JP2005002259A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2005002259A
JP2005002259A JP2003169041A JP2003169041A JP2005002259A JP 2005002259 A JP2005002259 A JP 2005002259A JP 2003169041 A JP2003169041 A JP 2003169041A JP 2003169041 A JP2003169041 A JP 2003169041A JP 2005002259 A JP2005002259 A JP 2005002259A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic elastomer
group
nitrogen
composition
rubber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003169041A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4350434B2 (ja
Inventor
Keisuke Chino
圭介 知野
Makoto Ashiura
誠 芦浦
Yoshio Inoue
義夫 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yokohama Rubber Co Ltd filed Critical Yokohama Rubber Co Ltd
Priority to JP2003169041A priority Critical patent/JP4350434B2/ja
Publication of JP2005002259A publication Critical patent/JP2005002259A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4350434B2 publication Critical patent/JP4350434B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】優れたリサイクル性を保持し、圧縮永久歪にも優れ生分解性をも有する熱可塑性エラストマー組成物の提供。
【解決手段】水素結合を形成しうる部位を有する熱可塑性エラストマーと、水素結合を形成しうる部位を有する生分解性ポリマーとを含有する熱可塑性エラストマー組成物。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度変化により架橋形成および架橋解離を繰り返し再現しうる特性(以下、単に「リサイクル性」という場合がある)を有する熱可塑性エラストマー組成物に関する。特に、優れたリサイクル性を保持したまま、圧縮永久歪に優れ、さらに生分解性をも有する熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保護や省資源等の立場から、使用済み材料の再利用が望まれている。加硫ゴムは、高分子物質と加硫剤とが共有結合した安定な三次元網目構造を有し、非常に高い強度を示すが、強い共有結合による架橋のため再利用・再成形が難しい。一方、熱可塑性エラストマーは、物理的架橋を利用するものであり、予備成形等を含む煩雑な加硫・成形工程を必要とせずに、加熱溶融により容易に成形加工することができる。
このような熱可塑性エラストマーの典型例としては、樹脂成分とゴム成分とを含み、常温では微結晶樹脂成分が三次元網目構造の架橋点の役割を果たすハードセグメントとなり、ゴム成分(ソフトセグメント)の塑性変形を阻止し、昇温により樹脂成分の軟化または融解により塑性変形する熱可塑性エラストマーが知られている。しかし、このような熱可塑性エラストマーでは、樹脂成分を含んでいるためゴム弾性が低下しやすい。そのため、樹脂成分を含まずに熱可塑性が付与できる材料が求められている。
【0003】
かかる課題に対し、本発明者らは先に、水素結合を形成しうる反応部位を有するエラストマーと、前記エラストマーの前記反応部位と水素結合を形成しうる反応部位を有する化合物とを含有するエラストマー組成物が、水素結合を利用して温度変化により架橋形成と架橋解離とを繰り返すことができることを提案している(特許文献1参照。)。また、本発明者らは、同様な効果が期待される、カルボニル基含有基と複素環アミン含有基とを側鎖に有するエラストマー性ポリマーからなる水素結合性の熱可塑性エラストマーを提案している(特許文献2参照。)。
さらに、上記課題を解決する技術として、側鎖にカルボニル基含有基と含窒素複素環含有基とを含み、含窒素複素環含有基がその環構成窒素原子に対して2位で直接に、または有機基を介して主鎖と結合している有機重合体および特定の金属元素を含む化合物を含有する金属含有有機重合体材料が記載されている(特許文献3参照。)。
【0004】
これらのエラストマー(組成物)または金属含有有機重合体材料は、変性を受けていないオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂の成形温度で十分に溶融流動性を示すことができ、低温では架橋形成による優れた破断強度等の機械的強度を有し、温度変化により架橋形成および架橋解離(軟化)を繰り返し再現できる。
このような特性を有する熱可塑性エラストマーは、その産業上の利用価値、および環境保護上の価値は極めて高く、更に高い架橋強度が得られるとともに、架橋形成および架橋解離を繰り返しても物性変化のない、リサイクル性に優れた材料として期待されている。
【0005】
ところで、上述したような熱可塑性エラストマー(組成物)または金属含有有機重合体材料は、物質特性において、加重した際の形状保持率、所定時間加重後に除重した際の圧縮永久歪が十分ではない場合がある。
また、上記金属含有有機重合体材料は、強度が非常に低く、ゴム材としての使用等、弾性部材として使用するにはその特性に不十分な点がある(特許文献3参照。)。
【0006】
一方、上記したエラストマー(組成物)または金属含有有機重合体材料は、架橋形成および架橋解離(軟化)を繰り返し再現できリサイクルが可能であるが、最終的には廃棄処分される。
しかし、近年、環境保護等がより注目されるようになっており、上記エラストマー(組成物)または金属含有有機重合体材料の再利用にとどまらず、これらを最終的に廃棄した場合の環境への影響を少なくすることが望まれている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−209524号公報
【特許文献2】
特開2000−169527号公報
【特許文献3】
特開平8−239583号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、優れたリサイクル性を保持し、圧縮永久歪にも優れ生分解性をも有する熱可塑性エラストマー組成物を提供することを目的とする。
また、上記特性に加え、機械的強度(機械的特性)にも優れる熱可塑性エラストマー組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意検討した結果、水素結合を形成しうる部位を有する熱可塑性エラストマーに、該エラストマーの該部位と水素結合を形成しうる部位を有する生分解性ポリマーを配合させることにより、該熱可塑性エラストマーの優れたリサイクル性を損なわず、組成物としての圧縮永久歪を改善でき、また、生分解も可能であること、さらには、機械的強度等を改善できうることを知見し、本発明を完成した。
【0010】
本発明において、「生分解」とは、後述する生分解性試験において、本発明の組成物の全部または一部が低分子化合物に分解され該組成物(の形状)が崩壊すること、または該組成物の質量が減少することをいう。
【0011】
すなわち、本発明は、上記知見を基になされたものであり、以下の(I)〜(VIII)を提供する。
【0012】
(I)水素結合を形成しうる部位を有する熱可塑性エラストマーと、(該熱可塑性エラストマーの水素結合を形成しうる部位と)水素結合を形成しうる部位を有する生分解性ポリマーとを含有する熱可塑性エラストマー組成物。
上記水素結合を形成しうる部位を有する生分解性ポリマーの含量は、上記水素結合を形成しうる部位を有する熱可塑性エラストマー100質量部に対して1〜200質量部であるのが好ましく、より好ましい範囲は後述する。
【0013】
(II)前記水素結合を形成しうる部位を有する生分解性ポリマーが、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、多糖類、ポリアミノ酸およびリグニンからなる群より選択される1種以上の生分解性ポリマーである上記(I)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【0014】
(III)前記水素結合を形成しうる部位を有する熱可塑性エラストマーが、側鎖にカルボニル含有基と含窒素複素環とを有する熱可塑性エラストマーである上記(I)または(II)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【0015】
(IV)前記側鎖が、下記式(1)で表される構造を有する上記(III)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【化3】
Figure 2005002259
(式中、Aは含窒素複素環であり、Bは単結合;酸素原子、窒素原子またはイオウ原子;あるいはこれらの原子を含んでもよい有機基である。)
【0016】
(V)前記側鎖が、α位またはβ位で主鎖に結合する下記式(2)または(3)で表される構造を有する上記(III)または(IV)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【化4】
Figure 2005002259
(式中、Aは含窒素複素環であり、BおよびDはそれぞれ単結合;酸素原子、窒素原子またはイオウ原子;あるいはこれらの原子を含んでもよい有機基である。)
【0017】
(VI)前記含窒素複素環が、5または6員環である上記(III)〜(V)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【0018】
(VII)前記含窒素複素環が、トリアゾール環、チアジアゾール環またはピリジン環である上記(VI)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【0019】
(VIII)前記水素結合を形成しうる部位を有する熱可塑性エラストマー100質量部に対して、さらにカーボンブラックおよび/またはシリカを1〜200質量部含有する上記(I)〜(VII)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物(以下、単に「本発明の組成物」という場合がある。)は、水素結合を形成しうる部位を有する熱可塑性エラストマー(以下、単に「本発明に用いる熱可塑性エラストマー」という場合がある。)と、該熱可塑性エラストマーの該部位と水素結合を形成しうる部位を有する生分解性ポリマーとを含有する熱可塑性エラストマー組成物である。
【0021】
本発明の組成物において、リサイクル性を損わず、組成物としての圧縮永久歪、さらには、機械的強度等の物性を改善でき、また、生分解も可能である理由は、明らかではないが、本発明者らは、以下のように考えている。
水素結合を形成しうる部位を有する熱可塑性エラストマー中に、該熱可塑性エラストマーの該部位と水素結合を形成しうる部位を有する生分解性ポリマーを含有させることにより、該生分解性ポリマー中の水素結合を形成しうる部位と熱可塑性エラストマー中の水素結合を形成しうる部位との水素結合(場合によっては、イオン結合、イオン間相互作用等)が形成され架橋密度が向上する。また、該結合等の形成により、熱可塑性エラストマー中の水素結合を形成しうる部位同士の間の相互作用(水素結合)も強められることもある。そのため、リサイクル性を損わず、圧縮永久歪、機械的強度等の物性が改善されると考えられる。
【0022】
一方、水素結合を形成しうる部位を有する生分解性ポリマーを含有させた本発明の組成物は、該生分解性ポリマーが生分解され、本発明の組成物が全体として生分解性されるものと考えられる。
本発明において、「生分解」とは、後述する生分解性試験において、本発明の組成物の全部または一部が低分子化合物に分解され該組成物(の形状)が崩壊すること、または該組成物の質量が減少することをいう。
【0023】
以下、本発明に用いる水素結合を形成しうる部位を有する生分解性ポリマーについて説明する。
