JP2005023823A - 内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料噴射量の噴***度を向上する。
【解決手段】燃料噴射弁1のノズル室4を高圧ライン5を介してコモンレール6に連結する。主噴射に先立ってパイロット噴射を行う。パイロット噴射によりノズル室4内に発生した圧力波がコモンレール6で反射してノズル室4内に戻ってくるまでの時間内に主噴射が完了するように高圧ライン5の長さを設定する。
【選択図】 図1
【解決手段】燃料噴射弁1のノズル室4を高圧ライン5を介してコモンレール6に連結する。主噴射に先立ってパイロット噴射を行う。パイロット噴射によりノズル室4内に発生した圧力波がコモンレール6で反射してノズル室4内に戻ってくるまでの時間内に主噴射が完了するように高圧ライン5の長さを設定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料噴射弁のノズル室が高圧ラインを介してコモンレールに連結されており、二つの燃料噴射、例えばパイロット噴射とそれに続く主噴射とを行うようにした内燃機関が公知である(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−18074号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところがこのようなコモンレールを用いた場合には燃料噴射が行われるとそのとき燃料噴射弁のノズル室内に発生した圧力波が高圧ライン内を伝播してコモンレールに達し、次いでこの圧力波はコモンレールで反射して、今度は高圧レール内をノズル室に向けて進み、ノズル室内において燃料圧の激しい脈動を生じさせる。
【0005】
ところで従来の内燃機関ではパイロット噴射後においてコモンレールでの反射波によりノズル室内で燃料圧の激しい脈動が生じているときに主噴射が行われる。しかしながらこのようにノズル室内における燃料圧が激しく脈動しているときに主噴射が行われると主噴射の噴射量が大巾に変動し、正規の量から大巾にずれてしまうという問題を生ずる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために1番目の発明によれば、燃料噴射弁のノズル室が高圧ラインを介してコモンレールに連結されており、二つの燃料噴射がわずかな間隔を隔てて行われる内燃機関の燃料噴射装置において、先の噴射によりノズル室内に発生した圧力波がコモンレールで反射してノズル室内に戻ってくるまでの時間内に後の噴射が完了するように高圧ラインの長さが設定されている。
【0007】
2番目の発明では1番目の発明において、先の噴射時にノズル室内に発生した脈動が鎮静した後に後の噴射が開始される。
【0008】
3番目の発明では1番目の発明において、高圧ラインの長さがほぼ1200ミリメートル以上である。
【0009】
4番目の発明では1番目の発明において、圧力波を減衰するために高圧ライン内に絞り、又は拡張室、又はダンパが設けられている。
【0010】
5番目の発明では1番目の発明において、燃料噴射弁がニードルの背面に面して形成されかつ高圧ラインの途中に連結された圧力制御室と、圧力制御室からの高圧燃料の溢流を制御する溢流制御弁とを具備し、溢流制御弁が開弁したときに燃料噴射が開始されると共に溢流制御弁が閉弁したときに燃料噴射が停止され、溢流制御弁が開弁したときに溢流制御弁において発生した圧力波が圧力制御室および高圧ラインを経てノズル室に到達した後に先の噴射が完了するように溢流制御弁からノズル室までの長さが設定されている。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は内燃機関の燃料室内に燃料を噴射するための燃焼噴射弁1を示している。
【0012】
図1に示されるように燃料噴射弁1は燃焼室内に開口する噴孔2と、噴孔2の開閉制御を行うニードル3と、ニードル3の先端部周りに形成されたノズル室4とを具備する。ノズル室4は高圧ライン5を介してコモンレール6に連結され、図1に示されるように高圧ライン5の一部は燃料噴射弁1内を延びている。コモンレール6内へは図示しない高圧ポンプから高圧の燃料が供給されており、コモンレール6内の高圧の燃料が高圧ライン5を介してノズル室4内に供給される。
【0013】
燃料噴射弁1内にはニードル3の背面に面して圧力制御室7が形成されており、この圧力制御室7内にはニードル3を噴孔2に向けて押圧する圧縮ばね8が配置されている。この圧力制御室7は一方では入口側絞り9を介して高圧ライン5の途中に連結されており、他方では出口側絞り10を介して溢流制御弁12により開閉制御される燃料溢流口11に連結されている。圧力制御室7へは絞り9を介して高圧の燃料が常時供給されており、従って圧力制御室7は燃料で満たされている。
