JP2005011021A - タブレット及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、タブレットに反射防止部を備えた構造において画面の斜め方向から観察した場合の青色の着色反射光の発生を抑制できるタブレットと液晶表示装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、上下の基板2,3を備えるタブレット1において下部基板の外側の面に微細な凹部又は凸部を下部基板の画面領域の視覚上下方向に沿って千鳥格子状に配列したので、画面上下方向に対して斜め方向に一次反射光が発生するおそれがあっても、画面左右方向に隣接する凹部又は凸部のピッチが密になるので、可視光帯域において波長の短い青色の−1次反射光を抑制することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、上下の基板2,3を備えるタブレット1において下部基板の外側の面に微細な凹部又は凸部を下部基板の画面領域の視覚上下方向に沿って千鳥格子状に配列したので、画面上下方向に対して斜め方向に一次反射光が発生するおそれがあっても、画面左右方向に隣接する凹部又は凸部のピッチが密になるので、可視光帯域において波長の短い青色の−1次反射光を抑制することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タブレットおよび液晶表示装置に関するものであり、特に、液晶パネルの上面に配設されて使用されるタブレットに対して画面斜め方向に漏れる光に着色が発生しないようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯情報端末や携帯電話機などの表示部として用いられる液晶パネルの上面側に、データ入力装置としてのタブレットが設けられている。これらの携帯機器に用いられているタブレットは、例えば液晶パネルの表示領域に表示されたカレンダー、スケジュール表、住所録管理表などの各種機能を切り替えるためなどの目的で設けられ、タブレットの操作面上の必要箇所をペンや指などで押圧して目的の機能を選択できる構成、あるいは、操作面上をなぞることで文字入力を行うことができる構成とされている。
この種従来のタブレットTは、図10に示すように、透明樹脂等からなる平板状の下部基板100および上部基板101をそれらの外周縁部に配した絶縁パターン102を介して所定のギャップで張り合わせて構成され、両基板100、101の対向する側の面にITO(インジウムスズ酸化物)などからなる透明配線型の下部電極膜103と上部電極膜105とが形成されている。また、下部電極膜103の上には絶縁性の材料からなるドットスペーサ106が所定の間隔で個々に上部電極膜105に達しない程度の高さで複数整列形成されている。
【0003】
前記図10に示す従来構成のタブレットTにおいて、下部基板100の下面側に、蒸着等によりSiO2膜とTiO2膜を周期的に積層してなる構成か、サブミクロンオーダーの微細な凹凸構造を組み込んだAR(Anti Reflection)フィルムの貼り付けによる反射防止層107を形成することがなされている。ここでSiO2膜とTiO2膜を周期的に積層してなる構成の反射防止層107とは、各層を所定の膜厚に形成して、いわゆる1/4λの光学条件を作り出すことで入射光を高い透過率で透過させるように設計される。
このような従来のタブレットTでは、上部基板101および上部電極膜105側から入射されて下部電極膜103と下部基板100を透過する入射光あるいは照明光は、反射防止層107を通過する際に反射防止された状態で透過することができるので、下部基板100からの反射光を防止することができ、タブレットTの下側に通常配置される液晶表示パネルの表示状態の低下を防止できるという作用を奏している。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
【特許文献1】
特開平3−70201号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図10に示す構成でサブミクロンオーダーの凹凸構造を設けた反射防止層107を備えたタブレットTを実際に本発明者らが作成して研究開発してみると、タブレットTに対して斜め方向から光が入射した場合、タブレットTの基板100、101を構成する樹脂材料から空気層に光が透過する際に、−1次反射光が発生し、特にタブレットTを斜め方向から観察した場合に青色の著しく強い反射光が観察され、タブレットTの下側に配置される液晶パネルの表示色を青味がかった色に変えてしまうという問題が生じることを知見した。
なお、この青い反射光は、サブミクロンオーダーの大きさの凹凸構造を短波長の青い光のみが通過してくるために生じるものと本発明者は考えており、サブミクロンオーダーの大きさの凹凸構造を更に小さく形成すると、抑制できるものと本発明者は考えているが、AR格子に用いるサブミクロンオーダーの微細凹凸構造を現状以上の微細な精度で形成するには、極めて大掛かりな製造設備を必要とし、製造コストが大幅に向上するおそれがある上に、実際に先の青色の反射光を抑制できるものか否か不明であった。
【0006】
本発明は以上の背景に基づいてなされたもので、タブレットに反射防止部を備えた構造において画面の斜め方向から観察した場合の青色の着色反射光の発生を抑制できるタブレットと液晶表示装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するために、所定のギャップを有して対向配置され、少なくとも画面領域を透明とした下部基板および上部基板と、これら基板の互いに対向する面に設けられた下部透明導電膜および上部透明導電膜とが備えられ、前記下部基板の外面側に微細な凹部又は凸部を格子状に配列形成した反射防止部が設けられ、前記下部基板および上部基板の画面領域の厚さ方向に光を透過自在とした構成とされ、前記凹部又は凸部が前記下部基板の画面領域の視覚上下方向に沿って千鳥格子状に配列されたことを特徴とする。
画面上下方向に千鳥格子状に凹凸を配列することで、画面上下方向に対して斜め方向に一次反射光が発生するおそれがあっても、画面左右方向に隣接する凹部又は凸部のピッチが密になるので、可視光帯域において波長の短い青色の−1次反射光を抑制できる。
【0008】
本発明は前記課題を解決するために、前記千鳥格子状に配列された凹部又は凸部において、前記画面領域の視覚上下方向に沿って一定のピッチで並ぶ第1の列と、前記画面領域の視覚上下方向に沿って一定のピッチで並ぶ第2の列とが、前記画面領域の視覚左右方向に交互に配列されて前記第1の列と第2の列により前記凹部又は凸部が千鳥格子状に配列されてなり、前記画面の視覚左右方向に、前記第1の列の凹部又は凸部と、前記第2の列の凹部又は凸部とによって、前記第1の列のピッチおよび前記第2の列のピッチよりも短い最短実効ピッチが規定されてなることを特徴とする。
凹部又は凸部の第1の列と第2の列を画面左右方向に交互に配列し、画面上下方向に千鳥格子状に凹凸を配列することで、画面上下方向に対して斜め方向に一次反射光が発生するおそれがあっても、画面左右方向に隣接配列されている凹凸のピッチが第1の列あるいは第2の列のピッチよりも確実に密になるので、可視光帯域において波長の短い青色の−1次反射光を抑制できる。
【0009】
本発明は前記課題を解決するために、前記微細な凹部又は凸部の第1の列のピッチと第2の列のピッチがいずれも0.3μm以下とされてなる。
第1の列のピッチと第2の列のピッチをいずれも0.3μm以下とすることで、第1の列の凹部又は凸部と第2の列の凹部又は凸部が隣接して形成するこれらよりも短い最短実効ピッチを0.3μmよりも確実に小さくすることができ、短波長域の青色光の−1次反射光であっても抑制できる。
本発明は前記課題を解決するために、前記最短実効ピッチが、0.2μm以下とされてなることを特徴とする。
最短実効ピッチが0.2μm以下になることで、より確実に短波長域の青色光の−1次反射光であっても抑制できる。
【0010】
本発明は前記課題を解決するために、前述のタブレットと、該タブレットの下側に設けられた液晶パネルとを備えたことを特徴とする。
前述の構造のタブレットを備えた液晶表示装置であるならば、液晶パネルの画面の斜め方向から観察した場合であっても着色された−1次反射光が斜め方向に出されるおそれは少なくなり、斜め方向から液晶パネルを観察しても液晶パネルの表示が青味ががってしまうことがなく、本来の表示が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