「水素結合を形成しうる部位」とは、水素結合を形成する水素原子を提供できる部位(置換基)または水素結合を形成する水素原子を受容できる部位(置換基)である。これらの水素結合を形成しうる部位は、一般に知られているものであれば、特に限定されず、具体的には、前者としては、例えば、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボン酸(脂肪酸を含む。)のカルボキシ基中のヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、アミド基等が挙げられる。後者としては、非共有電子対を有する酸素原子、窒素原子およびイオウ原子等が挙げられる。より具体的には、例えば、非共有電子対を有する−CO−、−O−、−N=等を含む、−NR(R、Rはそれぞれ水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基)、−COOH、−COOR(Rは炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基)、−C≡N、−NCO、−SCN、=NOH、−NHCONH、−CONH−、−SO−、−CSSH、−SCNH、−COSH、−CSOH、−SCN、−OP(=O)(OR(Rはそれぞれ水素原子、フェニル基または炭素数1〜20のアルキル基)、後述する含窒素複素環(特に5員環または6員環)等が挙げられる。
【0024】
本発明に用いる水素結合を形成しうる部位を有する生分解性ポリマーにおいて、水素結合しうる部位は1種有していても2種以上を有していてもよく、また、水素結合を形成する水素原子を提供できる部位および水素結合を形成する水素原子を受容できる部位の一方のみを有していても双方を有していてもよい。これらの水素結合しうる部位は、後述する水素結合を形成しうる部位を有する熱可塑性エラストマーの該水素結合を形成しうる部位に応じて、該部位と水素結合を形成できるものを上記例示した中から任意に選択することができる。
また、該水素結合を形成しうる部位を有する生分解性ポリマーにおける上記水素結合を形成しうる部位の数(含有率)は、特に制限されず、後述する生分解性ポリマーであればいずれも本発明に好適に用いることができる。
【0025】
「生分解性ポリマー」とは、自然界に存在する微生物の働きによって低分子化合物に分解され、最終的には水や炭酸ガス等の無機物に分解される高分子素材である(旭化成アミダス株式会社プラスチック編集部編、「プラスッチック・データブック」、株式会社工業調査会、1999年12月1日発行、初版第1刷、p.826)。
【0026】
上記生分解性ポリマーは、一般に、天然高分子と合成高分子に分類できる。
天然高分子としては、特に限定されないが、糖構造を含む多糖類、ポリアミノ酸、ポリエステル、リグニン等が挙げられる。
多糖類としては、例えば、デンプン、セルロース、プルラン、カードラン、ザンタンガム、キチン、キトサン、アルギン酸等が挙げられ、ポリアミノ酸としては、例えば、ポリグルタミン酸、ポリシジン等が挙げられ、ポリエステルとしては、例えば、ポリヒドロキシアルカノエートおよびその共重合体等が挙げられる。
【0027】
合成高分子としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル;ポリカーボネート;ポリエーテル;ポリビニルアルコール等が挙げられる。
より具体的には、ポリエステルとしては、例えば、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリブチレンサクシネート・テレフタレート、ポリブチレンサクシーネート・カーボネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリ乳酸(ポリL−乳酸、ポリD−乳酸等)、ポリグリコール酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシ酪酸・ヒドロキシ吉草酸共重合体等が挙げられる。また、本発明においては、ポリエステルとして、例えば、コポリエステルエーテル、コポリエステルアミド等の共重合体;ポリオルソエステル;ポリ無水物等も含まれる。
ポリカーボネートしては、例えば、ビスフェノールAのポリ炭酸エステル、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート等が挙げられる。
ポリエーテルとしては、例えば、ポリオキシメチレン、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0028】
これらの中でも、入手が容易で安価であり、組成物の物性と生分解性のバランスがよい点で、ポリエステル(天然高分子および合成高分子)、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、多糖類、ポリアミノ酸およびリグニンからなる群より選択される1種以上であるのが好ましい。
【0029】
上記組成物の物性と生分解性のバランスがよりよい点で、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、セルロール、デンプンからなる群より選択される1種以上であるのがより好ましい。
【0030】
上記生分解性ポリマーの平均分子量、分子量分布、粘度等の特性は特に限定されない。
【0031】
これらの生分解性ポリマーは、常法に従って合成してもよく、市販品を使用してもよい。
市販品の一例を示すと、ポリヒドロキシブチレートとしては三菱ガス化学(株)製ビオグリーン等が挙げられ、ポリブチレンサクシネートおよびポリブチレンサクシネート・アジペートとしては昭和高分子(株)製ビオノーレ等が挙げられ、ポリブチレンサクシネート・カーボネートとしては三菱ガス化学(株)製ユーペック等が挙げられ、ポリエチレンサクシネートとしては日本触媒(株)製ルナーレSE等が挙げられ、ポリカプロラクトン系および酢酸セルロース系としてはダイセル化学(株)製セルグリーン等が挙げられ、酢酸ビニルとしてはクラレ(株)製ポバールCPおよびエクセバールPS等が挙げられ、ポリエステルアミドとしてはバイエル社製BAK等が挙げられ、芳香族・脂肪族コポリエステルとしてはBASF社製Ecoflex等が挙げられ、ポリ乳酸としては島津製作所製ラクテイおよびカーギギルジャパン社製Nature Works等が挙げられ、乳酸系ポリエステルとしては大日本インキ化学工業(株)製の脂肪族ジカルボン酸、グリコール等共重合体等が挙げられる。
また、ポリビニルアルコールとしては、クラレ(株)製のポリビニルアルコール等が挙げられ、ポリカーボネートとしては、帝人化成(株)製のパンライト等が挙げられる。
【0032】
本発明に用いる水素結合を形成しうる部位を有する生分解性ポリマーは、上記した水素結合を形成しうる部位を有するが、該部位は、該ポリマーの主鎖中に存在しても側鎖(末端を含む)に存在してもよい。該生分解性ポリマーとして、例えば、上記例示した生分解性ポリマーのようにその骨格中に該水素結合を形成しうる部位を有しているのが好ましいが、所望により以下の方法等により新たに水素結合を形成しうる部位を導入してもよい。
該方法として、例えば、該部位を有する化合物等を常法に従い高分子反応させる方法、またはポリマーを形成するモノマーと該化合物等を共重合もしくは縮合等させる方法等が挙げられる。
【0033】
本発明の組成物における該生分解性ポリマーの含量は、後述する本発明に用いる熱可塑性エラストマー100質量部に対して、1〜200質量部であるのが好ましい。この範囲であれば、本発明に用いる熱可塑性エラストマーとの架橋密度が高くなりリサイクル性を保持したまま、圧縮永久歪に優れる。また、生分解性にも優れる。さらには機械的特性等に優れる場合がある。該含量は、生分解性により優れる点で、10〜100質量部であるのがより好ましく、10〜50質量部であるのが特に好ましい。
【0034】
本発明の組成物に上記生分解性ポリマーを含有させることにより、組成物が土中および/または水中で微生物等により分解されるため、該組成物が廃棄処分されても環境に大きな影響を与えることはなく、近年注目されている環境保護等の要請に十分に適合するものであり、産業上に利用価値は極めて大きい。
【0035】
本発明の組成物は、水素結合を形成しうる部位を有する熱可塑性エラストマーを含有する。
該熱可塑性エラストマーの主鎖となるエラストマー性ポリマーは、特に限定されず、一般的に公知の天然高分子または合成高分子であればよいが、そのガラス転移点が室温(25℃)以下のポリマー、つまりエラストマーであるのが好ましい。このようなエラストマー性ポリマーとして、具体的には、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等のジエン系ゴムおよびこれらの水素添加物;エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−ブテンゴム(EBM)、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンゴム、ポリプロピレンゴム等のオレフィン系ゴム;エピクロロヒドリンゴム;多硫化ゴム;シリコーンゴム;およびウレタンゴム等が挙げられる。
【0036】
また主鎖となるエラストマー性ポリマーは、樹脂成分を含むエラストマー性ポリマー(熱可塑性エラストマー)であってもよく、例えば、水添されていてもよいポリスチレン系エラストマー性ポリマー(SBS、SIS、SEBS等)、ポリオレフィン系エラストマー性ポリマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー性ポリマー、ポリウレタン系エラストマー性ポリマー、ポリエステル系エラストマー性ポリマー、ポリアミド系エラストマー性ポリマー等が挙げられる。
【0037】
上記エラストマー性ポリマーは、液状または固体状であってもよい。その分子量は特に限定されず、本発明の組成物の使用目的、該組成物に要求される特性等に応じて適宜選択することができる。
本発明の組成物を加熱(脱架橋)した時の流動性を重視する場合は、上記エラストマー性ポリマーは液状であるのが好ましく、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等のジエン系ゴムでは、重量平均分子量が1,000〜100,000であるのが好ましく、1,000〜50,000程度が特に好ましい。一方、本発明の組成物の強度を重視する場合は、上記エラストマー性ポリマーは固体ゴムであるのが好ましく、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等のジエン系ゴムでは、重量平均分子量が100,000以上であることが好ましく、500,000〜1,500,000が特に好ましい。
【0038】
また、本発明で用いるエラストマー性ポリマーのガラス転移点が25℃以下であるのが好ましく、該ポリマーが2以上のガラス転移点を有する場合または2種以上のポリマーを併用する場合はガラス転移点の少なくとも1つは25℃以下であるのが好ましい。この範囲であると成形物が室温でゴム状弾性を示す。
【0039】
エラストマー性ポリマーは、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴムおよびこれらのジエン系ゴムの水素添加物;エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−ブテンゴム(EBM)等のオレフィン系ゴムであるのが特に好ましい。
また、高い生分解性を得るには、エラストマー性ポリマーとしても、生分解されうるポリマー、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム等であるのが好ましい。
これらのポリマーはガラス転移温度が25℃以下であるため成形物が室温でゴム状弾性を示す。またジエン系ゴムを用いると後述する無水マレイン酸等での変性が容易であり、オレフィン系ゴムを用いると組成物が架橋した時の引張強度により優れ、二重結合が存在しないため組成物の劣化が抑制される。
【0040】
本発明において、上記スチレン−ブタジエンゴム(SBR)の結合スチレン量、水添エラストマー性ポリマー等の水添率等は、特に限定されず、本発明の組成物が用いられる用途、本発明の組成物に要求される物性等に応じて任意の比率に調整できる。
熱可塑性エラストマーの主鎖にEPM、EPDM、EBMを用いる場合は、そのエチレン含量は、好ましくは10〜80mol%であり、より好ましくは、40〜60mol%である。この範囲であれば、組成物としたときの機械的強度、圧縮永久歪に優れる。
【0041】
本発明においては、上記エラストマー性ポリマーを2種以上混合して用いることができる。この場合の混合比は、組成物が用いられる用途、組成物に要求される物性等に応じて、任意の比率とすることができる。
【0042】
