JP2005001081A - ロボットハンドの把持方法およびフィンガー - Google Patents
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Abstract
【課題】部品の挿入作業や引き抜き作業を行うロボットハンドのフィンガーについて、部品あるいは作業によってハンドやフィンガーを交換することなく、小さなハンドで大きな挿入力あるいは引き抜き力を発生させるロボットハンドの把持方法およびフィンガーを提供することにある。
【解決手段】組み立ておよび分解を行うロボットハンドの把持方法において、作業を行うさいに部品から受ける反力によりフィンガー5の把持部5aを傾斜させるロボットハンドの把持方法。
【選択図】 図1
【解決手段】組み立ておよび分解を行うロボットハンドの把持方法において、作業を行うさいに部品から受ける反力によりフィンガー5の把持部5aを傾斜させるロボットハンドの把持方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、嵌合部品の挿入や引き抜き作業を確実に行うことによって組み立てや分解を行うロボットハンドの把持方法およびフィンガーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ロボットを用いた部品の組み立てや分解において、作業時に加わる力等を検出してロボット制御にフィードバックすることで部品のズレを吸収するものは従来から知られており(例えば、特許文献1参照)、また、そのさい種々の部品を安定的に把持する方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−123683号公報
【特許文献2】特開2002−370188公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ロボットを用いた部品の組み立てや分解において、嵌合部品の挿入作業あるいは引き抜き作業を行う場合、ロボットとハンドの接続部分あるいはハンドのフィンガー部に作業反力を検出する力センサを設けて、検出された作業反力に基いてアームを制御することによって部品同士の位置や姿勢を合致させて作業する方法がある。
特許文献1においては、アプローチ開始位置から速度および力制御を行いながら設定アプローチ方向にロボットハンドで把持された嵌合部品を移動させ、嵌合部品と被嵌合部品が接触しその反力が設定閾値を超えると、設定された目標速度、目標力で嵌合挿入方向に嵌合部品を速度および力制御を行いながら移動させて嵌合を行わせる。
嵌合が完了する前に詰まりが生じると、設定された引き抜き目標力によって速度及び力制御を行いながら移動させて嵌合部品を被嵌合部品から引き抜く。設定時間内に嵌合作業が完了しないか、力誤差が所定の範囲内を超えた場合に詰まり発生と判断している。
しかしながら、嵌合部品の精度が高い場合や、部品表面の摩擦力が大きい場合、あるいは圧入作業のように部品を変形させながら挿入を行う場合には、上記のような方法で嵌合部品同士の位置・姿勢を合致させたとしても、大きな挿入力を必要とする。したがって、大きな挿入力を発生しうるハンドが必要となる。
このような場合、部品に合わせてフィンガーの形状を変えて機械的な突き当て部分をつくり挿入力を大きくする方法が一般的であるが、ひとつのハンドで形状の異なる種々の部品を扱うことができないという問題がある。
【0004】
次に、種々の部品を安定的に把持する方法として、特許文献2が挙げられる。特許文献2においては、フィンガーに粉体を入れた袋状の粉体ホルダが設けられ、粉体ホルダには流量検出手段や粉体給排手段や封入量制御手段が係合している。適量の粉体を粉体ホルダに給排し適切な把持力で把持することによって、粉体ホルダが部品の形状に倣って変形しその形を維持しようとするため種々の形状の部品を安定的に把持できるものである。
しかしながら、特許文献2の方法では粉体ホルダは柔らかい素材でなければならないため大きな力がかかる作業を行うには耐久性や強度が不足するという問題があった。
そこで本発明の目的は、上記の問題点を解決するために、部品の挿入作業や引き抜き作業を行うロボットハンドのフィンガーについて、部品あるいは作業によってハンドやフィンガーを交換することなく、小さなハンドで大きな挿入力あるいは引き抜き力を発生させるロボットハンドの把持方法およびフィンガーを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明では、組み立ておよび分解を行うロボットハンドの把持方法において、作業を行うさいに部品から受ける反力によりフィンガーの把持部を傾斜させるロボットハンドの把持方法を最も主要な特徴とする。
請求項2記載の発明では、組み立ておよび分解を行うロボットハンドのフィンガーにおいて、作業を行うさいに部品から受ける反力によりフィンガーの把持部を傾斜させる傾斜手段を有するロボットハンドのフィンガーを最も主要な特徴とする。
請求項3記載の発明では、前記部品を把持する把持部材と、前記ハンドと接続される根元部材と、前記把持部材に作用するスラスト方向の力を前記把持部材を傾斜させる力に変換する変換手段と、前記把持部材を初期位置へ戻す復帰手段とを有する請求項2記載のロボットハンドのフィンガーを主要な特徴とする。
請求項4記載の発明では、前記変換手段が、前記把持部材を長手方向へ摺動させる摺動案内手段と、前記根元部材に対して前記把持部材を傾斜させる回転案内手段と、前記把持部材の摺動運動を回転運動に変換する変換手段からなる請求項3記載のロボットハンドのフィンガーを主要な特徴とする。
請求項5記載の発明では、前記摺動案内手段と前記回転案内手段が前記把持部材または前記根元部材の一方に設けた円筒部と、他方に設けた前記円筒部が摺動可能な溝からなる請求項4記載のロボットハンドのフィンガーを主要な特徴とする。
【0006】