本実施形態のタブレット1は、図1に示すように、透明樹脂等からなる平面視矩形平板状の下部基板2および上部基板3をそれらの外周縁部に配した絶縁パターン4を介して所定のギャップで張り合わせて大略構成され、両基板2、3の対向する側の面にITO(インジウムスズ酸化物)などからなる透明配線型の下部電極膜5と上部電極膜6とが形成されている。また、下部電極膜5の上には絶縁性の材料からなるドットスペーサ7が所定の間隔で個々に上部電極膜6に達しない程度の高さで複数整列形成されている。
なお、本実施形態のタブレット1の下側には矩形板状のフロントライト装置10と矩形板状の液晶パネル11とが配設され、これら全体として液晶表示装置12が構成されている。これらフロントライト装置10と液晶パネル11の構成については後に説明する。また、タブレット1において絶縁パターン4の内側の平面視矩形状の領域が観察者から画面領域Gとして認識される領域であり、この画面領域Gの下側に前記フロントライト装置10により照明される液晶パネル11の表示がなされるようになっている。
【0012】
前記タブレット1の下部基板2の底面(外面)側には、以下に説明する構造の反射防止部8が一体形成されている。この反射防止部8は下部基板2を金型で樹脂注入により成形する場合に一体に作り込んでなるものである。
前記反射防止部8はサブミクロンオーダーの微細な凹部又は凸部を格子状に配列形成した構成とされるが、この反射防止部8の構成について、以下に図2及び図3を参照して説明する。なお、図1において反射防止部8の凹凸形状については視覚可能なように大きさを誇張して記載している。
図2は、反射防止部8の表面形状を模式的に示す部分拡大斜視図である。図3は前記反射防止部8を構成する微細な凸部(凹部)の配列の例を示す模式平面図であり、図3Aは前記凸部を正方格子状に配列させた例であり、図3Bは、千鳥格子状に配列させた例である。
【0013】
図2に示すように、反射防止部8の表面には、直径0.15〜0.4μm程度の多数の微細な凸部9が平面視千鳥格子状に配列されて形成されており、幅広い範囲の波長域の光をいずれも高い透過率で透過させることができるようになっている。なお、この実施形態では凸部9を下部基板2の底面から外側に突出するように形成したが、逆に凸部9を穿つ外形で下部基板2の底面から基板の内側に凹状となるように凹部を形成してこれらを反射防止部として構成することもできる。
このような微細な凹凸形状を設けることにより光の反射を防止できるのは、独Faunhofer Gesellshaft社の記述情報に開示されているように、それぞれの凸部9が可視領域の波長以下の高さ及び繰り返しピッチで配列形成されているために、入射した光の反射が生じないことによる。また、凸部9を凹部とした場合でも凸部9の場合と同じ作用を奏するので、凸部9ではなく凹部の集合体でも同じである。
【0014】
そして、これらの反射防止部8が設けられていることで、タブレット1に入射された外光や照明光の反射光が下部基板2の底面側においてほとんど生じず、効率よく液晶パネル11の表示を視認できるようになっている。また、タブレット1の底面側での光の反射がほとんど生じないことで、外部側からの照明光などの外部光がタブレット1の下部基板2側で反射して使用者に到達することにより生じるタブレット1の白化現象を抑え、液晶パネル11における表示のコントラストを向上させて表示品質を向上させることができる。
【0015】
また、液晶パネル11側からタブレット1側に向かう光が、タブレット1に入射する際にも、先の反射防止部8が有効に作用し、高い透過率で液晶パネル11の反射光を透過させ、結果として高輝度の液晶表示形態が得られるようになっている。これは、液晶パネル11の反射光が、タブレット1の下部基板2で反射されると表示光の一部が損失されて輝度が低下することとなり、また、下部基板2での反射により下部基板2の白化がおこるために表示のコントラストが低下することとなるが、本発明に係るタブレット1では、反射防止部8が設けられていることで、上記の現象を防止することができるためである。
【0016】
本実施形態において、凸部9のピッチは0.3μm以下とすることが好ましく、また凸部9の高さは0.2μm以上とすることが好ましい。これは、ピッチが0.3μmを越えると、タブレット1に光を入射させた際に色づきが発生するからである。また、凸部9の高さが0.2μm未満であると、反射防止効果が不十分であり、反射率が高くなるからである。
上記凸部9のピッチは、小さくするほど反射防止部8の透過率を高めることができるが、0.2μm以下の極微細な凸部9を樹脂成形の場合に均一な寸法で配列形成するのは、現在の製造技術では困難性が高く、製造コストの増加の原因となるため、下部基板2を樹脂成形で形成する場合に実用的な凸部9のピッチの下限値は0.2μm程度である。
【0017】
次に、反射防止部8を構成する凸部9の配列について図3を参照して以下に説明する。本実施形態に係る反射防止部8において凸部9は、図3Aに示す正方格子状配列よりも、図3Bに示す千鳥格子状に配列されている必要がある。図3Bに示す千鳥格子状配列において、その実効ピッチPeが最小となる方向と、タブレット1の画面領域Gの観察者時の上下方向とが平行となるようにして反射防止部8を形成する必要がある。
換言すると、図3Bに示すように平面視千鳥状に配列された凸部9において前記画面領域Gの視覚上下方向(図3Bに示す矢印a方向)に沿って一定のピッチで並ぶ凸部9の第1の列R1と、前記画面領域Gの視覚上下方向に沿って一定のピッチで並ぶ凸部9の第2の列R2とが、前記画面領域Gの視覚左右方向に交互に配列されて前記第1の列R1と第2の列R2により凸部9が千鳥格子状に配列されてなり、前記画面Gの視覚左右方向に並ぶ、前記第1の列R1の凸部9と、前記第2の列R2の凸部9とによって、前記第1の列R1のピッチおよび前記第2の列R2のピッチよりも短いピッチ(最短実効ピッチPe)で前記凸部9が整列されている。平面視矩形状の画面領域Gと前記凸部9の配列関係を把握し易いように、図3A、Bには画面領域Gと相似形状の矩形枠G1を描いた。
【0018】
また、図3Aにおいて、凸部9の実効ピッチPeは、図示上下方向において、隣接する凸部9のピッチPと等しく、図3Bの上下方向では、図示斜め方向に隣接する凸部9,9の中心間の図示上下方向(図3Bの矢印a方向)の距離が実効ピッチPeとされ、実際のピッチPの1/2に等しくなる。
このように、図3Aに示す正方格子状の配列よりも図3Bの千鳥格子状の配列の方が、凸部9の実効ピッチPeを小さくすることができ、この実効ピッチPeが最小となる方向と、画面領域Gの上下方向を平行にすることで、反射防止部8における光の反射をより生じ難くすることができ、反射防止部8において斜め方向から観察した場合に透過/反射した光が短波長の青色に色づいて液晶パネル11の色再現性が低下するのを防止することができる。
【0019】
本実施形態のタブレット1においては、画面Gの上下方向(図3の矢印a方向)における上記凸部9の実効ピッチは、0.15μm以下とすることが好ましい。このような範囲とすることで、反射防止部8の反射防止効果を高めることができ、液晶表示装置の表示品質を向上させることができる。実効ピッチが0.15μmを越えると、反射防止部8の反射防止特性を向上させる効果が小さくなる。
なお、先にも説明したとおり、金型を用いた樹脂成形で下部基板2を形成する場合、凸部9を形成できる限界は0.2μm程度であるので、この値から見て実質的に得られる最小実効ピッチは0.1μm程度である。
【0020】
フロントライト10は、略平板状の透明の導光板12と、この導光板12の側端面(入光面)12aに配設された光源13とを備えて構成されている。導光板12は、アクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂などから構成され、この導光板12の図示下面側(液晶表示ユニット11側)は、フロントライト10の照明光が出射される出射面12bとされており、図示上面側(液晶表示ユニット11と反対側)には、断面視三角波状のプリズム形状が形成されている。
より詳細には、前記出射面12bに対して傾斜して形成された緩斜面部14aと、この緩斜面部14aよりも急な傾斜角度で形成された急斜面部14bとからなる断面視三角形状の複数の凸部14が互いに平行に形成されている。
【0021】
