JP2005012385A - オブジェクト表示方法およびオブジェクト表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】観察者から見て異なった奥行き位置にある複数の表示面に、前記複数の表示面に対して表示対象物体を観察者の視線方向から射影した2次元像を表示する第1の手段と、前記複数の表示面に表示される2次元像の輝度あるいは透過度を、各表示面毎に各々独立に変化させる第2の手段とを有し、前記複数の表示面の中の任意の2つの表示面の間に3次元立体像から成る仮想物体を表示する3次元表示装置を備え、前記任意の2つの表示面の間に実物体を配置する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オブジェクト表示方法およびオブジェクト表示装置に係り、特に、実物体と仮想物体(3次元立体像)が、観察者にとってあたかも同じ空間に立体的に存在し、両者がインタラクション(相互作用)を持つかのような感覚を呈示するオブジェクト表示方法およびオブジェクト表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータにより非常にリアルな3次元映像を生成することが可能となった。そして、そのようにして生成された仮想物体を、現実世界に存在する実物体と重ね合わせる技術が盛んに研究されている。
これらの技術は、Augmented Reality、もしくは、Mixed Realityと呼ばれており、非常に幅広い分野での応用が期待されている。
例えば、テーマパークなどのアミューズメント施設においては、ハーフミラーを用いて、CG(Computer Graphics)によるキャラクターと、舞台セットなどの実物体を重ね合わせ、あたかも舞台の上でCGのキャラクターが演じているかのようなアトラクションを提供している。
しかし、CGによる仮想物体が2次元画像であるのに対し、実物体は3次元であるために、違和感を生じるほか、ハーフミラーにより構成されるため、装置が大がかりとなってしまう。
また、近年の遊戯具は、液晶パネルなどのディスプレイを具備し、イベントに応じた映像を呈示することで利用者を一層魅了している。
【0003】
しかし、遊戯の対象となる物体が通る経路と映像を呈示するディスプレイの場所は別々であるため、パチンコ玉などの実物体とディスプレイにより表示される仮想物体(例えば、CGキャラクタ、スロット)の間に相互作用(インタラクション)が働いているような感覚を生じさせることができない。
よって、遊戯は直感的とは言えず、初心者への敷居を高めていたほか、ディスプレイの表示内容に人為的な意図を感じさせてしまい、遊戯の利用者に不信感を与えてしまう。
そこで、2次元ディスプレイの前を対象物体が通過するようにすることが考えられるが、遊戯の対象となる物体が3次元の実体として知覚されるのに対して、ディスプレイの表示は2次元であり、同じ空間にあるようには感じられない。
次に、立体像を表示できるディスプレイを用いて、3次元映像を呈示することが考えられる。この立体ディスプレイの代表的なものに、例えば、パララクス・バリア方式がある(下記特許文献1参照)。
パララクス・バリア方式は、呈示面と遮光面により構成され、呈示面にストライプ状に交互に呈示された左右眼用の映像を、ストライプ状にバリアとなっている遮光面を通すことで、観察者のそれぞれの眼に適切な画像のみが呈示されることで立体映像を提供する。
【0004】
このようにパララクス・バリア式のディスプレイは、両眼に呈示する映像の差異(両眼視差)を手がかりとして立体像を呈示している。
しかし、眼のピント合わせ(焦点調節)は、ストライプ映像の呈示面の奥行き位置になされ、立体像が呈示される奥行き位置とは異なり、眼が疲れ、長時間の観察には適さない。
また、呈示面は、左右のストライプ映像を呈示するために、片眼に入る映像の画素ピッチは呈示面の1/2となるため、呈示できる立体画像は荒くなり現実感がなく、また細かい視差を表現できないために、呈示面にごく近い奥行き位置に立体映像を呈示するのは困難である。
よって、パララクス・バリア式のディスプレイの前を遊戯の対象となる物体が通過するようにしても、前記のように相互作用を表現することは困難である。
一方、近年になり、DFD(Depth−Fused 3−D)型の3次元表示装置が提案されている(下記特許文献2、3参照)
DFD型の3次元表示装置では、重なり合う表示面の輝度(または透過度)比を変えることによりその中間の任意の奥行き位置に3次元像を呈示する。
DFD型の3次元表示装置では、焦点の調節位置と立体像を呈示する位置に不整合が生じにくく、長時間観察しても目が疲れにくい。
