JP2005015623A - 有機溶媒膨潤性ミクロゲル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】粒子径が単分散であり、しかも優れた有機溶媒膨潤性を示し、各種化学製品の原料として有用なポリマーミクロゲルを提供すること。
【解決手段】特定のポリエチレンオキサイドマクロモノマーと、特定の疎水性モノマーと、特定の架橋性モノマーとを重合して得られる共重合体であって、下記(A)、(B)、(C)の条件下に、前記モノマーを水−エタノール混合溶媒中にてラジカル重合して得られる共重合体からなる有機溶媒膨潤性ミクロゲル。(A)ポリエチレンオキサイドマクロモノマーと疎水性モノマーの仕込み量が、ポリエチレンオキサイドマクロモノマー:疎水性モノマー=1:10〜1:250(モル比)であること
(B)架橋性モノマーの仕込み量が、疎水性モノマーの仕込み量に対して、0.1〜1.5質量%であること
(C)水−エタノール混合溶媒が、水:エタノール=90〜40:10〜60(20℃の容積比)であること
【選択図】 なし
【解決手段】特定のポリエチレンオキサイドマクロモノマーと、特定の疎水性モノマーと、特定の架橋性モノマーとを重合して得られる共重合体であって、下記(A)、(B)、(C)の条件下に、前記モノマーを水−エタノール混合溶媒中にてラジカル重合して得られる共重合体からなる有機溶媒膨潤性ミクロゲル。(A)ポリエチレンオキサイドマクロモノマーと疎水性モノマーの仕込み量が、ポリエチレンオキサイドマクロモノマー:疎水性モノマー=1:10〜1:250(モル比)であること
(B)架橋性モノマーの仕込み量が、疎水性モノマーの仕込み量に対して、0.1〜1.5質量%であること
(C)水−エタノール混合溶媒が、水:エタノール=90〜40:10〜60(20℃の容積比)であること
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な有機溶媒膨潤性ミクロゲル及びその製造方法に関する。本発明の有機溶媒膨潤性ミクロゲルは、疎水性のコアと親水性のコロナからなるコロナ−コア型のポリマーミクロゲルであり、ポリマーミクロゲルが配合される各種化学製品、例えば化粧料等の配合成分として有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリマー微粒子(ポリマーエマルション)を工業的に合成する技術は1930年代から実用化され、ゴム工業、塗料、紙の表面処理、接着剤などの一般化学工業分野で、また診断薬、ドラッグデリバリー製剤など医療分野で応用されている。ポリマーエマルションは所謂乳化重合法で合成、生産することができる。乳化重合法は所望のモノマーを適当な分散安定剤を用いて乳化組成物を調製しポリマーを重合する方法である。(非特許文献1)
【0003】
化粧品業界においても、乳化重合法により製造されたポリマーエマルションが化粧料に応用されている。本発明者らは、コア−シェル型ポリマーエマルションを水系美爪料に配合することで、有機溶剤フリーのネールエナメルを製造する技術を実用化している(特許文献1)。またアルコキシシランの架橋反応を応用した自己架橋型ポリマーエマルションを化粧品に配合する技術を実用化している(特許文献2および3)。
【0004】
一方、ポリエチレンオキサイドマクロモノマーを水−エタノール混合溶媒中にてコロナ−コア型ポリマー微粒子を重合する方法は公知であり、非特許文献2に記載されている。この技術は例えばエイズウイルス捕捉システムとして応用されている(非特許文献3)。
【0005】
また、ミクロゲルはその膨潤−収縮機能を応用して医薬品や化粧品産業などでの応用が期待されている。合成高分子によるミクロゲルはこれまでいくつかの報告がなされている(非特許文献4)。これらは、いずれも高分子電解質、例えばポリアクリル酸を応用したものであり、その水への分散性に耐酸性や耐塩性は無い。しかしながら、医薬品や化粧品産業分野での応用を考える際、生理的条件下で適応するためには耐酸性や耐塩性は非常に重要な性能である。
【0006】
一方、水溶性高分子構造を含むマクロモノマーを応用した所謂マクロモノマー法による高分子微粒子重合法はこれまでいくつかの報告がある(非特許文献5)。この方法は、不均一重合の量産において課題となっている重合系の攪拌条件のコントロールをすることなく、均一な粒子径の高分子微粒子を製造できる点で優れた方法と言える(非特許文献5)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−114650号公報
【特許文献2】
特開2002−327019号公報
【特許文献3】
特開2003−20314号公報
【非特許文献1】
「Emulsion Polymerization and Emulsion Polymers」 P.A. Lovell and M.S. El−Asser編 John Wiley and son
【非特許文献2】
M.Q. Chen et al: J. Polym. Sci.:A: Polym. Chem., 38 1811−1817 (2000)
【非特許文献3】
M. Akashi, M. Baba, et al: Bioconj. Chem., 9, 50−53 (1998)
【非特許文献4】
M.J. Snowden et al. Colloid Polym. Sci. 272, 1273 (1994)
【非特許文献5】
C. Wu, Macromolecules 27, 7099 (1944)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は新規なポリマーミクロゲル及びその製造方法を提供するものである。本発明のミクロゲルは粒子径が単分散であり、しかも優れた有機溶媒膨潤性を示すものであり、各種化学製品に配合されるミクロゲルとして極めて有用である。本発明のミクロゲルは非イオン性高分子であるポリエチレンオキサイド鎖で安定化されたミクロゲルであり、その水中での分散安定性は耐酸、耐塩性が期待できる。
本発明のミクロゲルは、前記のマクロモノマー法を応用して、従来報告がなかったコア部分を架橋性モノマーによりミクロゲルとして製造することを特徴とする全く新規な有機溶媒膨潤性ミクロゲルの製造法である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、下記式(1)のポリエチレンオキサイドマクロモノマーと、下記式(2)の疎水性モノマーと、下記式(3)の架橋性モノマーとを重合して得られる共重合体であって、下記(A)、(B)、(C)の条件下に、前記(1)〜(3)のモノマーを水−エタノール混合溶媒中にてラジカル重合して得られる共重合体からなる有機溶媒膨潤性ミクロゲル。
(A)ポリエチレンオキサイドマクロモノマーと疎水性モノマーの仕込み量が、ポリエチレンオキサイドマクロモノマー:疎水性モノマー=1:10〜1:250(モル比)であること
(B)架橋性モノマーの仕込み量が、疎水性モノマーの仕込み量に対して、0.1〜1.5質量%であること
(C)水−エタノール混合溶媒が、水:エタノール=90〜40:10〜60(20℃の容積比)であること
【化13】
(1)
R1は炭素原子数1〜3のアルキルを表し、nは50〜200の数である。
【化14】
(2)
R2はR3はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表す。
【化15】
(3)
R4はR5はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表し、mは1〜3の数である。
【0010】
また、本発明は、下記式(1)のポリエチレンオキサイドマクロモノマーと、下記式(2)の疎水性モノマーと、下記式(3)の架橋性モノマーとを重合して得られる共重合体であって、粒子径が50〜200nmでありその分散度が0.01未満の単分散性粒子からなる有機溶媒膨潤性ミクロゲルを提供するものである。
【化16】
(1)
R1は炭素原子数1〜3のアルキルを表し、nは50〜200の数である。
【化17】
(2)
R2はR3はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表す。
【化18】
(3)