導光板12の側端面12aに配設された光源13は、導光板12の側端面12aに沿って設けられた棒状の光源であり、具体的には棒状の導光体13bの両端部に白色LED(Light Emitting Diode)などからなる発光素子13aが配設されている。そして、これらの発光素子13a、13aから出射された光を導光体13bを介して導光板12に導入するようになっている。このように発光素子13a、13aと導光板12との間に棒状の導光体13bを設けることで、点光源である発光素子13a、13aの光を、導光板12の側端面12aに均一に照射することができる。
尚、光源13は、導光板12の側端面12aに光を導入し得るものであれば問題なく用いることができ、例えば導光板12の側端面12aに沿って発光素子を並べた構成であっても良い。また、発光素子13aが1つのみ備えられた構成であっても良い。
【0022】
上記構成のフロントライト10は、光源13から出射された光を、導光板12の側端面12aから導光板12内部へ導入し、内部を伝搬するこの光を、反射面12cに設けられた凸部14の急斜面部14bで反射させることで光の伝搬方向を変化させ、出射面12bから照明光として出射させるようになっている。
【0023】
液晶パネル11は、対向して配置された上基板21と下基板22との間に液晶層23が挟持され、この液晶層23が基板21,22の内面側周縁部に沿って額縁状に設けられたシール材24により封止された構成とされている。前記上基板21の内面側(下基板22側)には、液晶制御層26が形成されており、下基板22の内面側(上基板21側)には、フロントライト10の照明光や外光を反射させるための金属薄膜を有する反射層27が形成され、この反射層27上に液晶制御層28が形成されている。
前記液晶制御層26、28は、液晶層23を駆動制御するための電極や、配向膜等を含んで構成されており、上記電極をスイッチングするための半導体素子等も含むものである。また、場合によってはカラー表示のためのカラーフィルタを備えていてもよい。
【0024】
反射層27は、液晶表示パネル11に入射した外光やフロントライト10の照明光を反射させるためのアルミニウムや銀などの高反射率の金属薄膜からなる反射膜を備えるものであり、特定の方向で反射光が強くなり液晶表示装置の視認性が低下するのを防止するための光散乱手段を備えることが好ましい。この光散乱手段としては、反射膜に凹凸形状を付与したものや、樹脂膜中に樹脂膜を構成する材料と異なる屈折率の樹脂ビーズを分散させた散乱膜等を適宜用いることができる。
【0025】
以上の構成の本実施形態の液晶表示装置1は、外光が十分に得られる環境においては、外光を利用した反射表示を行うことができ、外光が得られない環境においては、フロントライト10を点灯させ、導光板12の出射面12bから出射される光を照明光として表示を行うことができるようになっている。
そして、タブレット1の下部基板2に反射防止部8が設けられていることで、タブレット1を透過して液晶パネル11に入射する光量を高めて高輝度の表示を行うことができる。
更には、上記液晶パネル11に入射した光は、下基板22の反射層27により反射されて再び導光板12に入射し、この導光板12を透過して使用者に到達するようになっているが、本実施形態の液晶表示装置1では、上記タブレット1の下部基板2に反射防止部8が設けられていることで、液晶パネル11からの反射光がタブレット1の下部基板2でほとんど反射されずに使用者に到達する。従って、タブレット1の下部基板2で反射されて表示光の輝度が低下するのを防止し、又、タブレット1の下部基板2で反射が生じることによるタブレット1の白化も防止できるので、高輝度で高コントラストの表示を得ることができる。
【0026】
次にタブレット1を用いて入力を行うには、タブレット1の下部電極層5と上部電極層6に電位分布を形成しうる電圧を印加する。操作者がペンや手指などの指示体29を上部基板3の外面(導光板12と反対側の面)上で押圧又は摺動させると、可撓性を有する上部基板3の被押圧部が押下される。非操作時にはドットスペーサ7…により離間されていた下部電極層5と上部電極層6とが、前記被押圧部において接触する。これにより被押圧部の位置に対応した信号が例えば下部電極層5側から出力される。
【0027】
逆に、上部電極層6に電圧を印加した状態で、電極層5,6が接触すると、被押圧部の位置に対応した信号が上部電極層6側から出力される。従って、下部電極層5の電位分布の方向と上部電極層6の電位分布の方向とを交差するようにすれば、それぞれから得られる出力に基づいて上部基板3上の指示体29の2次元の座標情報が得られる。
こうして、操作者は液晶パネル11に表示されたメニュー項目などのオブジェクトの選択動作などの座標入力動作を、上記タブレット1により行うことができる。つまり、表示されたオブジェクトの位置に対応する上部基板3の上面上の位置を指示体29で押圧することで前記オブジェクトを選択することができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
(実施例1)
まず、図2に示すような下部基板の凹凸形状の外形と逆凹凸のキャビティ部が形成された金型を用意し、この金型の導光板出射面に対応する壁面に電子ビーム描画装置を用いてパターニングし、その後エッチング処理を行うことで多数の凹部を配列形成した。この金型に形成された凹部は、千鳥格子状に配列し、ピッチは、0.25μmとし、凹部の深さは、0.25μmとした。
次に、この金型にアクリル樹脂材料を注入して射出成形を行い、外形寸法が(W)40mm×(L)50mm×(t)0.8mmであり、底面に反射防止部を備えた下部基板を作製した。作製された下部基板の底面形状をAFM(Atomic Force Microscopy)により測定したところ、高さ0.23μm〜0.24μmの微細な凸部が0.25μmピッチで千鳥格子状に均一に配列形成されていることを確認できた。
次いで、得られた下部基板の底面の反射率を測定した。この測定結果を図4に示す。図4のグラフに示すように、波長域400nm〜700nmの広い範囲において、反射率が0.5%未満であり、下部基板の底面が反射防止機能を有することが確認された。尚、底面に反射防止部を形成しない以外は、本例で作製した下部基板と同様の構成を備えた下部基板を作製し、その底面の反射率を測定したところ、反射率は4〜5%であった。
【0029】
(実施例2)
次に下部基板の反射防止部を構成する凸部のピッチによる反射防止効果の違いを検証するために、上記実施例1と同様の作製方法により凸部のピッチのみが異なる3種類の下部基板を作製した。具体的には、前記キャビティ部に形成する凹部のピッチを0.25μm、0.3μm、0.4μmとした3種類の金型を用意し、これらの金型を用いて射出成形を行うことで3種類の下部基板を作製した。
得られた下部基板の底面の形状をAFMにより確認したところ、それぞれ凸部のピッチは0.25μm、0.3μm、0.4μmに形成されており、凸部の高さはいずれの下部基板も0.25〜0.27μmであった。
そして、上記にて得られた各下部基板と同じ材料製で凹凸部を形成していない単板状の上部基板を作成し、これらの対向面側にITOの透明の短冊状の電極を形成し、下部基板の上面に高さ8μm、幅50μm、横50μmのドットスペーサを2mmピッチで形成し、上下の基板を組み合わせ、額縁状の絶縁スペーサでこれらの間に間隙を作って一体化し、タブレットを組み立てた。
【0030】
また、前記下部基板の漏れ光の色度の測定を行った。測定は、下部基板面内の画面上下方向に沿って検出器の角度を−30°〜30°の範囲で変化させて行った。測定結果を図5に示す。図5は、xy色度図であり、グラフ中に×印で示す点がC光源(白色光源)である。
図5に示すように、凸部のピッチが0.25μmとされた下部基板と、0.3μmとされた下部基板は、色度の角度依存性が小さく、また、C光源の近傍に分布が集中していることが分かる。つまり、液晶パネルの前面にフロントライトとタブレットを配置して液晶表示装置を構成した場合に、斜め方向から観察しても表示の色つきが少なく、液晶パネルの表示色再現性が高いことが示唆される。
また、凸部のピッチが0.25μmとされた導光板の方が色度の分布が小さく、より色づきが小さいことから、より色再現性に優れる下部基板であるといえる。これに対して、凸部のピッチが0.4μmとされた下部基板では、色度がC光源から大きく離れており、また色度の分布も大きいことから、漏れ光に色づきが生じるため、上記ピッチを小さくした導光板よりも色再現性に劣ると考えられる。
【0031】
(実施例3)
次に、下部基板の反射防止部における凸部の配列による効果を検証するために、凸部の配列のみが異なる2種類の下部基板を作製した。