また、重なり合う各表示面の解像度を犠牲にすることはないので、高精細な立体映像を呈示することができる。
【0005】
なお、本願発明に関連する先行技術文献としては以下のものがある。
【特許文献1】
特許第3123808号公報
【特許文献2】
特許第3022558号公報
【特許文献3】
特開2001−54144号公報報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したDFD型の3次元表示装置は、表示面が重なり合う分だけ厚みが生じ、遊戯具に組み込みにくい。
また、原則として表示面で挟んだ領域にしか立体映像を呈示できないため、DFD型の3次元表示装置の前を遊戯の対象となる物体が通過するようにしても、対象物体と同じ奥行き位置に立体映像を表示することができず、相互作用を表現することは困難である。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、物理法則に従って動く実物体と、3次元表示装置により表示される仮想物体とが、観察者にとってあたかも同じ空間に立体的に存在し、両者がインタラクション(相互作用)を持つかのような感覚を呈示することが可能なオブジェクト表示方法およびオブジェクト表示装置を提供することである。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
即ち、本発明は、観察者から見て異なった奥行き位置にある複数の表示面に、前記複数の表示面に対して表示対象物体を観察者の視線方向から射影した2次元像を、当該2次元像輝度あるいは透過度を前記各表示面毎に各々独立に変化させて表示することにより、前記複数の表示面の中の任意の2つの表示面の間に3次元立体像から成る仮想物体を表示するとともに、前記任意の2つの表示面の間に実物体を配置することを特徴とする。
前述の手段によれば、実物体の配置されている空間と、DFD型の3次元表示装置により表示される仮想物体(3次元立体像)の空間が一致するために、実物体と、DFD型の3次元表示装置により表示される仮想物体が、観察者にとってあたかも同じ空間に立体的に存在するかのような感覚を呈示することができる。
【0008】
また、本発明は、前記任意の2つの表示面の間に前記実物体が通過する経路を備えたことを特徴とする。
前述の手段によれば、実物体が通過する奥行き位置に、DFD型の3次元表示装置により表示される3次元立体像の奥行き位置を一致させることができるため、物理法則に従って動く実物体(例えば、パチンコ玉、ボール、ホッケーディスク)と、表示される仮想物体(例えば、CGキャラクタ、スロット)が、観察者にとってあたかも同じ空間に立体的に存在し、両者がインタラクション(相互作用)を持つかのような感覚を呈示することができる。
DFD型の3次元表示装置の表示面の間が経路となり、実物体は物理法則に従って動くために、空間全体の現実感が高まり、仮想物体もあたかも実際に存在するかのような感覚を呈示することができる。
また、DFD型の3次元表示装置の厚みが、実物体が通過する経路の厚みに収まるため、設置に余分なスペースを必要としない。
【0009】
また、本発明は、前記実物体の位置を検出し、当該検出結果に基づき、前記任意の2つの表示面の間に表示する3次元立体像を変化させることを特徴とする。
前述の手段によれば、実物体の位置に合わせて、DFD型の3次元表示装置に表示される3次元立体像が変化するため、観察者は両者に強いインタラクション(相互作用)を感じることができる。
また、例えば、遊戯具においては、実物体の経路や特定位置の通過タイミングによって得点を変化させ、その結果を3次元立体像として表示することで、遊戯の展開がバラエティに富み、観察者をより楽しませることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
[本発明の前提となるDFD型の3次元表示装置の概要]
図2は、DFD型の3次元表示装置の一例の概略構成を示す図であり、前述の特許文献2に図1として図示されている3次元表示装置である。
図2に示すDFD型の3次元表示装置では、観察者100の前面に複数の表示面、例えば、表示面(101,102)(表示面101が表示面102より観察者100に近い)を設定し、これらの表示面(101,102)に複数の2次元像を表示するために、2次元表示装置と種々の光学素子を用いて光学系103を構築する。
2次元表示装置としては、例えば、CRT、液晶ディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ、FEDディスプレイ、プロジェクション型ディスプレイ、線描画型ディスプレイなどを用い、光学素子としては、例えば、レンズ、全反射鏡、部分反射鏡、曲鏡、プリズム、偏光素子、波長板などを用いる。
