JP2005020446A - 画像撮影装置及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】操作部13の操作で撮影した複数の画像を、画像メモリ部16に一時的に記憶させる。記憶させた複数の画像について、メモリ部14上の被写体についてのテンプレートを用いて、画像から部分画像を抽出する。テンプレートに基づいて抽出した部分画像ごとの撮影状態を評価点として算出し、メモリ部14に記録する。各部分画像についての評価点から画像の評価値を算出し、メモリ部14に記録する。画像ごとの評価値に基づいて、特定数の画像を選出する。
【選択図】 図1
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、画像撮影装置に関し、特に、撮影画像に対する評価を行う機能を備えた画像撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術として、光学的見地から撮影条件や撮影環境を評価し、最適な画像が得られるような設定を選択する画像撮影装置がある。かかる画像撮影装置では、例えば人物写真を撮影するのであれば画面構成を、夜景を撮影するのであればシャッタ速度やホワイトバランスを、風景や自然が対象であれば彩度や色調を、それぞれ自動設定することができる。
【0003】
他の画像撮影装置としては、集合写真を撮影する際に、画像を人単位で記録することができる画像撮影装置がある。この画像撮影装置においては、全ての人物について複数枚ずつ、画像の撮影を行う。全ての人物について撮影が済んだ後、ユーザがそれぞれの人について最適と思われる画像を選択すると、それらを合成して一の画像として作成することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、現在開示されている撮影画像に対する技術として、顔の部分に対する認証システムがある(例えば、特許文献2及び3)。これらのシステムにおいては、画像から人の肌・顔・目を認識して抽出すること及び顔の向きを判断することが可能である。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−251550号公報(第3頁、第3図)
【特許文献2】
特開2002−049912号公報(第3−4頁、第2−5図、第8−10図)
【特許文献3】
特開2002−288670号公報(第3−4頁、第6図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような自動設定を行う画像撮影装置においては、光学的には「良質な」画像を得ることができる。しかし、例えば集合写真のように、人物が複数画像に含まれている場合は、光学的には良好と言えても、必ずしもユーザにとって「良い」画像とは言えない。ユーザにとっては、人物が画像中でどのように写っているのかが、どちらかと言えば、画像の良し悪しを判断する基準となっているためである。
【0007】
特許文献1の画像撮影装置は、ユーザにとっての「良い」画像を合成する手段を備えている。しかし、ユーザが人物ごとの最適と思われる画像を全て指定・選択する必要があり、これはユーザにとっては手間を要する作業である。
本発明は、前述の人物の顔の部分に対する認証システムを利用することにより、ユーザが指定するのに要する労力を軽減させ、人物の撮影状態が良好である画像を画像撮影装置が選択することを実現した画像撮影装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1によると、連続して複数の画像を撮影する画像撮影装置において、複数の画像を記憶する記憶手段と、前記記憶手段が記憶した複数の画像について、被写体に関するテンプレートを用いて画像から部分画像を抽出する抽出手段と、前記テンプレートに基づいて抽出した部分画像ごとの撮影状態を評価点として算出し、各部分画像についての評価点に基づいて画像の評価値を算出する評価手段と、前記評価手段により得られた画像ごとの評価値に基づいて、特定数の画像を選出する選出手段とを備えることを特徴とする画像撮影装置が提供される。
【0009】
被写体に関するテンプレートに基づいて画像中の部分画像を抽出し、抽出した部分画像に関し、画像中で良い状態で捉えられているか否かを判断する。このため、予め多くの画像を撮影しておき、ユーザが後になって画像を選択することが不要となり、客観的に被写体の写りがよい画像を提供することができる。したがって、ユーザは簡単な操作によって、良質な画像を得ることが可能となる。
【0010】