R4はR5はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表し、mは1〜3の数である。
【0011】
さらに、本発明は、下記式(1)のポリエチレンオキサイドマクロモノマーと、下記式(2)の疎水性モノマーと、下記式(3)の架橋性モノマーとを重合して得られる共重合体であって、水中での共重合体粒子の粒子径をd0、この水中に共重合体粒子が膨潤飽和するベンゼンを混合して、膨潤飽和するまで攪拌した場合の共重合体粒子の粒子径をdとしたときに、膨潤率(d/d0)3が20〜450である有機溶媒膨潤性ミクロゲルを提供するものである。
【化19】
(1)
R1は炭素原子数1〜3のアルキルを表し、nは50〜200の数である。
【化20】
(2)
R2はR3はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表す。
【化21】
(3)
R4はR5はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表し、mは1〜3の数である。
【0012】
また、本発明は、下記式(1)のポリエチレンオキサイドマクロモノマーと、下記式(2)の疎水性モノマーと、下記式(3)の架橋性モノマーとを、下記(A)、(B)、(C)の条件下に、水−エタノール混合溶媒中にてラジカル重合することを特徴とする請求項1、2または3記載の有機溶媒膨潤性ミクロゲルの製造方法を提供するものである。
(A)ポリエチレンオキサイドマクロモノマーと疎水性モノマーの仕込み量が、ポリエチレンオキサイドマクロモノマー:疎水性モノマー=1:10〜1:250(モル比)であること
(B)架橋性モノマーの仕込み量が、疎水性モノマーの仕込み量に対して、0.1〜1.5質量%であること
(C)水−エタノール混合溶媒が、水:エタノール=90〜40:10〜60(20℃の容積比)であること
【化22】
(1)
R1は炭素原子数1〜3のアルキルを表し、nは50〜200の数である。
【化23】
(2)
R2はR3はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表す。
【化24】
(3)
R4はR5はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表し、mは1〜3の数である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0014】
本発明に用いる式(1)のポリエチレンオキサイドマクロモノマーは、例えばAldrich社から市販されている試薬、あるいは日本油脂から発売されているブレンマー(登録商標)を使用することが出来る。これら市販品の式(1)のポリエチレンオキサイド部分の分子量(即ちnの値)は幅広く、これを使用することができる。このポリエチレンオキサイド部分の分子量の好ましいサイズはn=50〜200のものである。例えば日本油脂製ブレンマー(登録商標)PME1000あるいはブレンマー(登録商標)PME4000などが好適である。
【0015】
本発明に用いる式(2)の疎水性モノマーは、一般工業原料として容易に入手することができる。式(2)のR3のアルキル鎖は炭素原子数1〜3のアルキルであり、式(2)はメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、およびブチルメタクリレートが好適である。
【0016】
本発明に用いる式(3)の架橋性モノマーは、市販の試薬あるいは工業用原料として入手が可能である。この架橋性モノマーは疎水的であることが好ましい。式(3)のmの値は好ましくは1〜3である。具体的にはAldrich社から発売されているエチレングリコールジメタクリレート、日本油脂製ブレンマー(登録商標)PDE−50などが好適である。
【0017】
上記のモノマーは、下記(A)、(B)、(C)の条件下に、前記(1)〜(3)のモノマーを水−エタノール混合溶媒中にてラジカル重合して得られる。
(A)ポリエチレンオキサイドマクロモノマーと疎水性モノマーの仕込み量が、ポリエチレンオキサイドマクロモノマー:疎水性モノマー=1:10〜1:250(モル比)であること
(B)架橋性モノマーの仕込み量が、疎水性モノマーの仕込み量に対して、0.1〜1.5質量%であること
(C)水−エタノール混合溶媒が、水:エタノール=90〜40:10〜60(20℃の容積比)であること
【0018】
Aのポリエチレンオキサイドマクロモノマーと疎水性モノマーの仕込み量はポリエチレンオキサイドマクロモノマー:疎水性モノマー=1:10〜1:250(モル比)の範囲でコロナ−コア型ミクロゲルが重合可能である。エチレンオキサイドマクロモノマーの仕込み量が、モル比で疎水性モノマーの10分の1を下回ると重合されるポリマーは水溶性になりコロナ−コア型ポリマーミクロゲルは形成しない。またポリエチレンオキサイドマクロモノマーのモル量に対して疎水性モノマーが250倍以上になるとポリエチレンオキサイドマクロモノマーによる分散安定化が不完全になり不溶性の疎水性モノマーによる疎水性ポリマーが凝集、沈殿する。ポリエチレンオキサイドマクロモノマーと疎水性モノマーの仕込み比は、好ましくは1:30〜1:200の範囲である。さらに好ましくは1:50から1:150の範囲である。
【0019】
Bの架橋性モノマーを共重合することでコア部分の疎水性ポリマーが架橋されたミクロゲルを重合することが出来る。架橋性モノマーの仕込み量が疎水性モノマーの仕込み量の0.1重量%未満であると、架橋密度が低く、このミクロゲルは膨潤時に崩壊してしまう。また1.5重量%を上回ると、ミクロゲル粒子同士の凝集が生じ、粒度分布の狭い好適なミクロゲル粒子を重合することは出来ない。好ましい架橋性モノマーの仕込み量は,0.2〜1.0、さらに好ましくは0.2〜0.8、最も好ましくは0.2〜0.5質量%である。
【0020】
Cの重合溶媒である水/エタノールの混合比は、水−エタノール混合溶媒が、水:エタノール=90〜40:10〜60(20℃の容積比)である。重合溶媒は疎水性モノマーを均一溶解するためにエタノールを加えることが必要である。エタノールの混合比は10〜60容量比である。エタノールの混合比が10容量比より低い場合は疎水性モノマーを可溶化することが困難になり、重合されるミクロゲル粒子の粒度分布が広くなってしまう。またエタノールの混合比が60容量比を上回ると、重合されるポリマーは重合溶媒に溶解してしまい、ミクロゲル粒子は得られない。好ましい水/エタノールの混合比は、水−エタノール混合溶媒が、水:エタノール=90〜60:10〜40(20℃の容積比)である。さらに好ましくは水:エタノール=80〜70:20〜30(20℃の容積比)である。
【0021】
この重合系に用いられる重合開始剤は通常の水溶性熱ラジカル重合に用いられる市販の重合開始剤を用いることが出来る。
この重合系では特に攪拌条件を厳密にコントロールすることなく重合を行っても重合されるミクロゲル粒子の粒度分布は非常に狭いものを得ることが出来る。
【0022】
上述の製造方法により、粒子径が50〜200nmでありその分散度が0.01未満の単分散性粒子からなる有機溶媒膨潤性ミクロゲルが得られる。
【0023】
「請求項2について」
一般的に乳化粒子あるいはポリマーエマルションなどの所謂コロイド粒子の粒子径は動的光散乱法あるいは光子相関法と呼ばれる方法で測定が可能である。この測定法は、十分に希薄な濃度に調製したサンプル分散液にレーザー光を照射し、サンプル粒子から散乱される散乱光強度を測定することで、サンプル粒子の並進拡散係数(平均値)を測定する方法である。サンプル粒子は分散液中でブラウン運動で常に動いている。このブラウン運動による粒子の移動速度、即ち並進拡散係数(平均値)を散乱光強度の時間変化の結果から、解析することが出来る。こうして得られた並進拡散係数(平均値)の値からストークス−アインシュタイン式(式1)に従ってサンプル粒子の流体力学的サイズを計算することが出来る。
【式1】
但し、Dは拡散係数、kはボルツマン定数、Tは絶対温度(K)、ηは溶媒の粘度、およびrは粒子の半径である。
この測定は市販の測定装置で簡便に測定可能である。たとえば大塚電子製 DLS7000、マーベルン製 オートサイザー4700、ブルックヘーブン製 ゼータパルスなどで測定が可能である。