以下、図2ないし図7を用いて、図2に示すDFD型の3次元表示装置の表示原理について説明する。
図3に示すように、観察者100に提示したい3次元物体104を、観察者100の両眼の視線方向から、前述の表示面(101,102)へ射影した像(以下、「2D化像」と呼ぶ)(105,106)を生成する。
この2D化像の生成方法としては、例えば、視線方向から物体104をカメラで撮影した2次元像を用いる方法、あるいは別の方向から撮影した複数枚の2次元像から合成する方法、あるいはコンピュータグラフィックによる合成技術やモデル化を用いる方法など種々の方法がある。
【0011】
そして、図2に示すように、前記2D化像(105,106)を、各々表示面101と表示面102の双方に、観察者100の右眼と左眼とを結ぶ線上の一点から見て重なるように表示する。
これは、例えば、2D化像(105,106)の各々の中心位置や重心位置の配置と、各々の像の拡大・縮小を制御することで可能となる。
図2に示すDFD型の3次元表示装置の重要な要点は、前記構成を有する装置上で、2D化像(105,106)の各々の輝度を、観察者100から見た総体的な輝度を一定に保ちつつ、3次元物体104の奥行き位置に対応して変えることである。
その変え方の一例を以下に述べる。なお、ここでは、白黒図面であるため、分かりやすいように、以下の図面では輝度の高い方を濃く示してある。
例えば、3次元物体104が表示面101上にある場合には、図4に示すように、この上の2D化像105の輝度を3次元物体104の輝度に等しくし、表示面102上の2D化像106の輝度はゼロとする。
次に、例えば、3次元物体104が観察者100より少し遠ざかって表示面101より表示面102側に少し寄った位置にある場合には、図5に示すように、2D化像105の輝度を少し下げ、2D化像106の輝度を少し上げる。
【0012】
次に、例えば、3次元物体104が観察者100よりさらに遠ざかって表示面101より表示面102側にさらに寄った位置にある場合には、図6に示すように、2D化像105の輝度をさらに下げ、2D化像106の輝度をさらに上げる。
さらに、例えば、3次元物体104が表示面102上にある場合には、図7に示すように、この上の2D化像106の輝度を3次元物体104の輝度に等しくし、表示面101上の2D化像105の輝度はゼロとする。
このように表示することにより、観察者(人)100の生理的あるいは心理的要因あるいは錯覚により、表示しているのが2D化像(105,106)であっても、観察者100にはあたかも表示面(101,102)の中間に3次元物体104が位置しているように感じられる。
即ち、例えば、表示面(101,102)にほぼ等輝度の2D化像(105,106)を表示した場合には、表示面(101,102)の奥行き位置の中間付近に3次元物体104があるように感じられる。
【0013】
図8は、DFD型の3次元表示装置の他の例の概略構成を示す図であり、前述の特許文献3に図1として図示されている3次元表示装置である。
図8に示すDFD型の3次元表示装置では、観察者100の前面に、複数の透過型表示装置、例えば、透過型表示装置(111,112)(透過型表示装置111が透過型表示装置112より観察者100に近い)と、種々の光学素子と、光源110を用いて光学系103を構築する。
透過型表示装置(111,112)としては、例えば、ツイストネマティック型液晶ディスプレイ、イン・プレイン型液晶ディスプレイ、ホモジニアス型液晶ディスプレイ、強誘電液晶ディスプレイ、ゲスト−ホスト型液晶ディスプレイ、高分子分散型液晶ディスプレイ、ホログラフィック高分子分散型液晶ディスプレイ、あるいはこれらの組み合わせなどを使用する。
また、光学素子としては、例えば、レンズ、全反射鏡、部分反射鏡、曲面鏡、プリズム、偏光素子、波長板などを用いる。
図8では、実施の形態では、一例として光源110が、観察者100から見て最も後方に配置された場合を示す。
図8に示すDFD型の3次元表示装置では、前述の図3で説明した2D化像(105,106)を、透過型表示装置111と透過型表示装置112との双方に、観察者100の右眼と左眼を結ぶ線上の一点から見て重なるように表示する。
これは、例えば、2D化像(105,106)の各々の中心位置や重心位置の配置と、各々の像の拡大/縮小率を制御することで可能となる。
【0014】
前記構成を有する装置上で、観察者100が見る像は、2D化像106を透過し、さらに2D化像105を透過した光によって生成される。
