JP2005026370A - 圧電アクチュエータおよびこれを備えたインクジェット記録ヘッド - Google Patents

圧電アクチュエータおよびこれを備えたインクジェット記録ヘッド Download PDF

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Abstract

【課題】集積度が高くても変位量のばらつきを低減することができる圧電アクチュエータを提供することである。
【解決手段】振動板3上に、共通電極5、圧電セラミック層7および個別電極9がこの順に積層され、前記個別電極9が、圧電駆動に寄与する駆動部9aとこの駆動部9aの一端に接続された駆動電圧印加用のランド部9bとを備えるとともに、前記圧電セラミック層7の表面に複数配列された圧電アクチュエータ1であって、前記圧電セラミック層7の前記個別電極9が設けられた主面の前記ランド部9b間にランド部間凹部9cを形成したことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電アクチュエータ、特にインクジェット記録ヘッドに利用される、薄層化された積層型の圧電アクチュエータおよびインクジェット記録ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータの普及やマルチメディアの発達に伴って、情報を記録媒体に出力する記録装置として、インクジェット方式のプリンタの利用が急速に拡大している。かかるプリンタにはインクジェット記録ヘッドが搭載されている。このインクジェット記録ヘッドとしては、ヘッドの小型薄型化が容易で、しかも高精度の印字が可能になるという点で、圧電方式が広く用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
図6は、従来の圧電アクチュエータを備えたインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。図6に示すように、一般に、インクジェット記録ヘッドは、圧電アクチュエータ41を流路部材43上に積層接着したものである。
【0004】
圧電アクチュエータ41は、振動板51上に、共通電極52、圧電セラミック層53および個別電極54がこの順に積層され、個別電極54が圧電セラミック層53の表面に複数配列されて構成されている。流路部材43は、インク流路61を形成する隔壁60の下面にインク吐出口63を有する基板62が配置されて構成されている。振動板51は導体層55を介して一対のセラミック層56、57を積層したものである。個別電極54は、圧電駆動に寄与する駆動部54aと、この駆動部54aの一端に接続された駆動電圧印加用のランド部54bとを備えている。各駆動部54aは、インク流路61に対応する位置にそれぞれ配置されている。圧電アクチュエータ41の上部には、フレキシブル配線基板64が配設され、端子電極65を介して個別電極54のランド部54bと接続されている。
【0005】
このようなインクジェット記録ヘッドでは、フレキシブル配線基板64からランド部54bに通電して個別電極54の駆動部54aと共通電極52との間に電圧を印加することにより、駆動部54a直下の圧電セラミック層53に圧電振動を発生させ、インク吐出口63から所定量のインクを吐出することができる。
【0006】
そして、これらの個別電極54は、図7に示すように、圧電セラミック層53上に2次元的に配列されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−292860号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような圧電アクチュエータ41では、フレキシブル配線基板64と圧電アクチュエータ41との電気的接続は例えば、端子電極65となる半田ペーストや半田ボールなどをフレキシブル配線基板64と、圧電アクチュエータ41に設けられたランド部54b間に配置し、加熱するなどして形成されるが、その際に、溶融した半田が流れ出し、個別電極54に広がり、駆動部54aの特性を変化させたり、隣接する個別電極54と電気的に短絡してしまうという問題があった。
【0009】
また、ランド部54bに通電すると、インク流路61aの上部の圧電セラミック層53が圧電振動するだけでなく、わずかではあるが、隣接するインク流路61bの上部の圧電セラミック層53をも振動させるため、隣接する個別電極54の下部の圧電セラミック層53における圧電振動に影響を与え、所望の圧電振動を妨げることがある。これにより、圧電セラミック層53の変位量が所定値よりも小さくなるなどして変位量にばらつきが生じ、インク吐出量にばらつきが生じるという問題があった。
【0010】
特に、近年では、インクジェット記録ヘッドの高密度化に伴って、個別電極54が高集積され、隣接する個別電極54の間隔が小さくなっているので、上記問題がより顕著になる傾向にある。
【0011】
したがって、本発明の目的は、集積度が高くても変位量のばらつきを低減することができる圧電アクチュエータおよびこれを備えたインクジェット記録ヘッドを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の圧電アクチュエータは、振動板上に、共通電極、圧電セラミック層および個別電極がこの順に積層され、前記個別電極が、圧電駆動に寄与する駆動部とこの駆動部の一端に接続された駆動電圧印加用のランド部とを備えるとともに、前記圧電セラミック層の表面に複数配列された圧電アクチュエータであって、前記圧電セラミック層の前記個別電極が設けられた主面の前記ランド部間にランド部間凹部を形成したことを特徴とする。
