JP2005018881A - 表示方法および再生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】多数のトラックから限られた操作手段および表示手段を用いて効率よくトラックを選択する。
【解決手段】表示部51Bに、ドットが2次元的に配置されマトリクス表示201として表示される。ドットの表示位置は、それぞれトラックに対応している。ドット210、211がそれぞれ第1、第2トラックに対応し、隣のグループのドット212が第26トラックに対応し、現在選択中のドットのトラック番号が文字表示200として表示される。現在選択中のドットは、例えば点滅表示される。操作に応じて点滅表示のドットが縦横に移動され、所定の確定操作を行うと、そのとき点滅表示しているドットの位置に対応したトラックが選択され、再生される。2次元的な表示を用いてトラックの選択を行うため、多数のトラックから1を選択することが容易に行える。
【選択図】 図47
【解決手段】表示部51Bに、ドットが2次元的に配置されマトリクス表示201として表示される。ドットの表示位置は、それぞれトラックに対応している。ドット210、211がそれぞれ第1、第2トラックに対応し、隣のグループのドット212が第26トラックに対応し、現在選択中のドットのトラック番号が文字表示200として表示される。現在選択中のドットは、例えば点滅表示される。操作に応じて点滅表示のドットが縦横に移動され、所定の確定操作を行うと、そのとき点滅表示しているドットの位置に対応したトラックが選択され、再生される。2次元的な表示を用いてトラックの選択を行うため、多数のトラックから1を選択することが容易に行える。
【選択図】 図47
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、多数のトラックから1を効率よく選択できる表示方法および再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ディジタルオーディオデータを記録再生するための記録媒体として、カートリッジに収納された直径64mmの光磁気ディスクであるミニディスク(MD)が広く普及している。MDシステムでは、オーディオデータの圧縮方式として、ATRAC(Adaptive TRansform Acoustic Coding)が用いられ、音楽データの管理には、U−TOC(ユーザTOC(Table Of Contents))が用いられている。すなわち、ディスクのレコーダブル領域の内周には、U−TOCと呼ばれる領域が設けられる。U−TOCは、現行のMDシステムにおいて、トラック(オーディオトラック/データトラック)の曲順、記録、消去などに応じて書き換えられる管理情報であり、各トラック(トラックを構成するパーツ)について、開始位置、終了位置や、モードを管理するものである。
【0003】
一方、近年では、音楽などの記録再生を行うようにされた携帯型の記録再生装置においても、ハードディスクドライブを内蔵し尚かつ極めて小型に構成された製品が出現している。このような携帯型の記録再生装置は、通常、記録されている音楽データの管理を、パーソナルコンピュータと接続して行う。例えば、パーソナルコンピュータが有するハードディスクドライブに多数の音楽データを格納してライブラリを構築して、パーソナルコンピュータでミュージックサーバを構成する。音楽データは、CD(Compact Disc)からのリッピングや、インターネットなどのネットワーク上に展開される音楽配信システムを利用してネットワークからのダウンロードにより取得する方法が一般的である。
【0004】
ここで、現行のMDシステムのディスクは、記録容量が160MB程度である。現行のMDとの互換性を確保しつつ、記録容量を増大させたディスクを用いることで、上述したハードディスクドライブを用いた携帯型の記録再生装置と同等の機能を実現することが可能であると考えられる。現行のMDシステムのディスクの大容量化を図るためには、レーザ波長や光学ヘッドの開口率NAを改善する必要がある。しかしながら、レーザ波長や光学ヘッドの開口率NAの改善には限界がある。そのため、磁気超解像などの技術を用いて大容量化するシステムが提案されている。
【0005】
さらに、オーディオデータの圧縮符号化方式の改善などを併用することにより、1枚のディスクに対してより多くのトラックを記録することが可能とされる。
【0006】
このように、記録媒体の記録容量の大容量化、オーディオデータの圧縮符号化方式の改善などに伴い、記録媒体に記録できるトラック数も増大する。記録可能なトラック数が多くなると、トラックの選択方法にも工夫が必要とされる。特に、携帯型の記録再生装置では、トラックを選択するための操作手段や表示手段として限られたものしか用いることができないため、操作性および視認性が良いインターフェイスの開発は、特に重要である。
【0007】
一例として、現行のMDシステムでは、255トラックの記録が可能とされており、特許文献1に記載されるような、順番にトラックをサーチする1次元的な方法でトラックのサーチを行った場合でも、希望するトラックを特定するまでに必要な操作回数は、それ程多くはなかった。トラックに対してグループ化を行えば、さらに操作回数を減らすことが可能である。例えば、250トラックを10のグループに纏めるようにグループ化を行い、10グループ×25トラックとした場合、最も操作回数が多くなる場合でも(10+25)回の操作で希望のトラックを選択できた。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−329389号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
一方、上述の記録容量が大容量化されたシステムでは、記録可能なトラックが例えば2047トラックとされ、1次元的なサーチでは必要な操作回数が多くなりすぎるという問題点があった。操作回数を最小にするようにトラックのグループ化を行っても、45グループ×45トラックであり、最も操作回数が多い場合90回の操作が必要となり、使い勝手がよくないという問題点があった。
【0010】
したがって、この発明の目的は、記録可能なトラック数が増大しても、限られた操作手段および表示手段を用いて効率よくトラックを選択することができるような選曲方法および再生装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上述した課題を解決するために、複数のトラックから1を選択するための表示を行う表示方法において、シンボルをトラックの配列に対応付けた2次元的な配置で表示する第1の表示モードを有する表示のステップと、ユーザの操作に応じて、表示のステップにより表示されたシンボルのうち1を特定する特定のステップと、特定のステップで特定されたシンボルを確定する確定のステップとを備え、確定のステップで確定されたシンボルに対応するトラックを選択するようにしたことを特徴とする表示方法である。
【0012】
また、この発明は、記録媒体に記録された複数のトラックから1を選択して再生する再生装置において、記録媒体に記録されたトラックの情報を取得するトラック情報取得手段と、シンボルをトラックの配列に対応付けた2次元的な配置で表示する表示モードを有する表示手段と、ユーザの操作に応じて、表示手段により表示されたシンボルのうち1を特定すると共に、特定されたシンボルを確定する操作手段と、操作手段で確定されたシンボルに対応するトラックを再生する再生手段とを備えることを特徴とする再生装置である。
【0013】
上述したように、この発明は、シンボルをトラックの配列に対応付けた2次元的な配置で表示し、ユーザの操作に応じて、2次元的な配置で表示されたシンボルのうち1を特定し、特定されたシンボルを確定し、確定されたシンボルに対応するトラックを選択するようにしているため、多数のトラックの中から1のトラックを容易に選択することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態について説明する。先ず、この発明の実施の一形態の説明に先立って、この発明に適用可能なディスクシステムについて、下記の10のセクションに従い説明する。
1.記録方式の概要
2.ディスクについて
3.信号フォーマット
4.記録再生装置の構成
5.次世代MD1および次世代MD2によるディスクの初期化処理について
6.音楽データの第1の管理方式について
7.音楽データの管理方式の第2の例
8.選曲方法について
【0015】
1.記録方式の概要
この発明による記録再生装置では、記録媒体として光磁気ディスクが使用される。フォームファクタのような、ディスクの物理的属性は、いわゆるMD(Mini−Disc)システムによって使用されるディスクと実質的に同じである。しかし、ディスク上に記録されたデータと、そのデータがどのようにディスク上に配置されているかについては、従来のMDと異なる。
【0016】
より具体的には、この発明による装置は、オーディオデータのようなコンテンツデータを記録再生するために、ファイル管理システムとしてFAT(File Allocation Table)システムを使用している。これによって、当該装置は、現行のパーソナルコンピュータに対して互換性を保証することができる。
【0017】
ここでは、「FAT」又は「FATシステム」という用語は、前述したように、種々のPCベースのファイルシステムを指すのに総称的に用いられ、DOS(Disk Operating System)で用いられる特定のFATベースのファイルシステム、Windows95/98(それぞれ登録商標)で使用されるVFAT(Virtual FAT)、Windows98/ME/2000(それぞれ登録商標)で用いられるFAT32、及びNTFS(NT File System(New Technology File System とも呼ばれる))のどれかを示すことを意図したものではない。NTFSは、WindowsNT(登録商標)オペレーティングシステム、又は(オプションにより)Windows2000で使用されるファイルシステムであり、ディスクに対する読み出し/書き込みの際に、ファイルの記録及び取り出しを行う。
【0018】
また、この発明では、現行のMDシステムに対して、エラー訂正方式や変調方式を改善することにより、データの記録容量の増大を図るとともに、データの信頼性を高めるようにしている。更に、この発明では、コンテンツデータを暗号化するとともに、不正コピーを防止して、コンテンツデータの著作権の保護が図れるようにしている。
【0019】
記録再生のフォーマットとしては、現行のMDシステムで用いられているディスクと全く同様のディスク(すなわち、物理媒体)を用いるようにした次世代MD1の仕様と、現行のMDシステムで用いられているディスクとフォームファクター及び外形は同様であるが、磁気超解像度(MSR)技術を使うことにより、線記録方向の記録密度を上げて、記録容量をより増大した次世代MD2の仕様とがあり、これらが本願発明者により開発されている。
【0020】
現行のMDシステムでは、カートリッジに収納された直径64mmの光磁気ディスクが記録媒体として用いられている。ディスクの厚みは1.2mmであり、その中央に11mmの径のセンターホールが設けられている。カートリッジの形状は、長さ68mm、幅72mm、厚さ5mmである。
【0021】
次世代MD1の仕様でも次世代MD2の仕様でも、これらディスクの形状やカートリッジの形状は、全て同じである。リードイン領域の開始位置についても、次世代MD1の仕様および次世代MD2の仕様のディスクも、29mmから始まり、現行のMDシステムで使用されているディスクと同様である。
【0022】
トラックピッチについては、次世代MD2では、1.2μmから1.3μm(例えば1.25μm)とすることが検討されている。これに対して、現行のMDシステムのディスクを流用する次世代MD1では、トラックピッチは1.6μmとされている。ビット長は、次世代MD1が0.44μm/ビットとされ、次世代MD2が0.16μm/ビットとされる。冗長度は、次世代MD1および次世代MD2ともに、20.50%である。
【0023】
次世代MD2の仕様のディスクでは、磁気超解像技術を使うことにより、線密度方向の記録容量を向上するようにしている。磁気超解像技術は、所定の温度になると、切断層が磁気的にニュートラルな状態になり、再生層に転写されていた磁壁が移動することで、微少なマークがビームスポットの中で大きく見えるようになることを利用したものである。
【0024】
すなわち、次世代MD2の仕様のディスクでは、透明基板上に、少なくとも情報を記録する記録層となる磁性層と、切断層と、情報再生用の磁性層とが積層される。切断層は、交換結合力調整用層となる。所定の温度になると、切断層が磁気的にニュートラルな状態になり、記録層に転写されていた磁壁が再生用の磁性層に転写される。これにより、微少なマークがビームスポットの中に見えるようになる。なお、記録時には、レーザパルス磁界変調技術を使うことで、微少なマークを生成することができる。
【0025】
また、次世代MD2の仕様のディスクでは、デトラックマージン、ランドからのクロストーク、ウォブル信号のクロストーク、フォーカスの漏れを改善するために、グルーブを従来のMDディスクより深くし、グルーブの傾斜を鋭くしている。次世代MD2の仕様のディスクでは、グルーブの深さは例えば160nmから180nmであり、グルーブの傾斜は例えば60度から70度であり、グルーブの幅は例えば600nmから700nmである。
【0026】
また、光学的の仕様については、次世代MD1の仕様では、レーザ波長λが780nmとされ、光学ヘッドの対物レンズの開口率NAが0.45とされている。次世代MD2の仕様も同様に、レーザ波長λが780nmとされ、光学ヘッドの開口率NAが0.45とされている。
【0027】
記録方式としては、次世代MD1の仕様も次世代MD2の仕様も、グルーブ記録方式が採用されている。つまり、グルーブ(ディスクの盤面上の溝)をトラックとして記録再生に用いるようにしている。
【0028】
エラー訂正符号化方式としては、現行のMDシステムでは、ACIRC(Advanced Cross Interleave Reed−Solomon Code) による畳み込み符号が用いられていたが、次世代MD1および次世代MD2の仕様では、RS−LDC(Reed Solomon−Long Distance Code)とBIS(Burst Indicator Subcode)とを組み合わせたブロック完結型の符号が用いられている。ブロック完結型のエラー訂正符号を採用することにより、リンキングセクタが不要になる。LDCとBISとを組み合わせたエラー訂正方式では、バーストエラーが発生したときに、BISによりエラーロケーションが検出できる。このエラーロケーションを使って、LDCコードにより、イレージャ訂正を行うことができる。
【0029】
アドレス方式としては、シングルスパイラルによるグルーブを形成したうえで、このグルーブの両側に対してアドレス情報としてのウォブルを形成したウォブルドグルーブ方式が採用されている。このようなアドレス方式は、ADIP(Address in Pregroove)と呼ばれている。現行のMDシステムと、次世代MD1および次世代MD2の仕様では、線密度が異なると共に、現行のMDシステムでは、エラー訂正符号として、ACIRCと呼ばれる畳み込み符号が用いられているのに対して、次世代MD1および次世代MD2の仕様では、LDCとBISとを組み合わせたブロック完結型の符号が用いられているため、冗長度が異なり、ADIPとデータとの相対的な位置関係が変わっている。そこで、現行のMDシステムと同じ物理構造のディスクを流用する次世代MD1の仕様では、ADIP信号の扱いを、現行のMDシステムのときとは異なるようにしている。また、次世代MD2の仕様では、次世代MD2の仕様により合致するように、ADIP信号の仕様に変更を加えている。
【0030】
変調方式については、現行のMDシステムでは、EFM(8 to 14 Modulation)が用いられているのに対して、次世代MD1および次世代MD2の仕様では、RLL(1,7)PP(RLL;Run Length Limited ,PP;Parity Preserve/Prohibit rmtr(repeated minimum transition runlength))(以下、1−7pp変調と称する)が採用されている。また、データの検出方式は、次世代MD1ではパーシャルレスポンスPR(1,2,1)MLを用い、次世代MD2ではパーシャルレスポンスPR(1,−1)MLを用いたビタビ復号方式とされている。
【0031】
また、ディスク駆動方式はCLV(Constant Linear Verocity)またはZCAV(Zone Constant Angular Verocity)で、その標準線速度は、次世代MD1の仕様では、2.4m/秒とされ、次世代MD2の仕様では、1.98m/秒とされる。なお、現行のMDシステムの仕様では、60分ディスクで1.2m/秒、74分ディスクで1.4m/秒とされている。
【0032】
現行のMDシステムで用いられるディスクをそのまま流用する次世代MD1の仕様では、ディスク1枚当たりのデータ総記録容量は約300Mバイト(80分ディスクを用いた場合)になる。変調方式がEFMから1−7pp変調とされることで、ウィンドウマージンが0.5から0.666となり、この点で、1.33倍の高密度化が実現できる。また、エラー訂正方式として、ACIRC方式からBISとLDCを組み合わせたものとしたことで、データ効率が上がり、この点で、1.48倍の高密度化が実現できる。総合的には、全く同様のディスクを使って、現行のMDシステムに比べて、約2倍のデータ容量が実現されたことになる。
【0033】
磁気超解像度を利用した次世代MD2の仕様のディスクでは、更に線密度方向の高密度化が図られ、データ総記録容量は、約1Gバイトになる。
【0034】
データレートは標準線速度にて、次世代MD1では4.4Mビット/秒であり、次世代MD2では、9.8Mビット/秒である。
【0035】
2.ディスクについて
図1は、次世代MD1のディスクの構成を示すものである。次世代MD1のディスクは、現行のMDシステムのディスクをそのまま流用したものである。すなわち、ディスクは、透明のポリカーボネート基板上に、誘電体膜と、磁性膜と、誘電体膜と、反射膜とを積層して構成される。更に、その上に、保護膜が積層される。
【0036】
次世代MD1のディスクでは、図1に示すように、ディスクの内周(ディスクのレコーダブル領域の最も内側の周(「最も内側」は、ディスクの中心から放射状に延びる方向において最も内側を示す)のリードイン領域に、P−TOC(プリマスタードTOC(Table Of Contents))領域が設けられる。ここは、物理的な構造としては、プリマスタード領域となる。すなわち、エンボスピットにより、コントロール情報等が、例えば、P−TOC情報として記録されている。
【0037】
P−TOC領域が設けられるリードイン領域の外周(ディスクの中心から放射状に延びる方向において外側の周)は、レコーダブル領域(光磁気記録可能な領域)とされ、記録トラックの案内溝としてグルーブが形成された記録再生可能領域となっている。このレコーダブル領域の内周には、U−TOC(ユーザTOC)が設けられる。
【0038】
U−TOCは、現行のMDシステムでディスクの管理情報を記録するために用いられているU−TOCと同様の構成のものである。U−TOCは、現行のMDシステムにおいて、トラック(オーディオトラック/データトラック)の曲順、記録、消去などに応じて書き換えられる管理情報であり、各トラック(トラックを構成するパーツ)について、開始位置、終了位置や、モードを管理するものである。
【0039】
U−TOCの外周には、アラートトラックが設けられる。このトラックには、ディスクが現行のMDシステムにロードされた場合に、MDプレーヤによって起動(出力)される警告音が記録される。この警告音は、そのディスクが次世代MD1方式で使用され、現行のシステムでは再生できないことを示すものである。レコーダブル領域の残りの部分(詳しくは、図2に示されている)は、リードアウト領域まで、放射状に延びる方向に広がっている。
【0040】
図2は、図1に示す次世代MD1の仕様のディスクのレコーダブル領域の構成を示すものである。図2に示すように、レコーダブル領域の先頭(内周側)には、U−TOCおよびアラートトラックが設けられる。U−TOCおよびアラートトラックが含まれる領域は、現行のMDシステムのプレーヤでも再生できるように、EFMでデータが変調されて記録される。EFM変調でデータが変調されて記録される領域の外周に、次世代MD1方式の1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域が設けられる。EFMでデータが変調されて記録される領域と、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域との間は所定の距離の間だけ離間されており、「ガードバンド」が設けられている。このようなガードバンドが設けられるため、現行のMDプレーヤに次世代MD1の仕様のディスクが装着されて、不具合が発生されることが防止される。
【0041】
1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域の先頭(内周側)には、DDT(Disc Description Table)領域と、リザーブトラックが設けられる。DDT領域には、物理的に欠陥のある領域に対する交替処理をするために設けられる。DDT領域には、さらに、ディスク毎に固有の識別コードが記録される。以下、このディスク毎に固有の識別コードをUID(ユニークID)と称する。次世代MD1の場合、UIDは、例えば所定に発生された乱数に基づき生成され、例えばディスクの初期化の際に記録される(詳細は後述する)。UIDを用いることで、ディスクの記録内容に対するセキュリティ管理を行うことができる。リザーブトラックは、コンテンツの保護を図るための情報が格納される。
【0042】
更に、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域には、FAT(File Allocation Table)領域が設けられる。FAT領域は、FATシステムでデータを管理するための領域である。FATシステムは、汎用のパーソナルコンピュータで使用されているFATシステムに準拠したデータ管理を行うものである。FATシステムは、ルートにあるファイルやディレクトリのエントリポイントを示すディレクトリと、FATクラスタの連結情報が記述されたFATテーブルとを用いて、FATチェーンによりファイル管理を行うものである。なお、FATの用語は、前述したように、PCオペレーティングシステムで利用される、様々な異なるファイル管理方法を示すように総括的に用いられている。
【0043】
次世代MD1の仕様のディスクにおいては、U−TOC領域には、アラートトラックの開始位置の情報と、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域の開始位置の情報が記録される。
【0044】
現行のMDシステムのプレーヤに、次世代MD1のディスクが装着されると、U−TOC領域が読み取られ、U−TOCの情報から、アラートトラックの位置が分かり、アラートトラックがアクセスされ、アラートトラックの再生が開始される。アラートトラックには、このディスクが次世代MD1方式で使用され、現行のMDシステムのプレーヤでは再生できないことを示す警告音が記録されている。この警告音から、このディスクが現行のMDシステムのプレーヤでは使用できないことが知らされる。
【0045】
なお、警告音としては、「このプレーヤでは使用できません」というような言語による警告とすることができる。勿論、単純なビープ音、トーン、又はその他の警告信号とするようにしても良い。
【0046】
次世代MD1に準拠したプレーヤに、次世代MD1のディスクが装着されると、U−TOC領域が読み取られ、U−TOCの情報から、1−7pp変調でデータが記録された領域の開始位置が分かり、DDT、リザーブトラック、FAT領域が読み取られる。1−7pp変調のデータの領域では、U−TOCを使わずに、FATシステムを使ってデータの管理が行われる。
【0047】
図3は、次世代MD2のディスクを示すものである。ディスクは、透明のポリカーボネート基板上に、誘電体膜と、磁性膜と、誘電体膜と、反射膜とを積層して構成される。更に、その上に、保護膜が積層される。
【0048】
次世代MD2のディスクでは、図3Aに示すように、ディスクの内周(ディスクの中心から放射状に延びる方向において内側の周)のリードイン領域には、ADIP信号により、コントロール情報が記録されている。次世代MD2のディスクには、リードイン領域にはエンボスピットによるP−TOCは設けられておらず、その代わりに、ADIP信号によるコントロール情報が用いられる。リードイン領域の外周からレコーダブル領域が開始され、記録トラックの案内溝としてグルーブが形成された記録再生可能領域となっている。このレコーダブル領域には、1−7pp変調で、データが変調されて記録される。
【0049】
次世代MD2の仕様のディスクでは、図3Bに示すように、磁性膜として、情報を記録する記録層となる磁性層101と、切断層102と、情報再生用の磁性層103とが積層されたものが用いられる。切断層102は、交換結合力調整用層となる。所定の温度になると、切断層102が磁気的にニュートラルな状態になり、記録層101に転写されていた磁壁が再生用の磁性層103に転写される。これにより、記録層101では微少なマークが再生用の磁性層103のビームスポットの中に拡大されて見えるようになる。
【0050】
図示しないが、次世代MD2の使用のディスクでは、記録可能領域の内周側の、コンシューマ向けの記録再生装置で再生可能であるが記録不可であるような領域に、上述したUIDが予め記録される。次世代MD2のディスクの場合、UIDは、例えばDVD(Digital Versatile Disc)で用いられているBCA(Burst Ctting Area)の技術と同様の技術により、ディスクの製造時に予め記録される。ディスクの製造時にUIDが生成され記録されるため、UIDの管理が可能となり、上述の次世代MD1による、ディスクの初期化時などに乱数に基づきUIDを生成する場合に比べ、セキュリティを向上できる。UIDのフォーマットなど詳細については、後述する。
【0051】
なお、繁雑さを避けるために、次世代MD2においてUIDが予め記録されるこの領域を、以降、BCAと呼ぶことにする。
【0052】
次世代MD1であるか次世代MD2であるかは、例えば、リードインの情報から判断できる。すなわち、リードインにエンボスピットによるP−TOCが検出されれば、現行のMDまたは次世代MD1のディスクであると判断できる。リードインにADIP信号によるコントロール情報が検出され、エンボスピットによるP−TOCが検出されなければ、次世代MD2であると判断できる。上述したBCAにUIDが記録されているか否かで判断することも可能である。なお、次世代MD1と次世代MD2との判別は、このような方法に限定されるものではない。オントラックのときとオフトラックのときとのトラッキングエラー信号の位相から判別することも可能である。勿論、ディスク識別用の検出孔等を設けるようにしても良い。
【0053】
図4は、次世代MD2の仕様のディスクのレコーダブル領域の構成を示すものである。図4に示すように、レコーダブル領域では全て1−7pp変調でデータが変調されて記録され、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域の先頭(内周側)には、DDT領域と、リザーブトラックが設けられる。DDT領域は、物理的に欠陥のある領域に対する交替領域を管理するための交替領域管理データを記録するために設けられる。
【0054】
具体的には、DDT領域は、物理的に欠陥のある上記領域に替わるレコーダブル領域を含む置き換え領域を管理する管理テーブルを記録する。この管理テーブルは、欠陥があると判定された論理クラスタを記録し、その欠陥のある論理クラスタに替わるものとして割り当てられた置き換え領域内の論理クラスタ(1つ又は複数)も記録する。さらに、DDT領域には、上述したUIDが記録される。リザーブトラックは、コンテンツの保護を図るための情報が格納される。
【0055】
更に、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域には、FAT領域が設けられる。FAT領域は、FATシステムでデータを管理するための領域である。FATシステムは、汎用のパーソナルコンピュータで使用されているFATシステムに準拠したデータ管理を行うものである。
【0056】
次世代MD2のディスクにおいては、U−TOC領域は設けられていない。次世代MD2に準拠したプレーヤに、次世代MD2のディスクが装着されると、所定の位置にあるDDT、リザーブトラック、FAT領域が読み取られ、FATシステムを使ってデータの管理が行われる。
【0057】
次世代MD1および次世代MD2のディスクでは、時間のかかる初期化作業は不要とされる。すなわち、次世代MD1および次世代MD2の仕様のディスクでは、DDTやリザーブトラック、FATテーブル等の最低限のテーブルの作成以外に、初期化作業は不要で、未使用のディスクからレコーダブル領域の記録再生を直接行うことが可能である。
【0058】
なお、次世代MD2のディスクは、上述のように、ディスクの製造時にUIDが生成され記録されるため、より強力にセキュリティ管理を行うことが可能である一方、現行のMDシステムで用いられるディスクに比べて膜の積層数が多く、より高価である。そこで、ディスクの記録可能領域およびリードイン、リードアウト領域は、次世代MD1と共通とし、UIDのみ、DVDと同様のBCAを用いて次世代MD2と同様にしてディスクの製造時に記録するようにしたディスクシステム(次世代MD1.5と称する)が提案されている。
【0059】
なお、以下では、次世代MD1.5に関して、特に必要となる場合を除き、説明を省略する。すなわち、次世代MD1.5は、UIDに関しては次世代MD2に準じ、オーディオデータの記録再生などに関しては次世代MD1に準ずるものとする。
【0060】
UIDについて、より詳細に説明する。上述したように、次世代MD2のディスクにおいて、UIDは、DVDで用いられているBCAと称される技術と同様の技術により、ディスクの製造時に予め記録される。図5は、このUIDの一例のフォーマットを概略的に示す。UIDの全体をUIDレコードブロックと称する。
【0061】
UIDブロックにおいて、先頭から2バイト分がUIDコードのフィールドとされる。UIDコードは、2バイトすなわち16ビットのうち上位4ビットがディスク判別用とされる。例えば、この4ビットが〔0000〕で当該ディスクが次世代MD2のディスクであることが示され、〔0001〕で当該ディスクが次世代MD1.5のディスクであることが示される。UIDコードの上位4ビットの他の値は、例えば将来の拡張のために予約される。UIDコードの下位12ビットは、アプリケーションIDとされ、4096種類のサービスに対応することができる。
【0062】
UIDコードの次に1バイトのバージョンナンバのフィールドが配され、その次に、1バイトでデータ長のフィールドが配される。このデータ長により、データ長の次に配されるUIDレコードデータのフィールドのデータ長が示される。UIDレコードデータのフィールドは、UID全体のデータ長が188バイトを超えない範囲で、4m(m=0、1、2、・・・)バイト分、配される。UIDレコードデータのフィールドに、所定の方法で生成したユニークなIDを格納することができ、これにより、ディスク個体が識別可能とされる。
【0063】
なお、次世代MD1のディスクでは、このUIDレコードデータのフィールドに、乱数に基づき生成されたIDが記録される。
【0064】
UIDレコードブロックは、最大188バイトまでのデータ長で、複数個、作ることができる。
【0065】
3.信号フォーマット
次に、次世代MD1および次世代MD2のシステムの信号フォーマットについて説明する。現行のMDシステムでは、エラー訂正方式として、畳み込み符号であるACIRCが用いられており、サブコードブロックのデータ量に対応する2352バイトからなるセクタを記録再生のアクセス単位としている。畳み込み符号の場合には、エラー訂正符号化系列が複数のセクタに跨るため、データを書き換える際には、隣接するセクタ間に、リンキングセクタを用意する必要がある。アドレス方式としては、シングルスパイラルによるグルーブを形成したうえで、このグルーブの両側に対してアドレス情報としてのウォブルを形成したウォブルドグルーブ方式であるADIPが使われている。現行のMDシステムでは、2352バイトからなるセクタをアクセスするのに最適なように、ADIP信号が配列されている。
【0066】
これに対して、次世代MD1および次世代MD2のシステムの仕様では、LDCとBISとを組み合わせたブロック完結型の符号が用いられ、64Kバイトを記録再生のアクセス単位としている。ブロック完結型の符号では、リンキングセクタは不要である。そこで、現行のMDシステムのディスクを流用する次世代MD1のシステムの仕様では、ADIP信号の扱いを、新たな記録方式に対応するように、変更するようにしている。また、次世代MD2のシステムの仕様では、次世代MD2の仕様により合致するように、ADIP信号の仕様に変更を加えている。
【0067】
図6、図7、および図8は、次世代MD1および次世代MD2のシステムで使用されるエラー訂正方式を説明するためのものである。次世代MD1および次世代MD2のシステムでは、図6に示すようなLDCによるエラー訂正符号化方式と、図7および図8に示すようなBIS方式とが組み合わされている。
【0068】
図6は、LDCによるエラー訂正符号化の符号化ブロックの構成を示すものである。図6に示すように、各エラー訂正符号化セクタのデータに対して、4バイトのエラー検出コードEDCが付加され、水平方向に304バイト、垂直方向に216バイトのエラー訂正符号化ブロックに、データが二次元配列される。各エラー訂正符号化セクタは、2Kバイトのデータからなる。図6に示すように、水平方向に304バイト、垂直方向に216バイトからなるエラー訂正符号化ブロックには、2Kバイトからなるエラー訂正符号化セクタが32セクタ分配置される。このように、水平方向に304バイト、垂直方向に216バイトに二次元配列された32個のエラー訂正符号化セクタのエラー訂正符号化ブロックのデータに対して、垂直方向に、32ビットのエラー訂正用のリード・ソロモンコードのパリティが付加される。
【0069】
図7および図8は、BISの構成を示すものである。図7に示すように、38バイトのデータ毎に、1バイトのBISが挿入され、(38×4=152バイト)のデータと、3バイトのBISデータと、2.5バイトのフレームシンクとの合計157.5バイトが1フレームとされる。
【0070】