本発明に用いる熱可塑性エラストマーの「水素結合を形成しうる部位」は、上記水素結合を形成しうる部位を有する生分解性ポリマーで説明した「水素結合を形成しうる部位」と基本的に同様である。
上記水素結合しうる部位は1種有していても2種以上を有していてもよく、また、水素結合を形成する水素原子を提供できる部位および水素結合を形成する水素原子を受容できる部位の一方のみを有していても双方を有していてもよいが、双方を有しているのが水素結合力を好適な範囲に調整できる点で好ましい。この場合の該水素原子を提供できる部位および該水素原子を受容できる部位の組合せは特に限定されない。これらの水素結合しうる部位は上記例示した中から任意に選択することができ、好ましくは後述するカルボニル含有基と含窒素複素環の組合せである。
【0043】
本発明に用いる熱可塑性エラストマーは、上記水素結合を形成しうる部位を有するが、該部位は、上記主鎖中に存在しても側鎖に存在してもよい。上記本発明に用いられる生分解性ポリマーとの水素結合を形成しやすい点で、エラストマーの側鎖に存在するのが好ましい。つまり、該熱可塑性エラストマーは、天然高分子または合成高分子のエラストマー性ポリマーの側鎖に水素結合を形成しうる部位を有するのが好ましい。
本発明において、「側鎖」とはエラストマー性ポリマーの側鎖および末端をいう。また「側鎖に水素結合を形成しうる部位を有する」とは、エラストマー性ポリマーの主鎖を形成する原子(通常炭素原子)に、水素結合を形成しうる部位が化学的に安定な結合(共有結合)をしていることを意味する。
【0044】
本発明に用いられる熱可塑性エラストマーとしては、上記水素結合を形成しうる部位を上記主鎖となるエラストマー性ポリマーに導入したものを用いることができる。
上記水素結合を形成しうる部位(特に水素結合を形成する水素原子を提供できる部位)としては、例えば、カルボキシ基またはカルボニル含有基を導入した熱可塑性エラストマー(カルボキシ(カルボニル含有基)変性エラストマー)が挙げられ、より具体的には、カルボキシ低変性イソプレンゴム、カルボキシ高変性イソプレンゴム、カルボキシ変性BR、カルボキシ変性NBR、カルボキシ変性ポリブテン、カルボキシ変性SBR、カルボキシ変性エチレン−プロピレン共重合体、アクリルゴム、EAA樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、多数の水素結合部位を有する点で、カルボキシ低変性イソプレンゴム、カルボキシ高変性イソプレンゴム、カルボキシ変性エチレン−プロピレン共重合体が好ましい。
【0045】
上記カルボキシ(カルボニル含有基)変性エラストマーは、市販品を使用することもでき、例えば、LIR−403(クラレ(株)製)、LIR−410A(クラレ(株)試作品)等の無水マレイン酸変性イソプレンゴム;LIR−410(クラレ(株)製)等の変性イソプレンゴム;クライナック110、221、231(ポリサー(株)製)等のカルボキシ変性ニトリルゴム;CPIB(日石化学(株)製)、HRPIB(日石化学(株)ラボ試作品)等のカルボキシ変性ポリブテン;ニュクレル (三井デュポンポリケミカル(株)製) 、ユカロン(三菱化学(株)製)、タフマーM(例えば、MA8510、三井化学(株)製)等の無水マレイン酸変性エチレン−プロピレンゴム;タフマーM(例えば、MH7020、三井化学(株)製)等の無水マレイン酸変性エチレン−ブテンゴム;アドマー(例えば、LF128等、三井化学(株)製)、アドテックスシリーズ(無水マレイン酸変性EVA、日本ポリオレフィン(株)製)、HPRシリーズ(無水マレイン酸変性EEA、三井・デュポンポリケミカル(株)製)、ボンドファストシリーズ(無水マレイン酸変性EMA、住友化学(株)製)、デュミランシリーズ(無水マレイン酸変性EVOH、武田薬品工業(株)製)等の無水マレイン酸変性ポリエチレン;アドマー(例えば、QB550、三井化学(株)製)等の無水マレイン酸変性ポリプロピレン等を挙げることができる。
【0046】
上記水素結合を形成しうる部位(特に水素結合を形成する水素原子を受容できる部位)としては、例えば、カルボニル基(エステル基、アミド基)、含窒素複素環等を導入した熱可塑性エラストマーが挙げられ、より具体的には、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ビニルピリジン含有SBR、ポリウレタン系エラストマー、アクリルゴム等が挙げられる。
【0047】
これらの熱可塑性エラストマーは市販品を使用することもでき、例えば、ポリエステル系エラストマーとして、例えば、ハイトレル(デュポン社製)、ペレプレン(東洋紡(株)製)等が挙げられ、ポリアミド系エラストマーとして、例えば、ペバックス(東レ(株)(アトケム)製)、ダイアミド(ダイセルヒュルス社製)等が挙げられ、ポリウレタン系エラストマーとして、例えば、ミラクトラン(日本ミラクトラン社製)、パンデックス(大日本インキ化学工業(株)製)等が挙げられ、ビニルピリジン含有SBRおよびアクリルゴムとしては、共に日本ゼオン(株)製のものが挙げられる。
【0048】
本発明に用いる熱可塑性エラストマーの製造方法としては、例えば、水素結合を形成しうる部位を有する化合物等を常法に従い熱可塑性エラストマーに高分子反応させる方法、または熱可塑性エラストマーを形成するモノマーと該化合物等を共重合もしくは縮合等させる方法等が挙げられる。
上記カルボキシ変性熱可塑性エラストマーの合成方法としては、例えば、ブタジエンゴム等のジエン系ゴムと、メルカプト酢酸を含むトルエン溶液を、室温で、窒素雰囲気下、1時間攪拌し、反応混合物をメタノールに沈殿させ、減圧乾燥することにより、カルボキシ基を有するジエン系ゴムを得る方法等が挙げられる。
上記水素結合を形成する水素原子を受容できる部位を導入した熱可塑性エラストマーの合成方法としては、アルコールとカルボン酸とを重縮合させる方法、アミンとカルボン酸とを重縮合させる方法、ビニルピリジンと種々のコモノマーとを共重合させる方法等が挙げられる。
【0049】
また、本発明に用いる熱可塑性エラストマーにおける上記水素結合を形成しうる部位の数(含有率)は特に制限されない。該熱可塑性エラストマーは、そのガラス転移点が25℃以下であるのが好ましく、該エラストマーが2以上のガラス転移点を有する場合または2種以上のエラストマーを併用する場合はガラス転移点の少なくとも1つは25℃以下であるのが好ましい。ガラス転移点が25℃以下であれば、成形物が室温でゴム状弾性を示す。
【0050】
本発明に用いる熱可塑性エラストマーは、上記エラストマー性ポリマーの側鎖に、水素結合を形成しうる部位としてカルボニル含有基と含窒素複素環とを有する熱可塑性エラストマーであるのが好ましい。以下、該本発明に用いる好適な熱可塑性エラストマーについて説明する。
カルボニル含有基としては、カルボニル基を含むものであれば特に限定されず、例えば、アミド基、エステル基、イミド基、カルボキシ基、カルボニル基等が挙げられる。このような基を導入しうる化合物としては特に限定されず、例えば、ケトン類、カルボン酸およびその誘導体等が挙げられる。
カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の炭化水素基を有する有機酸が挙げられ、該炭化水素基は、脂肪族、脂環族、芳香族等のいずれであってもよい。またカルボン酸誘導体としては、例えば、カルボン酸無水物、アミノ酸、チオカルボン酸(メルカプト基含有カルボン酸)、エステル類、アミノ酸、ケトン類、アミド類、イミド類、ジカルボン酸およびそのモノエステル等が挙げられる。
【0051】
カルボン酸およびその誘導体等としては、具体的に、例えば、マロン酸、マレイン酸、スクシン酸、グルタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、p−フェニレンジ酢酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−アミノ安息香酸、メルカプト酢酸等のカルボン酸および置換基を含有するこれらのカルボン酸;無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸等の酸無水物;マレイン酸エステル、マロン酸エステル、コハク酸エステル、グルタル酸エステル、酢酸エチル等の脂肪族エステル;フタル酸エステル、イソフタル酸エステル、テレフタル酸エステル、エチル−m−アミノベンゾエート、メチル−p−ヒドロキシベンゾエート等の芳香族エステル;キノン、アントラキノン、ナフトキノン等のケトン類;グリシン、チロシン、ビシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、スレオニン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、メチオニン、プロリン、N−(p−アミノベンゾイル)−β−アラニン等のアミノ酸;マレインアミド、マレインアミド酸(マレインモノアミド)、コハク酸モノアミド、5−ヒドロキシバレルアミド、N−アセチルエタノールアミン、N,N’−ヘキサメチレンビス(アセトアミド)、マロンアミド、シクロセリン、4−アセトアミドフェノール、p−アセトアミド安息香酸等のアミド類;マレインイミド、スクシンイミド等のイミド類が挙げられる。
これらの中でも、カルボニル基(カルボニル含有基)を導入しうる化合物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸等の環状酸無水物が好ましく、特に無水マレイン酸が好ましい。
【0052】
熱可塑性エラストマーの側鎖に含有する含窒素複素環は、直接または有機基を介して主鎖に導入される。
該含窒素複素環は、複素環内に窒素原子を含むものであれば複素環内に窒素原子以外のヘテロ原子、例えば、イオウ原子、酸素原子、リン原子等を有するものでも用いることができる。ここで複素環化合物を用いるのは、複素環構造を有すると後述する架橋を形成する水素結合が強くなり組成物の引張強度が向上するためである。
また該複素環は置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基、ヘキシル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子からなる基;シアノ基;アミノ基;芳香族炭化水素基;エステル基;エーテル基;アシル基;チオエーテル基等が挙げられ、これらを組合せて用いることもできる。
これらの置換基の置換位置は特に限定されず、また置換基数も限定されない。また、該複素環は、芳香族性を有していても、有していなくてもよいが、芳香族性を有していると架橋時の引張強度がより高まり組成物の強度がより向上するので好ましい。
【0053】
このような含窒素複素環としては、5員環または6員環であるのが好ましい。
含窒素複素環として、例えば、ピロロリン、ピロリドン、オキシインドール(2−オキシインドール)、インドキシル(3−オキシインドール)、ジオキシインドール、イサチン、インドリル、フタルイミジン、β−イソインジゴ、モノポルフィリン、ジポルフィリン、トリポルフィリン、アザポルフィリン、フタロシアニン、ヘモグロビン、ウロポルフィリン、クロロフィル、フィロエリトリン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾリン、イミダゾロン、イミダゾリドン、ヒダントイン、ピラゾリン、ピラゾロン、ピラゾリドン、インダゾール、ピリドインドール、プリン、シンノリン、ピロール、ピロリン、インドール、インドリン、オキシルインドール、カルバゾール、フェノチアジン、インドレニン、イソインドール、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、オキサトリアゾール、チアトリアゾール、フェナントロリン、オキサジン、ベンゾオキサジン、フタラジン、プテリジン、ピラジン、フェナジン、テトラジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、アントラニル、ベンゾチアゾール、ベンゾフラザン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、アントラゾリン、ナフチリジン、チアジン、ピリダジン、ピリミジン、キナゾリン、キノキサリン、トリアジン、ヒスチジン、トリアゾリジン、メラミン、アデニン、グアニン、チミン、シトシン等が挙げられる。このような含窒素複素環のうち、特に含窒素5員環については、下記の化合物が好ましく例示される。これらは上記した種々の置換基を有していてもよいし、水素原子が付加または脱離されたものであってもよい。
【0054】
【化5】
Figure 2005002259
【0055】
また、含窒素6員環については、下記の化合物が好ましく例示される。これらについても上記した種々の置換基を有していてもよいし、水素原子が付加または脱離されたものであってもよい。