請求項2によると、請求項1の画像撮影装置において、前記記憶手段は、1回のシャッタボタンの操作で連続的に撮影された複数枚の画像を、一時的に記憶することを特徴とする画像撮影装置が提供される。
1回で連続的に撮影した複数の画像を一時的に記憶させておくことにより、ユーザが撮影の度に画像評価を行う必要がない。
【0011】
請求項3によると、請求項1または2の画像撮影装置において、前記抽出手段は、画像内に撮影されている全ての人物部分を前記部分画像として抽出することを特徴とする画像撮影装置が提供される。
大勢で撮影を行う場合等であっても、ユーザは、1画像を撮影するごとに画像中の一人一人の撮影状態を確認する必要がない。
【0012】
請求項4によると、請求項1または2の画像撮影装置において、前記抽出手段は、画像の中心部に近い位置に撮影されている複数の人物部分を前記画像部分として抽出することを特徴とする画像撮影装置が提供される。
画像の中心に近い位置で撮影されている特定数の人物のみを評価の対象とするため、特定の人物を画像の中心として画像撮影を行う際、評価対象を画像の中心となる人物に絞ることができる。
【0013】
請求項5によると、請求項3または4の画像撮影装置において、前記評価手段は、前記抽出された各人物部分ごとに、評価の重みを設定し、該人物部分に設定された評価の重みを加味して評価することを特徴とする画像撮影装置が提供される。
【0014】
特定の人物を画像の中心として画像撮影を行う際、特定の人物の撮影状態が良好な画像ほど評価値は高くなる。このため、特定の人物の撮影状態が好適な画像を得ることができる。
請求項6によると、請求項1または2の画像撮影装置において、前記抽出手段は、画像の撮影範囲の中心部から所定の範囲内の、人物部分を前記部分画像として抽出することを特徴とする画像撮影装置が提供される。
【0015】
撮影範囲の中心部から所定の範囲内で撮影されている人物のみを評価の対象とするため、評価対象を撮影範囲の中心近くで撮影されている人物に絞ることができる。
請求項7によると、請求項1乃至6のいずれかの画像撮影装置において、前記部分画像は人の顔部であり、前記評価手段は、該顔部の向きを含む条件に基づいて評価点を算出することを特徴とする画像撮影装置が提供される。
【0016】
顔の部分に対する認証システムの技術を利用して作成された被写体のテンプレートに基づいて、画像中の部分画像を抽出する。抽出した部分画像に関し、顔の向きを含む条件に基づき、画像中で良い状態で捉えられているか否かを評価点として、テンプレートを基に判断する。評価点を基に画像全体としての評価値を算出するため、ユーザが最適と思われる画像を選択する必要がなく、客観的に人物の写りがよい画像を画像格納領域に保存させることができる。
【0017】
請求項8によると、請求項1乃至7のいずれかの画像撮影装置において、前記抽出手段は、部分画像が人の顔部であり、前記評価手段が、該顔部中において目部が開いている度合を含む条件に基づいて、評価点を算出することを特徴とする画像撮影装置が提供される。
【0018】
目の開き度合を含む条件を、画像中における人の撮影状態を判断する基準として評価点を算出することによって、人の顔の写りの良さを評価の対象とすることができる。
請求項9によると、請求項1乃至8のいずれかの画像撮影装置において、前記選出手段は、前記評価値を比較することによって各画像の評価順位を決定することを特徴とする画像撮影装置が提供される。
【0019】
総合的に評価順位を決定するため、大勢で撮影した場合でも人物ごとの偏りなく画像評価することができる。
請求項10によると、請求項9の画像撮影装置において、前記選出手段は、画像に前記部分画像が複数含まれる場合には、該部分画像の数に対し、該部分画像のうち前記評価点が良好な部分画像の数が占める割合の高い順に各画像の評価順位を決定することを特徴とする画像撮影装置が提供される。
【0020】
画像中の各人物の撮影状態に関し、良好であると判断された人物数が多い画像に高い評価値を与える。撮影後複数の画像から保存する画像を選択する際、撮影状態が良好である人物の数が多いほど好ましい、とされる場合等に適している。
請求項11によると、請求項1乃至10のいずれかの画像撮影装置において、1回のシャッタボタン操作に対し1画像を撮影し、撮影した画像をそのまま前記記憶手段に記憶する第1のモードと、1回のシャッタボタン操作に対して複数の画像を撮影し、前記記憶手段に記憶する第2のモードとを有する撮影手段をさらに備えたことを特徴とする画像撮影装置が提供される。
【0021】
通常の画像撮影を行いたいときは第1のモード、1回のシャッタボタンの操作で撮影した複数の画像から撮影状態の良い画像を自動的にあるいは簡便に選択したいときは第2のモードを選択して撮影することができる。