【0014】
燃料溢流口11が溢流制御弁12により閉鎖されているときには図1に示されるようにニードル3が噴孔2を閉鎖しており、従って燃料噴射は停止されている。このときノズル室4内と圧力制御室7内とは同じ燃料圧となっている。溢流制御弁12が開弁、即ち燃料溢流口11を開口すると圧力制御室7内の高圧の燃料が絞り10を介して燃料溢流口11から流出し、斯くして圧力制御室7内の圧力は徐々に低下する。次いで圧力制御室7内の圧力が低下するとニードル3が上昇し、噴孔2から燃料の噴射が開始される。
【0015】
即ち、圧力制御室7と燃料溢流口11との間には絞り10が設けられており、またその他の遅れ要素により溢流制御弁12が開弁した後暫らくしてから燃料の噴射が開始される。次いで溢流制御弁12が閉弁、即ち燃料溢流口11を閉鎖すると絞り9を介して圧力制御室7内に供給される燃料によって圧力制御室7内の圧力は徐々に増大し、斯くして溢流制御弁12が閉弁した後暫らくしてから燃料噴射が停止される。
【0016】
ニードル3が開弁して燃料噴射が開始されるとノズル室4内の圧力は急速に低下する。次いでニードル3が閉弁せしめられると高圧ライン5内の燃料がノズル室4内に流入するためにノズル室4内の燃料圧は一時的に増大する。
【0017】
一方、燃料噴射が開始されてノズル室4内の圧力が急速に低下すると圧力波が発生し、この圧力波が高圧ライン5内をコモンレール6に向けて伝播する。次いでこの圧力波は高圧ライン5のコモンレール6内への開放端において反射し、今度はこの圧力波は平均圧力に対して圧力が反転した状態で、即ち高圧の圧力波の形で高圧ライン5内をノズル室4に向けて進み、ノズル室4内に高圧を一時的に発生させる。例えばパイロット噴射が行われたとするとその後暫らくしてコモンレール6における反射波によってノズル室4内には一時的に高圧が発生する。
【0018】
ところが通常、パイロット噴射によってこのようにノズル室4内に一時的に高圧が発生する頃に主噴射が行われる。このことについて図2を参照しつつ説明する。なお、図2において横軸tは時間(msec)を、縦軸pはノズル室4内の圧力を示す。
【0019】
パイロット噴射が開始されてからメイン噴射、即ち主噴射が開始されるまでのインターバルは通常1msec以下であり、パイロット噴射と主噴射とのインターバルはおおよそ図2に示されるようになる。因みに機関回転数が2000r.p.m.のときには1msec当りのクランク角は12°となる。従ってこのときには図2に示す例ではパイロット噴射時間はクランク角で3°程度であり、パイロット噴射開始から主噴射開始までのインターバルはクランク角で10°程度となる。
【0020】
一方、コモンレール6を具備した内燃機関では通常高圧ライン5の長さをできる限り短くするようにしている。図1においてコモンレール6から圧力制御室7へのライン分岐部までの長さをL1 、圧力制御室7へのライン分岐部からノズル室4までの長さをL2 とすると従来の内燃機関ではL1 はほぼ160mm程度であり、L2 もほぼ160mm程度である。即ち、高圧ライン5の全長(L1+L2)はほぼ320mm程度であり、この長さは極く一般的である。
【0021】
燃料の圧力が80Mpa で燃料の温度が30℃のときの燃料内の圧力波の伝播速度は概略的に言うと1500m/sec 程度、即ち1500mm/msec程度である。従って従来の内燃機関においてノズル室4内で発生した圧力波がコモンレール6で反射して再びノズル室4内まで戻ってくるまでの時間は(320mm×2)/1500mm/msecであって0.43msec程度となる。
【0022】
さて、従来の内燃機関では図2(A)に示されるように、溢流制御弁12が開弁して暫らくすると燃料噴射が開始されるためにノズル室4内の圧力が低下する(P1 )。次いでニードル3が閉弁すると高圧燃料がノズル室4内に一気に流入するために一時的に高圧となる(P2 )。一方、ノズル室4内の圧力低下(P1 )に基づくコモンレール6の反射波によってノズル室4内には高圧が発生する(P3 )。従来ではこの高圧(P3 )が発生する頃に主噴射が行われ、図2(A)に示されるように主噴射が行われている間、ノズル室4内の圧力が激しく変動する。その結果、噴射量が大巾にばらつくことになる。
【0023】