図8に示すDFD型の3次元表示装置における重要な要点は、その観察者100が見る像の輝度を、表示しようとする3次元物体104の輝度と同じになるように一定に保ちつつ、2D化像105と2D化像106の透過度の配分を変えることで、観察者100の感じる像の奥行き位置を変えることである。
その変え方の一例を以下に述べる。
なお、ここでは、白黒図面であるため、分かりやすいように図面上では透過度が低い方を濃く示してある。
例えば、3次元物体104が透過型表示装置111上にある場合には、図9に示すように、透過型表示装置111上の透過度を、2D化像105の輝度が3次元物体104の輝度に等しくなるように設定し、透過型表示装置112上の2D化像106の部分の透過度を、例えば、その透過型表示装置112の最大値とする。
次に、例えば、3次元物体104が観察者100より少し遠ざかって、透過型表示装置111より透過型表示装置112側に少し寄った位置にある場合には、図10に示すように、透過型表示装置111上の2D化像105の部分の透過度を少し増加させ、透過型表示装置112上の2D化像106の部分の透過度を少し減少させる。
【0015】
次に、例えば、3次元物体104が観察者100よりさらに遠ざかって、透過型表示装置111より透過型表示装置112側にさらに寄った位置にある場合には、図11に示すように、透過型表示装置111上の2D化像105の部分の透過度をさらに増加させ、透過型表示装置112上の2D化像106の部分の透過度をさらに減少させる。
さらに、例えば、3次元物体104が透過型表示装置112上にある場合には、図12に示すように、透過型表示装置112上の透過度を、2D化像106の輝度が3次元物体104の輝度に等しくなるように設定し、透過型表示装置111上の2D化像105の部分の透過度を、例えば、透過型表示装置111の最大値とする。
このように表示することにより、人の生理的あるいは心理的要因あるいは錯覚により、表示しているのが2D化像(105,106)であっても、観察者100にはあたかも透過型表示装置(111,112)の中間に3次元物体104が位置しているように感じられる。
即ち、例えば、透過型表示装置(111,112)の2D化像(105,106)の部分の透過度をほぼ同じに設定した場合には、透過型表示装置(111,112)の奥行き位置の中間付近に3次元物体104があるように感じられる。
【0016】
図2、図8に示すDFD型の3次元表示では、実際に像を表示する面が、その錯覚位置を挟んで少なくとも2つ以上存在するため、両眼視差、輻輳と、ピント調節との間の矛盾を大きく抑制でき、眼精疲労などを抑制できる。
また、ピント調整自体は、観察者100が2つ以上の面を同時に見ることになるため、双方の2D化像を最もぼけさせずに見ることができる位置に定位されることになり、従来法の欠点を大きく改善できる。
また、像面の中間位置に存在する物体も観察者に対しては3次元的に見えるため、従来の書割り的な立体感ではない利点を有する。
さらに、2次元像の輝度あるいは透過度の変化のみによる人の生理的あるいは心理的要因あるいは錯覚を利用しているため、光源として特にレーザーなどのコヒーレント光源を必要とせず、かつカラー化も容易である利点を有している。
なお、図2、図8では、2次元像を配置する面の中で主に2つの面に関してのみ記述し、かつ観察者に提示する物体が2つの面の間にある場合について述べたが、2次元像を配置する面の個数がこれよりも多く、あるいは提示する物体の位置が異なる場合であっても、同様な構成が可能であることは明らかである。
【0017】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1のオブジェクト表示装置の概略構成を示す斜視図である。
図1において、101,102は、前述の図2ないし図7で説明した表示面である。また、122は、表示面(101,102)の間に表示される仮想物体(例えば、3次元キャラクタ)である。
この仮想物体122は、前述したように、前面の表示面101と後面の表示面102とに表示される2D化像(105,106)の輝度比を変えることにより、観察者100に提示される。
また、121は、実物体であり、例えば、舞台のセットやジオラマなどである。
本実施の形態では、観察者100の位置から見ると、仮想のキャラクタ122が実物体121のセットの中で存在しているかのように見える。
本実施の形態において、表示面(101,102)は、前述の特許文献2に記載された方法により設定可能である。また、表示面(101,102)として、自発光型表示装置を使用することも可能である。但し、この場合には、少なくとも前面の表示面101は、透明自発光型表示装置(例えば、ELディスプレイなど)で構成する必要がある。