請求項6記載の発明では、前記変換手段が、前記把持部材が摺動するさいに干渉するように前記根元部材に設けた接触部材である請求項4記載のロボットハンドのフィンガーを主要な特徴とする。
請求項7記載の発明では、前記変換手段が、ラックおよびピニオン機構である請求項4記載のロボットハンドのフィンガーを主要な特徴とする。
請求項8記載の発明では、前記復帰手段が、前記把持部材と前記根元部材を接続するばねである請求項3記載のロボットハンドのフィンガーを主要な特徴とする。
請求項9記載の発明では、前記把持部材と、前記根元部材と、前記把持部材に円弧状の動きをさせる円弧案内手段と、前記把持部材を初期位置へ戻す復帰手段とを有する請求項2記載のロボットハンドのフィンガーを主要な特徴とする。
請求項10記載の発明では、前記復帰手段が、前記把持部材と前記根元部材を接続するばねである請求項9記載のロボットハンドのフィンガーを主要な特徴とする。
請求項11記載の発明では、前記把持部の表面に滑り防止手段を有する請求項1記載のロボットハンドのフィンガーを主要な特徴とする。
請求項12記載の発明では、把持する部品によってフィンガーの向きを180度反転させる請求項1記載のロボットハンドの把持方法を主要な特徴とする。
請求項13記載の発明では、前記フィンガーが、把持する部品によってフィンガーの向きを180度反転させる反転手段を有する請求項2記載のロボットハンドのフィンガーを主要な特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明は部品の挿入あるいは引き抜き作業中にフィンガーに生じる反力によりフィンガーを傾斜させることで挿入力と引き抜き力を増大させるように、フィンガーに作用するスラスト方向の力を、フィンガーを傾斜させる運動に変換する機構でフィンガーを構成した点が特徴的である。
図1は本発明におけるロボットハンドの把持方法とフィンガーを第1の状態で示す概略図である。図1はロボット1の先端に取り付けられたハンド2が嵌合部品3を把持した状態を示している。
図2は図1のロボットハンドの把持方法とフィンガーを被嵌合部品に挿入した第2の状態を示す概略図である。図2において、ロボット1先端のハンド2は嵌合部品3を把持しそれを被嵌合部品4の穴に挿入している。
嵌合部品3から受ける反力によってフィンガー5の嵌合部品3と接触する把持部5a(ゴムパッド5bを有する)が被嵌合部品4に対して末広がりに傾斜し、嵌合部品3側が広くなった状態となる。挿入作業の間は嵌合部品3からの反力が作用し、この状態のまま把持する。
【0008】
図3は図1のロボットハンドの把持方法とフィンガーを被嵌合部品に挿入した第3の状態を示す概略図である。図3において、ロボット1先端のハンド2で組み立てられた嵌合部品3を把持しそれを被嵌合部品4の穴から引き抜く過程を示している。
嵌合部品3から受ける反力によってフィンガー5の嵌合部品3と接触する把持部5aが被嵌合部品4に対して窄まるように傾斜し、嵌合部品3側が狭くなった状態となる。引き抜き作業の間は嵌合部品3からの反力が作用し、この状態のまま把持する。
挿入や引き抜き作業においては、部品間で挿入力や引き抜き力が発生するため部品とフィンガーの接触面でもスラスト方向の反力が発生する。その結果、このスラスト方向の反力を、把持部材を傾斜させる力に変換することによってアクチュエータを増やすことなく前記の動きが可能であり、また、必要な挿入力や引き抜き力が大きくなるほど把持部材を傾斜させる力を大きくすることができる。
【0009】
図4は本発明によるフィンガーの第2の実施の形態を示す正面図である。図5は図4の線A−Aに沿うフィンガーの断面図である。図6は把持部材が紙面において内側に傾斜している状態を示す図5に対応する断面図である。図7は把持部材が紙面において外側に傾斜している状態を示す図5に対応する断面図である。
図4および図5において、把持部材21の両側面から突出した円筒形の凸形状部(回転案内手段)22は、図示しないハンドの可動部と接続される根元部材23の上下方向へ延びる溝(摺動案内手段)24内に摺動可能に組み込まれている。これにより把持部材21は溝24の長手方向への摺動と、凸形状部22を中心とした回転が可能となる。
また、把持部材21前側面に突設した上下2個の楔形状部(傾斜手段)25a、25bと根元部材23の当接部(横棒=傾斜手段、摺動部材))26とが接している。各楔形状部25a、25bの対向する面は傾斜面となっており、上側の楔形状部25aの下面は上向きに傾斜し、下側の楔形状部25bの上面は下向きに傾斜している。図6および図7で示すように、把持部材21が長手方向(上下方向)の外力を受けて摺動すると各楔形状部25a、25bの傾斜面と当接部26とが干渉するため、凸形状部22を回転中心として把持部材21が傾斜する。
さらに、把持部材21と根元部材23はばね28を介して接続されているため、把持部材21に長手方向の負荷が作用していないとき把持部材21はばね28の自然長の位置で保持される。
把持部材21と根元部材23がばね(復帰手段)28で接続され、初期位置をばねの自然長の位置とすることで把持部材の位置によらず初期位置へ戻す力を発生させることができ、簡単な構成で初期位置への復帰が可能であるためフィンガーを小さくすることができる。
挿入や引き抜き作業を行うさいには図示しない部品3と把持部材21の表面に設けたゴム27(滑り防止手段)との摩擦により生じる把持部材21の長手方向の反力で把持部材21が傾斜する。即ち、図1等に示したロボット1はフィンガーを構成の根元部材23側を、図1等に示したハンド2により保持し、把持部材21を作動させ、作動部材21の先端に設けたゴム27によって部品3を把持する。
【0010】
図8は本発明によるフィンガーの第3の実施の形態を示す正面図である。図9は図8の線A−Aに沿うフィンガーの断面図である。図10は把持部材が紙面において外側に傾斜している状態を示す図9に対応する断面図である。図11は把持部材が紙面において内側に傾斜している状態を示す図9に対応する断面図である。