まず、キャビティ部の壁面に正方格子状に凹部を配列形成した金型と、千鳥格子状に凹部を配列形成した金型を別々に用意した。いずれの金型においても、凹部のピッチは0.3μmとし、凹部の深さは0.3μmとした。次いで、それぞれの金型を用いた射出成形により下部基板を作製した。得れらた下部基板の底面形状をAFMにより測定したところ、形成された凸部はそれぞれ正方格子状、千鳥格子状に配列されており、いずれの導光板もピッチ0.3μmで、高さ0.27〜0.29μmの微細な凸部が配列形成されていた。
次に、上記にて作製された下部基板を備えたタブレットについて、上記実施例2と同様にして漏れ光の色度測定を行った。その結果を図6に示す。図6に示すように、千鳥格子配列状に凸部が配列形成された下部基板を備えたタブレットは、正方格子配列状に凸部が配列された下部基板よりも色度の分布が小さく、かつC光源の近傍に集中しており、色づきがより少ないことが確認された。正方格子配列に凸部が配列された下部基板を備えたタブレットは、測定角度が大きい場合に色度がC光源から離れる傾向があり、導光板の正面から見た場合には色づきが少ないものの、斜め方向から観察した際に色づきが大きくなり、表示色が変化することが示唆される。
【0032】
(実施例4)
次に、タブレットに対する画面上下方向と、反射防止層の凸部の配列方向との関係が、タブレットの反射防止特性に与える影響を検証するために、反射防止部を構成する凸部の配列方向を変えた2種類のタブレットを、上記実施例1と同様の製造方法により作製した。各下部基板の凸部のピッチは0.25μmで同一とし、凸部の高さも0.23〜0.24μmでほぼ同一とした。
それぞれの下部基板における凸部の配列方向は、それぞれ凸部の配列方向が画面上下方向と平行となるように形成したものと、凸部の配列方向が画面の上下方向と直交するように形成したものを作製した。前者は、下部基板の画面上下方向における実効ピッチが0.125μmであり、後者の実効ピッチは0.217μmである。すなわち、前者の配列では、タブレットの画面上下で実効ピッチが最小となるように反射防止層の凸部が配列されている。
【0033】
次いで、上記にて得られた2種類のタブレットの下側にフロントライトと液晶パネルを設置し、フロントライトを点灯させた状態で、上記実施例2と同様にして色度測定を行った。その結果を図7に示す。図7の色度図に示すように、反射防止層の実効ピッチが0.125μmとされたタブレットは、反射防止層の実効ピッチが0.217μmとされたタブレットと比較して、色度の分布がC光源の近傍に集中しており、色づきが小さく、斜め方向から観察した場合の色度の変化も小さいことが確認された。一方、実効ピッチが0.217μmとされたタブレットは、正面から観察した場合には色度がC光源の近傍にあり、色づきが小さいが、斜め方向から観察した場合に色づきが大きくなった。
【0034】
次に、上記2種類の導光板について、下部基板の画面上下方向と直交する方向に測定角度を変化させて色度の測定を行った。つまり、下部基板の画面左右方向と平行な向きにおける漏れ光の角度依存性の検証を行った。測定角度は−30°〜30°とした。その測定結果を図8に示す。この図8に示すように、下部基板左右方向と平行な方向においては、上記上下方向での測定とは逆に、下部基板の画面上下での実効ピッチが最小とされた下部基板の色度分布のほうが、実効ピッチが0.217μmとされた下部基板よりも大きくなった。これは、下部基板の画面横方向の漏れ光は、画面上下方向に対して垂直に近い方向に入射した光の反射光であり、この光に対しては実効ピッチ0.217μmの方が、進行する光と直交する形状のピッチが小さくなるためであると考えられるが、液晶パネルと組み合わせた場合には、観察者から見て上下方向の色度分布が小さいことが重要であり、左右方向での色度分布は実用上問題になりにくいことから、画面上下方向に実効ピッチが最小とされた導光板を用いるのが好ましい。
【0035】
このように、凸部の実効ピッチを画面上下方向で小さくすることで、漏れ光の色づきを抑えることができることが確認された。また、図7及び図8に示す結果から、反射防止層の実効ピッチが0.15μm以下であれば色度をC光源の近傍にほぼ集中させることができると考えられるが、金型による樹脂成形において正方格子状に0.15μm以下のピッチで凸部を配列形成するのは困難であり、本発明の導光板のように、千鳥格子状に凸部を配列させることで、より凸部のピッチの小さいものと同等の特性を得られることは、製造やコストの面で極めて有効であるといえる。
【0036】
(実施例5)
次に、従来の多層膜構造の反射防止層と、本発明に係る反射防止層とを比較するために、比較試料として、従来の構成の導光板を作製した。具体的には、底面に凹凸形状が形成されていない下部基板を射出成形により作製し、この下部基板の底面上に真空蒸着によりSiO2層とTiO2層とが交互に周期的に積層された反射防止層を形成した。そして、この下部基板を用いて形成したタブレットを液晶パネル上のフロントライト上に配設して比較用タブレットとした。
上記比較用タブレットを設けてフロントライトを点灯させた状態で、上記実施例2と同様にして色度の測定を行った。測定結果を図9の色度図に示す。また、図9には、比較のために上記実施例2において作製した反射防止層の凸部ピッチが0.25μmのタブレットの色度測定結果を併記する。この図に示すように、従来の反射防止層が形成された比較用タブレットは、色度の分布が大きく、観察角度により漏れ光が色づき、液晶パネルと組み合わせた場合には、斜め方向での色再現性が大きく低下することが示唆される。従って、本発明に係る導光板と液晶パネルを組み合わせることで、従来よりも視野角の広い液晶表示装置を実現できることが確認された。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、上下の基板を備えるタブレットにおいて下部基板の外側の面に微細な凹部又は凸部を下部基板の画面領域の視覚上下方向に沿って千鳥格子状に配列したので、画面上下方向に対して斜め方向に−1次反射光が発生するおそれがあっても、画面左右方向に隣接する凹部又は凸部のピッチが密になるので、可視光帯域において波長の短い青色の−1次反射光を抑制することができる。
下部基板に形成する凹部又は凸部の第1の列と第2の列を画面左右方向に交互に配列し、画面上下方向に千鳥格子状に凹凸を配列することで、画面左右方向に隣接配列されている凹凸のピッチを第1の列あるいは第2の列のピッチよりも確実に密にできるので、可視光帯域において波長の短い青色の−1次反射光を抑制できる。
【0038】
本発明において、第1の列のピッチと第2の列のピッチをいずれも0.3μm以下とすることで、第1の列の凹部又は凸部と第2の列の凹部又は凸部が隣接して形成するこれらよりも短い最短実効ピッチを0.3μmよりも確実に小さくすることができ、短波長域の青色光の−1次反射光であっても抑制できる。
最短実効ピッチが0.2μm以下になることで、より確実に短波長域の青色光の−1次反射光であっても抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る第1の実施形態のタブレットとフロントライトと液晶パネルを備えた液晶表示装置の断面図である。
【図2】図2は同タブレットに備えられる反射防止層の凸部を示す斜視図である。
【図3】図3は凸部の配列状態を示すもので、図3Aは正方格子状の配列状態を示す図、図3Bは千鳥状の配列状態を示す図である。
【図4】図4は実施例1の下部基板の反射率測定結果を示すグラフである。
【図5】図5は実施例2下部基板の漏れ光の輝度測定結果を示すグラフである。
【図6】図6は実施例2の下部基板の漏れ光の色度測定結果を示すグラフである。
【図7】図7は実施例3の下部基板の漏れ光の色度測定結果を示すグラフである。
【図8】図8は実施例4の下部基板の漏れ光の色度測定結果を示すグラフである。
【図9】図9は従来の積層型の防反射層と本発明に係る凸部を備えた下部基板の漏れ光の色度測定結果を示すグラフである。
【図10】図10は従来の一般的なタブレットの一構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…タブレット、2…下部基板、3…上部基板、4…絶縁パターン、5…下部透明導電膜,6…上部透明導電膜、7…ドットスペーサ、10…フロントライト、11…液晶パネル。
【発明の属する技術分野】