【0013】
このランド部間凹部は、個別電極や圧電セラミック層を切り欠いて形成されるもので、例えば、ダムのような機能を有しており、仮に、ランド部上に形成された端子電極が溶融するなどして、ランド部から流れ出したとしても、凹部でその流れを食い止めることができるため、溶融した金属が個別電極上に広がり、駆動部の圧電振動を阻害することを抑制することができる。また、溶融した金属が隣接する個別電極と接触し、電気的に短絡することを抑制することができる。
【0014】
また、本発明の圧電アクチュエータは、振動板上に、共通電極、圧電セラミック層および個別電極がこの順に積層され、前記個別電極が、圧電駆動に寄与する駆動部とこの駆動部の一端に接続された駆動電圧印加用のランド部とを備えるとともに、前記圧電セラミック層の表面に複数配列された圧電アクチュエータであって、前記圧電セラミック層の前記個別電極が設けられた主面の前記個別電極間に個別電極間凹部を形成したことを特徴とする。
【0015】
この個別電極間凹部は例えば、圧電セラミック層を切り欠いて形成され、ダムのような機能を有しており、仮に、ランド部上に形成された端子電極が溶融するなどして、ランド部から流れ出したとしても、個別電極間凹部でその流れを食い止めることができるため、隣接する個別電極間の電気的短絡を抑制することができるとともに、個別電極下に設けられた圧電セラミック層の振動の伝達を個別電極間凹部で遮断することができるため、隣接する個別電極下に設けられた圧電セラミック層への影響を抑制することができる。
【0016】
また、本発明の圧電アクチュエータは、振動板上に、共通電極、圧電セラミック層および個別電極がこの順に積層され、前記個別電極が、圧電駆動に寄与する駆動部とこの駆動部の一端に接続された駆動電圧印加用のランド部とを備え、前記圧電セラミック層の表面に複数配列された圧電アクチュエータであって、前記圧電セラミック層の前記個別電極が設けられた主面の前記ランド部間にランド部間凹部を形成するとともに、前記圧電セラミック層の前記個別電極が設けられた主面の前記個別電極間に個別電極間凹部を形成したことを特徴とする。
【0017】
このような圧電アクチュエータでは、ランド部間、即ち、ランド部周辺にランド部間凹部が形成され、個別電極間、即ち、個別電極周辺に個別電極間凹部が形成されている。ランド部間凹部は、溶融した金属が個別電極上に広がり、駆動部の圧電振動を阻害することを抑制することができるという機能を有するものであり、個別電極間凹部は、隣接する個別電極間の電気的短絡を抑制することができるとともに、駆動部の振動の伝達が個別電極間凹部で遮断されるため、隣接する駆動部への影響を抑制することができるという機能を有しており、これらの二種類の凹部を設けることで、駆動部の駆動変位量ばらつき、隣接駆動時の駆動変位量低下、個別電極間の電気的短絡を抑制することができる。
【0018】
また、本発明の圧電アクチュエータでは、隣接する個別電極間に少なくとも二つの個別電極間凹部が形成されていることが望ましい。このような形状とすることで、隣接する個別電極に同時に通電したとしても、より効果的に隣接する個別電極下に設けられた圧電セラミック層への影響を抑制することができる。
【0019】
また、仮に隣接する端子電極が同時に溶融するなどして、ランド部から流れ出したとしても、それぞれ異なる個別電極間凹部で、それぞれの流れを食い止めることができるため、隣接する個別電極間の電気的短絡をさらに効果的に抑制することができる。
【0020】
また、本発明の圧電アクチュエータでは、個別電極を取り囲んで個別電極間凹部を形成することが望ましい。個別電極間凹部をこのように形成することで、隣接する全ての個別電極下に設けられた圧電セラミック層への影響を抑制することができる。
【0021】
また、仮に隣接する端子電極が溶融するなどして、ランド部から流れ出したとしても、溶融した金属は隣接する個別電極に到達する前に、必ず個別電極間凹部に至るため、その流れを食い止めることができ、隣接する個別電極間の電気的短絡をさらに効果的に抑制することができる。
【0022】
また、本発明の圧電アクチュエータでは、個別電極間凹部の最大深さが3μm以上であることが望ましい。このように個別電極間凹部の最大深さを3μm以上とすることで、より効果的に隣接する個別電極下に設けられた圧電セラミック層への影響を抑制することができる。
【0023】
また、仮に隣接する端子電極が溶融するなどして、ランド部から流れ出したとしても、溶融した金属は一旦、個別電極間凹部内の空間に収納され、再び、個別電極間凹部外に出にくくなるため、隣接する個別電極間の電気的短絡をさらに効果的に抑制することができる。
【0024】
また、本発明の圧電アクチュエータでは、個別電極間凹部の最大深さが圧電セラミック層の厚さの30%以上であることが望ましい。このように、個別電極間凹部の最大深さを圧電セラミック層の厚さの30%以上とすることで、隣接する個別電極下に設けられた圧電セラミック層への影響を十分に抑制することができる。
【0025】