図8ないし図11は本発明におけるフィンガーの第3の実施の形態を示している。図8および図9において、把持部材21は長穴29aを有し、図示しないハンドの可動部と接続される根元部材23の軸部30が摺動可能に組み込まれており、把持部材21の長手方向の摺動と軸部30を中心とした回転が可能である。
即ち、把持部材21の基部側には所定の間隔を隔てて対向配置された2つの壁部29を設け、各壁部29の対応する位置には同形状の長穴29aが貫通形成されている。また、根元部材23の内壁に突設した軸部30がこれらの長穴29a内に挿通されている。
また、軸部30の先端にはピニオンギヤ(変換手段)31の軸心部が固定されていて、把持部材21のラック(変換手段)32と噛み合うように配置されている。ピニオンギヤ31の周面のギヤ部が接する把持部材21の側面にはラック32が形成されている。図10および図11で示すように、把持部材21が長手方向への外力を受けて摺動するとラック32とピニオンギヤ31との噛み合いにより、軸部30を回転中心として把持部材21が傾斜する。
さらに、把持部材21と根元部材23はばね28を介して接続されているため、把持部材21に長手方向の負荷が作用していないとき把持部材21はばね28の自然長の位置で保持される。
挿入や引き抜き作業を行うさいには図示しない部品と把持部材21の表面のゴム27との摩擦により生じる把持部材21の長手方向の反力で把持部材21が傾斜する。
【0011】
図12は本発明によるフィンガーの第4の実施の形態を示す正面図である。図13は図12の線A−Aに沿うフィンガーの断面図である。図14は把持部材が紙面において内側に傾斜している状態を示す図13に対応する断面図である。図15は把持部材が紙面において外側に傾斜している状態を示す図13に対応する断面図である。
図12および図13において、把持部材21は基部に設けた幅広部に円弧状穴(円弧案内手段)33を有し、図示しないハンドの可動部と接続される根元部材23の対向する内壁に設けた2つの凸部34が円弧状穴33内に摺動可能に組み込まれており、把持部材21の円弧形状穴33に沿った動きが可能である。
図14および図15に示すように把持部材21が長手方向の外力を受けると、把持部材21は円弧状穴33に沿って動きその向きが傾斜する。また、把持部材21と根元部材23はばね28を介して接続されているため、把持部材21に長手方向の負荷が作用していないとき、把持部材21はばね28の自然長の位置で保持される。
挿入や引き抜き作業を行うさいには図示しない部品と把持部材21の表面のゴム27との摩擦により生じる把持部材21の長手方向の反力で、この把持部材21が傾斜する。
【0012】
図16は本発明におけるロボットハンドの把持方法とフィンガーの第5の実施の形態を第1の状態で示す概略図である。図17は図16のロボットハンドの把持方法とフィンガーの第5の実施の形態を第2の状態で示す概略図である。図18は図16のロボットハンドの把持方法とフィンガーを被嵌合部品に挿入した第3の状態で示す概略図である。
図16ないし図18において、フィンガー5は根元部に回転手段35を有し、フィンガー5の向きを180度回転させることが可能である。図示のごとく嵌合部品3の外形を把持する場合には、嵌合部品3を挿入するさいにフィンガー5の根元方向への反力を受ける。
この反力によってフィンガー5先端が広くなる(図17参照)ように傾斜し、嵌合部品3を引き抜くさいに受けるフィンガー5の先端方向への反力によりフィンガー5先端が狭くなる(図18参照)ように傾斜する。
フィンガーの向きを変えることで、部品から受ける反力の方向に対してフィンガーが傾斜する方向を変えることができるため、1つのハンドで内径把持や外形把持に対して適した方向にフィンガーを傾斜させることができる。
【0013】
図19は嵌合部品の内径を把持する本発明におけるロボットハンドの把持方法とフィンガーの第5の実施の形態を第1の状態で示す概略図である。図20は図19のロボットハンドの把持方法とフィンガーの第5の実施の形態を第2の状態で示す概略図である。図21は図19のロボットハンドの把持方法とフィンガーを被嵌合部品に挿入した第3の状態で示す概略図である。
図19ないし図21に示すように、嵌合部品3の内径を把持する場合には、回転手段35によりフィンガー5の向きを180度回転させる。そして、嵌合部品3を挿入するさいにフィンガー5の根元方向への反力を受ける。
この反力によってフィンガー5先端が狭くなる(図20参照)ように傾斜し、嵌合部品3を引き抜くさいに受けるフィンガー5の先端方向への反力によりフィンガー5先端が広くなる(図21参照)ように傾斜する。本発明は部品を一定の方向に付勢しながら固定する工具あるいは治具に応用できる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によれば、作業中に部品から受ける反力によりフィンガーの把持部を傾斜させることで、部品に対してフィンガーが接触する角度が変わるため、表面の摩擦力だけではなく突き当てや引っ掛けによる力が発生できる。
請求項2によれば、作業中に部品から受ける反力によりフィンガーの把持部を傾斜させることで、部品に対してフィンガーが接触する角度が変わるため、表面の摩擦力だけではなく突き当てや引っ掛けによる力が発生できる。
請求項3によれば、挿入や引き抜き作業においては、部品間で挿入力や引き抜き力が発生するため部品とフィンガーの接触面でもスラスト方向の反力が発生する。その結果、このスラスト方向の反力を、把持部材を傾斜させる力に変換することによってアクチュエータを増やすことなく前記の動きが可能であり、また、必要な挿入力や引き抜き力が大きくなるほど把持部材を傾斜させる力を大きくすることができる。