請求項12によると、連続して複数の画像を撮影する画像撮影装置内で実行されるプログラムであって、複数の画像を記憶し、記憶された複数の画像について、被写体に関するテンプレートを用いて画像から部分画像を抽出し、前記テンプレートに基づいて抽出した部分画像ごとの撮影状態を評価点として算出し、各部分画像についての評価点に基づいて画像の評価値を算出し、得られた画像ごとの評価値に基づいて、特定数の画像を選出することを特徴とするプログラムが提供される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、第1の実施例を示す。
図1は本実施形態における画像撮影装置の内部構成を示す図である。
同図において、画像撮影装置は、CPU11、カメラ撮影部12、操作部13、メモリ部14、表示部15、画像メモリ部16及び記録媒体17を有し、これらがバス20を介して接続されて相互にデータの授受が行える構成となっている。
【0023】
CPU11は中央演算処理部であり、メモリ部14に予め格納されている制御プログラムを実行することでこの画像撮影装置全体の動作を制御する。
カメラ撮影部12は、画像の撮影処理を司る部分で、CPU11からシャッタボタンの押下を通知されると、撮像レンズを介してCCD(Charge Coupled Device )等の撮像素子上に結像された被写体像を、光電変換して電気信号変えた後A/D変換を行い、デジタル画像データにする。
【0024】
操作部13は、ユーザの操作指示を受け付ける操作ボタン等で、電源キー、シャッタボタン、種々の設定を行う為の設定ボタン等から構成されている。ユーザがこの操作部13を操作すると操作内容がCPU11に通知され、CPU11はその操作内容に基づいて他の要素の制御処理を行う。
【0025】
メモリ部14は、CPUによって実行されるプログラム等を記憶するROMやCPU11がワークメモリとして用いるRAM等から構成されており、後述のテンプレート、顔評価テーブル及び画像評価テーブルが格納されている。またこのメモリ部14上の領域に、後述するカウンタメモリが設けられる。
【0026】
表示部15は、液晶モニタやそのドライバ等から構成されており、画像撮影時に撮影画像を表示したり、後述する撮影した複数の画像のうち、特定数の画像をユーザ選択させるために画像を順に表示したり等、種々の情報をユーザに表示するものである。
【0027】
画像メモリ部16は、フラッシュメモリ等で構成される書き換え可能な不揮発性のメモリで、撮影した画像の画像データを記憶するものである。なお、図2の画像メモリ部16内部の構造の概念図が示すように、画像メモリ部16は、画像格納領域21と、画像作業領域22とから構成される。画像格納領域21は、画像を記録するのに用いられる。画像作業領域22は、撮影した複数の画像を仮記憶させておくのに用いられる。
【0028】
記録媒体17は、メモリカード等の画像撮影装置から着脱可能な可搬記録媒体で、この画像撮影装置に装着されるとバス20に接続される。画像メモリ部16に記録された画像データは、この記録媒体17に転送される。そしてこの記録媒体17内の画像データは、後日情報処理装置によって読み出され、保存される。
【0029】
本実施形態の画像撮影装置は、ユーザによる操作部13の操作指示に基づいて、CPU11がメモリ部14のRAMをワークメモリとして用いながらメモリ部14内のプログラムを実行することによって、画像撮影装置の他の構成要素を制御して後述する各種処理を実現する。
【0030】
かかる画像撮影装置が、画像を撮影・保存する処理の流れを、図3及び図4を用いて説明する。
図3及び図4は、画像撮影装置で行われる動作処理を示すフローチャートである。同図の処理は、図1のCPU11がメモリ部14に記憶されている制御プログラムを実行することによって実現される。
【0031】
図3のステップ301(S301とする。以下、ステップに関し同様に表記する。)では、画像撮影装置は、図1のシャッタボタンの操作を待ち受けしている状態にある。シャッタボタンの操作がない場合は、S310のモード切り替えの操作を随時受け付け可能な状態にある。
【0032】
ユーザによるモードの切り替え操作を検知した場合(S310でYESの場合)、処理はS311へと進む。S311では、現在設定されているモードが集合写真モードであるか否かの判断を行う。なお、集合写真モードとは、シャッタボタン操作時に複数枚の画像を連続的に撮影し、撮影された画像のうち撮影状態が良好な画像を抽出して記録するモードであり、通常モードとは、シャッタボタン操作時に撮影された画像をそのまま記録するモードである。