また、本発明の圧電アクチュエータでは、個別電極間凹部の周囲に凸部を形成することが望ましい。このように個別電極間凹部の周囲に凸部を設けることで、仮に隣接する端子電極が溶融するなどして、ランド部から流れ出したとしても、溶融した金属は個別電極間凹部に流入する前に一旦、凸部で食い止められるため、個別電極間凹部と凸部とで二重の障壁を設けることになり、さらに効果的に隣接する個別電極間の電気的短絡を抑制することができる。
【0026】
また、本発明の圧電アクチュエータでは、凸部の高さが3μm以上であることが望ましい。凸部の高さを3μm以上とすることで、仮に隣接する端子電極が溶融するなどして、ランド部から流れ出したとしても、凸部で食い止められるため、また、凸部で食い止められる金属の量を十分なものとでき、さらに効果的に隣接する個別電極間の電気的短絡を抑制することができる。
【0027】
また、本発明の圧電アクチュエータでは、凸部と個別電極間凹部の高低差が6μm以上であることが望ましい。凸部と個別電極間凹部の高低差を、6μm以上とすることで、溶融した金属が、凸部と個別電極間凹部とで構成される二重の障壁を乗り越えることが困難となり、さらに効果的に隣接する個別電極間の電気的短絡を抑制することができる。
【0028】
また、本発明の圧電アクチュエータでは、個別電極間凹部の最大幅が20μm以上であることが望ましい。個別電極間凹部の最大幅を20μm以上とすることで、例えば、溶融した金属の粘性が高く、その表面張力が大きい場合でも、個別電極間凹部に溶融した金属を収納することができ、より確実に隣接する個別電極間の電気的短絡を抑制することができる。
【0029】
また、本発明の圧電アクチュエータでは、それぞれの個別電極に対応する個別電極間凹部又は、個別電極間凹部と凸部により形成される空間の体積が、ランド部の直径若しくは対角を結んだ距離を3乗して求められる仮の端子電極体積の8〜30%であることが望ましい。
【0030】
ランド部の面積を自乗して算出される体積は、ランド部上に設けられた端子電極の体積にほぼ等しいと考えられる。そのため、個別電極間凹部又は、個別電極間凹部と凸部により形成される空間の体積を上記の範囲とすることで、仮に隣接する端子電極が溶融するなどして、ランド部から流れ出したとしても、その流れを完全に食い止めることができるため、隣接する個別電極間の電気的短絡をさらに効果的に防止することができる。
【0031】
また、本発明のインクジェット記録ヘッドは、以上説明した圧電アクチュエータを、インク吐出口を有する複数のインク流路が配列された流路部材上に、前記インク流路と前記個別電極との位置を揃えて取り付けたことを特徴とする。
【0032】
このようなインクジェット記録ヘッドは、圧電アクチュエータを駆動させたとしても、隣接する個別電極下に設けられた圧電セラミック層同士の干渉を抑制することができるため、精細な画像を描写することが可能であり、また、仮にインクジェット記録ヘッドに過大な熱などが加えられ、ランド部上に設けられた端子電極が溶融するようなことになったとしても、隣接する個別電極同士の電気的短絡を抑制することができるため、信頼性に優れたインクジェット記録ヘッドとなる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態にかかる圧電アクチュエータについて図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態の圧電アクチュエータを備えたインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
【0034】
図1に示すように、圧電アクチュエータ1は、振動板3上に、共通電極5、圧電セラミック層7および個別電極9がこの順に積層され、個別電極9が圧電セラミック層7の表面に2次元的かつ規則的に複数配列されたものである。このように個別電極9が2次元的かつ規則的に配列されることにより、インクジェットプリンタの高速化および高精細化が可能となる。個別電極9は、圧電駆動に寄与する駆動部9aと、この駆動部9aの一端に接続された駆動電圧印加用のランド部9bとを備えている。また、ランド部9bの周囲にはランド部間凹部9cが形成されている。この圧電アクチュエータ1は、個別電極9の駆動部9aと共通電極5との間に電圧を印加することによって、駆動部9a直下の圧電セラミック層7に圧電振動を発生させることができる。
【0035】
振動板3は、導体層11を介して一対のセラミック層13、15を積層したものであり、共通電極5、圧電セラミック層7などと同時焼成により一体化されている。この振動板3は、圧電セラミック層7に生じる反り変形を矯正する役割も果たしている。共通電極5と導体層11とは電気的に接続されているのが望ましい。これにより、圧電セラミック層7が変位することによって誘導され発生する振動板3の圧電振動による電力損失を低減することができる。
【0036】
そして、本発明の圧電アクチュエータ1では、個別電極9間の圧電セラミック層7の表面に個別電極間凹部17が設けられている。
【0037】
図2は、ランド部9bの周囲に形成されたランド部間凹部9cと、個別電極9間の圧電セラミック層7の表面に設けられた個別電極間凹部17の形成状態を示す平面図である。
【0038】
図1及び図2に示すように、ランド部9bの周囲に形成されたランド部間凹部9cは、ランド部9b周辺の個別電極9を切り欠くように形成されている。
【0039】