上述の市販の測定装置にはデータ解析ソフトが搭載されており、測定データを自動的に解析することが出来る。この解析ソフトを用いることで平均粒子径、分散度の値を得ることが出来る。ここで分散度とは粒子径の平均値からのばらつきを示す値であり、キュムラント解析における二次キュムラントの値、即ち、分散値を規格化した値である。一般的にこの分散度が0.01以下であればそのサンプルの粒子径分布はほぼ単分散とみなすことが出来る。
【0024】
また、上述の製造方法により重合したミクロゲルを水中に分散した場合の共重合体粒子の粒子径をd0、この混合溶媒に共重合体粒子が膨潤飽和するベンゼンを混合して、膨潤飽和するまで攪拌した場合の共重合体粒子の粒子径をdとしたときに、膨潤率(d/d0)3が20〜450である有機溶媒膨潤性ミクロゲルが得られる。
【0025】
「請求項3について」
「この混合溶媒に共重合体粒子が膨潤飽和する量のベンゼンを混合して、膨潤飽和するまで攪拌した場合」とは、ベンゼンの量と攪拌時間を増大した場合であっても、膨潤したミクロゲルの粒子径膨潤率(d/d0)3がさらに増大しないベンゼン量と攪拌時間が必要であることを意味する。
例えば、水中にミクロゲルを分散させて、この混合溶媒と同容積のベンゼンを添加し、5時間攪拌すれば膨潤飽和するには十分である。
重合溶媒が水:エタノール=8:2(20℃の容積比)の混合溶媒である場合は、重合後に重合分散液を純水に対して十分透析し、分散液を純水に交換する。このミクロゲル水分散液を適当な濃度に水で希釈して、ミクロゲルの濃度が一定量になるように調製したサンプルに測定サンプルと同容積のベンゼンを添加し、5時間混合攪拌すれば十分である。
また、粒子径のd、d0は動的光散乱法にて測定可能である。測定条件は下記の通りである。
まずコントロール値すなわちd0の値として有機溶媒を添加する前のミクロゲルの水中での粒子径を測定する。この測定は市販の動的光散乱測定装置を用いて簡便に測定が可能である。例えば大塚電子製 DLS7000、マーベルン製 オートサイザー4700、ブルックヘーブン製 ゼータパルスなどで測定が可能である。これらの市販の測定装置にはデータ解析ソフトが搭載されており、自動的に平均粒子径および分散度の値を得ることが出来る。一方有機溶媒での膨潤後の粒子径dは以下の方法でサンプルを処理する。即ち、一定濃度、好ましくはミクロゲルの重量濃度が0.01%程度のミクロゲル水分散液に同容量のベンゼンなどの有機溶媒を添加してふたつきサンプル管に封入する。このサンプル管を室温において緩やかに攪拌しながら一定時間攪拌する。攪拌時間は5時間程度で十分である。攪拌後、サンプル管ごと1000×g程度の軽い遠心分離操作を行い有機溶媒を浮上させ、ミクロゲルが分散している水相部分を注意深く、注射器で採取する。この採取サンプルを上述の市販の動的光散乱測定装置を用いて同様に平均粒子径および分散度を測定する。
このようにして得られたdおよびd0の値から膨潤率(d/d0)3の値を算出することが出来る。
【0026】
従来の合成高分子によるミクロゲルは、いずれも高分子電解質、例えばポリアクリル酸を応用したものであり、その水への分散性に耐酸性や耐塩性がないものであった。しかしながら、医薬品や化粧品の配合成分として応用を考える際、生理的条件化での適応においては耐酸性や耐塩性は非常に重要な性能である。本発明の上記ミクロゲルは非イオン性高分子であるポリエチレンオキサイド鎖で安定化されたミクロゲルであり、その水中での分散安定性は耐酸性や耐塩性が期待できる。
また、水溶性高分子構造を含むマクロモノマーを応用したマクロモノマー法による高分子微粒子重合法は知られているが、この方法を応用して、コア部分を架橋性モノマーにより架橋させてミクロゲルを製造する方法は知られていない。本発明の製造方法は、親水性マクロモノマーと疎水性モノマーとが溶媒中にて図1に示すように秩序化が起り、粒子径がほぼ一定で、かつコア部分が架橋されたコア−コロナ型高分子ミクロゲルが生成すると考えられる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
「実施例に使用したモノマー、試薬」
ポリエチレンオキサイドマクロモノマー(ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート;日本油脂製 ブレンマーPME−4000)、メチルメタクリレート(MMA;アルドリッチ製)およびエチレングリコールジメタクリレート(EGDM;アルドリッチ製)をモノマーとして使用した。重合開始剤は2,2’アゾビス(2メチルプロピオンアミジン 2塩酸塩)(アルドリッチ製)を用いた。水はミリQグレードのものを用いた。他に用いた有機溶媒は次の通りである。エチルアルコール(アルドリッチ製)、ベンゼン(アルドリッチ製)およびヘキサン(アルドリッチ製)。
【0029】
実施例1
ミクロゲルの重合は以下の方法で実施した。還流管と窒素導入管を備えた200mLの三口フラスコに水−エタノール混合溶媒(水:エタノール=80:20容量比)40mLにPME−4000を354mg、メチルメタクリレートを798.4mgおよびエチレングリコールジメタクリレートを1.6mgを溶解する。十分溶解した後、2,2’アゾビス(2メチルプロピオンアミジン 2塩酸塩)を全モノマー量に対して1mol%の割合で添加してさらに溶解する。完全に均一になった重合溶液を20分間窒素置換して溶存酸素を除いた後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、オイルバスにて65から70℃に8時間保って重合する。重合終了後、重合液を室温に戻した後、重合液を水に対して5日間透析して、残存モノマーを除去し、同時に分散液を水に置換する。ここで得られたサンプルをPGM1とする。透析後、サンプルの一部を精秤した後、100℃減圧下で乾燥し、残留成分の重量を精秤して収率を求めた。PGM1の収率は60%であった。
【0030】
実施例2
ミクロゲルの重合は以下の方法で実施した。還流管と窒素導入管を備えた200mLの三口フラスコに水−エタノール混合溶媒(水:エタノール=80:20容量比)40mLにPME−4000を354mg、メチルメタクリレートを797.6mgおよびエチレングリコールジメタクリレートを2.4mgを溶解する。十分溶解した後、2,2’アゾビス(2メチルプロピオンアミジン 2塩酸塩)を全モノマー量に対して1mol%の割合で添加してさらに溶解する。完全に均一になった重合溶液を20分間窒素置換して溶存酸素を除いた後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、オイルバスにて65から70℃に8時間保って重合する。重合終了後、重合液を室温に戻した後、重合液を水に対して5日間透析して、残存モノマーを除去し、同時に分散液を水に置換する。ここで得られたサンプルをPGM2とする。透析後、サンプルの一部を精秤した後、100℃減圧下で乾燥し、残留成分の重量を精秤して収率を求めた。PGM2の収率は58%であった。
【0031】
実施例3
ミクロゲルの重合は以下の方法で実施した。還流管と窒素導入管を備えた200mLの三口フラスコに水−エタノール混合溶媒(水:エタノール=80:20容量比)40mLにPME−4000を354mg、メチルメタクリレートを796.0mgおよびエチレングリコールジメタクリレートを4.0mgを溶解する。十分溶解した後、2,2’アゾビス(2メチルプロピオンアミジン 2塩酸塩)を全モノマー量に対して1mol%の割合で添加してさらに溶解する。完全に均一になった重合溶液を20分間窒素置換して溶存酸素を除いた後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、オイルバスにて65から70℃に8時間保って重合する。重合終了後、重合液を室温に戻した後、重合液を水に対して5日間透析して、残存モノマーを除去し、同時に分散液を水に置換する。ここで得られたサンプルをPGM3とする。透析後、サンプルの一部を精秤した後、100℃減圧下で乾燥し、残留成分の重量を精秤して収率を求めた。PGM3の収率は62%であった。
【0032】
実施例4