【0033】
S311でYESの場合、処理はS312へと進み、モードを通常モードに設定する(S312)。NOの場合、処理はS313へと進み、モードを集合写真モードに設定する(S313)。S312/S313で、モード設定の処理は終了する。
【0034】
モード設定処理後、処理はS301へと戻る。モードの切り替え操作がない場合(S310でNOの場合)は、モード設定の処理は実行されずに、S301のシャッタボタン操作待ち受けの状態に戻る。
このように、シャッタボタンの操作があるまで、画像撮影装置は、S310からS312またはS313までのモード切り替えの処理を常に行うことができる状態にある。この状態の下、シャッタボタンの操作が認識されると(S301でYESの場合)、処理はS302へと進み、画像撮影の処理が実行される。
【0035】
撮影処理においてはまず、撮影が集合写真モードで行われるか否かの判断を行う(S302)。S302でNOの場合、すなわち撮影モードが通常モードに設定されている場合は、処理はS308へと進む。
通常モードでは、S308にて画像の撮影が行われる。1画像の撮影が完了すると、撮影された画像は、S309にて図2の画像格納領域21に格納される。
【0036】
S302でYES,すなわち撮影モードが集合写真モードに設定されている場合は、処理はS303へと進む。集合写真モードでの撮影においてはまず、連続撮影枚数をカウントするためのカウンタをリセットする(S303)。
S304で画像の撮影を行う。集合写真モードの撮影では、予め設定されている一定の時間間隔で連続して画像の撮影を行う。S305で、撮影した画像をまず図2の画像作業領域22に一時記憶させる。通常モードでの撮影とは異なり、画像データを図2の画像格納領域21に直接格納しない。画像作業領域に一時記憶させた後、カウンタに1加算する(S306)。
【0037】
S307では、シャッタボタン押下の操作が継続されているかの判断を行う。S307でYESの場合は、ユーザがシャッタボタンを押下し続けていると判断され、処理はS304へと戻る。シャッタボタンの押下を認識しなくなるまでS304乃至S307の処理を繰り返す。
【0038】
S307でNOの場合は、ユーザはシャッタボタンの押下を中止したと判断され、処理は図4のS401へと進む。S401では、カウンタの値が10以上であるかどうかを判断する。カウンタの値が10未満の場合(NOの場合)、処理はS402へと進む。
【0039】
S402では、画像の撮影を行う。撮影した画像を図2の画像作業領域22に一時記憶させる(S403)。一時記憶を行った後、カウンタに1加算を行い(S404)、処理は、カウンタの値の判断(S401)へと戻る。
このように、集合写真モードの撮影においては、カウンタの値、すなわち画像の撮影枚数が10枚以上であり、かつ、ユーザがシャッタボタンを押下する操作が終了した、と認識されるまで、画像の撮影を継続する。すなわち、集合写真モードでは少なくとも連続して10枚の画像の撮影を行い、ユーザがシャッタボタンを押下している間は、画像を撮影し続ける。
【0040】
集合写真モードでの画像の撮影処理が終了した後、図2の画像作業領域22に一時保存している画像の評価処理を、1画像ごとに実行する。画像の評価処理について、図5の、画像の評価処理を示すフローチャートを用いて説明する。
図5は、画像撮影装置で行われる動作処理を示すフローチャートである。同図の処理も、図1のCPU11がメモリ部14に記憶されている制御プログラムを実行することによって実現される。
【0041】
S501で、図2の画像作業領域22に一時記憶させた画像のうち、1画像を読み出す。まず画像データ中から、肌の色に関するデータを抽出する。次に、図1のメモリ部14から読み出した人の顔部のテンプレートに基づき、肌の色に関するデータが抽出された箇所から、顔部をすべて抽出する(S502)。なお、顔部の抽出に用いるテンプレートとは、正面から見た顔、横顔等、人の顔部の典型的な型を指し、S502では、これと肌の色に関するデータが抽出された箇所の形状とを比較する。形状がマッチングするものを、顔部として抽出する。
【0042】
図6(a)は、ステップS503、S504で用いられる画像から抽出した顔部に対する評価を行うための顔評価テーブルの例を示す図である。同図のように、画像から抽出された顔部はそれぞれ顔部No.が付され、例えば、顔の向き、体の隠れ度合、目の開き度合等に基づいて算出される。これは、集合写真等においては、より多くの人が、目を開けた状態で正面を向き、身体も周囲に遮られることなく写っていることが、一般的に良い状態であると判断されることに基づき、評価の基準としているものである。
