JP2004535203A5 - - Google Patents

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ウイルス増殖方法
本発明は、ポックスウイルス、とりわけコードポックスウイルス(Chordopoxvirus)を産生するための方法に関し、そこで、前記ポックスウイルスは、37℃以下の温度にて培養する。本方法により、低い温度で、ウイルスの増殖が増加する。
ポックスウイルス科は、脊椎および無脊椎細胞の細胞質中で複製する、複雑なDNAウイルスの大きなファミリーを含んでいる。ポックスウイルス科のファミリーは、コードポックスウイルス(脊椎動物ポックスウイルス)亜科およびエントモポックスウイルス(昆虫ポックスウイルス)亜科のサブファミリーに分けることが可能である(FeildsVirology/eds.:Fields,B.N., Knipe,D.M.,Howley,P.M.;3rd ed/ISBN 0−7817−0253−4/とりわけ83章を参照のこと)。
コードポックスウイルス亜科は、ラクダポックスウイルス類、ヒツジポックスウイルス類、ヤギポックスウイルス類またはアビポックスウイルス類(Avipoxviruses)、とりわけニワトリポックスウイルス類、および痘瘡ウイルスおよびワクシニアウイルスのようなヒトに関連するポックスウイルス類のような、(異なる属で分類される)多くの動物ポックスウイルスを含む。
ポックスウイルス、とりわけコードポックスウイルス亜科は、ヒトおよび動物における重要な病原体である。またポックスウイルス感染に対するワクチン接種に関して、長い歴史がある。ほぼ2世紀前、ヒトに、天然痘に対して免疫化するために、牛痘が予防的に接種された。その後免疫がワクシニアウイルスで実施された。しかしながら、ワクシニアウイルスでの天然痘ワクチン接種により、時折、種痘後脳炎、汎発性痘疹、接触感染のような、重度の合併症となった。そこで、これらの合併症を示さない新規ワクチンがAntonMayrによって開発された。ポックスワクチンは、ポックスウイルス改変ワクシニアウイルスアンカラ(ModifiedVaccinia Virus Ankara;MVA)からなり、ワクチンに関連した合併症を引き起こすことなく、約150000ワクチン接種での、天然痘に対するワクチン接種のために使用された。免疫不全の子供でさえ、重度な副作用を示さなかった。MVAは、ニワトリ胚線維芽細胞培養における575回の継代後、元々の痘瘡ウイルスアンカラの変異および選別によって得られた。このMVAの安全性は、生物学的、化学的および生理学的特徴により反映される。MVAは、分子量が小さく、ゲノム中で6つの欠失があり、哺乳動物細胞に対して非常に弱毒化される、すなわち、DNAおよびタンパク質は合成されるが、実質的にはウイルス粒子は産生されない。
天然痘に対するワクチン接種は、非常に成功した。1979年、世界保険機構は、天然痘の撲滅を宣言した。したがって、子供の集団ワクチン接種が終了し、研究所勤務員およびいくつかの国の兵士隊員のみでワクチン接種がされている。
天然痘の撲滅とともに、ヒトにおけるポックスウイルス感染の顕著な原因が取り除かれた。しかしながら、いくつかの非ヒトポックスウイルスは、宿主特異性が減少しており、すなわち、これらは、その典型的な宿主(たとえばウシ牛痘の場合のウシ)のみでなく、他の動物(たとえばラットおよびネコ)への感染を引き起こす。ヒトも、この経路にて感染しうる。人口のある部分が、もはや天然痘に対して免疫を持たないので、動物種のポックスウイルス感染が、これらに関して危険であり得る。家畜が、ヒトに対する感染の主な源である。したがって、家畜ポックスウイルスに対するワクチン接種が、その重要度を増している。さらに、ポックスウイルスは、たとえば、ワクチンとしての使用、または遺伝子治療のための、すなわち核酸配列を、それが発現される場所の標的細胞内に伝達するための、外来遺伝子の発現のための重要なベクターである。よって、ポックスウイルスの効率的で、費用効果的な産生法が必要である。