ミクロゲルの重合は以下の方法で実施した。還流管と窒素導入管を備えた200mLの三口フラスコに水−エタノール混合溶媒(水:エタノール=80:20容量比)40mLにPME−4000を354mg、メチルメタクリレートを792.0mgおよびエチレングリコールジメタクリレートを8.0mgを溶解する。十分溶解した後、2,2’アゾビス(2メチルプロピオンアミジン 2塩酸塩)を全モノマー量に対して1mol%の割合で添加してさらに溶解する。完全に均一になった重合溶液を20分間窒素置換して溶存酸素を除いた後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、オイルバスにて65から70℃に8時間保って重合する。重合終了後、重合液を室温に戻した後、重合液を水に対して5日間透析して、残存モノマーを除去し、同時に分散液を水に置換する。ここで得られたサンプルをPGM4とする。透析後、サンプルの一部を精秤した後、100℃減圧下で乾燥し、残留成分の重量を精秤して収率を求めた。PGM4の収率は55%であった。
【0033】
比較例1
ミクロゲルの重合は以下の方法で実施した。還流管と窒素導入管を備えた200mLの三口フラスコに水−エタノール混合溶媒(水:エタノール=80:20容量比)40mLにPME−4000を354mg、メチルメタクリレートを784.0mgおよびエチレングリコールジメタクリレートを16mgを溶解する。十分溶解した後、2,2’アゾビス(2メチルプロピオンアミジン 2塩酸塩)を全モノマー量に対して1mol%の割合で添加してさらに溶解する。完全に均一になった重合溶液を20分間窒素置換して溶存酸素を除いた後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、オイルバスにて65から70℃に8時間保って重合する。
【0034】
重合結果を「表1」に示す。
サンプル番号のPGM1〜4が本発明のミクロゲルである。
PGM5は架橋性モノマーの仕込み量が異なる場合の比較例である。PGM5は重合終了時に重合液内はゲル化しており、ミクロゲルとしての形態をとらなかった。またこのゲル化した重合液にベンゼンなどの有機溶媒を加えても著しい膨潤は観察されなかった。
【表1】
但し架橋率(%)は、PME4000およびMMAの合計質量に対するEGDMの質量%である。
【0035】
次に上記で得られたミクロゲルの特性を調べた。測定方法を下記に示す。
「粒子径及び分散度の測定方法」
ミクロゲル粒子径測定はブルックヘーブン社製 ゼータプラスを用いて測定した。ミクロゲル分散液のミクロゲル濃度を約0.01%に調製し測定サンプルを作成し、0.45マイクロメーターのフィルターでごみを除去した後、25℃での散乱強度を散乱角度90°で測定し、測定装置に搭載されている解析ソフトで平均粒子径および分散度を算出した。粒子径はキュムラント解析法により解析し、分散度はキュムラント解析で得られる2次キュムラントの値を規格化した数値である。この分散度は一般的に用いられているパラメーターであり、市販の動的光散乱測定装置を用いることで自動的に解析が可能である。粒子径解析に必要な溶媒の粘度は25℃の純水の粘度、即ち0.89mPasの値を用いた。
測定は各サンプルについて10回の測定を行いその平均値をとった。
コントロール値として未処理のミクロゲルの水中での粒子径を測定しこれをd0値とした。
【0036】
「膨潤度の測定方法」
有機溶媒による膨潤度の測定は以下の方法で行った。本発明のミクロゲルはポリメタクリルメチルがコア部分を形成している。使用した溶媒はポリメタクリルメチルに対して良溶媒であるベンゼンと貧溶媒であるヘキサンを用いた。
50mLのガラス製ふたつきサンプル管にミクロゲル濃度を0.01%に調製したミクロゲル水分散液を20mL取り、そこにベンゼンあるいはヘキサンを2mL加える。このサンプル管を転倒式攪拌機で8時間、室温で攪拌した。攪拌後軽く遠心分離し、余分な有機溶媒を浮上させ、サンプル溶液の水相部分を注射器を用いて慎重に吸引して測定サンプルとした。測定サンプルは上記方法で平均粒子径および分散度を25℃で測定した。ここで測定された膨潤処理後の粒子径をdとして上述のd0との比を取り、これを3乗した値を膨潤度(d/d0)3とした。
【0037】
「結果と考察」
本発明で重合したミクロゲルの特性値を「表2」に示す。
PGM1〜4のサンプルの粒子径は約150〜190nmであり、分散度はいずれも0.01未満であり、その粒子径分布はほぼ単分散に近いと考えられる。PGM1、PGM2、PGM3の電顕写真を図2〜図4に示す。
【表2】
【0038】
PGM1〜3のサンプルについてベンゼンおよびヘキサンによる膨潤度を測定した。結果を「表3」に示す。
【表3】
【0039】
PGM1、PGM2、PGM3のベンゼンによる膨潤挙動を図5のグラフに示す。○はPGM1、●はPGM2、□はPGM3の膨潤度の経時変化を示す。グラフ縦軸は膨潤度、横軸はベンゼンとの混合攪拌時間を示す。
【0040】
本発明のミクロゲルのコア部分を形成するポリメタクリメチルに対する良溶媒であるベンゼンによりミクロゲルは著しく膨潤した。また膨潤度(d/d0)3と架橋密度との間には明らかな相関がある、即ち、架橋密度が低いものでは膨潤度が高く、架橋密度が高いものでは膨潤度が低い。このことは観察されたベンゼンとの混合による粒子径の増加は、ミクロゲル粒子内に形成されたポリマーネットワークに水非混和性の有機溶媒が取り込まれ、ネットワーク構造、ゲル、が膨潤していることを示している。またポリメタクリルメチルに対する貧溶媒であるヘキサンとの混合においてはミクロゲル粒子径はほとんど変化が見られていない。すなわち、貧溶媒ではポリマーゲルネットワークは膨潤をしていないことを示している。これらの結果から、本発明によるミクロゲルは高い溶媒選択性を持った有機溶媒膨潤性ミクロゲルであると言える。
【0041】
【発明の効果】
本発明のミクロゲルはその表面に非イオン性で水溶性のポリエチレンオキサイド鎖がグラフトし、そのコア部分は、架橋性モノマーにより架橋された疎水性ポリマーである、コア−コロナ型ミクロゲルである。本ミクロゲルはモノマー混合比および重合溶媒の極性を調節することで特に厳密な攪拌条件をコントロールすることなく、簡便に粒子径分布の狭いミクロゲル粒子を製造可能である。このことは量産化が容易であり、工業的応用に際して有利である。
本ミクロゲルは水分散性であるが、非イオン性ポリマーで分散安定化されているため、耐酸、耐塩性が期待される。この特徴は医薬品あるいは化粧品産業分野での応用の際に求められる生理的条件化での安定分散という必要条件を満たす、優れた素材であると考えられる。また本ミクロゲルの特筆すべき特性としては水非混和性の有機溶剤による膨潤能である。この膨潤能は極めて高い溶媒選択性がある。またその膨潤効率は驚くべき結果を示し、最大で自体積の400倍近い有機溶媒を吸収し膨潤する。
以上のような特徴から、本発明によるミクロゲルは幅広い工業分野での応用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のミクロゲルのコア−コロナ型高分子ナノスフェア生成メカニズムを示す模式図である。
【図2】本発明のミクロゲル(PGM1)の電顕写真図(SEM)である。
【図3】本発明のミクロゲル(PGM2)の電顕写真図(SEM)である。
【図4】本発明のミクロゲル(PGM3)の電顕写真図(SEM)である。
【図5】本発明のミクロゲルのベンゼンによる膨潤挙動(膨潤度とベンゼンとの混合攪拌時間の関係)を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な有機溶媒膨潤性ミクロゲル及びその製造方法に関する。本発明の有機溶媒膨潤性ミクロゲルは、疎水性のコアと親水性のコロナからなるコロナ−コア型のポリマーミクロゲルであり、ポリマーミクロゲルが配合される各種化学製品、例えば化粧料等の配合成分として有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリマー微粒子(ポリマーエマルション)を工業的に合成する技術は1930年代から実用化され、ゴム工業、塗料、紙の表面処理、接着剤などの一般化学工業分野で、また診断薬、ドラッグデリバリー製剤など医療分野で応用されている。ポリマーエマルションは所謂乳化重合法で合成、生産することができる。乳化重合法は所望のモノマーを適当な分散安定剤を用いて乳化組成物を調製しポリマーを重合する方法である。(非特許文献1)