本発明は、タブレットおよび液晶表示装置に関するものであり、特に、液晶パネルの上面に配設されて使用されるタブレットに対して画面斜め方向に漏れる光に着色が発生しないようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯情報端末や携帯電話機などの表示部として用いられる液晶パネルの上面側に、データ入力装置としてのタブレットが設けられている。これらの携帯機器に用いられているタブレットは、例えば液晶パネルの表示領域に表示されたカレンダー、スケジュール表、住所録管理表などの各種機能を切り替えるためなどの目的で設けられ、タブレットの操作面上の必要箇所をペンや指などで押圧して目的の機能を選択できる構成、あるいは、操作面上をなぞることで文字入力を行うことができる構成とされている。
この種従来のタブレットTは、図10に示すように、透明樹脂等からなる平板状の下部基板100および上部基板101をそれらの外周縁部に配した絶縁パターン102を介して所定のギャップで張り合わせて構成され、両基板100、101の対向する側の面にITO(インジウムスズ酸化物)などからなる透明配線型の下部電極膜103と上部電極膜105とが形成されている。また、下部電極膜103の上には絶縁性の材料からなるドットスペーサ106が所定の間隔で個々に上部電極膜105に達しない程度の高さで複数整列形成されている。
【0003】
前記図10に示す従来構成のタブレットTにおいて、下部基板100の下面側に、蒸着等によりSiO2膜とTiO2膜を周期的に積層してなる構成か、サブミクロンオーダーの微細な凹凸構造を組み込んだAR(Anti Reflection)フィルムの貼り付けによる反射防止層107を形成することがなされている。ここでSiO2膜とTiO2膜を周期的に積層してなる構成の反射防止層107とは、各層を所定の膜厚に形成して、いわゆる1/4λの光学条件を作り出すことで入射光を高い透過率で透過させるように設計される。
このような従来のタブレットTでは、上部基板101および上部電極膜105側から入射されて下部電極膜103と下部基板100を透過する入射光あるいは照明光は、反射防止層107を通過する際に反射防止された状態で透過することができるので、下部基板100からの反射光を防止することができ、タブレットTの下側に通常配置される液晶表示パネルの表示状態の低下を防止できるという作用を奏している。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
【特許文献1】
特開平3−70201号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図10に示す構成でサブミクロンオーダーの凹凸構造を設けた反射防止層107を備えたタブレットTを実際に本発明者らが作成して研究開発してみると、タブレットTに対して斜め方向から光が入射した場合、タブレットTの基板100、101を構成する樹脂材料から空気層に光が透過する際に、−1次反射光が発生し、特にタブレットTを斜め方向から観察した場合に青色の著しく強い反射光が観察され、タブレットTの下側に配置される液晶パネルの表示色を青味がかった色に変えてしまうという問題が生じることを知見した。
なお、この青い反射光は、サブミクロンオーダーの大きさの凹凸構造を短波長の青い光のみが通過してくるために生じるものと本発明者は考えており、サブミクロンオーダーの大きさの凹凸構造を更に小さく形成すると、抑制できるものと本発明者は考えているが、AR格子に用いるサブミクロンオーダーの微細凹凸構造を現状以上の微細な精度で形成するには、極めて大掛かりな製造設備を必要とし、製造コストが大幅に向上するおそれがある上に、実際に先の青色の反射光を抑制できるものか否か不明であった。
【0006】
本発明は以上の背景に基づいてなされたもので、タブレットに反射防止部を備えた構造において画面の斜め方向から観察した場合の青色の着色反射光の発生を抑制できるタブレットと液晶表示装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するために、所定のギャップを有して対向配置され、少なくとも画面領域を透明とした下部基板および上部基板と、これら基板の互いに対向する面に設けられた下部透明導電膜および上部透明導電膜とが備えられ、前記下部基板の外面側に微細な凹部又は凸部を格子状に配列形成した反射防止部が設けられ、前記下部基板および上部基板の画面領域の厚さ方向に光を透過自在とした構成とされ、前記凹部又は凸部が前記下部基板の画面領域の視覚上下方向に沿って千鳥格子状に配列されたことを特徴とする。
画面上下方向に千鳥格子状に凹凸を配列することで、画面上下方向に対して斜め方向に一次反射光が発生するおそれがあっても、画面左右方向に隣接する凹部又は凸部のピッチが密になるので、可視光帯域において波長の短い青色の−1次反射光を抑制できる。
【0008】
本発明は前記課題を解決するために、前記千鳥格子状に配列された凹部又は凸部において、前記画面領域の視覚上下方向に沿って一定のピッチで並ぶ第1の列と、前記画面領域の視覚上下方向に沿って一定のピッチで並ぶ第2の列とが、前記画面領域の視覚左右方向に交互に配列されて前記第1の列と第2の列により前記凹部又は凸部が千鳥格子状に配列されてなり、前記画面の視覚左右方向に、前記第1の列の凹部又は凸部と、前記第2の列の凹部又は凸部とによって、前記第1の列のピッチおよび前記第2の列のピッチよりも短い最短実効ピッチが規定されてなることを特徴とする。
凹部又は凸部の第1の列と第2の列を画面左右方向に交互に配列し、画面上下方向に千鳥格子状に凹凸を配列することで、画面上下方向に対して斜め方向に一次反射光が発生するおそれがあっても、画面左右方向に隣接配列されている凹凸のピッチが第1の列あるいは第2の列のピッチよりも確実に密になるので、可視光帯域において波長の短い青色の−1次反射光を抑制できる。
【0009】
本発明は前記課題を解決するために、前記微細な凹部又は凸部の第1の列のピッチと第2の列のピッチがいずれも0.3μm以下とされてなる。
第1の列のピッチと第2の列のピッチをいずれも0.3μm以下とすることで、第1の列の凹部又は凸部と第2の列の凹部又は凸部が隣接して形成するこれらよりも短い最短実効ピッチを0.3μmよりも確実に小さくすることができ、短波長域の青色光の−1次反射光であっても抑制できる。
本発明は前記課題を解決するために、前記最短実効ピッチが、0.2μm以下とされてなることを特徴とする。
最短実効ピッチが0.2μm以下になることで、より確実に短波長域の青色光の−1次反射光であっても抑制できる。
【0010】
本発明は前記課題を解決するために、前述のタブレットと、該タブレットの下側に設けられた液晶パネルとを備えたことを特徴とする。
前述の構造のタブレットを備えた液晶表示装置であるならば、液晶パネルの画面の斜め方向から観察した場合であっても着色された−1次反射光が斜め方向に出されるおそれは少なくなり、斜め方向から液晶パネルを観察しても液晶パネルの表示が青味ががってしまうことがなく、本来の表示が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
本実施形態のタブレット1は、図1に示すように、透明樹脂等からなる平面視矩形平板状の下部基板2および上部基板3をそれらの外周縁部に配した絶縁パターン4を介して所定のギャップで張り合わせて大略構成され、両基板2、3の対向する側の面にITO(インジウムスズ酸化物)などからなる透明配線型の下部電極膜5と上部電極膜6とが形成されている。また、下部電極膜5の上には絶縁性の材料からなるドットスペーサ7が所定の間隔で個々に上部電極膜6に達しない程度の高さで複数整列形成されている。
なお、本実施形態のタブレット1の下側には矩形板状のフロントライト装置10と矩形板状の液晶パネル11とが配設され、これら全体として液晶表示装置12が構成されている。これらフロントライト装置10と液晶パネル11の構成については後に説明する。また、タブレット1において絶縁パターン4の内側の平面視矩形状の領域が観察者から画面領域Gとして認識される領域であり、この画面領域Gの下側に前記フロントライト装置10により照明される液晶パネル11の表示がなされるようになっている。
【0012】
前記タブレット1の下部基板2の底面(外面)側には、以下に説明する構造の反射防止部8が一体形成されている。この反射防止部8は下部基板2を金型で樹脂注入により成形する場合に一体に作り込んでなるものである。
前記反射防止部8はサブミクロンオーダーの微細な凹部又は凸部を格子状に配列形成した構成とされるが、この反射防止部8の構成について、以下に図2及び図3を参照して説明する。なお、図1において反射防止部8の凹凸形状については視覚可能なように大きさを誇張して記載している。