ランド部間凹部9cは、例えば、ランド部9b上に、半田ペーストや半田ボールを配置し、加熱して端子電極21を設ける際に、過昇温や、半田ペーストや半田ボールの位置ずれ、過剰な量の供給などにより、仮に溶融した端子電極21となる金属がランド部9bから流れ出したとしても、金属はランド部間凹部9cに流れ込むため、溶融した金属が個別電極9表面に広がり、駆動部19cの特性を変化させることを防止する機能を有するものである。
【0040】
なお、このような機能は、溶融した金属のみに有効に働くものではなく、例えば、端子電極21として、金属粒子と樹脂などからなる導電性樹脂などを用いた場合にも有効であることはいうまでもない。
【0041】
また、図1では、ランド部間凹部9cは個別電極9を貫通して形成されており、ランド部間凹部9cの底部には個別電極9が形成されていないが、ランド部間凹部9cは凹部であればよいため、個別電極9を貫通することなくランド部間凹部9cの底部に個別電極9が形成されている方が個別電極9の電気的抵抗を低下させることができる点で望ましい。また、ランド部間凹部9cの体積を増やすため、個別電極9のさらに下方に位置する圧電セラミック層7をさらに切り欠いてもよい。
【0042】
また、個別電極9間の圧電セラミック層7の表面に設けられた個別電極間凹部17は、圧電セラミック層7の表面を切り欠くようにそれぞれの個別電極9を取り囲んで形成されており、個別電極9と圧電セラミック層7および共通電極5から構成される駆動部19aが、通電されて圧電振動したとしても、隣接する駆動部19b、19cに与える影響を抑制、あるいは遮断する機能を有するものである。
【0043】
また、この個別電極間凹部17は、例えば、ランド部9b上に、半田ペーストや半田ボールを配置し、加熱して端子電極21を設ける際に、過昇温や、半田ペーストや半田ボールの位置ずれ、過剰な量の供給などにより、仮に溶融した端子電極21となる金属がランド部9bから流れ出したとしても、金属は個別電極間凹部17に流れ込むため、溶融した金属が隣接する個別電極9に到達して、個別電極9同士が電気的に短絡することを抑制する機能をも有するものである。
【0044】
このような機能は、溶融した金属のみに有効に働くものではなく、例えば、端子電極21として、金属粒子と樹脂などからなる導電性樹脂などを用いた場合にも有効であることはいうまでもない。
【0045】
また、さらに、半田ペーストなどに含まれるフラックス成分が個別電極9に到達するのを抑制する機能も有している。
【0046】
この個別電極間凹部17の最大深さは、一旦個別電極間凹部17に流入した金属が隣接する個別電極間凹部17を超えて隣接する個別電極9に到達しないように、また、駆動部19aが隣接する駆動部19b、19cに与える影響を抑制するという点からも、3μm以上であることが望ましく、さらに、5μm以上であることが望ましい。
【0047】
また、個別電極間凹部17の最大深さ(図1 t2)は、圧電セラミック層7の厚さ(図1 t1)の30〜90%の範囲とすることが望ましい。
【0048】
このように30%以上とすることで、隣接する駆動部19への影響を抑制することができるとともに、90%以下とすることで、圧電セラミック層7の個別電極間凹部17を設けた部分に応力がかかったとしても、破壊を防止することができる。
【0049】
また、さらに50〜80%の範囲とすることで、隣接する駆動部19への影響の抑制と、個別電極間凹部17を設けられた圧電セラミック層7の強度とのバランスがよくなる。
【0050】
また、図3(a)に示す個別電極間凹部17の最大幅w1を、20μm以上とすることで、例え、溶融した金属の粘度が高く、表面張力が高いとしても、金属を個別電極間凹部17内に良好に流入させることができ、個別電極間凹部17の効果をより大きくすることができる。
【0051】
また、図3(a)、(b)に示すように、個別電極間凹部17の周囲に凸部23が設けられていることが望ましい。この凸部23は、堤のように機能し、例えば、図3(b)の右側から溶融した金属が移動してきても、少なくとも凸部23aの高さt3を超えない限り、溶融した金属が個別電極間凹部17に流入することはない。
【0052】
従って、凸部23の高さt3は、3μm以上であることが望ましく、さらに、5μm以上であることが望ましい。
【0053】
また、溶融した金属が凸部23aの高さt3を超えて個別電極間凹部17に流入したとしても、一旦、個別電極間凹部17に流入した金属が凸部23bを超えるためには、個別電極間凹部17の最大深さt2に加え、凸部23bの高さt3を超える必要があるため、t2+t3が6μm以上であることが望ましい。また、さらに10μm以上であることが望ましい。
【0054】
また、このように形成される個別電極間凹部17、又は、個別電極間凹部17と凸部23により形成される空間の体積を、ランド部9bの直径若しくは対角を結んだ距離を3乗して求められる仮の端子電極21の体積の8〜30%とすることで、仮に、ランド部上に形成される端子電極21の大半が流出したとしても隣接する個別電極9との電気的短絡を防止することができる。
【0055】
また、圧電アクチュエータ1の厚みは、変位量を大きくするという点で、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは50μm以下であるのがよい。一方、、圧電アクチュエータ1の厚みの下限値は、取扱中や作動中に破損しない程度の機械的強度を有し、印加される電圧に耐えうるようにするために、好ましくは20μm以上、より好ましくは25μm以上、さらに好ましくは30μm以上であるのがよい。