【0003】
化粧品業界においても、乳化重合法により製造されたポリマーエマルションが化粧料に応用されている。本発明者らは、コア−シェル型ポリマーエマルションを水系美爪料に配合することで、有機溶剤フリーのネールエナメルを製造する技術を実用化している(特許文献1)。またアルコキシシランの架橋反応を応用した自己架橋型ポリマーエマルションを化粧品に配合する技術を実用化している(特許文献2および3)。
【0004】
一方、ポリエチレンオキサイドマクロモノマーを水−エタノール混合溶媒中にてコロナ−コア型ポリマー微粒子を重合する方法は公知であり、非特許文献2に記載されている。この技術は例えばエイズウイルス捕捉システムとして応用されている(非特許文献3)。
【0005】
また、ミクロゲルはその膨潤−収縮機能を応用して医薬品や化粧品産業などでの応用が期待されている。合成高分子によるミクロゲルはこれまでいくつかの報告がなされている(非特許文献4)。これらは、いずれも高分子電解質、例えばポリアクリル酸を応用したものであり、その水への分散性に耐酸性や耐塩性は無い。しかしながら、医薬品や化粧品産業分野での応用を考える際、生理的条件下で適応するためには耐酸性や耐塩性は非常に重要な性能である。
【0006】
一方、水溶性高分子構造を含むマクロモノマーを応用した所謂マクロモノマー法による高分子微粒子重合法はこれまでいくつかの報告がある(非特許文献5)。この方法は、不均一重合の量産において課題となっている重合系の攪拌条件のコントロールをすることなく、均一な粒子径の高分子微粒子を製造できる点で優れた方法と言える(非特許文献5)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−114650号公報
【特許文献2】
特開2002−327019号公報
【特許文献3】
特開2003−20314号公報
【非特許文献1】
「Emulsion Polymerization and Emulsion Polymers」 P.A. Lovell and M.S. El−Asser編 John Wiley and son
【非特許文献2】
M.Q. Chen et al: J. Polym. Sci.:A: Polym. Chem., 38 1811−1817 (2000)
【非特許文献3】
M. Akashi, M. Baba, et al: Bioconj. Chem., 9, 50−53 (1998)
【非特許文献4】
M.J. Snowden et al. Colloid Polym. Sci. 272, 1273 (1994)
【非特許文献5】
C. Wu, Macromolecules 27, 7099 (1944)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は新規なポリマーミクロゲル及びその製造方法を提供するものである。本発明のミクロゲルは粒子径が単分散であり、しかも優れた有機溶媒膨潤性を示すものであり、各種化学製品に配合されるミクロゲルとして極めて有用である。本発明のミクロゲルは非イオン性高分子であるポリエチレンオキサイド鎖で安定化されたミクロゲルであり、その水中での分散安定性は耐酸、耐塩性が期待できる。
本発明のミクロゲルは、前記のマクロモノマー法を応用して、従来報告がなかったコア部分を架橋性モノマーによりミクロゲルとして製造することを特徴とする全く新規な有機溶媒膨潤性ミクロゲルの製造法である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、下記式(1)のポリエチレンオキサイドマクロモノマーと、下記式(2)の疎水性モノマーと、下記式(3)の架橋性モノマーとを重合して得られる共重合体であって、下記(A)、(B)、(C)の条件下に、前記(1)〜(3)のモノマーを水−エタノール混合溶媒中にてラジカル重合して得られる共重合体からなる有機溶媒膨潤性ミクロゲル。
(A)ポリエチレンオキサイドマクロモノマーと疎水性モノマーの仕込み量が、ポリエチレンオキサイドマクロモノマー:疎水性モノマー=1:10〜1:250(モル比)であること
(B)架橋性モノマーの仕込み量が、疎水性モノマーの仕込み量に対して、0.1〜1.5質量%であること
(C)水−エタノール混合溶媒が、水:エタノール=90〜40:10〜60(20℃の容積比)であること
【化13】
(1)
R1は炭素原子数1〜3のアルキルを表し、nは50〜200の数である。
【化14】
(2)
R2はR3はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表す。
【化15】
(3)
R4はR5はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表し、mは1〜3の数である。
【0010】
また、本発明は、下記式(1)のポリエチレンオキサイドマクロモノマーと、下記式(2)の疎水性モノマーと、下記式(3)の架橋性モノマーとを重合して得られる共重合体であって、粒子径が50〜200nmでありその分散度が0.01未満の単分散性粒子からなる有機溶媒膨潤性ミクロゲルを提供するものである。
【化16】
(1)
R1は炭素原子数1〜3のアルキルを表し、nは50〜200の数である。
【化17】
(2)
R2はR3はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表す。
【化18】
(3)
R4はR5はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表し、mは1〜3の数である。
【0011】
さらに、本発明は、下記式(1)のポリエチレンオキサイドマクロモノマーと、下記式(2)の疎水性モノマーと、下記式(3)の架橋性モノマーとを重合して得られる共重合体であって、水中での共重合体粒子の粒子径をd0、この水中に共重合体粒子が膨潤飽和するベンゼンを混合して、膨潤飽和するまで攪拌した場合の共重合体粒子の粒子径をdとしたときに、膨潤率(d/d0)3が20〜450である有機溶媒膨潤性ミクロゲルを提供するものである。
【化19】
(1)
R1は炭素原子数1〜3のアルキルを表し、nは50〜200の数である。
【化20】
(2)
R2はR3はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表す。
【化21】
(3)
R4はR5はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表し、mは1〜3の数である。
【0012】
また、本発明は、下記式(1)のポリエチレンオキサイドマクロモノマーと、下記式(2)の疎水性モノマーと、下記式(3)の架橋性モノマーとを、下記(A)、(B)、(C)の条件下に、水−エタノール混合溶媒中にてラジカル重合することを特徴とする請求項1、2または3記載の有機溶媒膨潤性ミクロゲルの製造方法を提供するものである。
(A)ポリエチレンオキサイドマクロモノマーと疎水性モノマーの仕込み量が、ポリエチレンオキサイドマクロモノマー:疎水性モノマー=1:10〜1:250(モル比)であること
(B)架橋性モノマーの仕込み量が、疎水性モノマーの仕込み量に対して、0.1〜1.5質量%であること
(C)水−エタノール混合溶媒が、水:エタノール=90〜40:10〜60(20℃の容積比)であること
【化22】
(1)
R1は炭素原子数1〜3のアルキルを表し、nは50〜200の数である。
【化23】
(2)
R2はR3はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表す。
【化24】
(3)
R4はR5はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表し、mは1〜3の数である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0014】