請求項4によれば、挿入や引き抜き作業において部品とフィンガーの接触面で発生するスラスト方向の反力により把持部材を摺動させ、その動きを回転運動に変換させることで容易に把持部材を傾斜させることができる。
請求項5によれば、摺動案内手段と回転案内手段が円筒部材と溝の組み合わせであるから、簡単な構成でスライドと回転が実現でき、フィンガーを小さくすることができる。
請求項6によれば、変換手段が把持部材と接触部材の接触によるものであるから、簡単な構成で力の変換が可能であるため、フィンガーを小さくすることができる。
請求項7によれば、変換手段がラックアンドピニオン機構であるから、簡単な構成で力の変換が可能であるため、フィンガーを小さくすることができる。
【0015】
請求項8によれば、把持部材と根元部材がばねで接続され、初期位置をばねの自然長の位置とすることで把持部材の位置によらず初期位置へ戻す力を発生させることができ、簡単な構成で初期位置への復帰が可能であるためフィンガーを小さくすることができる。
請求項9によれば、挿入や引き抜き作業においては、部品間で挿入力や引き抜き力が発生するため部品とフィンガーの接触面でもスラスト方向の反力が発生する。このスラスト方向の反力を利用して把持部材が円弧案内手段により移動することで、アクチュエータを増やすことなく把持部を傾斜させる動きを発生させることができ、また、必要な挿入力や引き抜き力が大きくなるほど把持部材を傾斜させる力を大きくすることができる。
請求項10によれば、把持部材と根元部材がばねで接続され、初期位置をばねの自然長の位置とすることで把持部材の位置によらず初期位置へ戻す力が発生させることができ、簡単な構成で初期位置への復帰が可能であるためフィンガーを小さくすることができる。
請求項11によれば、把持部表面の滑りが低減されるためより大きな摺動方向の反力を発生させることができるので、把持部材を傾斜させる力が大きくなる。
請求項12によれば、フィンガーの向きを変えることで、部品から受ける反力の方向に対してフィンガーが傾斜する方向を変えることができるため、1つのハンドで内径把持や外形把持に対しても適した方向にフィンガーを傾斜させることができる。
請求項13によれば、フィンガーの向きを変えることで、部品から受ける反力の方向に対してフィンガーが傾斜する方向を変えることができるため、1つのハンドで内径把持や外形把持に対して適した方向にフィンガーを傾斜させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるロボットハンドの把持方法とフィンガーを第1の状態で示す概略図である。
【図2】図1のロボットハンドの把持方法とフィンガーを被嵌合部品に挿入した第2の状態で示す概略図である。
【図3】図1のロボットハンドの把持方法とフィンガーを被嵌合部品に挿入した第3の状態で示す概略図である。
【図4】本発明によるフィンガーの第2の実施の形態を示す正面図である。
【図5】図4の線A−Aに沿うフィンガーの断面図である。
【図6】把持部材が紙面において内側に傾斜している状態を示す図5に対応する断面図である。
【図7】把持部材が紙面において外側に傾斜している状態を示す図5に対応する断面図である。
【図8】本発明によるフィンガーの第3の実施の形態を示す正面図である。
【図9】図8の線A−Aに沿うフィンガーの断面図である。
【図10】把持部材が紙面において外側に傾斜している状態を示す図9に対応する断面図である。
【図11】把持部材が紙面において内側に傾斜している状態を示す図9に対応する断面図である。
【図12】本発明によるフィンガーの第4の実施の形態を示す正面図である。
【図13】図12の線A−Aに沿うフィンガーの断面図である。
【図14】把持部材が紙面において内側に傾斜している状態を示す図13に対応する断面図である。
【図15】把持部材が紙面において外側に傾斜している状態を示す図13に対応する断面図である。
【図16】本発明におけるロボットハンドの把持方法とフィンガーの第5の実施の形態を第1の状態で示す概略図である。
【図17】図16のロボットハンドの把持方法とフィンガーの第5の実施の形態を第2の状態で示す概略図である。
【図18】図16のロボットハンドの把持方法とフィンガーを被嵌合部品に挿入した第3の状態で示す概略図である。
【図19】嵌合部品の内径を把持する本発明におけるロボットハンドの把持方法とフィンガーの第5の実施の形態を第1の状態で示す概略図である。
【図20】図19のロボットハンドの把持方法とフィンガーの第5の実施の形態を第2の状態で示す概略図である。
【図21】図19のロボットハンドの把持方法とフィンガーを被嵌合部品に挿入した第3の状態で示す概略図である。
【符号の説明】
1 ロボット
2 ハンド
3 部品(嵌合部品)
5 フィンガー、5a 把持部
21 把持部材
22 回転案内手段(円筒部)
23 根元部材
24 摺動案内手段(溝)
25 傾斜手段(楔形状部)
26 傾斜手段(当接部)
27 傾斜手段、滑り止め手段(ゴム)
28 復帰手段(ばね)
31 ピニオン(変換手段)
32 ラック(変換手段)
33 円弧案内手段(円弧状穴)
35 回転手段(180°反転手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、嵌合部品の挿入や引き抜き作業を確実に行うことによって組み立てや分解を行うロボットハンドの把持方法およびフィンガーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ロボットを用いた部品の組み立てや分解において、作業時に加わる力等を検出してロボット制御にフィードバックすることで部品のズレを吸収するものは従来から知られており(例えば、特許文献1参照)、また、そのさい種々の部品を安定的に把持する方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−123683号公報