ポックスウイルスは、異なる細胞型内で増幅可能である。たとえば、コードポックスウイルス、とりわけMVAは、初代または二代ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)の細胞培養液内で増幅される。細胞は、10〜12日間培養されたニワトリ卵の胚より得られる。胚の細胞を、ついで分離し、精製する。これらの初代CEF細胞は、直接またはさらに細胞継代して二代CEF細胞として使用可能である。続いて、初代または二代CEF細胞を、MVAで感染させる。MVAの増幅のために、細胞を37℃にて2〜3日間インキュベートする(たとえば、Meyer,H.ら、1991;J.of General Virology 72、1031−1038、Sutterら、1994,Vaccine, Vol.12,No.11,1032−1040を参照のこと)。他のコードポックスウイルスは、他の細胞型でも増幅するが、37℃という同一の温度が、これらの場合に選択される。たとえば、HeLa S3細胞(ヒト子宮頸部癌細胞)内で培養される、ATCC(第VR1354)より入手可能な痘疹ウイルスもまた、37℃にて3日間インキュベートする(Current protocols in molecular biology1998、16章、ユニット16.16、John Wiley & Sons、Inc)。さらに、Vero細胞(サル肝臓細胞)中での増殖に適合したMVAもまた、37℃にて増幅する(PCT/EP01/02703)。したがって、増幅のために使用した細胞に依存せず、またコードポックスウイルスの種または株に依存せず、ウイルスの増幅は37℃で実施される。この選択された温度は、当業者の一般的な知識によく相関している。ほとんど排他的に、研究所内で増幅されたポックスウイルスは、およそ37℃の体温の温血動物から得られる。コードポックスウイルスが、前記動物で増幅させることに適合するので、37℃にて増幅することに適合し、すなわち37℃でもっとも効率的に増幅するはずである
同一の理由により、エントモポックスウイルス(Entomopoxviruses)は、37℃より低い温度にて培養する。昆虫の体温は、有意に37℃より低く、大きな程度で、環境の温度に依存する。したがって、コードポックスウイルスとは対照的に、エントモポックスウイルスは、より低い温度での増殖に適合する。米国特許第5,721,352号および米国特許第5,174,993号は、研究所内での、28℃の、エントモポックスウイルス種、アムサクタ モーリエ エントモポックスウイルス(Amsacta moorei Entomopoxvirus)(AmEPV)の増殖に関して、適切な温度を開示している。しかしながら、これらの特許は、これらの温度条件下での、コードポックスウイルスの培養を開示はしていない。
さらに、他のウイルス感染に対するワクチンの産生は、一般的に37℃にて実施される。いくつかのはしかワクチンは、より低い温度にて産生される。この場合、本来は37℃にて産生され、しばしば重度の副作用を引き起こしたはしかワクチンは、ウイルスの32℃での連続継代によって弱毒化された。前記株の32℃での85回の継代の後、本株は弱毒化される。すなわち本ウイルスの疾病原因性はあきらかに減少される(Plotkin、Orenstein:Vaccines,3rdエディション、230−232)。結論として、温血動物のウイルス、とりわけワクシニアウイルスは、これらが、前記体温での動物で発見され、より低い温度への適合が、前記より低い温度での多重継代の後にのみ達成されることから、37℃にてもっとも効果的に増幅されることが予想される。さらに、より低い温度への適合は、弱毒化に関連し、したがって、しばしばウイルスの再産生能力が減少する。
米国特許第5,616,487号は、安定化ウイルス、とりわけ安定化レトロウイルスを、ウイルス産生細胞を、37℃以下の温度で、安定剤とともに培養することで、産生するための方法を開示している。安定化剤は、脂質または界面活性剤である。本特許は、安定剤として、とりわけ、PluronicF−68およびLipid Concentrateを開示している。LipidConcentrateは、コレステロール、タラ肝臓油、Pluronic F−68、酢酸d−アルファ−トコフェロールおよびTween80を含むと言われている。他の実施様態米国特許第5,616,487号は、37℃より低い温度での特定のレトロウイルス産生細胞を培養するための方法を開示しており、そこで、産生されたレトロウイルスは、以上で定義したような安定化剤を用いて安定化される。
ポックスウイルス、とりわけ感染した細胞あたり、ウイルス粒子のより多くの産生を導くコードポックスウイルスを調製するための方法を提供することが、本発明の目的であった。