【0056】
また、圧電セラミック層7の厚みおよびセラミック層13、15の各厚みは、小型薄型化という点で、好ましくは30μm以下にするのがよく、取扱中や作動中に破損しない程度の機械的強度を有し、印加される電圧に耐えうるようにするために、より好ましくは10〜20μmの範囲であるのがよい。
【0057】
共通電極5および導体層11の厚みは0.5μm以上、好ましくは、1μm以上であるのがよい。これにより、圧電アクチュエータ1の剛性を向上させて反り変形の抑制効果を高めることができる。また、共通電極5の厚みと導体層15の厚みとの差は5μm以下、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下であるのがよい。個別電極9の駆動部9a厚みは2μm以下、好ましくは1μm以下であるのがよく、ランド部9bの厚みは15μm以下、好ましくは10μm以下であるのがよい。
【0058】
圧電セラミック層7には、例えばチタン酸ジルコン酸鉛化合物(PbZrTiO系化合物(PZT系))、チタン酸鉛化合物、チタン酸バリウム化合物などのペロブスカイト結晶構造型の圧電材料(圧電セラミック)が好適に用いられる。これらのうち、大きな変位を得られるという点で、PZT系を用いるのが好ましい。また、セラミック層13、15には、圧電セラミック層7と同様の材料を使用することができる。圧電セラミック層7、セラミック層13、15は、それぞれ1層で構成されていてもよく、複数の層から構成されていてもよい。
【0059】
個別電極9の駆動部9aおよびランド部9bとしては、例えばAu、Ag、Cu、Cr、Pd、Ptなどの金属またはこれらの少なくとも1種以上を主成分とする合金などを用いるのが好ましく、薄層化しても高い導電性が得られるという点で、特にAuを用いるのがより好ましい。
【0060】
共通電極5および導体層11は、同一材料により形成されるのが好ましい。共通電極5および導体層11としては、例えばAu、Ag、Cu、Cr、Pd、Ptなどの金属またはこれらの少なくとも1種以上を主成分とする合金などを用いるのが好ましく、密着強度を高めるという点で、特にAg−Pd合金に、さらに、圧電セラミック層7と同一材料(例えばペロブスカイト結晶構造型の圧電セラミック)を微量添加して用いることがより好ましい。
【0061】
次に、本発明の圧電アクチュエータ1の製造方法について説明する。図4(a)〜(d)は、圧電アクチュエータ1の製造工程を示す概略断面図である。
【0062】
まず、前記したチタン酸ジルコン酸鉛化合物、チタン酸鉛化合物、チタン酸バリウム化合物などを主成分とする圧電セラミック粉体を準備する。この圧電セラミック粉体の平均粒径は1μm以下であることが望ましく、特に0.7μm以下、更には0.5μm以下であることが好ましい。圧電セラミック粉体の平均粒径を1μm以下にすることにより焼結時の均一な焼成収縮が得られ均質な圧電セラミック層7およびセラミック層13、15を得ることができる。この圧電セラミック粉末と有機バインダ成分を混合し、シート成形用のスラリを調製する。ついで、この成形用スラリを用いてロールコータ法、スリットコータ法、ドクターブレード法等の一般的なシート成形法によりグリーンシートを作製する(図4(a):成形工程)。
【0063】
ついで、成形工程で得られたグリーンシートを加圧する(加圧工程)。加圧法として公知の手法を採用することができるが、均一な厚みにすることが容易である点で、加圧には特にロール加圧法、平面加圧法、静水圧加圧法等を用いることができる。このように、シート成形後にグリーンシートの加圧処理を行うことで、シートの密度を高め、厚みばらつきや密度ばらつきを低減することができる。
【0064】
加圧圧力は、材料組成、有機バインダ量、グリーンシート厚み等によって異なるが10〜100MPa、特に、20〜50MPa、更には、30〜40MPaの圧力で加圧することが好ましい。ここで加圧工程によって得られた各グリーンシートの厚みばらつきは5%以下、特に2%以下にすることが、焼成後に形成される圧電セラミック層7、セラミック層13、15の厚みばらつきや、それらが積層されて形成される圧電アクチュエータ1の厚みばらつきを低減するとともに反り変形を防止することが容易となる。
【0065】
次に、前記した電極材料からなる導体ペーストを用いて、加圧工程で得られたグリーンシートの一方の表面に、焼成後に共通電極5および導体層11となる金属パターンをスクリーン印刷により形成する。この場合の厚みは2〜5μm、厚みばらつき(厚みの最大値と最小値の差)は1〜2μmになるように調整することが望ましい。図4(b)は、焼成後に共通電極5となる金属パターンをグリーンシートに形成した状態を示す断面図である。
【0066】
次に、得られたグリーンシートを例えば図1に示す構成で積層し、密着させて積層成形体を得る(図4(c):積層工程)。なお、密着を行う手法としては、接着成分の含まれた密着液使用による方法、加熱によりグリーンシート中の有機バインダ成分に接着性を持たせて密着する方法、加圧だけで密着させる方法等を例示できる(加圧工程)。加圧を行う際の条件としては、例えば温度60〜100℃程度、圧力3〜10MPa程度が好適である。
【0067】