【0056】
【化6】
Figure 2005002259
【0057】
また、上記含窒素複素環とベンゼン環または含窒素複素環同士が縮合したものも用いることができ、例えば下記の縮合環が好ましく例示される。これらについても上記した種々の置換基を有していてもよいし、水素原子が付加または脱離されたものであってもよい。
【0058】
【化7】
Figure 2005002259
【0059】
上記した含窒素複素環の中でも、トリアゾール環、ピリジン環またはチアジアゾール環であるのが、熱可塑性エラストマー組成物としたときの機械的強度、圧縮永久歪およびリサイクル性に優れるため好ましい。
【0060】
上記本発明に用いる好適な熱可塑性エラストマーは、上記含窒素複素環が直接または有機基を介して主鎖に導入されるが、好ましくは有機基を介して主鎖に導入される。
また、該本発明に用いる好適な熱可塑性エラストマーは、カルボニル含有基および含窒素複素環が、互いに独立の側鎖として主鎖に導入されていてもよく、またカルボニル含有基と含窒素複素環とが互いに異なる基を介して1つの側鎖に結合し主鎖に導入されていてもよい。
カルボニル含有基および含窒素複素環が、下記式(1)で表される1つの側鎖として上記ポリマー主鎖に導入されるのが好ましい。
【0061】
【化8】
Figure 2005002259
(式中、Aは含窒素複素環であり、Bは単結合;酸素原子、窒素原子またはイオウ原子;あるいはこれらの原子を含んでもよい有機基である。)
【0062】
ここで、含窒素複素環Aは、具体的には上記した含窒素複素環である。
置換基Bは、単結合;酸素原子、窒素原子もしくはイオウ原子;あるいはこれらの原子を含んでもよい有機基であり、具体的には、例えば、単結合;酸素原子、イオウ原子またはアミノ基NR’(R’は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基);これらの原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレン基またはアラルキレン基;これらの原子を末端に有する、炭素数1〜20のアルキレンエーテル基(アルキレンオキシ基、例えば、−O−CHCH−基)、アルキレンアミノ基(例えば、−NH−CHCH−基等)またはアルキレンチオエーテル基(アルキレンチオ基、例えば、−S−CHCH−基);これらの原子を末端に有する、炭素数1〜20のアラルキレンエーテル基(アラルキレンオキシ基)、アラルキレンアミノ基またはアラルキレンチオエーテル基;等が挙げられる。
【0063】
ここで、上記アミノ基NR’の炭素数1〜10のアルキル基としては、異性体を含む、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
上記置換基Bの酸素原子、イオウ原子およびアミノ基、ならびに、酸素原子、窒素原子またはイオウ原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレンエーテルまたはアラルキレンエーテル基等の酸素原子、窒素原子およびイオウ原子は、隣接するカルボニル基と組み合わされ共役系のエステル基、アミド基、イミド基、チオエステル基等を形成するのが好ましい。
置換基Bは、上記した中でも、共役系を形成する、酸素原子、イオウ原子またはアミノ基;これらを末端に有する、炭素数1〜20のアルキレンエーテル基、アルキレンアミノ基またはアルキレンチオエーテル基が好ましく、アミノ基(NH)、アルキレンアミノ基(−NH−CH−基、−NH−CHCH−基、−NH−CHCHCH−基)、アルキレンエーテル基(−O−CH−基、−O−CHCH−基、−O−CHCHCH−基)が特に好ましい。
【0064】
カルボニル含有基と含窒素複素環は、下記式(2)または(3)で表される1つの側鎖として、そのα位またはβ位で上記ポリマー主鎖に導入されるのがより好ましい。
【0065】
【化9】
Figure 2005002259
(式中、Aは含窒素複素環であり、BおよびDはそれぞれ独立に、単結合;酸素原子、窒素原子またはイオウ原子;あるいはこれらの原子を含んでもよい有機基である。)
【0066】
ここで、含窒素複素環Aは上記式(1)の含窒素複素環Aと基本的に同様であり、置換基BおよびDはそれぞれ独立に、上記式(1)の置換基Bと基本的に同様である。
ただし、上記式(3)における置換基Dは、上記式(1)の置換基Bで例示した中でも、単結合;酸素原子、窒素原子またはイオウ原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレン基またはアラルキレン基の共役系を形成するものであるのが好ましく、単結合が特に好ましい。すなわち、上記式(3)のイミド窒素と共に、酸素原子、窒素原子またはイオウ原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレンアミノ基またはアラルキレンアミノ基を形成するのが好ましく、上記式(3)のイミド窒素に含窒素複素環が直接結合する(単結合)のが特に好ましい。具体的には、置換基Dは、単結合;上記した酸素原子、イオウ原子またはアミノ基を末端に有する炭素数1〜20のアルキレン基またはアラルキレン基等;異性体を含む、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、フェニレン基、キシリレン基等が挙げられる。
【0067】
本発明に用いる好適な熱可塑性エラストマーに含有される上記カルボニル含有基と上記含窒素複素環との割合は特に限定されないが、2:1(上記式(3)のイミド構造等の場合は1:1)であると相補的な相互作用を形成しやすくなり、また、容易に製造できるため好ましい。
【0068】
カルボニル含有基と含窒素複素環とを有する側鎖は、主鎖部分100mol%に対して、0.1〜50mol%の割合(導入率)で導入されていることが好ましく、1〜30mol%の割合で導入されていることがより好ましい。
0.1mol%未満では架橋時の強度が十分でない場合があり、50mol%を超えると架橋密度が高くなりゴム弾性が失われる場合がある。すなわち、上記した範囲内であれば、熱可塑性エラストマーの側鎖同士の相互作用が、分子間または分子内で起こり、これらがバランスがよく形成されるため、組成物としたときに、架橋時の引張強度が非常に高く、かつリサイクル性に優れる。
上記導入率は、カルボニル含有基と含窒素複素環が独立に導入されている場合には、上記カルボニル含有基と上記含窒素複素環との割合に従って、両基を一組として考えればよく、何れかの基が過剰の場合は、多い方の基を基準として考えればよい。
この導入率は、例えば主鎖部分がエチレン−プロピレンゴムである場合には、エチレンおよびプロピレンモノマー単位100ユニット当り、側鎖部分の導入されたモノマーが、0.1〜50ユニット程度である。
【0069】
該熱可塑性エラストマーの製造方法は特に限定されず、通常の方法を選択することができる。
上記熱可塑性エラストマーのうちでも、カルボニル含有基と含窒素複素環とを同一側鎖に有するものは、例えば、エラストマー性ポリマーのカルボニル含有基変性ポリマーを、含窒素複素環を導入しうる化合物と反応させることにより得られる。
具体的には、ブタジエンゴム等のジエン系ゴムと、無水マレイン酸あるいはメルカプト酢酸を含むトルエン溶液とを、あるいは、EPM等のオレフィン系ゴム、例えば、プロピレン等のα−オレフィンと、メルカプト酢酸を含むトルエン溶液とを、室温または加熱下で窒素雰囲気下反応させ、カルボニル含有基で変性されたエラストマーを得、このエラストマーと含窒素複素環を導入しうる化合物とを反応させることにより得られる。
【0070】
ここで、含窒素複素環を導入しうる化合物とは、含窒素複素環そのものであってもよく、無水マレイン酸等のカルボニル含有基と反応する置換基(例えば、水酸基、チオール基、アミノ基等)を有する含窒素複素環であってもよい。また、含窒素複素環を導入しうる化合物は、カルボキシ(カルボニル含有基)変性エラストマーのカルボニル含有基の一部または全量と反応させればよい。一部とは、カルボニル含有基100mol%に対して1mol%以上が好ましく、50mol%以上であるのがより好ましく、80mol%以上であるのが特に好ましい。この範囲であれば、含窒素複素環を導入した効果が発現し、架橋時の引張強度がより高まる。リサイクル性、引張強度、圧縮永久歪に優れる点で、カルボニル含有基の全量(100mol%)を該化合物と反応させるのが特に好ましい。
【0071】
カルボニル含有基で変性されたエラストマーは、上記カルボキシ(カルボニル含有基)変性エラストマーで例示したエラストマーを特に制限されず用いることができる。
【0072】
また、本発明においては、カルボニル含有基と含窒素複素環とを導入しうる化合物同士を反応させた後、エラストマー性ポリマーの側鎖に導入してもよい。
【0073】
カルボニル含有基と含窒素複素環とを、それぞれ独立して側鎖に有する熱可塑性エラストマーを合成する場合には、該エラストマー性ポリマーの主鎖を形成しうるモノマーと、カルボニル含有基を含むモノマーと含窒素複素環を含むモノマーとを共重合させて、上記熱可塑性エラストマーを直接製造してもよく、あらかじめ重合等により主鎖(エラストマー性ポリマー)を形成し、次いで、上記カルボニル含有基および含窒素複素環を導入しうる化合物でグラフト変性してもよい。
上記の各製造方法においては、熱可塑性エラストマーの側鎖の各基は、独立に結合しているか、または互いに結合したものであるかは、NMR、IRスペクトル等の通常用いられる分析手段により確認することができる。
【0074】
上記本発明に好適な熱可塑性エラストマーは、上記の製造方法でも、まずカルボニル含有基を導入したカルボキシ(カルボニル含有基)変性エラストマー性ポリマーを合成し、次に、含窒素複素環を導入しうる化合物と反応させて含窒素複素環を導入する方法が好ましく、特に環状酸無水物を側鎖に有するエラストマー性ポリマーと、含窒素複素環を導入しうる化合物とを、含窒素複素環を導入しうる化合物が環状酸無水物基と化学結合(例えば共有結合、イオン結合)しうる温度にて反応させることにより、カルボニル含有基と含窒素複素環とをエラストマー性ポリマーの主鎖に導入(環状酸無水物基は開環する)させるのが好ましい。該エラストマーの製造に関して、具体的な点については、特開2000−169527号公報に記載されている。
【0075】
本発明の窒素複素環を便宜上「含窒素n員環化合物(n≧3)」とし、含窒素複素環の結合位置について説明する。
以下説明する結合位置(「1〜n位」)は、IUPAC命名法に基づくものである。例えば、非共有電子対を有する窒素原子を3個有する化合物の場合、IUPAC命名法に基づく順位によって結合位置を決定する。具体的には、上記例示した5員環、6員環および縮合環の含窒素複素環に結合位置を記した。
熱可塑性エラストマーでは、直接または有機基を介して主鎖と結合する含窒素n員環化合物の結合位置は、特に限定されず、いずれの結合位置(1位〜n位)でもよい。好ましくは、その1位または3位〜n位である。
含窒素複素環内に含まれる窒素原子が1個(例えば、ピリジン環等)の場合は、分子内でキレートが形成されやすく組成物としたときの引張強度等の物性に劣るため、1位または2位は好ましくない。
【0076】
含窒素n員環化合物がその1位または3位〜n位で主鎖と結合していると、同一側鎖にカルボニル基と含窒素複素環を有していても、含窒素複素環の窒素原子とカルボニル基との距離が離れているため、分子内でのキレートが形成されにくく、分子間キレートおよびイオン結合の形成による架橋強度(組成物としたときの引張強度)の向上が期待でき、また、架橋密度が向上する。含窒素複素環が5員環である場合には、3または4位が好ましく、3位が特に好ましい。
含窒素複素環の結合位置を選択することにより熱可塑性エラストマーは、該熱可塑性エラストマー同士の分子間で、または上記生分解性ポリマーとの間で、水素結合、イオン結合、配位結合等による架橋が形成されやすく、リサイクル性に優れ、組成物としたときの機械的強度および圧縮永久歪に優れる。
【0077】
本発明の組成物は、上記水素結合可能な部位を有する熱可塑性エラストマーを1種以上含有する。2種以上含有する場合の混合比は、組成物が用いられる用途、組成物に要求される物性等に応じて、任意の比率とすることができる。
【0078】
本発明の組成物は、上記水素結合可能な部位を有する生分解性ポリマーと上記水素結合可能な部位を有する熱可塑性エラストマーとを含有する組成物である。本発明の組成物は、上記成分の他に、さらに、補強剤としてカーボンブラックおよび/またはシリカを含有するのが好ましい。
カーボンブラックの含量(カーボンブラック単独で用いる場合)は、上記水素結合可能な部位を有する熱可塑性エラストマー100質量部に対して、1〜200質量部であり、好ましくは10〜100質量部であり、より好ましくは20〜80質量部である。
