SONHCHSOHもしくはその塩、−SONH(CHSOHもしくはその塩、−SONH(CHSOHもしくはその塩、−SONHCSOHもしくはその塩、−CHNHCOCHNHCHSOHもしくはその塩、−CHNHCOCHNH(CHSOHもしくはその塩、−CHNHCOCHNH(CHSOHもしくはその塩、−CHNHCOCHNHCSOHもしくはその塩、−CONHCHSOHもしくはその塩、−CONH(CHSOHもしくはその塩、−CONH(CHSOHもしくはその塩、−CONHCSOHもしくはその塩等がある。好ましくは、−SOHもしくはその塩等親水性の高い官能基が好ましく、該官能基の数は化合物1個が好ましい。該官能基の置換基数が高くなると、分散媒体となる有機溶剤または樹脂等への溶解性が増大するため、分散安定性を低下させる大きな要因となる。
【0037】
本発明の官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体は、前記した有機顔料を色素成分として、スルホン酸基もしくはその塩を官能基として導入することにより製造することができる。
【0038】
本発明に使用される有機顔料誘導体は、処理に供する有機顔料と同様の化学構造で、粒径も同等かそれ以下であることにより、前記顔料と最小粒子単位で均一に混ざり合い、あるいは顔料粒子表面に高密度で且つ効率的に吸着する(誘導体の吸着分布の差が小さい)ことができると同時に、温度変化や分散媒体の変化、あるいは外的影響による前記有機顔料の結晶成長を抑制することができる。
【0039】
前記有機顔料誘導体が顔料粒子表面に高密度で且つ満遍なく吸着しているか否かを確認する手段として、炭酸ガス等によるガス吸着量測定装置を用いた比表面積による方法が挙げられる。
【0040】
前記したスルホン酸塩を有する有機顔料誘導体は、スルホン酸を有する有機顔料と塩基とを反応させることにより得ることができる。この際の塩基としては、公知慣用の水溶性塩基を使用することができるが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム等のアルカリ金属酸化物、NHもしくは有機アミンとの塩が挙げられる。
【0041】
官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体が溶解している水溶液は、例えば、水に水溶性塩基を溶解させ、それに有機顔料誘導体を加えることにより得ることができる。
【0042】
有機顔料誘導体の水可溶性塩の水溶液中の前記誘導体の量は、特に制限されるものではないが、水100質量部に対して、通常0.5〜10.0質量部の範囲にあることが好ましく、1.0〜5.0質量部の範囲にあることがより好ましい。
【0043】
有機顔料誘導体は、通常60〜90℃、好ましくは70〜80℃の湯の中で水溶性塩基と反応させることで、有機顔料誘導体の水可溶性塩の水溶液を調製することができる。塩基の量は、水100質量部に対して通常0.1〜8.5質量部の範囲にあることが好ましく、0.5〜4.5質量部の範囲にあることがより好ましい。
【0044】
こうして、有機顔料と官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体とを強酸に共溶解させた溶液を水に取り出すことができる。ここでの水(取り出し水)としては、前記したものが好ましく使用される。また、前記共溶解させた溶液の液量に対して、取り出し水のほうが大過剰となる様にするのが好ましい。さらに、有機顔料を強酸に溶解させた溶液を、官能基がスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体が溶解している水溶液に取り出すことができる。前者と同様に取り出し水溶液のほうが大過剰となる様にするのが好ましい。
【0045】
この取り出しにより、強酸に溶解していた有機顔料と有機顔料誘導体は、取り出し水と接触することにより溶解度が急激に低下し、不溶物として微粒子状に析出し、前記顔料と前記誘導体とが最小粒子単位で均一に混ざり合う。
【0046】
また、有機顔料を強酸に溶解させた溶液を、官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体が溶解している水溶液に取り出すことができる。さらに、前記有機顔料を強酸に溶解させた溶液の液量に対して、官能基がスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体が溶解している水溶液のほうが大過剰となる様にするのが好ましい。
【0047】