【特許文献2】特開2002−370188公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ロボットを用いた部品の組み立てや分解において、嵌合部品の挿入作業あるいは引き抜き作業を行う場合、ロボットとハンドの接続部分あるいはハンドのフィンガー部に作業反力を検出する力センサを設けて、検出された作業反力に基いてアームを制御することによって部品同士の位置や姿勢を合致させて作業する方法がある。
特許文献1においては、アプローチ開始位置から速度および力制御を行いながら設定アプローチ方向にロボットハンドで把持された嵌合部品を移動させ、嵌合部品と被嵌合部品が接触しその反力が設定閾値を超えると、設定された目標速度、目標力で嵌合挿入方向に嵌合部品を速度および力制御を行いながら移動させて嵌合を行わせる。
嵌合が完了する前に詰まりが生じると、設定された引き抜き目標力によって速度及び力制御を行いながら移動させて嵌合部品を被嵌合部品から引き抜く。設定時間内に嵌合作業が完了しないか、力誤差が所定の範囲内を超えた場合に詰まり発生と判断している。
しかしながら、嵌合部品の精度が高い場合や、部品表面の摩擦力が大きい場合、あるいは圧入作業のように部品を変形させながら挿入を行う場合には、上記のような方法で嵌合部品同士の位置・姿勢を合致させたとしても、大きな挿入力を必要とする。したがって、大きな挿入力を発生しうるハンドが必要となる。
このような場合、部品に合わせてフィンガーの形状を変えて機械的な突き当て部分をつくり挿入力を大きくする方法が一般的であるが、ひとつのハンドで形状の異なる種々の部品を扱うことができないという問題がある。
【0004】
次に、種々の部品を安定的に把持する方法として、特許文献2が挙げられる。特許文献2においては、フィンガーに粉体を入れた袋状の粉体ホルダが設けられ、粉体ホルダには流量検出手段や粉体給排手段や封入量制御手段が係合している。適量の粉体を粉体ホルダに給排し適切な把持力で把持することによって、粉体ホルダが部品の形状に倣って変形しその形を維持しようとするため種々の形状の部品を安定的に把持できるものである。
しかしながら、特許文献2の方法では粉体ホルダは柔らかい素材でなければならないため大きな力がかかる作業を行うには耐久性や強度が不足するという問題があった。
そこで本発明の目的は、上記の問題点を解決するために、部品の挿入作業や引き抜き作業を行うロボットハンドのフィンガーについて、部品あるいは作業によってハンドやフィンガーを交換することなく、小さなハンドで大きな挿入力あるいは引き抜き力を発生させるロボットハンドの把持方法およびフィンガーを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明では、組み立ておよび分解を行うロボットハンドの把持方法において、作業を行うさいに部品から受ける反力によりフィンガーの把持部を傾斜させるロボットハンドの把持方法を最も主要な特徴とする。
請求項2記載の発明では、組み立ておよび分解を行うロボットハンドのフィンガーにおいて、作業を行うさいに部品から受ける反力によりフィンガーの把持部を傾斜させる傾斜手段を有するロボットハンドのフィンガーを最も主要な特徴とする。
請求項3記載の発明では、前記部品を把持する把持部材と、前記ハンドと接続される根元部材と、前記把持部材に作用するスラスト方向の力を前記把持部材を傾斜させる力に変換する変換手段と、前記把持部材を初期位置へ戻す復帰手段とを有する請求項2記載のロボットハンドのフィンガーを主要な特徴とする。
請求項4記載の発明では、前記変換手段が、前記把持部材を長手方向へ摺動させる摺動案内手段と、前記根元部材に対して前記把持部材を傾斜させる回転案内手段と、前記把持部材の摺動運動を回転運動に変換する変換手段からなる請求項3記載のロボットハンドのフィンガーを主要な特徴とする。
請求項5記載の発明では、前記摺動案内手段と前記回転案内手段が前記把持部材または前記根元部材の一方に設けた円筒部と、他方に設けた前記円筒部が摺動可能な溝からなる請求項4記載のロボットハンドのフィンガーを主要な特徴とする。
【0006】
請求項6記載の発明では、前記変換手段が、前記把持部材が摺動するさいに干渉するように前記根元部材に設けた接触部材である請求項4記載のロボットハンドのフィンガーを主要な特徴とする。
請求項7記載の発明では、前記変換手段が、ラックおよびピニオン機構である請求項4記載のロボットハンドのフィンガーを主要な特徴とする。
請求項8記載の発明では、前記復帰手段が、前記把持部材と前記根元部材を接続するばねである請求項3記載のロボットハンドのフィンガーを主要な特徴とする。
請求項9記載の発明では、前記把持部材と、前記根元部材と、前記把持部材に円弧状の動きをさせる円弧案内手段と、前記把持部材を初期位置へ戻す復帰手段とを有する請求項2記載のロボットハンドのフィンガーを主要な特徴とする。
請求項10記載の発明では、前記復帰手段が、前記把持部材と前記根元部材を接続するばねである請求項9記載のロボットハンドのフィンガーを主要な特徴とする。
請求項11記載の発明では、前記把持部の表面に滑り防止手段を有する請求項1記載のロボットハンドのフィンガーを主要な特徴とする。
請求項12記載の発明では、把持する部品によってフィンガーの向きを180度反転させる請求項1記載のロボットハンドの把持方法を主要な特徴とする。
請求項13記載の発明では、前記フィンガーが、把持する部品によってフィンガーの向きを180度反転させる反転手段を有する請求項2記載のロボットハンドのフィンガーを主要な特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明は部品の挿入あるいは引き抜き作業中にフィンガーに生じる反力によりフィンガーを傾斜させることで挿入力と引き抜き力を増大させるように、フィンガーに作用するスラスト方向の力を、フィンガーを傾斜させる運動に変換する機構でフィンガーを構成した点が特徴的である。