図8に示すように、このように構成されるフレームを496フレーム集めて、BISのブロックが構成される。BISデータ(3×496=1488バイト)には、576バイトのユーザコントロールデータと、144バイトのアドレスユニットナンバと、768バイトのエラー訂正コードが含められる。
【0071】
このように、BISデータには、1488バイトのデータに対して768バイトのエラー訂正コードが付加されているので、強力にエラー訂正を行うことができる。このBISコードを38バイト毎に埋め込んでおくことにより、バーストエラーが発生したときに、エラーロケーションが検出できる。このエラーロケーションを使って、LDCコードにより、イレージャ訂正を行うことができる。
【0072】
ADIP信号は、図9に示すように、シングルスパイラルのグルーブの両側に対してウォブルを形成することで記録される。すなわち、ADIP信号は、FM変調されたアドレスデータを有し、ディスク素材にグルーブのウォブルとして形成されることにより記録される。
【0073】
図10は、次世代MD1の場合のADIP信号のセクタフォーマットを示すものである。
【0074】
図10に示すように、ADIP信号の1セクタ(ADIPセクタ)は、4ビットのシンクと、8ビットのADIPクラスタナンバの上位ビットと、8ビットのADIPクラスタナンバの下位ビットと、8ビットのADIPセクタナンバと、14ビットのエラー検出コードCRCとからなる。
【0075】
シンクは、ADIPセクタの先頭を検出するための所定パターンの信号である。従来のMDシステムでは、畳み込み符号を使っているため、リンキングセクタが必要になる。リンキング用のセクタナンバは、負の値を持ったセクタナンバで、「FCh」、「FDh」、「FEh」、「FFh」(hは16進数を示す)のセクタナンバのものである。次世代MD1では、現行のMDシステムのディスクを流用するため、このADIPセクタのフォーマットは、現行のMDシステムのものと同様である。
【0076】
次世代MD1のシステムでは、図11に示すように、ADIPセクタナンバ「FCh」から「FFh」および「0Fh」から「1Fh」までの36セクタで、ADIPクラスタが構成される。そして、図10に示すように、1つのADIPクラスタに、2つのレコーディングブロック(64Kバイト)のデータを配置するようにしている。
【0077】
図12は、次世代MD2の場合のADIPセクタの構成を示すものである。次世代MD2の仕様では、ADIPセクタが16セクタで、ADIPセクタが構成される。したがって、ADIPのセクタナンバは、4ビットで表現できる。また、次世代MDでは、ブロック完結のエラー訂正符号が用いられているため、リンキングセクタは不要である。
【0078】
次世代MD2のADIPセクタは、図12に示すように、4ビットのシンクと、4ビットのADIPクラスタナンバの上位ビットと、8ビットのADIPクラスタナンバの中位ビットと、4ビットのADIPクラスタナンバの下位ビットと、4ビットのADIPセクタナンバと、18ビットのエラー訂正用のパリティとからなる。
【0079】
シンクは、ADIPセクタの先頭を検出するための所定パターンの信号である。ADIPクラスタナンバとしては、上位4ビット、中位8ビット、下位4ビットの16ビット分が記述される。16個のADIPセクタでADIPクラスタが構成されるため、ADIPセクタのセクタナンバは4ビットとされている。現行のMDシステムでは14ビットのエラー検出コードであるが、18ビットのエラー訂正用のパリティとなっている。そして、次世代MD2の仕様では、図13に示すように、1つのADIPクラスタに、1レコーディングブロック(64Kバイト)のデータが配置される。
【0080】
図14は、次世代MD1の場合のADIPクラスタとBISのフレームとの関係を示すものである。
【0081】
図11に示したように、次世代MD1の仕様では、ADIPセクタ「FC」〜「FF」およびADIPセクタ「00」〜「1F」の36セクタで、1つのADIPクラスタが構成される。記録再生の単位となる1レコーディングブロック(64Kバイト)のデータは、1つのADIPクラスタに、2つ分配置される。
【0082】
図14に示すように、1つのADIPセクタは、前半の18セクタと、後半の18セクタとに分けられる。
【0083】
記録再生の単位となる1レコーディングブロックのデータは、496フレームからなるBISのブロックに配置される。このBISのブロックに相当する496フレーム分のデータのフレーム(フレーム「10」からフレーム「505」)の前に、10フレーム分のプリアンブル(フレーム「0」からフレーム「9」)が付加され、また、このデータのフレームの後に、6フレーム分のポストアンブルのフレーム(フレーム506からフレーム511)が付加され、合計、512フレーム分のデータが、ADIPセクタ「FCh」からADIPセクタ「0Dh」のADIPクラスタの前半に配置されるとともに、ADIPセクタ「0Eh」からADIPセクタ「1Fh」のADIPクラスタの後半に配置される。データフレームの前のプリアンブルのフレームと、データの後ろのポストアンブルのフレームは、隣接するレコーディングブロックとのリンキング時にデータを保護するのに用いられる。プリアンブルは、データ用PLLの引き込み、信号振幅制御、信号オフセット制御などにも用いられる。
【0084】
レコーディングブロックのデータを記録再生する際の物理アドレスは、ADIPクラスタと、そのクラスタの前半か後半かにより指定される。記録再生時に物理アドレスが指定されると、ADIP信号からADIPセクタが読み取られ、ADIPセクタの再生信号から、ADIPクラスタナンバとADIPセクタナンバが読み取られ、ADIPクラスタの前半と後半とが判別される。
【0085】
図15は、次世代MD2の仕様の場合のADIPクラスタとBISのフレームとの関係を示すものである。図13に示したように、次世代MD2の仕様では、ADIPセクタが16セクタで、1つのADIPクラスタが構成される。1つのADIPクラスタに、1レコーディングブロック(64Kバイト)のデータが配置される。
【0086】
図15に示すように、記録再生の単位となる1レコーディングブロック(64Kバイト)のデータは、496フレームからなるBISのブロックに配置される。このBISのブロックに相当する496フレーム分のデータのフレーム(フレーム「10」からフレーム「505」)の前に、10フレーム分のプリアンブル(フレーム「0」からフレーム「9」)が付加され、また、このデータのフレームの後に、6フレーム分のポストアンブルのフレーム(フレーム506からフレーム511)が付加され、合計、512フレーム分のデータが、ADIPセクタ「0h」からADIPセクタ「Fh」からなるADIPクラスタに配置される。
【0087】
データフレームの前のプリアンブルのフレームと、データの後ろのポストアンブルのフレームは、隣接するレコーディングブロックとのリンキング時にデータを保護するのに用いられる。プリアンブルは、データ用PLLの引き込み、信号振幅制御、信号オフセット制御などにも用いられる。
【0088】
レコーディングブロックのデータを記録再生する際の物理アドレスは、ADIPクラスタで指定される。記録再生時に物理アドレスが指定されると、ADIP信号からADIPセクタが読み取られ、ADIPセクタの再生信号から、ADIPクラスタナンバが読み取られる。
【0089】
ところで、このようなディスクでは、記録再生を開始するときに、レーザパワーの制御等を行うために、各種のコントロール情報が必要である。次世代MD1の仕様のディスクでは、図1に示したように、リードイン領域にP−TOCが設けられており、このP−TOCから、各種のコントロール情報が取得される。
【0090】
次世代MD2の仕様のディスクには、エンボスピットによるP−TOCは設けられず、コントロール情報がリードイン領域のADIP信号により記録される。また、次世代MD2の仕様のディスクでは、磁気超解像度の技術が使われるため、レーザのパワーコントロールが重要である。次世代MD2の仕様のディスクでは、リードイン領域とリードアウト領域には、パワーコントロール調整用のキャリブレーション領域が設けられる。
【0091】
すなわち、図16は、次世代MD2の仕様のディスクのリードインおよびリードアウトの構成を示すものである。図16に示すように、ディスクのリードインおよびリードアウト領域には、レーザビームのパワーコントロール領域として、パワーキャリブレーション領域が設けられる。
【0092】
また、リードイン領域には、ADIPによるコントロール情報を記録したコントロール領域が設けられる。ADIPによるコントロール情報の記録とは、ADIPクラスタナンバの下位ビットとして割り当てられている領域を使って、ディスクのコントロール情報を記述するものである。
【0093】
すなわち、ADIPクラスタナンバは、レコーダブル領域の開始位置から始まっており、リードイン領域では負の値になっている。図16に示すように、次世代MD2のADIPセクタは、4ビットのシンクと、8ビットのADIPクラスタナンバの上位ビットと、8ビットのコントロールデータ(ADIPクラスタナンバの下位ビット)と、4ビットのADIPセクタナンバと、18ビットのエラー訂正用のパリティとからなる。ADIPクラスタナンバの下位ビットとして割り当てられている8ビットに、図16に示すように、ディスクタイプや、磁気位相、強度、読み出しパワー等のコントロール情報が記述される。
【0094】
なお、ADIPクラスタの上位ビットは、そのまま残されているので、現在位置は、ある程度の精度で知ることができる。また、ADIPセクタ「0」と、ADIPセクタ「8」は、ADIPクラスタナンバの下位8ビットを残しておくことにより、所定間隔で、ADIPクラスタを正確に知ることができる。
【0095】
ADIP信号によるコントロール情報の記録については、本願出願人が先に提案した特願2001−123535号の明細書中に詳細に記載してある。
【0096】
4.記録再生装置の構成
次に、図17、図18により、次世代MD1および次世代MD2システムで記録/再生に用いられるディスクに対応するディスクドライブ装置(記録再生装置)の構成を説明する。
【0097】
図17には、ディスクドライブ装置1が、例えばパーソナルコンピュータ100と接続可能なものとして示している。
【0098】
ディスクドライブ装置1は、メディアドライブ部2、メモリ転送コントローラ3、クラスタバッファメモリ4、補助メモリ5、USB(Universal Serial Bus)インターフェース6,8、USBハブ7、システムコントローラ9、オーディオ処理部10を備えている。
【0099】
メディアドライブ部2は、装填されたディスク90に対する記録/再生を行う。ディスク90は、次世代MD1のディスク、次世代MD2のディスク、または現行のMDのディスクである。メディアドライブ部2の内部構成は図18で後述する。
【0100】
メモリ転送コントローラ3は、メディアドライブ部2からの再生データやメディアドライブ部2に供給する記録データについての受け渡しの制御を行う。
【0101】
クラスタバッファメモリ4は、メモリ転送コントローラ3の制御に基づいて、メディアドライブ部2によってディスク90のデータトラックからレコーディングブロック単位で読み出されたデータのバッファリングを行う。
【0102】
補助メモリ5は、メモリ転送コントローラ3の制御に基づいて、メディアドライブ部2によってディスク90から読み出された各種管理情報や特殊情報を記憶する。
【0103】
システムコントローラ9は、ディスクドライブ装置1内の全体の制御を行うと共に、接続されたパーソナルコンピュータ100との間の通信制御を行う。
【0104】
すなわち、システムコントローラ9は、USBインターフェース8、USBハブ7を介して接続されたパーソナルコンピュータ100との間で通信可能とされ、書込要求、読出要求等のコマンドの受信やステイタス情報その他の必要情報の送信などを行う。
【0105】
システムコントローラ9は、例えばディスク90がメディアドライブ部2に装填されることに応じて、ディスク90からの管理情報等の読出をメディアドライブ部2に指示し、メモリ転送コントローラ3によって読み出した管理情報等を補助メモリ5に格納させる。
【0106】
パーソナルコンピュータ100からのあるFATセクタの読出要求があった場合は、システムコントローラ9はメディアドライブ部2に、そのFATセクタを含むレコーディングブロックの読み出しを実行させる。読み出されたレコーディングブロックのデータはメモリ転送コントローラ3によってクラスタバッファメモリ4に書き込まれる。
【0107】
システムコントローラ9はクラスタバッファメモリ4に書き込まれているレコーディングブロックのデータから、要求されたFATセクタのデータを読み出させ、USBインターフェース6、USBハブ7を介してパーソナルコンピュータ100に送信させる制御を行う。
【0108】
パーソナルコンピュータ100からのあるFATセクタの書き込み要求があった場合は、システムコントローラ9はメディアドライブ部2に、まずそのFATセクタを含むレコーディングブロックの読み出しを実行させる。読み出されたレコーディングブロックはメモリ転送コントローラ3によってクラスタバッファメモリ4に書き込まれる。
【0109】
システムコントローラ9は、パーソナルコンピュータ100からのFATセクタのデータ(記録データ)をUSBインターフェース6を介してメモリ転送コントローラ3に供給させ、クラスタバッファメモリ4上で、該当するFATセクタのデータの書き換えを実行させる。
【0110】
システムコントローラ9は、メモリ転送コントローラ3に指示して、必要なFATセクタが書き換えられた状態でクラスタバッファメモリ4に記憶されているレコーディングブロックのデータを、記録データとしてメディアドライブ部2に転送させる。メディアドライブ部2では、そのレコーディングブロックの記録データを変調してディスク90に書き込む。
【0111】
システムコントローラ9に対して、操作部50が接続される。操作部50は、各種のキーやボタン、スイッチなどの操作子により構成され、ユーザによる操作子の操作に応じた制御信号を出力する。この制御信号がシステムコントローラ9に供給され、制御信号に基づくシステムコントローラ9の制御により、ディスクドライブ装置1の動作が制御される。
【0112】
操作部50に設けられる操作子としては、他にも、回転させることにより回転角に応じた制御信号を出力するようにされたロータリエンコーダや、回転操作および押圧操作を組み合わせて制御信号を出力するジョグダイヤル、上下方向への操作と押圧操作とでそれぞれ対応する制御信号を出力する集中コントローラなどを用いることができる。
【0113】
ディスクドライブ装置1に対して、例えばLCD(Liquid Crystal Display)からなるディスプレイ51が設けられる。ディスプレイ51は、例えばドット単位の表示を組み合わせてテキストデータや簡単なアイコンなどの表示が可能とされる。ディスプレイ51は、システムコントローラ9から供給される表示制御信号に基づき、このディスクドライブ装置1の状態に関する情報や、ユーザに対するメッセージ、トラックの選択情報などを表示する。
【0114】
オーディオ処理部10は、入力系として、例えばライン入力回路/マイクロホン入力回路等のアナログ音声信号入力部、A/D変換器や、ディジタルオーディオデータ入力部を備える。また、オーディオ処理部10はATRAC圧縮エンコーダ/デコーダや、圧縮データのバッファメモリを備える。更に、オーディオ処理部10は、出力系として、ディジタルオーディオデータ出力部や、D/A変換器およびライン出力回路/ヘッドホン出力回路等のアナログ音声信号出力部を備える。
【0115】
ディスク90が現行のMDのディスクの場合には、ディスク90に対してオーディオトラックが記録されるときに、オーディオ処理部10にディジタルオーディオデータ(またはアナログ音声信号)が入力される。入力されたリニアPCMディジタルオーディオデータ、あるいはアナログ音声信号で入力されA/D変換器で変換されて得られたリニアPCMオーディオデータは、ATRAC圧縮エンコードされ、バッファメモリに蓄積される。そして所定タイミング(ADIPクラスタ相当のデータ単位)でバッファメモリから読み出されてメディアドライブ部2に転送される。メディアドライブ部2では、転送されてくる圧縮データを、EFMで変調してディスク90にオーディオトラックとして書き込みを行う。
【0116】
ディスク90が現行のMDシステムのディスクの場合には、ディスク90のオーディオトラックが再生されるときには、メディアドライブ部2は再生データをATRAC圧縮データ状態に復調して、メモリ転送コントローラ3を介してオーディオ処理部10に転送する。オーディオ処理部10は、ATRAC圧縮デコードを行ってリニアPCMオーディオデータとし、ディジタルオーディオデータ出力部から出力する。あるいはD/A変換器によりアナログ音声信号としてライン出力/ヘッドホン出力を行う。
【0117】
なお、パーソナルコンピュータ100との接続はUSBでなく、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394等の他の外部インターフェースが用いられても良い。
【0118】
記録再生データ管理は、FATシステムを使って行われ、レコーディングブロックとFATセクタとの変換については、本願出願人が先に提案した特願2001−289380号の明細書中に詳細に記載してある。
【0119】
続いて、データトラックおよびオーディオトラックの両方について記録再生を行う機能を有するものとしてのメディアドライブ部2の構成を図18を参照して説明する。
【0120】
図18は、メディアドライブ部2の構成を示すものである。メディアドライブ部2は、現行のMDシステムのディスクと、次世代MD1のディスクと、次世代MD2のディスクとが装填されるターンテーブルを有しており、メディアドライブ部2では、ターンテーブルに装填されたディスク90をスピンドルモータ29によってCLV方式で回転駆動させる。このディスク90に対しては記録/再生時に光学ヘッド19によってレーザ光が照射される。
【0121】
光学ヘッド19は、記録時には記録トラックをキュリー温度まで加熱するための高レベルのレーザ出力を行い、また再生時には磁気カー効果により反射光からデータを検出するための比較的低レベルのレーザ出力を行う。このため、光学ヘッド19には、ここでは詳しい図示は省略するがレーザ出力手段としてのレーザダイオード、偏光ビームスプリッタや対物レンズ等からなる光学系、および反射光を検出するためのディテクタが搭載されている。光学ヘッド19に備えられる対物レンズとしては、例えば2軸機構によってディスク半径方向およびディスクに接離する方向に変位可能に保持されている。
【0122】
また、ディスク90を挟んで光学ヘッド19と対向する位置には磁気ヘッド18が配置されている。磁気ヘッド18は記録データによって変調された磁界をディスク90に印加する動作を行う。また、図示しないが光学ヘッド19全体および磁気ヘッド18をディスク半径方向に移動させためスレッドモータおよびスレッド機構が備えられている。
【0123】
光学ヘッド19および磁気ヘッド18は、次世代MD2のディスクの場合には、パルス駆動磁界変調を行うことで、微少なマークを形成することができる。現行MDのディスクや、次世代MD1のディスクの場合には、DC発光の磁界変調方式とされる。
【0124】
このメディアドライブ部2では、光学ヘッド19、磁気ヘッド18による記録再生ヘッド系、スピンドルモータ29によるディスク回転駆動系のほかに、記録処理系、再生処理系、サーボ系等が設けられる。
【0125】
なお、ディスク90としては、現行のMD仕様のディスクと、次世代MD1の仕様のディスクと、次世代MD2の仕様のディスクとが装着される可能性がある。これらのディスクにより、線速度が異なっている。スピンドルモータ29は、これら線速度の異なる複数種類のディスクに対応する回転速度で回転させることが可能である。ターンテーブルに装填されたディスク90は、現行のMD仕様のディスクの線速度と、次世代MD1の仕様のディスクの線速度と、次世代MD2の仕様のディスクの線速度とに対応して回転される。
【0126】
記録処理系では、現行のMDシステムのディスクの場合に、オーディオトラックの記録時に、ACIRCでエラー訂正符号化を行い、EFMで変調してデータを記録する部位と、次世代MD1または次世代MD2の場合に、BISとLDCを組み合わせた方式でエラー訂正符号化を行い、1−7pp変調で変調して記録する部位が設けられる。
【0127】
再生処理系では、現行のMDシステムのディスクの再生時に、EFMの復調とACIRCによるエラー訂正処理と、次世代MD1または次世代MD2システムのディスクの再生時に、パーシャルレスポンスおよびビタビ復号を用いたデータ検出に基づく1−7復調と、BISとLDCによるエラー訂正処理とを行う部位が設けられる。
【0128】
また、現行のMDシステムや次世代MD1のADIP信号よるアドレスをデコードする部位と、次世代MD2のADIP信号をデコードする部位とが設けられる。
【0129】
光学ヘッド19のディスク90に対するレーザ照射によりその反射光として検出された情報(フォトディテクタによりレーザ反射光を検出して得られる光電流)は、RFアンプ21に供給される。
【0130】
RFアンプ21では入力された検出情報に対して電流−電圧変換、増幅、マトリクス演算等を行い、再生情報としての再生RF信号、トラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FE、グルーブ情報(ディスク90にトラックのウォブリングにより記録されているADIP情報)等を抽出する。
【0131】
現行のMDシステムのディスクを再生するときには、RFアンプで得られた再生RF信号は、EFM復調部24およびACIRCデコーダ25で処理される。すなわち再生RF信号は、EFM復調部24で2値化されてEFM信号列とされた後、EFM復調され、更にACIRCデコーダ25で誤り訂正およびデインターリーブ処理される。すなわちこの時点でATRAC圧縮データの状態となる。
【0132】
そして現行のMDシステムのディスクの再生時には、セレクタ26はB接点側が選択されており、その復調されたATRAC圧縮データがディスク90からの再生データとして出力される。
【0133】
一方、次世代MD1または次世代MD2のディスクを再生するときには、RFアンプで得られた再生RF信号は、RLL(1−7)PP復調部22およびRS−LDCデコーダ23で処理される。すなわち再生RF信号は、RLL(1−7)PP復調部22において、PR(1,2,1)MLまたはPR(1,−1)MLおよびビタビ復号を用いたデータ検出によりRLL(1−7)符号列としての再生データを得、このRLL(1−7)符号列に対してRLL(1−7)復調処理が行われる。そして更にRS−LDCデコーダ23で誤り訂正およびデインターリーブ処理される。
【0134】
そして次世代MD1または次世代MD2のディスクの再生時には、セレクタ26はA接点側が選択されており、その復調されたデータがディスク90からの再生データとして出力される。
【0135】
RFアンプ21から出力されるトラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FEはサーボ回路27に供給され、グルーブ情報はADIP復調部30に供給される。
【0136】
ADIP復調部30は、グルーブ情報に対してバンドパスフィルタにより帯域制限してウォブル成分を抽出した後、FM復調、バイフェーズ復調を行ってADIP信号を復調する。復調されたADIP信号は、アドレスデコーダ32およびアドレスデコーダ33に供給される。
【0137】
現行のMDシステムのディスクまたは次世代MD1のシステムのディスクでは、図10に示したように、ADIPセクタナンバが8ビットになっている。これに対して、次世代MD2のシステムのディスクでは、図12に示したように、ADIPセクタナンバが4ビットになっている。アドレスデコーダ32は、現行のMDまたは次世代MD1のADIPアドレスをデコードする。アドレスデコーダ33は、次世代MD2のアドレスをデコードする。
【0138】
アドレスデコーダ32および33でデコードされたADIPアドレスは、ドライブコントローラ31に供給される。ドライブコントローラ31ではADIPアドレスに基づいて、所要の制御処理を実行する。またグルーブ情報はスピンドルサーボ制御のためにサーボ回路27に供給される。
【0139】
サーボ回路27は、例えばグルーブ情報に対して再生クロック(デコード時のPLL系クロック)との位相誤差を積分して得られる誤差信号に基づき、CLVまたはCAVサーボ制御のためのスピンドルエラー信号を生成する。
【0140】
またサーボ回路27は、スピンドルエラー信号や、RFアンプ21から供給されたトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号、あるいはドライブコントローラ31からのトラックジャンプ指令、アクセス指令等に基づいて各種サーボ制御信号(トラッキング制御信号、フォーカス制御信号、スレッド制御信号、スピンドル制御信号等)を生成し、モータドライバ28に対して出力する。すなわち上記サーボエラー信号や指令に対して位相補償処理、ゲイン処理、目標値設定処理等の必要処理を行って各種サーボ制御信号を生成する。
【0141】
モータドライバ28では、サーボ回路27から供給されたサーボ制御信号に基づいて所要のサーボドライブ信号を生成する。ここでのサーボドライブ信号としては、二軸機構を駆動する二軸ドライブ信号(フォーカス方向、トラッキング方向の2種)、スレッド機構を駆動するスレッドモータ駆動信号、スピンドルモータ29を駆動するスピンドルモータ駆動信号となる。このようなサーボドライブ信号により、ディスク90に対するフォーカス制御、トラッキング制御、およびスピンドルモータ29に対するCLVまたはCAV制御が行われることになる。
【0142】
現行のMDシステムのディスクでオーディオデータを記録するときには、セレクタ16がB接点に接続され、したがってACIRCエンコーダ14およびEFM変調部15が機能することになる。この場合、オーディオ処理部10からの圧縮データはACIRCエンコーダ14でインターリーブおよびエラー訂正コード付加が行われた後、EFM変調部15でEFM変調が行われる。
【0143】
そしてEFM変調データがセレクタ16を介して磁気ヘッドドライバ17に供給され、磁気ヘッド18がディスク90に対してEFM変調データに基づいた磁界印加を行うことでオーディオトラックの記録が行われる。
【0144】
次世代MD1または次世代MD2のディスクにデータを記録するときには、セレクタ16がA接点に接続され、したがってRS−LDCエンコーダ12およびRLL(1−7)PP変調部13が機能することになる。この場合、メモリ転送コントローラ3からの高密度データはRS−LDCエンコーダ12でインターリーブおよびRS−LDC方式のエラー訂正コード付加が行われた後、RLL(1−7)PP変調部13でRLL(1−7)変調が行われる。
【0145】
そしてRLL(1−7)符号列としての記録データがセレクタ16を介して磁気ヘッドドライバ17に供給され、磁気ヘッド18がディスク90に対して変調データに基づいた磁界印加を行うことでデータトラックの記録が行われる。
【0146】
レーザドライバ/APC20は、上記のような再生時および記録時においてレーザダイオードにレーザ発光動作を実行させるが、いわゆるAPC(Automatic Lazer Power Control)動作も行う。
【0147】
すなわち、図示していないが、光学ヘッド19内にはレーザパワーモニタ用のディテクタが設けられ、そのモニタ信号がレーザドライバ/APC20にフィードバックされる。レーザドライバ/APC20は、モニタ信号として得られる現在のレーザパワーを、設定されているレーザパワーと比較して、その誤差分をレーザ駆動信号に反映させることで、レーザダイオードから出力されるレーザパワーが、設定値で安定するように制御している。
【0148】
なお、レーザパワーとしては、再生レーザパワー、記録レーザパワーとしての値がドライブコントローラ31によって、レーザドライバ/APC20内部のレジスタにセットされる。
【0149】
ドライブコントローラ31は、システムコントローラ9からの指示に基づいて、以上の各動作(アクセス、各種サーボ、データ書込、データ読出の各動作)が実行されるように制御を行う。
【0150】
なお、図18において一点鎖線で囲ったA部、B部は、例えば1チップの回路部として構成できる。
【0151】
5.次世代MD1および次世代MD2によるディスクの初期化処理について
次世代MD1および次世代MD2によるディスクには、上述したように、FAT外にUID(ユニークID)が記録され、この記録されたUIDを用いてセキュリティ管理がなされる。次世代MD1および次世代MD2に対応したディスクは、原則的には、ディスク上の所定位置にUIDが予め記録されて出荷される。次世代MD1に対応したディスクでは、UIDが例えばリードイン領域に予め記録される。この場合、UIDが予め記録される位置は、リードイン領域に限られず、例えば、ディスクの初期化後にUIDが書き込まれる位置が固定的であれば、その位置に予め記録しておくこともできる。次世代MD2および次世代MD1.5に対応したディスクでは、上述したBCAにUIDが予め記録される。
【0152】
一方、次世代MD1によるディスクは、現行のMDシステムによるディスクを用いることが可能とされている。そのため、UIDが記録されずに既に出回っている、多数の現行のMDシステムによるディスクが次世代MD1のディスクとして使用されることになる。
【0153】
そこで、このような、UIDが記録されずに出回ってしまった現行のMDシステムによるディスクに対しては、規格にて守られたエリアを設け、当該ディスクの初期化時にそのエリアにディスクドライブ装置1において乱数信号を記録し、これを当該ディスクのUIDとして用いる。また、ユーザがこのUIDが記録されたエリアにアクセスすることは、規格により禁止する。なお、UIDは、乱数信号に限定されない。例えば、メーカーコード、機器コード、機器シリアル番号および乱数を組み合わせて、UIDとして用いることができる。さらに、メーカーコード、機器コードおよび機器シリアル番号の何れかまたは複数と、乱数とを組み合わせて、UIDとして用いることもできる。
【0154】
図19は、次世代MD1によるディスクの一例の初期化処理を示すフローチャートである。最初のステップS100で、ディスク上の所定位置がアクセスされ、UIDが記録されているかどうかが確認される。UIDが記録されていると判断されれば、そのUIDが読み出され、例えば補助メモリ5に一時的に記憶される。
【0155】
ステップS100でアクセスされる位置は、例えばリードイン領域のような、次世代MD1システムによるフォーマットのFAT領域外である。当該ディスク90が、例えば過去に初期化されたことがあるディスクのように、既にDDTが設けられていれば、その領域をアクセスするようにしてもよい。なお、このステップS100の処理は、省略することが可能である。
【0156】
次に、ステップS101で、U−TOCがEFM変調により記録される。このとき、U−TOCに対して、アラートトラックと、上述の図2におけるDDT以降のトラック、すなわち1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域とを確保する情報が書き込まれる。次のステップS102で、ステップS101でU−TOCにより確保された領域に対して、アラートトラックがEFM変調により記録される。そして、ステップS103で、DDTが1−7pp変調により記録される。
【0157】
ステップS104では、UIDがFAT外の領域、例えばDDT内に記録される。上述のステップS100で、UIDがディスク上の所定位置から読み出され補助メモリ5に記憶されている場合、そのUIDが記録される。また、上述のステップS100で、ディスク上の所定位置にUIDが記録されていないと判断されていた場合、または、上述のステップS100が省略された場合には、乱数信号に基づきUIDが生成され、この生成されたUIDが記録される。UIDの生成は、例えばシステムコントローラ9によりなされ、生成されたUIDがメモリ転送コントローラ3を介してメディアドライブ2に供給され、ディスク90に記録される。
【0158】
次に、ステップS105で、FATなどのデータが、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域に対して記録される。すなわち、UIDの記録される領域は、FAT外の領域になる。また、上述したように、次世代MD1においては、FATで管理されるべきレコーダブル領域の初期化は、必ずしも必要ではない。
【0159】
図20は、次世代MD2および次世代MD1.5によるディスクの一例の初期化処理を示すフローチャートである。最初のステップS110でディスク上のBCAに相当する領域がアクセスされ、UIDが記録されているかどうかが確認される。UIDが記録されていると判断されれば、そのUIDが読み出され、例えば補助メモリ5に一時的に記憶される。なお、UIDの記録位置は、フォーマット上で固定的に決められているので、ディスク上の他の管理情報を参照することなく、直接的にアクセス可能とされる。これは、上述の図19を用いて説明した処理にも適用することができる。
【0160】
次のステップS111で、DDTが1−7pp変調で記録される。次に、ステップS112で、UIDがFAT外の領域、例えばDDTに記録される。このとき記録されるUIDは、上述のステップS110でディスク上の所定位置から読み出され補助メモリ5に記憶されたUIDが用いられる。ここで、上述のステップS110で、ディスク上の所定位置にUIDが記録されていないと判断されていた場合には、乱数信号に基づきUIDが生成され、この生成されたUIDが記録される。UIDの生成は、例えばシステムコントローラ9によりなされ、生成されたUIDがメモリ転送コントローラ3を介してメディアドライブ2に供給され、ディスク90に記録される。
【0161】
そして、ステップS113で、FATなどが記録される。すなわち、UIDの記録される領域は、FAT外の領域になる。また、上述したように、次世代MD2においては、FATで管理されるべきレコーダブル領域の初期化は、行われない。
【0162】
6.音楽データの第1の管理方式について
前述したように、この発明が適用された次世代MD1および次世代MD2のシステムでは、FATシステムでデータが管理される。また、記録されるオーディオデータは、所望の圧縮方式で圧縮され、著作者の権利の保護のために、暗号化される。オーディオデータの圧縮方式としては、例えば、ATRAC3、ATRAC5等を用いることが考えられている。勿論、MP3(MPEG1 Audio Layer−3 )やAAC(MPEG2 Advanced Audio Coding )等、それ以外の圧縮方式を用いることも可能である。また、オーディオデータばかりでなく、静止画データや動画データを扱うことも可能である。勿論、FATシステムを使っているので、汎用のデータの記録再生を行うこともできる。更に、コンピュータが読み取り可能でかつ実行可能な命令をディスク上に符号化することもでき、従って、次世代MD1または次世代MD2は、実行可能ファイルを含むこともできることになる。