【0043】
これら評価のポイントもまた、顔部や目部等のテンプレートに基づいて判断され、結果を数値化して評価する。例えば、図6(a)中の顔の「向き」に関しては、正面を向いていると判断されると3点、横向きであると判断されると1点、その他の向きと判断されると0点、というように点数が、図1のメモリ部14上の顔評価テーブルに書き込まれる(ステップS504)。
【0044】
図7に、画像の評価値算出の例を示す。図7の画像701は、撮影された画像である。図7の画像701のデータ中から、まず、人の肌の色に関するデータを抽出する。肌の色に関するデータが抽出された箇所について、抽出箇所が丸い形状をしている箇所を更に抽出し、これとテンプレートの顔の型とのマッチングを行う。テンプレートは、例えば、正面向き(回転角0度)の顔、横向き(回転角±30度、±60度等)の顔等がデータとしてメモリ部14に格納されている。このテンプレートを基に、顔部の個数、顔の向きを判断する。図7の画像702では、テンプレートマッチングの結果、人の顔部であると評価されたものを白色の線で囲ってある(画像702中の703)。この例では、顔部の数が703−1〜703−10の10個、正面を向いている顔の数が703−4〜703−8の5個及び横向きの顔の数が703−1〜703−3、703−9及び703−10の5個と判断されている。このため、図6(a)の顔評価テーブルの「方向」に関する評価点は、3×5+1×5=20点と算出される。この、図7の例の場合、下図中の人物A及び人物Bは顔が抽出されていない。これらの人物の顔が抽出されること、あるいは横向きと判断された人物が正面向きで撮影され、正面向きであると判断されることで、評価点は更に上がることになる。
【0045】
隠れ度、開眼度についても同様にテンプレートに基づいて点数を算出する。隠れ度については、例えば、身体がほぼ全面的に画像に写っていると判断されると3点、2分の1以上4分の3未満が写っていれば1点、2分の1未満しか身体が画像に表れていないときは0点というように採点する。開眼度については、例えば、開眼度が良好であると判断されれば2点、開眼度が悪いと判断されれば0点、というように採点する。隠れ度、開眼度についても同様に、各点数を図6(a)の顔評価テーブルに記録する。
【0046】
顔部の評価点を算出したら、その値を、図6(a)の顔評価テーブルの、その顔部に対応する顔部No.の位置の合計点の欄に書き込む(S504)。合計点を書き込んだ後、抽出した全ての顔部についての評価が完了したかどうか判断する(S505)。未完了の場合(S505でNOの場合)は、処理はS503へと戻り、次の顔No.についての評価点の算出を行う。
【0047】
S505でYESの場合、すなわち1画像中の全ての顔部についての評価が完了した場合は、処理はS506へと進む。S506では、各顔部No.の評価値の和を計算する。これをその画像の総合評価点として、図1のメモリ部14上の、図6(b)の画像評価テーブルに、仮画像No.と対応させて値を書き込む。総合評価点を書き込むと、処理はS508へと進む。
【0048】
S508では、画像作業領域22内の全画像についての総合評価点の算出及び画像評価テーブルへの書き込みが終了したか判断する。NOの場合は、処理はS501へと戻り、全画像について総合評価点の算出値の画像評価テーブルへの書き込みが終了するまで上記の評価処理を繰り返す。YESの場合は、画像の評価処理を終了し、画像の選出処理へと進む。
【0049】
図8の、1回のシャッタボタン操作で撮影された複数の画像のうち、最適な画像を選出する画像の選出処理について以下に示す。同図の処理も、図1のCPU11がメモリ部14に記憶されている制御プログラムを実行することによって実現される。
【0050】
図1のメモリ部14から画像評価テーブルの総合評価値を読み出し、総合評価値の大きいものから順に、仮画像No.をソートする(S801)。仮画像No.を並び替えた結果、総合評価値が最大の画像を選択し、画像撮影装置の表示部15に表示させる(S802)。
【0051】
S803では、画像を選出するに当たって、ユーザが画像を指定することが可能と設定されているかどうかを判断する。NOの場合、画像撮影装置が、総合評価値に基づいて、自動的に最適な画像を選出する。このため、S802で選択された画像が必然的に保存されることとなり、処理は後述のS807へと進む。
【0052】
S803でYES、すなわちユーザの画像指定が可能な場合、処理はS804へと進む。S804では、表示された画像の保存に対して、OKであるとの判断をユーザから受けると(YESの場合)、後述の、S807の画像の保存処理が実行される。NOの場合は、処理はS805へ進む。