本発明に用いる式(1)のポリエチレンオキサイドマクロモノマーは、例えばAldrich社から市販されている試薬、あるいは日本油脂から発売されているブレンマー(登録商標)を使用することが出来る。これら市販品の式(1)のポリエチレンオキサイド部分の分子量(即ちnの値)は幅広く、これを使用することができる。このポリエチレンオキサイド部分の分子量の好ましいサイズはn=50〜200のものである。例えば日本油脂製ブレンマー(登録商標)PME1000あるいはブレンマー(登録商標)PME4000などが好適である。
【0015】
本発明に用いる式(2)の疎水性モノマーは、一般工業原料として容易に入手することができる。式(2)のR3のアルキル鎖は炭素原子数1〜3のアルキルであり、式(2)はメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、およびブチルメタクリレートが好適である。
【0016】
本発明に用いる式(3)の架橋性モノマーは、市販の試薬あるいは工業用原料として入手が可能である。この架橋性モノマーは疎水的であることが好ましい。式(3)のmの値は好ましくは1〜3である。具体的にはAldrich社から発売されているエチレングリコールジメタクリレート、日本油脂製ブレンマー(登録商標)PDE−50などが好適である。
【0017】
上記のモノマーは、下記(A)、(B)、(C)の条件下に、前記(1)〜(3)のモノマーを水−エタノール混合溶媒中にてラジカル重合して得られる。
(A)ポリエチレンオキサイドマクロモノマーと疎水性モノマーの仕込み量が、ポリエチレンオキサイドマクロモノマー:疎水性モノマー=1:10〜1:250(モル比)であること
(B)架橋性モノマーの仕込み量が、疎水性モノマーの仕込み量に対して、0.1〜1.5質量%であること
(C)水−エタノール混合溶媒が、水:エタノール=90〜40:10〜60(20℃の容積比)であること
【0018】
Aのポリエチレンオキサイドマクロモノマーと疎水性モノマーの仕込み量はポリエチレンオキサイドマクロモノマー:疎水性モノマー=1:10〜1:250(モル比)の範囲でコロナ−コア型ミクロゲルが重合可能である。エチレンオキサイドマクロモノマーの仕込み量が、モル比で疎水性モノマーの10分の1を下回ると重合されるポリマーは水溶性になりコロナ−コア型ポリマーミクロゲルは形成しない。またポリエチレンオキサイドマクロモノマーのモル量に対して疎水性モノマーが250倍以上になるとポリエチレンオキサイドマクロモノマーによる分散安定化が不完全になり不溶性の疎水性モノマーによる疎水性ポリマーが凝集、沈殿する。ポリエチレンオキサイドマクロモノマーと疎水性モノマーの仕込み比は、好ましくは1:30〜1:200の範囲である。さらに好ましくは1:50から1:150の範囲である。
【0019】
Bの架橋性モノマーを共重合することでコア部分の疎水性ポリマーが架橋されたミクロゲルを重合することが出来る。架橋性モノマーの仕込み量が疎水性モノマーの仕込み量の0.1重量%未満であると、架橋密度が低く、このミクロゲルは膨潤時に崩壊してしまう。また1.5重量%を上回ると、ミクロゲル粒子同士の凝集が生じ、粒度分布の狭い好適なミクロゲル粒子を重合することは出来ない。好ましい架橋性モノマーの仕込み量は,0.2〜1.0、さらに好ましくは0.2〜0.8、最も好ましくは0.2〜0.5質量%である。
【0020】
Cの重合溶媒である水/エタノールの混合比は、水−エタノール混合溶媒が、水:エタノール=90〜40:10〜60(20℃の容積比)である。重合溶媒は疎水性モノマーを均一溶解するためにエタノールを加えることが必要である。エタノールの混合比は10〜60容量比である。エタノールの混合比が10容量比より低い場合は疎水性モノマーを可溶化することが困難になり、重合されるミクロゲル粒子の粒度分布が広くなってしまう。またエタノールの混合比が60容量比を上回ると、重合されるポリマーは重合溶媒に溶解してしまい、ミクロゲル粒子は得られない。好ましい水/エタノールの混合比は、水−エタノール混合溶媒が、水:エタノール=90〜60:10〜40(20℃の容積比)である。さらに好ましくは水:エタノール=80〜70:20〜30(20℃の容積比)である。
【0021】
この重合系に用いられる重合開始剤は通常の水溶性熱ラジカル重合に用いられる市販の重合開始剤を用いることが出来る。
この重合系では特に攪拌条件を厳密にコントロールすることなく重合を行っても重合されるミクロゲル粒子の粒度分布は非常に狭いものを得ることが出来る。
【0022】
上述の製造方法により、粒子径が50〜200nmでありその分散度が0.01未満の単分散性粒子からなる有機溶媒膨潤性ミクロゲルが得られる。
【0023】
「請求項2について」
一般的に乳化粒子あるいはポリマーエマルションなどの所謂コロイド粒子の粒子径は動的光散乱法あるいは光子相関法と呼ばれる方法で測定が可能である。この測定法は、十分に希薄な濃度に調製したサンプル分散液にレーザー光を照射し、サンプル粒子から散乱される散乱光強度を測定することで、サンプル粒子の並進拡散係数(平均値)を測定する方法である。サンプル粒子は分散液中でブラウン運動で常に動いている。このブラウン運動による粒子の移動速度、即ち並進拡散係数(平均値)を散乱光強度の時間変化の結果から、解析することが出来る。こうして得られた並進拡散係数(平均値)の値からストークス−アインシュタイン式(式1)に従ってサンプル粒子の流体力学的サイズを計算することが出来る。
【式1】
但し、Dは拡散係数、kはボルツマン定数、Tは絶対温度(K)、ηは溶媒の粘度、およびrは粒子の半径である。
この測定は市販の測定装置で簡便に測定可能である。たとえば大塚電子製 DLS7000、マーベルン製 オートサイザー4700、ブルックヘーブン製 ゼータパルスなどで測定が可能である。
上述の市販の測定装置にはデータ解析ソフトが搭載されており、測定データを自動的に解析することが出来る。この解析ソフトを用いることで平均粒子径、分散度の値を得ることが出来る。ここで分散度とは粒子径の平均値からのばらつきを示す値であり、キュムラント解析における二次キュムラントの値、即ち、分散値を規格化した値である。一般的にこの分散度が0.01以下であればそのサンプルの粒子径分布はほぼ単分散とみなすことが出来る。
【0024】
また、上述の製造方法により重合したミクロゲルを水中に分散した場合の共重合体粒子の粒子径をd0、この混合溶媒に共重合体粒子が膨潤飽和するベンゼンを混合して、膨潤飽和するまで攪拌した場合の共重合体粒子の粒子径をdとしたときに、膨潤率(d/d0)3が20〜450である有機溶媒膨潤性ミクロゲルが得られる。
【0025】
「請求項3について」
「この混合溶媒に共重合体粒子が膨潤飽和する量のベンゼンを混合して、膨潤飽和するまで攪拌した場合」とは、ベンゼンの量と攪拌時間を増大した場合であっても、膨潤したミクロゲルの粒子径膨潤率(d/d0)3がさらに増大しないベンゼン量と攪拌時間が必要であることを意味する。
例えば、水中にミクロゲルを分散させて、この混合溶媒と同容積のベンゼンを添加し、5時間攪拌すれば膨潤飽和するには十分である。
重合溶媒が水:エタノール=8:2(20℃の容積比)の混合溶媒である場合は、重合後に重合分散液を純水に対して十分透析し、分散液を純水に交換する。このミクロゲル水分散液を適当な濃度に水で希釈して、ミクロゲルの濃度が一定量になるように調製したサンプルに測定サンプルと同容積のベンゼンを添加し、5時間混合攪拌すれば十分である。
また、粒子径のd、d0は動的光散乱法にて測定可能である。測定条件は下記の通りである。
まずコントロール値すなわちd0の値として有機溶媒を添加する前のミクロゲルの水中での粒子径を測定する。この測定は市販の動的光散乱測定装置を用いて簡便に測定が可能である。例えば大塚電子製 DLS7000、マーベルン製 オートサイザー4700、ブルックヘーブン製 ゼータパルスなどで測定が可能である。これらの市販の測定装置にはデータ解析ソフトが搭載されており、自動的に平均粒子径および分散度の値を得ることが出来る。一方有機溶媒での膨潤後の粒子径dは以下の方法でサンプルを処理する。即ち、一定濃度、好ましくはミクロゲルの重量濃度が0.01%程度のミクロゲル水分散液に同容量のベンゼンなどの有機溶媒を添加してふたつきサンプル管に封入する。このサンプル管を室温において緩やかに攪拌しながら一定時間攪拌する。攪拌時間は5時間程度で十分である。攪拌後、サンプル管ごと1000×g程度の軽い遠心分離操作を行い有機溶媒を浮上させ、ミクロゲルが分散している水相部分を注意深く、注射器で採取する。この採取サンプルを上述の市販の動的光散乱測定装置を用いて同様に平均粒子径および分散度を測定する。