前記目的は、産生細胞を、37℃以下の温度にて培養して、ポックスウイルス、とりわけコードポックスウイルスを調製するための方法によって達成される。
驚くべきことに、本発明にしたがった方法が、より低い温度(37℃以下)にて、より効率のよいウイルスの増幅を導く、言い換えれば、感染細胞数に関連して、より高いウイルス産生となることがわかった。したがって、同量のウイルスを産生するのに、より少ない細胞しか必要ではない。種痘ウイルスアンカラ(MVA)に必要なCEF細胞の産生が、面倒であり、高価であるので、このことは、改変MVAに対して利点である。さらに、インキュベーション温度の減少により、ポックスウイルスの増幅方法の間のエネルギーが節約され、したがって、ウイルスの産生におけるコストが節約される。
本明細書で使用するところの語句「ポックスウイルス(poxvirus)」は、好ましくは、サブファミリーコードポックスウイルス(脊椎動物ポックスウイルス)亜科のポックスウイルスを意味する(FieldsVirology/eds.:Fields,B.N.,Knipe,D.M.,Howley,P.M.,;3rded/ISBN 0−7817−0253−4/特に83章を参照のこと)。語句「コードポックスウイルス(Chordopoxviruses)」、「コードポックスウイルス亜科(Chordopoxvirinae)」および「脊椎動物ポックスウイルス(vertebratepoxviruses)」は、本明細書にて、同義で使用される。好ましいコードポックスウイルスはオルトポックスウイルス属(Orthopoxvirus)、パラポックスウイルス属(Parapoxvirus)、アビポックスウイルス属(Avipoxvirus)、カプリポックスウイルス属(Capripoxvirus)、レプリポックスウイルス属(Lepripoxvirus)、スイポックスウイルス属(Suipoxvirus)、モルスシポックスウイルス属(Molluscipoxvirus)およびヤタポックスウイルス属(Yatapoxvirus)のポックスウイルスである。もっとも好ましいのは、オルトポックスウイルス属およびアビポックスウイルス属のポックスウイルスである。
好ましい実施様態において、本発明にしたがった方法にて産生されるポックスウイルスは、ワクチンとして有用であるか、または宿主細胞内に対象の遺伝子を導入するために、遺伝子治療ベクターとして使用可能なポックスウイルス、とりわけコードポックスウイルスである。好適なウイルス株は、当業者によく公知である。好適な株は、たとえば、アメリカンタイプ カルチャー コレクション(American Type Culture Collection:ATCC)またはヨーロピアン コレクション オブ アニマル セル カルチャーズ(European Collection of Animal Cell Cultures:ECACC)より入手可能である。
以上で述べたように、本発明にしたがって産生するための特に好ましいポックスウイルスは、アビポックスウイルスとオルトポックスウイルスである。オルトポックスウイルスの例は、ワクシニアウイルス株エルストリー(Elstree)、WesternReserve、Wyeth、NYVAC、NYCBOH、Paris、Copenhagenのようなワクシニアウイルスであり、より好ましくは種々のMVA株、もっとも好ましくは、V00083008下でECACCに寄託されたMVA−BNおよびこれらの誘導体である。MVA−BNおよびその誘導体は、「改変ワクシニアアンカラウイルス変異体(ModifiedVaccinia Ankara Virus Variant)」の表題の、PCT明細書第PCT/EP01/13628号で詳細に記述されている。
寄託されたウイルスの「誘導体(derivative)」は、寄託された株と本質的に同一の増殖特性、とりわけ、同一の温度依存性を示すが、そのゲノムの少なくとも一部分が異なる可能性のある、ウイルスである。
本発明にしたがった方法は、それぞれ野生型ウイルス、弱毒化ウイルスおよび組換え体ウイルスで実施しうる。
「弱毒化ウイルス(attenuated virus)」は、病原性ウイルスが起源であるが、しかし宿主生物に感染するときに、非弱毒化ウイルスと比較して、より低い死亡率および/または疾病率を導くウイルスである。弱毒化ポックスウイルスの例は、当業者によく知られている。弱毒化ワクシニアウイルスに対する例は、株MVA、とりわけV00083008の寄託番号で、ECACCに寄託された株である。