この取り出しにより、強酸に溶解していた有機顔料は、取り出し水溶液と接触することにより溶解度が急激に低下し、不溶物として微粒子状に析出し、一方、官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体は、強酸と接触し系内が酸性サイドに移行することにより、スルホン酸塩からスルホン酸の状態に戻されると共に、不溶物として析出した微粒子状の有機顔料の一次粒子表面に、選択的かつ優先的に堆積し、有機顔料微粒子の表面を被覆する。
【0048】
こうして、微粒子状の有機顔料と有機顔料誘導体とを最小粒子単位で均一に混ぜ合わせる、あるいは微粒子状の前記顔料の一次粒子表面に前記誘導体の被覆を行うが、有機顔料誘導体は有機顔料100質量部に対して、3〜70質量部の割合で処理するのが好ましい。しかしながら、前記誘導体の処理量の増加に伴い、最終処理顔料中の有機顔料の割合の低下による前記処理顔料の着色力の低下を考慮すると、有機顔料100質量部に対して、3〜20質量部の割合で処理するのがより好ましい。
【0049】
前記した有機顔料と官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体とを強酸に共溶解させた溶液と水、あるいは前記した有機顔料を強酸に溶解させた溶液を、官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体が溶解している水溶液、とが混合されて得られた処理顔料スラリーは、例えば、ヌッチェ、フィルタープレス等を使用した濾過工程によって処理顔料を濾別する。次いで、水又は温水で原水との差において、比電導度が50μs/cm以下となるまで洗浄を行う。尚、場合によっては水に解膠し、洗浄することも可能である。
【0050】
濾過、洗浄後の乾燥工程としては、例えば、乾燥機に設置した加熱源による30〜120℃の加熱等により、顔料の脱水を行う回分式あるいは連続式の乾燥等が挙げられ、乾燥機としては一般に、箱型乾燥機、真空乾燥機、バンド乾燥機、スプレードライヤー等が使用される。
【0051】
また、乾燥後の粉砕工程としては、例えば、箱型乾燥機、バンド乾燥機を用いて乾燥した場合のように、顔料が塊状(ランプ状)等となった際に顔料を粉末化するために通常行うものであり、例えば、乳鉢、ハンマーミル、ディスクミル、ピンミル、ジェットミル等による粉砕等が挙げられる。尚、得られた粉末を篩い又は気流分級機等を使用することにより、粗粒を除くことができる。
【0052】
本発明の製造方法により得られる処理顔料は、従来の処理顔料に比べて、分散性が良好であり、例えば、塗料、プラスチック、印刷インキ、カラートナー、カラーフィルター、インクジェットインキ等の色材用途において好適に使用される。尚、これら用途において、特に塗料、印刷インキ、カラーフィルター、ジェットインキの分散液として、本発明の処理顔料を使用すると、特に優れた分散性と経時安定性が遺憾なく発揮される。さらに、前記した分散液において、公知慣用の界面活性剤を併用することにより、より好適な顔料微粒子の経時安定性を付与することができる。
【0053】
【実施例】
次に、本発明を実施例と比較例により詳細に説明する。以下、特に断りがない限り、「部」は質量部、「%」は質量%とする。
【0054】
[実施例1](処理顔料の製造(1))
濃硫酸(95%)1000部を仕込んだ2Lのガラス製ビーカーに、青色有機粗顔料〔C.I.Pigment Blue 15:3(β型粗製銅フタロシアニン)〕95部と、青色有機顔料誘導体〔銅フタロシアニンモノスルフォン酸〕5部との混合物を室温下で攪拌しながら1時間かけて投入し、共溶解した硫酸溶液を得た。この硫酸溶液を50℃まで昇温し、3時間攪拌した後、室温まで冷却した。冷却後、この硫酸溶液を室温下で水1000部に取り出した。数分間攪拌した後、濾過、アルカリ洗浄(苛性ソーダ、又はアンモニア水溶液)、湯又は水洗浄、乾燥、粉砕の各工程を経て、処理顔料(α型銅フタロシアニン顔料)98部を得た。
【0055】
[実施例2](処理顔料の製造(2))
濃硫酸(95%)1000部を仕込んだ2Lのガラス製ビーカーに、青色有機粗顔料〔C.I.Pigment Blue 15:3(β型粗製銅フタロシアニン)〕95部を室温下で攪拌しながら1時間かけて投入し、溶解した硫酸溶液を得た。この硫酸溶液を50℃まで昇温し、3時間攪拌した後、室温まで冷却した。次に、青色有機顔料誘導体〔銅フタロシアニンモノスルフォン酸〕5部を水1000部に溶解させて、水溶液を調製した。先に調製した硫酸溶液をこの水溶液に取り出した。数分攪拌した後、濾過、アルカリ洗浄(苛性ソーダ、又はアンモニア水溶液)、湯又は水洗浄、乾燥、粉砕の各工程を経て、処理顔料(α型銅フタロシアニン顔料)99部を得た。