そこで本発明では高圧ライン5の長さを長くし、図12(B)に示されるように主噴射が完了した後にパイロット噴射によりノズル室4内に発生した圧力波がコモンレール6で反射してノズル室4内に戻ってくるようにしている。一般的に表現すると、本発明では先の噴射によりノズル室4内に発生した圧力波がコモンレール6で反射してノズル室4内に戻ってくるまでの時間内に後の噴射が完了するように高圧ライン5の長さが設定されている。
【0024】
もう少し具体的に説明するとパイロット噴射すべく溢流制御弁12を開弁してから一定の時間Δtだけ遅れて噴射が開始される。その後時間TTを経過した後に反射波(P3 )が戻ってくる。この時間Δttは2・(L1+L2)/圧力波の伝播速度で表される。従ってパイロット噴射すべき溢流制御弁12の開弁時期から主噴射の完了時期までの時間をTTとすると、主噴射が反射波(P3 )の影響を受けないようにするためにはTT<Δt+Δttとする必要がある。ここでΔtを無視するとTT<Δttとなる。
【0025】
本発明における実施例ではL1 =1200mmとされており、従って高圧ライン5の全長(L1+L2)は160mm+1200mm=1360mmとなる。この場合、概略的に云うとΔtt=2・1360mm/1500mm/msec=1.8msecとなる。従ってこの実施例ではTT<1.8msecとされる。なお、L1+L2=1200mm程度にすればΔtt=2・1200mm/1500mm/msec=1.6msecとなり、この程度の高圧ライン5の長さであっても主噴射が反射波(P3 )の影響を受けないようにすることができる。
【0026】
また、図2(B)に示されるように高圧ライン5の長さを長くするとパイロット噴射時のノズル室4内の圧力脈動P2 が発生した後は反射波P3 が戻ってくるまで脈動が鎮静化し、ノズル室4内の圧力Pが安定する。従って主噴射が燃料の圧力脈動の影響を受けないようにするにはパイロット噴射時においてノズル室4内の圧力Pが安定した後に主噴射を開始すればよいことになる。従って一般的な表現をすると本発明による実施例では先の噴射時にノズル室4内に発生した脈動が鎮静した後に後の噴射が開始される。この場合、無論圧力波P3 が発生する前に主噴射を完了させることが好ましいことは言うまでもない。
【0027】
図3から図5は圧力波を減衰するための夫々別の実施例を示している。
【0028】
即ち、図13に示す実施例では高圧ライン5内に絞り13が配置されており、図14に示す実施例では高圧ライン5内に拡張室14が設けられており、図5に示す実施例ではピストン16と、可変容積室17と、圧縮ばね内18からなるダンパ15が高圧ライン5に取付けられている。
【0029】
また、図1において溢流制御弁12が開弁すると燃料溢流口11の圧力が低下し、圧力波が発生する。この圧力波は絞り10、圧力制御室7、絞り9、高圧ライン5を介してノズル室4内に伝播するがこの圧力波がパイロット噴射完了後にノズル室4内に到達すると主噴射に影響を与え、好ましくない。
【0030】
そこで本発明による実施例では、高圧ライン5からの分岐部から燃料溢流口11までのライン長をL3 (図1)とすると、パイロット噴射開始時に燃料溢流口11において発生した圧力波が圧力制御室7および高圧ライン5を経てノズル室4に到達した後に主噴射が完了するように高圧ライン長(L2+L3)が設定されている。一般的な表現を用いると、溢流制御弁12が開弁したときに溢流制御弁12において発生した圧力波が圧力制御室7および高圧ライン5を経てノズル室4に到達した後に先の噴射が完了するように溢流制御弁12からノズル室4までの長さが設定されている。
【0031】
【発明の効果】
燃料噴射量の噴***度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料噴射装置を示す図である。
【図2】ノズル室内の圧力脈動を示す図である。
【図3】燃料噴射装置の別の実施例を示す図である。
【図4】燃料噴射装置の更に別の実施例を示す図である。
【図5】燃料噴射装置の更に別の実施例を示す図である。
【符号の説明】
4…ノズル室
5…高圧ライン
6…コモンレール
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料噴射弁のノズル室が高圧ラインを介してコモンレールに連結されており、二つの燃料噴射、例えばパイロット噴射とそれに続く主噴射とを行うようにした内燃機関が公知である(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−18074号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところがこのようなコモンレールを用いた場合には燃料噴射が行われるとそのとき燃料噴射弁のノズル室内に発生した圧力波が高圧ライン内を伝播してコモンレールに達し、次いでこの圧力波はコモンレールで反射して、今度は高圧レール内をノズル室に向けて進み、ノズル室内において燃料圧の激しい脈動を生じさせる。