語句「組換え体ウイルス(recombinant virus)」は、ウイルスゲノムの天然の部分ではない、外来遺伝子が、ウイルスゲノム内に挿入された、任意のウイルスである。外来遺伝子は、治療的遺伝子、免疫応答を誘導する少なくとも1つのエピトープを含むペプチドをコードしている遺伝子、アンチセンス発現カセットまたはリボザイム遺伝子であり得る。組換え体ウイルス構築のための方法は、当業者に公知である。もっとも好ましいポックスウイルスベクターは、MVA、とりわけMVA575およびMVA−BN(以上を参照のこと)である。
先行技術のすべての先行する技術とは対照的に、本発明の発明者らは、26℃および37℃の間の6温度の中で、ポックスウイルス、とりわけコードポックスウイルスは、37℃のインキュベーション(培養)温度にて、最小の効率で増幅をすることを発見した。ポックスウイルス、とりわけコードポックスウイルスの増幅のための方法が、ウイルス産生細胞を、少なくとも37℃以下の温度、好ましくは36.5℃と26℃の間、または約26℃と約36℃の間、より好ましくは28℃と33℃の間、さらに好ましくは、28℃と32℃の間、もっとも好ましくは30℃にて、培養する場合に、より高いウイルス産生を導くことが、驚くべきことにわかった。
他の好ましい温度範囲は、30℃〜36.5℃であった。とりわけよい結果が、副範囲、30℃〜35℃、30℃〜33℃および30℃〜32℃で得られた。もっとも好ましい温度は、30℃であった。
温度の値に関連した語句「約(about)」は、好ましくは、特に言及した温度を意味し、また、特に言及した温度の0.5℃上、または下の温度を意味する。例としては、「約30℃(about 30℃)」は、29.5℃〜30.5℃の範囲の温度と解釈される。
もっとも一般的な語句において、本発明にしたがった方法で、各ポックスウイルスは、各ポックスウイルスの天然の宿主である、ヒトを含む動物の体温より低い温度での、感染細胞の培養によって産生される。ワクシニアウイルスが考えられる場合、バッファローが天然の宿主として考えられる(Baxby,D.:「ジェンナー天然痘ワクチン:ワクシニアウイルスの謎およびその由来(Jenner’s smallpox vaccine:the riddle of vaccinia virusand its origin.)」、London:Heinemann Educational;1981:1−214)。
ウイルス産生細胞の培養は、好ましくは少なくとも24時間、より好ましくは少なくとも2日間、または少なくとも3日間実施される。通常、ウイルスを含まない細胞は、十分量の細胞が得られるまで37℃にて増殖する。ついで、細胞培養液に、ウイルスを接種させ、ついで温度を以上で示唆した温度まで減少させた。他の実施様態において、細胞培養は、ウイルスを接種させる前に、上記温度にする。
感染の前の細胞の培養、および本発明にしたがった方法を用いたウイルス産生のために使用する培地は、同一のもの、または異なるものであり得る。すべての培地は、当業者に公知の従来の標準培地である。もし必要ならば、抗生物質、添加アミノ酸および/またはウシ胎児血清のようなさらなる添加物を添加することも可能である。
好ましい実施様態にしたがって、本発明にしたがった方法で使用された培地は、ウイルス脂質エンベロープを安定化させるための、脂質または界面活性剤を含まない。さらに好ましくは、本発明にしたがった方法で使用した培地は、任意の以下の安定剤、PluronicF−68、Pluronic F−68とTween80TMの組み合わせ、またはコレステロール、タラ肝臓油、Pluronic F−68、d−アルファ−トコフェロール酢酸およびTween80を含むLipidConcentrate(ギブコ/BRL(Gibco/BRL)、Gaithersburg、MD、カタログ番号:21900−014)を含まない。
コードポックスウイルス細胞に関して、本発明にしたがった方法で使用できることが、当業者に公知である。細胞の型および性質は、細胞が、それぞれのウイルスで感染される限り、および子孫ウイルスが、感染細胞より産生される限り重要ではない。好ましくは、感染の多重性は、1より小さくあるべきである。
とりわけ好ましい細胞は、脊椎動物細胞、たとえばほ乳類または鳥類細胞である。