図1は本発明におけるロボットハンドの把持方法とフィンガーを第1の状態で示す概略図である。図1はロボット1の先端に取り付けられたハンド2が嵌合部品3を把持した状態を示している。
図2は図1のロボットハンドの把持方法とフィンガーを被嵌合部品に挿入した第2の状態を示す概略図である。図2において、ロボット1先端のハンド2は嵌合部品3を把持しそれを被嵌合部品4の穴に挿入している。
嵌合部品3から受ける反力によってフィンガー5の嵌合部品3と接触する把持部5a(ゴムパッド5bを有する)が被嵌合部品4に対して末広がりに傾斜し、嵌合部品3側が広くなった状態となる。挿入作業の間は嵌合部品3からの反力が作用し、この状態のまま把持する。
【0008】
図3は図1のロボットハンドの把持方法とフィンガーを被嵌合部品に挿入した第3の状態を示す概略図である。図3において、ロボット1先端のハンド2で組み立てられた嵌合部品3を把持しそれを被嵌合部品4の穴から引き抜く過程を示している。
嵌合部品3から受ける反力によってフィンガー5の嵌合部品3と接触する把持部5aが被嵌合部品4に対して窄まるように傾斜し、嵌合部品3側が狭くなった状態となる。引き抜き作業の間は嵌合部品3からの反力が作用し、この状態のまま把持する。
挿入や引き抜き作業においては、部品間で挿入力や引き抜き力が発生するため部品とフィンガーの接触面でもスラスト方向の反力が発生する。その結果、このスラスト方向の反力を、把持部材を傾斜させる力に変換することによってアクチュエータを増やすことなく前記の動きが可能であり、また、必要な挿入力や引き抜き力が大きくなるほど把持部材を傾斜させる力を大きくすることができる。
【0009】
図4は本発明によるフィンガーの第2の実施の形態を示す正面図である。図5は図4の線A−Aに沿うフィンガーの断面図である。図6は把持部材が紙面において内側に傾斜している状態を示す図5に対応する断面図である。図7は把持部材が紙面において外側に傾斜している状態を示す図5に対応する断面図である。
図4および図5において、把持部材21の両側面から突出した円筒形の凸形状部(回転案内手段)22は、図示しないハンドの可動部と接続される根元部材23の上下方向へ延びる溝(摺動案内手段)24内に摺動可能に組み込まれている。これにより把持部材21は溝24の長手方向への摺動と、凸形状部22を中心とした回転が可能となる。
また、把持部材21前側面に突設した上下2個の楔形状部(傾斜手段)25a、25bと根元部材23の当接部(横棒=傾斜手段、摺動部材))26とが接している。各楔形状部25a、25bの対向する面は傾斜面となっており、上側の楔形状部25aの下面は上向きに傾斜し、下側の楔形状部25bの上面は下向きに傾斜している。図6および図7で示すように、把持部材21が長手方向(上下方向)の外力を受けて摺動すると各楔形状部25a、25bの傾斜面と当接部26とが干渉するため、凸形状部22を回転中心として把持部材21が傾斜する。
さらに、把持部材21と根元部材23はばね28を介して接続されているため、把持部材21に長手方向の負荷が作用していないとき把持部材21はばね28の自然長の位置で保持される。
把持部材21と根元部材23がばね(復帰手段)28で接続され、初期位置をばねの自然長の位置とすることで把持部材の位置によらず初期位置へ戻す力を発生させることができ、簡単な構成で初期位置への復帰が可能であるためフィンガーを小さくすることができる。
挿入や引き抜き作業を行うさいには図示しない部品3と把持部材21の表面に設けたゴム27(滑り防止手段)との摩擦により生じる把持部材21の長手方向の反力で把持部材21が傾斜する。即ち、図1等に示したロボット1はフィンガーを構成の根元部材23側を、図1等に示したハンド2により保持し、把持部材21を作動させ、作動部材21の先端に設けたゴム27によって部品3を把持する。
【0010】
図8は本発明によるフィンガーの第3の実施の形態を示す正面図である。図9は図8の線A−Aに沿うフィンガーの断面図である。図10は把持部材が紙面において外側に傾斜している状態を示す図9に対応する断面図である。図11は把持部材が紙面において内側に傾斜している状態を示す図9に対応する断面図である。
図8ないし図11は本発明におけるフィンガーの第3の実施の形態を示している。図8および図9において、把持部材21は長穴29aを有し、図示しないハンドの可動部と接続される根元部材23の軸部30が摺動可能に組み込まれており、把持部材21の長手方向の摺動と軸部30を中心とした回転が可能である。
即ち、把持部材21の基部側には所定の間隔を隔てて対向配置された2つの壁部29を設け、各壁部29の対応する位置には同形状の長穴29aが貫通形成されている。また、根元部材23の内壁に突設した軸部30がこれらの長穴29a内に挿通されている。
また、軸部30の先端にはピニオンギヤ(変換手段)31の軸心部が固定されていて、把持部材21のラック(変換手段)32と噛み合うように配置されている。ピニオンギヤ31の周面のギヤ部が接する把持部材21の側面にはラック32が形成されている。図10および図11で示すように、把持部材21が長手方向への外力を受けて摺動するとラック32とピニオンギヤ31との噛み合いにより、軸部30を回転中心として把持部材21が傾斜する。
さらに、把持部材21と根元部材23はばね28を介して接続されているため、把持部材21に長手方向の負荷が作用していないとき把持部材21はばね28の自然長の位置で保持される。
挿入や引き抜き作業を行うさいには図示しない部品と把持部材21の表面のゴム27との摩擦により生じる把持部材21の長手方向の反力で把持部材21が傾斜する。
【0011】
図12は本発明によるフィンガーの第4の実施の形態を示す正面図である。図13は図12の線A−Aに沿うフィンガーの断面図である。図14は把持部材が紙面において内側に傾斜している状態を示す図13に対応する断面図である。図15は把持部材が紙面において外側に傾斜している状態を示す図13に対応する断面図である。