【0005】
ところで従来の内燃機関ではパイロット噴射後においてコモンレールでの反射波によりノズル室内で燃料圧の激しい脈動が生じているときに主噴射が行われる。しかしながらこのようにノズル室内における燃料圧が激しく脈動しているときに主噴射が行われると主噴射の噴射量が大巾に変動し、正規の量から大巾にずれてしまうという問題を生ずる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために1番目の発明によれば、燃料噴射弁のノズル室が高圧ラインを介してコモンレールに連結されており、二つの燃料噴射がわずかな間隔を隔てて行われる内燃機関の燃料噴射装置において、先の噴射によりノズル室内に発生した圧力波がコモンレールで反射してノズル室内に戻ってくるまでの時間内に後の噴射が完了するように高圧ラインの長さが設定されている。
【0007】
2番目の発明では1番目の発明において、先の噴射時にノズル室内に発生した脈動が鎮静した後に後の噴射が開始される。
【0008】
3番目の発明では1番目の発明において、高圧ラインの長さがほぼ1200ミリメートル以上である。
【0009】
4番目の発明では1番目の発明において、圧力波を減衰するために高圧ライン内に絞り、又は拡張室、又はダンパが設けられている。
【0010】
5番目の発明では1番目の発明において、燃料噴射弁がニードルの背面に面して形成されかつ高圧ラインの途中に連結された圧力制御室と、圧力制御室からの高圧燃料の溢流を制御する溢流制御弁とを具備し、溢流制御弁が開弁したときに燃料噴射が開始されると共に溢流制御弁が閉弁したときに燃料噴射が停止され、溢流制御弁が開弁したときに溢流制御弁において発生した圧力波が圧力制御室および高圧ラインを経てノズル室に到達した後に先の噴射が完了するように溢流制御弁からノズル室までの長さが設定されている。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は内燃機関の燃料室内に燃料を噴射するための燃焼噴射弁1を示している。
【0012】
図1に示されるように燃料噴射弁1は燃焼室内に開口する噴孔2と、噴孔2の開閉制御を行うニードル3と、ニードル3の先端部周りに形成されたノズル室4とを具備する。ノズル室4は高圧ライン5を介してコモンレール6に連結され、図1に示されるように高圧ライン5の一部は燃料噴射弁1内を延びている。コモンレール6内へは図示しない高圧ポンプから高圧の燃料が供給されており、コモンレール6内の高圧の燃料が高圧ライン5を介してノズル室4内に供給される。
【0013】
燃料噴射弁1内にはニードル3の背面に面して圧力制御室7が形成されており、この圧力制御室7内にはニードル3を噴孔2に向けて押圧する圧縮ばね8が配置されている。この圧力制御室7は一方では入口側絞り9を介して高圧ライン5の途中に連結されており、他方では出口側絞り10を介して溢流制御弁12により開閉制御される燃料溢流口11に連結されている。圧力制御室7へは絞り9を介して高圧の燃料が常時供給されており、従って圧力制御室7は燃料で満たされている。
【0014】
燃料溢流口11が溢流制御弁12により閉鎖されているときには図1に示されるようにニードル3が噴孔2を閉鎖しており、従って燃料噴射は停止されている。このときノズル室4内と圧力制御室7内とは同じ燃料圧となっている。溢流制御弁12が開弁、即ち燃料溢流口11を開口すると圧力制御室7内の高圧の燃料が絞り10を介して燃料溢流口11から流出し、斯くして圧力制御室7内の圧力は徐々に低下する。次いで圧力制御室7内の圧力が低下するとニードル3が上昇し、噴孔2から燃料の噴射が開始される。
【0015】
即ち、圧力制御室7と燃料溢流口11との間には絞り10が設けられており、またその他の遅れ要素により溢流制御弁12が開弁した後暫らくしてから燃料の噴射が開始される。次いで溢流制御弁12が閉弁、即ち燃料溢流口11を閉鎖すると絞り9を介して圧力制御室7内に供給される燃料によって圧力制御室7内の圧力は徐々に増大し、斯くして溢流制御弁12が閉弁した後暫らくしてから燃料噴射が停止される。
【0016】
ニードル3が開弁して燃料噴射が開始されるとノズル室4内の圧力は急速に低下する。次いでニードル3が閉弁せしめられると高圧ライン5内の燃料がノズル室4内に流入するためにノズル室4内の燃料圧は一時的に増大する。
【0017】