該カーボンブラックの種類は、用途に応じて適宜選択される。一般に、カーボンブラックは粒子径に基づいて、ハードカーボンとソフトカーボンとに分類される。ソフトカーボンはゴムに対する補強性が低く、ハードカーボンはゴムに対する補強性が強い。本発明では、特に、補強性の強いハードカーボンを用いるのが好ましい。
【0079】
シリカは、特に限定されず、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、けいそう土等が挙げられ、その含量(シリカ単独で用いる場合)は上記水素結合可能な部位を有する熱可塑性エラストマー100質量部に対して、1〜200質量部であり、好ましくは10〜100質量部であり、より好ましくは20〜80質量部である。このなかでも、沈降シリカが好ましい。
補強剤としてシリカを用いる場合には、シランカップリング剤を併用できる。シランカップリング剤としては、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Si69)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(Si75)、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0080】
カーボンブラックおよびシリカを併用する場合の含量(カーボンブラックおよびシリカの合計量)は、上記水素結合可能な部位を有する熱可塑性エラストマー100質量部に対して、1〜200質量部であり、好ましくは10〜100質量部であり、より好ましくは20〜80質量部である。
【0081】
本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損わない範囲で、本発明に用いる熱可塑性エラストマー以外のポリマー、カーボンブラックおよびシリカ以外の補強剤(充填剤)、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、防錆剤、接着付与剤、帯電防止剤、フィラー等の各種添加剤等を含有することができる。
【0082】
上記添加剤等は、一般に用いられるものを使用することができ、以下に具体的に、その一部を例示するが、これら例示したものに限られない。
本発明に用いる熱可塑性エラストマー以外のポリマーとしては、上記した理由と同様にガラス転移温度が25℃以下のポリマーが好ましく、特に本発明の主鎖として用いるもののうちの何れかであるのが好ましい。より好ましくは、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−ブテンゴム(EBM)であり、特にIIR、EPM、EBMの不飽和結合を有さないポリマーまたは不飽和結合の少ないポリマー(例えば、EPDM)を用いるのが好ましい。また、水素結合を形成しうる部位を有するポリマーも好ましい。該他のポリマーは1種または2種以上を含有させてもよい。該ポリマーの含量は、上記水素結合可能な部位を有する熱可塑性エラストマー100質量部に対して、0.1〜100質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましい。
【0083】
カーボンブラックおよびシリカ以外の補強剤としては、例えば、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー等が挙げられ、これらの含量は、上記水素結合可能な部位を有する熱可塑性エラストマー100質量部に対して、10〜100質量部が好ましく、20〜80質量部がより好ましい。
【0084】
老化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、脂肪族および芳香族のヒンダードアミン系等の化合物が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等の有機顔料等が挙げられる。
【0085】
可塑剤としては、安息香酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバチン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クエン酸等の誘導体をはじめ、ポリエステル、ポリエーテル、エポキシ系等が挙げられる。
揺変性付与剤としては、ベントン、無水ケイ酸、ケイ酸誘導体、尿素誘導体等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系等が挙げられる。
難燃剤としては、TCP等のリン系、塩素化パラフィン、パークロルペンタシクロデカン等のハロゲン系、酸化アンチモン等のアンチモン系、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
【0086】
溶剤としては、ヘキサン、トルエン等の炭化水素系;テトラクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系;酢酸エチル等のエステル系等が挙げられる。
界面活性剤(レベリング剤)としては、ポリブチルアクリレート、ポリジメチルシロキサン、変性シリコーン化合物、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
脱水剤としては、ビニルシラン等が挙げられる。
【0087】
防錆剤としては、ジンクホスフェート、タンニン酸誘導体、リン酸エステル、塩基性スルホン酸塩、各種防錆顔料等が挙げられる。
接着付与剤としては、公知のシランカップリング剤、アルコキシシリル基を有するシラン化合物、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤等が挙げられる。より具体的には、例えば、トリメトキシビニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
帯電防止剤としては、一般的に、第4級アンモニウム塩、あるいはポリグリコールやエチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物が挙げられる。
可塑剤の含量は、上記水素結合可能な部位を有する熱可塑性エラストマー100質量部に対して、0.1〜50質量部が好ましく、1〜30質量部がより好ましい。その他の添加剤の含量は、0.1〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。
【0088】
本発明に用いる熱可塑性エラストマーは自己架橋できるものもあるが、本発明の目的を損わない範囲で加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤、加硫遅延剤等を併用することもできる。
加硫剤としては、イオウ系、有機過酸化物系、金属酸化物系、フェノール樹脂、キノンジオキシム等の加硫剤が挙げられる。
イオウ系加硫剤としては、例えば、粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等が挙げられる。
有機過酸化物系の加硫剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が挙げられる。
その他として、酸化マグネシウム、リサージ、p−キノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、ポリ−p−ジニトロソベンゼン、メチレンジアニリン等が挙げられる。
【0089】
加硫助剤としては、アセチル酸、プロピオン酸、ブタン酸、ステアリン酸、アクリル酸、マレイン酸等の脂肪酸;アセチル酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、ブタン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、アクリル酸亜鉛、マレイン酸亜鉛等の脂肪酸亜鉛等が挙げられる。
加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)等のチウラム系;ヘキサメチレンテトラミン等のアルデヒド・アンモニア系;ジフェニルグアニジン等のグアニジン系;ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)等のチアゾール系;シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系;等が挙げられる。さらにアルキルフェノール樹脂やそのハロゲン化物等を用いることもできる。
加硫遅延剤としては、例えば、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸等の有機酸;N−ニトロソージフェニルアミン、N−ニトロソーフェニル−β−ナフチルアミン、N−ニトロソ−トリメチル−ジヒドロキノリンの重合体等のニトロソ化合物;トリクロルメラニン等のハロゲン化物;2−メルカプトベンツイミダゾール;サントガードPVI等が挙げられる。
これら加硫剤等の含量は、上記水素結合可能な部位を有する熱可塑性エラストマー100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
【0090】
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、上記本発明に用いる熱可塑性エラストマー、水素結合を形成しうる部位を有する生分解性ポリマーおよび必要に応じて各種添加剤等を、ロール、ニーダー、押出し機、万能攪拌機等により混合すればよい。
【0091】
このようにして得られる本発明の組成物は、上記構成を有し後述する生分解性試験において生分解される。
ここで、「生分解」とは、後述する生分解性試験において、本発明の組成物の全部または一部が低分子化合物に分解され該組成物(の形状)が崩壊すること、または該組成物の質量が減少することをいう。本発明においては、生分解される(上記低分子化合物に分解される)量(質量)は、特に限定されない。
本発明の組成物は、単に混練した状態の組成物であっても、後述するように永久架橋させた組成物であっても、同様に生分解される。
【0092】
生分解性試験は、土壌中または水中で微生物または酵素の存在下、一定期間放置して行う。生分解されているか否かは、組成物の形状の崩壊状態等を目視により確認する。
生分解性試験の方法としては、通常行われる方法・条件、酵素および微生物等を、組成物に含有する生分解性ポリマーに応じて任意に選択できる。その一例を以下に示す。
1)土壌中での試験は、試験片を、例えば、特に限定されない土壌中(例えば、花壇土中等)の適当な深さに埋没させ、所定時間経過後取出して、試験片の分解状態を目視で確認等することにより行うことができる。なお、該試験における温度、湿度等の条件は分解速度には影響するが生分解性には影響しないため特に限定されない。
2)水中での試験は、pHを好適な範囲に調整し酵素または微生物(菌)を投入した水溶液に、試験片を浸せきさせ、所定時間経過後取出して、試験片の分解状態を目視で確認等することにより行うことができる。
【0093】
本発明の組成物を(加硫剤により)永久架橋させる場合の硬化条件は、配合する各種成分等に応じて適宜選択することができ、特に制限されない。例えば、130〜200℃の温度で、5〜30分で硬化させる硬化条件が好ましい。
【0094】
本発明の組成物は、約80〜180℃に加熱することにより三次元の架橋結合(架橋構造)が解離して軟化し、流動性が付与される。分子間または分子内で形成されている側鎖同士の相互作用または側鎖と生分解性ポリマーとの相互作用が弱まるためであると考えられる。
【0095】
本発明の組成物は、例えばゴム弾性を活用して種々のゴム用途に使用することができる。またホットメルト接着剤として、またはこれに含ませる添加剤として使用すると、耐熱性およびリサイクル性を向上させることができるので好ましい。特に自動車周り等に好適に用いることができる。
【0096】
上記自動車周りとしては、具体的には、例えば、タイヤのトレッド、カーカス、サイドウォール、インナーライナー、アンダートレッド、ベルト部等のタイヤ各部;外装のラジエータグリル、サイドモール、ガーニッシュ(ピラー、 リア、カウルトップ)、エアロパーツ(エアダム、スポイラー)、ホイールカバー、ウェザーストリップ、カウベルトグリル、エアアウトレット・ルーバー、エアスクープ、フードバルジ、換気口部品、防触対策部品(オーバーフェンダー、サイドシールパネル、モール(ウインドー、フード、ドアベルト))、マーク類;ドア、ライト、ワイパーのウェザーストリップ、グラスラン、グラスランチャンネル等の内装窓枠用部品;エアダクトホース、ラジエターホース、ブレーキホース;クランクシャフトシール、バルブステムシール、ヘッドカバーガスケット、A/Tオイルクーラーホース、ミッションオイルシール、P/Sホース、P/Sオイルシール等の潤滑油系部品;燃料ホース、エミッションコントロールホース、インレットフィラーホース、タイヤフラム類等の燃料系部品;エンジンマウント、インタンクポンプマウント等の防振用部品;CVJブーツ、ラック&ピニオンブーツ等のブーツ類;A/Cホース、A/Cシール等のエアコンデショニング用部品;タイミングベルト、補機用ベルト等のベルト部品;ウィンドシールドシーラー、ビニルプラスチゾルシーラー、嫌気性シーラー、ボディシーラー、スポットウェルドシーラー等のシーラー類;等が挙げられる。