【0053】
S805では、ユーザからの次の画像を表示するよう指示を待ち受ける。NO、つまりユーザからの次候補表示の指示がない場合は、処理は前記のS804へと戻る。次候補表示の指示があった場合、処理はS806へと進む。
S806では、S801で総合評価値の大きいものから順にソートした仮画像No.のうち、次候補の画像を選択し、図1の、画像撮影装置の表示部15に表示させる。ユーザに次候補の画像を表示させた後、再び処理はS804へと戻り、ユーザの指示を待ち受ける。S804で、ユーザが保存したい画像に対してOKを指示すると、処理はS807へと進む。モニタに表示されている画像に対してOKであるとのコマンドをユーザ側から受けるまで、総合評価値の大きいものから順にモニタに表示させていく。
【0054】
S807では、選択された画像を図2の画像格納領域21に書き込む。画像格納領域21に画像の保存が完了した後、画像作業領域内の全ての画像データを削除し(S808)、処理は図3の、シャッタボタンの操作を待ち受ける状態に戻る(S301)。なお、本実施例においては一の画像を選択して記録することとしたが、これに限られることはない。複数の画像を選択して記録することとしても良い。
【0055】
以上、第1の実施例に係る画像撮影装置は、集合写真を撮影する際、1回のシャッタボタン操作で複数の画像を仮記憶させ、その中から、写っている人が画像中でどのように捉えられているかの観点から、最も好適な画像を総合評価値として、数値化させる。この仮記憶させた複数の画像についての総合評価値を比較することによって、画像撮影装置が、自動的に最適と判断する画像を保存すること、及びユーザにとって簡便な画像の選択肢を提供することが可能となる。ユーザは、シャッターチャンスを見計らうことや、多くの画像を記録させておき、後から撮影状態の良い画像を選別すること及び撮影の度に画像を確認し、良い状態の画像を撮影できるまで何度も撮影し直すことが不要となる。
【0056】
次に、第2の実施例を示す。
第2の実施例は、画像の評価を行うに際し、重み付けを行うものである。これにより特定の人やエリアを重視した画像評価を行うことができる。
第2の実施例に係る画像撮影装置の機構の基本的な構成は第1の実施例と同様であり、図1に示すように、CPU11、カメラ撮影部12、操作部13、メモリ部14、表示部15、画像メモリ部16及び記録媒体17を有し、これらがバス20を介して接続されて相互にデータの授受が行える構成となっている。メモリ部14は、図2の通り、画像格納領域21と、画像作業領域22とから構成される。
【0057】
画像を撮影・評価する処理のうち、撮影処理については、第1の実施例と同様で、流れは図3及び図4の通りであるので、ここでは割愛する。第2実施例の評価処理においては、画像全体を一律に評価の対象とするのではなく、一定の範囲に重点を置いて評価する方法をとる点で第1の実施例の評価処理とは異なっている。
【0058】
以下、図9の、画像の評価処理を示すフローチャートを用いて、第2の実施例に係る評価の処理について説明する。図9は、画像撮影装置で行われる動作処理を示すフローチャートである。同図の処理は図1のCPU11がメモリ部14に記憶されている制御プログラムを実行することによって実現される。
【0059】
S901で、図2の画像作業領域22に一時記憶させた画像のうち、1画像を読み出す。次に、画像の評価値を算出するに当たり、エリアを優先させるのか人物を優先させるのかの判断を行う(S902)。なお、エリア優先では、撮影範囲の中心部から所定の範囲内で撮影されている人物部分を評価対象の人物として抽出する。人物優先では、撮影範囲の中心部から所定の人数の範囲内で認識された人物部分を、評価対象の人物として抽出する。
【0060】
S902の判断結果がYES、すなわちユーザがエリア優先を選択した場合は、処理はS903へと進む。S903では、図1のメモリ部14に格納されている人の顔部のテンプレートを用いて、画像中で、特定のエリア内の人物の顔のみを抽出する。例えば、図10(a)の画像101では、斜線部のエリアDからは、顔部の抽出を行わない。エリアA、B及びC内のみから抽出する。以後の処理では、この特定のエリアA、B及びCから抽出された顔のみについて評価を行う。
【0061】
S902の判断結果がNO、すなわちユーザがエリア優先を選択しなかった場合は、中心に移っている人物優先処理を行い、処理はS904へと進む。S904では、図1のメモリ部14に格納されている人の顔部のテンプレートを用いて、画像のうち、中心から近い人物の顔を評価対象として抽出する。例えば、図10(b)の画像102では、抽出する顔部の個数を指定し、画像の中心から顔部の抽出を行い、一定の個数までで抽出作業を終了させる、というように行う。この場合、例えば、図10(b)の画像102の斜線部分からは画像の抽出を行わない。以後の処理では、画像102の人物抽出エリア内から抽出された顔のみについて評価を行う。