一方、燃料噴射が開始されてノズル室4内の圧力が急速に低下すると圧力波が発生し、この圧力波が高圧ライン5内をコモンレール6に向けて伝播する。次いでこの圧力波は高圧ライン5のコモンレール6内への開放端において反射し、今度はこの圧力波は平均圧力に対して圧力が反転した状態で、即ち高圧の圧力波の形で高圧ライン5内をノズル室4に向けて進み、ノズル室4内に高圧を一時的に発生させる。例えばパイロット噴射が行われたとするとその後暫らくしてコモンレール6における反射波によってノズル室4内には一時的に高圧が発生する。
【0018】
ところが通常、パイロット噴射によってこのようにノズル室4内に一時的に高圧が発生する頃に主噴射が行われる。このことについて図2を参照しつつ説明する。なお、図2において横軸tは時間(msec)を、縦軸pはノズル室4内の圧力を示す。
【0019】
パイロット噴射が開始されてからメイン噴射、即ち主噴射が開始されるまでのインターバルは通常1msec以下であり、パイロット噴射と主噴射とのインターバルはおおよそ図2に示されるようになる。因みに機関回転数が2000r.p.m.のときには1msec当りのクランク角は12°となる。従ってこのときには図2に示す例ではパイロット噴射時間はクランク角で3°程度であり、パイロット噴射開始から主噴射開始までのインターバルはクランク角で10°程度となる。
【0020】
一方、コモンレール6を具備した内燃機関では通常高圧ライン5の長さをできる限り短くするようにしている。図1においてコモンレール6から圧力制御室7へのライン分岐部までの長さをL1 、圧力制御室7へのライン分岐部からノズル室4までの長さをL2 とすると従来の内燃機関ではL1 はほぼ160mm程度であり、L2 もほぼ160mm程度である。即ち、高圧ライン5の全長(L1+L2)はほぼ320mm程度であり、この長さは極く一般的である。
【0021】
燃料の圧力が80Mpa で燃料の温度が30℃のときの燃料内の圧力波の伝播速度は概略的に言うと1500m/sec 程度、即ち1500mm/msec程度である。従って従来の内燃機関においてノズル室4内で発生した圧力波がコモンレール6で反射して再びノズル室4内まで戻ってくるまでの時間は(320mm×2)/1500mm/msecであって0.43msec程度となる。
【0022】
さて、従来の内燃機関では図2(A)に示されるように、溢流制御弁12が開弁して暫らくすると燃料噴射が開始されるためにノズル室4内の圧力が低下する(P1 )。次いでニードル3が閉弁すると高圧燃料がノズル室4内に一気に流入するために一時的に高圧となる(P2 )。一方、ノズル室4内の圧力低下(P1 )に基づくコモンレール6の反射波によってノズル室4内には高圧が発生する(P3 )。従来ではこの高圧(P3 )が発生する頃に主噴射が行われ、図2(A)に示されるように主噴射が行われている間、ノズル室4内の圧力が激しく変動する。その結果、噴射量が大巾にばらつくことになる。
【0023】
そこで本発明では高圧ライン5の長さを長くし、図12(B)に示されるように主噴射が完了した後にパイロット噴射によりノズル室4内に発生した圧力波がコモンレール6で反射してノズル室4内に戻ってくるようにしている。一般的に表現すると、本発明では先の噴射によりノズル室4内に発生した圧力波がコモンレール6で反射してノズル室4内に戻ってくるまでの時間内に後の噴射が完了するように高圧ライン5の長さが設定されている。
【0024】
もう少し具体的に説明するとパイロット噴射すべく溢流制御弁12を開弁してから一定の時間Δtだけ遅れて噴射が開始される。その後時間TTを経過した後に反射波(P3 )が戻ってくる。この時間Δttは2・(L1+L2)/圧力波の伝播速度で表される。従ってパイロット噴射すべき溢流制御弁12の開弁時期から主噴射の完了時期までの時間をTTとすると、主噴射が反射波(P3 )の影響を受けないようにするためにはTT<Δt+Δttとする必要がある。ここでΔtを無視するとTT<Δttとなる。
【0025】
本発明における実施例ではL1 =1200mmとされており、従って高圧ライン5の全長(L1+L2)は160mm+1200mm=1360mmとなる。この場合、概略的に云うとΔtt=2・1360mm/1500mm/msec=1.8msecとなる。従ってこの実施例ではTT<1.8msecとされる。なお、L1+L2=1200mm程度にすればΔtt=2・1200mm/1500mm/msec=1.6msecとなり、この程度の高圧ライン5の長さであっても主噴射が反射波(P3 )の影響を受けないようにすることができる。
【0026】