このようにして得られたdおよびd0の値から膨潤率(d/d0)3の値を算出することが出来る。
【0026】
従来の合成高分子によるミクロゲルは、いずれも高分子電解質、例えばポリアクリル酸を応用したものであり、その水への分散性に耐酸性や耐塩性がないものであった。しかしながら、医薬品や化粧品の配合成分として応用を考える際、生理的条件化での適応においては耐酸性や耐塩性は非常に重要な性能である。本発明の上記ミクロゲルは非イオン性高分子であるポリエチレンオキサイド鎖で安定化されたミクロゲルであり、その水中での分散安定性は耐酸性や耐塩性が期待できる。
また、水溶性高分子構造を含むマクロモノマーを応用したマクロモノマー法による高分子微粒子重合法は知られているが、この方法を応用して、コア部分を架橋性モノマーにより架橋させてミクロゲルを製造する方法は知られていない。本発明の製造方法は、親水性マクロモノマーと疎水性モノマーとが溶媒中にて図1に示すように秩序化が起り、粒子径がほぼ一定で、かつコア部分が架橋されたコア−コロナ型高分子ミクロゲルが生成すると考えられる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
「実施例に使用したモノマー、試薬」
ポリエチレンオキサイドマクロモノマー(ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート;日本油脂製 ブレンマーPME−4000)、メチルメタクリレート(MMA;アルドリッチ製)およびエチレングリコールジメタクリレート(EGDM;アルドリッチ製)をモノマーとして使用した。重合開始剤は2,2’アゾビス(2メチルプロピオンアミジン 2塩酸塩)(アルドリッチ製)を用いた。水はミリQグレードのものを用いた。他に用いた有機溶媒は次の通りである。エチルアルコール(アルドリッチ製)、ベンゼン(アルドリッチ製)およびヘキサン(アルドリッチ製)。
【0029】
実施例1
ミクロゲルの重合は以下の方法で実施した。還流管と窒素導入管を備えた200mLの三口フラスコに水−エタノール混合溶媒(水:エタノール=80:20容量比)40mLにPME−4000を354mg、メチルメタクリレートを798.4mgおよびエチレングリコールジメタクリレートを1.6mgを溶解する。十分溶解した後、2,2’アゾビス(2メチルプロピオンアミジン 2塩酸塩)を全モノマー量に対して1mol%の割合で添加してさらに溶解する。完全に均一になった重合溶液を20分間窒素置換して溶存酸素を除いた後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、オイルバスにて65から70℃に8時間保って重合する。重合終了後、重合液を室温に戻した後、重合液を水に対して5日間透析して、残存モノマーを除去し、同時に分散液を水に置換する。ここで得られたサンプルをPGM1とする。透析後、サンプルの一部を精秤した後、100℃減圧下で乾燥し、残留成分の重量を精秤して収率を求めた。PGM1の収率は60%であった。
【0030】
実施例2
ミクロゲルの重合は以下の方法で実施した。還流管と窒素導入管を備えた200mLの三口フラスコに水−エタノール混合溶媒(水:エタノール=80:20容量比)40mLにPME−4000を354mg、メチルメタクリレートを797.6mgおよびエチレングリコールジメタクリレートを2.4mgを溶解する。十分溶解した後、2,2’アゾビス(2メチルプロピオンアミジン 2塩酸塩)を全モノマー量に対して1mol%の割合で添加してさらに溶解する。完全に均一になった重合溶液を20分間窒素置換して溶存酸素を除いた後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、オイルバスにて65から70℃に8時間保って重合する。重合終了後、重合液を室温に戻した後、重合液を水に対して5日間透析して、残存モノマーを除去し、同時に分散液を水に置換する。ここで得られたサンプルをPGM2とする。透析後、サンプルの一部を精秤した後、100℃減圧下で乾燥し、残留成分の重量を精秤して収率を求めた。PGM2の収率は58%であった。
【0031】
実施例3
ミクロゲルの重合は以下の方法で実施した。還流管と窒素導入管を備えた200mLの三口フラスコに水−エタノール混合溶媒(水:エタノール=80:20容量比)40mLにPME−4000を354mg、メチルメタクリレートを796.0mgおよびエチレングリコールジメタクリレートを4.0mgを溶解する。十分溶解した後、2,2’アゾビス(2メチルプロピオンアミジン 2塩酸塩)を全モノマー量に対して1mol%の割合で添加してさらに溶解する。完全に均一になった重合溶液を20分間窒素置換して溶存酸素を除いた後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、オイルバスにて65から70℃に8時間保って重合する。重合終了後、重合液を室温に戻した後、重合液を水に対して5日間透析して、残存モノマーを除去し、同時に分散液を水に置換する。ここで得られたサンプルをPGM3とする。透析後、サンプルの一部を精秤した後、100℃減圧下で乾燥し、残留成分の重量を精秤して収率を求めた。PGM3の収率は62%であった。
【0032】
実施例4
ミクロゲルの重合は以下の方法で実施した。還流管と窒素導入管を備えた200mLの三口フラスコに水−エタノール混合溶媒(水:エタノール=80:20容量比)40mLにPME−4000を354mg、メチルメタクリレートを792.0mgおよびエチレングリコールジメタクリレートを8.0mgを溶解する。十分溶解した後、2,2’アゾビス(2メチルプロピオンアミジン 2塩酸塩)を全モノマー量に対して1mol%の割合で添加してさらに溶解する。完全に均一になった重合溶液を20分間窒素置換して溶存酸素を除いた後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、オイルバスにて65から70℃に8時間保って重合する。重合終了後、重合液を室温に戻した後、重合液を水に対して5日間透析して、残存モノマーを除去し、同時に分散液を水に置換する。ここで得られたサンプルをPGM4とする。透析後、サンプルの一部を精秤した後、100℃減圧下で乾燥し、残留成分の重量を精秤して収率を求めた。PGM4の収率は55%であった。
【0033】
比較例1
ミクロゲルの重合は以下の方法で実施した。還流管と窒素導入管を備えた200mLの三口フラスコに水−エタノール混合溶媒(水:エタノール=80:20容量比)40mLにPME−4000を354mg、メチルメタクリレートを784.0mgおよびエチレングリコールジメタクリレートを16mgを溶解する。十分溶解した後、2,2’アゾビス(2メチルプロピオンアミジン 2塩酸塩)を全モノマー量に対して1mol%の割合で添加してさらに溶解する。完全に均一になった重合溶液を20分間窒素置換して溶存酸素を除いた後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、オイルバスにて65から70℃に8時間保って重合する。
【0034】
重合結果を「表1」に示す。
サンプル番号のPGM1〜4が本発明のミクロゲルである。
PGM5は架橋性モノマーの仕込み量が異なる場合の比較例である。PGM5は重合終了時に重合液内はゲル化しており、ミクロゲルとしての形態をとらなかった。またこのゲル化した重合液にベンゼンなどの有機溶媒を加えても著しい膨潤は観察されなかった。
【表1】
但し架橋率(%)は、PME4000およびMMAの合計質量に対するEGDMの質量%である。
【0035】
次に上記で得られたミクロゲルの特性を調べた。測定方法を下記に示す。
「粒子径及び分散度の測定方法」