【0062】
S903あるいはS904の特定の顔を抽出し、各々に顔部No.を割り当てた後、処理はS905へと進む。S905では、抽出した顔部ごとに、重みを設定する。エリア優先の抽出を行った場合、例えば、図10(a)の画像101中で、エリアAは重み4、エリアBは重み2、エリアCは重み1、というように設定する。画像の中心付近の人物から優先させて抽出を行った場合、例えば、中心からある一定の個数の顔部までは、中心から離れた箇所から抽出された顔部よりも重みをつける、というように設定する。
【0063】
S906では、抽出した顔部それぞれに対して顔の向きや目の開き度合等から評価点の算出を行う。算出方法の詳細については、第1の実施例で挙げた方法と同様であり、ここでは省略する。
重み付き評価点を、算出した評価点に重みを乗算して算出する(S907)。この重み付きの評価点を、顔部No.と対応させて、図1のメモリ部14に格納されている、顔評価テーブルに書き込む(S908)。
【0064】
図11(a)に、第2の実施例における顔評価テーブルの例を示す。第2の実施例で用いられる顔評価テーブルは、図6(a)の第1の実施例における顔評価テーブルと比較すると、抽出した顔部の重みがさらに記録されており、評価点も、この重みを用いて重み付けを行い算出されている。
【0065】
S909で、抽出した全ての顔部についての評価が完了しているか判断する。NOの場合、処理はS906へと戻り、残りの顔部No.に対応する重み付き評価点を順に算出し、顔評価テーブルに書き込む。全ての顔部についての評価が完了すると、処理はS910へと進む。
【0066】
S910では、重み付き評価点の平均点を計算する。例えば、(平均点)=(各顔部の重み付き評価点の総和)/(顔部の数)の式で求められる。S910で求めた平均点を、図1のメモリ部14に格納されている図11(b)の画像評価テーブルに、仮画像No.と対応させて書き込む。
【0067】
画像評価テーブルへの書き込みが完了後、図2の画像作業領域22内の全画像について評価が完了したかを判断する(S912)。未完了の場合(S912でNOの場合)は、処理はS901へと戻り、残りの仮画像No.に対応する平均点を算出し、画像評価テーブルに順次書き込む。全ての画像について評価が完了すると(S912でYESの場合)、評価処理は終了する。
【0068】
評価処理の後は画像選出処理が行われる。これは、図8を用いて示した第1の実施例に係る選出処理と同様の手順で行われる。ただし、図8の評価値として、図11(b)の画像評価テーブルに記憶されている平均点を用いる。
以上、第2の実施例について説明したが、かかる画像撮影装置により、画像中の特定の箇所に写っている人物が、画像中でどのように捉えられているかに重点を置いて、最も好適な画像が提供される。集合写真のように、大勢で写す場合であっても、特定の箇所、人物等に重点を置いて撮影したい場合に特に好適である。
【0069】
なお、以上実施例に沿って画像撮影装置について説明したが、本願は、これらに限定されるものではない。例えば、画像の選出処理においては、抽出した人の顔部の数に対し、評価点が高い顔部の数が高い割合で占めている画像から順に選出することとしても良い。また、例えば、本実施例では顔の向き、体の隠れ具合、目の開き具合とし、顔のテンプレートによって評価を行ったが、評価方法、テンプレートの種類によっては、人以外の対象についても好適な画像をユーザに提供することができる。
【0070】
また、上記実施例では、一連の処理を実行する手段を備えた画像記録装置について説明したが、一連の処理を実行させるプログラムとして提供することもできる。
【0071】
【発明の効果】
以上示したように、本発明によれば、被写体に関するテンプレートに基づいて画像中の部分画像を抽出し、抽出した部分画像に関し、画像中で良い状態で捉えられているか否かを判断する。このため、予め多くの画像を撮影しておき、ユーザが後になって画像を選択することが不要となり、客観的に被写体の写りがよい画像を提供することができる。したがって、ユーザは簡単な操作によって、良質な画像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例における画像撮影装置のブロック図である。
【図2】本実施例に係る画像撮影装置のメモリ内部の構造を示す概念図である。