積層工程で得られた積層成形体は、所望の脱脂処理により積層成形体中の有機成分の除去を行った後、酸素雰囲気中において、900〜1200℃において焼成し、積層焼結体を作製する(焼成工程)。なお、積層焼結体を作製する焼成工程においては、積層工程で得られた積層成形体をジルコニアもしくはマグネシアからなる試料台板を介して複数段積みにし、さらに、この段積みされた積層成形体上に重しを置いて焼成することが望ましい。このような工程を具備する製造方法を採用することにより、圧電アクチュエータ1の反り変形が抑制され、厚み100μm以下の薄層の焼結体からなる圧電アクチュエータ1を提供できる。
【0068】
次に、焼成工程で得られた積層焼結体の一方の表面に、個別電極14の駆動部9a、ランド部9bとなる金属パターンをスクリーン印刷により形成する。この場合の厚みは2〜3μm、厚みばらつき(厚みの最大値と最小値の差)が0.5〜1μmになるように調整することが望ましい。この金属ペーストを印刷した後、600〜800℃で焼き付け処理を行うことによって、駆動部9aおよびランド部9bが形成される(図4(d))。このとき、駆動部9aの厚みが2μm以下、好ましくは1μm以下で、ランド部9bの厚みが15μm以下、好ましくは10μm以下となるように、金属ペーストの印刷条件および固液比率を調整することが望ましい。
【0069】
特に、ランド部9bは、後述するはんだ付けやワイヤーボンディングによって駆動電圧信号を入力するフレキシブル配線基板を結線する工程での接合不良をなくし、また圧電アクチュエータ1の変位を妨げないようにするために、駆動部9aの高さよりもある程度高くしておく必要がある。したがって、例えば金属ペーストの印刷および焼き付け処理を複数回行って、ランド部9bの高さを駆動部9aよりも高く形成しておくことが望ましい。
【0070】
次に、本発明の圧電アクチュエータ1を備えたインクジェット記録ヘッドについて説明する。図1に示すインクジェット記録ヘッドは、圧電アクチュエータ1を、インク吐出口24を有する複数のインク流路25が配列された流路部材27上に、インク流路25と個別電極9の駆動部9aとの位置を揃えてエポキシ樹脂などにより接合したものである。流路部材27は、インク流路25を形成する隔壁29の下面にインク吐出口24を有する基板31が配置されて構成されている。
【0071】
流路部材27は、厚み30〜100μm程度の複数の金属箔で構成される積層体からなり、各金属箔にエッチングや金型による打ち抜き等によってインク流路25、インク吐出口24、隔壁29、基板31等がそれぞれ形成される。使用する金属箔としては、例えばステンレス箔、アルミニウム箔、モリブデン箔などがあげられる。また、流路部材27は、シリコンなどで形成することもできる。
【0072】
圧電アクチュエータ1の上部には、フレキシブル配線基板33が配設され、端子電極21を介して個別電極9のランド部9bと接続されている。このようなインクジェットヘッドでは、薄型であっても反り変形が矯正された圧電アクチュエータ1を備えているので、インク吐出量のばらつきを低減することができる。
【0073】
なお、図4(e)に示すようなランド部間凹部9c及び/又は個別電極間凹部17は種々の方法で形成することが可能で、例えば、積層工程でグリーンシートを打ち抜くなどして、予め凹部を形成したグリーンシートを積層してランド部間凹部9c及び/又は個別電極間凹部17となる凹部を形成してもよく、この場合には、より容易に、ランド部間凹部9c及び/又は個別電極間凹部17を形成することができる。
【0074】
また、焼成工程の前に、圧電セラミック層7となるグリーンシートに、金型を押し当てたり、レーザー光を照射するなどして、ランド部間凹部9c及び/又は個別電極間凹部17を形成してもよい。この場合には、圧電セラミック層7となるグリーンシートが可塑性を有しており、加工性が向上するという利点がある。特に、金型によって、ランド部間凹部9c及び/又は個別電極間凹部17を形成する場合には、金型によって押し出された圧電セラミック層7となるグリーンシートがランド部間凹部9c及び/又は個別電極間凹部17の周囲に凸部を形成するため、より望ましい。
【0075】
また、焼成工程で得られた積層焼結体の一方の表面に、個別電極14の駆動部9a、ランド部9bとともに、ランド部間凹部9cとなる金属パターンをスクリーン印刷により形成してもよい。
【0076】
また、さらに、個別電極14の駆動部9a、ランド部9bを形成した積層焼結体の圧電セラミック層7に、レーザー光を照射し、圧電セラミック層7に個別電極間凹部17を形成してもよい。このとき、ランド部間凹部9cの深さをさらに深くしたり、形状を整えるなどの目的に応じ、ランド部間凹部9cに条件を変えてレーザー光を照射してもよい。
【0077】
以上、本発明の実施形態について示したが、本発明は上述した実施形態のみに限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更や改良したものにも適用できることは言うまでもない。
【0078】
例えば、ランド部間凹部9cの体積を増加させるために、図5に示すようにランド部間凹部9cを、個別電極9の外側に配置してもよく、この場合には、ランド部間凹部9cは圧電セラミック層7を切り欠いて形成すればよい。
【0079】
また、例えば、図3(c)に示すように、ランド部間凹部9cや個別電極間凹部17の周辺に凸部23のない場合もあることはいうまでもない。