さらに、本実施の形態において、表示面(101,102)として、前述の特許文献3に記載されている透過型表示装置を使用することも可能である。この場合には、表示面101を構成する透過型表示装置と、表示面102を構成する透過型表示装置とに表示される2D化像の透過度比を変えることにより、仮想物体122が観察者100に提示されることになる。
【0018】
[実施の形態2]
図13は、本発明の実施の形態2のオブジェクト表示装置を有するパチンコ台を示す模式図である。
同図において、201はパチンコ台であり、利用者131により遊戯される。130は、仮想物体(3次元立体像)を提示する3次元表示装置であり、パチンコ台201の全面もしくは一部に組み込まれている。
図14は、本発明の実施の形態2のオブジェクト表示装置の概略構成を示す図である。
3次元表示装置130は、前述した3次元表示装置であり、前面の表示面101と、後面の表示面102とに表示される2D化像(105,106)の輝度(あるいは、透過度)比を変えることにより、表示面101と表示面102との間の任意の奥行き位置に仮想物体(例えば、3次元キャラクタ)122を表示する。
実物体(ここでは、パチンコ玉)203は、表示面101と表示面102との間を通り抜けることができる。
本実施の形態では、実物体203の経路204と、仮想物体122の奥行き位置が一致し、両者が同じ空間にいるかのような感覚を、利用者131に呈示することができる。
なお、前述の説明では、パチンコ台201を、例に挙げて説明したが、例えば、ピンボール、エアホッケーなどにも適用することが可能である。
【0019】
本実施の形態において、表示面(101,102)は、前述の特許文献2に記載された方法により設定可能である。また、表示面(101,102)として、自発光型表示装置を使用することも可能である。例えば、後面の表示面102として、CRTを使用し、前面の表示面101は、透明自発光型表示装置(例えば、ELディスプレイなど)を使用することも可能である。但し、この場合には、少なくとも前面の表示面101は、透明自発光型表示装置(例えば、ELディスプレイなど)で構成する必要がある。
さらに、本実施の形態において、表示面(101,102)として、前述の特許文献3に記載されている透過型表示装置を使用することも可能である。この場合には、表示面101を構成する透過型表示装置と、表示面102を構成する透過型表示装置とに表示される2D化像の透過度比を変えることにより、仮想物体122が観察者100に提示されることになる。
以下、本実施の形態において、表示面(101,102)として、透過型表示装置を使用する場合の3次元表示装置の一例を図15に示す。
図15に示す3次元表示装置では、透過型表示装置111が、偏光可変装置として機能する液晶表示パネル211と偏光板221とを有し、透過型表示装置112が、偏光可変装置として機能する液晶表示パネル212と偏光板222を有する。
即ち、図15に示す3次元表示装置では、偏光板221と、偏光板222との間に、液晶表示パネル211と、液晶表示パネル212とが配置される。
また、偏光板222の後方(偏光板222の透過型表示装置111と反対の側)に、光源(バックライト)110が配置される。
【0020】
液晶表示パネル(211,212)は、ツイストネマティック型液晶ディスプレイ、イン・プレイン型液晶表示装置、ホモジニアス型液晶表示装置、強誘電液晶表示装置、反強誘電液晶表示装置などから偏光板を取り除いた装置である。
また、液晶表示パネル(211,212)の内部には、カラーフィルタ(図示せず)も設けられる。
図15に示す3次元表示装置でも、各透過型表示装置(111,112)に表示される2D化像(105,106)における、観察者100から見た像の輝度を、図8〜図12で説明したように変化させることにより、透過型表示装置(111,112)上、あるいは、透過型表示装置111と透過型表示装置112との間の任意の位置に、3次元立体像を表示することが可能である。
但し、本実施の形態では、偏光方向が、液晶表示パネル211と液晶表示パネル21とを通過する間に変化することを考慮して、各液晶表示パネル(201,212)の偏光方向の制御を行う必要がある。
例えば、透過型表示装置111として、両側に偏光板を設けた液晶表示パネルを、また、透過型表示装置112として、両側に偏光板を設けた液晶表示パネルを使用する場合には、光源110からの照射光の光路中に4枚の偏光板が挿入されることになるので、全体としての透過度が低くなり、表示が暗くなる欠点がある。
これに対して、図15に示す3次元表示装置では、液晶表示パネル(211,212)を、2枚の偏光板(203,213)で挟むようにしたので、表示が暗くなるのを防止することができる。