【0056】
[比較例1](処理顔料の製造(3))
青色有機顔料〔α型銅フタロシアニン顔料〕のウェットケーキ(顔料固形分30%)317部を、水1000部を仕込んだ3Lのガラス製ビーカーに攪拌しながら徐々に投入し、解こうさせ、顔料スラリーを調製した。次に、青色有機顔料誘導体〔銅フタロシアニンモノスルフォン酸〕のウェットケーキ(固形分18%)28部をアルカリ(苛性ソーダ)に溶解させた水溶液を調製した。先に調製した顔料スラリーにこのアルカリ水溶液を添加し、70℃、2時間攪拌した後、pHを5〜7に調整し、青色有機顔料誘導体を酸析させ表面処理を行った。処理後、濾過、湯又は水洗浄、乾燥、粉砕の各工程を経て、処理顔料99部を得た。
【0057】
(グラビア印刷インキの調製)
実施例1、2及び比較例1の各処理顔料21g、NC(ニトロセルロース)ワニス(FQSS1/8(ダイセル化学工業(株)製):エタノール=25:43)、エタノール33g、酢酸エチル0.8g、φ1/3ガラスビーズ75gを容量250ccのポリエチレン製の容器に秤りとり、ペイントコンディショナー(東洋精機(株)製)で45分間分散させる。その後、エタノール27gを追加混合し、NCグラビアインキ(原色インキ)を得た。
【0058】
(インキ塗膜の作製)
上記で得られた各NCグラビアインキを、OPPフィルムに♯3のバーコーターにて塗布し、インキ塗膜を得た。
【0059】
(インキ評価試験)
こうして得られたインキ塗膜について、分光光度計(データカラー(株)製、Micro flash)、ヘイズグロスメーター(BYK(株)製)を用いて彩度(C*)、光沢(20°、60°)、着色力(Y)の測定を行った。さらに、顕微鏡画像解析装置(オリンパス(株)製、BX50)を用いて測定を行い、分散性の評価を行った。
【0060】
(インキ経時安定性試験)
上記で得られた各NCグラビアインキを容量60ccのガラス瓶に移し、これを恒温槽に入れて50℃、7日間でNCグラビアインキの経時安定性試験を実施した。尚、経時安定性試験に関して、該試験前後のNCグラビアインキの粘度をB型粘度計(温度;25℃、回転数;6、12、30、および60rpm)を用いて測定を行った。
【0061】
上記したインキ評価試験、インキ経時安定性試験の結果から明らかなように、本発明の製造方法により得られた実施例1〜2の処理顔料は、従来の製造方法により得られた比較例1の処理顔料と比べて、色相がより赤味の青色鮮明で高着色力、微細な粒子でありながら顔料の分散性(安定性)も良好で、透明性、鮮明性、光沢にもより優れていることが判った。さらに、長期間の保存においても顔料自身の凝集、沈降、それに伴うインキの増粘が見られず、流動性、経時安定性にもより優れていることが判った。
【0062】
【発明の効果】
本発明の製造方法は、有機顔料と官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体とを強酸に共溶解させ、その溶液を水に取り出すことにより、顔料の一次粒子表面だけでなく最小粒子単位での処理が可能となり、分散性、経時安定性により優れた処理顔料が得られるという格別顕著な効果を奏する。
したがって、本発明の製造方法により得られた処理顔料を、例えば、グラビア印刷インキ用ワニスに含めたグラビア印刷インキは、従来より優れた分散性、経時安定性を有するものとなる。

Claims (4)

  1. 有機顔料と官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体とを強酸に共溶解させ、その溶液を水に取り出すことにより、
    前記顔料と前記誘導体とが最小粒子単位で混ざり合い処理されること、又は析出した前記顔料の表面を前記誘導体で被覆して処理されることを特徴とする処理顔料の製造方法。
  2. 有機顔料を強酸に溶解させた溶液を、官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体が溶解している水溶液に取り出すことにより、析出した前記顔料の表面を前記誘導体で被覆して処理されることを特徴とする処理顔料の製造方法。
  3. 有機顔料100質量部に対して、スルホン酸基もしくはその塩を有する有機顔料誘導体を3〜70質量部の割合で用いる請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか記載の製造方法により処理された処理顔料。
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