好ましい実施様態にしたがって、ワクシニアウイルスに関して、とりわけワクシニアウイルス株ElstreeおよびMVAに関して、本発明にしたがった方法で使用可能な脊椎動物細胞は、ニワトリ胚線維芽細胞(ChickenEmbryo Fibroblasts:CEF)である。ニワトリは、正常平均体温41℃を持つので、本発明にしたがった方法が、CEF細胞に対して使用可能であるとは、特に予想されていなかった。したがって、本発明にしたがって使用する温度、37℃以下、好ましくは36.5℃と26℃の間、より好ましくは、28℃と33℃の間、より好ましくは28℃と32℃の間、もっとも好ましくは30℃は、これらの細胞が、これらの温度でのワクシニアウイルスの増殖のために使用できないと推測された、ニワトリの正常体温とは非常に異なる。同様の考慮は、30℃〜36.5℃、30℃〜33℃、30℃〜32℃の範囲、およびとりわけ30℃の温度で適用される。
さらに、本発明にしたがった方法は、好ましくは固定フラスコ内で実施する。
さらなる利点は、本方法が、温度を下げるための温度感受性変異または長く複雑な弱毒化を必要としない、「正常(normal)」ウイルス株で、産生量の増加を導くことである。言い換えれば、ウイルス粒子において、37℃と比較して、より低い温度で、より高い産生量を達成するために、温度弱毒化または温度感受性変異を使用する必要がないのである。
温度弱毒化ウイルスまたは温度感受性変異体に関して、より低い温度でより増幅するが、しかし、そのような株は通常、非弱毒化、または非温度感受性変異体よりも再産性が少ないことが知られている。したがって、本発明にしたがった方法の大きな利点は、任意の種類の正常な、非常に再産性の高いウイルス株に適用可能であるという事実に基づいている。
本発明にしたがって調製されたウイルスは、好ましくは、ワクチンとして、または遺伝子治療プロトコールで使用される組成物を調製するために、好ましく使用される。ポックスウイルスのそのような適用は、本技術分野でよく確立されている。
図1において、実験1からの個々の値は二回実施されたものである(ドットとして表した)。棒は平均値を表している。個々の値については表1と比較されたい
図2において、実験からの個々の値は二回実施されたものである(ドットとして表した)。棒は平均値を表している。個々の値については表2と比較されたい
図3において、ドットは4つの異なる温度(実験3)における実験について二回 実施された個々の値である。棒は平均値を表している。個々の値については表3と比較されたい
図4において、ドットは4つの異なる温度(実験4)における実験について二回 実施された個々の値である。棒は平均値を表している。個々の値については表4と比較されたい
図5において、棒は、30℃および37℃で3回実施した実験の平均値を表している。個々の値については表5と比較されたい
本発明は以下の実施様態に関する。
37℃以下の培養温度にて、ウイルスを培養液中で増殖させることを特徴とする、ポックスウイルス、とりわけコードポックスウイルス(Chordopoxvirus)を調製する方法。
前記コードポックスウイルスを、約26℃〜約36℃の培養温度にて増殖させることを特徴とする、上記の方法。
前記コードポックスウイルスを、約28℃〜約33℃の培養温度にて増殖させることを特徴とする、上記の方法。
前記コードポックスウイルスを、約30℃〜約33℃の培養温度にて増殖させることを特徴とする、上記の方法。
前記コードポックスウイルスを、約30℃の培養温度にて増殖させることを特徴とする、上記の方法。
ウイルス増殖を少なくとも24時間実施することを特徴とする、上記の方法。
ウイルス培養を、少なくとも2〜3日間実施することを特徴とする、上記の方法。
前記ポックスウイルスが、ワクチンまたは遺伝子治療ベクターとして有用なウイルスであることを特徴とする、上記の方法。
前記ポックスウイルスが、アビポックスウイルスまたはオルトポックスウイルスからなる群より選択されることを特徴とする、上記の方法。
前記ウイルスが、ワクシニアウイルスであることを特徴とする、上記の方法。
前記ウイルスが、改変ワクシニアウイルスアンカラ(Ankara)(MVA)、好ましくは、第V00083008号にてECACCに寄託されたようなMVA−BN、またはその誘導体であることを特徴とする、上記の方法。
前記方法を、固定フラスコ内で実施することを特徴とする、上記の方法。
前記ポックスウイルスが、温度感受性変異ウイルスではないことを特徴とする、上記の方法。
前記ポックスウイルスが、温度弱毒化ウイルスではないことを特徴とする、上記の方法。