ミクロゲル粒子径測定はブルックヘーブン社製 ゼータプラスを用いて測定した。ミクロゲル分散液のミクロゲル濃度を約0.01%に調製し測定サンプルを作成し、0.45マイクロメーターのフィルターでごみを除去した後、25℃での散乱強度を散乱角度90°で測定し、測定装置に搭載されている解析ソフトで平均粒子径および分散度を算出した。粒子径はキュムラント解析法により解析し、分散度はキュムラント解析で得られる2次キュムラントの値を規格化した数値である。この分散度は一般的に用いられているパラメーターであり、市販の動的光散乱測定装置を用いることで自動的に解析が可能である。粒子径解析に必要な溶媒の粘度は25℃の純水の粘度、即ち0.89mPasの値を用いた。
測定は各サンプルについて10回の測定を行いその平均値をとった。
コントロール値として未処理のミクロゲルの水中での粒子径を測定しこれをd0値とした。
【0036】
「膨潤度の測定方法」
有機溶媒による膨潤度の測定は以下の方法で行った。本発明のミクロゲルはポリメタクリルメチルがコア部分を形成している。使用した溶媒はポリメタクリルメチルに対して良溶媒であるベンゼンと貧溶媒であるヘキサンを用いた。
50mLのガラス製ふたつきサンプル管にミクロゲル濃度を0.01%に調製したミクロゲル水分散液を20mL取り、そこにベンゼンあるいはヘキサンを2mL加える。このサンプル管を転倒式攪拌機で8時間、室温で攪拌した。攪拌後軽く遠心分離し、余分な有機溶媒を浮上させ、サンプル溶液の水相部分を注射器を用いて慎重に吸引して測定サンプルとした。測定サンプルは上記方法で平均粒子径および分散度を25℃で測定した。ここで測定された膨潤処理後の粒子径をdとして上述のd0との比を取り、これを3乗した値を膨潤度(d/d0)3とした。
【0037】
「結果と考察」
本発明で重合したミクロゲルの特性値を「表2」に示す。
PGM1〜4のサンプルの粒子径は約150〜190nmであり、分散度はいずれも0.01未満であり、その粒子径分布はほぼ単分散に近いと考えられる。PGM1、PGM2、PGM3の電顕写真を図2〜図4に示す。
【表2】
【0038】
PGM1〜3のサンプルについてベンゼンおよびヘキサンによる膨潤度を測定した。結果を「表3」に示す。
【表3】
【0039】
PGM1、PGM2、PGM3のベンゼンによる膨潤挙動を図5のグラフに示す。○はPGM1、●はPGM2、□はPGM3の膨潤度の経時変化を示す。グラフ縦軸は膨潤度、横軸はベンゼンとの混合攪拌時間を示す。
【0040】
本発明のミクロゲルのコア部分を形成するポリメタクリメチルに対する良溶媒であるベンゼンによりミクロゲルは著しく膨潤した。また膨潤度(d/d0)3と架橋密度との間には明らかな相関がある、即ち、架橋密度が低いものでは膨潤度が高く、架橋密度が高いものでは膨潤度が低い。このことは観察されたベンゼンとの混合による粒子径の増加は、ミクロゲル粒子内に形成されたポリマーネットワークに水非混和性の有機溶媒が取り込まれ、ネットワーク構造、ゲル、が膨潤していることを示している。またポリメタクリルメチルに対する貧溶媒であるヘキサンとの混合においてはミクロゲル粒子径はほとんど変化が見られていない。すなわち、貧溶媒ではポリマーゲルネットワークは膨潤をしていないことを示している。これらの結果から、本発明によるミクロゲルは高い溶媒選択性を持った有機溶媒膨潤性ミクロゲルであると言える。
【0041】
【発明の効果】
本発明のミクロゲルはその表面に非イオン性で水溶性のポリエチレンオキサイド鎖がグラフトし、そのコア部分は、架橋性モノマーにより架橋された疎水性ポリマーである、コア−コロナ型ミクロゲルである。本ミクロゲルはモノマー混合比および重合溶媒の極性を調節することで特に厳密な攪拌条件をコントロールすることなく、簡便に粒子径分布の狭いミクロゲル粒子を製造可能である。このことは量産化が容易であり、工業的応用に際して有利である。
本ミクロゲルは水分散性であるが、非イオン性ポリマーで分散安定化されているため、耐酸、耐塩性が期待される。この特徴は医薬品あるいは化粧品産業分野での応用の際に求められる生理的条件化での安定分散という必要条件を満たす、優れた素材であると考えられる。また本ミクロゲルの特筆すべき特性としては水非混和性の有機溶剤による膨潤能である。この膨潤能は極めて高い溶媒選択性がある。またその膨潤効率は驚くべき結果を示し、最大で自体積の400倍近い有機溶媒を吸収し膨潤する。
以上のような特徴から、本発明によるミクロゲルは幅広い工業分野での応用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のミクロゲルのコア−コロナ型高分子ナノスフェア生成メカニズムを示す模式図である。
【図2】本発明のミクロゲル(PGM1)の電顕写真図(SEM)である。
【図3】本発明のミクロゲル(PGM2)の電顕写真図(SEM)である。
【図4】本発明のミクロゲル(PGM3)の電顕写真図(SEM)である。
【図5】本発明のミクロゲルのベンゼンによる膨潤挙動(膨潤度とベンゼンとの混合攪拌時間の関係)を示すグラフである。
Claims (4)
- 下記式(1)のポリエチレンオキサイドマクロモノマーと、下記式(2)の疎水性モノマーと、下記式(3)の架橋性モノマーとを重合して得られる共重合体であって、下記(A)、(B)、(C)の条件下に、前記(1)〜(3)のモノマーを水−エタノール混合溶媒中にてラジカル重合して得られる共重合体からなる有機溶媒膨潤性ミクロゲル。
(A)ポリエチレンオキサイドマクロモノマーと疎水性モノマーの仕込み量が、ポリエチレンオキサイドマクロモノマー:疎水性モノマー=1:10〜1:250(モル比)であること
(B)架橋性モノマーの仕込み量が、疎水性モノマーの仕込み量に対して、0.1〜1.5質量%であること
(C)水−エタノール混合溶媒が、水:エタノール=90〜40:10〜60(20℃の容積比)であること
【化1】
(1)
R1は炭素原子数1〜3のアルキルを表し、nは50〜200の数である。
【化2】
(2)
R2はR3はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表す。
【化3】
(3)
R4はR5はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表し、mは1〜3の数である。 - 下記式(1)のポリエチレンオキサイドマクロモノマーと、下記式(2)の疎水性モノマーと、下記式(3)の架橋性モノマーとを重合して得られる共重合体であって、水中での共重合体粒子の粒子径をd0、この水中に共重合体粒子が膨潤飽和するベンゼンを混合して、膨潤飽和するまで攪拌した場合の共重合体粒子の粒子径をdとしたときに、膨潤率(d/d0)3が20〜450である有機溶媒膨潤性ミクロゲル。
【化7】
(1)
R1は炭素原子数1〜3のアルキルを表し、nは50〜200の数である。
【化8】
(2)
R2はR3はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表す。
【化9】
(3)
R4はR5はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表し、mは1〜3の数である。 - 下記式(1)のポリエチレンオキサイドマクロモノマーと、下記式(2)の疎水性モノマーと、下記式(3)の架橋性モノマーとを、下記(A)、(B)、(C)の条件下に、水−エタノール混合溶媒中にてラジカル重合することを特徴とする請求項1、2または3記載の有機溶媒膨潤性ミクロゲルの製造方法。
(A)ポリエチレンオキサイドマクロモノマーと疎水性モノマーの仕込み量が、ポリエチレンオキサイドマクロモノマー:疎水性モノマー=1:10〜1:250(モル比)であること
(B)架橋性モノマーの仕込み量が、疎水性モノマーの仕込み量に対して、0.1〜1.5質量%であること
(C)水−エタノール混合溶媒が、水:エタノール=90〜40:10〜60(20℃の容積比)であること
【化10】
(1)
R1は炭素原子数1〜3のアルキルを表し、nは50〜200の数である。
【化11】
(2)
R2はR3はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表す。
【化12】
(3)
R4はR5はそれぞれ独立に炭素原子数1〜3のアルキルを表し、mは1〜3の数である。
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