【0080】
また、例えば、本発明の圧電アクチュエータ1は、上記したインクジェット記録ヘッドの他、加速度センサ、ノッキングセンサ、AEセンサ等の圧電センサ、燃料噴射用インクジェクター、圧電共振子、発振器、超音波モーター、超音波振動子、フィルタなどに適用することができる。
【0081】
【実施例】
まず、平均粒径が0.5μmのPbZrTiO系粉末とバインダとそのバインダを溶解する有機溶剤とを所定量混合して圧電材料のスラリを調製し、このスラリを用いてロールコータ法にて厚み25μmのグリーンシートを作製した。一方、Ag−Pd(混合比は質量比でAg:pd=7:3)粉末と有機粘結剤と溶媒とを所定量混合して導電性ペーストを調製した。
【0082】
次に、得られたグリーンシートの表面に導電性ペーストをスクリーン印刷により印刷して、焼成後に共通電極5および導体層11となるそれぞれの金属パターンを形成した。ついで、導電性ペーストを印刷したグリーンシートを所定の総数積層、加熱加圧して母体積層体を形成し、この母体積層体を切断して積層体を形成し、図1に示すような個別電極9を取り囲むような形状の個別電極間凹部17となる凹部を、個別電極間凹部17の幅と深さ、個別電極間凸部の高さが表1に示す寸法になるよう調整して、金型を用いて形成し、酸素雰囲気中、1000℃、2時間の焼成を行い圧電アクチュエータ1を形成した。
【0083】
次に、この圧電アクチュエータ1の一方の表面にAuを主成分とする金属ペーストを印刷して730℃で焼付けを行って個別電極9を形成し、エキシマレーザー光を照射し、ランド部間凹部9cを形成し、各試料で、ランド部間凹部9cの幅と深さを表1に示す寸法に調整して、図2に示すような圧電アクチュエータ1を作製した。得られた圧電アクチュエータ1の厚みは20μm、駆動部9aおよびランド部9bの厚みはそれぞれ1μm、共通電極5および導体層11の厚みはそれぞれ2μmであった。また、試料面積は30mm×30mmであった。また、個別電極9間の間隔は500μmとした。なお、各条件について、それぞれ10個の試料を作製した。
【0084】
この後、共通電極5と個別電極9との間に3kV/mmの直流電界を15分間印加して分極処理を行った。そして、圧電アクチュエータ1の変位量は、共通電極5と個別電極9との間に20Vの直流電圧を印加し、さらに、この圧電アクチュエータ1に室温において0〜+20Vのsin波形を20kHzの周波数にて印加して1×10サイクルまで駆動した際の平均変位量を測定し、隣接する個別電極の下部の圧電セラミック層7を駆動させたとき、すなわち隣接する8箇所の圧電セラミック層7を同時に駆動させたときの変位量を測定し、このときの平均変位量を上記単独駆動時の平均変位量で除した値を変位量低下率とし、その値を表1に示した。
【0085】
また、個々の個別電極9の駆動変位量ばらつきを測定し、表1に示した。また、端子電極21の仮の体積に対する個別電極間凹部と凸部が形成する空間の体積の比率を算出し、表1に示した。
【0086】
次いで、個別電極9のランド部9b上部に、フレキシブル配線基板33を、300℃で瞬時加熱し、フレキシブル配線基板33の端子電極21と個別電極9のランド部9bとを接続した。
【0087】
このときのフレキシブル配線基板33の端子電極21と個別電極9のランド部9bとの接続不良率の結果を表1に示す。なお、接続不良率は一つの試料内に形成された個別電極のうち、導通不良となる個数を個別電極の全数で除したものである。
【0088】
また、本発明の範囲外の試料No.1については、エキシマレーザー光を照射し、ランド部間凹部9cと、個別電極間凹部17を形成しなかった他は、試料No.2〜28と同様にして圧電アクチュエータ1を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
【0089】
【表1】
Figure 2005026370
【0090】
表1から、本発明の範囲外であるランド部間凹部9c及び個別電極間凹部17のない試料No.1は、駆動変位量ばらつきが、20%となり、変位量低下率が、32%となり接続不良率が50%となった。この接続不良率は非常に高く、ほとんど良品が作製できないレベルである。
【0091】
一方、ランド部間凹部9cのみを設けた本発明の範囲の試料No.2では、駆動変位量ばらつきが、12%となり、また、変位量低下率が、15%となり、接続不良率が7%となった。試料No.1と比較すると全ての項目で改善が見られるが、特に、接続不良率の改善が著しい。
【0092】
また、個別電極間凹部17を設けた試料No.3は、駆動変位量ばらつきが、17%となり、また、変位量低下率が、17%となり、接続不良率が2%となった。さらに、個別電極間凹部17と、凸部23を設けた試料No.4は、駆動変位量ばらつきが、17%となり、また、変位量低下率が、14%となり、接続不良率が1%となった。個別電極間凹部17を設けることで、接続不良率が格段に低くなった。
【0093】
また、さらに、ランド部間凹部9cと個別電極間凹部17と凸部23とを具備する試料No.5〜28では駆動変位量ばらつきが、13%以下となり、また、変位量低下率が、20%以下となり、接続不良率が1%以下となった。
【0094】
【発明の効果】