【0097】
またゴムの改質剤として、例えば流れ防止剤として、室温でコールドフローを起こす樹脂あるいはゴムに含ませると、押出し時の流れやコールドフローを防止することができる。
さらに本発明の組成物は、機械的強度等に優れるため、タイヤ、ホース、ベルト、シート、防振ゴム、ローラー、ライニング、ゴム引布、シール材、手袋、防舷材等の用途に特に好適に用いることができる。
【0098】
本発明の組成物は、水素結合を形成しうる部位を有する生分解性ポリマーを含有するため、優れたリサイクル性を保持しつつ、圧縮永久歪に優れ生分解性をも有する。また、上記特性に加え、機械的強度にも優れる。
そのため、本発明の組成物は、上記用途のうち、これらの特性とリサイクル性が要求される場合に特に好適に用いられる。
また、本発明の組成物は、生分解性を有するため廃棄処分されても環境に大きな影響を与えることはなく、近年注目されている環境保護等の要請に十分適合するものである。
【0099】
【実施例】
次に、実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0100】
熱可塑性エラストマーを以下の方法により合成した。
(熱可塑性エラストマー1)
90℃に加熱した加圧ニーダーに、イソプレンゴム(Nipol IR−2200、日本ゼオン(株)製)350g(イソプレンユニット5.14mol)を入れ、数分間素練りした後、無水マレイン酸50.3g(0.514mol)、キシレン54.5g(0.514mol)、オイル35.0g(上記イソプレンゴム100質量部に対して10質量部)、および老化防止剤(ノクラック6C、大内新興化学(株)製)3.5g(同1質量部)を加え20分間混合した。この混合物を一度加圧ニーダーから取り出し、加圧ニーダーの温度を210℃に設定した後、取り出した混合物を再度加圧ニーダーに投入して同温度を維持しながら50分間混練した。得られたゴムの一部を採取し、IR分析を行ったところ、イソプレンユニットに対する導入された無水マレイン酸の割合(無水マレイン酸変性率)は6.6mol%であった。
その後、加圧ニーダーを130℃に設定し、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(ATA)28.5g(0.339mmol)を添加して40分間、同温度を維持しながら混合した。得られた混合物(熱可塑性エラストマー1)のIR分析を行ったところ、イソプレンユニットに対するATAの導入率は、6.1mol%であった。
【0101】
(熱可塑性エラストマー2)
90℃に加熱した加圧ニーダーに、イソプレンゴム(Nipol IR−2200、日本ゼオン(株)製)350g(イソプレンユニット5.14mol)を入れ、数分間素練りした後、無水マレイン酸50.3g(0.514mol)、キシレン54.5g(0.514mol)、オイル35.0g(上記イソプレンゴム100質量部に対して10質量部)、および老化防止剤(ノクラック6C)3.5g(同1質量部)を加え20分間混合した。この混合物を一度加圧ニーダーから取り出し、加圧ニーダーの温度を210℃に設定した後、取り出した混合物を再度加圧ニーダーに投入して同温度を維持しながら60分間混練した。得られたゴムを溶解したトルエン溶液をアセトニトリル中に加えてゴムを再沈殿させた後、アセトニトリルで洗浄した。該精製ゴムのIR分析を行ったところ、イソプレンユニットに対する導入された無水マレイン酸の割合(無水マレイン酸変性率)は6.8mol%であった。
【0102】
加圧ニーダーを130℃に設定し、上記で得られた無水マレイン酸変性イソプレンゴム400g(ゴム分318g、無水マレイン酸変性率6.8mol%(無水マレイン酸骨格0.394mol))を投入してゴムがなじむ程度に数分間素練りした後、ATA33.1g(0.3942mmol)を添加して40分間、同温度を維持しながら混合した。得られた混合物(熱可塑性エラストマー2)のIR分析を行ったところ、イソプレンユニットに対するATAの導入率は、6.3mol%であった。
【0103】
(熱可塑性エラストマー3)
無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体(三井化学(株)製、試作品、無水マレイン酸変性率2.0質量%)100g(無水マレイン酸骨格20.4mmol)に、4H−3−アミノ−1,2,4−トリアゾール1.72g(20.4mmol)を加え、ニーダーにて170℃で30分間、減圧下で加熱攪拌した。
反応物はNMR、IRにより、その構造を確認した。
【0104】
<実施例1〜8および比較例1〜3>
水素結合を形成しうる部位を有する熱可塑性エラストマー(第1表において、単に「熱可塑性エラストマー」と表記する。)と水素結合を形成しうる部位を有する生分解性ポリマー(第1表において、単に「生分解性ポリマー」と表記する。)とを第1表に示す組合せで、第1表に示す配合(質量部)で老化防止剤と共に混合して160℃で35分間加熱攪拌し各熱可塑性エラストマー組成物を得た。なお、上記加熱攪拌において生分解ポリマーの分解等は確認されなかった。
【0105】
【表1】
Figure 2005002259
【0106】
第1表中の生分解性ポリマーおよび老化防止剤は、以下のものを用いた。
ポリカプロラクトン:セルグリーン、ダイセル化学(株)製
ポリL−乳酸およびポリD−乳酸:ラクテイ、島津製作所製
ポリブチレンサクシネート:ビオノーレ、昭和高分子(株)製
ポリブチレンアジペート・テレフタレート:Ecoflex、BASF社製
老化防止剤:S−13、大内新興化学(株)製
【0107】
得られた各組成物のリサイクル性および生分解性を評価し、圧縮永久歪および硬度の測定ならびに引張試験を行った。その結果を第2表に示す。
<リサイクル性>
上記各エラストマー組成物について、180℃にて10分間熱プレスし厚さ2mmのシートを作製後、このサンプルを細かく切断して再度プレス成形し、継ぎ目のない一体化したサンプルが作製できる回数で評価した。
その結果、いずれの組成物においても10回以上繰り返し作製でき、いずれもリサイクル性に優れていた。
【0108】
<生分解性>
生分解性試験は、以下に示す方法で行った。
1)ポリエステル成分の生分解性試験
所定量の酵素を含む37℃のリン酸緩衝液(pH7.0)に、上記で得られた各組成物の試験片(10×10×0.5mm)を投入浸せきし、所定時間経過後、該試験片を取り出して常法により乾燥させた。該試験片の分解状態を目視で確認し生分解性を評価した。
酵素は、生分解性ポリマーにポリカプロラクトンを用いたときは市販のリパーゼを、ポリ乳酸を用いたときは微生物由来のプロティネースKを用いた。
なお、上記浸せき処理の所定時間は、1ヶ月間とした。
【0109】
2)イソプレンゴム成分の生分解性試験
ポリイソプレン分解菌Gordonia polyisoprenivorans sp. nov.(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkuituren GmbH(DSMZ)社製)および必須無機塩を含む37℃のリン酸緩衝液(pH7.0)に、上記で得られた各組成物の試験片(10×10×0.5mm)を投入浸せきし、所定時間経過後、該試験片を取り出して常法により乾燥させた。該試験片の分解状態を目視で確認し生分解性を評価した。
【0110】
3)土壌中での生分解性試験
神奈川県横浜市緑区長津田町(東京工業大学)近隣の花壇土壌中(深さ約10cm)に、上記で得られた各組成物の試験片(10×10×0.5mm)を埋没させ、所定時間経過後、該試験片を取り出した。該試験片の分解状態を目視で確認し生分解性を評価した。
なお、上記試験において、土壌は容易に入手できるものであればよく、上記花壇土壌に限定されない。
【0111】
<圧縮永久歪み(C−Set)>
上記各熱可塑性エラストマー組成物について、180℃で10分間熱プレスし厚さ2mmのシートを作製後、シートを7枚重ね合わせて180℃で10分間熱プレスし、円筒状のサンプル(直径29×厚さ12.5mm)を作製した。
この円筒状サンプルを、専用治具で25%圧縮し、70℃で22時間放置した後の圧縮永久歪みをJIS K6262に準じて測定した。
【0112】
<JIS A硬度>
上記各エラストマー組成物を180℃で10分間プレス成形した後、厚さ1cm×縦5cm×横5cmの平板サンプルを打ち抜いて作製した。得られた平板サンプルを3枚重ね、JIS K6253に準拠して、JIS A硬度を測定した。
【0113】
<引張試験>
180℃にて10分間熱プレスし、厚さ2mmのシートを作製した。該シートから3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、JIS K 6251に準拠して、引張速度500mm/分にて引張試験を行った。50%モジュラス(M50)、100%モジュラス(M100 )、200%モジュラス(M200 )、300%モジュラス(M300 )、400%モジュラス(M400 )、破断強度(T)および破断伸び(E)を室温にて測定した。なお、モジュラスを測定できなかった場合を第2表中「−」で示した。
【0114】
【表2】
Figure 2005002259
【0115】
<比較例4および5>
上記実施例1〜8および比較例1〜3で用いた水素結合を形成しうる部位を有する熱可塑性エラストマーの代わりに、水素結合を形成しうる部位を有しないイソプレンゴムを用いて組成物を調製し、各試験を行った。すなわち、第3表に示す量比で、イソプレンゴム、ポリカプロラクトン(比較例5のみ)、老化防止剤(S−13、大内新興化学(株)製)を混合し、90℃で5分間混練した後、得られた混練物に、第3表に示す量比で、亜鉛華3号(正同化学(株)製)、ステアリン酸(ビーズステアリン酸、日本油脂(株)製)、イオウ(粉末イオウ、軽井沢精錬所製)、加硫促進剤(ノクセラーCZ、大内新興化学(株)社製)をロールで混合し、150℃で15分間加熱プレスして、加硫された均一なシートを得た。
得られた各組成物のリサイクル性および生分解性を上記と同様の方法で評価し、圧縮永久歪および硬度の測定ならびに引張試験を上記と同様の方法で行った。その結果を第3表に示す。
【0116】
【表3】
Figure 2005002259
【0117】
第2表に示すように、水素結合を形成しうる部位を有する生分解性ポリマーを含有する本発明の組成物(実施例1〜8)は、同一の熱可塑性エラストマーを用いた比較例の組成物と比較して、圧縮永久歪に優れリサイクル性も同等以上であった。また、引張試験による機械的特性についても、全体的に同等以上の値を示し改善されていた。さらに、生分解性については、上記1)〜3)の生分解性試験のいずれにおいても、試験片の形状が一部崩壊され該試験片が生分解されていることを確認でき、近年注目されている環境保護等の要請に十分適合するものであった。特に、本発明に用いる熱可塑性エラストマーの主鎖としてイソプレンを用いた組成物は、該熱可塑性エラストマーも生分解できるため該組成物が廃棄処分されても環境に大きな影響を与えることはない。
対して、水素結合を形成しうる部位を有する生分解性ポリマーを含有しない組成物(比較例1〜3)は、いずれも圧縮永久歪、機械的特性に劣った。また、生分解性については、上記2)の試験において、試験片の形状の一部崩壊が認められたが、その程度は実施例の組成物に比して小さく、熱可塑性エラストマーの主鎖であるイソプレンゴム成分が一部生分解されたと考えられる。
また、第3表に示すように、水素結合を形成しうる部位を有しないイソプレンゴムを用いた場合には、水素結合を形成しうる部位を有する生分解性樹脂を含有させても、生分解性および圧縮永久歪に劣りリサイクル性を有しなかった。さらに機械的強度も劣る場合があった。
【0118】
【発明の効果】
本発明により、優れたリサイクル性を保持し、圧縮永久歪にも優れ生分解性をも有する熱可塑性エラストマー組成物を提供できる。また、本発明により、上記特性に加え、機械的強度にも優れる熱可塑性エラストマー組成物を提供できる。該組成物は、優れた物性を有し生分解性をも有することから、該組成物が廃棄処分されても環境に大きな影響を与えることはなく、近年注目されている環境保護等の要請に十分に適合するものであり、産業上に利用価値は極めて大きい。