前記ウイルスを、ニワトリ胚線維芽細胞内で増殖させることを特徴とする、上記の方法。
上記方法のいずれか一項にしたがって調製したウイルス。
上記のようなウイルスを含む組成物。
上記のようなウイルスを含むワクチン。
上記の方法のいずれか一項にしたがって調製したウイルスのウイルスゲノムを含む、遺伝子治療での使用のための組成物。
ワクチンとしての、上記方法のいずれか一項にしたがって調製したウイルスの使用。
遺伝子治療での、上記方法のいずれか一項にしたがって調製したウイルスの使用。
以下の実施例が、本発明をさらに例示している。
MVAの増幅における温度の影響
細胞培養条件
初代CEF−細胞を、2×10CEF細胞/185cmの細胞濃度で、固定フラスコ内に蒔いた。細胞は、VP−SFM+4mML−グルタミンおよび1% 抗生物質/抗かび剤内で蒔いた。播種の4日後の時点で、5×10CEF−細胞/185cmの細胞濃度が確認された。この細胞に、RPMIw/o FCSを用いて、0.1TCID50/細胞MVA−BN(寄託番号第V00083008号にてECACCに寄託されている)を感染させた。感染、および続く72時間のインキュベーションは、30℃および37℃(2つの異なるCEF調製物による実験1および2)、30、33、35および37℃(実験3)、および26、28、30および33℃(実験4)にて実施した。実験は、各温度で二重に行った。ウイルス複製を、培地中の細胞をこすり取ること、および−20℃での培地と細胞一緒での凍結によって停止させた。この混合液を、さらに2回、凍結/融解して、機械的にウイルスを細胞から放出させた。4つの異なる感染温度での実験に関して、ウイルス複製は、−20℃で固定フラスコを凍結させることで停止させた。この混合液を、さらに3回凍結/融解させて、機械的にウイルスを細胞から放出させた。
各固定フラスコからのウイルスタイターを、免疫組織化学的アッセイを用いて決定した。ワクシニアウイルス特異的抗体で感染細胞を染色した。次に、ワクシニアウイルス抗体に結合する、HRP−結合抗体を添加した。基質の添加の後、感染細胞は青色または茶色で現れる。アッセイの評価は、SpearmanおよびKaerberの式を用いて行い、TCID50/ml(組織培養感染用量)を決定した。実験は二重に実施した。滴定結果のための受容基準として、公知のタイターでのMVA−BN標準を、各滴定実験に対して内部標準として使用した。実験からの結果は、MVA−BN標準からの値が、総平均より±0.5ログ以上異ならなかった場合にのみ採用した。
(結果)
初代CEF細胞の可能な増殖変化を含めるために、実験は、30℃と37℃の感染温度を比較する時に、2つの異なる細胞調製物で実施した。2つの独立した感染実験からの結果を、表1−2および図1−2で示している。
実験1および2の結果は、37℃に比べて30℃にてウイルス産生量が明らかに増加することを示している。実験1において、0.5ログの増加、実験2において約0.7ログの増加が達成された。
最初の2つの実験からのデータは、MVAの産生量の増加が、感染後のインキュベーション温度の減少によって達成されうるということで、非常に有望である。したがって、先に進み、他の温度もまた試して、最適な感染温度を見つけることが決定された。使用した温度は、30、33、35および37℃である。この実験からの結果を、表3および図3で示している。
37℃およびそれより低い感染温度(35、33、30℃)での産生量の比較によって、より低い温度で、明らかな増加があることが示された。もっともよいウイルスタイター[TCID50/ml]が、30℃の感染温度での本実験で得られ、37℃と比較して、0.8ログ高かった。
固定フラスコでの次の実験において、30℃よりも低い温度を試験して、30℃がCEF細胞中でのMVAの増殖に関して、最適な温度であるかを見た。したがって、26、28、30および33℃を使用した。この実験からの結果を表4および図4で示している。
本実験でのもっとも高い収量は、30℃での感染後のインキュベーション温度にて見られた。以前の実験(30℃と37℃の間の4温度)からのデータと、本実験のデータを比較すると、固定フラスコ内でのCEF細胞におけるMVAの増幅に対する、感染の後のインキュベーションに対する最適温度が、30℃であることが同定された。
これらの2つの実験からの単一温度のウイルスタイターの解析により、37℃でのインキュベーションが、6つの使用した温度からのウイルス産生で最も低いものであることが明らかになった。使用した温度での収量に関する観察された順番は以下のようなものである。