図2は、反射防止部8の表面形状を模式的に示す部分拡大斜視図である。図3は前記反射防止部8を構成する微細な凸部(凹部)の配列の例を示す模式平面図であり、図3Aは前記凸部を正方格子状に配列させた例であり、図3Bは、千鳥格子状に配列させた例である。
【0013】
図2に示すように、反射防止部8の表面には、直径0.15〜0.4μm程度の多数の微細な凸部9が平面視千鳥格子状に配列されて形成されており、幅広い範囲の波長域の光をいずれも高い透過率で透過させることができるようになっている。なお、この実施形態では凸部9を下部基板2の底面から外側に突出するように形成したが、逆に凸部9を穿つ外形で下部基板2の底面から基板の内側に凹状となるように凹部を形成してこれらを反射防止部として構成することもできる。
このような微細な凹凸形状を設けることにより光の反射を防止できるのは、独Faunhofer Gesellshaft社の記述情報に開示されているように、それぞれの凸部9が可視領域の波長以下の高さ及び繰り返しピッチで配列形成されているために、入射した光の反射が生じないことによる。また、凸部9を凹部とした場合でも凸部9の場合と同じ作用を奏するので、凸部9ではなく凹部の集合体でも同じである。
【0014】
そして、これらの反射防止部8が設けられていることで、タブレット1に入射された外光や照明光の反射光が下部基板2の底面側においてほとんど生じず、効率よく液晶パネル11の表示を視認できるようになっている。また、タブレット1の底面側での光の反射がほとんど生じないことで、外部側からの照明光などの外部光がタブレット1の下部基板2側で反射して使用者に到達することにより生じるタブレット1の白化現象を抑え、液晶パネル11における表示のコントラストを向上させて表示品質を向上させることができる。
【0015】
また、液晶パネル11側からタブレット1側に向かう光が、タブレット1に入射する際にも、先の反射防止部8が有効に作用し、高い透過率で液晶パネル11の反射光を透過させ、結果として高輝度の液晶表示形態が得られるようになっている。これは、液晶パネル11の反射光が、タブレット1の下部基板2で反射されると表示光の一部が損失されて輝度が低下することとなり、また、下部基板2での反射により下部基板2の白化がおこるために表示のコントラストが低下することとなるが、本発明に係るタブレット1では、反射防止部8が設けられていることで、上記の現象を防止することができるためである。
【0016】
本実施形態において、凸部9のピッチは0.3μm以下とすることが好ましく、また凸部9の高さは0.2μm以上とすることが好ましい。これは、ピッチが0.3μmを越えると、タブレット1に光を入射させた際に色づきが発生するからである。また、凸部9の高さが0.2μm未満であると、反射防止効果が不十分であり、反射率が高くなるからである。
上記凸部9のピッチは、小さくするほど反射防止部8の透過率を高めることができるが、0.2μm以下の極微細な凸部9を樹脂成形の場合に均一な寸法で配列形成するのは、現在の製造技術では困難性が高く、製造コストの増加の原因となるため、下部基板2を樹脂成形で形成する場合に実用的な凸部9のピッチの下限値は0.2μm程度である。
【0017】
次に、反射防止部8を構成する凸部9の配列について図3を参照して以下に説明する。本実施形態に係る反射防止部8において凸部9は、図3Aに示す正方格子状配列よりも、図3Bに示す千鳥格子状に配列されている必要がある。図3Bに示す千鳥格子状配列において、その実効ピッチPeが最小となる方向と、タブレット1の画面領域Gの観察者時の上下方向とが平行となるようにして反射防止部8を形成する必要がある。
換言すると、図3Bに示すように平面視千鳥状に配列された凸部9において前記画面領域Gの視覚上下方向(図3Bに示す矢印a方向)に沿って一定のピッチで並ぶ凸部9の第1の列R1と、前記画面領域Gの視覚上下方向に沿って一定のピッチで並ぶ凸部9の第2の列R2とが、前記画面領域Gの視覚左右方向に交互に配列されて前記第1の列R1と第2の列R2により凸部9が千鳥格子状に配列されてなり、前記画面Gの視覚左右方向に並ぶ、前記第1の列R1の凸部9と、前記第2の列R2の凸部9とによって、前記第1の列R1のピッチおよび前記第2の列R2のピッチよりも短いピッチ(最短実効ピッチPe)で前記凸部9が整列されている。平面視矩形状の画面領域Gと前記凸部9の配列関係を把握し易いように、図3A、Bには画面領域Gと相似形状の矩形枠G1を描いた。
【0018】
また、図3Aにおいて、凸部9の実効ピッチPeは、図示上下方向において、隣接する凸部9のピッチPと等しく、図3Bの上下方向では、図示斜め方向に隣接する凸部9,9の中心間の図示上下方向(図3Bの矢印a方向)の距離が実効ピッチPeとされ、実際のピッチPの1/2に等しくなる。
このように、図3Aに示す正方格子状の配列よりも図3Bの千鳥格子状の配列の方が、凸部9の実効ピッチPeを小さくすることができ、この実効ピッチPeが最小となる方向と、画面領域Gの上下方向を平行にすることで、反射防止部8における光の反射をより生じ難くすることができ、反射防止部8において斜め方向から観察した場合に透過/反射した光が短波長の青色に色づいて液晶パネル11の色再現性が低下するのを防止することができる。
【0019】
本実施形態のタブレット1においては、画面Gの上下方向(図3の矢印a方向)における上記凸部9の実効ピッチは、0.15μm以下とすることが好ましい。このような範囲とすることで、反射防止部8の反射防止効果を高めることができ、液晶表示装置の表示品質を向上させることができる。実効ピッチが0.15μmを越えると、反射防止部8の反射防止特性を向上させる効果が小さくなる。
なお、先にも説明したとおり、金型を用いた樹脂成形で下部基板2を形成する場合、凸部9を形成できる限界は0.2μm程度であるので、この値から見て実質的に得られる最小実効ピッチは0.1μm程度である。
【0020】
フロントライト10は、略平板状の透明の導光板12と、この導光板12の側端面(入光面)12aに配設された光源13とを備えて構成されている。導光板12は、アクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂などから構成され、この導光板12の図示下面側(液晶表示ユニット11側)は、フロントライト10の照明光が出射される出射面12bとされており、図示上面側(液晶表示ユニット11と反対側)には、断面視三角波状のプリズム形状が形成されている。
より詳細には、前記出射面12bに対して傾斜して形成された緩斜面部14aと、この緩斜面部14aよりも急な傾斜角度で形成された急斜面部14bとからなる断面視三角形状の複数の凸部14が互いに平行に形成されている。
【0021】
導光板12の側端面12aに配設された光源13は、導光板12の側端面12aに沿って設けられた棒状の光源であり、具体的には棒状の導光体13bの両端部に白色LED(Light Emitting Diode)などからなる発光素子13aが配設されている。そして、これらの発光素子13a、13aから出射された光を導光体13bを介して導光板12に導入するようになっている。このように発光素子13a、13aと導光板12との間に棒状の導光体13bを設けることで、点光源である発光素子13a、13aの光を、導光板12の側端面12aに均一に照射することができる。
尚、光源13は、導光板12の側端面12aに光を導入し得るものであれば問題なく用いることができ、例えば導光板12の側端面12aに沿って発光素子を並べた構成であっても良い。また、発光素子13aが1つのみ備えられた構成であっても良い。
【0022】
上記構成のフロントライト10は、光源13から出射された光を、導光板12の側端面12aから導光板12内部へ導入し、内部を伝搬するこの光を、反射面12cに設けられた凸部14の急斜面部14bで反射させることで光の伝搬方向を変化させ、出射面12bから照明光として出射させるようになっている。
【0023】
液晶パネル11は、対向して配置された上基板21と下基板22との間に液晶層23が挟持され、この液晶層23が基板21,22の内面側周縁部に沿って額縁状に設けられたシール材24により封止された構成とされている。前記上基板21の内面側(下基板22側)には、液晶制御層26が形成されており、下基板22の内面側(上基板21側)には、フロントライト10の照明光や外光を反射させるための金属薄膜を有する反射層27が形成され、この反射層27上に液晶制御層28が形成されている。
前記液晶制御層26、28は、液晶層23を駆動制御するための電極や、配向膜等を含んで構成されており、上記電極をスイッチングするための半導体素子等も含むものである。また、場合によってはカラー表示のためのカラーフィルタを備えていてもよい。
【0024】
反射層27は、液晶表示パネル11に入射した外光やフロントライト10の照明光を反射させるためのアルミニウムや銀などの高反射率の金属薄膜からなる反射膜を備えるものであり、特定の方向で反射光が強くなり液晶表示装置の視認性が低下するのを防止するための光散乱手段を備えることが好ましい。この光散乱手段としては、反射膜に凹凸形状を付与したものや、樹脂膜中に樹脂膜を構成する材料と異なる屈折率の樹脂ビーズを分散させた散乱膜等を適宜用いることができる。
【0025】
以上の構成の本実施形態の液晶表示装置1は、外光が十分に得られる環境においては、外光を利用した反射表示を行うことができ、外光が得られない環境においては、フロントライト10を点灯させ、導光板12の出射面12bから出射される光を照明光として表示を行うことができるようになっている。
そして、タブレット1の下部基板2に反射防止部8が設けられていることで、タブレット1を透過して液晶パネル11に入射する光量を高めて高輝度の表示を行うことができる。
更には、上記液晶パネル11に入射した光は、下基板22の反射層27により反射されて再び導光板12に入射し、この導光板12を透過して使用者に到達するようになっているが、本実施形態の液晶表示装置1では、上記タブレット1の下部基板2に反射防止部8が設けられていることで、液晶パネル11からの反射光がタブレット1の下部基板2でほとんど反射されずに使用者に到達する。従って、タブレット1の下部基板2で反射されて表示光の輝度が低下するのを防止し、又、タブレット1の下部基板2で反射が生じることによるタブレット1の白化も防止できるので、高輝度で高コントラストの表示を得ることができる。
【0026】
次にタブレット1を用いて入力を行うには、タブレット1の下部電極層5と上部電極層6に電位分布を形成しうる電圧を印加する。操作者がペンや手指などの指示体29を上部基板3の外面(導光板12と反対側の面)上で押圧又は摺動させると、可撓性を有する上部基板3の被押圧部が押下される。非操作時にはドットスペーサ7…により離間されていた下部電極層5と上部電極層6とが、前記被押圧部において接触する。これにより被押圧部の位置に対応した信号が例えば下部電極層5側から出力される。
【0027】
逆に、上部電極層6に電圧を印加した状態で、電極層5,6が接触すると、被押圧部の位置に対応した信号が上部電極層6側から出力される。従って、下部電極層5の電位分布の方向と上部電極層6の電位分布の方向とを交差するようにすれば、それぞれから得られる出力に基づいて上部基板3上の指示体29の2次元の座標情報が得られる。
こうして、操作者は液晶パネル11に表示されたメニュー項目などのオブジェクトの選択動作などの座標入力動作を、上記タブレット1により行うことができる。つまり、表示されたオブジェクトの位置に対応する上部基板3の上面上の位置を指示体29で押圧することで前記オブジェクトを選択することができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
(実施例1)
まず、図2に示すような下部基板の凹凸形状の外形と逆凹凸のキャビティ部が形成された金型を用意し、この金型の導光板出射面に対応する壁面に電子ビーム描画装置を用いてパターニングし、その後エッチング処理を行うことで多数の凹部を配列形成した。この金型に形成された凹部は、千鳥格子状に配列し、ピッチは、0.25μmとし、凹部の深さは、0.25μmとした。
次に、この金型にアクリル樹脂材料を注入して射出成形を行い、外形寸法が(W)40mm×(L)50mm×(t)0.8mmであり、底面に反射防止部を備えた下部基板を作製した。作製された下部基板の底面形状をAFM(Atomic Force Microscopy)により測定したところ、高さ0.23μm〜0.24μmの微細な凸部が0.25μmピッチで千鳥格子状に均一に配列形成されていることを確認できた。
次いで、得られた下部基板の底面の反射率を測定した。この測定結果を図4に示す。図4のグラフに示すように、波長域400nm〜700nmの広い範囲において、反射率が0.5%未満であり、下部基板の底面が反射防止機能を有することが確認された。尚、底面に反射防止部を形成しない以外は、本例で作製した下部基板と同様の構成を備えた下部基板を作製し、その底面の反射率を測定したところ、反射率は4〜5%であった。
【0029】
(実施例2)
次に下部基板の反射防止部を構成する凸部のピッチによる反射防止効果の違いを検証するために、上記実施例1と同様の作製方法により凸部のピッチのみが異なる3種類の下部基板を作製した。具体的には、前記キャビティ部に形成する凹部のピッチを0.25μm、0.3μm、0.4μmとした3種類の金型を用意し、これらの金型を用いて射出成形を行うことで3種類の下部基板を作製した。
得られた下部基板の底面の形状をAFMにより確認したところ、それぞれ凸部のピッチは0.25μm、0.3μm、0.4μmに形成されており、凸部の高さはいずれの下部基板も0.25〜0.27μmであった。
そして、上記にて得られた各下部基板と同じ材料製で凹凸部を形成していない単板状の上部基板を作成し、これらの対向面側にITOの透明の短冊状の電極を形成し、下部基板の上面に高さ8μm、幅50μm、横50μmのドットスペーサを2mmピッチで形成し、上下の基板を組み合わせ、額縁状の絶縁スペーサでこれらの間に間隙を作って一体化し、タブレットを組み立てた。
【0030】
また、前記下部基板の漏れ光の色度の測定を行った。測定は、下部基板面内の画面上下方向に沿って検出器の角度を−30°〜30°の範囲で変化させて行った。測定結果を図5に示す。図5は、xy色度図であり、グラフ中に×印で示す点がC光源(白色光源)である。
図5に示すように、凸部のピッチが0.25μmとされた下部基板と、0.3μmとされた下部基板は、色度の角度依存性が小さく、また、C光源の近傍に分布が集中していることが分かる。つまり、液晶パネルの前面にフロントライトとタブレットを配置して液晶表示装置を構成した場合に、斜め方向から観察しても表示の色つきが少なく、液晶パネルの表示色再現性が高いことが示唆される。
また、凸部のピッチが0.25μmとされた導光板の方が色度の分布が小さく、より色づきが小さいことから、より色再現性に優れる下部基板であるといえる。これに対して、凸部のピッチが0.4μmとされた下部基板では、色度がC光源から大きく離れており、また色度の分布も大きいことから、漏れ光に色づきが生じるため、上記ピッチを小さくした導光板よりも色再現性に劣ると考えられる。
【0031】
(実施例3)
次に、下部基板の反射防止部における凸部の配列による効果を検証するために、凸部の配列のみが異なる2種類の下部基板を作製した。
まず、キャビティ部の壁面に正方格子状に凹部を配列形成した金型と、千鳥格子状に凹部を配列形成した金型を別々に用意した。いずれの金型においても、凹部のピッチは0.3μmとし、凹部の深さは0.3μmとした。次いで、それぞれの金型を用いた射出成形により下部基板を作製した。得れらた下部基板の底面形状をAFMにより測定したところ、形成された凸部はそれぞれ正方格子状、千鳥格子状に配列されており、いずれの導光板もピッチ0.3μmで、高さ0.27〜0.29μmの微細な凸部が配列形成されていた。
次に、上記にて作製された下部基板を備えたタブレットについて、上記実施例2と同様にして漏れ光の色度測定を行った。その結果を図6に示す。図6に示すように、千鳥格子配列状に凸部が配列形成された下部基板を備えたタブレットは、正方格子配列状に凸部が配列された下部基板よりも色度の分布が小さく、かつC光源の近傍に集中しており、色づきがより少ないことが確認された。正方格子配列に凸部が配列された下部基板を備えたタブレットは、測定角度が大きい場合に色度がC光源から離れる傾向があり、導光板の正面から見た場合には色づきが少ないものの、斜め方向から観察した際に色づきが大きくなり、表示色が変化することが示唆される。
【0032】
(実施例4)
次に、タブレットに対する画面上下方向と、反射防止層の凸部の配列方向との関係が、タブレットの反射防止特性に与える影響を検証するために、反射防止部を構成する凸部の配列方向を変えた2種類のタブレットを、上記実施例1と同様の製造方法により作製した。各下部基板の凸部のピッチは0.25μmで同一とし、凸部の高さも0.23〜0.24μmでほぼ同一とした。