本発明によれば、個別電極のランド部間にランド部間凹部を設けることで、仮に、ランド部上に形成された端子電極が溶融するなどして、ランド部から流れ出したとしても、ランド部間凹部でその流れを食い止めることができるため、溶融した金属が個別電極上に広がり、駆動部の圧電振動を阻害することを抑制することができる。また、溶融した金属が隣接する個別電極と接触し、電気的に短絡することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる圧電アクチュエータを備えたインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
【図2】本発明の圧電アクチュエータにおいて、ランド部間凹部、個別電極間凹部の形成状態を示す平面図である。
【図3】個別電極間凹部の形状を示す断面図である。
【図4】(a)〜(d)は、本発明における圧電アクチュエータの製造工程を示す断面図である。
【図5】本発明の圧電アクチュエータにおいて、個別電極の外側にランド部間凹部を設けた本発明の他の形態のランド部間凹部の形成状態を示す平面図である。
【図6】従来の圧電アクチュエータを備えたインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
【図7】従来の圧電アクチュエータを示す平面図である。
【符号の説明】
1・・・圧電アクチュエータ
3・・・振動板
5・・・共通電極
7・・・圧電セラミック層
9・・・個別電極
9a・・・駆動部
9b・・・ランド部
9c・・・ランド部間凹部
11・・・導体層
13、15・・・セラミック層
17・・・個別電極間凹部
21・・・端子電極
23・・・凸部
24・・・インク吐出口
25・・・インク流路
27・・・流路部材

Claims (13)

  1. 振動板上に、共通電極、圧電セラミック層および個別電極がこの順に積層され、前記個別電極が、圧電駆動に寄与する駆動部とこの駆動部の一端に接続された駆動電圧印加用のランド部とを備えるとともに、前記圧電セラミック層の表面に複数配列された圧電アクチュエータであって、前記圧電セラミック層の前記個別電極が設けられた主面の前記ランド部間にランド部間凹部を形成したことを特徴とする圧電アクチュエータ。
  2. 振動板上に、共通電極、圧電セラミック層および個別電極がこの順に積層され、前記個別電極が、圧電駆動に寄与する駆動部とこの駆動部の一端に接続された駆動電圧印加用のランド部とを備えるとともに、前記圧電セラミック層の表面に複数配列された圧電アクチュエータであって、前記圧電セラミック層の前記個別電極が設けられた主面の前記個別電極間に個別電極間凹部を形成したことを特徴とする圧電アクチュエータ。
  3. 振動板上に、共通電極、圧電セラミック層および個別電極がこの順に積層され、前記個別電極が、圧電駆動に寄与する駆動部とこの駆動部の一端に接続された駆動電圧印加用のランド部とを備え、前記圧電セラミック層の表面に複数配列された圧電アクチュエータであって、前記圧電セラミック層の前記個別電極が設けられた主面の前記ランド部間にランド部間凹部を形成するとともに、前記圧電セラミック層の前記個別電極が設けられた主面の前記個別電極間に個別電極間凹部を形成したことを特徴とする圧電アクチュエータ。
  4. 個別電極を取り囲んで個別電極間凹部を形成したことを特徴とする請求項2又は3に記載の圧電アクチュエータ。
  5. 隣接する個別電極間に少なくとも二つの個別電極間凹部を形成したことを特徴とする請求項2乃至4のうちいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
  6. 個別電極間凹部の最大深さが3μm以上であることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
  7. 個別電極間凹部の最大深さが圧電セラミック層の厚さの30%以上であることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
  8. 個別電極間凹部の周囲に凸部を形成したことを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
  9. 凸部の高さが3μm以上であることを特徴とする請求項8に記載の圧電アクチュエータ。
  10. 凸部と個別電極間凹部の高低差が6μm以上であることを特徴とする請求項8又は9に記載の圧電アクチュエータ。
  11. 個別電極間凹部の最大幅が20μm以上であることを特徴とする請求項1乃至10のうちいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
  12. それぞれの個別電極に対応する個別電極間凹部又は、個別電極間凹部と凸部により形成される空間の体積が、ランド部の直径若しくは対角を結んだ距離を3乗して求められる仮の端子電極体積の8〜30%であることを特徴とする請求項1乃至11のうちいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の圧電アクチュエータを、インク吐出口を有する複数のインク流路が配列された流路部材上に、前記インク流路と前記個別電極との位置を揃えて取り付けたことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
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