30℃>33℃/28℃>35℃/26℃>37℃
ワクシニアウイルス株エルストリー(Elstree)の増殖における温度の影響
他のアプローチにおいて、ワクシニアウイルス株エルストリー(Elstree)を、温度依存性に関して、MVA−BNとともに試験した。MVA−BNおよびElstreeを、CEF細胞上で増殖させた。実験に関して、初代CEF−細胞を、2E+07CEF細胞/175cmの細胞濃度で、固定フラスコ内に蒔いた。細胞を、培養培地+4mML−グルタミンおよび1%抗生物質/抗かび剤中で蒔いた。播種の4日後の時点で、5E+07CEF−細胞/175cmの細胞濃度が確認された。この細胞に、RPMIw/o FCSを用いて0.1TCID50/細胞MVA−BN、およびエルストリーをそれぞれ感染させた。感染、および続く72時間のインキュベーションは、30℃および37℃にて実施した。実験は、各温度で三重で行った。ウイルス複製を、−20℃で固定フラスを凍結によって停止させた。この混合液を、さらに3回、凍結/融解して、機械的にウイルスを細胞から放出させた。各固定フラスコからのウイルスタイターは、SOP/MVA/04にしたがった滴定によって測定した。滴定結果のための受入基準として、公知のタイターでのMVAF6標準を、各滴定実験に対して内部標準として使用した。実験からの結果は、MVA F6標準からの値が、±0.5ログ以上異ならなかった場合にのみ採用した。
感染実験からの結果を、表5および図5で示している。
MVA−BNでの実験のデータは、37℃と比較して30℃にて、ウイルス収量の明らかな増加を示している(0.667ログ)。Elstreeでの実験において、37℃と比較した30℃での1.125ログの増加が見られた。

Claims (13)

  1. 26℃〜35℃の培養温度にて、培養培地中でウイルスを増殖させることを特徴とする、コードポックスウイルス(Chordopoxvirus)を増幅する方法であって、前記コードポックスウイルスが第V00083008号にてECACCに寄託されたMVA−BNまたはその誘導体である、上記方法。
  2. 前記培養温度が28℃〜33℃である、請求項に記載の方法。
  3. 前記ポックスウイルスを、鳥類細胞中で増殖させる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 記鳥類細胞が、ニワトリ胚線維芽細胞である、請求項に記載の方法。
  5. 26℃〜32℃の培養温度にて、ニワトリ胚線維芽細胞中でウイルスを増殖させることを特徴とする、コードポックスウイルスを増幅する方法であって、前記コードポックスウイルスが第V00083008号にてECACCに寄託されたMVA−BNまたはその誘導体である、上記方法
  6. 前記コードポックスウイルスを、30℃の培養温度にて増殖させる、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記ウイルス増殖を少なくとも24時間実施する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記ウイルス培養を、少なくとも2〜3日間実施する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記コードポックスウイルスが、ワクチンまたは遺伝子治療ベクターとして有用なウイルスである、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記方法を、固定フラスコにて実施する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記コードポックスウイルスが、温度感受性変異体ウイルスではない、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記コードポックスウイルスが、温度弱毒化ウイルスではない、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 脂質または界面活性剤を、培養培地に加えない、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
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