図12および図13において、把持部材21は基部に設けた幅広部に円弧状穴(円弧案内手段)33を有し、図示しないハンドの可動部と接続される根元部材23の対向する内壁に設けた2つの凸部34が円弧状穴33内に摺動可能に組み込まれており、把持部材21の円弧形状穴33に沿った動きが可能である。
図14および図15に示すように把持部材21が長手方向の外力を受けると、把持部材21は円弧状穴33に沿って動きその向きが傾斜する。また、把持部材21と根元部材23はばね28を介して接続されているため、把持部材21に長手方向の負荷が作用していないとき、把持部材21はばね28の自然長の位置で保持される。
挿入や引き抜き作業を行うさいには図示しない部品と把持部材21の表面のゴム27との摩擦により生じる把持部材21の長手方向の反力で、この把持部材21が傾斜する。
【0012】
図16は本発明におけるロボットハンドの把持方法とフィンガーの第5の実施の形態を第1の状態で示す概略図である。図17は図16のロボットハンドの把持方法とフィンガーの第5の実施の形態を第2の状態で示す概略図である。図18は図16のロボットハンドの把持方法とフィンガーを被嵌合部品に挿入した第3の状態で示す概略図である。
図16ないし図18において、フィンガー5は根元部に回転手段35を有し、フィンガー5の向きを180度回転させることが可能である。図示のごとく嵌合部品3の外形を把持する場合には、嵌合部品3を挿入するさいにフィンガー5の根元方向への反力を受ける。
この反力によってフィンガー5先端が広くなる(図17参照)ように傾斜し、嵌合部品3を引き抜くさいに受けるフィンガー5の先端方向への反力によりフィンガー5先端が狭くなる(図18参照)ように傾斜する。
フィンガーの向きを変えることで、部品から受ける反力の方向に対してフィンガーが傾斜する方向を変えることができるため、1つのハンドで内径把持や外形把持に対して適した方向にフィンガーを傾斜させることができる。
【0013】
図19は嵌合部品の内径を把持する本発明におけるロボットハンドの把持方法とフィンガーの第5の実施の形態を第1の状態で示す概略図である。図20は図19のロボットハンドの把持方法とフィンガーの第5の実施の形態を第2の状態で示す概略図である。図21は図19のロボットハンドの把持方法とフィンガーを被嵌合部品に挿入した第3の状態で示す概略図である。
図19ないし図21に示すように、嵌合部品3の内径を把持する場合には、回転手段35によりフィンガー5の向きを180度回転させる。そして、嵌合部品3を挿入するさいにフィンガー5の根元方向への反力を受ける。
この反力によってフィンガー5先端が狭くなる(図20参照)ように傾斜し、嵌合部品3を引き抜くさいに受けるフィンガー5の先端方向への反力によりフィンガー5先端が広くなる(図21参照)ように傾斜する。本発明は部品を一定の方向に付勢しながら固定する工具あるいは治具に応用できる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によれば、作業中に部品から受ける反力によりフィンガーの把持部を傾斜させることで、部品に対してフィンガーが接触する角度が変わるため、表面の摩擦力だけではなく突き当てや引っ掛けによる力が発生できる。
請求項2によれば、作業中に部品から受ける反力によりフィンガーの把持部を傾斜させることで、部品に対してフィンガーが接触する角度が変わるため、表面の摩擦力だけではなく突き当てや引っ掛けによる力が発生できる。
請求項3によれば、挿入や引き抜き作業においては、部品間で挿入力や引き抜き力が発生するため部品とフィンガーの接触面でもスラスト方向の反力が発生する。その結果、このスラスト方向の反力を、把持部材を傾斜させる力に変換することによってアクチュエータを増やすことなく前記の動きが可能であり、また、必要な挿入力や引き抜き力が大きくなるほど把持部材を傾斜させる力を大きくすることができる。
請求項4によれば、挿入や引き抜き作業において部品とフィンガーの接触面で発生するスラスト方向の反力により把持部材を摺動させ、その動きを回転運動に変換させることで容易に把持部材を傾斜させることができる。
請求項5によれば、摺動案内手段と回転案内手段が円筒部材と溝の組み合わせであるから、簡単な構成でスライドと回転が実現でき、フィンガーを小さくすることができる。
請求項6によれば、変換手段が把持部材と接触部材の接触によるものであるから、簡単な構成で力の変換が可能であるため、フィンガーを小さくすることができる。
請求項7によれば、変換手段がラックアンドピニオン機構であるから、簡単な構成で力の変換が可能であるため、フィンガーを小さくすることができる。
【0015】
請求項8によれば、把持部材と根元部材がばねで接続され、初期位置をばねの自然長の位置とすることで把持部材の位置によらず初期位置へ戻す力を発生させることができ、簡単な構成で初期位置への復帰が可能であるためフィンガーを小さくすることができる。
請求項9によれば、挿入や引き抜き作業においては、部品間で挿入力や引き抜き力が発生するため部品とフィンガーの接触面でもスラスト方向の反力が発生する。このスラスト方向の反力を利用して把持部材が円弧案内手段により移動することで、アクチュエータを増やすことなく把持部を傾斜させる動きを発生させることができ、また、必要な挿入力や引き抜き力が大きくなるほど把持部材を傾斜させる力を大きくすることができる。
請求項10によれば、把持部材と根元部材がばねで接続され、初期位置をばねの自然長の位置とすることで把持部材の位置によらず初期位置へ戻す力が発生させることができ、簡単な構成で初期位置への復帰が可能であるためフィンガーを小さくすることができる。
請求項11によれば、把持部表面の滑りが低減されるためより大きな摺動方向の反力を発生させることができるので、把持部材を傾斜させる力が大きくなる。