また、図2(B)に示されるように高圧ライン5の長さを長くするとパイロット噴射時のノズル室4内の圧力脈動P2 が発生した後は反射波P3 が戻ってくるまで脈動が鎮静化し、ノズル室4内の圧力Pが安定する。従って主噴射が燃料の圧力脈動の影響を受けないようにするにはパイロット噴射時においてノズル室4内の圧力Pが安定した後に主噴射を開始すればよいことになる。従って一般的な表現をすると本発明による実施例では先の噴射時にノズル室4内に発生した脈動が鎮静した後に後の噴射が開始される。この場合、無論圧力波P3 が発生する前に主噴射を完了させることが好ましいことは言うまでもない。
【0027】
図3から図5は圧力波を減衰するための夫々別の実施例を示している。
【0028】
即ち、図13に示す実施例では高圧ライン5内に絞り13が配置されており、図14に示す実施例では高圧ライン5内に拡張室14が設けられており、図5に示す実施例ではピストン16と、可変容積室17と、圧縮ばね内18からなるダンパ15が高圧ライン5に取付けられている。
【0029】
また、図1において溢流制御弁12が開弁すると燃料溢流口11の圧力が低下し、圧力波が発生する。この圧力波は絞り10、圧力制御室7、絞り9、高圧ライン5を介してノズル室4内に伝播するがこの圧力波がパイロット噴射完了後にノズル室4内に到達すると主噴射に影響を与え、好ましくない。
【0030】
そこで本発明による実施例では、高圧ライン5からの分岐部から燃料溢流口11までのライン長をL3 (図1)とすると、パイロット噴射開始時に燃料溢流口11において発生した圧力波が圧力制御室7および高圧ライン5を経てノズル室4に到達した後に主噴射が完了するように高圧ライン長(L2+L3)が設定されている。一般的な表現を用いると、溢流制御弁12が開弁したときに溢流制御弁12において発生した圧力波が圧力制御室7および高圧ライン5を経てノズル室4に到達した後に先の噴射が完了するように溢流制御弁12からノズル室4までの長さが設定されている。
【0031】
【発明の効果】
燃料噴射量の噴***度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料噴射装置を示す図である。
【図2】ノズル室内の圧力脈動を示す図である。
【図3】燃料噴射装置の別の実施例を示す図である。
【図4】燃料噴射装置の更に別の実施例を示す図である。
【図5】燃料噴射装置の更に別の実施例を示す図である。
【符号の説明】
4…ノズル室
5…高圧ライン
6…コモンレール
Claims (5)
- 燃料噴射弁のノズル室が高圧ラインを介してコモンレールに連結されており、二つの燃料噴射がわずかな間隔を隔てて行われる内燃機関の燃料噴射装置において、先の噴射によりノズル室内に発生した圧力波がコモンレールで反射してノズル室内に戻ってくるまでの時間内に後の噴射が完了するように高圧ラインの長さが設定されている内燃機関の燃料噴射装置。
- 先の噴射時にノズル室内に発生した脈動が鎮静した後に後の噴射が開始される請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
- 高圧ラインの長さがほぼ1200ミリメートル以上である請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
- 圧力波を減衰するために高圧ライン内に絞り、又は拡張室、又はダンパが設けられている請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
- 燃料噴射弁がニードルの背面に面して形成されかつ高圧ラインの途中に連結された圧力制御室と、圧力制御室からの高圧燃料の溢流を制御する溢流制御弁とを具備し、溢流制御弁が開弁したときに燃料噴射が開始されると共に溢流制御弁が閉弁したときに燃料噴射が停止され、溢流制御弁が開弁したときに溢流制御弁において発生した圧力波が圧力制御室および高圧ラインを経てノズル室に到達した後に先の噴射が完了するように溢流制御弁からノズル室までの長さが設定されている請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003189542A JP2005023823A (ja) | 2003-07-01 | 2003-07-01 | 内燃機関の燃料噴射装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2003
- 2003-07-01 JP JP2003189542A patent/JP2005023823A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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