【0163】
このような次世代MD1および次世代MD2の仕様のディスクにオーディオデータを記録再生するときの管理方式について説明する。
【0164】
次世代MD1のシステムや次世代MD2のシステムでは、長時間で高音質の音楽データが再生できるようにしたことから、1枚のディスクで管理される楽曲の数も、膨大になっている。また、FATシステムを使って管理することで、コンピュータとの親和性が図られている。このことは、本願発明者の認識によれば、使い勝手の向上が図れるというメリットがある反面、音楽データが違法にコピーされてしまい、著作権者の保護が図られなくなる可能性がある。この発明が適用された管理システムでは、このような点に配慮が配られている。
【0165】
図21は、オーディオデータの管理方式の第1の例である。図21に示すように、第1の例における管理方式では、ディスク上には、トラックインデックスファイルと、オーディオデータファイルとが生成される。トラックインデックスファイルおよびオーディオデータファイルは、FATシステムで管理されるファイルである。
【0166】
オーディオデータファイルは、図22に示すように、複数の音楽データが1つのファイルとして納められたものであり、FATシステムでオーディオデータファイルを見ると、巨大なファイルに見える。オーディオデータファイルは、その内部がパーツとして区切られ、オーディオデータは、パーツの集合として扱われる。
【0167】
トラックインデックスファイルは、オーディオデータファイルに納められた音楽データを管理するための各種の情報が記述されたファイルである。トラックインデックスファイルは、図23に示すように、プレイオーダテーブルと、プログラムドプレイオーダテーブルと、グループインフォメーションテーブルと、トラックインフォメーションテーブルと、パーツインフォメーションテーブルと、ネームテーブルとからなる。
【0168】
プレイオーダテーブルは、デフォルトで定義された再生順序を示すテーブルである。プレイオーダテーブルは、図24に示すように、各トラックナンバ(曲番)についてのトラックインフォメーションテーブルのトラックデスクリプタ(図27)へのリンク先を示す情報TINF1、TINF2、…が格納されている。トラックナンバは、例えば「1」から始まる連続したナンバである。
【0169】
プログラムドプレイオーダテーブルは、再生手順を各ユーザが定義したテーブルである。プログラムドプレイオーダテーブルには、図25に示すように、各トラックナンバについてのトラックデスクリプタへのリンク先の情報トラック情報PINF1、PINF2、…が記述されている。
【0170】
グループインフォメーションテーブルには、図26に示すように、グループに関する情報が記述されている。グループは、連続したトラックナンバを持つ1つ以上のトラックの集合、または連続したプログラムドトラックナンバを持つ1つ以上のトラックの集合である。グループインフォメーションテーブルは、図26Aに示すように、各グループのグループデスクリプタで記述されている。グループデスクリプタには、図26Bに示すように、そのグループが開始されるトラックナンバと、終了トラックのナンバと、グループネームと、フラグが記述される。
【0171】
トラックインフォメーションテーブルは、図27に示すように、各曲に関する情報が記述される。トラックインフォメーションテーブルは、図27Aに示すように、各トラック毎(各曲毎)のトラックデスクリプタからなる。各トラックデスクリプタには、図27Bに示すように、符号化方式、著作権管理情報、コンテンツの復号鍵情報、その楽曲が開始するエントリとなるパーツナンバへのポインタ情報、アーチストネーム、タイトルネーム、元曲順情報、録音時間情報等が記述されている。アーチストネーム、タイトルネームは、ネームそのものではなく、ネームテーブルへのポインタ情報が記述されている。符号化方式は、コーデックの方式を示すもので、復号情報となる。
【0172】
パーツインフォメーションテーブルは、図28に示すように、パーツナンバから実際の楽曲の位置をアクセスするポインタが記述されている。パーツインフォメーションテーブルは、図28Aに示すように、各パーツ毎のパーツデスクリプタからなる。パーツとは、1トラック(楽曲)の全部、または1トラックを分割した各パーツである。図28Bは、パーツインフォメーションテーブル内のパーツデスクリプタのエントリを示している。各パーツデスクリプタは、図28Bに示すように、オーディオデータファイル上のそのパーツの先頭のアドレスと、そのパーツの終了のアドレスと、そのパーツに続くパーツへのリンク先とが記述される。
【0173】
なお、パーツナンバのポインタ情報、ネームテーブルのポインタ情報、オーディオファイルの位置を示すポインタ情報として用いるアドレスとしては、ファイルのバイトオフセット、パーツデスクリプタナンバ、FATのクラスタナンバ、記録媒体として用いられるディスクの物理アドレス等を用いることができる。ファイルのバイトオフセットは、この発明において実施されうるオフセット方法のうちの特定の実施態様である。ここで、パーツポインタ情報は、オーディオファイルの開始からのオフセット値であり、その値は所定の単位(例えば、バイト、ビット、nビットのブロック)で表される。
【0174】
ネームテーブルは、ネームの実体となる文字を表すためのテーブルである。ネームテーブルは、図29Aに示すように、複数のネームスロットからなる。各ネームスロットは、ネームを示す各ポインタからリンクされて呼び出される。ネームを呼び出すポインタは、トラックインフォメーションテーブルのアーチストネームやタイトルネーム、グループインフォメーションテーブルのグループネーム等がある。また、各ネームスロットは、複数から呼び出されることが可能である。各ネームスロットは、図29Bに示すように、文字情報であるネームデータと、この文字情報の属性であるネームタイプと、リンク先とからなる。1つのネームスロットで収まらないような長いネームは、複数のネームスロットに分割して記述することが可能である。そして、1つのネームスロットで収まらない場合には、それに続くネームが記述されたネームスロットへのリンク先が記述される。
【0175】
この発明が適用されたシステムにおけるオーディオデータの管理方式の第1の例では、図30に示すように、プレイオーダテーブル(図24)により、再生するトラックナンバが指定されると、トラックインフォメーションテーブルのリンク先のトラックデスクリプタ(図27)が読み出され、このトラックデスクリプタから、符号化方式、著作権管理情報、コンテンツの復号鍵情報、その楽曲が開始するパーツナンバへのポインタ情報、アーチストネームおよびタイトルネームのポインタ、元曲順情報、録音時間情報等が読み出される。
【0176】
トラックインフォメーションテーブルから読み出されたパーツナンバの情報から、パーツインフォメーションテーブル(図28)にリンクされ、このパーツインフォメーションテーブルから、そのトラック(楽曲)の開始位置に対応するパーツの位置のオーディオデータファイルがアクセスされる。オーディオデータファイルのパーツインフォメーションテーブルで指定される位置のパーツのデータがアクセスされたら、その位置から、オーディオデータの再生が開始される。このとき、トラックインフォメーションテーブルのトラックデスクリプタから読み出された符号化方式に基づいて復号化が行われる。オーディオデータが暗号化されている場合には、トラックデスクリプタから読み出された鍵情報が使われる。
【0177】
そのパーツに続くパーツがある場合には、そのパーツのリンク先がパーツデスクリプタが記述されており、このリンク先にしたがって、パーツデスクリプタが順に読み出される。このパーツデスクリプタのリンク先を辿っていき、オーディオディデータファイル上で、そのパーツデスクリプタで指定される位置にあるパーツのオーディオデータを再生していくことで、所望のトラック(楽曲)のオーディオディオデータが再生できる。
【0178】
また、トラックインフォメーションテーブルから読み出されたアーチストネームやタイトルネームのポインタにより指し示される位置(ネームポインタ情報)にあるネームテーブルのネームスロット(図29)が呼び出され、その位置にあるネームスロットから、ネームデータが読み出される。ネームポインタ情報は、例えば、ネームスロットナンバ、FATシステムにおけるクラスタナンバ、または記録媒体の物理アドレスであってもよい。
【0179】
なお、前述したように、ネームテーブルのネームスロットは、複数参照が可能である。例えば、同一のアーチストの楽曲を複数記録するような場合がある。この場合、図31に示すように、複数のトラックインフォメーションテーブルからアーチストネームとして同一のネームテーブルが参照される。図31の例では、トラックデスクリプタ「1」とトラックデスクリプタ「2」とトラックデスクリプタ「4」は、全て同一のアーチスト「DEF BAND」の楽曲であり、アーチストネームとして同一のネームスロットを参照している。また、トラックデスクリプタ「3」とトラックデスクリプタ「5」とトラックデスクリプタ「6」は、全て同位置のアーチスト「GHQ GIRLS」の楽曲であり、アーチストネームとして同一のネームスロットを参照している。このように、ネームテーブルのネームスロットを、複数のポインタから参照可能にしておくと、ネームテーブルの容量を節約できる。
【0180】
これとともに、例えば、同一のアーチストネームの情報を表示するのに、こののネームテーブルへのリンクが利用できる。例えば、アーチスト名が「DEF BAND」の楽曲の一覧を表示したいような場合には、「DEF BAND」のネームスロットのアドレスを参照しているトラックデスクリプタが辿られる。この例では、「DEF BAND」のネームスロットのアドレスを参照しているトラックデスクリプタを辿ることにより、トラックデスクリプタ「1」とトラックデスクリプタ「2」とトラックデスクリプタ「4」の情報が得られる。これにより、このディスクに納められている楽曲の中で、アーチスト名が「DEF BAND」の楽曲の一覧が表示できる。なお、ネームテーブルは複数参照が可能とされるため、ネームテーブルからトラックインフォメーションテーブルを逆に辿るリンクは設けられていない。
【0181】
新たにオーディオデータを記録する場合には、FATテーブルにより、所望の数のレコーディングブロック以上、例えば、4つのレコーディングブロック以上連続した未使用領域が用意される。所望のレコーディングブロック以上連続した領域を確保するのは、なるべく連続した領域にオーディオデータを記録した方がアクセスに無駄がないためである。
【0182】
オーディオデータを記録するための領域が用意されたら、新しいトラックデスクリプターがトラックインフォメーションテーブル上に1つ割り当てられ、このオーディオディデータを暗号化するためのコンテンツの鍵が生成される。そして、入力されたオーディオデータが暗号化され、用意された未使用領域に、暗号化されたオーディオデータが記録される。このオーディオデータが記録された領域がFATのファイルシステム上でオーディオデータファイルの最後尾に連結される。
【0183】
新たなオーディオデータがオーディオデータファイルに連結されたのに伴い、この連結された位置の情報が作成され、新たに確保されたパーツデスクリプションに、新たに作成されたオーディオデータの位置情報が記録される。そして、新たに確保されたトラックデスクリプターに、鍵情報やパーツナンバが記述される。更に、必要に応じて、ネームスロットにアーチストネームやタイトルネーム等が記述され、トラックデスクリプターに、そのネームスロットにアーチストネームやタイトルネームにリンクするポインタが記述される。そして、プレイオーダーテーブルに、そのトラックデスクリプターのナンバが登録される。また著作権管理情報の更新がなされる。
【0184】
オーディオデータを再生する場合には、プレイオーダーテーブルから、指定されたトラックナンバに対応する情報が求められ、再生すべきトラックのトラックデスクリプタが取得される。
【0185】
トラックインフォメーションテーブルのそのトラックデスクリプタから、鍵情報が取得され、また、エントリのデータが格納されている領域を示すパーツデスクリプションが取得される。そのパーツデスクリプションから、所望のオーディオデータが格納されているパーツの先頭のオーディオデータファイル上の位置が取得され、その位置に格納されているデータが取り出される。そして、その位置から再生されるデータに対して、取得された鍵情報を用いて暗号が解読され、オーディオデータの再生がなされる。パーツデスクリプションにリンクがある場合には、指定されてパーツにリンクされて、同様の手順が繰り返される。
【0186】
プレイオーダテーブル上で、トラックナンバ「n」であった楽曲を、トラックナンバ「n+m」に変更する場合には、プレイオーダテーブル内のトラック情報TINFnから、そのトラックの情報が記述されているトラックデスクリプターDnが得られる。トラック情報TINFn+1からTINFn+mの値(トラックデスクリプターナンバ)が全て1つ前に移動される。そして、トラック情報TINFn+mに、トラックデスクリプターDnのナンバが格納される。
【0187】
プレイオーダテーブルで、トラックナンバ「n」であった楽曲を削除する場合には、プレイオーダテーブル内のトラック情報TINFnから、そのトラック の情報が記述されているトラックデスクリプタDnが取得される。プレイオーダテーブル内のトラック情報のエントリ、TINFn+1から後の有効なトラックデスクリプタナンバが全て1つ前に移動される。更に、トラック「n」は、消されるべきものなので、トラック「n」の後の全てのトラック情報のエントリが、プレイオーダテーブル内で1つ前に移動される。前記トラックの消去に伴って取得されたトラックデスクリプタDnから、トラックインフォメーションテーブルで、そのトラックに対応する符号化方式、復号鍵が取得れるとともに、先頭の音楽データが格納されている領域を示すパーツデスクリプタPnのナンバが取得される。パーツデスクリプタPnによって指定された範囲のオーディオブロックが、FATのファイルシステム上で、オーディオデータファイルから切り離される。更に、このトラックインフォメーションテーブルのそのトラックのトラックデスクリプタDnが消去される。そして、パーツデスクリプタがパーツインフォメーションテーブルから消去され、ファイルシステムでそのパーツデスクリプションが解放される。
【0188】
例えば、図32Aにおいて、パーツA、パーツB、パーツCはそれまで連結しており、その中から、パーツBを削除するものとする。パーツAパーツBは同じオーディオブロックを(かつ同じFATクラスタを)共有しており、FATチェーンが連続しているとする。パーツCは、オーディオデータファイルの中ではパーツBの直後に位置しているが、FATテーブルを調べると、実際には離れた位置にあるとする。
【0189】
この例の場合には、図32Bに示すように、パーツBを削除したときに、実際にFATチェーンから外す(空き領域に戻す)ことができるのは、現行のパーツとクラスタを共有していない、2つのFATクラスタである。すなわち、オーディオデータファイルとしては4オーディオブロックに短縮される。パーツCおよびそれ以降にあるパーツに記録されているオーディオブロックのナンバは、これに伴い全て4だけ小さくなる。
【0190】
なお、削除は、1トラック全てではなく、そのトラックの一部に対して行うことができる。トラックの一部が削除された場合には、残りのトラックの情報は、トラックインフォメーションテーブルでそのパーツデスクリプタPnから取得されたそのトラックに対応する符号化方式、復号鍵を使って復号することが可能である。
【0191】
プレイオーダテーブル上のトラックnとトラックn+1とを連結する場合には、プレイオーダテーブル内のトラック情報TINFnから、そのトラックの情報が記述されているトラックデスクリプタナンバDnが取得される。また、プレイオーダテーブル内のトラック情報TINFn+1から、そのトラックの情報が記述されているトラックデスクリプタナンバDmが取得される。プレイオーダテーブル内のTINFn+1から後の有効なTINFの値(トラックデスクリプタナンバ)が全て1つ前のTINFに移動される。プログラムドプレイオーダテーブルを検索して、トラックデスクリプタDmを参照しているトラックが全て削除される。新たな暗号化鍵を発生させ、トラックデスクリプタDnから、パーツデスクリプタのリストが取り出され、そのパーツデスクリプタのリストの最後尾に、トラックデスクリプタDmから取り出したパーツデスクリプタのリストが連結される。
【0192】
トラックを連結する場合には、双方のトラックデスクリプタを比較して、著作権管理上問題のないことを確認し、トラックデスクリプタからパーツデスクリプタを得て、双方のトラックを連結した場合にフラグメントに関する規定が満たされるかどうか、FATテーブルで確認する必要がある。また、必要に応じて、ネームテーブルへのポインタの更新を行う必要がある。
【0193】
トラックnを、トラックnとトラックn+1に分割する場合には、プレイオーダテーブル内のTINFnから、そのトラックの情報が記述されているトラックデスクリプタナンバDnが取得される。プレイオーダテーブル内のトラック情報TINFn+1から、そのトラックの情報が記述されているトラックデスクリプタナンバDm取得される。そして、プレイオーダテーブル内のTINFn+1から後の有効なトラック情報TINFの値(トラックデスクリプタナンバ)が、全て1つ後に移動される。トラックデスクリプタDnについて、新しい鍵が生成される。トラックデスクリプタDnから、パーツデスクリプタのリストが取り出される。新たなパーツデスクリプタが割り当てられ、分割前のパーツデスクリプタの内容がそこにコピーされる。分割点の含まれるパーツデスクリプタが、分割点の直前までに短縮される。また分割点以降のパーツデスクリプタのリンクが打ち切られる。新たなパーツデスクリプタが分割点の直後に設定される。
【0194】
7.音楽データの管理方式の第2の例
次に、オーディオデータの管理方式の第2の例について説明する。図33は、オーディオデータの管理方式の第2の例である。図33に示すように、第2の例における管理方式では、ディスク上には、トラックインデックスファイルと、複数のオーディオデータファイルとが生成される。トラックインデックスファイルおよび複数のオーディオデータファイルは、FATシステムで管理されるファイルである。
【0195】
オーディオデータファイルは、図34に示すように、原則的には1曲が1ファイルの音楽データが納められたものである。このオーディオデータファイルには、ヘッダが設けられている。ヘッダには、タイトルと、復号鍵情報と、著作権管理情報とが記録されるとともに、インデックス情報が設けられる。インデックスは、1つのトラックの楽曲を複数に分割するものである。ヘッダには、インデックスにより分割された各トラックの位置がインデックスナンバに対応して記録される。インデックスは、例えば、255箇設定できる。
【0196】
トラックインデックスファイルは、オーディオデータファイルに納められた音楽データを管理するための各種の情報が記述されたファイルである。トラックインデックスファイルは、図35に示すように、プレイオーダテーブルと、プログラムドプレイオーダテーブルと、グループインフォメーションテーブルと、トラックインフォメーションテーブルと、ネームテーブルとからなる。
【0197】
プレイオーダテーブルは、デフォルトで定義された再生順序を示すテーブルである。プレイオーダテーブルは、図36に示すように、各トラックナンバ(曲番)についてのトラックインフォメーションテーブルのトラックデスクリプタ(図39)へのリンク先を示す情報TINF1、TINF2、…が格納されている。トラックナンバは、例えば「1」から始まる連続したナンバである。
【0198】
プログラムドプレイオーダテーブルは、再生手順を各ユーザが定義したテーブルである。プログラムドプレイオーダテーブルには、図37に示すように、各トラックナンバについてのトラックデスクリプタへのリンク先の情報トラック情報PINF1、PINF2、…が記述されている。
【0199】
グループインフォメーションテーブルには、図38に示すように、グループに関する情報が記述されている。グループは、連続したトラックナンバを持つ1つ以上のトラックの集合、または連続したプログラムドトラックナンバを持つ1つ以上のトラックの集合である。グループインフォメーションテーブルは、図38Aに示すように、各グループのグループデスクリプタで記述されている。グループデスクリプタには、図38Bに示すように、そのグループが開始されるトラックナンバと、終了トラックのナンバと、グループネームと、フラグが記述される。
【0200】
トラックインフォメーションテーブルは、図39に示すように、各曲に関する情報が記述される。トラックインフォメーションテーブルは、図39Aに示すように、各トラック毎(各曲毎)のトラックデスクリプタからなる。各トラックデスクリプタには、図39Bに示すように、その楽曲が納められているオーディオデータファイルのファイルのポインタ、インデックスナンバ、アーチストネーム、タイトルネーム、元曲順情報、録音時間情報等が記述されている。アーチストネーム、タイトルネームは、ネームそのものではなく、ネームテーブルへのポインタが記述されている。
【0201】
ネームテーブルは、ネームの実体となる文字を表すためのテーブルである。ネームテーブルは、図40Aに示すように、複数のネームスロットからなる。各ネームスロットは、ネームを示す各ポインタからリンクされて呼び出される。ネームを呼び出すポインタは、トラックインフォメーションテーブルのアーチストネームやタイトルネーム、グループインフォメーションテーブルのグループネーム等がある。また、各ネームスロットは、複数から呼び出されることが可能である。各ネームスロットは、図40Bに示すように、ネームデータと、ネームタイプと、リンク先とからなる。1つのネームスロットで収まらないような長いネームは、複数のネームスロットに分割して記述することが可能である。そして、1つのネームスロットで収まらない場合には、それに続くネームが記述されたネームスロットへのリンク先が記述される。
【0202】
オーディオデータの管理方式の第2の例では、図41に示すように、プレイオーダテーブル(図36)により、再生するトラックナンバが指定されると、トラックインフォメーションテーブルのリンク先のトラックデスクリプタ(図39)が読み出され、このトラックデスクリプタから、その楽曲のファイルポインタおよびインデックスナンバ、アーチストネームおよびタイトルネームのポインタ、元曲順情報、録音時間情報等が読み出される。
【0203】
その楽曲のファイルのポインタから、そのオーディオデータファイルがアクセスされ、そのオーディオデータファイルのヘッダの情報が読み取られる。オーディオデータが暗号化されている場合には、ヘッダから読み出された鍵情報が使われる。そして、そのオーディオデータファイルが再生される。このとき、もし、インデックスナンバが指定されている場合には、ヘッダの情報から、指定されたインデックスナンバの位置が検出され、そのインデックスナンバの位置から、再生が開始される。
【0204】
また、トラックインフォメーションテーブルから読み出されたアーチストネームやタイトルネームのポインタにより指し示される位置にあるネームテーブルのネームスロットが呼び出され、その位置にあるネームスロットから、ネームデータが読み出される。
【0205】
新たにオーディオデータを記録する場合には、FATテーブルにより、所望の数のレコーディングブロック以上、例えば、4つのレコーディングブロック以上連続した未使用領域が用意される。
【0206】
オーディオデータを記録するための領域が用意されたら、トラックインフォメーションテーブルに新しいトラックデスクリプタが1つ割り当てられ、このオーディオディデータを暗号化するためのコンテンツ鍵が生成される。そして、入力されたオーディオデータが暗号化され、オーディオデータファイルが生成される。
【0207】
新たに確保されたトラックデスクリプタに、新たに生成されたオーディオデータファイルのファイルポインタや、鍵情報が記述される。更に、必要に応じて、ネームスロットにアーチストネームやタイトルネーム等が記述され、トラックデスクリプターに、そのネームスロットにアーチストネームやタイトルネームにリンクするポインタが記述される。そして、プレイオーダーテーブルに、そのトラックデスクリプターのナンバが登録される。また著作権管理情報の更新がなされる。
【0208】
オーディオデータを再生する場合には、プレイオーダーテーブルから、指定されたトラックナンバに対応する情報が求められ、トラックインフォメーションテーブルの再生すべきトラックのトラックデスクリプタが取得される。
【0209】
そのトラックデスクリプタから、またその音楽データが格納されているオーディオデータのファイルポインタおよびインデックスナンバが取得される。そして、そのオーディオデータファイルがアクセスされ、ファイルのヘッダから、鍵情報が取得される。そして、そのオーディオデータファイルのデータに対して、取得された鍵情報を用いて暗号が解読され、オーディオデータの再生がなされる。インデックスナンバが指定されている場合には、指定されたインデックスナンバの位置から、再生が開始される。
【0210】
トラックnを、トラックnとトラックn+1に分割する場合には、プレイオーダテーブル内のTINFnから、そのトラックの情報が記述されているトラックデスクリプタナンバDnが取得される。プレイオーダテーブル内のトラック情報TINFn+1から、そのトラックの情報が記述されているトラックデスクリプタナンバDmが取得される。そして、プレイオーダテーブル内のTINFn+1から後の有効なトラック情報TINFの値(トラックデスクリプタナンバ)が、全て1つ後に移動される。
【0211】
図42に示すように、インデックスを使うことにより、1つのファイルのデータは、複数のインデックス領域に分けられる。このインデックスナンバとインデックス領域の位置がそのオーディオトラックファイルのヘッダに記録される。トラックデスクリプタDnに、オーディオデータのファイルポインタと、インデックスナンバが記述される。トラックデスクリプタDmに、オーディオデータのファイルポインタと、インデックスナンバが記述される。これにより、オーディオファイルの1つのトラックの楽曲M1は、見かけ上、2つのトラックの楽曲M11とM12とに分割される。
【0212】
プレイオーダテーブル上のトラックnとトラックn+1とを連結する場合には、プレイオーダテーブル内のトラック情報TINFnから、そのトラックの情報が記述されているトラックデスクリプタナンバDnが取得される。また、プレイオーダテーブル内のトラック情報TINFn+1から、そのトラックの情報が記述されているトラックデスクリプタナンバDmが取得される。プレイオーダテーブル内のTINFn+1から後の有効なTINFの値(トラックデスクリプタナンバ)が全て1つ前に移動される。
【0213】
ここで、トラックnとトラックn+1とが同一のオーディオデータファイル内にあり、インデックスで分割されている場合には、図43に示すように、ヘッダのインデックス情報を削除することで、連結が可能である。これにより、2つのトラックの楽曲M21とM22は、1つのトラックの楽曲M23に連結される。
【0214】
トラックnが1つのオーディオデータファイルをインデックスで分割した後半であり、トラックn+1が別のオーディオデータファイルの先頭にある場合には、図44に示すように、インデックスで分割されていたトラックnのデータにヘッダが付加され、楽曲M32のオーディオデータファイルが生成される。これに、トラックn+1のオーディオデータファイルのヘッダが取り除かれ、この楽曲M41のトラックn+1のオーディオデータが連結される。これにより、2つのトラックの楽曲M32とM41は、1つのトラックの楽曲M51として連結される。
【0215】
以上の処理を実現するために、インデックスで分割されていたトラックに対して、ヘッダを付加し、別の暗号鍵で暗号化して、インデックスによるオーディオディデータを1つのオーディオデータファイルに変換する機能と、オーディオデータファイルのヘッダを除いて、他のオーディオデータファイルに連結する機能が持たされている。
【0216】
8.選曲方法について
次に、この発明の実施の一形態について説明する。この発明では、トラックの配列を2次元的に表示して再生トラック選択の際の操作回数を減らすようにしている。例えば、トラックをドットのシンボルを用いて表現し、このシンボルを表示手段に2次元的に配置する。このシンボルを操作手段で特定していき、所望のトラックに対応するシンボルを選択することで、そのトラックを再生することができるようにする。
【0217】
図45は、ディスクドライブ装置1の一例の外観を概略的に示す。ディスクドライブ装置1の表面側に操作部50と表示部51とが所定に配置される。操作部50は、表面側だけでなく、操作子100のように側面側にさらに配置してもよいし、裏面側にも配置することができる。
【0218】
操作部50において、操作子100は、2方向の回転操作と押圧操作とが可能とされたジョグダイヤルである。操作子101は、集中コントロールキーであって、4方向への押圧と、中央部の押圧の5種類の操作が可能とされている。ここでは、操作子101の4方向への操作方向を図45の表現に倣って上下左右方向として記述する。同様に、操作子の2方向の回転操作を上下方向への回転として記述する。なお、操作子100および101は、何方か一方を設けるようにしてもよい。
【0219】
スイッチ103は、録音開始を指示するスライドスイッチである。キー104は、グループ機能を制御するためのキーである。キー105および106は、それぞれ再生または録音の一時停止および停止を指示する。操作子102は、蓋開閉用のボタンであって、この操作子102を操作してディスクドライブ装置1の蓋を開けて、ディスク90を装置内に装填する。また、ジャック107および108は、それぞれ音声信号入力用、出力用のジャックであって、オーディオ処理部10に接続される。ジャック108にヘッドフォンなどを接続することで、装置内に装填されたディスク90から再生された再生音を聞くことができる。
【0220】
図46は、表示部51の一例の構成を示す。この実施の一形態においては、表示部51は、表示素子としてはLCD(Liquid Crystal Display)が用いられ、セグメント表示部51Aと文字表示部51Bとからなる。セグメント表示部51Aは、複数のアイコンや固定的な文字が配置され、ディスクドライブ装置1の状態や設定などが表示される。ドットマトリクス部51Bは、ドットのON/OFFの組み合わせで文字や記号、図形などを表示することができるようにされている。なお、表示部51の表示素子は、LCDに限定されない。
【0221】
図47は、表示部51のうちドットマトリクス部51Bを抜き出して示し、表示部51に対するこの発明の実施の一形態による一例のトラック表示を示す。この図47Aの例では、ドットマトリクス部51Bは、1文字が5×7ドットで表現され、9文字×3行が表示可能とされている。
【0222】
この発明の実施の一形態では、トラック表示を、図47Aに一例が示されているように、文字表示200とマトリクス表示201とで表現する。図47Bは、マトリクス表示201を抜き出して示す。マトリクス表示201は、1ドットからなるシンボルに1トラックを対応させ、そのシンボルをトラックの配列に対応して2次元的に配置することで、複数のトラックを2次元的に表現する。また、所定数のトラックを単位としてグループを形成し、トラックに対応したドットをグループ毎に2次元的な配置で表示している。さらに、トラック数が1グループのシンボル数で表現可能な数より多く、グループが複数にわたる場合、グループを互いに所定の間隔を空けて表示部51Bに配置している。この例では、1グループが25トラックとされ、5×5ドットで表現されている。また、グループとグループの間は、1ドット分の間隔が設けられている。
【0223】
すなわち、この図47Bの例では、5×5ドットで示されるマトリクスで25トラックが表現され、現在25トラック×2+23トラック=73トラックが存在することが示されている。また、グループ内ではトラック番号の小さい順に上から下へ、さらに左から右へとトラック番号に対応するドットが配置される。さらに、グループ間では、トラック番号の小さい順に左から右へとグループが配置される。例えば、最も左側に配置されるグループの左上隅のドット210が1トラック目を表し、ドット210の直下のドットが2トラック目を表す。ドット210の隣のドット211は、6トラック目を表し、隣のグループの左上隅のドット212は、26トラック目を表す。なお、ドットおよびグループのトラック番号に対する配置は、この例に限定されない。
【0224】
トラック数が多くて、1行では表現しきれない場合は、複数行を用いて表示を行うことができる。図48は、マトリクス表示201が2行目にわたっている例である。トラック番号の大きい行がより下側に配置される。なお、ここでは、1行に4グループ、100トラックまでを表示可能とする。図48の例では、173トラックが存在することが示されている。
【0225】
このような、マトリクス表示201によるトラック表示において、所望の1トラックを選択する方法について説明する。トラックに対応してシンボルとして表示されたドットのうち、特定されたトラックに対応するドットを、異なるシンボル、例えばブリンク(点滅)表示で表示させる。この特定した位置をフォーカスポイントと称する。なお、初期状態では、1トラック目、すなわち、最も左上隅にあるドットが特定されフォーカスポイントとされているものとする。
【0226】
フォーカスポイントは、操作子100や操作子101といった操作手段を所定に操作することで、X方向、Y方向に移動される。ここでは、操作手段として操作子101を用いる例について説明する。操作子101を上下左右方向に操作(押圧)することによって、操作方向に対応した方向にフォーカスポイントがドット単位で移動される。そして、このフォーカスポイントの移動に伴い、特定されるトラックが変更される。操作手段に対して確定操作を行うと、フォーカスポイントのドットが確定され、確定されたドットに対応するトラックの例えば再生が開始される。確定操作は、例えば操作子101を押圧することでなされる。他のキーを操作することで確定操作としてもよい。
【0227】
文字表示200は、例えば現在のフォーカスポイントに対応するトラックのトラック番号が表示される。文字表示200として表示されるトラック番号は、確定操作が行われるまでは例えばブリンク表示とされる。また、図48の例のように、表示が複数行にわたっているときは、例えば、フォーカスポイントのある行は、フォーカスポイントに対応するトラック番号がブリンク表示され、その他の行は、その行の左上隅のドットに対応するトラック番号がブリンクしないで通常に表示される。図48の例では、1行に100トラックが表示可能とされているので、2行目の左上隅のドットに対応するトラック番号は、「101」とされる。