【図3】本実施例に係る画像の撮影処理を示すフローチャート(その1)である。
【図4】本実施例に係る画像の撮影処理を示すフローチャート(その2)である。
【図5】第1の実施例に係る画像の評価処理を示すフローチャートである。
【図6】(a)は第1の実施例に係る顔評価テーブルの例、(b)は第1の実施例に係る画像評価テーブルの例を示す図である。
【図7】画像の評価値算出の例を示す図である。
【図8】本実施例に係る画像の選出処理を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施例に係る画像の評価処理を示すフローチャートである。
【図10】(a)及び(b)は、第2の実施例で、画像の評価値を算出する際に負荷する重みの一例を示す図である。
【図11】(a)は第2の実施例に係る顔評価テーブルの例、(b)は第2の実施例に係る画像評価テーブルの例を示す図である。
【符号の説明】
11 CPU
12 カメラ撮影部
13 操作部
14 メモリ部
15 表示部
16 画像メモリ部
17 記録媒体
20 バス
21 画像格納領域
22 画像作業領域
Claims (12)
- 連続して複数の画像を撮影する画像撮影装置において、
複数の画像を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段が記憶した複数の画像について、被写体に関するテンプレートを用いて画像から部分画像を抽出する抽出手段と、
前記テンプレートに基づいて抽出した部分画像ごとの撮影状態を評価点として算出し、各部分画像についての評価点に基づいて画像の評価値を算出する評価手段と、
前記評価手段により得られた画像ごとの評価値に基づいて、特定数の画像を選出する選出手段と
を備えることを特徴とする画像撮影装置。 - 前記記憶手段は、1回のシャッタボタンの操作で連続的に撮影された複数枚の画像を、一時的に記憶することを特徴とする請求項1記載の画像撮影装置。
- 前記抽出手段は、画像内に撮影されている全ての人物部分を前記部分画像として抽出することを特徴とする請求項1または2に記載の画像撮影装置。
- 前記抽出手段は、画像の中心部に近い位置に撮影されている複数の人物部分を前記画像部分として抽出することを特徴とする請求項1または2に記載の画像撮影装置。
- 前記評価手段は、前記抽出された各人物部分ごとに、評価の重みを設定し、該人物部分に設定された評価の重みを加味して評価することを特徴とする請求項3または4に記載の画像撮影装置。
- 前記抽出手段は、画像の撮影範囲の中心部から所定の範囲内の、人物部分を前記部分画像として抽出することを特徴とする請求項1または2に記載の画像撮影装置。
- 前記部分画像は人の顔部であり、前記評価手段は、該顔部の向きを含む条件に基づいて評価点を算出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像撮影装置。
- 前記抽出手段は、部分画像が人の顔部であり、前記評価手段が、該顔部中において目部が開いている度合を含む条件に基づいて、評価点を算出することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像撮影装置。
- 前記選出手段は、前記評価値を比較することによって各画像の評価順位を決定することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像撮影装置。
- 前記選出手段は、画像に前記部分画像が複数含まれる場合には、該部分画像の数に対し、該部分画像のうち前記評価点が良好な部分画像の数が占める割合の高い順に各画像の評価順位を決定することを特徴とする請求項9記載の画像撮影装置。
- 1回のシャッタボタン操作に対し1画像を撮影し、撮影した画像をそのまま前記記憶手段に記憶する第1のモードと、1回のシャッタボタン操作に対して複数の画像を撮影し、前記記憶手段に記憶する第2のモードとを有する撮影手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像撮影装置。
- 連続して複数の画像を撮影する画像撮影装置内で実行されるプログラムであって、
複数の画像を記憶し、
記憶された複数の画像について、被写体に関するテンプレートを用いて画像から部分画像を抽出し、
前記テンプレートに基づいて抽出した部分画像ごとの撮影状態を評価点として算出し、各部分画像についての評価点に基づいて画像の評価値を算出し、
得られた画像ごとの評価値に基づいて、特定数の画像を選出する
ことを特徴とするプログラム。
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