請求項12によれば、フィンガーの向きを変えることで、部品から受ける反力の方向に対してフィンガーが傾斜する方向を変えることができるため、1つのハンドで内径把持や外形把持に対しても適した方向にフィンガーを傾斜させることができる。
請求項13によれば、フィンガーの向きを変えることで、部品から受ける反力の方向に対してフィンガーが傾斜する方向を変えることができるため、1つのハンドで内径把持や外形把持に対して適した方向にフィンガーを傾斜させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるロボットハンドの把持方法とフィンガーを第1の状態で示す概略図である。
【図2】図1のロボットハンドの把持方法とフィンガーを被嵌合部品に挿入した第2の状態で示す概略図である。
【図3】図1のロボットハンドの把持方法とフィンガーを被嵌合部品に挿入した第3の状態で示す概略図である。
【図4】本発明によるフィンガーの第2の実施の形態を示す正面図である。
【図5】図4の線A−Aに沿うフィンガーの断面図である。
【図6】把持部材が紙面において内側に傾斜している状態を示す図5に対応する断面図である。
【図7】把持部材が紙面において外側に傾斜している状態を示す図5に対応する断面図である。
【図8】本発明によるフィンガーの第3の実施の形態を示す正面図である。
【図9】図8の線A−Aに沿うフィンガーの断面図である。
【図10】把持部材が紙面において外側に傾斜している状態を示す図9に対応する断面図である。
【図11】把持部材が紙面において内側に傾斜している状態を示す図9に対応する断面図である。
【図12】本発明によるフィンガーの第4の実施の形態を示す正面図である。
【図13】図12の線A−Aに沿うフィンガーの断面図である。
【図14】把持部材が紙面において内側に傾斜している状態を示す図13に対応する断面図である。
【図15】把持部材が紙面において外側に傾斜している状態を示す図13に対応する断面図である。
【図16】本発明におけるロボットハンドの把持方法とフィンガーの第5の実施の形態を第1の状態で示す概略図である。
【図17】図16のロボットハンドの把持方法とフィンガーの第5の実施の形態を第2の状態で示す概略図である。
【図18】図16のロボットハンドの把持方法とフィンガーを被嵌合部品に挿入した第3の状態で示す概略図である。
【図19】嵌合部品の内径を把持する本発明におけるロボットハンドの把持方法とフィンガーの第5の実施の形態を第1の状態で示す概略図である。
【図20】図19のロボットハンドの把持方法とフィンガーの第5の実施の形態を第2の状態で示す概略図である。
【図21】図19のロボットハンドの把持方法とフィンガーを被嵌合部品に挿入した第3の状態で示す概略図である。
【符号の説明】
1 ロボット
2 ハンド
3 部品(嵌合部品)
5 フィンガー、5a 把持部
21 把持部材
22 回転案内手段(円筒部)
23 根元部材
24 摺動案内手段(溝)
25 傾斜手段(楔形状部)
26 傾斜手段(当接部)
27 傾斜手段、滑り止め手段(ゴム)
28 復帰手段(ばね)
31 ピニオン(変換手段)
32 ラック(変換手段)
33 円弧案内手段(円弧状穴)
35 回転手段(180°反転手段)
Claims (13)
- 組み立ておよび分解を行うロボットハンドの把持方法において、作業を行うさいに部品から受ける反力によりフィンガーの把持部材を傾斜させることを特徴とするロボットハンドの把持方法。
- 組み立ておよび分解を行うロボットハンドのフィンガーにおいて、作業を行うさいに部品から受ける反力によりフィンガーの把持部材を傾斜させる傾斜手段を有することを特徴とするロボットハンドのフィンガー。
- 前記部品を把持する把持部材と、前記ハンドと接続される根元部材と、前記把持部材に作用するスラスト方向の力を前記把持部材を傾斜させる力に変換する変換手段と、前記把持部材を初期位置へ戻す復帰手段とを有することを特徴とする請求項2記載のロボットハンドのフィンガー。
- 前記変換手段が、前記把持部材を長手方向へ摺動させる摺動案内手段と、前記根元部材に対して前記把持部材を傾斜させる回転案内手段と、前記把持部材の摺動運動を回転運動に変換する変換手段と、からなることを特徴とする請求項3記載のロボットハンドのフィンガー。
- 前記摺動案内手段と前記回転案内手段が前記把持部材または前記根元部材の一方に設けた円筒部と、他方に設けた前記円筒部が摺動可能な溝からなることを特徴とする請求項4記載のロボットハンドのフィンガー。
- 前記変換手段が、前記把持部材が摺動するさいに干渉するように前記根元部材に設けた接触部材であることを特徴とする請求項4記載のロボットハンドのフィンガー。
- 前記変換手段が、ラックおよびピニオン機構であることを特徴とする請求項4記載のロボットハンドのフィンガー。
- 前記復帰手段が、前記把持部材と前記根元部材を接続するばねであることを特徴とする請求項3記載のロボットハンドのフィンガー。
- 前記把持部材と、前記根元部材と、前記把持部材に円弧状の動きをさせる円弧案内手段と、前記把持部材を初期位置へ戻す復帰手段とを有することを特徴とする請求項2記載のロボットハンドのフィンガー。
- 前記復帰手段が、前記把持部材と前記根元部材を接続するばねであることを特徴とする請求項9記載のロボットハンドのフィンガー。
- 前記把持部の表面に滑り防止手段を有することを特徴とする請求項1記載のロボットハンドの把持方法。
- 把持する部品によってフィンガーの向きを180度反転させることを特徴とする請求項1記載のロボットハンドの把持方法。
- 前記フィンガーが、把持する部品によってフィンガーの向きを180度反転させる反転手段を有することを特徴とする請求項2記載のロボットハンドのフィンガー。
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