【0021】
[実施の形態3]
図16は、本発明の実施の形態3のオブジェクト表示装置の概略構成を示す図である。本実施の形態のオブジェクト表示装置も、パチンコ台に適用される。
同図において、301は発光ダイオードであり、発光ダイオード301は、電源303により駆動される。
発光ダイオード301からの光は、光路304上に何も遮るものがなければ、ホトトランジスタ302により光電変換され、電流検出計305により検出される。
即ち、発光ダイオード301、ホトトランジスタ302、および電流検出計305は、物体検出センサとして働き、光路304を実物体(ここでは、パチンコ玉)203が通るタイミングを検出することができる。
図17は、本実施の形態の3次元表示装置を正面から見た図であり、前面の表示面101と、後面の表示面102との間に呈示される仮想物体401が経路402を通って動いていることを示している。
ここで、仮想物体401は、前面の表示面101と、後面の表示面102とに表示される2D化像(105,106)の輝度(あるいは、透過度)比を変えることにより、利用者に提示される。
【0022】
図17中の304の位置に、センサの光路を設定しており、この位置を実物体203が通ったとき、仮想物体401と接触する。
この接触のタイミングを、物体検出センサにより検知し、図18に示すように対応するアクションを3次元立体像で呈示する。
これにより、本実施の形態では、あたかも実物体203と、仮想物体401が相互作用(インタラクション)したかような感覚を、利用者に呈示することができる。
なお、図17では、物理法則に従って動く実物体203の経路が、図17中に破線(304)で示された1箇所のみの場合であり、図16に示す物体検出センサの光路304が左右方向に向くように設置することにより、実物体203の上下方向の位置を検出している。
しかし、実物体203の経路が左右方向にずれた複数箇所ある場合には、図16と同様な構成の物体検出センサを使用し、その光路304が上下方向に向くように設置することにより、実物体203の左右方向の位置を検出することが可能となる。
さらに、複数の物体検出センサを、それぞれの光路304が格子状となるように組み合わせて設置することにより、実物体203の上下および左右両方向の任意の位置を検出することが可能となる。
【0023】
なお、前述の説明では、パチンコ台を、例に挙げて説明したが、例えば、ピンボール、エアホッケーなどにも適用することが可能である。
また、物体検出センサも、発光ダイオード301、ホトトランジスタ302、および電流検出計305で構成されるものに限定されるものではなく、光の反射を検出するもの、圧力を検出するもの、磁界の変化を検出するもの、熱を検出するものなどを使用することも可能である。
本実施の形態において、表示面(101,102)の設定方法は、前述の段落番号[0022]、[0023]で説明した方法により設定することが可能である。
以上説明したように、前述の各実施の形態によれば、物理法則に従って動く実物体と、3次元表示装置により表示される仮想物体(3次元立体像)とが、観察者にとってあたかも同じ空間に立体的に存在し、両者がインタラクション(相互作用)を持つかのような感覚を呈示するユーザーフレンドリーなオブジェクト表示方法およびオブジェクト表示装置を提供することができる。
なお、前述の各実施の形態では、2次元像を配置する表示面が2個の場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、2次元像を配置する表示面は2個以上であってもよい。また、表示面は円弧状であってもよい。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0024】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明によれば、物理法則に従って動く実物体と、3次元表示装置により表示される仮想物体(3次元立体像)とが、観察者にとってあたかも同じ空間に立体的に存在し、両者がインタラクション(相互作用)を持つかのような感覚を観察に呈示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のオブジェクト表示装置の概略構成を示す図である。
【図2】DFD型の3次元表示装置の一例の概略構成を示す図である。
【図3】図2に示すDFD型の3次元表示装置において、各表示面に表示する2D化像の生成方法を説明するための図である。
【図4】図2に示すDFD型の3次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図5】図2に示すDFD型の3次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図6】図2に示すDFD型の3次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図7】図2に示すDFD型の3次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図8】DFD型の3次元表示装置の他の例の概略構成を示す図である。
【図9】図8に示すDFD型の3次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図10】図8に示すDFD型の3次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図11】図8に示すDFD型の3次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図12】図8に示すDFD型の3次元表示装置の表示原理を説明するための図である。
【図13】本発明の実施の形態2のオブジェクト表示装置を有するパチンコ台を示す模式図である。
【図14】本発明の実施の形態2のオブジェクト表示装置の概略構成を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態2のオブジェクト表示装置に使用可能な3次元表示装置の一例を示す模式図である。
【図16】本発明の実施の形態3のオブジェクト表示装置の概略構成を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態3のオブジェクト表示装置において、実物体の経路上を遮るように複数の仮想物体が通過していることを示す図である。
【図18】本発明の実施の形態3のオブジェクト表示装置において、実物体と仮想物体が接触したことを検知し、それに合わせて表示する3次元立体像を示す図である。
【符号の説明】
100…観察者、101,102…表示面、103…光学系、104…三次元物体、105,106…2D化像、110…光源、111,112…透過型表示装置、121,203…実物体、122,401…仮想物体(三次元立体像)、130…3次元表示装置、131…利用者、201…パチンコ台、204…実物体の経路、211,212…液晶表示パネル、221,222……偏光板、301…発光ダイオード、302…ホトトランジスタ、303…電源、304…光路、305…電流検出計、402…仮想物体の経路。
Claims (6)
- 観察者から見て異なった奥行き位置にある複数の表示面に、前記複数の表示面に対して表示対象物体を観察者の視線方向から射影した2次元像を、当該2次元像輝度あるいは透過度を前記各表示面毎に各々独立に変化させて表示することにより、前記複数の表示面の中の任意の2つの表示面の間に3次元立体像から成る仮想物体を表示するとともに、前記任意の2つの表示面の間に実物体を配置することを特徴とするオブジェクト表示方法。
- 前記任意の2つの表示面の間に前記実物体が通過する経路を備えたことを特徴とする請求項1に記載のオブジェクト表示方法。
- 前記実物体の位置を検出し、当該検出結果に基づき、前記任意の2つの表示面の間に表示する3次元立体像を変化させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオブジェクト表示方法。
- 観察者から見て異なった奥行き位置にある複数の表示面に、前記複数の表示面に対して表示対象物体を観察者の視線方向から射影した2次元像を表示する第1の手段と、
前記複数の表示面に表示される2次元像の輝度あるいは透過度を、各表示面毎に各々独立に変化させる第2の手段とを有し、
前記複数の表示面の中の任意の2つの表示面の間に3次元立体像から成る仮想物体を表示する3次元表示装置を備えるオブジェクト表示装置であって、
前記任意の2つの表示面の間に実物体を配置したことを特徴とするオブジェクト表示装置。 - 前記任意の2つの表示面の間に前記実物体が通過する経路を備えたことを特徴とする請求項4に記載のオブジェクト表示装置。
- 前記実物体の位置を検出するセンサを備え、
前記センサの検出結果に基づき、前記任意の2つの表示面の間に表示する3次元立体像を変化させることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のオブジェクト表示装置。
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