Claims (8)

  1. 水素結合を形成しうる部位を有する熱可塑性エラストマーと、
    水素結合を形成しうる部位を有する生分解性ポリマーとを含有する熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 前記水素結合を形成しうる部位を有する生分解性ポリマーが、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、多糖類、ポリアミノ酸およびリグニンからなる群より選択される1種以上の生分解性ポリマーである請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記水素結合を形成しうる部位を有する熱可塑性エラストマーが、側鎖にカルボニル含有基と含窒素複素環とを有する熱可塑性エラストマーである請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記側鎖が、下記式(1)で表される構造を有する請求項3に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
    Figure 2005002259
    (式中、Aは含窒素複素環であり、Bは単結合;酸素原子、窒素原子またはイオウ原子;あるいはこれらの原子を含んでもよい有機基である。)
  5. 前記側鎖が、α位またはβ位で主鎖に結合する下記式(2)または(3)で表される構造を有する請求項3または4に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
    Figure 2005002259
    (式中、Aは含窒素複素環であり、BおよびDはそれぞれ単結合;酸素原子、窒素原子またはイオウ原子;あるいはこれらの原子を含んでもよい有機基である。)
  6. 前記含窒素複素環が、5または6員環である請求項3〜5のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 前記含窒素複素環が、トリアゾール環、チアジアゾール環またはピリジン環である請求項6に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  8. 前記水素結合を形成しうる部位を有する熱可塑性エラストマー100質量部に対して、さらにカーボンブラックおよび/またはシリカを1〜200質量部含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
JP2003169041A 2003-06-13 2003-06-13 熱可塑性エラストマー組成物 Expired - Fee Related JP4350434B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003169041A JP4350434B2 (ja) 2003-06-13 2003-06-13 熱可塑性エラストマー組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003169041A JP4350434B2 (ja) 2003-06-13 2003-06-13 熱可塑性エラストマー組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005002259A true JP2005002259A (ja) 2005-01-06
JP4350434B2 JP4350434B2 (ja) 2009-10-21