【0228】
なお、表示部51Bに一度で表示可能なトラック数よりも多いトラック数が存在するときは、行をスクロールさせてトラックの表示を行うことができる。例えば表示部51Bが100トラックの表示が可能な行を3行、一度に表示することが可能であるとすれば、操作子101を操作して301トラック目を特定したときに、行が1行分上にスクロールされ、表示部51Bに対して2行目〜4行目が表示される。
【0229】
また、詳細は後述するが、操作部50の所定の操作により、フォーカスポイントをドットマトリクス内ではなく、文字表示200とすることもできる。この場合、現在特定されているトラック情報のうち特定部分を文字表示200として表示させることができる。
【0230】
図49〜図51は、このドットマトリクスによるトラック表示により選曲を行う一例の処理を示すフローチャートである。図49〜図51において、符号「A」、「B」、「C」および「D」は、それぞれ対応する符号に処理が移行することを示す。また、図49〜図51において用いられる変数を、以下のように定義する。
【0231】
先ず、フォーカスポイント(FP)の位置を示す変数として、FL、FX、FYを用いる。
FL:行位置を指定する。
FX:フォーカスポイントの横方向の位置を指定する。
FY:フォーカスポイントの縦方向の位置を指定する。
ここで、第1行目は、FL=0とされる。同様に、行の左上隅にフォーカスポイントがあるとき、FX=0、FY=0である。すなわち、フォーカスポイントが第1行目の左上隅にあれば、フォーカスポイントFPの位置は、FP(FL,FX,FY)=FP(0,0,0)と表される。
【0232】
フォーカスポイントの動作モードを表す変数として、FLGを用いる。FLG=ONで行のスクロールを行う行スクロールモード、FLG=OFFでドット間での移動を行うドットスクロールモードを表す。
【0233】
トラックに関する変数および関数として、f_tno()、TNOおよびT_TNOを用いる。f_tno()は、現在のフォーカスポイントに対応するトラック番号を得るための関数であり、トラック番号TNOは、次の式(1)で求めることができる。
TNO=FL×100+FX×5+FY+1 ・・・(1)
【0234】
T_TNOは、ディスク90に記録されている総トラック数である。T_TNOは、ディスク90がディスクドライブ装置1に装填されたときに、装填されたディスク90が次世代MD1、次世代MD1.5、次世代MD2によるものであればトラックインデックスファイル、現行のMDシステムによるものであればU−TOCを読み込むことで知ることができる。
【0235】
また、以下の説明において、全トラック数が100×M+Nトラックあるものとする。
【0236】
キー104が操作されることで選曲が開始される。最初のステップS201で、現在特定されているトラックに基づきFL、FX、FYが設定され、FLG=ONとされる。ディスク90を装填した直後など、トラックがユーザにより積極的に特定されていない状態であれば、FL=0、FX=0、FY=0となる。また、総トラック数T_TNOに基づきマトリクス表示201が形成され表示されると共に、文字表示200が表示される。そして、処理がステップS202に移行される。
【0237】
ステップS202では、トラック表示がなされ、フォーカスポイントがブリンク表示される。すなわち、ステップS202では、FLが示す行が表示部51Bにおける3行表示の中心行になるようにマトリクス表示201および文字表示200が表示制御されると共に、マトリクス表示201において、現在特定されているトラックに対応するドット、すなわち(FX、FY)で示されるドットがブリンク表示される。
【0238】
処理はステップS203に移行され、FLG=ONであるか否か、すなわち行スクロールモードであるか否かが判断される。先ず、便宜上、FLG=OFFとされドットスクロールモードに設定されている場合について説明する。FLG=OFFであれば、処理はステップS204に移行される。
【0239】
以下、ステップS204、ステップS210、ステップS221およびステップS225で、操作子101(図中ではキーと表記)が下、上、左および右方向に操作されているか否かがそれぞれ判断される。若し、何れの方向にも操作されていないと判断されれば、処理はステップS230に移行され、操作子101が押圧されたか否かが判断される。若し、操作子101が押圧されていないと判断されれば、操作子101に対して何も操作がなされていないので、処理はステップS202に戻される。
【0240】
一方、ステップS230で操作子101が押圧されたと判断されれば、現在のフォーカスポイントFP(FL,FX,FY)に対応するトラックに選択が決定されたとされ、上述した式(1)でトラック番号が求められ、当該トラックが再生される。
【0241】
上述のステップS204において、操作子101が下方向に操作されたと判断されれば、処理はステップS205〜ステップS209に移行される。このステップS205〜ステップS209では、フォーカスポイントを1つだけ下に移動させる、すなわち、FYの値に「1」を加える処理を行う。ステップS205では、FYの値が「5」であるか否かが判断される。若し、FYの値が「5」ではないと判断されれば、ステップS206でFYの値に「1」が加えられ、処理がステップS208に移行される。一方、FYの値が「5」であると判断されれば、ステップS207でFLの値に「1」が加えられると共に、FYの値が「0」とされ、処理がステップS208に移行される。
【0242】
ステップS208では、関数f_tno()により現在のフォーカスポイントに対応するトラック番号TNOが求められ、TNOとトラック総数T_TNOとが比較される。その結果、トラック番号TNOがトラック総数T_TNO以上であると判断されれば、ステップS209でFYおよびFLの値が共に「0」とされ、処理がステップS202に戻される。一方、比較の結果、トラック番号TNOがトラック総数T_TNO未満であると判断されれば、処理はステップS202に戻される。
【0243】
上述のステップS210において、操作子101が上方向に操作されたと判断されれば、処理はステップS211〜ステップS220に移行される。このステップS211〜ステップS220では、フォーカスポイントを1つ上に移動させる、すなわち、FYの値から「1」を減ずる処理を行う。ステップS211では、FYの値が「0」であるか否かが判断される。若し、FYの値が「0」ではないと判断されれば、ステップS212でFYの値から「1」が減ぜられ、処理はステップS202に戻される。一方、ステップS211でFYの値が「0」であると判断されれば、処理がステップS213に移行される。
【0244】
ステップS213では、FLの値が「0」であるか否かが判断される。若し、FLの値が「0」ではないと判断されれば、ステップS214でFLの値から「1」が減ぜられ行が1つ前の行に移行されると共に、FYの値が「5」とされ、処理がステップS202に戻される。一方、ステップS213でFLの値が「0」である、すなわち、フォーカスポイントが最初の行にあると判断されれば、処理はステップS215に移行される。ステップS215では、FYの値が「0」とされる。それと共に、ステップS215では、トラック総数T_TNOを「100」で除した値がFLの値とされる。実際には、トラック総数T_TNOを「100」で除した値の整数部がFLの値とされる。そして、処理がステップS216に移行される。
【0245】
ステップS216では、トラック総数T_TNOを「100」で除したときの余りを「5」で除した値(の整数部)がFXの値を超えるか否かが判断される。若し、越えると判断されれば、処理はステップS202に戻される。一方、越えないと判断されれば、処理はステップS217に移行され、トラック総数T_TNOを「100」で除したときの余りを「5」で除した値(の整数部)とFXの値とが等しいか否かが判断される。若し、等しいと判断されれば、処理はステップS218に移行され、トラック総数T_TNOを「100」で除したときの余りを「5」で除した値の余りがFYの値とされ、処理がステップS202に戻される。
【0246】
一方、ステップS217で、判断の結果等しくない、すなわち、トラック総数T_TNOを「100」で除したときの余りを「5」で除した値(の整数部)がFXの値より小さいと判断されれば、処理はステップS219に移行される。ステップS219では、FLの値が「0」であるか否かが判断される。若し、「0」ではないと判断されれば、ステップS220でFLの値が「1」減ぜられ、処理がステップS202に戻される。一方、FLの値が「0」であると判断されれば、そのまま処理はステップS202に戻される。
【0247】
上述のステップS221において、操作子101が左方向に操作されたと判断されれば、処理はステップS222〜ステップS224に移行される。このステップS222〜ステップS224では、フォーカスポイントを1つ左に移動させる、すなわち、FXの値から「1」を減ずる処理を行う。ステップS222で、FXの値が「0」であるか否かが判断される。若し、「0」であると判断されれば、ステップS223でFLGが「ON」とされ、処理はステップS202に戻される。一方、「0」ではないと判断されれば、ステップS224でFXから「1」が減ぜられ、処理はステップS202に戻される。
【0248】
上述のステップS225において、操作子101が右方向に操作されたと判断されれば、処理はステップS226〜ステップS229に移行される。このステップS226〜ステップS229では、フォーカスポイントを1つ右に移動させる、すなわち、FXの値に「1」を加える処理を行う。ステップS226で、FXの値が「19」であるか否かが判断される。若し、「19」であると判断されれば、ステップS227でFLGが「ON」とされ、処理はステップS202に戻される。一方、「19」ではないと判断されれば、ステップS228でFXの値から「1」が減ぜられ、処理はステップS229に移行される。ステップS229では、関数f_tno()により現在のフォーカスポイントに対応するトラック番号TNOが取得され、それがトラック総数T_TNO以上であるか否かが判断される。若し、トラック総数T_TNO以上であると判断されれば、処理はステップS227に移行される。一方、トラック総数T_TNO未満であると判断されれば、処理はステップS202に戻される。
【0249】
上述のステップS203において、FLG=ON、すなわち、行スクロールモードの場合の処理について説明する。FLG=ONであれば、処理はステップS234に移行される。
【0250】
以下、ステップS234、ステップS238、ステップS242およびステップS246で、操作子101(図中ではキーと表記)が下、上、右および左方向に操作されているか否かがそれぞれ判断される。若し、何れの方向にも操作されていないと判断されれば、処理はステップS202に戻される。
【0251】
ステップS234で、操作子101が下方向に操作されたと判断されれば、処理はステップS235〜ステップS237に移行される。このステップS235〜ステップS237は、行を一つ進める、すなわち、FLの値に「1」を加える処理を行う。ステップS235でFLの値に「1」が加えられ、処理がステップS236に移行される。ステップS236では、関数f_tno()により現在のフォーカスポイントに対応するトラック番号TNOが取得され、それがトラック総数T_TNO以上であるか否かが判断される。若し、トラック総数T_TNO以上であると判断されれば、ステップS237でFLの値が「0」とされ、処理がステップS202に戻される。一方、トラック総数T_TNO未満であると判断されれば、処理がステップS202に戻される。
【0252】
ステップS238で、操作子101が上方向に操作されたと判断されれば、処理はステップS239〜ステップS241に移行される。このステップS239〜ステップS241は、行を一つ戻す、すなわち、FLの値から「1」を減ずる処理を行う。ステップS239で、FLの値が「0」であるか否かが判断される。若し、「0」でないと判断されれば、ステップS240でFLの値から「1」が減ぜられ、処理がステップS202に戻される。一方、「0」であると判断されれば、処理はステップS241に移行され、トラック総数T_TNOが「100」で除された値(の整数部)がFLとされ、処理がステップS202に戻される。
【0253】
ステップS242で、操作子101が右方向に操作されたと判断されれば、処理はステップS243〜ステップS245に移行される。このステップS243〜ステップS245は、スクロールモードが行スクロールモードからドットスクロールモードへと移行される。ステップS243で、FLGが「OFF」とされてドットスクロールモードが設定されると共にFXの値が「0」とされ、処理がステップS244に移行される。
【0254】
ステップS244では、関数f_tno()により現在のフォーカスポイントに対応するトラック番号TNOが取得され、それがトラック総数T_TNO以上であるか否かが判断される。若し、現在のフォーカスポイントに対応するトラック番号TNOがトラック総数T_TNO未満であると判断されれば、処理はステップS202に戻される。一方、現在のフォーカスポイントに対応するトラック数TNOがトラック総数T_TNO以上であると判断されれば、ステップS245でトラック総数T_TNOを「5」で除した余りの値をFYの値とし、処理がステップS202に戻される。
【0255】
ステップS246で操作子101が左方向に操作されたと判断されれば、処理はステップS247〜ステップS253に移行される。このステップS247〜ステップS253は、スクロールモードが行スクロールモードからドットスクロールモードへと移行される。ステップS247で、FLGが「OFF」とされてドットスクロールモードが設定されると共に、FXの値が「19」とされ、処理がステップS248に移行される。
【0256】
ステップS248では、関数f_tno()により現在のフォーカスポイントに対応するトラック番号TNOが取得され、それがトラック総数T_TNO以上であるか否かが判断される。若し、現在のフォーカスポイントに対応するトラック番号TNOがトラック総数T_TNO未満であると判断されれば、処理はステップS202に戻される。一方、現在のフォーカスポイントに対応するトラック数TNOがトラック総数T_TNO以上であると判断されれば、ステップS249でトラック総数T_TNOを「100」で除した余りの値を「5」で除した値(の整数部)をFXの値とし、処理がステップS250に移行される。
【0257】
ステップS250では、FYの値がトラック総数T_TNOを「5」で除した余りの値を超えるか否かが判断される。若し、越えないと判断されれば、処理はステップS202に戻される。一方、越えると判断されれば、処理はステップS251に移行され、FYの値が「0」であるか否かが判断される。若し、「0」ではないと判断されれば、ステップS252でFXの値から「1」が減ぜられ、処理はステップS202に戻される。一方、「0」であると判断されれば、ステップS253でトラック総数T_TNOを「5」で除した余りの値がFYの値とされ、処理がステップS202に戻される。
【0258】
このように、この発明の実施の一形態では、トラック表示および選択が2次元的に行われると共に、フォーカスポイントの移動が上下左右に対して巡回的に行われる。そのため、例えば2000トラックから選択を行う場合でも、最大操作回数は、X方向に10回、Y方向に5×10回の計60回となり、一次元な選択を行う場合に比べ、少なくて済む。また、トラック表示、フォーカスポイントの移動が2次元的になされるため、トラック選択の際の見通しがよい、1次元的な選択の場合に比べてトラック選択順のトラック番号に対する依存性が少ないなどのメリットもある。
【0259】
ここで、特許請求の範囲との一例の対応関係を示すと、請求項1においては、表示のステップは、例えばステップS202に対応する。特定のステップは、例えばステップS204、ステップS210、ステップS221、ステップS225、ステップS234、ステップS238、ステップS242およびステップS246およびこれらそれぞれのステップ以下の各ステップに対応する。確定のステップは、例えばステップS230に対応する。ステップS230で確定されたシンボルに対応するトラックが選択され、ステップS231で例えば再生される。また、請求項20においては、表示手段は、例えば表示部51に対応する。操作手段は、例えば操作部100や操作部101に対応する。再生手段は、メディアドライブ部2に対応し、さらにシステムコントローラ9、メモリ転送コントローラ3、クラスタバッファメモリ4など、ディスク90の再生に必要な他の構成を含めることができる。なお、これらの対応関係は一例であって、これに限定されるものではない。
【0260】
なお、上述では、ステップS230の処理として選択が決定されたトラックを再生するとしているが、これはこの例に限定されない。すなわち、上述のトラック選択の処理は、トラックの消去やトラック情報の変更など、トラックに対するエディット処理の際にも適用可能なものである。
【0261】
また、上述において、ステップS204、ステップS210、ステップS221およびステップS225による操作子101の操作方向の判断の順序は、この例に限られるものではない。同様に、ステップS234、ステップS238、ステップS242およびステップS246の判断の順序についても、この例に限られるものではない。
【0262】
さらに、上述の式(1)では、図47や図48で説明した、5×5ドットからなるグループ間に設けられる1ドット分の間隔や、行と行の間の間隔については、繁雑さを避けるために考慮していない。実際の処理では、これらの間隔が考慮されてフォーカスポイントの移動やドットとトラックとの対応付けなどが行われることは、いうまでもない。
【0263】
上述では、マトリクス表示201において文字表示部51Bの1ドットをトラックを示すシンボルとして用いているが、これはこの例に限定されず、トラックを示すシンボルを複数ドットで構成してもよい。例えば、2×2ドットの4ドットや、1×2ドットの2ドットなどと1トラックとを対応させるようにできる。また、上述では、マトリクス表示201において、25トラックを1グループとしているが、これはこの例に限定されない。例えば6×6ドットで36トラックを1グループとしてもよいし、4×5ドット=20トラックといった、自乗数ではない構成としてもよい。
【0264】
また、上述では、フォーカスポイントをブリンク表示させるように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、フォーカスポイントの大きさを他とは違えるようにしてもよい。例えば、上述の複数ドットと1トラックとを対応させる例と組み合わせて、図52に一例が示されるように、1トラックに2×2ドット分の表示領域を対応させ、この4ドットを全て表示させてフォーカスポイント230とし、フォーカスポイント以外230では、例えば2×2ドットの表示領域中の左上隅のドットだけを表示させる。このように表示することで、フォーカスポイント230が大きく強調されているように見える。勿論、この逆、すなわち、フォーカスポイントの表示を例えば2×2ドットの表示領域中の左上隅のドットだけとし、他を2×2ドットの全てを表示するようにしてもよい。この場合には、フォーカスポイントが他より小さく見えることになる。
【0265】
さらに、上述では、文字表示部51Bが白黒2値表示であるように説明したが、これはこの例に限定されない。すなわち、文字表示部51Bがカラー表示可能であってもよい。この場合には、例えばフォーカスポイントを他のトラック表示とは異なる色で表示するようにできる。さらにまた、トラックを表すシンボルとしてアイコン表示を用いてもよい。小さなアイコン表示を上述したようにトラックに対応して2次元配置する。このとき、フォーカスポイントを異なるアイコンで表すようにできる。
【0266】
また、上述では、文字表示部51Bに対して、トラックを表すドット表示とトラック番号とを表示しているが、これはこの例に限定されない。例えば、フォーカスポイントが対応するトラックのトラック情報(曲名など)を文字表示部51Bに表示させることができる。トラック情報は、現行MDシステムではU−TOCに、次世代MD1、MD1.5、MD2システムではトラックインフォメーションテーブルに基づき知ることができる。トラック情報は、文字表示部51Bに、別途、表示領域を設けて表示してもよいし、例えば上述の例で3行分が表示されるマトリクス表示201のうち1行分をトラック情報の表示に割り当ててもよい。フォーカスポイントに対応するトラックのトラック情報を常に表示させておいてもよいし、操作部50に対する所定の操作に応じて表示を切り換えることもできる。
【0267】
さらに、上述では、ドットを特定しトラックを選択する際の操作手段として、上下左右方向の操作および押圧操作が可能な集中コントローラである操作子101を用いたが、これはこの例に限定されない。例えば、上下方向の操作と押圧操作とが可能なジョグダイヤル(操作子100)を、ドット特定およびトラック選択の際の操作手段として用いることができる。この場合には、操作が上下方向と押圧操作の3つの自由度しかないので、上述のような2次元的な操作を行うためには、工夫が必要である。
【0268】
例えば、操作子100の短時間(例えば1秒以内)の押圧操作で、操作方向に対応するフォーカスポイントの移動方向をX方向とY方向とで切り換え、長時間(例えば1秒以上)の押圧操作で、トラックの選択確定操作とし、フォーカスポイントに対応するトラックが再生されるようにする。このようにすれば、上述の図49〜図51のフローチャートの処理をそのまま適用することができる。
【0269】
操作子100の操作方法としては、これに限らず、例えば初期状態で上下方向の操作がフォーカスポイントのY方向の移動とし、押圧することで、フォーカスポイントのX方向の移動に切り換えられるようにする。そして、操作子100が回転されずに、すなわち、上下方向への操作が行われずに再び押圧されると、トラックの選択確定操作とするようにできる。この場合、操作子100が回転されてからの押圧操作により、フォーカスポイントの移動方向を、X方向、Y方向で切り換えるようにする。
【0270】
また、上述では、フォーカスポイントの移動が上下左右方向であるように説明したが、これはこの例に限らず、例えば斜め方向に移動可能としてもよい。さらに、フォーカスポイントの行単位、グループ単位の移動を行うような操作を取り入れることは容易である。
【0271】
次に、この発明の実施の一形態の変形例について説明する。上述の実施の一形態によれば、数10トラック乃至数100トラックといった多数のトラックの選択を行う際には、非常に有効である。一方、例えば現行のMDシステムに1枚のCD分のトラックが記録されている場合のように、数トラック乃至十数トラックの中から1を選択する場合には、マトリクス表示201が却って煩わしく感じられることが考えられる。
【0272】
そこで、この実施の一形態の変形例では、ディスクドライブ装置1に装填されたディスク90に記録されているトラック数に応じて、マトリクス表示201によるトラック表示と、従来のトラック番号や曲名を1次元的に表示する方法とを自動的に切り換える。ディスク90に記録されている総トラック数を閾値判断して、トラック特定および選択をマトリクス表示201および従来の方法の何れを用いて行うかを決定する。
【0273】
図53は、この実施の一形態の変形例によるトラック選択方法決定の一例の処理を示すフローチャートである。このフローチャートの処理に先立って、上述の、トラック特定および選択をマトリクス表示201および従来の方法の何れを用いて行うかを決定するための閾値を設定する。ここでは、マトリクス表示201の1グループである25トラックを閾値とする。
【0274】
ステップS10でディスク90がディスクドライブ装置1に装填されると、ステップS11で、装填されたディスク90の種類が判別される。上述の「2.ディスクについて」の項などで既に説明したように、P−TOCの有無、U−TOCの内容などにより、装填されたディスク90が現行のMDシステムによるものか、あるいは、次世代MD1、次世代MD1.5、次世代MD2によるものかを判断することができる。
【0275】
若し、ステップS11で、装填されたディスク90が次世代MD1、次世代MD1.5、次世代MD2の何れかによるものであると判断された場合には、処理はステップS12に移行する。ステップS12では、トラックインデックスファイルから記録されている総トラック数T_TNOが取得され、処理がステップS14に移行される。
【0276】
一方、ステップS11で、装填されたディスク90が現行のMDシステムによるものであると判断されれば、処理はステップS13に移行する。そして、U−TOCから記録されている総トラック数T_TNOが取得され、処理がステップS14に移行される。
【0277】
ステップS14では、ディスクドライブ装置1において、装填されたディスク90の1トラック目の再生が準備される。そして、ステップS15で、上述のステップS12またはステップS13で取得された総トラック数T_TNOの閾値判断がなされる。若し、総トラック数T_TNOが閾値より多いと判断されれば、処理はステップS16に移行され、トラック表示およびトラック選択を、マトリクス表示201を用いて2次元的に行うように決定される。そして、処理は、上述した図49〜図51のフローチャートへと移行する。
【0278】
一方、ステップS15で、総トラック数T_TNOが閾値より少ないと判断されれば、処理はステップS17に移行され、トラック表示およびトラック選択を、従来の、曲名やトラック番号に基づきトラックを順次、1次元的に表示および選択する方法で行うように決定される。
【0279】
なお、マトリクス表示201によるトラック表示と、従来のトラック番号や曲名をトラック毎に表示する方法とを、装填されたディスク90の総トラック数T_TNOに関わらず、操作部50に対する所定の操作で選択することも可能である。
【0280】
上述では、この発明が着脱可能なディスクに記録されたトラックを選択するように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、この発明は、ハードディスクドライブに多数のトラックが記録された携帯用再生装置に適用することが可能である。
【0281】
【発明の効果】
上述したように、この発明では、トラック表示およびトラック選択を2次元的に行うことができるようにしているため、ディスクに多数のトラックが記録されていても、より少ない回数で多数のトラックから所望の1トラックを選択することができるという効果がある。
【0282】
また、トラック表示およびトラック選択を2次元的に行うことができるようにしているため、ディスクに多数のトラックが記録されていても、トラック選択の際の見通しがよく、トラック選択順のトラック番号に対する依存性が少ないため、所望のトラックを容易に選択することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】次世代MD1システムの仕様のディスクの説明に用いる図である。
【図2】次世代MD1システムの仕様のディスクの記録領域の説明に用いる図である。
【図3】次世代MD2システムの仕様のディスクの説明に用いる図である。
【図4】次世代MD2システムの仕様のディスクの記録領域の説明に用いる図である。
【図5】UIDの一例のフォーマットを概略的に示す略線図である。
【図6】次世代MD1および次世代MD2のエラー訂正符号化処理の説明に用いる図である。
【図7】次世代MD1および次世代MD2のエラー訂正符号化処理の説明に用いる図である。
【図8】次世代MD1および次世代MD2のエラー訂正符号化処理の説明に用いる図である。
【図9】ウォブルを用いたアドレス信号の生成の説明に用いる斜視図である。
【図10】現行のMDシステムおよび次世代MD1システムのADIP信号の説明に用いる図である。
【図11】現行のMDシステムおよび次世代MD1システムのADIP信号の説明に用いる図である。
【図12】次世代MD2システムのADIP信号の説明に用いる図である。
【図13】次世代MD2システムのADIP信号の説明に用いる図である。
【図14】現行のMDシステムおよび次世代MD1システムでのADIP信号とフレームとの関係を示す図である。
【図15】次世代MD1システムでのADIP信号とフレームとの関係を示す図である。
【図16】次世代MD2システムでのコントロール信号の説明に用いる図である。
【図17】ディスクドライブ装置のブロック図である。
【図18】メディアドライブ部の構成を示すブロック図である。
【図19】次世代MD1によるディスクの一例の初期化処理を示すフローチャートである。
【図20】次世代MD2によるディスクの一例の初期化処理を示すフローチャートである。
【図21】オーディオデータの管理方式の第1の例の説明に用いる図である。
【図22】オーディオデータの管理方式の第1の例によるオーディオデータファイルの説明に用いる図である。
【図23】オーディオデータの管理方式の第1の例によるトラックインデックスファイルの説明に用いる図である。
【図24】オーディオデータの管理方式の第1の例によるプレイオーダテーブルの説明に用いる図である。
【図25】オーディオデータの管理方式の第1の例によるプログラムドプレイオーダテーブルの説明に用いる図である。
【図26】オーディオデータの管理方式の第1の例によるグループインフォメーションテーブルの説明に用いる図である。
【図27】オーディオデータの管理方式の第1の例によるトラックインフォメーションテーブルの説明に用いる図である。
【図28】オーディオデータの管理方式の第1の例によるパーツインフォメーションテーブルの説明に用いる図である。
【図29】オーディオデータの管理方式の第1の例によるネームテーブルの説明に用いる図である。
【図30】オーディオデータの管理方式の第1の例による一例の処理を説明するための図である。
【図31】ネームテーブルのネームスロットが複数参照可能であることを説明するための図である。
【図32】オーディオデータの管理方式の第1の例でオーディオデータファイルからパーツを削除する処理の説明に用いる図である。
【図33】オーディオデータの管理方式の第2の例の説明に用いる図である。
【図34】オーディオデータの管理方式の第2の例によるオーディオデータファイルの構造を示す図である。
【図35】オーディオデータの管理方式の第2の例によるトラックインデックスファイルの説明に用いる図である。
【図36】オーディオデータの管理方式の第2の例によるプレイオーダテーブルの説明に用いる図である。
【図37】オーディオデータの管理方式の第2の例によるプログラムドプレイオーダテーブルの説明に用いる図である。
【図38】オーディオデータの管理方式の第2の例によるグループインフォメーションテーブルの説明に用いる図である。
【図39】オーディオデータの管理方式の第2の例によるトラックインフォメーションテーブルの説明に用いる図である。
【図40】オーディオデータの管理方式の第2の例によるネームテーブルの説明に用いる図である。
【図41】オーディオデータの管理方式の第2の例による一例の処理を説明するための図である。
【図42】オーディオデータの管理方式の第2の例で、インデックスにより1つのファイルのデータが複数のインデックス領域に分けられることを説明するための図である。
【図43】オーディオデータの管理方式の第2の例で、トラックの連結の説明に用いる図である。
【図44】オーディオデータの管理方式の第2の例で、別の方法によるトラックの連結の説明に用いる図である。
【図45】ディスクドライブ装置の一例の外観を概略的に示す略線図である。
【図46】表示部の一例の構成を示す略線図である。
【図47】表示部のドットマトリクス部を抜き出して示す略線図である。
【図48】マトリクス表示が2行目にわたっている例を示す略線図である。
【図49】ドットマトリクスによるトラック表示により選曲を行う一例の処理を示すフローチャートである。
【図50】ドットマトリクスによるトラック表示により選曲を行う一例の処理を示すフローチャートである。
【図51】ドットマトリクスによるトラック表示により選曲を行う一例の処理を示すフローチャートである。
【図52】フォーカスポイントの大きさを他とは違えることを説明するための図である。
【図53】実施の一形態の変形例によるトラック選択方法決定の一例の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1・・・ディスクドライブ装置、2・・・メディアドライブ部、3・・・メモリ転送コントローラ、4・・・クラスタバッファメモリ、5・・・補助メモリ、6,8・・・USBインターフェイス、7・・・USBハブ、10・・・オーディオ処理部、12・・・RS−LDCエンコーダ、13・・・1−7pp変調部、14・・・ACIRCエンコーダ、15・・・EFM変調部、16・・・セレクタ、17・・・磁気ヘッドドライバ、18・・・磁気ヘッド、19・・・光学ヘッド、22・・・1−7復調部、23・・・RS−LDCデコーダ、23・・・EFM変調部、24・・・ACIRCデコーダ、26・・・セレクタ、30・・・ADIP復調部、32,33・・・アドレスデコーダ、50・・・操作部、51・・・表示部、90・・・ディスク、101,102・・・操作子、200・・・文字表示、201・・・マトリクス表示
【発明の属する技術分野】
この発明は、多数のトラックから1を効率よく選択できる表示方法および再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ディジタルオーディオデータを記録再生するための記録媒体として、カートリッジに収納された直径64mmの光磁気ディスクであるミニディスク(MD)が広く普及している。MDシステムでは、オーディオデータの圧縮方式として、ATRAC(Adaptive TRansform Acoustic Coding)が用いられ、音楽データの管理には、U−TOC(ユーザTOC(Table Of Contents))が用いられている。すなわち、ディスクのレコーダブル領域の内周には、U−TOCと呼ばれる領域が設けられる。U−TOCは、現行のMDシステムにおいて、トラック(オーディオトラック/データトラック)の曲順、記録、消去などに応じて書き換えられる管理情報であり、各トラック(トラックを構成するパーツ)について、開始位置、終了位置や、モードを管理するものである。
【0003】
一方、近年では、音楽などの記録再生を行うようにされた携帯型の記録再生装置においても、ハードディスクドライブを内蔵し尚かつ極めて小型に構成された製品が出現している。このような携帯型の記録再生装置は、通常、記録されている音楽データの管理を、パーソナルコンピュータと接続して行う。例えば、パーソナルコンピュータが有するハードディスクドライブに多数の音楽データを格納してライブラリを構築して、パーソナルコンピュータでミュージックサーバを構成する。音楽データは、CD(Compact Disc)からのリッピングや、インターネットなどのネットワーク上に展開される音楽配信システムを利用してネットワークからのダウンロードにより取得する方法が一般的である。
【0004】
ここで、現行のMDシステムのディスクは、記録容量が160MB程度である。現行のMDとの互換性を確保しつつ、記録容量を増大させたディスクを用いることで、上述したハードディスクドライブを用いた携帯型の記録再生装置と同等の機能を実現することが可能であると考えられる。現行のMDシステムのディスクの大容量化を図るためには、レーザ波長や光学ヘッドの開口率NAを改善する必要がある。しかしながら、レーザ波長や光学ヘッドの開口率NAの改善には限界がある。そのため、磁気超解像などの技術を用いて大容量化するシステムが提案されている。
【0005】
さらに、オーディオデータの圧縮符号化方式の改善などを併用することにより、1枚のディスクに対してより多くのトラックを記録することが可能とされる。
【0006】
このように、記録媒体の記録容量の大容量化、オーディオデータの圧縮符号化方式の改善などに伴い、記録媒体に記録できるトラック数も増大する。記録可能なトラック数が多くなると、トラックの選択方法にも工夫が必要とされる。特に、携帯型の記録再生装置では、トラックを選択するための操作手段や表示手段として限られたものしか用いることができないため、操作性および視認性が良いインターフェイスの開発は、特に重要である。
【0007】
一例として、現行のMDシステムでは、255トラックの記録が可能とされており、特許文献1に記載されるような、順番にトラックをサーチする1次元的な方法でトラックのサーチを行った場合でも、希望するトラックを特定するまでに必要な操作回数は、それ程多くはなかった。トラックに対してグループ化を行えば、さらに操作回数を減らすことが可能である。例えば、250トラックを10のグループに纏めるようにグループ化を行い、10グループ×25トラックとした場合、最も操作回数が多くなる場合でも(10+25)回の操作で希望のトラックを選択できた。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−329389号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
一方、上述の記録容量が大容量化されたシステムでは、記録可能なトラックが例えば2047トラックとされ、1次元的なサーチでは必要な操作回数が多くなりすぎるという問題点があった。操作回数を最小にするようにトラックのグループ化を行っても、45グループ×45トラックであり、最も操作回数が多い場合90回の操作が必要となり、使い勝手がよくないという問題点があった。
【0010】
したがって、この発明の目的は、記録可能なトラック数が増大しても、限られた操作手段および表示手段を用いて効率よくトラックを選択することができるような選曲方法および再生装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上述した課題を解決するために、複数のトラックから1を選択するための表示を行う表示方法において、シンボルをトラックの配列に対応付けた2次元的な配置で表示する第1の表示モードを有する表示のステップと、ユーザの操作に応じて、表示のステップにより表示されたシンボルのうち1を特定する特定のステップと、特定のステップで特定されたシンボルを確定する確定のステップとを備え、確定のステップで確定されたシンボルに対応するトラックを選択するようにしたことを特徴とする表示方法である。
【0012】
また、この発明は、記録媒体に記録された複数のトラックから1を選択して再生する再生装置において、記録媒体に記録されたトラックの情報を取得するトラック情報取得手段と、シンボルをトラックの配列に対応付けた2次元的な配置で表示する表示モードを有する表示手段と、ユーザの操作に応じて、表示手段により表示されたシンボルのうち1を特定すると共に、特定されたシンボルを確定する操作手段と、操作手段で確定されたシンボルに対応するトラックを再生する再生手段とを備えることを特徴とする再生装置である。
【0013】
上述したように、この発明は、シンボルをトラックの配列に対応付けた2次元的な配置で表示し、ユーザの操作に応じて、2次元的な配置で表示されたシンボルのうち1を特定し、特定されたシンボルを確定し、確定されたシンボルに対応するトラックを選択するようにしているため、多数のトラックの中から1のトラックを容易に選択することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態について説明する。先ず、この発明の実施の一形態の説明に先立って、この発明に適用可能なディスクシステムについて、下記の10のセクションに従い説明する。
1.記録方式の概要
2.ディスクについて
3.信号フォーマット
4.記録再生装置の構成
5.次世代MD1および次世代MD2によるディスクの初期化処理について
6.音楽データの第1の管理方式について
7.音楽データの管理方式の第2の例
8.選曲方法について
【0015】
1.記録方式の概要
この発明による記録再生装置では、記録媒体として光磁気ディスクが使用される。フォームファクタのような、ディスクの物理的属性は、いわゆるMD(Mini−Disc)システムによって使用されるディスクと実質的に同じである。しかし、ディスク上に記録されたデータと、そのデータがどのようにディスク上に配置されているかについては、従来のMDと異なる。
【0016】
より具体的には、この発明による装置は、オーディオデータのようなコンテンツデータを記録再生するために、ファイル管理システムとしてFAT(File Allocation Table)システムを使用している。これによって、当該装置は、現行のパーソナルコンピュータに対して互換性を保証することができる。
【0017】
ここでは、「FAT」又は「FATシステム」という用語は、前述したように、種々のPCベースのファイルシステムを指すのに総称的に用いられ、DOS(Disk Operating System)で用いられる特定のFATベースのファイルシステム、Windows95/98(それぞれ登録商標)で使用されるVFAT(Virtual FAT)、Windows98/ME/2000(それぞれ登録商標)で用いられるFAT32、及びNTFS(NT File System(New Technology File System とも呼ばれる))のどれかを示すことを意図したものではない。NTFSは、WindowsNT(登録商標)オペレーティングシステム、又は(オプションにより)Windows2000で使用されるファイルシステムであり、ディスクに対する読み出し/書き込みの際に、ファイルの記録及び取り出しを行う。
【0018】
また、この発明では、現行のMDシステムに対して、エラー訂正方式や変調方式を改善することにより、データの記録容量の増大を図るとともに、データの信頼性を高めるようにしている。更に、この発明では、コンテンツデータを暗号化するとともに、不正コピーを防止して、コンテンツデータの著作権の保護が図れるようにしている。
【0019】
記録再生のフォーマットとしては、現行のMDシステムで用いられているディスクと全く同様のディスク(すなわち、物理媒体)を用いるようにした次世代MD1の仕様と、現行のMDシステムで用いられているディスクとフォームファクター及び外形は同様であるが、磁気超解像度(MSR)技術を使うことにより、線記録方向の記録密度を上げて、記録容量をより増大した次世代MD2の仕様とがあり、これらが本願発明者により開発されている。
【0020】
現行のMDシステムでは、カートリッジに収納された直径64mmの光磁気ディスクが記録媒体として用いられている。ディスクの厚みは1.2mmであり、その中央に11mmの径のセンターホールが設けられている。カートリッジの形状は、長さ68mm、幅72mm、厚さ5mmである。
【0021】
次世代MD1の仕様でも次世代MD2の仕様でも、これらディスクの形状やカートリッジの形状は、全て同じである。リードイン領域の開始位置についても、次世代MD1の仕様および次世代MD2の仕様のディスクも、29mmから始まり、現行のMDシステムで使用されているディスクと同様である。
【0022】
トラックピッチについては、次世代MD2では、1.2μmから1.3μm(例えば1.25μm)とすることが検討されている。これに対して、現行のMDシステムのディスクを流用する次世代MD1では、トラックピッチは1.6μmとされている。ビット長は、次世代MD1が0.44μm/ビットとされ、次世代MD2が0.16μm/ビットとされる。冗長度は、次世代MD1および次世代MD2ともに、20.50%である。
【0023】
次世代MD2の仕様のディスクでは、磁気超解像技術を使うことにより、線密度方向の記録容量を向上するようにしている。磁気超解像技術は、所定の温度になると、切断層が磁気的にニュートラルな状態になり、再生層に転写されていた磁壁が移動することで、微少なマークがビームスポットの中で大きく見えるようになることを利用したものである。
【0024】
すなわち、次世代MD2の仕様のディスクでは、透明基板上に、少なくとも情報を記録する記録層となる磁性層と、切断層と、情報再生用の磁性層とが積層される。切断層は、交換結合力調整用層となる。所定の温度になると、切断層が磁気的にニュートラルな状態になり、記録層に転写されていた磁壁が再生用の磁性層に転写される。これにより、微少なマークがビームスポットの中に見えるようになる。なお、記録時には、レーザパルス磁界変調技術を使うことで、微少なマークを生成することができる。
【0025】
また、次世代MD2の仕様のディスクでは、デトラックマージン、ランドからのクロストーク、ウォブル信号のクロストーク、フォーカスの漏れを改善するために、グルーブを従来のMDディスクより深くし、グルーブの傾斜を鋭くしている。次世代MD2の仕様のディスクでは、グルーブの深さは例えば160nmから180nmであり、グルーブの傾斜は例えば60度から70度であり、グルーブの幅は例えば600nmから700nmである。
【0026】
また、光学的の仕様については、次世代MD1の仕様では、レーザ波長λが780nmとされ、光学ヘッドの対物レンズの開口率NAが0.45とされている。次世代MD2の仕様も同様に、レーザ波長λが780nmとされ、光学ヘッドの開口率NAが0.45とされている。
【0027】
記録方式としては、次世代MD1の仕様も次世代MD2の仕様も、グルーブ記録方式が採用されている。つまり、グルーブ(ディスクの盤面上の溝)をトラックとして記録再生に用いるようにしている。
【0028】
エラー訂正符号化方式としては、現行のMDシステムでは、ACIRC(Advanced Cross Interleave Reed−Solomon Code) による畳み込み符号が用いられていたが、次世代MD1および次世代MD2の仕様では、RS−LDC(Reed Solomon−Long Distance Code)とBIS(Burst Indicator Subcode)とを組み合わせたブロック完結型の符号が用いられている。ブロック完結型のエラー訂正符号を採用することにより、リンキングセクタが不要になる。LDCとBISとを組み合わせたエラー訂正方式では、バーストエラーが発生したときに、BISによりエラーロケーションが検出できる。このエラーロケーションを使って、LDCコードにより、イレージャ訂正を行うことができる。
【0029】
アドレス方式としては、シングルスパイラルによるグルーブを形成したうえで、このグルーブの両側に対してアドレス情報としてのウォブルを形成したウォブルドグルーブ方式が採用されている。このようなアドレス方式は、ADIP(Address in Pregroove)と呼ばれている。現行のMDシステムと、次世代MD1および次世代MD2の仕様では、線密度が異なると共に、現行のMDシステムでは、エラー訂正符号として、ACIRCと呼ばれる畳み込み符号が用いられているのに対して、次世代MD1および次世代MD2の仕様では、LDCとBISとを組み合わせたブロック完結型の符号が用いられているため、冗長度が異なり、ADIPとデータとの相対的な位置関係が変わっている。そこで、現行のMDシステムと同じ物理構造のディスクを流用する次世代MD1の仕様では、ADIP信号の扱いを、現行のMDシステムのときとは異なるようにしている。また、次世代MD2の仕様では、次世代MD2の仕様により合致するように、ADIP信号の仕様に変更を加えている。
【0030】
変調方式については、現行のMDシステムでは、EFM(8 to 14 Modulation)が用いられているのに対して、次世代MD1および次世代MD2の仕様では、RLL(1,7)PP(RLL;Run Length Limited ,PP;Parity Preserve/Prohibit rmtr(repeated minimum transition runlength))(以下、1−7pp変調と称する)が採用されている。また、データの検出方式は、次世代MD1ではパーシャルレスポンスPR(1,2,1)MLを用い、次世代MD2ではパーシャルレスポンスPR(1,−1)MLを用いたビタビ復号方式とされている。
【0031】
また、ディスク駆動方式はCLV(Constant Linear Verocity)またはZCAV(Zone Constant Angular Verocity)で、その標準線速度は、次世代MD1の仕様では、2.4m/秒とされ、次世代MD2の仕様では、1.98m/秒とされる。なお、現行のMDシステムの仕様では、60分ディスクで1.2m/秒、74分ディスクで1.4m/秒とされている。
【0032】
現行のMDシステムで用いられるディスクをそのまま流用する次世代MD1の仕様では、ディスク1枚当たりのデータ総記録容量は約300Mバイト(80分ディスクを用いた場合)になる。変調方式がEFMから1−7pp変調とされることで、ウィンドウマージンが0.5から0.666となり、この点で、1.33倍の高密度化が実現できる。また、エラー訂正方式として、ACIRC方式からBISとLDCを組み合わせたものとしたことで、データ効率が上がり、この点で、1.48倍の高密度化が実現できる。総合的には、全く同様のディスクを使って、現行のMDシステムに比べて、約2倍のデータ容量が実現されたことになる。
【0033】
磁気超解像度を利用した次世代MD2の仕様のディスクでは、更に線密度方向の高密度化が図られ、データ総記録容量は、約1Gバイトになる。
【0034】
データレートは標準線速度にて、次世代MD1では4.4Mビット/秒であり、次世代MD2では、9.8Mビット/秒である。
【0035】
2.ディスクについて
図1は、次世代MD1のディスクの構成を示すものである。次世代MD1のディスクは、現行のMDシステムのディスクをそのまま流用したものである。すなわち、ディスクは、透明のポリカーボネート基板上に、誘電体膜と、磁性膜と、誘電体膜と、反射膜とを積層して構成される。更に、その上に、保護膜が積層される。
【0036】
次世代MD1のディスクでは、図1に示すように、ディスクの内周(ディスクのレコーダブル領域の最も内側の周(「最も内側」は、ディスクの中心から放射状に延びる方向において最も内側を示す)のリードイン領域に、P−TOC(プリマスタードTOC(Table Of Contents))領域が設けられる。ここは、物理的な構造としては、プリマスタード領域となる。すなわち、エンボスピットにより、コントロール情報等が、例えば、P−TOC情報として記録されている。
【0037】
P−TOC領域が設けられるリードイン領域の外周(ディスクの中心から放射状に延びる方向において外側の周)は、レコーダブル領域(光磁気記録可能な領域)とされ、記録トラックの案内溝としてグルーブが形成された記録再生可能領域となっている。このレコーダブル領域の内周には、U−TOC(ユーザTOC)が設けられる。
【0038】
U−TOCは、現行のMDシステムでディスクの管理情報を記録するために用いられているU−TOCと同様の構成のものである。U−TOCは、現行のMDシステムにおいて、トラック(オーディオトラック/データトラック)の曲順、記録、消去などに応じて書き換えられる管理情報であり、各トラック(トラックを構成するパーツ)について、開始位置、終了位置や、モードを管理するものである。
【0039】
U−TOCの外周には、アラートトラックが設けられる。このトラックには、ディスクが現行のMDシステムにロードされた場合に、MDプレーヤによって起動(出力)される警告音が記録される。この警告音は、そのディスクが次世代MD1方式で使用され、現行のシステムでは再生できないことを示すものである。レコーダブル領域の残りの部分(詳しくは、図2に示されている)は、リードアウト領域まで、放射状に延びる方向に広がっている。
【0040】
図2は、図1に示す次世代MD1の仕様のディスクのレコーダブル領域の構成を示すものである。図2に示すように、レコーダブル領域の先頭(内周側)には、U−TOCおよびアラートトラックが設けられる。U−TOCおよびアラートトラックが含まれる領域は、現行のMDシステムのプレーヤでも再生できるように、EFMでデータが変調されて記録される。EFM変調でデータが変調されて記録される領域の外周に、次世代MD1方式の1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域が設けられる。EFMでデータが変調されて記録される領域と、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域との間は所定の距離の間だけ離間されており、「ガードバンド」が設けられている。このようなガードバンドが設けられるため、現行のMDプレーヤに次世代MD1の仕様のディスクが装着されて、不具合が発生されることが防止される。
【0041】
1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域の先頭(内周側)には、DDT(Disc Description Table)領域と、リザーブトラックが設けられる。DDT領域には、物理的に欠陥のある領域に対する交替処理をするために設けられる。DDT領域には、さらに、ディスク毎に固有の識別コードが記録される。以下、このディスク毎に固有の識別コードをUID(ユニークID)と称する。次世代MD1の場合、UIDは、例えば所定に発生された乱数に基づき生成され、例えばディスクの初期化の際に記録される(詳細は後述する)。UIDを用いることで、ディスクの記録内容に対するセキュリティ管理を行うことができる。リザーブトラックは、コンテンツの保護を図るための情報が格納される。
【0042】
更に、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域には、FAT(File Allocation Table)領域が設けられる。FAT領域は、FATシステムでデータを管理するための領域である。FATシステムは、汎用のパーソナルコンピュータで使用されているFATシステムに準拠したデータ管理を行うものである。FATシステムは、ルートにあるファイルやディレクトリのエントリポイントを示すディレクトリと、FATクラスタの連結情報が記述されたFATテーブルとを用いて、FATチェーンによりファイル管理を行うものである。なお、FATの用語は、前述したように、PCオペレーティングシステムで利用される、様々な異なるファイル管理方法を示すように総括的に用いられている。
【0043】
次世代MD1の仕様のディスクにおいては、U−TOC領域には、アラートトラックの開始位置の情報と、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域の開始位置の情報が記録される。
【0044】
現行のMDシステムのプレーヤに、次世代MD1のディスクが装着されると、U−TOC領域が読み取られ、U−TOCの情報から、アラートトラックの位置が分かり、アラートトラックがアクセスされ、アラートトラックの再生が開始される。アラートトラックには、このディスクが次世代MD1方式で使用され、現行のMDシステムのプレーヤでは再生できないことを示す警告音が記録されている。この警告音から、このディスクが現行のMDシステムのプレーヤでは使用できないことが知らされる。
【0045】
なお、警告音としては、「このプレーヤでは使用できません」というような言語による警告とすることができる。勿論、単純なビープ音、トーン、又はその他の警告信号とするようにしても良い。
【0046】
次世代MD1に準拠したプレーヤに、次世代MD1のディスクが装着されると、U−TOC領域が読み取られ、U−TOCの情報から、1−7pp変調でデータが記録された領域の開始位置が分かり、DDT、リザーブトラック、FAT領域が読み取られる。1−7pp変調のデータの領域では、U−TOCを使わずに、FATシステムを使ってデータの管理が行われる。
【0047】
図3は、次世代MD2のディスクを示すものである。ディスクは、透明のポリカーボネート基板上に、誘電体膜と、磁性膜と、誘電体膜と、反射膜とを積層して構成される。更に、その上に、保護膜が積層される。
【0048】
次世代MD2のディスクでは、図3Aに示すように、ディスクの内周(ディスクの中心から放射状に延びる方向において内側の周)のリードイン領域には、ADIP信号により、コントロール情報が記録されている。次世代MD2のディスクには、リードイン領域にはエンボスピットによるP−TOCは設けられておらず、その代わりに、ADIP信号によるコントロール情報が用いられる。リードイン領域の外周からレコーダブル領域が開始され、記録トラックの案内溝としてグルーブが形成された記録再生可能領域となっている。このレコーダブル領域には、1−7pp変調で、データが変調されて記録される。
【0049】
次世代MD2の仕様のディスクでは、図3Bに示すように、磁性膜として、情報を記録する記録層となる磁性層101と、切断層102と、情報再生用の磁性層103とが積層されたものが用いられる。切断層102は、交換結合力調整用層となる。所定の温度になると、切断層102が磁気的にニュートラルな状態になり、記録層101に転写されていた磁壁が再生用の磁性層103に転写される。これにより、記録層101では微少なマークが再生用の磁性層103のビームスポットの中に拡大されて見えるようになる。
【0050】
図示しないが、次世代MD2の使用のディスクでは、記録可能領域の内周側の、コンシューマ向けの記録再生装置で再生可能であるが記録不可であるような領域に、上述したUIDが予め記録される。次世代MD2のディスクの場合、UIDは、例えばDVD(Digital Versatile Disc)で用いられているBCA(Burst Ctting Area)の技術と同様の技術により、ディスクの製造時に予め記録される。ディスクの製造時にUIDが生成され記録されるため、UIDの管理が可能となり、上述の次世代MD1による、ディスクの初期化時などに乱数に基づきUIDを生成する場合に比べ、セキュリティを向上できる。UIDのフォーマットなど詳細については、後述する。
【0051】
なお、繁雑さを避けるために、次世代MD2においてUIDが予め記録されるこの領域を、以降、BCAと呼ぶことにする。
【0052】
次世代MD1であるか次世代MD2であるかは、例えば、リードインの情報から判断できる。すなわち、リードインにエンボスピットによるP−TOCが検出されれば、現行のMDまたは次世代MD1のディスクであると判断できる。リードインにADIP信号によるコントロール情報が検出され、エンボスピットによるP−TOCが検出されなければ、次世代MD2であると判断できる。上述したBCAにUIDが記録されているか否かで判断することも可能である。なお、次世代MD1と次世代MD2との判別は、このような方法に限定されるものではない。オントラックのときとオフトラックのときとのトラッキングエラー信号の位相から判別することも可能である。勿論、ディスク識別用の検出孔等を設けるようにしても良い。
【0053】
図4は、次世代MD2の仕様のディスクのレコーダブル領域の構成を示すものである。図4に示すように、レコーダブル領域では全て1−7pp変調でデータが変調されて記録され、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域の先頭(内周側)には、DDT領域と、リザーブトラックが設けられる。DDT領域は、物理的に欠陥のある領域に対する交替領域を管理するための交替領域管理データを記録するために設けられる。
【0054】
具体的には、DDT領域は、物理的に欠陥のある上記領域に替わるレコーダブル領域を含む置き換え領域を管理する管理テーブルを記録する。この管理テーブルは、欠陥があると判定された論理クラスタを記録し、その欠陥のある論理クラスタに替わるものとして割り当てられた置き換え領域内の論理クラスタ(1つ又は複数)も記録する。さらに、DDT領域には、上述したUIDが記録される。リザーブトラックは、コンテンツの保護を図るための情報が格納される。
【0055】
更に、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域には、FAT領域が設けられる。FAT領域は、FATシステムでデータを管理するための領域である。FATシステムは、汎用のパーソナルコンピュータで使用されているFATシステムに準拠したデータ管理を行うものである。
【0056】
次世代MD2のディスクにおいては、U−TOC領域は設けられていない。次世代MD2に準拠したプレーヤに、次世代MD2のディスクが装着されると、所定の位置にあるDDT、リザーブトラック、FAT領域が読み取られ、FATシステムを使ってデータの管理が行われる。
【0057】
次世代MD1および次世代MD2のディスクでは、時間のかかる初期化作業は不要とされる。すなわち、次世代MD1および次世代MD2の仕様のディスクでは、DDTやリザーブトラック、FATテーブル等の最低限のテーブルの作成以外に、初期化作業は不要で、未使用のディスクからレコーダブル領域の記録再生を直接行うことが可能である。
【0058】
なお、次世代MD2のディスクは、上述のように、ディスクの製造時にUIDが生成され記録されるため、より強力にセキュリティ管理を行うことが可能である一方、現行のMDシステムで用いられるディスクに比べて膜の積層数が多く、より高価である。そこで、ディスクの記録可能領域およびリードイン、リードアウト領域は、次世代MD1と共通とし、UIDのみ、DVDと同様のBCAを用いて次世代MD2と同様にしてディスクの製造時に記録するようにしたディスクシステム(次世代MD1.5と称する)が提案されている。
【0059】
なお、以下では、次世代MD1.5に関して、特に必要となる場合を除き、説明を省略する。すなわち、次世代MD1.5は、UIDに関しては次世代MD2に準じ、オーディオデータの記録再生などに関しては次世代MD1に準ずるものとする。
【0060】
UIDについて、より詳細に説明する。上述したように、次世代MD2のディスクにおいて、UIDは、DVDで用いられているBCAと称される技術と同様の技術により、ディスクの製造時に予め記録される。図5は、このUIDの一例のフォーマットを概略的に示す。UIDの全体をUIDレコードブロックと称する。
【0061】
UIDブロックにおいて、先頭から2バイト分がUIDコードのフィールドとされる。UIDコードは、2バイトすなわち16ビットのうち上位4ビットがディスク判別用とされる。例えば、この4ビットが〔0000〕で当該ディスクが次世代MD2のディスクであることが示され、〔0001〕で当該ディスクが次世代MD1.5のディスクであることが示される。UIDコードの上位4ビットの他の値は、例えば将来の拡張のために予約される。UIDコードの下位12ビットは、アプリケーションIDとされ、4096種類のサービスに対応することができる。
【0062】
UIDコードの次に1バイトのバージョンナンバのフィールドが配され、その次に、1バイトでデータ長のフィールドが配される。このデータ長により、データ長の次に配されるUIDレコードデータのフィールドのデータ長が示される。UIDレコードデータのフィールドは、UID全体のデータ長が188バイトを超えない範囲で、4m(m=0、1、2、・・・)バイト分、配される。UIDレコードデータのフィールドに、所定の方法で生成したユニークなIDを格納することができ、これにより、ディスク個体が識別可能とされる。
【0063】
なお、次世代MD1のディスクでは、このUIDレコードデータのフィールドに、乱数に基づき生成されたIDが記録される。
【0064】
UIDレコードブロックは、最大188バイトまでのデータ長で、複数個、作ることができる。
【0065】
3.信号フォーマット
次に、次世代MD1および次世代MD2のシステムの信号フォーマットについて説明する。現行のMDシステムでは、エラー訂正方式として、畳み込み符号であるACIRCが用いられており、サブコードブロックのデータ量に対応する2352バイトからなるセクタを記録再生のアクセス単位としている。畳み込み符号の場合には、エラー訂正符号化系列が複数のセクタに跨るため、データを書き換える際には、隣接するセクタ間に、リンキングセクタを用意する必要がある。アドレス方式としては、シングルスパイラルによるグルーブを形成したうえで、このグルーブの両側に対してアドレス情報としてのウォブルを形成したウォブルドグルーブ方式であるADIPが使われている。現行のMDシステムでは、2352バイトからなるセクタをアクセスするのに最適なように、ADIP信号が配列されている。
【0066】
これに対して、次世代MD1および次世代MD2のシステムの仕様では、LDCとBISとを組み合わせたブロック完結型の符号が用いられ、64Kバイトを記録再生のアクセス単位としている。ブロック完結型の符号では、リンキングセクタは不要である。そこで、現行のMDシステムのディスクを流用する次世代MD1のシステムの仕様では、ADIP信号の扱いを、新たな記録方式に対応するように、変更するようにしている。また、次世代MD2のシステムの仕様では、次世代MD2の仕様により合致するように、ADIP信号の仕様に変更を加えている。
【0067】
図6、図7、および図8は、次世代MD1および次世代MD2のシステムで使用されるエラー訂正方式を説明するためのものである。次世代MD1および次世代MD2のシステムでは、図6に示すようなLDCによるエラー訂正符号化方式と、図7および図8に示すようなBIS方式とが組み合わされている。
【0068】
図6は、LDCによるエラー訂正符号化の符号化ブロックの構成を示すものである。図6に示すように、各エラー訂正符号化セクタのデータに対して、4バイトのエラー検出コードEDCが付加され、水平方向に304バイト、垂直方向に216バイトのエラー訂正符号化ブロックに、データが二次元配列される。各エラー訂正符号化セクタは、2Kバイトのデータからなる。図6に示すように、水平方向に304バイト、垂直方向に216バイトからなるエラー訂正符号化ブロックには、2Kバイトからなるエラー訂正符号化セクタが32セクタ分配置される。このように、水平方向に304バイト、垂直方向に216バイトに二次元配列された32個のエラー訂正符号化セクタのエラー訂正符号化ブロックのデータに対して、垂直方向に、32ビットのエラー訂正用のリード・ソロモンコードのパリティが付加される。
【0069】
図7および図8は、BISの構成を示すものである。図7に示すように、38バイトのデータ毎に、1バイトのBISが挿入され、(38×4=152バイト)のデータと、3バイトのBISデータと、2.5バイトのフレームシンクとの合計157.5バイトが1フレームとされる。
【0070】
図8に示すように、このように構成されるフレームを496フレーム集めて、BISのブロックが構成される。BISデータ(3×496=1488バイト)には、576バイトのユーザコントロールデータと、144バイトのアドレスユニットナンバと、768バイトのエラー訂正コードが含められる。
【0071】
このように、BISデータには、1488バイトのデータに対して768バイトのエラー訂正コードが付加されているので、強力にエラー訂正を行うことができる。このBISコードを38バイト毎に埋め込んでおくことにより、バーストエラーが発生したときに、エラーロケーションが検出できる。このエラーロケーションを使って、LDCコードにより、イレージャ訂正を行うことができる。
【0072】
ADIP信号は、図9に示すように、シングルスパイラルのグルーブの両側に対してウォブルを形成することで記録される。すなわち、ADIP信号は、FM変調されたアドレスデータを有し、ディスク素材にグルーブのウォブルとして形成されることにより記録される。
【0073】
図10は、次世代MD1の場合のADIP信号のセクタフォーマットを示すものである。
【0074】
図10に示すように、ADIP信号の1セクタ(ADIPセクタ)は、4ビットのシンクと、8ビットのADIPクラスタナンバの上位ビットと、8ビットのADIPクラスタナンバの下位ビットと、8ビットのADIPセクタナンバと、14ビットのエラー検出コードCRCとからなる。
【0075】
シンクは、ADIPセクタの先頭を検出するための所定パターンの信号である。従来のMDシステムでは、畳み込み符号を使っているため、リンキングセクタが必要になる。リンキング用のセクタナンバは、負の値を持ったセクタナンバで、「FCh」、「FDh」、「FEh」、「FFh」(hは16進数を示す)のセクタナンバのものである。次世代MD1では、現行のMDシステムのディスクを流用するため、このADIPセクタのフォーマットは、現行のMDシステムのものと同様である。
【0076】
次世代MD1のシステムでは、図11に示すように、ADIPセクタナンバ「FCh」から「FFh」および「0Fh」から「1Fh」までの36セクタで、ADIPクラスタが構成される。そして、図10に示すように、1つのADIPクラスタに、2つのレコーディングブロック(64Kバイト)のデータを配置するようにしている。
【0077】
図12は、次世代MD2の場合のADIPセクタの構成を示すものである。次世代MD2の仕様では、ADIPセクタが16セクタで、ADIPセクタが構成される。したがって、ADIPのセクタナンバは、4ビットで表現できる。また、次世代MDでは、ブロック完結のエラー訂正符号が用いられているため、リンキングセクタは不要である。
【0078】
次世代MD2のADIPセクタは、図12に示すように、4ビットのシンクと、4ビットのADIPクラスタナンバの上位ビットと、8ビットのADIPクラスタナンバの中位ビットと、4ビットのADIPクラスタナンバの下位ビットと、4ビットのADIPセクタナンバと、18ビットのエラー訂正用のパリティとからなる。
【0079】
シンクは、ADIPセクタの先頭を検出するための所定パターンの信号である。ADIPクラスタナンバとしては、上位4ビット、中位8ビット、下位4ビットの16ビット分が記述される。16個のADIPセクタでADIPクラスタが構成されるため、ADIPセクタのセクタナンバは4ビットとされている。現行のMDシステムでは14ビットのエラー検出コードであるが、18ビットのエラー訂正用のパリティとなっている。そして、次世代MD2の仕様では、図13に示すように、1つのADIPクラスタに、1レコーディングブロック(64Kバイト)のデータが配置される。
【0080】
図14は、次世代MD1の場合のADIPクラスタとBISのフレームとの関係を示すものである。
【0081】
図11に示したように、次世代MD1の仕様では、ADIPセクタ「FC」〜「FF」およびADIPセクタ「00」〜「1F」の36セクタで、1つのADIPクラスタが構成される。記録再生の単位となる1レコーディングブロック(64Kバイト)のデータは、1つのADIPクラスタに、2つ分配置される。
【0082】
図14に示すように、1つのADIPセクタは、前半の18セクタと、後半の18セクタとに分けられる。
【0083】
記録再生の単位となる1レコーディングブロックのデータは、496フレームからなるBISのブロックに配置される。このBISのブロックに相当する496フレーム分のデータのフレーム(フレーム「10」からフレーム「505」)の前に、10フレーム分のプリアンブル(フレーム「0」からフレーム「9」)が付加され、また、このデータのフレームの後に、6フレーム分のポストアンブルのフレーム(フレーム506からフレーム511)が付加され、合計、512フレーム分のデータが、ADIPセクタ「FCh」からADIPセクタ「0Dh」のADIPクラスタの前半に配置されるとともに、ADIPセクタ「0Eh」からADIPセクタ「1Fh」のADIPクラスタの後半に配置される。データフレームの前のプリアンブルのフレームと、データの後ろのポストアンブルのフレームは、隣接するレコーディングブロックとのリンキング時にデータを保護するのに用いられる。プリアンブルは、データ用PLLの引き込み、信号振幅制御、信号オフセット制御などにも用いられる。
【0084】
レコーディングブロックのデータを記録再生する際の物理アドレスは、ADIPクラスタと、そのクラスタの前半か後半かにより指定される。記録再生時に物理アドレスが指定されると、ADIP信号からADIPセクタが読み取られ、ADIPセクタの再生信号から、ADIPクラスタナンバとADIPセクタナンバが読み取られ、ADIPクラスタの前半と後半とが判別される。
【0085】
図15は、次世代MD2の仕様の場合のADIPクラスタとBISのフレームとの関係を示すものである。図13に示したように、次世代MD2の仕様では、ADIPセクタが16セクタで、1つのADIPクラスタが構成される。1つのADIPクラスタに、1レコーディングブロック(64Kバイト)のデータが配置される。
【0086】
図15に示すように、記録再生の単位となる1レコーディングブロック(64Kバイト)のデータは、496フレームからなるBISのブロックに配置される。このBISのブロックに相当する496フレーム分のデータのフレーム(フレーム「10」からフレーム「505」)の前に、10フレーム分のプリアンブル(フレーム「0」からフレーム「9」)が付加され、また、このデータのフレームの後に、6フレーム分のポストアンブルのフレーム(フレーム506からフレーム511)が付加され、合計、512フレーム分のデータが、ADIPセクタ「0h」からADIPセクタ「Fh」からなるADIPクラスタに配置される。
【0087】
データフレームの前のプリアンブルのフレームと、データの後ろのポストアンブルのフレームは、隣接するレコーディングブロックとのリンキング時にデータを保護するのに用いられる。プリアンブルは、データ用PLLの引き込み、信号振幅制御、信号オフセット制御などにも用いられる。
【0088】
レコーディングブロックのデータを記録再生する際の物理アドレスは、ADIPクラスタで指定される。記録再生時に物理アドレスが指定されると、ADIP信号からADIPセクタが読み取られ、ADIPセクタの再生信号から、ADIPクラスタナンバが読み取られる。
【0089】
ところで、このようなディスクでは、記録再生を開始するときに、レーザパワーの制御等を行うために、各種のコントロール情報が必要である。次世代MD1の仕様のディスクでは、図1に示したように、リードイン領域にP−TOCが設けられており、このP−TOCから、各種のコントロール情報が取得される。
【0090】
次世代MD2の仕様のディスクには、エンボスピットによるP−TOCは設けられず、コントロール情報がリードイン領域のADIP信号により記録される。また、次世代MD2の仕様のディスクでは、磁気超解像度の技術が使われるため、レーザのパワーコントロールが重要である。次世代MD2の仕様のディスクでは、リードイン領域とリードアウト領域には、パワーコントロール調整用のキャリブレーション領域が設けられる。
【0091】
すなわち、図16は、次世代MD2の仕様のディスクのリードインおよびリードアウトの構成を示すものである。図16に示すように、ディスクのリードインおよびリードアウト領域には、レーザビームのパワーコントロール領域として、パワーキャリブレーション領域が設けられる。
【0092】
また、リードイン領域には、ADIPによるコントロール情報を記録したコントロール領域が設けられる。ADIPによるコントロール情報の記録とは、ADIPクラスタナンバの下位ビットとして割り当てられている領域を使って、ディスクのコントロール情報を記述するものである。
【0093】
すなわち、ADIPクラスタナンバは、レコーダブル領域の開始位置から始まっており、リードイン領域では負の値になっている。図16に示すように、次世代MD2のADIPセクタは、4ビットのシンクと、8ビットのADIPクラスタナンバの上位ビットと、8ビットのコントロールデータ(ADIPクラスタナンバの下位ビット)と、4ビットのADIPセクタナンバと、18ビットのエラー訂正用のパリティとからなる。ADIPクラスタナンバの下位ビットとして割り当てられている8ビットに、図16に示すように、ディスクタイプや、磁気位相、強度、読み出しパワー等のコントロール情報が記述される。
【0094】
なお、ADIPクラスタの上位ビットは、そのまま残されているので、現在位置は、ある程度の精度で知ることができる。また、ADIPセクタ「0」と、ADIPセクタ「8」は、ADIPクラスタナンバの下位8ビットを残しておくことにより、所定間隔で、ADIPクラスタを正確に知ることができる。
【0095】
ADIP信号によるコントロール情報の記録については、本願出願人が先に提案した特願2001−123535号の明細書中に詳細に記載してある。
【0096】
4.記録再生装置の構成
次に、図17、図18により、次世代MD1および次世代MD2システムで記録/再生に用いられるディスクに対応するディスクドライブ装置(記録再生装置)の構成を説明する。
【0097】
図17には、ディスクドライブ装置1が、例えばパーソナルコンピュータ100と接続可能なものとして示している。
【0098】
ディスクドライブ装置1は、メディアドライブ部2、メモリ転送コントローラ3、クラスタバッファメモリ4、補助メモリ5、USB(Universal Serial Bus)インターフェース6,8、USBハブ7、システムコントローラ9、オーディオ処理部10を備えている。
【0099】
メディアドライブ部2は、装填されたディスク90に対する記録/再生を行う。ディスク90は、次世代MD1のディスク、次世代MD2のディスク、または現行のMDのディスクである。メディアドライブ部2の内部構成は図18で後述する。
【0100】
メモリ転送コントローラ3は、メディアドライブ部2からの再生データやメディアドライブ部2に供給する記録データについての受け渡しの制御を行う。
【0101】
クラスタバッファメモリ4は、メモリ転送コントローラ3の制御に基づいて、メディアドライブ部2によってディスク90のデータトラックからレコーディングブロック単位で読み出されたデータのバッファリングを行う。
【0102】
補助メモリ5は、メモリ転送コントローラ3の制御に基づいて、メディアドライブ部2によってディスク90から読み出された各種管理情報や特殊情報を記憶する。
【0103】
システムコントローラ9は、ディスクドライブ装置1内の全体の制御を行うと共に、接続されたパーソナルコンピュータ100との間の通信制御を行う。
【0104】
すなわち、システムコントローラ9は、USBインターフェース8、USBハブ7を介して接続されたパーソナルコンピュータ100との間で通信可能とされ、書込要求、読出要求等のコマンドの受信やステイタス情報その他の必要情報の送信などを行う。
【0105】
システムコントローラ9は、例えばディスク90がメディアドライブ部2に装填されることに応じて、ディスク90からの管理情報等の読出をメディアドライブ部2に指示し、メモリ転送コントローラ3によって読み出した管理情報等を補助メモリ5に格納させる。
【0106】
パーソナルコンピュータ100からのあるFATセクタの読出要求があった場合は、システムコントローラ9はメディアドライブ部2に、そのFATセクタを含むレコーディングブロックの読み出しを実行させる。読み出されたレコーディングブロックのデータはメモリ転送コントローラ3によってクラスタバッファメモリ4に書き込まれる。
【0107】
システムコントローラ9はクラスタバッファメモリ4に書き込まれているレコーディングブロックのデータから、要求されたFATセクタのデータを読み出させ、USBインターフェース6、USBハブ7を介してパーソナルコンピュータ100に送信させる制御を行う。
【0108】
パーソナルコンピュータ100からのあるFATセクタの書き込み要求があった場合は、システムコントローラ9はメディアドライブ部2に、まずそのFATセクタを含むレコーディングブロックの読み出しを実行させる。読み出されたレコーディングブロックはメモリ転送コントローラ3によってクラスタバッファメモリ4に書き込まれる。
【0109】
システムコントローラ9は、パーソナルコンピュータ100からのFATセクタのデータ(記録データ)をUSBインターフェース6を介してメモリ転送コントローラ3に供給させ、クラスタバッファメモリ4上で、該当するFATセクタのデータの書き換えを実行させる。
【0110】
システムコントローラ9は、メモリ転送コントローラ3に指示して、必要なFATセクタが書き換えられた状態でクラスタバッファメモリ4に記憶されているレコーディングブロックのデータを、記録データとしてメディアドライブ部2に転送させる。メディアドライブ部2では、そのレコーディングブロックの記録データを変調してディスク90に書き込む。
【0111】
システムコントローラ9に対して、操作部50が接続される。操作部50は、各種のキーやボタン、スイッチなどの操作子により構成され、ユーザによる操作子の操作に応じた制御信号を出力する。この制御信号がシステムコントローラ9に供給され、制御信号に基づくシステムコントローラ9の制御により、ディスクドライブ装置1の動作が制御される。
【0112】
操作部50に設けられる操作子としては、他にも、回転させることにより回転角に応じた制御信号を出力するようにされたロータリエンコーダや、回転操作および押圧操作を組み合わせて制御信号を出力するジョグダイヤル、上下方向への操作と押圧操作とでそれぞれ対応する制御信号を出力する集中コントローラなどを用いることができる。
【0113】
ディスクドライブ装置1に対して、例えばLCD(Liquid Crystal Display)からなるディスプレイ51が設けられる。ディスプレイ51は、例えばドット単位の表示を組み合わせてテキストデータや簡単なアイコンなどの表示が可能とされる。ディスプレイ51は、システムコントローラ9から供給される表示制御信号に基づき、このディスクドライブ装置1の状態に関する情報や、ユーザに対するメッセージ、トラックの選択情報などを表示する。
【0114】
オーディオ処理部10は、入力系として、例えばライン入力回路/マイクロホン入力回路等のアナログ音声信号入力部、A/D変換器や、ディジタルオーディオデータ入力部を備える。また、オーディオ処理部10はATRAC圧縮エンコーダ/デコーダや、圧縮データのバッファメモリを備える。更に、オーディオ処理部10は、出力系として、ディジタルオーディオデータ出力部や、D/A変換器およびライン出力回路/ヘッドホン出力回路等のアナログ音声信号出力部を備える。
【0115】
ディスク90が現行のMDのディスクの場合には、ディスク90に対してオーディオトラックが記録されるときに、オーディオ処理部10にディジタルオーディオデータ(またはアナログ音声信号)が入力される。入力されたリニアPCMディジタルオーディオデータ、あるいはアナログ音声信号で入力されA/D変換器で変換されて得られたリニアPCMオーディオデータは、ATRAC圧縮エンコードされ、バッファメモリに蓄積される。そして所定タイミング(ADIPクラスタ相当のデータ単位)でバッファメモリから読み出されてメディアドライブ部2に転送される。メディアドライブ部2では、転送されてくる圧縮データを、EFMで変調してディスク90にオーディオトラックとして書き込みを行う。
【0116】
ディスク90が現行のMDシステムのディスクの場合には、ディスク90のオーディオトラックが再生されるときには、メディアドライブ部2は再生データをATRAC圧縮データ状態に復調して、メモリ転送コントローラ3を介してオーディオ処理部10に転送する。オーディオ処理部10は、ATRAC圧縮デコードを行ってリニアPCMオーディオデータとし、ディジタルオーディオデータ出力部から出力する。あるいはD/A変換器によりアナログ音声信号としてライン出力/ヘッドホン出力を行う。
【0117】
なお、パーソナルコンピュータ100との接続はUSBでなく、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394等の他の外部インターフェースが用いられても良い。
【0118】
記録再生データ管理は、FATシステムを使って行われ、レコーディングブロックとFATセクタとの変換については、本願出願人が先に提案した特願2001−289380号の明細書中に詳細に記載してある。
【0119】
続いて、データトラックおよびオーディオトラックの両方について記録再生を行う機能を有するものとしてのメディアドライブ部2の構成を図18を参照して説明する。
【0120】
図18は、メディアドライブ部2の構成を示すものである。メディアドライブ部2は、現行のMDシステムのディスクと、次世代MD1のディスクと、次世代MD2のディスクとが装填されるターンテーブルを有しており、メディアドライブ部2では、ターンテーブルに装填されたディスク90をスピンドルモータ29によってCLV方式で回転駆動させる。このディスク90に対しては記録/再生時に光学ヘッド19によってレーザ光が照射される。
【0121】
光学ヘッド19は、記録時には記録トラックをキュリー温度まで加熱するための高レベルのレーザ出力を行い、また再生時には磁気カー効果により反射光からデータを検出するための比較的低レベルのレーザ出力を行う。このため、光学ヘッド19には、ここでは詳しい図示は省略するがレーザ出力手段としてのレーザダイオード、偏光ビームスプリッタや対物レンズ等からなる光学系、および反射光を検出するためのディテクタが搭載されている。光学ヘッド19に備えられる対物レンズとしては、例えば2軸機構によってディスク半径方向およびディスクに接離する方向に変位可能に保持されている。
【0122】
また、ディスク90を挟んで光学ヘッド19と対向する位置には磁気ヘッド18が配置されている。磁気ヘッド18は記録データによって変調された磁界をディスク90に印加する動作を行う。また、図示しないが光学ヘッド19全体および磁気ヘッド18をディスク半径方向に移動させためスレッドモータおよびスレッド機構が備えられている。
【0123】
光学ヘッド19および磁気ヘッド18は、次世代MD2のディスクの場合には、パルス駆動磁界変調を行うことで、微少なマークを形成することができる。現行MDのディスクや、次世代MD1のディスクの場合には、DC発光の磁界変調方式とされる。
【0124】
このメディアドライブ部2では、光学ヘッド19、磁気ヘッド18による記録再生ヘッド系、スピンドルモータ29によるディスク回転駆動系のほかに、記録処理系、再生処理系、サーボ系等が設けられる。
【0125】
なお、ディスク90としては、現行のMD仕様のディスクと、次世代MD1の仕様のディスクと、次世代MD2の仕様のディスクとが装着される可能性がある。これらのディスクにより、線速度が異なっている。スピンドルモータ29は、これら線速度の異なる複数種類のディスクに対応する回転速度で回転させることが可能である。ターンテーブルに装填されたディスク90は、現行のMD仕様のディスクの線速度と、次世代MD1の仕様のディスクの線速度と、次世代MD2の仕様のディスクの線速度とに対応して回転される。
【0126】
記録処理系では、現行のMDシステムのディスクの場合に、オーディオトラックの記録時に、ACIRCでエラー訂正符号化を行い、EFMで変調してデータを記録する部位と、次世代MD1または次世代MD2の場合に、BISとLDCを組み合わせた方式でエラー訂正符号化を行い、1−7pp変調で変調して記録する部位が設けられる。
【0127】
再生処理系では、現行のMDシステムのディスクの再生時に、EFMの復調とACIRCによるエラー訂正処理と、次世代MD1または次世代MD2システムのディスクの再生時に、パーシャルレスポンスおよびビタビ復号を用いたデータ検出に基づく1−7復調と、BISとLDCによるエラー訂正処理とを行う部位が設けられる。
【0128】
また、現行のMDシステムや次世代MD1のADIP信号よるアドレスをデコードする部位と、次世代MD2のADIP信号をデコードする部位とが設けられる。
【0129】
光学ヘッド19のディスク90に対するレーザ照射によりその反射光として検出された情報(フォトディテクタによりレーザ反射光を検出して得られる光電流)は、RFアンプ21に供給される。
【0130】
RFアンプ21では入力された検出情報に対して電流−電圧変換、増幅、マトリクス演算等を行い、再生情報としての再生RF信号、トラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FE、グルーブ情報(ディスク90にトラックのウォブリングにより記録されているADIP情報)等を抽出する。
【0131】
現行のMDシステムのディスクを再生するときには、RFアンプで得られた再生RF信号は、EFM復調部24およびACIRCデコーダ25で処理される。すなわち再生RF信号は、EFM復調部24で2値化されてEFM信号列とされた後、EFM復調され、更にACIRCデコーダ25で誤り訂正およびデインターリーブ処理される。すなわちこの時点でATRAC圧縮データの状態となる。
【0132】
そして現行のMDシステムのディスクの再生時には、セレクタ26はB接点側が選択されており、その復調されたATRAC圧縮データがディスク90からの再生データとして出力される。
【0133】
一方、次世代MD1または次世代MD2のディスクを再生するときには、RFアンプで得られた再生RF信号は、RLL(1−7)PP復調部22およびRS−LDCデコーダ23で処理される。すなわち再生RF信号は、RLL(1−7)PP復調部22において、PR(1,2,1)MLまたはPR(1,−1)MLおよびビタビ復号を用いたデータ検出によりRLL(1−7)符号列としての再生データを得、このRLL(1−7)符号列に対してRLL(1−7)復調処理が行われる。そして更にRS−LDCデコーダ23で誤り訂正およびデインターリーブ処理される。
【0134】
そして次世代MD1または次世代MD2のディスクの再生時には、セレクタ26はA接点側が選択されており、その復調されたデータがディスク90からの再生データとして出力される。
【0135】
RFアンプ21から出力されるトラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FEはサーボ回路27に供給され、グルーブ情報はADIP復調部30に供給される。
【0136】
ADIP復調部30は、グルーブ情報に対してバンドパスフィルタにより帯域制限してウォブル成分を抽出した後、FM復調、バイフェーズ復調を行ってADIP信号を復調する。復調されたADIP信号は、アドレスデコーダ32およびアドレスデコーダ33に供給される。
【0137】
現行のMDシステムのディスクまたは次世代MD1のシステムのディスクでは、図10に示したように、ADIPセクタナンバが8ビットになっている。これに対して、次世代MD2のシステムのディスクでは、図12に示したように、ADIPセクタナンバが4ビットになっている。アドレスデコーダ32は、現行のMDまたは次世代MD1のADIPアドレスをデコードする。アドレスデコーダ33は、次世代MD2のアドレスをデコードする。
【0138】
アドレスデコーダ32および33でデコードされたADIPアドレスは、ドライブコントローラ31に供給される。ドライブコントローラ31ではADIPアドレスに基づいて、所要の制御処理を実行する。またグルーブ情報はスピンドルサーボ制御のためにサーボ回路27に供給される。
【0139】
サーボ回路27は、例えばグルーブ情報に対して再生クロック(デコード時のPLL系クロック)との位相誤差を積分して得られる誤差信号に基づき、CLVまたはCAVサーボ制御のためのスピンドルエラー信号を生成する。
【0140】
またサーボ回路27は、スピンドルエラー信号や、RFアンプ21から供給されたトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号、あるいはドライブコントローラ31からのトラックジャンプ指令、アクセス指令等に基づいて各種サーボ制御信号(トラッキング制御信号、フォーカス制御信号、スレッド制御信号、スピンドル制御信号等)を生成し、モータドライバ28に対して出力する。すなわち上記サーボエラー信号や指令に対して位相補償処理、ゲイン処理、目標値設定処理等の必要処理を行って各種サーボ制御信号を生成する。
【0141】
モータドライバ28では、サーボ回路27から供給されたサーボ制御信号に基づいて所要のサーボドライブ信号を生成する。ここでのサーボドライブ信号としては、二軸機構を駆動する二軸ドライブ信号(フォーカス方向、トラッキング方向の2種)、スレッド機構を駆動するスレッドモータ駆動信号、スピンドルモータ29を駆動するスピンドルモータ駆動信号となる。このようなサーボドライブ信号により、ディスク90に対するフォーカス制御、トラッキング制御、およびスピンドルモータ29に対するCLVまたはCAV制御が行われることになる。
【0142】
現行のMDシステムのディスクでオーディオデータを記録するときには、セレクタ16がB接点に接続され、したがってACIRCエンコーダ14およびEFM変調部15が機能することになる。この場合、オーディオ処理部10からの圧縮データはACIRCエンコーダ14でインターリーブおよびエラー訂正コード付加が行われた後、EFM変調部15でEFM変調が行われる。
【0143】
そしてEFM変調データがセレクタ16を介して磁気ヘッドドライバ17に供給され、磁気ヘッド18がディスク90に対してEFM変調データに基づいた磁界印加を行うことでオーディオトラックの記録が行われる。
【0144】
次世代MD1または次世代MD2のディスクにデータを記録するときには、セレクタ16がA接点に接続され、したがってRS−LDCエンコーダ12およびRLL(1−7)PP変調部13が機能することになる。この場合、メモリ転送コントローラ3からの高密度データはRS−LDCエンコーダ12でインターリーブおよびRS−LDC方式のエラー訂正コード付加が行われた後、RLL(1−7)PP変調部13でRLL(1−7)変調が行われる。
【0145】
そしてRLL(1−7)符号列としての記録データがセレクタ16を介して磁気ヘッドドライバ17に供給され、磁気ヘッド18がディスク90に対して変調データに基づいた磁界印加を行うことでデータトラックの記録が行われる。
【0146】
レーザドライバ/APC20は、上記のような再生時および記録時においてレーザダイオードにレーザ発光動作を実行させるが、いわゆるAPC(Automatic Lazer Power Control)動作も行う。
【0147】
すなわち、図示していないが、光学ヘッド19内にはレーザパワーモニタ用のディテクタが設けられ、そのモニタ信号がレーザドライバ/APC20にフィードバックされる。レーザドライバ/APC20は、モニタ信号として得られる現在のレーザパワーを、設定されているレーザパワーと比較して、その誤差分をレーザ駆動信号に反映させることで、レーザダイオードから出力されるレーザパワーが、設定値で安定するように制御している。
【0148】
なお、レーザパワーとしては、再生レーザパワー、記録レーザパワーとしての値がドライブコントローラ31によって、レーザドライバ/APC20内部のレジスタにセットされる。
【0149】
ドライブコントローラ31は、システムコントローラ9からの指示に基づいて、以上の各動作(アクセス、各種サーボ、データ書込、データ読出の各動作)が実行されるように制御を行う。
【0150】
なお、図18において一点鎖線で囲ったA部、B部は、例えば1チップの回路部として構成できる。
【0151】
5.次世代MD1および次世代MD2によるディスクの初期化処理について
次世代MD1および次世代MD2によるディスクには、上述したように、FAT外にUID(ユニークID)が記録され、この記録されたUIDを用いてセキュリティ管理がなされる。次世代MD1および次世代MD2に対応したディスクは、原則的には、ディスク上の所定位置にUIDが予め記録されて出荷される。次世代MD1に対応したディスクでは、UIDが例えばリードイン領域に予め記録される。この場合、UIDが予め記録される位置は、リードイン領域に限られず、例えば、ディスクの初期化後にUIDが書き込まれる位置が固定的であれば、その位置に予め記録しておくこともできる。次世代MD2および次世代MD1.5に対応したディスクでは、上述したBCAにUIDが予め記録される。
【0152】
一方、次世代MD1によるディスクは、現行のMDシステムによるディスクを用いることが可能とされている。そのため、UIDが記録されずに既に出回っている、多数の現行のMDシステムによるディスクが次世代MD1のディスクとして使用されることになる。
【0153】
そこで、このような、UIDが記録されずに出回ってしまった現行のMDシステムによるディスクに対しては、規格にて守られたエリアを設け、当該ディスクの初期化時にそのエリアにディスクドライブ装置1において乱数信号を記録し、これを当該ディスクのUIDとして用いる。また、ユーザがこのUIDが記録されたエリアにアクセスすることは、規格により禁止する。なお、UIDは、乱数信号に限定されない。例えば、メーカーコード、機器コード、機器シリアル番号および乱数を組み合わせて、UIDとして用いることができる。さらに、メーカーコード、機器コードおよび機器シリアル番号の何れかまたは複数と、乱数とを組み合わせて、UIDとして用いることもできる。
【0154】
図19は、次世代MD1によるディスクの一例の初期化処理を示すフローチャートである。最初のステップS100で、ディスク上の所定位置がアクセスされ、UIDが記録されているかどうかが確認される。UIDが記録されていると判断されれば、そのUIDが読み出され、例えば補助メモリ5に一時的に記憶される。
【0155】
ステップS100でアクセスされる位置は、例えばリードイン領域のような、次世代MD1システムによるフォーマットのFAT領域外である。当該ディスク90が、例えば過去に初期化されたことがあるディスクのように、既にDDTが設けられていれば、その領域をアクセスするようにしてもよい。なお、このステップS100の処理は、省略することが可能である。
【0156】
次に、ステップS101で、U−TOCがEFM変調により記録される。このとき、U−TOCに対して、アラートトラックと、上述の図2におけるDDT以降のトラック、すなわち1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域とを確保する情報が書き込まれる。次のステップS102で、ステップS101でU−TOCにより確保された領域に対して、アラートトラックがEFM変調により記録される。そして、ステップS103で、DDTが1−7pp変調により記録される。
【0157】
ステップS104では、UIDがFAT外の領域、例えばDDT内に記録される。上述のステップS100で、UIDがディスク上の所定位置から読み出され補助メモリ5に記憶されている場合、そのUIDが記録される。また、上述のステップS100で、ディスク上の所定位置にUIDが記録されていないと判断されていた場合、または、上述のステップS100が省略された場合には、乱数信号に基づきUIDが生成され、この生成されたUIDが記録される。UIDの生成は、例えばシステムコントローラ9によりなされ、生成されたUIDがメモリ転送コントローラ3を介してメディアドライブ2に供給され、ディスク90に記録される。
【0158】
次に、ステップS105で、FATなどのデータが、1−7pp変調でデータが変調されて記録される領域に対して記録される。すなわち、UIDの記録される領域は、FAT外の領域になる。また、上述したように、次世代MD1においては、FATで管理されるべきレコーダブル領域の初期化は、必ずしも必要ではない。
【0159】
図20は、次世代MD2および次世代MD1.5によるディスクの一例の初期化処理を示すフローチャートである。最初のステップS110でディスク上のBCAに相当する領域がアクセスされ、UIDが記録されているかどうかが確認される。UIDが記録されていると判断されれば、そのUIDが読み出され、例えば補助メモリ5に一時的に記憶される。なお、UIDの記録位置は、フォーマット上で固定的に決められているので、ディスク上の他の管理情報を参照することなく、直接的にアクセス可能とされる。これは、上述の図19を用いて説明した処理にも適用することができる。
【0160】
次のステップS111で、DDTが1−7pp変調で記録される。次に、ステップS112で、UIDがFAT外の領域、例えばDDTに記録される。このとき記録されるUIDは、上述のステップS110でディスク上の所定位置から読み出され補助メモリ5に記憶されたUIDが用いられる。ここで、上述のステップS110で、ディスク上の所定位置にUIDが記録されていないと判断されていた場合には、乱数信号に基づきUIDが生成され、この生成されたUIDが記録される。UIDの生成は、例えばシステムコントローラ9によりなされ、生成されたUIDがメモリ転送コントローラ3を介してメディアドライブ2に供給され、ディスク90に記録される。
【0161】
そして、ステップS113で、FATなどが記録される。すなわち、UIDの記録される領域は、FAT外の領域になる。また、上述したように、次世代MD2においては、FATで管理されるべきレコーダブル領域の初期化は、行われない。
【0162】
6.音楽データの第1の管理方式について
前述したように、この発明が適用された次世代MD1および次世代MD2のシステムでは、FATシステムでデータが管理される。また、記録されるオーディオデータは、所望の圧縮方式で圧縮され、著作者の権利の保護のために、暗号化される。オーディオデータの圧縮方式としては、例えば、ATRAC3、ATRAC5等を用いることが考えられている。勿論、MP3(MPEG1 Audio Layer−3 )やAAC(MPEG2 Advanced Audio Coding )等、それ以外の圧縮方式を用いることも可能である。また、オーディオデータばかりでなく、静止画データや動画データを扱うことも可能である。勿論、FATシステムを使っているので、汎用のデータの記録再生を行うこともできる。更に、コンピュータが読み取り可能でかつ実行可能な命令をディスク上に符号化することもでき、従って、次世代MD1または次世代MD2は、実行可能ファイルを含むこともできることになる。
【0163】
このような次世代MD1および次世代MD2の仕様のディスクにオーディオデータを記録再生するときの管理方式について説明する。
【0164】
次世代MD1のシステムや次世代MD2のシステムでは、長時間で高音質の音楽データが再生できるようにしたことから、1枚のディスクで管理される楽曲の数も、膨大になっている。また、FATシステムを使って管理することで、コンピュータとの親和性が図られている。このことは、本願発明者の認識によれば、使い勝手の向上が図れるというメリットがある反面、音楽データが違法にコピーされてしまい、著作権者の保護が図られなくなる可能性がある。この発明が適用された管理システムでは、このような点に配慮が配られている。
【0165】
図21は、オーディオデータの管理方式の第1の例である。図21に示すように、第1の例における管理方式では、ディスク上には、トラックインデックスファイルと、オーディオデータファイルとが生成される。トラックインデックスファイルおよびオーディオデータファイルは、FATシステムで管理されるファイルである。
【0166】
オーディオデータファイルは、図22に示すように、複数の音楽データが1つのファイルとして納められたものであり、FATシステムでオーディオデータファイルを見ると、巨大なファイルに見える。オーディオデータファイルは、その内部がパーツとして区切られ、オーディオデータは、パーツの集合として扱われる。
【0167】
トラックインデックスファイルは、オーディオデータファイルに納められた音楽データを管理するための各種の情報が記述されたファイルである。トラックインデックスファイルは、図23に示すように、プレイオーダテーブルと、プログラムドプレイオーダテーブルと、グループインフォメーションテーブルと、トラックインフォメーションテーブルと、パーツインフォメーションテーブルと、ネームテーブルとからなる。
【0168】
プレイオーダテーブルは、デフォルトで定義された再生順序を示すテーブルである。プレイオーダテーブルは、図24に示すように、各トラックナンバ(曲番)についてのトラックインフォメーションテーブルのトラックデスクリプタ(図27)へのリンク先を示す情報TINF1、TINF2、…が格納されている。トラックナンバは、例えば「1」から始まる連続したナンバである。
【0169】
プログラムドプレイオーダテーブルは、再生手順を各ユーザが定義したテーブルである。プログラムドプレイオーダテーブルには、図25に示すように、各トラックナンバについてのトラックデスクリプタへのリンク先の情報トラック情報PINF1、PINF2、…が記述されている。
【0170】
グループインフォメーションテーブルには、図26に示すように、グループに関する情報が記述されている。グループは、連続したトラックナンバを持つ1つ以上のトラックの集合、または連続したプログラムドトラックナンバを持つ1つ以上のトラックの集合である。グループインフォメーションテーブルは、図26Aに示すように、各グループのグループデスクリプタで記述されている。グループデスクリプタには、図26Bに示すように、そのグループが開始されるトラックナンバと、終了トラックのナンバと、グループネームと、フラグが記述される。
【0171】
トラックインフォメーションテーブルは、図27に示すように、各曲に関する情報が記述される。トラックインフォメーションテーブルは、図27Aに示すように、各トラック毎(各曲毎)のトラックデスクリプタからなる。各トラックデスクリプタには、図27Bに示すように、符号化方式、著作権管理情報、コンテンツの復号鍵情報、その楽曲が開始するエントリとなるパーツナンバへのポインタ情報、アーチストネーム、タイトルネーム、元曲順情報、録音時間情報等が記述されている。アーチストネーム、タイトルネームは、ネームそのものではなく、ネームテーブルへのポインタ情報が記述されている。符号化方式は、コーデックの方式を示すもので、復号情報となる。
【0172】
パーツインフォメーションテーブルは、図28に示すように、パーツナンバから実際の楽曲の位置をアクセスするポインタが記述されている。パーツインフォメーションテーブルは、図28Aに示すように、各パーツ毎のパーツデスクリプタからなる。パーツとは、1トラック(楽曲)の全部、または1トラックを分割した各パーツである。図28Bは、パーツインフォメーションテーブル内のパーツデスクリプタのエントリを示している。各パーツデスクリプタは、図28Bに示すように、オーディオデータファイル上のそのパーツの先頭のアドレスと、そのパーツの終了のアドレスと、そのパーツに続くパーツへのリンク先とが記述される。
【0173】
なお、パーツナンバのポインタ情報、ネームテーブルのポインタ情報、オーディオファイルの位置を示すポインタ情報として用いるアドレスとしては、ファイルのバイトオフセット、パーツデスクリプタナンバ、FATのクラスタナンバ、記録媒体として用いられるディスクの物理アドレス等を用いることができる。ファイルのバイトオフセットは、この発明において実施されうるオフセット方法のうちの特定の実施態様である。ここで、パーツポインタ情報は、オーディオファイルの開始からのオフセット値であり、その値は所定の単位(例えば、バイト、ビット、nビットのブロック)で表される。
【0174】
ネームテーブルは、ネームの実体となる文字を表すためのテーブルである。ネームテーブルは、図29Aに示すように、複数のネームスロットからなる。各ネームスロットは、ネームを示す各ポインタからリンクされて呼び出される。ネームを呼び出すポインタは、トラックインフォメーションテーブルのアーチストネームやタイトルネーム、グループインフォメーションテーブルのグループネーム等がある。また、各ネームスロットは、複数から呼び出されることが可能である。各ネームスロットは、図29Bに示すように、文字情報であるネームデータと、この文字情報の属性であるネームタイプと、リンク先とからなる。1つのネームスロットで収まらないような長いネームは、複数のネームスロットに分割して記述することが可能である。そして、1つのネームスロットで収まらない場合には、それに続くネームが記述されたネームスロットへのリンク先が記述される。
【0175】
この発明が適用されたシステムにおけるオーディオデータの管理方式の第1の例では、図30に示すように、プレイオーダテーブル(図24)により、再生するトラックナンバが指定されると、トラックインフォメーションテーブルのリンク先のトラックデスクリプタ(図27)が読み出され、このトラックデスクリプタから、符号化方式、著作権管理情報、コンテンツの復号鍵情報、その楽曲が開始するパーツナンバへのポインタ情報、アーチストネームおよびタイトルネームのポインタ、元曲順情報、録音時間情報等が読み出される。
【0176】
トラックインフォメーションテーブルから読み出されたパーツナンバの情報から、パーツインフォメーションテーブル(図28)にリンクされ、このパーツインフォメーションテーブルから、そのトラック(楽曲)の開始位置に対応するパーツの位置のオーディオデータファイルがアクセスされる。オーディオデータファイルのパーツインフォメーションテーブルで指定される位置のパーツのデータがアクセスされたら、その位置から、オーディオデータの再生が開始される。このとき、トラックインフォメーションテーブルのトラックデスクリプタから読み出された符号化方式に基づいて復号化が行われる。オーディオデータが暗号化されている場合には、トラックデスクリプタから読み出された鍵情報が使われる。
【0177】
そのパーツに続くパーツがある場合には、そのパーツのリンク先がパーツデスクリプタが記述されており、このリンク先にしたがって、パーツデスクリプタが順に読み出される。このパーツデスクリプタのリンク先を辿っていき、オーディオディデータファイル上で、そのパーツデスクリプタで指定される位置にあるパーツのオーディオデータを再生していくことで、所望のトラック(楽曲)のオーディオディオデータが再生できる。
【0178】
また、トラックインフォメーションテーブルから読み出されたアーチストネームやタイトルネームのポインタにより指し示される位置(ネームポインタ情報)にあるネームテーブルのネームスロット(図29)が呼び出され、その位置にあるネームスロットから、ネームデータが読み出される。ネームポインタ情報は、例えば、ネームスロットナンバ、FATシステムにおけるクラスタナンバ、または記録媒体の物理アドレスであってもよい。
【0179】
なお、前述したように、ネームテーブルのネームスロットは、複数参照が可能である。例えば、同一のアーチストの楽曲を複数記録するような場合がある。この場合、図31に示すように、複数のトラックインフォメーションテーブルからアーチストネームとして同一のネームテーブルが参照される。図31の例では、トラックデスクリプタ「1」とトラックデスクリプタ「2」とトラックデスクリプタ「4」は、全て同一のアーチスト「DEF BAND」の楽曲であり、アーチストネームとして同一のネームスロットを参照している。また、トラックデスクリプタ「3」とトラックデスクリプタ「5」とトラックデスクリプタ「6」は、全て同位置のアーチスト「GHQ GIRLS」の楽曲であり、アーチストネームとして同一のネームスロットを参照している。このように、ネームテーブルのネームスロットを、複数のポインタから参照可能にしておくと、ネームテーブルの容量を節約できる。
【0180】
これとともに、例えば、同一のアーチストネームの情報を表示するのに、こののネームテーブルへのリンクが利用できる。例えば、アーチスト名が「DEF BAND」の楽曲の一覧を表示したいような場合には、「DEF BAND」のネームスロットのアドレスを参照しているトラックデスクリプタが辿られる。この例では、「DEF BAND」のネームスロットのアドレスを参照しているトラックデスクリプタを辿ることにより、トラックデスクリプタ「1」とトラックデスクリプタ「2」とトラックデスクリプタ「4」の情報が得られる。これにより、このディスクに納められている楽曲の中で、アーチスト名が「DEF BAND」の楽曲の一覧が表示できる。なお、ネームテーブルは複数参照が可能とされるため、ネームテーブルからトラックインフォメーションテーブルを逆に辿るリンクは設けられていない。
【0181】
新たにオーディオデータを記録する場合には、FATテーブルにより、所望の数のレコーディングブロック以上、例えば、4つのレコーディングブロック以上連続した未使用領域が用意される。所望のレコーディングブロック以上連続した領域を確保するのは、なるべく連続した領域にオーディオデータを記録した方がアクセスに無駄がないためである。
【0182】
オーディオデータを記録するための領域が用意されたら、新しいトラックデスクリプターがトラックインフォメーションテーブル上に1つ割り当てられ、このオーディオディデータを暗号化するためのコンテンツの鍵が生成される。そして、入力されたオーディオデータが暗号化され、用意された未使用領域に、暗号化されたオーディオデータが記録される。このオーディオデータが記録された領域がFATのファイルシステム上でオーディオデータファイルの最後尾に連結される。
【0183】
新たなオーディオデータがオーディオデータファイルに連結されたのに伴い、この連結された位置の情報が作成され、新たに確保されたパーツデスクリプションに、新たに作成されたオーディオデータの位置情報が記録される。そして、新たに確保されたトラックデスクリプターに、鍵情報やパーツナンバが記述される。更に、必要に応じて、ネームスロットにアーチストネームやタイトルネーム等が記述され、トラックデスクリプターに、そのネームスロットにアーチストネームやタイトルネームにリンクするポインタが記述される。そして、プレイオーダーテーブルに、そのトラックデスクリプターのナンバが登録される。また著作権管理情報の更新がなされる。
【0184】
オーディオデータを再生する場合には、プレイオーダーテーブルから、指定されたトラックナンバに対応する情報が求められ、再生すべきトラックのトラックデスクリプタが取得される。
【0185】
トラックインフォメーションテーブルのそのトラックデスクリプタから、鍵情報が取得され、また、エントリのデータが格納されている領域を示すパーツデスクリプションが取得される。そのパーツデスクリプションから、所望のオーディオデータが格納されているパーツの先頭のオーディオデータファイル上の位置が取得され、その位置に格納されているデータが取り出される。そして、その位置から再生されるデータに対して、取得された鍵情報を用いて暗号が解読され、オーディオデータの再生がなされる。パーツデスクリプションにリンクがある場合には、指定されてパーツにリンクされて、同様の手順が繰り返される。
【0186】
プレイオーダテーブル上で、トラックナンバ「n」であった楽曲を、トラックナンバ「n+m」に変更する場合には、プレイオーダテーブル内のトラック情報TINFnから、そのトラックの情報が記述されているトラックデスクリプターDnが得られる。トラック情報TINFn+1からTINFn+mの値(トラックデスクリプターナンバ)が全て1つ前に移動される。そして、トラック情報TINFn+mに、トラックデスクリプターDnのナンバが格納される。
【0187】
プレイオーダテーブルで、トラックナンバ「n」であった楽曲を削除する場合には、プレイオーダテーブル内のトラック情報TINFnから、そのトラック の情報が記述されているトラックデスクリプタDnが取得される。プレイオーダテーブル内のトラック情報のエントリ、TINFn+1から後の有効なトラックデスクリプタナンバが全て1つ前に移動される。更に、トラック「n」は、消されるべきものなので、トラック「n」の後の全てのトラック情報のエントリが、プレイオーダテーブル内で1つ前に移動される。前記トラックの消去に伴って取得されたトラックデスクリプタDnから、トラックインフォメーションテーブルで、そのトラックに対応する符号化方式、復号鍵が取得れるとともに、先頭の音楽データが格納されている領域を示すパーツデスクリプタPnのナンバが取得される。パーツデスクリプタPnによって指定された範囲のオーディオブロックが、FATのファイルシステム上で、オーディオデータファイルから切り離される。更に、このトラックインフォメーションテーブルのそのトラックのトラックデスクリプタDnが消去される。そして、パーツデスクリプタがパーツインフォメーションテーブルから消去され、ファイルシステムでそのパーツデスクリプションが解放される。
【0188】
例えば、図32Aにおいて、パーツA、パーツB、パーツCはそれまで連結しており、その中から、パーツBを削除するものとする。パーツAパーツBは同じオーディオブロックを(かつ同じFATクラスタを)共有しており、FATチェーンが連続しているとする。パーツCは、オーディオデータファイルの中ではパーツBの直後に位置しているが、FATテーブルを調べると、実際には離れた位置にあるとする。
【0189】
この例の場合には、図32Bに示すように、パーツBを削除したときに、実際にFATチェーンから外す(空き領域に戻す)ことができるのは、現行のパーツとクラスタを共有していない、2つのFATクラスタである。すなわち、オーディオデータファイルとしては4オーディオブロックに短縮される。パーツCおよびそれ以降にあるパーツに記録されているオーディオブロックのナンバは、これに伴い全て4だけ小さくなる。
【0190】
なお、削除は、1トラック全てではなく、そのトラックの一部に対して行うことができる。トラックの一部が削除された場合には、残りのトラックの情報は、トラックインフォメーションテーブルでそのパーツデスクリプタPnから取得されたそのトラックに対応する符号化方式、復号鍵を使って復号することが可能である。
【0191】
プレイオーダテーブル上のトラックnとトラックn+1とを連結する場合には、プレイオーダテーブル内のトラック情報TINFnから、そのトラックの情報が記述されているトラックデスクリプタナンバDnが取得される。また、プレイオーダテーブル内のトラック情報TINFn+1から、そのトラックの情報が記述されているトラックデスクリプタナンバDmが取得される。プレイオーダテーブル内のTINFn+1から後の有効なTINFの値(トラックデスクリプタナンバ)が全て1つ前のTINFに移動される。プログラムドプレイオーダテーブルを検索して、トラックデスクリプタDmを参照しているトラックが全て削除される。新たな暗号化鍵を発生させ、トラックデスクリプタDnから、パーツデスクリプタのリストが取り出され、そのパーツデスクリプタのリストの最後尾に、トラックデスクリプタDmから取り出したパーツデスクリプタのリストが連結される。
【0192】
トラックを連結する場合には、双方のトラックデスクリプタを比較して、著作権管理上問題のないことを確認し、トラックデスクリプタからパーツデスクリプタを得て、双方のトラックを連結した場合にフラグメントに関する規定が満たされるかどうか、FATテーブルで確認する必要がある。また、必要に応じて、ネームテーブルへのポインタの更新を行う必要がある。
【0193】
トラックnを、トラックnとトラックn+1に分割する場合には、プレイオーダテーブル内のTINFnから、そのトラックの情報が記述されているトラックデスクリプタナンバDnが取得される。プレイオーダテーブル内のトラック情報TINFn+1から、そのトラックの情報が記述されているトラックデスクリプタナンバDm取得される。そして、プレイオーダテーブル内のTINFn+1から後の有効なトラック情報TINFの値(トラックデスクリプタナンバ)が、全て1つ後に移動される。トラックデスクリプタDnについて、新しい鍵が生成される。トラックデスクリプタDnから、パーツデスクリプタのリストが取り出される。新たなパーツデスクリプタが割り当てられ、分割前のパーツデスクリプタの内容がそこにコピーされる。分割点の含まれるパーツデスクリプタが、分割点の直前までに短縮される。また分割点以降のパーツデスクリプタのリンクが打ち切られる。新たなパーツデスクリプタが分割点の直後に設定される。
【0194】
7.音楽データの管理方式の第2の例
次に、オーディオデータの管理方式の第2の例について説明する。図33は、オーディオデータの管理方式の第2の例である。図33に示すように、第2の例における管理方式では、ディスク上には、トラックインデックスファイルと、複数のオーディオデータファイルとが生成される。トラックインデックスファイルおよび複数のオーディオデータファイルは、FATシステムで管理されるファイルである。
【0195】
オーディオデータファイルは、図34に示すように、原則的には1曲が1ファイルの音楽データが納められたものである。このオーディオデータファイルには、ヘッダが設けられている。ヘッダには、タイトルと、復号鍵情報と、著作権管理情報とが記録されるとともに、インデックス情報が設けられる。インデックスは、1つのトラックの楽曲を複数に分割するものである。ヘッダには、インデックスにより分割された各トラックの位置がインデックスナンバに対応して記録される。インデックスは、例えば、255箇設定できる。
【0196】
トラックインデックスファイルは、オーディオデータファイルに納められた音楽データを管理するための各種の情報が記述されたファイルである。トラックインデックスファイルは、図35に示すように、プレイオーダテーブルと、プログラムドプレイオーダテーブルと、グループインフォメーションテーブルと、トラックインフォメーションテーブルと、ネームテーブルとからなる。
【0197】
プレイオーダテーブルは、デフォルトで定義された再生順序を示すテーブルである。プレイオーダテーブルは、図36に示すように、各トラックナンバ(曲番)についてのトラックインフォメーションテーブルのトラックデスクリプタ(図39)へのリンク先を示す情報TINF1、TINF2、…が格納されている。トラックナンバは、例えば「1」から始まる連続したナンバである。
【0198】
プログラムドプレイオーダテーブルは、再生手順を各ユーザが定義したテーブルである。プログラムドプレイオーダテーブルには、図37に示すように、各トラックナンバについてのトラックデスクリプタへのリンク先の情報トラック情報PINF1、PINF2、…が記述されている。
【0199】
グループインフォメーションテーブルには、図38に示すように、グループに関する情報が記述されている。グループは、連続したトラックナンバを持つ1つ以上のトラックの集合、または連続したプログラムドトラックナンバを持つ1つ以上のトラックの集合である。グループインフォメーションテーブルは、図38Aに示すように、各グループのグループデスクリプタで記述されている。グループデスクリプタには、図38Bに示すように、そのグループが開始されるトラックナンバと、終了トラックのナンバと、グループネームと、フラグが記述される。
【0200】
トラックインフォメーションテーブルは、図39に示すように、各曲に関する情報が記述される。トラックインフォメーションテーブルは、図39Aに示すように、各トラック毎(各曲毎)のトラックデスクリプタからなる。各トラックデスクリプタには、図39Bに示すように、その楽曲が納められているオーディオデータファイルのファイルのポインタ、インデックスナンバ、アーチストネーム、タイトルネーム、元曲順情報、録音時間情報等が記述されている。アーチストネーム、タイトルネームは、ネームそのものではなく、ネームテーブルへのポインタが記述されている。
【0201】
ネームテーブルは、ネームの実体となる文字を表すためのテーブルである。ネームテーブルは、図40Aに示すように、複数のネームスロットからなる。各ネームスロットは、ネームを示す各ポインタからリンクされて呼び出される。ネームを呼び出すポインタは、トラックインフォメーションテーブルのアーチストネームやタイトルネーム、グループインフォメーションテーブルのグループネーム等がある。また、各ネームスロットは、複数から呼び出されることが可能である。各ネームスロットは、図40Bに示すように、ネームデータと、ネームタイプと、リンク先とからなる。1つのネームスロットで収まらないような長いネームは、複数のネームスロットに分割して記述することが可能である。そして、1つのネームスロットで収まらない場合には、それに続くネームが記述されたネームスロットへのリンク先が記述される。
【0202】
オーディオデータの管理方式の第2の例では、図41に示すように、プレイオーダテーブル(図36)により、再生するトラックナンバが指定されると、トラックインフォメーションテーブルのリンク先のトラックデスクリプタ(図39)が読み出され、このトラックデスクリプタから、その楽曲のファイルポインタおよびインデックスナンバ、アーチストネームおよびタイトルネームのポインタ、元曲順情報、録音時間情報等が読み出される。
【0203】
その楽曲のファイルのポインタから、そのオーディオデータファイルがアクセスされ、そのオーディオデータファイルのヘッダの情報が読み取られる。オーディオデータが暗号化されている場合には、ヘッダから読み出された鍵情報が使われる。そして、そのオーディオデータファイルが再生される。このとき、もし、インデックスナンバが指定されている場合には、ヘッダの情報から、指定されたインデックスナンバの位置が検出され、そのインデックスナンバの位置から、再生が開始される。
【0204】
また、トラックインフォメーションテーブルから読み出されたアーチストネームやタイトルネームのポインタにより指し示される位置にあるネームテーブルのネームスロットが呼び出され、その位置にあるネームスロットから、ネームデータが読み出される。
【0205】
新たにオーディオデータを記録する場合には、FATテーブルにより、所望の数のレコーディングブロック以上、例えば、4つのレコーディングブロック以上連続した未使用領域が用意される。
【0206】
オーディオデータを記録するための領域が用意されたら、トラックインフォメーションテーブルに新しいトラックデスクリプタが1つ割り当てられ、このオーディオディデータを暗号化するためのコンテンツ鍵が生成される。そして、入力されたオーディオデータが暗号化され、オーディオデータファイルが生成される。
【0207】
新たに確保されたトラックデスクリプタに、新たに生成されたオーディオデータファイルのファイルポインタや、鍵情報が記述される。更に、必要に応じて、ネームスロットにアーチストネームやタイトルネーム等が記述され、トラックデスクリプターに、そのネームスロットにアーチストネームやタイトルネームにリンクするポインタが記述される。そして、プレイオーダーテーブルに、そのトラックデスクリプターのナンバが登録される。また著作権管理情報の更新がなされる。
【0208】
オーディオデータを再生する場合には、プレイオーダーテーブルから、指定されたトラックナンバに対応する情報が求められ、トラックインフォメーションテーブルの再生すべきトラックのトラックデスクリプタが取得される。
【0209】
そのトラックデスクリプタから、またその音楽データが格納されているオーディオデータのファイルポインタおよびインデックスナンバが取得される。そして、そのオーディオデータファイルがアクセスされ、ファイルのヘッダから、鍵情報が取得される。そして、そのオーディオデータファイルのデータに対して、取得された鍵情報を用いて暗号が解読され、オーディオデータの再生がなされる。インデックスナンバが指定されている場合には、指定されたインデックスナンバの位置から、再生が開始される。
【0210】
トラックnを、トラックnとトラックn+1に分割する場合には、プレイオーダテーブル内のTINFnから、そのトラックの情報が記述されているトラックデスクリプタナンバDnが取得される。プレイオーダテーブル内のトラック情報TINFn+1から、そのトラックの情報が記述されているトラックデスクリプタナンバDmが取得される。そして、プレイオーダテーブル内のTINFn+1から後の有効なトラック情報TINFの値(トラックデスクリプタナンバ)が、全て1つ後に移動される。
【0211】
図42に示すように、インデックスを使うことにより、1つのファイルのデータは、複数のインデックス領域に分けられる。このインデックスナンバとインデックス領域の位置がそのオーディオトラックファイルのヘッダに記録される。トラックデスクリプタDnに、オーディオデータのファイルポインタと、インデックスナンバが記述される。トラックデスクリプタDmに、オーディオデータのファイルポインタと、インデックスナンバが記述される。これにより、オーディオファイルの1つのトラックの楽曲M1は、見かけ上、2つのトラックの楽曲M11とM12とに分割される。
【0212】
プレイオーダテーブル上のトラックnとトラックn+1とを連結する場合には、プレイオーダテーブル内のトラック情報TINFnから、そのトラックの情報が記述されているトラックデスクリプタナンバDnが取得される。また、プレイオーダテーブル内のトラック情報TINFn+1から、そのトラックの情報が記述されているトラックデスクリプタナンバDmが取得される。プレイオーダテーブル内のTINFn+1から後の有効なTINFの値(トラックデスクリプタナンバ)が全て1つ前に移動される。
【0213】
ここで、トラックnとトラックn+1とが同一のオーディオデータファイル内にあり、インデックスで分割されている場合には、図43に示すように、ヘッダのインデックス情報を削除することで、連結が可能である。これにより、2つのトラックの楽曲M21とM22は、1つのトラックの楽曲M23に連結される。
【0214】
トラックnが1つのオーディオデータファイルをインデックスで分割した後半であり、トラックn+1が別のオーディオデータファイルの先頭にある場合には、図44に示すように、インデックスで分割されていたトラックnのデータにヘッダが付加され、楽曲M32のオーディオデータファイルが生成される。これに、トラックn+1のオーディオデータファイルのヘッダが取り除かれ、この楽曲M41のトラックn+1のオーディオデータが連結される。これにより、2つのトラックの楽曲M32とM41は、1つのトラックの楽曲M51として連結される。
【0215】
以上の処理を実現するために、インデックスで分割されていたトラックに対して、ヘッダを付加し、別の暗号鍵で暗号化して、インデックスによるオーディオディデータを1つのオーディオデータファイルに変換する機能と、オーディオデータファイルのヘッダを除いて、他のオーディオデータファイルに連結する機能が持たされている。
【0216】
8.選曲方法について
次に、この発明の実施の一形態について説明する。この発明では、トラックの配列を2次元的に表示して再生トラック選択の際の操作回数を減らすようにしている。例えば、トラックをドットのシンボルを用いて表現し、このシンボルを表示手段に2次元的に配置する。このシンボルを操作手段で特定していき、所望のトラックに対応するシンボルを選択することで、そのトラックを再生することができるようにする。
【0217】
図45は、ディスクドライブ装置1の一例の外観を概略的に示す。ディスクドライブ装置1の表面側に操作部50と表示部51とが所定に配置される。操作部50は、表面側だけでなく、操作子100のように側面側にさらに配置してもよいし、裏面側にも配置することができる。
【0218】
操作部50において、操作子100は、2方向の回転操作と押圧操作とが可能とされたジョグダイヤルである。操作子101は、集中コントロールキーであって、4方向への押圧と、中央部の押圧の5種類の操作が可能とされている。ここでは、操作子101の4方向への操作方向を図45の表現に倣って上下左右方向として記述する。同様に、操作子の2方向の回転操作を上下方向への回転として記述する。なお、操作子100および101は、何方か一方を設けるようにしてもよい。
【0219】
スイッチ103は、録音開始を指示するスライドスイッチである。キー104は、グループ機能を制御するためのキーである。キー105および106は、それぞれ再生または録音の一時停止および停止を指示する。操作子102は、蓋開閉用のボタンであって、この操作子102を操作してディスクドライブ装置1の蓋を開けて、ディスク90を装置内に装填する。また、ジャック107および108は、それぞれ音声信号入力用、出力用のジャックであって、オーディオ処理部10に接続される。ジャック108にヘッドフォンなどを接続することで、装置内に装填されたディスク90から再生された再生音を聞くことができる。
【0220】
図46は、表示部51の一例の構成を示す。この実施の一形態においては、表示部51は、表示素子としてはLCD(Liquid Crystal Display)が用いられ、セグメント表示部51Aと文字表示部51Bとからなる。セグメント表示部51Aは、複数のアイコンや固定的な文字が配置され、ディスクドライブ装置1の状態や設定などが表示される。ドットマトリクス部51Bは、ドットのON/OFFの組み合わせで文字や記号、図形などを表示することができるようにされている。なお、表示部51の表示素子は、LCDに限定されない。
【0221】
図47は、表示部51のうちドットマトリクス部51Bを抜き出して示し、表示部51に対するこの発明の実施の一形態による一例のトラック表示を示す。この図47Aの例では、ドットマトリクス部51Bは、1文字が5×7ドットで表現され、9文字×3行が表示可能とされている。
【0222】
この発明の実施の一形態では、トラック表示を、図47Aに一例が示されているように、文字表示200とマトリクス表示201とで表現する。図47Bは、マトリクス表示201を抜き出して示す。マトリクス表示201は、1ドットからなるシンボルに1トラックを対応させ、そのシンボルをトラックの配列に対応して2次元的に配置することで、複数のトラックを2次元的に表現する。また、所定数のトラックを単位としてグループを形成し、トラックに対応したドットをグループ毎に2次元的な配置で表示している。さらに、トラック数が1グループのシンボル数で表現可能な数より多く、グループが複数にわたる場合、グループを互いに所定の間隔を空けて表示部51Bに配置している。この例では、1グループが25トラックとされ、5×5ドットで表現されている。また、グループとグループの間は、1ドット分の間隔が設けられている。
【0223】
すなわち、この図47Bの例では、5×5ドットで示されるマトリクスで25トラックが表現され、現在25トラック×2+23トラック=73トラックが存在することが示されている。また、グループ内ではトラック番号の小さい順に上から下へ、さらに左から右へとトラック番号に対応するドットが配置される。さらに、グループ間では、トラック番号の小さい順に左から右へとグループが配置される。例えば、最も左側に配置されるグループの左上隅のドット210が1トラック目を表し、ドット210の直下のドットが2トラック目を表す。ドット210の隣のドット211は、6トラック目を表し、隣のグループの左上隅のドット212は、26トラック目を表す。なお、ドットおよびグループのトラック番号に対する配置は、この例に限定されない。
【0224】
トラック数が多くて、1行では表現しきれない場合は、複数行を用いて表示を行うことができる。図48は、マトリクス表示201が2行目にわたっている例である。トラック番号の大きい行がより下側に配置される。なお、ここでは、1行に4グループ、100トラックまでを表示可能とする。図48の例では、173トラックが存在することが示されている。
【0225】
このような、マトリクス表示201によるトラック表示において、所望の1トラックを選択する方法について説明する。トラックに対応してシンボルとして表示されたドットのうち、特定されたトラックに対応するドットを、異なるシンボル、例えばブリンク(点滅)表示で表示させる。この特定した位置をフォーカスポイントと称する。なお、初期状態では、1トラック目、すなわち、最も左上隅にあるドットが特定されフォーカスポイントとされているものとする。
【0226】
フォーカスポイントは、操作子100や操作子101といった操作手段を所定に操作することで、X方向、Y方向に移動される。ここでは、操作手段として操作子101を用いる例について説明する。操作子101を上下左右方向に操作(押圧)することによって、操作方向に対応した方向にフォーカスポイントがドット単位で移動される。そして、このフォーカスポイントの移動に伴い、特定されるトラックが変更される。操作手段に対して確定操作を行うと、フォーカスポイントのドットが確定され、確定されたドットに対応するトラックの例えば再生が開始される。確定操作は、例えば操作子101を押圧することでなされる。他のキーを操作することで確定操作としてもよい。
【0227】
文字表示200は、例えば現在のフォーカスポイントに対応するトラックのトラック番号が表示される。文字表示200として表示されるトラック番号は、確定操作が行われるまでは例えばブリンク表示とされる。また、図48の例のように、表示が複数行にわたっているときは、例えば、フォーカスポイントのある行は、フォーカスポイントに対応するトラック番号がブリンク表示され、その他の行は、その行の左上隅のドットに対応するトラック番号がブリンクしないで通常に表示される。図48の例では、1行に100トラックが表示可能とされているので、2行目の左上隅のドットに対応するトラック番号は、「101」とされる。
【0228】
なお、表示部51Bに一度で表示可能なトラック数よりも多いトラック数が存在するときは、行をスクロールさせてトラックの表示を行うことができる。例えば表示部51Bが100トラックの表示が可能な行を3行、一度に表示することが可能であるとすれば、操作子101を操作して301トラック目を特定したときに、行が1行分上にスクロールされ、表示部51Bに対して2行目〜4行目が表示される。
【0229】
また、詳細は後述するが、操作部50の所定の操作により、フォーカスポイントをドットマトリクス内ではなく、文字表示200とすることもできる。この場合、現在特定されているトラック情報のうち特定部分を文字表示200として表示させることができる。
【0230】
図49〜図51は、このドットマトリクスによるトラック表示により選曲を行う一例の処理を示すフローチャートである。図49〜図51において、符号「A」、「B」、「C」および「D」は、それぞれ対応する符号に処理が移行することを示す。また、図49〜図51において用いられる変数を、以下のように定義する。
【0231】
先ず、フォーカスポイント(FP)の位置を示す変数として、FL、FX、FYを用いる。
FL:行位置を指定する。
FX:フォーカスポイントの横方向の位置を指定する。
FY:フォーカスポイントの縦方向の位置を指定する。
ここで、第1行目は、FL=0とされる。同様に、行の左上隅にフォーカスポイントがあるとき、FX=0、FY=0である。すなわち、フォーカスポイントが第1行目の左上隅にあれば、フォーカスポイントFPの位置は、FP(FL,FX,FY)=FP(0,0,0)と表される。
【0232】
フォーカスポイントの動作モードを表す変数として、FLGを用いる。FLG=ONで行のスクロールを行う行スクロールモード、FLG=OFFでドット間での移動を行うドットスクロールモードを表す。
【0233】
トラックに関する変数および関数として、f_tno()、TNOおよびT_TNOを用いる。f_tno()は、現在のフォーカスポイントに対応するトラック番号を得るための関数であり、トラック番号TNOは、次の式(1)で求めることができる。
TNO=FL×100+FX×5+FY+1 ・・・(1)
【0234】
T_TNOは、ディスク90に記録されている総トラック数である。T_TNOは、ディスク90がディスクドライブ装置1に装填されたときに、装填されたディスク90が次世代MD1、次世代MD1.5、次世代MD2によるものであればトラックインデックスファイル、現行のMDシステムによるものであればU−TOCを読み込むことで知ることができる。
【0235】
また、以下の説明において、全トラック数が100×M+Nトラックあるものとする。
【0236】
キー104が操作されることで選曲が開始される。最初のステップS201で、現在特定されているトラックに基づきFL、FX、FYが設定され、FLG=ONとされる。ディスク90を装填した直後など、トラックがユーザにより積極的に特定されていない状態であれば、FL=0、FX=0、FY=0となる。また、総トラック数T_TNOに基づきマトリクス表示201が形成され表示されると共に、文字表示200が表示される。そして、処理がステップS202に移行される。
【0237】
ステップS202では、トラック表示がなされ、フォーカスポイントがブリンク表示される。すなわち、ステップS202では、FLが示す行が表示部51Bにおける3行表示の中心行になるようにマトリクス表示201および文字表示200が表示制御されると共に、マトリクス表示201において、現在特定されているトラックに対応するドット、すなわち(FX、FY)で示されるドットがブリンク表示される。
【0238】
処理はステップS203に移行され、FLG=ONであるか否か、すなわち行スクロールモードであるか否かが判断される。先ず、便宜上、FLG=OFFとされドットスクロールモードに設定されている場合について説明する。FLG=OFFであれば、処理はステップS204に移行される。
【0239】
以下、ステップS204、ステップS210、ステップS221およびステップS225で、操作子101(図中ではキーと表記)が下、上、左および右方向に操作されているか否かがそれぞれ判断される。若し、何れの方向にも操作されていないと判断されれば、処理はステップS230に移行され、操作子101が押圧されたか否かが判断される。若し、操作子101が押圧されていないと判断されれば、操作子101に対して何も操作がなされていないので、処理はステップS202に戻される。
【0240】
一方、ステップS230で操作子101が押圧されたと判断されれば、現在のフォーカスポイントFP(FL,FX,FY)に対応するトラックに選択が決定されたとされ、上述した式(1)でトラック番号が求められ、当該トラックが再生される。
【0241】
上述のステップS204において、操作子101が下方向に操作されたと判断されれば、処理はステップS205〜ステップS209に移行される。このステップS205〜ステップS209では、フォーカスポイントを1つだけ下に移動させる、すなわち、FYの値に「1」を加える処理を行う。ステップS205では、FYの値が「5」であるか否かが判断される。若し、FYの値が「5」ではないと判断されれば、ステップS206でFYの値に「1」が加えられ、処理がステップS208に移行される。一方、FYの値が「5」であると判断されれば、ステップS207でFLの値に「1」が加えられると共に、FYの値が「0」とされ、処理がステップS208に移行される。
【0242】
ステップS208では、関数f_tno()により現在のフォーカスポイントに対応するトラック番号TNOが求められ、TNOとトラック総数T_TNOとが比較される。その結果、トラック番号TNOがトラック総数T_TNO以上であると判断されれば、ステップS209でFYおよびFLの値が共に「0」とされ、処理がステップS202に戻される。一方、比較の結果、トラック番号TNOがトラック総数T_TNO未満であると判断されれば、処理はステップS202に戻される。
【0243】
上述のステップS210において、操作子101が上方向に操作されたと判断されれば、処理はステップS211〜ステップS220に移行される。このステップS211〜ステップS220では、フォーカスポイントを1つ上に移動させる、すなわち、FYの値から「1」を減ずる処理を行う。ステップS211では、FYの値が「0」であるか否かが判断される。若し、FYの値が「0」ではないと判断されれば、ステップS212でFYの値から「1」が減ぜられ、処理はステップS202に戻される。一方、ステップS211でFYの値が「0」であると判断されれば、処理がステップS213に移行される。
【0244】
ステップS213では、FLの値が「0」であるか否かが判断される。若し、FLの値が「0」ではないと判断されれば、ステップS214でFLの値から「1」が減ぜられ行が1つ前の行に移行されると共に、FYの値が「5」とされ、処理がステップS202に戻される。一方、ステップS213でFLの値が「0」である、すなわち、フォーカスポイントが最初の行にあると判断されれば、処理はステップS215に移行される。ステップS215では、FYの値が「0」とされる。それと共に、ステップS215では、トラック総数T_TNOを「100」で除した値がFLの値とされる。実際には、トラック総数T_TNOを「100」で除した値の整数部がFLの値とされる。そして、処理がステップS216に移行される。
【0245】
ステップS216では、トラック総数T_TNOを「100」で除したときの余りを「5」で除した値(の整数部)がFXの値を超えるか否かが判断される。若し、越えると判断されれば、処理はステップS202に戻される。一方、越えないと判断されれば、処理はステップS217に移行され、トラック総数T_TNOを「100」で除したときの余りを「5」で除した値(の整数部)とFXの値とが等しいか否かが判断される。若し、等しいと判断されれば、処理はステップS218に移行され、トラック総数T_TNOを「100」で除したときの余りを「5」で除した値の余りがFYの値とされ、処理がステップS202に戻される。
【0246】
一方、ステップS217で、判断の結果等しくない、すなわち、トラック総数T_TNOを「100」で除したときの余りを「5」で除した値(の整数部)がFXの値より小さいと判断されれば、処理はステップS219に移行される。ステップS219では、FLの値が「0」であるか否かが判断される。若し、「0」ではないと判断されれば、ステップS220でFLの値が「1」減ぜられ、処理がステップS202に戻される。一方、FLの値が「0」であると判断されれば、そのまま処理はステップS202に戻される。
【0247】
上述のステップS221において、操作子101が左方向に操作されたと判断されれば、処理はステップS222〜ステップS224に移行される。このステップS222〜ステップS224では、フォーカスポイントを1つ左に移動させる、すなわち、FXの値から「1」を減ずる処理を行う。ステップS222で、FXの値が「0」であるか否かが判断される。若し、「0」であると判断されれば、ステップS223でFLGが「ON」とされ、処理はステップS202に戻される。一方、「0」ではないと判断されれば、ステップS224でFXから「1」が減ぜられ、処理はステップS202に戻される。
【0248】
上述のステップS225において、操作子101が右方向に操作されたと判断されれば、処理はステップS226〜ステップS229に移行される。このステップS226〜ステップS229では、フォーカスポイントを1つ右に移動させる、すなわち、FXの値に「1」を加える処理を行う。ステップS226で、FXの値が「19」であるか否かが判断される。若し、「19」であると判断されれば、ステップS227でFLGが「ON」とされ、処理はステップS202に戻される。一方、「19」ではないと判断されれば、ステップS228でFXの値から「1」が減ぜられ、処理はステップS229に移行される。ステップS229では、関数f_tno()により現在のフォーカスポイントに対応するトラック番号TNOが取得され、それがトラック総数T_TNO以上であるか否かが判断される。若し、トラック総数T_TNO以上であると判断されれば、処理はステップS227に移行される。一方、トラック総数T_TNO未満であると判断されれば、処理はステップS202に戻される。
【0249】
上述のステップS203において、FLG=ON、すなわち、行スクロールモードの場合の処理について説明する。FLG=ONであれば、処理はステップS234に移行される。
【0250】
以下、ステップS234、ステップS238、ステップS242およびステップS246で、操作子101(図中ではキーと表記)が下、上、右および左方向に操作されているか否かがそれぞれ判断される。若し、何れの方向にも操作されていないと判断されれば、処理はステップS202に戻される。
【0251】
ステップS234で、操作子101が下方向に操作されたと判断されれば、処理はステップS235〜ステップS237に移行される。このステップS235〜ステップS237は、行を一つ進める、すなわち、FLの値に「1」を加える処理を行う。ステップS235でFLの値に「1」が加えられ、処理がステップS236に移行される。ステップS236では、関数f_tno()により現在のフォーカスポイントに対応するトラック番号TNOが取得され、それがトラック総数T_TNO以上であるか否かが判断される。若し、トラック総数T_TNO以上であると判断されれば、ステップS237でFLの値が「0」とされ、処理がステップS202に戻される。一方、トラック総数T_TNO未満であると判断されれば、処理がステップS202に戻される。
【0252】
ステップS238で、操作子101が上方向に操作されたと判断されれば、処理はステップS239〜ステップS241に移行される。このステップS239〜ステップS241は、行を一つ戻す、すなわち、FLの値から「1」を減ずる処理を行う。ステップS239で、FLの値が「0」であるか否かが判断される。若し、「0」でないと判断されれば、ステップS240でFLの値から「1」が減ぜられ、処理がステップS202に戻される。一方、「0」であると判断されれば、処理はステップS241に移行され、トラック総数T_TNOが「100」で除された値(の整数部)がFLとされ、処理がステップS202に戻される。
【0253】
ステップS242で、操作子101が右方向に操作されたと判断されれば、処理はステップS243〜ステップS245に移行される。このステップS243〜ステップS245は、スクロールモードが行スクロールモードからドットスクロールモードへと移行される。ステップS243で、FLGが「OFF」とされてドットスクロールモードが設定されると共にFXの値が「0」とされ、処理がステップS244に移行される。
【0254】
ステップS244では、関数f_tno()により現在のフォーカスポイントに対応するトラック番号TNOが取得され、それがトラック総数T_TNO以上であるか否かが判断される。若し、現在のフォーカスポイントに対応するトラック番号TNOがトラック総数T_TNO未満であると判断されれば、処理はステップS202に戻される。一方、現在のフォーカスポイントに対応するトラック数TNOがトラック総数T_TNO以上であると判断されれば、ステップS245でトラック総数T_TNOを「5」で除した余りの値をFYの値とし、処理がステップS202に戻される。
【0255】
ステップS246で操作子101が左方向に操作されたと判断されれば、処理はステップS247〜ステップS253に移行される。このステップS247〜ステップS253は、スクロールモードが行スクロールモードからドットスクロールモードへと移行される。ステップS247で、FLGが「OFF」とされてドットスクロールモードが設定されると共に、FXの値が「19」とされ、処理がステップS248に移行される。
【0256】
ステップS248では、関数f_tno()により現在のフォーカスポイントに対応するトラック番号TNOが取得され、それがトラック総数T_TNO以上であるか否かが判断される。若し、現在のフォーカスポイントに対応するトラック番号TNOがトラック総数T_TNO未満であると判断されれば、処理はステップS202に戻される。一方、現在のフォーカスポイントに対応するトラック数TNOがトラック総数T_TNO以上であると判断されれば、ステップS249でトラック総数T_TNOを「100」で除した余りの値を「5」で除した値(の整数部)をFXの値とし、処理がステップS250に移行される。
【0257】
ステップS250では、FYの値がトラック総数T_TNOを「5」で除した余りの値を超えるか否かが判断される。若し、越えないと判断されれば、処理はステップS202に戻される。一方、越えると判断されれば、処理はステップS251に移行され、FYの値が「0」であるか否かが判断される。若し、「0」ではないと判断されれば、ステップS252でFXの値から「1」が減ぜられ、処理はステップS202に戻される。一方、「0」であると判断されれば、ステップS253でトラック総数T_TNOを「5」で除した余りの値がFYの値とされ、処理がステップS202に戻される。
【0258】
このように、この発明の実施の一形態では、トラック表示および選択が2次元的に行われると共に、フォーカスポイントの移動が上下左右に対して巡回的に行われる。そのため、例えば2000トラックから選択を行う場合でも、最大操作回数は、X方向に10回、Y方向に5×10回の計60回となり、一次元な選択を行う場合に比べ、少なくて済む。また、トラック表示、フォーカスポイントの移動が2次元的になされるため、トラック選択の際の見通しがよい、1次元的な選択の場合に比べてトラック選択順のトラック番号に対する依存性が少ないなどのメリットもある。
【0259】
ここで、特許請求の範囲との一例の対応関係を示すと、請求項1においては、表示のステップは、例えばステップS202に対応する。特定のステップは、例えばステップS204、ステップS210、ステップS221、ステップS225、ステップS234、ステップS238、ステップS242およびステップS246およびこれらそれぞれのステップ以下の各ステップに対応する。確定のステップは、例えばステップS230に対応する。ステップS230で確定されたシンボルに対応するトラックが選択され、ステップS231で例えば再生される。また、請求項20においては、表示手段は、例えば表示部51に対応する。操作手段は、例えば操作部100や操作部101に対応する。再生手段は、メディアドライブ部2に対応し、さらにシステムコントローラ9、メモリ転送コントローラ3、クラスタバッファメモリ4など、ディスク90の再生に必要な他の構成を含めることができる。なお、これらの対応関係は一例であって、これに限定されるものではない。
【0260】
なお、上述では、ステップS230の処理として選択が決定されたトラックを再生するとしているが、これはこの例に限定されない。すなわち、上述のトラック選択の処理は、トラックの消去やトラック情報の変更など、トラックに対するエディット処理の際にも適用可能なものである。
【0261】
また、上述において、ステップS204、ステップS210、ステップS221およびステップS225による操作子101の操作方向の判断の順序は、この例に限られるものではない。同様に、ステップS234、ステップS238、ステップS242およびステップS246の判断の順序についても、この例に限られるものではない。
【0262】
さらに、上述の式(1)では、図47や図48で説明した、5×5ドットからなるグループ間に設けられる1ドット分の間隔や、行と行の間の間隔については、繁雑さを避けるために考慮していない。実際の処理では、これらの間隔が考慮されてフォーカスポイントの移動やドットとトラックとの対応付けなどが行われることは、いうまでもない。
【0263】
上述では、マトリクス表示201において文字表示部51Bの1ドットをトラックを示すシンボルとして用いているが、これはこの例に限定されず、トラックを示すシンボルを複数ドットで構成してもよい。例えば、2×2ドットの4ドットや、1×2ドットの2ドットなどと1トラックとを対応させるようにできる。また、上述では、マトリクス表示201において、25トラックを1グループとしているが、これはこの例に限定されない。例えば6×6ドットで36トラックを1グループとしてもよいし、4×5ドット=20トラックといった、自乗数ではない構成としてもよい。
【0264】
また、上述では、フォーカスポイントをブリンク表示させるように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、フォーカスポイントの大きさを他とは違えるようにしてもよい。例えば、上述の複数ドットと1トラックとを対応させる例と組み合わせて、図52に一例が示されるように、1トラックに2×2ドット分の表示領域を対応させ、この4ドットを全て表示させてフォーカスポイント230とし、フォーカスポイント以外230では、例えば2×2ドットの表示領域中の左上隅のドットだけを表示させる。このように表示することで、フォーカスポイント230が大きく強調されているように見える。勿論、この逆、すなわち、フォーカスポイントの表示を例えば2×2ドットの表示領域中の左上隅のドットだけとし、他を2×2ドットの全てを表示するようにしてもよい。この場合には、フォーカスポイントが他より小さく見えることになる。
【0265】
さらに、上述では、文字表示部51Bが白黒2値表示であるように説明したが、これはこの例に限定されない。すなわち、文字表示部51Bがカラー表示可能であってもよい。この場合には、例えばフォーカスポイントを他のトラック表示とは異なる色で表示するようにできる。さらにまた、トラックを表すシンボルとしてアイコン表示を用いてもよい。小さなアイコン表示を上述したようにトラックに対応して2次元配置する。このとき、フォーカスポイントを異なるアイコンで表すようにできる。
【0266】
また、上述では、文字表示部51Bに対して、トラックを表すドット表示とトラック番号とを表示しているが、これはこの例に限定されない。例えば、フォーカスポイントが対応するトラックのトラック情報(曲名など)を文字表示部51Bに表示させることができる。トラック情報は、現行MDシステムではU−TOCに、次世代MD1、MD1.5、MD2システムではトラックインフォメーションテーブルに基づき知ることができる。トラック情報は、文字表示部51Bに、別途、表示領域を設けて表示してもよいし、例えば上述の例で3行分が表示されるマトリクス表示201のうち1行分をトラック情報の表示に割り当ててもよい。フォーカスポイントに対応するトラックのトラック情報を常に表示させておいてもよいし、操作部50に対する所定の操作に応じて表示を切り換えることもできる。
【0267】
さらに、上述では、ドットを特定しトラックを選択する際の操作手段として、上下左右方向の操作および押圧操作が可能な集中コントローラである操作子101を用いたが、これはこの例に限定されない。例えば、上下方向の操作と押圧操作とが可能なジョグダイヤル(操作子100)を、ドット特定およびトラック選択の際の操作手段として用いることができる。この場合には、操作が上下方向と押圧操作の3つの自由度しかないので、上述のような2次元的な操作を行うためには、工夫が必要である。
【0268】
例えば、操作子100の短時間(例えば1秒以内)の押圧操作で、操作方向に対応するフォーカスポイントの移動方向をX方向とY方向とで切り換え、長時間(例えば1秒以上)の押圧操作で、トラックの選択確定操作とし、フォーカスポイントに対応するトラックが再生されるようにする。このようにすれば、上述の図49〜図51のフローチャートの処理をそのまま適用することができる。
【0269】
操作子100の操作方法としては、これに限らず、例えば初期状態で上下方向の操作がフォーカスポイントのY方向の移動とし、押圧することで、フォーカスポイントのX方向の移動に切り換えられるようにする。そして、操作子100が回転されずに、すなわち、上下方向への操作が行われずに再び押圧されると、トラックの選択確定操作とするようにできる。この場合、操作子100が回転されてからの押圧操作により、フォーカスポイントの移動方向を、X方向、Y方向で切り換えるようにする。
【0270】
また、上述では、フォーカスポイントの移動が上下左右方向であるように説明したが、これはこの例に限らず、例えば斜め方向に移動可能としてもよい。さらに、フォーカスポイントの行単位、グループ単位の移動を行うような操作を取り入れることは容易である。
【0271】
次に、この発明の実施の一形態の変形例について説明する。上述の実施の一形態によれば、数10トラック乃至数100トラックといった多数のトラックの選択を行う際には、非常に有効である。一方、例えば現行のMDシステムに1枚のCD分のトラックが記録されている場合のように、数トラック乃至十数トラックの中から1を選択する場合には、マトリクス表示201が却って煩わしく感じられることが考えられる。
【0272】
そこで、この実施の一形態の変形例では、ディスクドライブ装置1に装填されたディスク90に記録されているトラック数に応じて、マトリクス表示201によるトラック表示と、従来のトラック番号や曲名を1次元的に表示する方法とを自動的に切り換える。ディスク90に記録されている総トラック数を閾値判断して、トラック特定および選択をマトリクス表示201および従来の方法の何れを用いて行うかを決定する。
【0273】
図53は、この実施の一形態の変形例によるトラック選択方法決定の一例の処理を示すフローチャートである。このフローチャートの処理に先立って、上述の、トラック特定および選択をマトリクス表示201および従来の方法の何れを用いて行うかを決定するための閾値を設定する。ここでは、マトリクス表示201の1グループである25トラックを閾値とする。
【0274】
ステップS10でディスク90がディスクドライブ装置1に装填されると、ステップS11で、装填されたディスク90の種類が判別される。上述の「2.ディスクについて」の項などで既に説明したように、P−TOCの有無、U−TOCの内容などにより、装填されたディスク90が現行のMDシステムによるものか、あるいは、次世代MD1、次世代MD1.5、次世代MD2によるものかを判断することができる。
【0275】
若し、ステップS11で、装填されたディスク90が次世代MD1、次世代MD1.5、次世代MD2の何れかによるものであると判断された場合には、処理はステップS12に移行する。ステップS12では、トラックインデックスファイルから記録されている総トラック数T_TNOが取得され、処理がステップS14に移行される。
【0276】
一方、ステップS11で、装填されたディスク90が現行のMDシステムによるものであると判断されれば、処理はステップS13に移行する。そして、U−TOCから記録されている総トラック数T_TNOが取得され、処理がステップS14に移行される。
【0277】
ステップS14では、ディスクドライブ装置1において、装填されたディスク90の1トラック目の再生が準備される。そして、ステップS15で、上述のステップS12またはステップS13で取得された総トラック数T_TNOの閾値判断がなされる。若し、総トラック数T_TNOが閾値より多いと判断されれば、処理はステップS16に移行され、トラック表示およびトラック選択を、マトリクス表示201を用いて2次元的に行うように決定される。そして、処理は、上述した図49〜図51のフローチャートへと移行する。
【0278】
一方、ステップS15で、総トラック数T_TNOが閾値より少ないと判断されれば、処理はステップS17に移行され、トラック表示およびトラック選択を、従来の、曲名やトラック番号に基づきトラックを順次、1次元的に表示および選択する方法で行うように決定される。
【0279】
なお、マトリクス表示201によるトラック表示と、従来のトラック番号や曲名をトラック毎に表示する方法とを、装填されたディスク90の総トラック数T_TNOに関わらず、操作部50に対する所定の操作で選択することも可能である。
【0280】
上述では、この発明が着脱可能なディスクに記録されたトラックを選択するように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、この発明は、ハードディスクドライブに多数のトラックが記録された携帯用再生装置に適用することが可能である。
【0281】
【発明の効果】
上述したように、この発明では、トラック表示およびトラック選択を2次元的に行うことができるようにしているため、ディスクに多数のトラックが記録されていても、より少ない回数で多数のトラックから所望の1トラックを選択することができるという効果がある。
【0282】
また、トラック表示およびトラック選択を2次元的に行うことができるようにしているため、ディスクに多数のトラックが記録されていても、トラック選択の際の見通しがよく、トラック選択順のトラック番号に対する依存性が少ないため、所望のトラックを容易に選択することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】次世代MD1システムの仕様のディスクの説明に用いる図である。
【図2】次世代MD1システムの仕様のディスクの記録領域の説明に用いる図である。
【図3】次世代MD2システムの仕様のディスクの説明に用いる図である。
【図4】次世代MD2システムの仕様のディスクの記録領域の説明に用いる図である。
【図5】UIDの一例のフォーマットを概略的に示す略線図である。
【図6】次世代MD1および次世代MD2のエラー訂正符号化処理の説明に用いる図である。
【図7】次世代MD1および次世代MD2のエラー訂正符号化処理の説明に用いる図である。
【図8】次世代MD1および次世代MD2のエラー訂正符号化処理の説明に用いる図である。
【図9】ウォブルを用いたアドレス信号の生成の説明に用いる斜視図である。
【図10】現行のMDシステムおよび次世代MD1システムのADIP信号の説明に用いる図である。
【図11】現行のMDシステムおよび次世代MD1システムのADIP信号の説明に用いる図である。
【図12】次世代MD2システムのADIP信号の説明に用いる図である。
【図13】次世代MD2システムのADIP信号の説明に用いる図である。
【図14】現行のMDシステムおよび次世代MD1システムでのADIP信号とフレームとの関係を示す図である。
【図15】次世代MD1システムでのADIP信号とフレームとの関係を示す図である。
【図16】次世代MD2システムでのコントロール信号の説明に用いる図である。
【図17】ディスクドライブ装置のブロック図である。
【図18】メディアドライブ部の構成を示すブロック図である。
【図19】次世代MD1によるディスクの一例の初期化処理を示すフローチャートである。
【図20】次世代MD2によるディスクの一例の初期化処理を示すフローチャートである。
【図21】オーディオデータの管理方式の第1の例の説明に用いる図である。
【図22】オーディオデータの管理方式の第1の例によるオーディオデータファイルの説明に用いる図である。
【図23】オーディオデータの管理方式の第1の例によるトラックインデックスファイルの説明に用いる図である。
【図24】オーディオデータの管理方式の第1の例によるプレイオーダテーブルの説明に用いる図である。
【図25】オーディオデータの管理方式の第1の例によるプログラムドプレイオーダテーブルの説明に用いる図である。
【図26】オーディオデータの管理方式の第1の例によるグループインフォメーションテーブルの説明に用いる図である。
【図27】オーディオデータの管理方式の第1の例によるトラックインフォメーションテーブルの説明に用いる図である。
【図28】オーディオデータの管理方式の第1の例によるパーツインフォメーションテーブルの説明に用いる図である。
【図29】オーディオデータの管理方式の第1の例によるネームテーブルの説明に用いる図である。
【図30】オーディオデータの管理方式の第1の例による一例の処理を説明するための図である。
【図31】ネームテーブルのネームスロットが複数参照可能であることを説明するための図である。
【図32】オーディオデータの管理方式の第1の例でオーディオデータファイルからパーツを削除する処理の説明に用いる図である。
【図33】オーディオデータの管理方式の第2の例の説明に用いる図である。
【図34】オーディオデータの管理方式の第2の例によるオーディオデータファイルの構造を示す図である。
【図35】オーディオデータの管理方式の第2の例によるトラックインデックスファイルの説明に用いる図である。
【図36】オーディオデータの管理方式の第2の例によるプレイオーダテーブルの説明に用いる図である。
【図37】オーディオデータの管理方式の第2の例によるプログラムドプレイオーダテーブルの説明に用いる図である。
【図38】オーディオデータの管理方式の第2の例によるグループインフォメーションテーブルの説明に用いる図である。
【図39】オーディオデータの管理方式の第2の例によるトラックインフォメーションテーブルの説明に用いる図である。
【図40】オーディオデータの管理方式の第2の例によるネームテーブルの説明に用いる図である。
【図41】オーディオデータの管理方式の第2の例による一例の処理を説明するための図である。
【図42】オーディオデータの管理方式の第2の例で、インデックスにより1つのファイルのデータが複数のインデックス領域に分けられることを説明するための図である。
【図43】オーディオデータの管理方式の第2の例で、トラックの連結の説明に用いる図である。
【図44】オーディオデータの管理方式の第2の例で、別の方法によるトラックの連結の説明に用いる図である。
【図45】ディスクドライブ装置の一例の外観を概略的に示す略線図である。
【図46】表示部の一例の構成を示す略線図である。
【図47】表示部のドットマトリクス部を抜き出して示す略線図である。
【図48】マトリクス表示が2行目にわたっている例を示す略線図である。
【図49】ドットマトリクスによるトラック表示により選曲を行う一例の処理を示すフローチャートである。
【図50】ドットマトリクスによるトラック表示により選曲を行う一例の処理を示すフローチャートである。
【図51】ドットマトリクスによるトラック表示により選曲を行う一例の処理を示すフローチャートである。
【図52】フォーカスポイントの大きさを他とは違えることを説明するための図である。
【図53】実施の一形態の変形例によるトラック選択方法決定の一例の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1・・・ディスクドライブ装置、2・・・メディアドライブ部、3・・・メモリ転送コントローラ、4・・・クラスタバッファメモリ、5・・・補助メモリ、6,8・・・USBインターフェイス、7・・・USBハブ、10・・・オーディオ処理部、12・・・RS−LDCエンコーダ、13・・・1−7pp変調部、14・・・ACIRCエンコーダ、15・・・EFM変調部、16・・・セレクタ、17・・・磁気ヘッドドライバ、18・・・磁気ヘッド、19・・・光学ヘッド、22・・・1−7復調部、23・・・RS−LDCデコーダ、23・・・EFM変調部、24・・・ACIRCデコーダ、26・・・セレクタ、30・・・ADIP復調部、32,33・・・アドレスデコーダ、50・・・操作部、51・・・表示部、90・・・ディスク、101,102・・・操作子、200・・・文字表示、201・・・マトリクス表示
Claims (20)
- 複数のトラックから1を選択するための表示を行う表示方法において、
シンボルをトラックの配列に対応付けた2次元的な配置で表示する第1の表示モードを有する表示のステップと、
ユーザの操作に応じて、上記表示のステップにより表示された上記シンボルのうち1を特定する特定のステップと、
上記特定のステップで特定された上記シンボルを確定する確定のステップと
を備え、
上記確定のステップで確定された上記シンボルに対応する上記トラックを選択するようにしたことを特徴とする表示方法。 - 請求項1に記載の表示方法において、
上記特定のステップで特定された上記シンボルを、他のシンボルで表示するようにしたことを特徴とする表示方法。 - 請求項2に記載の表示方法において、
上記他のシンボルは、上記シンボルを点滅表示させたシンボルであることを特徴とする表示方法。 - 請求項2に記載の表示方法において、
上記他のシンボルは、上記シンボルと大きさが異なるシンボルであることを特徴とする表示方法。 - 請求項2に記載の表示方法において、
上記他のシンボルは、上記シンボルと色が異なるシンボルであることを特徴とする表示方法。 - 請求項2に記載の表示方法において、
上記他のシンボルは、上記シンボルと形が異なるシンボルであることを特徴とする表示方法。 - 請求項1に記載の表示方法において、
上記シンボルは、ドット表示であることを特徴とする表示方法。 - 請求項1に記載の表示方法において、
上記特定のステップで特定された上記シンボルが対応する上記トラックの上記配列上の位置を示す情報をさらに表示するようにしたことを特徴とする表示方法。 - 請求項1に記載の表示方法において、
上記特定のステップで特定された上記シンボルが対応する上記トラックに関連する情報をさらに表示するようにしたことを特徴とする表示方法。 - 請求項9に記載の表示方法において、
上記トラック関連する情報は、該トラックのタイトル情報であることを特徴とする表示方法。 - 請求項1に記載の表示方法において、
上記表示のステップは、所定数の上記シンボルをひとまとまりのグループとして該グループ毎に上記2次元的な配置の表示を行うようにしたことを特徴とする表示方法。 - 請求項11に記載の表示方法において、
複数の上記グループを互いに識別可能に表示するようにしたことを特徴とする表示方法。 - 請求項12に記載の表示方法において、
上記グループ毎に間隔を空けて表示するようにしたことを特徴とする表示方法。 - 請求項11に記載の表示方法において、
所定数の上記グループからなる行を上記トラックの数に応じて1または複数行、表示可能であることを特徴とする表示方法。 - 請求項14に記載の表示方法において、
同時に所定数行を表示可能とされ、表示される上記行を上記特定のステップによる上記シンボルの特定に応じて順次切り換えるようにしたことを特徴とする表示方法。 - 請求項14に記載の表示方法において、
上記特定のステップにより特定された上記シンボルを含まない上記行について、該行に含まれる1のトラックの上記配列上の位置を示す情報をさらに表示するようにしたことを特徴とする表示方法。 - 請求項1に記載の表示方法において、
上記表示のステップは、トラック毎の情報を1次元的に表示する第2の表示モードをさらに有し、
上記第1の表示モードと上記第2の表示モードとを切り換え可能としたことを特徴とする表示方法。 - 請求項17に記載の表示方法において、
トラック数が閾値より多いときには上記第1の表示モードに、トラック数が上記閾値より少ないときには上記第2の表示モードに、自動的に切り換えられるようにしたことを特徴とする表示方法。 - 請求項17に記載の表示方法において、
ユーザの操作に応じて上記第1の表示モードおよび上記第2の表示モードが切り換えられるようにしたことを特徴とする表示方法。 - 記録媒体に記録された複数のトラックから1を選択して再生する再生装置において、
記録媒体に記録されたトラックの情報を取得するトラック情報取得手段と、
シンボルを上記トラックの配列に対応付けた2次元的な配置で表示する表示モードを有する表示手段と、
ユーザの操作に応じて、上記表示手段により表示された上記シンボルのうち1を特定すると共に、特定された上記シンボルを確定する操作手段と、
上記操作手段で上記確定された上記シンボルに対応する上記トラックを再生する再生手段と
を備えることを特徴とする再生装置。
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