それぞれの下部基板における凸部の配列方向は、それぞれ凸部の配列方向が画面上下方向と平行となるように形成したものと、凸部の配列方向が画面の上下方向と直交するように形成したものを作製した。前者は、下部基板の画面上下方向における実効ピッチが0.125μmであり、後者の実効ピッチは0.217μmである。すなわち、前者の配列では、タブレットの画面上下で実効ピッチが最小となるように反射防止層の凸部が配列されている。
【0033】
次いで、上記にて得られた2種類のタブレットの下側にフロントライトと液晶パネルを設置し、フロントライトを点灯させた状態で、上記実施例2と同様にして色度測定を行った。その結果を図7に示す。図7の色度図に示すように、反射防止層の実効ピッチが0.125μmとされたタブレットは、反射防止層の実効ピッチが0.217μmとされたタブレットと比較して、色度の分布がC光源の近傍に集中しており、色づきが小さく、斜め方向から観察した場合の色度の変化も小さいことが確認された。一方、実効ピッチが0.217μmとされたタブレットは、正面から観察した場合には色度がC光源の近傍にあり、色づきが小さいが、斜め方向から観察した場合に色づきが大きくなった。
【0034】
次に、上記2種類の導光板について、下部基板の画面上下方向と直交する方向に測定角度を変化させて色度の測定を行った。つまり、下部基板の画面左右方向と平行な向きにおける漏れ光の角度依存性の検証を行った。測定角度は−30°〜30°とした。その測定結果を図8に示す。この図8に示すように、下部基板左右方向と平行な方向においては、上記上下方向での測定とは逆に、下部基板の画面上下での実効ピッチが最小とされた下部基板の色度分布のほうが、実効ピッチが0.217μmとされた下部基板よりも大きくなった。これは、下部基板の画面横方向の漏れ光は、画面上下方向に対して垂直に近い方向に入射した光の反射光であり、この光に対しては実効ピッチ0.217μmの方が、進行する光と直交する形状のピッチが小さくなるためであると考えられるが、液晶パネルと組み合わせた場合には、観察者から見て上下方向の色度分布が小さいことが重要であり、左右方向での色度分布は実用上問題になりにくいことから、画面上下方向に実効ピッチが最小とされた導光板を用いるのが好ましい。
【0035】
このように、凸部の実効ピッチを画面上下方向で小さくすることで、漏れ光の色づきを抑えることができることが確認された。また、図7及び図8に示す結果から、反射防止層の実効ピッチが0.15μm以下であれば色度をC光源の近傍にほぼ集中させることができると考えられるが、金型による樹脂成形において正方格子状に0.15μm以下のピッチで凸部を配列形成するのは困難であり、本発明の導光板のように、千鳥格子状に凸部を配列させることで、より凸部のピッチの小さいものと同等の特性を得られることは、製造やコストの面で極めて有効であるといえる。
【0036】
(実施例5)
次に、従来の多層膜構造の反射防止層と、本発明に係る反射防止層とを比較するために、比較試料として、従来の構成の導光板を作製した。具体的には、底面に凹凸形状が形成されていない下部基板を射出成形により作製し、この下部基板の底面上に真空蒸着によりSiO2層とTiO2層とが交互に周期的に積層された反射防止層を形成した。そして、この下部基板を用いて形成したタブレットを液晶パネル上のフロントライト上に配設して比較用タブレットとした。
上記比較用タブレットを設けてフロントライトを点灯させた状態で、上記実施例2と同様にして色度の測定を行った。測定結果を図9の色度図に示す。また、図9には、比較のために上記実施例2において作製した反射防止層の凸部ピッチが0.25μmのタブレットの色度測定結果を併記する。この図に示すように、従来の反射防止層が形成された比較用タブレットは、色度の分布が大きく、観察角度により漏れ光が色づき、液晶パネルと組み合わせた場合には、斜め方向での色再現性が大きく低下することが示唆される。従って、本発明に係る導光板と液晶パネルを組み合わせることで、従来よりも視野角の広い液晶表示装置を実現できることが確認された。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、上下の基板を備えるタブレットにおいて下部基板の外側の面に微細な凹部又は凸部を下部基板の画面領域の視覚上下方向に沿って千鳥格子状に配列したので、画面上下方向に対して斜め方向に−1次反射光が発生するおそれがあっても、画面左右方向に隣接する凹部又は凸部のピッチが密になるので、可視光帯域において波長の短い青色の−1次反射光を抑制することができる。
下部基板に形成する凹部又は凸部の第1の列と第2の列を画面左右方向に交互に配列し、画面上下方向に千鳥格子状に凹凸を配列することで、画面左右方向に隣接配列されている凹凸のピッチを第1の列あるいは第2の列のピッチよりも確実に密にできるので、可視光帯域において波長の短い青色の−1次反射光を抑制できる。
【0038】
本発明において、第1の列のピッチと第2の列のピッチをいずれも0.3μm以下とすることで、第1の列の凹部又は凸部と第2の列の凹部又は凸部が隣接して形成するこれらよりも短い最短実効ピッチを0.3μmよりも確実に小さくすることができ、短波長域の青色光の−1次反射光であっても抑制できる。
最短実効ピッチが0.2μm以下になることで、より確実に短波長域の青色光の−1次反射光であっても抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る第1の実施形態のタブレットとフロントライトと液晶パネルを備えた液晶表示装置の断面図である。
【図2】図2は同タブレットに備えられる反射防止層の凸部を示す斜視図である。
【図3】図3は凸部の配列状態を示すもので、図3Aは正方格子状の配列状態を示す図、図3Bは千鳥状の配列状態を示す図である。
【図4】図4は実施例1の下部基板の反射率測定結果を示すグラフである。
【図5】図5は実施例2下部基板の漏れ光の輝度測定結果を示すグラフである。
【図6】図6は実施例2の下部基板の漏れ光の色度測定結果を示すグラフである。
【図7】図7は実施例3の下部基板の漏れ光の色度測定結果を示すグラフである。
【図8】図8は実施例4の下部基板の漏れ光の色度測定結果を示すグラフである。
【図9】図9は従来の積層型の防反射層と本発明に係る凸部を備えた下部基板の漏れ光の色度測定結果を示すグラフである。
【図10】図10は従来の一般的なタブレットの一構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…タブレット、2…下部基板、3…上部基板、4…絶縁パターン、5…下部透明導電膜,6…上部透明導電膜、7…ドットスペーサ、10…フロントライト、11…液晶パネル。
Claims (5)
- 所定のギャップを有して対向配置され、少なくとも画面領域を透明とした下部基板および上部基板と、これら基板の互いに対向する面に設けられた下部透明導電膜および上部透明導電膜とが備えられ、前記下部基板の外面側に微細な凹部又は凸部を格子状に配列形成した反射防止部が設けられ、前記下部基板および上部基板の画面領域の厚さ方向に光を透過自在とした構成とされるとともに、
前記凹部又は凸部が前記下部基板の画面領域の視覚上下方向に沿って千鳥格子状に配列されたことを特徴とするタブレット。 - 前記千鳥格子状に配列された凹部又は凸部において、前記画面領域の視覚上下方向に沿って一定のピッチで並ぶ第1の列と、前記画面領域の視覚上下方向に沿って一定のピッチで並ぶ第2の列とが、前記画面領域の視覚左右方向に交互に配列されて前記第1の列と第2の列により前記凹部又は凸部が千鳥格子状に配列されてなり、前記画面の視覚左右方向に並ぶ、前記第1の列の凹部又は凸部と、前記第2の列の凹部又は凸部とによって、前記第1の列のピッチおよび前記第2の列のピッチよりも短い最短実効ピッチが規定されてなることを特徴とする請求項1に記載のタブレット。
- 前記微細な凹部又は凸部の第1の列のピッチと第2の列のピッチがいずれも0.3μm以下とされてなることを特徴とする請求項1または2に記載のタブレット。
- 前記最短実効ピッチが、0.2μm以下とされてなることを特徴とする請求項2または3に記載のタブレット。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のタブレットと、該タブレットの下側に配置された液晶パネルとを備えたことを特徴とする液晶表示装置。
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