Family

ID=34094301

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003169041A Expired - Fee Related JP4350434B2 (ja) 2003-06-13 2003-06-13 熱可塑性エラストマー組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4350434B2 (ja)

Cited By (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004231933A (ja) * 2002-12-03 2004-08-19 Yokohama Rubber Co Ltd:The 熱可塑性エラストマー組成物
JP2005226054A (ja) * 2004-02-16 2005-08-25 Asahi Kasei Chemicals Corp 脂肪族ポリエステル樹脂組成物
JP2006152171A (ja) * 2004-11-30 2006-06-15 Bridgestone Corp 変性天然ゴム及びその製造方法、並びにゴム組成物及びタイヤ
JP2007224253A (ja) * 2006-02-27 2007-09-06 Sumitomo Rubber Ind Ltd トレッド用ゴム組成物およびそれを用いたトレッドを有する空気入りタイヤ
JP2008038124A (ja) * 2006-08-04 2008-02-21 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴム組成物およびこれを用いた空気入りタイヤ
JPWO2006016480A1 (ja) * 2004-08-10 2008-05-01 Jsr株式会社 樹脂組成物及びその成形品
WO2009038007A1 (ja) 2007-09-19 2009-03-26 Kabushiki Kaisha Toyota Jidoshokki ポリウレタン及びポリウレア、並びにその製造法
JP2009108308A (ja) * 2007-10-12 2009-05-21 Toyo Tire & Rubber Co Ltd ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2010196004A (ja) * 2009-02-27 2010-09-09 Yokohama Rubber Co Ltd:The ジエン系ゴム組成物
US8281832B2 (en) 2005-08-04 2012-10-09 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Rubber composition and pneumatic tire using the same
JP2012241158A (ja) * 2011-05-23 2012-12-10 Toyo Tire & Rubber Co Ltd タイヤトレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2013241547A (ja) * 2012-05-22 2013-12-05 Bridgestone Corp 樹脂組成物及び冷媒輸送用ホース
KR20160022136A (ko) * 2014-08-19 2016-02-29 금호타이어 주식회사 플루란을 포함하는 생분해성 친환경 타이어
CN105482479A (zh) * 2016-01-26 2016-04-13 孟根森 一种耐酸碱密封圈材料
WO2016143407A1 (ja) * 2015-03-10 2016-09-15 Jsr株式会社 変性共役ジエン系重合体、変性共役ジエン系重合体の製造方法、重合体組成物、架橋重合体及びタイヤ
JP2017171845A (ja) * 2016-03-25 2017-09-28 日立造船株式会社 脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびそれを用いた樹脂成形品
CN107815055A (zh) * 2016-09-12 2018-03-20 翁秋梅 一种动态聚合物热塑性弹性体及其应用
CN107921819A (zh) * 2015-08-31 2018-04-17 株式会社普利司通 用于生产胎面的橡胶配混料
JP2019518808A (ja) * 2016-03-04 2019-07-04 センペリット アクチェンゲゼルシャフト ホールディング 予防用品の製造方法
CN111269473A (zh) * 2020-03-05 2020-06-12 武汉鼎塑实业有限公司 一种医用密封垫片及其制备方法
CN112480503A (zh) * 2020-11-27 2021-03-12 恒劢安全防护用品(南通)有限公司 一种可降解树脂手套的制备方法
KR102451275B1 (ko) * 2021-10-21 2022-10-06 이수정 생분해성 고무 조성물
CN117467234A (zh) * 2023-11-23 2024-01-30 广东东大科技有限公司 一种低压缩永久变形苯乙烯类热塑性弹性体及其制备方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0665345A (ja) * 1992-08-20 1994-03-08 Sumitomo Metal Ind Ltd 新規生分解性重合体及び組成物
JPH11209524A (ja) * 1998-01-22 1999-08-03 Yokohama Rubber Co Ltd:The エラストマー組成物
JP2000169527A (ja) * 1998-10-02 2000-06-20 Yokohama Rubber Co Ltd:The 熱可塑性エラストマ―、熱可塑性樹脂、およびそれらの製造方法
JP2001288217A (ja) * 2000-04-10 2001-10-16 Yokohama Rubber Co Ltd:The 熱可塑性エラストマーおよびその組成物
JP2001288228A (ja) * 2000-04-03 2001-10-16 Techno Polymer Co Ltd 生分解性ポリマー改質剤及びその組成物
JP2002317122A (ja) * 2001-04-20 2002-10-31 Yokohama Rubber Co Ltd:The 熱可塑性エラストマー組成物

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0665345A (ja) * 1992-08-20 1994-03-08 Sumitomo Metal Ind Ltd 新規生分解性重合体及び組成物
JPH11209524A (ja) * 1998-01-22 1999-08-03 Yokohama Rubber Co Ltd:The エラストマー組成物
JP2000169527A (ja) * 1998-10-02 2000-06-20 Yokohama Rubber Co Ltd:The 熱可塑性エラストマ―、熱可塑性樹脂、およびそれらの製造方法
JP2001288228A (ja) * 2000-04-03 2001-10-16 Techno Polymer Co Ltd 生分解性ポリマー改質剤及びその組成物
JP2001288217A (ja) * 2000-04-10 2001-10-16 Yokohama Rubber Co Ltd:The 熱可塑性エラストマーおよびその組成物
JP2002317122A (ja) * 2001-04-20 2002-10-31 Yokohama Rubber Co Ltd:The 熱可塑性エラストマー組成物

Cited By (32)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004231933A (ja) * 2002-12-03 2004-08-19 Yokohama Rubber Co Ltd:The 熱可塑性エラストマー組成物
JP2005226054A (ja) * 2004-02-16 2005-08-25 Asahi Kasei Chemicals Corp 脂肪族ポリエステル樹脂組成物
JP5250976B2 (ja) * 2004-08-10 2013-07-31 Jsr株式会社 樹脂組成物及びその成形品
JPWO2006016480A1 (ja) * 2004-08-10 2008-05-01 Jsr株式会社 樹脂組成物及びその成形品
JP2006152171A (ja) * 2004-11-30 2006-06-15 Bridgestone Corp 変性天然ゴム及びその製造方法、並びにゴム組成物及びタイヤ
US8281832B2 (en) 2005-08-04 2012-10-09 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Rubber composition and pneumatic tire using the same
JP2007224253A (ja) * 2006-02-27 2007-09-06 Sumitomo Rubber Ind Ltd トレッド用ゴム組成物およびそれを用いたトレッドを有する空気入りタイヤ
JP2008038124A (ja) * 2006-08-04 2008-02-21 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴム組成物およびこれを用いた空気入りタイヤ
WO2009038007A1 (ja) 2007-09-19 2009-03-26 Kabushiki Kaisha Toyota Jidoshokki ポリウレタン及びポリウレア、並びにその製造法
JP2009108308A (ja) * 2007-10-12 2009-05-21 Toyo Tire & Rubber Co Ltd ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2010196004A (ja) * 2009-02-27 2010-09-09 Yokohama Rubber Co Ltd:The ジエン系ゴム組成物
JP2012241158A (ja) * 2011-05-23 2012-12-10 Toyo Tire & Rubber Co Ltd タイヤトレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2013241547A (ja) * 2012-05-22 2013-12-05 Bridgestone Corp 樹脂組成物及び冷媒輸送用ホース
KR20160022136A (ko) * 2014-08-19 2016-02-29 금호타이어 주식회사 플루란을 포함하는 생분해성 친환경 타이어
KR101598864B1 (ko) 2014-08-19 2016-03-02 금호타이어 주식회사 플루란을 포함하는 생분해성 친환경 타이어
WO2016143407A1 (ja) * 2015-03-10 2016-09-15 Jsr株式会社 変性共役ジエン系重合体、変性共役ジエン系重合体の製造方法、重合体組成物、架橋重合体及びタイヤ
KR102405024B1 (ko) 2015-03-10 2022-06-07 가부시키가이샤 에네오스 마테리아루 변성 공액 디엔계 중합체, 변성 공액 디엔계 중합체의 제조 방법, 중합체 조성물, 가교 중합체 및 타이어
KR20170127424A (ko) * 2015-03-10 2017-11-21 제이에스알 가부시끼가이샤 변성 공액 디엔계 중합체, 변성 공액 디엔계 중합체의 제조 방법, 중합체 조성물, 가교 중합체 및 타이어
JPWO2016143407A1 (ja) * 2015-03-10 2017-12-21 Jsr株式会社 変性共役ジエン系重合体、変性共役ジエン系重合体の製造方法、重合体組成物、架橋重合体及びタイヤ
CN107921819A (zh) * 2015-08-31 2018-04-17 株式会社普利司通 用于生产胎面的橡胶配混料
CN105482479A (zh) * 2016-01-26 2016-04-13 孟根森 一种耐酸碱密封圈材料
JP2019518808A (ja) * 2016-03-04 2019-07-04 センペリット アクチェンゲゼルシャフト ホールディング 予防用品の製造方法
JP7166924B2 (ja) 2016-03-04 2022-11-08 センペリット アクチェンゲゼルシャフト ホールディング 予防用品の製造方法
JP2017171845A (ja) * 2016-03-25 2017-09-28 日立造船株式会社 脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびそれを用いた樹脂成形品
CN107815055A (zh) * 2016-09-12 2018-03-20 翁秋梅 一种动态聚合物热塑性弹性体及其应用
CN107815055B (zh) * 2016-09-12 2021-02-12 翁秋梅 一种动态聚合物热塑性弹性体及其应用
CN111269473A (zh) * 2020-03-05 2020-06-12 武汉鼎塑实业有限公司 一种医用密封垫片及其制备方法
CN112480503A (zh) * 2020-11-27 2021-03-12 恒劢安全防护用品(南通)有限公司 一种可降解树脂手套的制备方法
KR102451275B1 (ko) * 2021-10-21 2022-10-06 이수정 생분해성 고무 조성물
WO2023068429A1 (en) * 2021-10-21 2023-04-27 Soo Jung Lee Biodegradable rubber composition
CN117467234A (zh) * 2023-11-23 2024-01-30 广东东大科技有限公司 一种低压缩永久变形苯乙烯类热塑性弹性体及其制备方法
CN117467234B (zh) * 2023-11-23 2024-04-16 广东东大科技有限公司 一种低压缩永久变形苯乙烯类热塑性弹性体及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4350434B2 (ja) 2009-10-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4350434B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP4011057B2 (ja) 熱可塑性エラストマー
JP4076381B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP4307155B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP4139839B2 (ja) 熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性エラストマー組成物
JP5918878B1 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法
US20080103287A1 (en) Thermoplastic elastomer and thermoplastic elastomer composition
JP4163219B2 (ja) 熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性エラストマー組成物
JP4073452B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JPWO2005044869A1 (ja) 熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性エラストマー組成物
JP4143677B2 (ja) 熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性エラストマー組成物
US20060189755A1 (en) Thermoplastic elastomer composition
JP2008260887A (ja) 熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性エラストマー組成物
JP2002363189A (ja) シランカップリング剤およびそれを含むポリマー組成物
JP3998690B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
US6809157B2 (en) Thermoplastic polymer and thermoplastic elastomer composition
JP2006232983A (ja) 熱可塑性エラストマーの製造方法
JP2005068210A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2004307576A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2002080529A (ja) 熱可塑性ポリマー
JP2004051814A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP6453803B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法
JP2005179456A (ja) 熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性エラストマー組成物
JP2003261617A (ja) 熱可塑性エラストマーおよびそれを含む組成物
JP2002317122A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060412

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081104

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081111

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090113

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090407

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090526

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090714

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090722

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120731

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120731

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120731

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120731

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees